平成19(行コ)65 免職処分取消請求控訴事件(通称 大阪市立小学校教諭懲戒免職)

裁判年月日・裁判所
平成20年8月29日 大阪高等裁判所
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判決文本文43,008 文字)

主文 原判決を取り消す。 大阪市教育委員会が平成17年3月31日付で控訴人に対してした免職処分(不採用処分)を取り消す。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨主文同旨第2事案の概要 本件は,大阪市立公立小学校教員の控訴人が免職処分の取消を求めた事案である。 原審は,控訴人の請求を棄却したため,これを不服とする控訴人が控訴を提起した。控訴人は,原審において教員に条件附採用されたことを前提に上記処分の取消を求めていたが,当審において条件附採用でなかったことを前提とする主張を追加した。 前提事実(争いのない事実,証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)(1)控訴人は,平成9年4月,α大学教育学部小学校教員養成5年課程(夜間)に入学し,平成10年4月1日,大阪市に事務職員として採用され,大阪市長から「職員に任命する行政職1級5号給を給する総務局勤務を命ずる」との,同月17日,大阪市会議長から「職員に任命する行政職1級5号給を給する」との,同日,大阪市会事務局長から「庶務課秘書係事務職員を命ずる」との,平成14年4月24日,大阪市会議長から「市長部局へ出向を命ずる」との,同日,大阪市助役から「住吉区役所勤務を命ずる」との,同年5月14日,住吉区長から「健康福祉サービス課健康福祉係勤務を命ずる」との各辞令を受け,この間,市職員として勤務しながら大学に通い,平成14年3月,大学卒業とともに小学校教諭1種免許を取得し,平成15 年,大阪市教育委員会(以下「市教委」という。)の実施する採用試験に合格し(乙43),平成16年3月31日,大阪市長から「願により本職を免ずる」との,同年4月1日,市教委委員長から「大阪市公立学校教員に任命する教育職給料表(三)を適用し2級8 実施する採用試験に合格し(乙43),平成16年3月31日,大阪市長から「願により本職を免ずる」との,同年4月1日,市教委委員長から「大阪市公立学校教員に任命する教育職給料表(三)を適用し2級8号給を給する大阪市立β小学校教諭に補する」との各辞令を受けた(甲1,3,4,弁論の全趣旨)。 控訴人は,退職手当基礎期間を平成10年4月1日から平成16年3月31日までとして,大阪市から退職金91万0409円を受給した(乙41)。 (2)控訴人は,平成16年4月1日から,大阪市立β小学校(以下「β小学校」という。)での勤務を開始し,5年2組の学級担任となり,校務分掌表上,研修部研究推進係(国際理解教育に関して),会計部支出係5学年会計係・収入係,庶務部調査統計係(学校日誌と日々出欠記録)の担当とされた(甲5,6)。 (3)教職員の条件附採用期間は,地方公務員法(以下「地公法」という。)22条1項及び教育公務員特例法(以下「教特法」という。)12条1項により1年間である。 市教委は,平成17年3月31日,控訴人が大阪市公立学校教員に条件附採用されたことを前提に,地公法22条1項及び教特法12条1項により,控訴人を条件附採用期間の満了日である同日をもって正式採用しないことを決定し,控訴人を免職する旨の処分(以下「本件処分」という。)を行うとともに,不採用事由説明書(原判決別紙)を交付した(甲7,乙22)。 被控訴人には,地公法29条の2第2項の「条例」(条件附採用期間中の職員に関する分限について必要な事項を定める条例)は存在しない。 争点及び争点に対する当事者の主張は,以下の当審での補充主張を付加する他は,原判決「事実及び理由」第2・2,3のとおりであるからこれを引用する(略語は原判決の用法による。)。 〔控訴人〕 (1)控訴人の教員採 する当事者の主張は,以下の当審での補充主張を付加する他は,原判決「事実及び理由」第2・2,3のとおりであるからこれを引用する(略語は原判決の用法による。)。 〔控訴人〕 (1)控訴人の教員採用が条件附でないこと(当審新主張)控訴人は大阪市職員採用にあたり,地公法22条1項により6か月間の条件附採用とされ,正式採用の5年6か月後に市教委に教員として採用されたところ,教員採用前に地公法上の条件附採用期間を経過し,市職員としての適格性は既に判断済みであり,改めて条件附採用とされる根拠はない。 控訴人の教員採用に際し,任免権者が異なることから,大阪市を退職して翌日付で市教委に採用されたと取り扱われたが,かかる場合につき,文部省は昭和63年6月3日事務次官通達(甲29)において,「他の職種の公務員が小学校等の教諭等となった場合」につき初任者研修の対象とするものの,「条件附採用期間1年」の対象にならないとしている。 地公法上の「採用」は「現に職員でない者を職員の職に任命すること」,「転任」は「職員を昇任及び降任以外の方法で他の職員の職に任命すること」であり(昭和28年5月29日自治庁次長通知,甲45・109頁),同一地方公共団体内における任命権者を異にする異動の場合に,旧任命権者が退職発令し,新任命権者が採用発令するのは,地公法上の採用ではなく実態に応じて昇任,降任又は転任に該当するとされる(昭和28年4月27日自治庁公務員課長回答,甲45・138頁)。教特法上の「採用」は,「地公法にいう採用のみならず現に教育公務員でない者を教育公務員にすること等」をいい(昭和28年2月26日文部省初等中等教育局長通知,甲45・105頁),同一地方公共団体内の異なる任命権者間の異動は,地公法上は「採用」ではなく「転任」であり,教特法上は「採用」に含まれる。 」をいい(昭和28年2月26日文部省初等中等教育局長通知,甲45・105頁),同一地方公共団体内の異なる任命権者間の異動は,地公法上は「採用」ではなく「転任」であり,教特法上は「採用」に含まれる。地公法22条1項の「条件附採用」は,同法上の「採用」が前提であるが,教特法上の「採用」と全く同じ概念ではない(正式採用後の地方公務員を教育公務員にすることは教特法上の採用にあたるが,地公法上の採用ではない。)。 教特法12条の「条件附採用」(1年間)は,地公法上の「採用」を前提とし,教特法上の採用であっても地公法上の採用に該当しなければ,教特法上 も条件附採用にならない(条件附採用中の地方公共団体職員が地公法上の転任により教育公務員に採用された場合は,条件附期間は引き続くものとして通算されて取り扱われる(昭和28年2月26日文部省初等中等教育局長通知,甲45・106,107頁))。被控訴人主張の文部科学省の昭和63年6月3日通達の解釈(乙44)は,控訴人主張を裏付ける。 大阪市職員の任用に関する規則(昭和49年7月1日(人)規則4号,甲48)上,「異なる給料表」の異動に昇任・転任・降任を含めているから,職種・給料表を異にするからといって上位,下位を判断する基準がなく昇任・転任・降任にあたり得ないものではない。 大阪市職員の退職手当に関する条例(甲49)10条4項は,職員が他の地方公共団体等に就職した場合に,その者の職員としての勤続期間が公務員に対する退職手当に関する規定により公務員としての勤続期間に通算されることに定められているときは本条例による退職手当を支給しないと定めているところ,控訴人は市職員から市立学校教員に転任するに伴い大阪府が給与を負担することとなり,公務員としての勤続期間に通算されることに定められていなかったために転任に際して 手当を支給しないと定めているところ,控訴人は市職員から市立学校教員に転任するに伴い大阪府が給与を負担することとなり,公務員としての勤続期間に通算されることに定められていなかったために転任に際して市が退職手当を支給したにすぎず,退職手当支給の取扱は,採用の性格とは異なった観点からなされていた。 控訴人は,大阪市職員に採用されるにあたり,既に地公法上の条件附採用とされており,教員採用にあたり条件附採用とされた他の採用者との間で優遇扱いを主張するものではない。 したがって,本件処分(条件附採用期間の満了日をもって正式採用しないことを決定して控訴人を免職する旨の処分)は,その前提を欠き違法無効な処分である。 (2)条件附採用を前提とする主張控訴人の教員採用が条件附であったとしても,条件附採用の職員を分限するについての裁量は自由裁量ではなく,その判断が合理性をもつものとして 許容される限度を超えた不当なものであるときは違法というべきところ,控訴人が,教員任命以前は市事務職員として6年の長期にわたり問題なく職務に従事してきたこと,小学校低学年からの学級崩壊,保護者から学校に対する過度の要求や学校における教員の管理体制の変化等の社会情勢,控訴人配属のβ小学校5年生が低学年から教育困難な学年であったこと等の状況下では,控訴人を免職した本件処分は合理性をもつものとして許容される限度を超えた不当なものとして違法であり取り消されるべきである。 (3)不採用事由の有無ア原判決は,不採用事由説明書(甲7)に記載された事由に加えて,被控訴人が本件訴訟において新たに主張した処分事由に沿って控訴人の教員としての適格性がないと判断したが,本件処分の当否,すなわち,控訴人の免職事由が合理性をもつかが問題であるから,合理性の有無を判断するためには処分事由が明確 たに主張した処分事由に沿って控訴人の教員としての適格性がないと判断したが,本件処分の当否,すなわち,控訴人の免職事由が合理性をもつかが問題であるから,合理性の有無を判断するためには処分事由が明確に示されていなければならず,同説明書に記載された事由のみに基づいて判断すべきであり,記載のない処分事由は追加され得ない。具体的には,週案の記載内容,平成16年11月12日朝の年休取得,平成17年1月12日の遅刻,子どもに対する愛情が感じられなかったこと,指導力が未熟なこと,控訴人が教諭としてなすべき配慮をしなかったので児童や他の教職員に迷惑をかけたこと,保護者からも控訴人の指導力について疑義が示されていたことがこれに当たる。 本件処分は,大阪市教職員懲戒等審査事務嘱託に意見を求め,市教委事務局で決裁され,市教委会議で議決される手続を経たものであるところ(乙20~23),かかる手続中の資料には不採用事由説明書や教職員事故報告書(乙8)の記載事由しか掲記されておらず,他の判断材料はなかったと考えられる。 イ職務遂行能力と責任感の欠如について(ア)学年会計について(金銭出納帳) 控訴人が平成17年4月7日にβ小学校へ郵送で写しを提出した5学年金銭出納帳(甲12)は,本来の公簿ではなく学年会計担当者の手控えにすぎない。控訴人は,これを精神的に困難な状況下で同年3月末までに完成させ,同月30日に学外で会った1学年会計担当者P1教諭に会計部長P2教諭に渡すよう依頼したところ(なお,控訴人がP1教諭を呼び出したものではない。),控訴人が作成したから自分で届けるべきと言われて郵送したが,これにより学校の決算処理等に支障を来したことはなく(控訴人原審調書55頁),学年会計担当者として責任を負うべき落ち度はなかった。 β小学校の校務分掌表(甲6)上,控 けるべきと言われて郵送したが,これにより学校の決算処理等に支障を来したことはなく(控訴人原審調書55頁),学年会計担当者として責任を負うべき落ち度はなかった。 β小学校の校務分掌表(甲6)上,控訴人の職務は5学年会計担当であった。学年会計は,①担当学年児童からの徴収金に関する仕事(徴収金を引き落とせない家庭の児童について,現金徴収のための通知書を収入係のP1教諭から受領して当該児童に手交し,徴収後に領収証を手交し,現金徴収出納簿〔金銭出納帳ではない〕に記帳の上,現金と共に収入係に渡す),②学年始めに学年打合せで当該年度に必要な教材等を決定して児童費会計5年生収入及び支出の明細(予算書・甲30)を作成し,これを基にその都度事業起案書(甲31)を作成し,遠足等のように資金前渡が必要な場合は支払決裁書(甲33)を作成していずれも支出係のP3教諭に渡す仕事(なお,支払決裁書を決裁に回すのは支出係の担当である。),③決算書を作成する仕事の3つであり,金銭出納帳の記帳は校務分掌表上学年会計担当の職務とされていない。 控訴人は,金銭出納帳の作成を指示されたことから,各費目毎の収支を金銭出納帳に記帳し,1・2学期末は会計部長のP2教諭に渡し,3学期は病休等の事態が生じたことから上記のとおり郵送したところ,金銭出納帳の記載内容は会計部長が作成する公簿である予算差引簿(甲42)に全て記帳されており,金銭出納帳がなければこれを作成できない ものでも学年末の決算に支障を来すものでもない。事業起案書と支払決裁書は同一人が作成するから二重確認にならない。経費支出を伴う事業が一覧でわかる書類は予算書(甲30)であり,金銭出納帳は公簿である予算差引簿の記帳の二重確認のためだけに作成された学年会計の手控えであり,予算差引簿作成後の確認のために利用していたにすぎ 伴う事業が一覧でわかる書類は予算書(甲30)であり,金銭出納帳は公簿である予算差引簿の記帳の二重確認のためだけに作成された学年会計の手控えであり,予算差引簿作成後の確認のために利用していたにすぎない。 金銭出納帳の記載に誤りはないし,事業起案書を転記して作成できるものではない。なお,金銭出納帳に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 P4教諭が決算書を代わって作成したのは,控訴人が学級運営に大きな精神的負担を抱え疲れ果てた時期にP2教諭を通じてこれを申し出てくれたことによる。 (イ)教育姿勢について(週案の提出)控訴人は,P5学年主任が行っていた方法どおり,週案を当該週が終わった後にその結果を記入して提出して決裁を得ており(甲21・24項),他にも週案を事後提出する教員がいた。 控訴人は,平成16年11月22日以降週案を提出できなかったが,担任学級の状況の悪化により精神的に追い詰められていたためで怠慢によるものではない。控訴人は,同僚と同じ時間に帰宅していたが,仕事を持ち帰って処理しており,その精神状態からすれば従前どおり短時間で週案を作成できたものではなかった。なお,上記週案の記載の内容に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 (ウ)教育活動について(休暇取得等)平成16年6月14日(年休1時間取得)は,児童朝会で控訴人が看護当番を行う予定であったが,看護当番は児童を並ばせて号令をかけ予め決まっている週目標を発表するだけの仕事であり(甲11),直前に他の教員が交代して行うことは困難ではなく日常的に行われていた。控 訴人は,上記同日,P6教諭に交代してもらい,逆に同教諭の本来の当番日(同年9月13日)に自ら申し出て児童指揮を交代した(甲21・25項)。これにつき控訴人が何らかの注意を受けたことはない。 控 訴人は,上記同日,P6教諭に交代してもらい,逆に同教諭の本来の当番日(同年9月13日)に自ら申し出て児童指揮を交代した(甲21・25項)。これにつき控訴人が何らかの注意を受けたことはない。 同年9月24日(年休1日取得)は,運動会予行演習で控訴人がブラスバンド指揮を行う予定であったが,当日朝体調不良で病院を受診するため半休の連絡を入れたところ,病院から入院を指示されてその旨連絡したものであり,事前連絡なく出勤せず事後年次休暇の申出をした事実はないし,これにより学校に尋常でない支障が生じたこともない。 同年11月12日(年休1時間取得)は,在日外国人生徒の本名使用の決意表明の顛末を控訴人が職員朝会で報告する予定であったが,この問題は控訴人が以前から教頭に相談して保護者とも連絡を取って対応していたもので当該児童は既に学級内で本名を使用しており,控訴人が体調不良のため年休1時間を取り職員朝会での報告ができないこととなって決意表明自体が延期されたが,この報告は報告事項の一つとして予定されていたにすぎず,当該問題にとって決定的に重要とまでいえるものではなく,これにより他の教員に迷惑をかけた事実はなく,当該児童やその家族の決意に水を差す結果となった責任が重いとまではいえない。 なお,上記年休取得に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 平成17年1月12日(遅刻)は,保護者説明会の翌日朝に控訴人が出勤困難な精神状況に陥って教頭が最寄り駅まで迎えに来たものであるが,控訴人は保護者会で厳しい意見を言われその面前で決意表明を強いられるという重大な経験したところ,その意見は主として学校の体制に対するものであったにもかかわらず,校長らは控訴人に責任があるとして決意表明させたもので,控訴人の精神状態は極めて苦しい状況に置かれており,翌日 重大な経験したところ,その意見は主として学校の体制に対するものであったにもかかわらず,校長らは控訴人に責任があるとして決意表明させたもので,控訴人の精神状態は極めて苦しい状況に置かれており,翌日の出勤に際して強いプレッシャーを感じて上記状態に陥 ったもので控訴人のみを責めるべきでない。なお,上記遅刻に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 ウ教員としての基礎的能力の欠如について(ア)指導力が未熟なことについて控訴人の授業中の声が小さく板書が乱雑だったとされるが,これらの事実は相対的な評価であり,新任教員として十分あり得ることである。 控訴人が教務主任等の指導を積極的に受け入れようとしなかったことを積極的に根拠づける事実はない。 (イ)他人の指導を受け入れなかったこと,他人に相談しなかったことについて控訴人は他の先輩教員に相談しながら,様々工夫を凝らして児童の気持ちを引きつけて授業を成り立たせようと努力していた(甲19)。控訴人が2,3回泣いたことがあったのは事実であるが,自分の努力を周囲は分かってくれないとの被害感情に囚われて他罰的傾向を強めていったとの評価を根拠づける事実は存しない。控訴人がこのままではいけませんかと何度も発言したとの被控訴人側証人の証言は信用し難いし,かかる発言は控訴人がプレッシャーを受けた状況でなされたもので上記の如き評価を根拠づける事実とは言えない。 (ウ)児童や他の職員に迷惑をかけたことについて控訴人が重要な場面で休暇を取り,連絡が直前になったり連絡しなかったことにより結果的に児童や他の教員に迷惑をかけたことをもってして,直ちに控訴人の教員としての基礎的能力に問題があるとまでいえない。なお,上記連絡の遅延等に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 (エ)保護者から控訴 に迷惑をかけたことをもってして,直ちに控訴人の教員としての基礎的能力に問題があるとまでいえない。なお,上記連絡の遅延等に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 (エ)保護者から控訴人の指導力について疑義が示されたことについて教職員事故報告書(乙8)上の,PTA会長が控訴人につき何とか頑 張ってほしいとずっと応援してきたが最後の最後に放り出され裏切られた気持ちでありかばいようがない旨意見を述べたとの記載は,かかる発言がいつ如何なる場で具体的にどのような趣旨で述べられたものか定かでなく,同報告書自体校長が作成した文書であるなどその信用性は明らかでない。期末懇談会記録用紙(乙30)上の学校に対する意見は,控訴人が保護者1人から聴取した意見で保護者の総意ではないし,この意見の趣旨は指導困難な学年であることを知りながら新任教員を担任にしたことを批判し,管理職に差し迫った提言をしたものというべきである。 なお,上記保護者発言に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていない。 エ服務規律違反(年次休暇の取得方法及び出勤簿の取扱)について平成17年3月2日職員朝会記録簿(甲24)に,「年休出きんボの整理はきちんとやる」と当番のP5教諭により記載され,校長・教頭が決裁したことは,β小学校で多くの教職員に年休取得手続や出勤簿処理にルーズな実態があったこと,各教員に個々に注意がなされなかったことを裏付ける。控訴人において,年休取得手続が遅れたり,出勤簿の押印が後日になったことがあったのは事実であるが,かかる事態は精神状態が悪化した平成17年1月11日以降に生じたものであり,それ以前に控訴人が注意に従わなかった事実はなかったし,規律違反により支障が生じたこともない。 オ教員としての勤務態度の不良について(ア)控訴人の過呼吸・錯 年1月11日以降に生じたものであり,それ以前に控訴人が注意に従わなかった事実はなかったし,規律違反により支障が生じたこともない。 オ教員としての勤務態度の不良について(ア)控訴人の過呼吸・錯乱状態について控訴人が過呼吸症候群に陥ったことをもって勤務態度不良とするのは,かかる疾病をもつ者が教員として不相当と言うに等しく,ストレスに弱い体質であるから教員として不安があるというのは妥当でない。控訴人の過呼吸状態は,平成16年12月20日と平成17年2月7日に生じ たが,かかる状態を生じさせた精神的負担は控訴人の責任にのみによって生じたものでもない。 (イ)自己中心的要求について控訴人が,2教科ほど他教員にもってもらい自分はゆっくりしたいとか,それが実現されなければ病気休暇を取得すると発言した事実はなく,2教科ローテーションの件は,控訴人が母に雑談として話したことを母が学校に話したことから控訴人が説明を求められたにすぎない。なお,控訴人が上記方法を考えたのは,同期採用の他校の教員が学級運営を同様の方法で乗り越えているとの話に着想を得たにすぎず,積極的に要求したことはなく,教務主任にさらなる負担を求める自己中心的な要求をしたと評価されるべきでもない。 〔被控訴人〕(1)控訴人の教員採用が条件附であること文部省昭和63年6月3日事務次官通達(甲29)の留意事項(1)の「他の職種の公務員」とは,同一任命権者の他の職種の公務員,すなわち教育委員会が任命権を有する公務員(教育委員会事務局の職員等〔地方教育行政の組織及び運営に関する法律19条1項〕,教育委員会所管の学校の職員等〔学校教育法28条〕)の職種変更を指す。上記通達は,条件附採用期間を1年と改正した教特法13条の2(現12条)の実施につき説明したものであり,教特法の内容自体 1項〕,教育委員会所管の学校の職員等〔学校教育法28条〕)の職種変更を指す。上記通達は,条件附採用期間を1年と改正した教特法13条の2(現12条)の実施につき説明したものであり,教特法の内容自体を変更できるものではなく,教育委員会を任命権者とする他の職種から教諭への職種変更の場合について説明し,かかる場合でも初任者研修を必要と指示したものにすぎない。教員は専門職であり一般公務員とは適性が異なるため,教特法は1年間の初任者研修を義務づけ(23条1項),地公法22条1項の特例として条件附採用期間を1年としている(12条1項)。文部科学省は,上記通達上の「他の職種の公務員が小学校等の教諭等となった場合」を,既にその地方公共団体の公務員(小学校の教 諭等以外)の身分を取得している者が同一地方公共団体内で転任・昇任・降任により小学校等の教諭等となる場合を想定しているとしており(乙44),被控訴人主張を裏付ける。 控訴人は,依願退職により大阪市を退職した後,大阪市公立学校教員に新たに任命されたものであり,市職員の地位を有したまま異動したものではない。大阪市職員と大阪市公立学校教員とは給料表を異にし,その異動について上位・下位を判断する基準もなく,控訴人は転任したものではない。地方公務員について,同一地方公共団体内で任命権者を異にする異動が行われることは少なく,この場合,新任命権者の発令により現任命権者は所属職員を失うことになるので,両者の協議を経て現任命権者の同意を得なければ新任命権者は発令できない。国家公務員については,現任命権者が職員を他の任命権者が任用することについて同意を与えた場合は,現任命権者が職員に人事異動通知書を交付しなければならないところ(人事院規則8-12・75条2号),地方公務員も条理上当然に現任命権者の同意が必要とな 命権者が任用することについて同意を与えた場合は,現任命権者が職員に人事異動通知書を交付しなければならないところ(人事院規則8-12・75条2号),地方公務員も条理上当然に現任命権者の同意が必要となる。控訴人引用の昭和28年4月27日自治庁公務員課長回答は,同一地方公共団体内の任命権者を異にする異動として「教育委員会と県との間の人事交流等」を想定したものであり,控訴人については新旧任命権者が予め協議をしたことがなく回答が想定する異動の場面にあたらない。 控訴人は,教員任命に先立ち,他の志願者と同じ資格で教員採用選考に合格して,他の合格者と同様に教員に任命されたものであって,その採用条件を他の採用者と区別すべき理由はない。控訴人主張は,特別法である教特法が一般法である地公法に優先することを考慮せず,地公法13条が定める平等取扱の原則を無視するものである。 したがって,控訴人は,大阪市職員を退職したあと,教員採用選考試験の合格を前提に大阪市公立学校教員として新たに採用されたものであり,教特法に従い1年間の条件附採用とされたものである。 (2)条件附採用を前提とする主張正式採用されるか否かの判断は,教員としての資質があるか否かの判断であって,控訴人の大阪市事務職員としての全く職務内容の異なる職歴や,学級崩壊等の社会現象は関係がない。 控訴人が担任した5年2組は学級崩壊の状況にはなく,控訴人が各種指導を聞き入れないまま授業を進めることが多かったため児童が反発して落ち着きなくなったものである。平成16年度の5年生は,4年生時から状況が落ち着き,1学級増えて1学級あたりの児童数が減少したもので,新任教員にとっても指導しやすい学級編成となっていた。 控訴人には不採用事由があり,被控訴人の裁量判断に違法はない。 (3)不採用事由の有無ア不採 学級増えて1学級あたりの児童数が減少したもので,新任教員にとっても指導しやすい学級編成となっていた。 控訴人には不採用事由があり,被控訴人の裁量判断に違法はない。 (3)不採用事由の有無ア不採用事由説明書は,不採用事由の概要を記した書面であり,控訴人の勤務成績が不良であると市教委が判断した事実が全て記載されたわけではない。上記説明書は,法令で交付が義務づけられたものではなく,控訴人に補足説明的に交付したにすぎないし,分限処分は懲戒処分と異なり,当該公務員の状態を対象とした処分であり,説明書に記載されていない理由を追加して判断できる。 イ職務遂行能力と責任感の欠如について(ア)学年会計について(金銭出納帳)控訴人は平成17年3月30日にP1教諭を呼び出したところ,同教諭は,金銭出納帳の書き方を教え,P2教諭にこれを渡すよう助言した。 現金徴収した徴収金は,収入係のP1教諭ではなく出納係のP4教諭に渡すこととされており,遠足残金は控訴人が担任を通じて保護者に返金して領収書を精算報告書(甲34)に添付してP4教諭に渡すこととされていた。控訴人が決算書を作成しなかったため,代わりにP4教諭が作成せざるを得なかった。 物を購入する際に学年会計の控訴人が事業起案書(甲31)を作成して決裁を得て,支払の際に支出係のP3教諭が支払決裁書(甲33)を作成するもので,事業承認段階と支払段階で別の決裁を経ることで二重確認をしていたところ,控訴人が作成を担当していた金銭出納帳(甲12)は,事業起案書の件名と収支を転記して記録を積み重ねたものであり,これにより支出を伴う事業が一覧でわかるもので,会計の補助簿として正確な会計事務のために必要であった。控訴人はこれを2学期分は不正確に記入し,3学期分は全く記入しなかったため,P2教諭は事業起案書に れにより支出を伴う事業が一覧でわかるもので,会計の補助簿として正確な会計事務のために必要であった。控訴人はこれを2学期分は不正確に記入し,3学期分は全く記入しなかったため,P2教諭は事業起案書に遡って照合して予算差引簿に記帳せざるを得なかった。控訴人は,3学期分を事後作成して平成17年4月に郵送したが,3学期はほとんど出勤しなかったから,学校保管の事業起案書を基として記帳したのではなく,決算書を基に逆に作成したと思われる。 (イ)教育姿勢について(週案の提出)週案は当該週の授業結果と翌週の授業計画を合わせて毎週金曜日に提出し,校長や教頭がこれを確認して教員を指導していたものであり,事前提出が求められ,1回程度提出を忘れる教員がいた程度であった。週案は30分もあれば作成できる一方,控訴人の退勤時刻は同僚とほぼ同じであったから,週案を作成する余裕がなかったとは考えられない。 (ウ)教育活動について(休暇取得等)控訴人は,平成16年6月14日の看護当番に際して,当日朝に時間給を取得すると連絡したものであり,重要な任務を避けたものである。 控訴人は,同年9月24日の運動会予行演習に際して,当日朝に午前休を取得すると連絡したが,その後は連絡やフォローのないまま全日出勤しなかった。学校は組織としてバックアップ体制を取ったため尋常でない支障は生じなかったにすぎない。 控訴人は,同年11月12日の在日外国人生徒の本名使用の決意表明 結果を職員朝会で報告するに際して,当日朝に時間給を取得すると連絡したため,決意表明を行えなかった。本名使用は,学校全体で慎重に取り組まなければ,いじめや差別事件が発生した際に他の教員が状況をつかめず適切に対応できないから,控訴人の対応は配慮を欠いていた。 控訴人は,保護者説明会翌日の平成17年1月12日に遅刻したが 慎重に取り組まなければ,いじめや差別事件が発生した際に他の教員が状況をつかめず適切に対応できないから,控訴人の対応は配慮を欠いていた。 控訴人は,保護者説明会翌日の平成17年1月12日に遅刻したが,同説明会は保護者の控訴人に対する意見を受けて開催されたものであって,校長が保護者に学校の方針を説明し,控訴人と共同で作成した文章を控訴人が読み上げて今後の決意表明をしたものであり,学校が控訴人をサポートしてこれを終えたものであるから,その翌日に連絡なく遅刻した控訴人の行動は期待を裏切るものであった。 ウ教員としての基礎的能力の欠如について(ア)指導力が未熟なことについて控訴人の授業における指導態度に改善は見られなかった。 (イ)他人の指導を受け入れなかったこと,他人に相談しなかったことについてP7教務主任は,控訴人の指導教官として,日常的に具体的な指導を行っていた。控訴人は,平成17年1月12日,保護者に決意表明した翌日に遅刻して重要な任務を避けたばかりか,教頭に対して,決意表明は本意でなかった,自分は授業を聞いてくれる子だけに向かって授業していきたいと言った。 (ウ)児童や他の職員に迷惑をかけたことについて控訴人は,連絡が直前になったり連絡のないまま重要な場面で休暇を取り,学習予定や児童への連絡事項等を知らせるなどの配慮をせず,児童や他の教員に迷惑をかけることが多かった。 (エ)保護者から控訴人の指導力について疑義が示されたことについて控訴人作成の期末懇談会記録用紙(乙30)上も,担任の交代,学年 での交換授業や日替りでの担任の交代,3学期からのクラス替え等の意見が保護者から出され,控訴人も「3学期に向けて具体的に何をしてくれるのか,安心できる材料を保護者は欲しがっていると思いました」と感想を述べており,保護者から控訴 交代,3学期からのクラス替え等の意見が保護者から出され,控訴人も「3学期に向けて具体的に何をしてくれるのか,安心できる材料を保護者は欲しがっていると思いました」と感想を述べており,保護者から控訴人の指導力に疑義が示されていた。 エ服務規律違反(年次休暇の取得方法及び出勤簿の取扱)について学校は職員朝会で訓示することで休暇取得方法や出勤簿の作成につき規律の保持を図っていたにすぎない。控訴人は,特に平成17年1月以降は1か月間以上休暇取得の処理を怠っており,指導にもかかわらず状況は改善しなかった。 オ教員としての勤務態度の不良について(ア)控訴人の過呼吸・錯乱状態について控訴人は,平成16年12月20日,平成17年2月7日に,訳の分からないことを喚いて過呼吸・錯乱状態に陥ったものであり,今後教員としての職務を全うできるか不安がある。 (イ)自己中心的要求について控訴人は,平成17年1月31日,母親と共に学校に電話して,教頭に対して音楽と家庭科以外の2教科を他の教員が担当するよう述べ,それが果たせなかったら病気休暇を取るとの自己中心的要求をした。 第3当裁判所の判断 本件処分に至る経緯について控訴人の勤務状況と本件処分に至る事実経緯は,前記前提事実と原判決「事実及び理由」第3の2のとおりであるからこれを引用する。但し,19頁25行目から末行にかけての「合格したことから,平成16年3月31日をもって,大阪市を依願退職した」を「合格し,平成16年3月31日,大阪市から『願により本職を免ずる』との辞令を受けた」に改める。 条件附採用でないことによる本件処分の違法(当審新争点) (1)ア地公法22条1項は,「職員の採用は,すべて条件附のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したと ないことによる本件処分の違法(当審新争点) (1)ア地公法22条1項は,「職員の採用は,すべて条件附のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする」と規定するところ,地公法の施行に伴う市町村職員の任用についての昭和28年5月29日自乙発第377号自治庁次長通知は,地公法17条1項(当時)上の任用は,採用,昇任,降任又は転任のいずれか一の方法により行うものとし,「採用」は「現に職員でない者を職員の職に任命すること」,「転任」は「職員を昇任及び降任以外の方法で他の職員の職に任命すること」と定義し,併任,配置換え又は同一地方公共団体内での各任命権者の間における引き続いた異動は,その内容に応じてそれぞれ昇任,降任又は転任のいずれか一に該当するものであるとし(甲45・108~112頁),同一地方公共団体内において任命権者を異にする異動(例えば教育委員会と県との間の人事交流等)の場合,旧任命権者が退職発令をし,新任命権者が採用発令をしていることが地公法上の採用,昇任,降任又は転任のいずれに該当するかとの照会に対する,昭和28年4月27日自行公発第79号自治庁公務員課長回答は,地公法上はその実態に応じてそれぞれ「昇任,降任又は転任」に該当するものと解するとした(甲45・138頁)。 そして,条件附任用を導入した地公法の規定の施行に伴う新任用制度の実施についての昭和28年2月26日文初地第114号文部省初等中等教育局長通知は,教特法13条(当時)上の「採用」が,「地公法にいう採用のみならず現に教育公務員でない者を教育公務員とすること及び校長,教員,教育長,専門的教育職員のいずれかの職にある教育公務員が他の職の教育公務員となること」をいうとし,条件附任用期間中の職員が転任に のみならず現に教育公務員でない者を教育公務員とすること及び校長,教員,教育長,専門的教育職員のいずれかの職にある教育公務員が他の職の教育公務員となること」をいうとし,条件附任用期間中の職員が転任によって教育公務員に採用された場合は,その条件附期間は引き続くものとして取り扱われるとし(甲45・105~107頁),「採用」の概念を上記自治庁見解よりも広く理解している一方,地公法の施行に伴う市町村 の教育委員会所属職員の任用制度等についての昭和28年6月5日文初地第306号文部省初等中等教育局長通知は,教特法に規定する教育公務員の採用であっても,地公法にいう採用に該当しない場合は,条件附任用の問題は生じず,降任及び転任は条件附任用の対象にならないとし,また,条件附任用期間中の職員が地公法上の転任によって教育公務員に採用された場合は,その条件附期間は引き続くものとして通算されて取り扱われるとし(甲45・112~114頁。なお,「教育公務員」とは,「地方公務員のうち,学校教育法1条に定める学校であって同法2条に定める公立学校の学長,校長,教員及び部局長並びに教育委員会の教育長及び専門的教育職員」をいい(教特法2条1項),「教員」とは,「前項の学校の教授,准教授,助教,教頭,教諭,助教諭,養護教諭,養護助教諭,栄養教諭及び講師」をいい(同条2項),教育公務員の他に教育委員会(教育長)が任命権を有する地方公務員としては,教育委員会事務局の指導主事、事務職員、技術職員その他の所要の職員(地方教育行政の組織及び運営に関する法律19条1,2項),教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員(同法34条),市町村立学校職員給与負担法1,2条に規定する職員(県費負担教職員・同法37条)から教育公務員 会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員(同法34条),市町村立学校職員給与負担法1,2条に規定する職員(県費負担教職員・同法37条)から教育公務員を除いた者等がある。),条件附か否かの点については,上記地公法22条1項所定の「採用」の解釈と同一の結果となることを明示した。その後,改正された教特法12条は,「公立の小学校,中学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校及び幼稚園(小学校等)の教諭,助教諭及び講師(教諭等)に係る地公法22条1項に規定する採用については,同項中『6月』とあるのは『1年』として同項の規定を適用する」(1項),「地方教育行政の組織及び運営に関する法律40条に定める場合のほか,公立の小学校等の校長又は教員で地公法22条1項(前項の規定において読み替えて適用する場合を含む)の規定 により正式任用になつている者が,引き続き同一都道府県内の公立の小学校等の校長又は教員に任用された場合には,その任用については,同条同項の規定は適用しない」(2項)と規定する(なお,地方教育行政の組織及び運営に関する法律40条に定める場合とは,同法37条の場合(都道府県教育委員会〔政令指定都市の場合は市教育委員会・同法58条1項〕が任命権を有し,都道府県が報酬等を負担する市町村立学校職員給与負担法1,2条に規定する職員〔県費負担教職員〕の場合)において,都道府県教育委員会が,一の市町村の県費負担教職員を免職し,引き続いて当該都道府県内の他の市町村の県費負担教職員に採用した場合である。当該県費負担教職員が,当該免職された市町村において地公法22条1項〔教特法12条1項において読み替えて適用する場合を含む〕の規定により正式任用になっていた者であるときは,当該県費負担教職員の当該他の市町村 担教職員が,当該免職された市町村において地公法22条1項〔教特法12条1項において読み替えて適用する場合を含む〕の規定により正式任用になっていた者であるときは,当該県費負担教職員の当該他の市町村における採用については,地公法22条1項を適用しない。)ものの,文部省は,上記改正法の施行に際して,改正の趣旨,要点及び留意事項についての文教教第51号昭和63年6月3日事務次官通達を発したところ,同通達は,教特法改正の趣旨が臨時教育審議会の答申を受けて教員の資質向上を図るために小学校の教諭等に採用した日から1年間の実践的研修(初任者研修)を義務づけたことに伴い,事柄の性質上,条件附採用期間を1年としたことに関する要点と留意事項につき通知するものであって,条件附採用期間が1年とされる教諭等の範囲が初任者研修の対象となる教諭等の範囲と必ずしも一致しないことに注意を促し,具体例における相違を比較対照できる形に表にまとめて一覧的に理解しやすいように記載し,「公務員として採用された当初に小学校等の教諭等となった場合」は,初任者研修の対象となると同時に条件附採用期間1年の対象であることを明示しているのに比し,「他の職種の公務員が,小学校等の教諭等となった場合」は,初任者研修の対象となるものの条件附採用期間1年の対象外で あることを明示していることからして,その意図するところは明快というほかなく,上記昭和28年2月26日文初地第114号文部省初等中等教育局長通知や昭和28年6月5日文初地第306号文部省初等中等教育局長通知における見解と符合し,文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課は,平成20年4月の市教委の上記通達の解釈についての照会(「他の職種の公務員が,小学校等の教諭等となった場合」とはどのような場合か)に対して,「既にその地方公共団体 等中等教育局初等中等教育企画課は,平成20年4月の市教委の上記通達の解釈についての照会(「他の職種の公務員が,小学校等の教諭等となった場合」とはどのような場合か)に対して,「既にその地方公共団体の公務員(小学校の教諭等以外)の身分を取得している者が,同一地方公共団体内で転任・昇任・降任により小学校等の教諭等となる場合を想定しております」と回答し,前記解釈を取ることを確認した(乙44)。 イ以上により,少なくとも,自治庁,文部省等の行政解釈は,同一地方公共団体内において任命権者を異にする異動が地公法22条所定の条件附採用に該当せず,その内容に応じて昇任,降任又は転任のいずれかに該当するものであるところ,この解釈は,少なくとも,同一地方公共団体内の地方公務員につき,少なくとも,職員の身分保障規定の一つである地公法27条2項,28条1ないし3項等の分限に関する規定の適用の可否のような実質的内容を左右する場合,相当とすべきである。 すなわち,地公法6条は,地方公共団体の長,議会の議長,選挙管理委員会,代表監査委員,教育委員会,人事委員会及び公平委員会並びに警視総監,道府県警察本部長,市町村の消防長(特別区が連合して維持する消防の消防長を含む。)その他法令又は条例に基づく任命権者は,法律に特別の定めがある場合を除くほか,この法律並びにこれに基づく条例,地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い,それぞれ職員の任命,休職,免職及び懲戒等を行う権限を有するものとするから,所定の任命権者は,多種,多様,多数で,任命権者それぞれに関する職員の任命につき,多種,多様,多数の態様があり得ることになるところ,それ ぞれの任命権者のそれぞれの職員の任命態様の相違により同一地方公共団体内の職員の処遇に相違が生じることは不合理であり,少な の任命につき,多種,多様,多数の態様があり得ることになるところ,それ ぞれの任命権者のそれぞれの職員の任命態様の相違により同一地方公共団体内の職員の処遇に相違が生じることは不合理であり,少なくとも,職員の身分保障規定の一つである地公法27条等の分限に関する規定の適用の可否が分かれる結果となることは相当でないから,同一地方公共団体内の地方公務員として上記法条による身分保障を得た公務員が同一地方公共団体内の他の部署に異動する場合,たまたま任命権者が異なるとの一事により上記身分保障を失うことは当然には是認されないというべきである。この場合,教育公務員であることの特殊性は,地公法27条等の分限に関する判断の際に当然考慮されるから,当該特殊性が上記結論を採ることの支障にはならない。したがって,市長が職員に任命した職員を引き続いて市教委が市立学校教員に任命するとの同一地方公共団体内での異なる任命権者間の異動については,教員任命は地公法上の採用には該当せずその内容に応じて昇任,降任又は転任のいずれかに当たり,教特法上の採用に該当して同法上の初任者研修の対象となるにすぎず,1年間の条件附採用の対象とはならないものと解される。 (2)ア被控訴人は,上記昭和63年6月3日文部事務次官通達にある,1年間の条件附採用の対象とならない「他の職種の公務員が,小学校等の教諭等となった場合」は,同一任命権者の他の職種の公務員,すなわち教育委員会が任命権を有する公務員(教育委員会事務局の職員等,教育委員会所管の学校の職員等)の職種変更を指し,教員は一般公務員とは適格性が異なるため,教特法は1年間の初任者研修を義務づけて条件附採用期間も1年としたもので,同通達は,教育委員会を任命権者とする他の職種から教諭への職種変更の場合について注意的に指示したものにすぎな 性が異なるため,教特法は1年間の初任者研修を義務づけて条件附採用期間も1年としたもので,同通達は,教育委員会を任命権者とする他の職種から教諭への職種変更の場合について注意的に指示したものにすぎない旨主張する。 しかし,上記認定・説示のとおり,上記通達にある1年間の条件附採用の対象とならない「他の職種の公務員が,小学校等の教諭等となった場 合」の公務員は,同一任命権者のものに限られないことは明らかであり,同一任命権者の他の職種の公務員,すなわち教育委員会が任命権を有する公務員(教育委員会事務局の職員等,教育委員会所管の学校の職員等)に限定される旨の解釈であることを示す根拠はない。教特法改正の主眼は,教員の資質向上のための義務的初任者研修期間1年にあり,条件附採用期間1年は,その結果必要となる事務的訂正というべきであって,当然のことながら,初任者研修の対象となる教諭等がすべて条件附採用期間が1年とされる教諭等に一致するわけでなく,上記通達にあるとおり,その範囲は必ずしも一致せず,両期間が共に1年に法定されているからといって初任者研修と条件附採用が常に共に課されるものではない。被控訴人主張によっても,教育委員会が任命する教員でない地方公務員(教育委員会事務局職員,教育委員会所管の教育機関の職員等)は教員経験がない以上は教員としての資質能力の向上を図るために初任者研修を義務づけられるものであるが,かかる研修目的は教育委員会任命でない一般地方公務員についても全く同様に妥当する。したがって,被控訴人主張の上記通達解釈は取り得ない。 イ被控訴人は,市職員と市立学校教員とは給料表を異にし,その異動について上位・下位を判断する基準もないから転任により異動したものではないし,また,同一地方公共団体内で任命権者を異にする地方公務員の異動が行わ は,市職員と市立学校教員とは給料表を異にし,その異動について上位・下位を判断する基準もないから転任により異動したものではないし,また,同一地方公共団体内で任命権者を異にする地方公務員の異動が行われることは少ないところ,国家公務員については,人事院規則8-12・75条2号が,現任命権者が職員を他の任命権者が任用することについて同意を与えた場合に,現任命権者が職員に人事異動通知書を交付しなければならないと規定しており,地方公務員も条理上当然に現任命権者の同意を得なければ新任命権者は任用発令できないと主張する。 しかし,大阪市職員の任用に関する規則(昭和49年7月1日(人)規則4号)は,「昇任」を職員を同一の給料表(条例,市の機関の定める規定 等の規定により,一般職の職員に適用される給料表)において上位(同一の給料表に属する級のうち,その級の最低の号給の額が当該職員の現に属する級の最低の号給の額を超えるもの)の級に任命し,又は異なる給料表において同等(その職務の複雑及び責任の度において,当該職員の現に属する給料表の職務の級と同等であること)と認められる級の上位の級に任命すること,「降任」を職員を同一の給料表において下位の級に任命し,又は異なる給料表において同等と認められる級の下位の級に任命すること,「転任」を職員を任命権者を同じくする他の職に任命すること及び任命権者を異にして同一又は他の職に任命すること(但し,昇任又は降任となる場合を除く)と定義している(甲48・2条)のであって,市職員と市立小学校教員の職種・給料表が異なるとしても,昇任・降任の判断はできるものであり,上位・下位を判断する基準がないから昇任・転任・降任のいずれにもあたり得ないものとはいえず,上位・下位が判明せずとも少なくとも転任にあたるものというべきである。また,大 任の判断はできるものであり,上位・下位を判断する基準がないから昇任・転任・降任のいずれにもあたり得ないものとはいえず,上位・下位が判明せずとも少なくとも転任にあたるものというべきである。また,大阪市内部での任命権者を異にする職員の異動につき,上記人事院規則が直接適用されるものではない上,前記のとおり,地公法6条は,地方公共団体の長,議会の議長,選挙管理委員会,代表監査委員,教育委員会,人事委員会及び公平委員会並びに警視総監,道府県警察本部長,市町村の消防長(特別区が連合して維持する消防の消防長を含む。)その他法令又は条例に基づく任命権者は,法律に特別の定めがある場合を除くほか,この法律並びにこれに基づく条例,地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い,それぞれ職員の任命,休職,免職及び懲戒等を行う権限を有するものとするところ,人事院規則に準じた手続が履践されない限り異動が当然にできないとまで認めるに足りる証拠はないし,前記説示に照らすと控訴人の異動につき旧任命権者である大阪市は同意したものと評価するのが相当である。 したがって,上記主張は採用し得ない。 ウ被控訴人は,控訴人は,依願退職により大阪市を退職した後,大阪市公立学校教員に新たに任命されたものであり,市職員の地位を有したまま異動したものではないと主張する。 控訴人は,平成16年3月31日に市から「願により本職を免ずる」との辞令を受け,翌4月1日に市教委から「大阪市公立学校教員に任命する」との辞令を受け,後に市から退職金を受給したものではあるが,他方,同一地方公共団体内において任命権者を異にする異動の場合に,旧任命権者が退職発令をし,新任命権者が採用発令をする方法によることがあり(前記自治庁課長回答参照),前記のとおり,地公法6条によれば,所定の任命権 共団体内において任命権者を異にする異動の場合に,旧任命権者が退職発令をし,新任命権者が採用発令をする方法によることがあり(前記自治庁課長回答参照),前記のとおり,地公法6条によれば,所定の任命権者は,多種,多様,多数で,任命権者それぞれに関する職員の任命につき,多種,多様,多数の態様があり得るといえるから,同一地方公共団体内において任命権者を異にする異動の場合に,旧任命権者が退職発令をし,新任命権者が採用発令をする方法によるほか,様々の辞令の交付形式が想定されるのであって,それぞれの場合の辞令の交付形式の相違により同一地方公共団体内のそれぞれの職員の処遇に相違が生じることは不合理であり,少なくとも,職員の身分保障規定の一つである地公法27条等の分限に関する規定の適用の可否のような実質的内容の左右されるような法的効果が生じるとされることは相当でないから,形式的発令形式からその発令の実質的法的性格を決することはできない。また,退職金の受給の点については,大阪市職員の退職手当に関する条例(昭和24年2月4日条例第3号)は,職員が事務の移譲その他の事由によって引き続いて公務員等となり,国若しくは大阪市以外の地方公共団体その他これらに準ずるものに就職した場合において,その者の職員としての勤続期間が,公務員等に対する退職手当に関する規定により,公務員等としての勤続期間に通算されることに定められているときは,本条例の規定による退職手当は支給しないと定めている(甲49,乙42・10条4項)ものであり,控 訴人が市職員から府が給与負担する市立学校教員(県費負担教職員)に異動するに伴い,上記通算の定めがないことから退職手当の支給を受けたと解し得るから,同支給によって,上記発令の法的性格を直ちに決することはできない。したがって,上記主張は採用し得 県費負担教職員)に異動するに伴い,上記通算の定めがないことから退職手当の支給を受けたと解し得るから,同支給によって,上記発令の法的性格を直ちに決することはできない。したがって,上記主張は採用し得ない。 エ被控訴人は,控訴人は,他の志願者と同じ資格で教員採用選考に合格して教員に任命されたものであって,その採用条件を他の採用者と区別すべき理由はなく,控訴人主張は,特別法である教特法が一般法である地公法に優先することを考慮せず,地公法13条が定める平等取扱の原則を無視するものであると主張するが,控訴人は,市職員採用にあたり既に地公法上の条件附採用を経ているものであって,相応の理由のあることといえるから,かかる主張は失当である。 (3)したがって,控訴人は大阪市公立学校教員にそもそも条件附採用されたものではないから,地公法22条1項及び教特法12条1項により控訴人を条件附採用期間の満了日である平成17年3月31日をもって正式採用しないことを決定し控訴人を免職する旨の本件処分は,そもそもその前提を欠き,又は,前提となる法解釈を誤ったものであり,いずれにしろ違法な処分として取消を免れない。 少なくとも,自治庁,文部省等の行政解釈によれば,控訴人は,大阪市公立学校教員に条件附採用されたこととならず,上記地公法27条以下の規定が適用されることとなるところ,本件処分は,本来処分行政庁が則るべき上記行政解釈に従ってされたものでなく,行政庁自身が行政指針として定める職員の身分保障に関する基本的行政方針に反したものであるから,裁量の基礎となる事情ないし規範を誤ったものとして,違法であり,取消を免れない。 条件附採用である場合の本件処分の違法(仮定的判断)少なくとも,自治庁,文部省等の行政解釈によれば,控訴人は,大阪市公立学校教員に条件附採用されたこ ったものとして,違法であり,取消を免れない。 条件附採用である場合の本件処分の違法(仮定的判断)少なくとも,自治庁,文部省等の行政解釈によれば,控訴人は,大阪市公立学校教員に条件附採用されたこととならず,上記地公法27条以下の規定が適 用されることとなるところ,仮に,控訴人の教員採用が条件附採用であったと解されるとしても,正式採用されるか否かの行政上の判断をする際には,現に控訴人が大阪市公務員として上記身分保障を得ていたことは重要な事実項目であり,当該事実を考慮要素に含めた裁量に基づき,その成否が判断されるべきである。 (1)条件附採用期間中の職員の身分保障については,原判決「事実及び理由」第3の1のとおりであるからこれを引用する。 控訴人は,免職事由の合理性の有無を判断するためには処分対象者に処分事由が明確に示されていなければならないから,不採用事由説明書(甲7)に記載された事由のみに基づいて合理性を判断すべきであり,記載のない処分事由は追加され得ないと主張するが,上記引用に係る条件附採用期間中の職員の身分上の特殊性,及びかかる職員には正式採用職員の場合に適用される教特法5条2項,4条2項の審査事由説明書の交付の規定が適用されないことに加えて,免職事由を不採用事由説明書に記載された事由のみに限る旨の法令上の根拠が存すると認められないことからすれば,免職処分の適法性を争う訴訟において同説明書に記載のない処分事由が追加され得ないものとまではいえない。但し,本件処分は,教職員事故報告書に基づき,大阪市教職員懲戒等審査事務嘱託に書面持ち回りによる意見聴取をした上,市教委事務局で決裁され,市教委会議で議決されるとの慎重な手続を経てなされ,その処分事由が記載された上記説明書が処分対象者である控訴人に交付されたものであるから(甲7,1 りによる意見聴取をした上,市教委事務局で決裁され,市教委会議で議決されるとの慎重な手続を経てなされ,その処分事由が記載された上記説明書が処分対象者である控訴人に交付されたものであるから(甲7,14,乙8,20~23,28),本件処分において主たる処分事由として考慮・審議された事由は同説明書に記載された事由であったと認めるのが相当であり,これに記載のない事実は処分事由たり得ないものではないものの,上記記載事由と比べれば従たるものとして位置づけられるものというべきである。 (2)本件処分の理由について ア職務遂行能力と責任感の欠如について(ア)校務分掌についてa学校日誌の記載について原判決「事実及び理由」第3の3(1)ア(ア)のとおりであるからこれを引用する。 b学年会計の処理について原判決「事実及び理由」第3の3(1)ア(イ)aの当事者間に争いのない事実,前記1の引用に係る認定事実,証拠(甲6,12,13,30~33,55,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,β小学校の校務分掌表(甲6)上,控訴人は会計部・5学年会計担当であったこと,学年会計の職務は,少なくとも,徴収金を引き落とせない担当学年児童について,現金徴収のための通知書を収入係から受領して当該児童に手交し,徴収後に領収証を手交し,現金徴収出納簿に記帳の上,現金と共に収入係に渡す仕事,学年始めに学年打合せで当該年度に必要な教材等を決定して児童費会計5年生収入及び支出の明細(甲30)を作成し,これを基にその都度事業起案書(甲31)を作成し,遠足等のように資金前渡が必要な場合は支払決裁書(甲33)を作成していずれも支出係に渡す仕事,期末に決算書を作成する仕事であったこと,金銭出納帳(甲12)の記帳それ自体は学年会計の職務内容として校務分掌表上明示的には記載 必要な場合は支払決裁書(甲33)を作成していずれも支出係に渡す仕事,期末に決算書を作成する仕事であったこと,金銭出納帳(甲12)の記帳それ自体は学年会計の職務内容として校務分掌表上明示的には記載されていないこと,控訴人が,平成17年1月の5年生の社会見学の際の交通費の支出につき,往復分出金すべきところを片道分しか出金しなかったことが1度あったこと,控訴人は,P8教諭から,金銭出納帳は小遣い帳のようなもので,学期間の休みに会計部長P2教諭が点検するのでそれまでに作成しておくようにとの説明を受けて,これを記帳作成していたが,出納の都度記帳しなかったこと,控訴人は,金銭出納帳の3学期分の収 支記帳については異動の関係があるので3月末までに仕上げる必要があると認識しつつ,原本を持ち帰って3学期分の収支を記載して,その写しを平成17年4月7日に学校に送付したこと,控訴人は3学期の決算書を作成できず,P4教諭の申し出により同教諭がこれを代わって作成したことが認められる。 上記のとおり,控訴人は社会見学の際に出金処理を1度誤ったことがあるところ,被控訴人は,この他にも控訴人の会計処理に誤りが多かったもので,控訴人が自ら作成した自己申告票(乙17)の中で,平成16年11月1日現在,会計事務についてまちがいが少なくなったと記載していることを指摘し,他にも誤りがあったことを自認するものである旨主張するが,控訴人は,起案書を書き損じて訂正印で訂正したり書き直したりすることが少なくなったことを記したにすぎないと供述すること(原審調書21~22頁),P9教頭も,上記出金処理の誤りの他に会計処理の誤りはなかったと証言すること(原審調書27頁),被控訴人は具体的な会計処理の誤りの内容を主張立証していないことに照らして,かかる主張は採用できない。 控訴人 も,上記出金処理の誤りの他に会計処理の誤りはなかったと証言すること(原審調書27頁),被控訴人は具体的な会計処理の誤りの内容を主張立証していないことに照らして,かかる主張は採用できない。 控訴人は,金銭出納帳は本来の公簿ではなく学年会計担当者の手控えにすぎないところ,控訴人は精神的に困難な状況下でこれを平成17年3月末までに完成させ,P1教諭から自分で届けるべきと言われて同年4月7日に学校に郵送したが,これにより学校の決算処理等に支障を来したことはなく,学年会計担当者としての落ち度はなかったと主張する。上記のとおり,金銭出納帳の記帳それ自体は学年会計の職務内容として校務分掌表上明示的には記載されていないものであるが,同表上(甲6),会計部支出・収入係(担当者学年会計係)の職務内容として「その他会計関係事項」につき「会計関係書類綴」の作成等が記載されており,控訴人は学年会計として金銭出納帳の作成を 職務として命じられたものであり,実際にこれを参照した会計処理がなされていたものであるから,3学期分の作成・提出が遅れたことは不適切であったというべきである。但し,証拠(甲6,12,30~33,42,55)及び弁論の全趣旨によれば,金銭出納帳は補助資料にとどまり,その記載内容自体は,職務分掌表上に作成書類として明記されている予算書,支払決裁書,予算差引簿等に記帳されており,これに基づいた会計処理ができたものと認められるから,上記処理が実際の会計処理に与えた影響は限定的なものにとどまるといえる。 前記のとおり,控訴人は3学期の決算書を作成できず,P4教諭の申し出により同教諭がこれを代わって作成したものであるところ,代替作成がなされたことにより実際に会計処理に与えた影響は限定的なものにとどまるものの,控訴人が担当職務を果たせなかったもので P4教諭の申し出により同教諭がこれを代わって作成したものであるところ,代替作成がなされたことにより実際に会計処理に与えた影響は限定的なものにとどまるものの,控訴人が担当職務を果たせなかったものであり不適切であったものである。 したがって,控訴人は,社会見学の際の出金処理を1度誤り,3学期の金銭出納帳の提出を遅延し,同学期の決算書の作成ができなかった点で不適切な処理があったものであり,かかる点は不採用事由説明書(甲7)上,「児童徴収金の記帳等を担当させたが正確に処理できない」との記載に含まれるというべきであるところ,同記載に引き続く「2学期途中から校務分掌から外さざるを得なくなった」との事実を認めるに足りる証拠はなく(甲21・20項参照),3学期の金銭出納帳の提出遅延,決算書の不作成の不適切さは,前記のとおり限定的な影響にとどまるものである。 (イ)教育姿勢についてa証拠(甲17,21,証人P10,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,β小学校では,教員全員が,毎週金曜日に,週学習指導案(週案)を提出することになっていたこと,週案は「学習指導計画 表」と「指導の記録」からなり,前者には翌週の授業計画を時間割形式で記載するとともに,各教科及び学校行事の時数の週計及び累計を記載し,後者にはその週の反省を記載する形式となっており,校長及び教頭がその内容を確認し,コメントを付けて返還する扱いであったこと,控訴人は,「学習指導計画表」に翌週の計画ではなく,その週の結果を記載して提出していたこと,しかも実際に行った内容ではなく,学習指導要領に定められた時間数に合うように記載していたにすぎないことが認められるが,他方,控訴人はP5学年主任に教えられたとおりに週案を記載していたにすぎず,記載方法・内容について校長や教頭から注意されたこ に定められた時間数に合うように記載していたにすぎないことが認められるが,他方,控訴人はP5学年主任に教えられたとおりに週案を記載していたにすぎず,記載方法・内容について校長や教頭から注意されたこともなかったことが認められ,週案の記載内容・方法をもって,控訴人の教育姿勢を問題とすることは困難である。 b控訴人が,平成16年11月22日以降,週案を提出していないことは当事者間に争いがないところ,控訴人は,その理由を,学級運営が困難となり週案どころではなく,精神的に追い詰められていたため従前どおり短時間で週案を作成できなかったもので,怠慢によるものではないし,学年打合せや職員室での話し合いの方が控訴人に対する指導として効果的であったからであり,5年2組が学級崩壊と表現される状況にあることが校長や教頭に伝わっておらず,学級運営について組織的な対策を検討してもらうことができなかったと主張し,これに沿う証拠(甲19の6,甲20,控訴人本人)がある。 上記の週案不提出に,学級運営が困難になる中で次第に精神的負担を増していた控訴人の精神状態が影響していたことは十分に窺われるものではあるが,上記のような状況にあったのであれば尚更,控訴人としては,5年2組の状況を校長や教頭に理解してもらえるように努めるべきであり,校長が必ず目を通してコメントを付ける週案の「指 導の記録」欄を活用することは,その有効な手段のはずであるから,上記主張は,週案を提出しないことそれ自体を直ちに正当化するものではなく,平成16年11月22日以降の週案の不提出は不適切である。 控訴人は,平成17年2月終わりころから週案に代えて日案を提出していた旨主張するが,控訴人が日案を提出していたことを裏付ける証拠はなく,このころから控訴人は年休に続けて病気休暇に入っていることに照 控訴人は,平成17年2月終わりころから週案に代えて日案を提出していた旨主張するが,控訴人が日案を提出していたことを裏付ける証拠はなく,このころから控訴人は年休に続けて病気休暇に入っていることに照らしても採用できない。控訴人は,週案の提出は強制されるものではなかったとも主張するが,前記aの説示に照らしても,提出は職務であったと解すべきであり採用できない。 (ウ)教育活動についてa平成16年6月14日の年休1時間取得について原判決「事実及び理由」第3の3(1)ウ(ア)a冒頭の当事者間に争いのない事実,証拠(甲11,21)及び弁論の全趣旨によれば,児童指揮の当番の主な仕事は,月曜日の朝,教職員が職員室で打合せをしている間,運動場に出て児童を整列させ,その後に行われる全体朝会の進行に合わせて号令を掛け,児童への連絡や指導を行うことであること,上記同日は控訴人が初めて全体朝会で児童指揮をする当番日であったこと,控訴人がこの日直前に時間年休をとって休み,P6教諭が代わって担当したこと,控訴人がかかる休暇取得につき直後に注意を受けたことはなかったこと,控訴人はP6教諭の当番日であった同年9月13日に,控訴人にとって初めての児童指揮を代わって行ったことが認められる。 この点,控訴人は,児童指揮は,当番の者の体調が悪ければ,他の教職員がその場で交代してやれば済むような簡単な仕事であるし,当日交代してもらったP6教諭の当番日には控訴人が代わって初めての 児童指揮をこなしていると主張する。しかし,控訴人が児童指揮当番の当日に時間休をとった具体的理由は証拠上明らかでなく,控訴人が「この間の全校朝会のあの先生のあの指導はあり得へんよね」等の教諭同士のやりとりを聞いてそのような非難を聞くのがつらかったと供述していること(原審調書46頁)等にも照ら 証拠上明らかでなく,控訴人が「この間の全校朝会のあの先生のあの指導はあり得へんよね」等の教諭同士のやりとりを聞いてそのような非難を聞くのがつらかったと供述していること(原審調書46頁)等にも照らすと,控訴人が初めて担当する児童指揮を負担に感じて緊張していたであろうことが窺われるし,既に運動会の練習も始まり,大勢の児童を前にしての指示や指導にも慣れてきた9月以降に同当番を行ったことと,当初予定されていた6月の当番とを単純に比較することはできないから,控訴人が初めて担当する仕事をやり遂げられなかったことは,その職務遂行能力と責任感に対する否定的評価となり得るものである。 b平成16年9月24日の年休1日取得について前同(イ)冒頭の当事者間に争いのない事実,証拠(乙19,32,35,証人P9,同P10,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,上記同日は運動会の予行演習日で,控訴人がブラスバンド指揮をする予定であったこと,控訴人は当日朝,腹痛を訴え,前半休の連絡をして休みをとり,病院で急性胃腸炎と診断されて入院することになり午後出勤しなかったこと,P10校長はそのことを午後4時ころ控訴人の自宅に電話した際に母親から聞いて初めて知ったことが認められる。 この点,控訴人は,年度当初から他の担当者とともに交代でブラスバンド指揮に当たり,夏休み中の練習にも参加し,9月以降は昼休みにも指導を行い,運動会当日も病院から出勤して指揮をしており,体調不良のために1度休んだだけであるし,病院から入院を指示されてその旨連絡したものであり,事前連絡なく出勤せず事後年次休暇の申出をした事実はなく,これにより学校に尋常でない支障が生じたこともないと主張し,甲55がこれに沿う。運動会の予行演習でのブラス バンド指揮にあたることができなかったのは,控訴人が病院か 休暇の申出をした事実はなく,これにより学校に尋常でない支障が生じたこともないと主張し,甲55がこれに沿う。運動会の予行演習でのブラス バンド指揮にあたることができなかったのは,控訴人が病院から指示を受けて入院したことによるのであるから,これをもって控訴人の職務遂行能力に疑問を抱かせるものというのは困難であるが,他方,全日休暇取得の連絡が遅れたことは上記認定のとおりであり(甲55は上記証拠に照らして採用できない。),かかる態様による休暇取得自体は,その職務遂行能力と責任感に対する否定的評価となり得るものである。 c平成16年11月12日の1時間年休取得について証拠(甲55,乙1,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,5年2組に在籍する在日外国人児童が上記同日以前からテストに自己の本名を記入するなどして本名を使用していたこと,上記当日は上記児童が同級生の前で本名使用についての決意表明を行うことが予定されていたこと,これに際して控訴人はP10校長から当日朝の職員朝会で決意表明をすることを報告するよう指示されていたこと,控訴人は当日朝に時間年休をとって朝会を休んだこと,そのため決意表明が延期されたことが認められる。 この点,控訴人は,本名使用問題は以前から教頭に相談して保護者とも連絡を取って対応していたもので,職員朝会では決意表明の報告することが予定されていたが,これは朝会における報告事項の一つにすぎず,当該問題解決にとって決定的に重要とまでいえるものではなく,これにより他の教員に迷惑をかけた事実はないなどと主張する。 しかし,控訴人が決意表明の当日に時間休をとった具体的理由は証拠上明らかでないし(甲55をもっても足りない。),前記bの説示にも照らせば,控訴人が職員朝会での報告と決意表明に際して緊張していたことが窺われること,在 意表明の当日に時間休をとった具体的理由は証拠上明らかでないし(甲55をもっても足りない。),前記bの説示にも照らせば,控訴人が職員朝会での報告と決意表明に際して緊張していたことが窺われること,在日外国人児童の本名使用の問題は,いじめや差別事件の発生可能性とそれへの対応等,学校としても慎重な配 慮が求められる問題であるから(P7証人原審調書12頁参照),担任である控訴人には,他の教職員の理解と協力を得られるよう,決意表明を行う旨を報告して質問に答えること等が求められていたにもかかわらず,上記休暇取得によりこれが果たせなくなり決意表明自体が延期されたこと,本名使用の決意表明はこれを行う児童とその保護者にとって相当の精神的負担を負わせることは容易に窺われるから,かかる延期により当該児童とその保護者の決意に水を差す結果となったことからすれば,上記態様の休暇取得はその職務遂行能力と責任感に対する否定的評価となり得るものである。但し,上記休暇取得に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていないものであり,これによる否定的評価を強調すべきものとはいえない。 d平成17年1月12日の遅刻について前記1の引用に係る認定事実のとおり,2学期来の5年2組の状態を憂慮した保護者による授業への入り込み,2学期末の懇談会での保護者からの学校への対応を求める要望がなされたことを経て,上記前日,3学期の始業式の後で保護者説明会が開かれ,P10校長が学校としての方針を説明し,控訴人も誠心誠意がんばる旨の決意表明を行ったこと,翌日,控訴人は午前9時を過ぎても出勤しなかったため,P9教頭が最寄り駅まで控訴人を迎えに行ったところ,控訴人は保護者説明会で言ったことは本意ではなかった,もうがんばれないなどと述べたこと,控訴人はP9教頭に励まされてその後の当日の授 なかったため,P9教頭が最寄り駅まで控訴人を迎えに行ったところ,控訴人は保護者説明会で言ったことは本意ではなかった,もうがんばれないなどと述べたこと,控訴人はP9教頭に励まされてその後の当日の授業を行ったことが認められる。 この点,控訴人は,保護者説明会で厳しい意見を言われその面前で決意表明を強いられるという過酷な経験したところ,その意見は主として学校の体制に対するものであったにもかかわらず,校長らは控訴人に責任があるとして決意表明させたもので,控訴人の精神状態は極 めて苦しい状況に置かれて出勤困難になったものの,最終的には出勤して授業を行ったのであり,その努力を評価すべきである旨主張する。 しかし,上記のような経緯を経て保護者に決意表明をした翌日で,実質的な3学期の始まりにあたる日から,連絡なく遅刻したなどの控訴人の言動は,児童や保護者,学校の期待を裏切るものであったといわざるを得ず,最終的には出勤して授業を行ったことをもっても,その職務遂行能力と責任感に対する否定的評価となり得るものである。但し,上記遅刻に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていないものであり,これによる否定的評価を強調すべきものとはいえない。 イ教員としての基礎的能力の欠如について(ア)子どもに対する愛情が感じられなかったことについて原判決「事実及び理由」第3の3(2)アのとおりであるからこれを引用する。 (イ)子どもの心をつかめなかったことについて原判決「事実及び理由」第3の3(2)イのとおりであるからこれを引用する。 (ウ)指導力が未熟なことについて証拠(甲20,乙33,証人P7,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は授業中の声が小さく黒板の字が雑であったこと,P7教務主任やP5学年主任は1学期当初から控訴人に対して,大きく元気 いて証拠(甲20,乙33,証人P7,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は授業中の声が小さく黒板の字が雑であったこと,P7教務主任やP5学年主任は1学期当初から控訴人に対して,大きく元気な声を出すよう,児童に聞く姿勢ができるまで少し待ってから話し始めるよう,黒板の字を丁寧に書くよう繰り返し指導していたこと,2学期になっても控訴人の児童に対する指導態度に改善は見られなかったこと,P7教務主任は5年2組への入り込み指導を行うようになった後,控訴人に対してメリハリのある授業になるよう,事前の教材研究を十分行い,児童をひきつける工夫をしたり児童の様子を見て時には立ち止まって注 意をすることが必要であると繰り返し指導したこと,控訴人は授業の導入でフラッシュカードを用いたが余り奏功せず,主に淡々と教科書をこなす形で授業していたことが認められる。 この点,控訴人は,授業の声が小さく板書が雑だったとの事実は相対的な評価であり,新任教員として十分あり得ることであるし,フラッシュカードを用いた授業を取り入れるなど,控訴人なりに児童を引きつける努力を行っており,指導を積極的に受け入れようとしなかったことを根拠づける事実はないと主張する。しかし,声の抑揚や大小に気を付け,教師の発言内容がはっきりと児童に伝わるように話すことや,わかりやすく丁寧に板書することは,学級経営や学習指導の基本であるところ,教務主任等の指導によってもこれが十分に改善されなかったものであるし,フラッシュカードの利用については,控訴人は,児童が揃っていなくてもカードを利用しての授業を開始することで叱って席に着かせるのではなく,遅れて来る児童が自ら急いで席に着こうとすることを期待していた旨供述しており(原審調書39~41頁),自分なりの意図と目的をもってカードを利用してい 業を開始することで叱って席に着かせるのではなく,遅れて来る児童が自ら急いで席に着こうとすることを期待していた旨供述しており(原審調書39~41頁),自分なりの意図と目的をもってカードを利用していたことが窺えるものの,独りよがりな指導に陥っていた面があることは否めず,控訴人の指導力に未熟な点があり,教務主任等の指導によっても十分な改善や向上が見られなかったものと評価される。 (エ)他人の指導を受け入れなかったことや,何か問題が起きても他人に相談しなかったことについて証拠(甲26,43,55,乙31~33,証人P10,同P7,同P9,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,新任教員の指導について,平成16年度のβ小学校では,校長と教頭の監督の下,教務主任を指導教官とし,学年主任が中心となって,他の主任とともに新任教員の指導にあたるという体制が組まれていたこと,P10校長は,P9教頭 及びP7教務主任と毎朝20分程度のミーティングを持ち,諸々の報告,連絡,相談を受ける中で,新任教員である控訴人やP11教諭に対する指導状況や問題点についても逐一報告を受け,気付いた点を指摘するなどしてアドバイスしていたこと,始業式の後,P7教務主任が,新任教員である控訴人とP11教諭の2人に対し,児童と初めて会った感想を尋ねたところ,控訴人は泣き出し,理由を尋ねても答えようとしなかったこと,平成16年4月下旬,P7教務主任が,放課後,児童への指導について,声の大きさや板書の字など気が付いたところを控訴人に指導していた際,控訴人は,突然「これ以上私に何をしろというのですか」と言って泣き出したこと,P7教務主任は,控訴人の余裕のなさに驚き,以後は言葉を選びながら基本的なことをできるだけ具体的に話すように心掛けていたこと,同年6月ころ,P10校長は,P7 いうのですか」と言って泣き出したこと,P7教務主任は,控訴人の余裕のなさに驚き,以後は言葉を選びながら基本的なことをできるだけ具体的に話すように心掛けていたこと,同年6月ころ,P10校長は,P7教務主任から,控訴人について,学級運営がちょっとしんどい様子だという報告を受け,親身になってアドバイスするよう依頼するとともに,授業の参考に他の先生方の授業を見せてもらう機会をつくるよう指示したこと,同月中旬,P10校長は,残って仕事をしていた新任教諭の控訴人とP11教諭,P7教務主任を夕食に誘い,話を聞き,励ます中で,配慮を要する児童の気持ちに寄り添ってしっかり丁寧な指導を心掛けるようにというような話をしたところ,控訴人は話の途中で「これ以上,私にどう頑張れというのですか」といって泣き出したこと,2学期に入り,P10校長は,5年2組の児童がしょっちゅう衝突や喧嘩を起こし,控訴人1人では学級を維持できないという報告を受け,学級の立て直しと控訴人の負担軽減を考えて,P7教務主任を5年2組に入り込ませることとしたこと,P7教務主任は,控訴人が独り立ちしていけるよう担任としての立場を損なわないよう配慮しつつ,教室では怒り役となって控訴人を補助し,休み時間や放課後に控訴人の児童に対する指導方法について気付いた点 を指摘しながら入り込みを続けたこと,控訴人は,同月11月25日に神経科クリニックを受診し,抑うつ状態に対する治療(投薬は平成17年1月17日以降)を開始したこと,平成16年12月上旬,P7教務主任が,帰り際,控訴人に対して「帰ってゆっくり休んで明日もがんばろう」と声をかけたところ,控訴人からは「このままではいけませんか」と返答され,少しでも良くなるよう一緒にがんばっていこうと時間をかけて励ましたが,当時の5年2組の児童に落ち着きがな で明日もがんばろう」と声をかけたところ,控訴人からは「このままではいけませんか」と返答され,少しでも良くなるよう一緒にがんばっていこうと時間をかけて励ましたが,当時の5年2組の児童に落ち着きがなく,何人かの児童は授業に集中できない状況にあり,これを放置できないことは誰の目からも明らかであるにもかかわらず,かかる発言をした控訴人の現状認識を疑い,ショックを受けたこと,2学期の終わり頃,P10校長は,保護者から教室への入り込みの申出を受け,実際の児童の様子を見てもらった上で学期末懇談会に臨んでもらいたいという考えと,保護者が入ることで児童も静かになり授業が成立するのではないかという期待から,その申出を許可したこと,保護者による入り込みが始まった日から毎日,授業終了後に,控訴人から,その日の児童の様子や,授業をしていて困ったこと,保護者の様子などを聞き,それに対する感想や具体的な対策について意見を出し合い,翌日につなげることを目的として,P10校長,P9教頭,P7教務主任そして控訴人を含む5年の担任による反省会が開かれたこと,3学期初めの保護者説明会に向けて,P10校長は,控訴人の反省内容や今後の決意を保護者の立場に立って見直し,控訴人を指導することを目的として,控訴人を含む5年生の担任との話し合いを3度ほど持ったこと,P10校長は,3学期当初に保護者説明会を開き,児童28名中19名の保護者の参加を得て,学校としての方針説明と保護者への協力要請を行うとともに,控訴人も誠心誠意がんばる旨の決意表明を行ったこと,保護者説明会の翌日,控訴人が定時になっても出勤してこなかったため,P9教頭が最寄り駅まで迎えに行 き,控訴人に出勤しづらかった理由を尋ねたところ,控訴人は,保護者集会で決意表明として配布した文書は「ああ書け,こう書けと添削さ になっても出勤してこなかったため,P9教頭が最寄り駅まで迎えに行 き,控訴人に出勤しづらかった理由を尋ねたところ,控訴人は,保護者集会で決意表明として配布した文書は「ああ書け,こう書けと添削されて書き直したもので,本意ではなかった」「聞いてくれる子にだけ向かって授業をしていきたい」と述べたこと,3学期も,P7教務主任による入り込みは続けられ,P7教務主任が怪我をして入り込みが出来なくなった後は,他の教員全員がローテーションを組んで5年2組へ入り込む体制が取られたことが認められる。 上記認定事実によれば,学校は,学級運営に苦労していた控訴人に対し,当初は教務主任や学年主任がその都度,気付いた点を指摘して助言を与えるという方法で,その後は教務主任が継続的に教室に入り込むという方法で,保護者への対応は校長,教頭,教務主任のほか,5年生の担任全員で検討するという方法で,最後には全教員が交代で教室に入り込むという方法で,支援,協力,指導を行ってきたのに対し,控訴人は,助言や指導を受けては泣き出し,精一杯やっているとの発言を繰り返すなど,着任当初から余裕がなく,次第に態度を硬化させて,他の教員からの指導や助言を素直に聞く姿勢がとれずこれを生かし切れない結果となっている。この点,控訴人は,授業のやり方や学級運営について,日常的に周囲の教員に相談し,アドバイスを受けていたから,控訴人に他人のアドバイスを聞く姿勢がなかったとか,何かを相談することがなかったということはできない旨主張するが,上記のとおり採用できない。 しかし,前記1の引用に係る認定事実のとおり,控訴人が担任した5年2組の児童は,低学年のころから授業中の立ち歩きや私語が多く給食時間も騒いでしまうなど問題の多い学年であり,4年次の指導を経て落ち着いて勉強ができるまでには持ち直っていた おり,控訴人が担任した5年2組の児童は,低学年のころから授業中の立ち歩きや私語が多く給食時間も騒いでしまうなど問題の多い学年であり,4年次の指導を経て落ち着いて勉強ができるまでには持ち直っていたものの,1学期から授業中であるにもかかわらず,騒いだり,立ち歩いたりする児童がおり,児童同士の喧嘩も絶えず,2学期になると児童の自分勝手な行動が増え, 授業中の私語はひどくなり,控訴人が怒鳴り散らしても教室が静まることがない状態となったとのいわば問題が内在していた学級であったと評価されるものであり,9月には控訴人が急性胃腸炎で入院し,P7教務主任の授業への入り込みが開始され,10月後半になると児童は同教務主任の注意も聞かなくなり,2学期の終わりには保護者の入り込みがなされるなど,控訴人や教務主任による指導にもかかわらず児童の態度は改善されず,「学級崩壊状況」(乙8・別紙資料①(1)参照)に至ったものであって,当初から教師として余裕が感じられなかったものではあっても,かかる状況を控訴人が主として招いたということはできないし,かかる状況下で控訴人が次第に精神的負担を強め情緒不安定になっていた面があることは否めず,指導・助言への対応が硬直化し,これを生かし切れなかったことは不適切というべきであるが,これをもって直ちに教員としての基礎的能力が欠如していると評価するのは些か酷であるというべきである。 (オ)控訴人が教諭としてなすべき配慮をしなかったので,児童や他の教職員に迷惑をかけたことについて前記ア(ウ)の認定事実,証拠(乙32,証人P9)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,重要な場面で突然休んでしまい,その連絡も直前であったり,事前の連絡がなかったりする上,連絡があっても学習の予定や児童への連絡事項等を知らせるといった配慮がなく,児童や の全趣旨によれば,控訴人は,重要な場面で突然休んでしまい,その連絡も直前であったり,事前の連絡がなかったりする上,連絡があっても学習の予定や児童への連絡事項等を知らせるといった配慮がなく,児童や他の教職員に迷惑がかかることがあったものである。 この点,控訴人は,児童指揮やブラスバンドの指揮は,他の教員が代わりに行うことが可能であったこと,本名使用に関する決意表明については,それ以前にさまざまな問題解決は行われたこと,保護者説明会の翌朝も最終的には出勤して授業を行っているから教育活動への支障はなかったこと,控訴人の休暇取得や連絡方法により結果的に児童や他の教 員に迷惑をかけたことをもってしても,直ちに控訴人の教員としての基礎的能力に問題があるとまでいえないことを主張する。しかし,前記ア(ウ)と同様,上記の事実は教員としての基礎的能力に対する否定的評価となり得るものである。なお,控訴人は,連絡遅延等に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていないと主張するが,その記載の趣旨からすると(甲7・1項(3)),これを含むものというべきである。 (カ)保護者からも控訴人の指導力について疑義が示されていたことについて前記認定事実,証拠(乙8,30)及び弁論の全趣旨によれば,5年2組の状況を憂慮した保護者は,1週間教室への入り込みを行い,その後の懇談会で,控訴人に対し「担任の交代,学年での交換授業や日替りでの担任の交代,3学期からのクラス替え,3学期もこれまでの学級状況では困る」という意見を述べたこと,これを受けてP10校長は,3学期当初に保護者説明会を開き,学校としての方針説明と保護者への協力要請を行うとともに,控訴人も誠心誠意がんばる旨の決意表明を行ったこと,控訴人は平成17年2月末から3学期末まで年休に引き続き病気休暇を取得した 者説明会を開き,学校としての方針説明と保護者への協力要請を行うとともに,控訴人も誠心誠意がんばる旨の決意表明を行ったこと,控訴人は平成17年2月末から3学期末まで年休に引き続き病気休暇を取得したこと,これに対し,保護者(PTA会長)からは「何とか頑張ってほしいと,ずっと応援してきたが,最後の最後に放り出され裏切られた気持ち。これでは,かばいようがない」との意見が出されたことが認められる。 この点,控訴人は,担任に対する不満を述べる保護者は常に一定の割合で存在し,教職員事故報告書(乙8)上の意見は誰が如何なる場で具体的にどのような趣旨で述べられたものか定かでないこと,期末懇談会記録用紙(乙30)上の学校に対する意見は,控訴人が保護者1人から聴取した意見で保護者の総意ではないし,この意見の趣旨は指導困難な学年であることを知りながら新任教員を担任にしたことを批判し,学校 側に差し迫った提言をしたものというべきこと,控訴人を信頼する保護者もいたことを主張する。しかし,上記書類(乙8,30)上の意見を誰がどのような文脈で述べたものかが直ちに確定できないものではあっても,前記認定事実のとおり,控訴人の担当学級が学級崩壊というべき状況に至り,2学期の終わり頃から保護者による授業への入り込みがなされ,3学期初めの児童の保護者3分の2が出席した保護者説明会では校長同席の下で控訴人の決意表明がなされたというものであるから,上記書類上の意見は,かかる状況に至ったことにつき保護者が控訴人の指導力に疑義を示したものと評価するのが自然であり,他にも同様の見解を有していた保護者が存したことが推認できるし,控訴人を信頼する保護者がいたとの主張に沿う証拠(甲18の2の1)があるが,その保護者意見は児童の手紙内の記載との伝聞形式によるものであり,的確な裏付け 有していた保護者が存したことが推認できるし,控訴人を信頼する保護者がいたとの主張に沿う証拠(甲18の2の1)があるが,その保護者意見は児童の手紙内の記載との伝聞形式によるものであり,的確な裏付けを有するものとまでいえない。但し,保護者意見は,児童の親との当事者的立場からの意見であってその評価の客観性は慎重に検討すべきであるし,上記保護者意見に関する事実は,不採用事由説明書に記載されていないものであるから,これによる否定的評価を強調すべきものとはいえない。 ウ服務規律違反(年次休暇の取得方法及び出勤簿の取扱)について証拠(乙18,31,32,証人P9,同P10,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,年次休暇取得に際しては,年休整理簿に月日,時間,使用日数,残余日数を記載し,押印後に校長の承認印が必要であること,急に体調を崩した場合など,事前に年次休暇取得手続をできないときは,電話で学校に連絡し,事後的に書類の処理をすることも事実上行われていること,出勤時には出勤簿に押印をしなければならないこと,控訴人は,平成17年1月24日以降,年次休暇を取得しながらその取得手続を行っていないこと,1学期後半ころから,出勤簿を後でまとめて押すことがし ばしばあったこと,この状態はP10校長やP9教頭が繰り返し注意しても改善されなかったことが認められる。 この点,控訴人は,年休取得の処理が遅れたのは控訴人の精神状態がかなり悪化して以降の2か月ほどであるし,出勤簿への押印が遅れた回数もそれほど多くない上,平成17年3月2日職員朝会記録簿(甲24)上,年休や出勤簿の整理が全員に注意されており多くの教職員の出勤簿等の処理にルーズな実態があったなどと主張する。確かに,前記認定のとおり,控訴人は,学級運営が困難となり,11月以降は週案の提出もままならず, や出勤簿の整理が全員に注意されており多くの教職員の出勤簿等の処理にルーズな実態があったなどと主張する。確かに,前記認定のとおり,控訴人は,学級運営が困難となり,11月以降は週案の提出もままならず,次第に精神的負担を強め情緒不安定になっていた面があることは否めないが,平成17年3月3日以降の病気休暇取得に先立つ同年2月28日の年休取得前までは,学校に出勤しているものであるから(甲44・乙1参照),年休取得直後の出勤日に年休処理を行うことが可能であったはずであるし,他の教員の出勤簿等の処理がルーズであったとしても控訴人の処理が正当化されるものではないから,少なくとも同年2月28日より前の出勤簿の押印処理,年休取得処理には服務規律に反する点があったと認められる。 エ教員としての勤務態度の不良について(ア)控訴人の過呼吸・錯乱状態について(平成16年12月20日,平成17年2月7日の件)証拠(甲21,55,乙19,31,証人P10,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,平成16年12月19日,学級内のトラブルから学校に来ないと言い出した児童2人の家庭訪問を行ったこと,その際保護者から別件での学校の対応に不信感を抱いていた旨を聞かされたこと,翌20日保護者から聞かされたことを校長に報告しようとしたところ,控訴人の説明が要領を得ないとして,校長は,分かるよう説明してほしいという趣旨で「私ら管理職にどうしてほしいというん や,どうしてほしいか言わないとこっちもわからない」と発言したこと,控訴人は,同発言に驚き,過呼吸状態に陥ってその場で倒れ込んだこと(1度目の過呼吸状態),控訴人は,17年2月3日通勤途上で駅の階段を踏み外して足を怪我したこと,同月7日,「10日間の休業安静を要す」と記載された診断書を持参し,校長に出勤の可 場で倒れ込んだこと(1度目の過呼吸状態),控訴人は,17年2月3日通勤途上で駅の階段を踏み外して足を怪我したこと,同月7日,「10日間の休業安静を要す」と記載された診断書を持参し,校長に出勤の可否についての判断を仰いだこと,P10校長は,同年1月末ころ,控訴人とその母親が,2教科ほど代わりの先生に持ってもらわなければ病気休暇を取って休むとの条件を出してきたことを踏まえて,「休みは認めるが,以後,母親の電話には対応しないからその旨伝えるように」と告げたこと,控訴人は「母親と自分は関係ない」という意味のことを述べて,過呼吸状態に陥ったこと(2度目の過呼吸状態)が認められる。 過換気症候群は,精神的な不安によって過呼吸になり,その結果,手足や唇の痺れや動悸,目眩等の症状が引き起こされる心身症の1つであり,控訴人の上記状態はこの病状の発現であるといえるから,かかる状態に陥ったこと自体をもって,控訴人の教員としての勤務態度が不良であったということはできない。 控訴人は中学生くらいのころに,教師から厳しい指導を受けた際などに過呼吸になって倒れたことがあった旨供述しており(原審調書63頁),既往歴は古いものの,短期間のうちに2度も学校内で過呼吸状態を発症するに至っていること,前記ア(ウ)の説示のとおり,控訴人は不安や緊張が高まる局面で急に休暇を取得する傾向があるといえること,前記イ(エ)の認定のとおり,始業式の日に教務主任の前で泣き出したりしたこと等に照らせば,控訴人がストレスに相当弱い体質であることが窺われ,教員を続けるとなれば,今後,緊張場面に遭遇することは避けられず,精神的強さも要求される教員としての職務を控訴人が全うできるかについて何ら不安がないといえるものではないが,他方,控訴人が 6年間大阪市職員として勤務していた間に同様の状 することは避けられず,精神的強さも要求される教員としての職務を控訴人が全うできるかについて何ら不安がないといえるものではないが,他方,控訴人が 6年間大阪市職員として勤務していた間に同様の状態に陥ったことは証拠上認められず,前記認定のとおり,学級運営が困難となる中で精神的負担を強め情緒不安定になっていた面があることは否めないものであり,かかる状況の末に,控訴人としては意外であったことが窺われる校長の上記発言を受けて2度の過呼吸状態に陥ったものであるから,これをもって控訴人が今後緊張場面において常に過呼吸状態に陥り,教員としての職務を全うできないとまでは認められない。 (イ)自己中心的要求について証拠(甲21,55,乙19,32,36,証人P9,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,平成17年1月31日,控訴人が,同日朝,P9教頭に電話で年次休暇の連絡をして休みをとったこと,控訴人の母親が,同日午後6時ころ,P9教頭に電話で家庭科と音楽科以外に2教科ほど他の教員に担当してもらいたい,それができなければ病気休暇で休ませると要求したこと,その後,控訴人が上記発言の趣旨の説明を求められて電話を替わり,控訴人が1人で対応できる国語や算数といった授業は控訴人だけで行い,教務主任には職員室に戻ってもらい,それ以外の教科,特に理科と体育の時間には必ず入ってもらう体制を取り,1,2教科ほどはできれば教務主任に授業を進めてもらい,控訴人を補助役に回らせてもらえないかとの趣旨であると説明したことが認められる。 前記イ(エ)のとおり学校は従前控訴人に対して支援を行ってきており,控訴人の母親が要求して控訴人がその趣旨を説明した上記発言は,電話での一方的なものである上,教務主任にさらなる負担を求める自己中心的な要求と受け取られる余地があるものであり, 支援を行ってきており,控訴人の母親が要求して控訴人がその趣旨を説明した上記発言は,電話での一方的なものである上,教務主任にさらなる負担を求める自己中心的な要求と受け取られる余地があるものであり,母親によるかかる言動を成人で社会人でもある控訴人が制止できていないことは不適切ではあるが,あくまでも母親の発言であり,控訴人自身が上記要求をしてそれが果たせなければ病気休暇を取得するとまで発言をしたとか,控訴人が 母親をしてかかる発言を積極的にさせたとかいった事実を認めるに足りる証拠はなく,控訴人自身が自己中心的要求をしたものとして教員としての勤務態度が不良であるまでは認められない。 (3)以上を基に,控訴人に対する本件処分に被控訴人が裁量権の行使を誤った違法があるか検討するに,前記(2)の認定・説示によれば,①学年会計の処理における3学期分の金銭出納帳の提出遅延,決算書の不作成が不適切であるが,それによる会計処理への影響は限定的であること(ア(ア)b),②平成16年11月22日以降の週案の不提出が不適切であること(ア(イ)b),③平成16年6月14日の年休1時間取得自体,及び同年9月24日の年休1日取得の連絡欠如が,職務遂行能力と責任感に対する否定的評価となり得るものであり,また,同年11月12日の1時間年休取得,及び平成17年1月12日の遅刻が,同じく否定的評価となり得るものであるが,これを強調すべきものではないこと(ア(ウ)),④指導力に未熟な点があり,教務主任等の指導によっても十分な改善や向上が見られなかったこと(イ(ウ)),⑤上司等の指導・助言への対応が硬直化し,これを生かし切れなかったことは不適切というべきであるが,これをもって直ちに教員としての基礎的能力が欠如していると評価するのは些か酷であること(イ(エ)),⑥重要な の指導・助言への対応が硬直化し,これを生かし切れなかったことは不適切というべきであるが,これをもって直ちに教員としての基礎的能力が欠如していると評価するのは些か酷であること(イ(エ)),⑥重要な場面で突然休み,その連絡も直前であったり連絡がなかったりする上,連絡があっても学習の予定や児童への連絡事項等を知らせるといった配慮がなく,児童や他の教職員に迷惑がかかることがあったものであり,同じく否定的評価となり得るものであること(イ(オ)),⑦保護者がその指導力に疑義を示したものであるが,これを強調すべきものではないこと(イ(カ)),⑧平成17年2月28日以前の出勤簿の押印処理,年休取得処理には服務規律に反する点があったこと(ウ)が認められる。 しかし,上記のうち,会計処理の不適切さが与えた影響は限定的であり,計4回の休暇取得等についてはうち2回は不採用事由説明書に記載がなくそ の否定的評価を強調すべきでなく,助言・指導を生かし切れなかった点には学級崩壊状況下での精神的負担,抑うつ状態が影響した面があり,学級崩壊状況を控訴人が招いたといえないことはもちろん,新任教員として適切に対応しにくかったことを考慮すべきであり,これをもって基礎的能力の欠如と評価するのは酷であること等の他,被控訴人が主張する他の不適格事由,すなわち,学級日誌の記載の誤り,子どもに対する愛情が感じられなかったこと,子どもの心をつかめなかったこと,過呼吸・自己中心的な要求等の教員としての勤務態度の不良といった点は,そもそも認められないものである。 さらに,前記1の引用に係る認定事実によれば,P10校長は,控訴人が平成16年12月に提出した校園長への提言シート(乙9)の中で,転勤も考えている旨記載していたことから,控訴人に転勤を勧め,転勤願(乙11)を提出させ,市教委に 事実によれば,P10校長は,控訴人が平成16年12月に提出した校園長への提言シート(乙9)の中で,転勤も考えている旨記載していたことから,控訴人に転勤を勧め,転勤願(乙11)を提出させ,市教委に次年度の転勤を求める要望書を提出したものであり,市教委から新任教諭の異動は異例であるからその勤務状況を報告するようにとの指示を受けて初めて,控訴人の不採用を検討するようになり,本件処分直前の平成17年3月9日に,市教委に教職員事故報告書(乙8)を提出して控訴人の不採用を進言するに至ったものであり,控訴人の初任者研修指導報告書(甲23,乙29,34)上も,少なくとも2学期までは課題はあるが熱心な指導を受け研修を続けている旨記載され,指導を担当していたP7教務主任も指導途中で控訴人に改善の余地がないとは思わなかった旨証言するものであって(原審調書21頁),P10校長らにおいては,上記認定・説示にかかる控訴人の職務遂行能力と責任感に否定的評価をすべき点,教員としての基礎的能力に否定的評価をすべき点,服務規律に反する点をもって,免職が相当であると直ちに判断していたものではないといえる。 加えて,控訴人が6年間大阪市職員として勤務していた間にその適格性を欠くことを疑わしめる言動があったとも証拠上認められないものでもある。 以上によれば,控訴人の教員採用が条件附採用であったとしても,上記認 定・説示における控訴人の職務遂行能力と責任感,教育姿勢,教育活動,教員としての基礎的能力,服務規律違反につき否定的評価を加えるべき点を最大限考慮しても,控訴人が,教員として簡単に矯正できない持続性を有する素質,能力,性格等に起因してその職務の円滑な遂行に支障を生ずる高度の蓋然性があり,教員としての適格性を欠如しているとまでは認められず,被控訴人の判断は客観的に合理 簡単に矯正できない持続性を有する素質,能力,性格等に起因してその職務の円滑な遂行に支障を生ずる高度の蓋然性があり,教員としての適格性を欠如しているとまでは認められず,被控訴人の判断は客観的に合理性をもつものとして許容される限度をこえた不当なものであり,本件処分にはその裁量権の行使を誤った違法があるというべきであるから,本件処分は取消を免れない。 第4 結論 その他,当事者提出の各準備書面記載の主張に照らして全証拠を改めて精査しても,以上の認定,判断を覆すほどのものはない。 よって,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第8民事部裁判長裁判官若林諒裁判官小野洋一裁判官菊地浩明

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