令和7(わ)17 業務上横領被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年7月17日 鳥取地方裁判所
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判決文本文1,998 文字)

- 1 -令和7年7月17日宣告令和7年(わ)第17号業務上横領被告事件 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 【罪となるべき事実】起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する。 【証拠の標目】省略【法令の適用】省略【量刑の理由】本件は、テレビ局で経理部長等の職にあった被告人が、自己の用途に費消する目的で、5回にわたり同社の預金合計469万6538円を横領し、3回にわたりチャリティー募金で集められた現金合計10万5000円を横領した事案である。 各犯行動機に酌量の余地はない。被告人は、捜査・公判を通じて、被害会社の預金については同社の予算外の費用の支出等に、募金については募金額が減少した時の補填にそれぞれ充てようと考えて自己の口座に保管していたと供述し、公判廷では、実際にそれらに充てたことがあるとも供述する。しかし、そのような支出・補填の必要性やその目的のために被告人の口座に保管する合理性はない。被告人は捜査段階では横領した金を上記支出・補填に充てたことはないと供述していたのであり、被告人の公判供述に沿う客観的証拠はなく、客観的証拠がないことについての納得できる説明もない。上記支出・補填に充てたことがあるとの公判供述は採用できず、その目的で自己の口座に保管していたとの点も、被告人に有利に考えたとしても、横領に当たって自分自身への言い訳をしたに過ぎないというべきである。 - 2 -被害会社の経理業務を実質的に取り仕切っていた立場を悪用した犯行であり、中でも同社の預金を振込送金する方法による横領は、振込内容の明細書を切り貼りして自己宛ての振込送金の発覚を防 - 2 -被害会社の経理業務を実質的に取り仕切っていた立場を悪用した犯行であり、中でも同社の預金を振込送金する方法による横領は、振込内容の明細書を切り貼りして自己宛ての振込送金の発覚を防ぐなどの手の込んだ手口によるものである。また、募金の横領は、募金者の善意を踏みにじるもので、数十年にわたり多額の募金を集めてきたチャリティー募金の信頼を失墜させて募金額の減少等を招きかねず、その運営に対する影響も大きい。 10年近く横領を繰り返して抵抗感が薄れる中で8件の横領を行った常習的犯行であり、本件被害額は冒頭で述べたとおり合計約480万円に及ぶ。被害会社は、社会的影響の大きい重大事件を犯した被告人と示談することは企業の社会的責任の観点から困難であるなどとして示談を拒絶し、厳重処罰を求めている。 以上によれば被告人の刑事責任は重いが、横領した金については余罪を含めて全額弁償済みであること、被告人に前科や一般前歴がないことのほか、被告人が本件各公訴事実を認めて今後再犯に及ばない旨を述べ、妻も収支を管理するなどして再犯防止に努めると証言していることも考慮し、刑の執行を猶予することとした。 (求刑懲役3年)令和7年7月17日鳥取地方裁判所刑事部 裁判官安西二郎 - 3 -引用した起訴状記載の公訴事実 被告人は、平成29年4月1日からA株式会社総務局経理部長又は同社経営戦略局長兼経営企画部長等として、同社の現金、預金等の出納運用及び保管等の経理業務全般を統括していたものであるが第1 株式会社B銀行C営業部に開設されたA株式会社名義の普通預金口座の預金を同社のために業務上預かり保管中、別表1(掲載省略)記載のとおり、令和元年12月 理業務全般を統括していたものであるが第1 株式会社B銀行C営業部に開設されたA株式会社名義の普通預金口座の預金を同社のために業務上預かり保管中、別表1(掲載省略)記載のとおり、令和元年12月25日から令和3年3月19日までの間、4回にわたり、鳥取市a町b丁目c番地同社において、自己の用途に費消する目的で、同所に設置されたパーソナルコンピュータを操作し、インターネットバンキングを利用して、同口座から同銀行D出張所に開設された被告人名義の普通預金口座ほか1口座に合計419万6538円を振込送金し第2 株式会社E銀行F支店に開設されたA株式会社名義の普通預金口座の預金を同社のために業務上預かり保管中、令和2年4月27日、同市d町e番地同支店において、自己の用途に費消する目的で、同口座から現金50万円の払戻しを受けてこれを着服し第3 24時間テレビチャリティー募金で集められた現金をA株式会社のために業務上預かり保管中、別表2(掲載省略)記載のとおり、令和5年9月4日から同月15日までの間、3回にわたり、同市f町g番地株式会社G銀行H営業部ほか1か所において、自己の用途に費消する目的で、同営業部に開設された被告人名義の普通預金口座に現金合計10万5000円を入金しもってそれぞれ横領したものである。

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