令和2(行ウ)428等 在留資格変更不許可処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年12月7日 東京地方裁判所
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判決文本文52,039 文字)

令和5年12月7日判決言渡令和2年(行ウ)第428号在留資格変更不許可処分取消等請求事件(第1事件)令和2年(行ウ)第437号在留資格変更不許可処分取消等請求事件(第2事件)令和2年(行ウ)第438号在留期間更新不許可処分取消等請求事件(第3事件)令和2年(行ウ)第439号在留期間更新不許可処分取消等請求事件(第4事件) 主文 1 本件各訴えのうち、在留期間更新許可申請の特別受理をしなかったことの取消しを求める部分をいずれも却下する。 2 第1事件原告及び第2事件原告のその余の各請求をいずれも棄却する。 3 東京出入国在留管理局長が令和2年5月14日付けで第3事件原告に対して した在留期間の更新を許可しない旨の処分を取り消す。 4 東京出入国在留管理局長が令和2年5月14日付けで第4事件原告に対してした在留期間の更新を許可しない旨の処分を取り消す。 5 訴訟費用は、被告に生じた費用の4分の1と第1事件原告に生じた費用を第1事件原告の負担とし、被告に生じた費用の4分の1と第2事件原告に生じた 費用を第2事件原告の負担とし、被告に生じたその余の費用と第3事件原告及び第4事件原告に生じた各費用を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件 東京出入国在留管理局長が令和2年5月14日付けで第1事件原告に対してした在留資格の変更を許可しない旨の処分を取り消す。 東京出入国在留管理局長が令和2年7月21日にした第1事件原告の在留期間更新許可申請を特別受理しない処分を取り消す。 2 第2事件 東京出入国在留管理局長が令和2年5月14日付けで第2事件原告に対し てした在留資格の変更を許可しない旨の処分を取り消す。 東京出入国在留管理局長が令和2年7月2 2 第2事件 東京出入国在留管理局長が令和2年5月14日付けで第2事件原告に対し てした在留資格の変更を許可しない旨の処分を取り消す。 東京出入国在留管理局長が令和2年7月21日にした第2事件原告の在留期間更新許可申請を特別受理しない処分を取り消す。 3 第3事件主文3項と同旨 東京出入国在留管理局長が令和2年7月21日にした第3事件原告の在留期間更新許可申請を特別受理しない処分を取り消す。 4 第4事件主文4項と同旨東京出入国在留管理局長が令和2年7月21日にした第4事件原告の在留 期間更新許可申請を特別受理しない処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は、①エチオピア連邦民主共和国(以下「エチオピア」という。)の国籍を有する外国人である第1事件原告及びその妻である第2事件原告が、法務大臣に対して出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)20条2項に 基づく在留資格変更許可申請をしたところ、法務大臣から権限の委任を受けた出入国在留管理庁長官から更に権限の委任を受けた東京出入国在留管理局長(以下「東京入管局長」という。)からそれぞれ不許可処分を受けたため、同各不許可処分の取消しを求め、また、同各不許可処分後に東京入管局長に対して同法21条2項に基づく在留期間更新許可申請をしたところ、同各申請が受理 されなかったため、その取消しをそれぞれ求める事案(第1事件及び第2事件)と、②第1事件原告と第2事件原告との間の子である第3事件原告及び第4事件原告(いずれもエチオピア国籍)が、法務大臣に対して同項に基づく在留期間更新許可申請をしたところ、上記と同様の権限の委任を受けた東京入管局長からそれぞれ不許可処分を受けたため、同各不許可処分の取消しを求め、また、 ア国籍)が、法務大臣に対して同項に基づく在留期間更新許可申請をしたところ、上記と同様の権限の委任を受けた東京入管局長からそれぞれ不許可処分を受けたため、同各不許可処分の取消しを求め、また、 同各不許可処分後に東京入管局長に対して同項に基づく在留期間更新許可申請 をしたところ、同各申請が受理されなかったため、その取消しをそれぞれ求める事案(第3事件及び第4事件)である。 1 法務省における難民認定制度の運用の推移当事者間に争いがない事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、法務省における難民認定制度の運用は、以下のとおり推移してきたことが認められる。 平成22年3月以降の運用法務省入国管理局(平成30年法律第102号による改正後の入管法の下においては出入国在留管理庁。以下、同改正の前後を問わず「入管当局」という。)は、平成22年3月以降、正規滞在者から難民認定申請があった場合に、難民認定手続中の生活の安定に配慮して、難民認定申請から6か月経過 後、難民認定手続が完了するまでの間、原則として本邦での就労を認める運用を行っていた(甲18の2)。 平成27年9月の運用の見直し上記の運用の下、難民認定申請者数は急増した。入管当局は、上記の運用が、我が国での就労等を企図する外国人に誤った形で伝わり、難民認定 制度を濫用・誤用する外国人の増加に繋がっているものと分析し、上記の運用を見直す必要があると判断し、平成27年9月、濫用・誤用的な難民認定申請については迅速に処理するとともに、我が国での就労等を目的として難民認定申請を繰り返すような申請者に対しては、申請の内容に応じて、在留することは認めるものの就労は許可しない措置(就労制限)や、在留自体 を認めない措置(在留制限)を執るこ 労等を目的として難民認定申請を繰り返すような申請者に対しては、申請の内容に応じて、在留することは認めるものの就労は許可しない措置(就労制限)や、在留自体 を認めない措置(在留制限)を執ることとした。具体的には、入国管理局は、同月以降は、複数回にわたり難民認定申請を行っている者で、①難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)上の迫害事由に明らかに該当しない事情を繰り返し主張して再度申請を行っている者、②正当な理由なく迫害事由について同様の内容を繰り返し主張して、今次申請を含めて3度以上の 申請を行っている者に対しては、特定活動の在留資格を付与しないこととし、 また、特定活動の在留資格を付与される条件を満たす者であっても、正当な理由なく迫害事由について同様の主張を繰り返す再申請者に対しては、報酬を受ける活動の指定は行わないこととした。 そうしたところ、平成27年の難民認定申請数7586人に対する複数回申請数が1425人(全体の申請数のうちの約18.8%)であったのに対 し、平成28年の難民認定申請数1万0901人に対する複数回申請数が1497人(同約13.7%)、平成29年の難民認定申請数1万9629人に対する複数回申請数が1563人(同約8.0%)となるなど、難民認定申請者数に対する複数回申請者数の割合は減少した。他方、上記措置は、初回の難民認定申請者には適用がないところ、初回の難民認定申請者による濫 用・誤用的な申請を含む申請者数が急増し、平成29年における難民認定申請者数は、対前年比約80%増の1万9629人となった。 (甲18の2、乙12)平成30年1月の更なる運用の見直し入管当局は、難民認定申請者数の急増が真の難民の迅速な保護に支障を生 じさせる事態となっているとし 万9629人となった。 (甲18の2、乙12)平成30年1月の更なる運用の見直し入管当局は、難民認定申請者数の急増が真の難民の迅速な保護に支障を生 じさせる事態となっているとして、難民認定制度の適正化に向けた更なる運用の見直しを行うこととし、平成30年1月以降は、以下のとおり、申請の受付後に案件の内容を振り分ける期間(2か月を超えない期間)を設け、振り分け結果を踏まえて速やかに在留資格上の措置(在留許可、在留制限、就労許可、就労制限)を執ることとした(以下「本件運用」という。)。(甲1 8の1・2、甲43、乙13)ア難民条約上の難民である可能性が高いと思われる申請者又は本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる申請者等(以下「難民該当可能性の高い申請者等」という。)について申請案件の振り分け後、速やかに「特定活動(就労可)」(6月)を付与 する。 イ難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を申し立てる申請者及び再申請者(上記アに該当する者を除く。)について在留制限の措置を執り、「特定活動」の在留資格を付与しない。 ウ本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請をした者及び出国準備期間中に難民認定申請をした者について 「特定活動(就労不可)」(3月)を付与する。 なお、上記のうち「本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請をした者」の就労を制限する理由及び具体例は以下のとおりである。 就労を制限する理由 本来の在留資格に該当する活動(技能実習、留学など)を続けながらでも難民認定申請ができるにもかかわらず、当該活動を止めて、在留する根拠を喪失した後に申請していることから、就労や在留の継続を目的 本来の在留資格に該当する活動(技能実習、留学など)を続けながらでも難民認定申請ができるにもかかわらず、当該活動を止めて、在留する根拠を喪失した後に申請していることから、就労や在留の継続を目的とした濫用・誤用的な申請の可能性が高い。 具体例 「技能実習」の在留資格を有する者が失踪・所在不明となり、又は技能実習計画を終了した後に難民認定申請を行った場合や、「留学」の在留資格を有する者が、留学先の教育機関を退学、除籍となり、又は卒業した後に難民認定申請を行った場合エ上記アないしウ以外の者について 申請等から6か月以内であれば「特定活動(就労不可)」(3月)を2回付与し、申請等から6か月経過した後は「特定活動(就労可)」(6月)を付与する。 2 前提事実(当事者間に争いがないか後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実並びに当裁判所に顕著な事実) 原告らの身分事項等 ア第1事件原告(以下「原告父」という。)は、▲年▲月▲日にエチオピアにおいて出生した、同国の国籍を有する外国人男性である。 原告父は、エチオピアにおいて、1998年7月から2004年6月まで農業省の農業専門家、2005年2月から2009年2月までAの販売推進専門家、同月から2015年4月まで連邦協同組合機関の訓練コーデ ィネーター及び上級専門家、同年2月から2016年7月まで政府健康管理官の計画部長及びプロジェクト・チームリーダーの職にそれぞれ従事した。原告父は、2001年9月1日から2016年9月1日まで、エチオピアの首都であるアディスアベバに居住していた(乙3の1)。 イ第2事件原告(以下「原告母」といい、原告父と併せて「原告父母」と いう。)は、▲年▲月▲日にエチオピアにおいて出生した、同 オピアの首都であるアディスアベバに居住していた(乙3の1)。 イ第2事件原告(以下「原告母」といい、原告父と併せて「原告父母」と いう。)は、▲年▲月▲日にエチオピアにおいて出生した、同国の国籍を有する外国人女性である。原告父母は、第3事件原告及び第4事件原告を含む3人の男子をもうけたが、二男は2017年頃にエチオピアで死亡した。 原告母は、エチオピアにおいて、学校の教員の仕事に約5年間、登録等の仕事に約2年間、病院の広報の仕事に約1年間それぞれ従事した。原告 母は、2005年から2017年9月までアディスアベバに居住していた。 (乙3の2、原告父本人、原告母本人)ウ第3事件原告(以下「原告長男」という。)は、▲年▲月▲日にエチオピアにおいて原告父母の子として出生した、同国の国籍を有する外国人男性である。 原告長男は、後記⑵イのとおり本邦に上陸後、本邦の小学校に入学し、小学校1年生の2学期以降の教育課程を受け、令和▲年▲月に本邦の中学校に入学した(甲8、甲47)。 エ第4事件原告(以下「原告三男」といい、原告長男と併せて「原告子ら」という。また、原告父母及び原告子らを併せて「原告ら」という。)は、▲ 年▲月▲日に本邦において原告父母の子として出生した、エチオピア国籍 を有する外国人男性である。 原告らの出入国及び在留の状況等ア原告父の出入国及び在留の状況等 原告父は、平成25年10月14日、成田空港に到着し、東京入国管理局(平成30年法律第102号による改正後の入管法の下においては 東京出入国在留管理局。以下、同改正の前後を問わず「東京入管」という。)成田空港支局入国審査官から、在留資格「研修」、在留期間「3月」とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。原告 の下においては 東京出入国在留管理局。以下、同改正の前後を問わず「東京入管」という。)成田空港支局入国審査官から、在留資格「研修」、在留期間「3月」とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。原告父は、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)α支局を受入機関とするマーケティング及びマネジメントの研修を受けた後、同年11月16日、成田空 港から出国した。(乙1の1、原告父本人)原告父は、平成28年9月3日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局審査官から、在留資格「留学」、在留期間「3年3月」とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。原告父のこの来日は、エチオピア政府の要請を受けたJICAから、アフリカの若者のための産業人材育成イニ シアティブである「ABEイニシアティブ」の長期研修員として受け入れられることとなり、その「修士課程及びインターンシップ」プログラムに参加するためのものであり、原告父は、同年10月21日、資格外活動許可を受けた。(乙1の1、25、26、原告父本人)原告父は、二男の葬儀に参列する目的でエチオピアに帰国するため、 みなし再入国許可を受けて、平成29年2月3日、本邦から出国し、同年3月3日、本邦にみなし再入国上陸した。 原告父は、平成29年4月1日、B大学農学研究科の博士前期課程に入学してバイオビジネス学を専攻し、卒業のために必要なデータを採取する目的でエチオピアに帰国するために、みなし再入国許可を受けて、 ①同年8月27日、本邦から出国し、同年9月20日、本邦にみなし再 入国上陸し、②平成30年6月24日、本邦から出国し、同年7月25日、本邦にみなし再入国上陸した。 原告父は、マレーシアで開催されたC会議に参加するため、みなし再入国許可を受けて、平成30 入国上陸し、②平成30年6月24日、本邦から出国し、同年7月25日、本邦にみなし再入国上陸した。 原告父は、マレーシアで開催されたC会議に参加するため、みなし再入国許可を受けて、平成30年10月11日、本邦から出国し、同月16日、本邦にみなし再入国上陸した。 (甲55、乙1の1、乙27、原告父本人、原告母本人) 原告父は、平成31年3月20日、B大学農学研究科の博士前期課程を修了し、修士号(国際バイオビジネス学)を得た。B大学は、同月31日、原告父の受入れを終了した。(甲5~7) 原告父は、令和元年6月17日、法務大臣に対し、難民認定申請をし た(以下「原告父難民認定申請」といい、同難民認定申請に係る申請書を「原告父難民認定申請書」という。)。 原告父は、①令和元年7月23日、在留資格「特定活動(就労不可)」、在留期間「2月」とする在留資格変更許可を受け、②同年10月10日、在留資格「特定活動(就労不可)」、在留期間「3月」とする在留期間更 新許可を受け、③令和2年1月22日、在留資格「特定活動(就労不可)」、在留期間「3月」とする在留期間更新許可を受けた(在留期限:同年4月22日)。 イ原告母及び原告子らの出入国及び在留の状況等 原告母及び原告長男は、平成29年7月11日、それぞれ、在留資格 「家族滞在」、在留期間「3年」の在留資格認定証明書の交付を受けた。 原告母及び原告長男は、平成29年9月20日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から、それぞれ、在留資格「家族滞在」、在留期間「3年」とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。原告母は、同年11月2日、資格外活動許可を受けた。 原告三男は、▲年▲ 港支局入国審査官から、それぞれ、在留資格「家族滞在」、在留期間「3年」とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。原告母は、同年11月2日、資格外活動許可を受けた。 原告三男は、▲年▲月▲日に本邦で出生し、同年2月28日、出生に 基づき、在留資格「家族滞在」、在留期間「1年」とする在留資格を取得した。 原告母及び原告子らは、令和元年7月26日、それぞれ、法務大臣に対し、難民認定申請をした(以下、原告母による難民認定申請を「原告母難民認定申請」といい、同難民認定申請に係る申請書を「原告母難民 認定申請書」といい、原告父難民認定申請及び原告母難民認定申請を併せて「原告父母難民認定申請」という。また、原告子らによる難民認定申請を「原告子ら難民認定申請」といい、原告父母難民認定申請と併せて「原告ら難民認定申請」という。)。 原告母及び原告子らは、それぞれ、①令和元年8月29日、在留資格 「特定活動(就労不可)」、在留期間「2月」とする在留資格変更許可を受け、②同年10月10日、在留資格「特定活動(就労不可)」、在留期間「3月」とする在留期間更新許可を受け、③令和2年1月22日、在留資格「特定活動(就労不可)」、在留期間「3月」とする在留期間更新許可を受けた(各在留期限:同年4月22日)。 ウ原告らによるエチオピア旅券の取得の状況等原告父は2017年(平成29年)12月25日付けで、原告母は同年1月11日付けで、原告長男は同年3月1日付けでエチオピア当局から旅券を取得しており、原告三男は2019年(平成31年)2月15日頃、旅券の申請を行った(乙2の2~4、乙28)。 在留資格変更不許可処分及び在留期間更新不許可処分に至る経緯等ア原告父母は、令和2年3月 告三男は2019年(平成31年)2月15日頃、旅券の申請を行った(乙2の2~4、乙28)。 在留資格変更不許可処分及び在留期間更新不許可処分に至る経緯等ア原告父母は、令和2年3月16日、東京入管において、在留資格「特定活動(就労可)」、在留期間「6か月」への変更を求める在留資格変更許可申請(以下「本件各在留資格変更許可申請」という。)をした。 原告父の在留資格変更許可申請書には、変更の理由として「仕事をし、 生活し、家族を養うため」、活動内容として「難民」、具体的な在留目的 として「調査が終了するまで日本で生活し、働くこと。また、生活費を稼ぎ、子どもたちを養うこと。」と記載されている。 原告母の在留資格変更許可申請書には、変更の理由として「仕事をし、生活し、子どもたちと家族を養うため」、活動内容として「難民/特定活動」、具体的な在留目的として「家族を養うため、難民認定申請に関する 調査が終了するまで日本で生活し、働くこと。」と記載されている。 (乙6の1・2)原告子らは、同日、東京入管において、原告父を代理人として、在留期間更新許可申請(以下「本件各在留期間更新許可申請」という。)をした。 本件各在留期間更新許可申請に係る在留期間更新許可申請書には、それぞれ、更新の理由として「日本で生活し、学ぶため」、活動内容として「難民」、具体的な在留目的として「日本で生活し、学ぶこと」と記載されている。 (乙6の3・4) イ東京入管局長は、令和2年5月14日、本件各在留資格変更許可申請について、現に有する在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行っているため、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとは認められないとして、不許可 在留資格変更許可申請について、現に有する在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行っているため、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとは認められないとして、不許可処分(以下「本件各在留資格変更不許可処分」という。)をし、同日、東京入管において、ア ムハラ語の通訳人を介して原告父母に告知した(乙7の1・2)。 東京入管局長は、令和2年5月14日、本件各在留期間更新許可申請について、本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)を行うものとは認められないため、在留期間の更新を適当と認 めるに足りる相当の理由があるとは認められないとして、不許可処分(以 下「本件各在留期間更新不許可処分」という。)をし、同日、東京入管において、アムハラ語通訳人を介して、原告子らの代理人である原告父に告知した(乙7の3・4)。 なお、上記及びのとおり本件各在留資格変更不許可処分及び本件各在留期間更新不許可処分がされた令和2年5月14日の時点で、原告 ら難民認定申請に対する処分はされていなかった。 令和2年6月18日以降の原告らの行動等ア原告父は、令和2年6月18日、東京入管の窓口で在留資格変更許可申請をしようとしたところ、東京入管の難民調査部門(以下、単に「難民調査部門」という。)に案内された。原告父は、就労できる在留資格を得られ るまで東京入管庁舎内にとどまる旨述べ、難民調査部門執務室付近の廊下の椅子に座り込んだ。難民調査部門の職員が、原告父に対し、英語通訳人を介して、原告らについては在留資格変更許可申請を受け付けることができない旨を説明したところ、原告父は、早期のインタビューを要望する旨述べ 座り込んだ。難民調査部門の職員が、原告父に対し、英語通訳人を介して、原告らについては在留資格変更許可申請を受け付けることができない旨を説明したところ、原告父は、早期のインタビューを要望する旨述べて退庁した。 イ原告父母及び原告三男は、令和2年7月16日、東京入管の窓口で在留資格変更許可申請をしようとしたため、難民調査部門に案内された。原告父は、在留期限から3か月以内であれば在留資格変更許可申請ができるはずであるから、同申請を行いたい旨述べた。 ウ原告らの代理人であるD弁護士は、令和2年7月21日、東京入管を訪 れ、原告らに係る在留期間更新許可申請書を提出した。東京入管の職員は、同申請に係る受付手続を開始したが、その途中で、原告らは在留期間更新許可申請を行えないことが判明したとして、受付手続を中止し、原告父母の旅券に押印した申請受付印の上に「VOID」印を押印し、上記申請書をD弁護士に返却した(以下「本件不受理行為」という。)。 D弁護士は、同日、原告父を伴って難民調査部門を訪れ、原告らにつき、 当時入管当局が新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する観点から在留申請窓口の混雑緩和策として行っていた、在留期間満了後も在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請を受け付ける運用(以下「コロナ禍の運用」という。)の対象者に該当する旨述べた。難民調査部門の職員は、D弁護士に対し、原告らは上記運用の対象者ではない旨の説明をした。 D弁護士は、上記職員に対し、原告らに係る在留期間更新許可申請を受け付けることができないとの説明を受けた旨の文書を手渡し、原告父を伴って退庁した。 ⑸ 本件訴訟の提起原告らは、令和2年11月13日、本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著 な事実)。 けることができないとの説明を受けた旨の文書を手渡し、原告父を伴って退庁した。 ⑸ 本件訴訟の提起原告らは、令和2年11月13日、本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著 な事実)。 3 争点⑴ 本件各在留資格変更不許可処分の適法性(争点1)⑵ 本件各在留期間更新不許可処分の適法性(争点2)⑶ 本件不受理行為の処分性(争点3) 4 争点に対する当事者の主張⑴ 争点1(本件各在留資格変更不許可処分の適法性)について(原告らの主張)ア本件各在留資格変更不許可処分が難民該当可能性に関わりなくされたこと 本件各在留資格変更不許可処分は、原告父母の難民該当可能性に関わりなく、「現に有する在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行っていること」のみを理由として行われたものであり、原告父母が難民該当可能性の高い申請者等に当たるか否かについては検討していない。 しかし、原告父母は、難民条約上の難民であり、「真に庇護を必要と する難民」として迅速に保護されるべきものであったから、原告父母の難民該当可能性を考慮することなく「現に有する在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行っていること」のみを理由としてした本件各在留資格変更不許可処分は、法律上当然に要請される考慮を欠くものであり、その手段としての相当性を欠き、裁量権の範囲の 逸脱又はその濫用に当たる。 本件運用は、失踪した技能実習生や退学した留学生等、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請した申請者に対して就労制限を行うとしており、本来の在留資格に該当する活動を途中でやめて難民認定申請をした者を念頭に置いていたものである。このよう な難民認定申請が濫用・誤用 後に難民認定申請した申請者に対して就労制限を行うとしており、本来の在留資格に該当する活動を途中でやめて難民認定申請をした者を念頭に置いていたものである。このよう な難民認定申請が濫用・誤用的であるとの考え方は基本的には首肯できるものの、原告らの有する事情がある場合にまで積極的に就労を制限しようとしたものとはいえない。本件運用は、上記の例示に挙げられたような難民認定申請の濫用・誤用的なケースを制限するために取り入れられたものであるにもかかわらず、例示が外れた形で「現に有する在留資 格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を」した者には在留制限を行うとの規範のみが独り歩きしており、それだけを根拠としてされた本件各在留資格変更不許可処分は違法である。 イ仮に難民該当可能性を検討した場合、本件は原告父母が難民該当可能性の高い申請者等に当たる事案であること 原告ら難民認定申請の判断に長期間を要していることからも明らかなとおり、難民であるか否かの判断は容易ではないから、難民認定申請の初期の時点で難民である可能性について高い蓋然性を求めることは適切ではない。また、難民とは迫害を受ける者ではなく、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する者であるから、迫害を受ける可能性 が高いか否かではなく、そのような恐怖を有する者である可能性が高いか 否かを考慮するものである。原告父母は、以下の事情のとおり、本件各在留資格変更許可申請の際、「難民である可能性が高い」と判断されるべきであった。 エチオピアの一般情勢米国国務省は、2015年人権状況報告において、エチオピアについ て、「最も重大な人権問題として、野党党員や支持者やジャーナリストへの嫌がらせや脅迫―言われているところによ アの一般情勢米国国務省は、2015年人権状況報告において、エチオピアについ て、「最も重大な人権問題として、野党党員や支持者やジャーナリストへの嫌がらせや脅迫―言われているところによれば、治安当局による被収容者の拷問、殴打、虐待、政治的に動機づけられた裁判がある。」と評した。そして、エチオピア政府の内部資料によれば、エチオピア政府は、各国のエチオピア大使館に通知を出し、在外の活動家を把握し、本国に 報告するように求めている。 エチオピアでは、2015年頃から、オロモ州及びアムハラ州において、政府に対する抗議活動が活発化し、2016年8月6日及び7日には両州で100人以上が殺害され、同月29日の週だけでもアムハラ州で70名以上のデモ参加者が殺害され、更に多くの人々が負傷するなど、 人権状況が同年に更に悪化した。エチオピア政府は、同年10月8日に非常事態宣言を発出し、同非常事態宣言は2017年8月に解除されたものの、当時の首相が2018年2月15日に辞任を表明し、同月16日には非常事態宣言がまた発出された。同年4月2日、エチオピア人民革命民主戦線(以下「EPRDF」という。)のアビィ新議長(オロモ族) が首相に選出されたが、民族同士の衝突がその後深刻化し、2018年には紛争が原因で約290万人が避難民となった。 日本政府は、2020年12月には、上記のようなエチオピア情勢の悪化を十分に認識していた。 原告らの事情 原告父難民認定申請書には、人種、政治的意見に基づき迫害の理由が ある、「党員たちのあるグループは私と私の家族の襲撃を組織化しました」、「私は人種と政治的な問題のために本国に帰ることはできない」などの記載があり、原告母難民認定申請書には、人種や民族に基盤を置いた る、「党員たちのあるグループは私と私の家族の襲撃を組織化しました」、「私は人種と政治的な問題のために本国に帰ることはできない」などの記載があり、原告母難民認定申請書には、人種や民族に基盤を置いた政治的影響、「連行される危険」、「性的な挑発、私が賃借していたあらゆる家で監視を行っては、私に住居を失わせていました」、「仕事を得た いと思っても、民族に焦点を当てていますから、私は仕事を得ることが出来ません」、「私は様々な時に公安部隊と警察に監視されていましたから、戻って行ったら私の命と家族が心配です。」、「警察と公安部隊員たちにより、まるで軟禁されていたかのような状態でした」などの記載がある。また、原告父が作成して原告父難民認定申請書に添付した、令和元 年6月17日付けの「Subject:-ApplicationforREFUGEESTATUS」と題する書面(以下「本件添付書面」という。)には、原告父が政治的リーダーたちとの深刻な対立に直面した結果として解職され、これに対する裁判所への不服申立ても退けられ、もはや生活できないほどの嫌がらせをされていた旨の記載がある。 以上からすれば、原告父母が直面していた迫害は、職場や日常生活の嫌がらせというような軽度のものではなく、人種(民族)、政治的意見という難民条約上の理由に基づくものであったことが明らかである。 本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請をしたことについて 原告父は、本国に帰国すれば迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有していたことから、日本に残れる方法につきJICAと話合いを続けたがうまくいかず、万策尽きて難民認定申請を行うに至った。そして、原告父は、エチオピアで優秀な成績を収めて学士号、修士号を取得 恐怖を有していたことから、日本に残れる方法につきJICAと話合いを続けたがうまくいかず、万策尽きて難民認定申請を行うに至った。そして、原告父は、エチオピアで優秀な成績を収めて学士号、修士号を取得し、国家公務員として農業の協同組合の専門家として勤務 し、ABEイニシアティブに選抜され、日本でも極めて優秀な成績で日 本の有数の大学院で修士号を取得し、また、海外に出張して英語でプレゼンテーションの機会を与えられるなど、その語学能力や専門性は高く評価されていたものである。 本件運用は、本来の在留資格に該当する活動を止めた後に難民認定申請をした申請者に対して就労制限を行うとしたものであり、その射程は 原告父に及ぶものではない。 エチオピア政府の旅券発給や正規出国の事実について難民該当性の判断をするに際しては、申請者が迫害の対象とされていることは必要ではなく、本国が当該申請者を迫害の対象として把握していなかったか否かが問題となるものではない。 国情によっては、捜査・訴追機関と出入国審査機関との連携が十分でない場合もあり、逮捕状等が発付されていたとしても正規に出国することができる場合や、出入国審査機関の職員に対して賄賂等の不正手段を用いるなどして正規に出国できる場合もあり得るし、迫害理由となり得る自己の政治的意見を隠したまま、逃亡の手段として合法的な出国を選 択する場合もあり得る。 したがって、エチオピア政府が原告らに対して旅券を発給していたことや原告らが正規に出国したことは、難民該当性の判断をするに際しての考慮要素となるものではない。 ウ令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことは信義 則に反し、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となること以下の事情からすれば、東京入管局長が令 慮要素となるものではない。 ウ令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことは信義 則に反し、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となること以下の事情からすれば、東京入管局長が令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことは、原告父母との関係で信義則(民法1条2項)に反し、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある。 行政庁には、処分をいつ行うかについての裁量が認められるが、原告 父母については、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過するのが 令和2年6月22日であったから、東京入管局長において同年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分を行う必要はなかった。原告らは1度目の難民認定申請中であり、従前、「特定活動(就労不可)」の在留資格による在留期間更新許可を繰り返し受けていたことからすると、在留を認めることが不適当となるような客観的事情が原告らに生じない限り は、少なくとも難民認定申請に対する処分がされるまでの間は本邦に適法に在留できることについて、正当な期待ないし信頼が生じており、それは信義則による保護に値するものであった。 信義則は、個別の具体的な事情の下において当事者に生じていた期待や信頼を保護する法原則であって、権利や地位が法律上確定していない 場合にも適用され得るものであり、外国人が一般的に日本への在留を求める権利を有さないとか、在留期間の更新の許否の判断が一般的に法務大臣、権限の委任を受けた出入国在留管理庁長官又は地方出入国在留管理局長(以下、併せて「法務大臣等」という。)の裁量に委ねられるといった事情は、原告父母が信義則による保護に値する正当な期待ないし信 頼を有していたことの妨げにはならない。 原告父母については、就労が可能となる在留資格への変更が認 )の裁量に委ねられるといった事情は、原告父母が信義則による保護に値する正当な期待ないし信 頼を有していたことの妨げにはならない。 原告父母については、就労が可能となる在留資格への変更が認められないとしても、その本来的な希望は日本への適法な在留の継続であって、就労は付随的希望にすぎないと考えるのが合理的意思解釈である。これまで長年適法に日本に滞在してきた原告父母にとって、退去強制手続を 執られることは、重大な権利の侵害をもたらす極めて大きな不利益となる以上、東京入管局長は、原告父母が東京入管の職員の説明を正確に理解しているかどうかについて相当程度慎重に検討ないし配慮をすることが求められており、信義則上、原告父母に対し、一旦冷却期間を置いて申請内容の変更について熟慮を求めるなどして真意を慎重に確認した上 で、申請に対する処分を行う義務を負っていたというべきである。 原告父母は、令和2年5月14日に申請内容を在留期間更新に変更する旨の申出(以下「申請変更申出」という。)をしなければ直ちに在留資格を失ってしまうということを理解しておらず、また、同日に原告父母に対して本件各在留資格更新申請につき不許可処分が見込まれると説明した東京入管の入国審査官であるEの上司と話せば事情を理解してもら えると期待しており、令和2年7月21日の在留期間更新許可申請に至る経過に鑑みても、原告父母には正規滞在者としての地位保障を放棄するまでの意思はなかった。さらに、原告父は、本件各在留資格変更不許可処分の当時、相当に興奮しており、また、高熱を出すなど体調が悪く、冷静な判断ができていないことが明らかであったのであり、東京入管の 職員もそのことを認識していた。東京入管局長は、原告らが求めているのは難民申請者であることに基づく 高熱を出すなど体調が悪く、冷静な判断ができていないことが明らかであったのであり、東京入管の 職員もそのことを認識していた。東京入管局長は、原告らが求めているのは難民申請者であることに基づく在留継続を基礎とする就労許可であり、在留期間更新許可申請の意思を含むとして、申請変更申出を経ずに在留期間更新許可ができないかを検討すべきであった。 それにもかかわらず、冷却期間を置くなどの措置が執られずにされた 本件各在留資格変更不許可処分は、信義則に反するものである。 (被告の主張)ア難民認定申請中の外国人に与えられる法的地位難民条約及び入管法は、難民認定申請者に係る在留資格については何ら規定しておらず、難民認定申請者に対して在留資格を付与することや就労 可能な法的地位を保障することを義務付けるような規定が存在しないことからすれば、難民認定申請者に対して出入国管理上のいかなる地位を与えるかは、法務大臣等の広範な裁量により決定されることが予定されている。 したがって、法務大臣等には、難民と認定されるべき外国人について、難民認定申請をしたという一事をもって当該外国人に「特定活動」の在留資 格を付与すべき義務はなく、仮に、一律、難民認定申請者には「特定活動」 の在留資格を与えないという運用をしたとしても、直ちに法務大臣等に与えられた裁量権の範囲の逸脱又はその濫用になるものではない。また、入管法は、難民認定手続の中で在留資格上の措置についても判断することを定めているのであって、仮に、難民認定申請中の在留資格が付与されなかった者に、新たな迫害事由が発生したり、本国情勢の悪化等により人道上 の配慮を要することとなったりした場合には、難民認定手続において事情聴取等の調査を行い、難民認定又は人道上の配慮等を理由とし った者に、新たな迫害事由が発生したり、本国情勢の悪化等により人道上 の配慮を要することとなったりした場合には、難民認定手続において事情聴取等の調査を行い、難民認定又は人道上の配慮等を理由とした在留特別許可を付与することが否定されるものでもないから、在留資格変更手続と難民該当可能性判断との間に直接の関連性を認めないことが、難民認定申請者に対する人道上の配慮に欠ける結果となるものでもない。 イ本件運用の合理性本件運用は、難民該当可能性の高い申請者等については速やかに就労可能な特定活動の在留資格を付与する一方で、これらに当たらないと思われる難民認定申請者に対しては、申請の内容に応じて在留制限や就労制限を加えるというものである。 本件運用においては、「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由」(入管法20条3項)を判断する中で、在留制限や就労制限の対象者に該当するか否かを判断する前に難民該当可能性の高い申請者等か否かを判断することが予定されており、難民該当可能性の高い申請者等に当たらない場合、申請の内容に応じて、濫用・誤用的な難民認定申請者である 蓋然性が認められる者等について、在留制限や就労制限を加えるということになる。 本件運用において就労制限の対象となる者には、初回の難民認定申請者のうち、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請をした申請者が含まれる。申請者が自らが難民条約上の難民であると信 じている場合、「十分に理由のある恐怖」を感じているわけであるから、 本邦に入国後、比較的速やかに難民認定申請をするのが通常であるところ、本邦における在留資格に該当する活動を行っている期間中であっても難民認定申請をすることができるにもかかわらず、在留資格に該当する活動 に入国後、比較的速やかに難民認定申請をするのが通常であるところ、本邦における在留資格に該当する活動を行っている期間中であっても難民認定申請をすることができるにもかかわらず、在留資格に該当する活動を止めたことにより在留する根拠を失った後に難民認定申請をする者については、就労や在留の継続を目的とした濫用・誤用的な難民認定申請の 可能性が高いものといえる。 以上のとおり、本件運用の内容は、合理性を有するものである。 ウ本件運用に従ってされた本件各在留資格変更不許可処分につき、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないこと本件各在留資格変更不許可処分は、原告父母が本来の在留活動を行わな くなった後に難民認定申請をした者に該当することを前提として、原告父母が提出した難民認定申請書やその添付資料等の記載内容に加えて、難民認定申請を受理した時点において確認できる原告父母の出入国及び在留の状況や本国情勢等も併せ考慮し、①エチオピアにおいて、アムハラ族であること又はアムハラ国民民主運動(後にアムハラ国民民主党(ANDP) と名称を改めたが、以下、時期によらず「ANDM」という。)党員であることを理由に直ちにエチオピア政府から迫害を受ける具体的なおそれがあるとはいえないこと、②エチオピア政府がJICAに対し、原告父をABEイニシアティブの長期研修員として受け入れるよう要請した事実は、同政府が原告父を迫害の対象としていなかったことの証左であること、 ③原告父母及び原告長男が旅券の発給を受け、正規の手続でエチオピアを出国した事実は、エチオピア政府が原告父母及び原告長男について迫害の対象として把握していなかったことの証左であること、④原告父が今回の来日後に自身の意思によりエチオピアへの一時帰国を繰り返していることは、原 実は、エチオピア政府が原告父母及び原告長男について迫害の対象として把握していなかったことの証左であること、④原告父が今回の来日後に自身の意思によりエチオピアへの一時帰国を繰り返していることは、原告父においてエチオピア政府から迫害を受けるおそれがあるとい う主観的恐怖が欠如していることを示す事実であること、⑤原告らが、エ チオピア出国後の相当長期間にわたり、本邦において難民認定申請をしておらず、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請をしたことは、本国政府から迫害を受けるおそれを抱いている者の行動として不自然であること等の事情を考慮して、原告父母が難民該当可能性の高い申請者等に当たるとは認められず、本件運用における就労制限の対 象者からは除外されないことを理由としてなされたものである。 本件運用を踏まえると、原告父母について就労可の「特定活動」の在留資格を付与することは相当ではなく、本件各在留資格変更不許可処分に係る東京入管局長の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 エ令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をした東京入管局長の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないこと以下の事情からすれば、令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をした東京入管局長の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 入管法20条6項は、在留資格変更許可申請をした外国人について、在留期間の満了日までに同申請に対する処分がされない場合に特例的に在留を認めるものにすぎず、在留期間を更新するものではないし、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日までの在留を保障するものでもない。したがって、本件各在留資格変更不許可処分がされ 特例的に在留を認めるものにすぎず、在留期間を更新するものではないし、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日までの在留を保障するものでもない。したがって、本件各在留資格変更不許可処分がされなけれ ば原告父母が従前の在留期限の2か月後の令和2年6月22日まで従前の在留資格で本邦に在留することが可能であったとする原告らの主張は前提を誤っており、失当である。 また、法務大臣等は、在留資格の変更の許否を判断するに当たって、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と 善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保 持の見地に立って、申請者の申請事由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情を斟酌してその許否を決するのであり、たとえ法務大臣等が処分時点における上記諸般の事情を斟酌して原告父母に対して在留資格変更許可をしなかったとしても、裁量権の範囲 の逸脱又はその濫用には当たらないのであるから、そのことが原告父母との関係で信義にもとるということはあり得ず、信義則違反といった事情は容易には想定し難いというべきである。 難民条約及び入管法は、難民認定申請中の者に係る在留資格については何ら規定しておらず、難民認定申請者に対して在留資格を付与するこ とや就労可能な法的地位を保障することを義務付けるような規定は存在せず、入管法上、在留資格変更手続と難民認定申請中の者の滞在の保障は、難民認定手続内の制度である仮滞在の許可や送還停止効等により担保することとされており、難民認定申請中の者の滞在の保障に係る期待はこの範囲でかなえられている。仮に、原告らにおいて、難民認定申請 中であることや、過 である仮滞在の許可や送還停止効等により担保することとされており、難民認定申請中の者の滞在の保障に係る期待はこの範囲でかなえられている。仮に、原告らにおいて、難民認定申請 中であることや、過去に「特定活動(就労不可)」に係る在留期間更新許可を複数回受け、本件各在留資格変更不許可処分の時点で「特定活動(就労不可)」に基づき10か月弱在留していた事実をもって、本件各在留資格変更許可申請に対する許可を受ける期待を有していたとしても、それは法的に保護される期待とはいい難い。 行政庁においては、申請人からの申請に対し、遅滞なく審査を行った上で処分を行う必要があり、一旦不許可見込み通知を行った申請人に対して不許可処分を遅らせる理由はないから、通常、入管法20条6項に定める特例期間中に不許可処分を行う場合には、不許可見込み通知を行った日のうちに不許可処分を行っている。実務的にも、不許可見込み通 知を行った後で改めて出頭日を設定したとしても、申請人の不出頭等に より同項に定める特例期間の満了日までに処分を行うことができなかった場合、当該申請人は自動的に不法残留状態となり、法務大臣等は上記不作為によって不法残留状態となったことにつき責任を問われるのであるから、できる限り速やかに申請に対する処分をする必要性がある。 また、東京入管の入国審査官らは、原告らに対し、アムハラ語の通訳 人を介して、約2時間20分にわたり、「特定活動(就労可)」への在留資格変更許可申請は許可できず、申請変更申出をしないと不法残留となり退去強制手続が執られることを、繰り返し懇切丁寧に説明したのであり、原告父母は、申請変更申出をすることなく本件各在留資格変更許可申請を維持することによって生じる状況について十分に理解し、その上 で本件各在留資 れることを、繰り返し懇切丁寧に説明したのであり、原告父母は、申請変更申出をすることなく本件各在留資格変更許可申請を維持することによって生じる状況について十分に理解し、その上 で本件各在留資格変更許可申請を維持したのであって、このような原告父母の行為は、自身の在留上の地位保障を放棄したと評価できるものである。 したがって、過去に「特定活動(就労不可)」に係る在留期間更新許可を複数回受けていたことをもって、本件各在留資格変更許可申請に対し、 「特定活動(就労不可)」の在留期間更新許可申請であるならば許可が可能であることを申し出ること以上に、このような申出を拒否した申請者が心変わりをして「特定活動(就労不可)」の在留期間更新許可申請に変更をすることを前提とした配慮措置を執らないまま、在留資格変更許可申請を不許可としても、その手続において信義則違反となるような事情 があったとはいえない。 在留資格の変更許可申請を受けた法務大臣等は、申請者が提出した文書により、その希望する在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるか否かを審査すれば足り(入管法20条3項本文)、申請されていない他の全ての在留資格該当性について審査、判断することまで は求められていない。入管法にも、法務大臣等が、申請者が希望する在 留資格以外の在留資格該当性を申請者が有するか否かについて職権探知的に審査する義務を負うとした規定や、法務大臣等において申請者に記載されていない在留資格変更許可決定や在留期間更新許可決定をすることができるとする規定はなく、異なる内容の申請を促す法的義務もない。 原告父母が本件各在留資格変更不許可処分を受けて不法残留となったの は、原告父母において不許可が見込まれる申請を維持した帰結にすぎず、原告らが 規定はなく、異なる内容の申請を促す法的義務もない。 原告父母が本件各在留資格変更不許可処分を受けて不法残留となったの は、原告父母において不許可が見込まれる申請を維持した帰結にすぎず、原告らが不法残留とならないように事実上の措置として「特定活動(就労不可)」を目的とする在留期間更新許可申請への申請変更申出を促したことによって、本件各在留資格変更不許可処分が裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となる余地はない。 ⑵ 争点2(本件各在留期間更新不許可処分の適法性)について(原告らの主張)ア本件運用との関係について原告子らの本件各在留期間更新許可申請は、本件運用に照らしても、在留制限を行うべき類型には当たらず、本件各在留期間更新不許可処分の前 後で原告子ら難民認定申請に係る状況に変化はなかった。 イ在留資格該当性があること等本件において原告子らが求めたのは、従前有していた在留資格「特定活動(就労不可)」の在留期間更新であり、その具体的活動は、「本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う日常的な活動 (収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」である。これは、原告子らがそれまで有していた在留資格であり、また、被告が、本件各在留資格変更許可申請につき変更申請申出をすれば原告父母に対しても付与する用意があったと主張する在留資格であった。したがって、原告子らについては、申請者であった原告子ら(又はその法定 代理人としての原告父母)による何らの行為なしに在留期間更新の許可 処分をすることに問題はなかった。 東京入管局長は、原告子らに対し、「本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。) 分をすることに問題はなかった。 東京入管局長は、原告子らに対し、「本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)を行うものとは認められ」ないとして本件各在留期間更新不許可処分をしたものであるところ、原告子らは、 本邦に在留し難民認定申請を行っている者であり、かつ、その手続が継続する間、小学校に通うなど日常的な活動を行っている者であったから、在留資格該当性が認められることは明らかである。 東京入管局長が、原告父母に対しても、当時10歳になろうとしていた原告長男に対しても、原告子らの在留資格の見通しにつき、説明や意 思確認をすることなく、本件各在留資格変更不許可処分を理由に、原告父母が原告子らの法的地位についても同様に放棄するものと評価して行った本件各在留期間更新不許可処分は、事実に対する評価が明白に合理性を欠き、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであって、また、児童の権利に関する条約3条、12条等に違反し、裁量権の範囲の逸脱 又はその濫用に当たる。さらに、難民認定申請手続中は送還されないことが法的に保障されている原告子らにつき、本件各在留期間更新不許可処分をすることは、原告子らが難民認定に係る手続中であることなどを踏まえて原告子らに保障された本邦における在留上の法的地位をはく奪し、退去強制されるべき地位に置くものであり、児童の最善の利益原則 に反する。 被告は、本件各在留期間更新不許可処分の理由として、原告父母が原告子らの在留上の地位保障の必要性を否定してこれを放棄したことを挙げるが、日本で暮らす外国人にとって在留資格は生活の全ての基盤であり、原告父母は就労可能な在留資格が付与されるべきであると考えては いたも 上の地位保障の必要性を否定してこれを放棄したことを挙げるが、日本で暮らす外国人にとって在留資格は生活の全ての基盤であり、原告父母は就労可能な在留資格が付与されるべきであると考えては いたものの、正規滞在者としての地位保障を放棄するまでの意思はなか った。また、東京入管局長が原告父母との間で原告子らの在留資格の見通しについて説明した形跡はなく、そもそも、被告の主張する上記事情は、原告子らの在留資格該当性を否定することに結び付くものではない。 以上のとおり、本件各在留期間更新不許可処分は、事実に対する評価が明白に合理性を欠き、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであ る。 ウ在留期間更新の相当性があること東京入管局長は、児童の権利に関する条約及び児童福祉法が定める児童の最善の利益原則に則って処分を行う義務を負うから、児童が社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきとの観点か ら、児童の最善の利益原則に基づいた処分を行う必要があった。 日本において外国人が生きて行く上で、在留資格の有無は、人権保障の有無を決するほどに重要であり、在留資格を失えば、ほぼ全ての住民サービスから排除されることとなり、生活していく上での不利益が甚大である。原告らは難民認定申請を行っており、難民認定申請者について は送還が禁止されている(入管法61条の2の6第3項)ことから、法的にその間在留することが保障される状態にあり、原告子らは引き続き日本の学校に通うなどして生活することが見込まれ、本件各在留期間更新不許可処分の結果として退去することは想定されていなかった。したがって、原告子らに対して本件各在留期間更新不許可処分を行えば甚大 な不利益が生じることは、東京入管局長にとっても明らかであったから、児 分の結果として退去することは想定されていなかった。したがって、原告子らに対して本件各在留期間更新不許可処分を行えば甚大 な不利益が生じることは、東京入管局長にとっても明らかであったから、児童の最善の利益原則に基づき、在留期間更新を認める相当性があることは明らかであった。 原告らは、仮に在留資格が失われたとしてもなお入管法上送還が禁じられた難民申請者であって(入管法61条の2の6第3項)、退去強制手 続を開始したところで、難民認定申請及び不服審査手続が終了するまで は、原告らが自発的に帰国しない限り、引き続き本邦に在留することが予定されるものである。難民認定申請の一次審査の平均処理期間が約32.2か月、不服申立ての平均処理期間が約20.9か月であることからすると、原告子らに対する本件各在留期間更新不許可処分の結果として想定されるのは、原告父母のみならず原告子らまでもが、相当期間引 き続き日本に在留しながら、在留資格がないものとして健康保険等の行政サービスから排除されるということであり、東京入管の職員において、本件各処分の結果、原告らは日本に在留し続けることはないという誤った認識に基づいた説明を行っていることからすれば、本件各在留期間更新不許可処分は、事実認定の誤りがあり、又は考慮すべき事項を考慮し ておらず、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があることが明らかである。 エ小括以上によれば、本件各在留期間更新不許可処分は、東京入管局長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法なものである。 (被告の主張) ア本件運用との関係について原告子らは、原告父母と同様に、本件各在留期間更新許可申請の時点において、難民該当可能性の高い申請者等には該当しない。 イ在 (被告の主張) ア本件運用との関係について原告子らは、原告父母と同様に、本件各在留期間更新許可申請の時点において、難民該当可能性の高い申請者等には該当しない。 イ在留資格該当性がないこと原告父母は、原告父母の固有の事情に基づく迫害のおそれがあることを 理由とする難民認定手続中ではあるが、同手続中であることを理由とする在留上の地位保障の必要性を自ら否定し、当該地位保障を放棄したものである。 原告らが、原告父母の難民該当性を基礎付ける事情は原告子らの難民該当性を基礎付ける事情である旨主張していることや、原告父母が原告子ら の親権者であり、原告子らの本邦における生活を監護養育すべき立場にあ ることなどからすれば、難民認定申請に伴う原告子らの本邦における活動は、専ら原告父母の本邦における活動に依拠しているものである。そうすると、原告父母が自身の在留資格を放棄したということは、原告子らが難民認定手続中であることなどを踏まえた原告子らの地位についても同様に放棄したものとみるのが相当であり、このように評価することについて 事実の誤認があるとはいえず、また、事実に対する評価が明白に合理性を欠き、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くともいえない。 上記のとおり評価される原告子らについて、「本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)を行う」と認められないことは 明らかである。 ウ在留期間更新の相当性がないこと本件各在留期間更新不許可処分の当時9歳と1歳であった原告子らの年齢を考慮すると、親権者である原告父母の下で生活することが必要であり、原告父母の監護養育から離れ、原告子らだけが本邦に 性がないこと本件各在留期間更新不許可処分の当時9歳と1歳であった原告子らの年齢を考慮すると、親権者である原告父母の下で生活することが必要であり、原告父母の監護養育から離れ、原告子らだけが本邦に在留することは不可 能である。このように、原告子らの在留は原告父母の在留に依存しているところ、本件各在留資格変更不許可処分がされ、原告父母が不法残留となり退去強制手続の対象者となる以上、原告父母の監護養育なしには在留の継続が困難である原告子らの在留期間の更新を認めることは相当ではないとしてされた本件各在留期間更新不許可処分に、裁量権の範囲の逸脱又 はその濫用があるとはいえない。 児童の権利に関する条約は、外国人が本邦で在留する権利まで保障したものではなく、同条約3条1項に規定する「最善の利益」は、飽くまで在留制度の枠内で保障されるにすぎない。また、原告子らが許可されていた在留資格「特定活動」は、本邦において行うことができる活動に制約があ り(入管法2条の2第2項、別表第一)、また、その指定活動も難民認定 申請又は同申請の不認定処分に対する不服申立てをしていることを理由に、同申請又は同不服申立期間中に限り一時的に在留を認められたものにすぎず、難民認定申請が不認定となった場合には、速やかに出国しなければならないものである。したがって、原告子らが同在留資格による在留中に本邦の教育を受け、本邦における生活を継続していたことは、在留資格 制度によって保障された利益ではなく、本邦に在留していることに伴って事実上享受していた利益にすぎないから、同在留資格による在留期間の更新が認められないことにより、原告子らが本邦において教育を受ける権利・利益が侵害されるということはできない。 エ以上によれば、本件各在留期間更新不許可処 ぎないから、同在留資格による在留期間の更新が認められないことにより、原告子らが本邦において教育を受ける権利・利益が侵害されるということはできない。 エ以上によれば、本件各在留期間更新不許可処分につき、東京入管局長に 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 ⑶ 争点3(本件不受理行為の処分性)について(原告の主張)ア在留期間更新許可申請は、申請人が現に在留資格を有しており、かつ、その在留期間が満了していないことが法律上の形式的要件になっているが、 入管当局においては、在留期間を徒過した者からなされた申請を受け付けて審査する、「特別受理」と呼ばれる例外的な運用が確立している。実際に特別受理がされた場合には、従前の在留期間の満了の時点と在留期間更新等が認められた時点の間が非正規滞在とならないように短期滞在の在留資格が付与され、適法な滞在が継続することになり、当該外国人は、入管法 20条1項や21条1項等に基づいて在留資格変更許可や在留期間更新許可等を受けるとされるものであり、特別受理をしない(不受理とする)という決定をする場合には、当該外国人が非正規滞在者となることが確定するから、「公権力の主体たる国又は地方公共団体の行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確立すること が法律上認められているもの」として、行政事件訴訟法3条2項の「行政 庁の処分」に該当する。 したがって、本件不受理行為は申請に対する拒否処分に該当し、処分性が認められ、取消訴訟の対象となる。 イ被告は、在留期間満了後の者に申請権がないことを指摘するが、在留特別許可をしない処分については、申請権がなくても処分であることには争 いがないから、当該行為に対する申請権があるか となる。 イ被告は、在留期間満了後の者に申請権がないことを指摘するが、在留特別許可をしない処分については、申請権がなくても処分であることには争 いがないから、当該行為に対する申請権があるか否かは処分性の判断に当たって重要ではない。 むしろ、いわゆる特別受理は、過失により在留期間を徒過した場合などに現に行われており、これによる許可もされているところ、こうした運用が適法であるのは、いわゆる特別受理をされる申請もまた、入管法上の通 常の申請(同法21条3項)に該当するためである。したがって、いわゆる特別受理をしないという決定は、申請に対する拒否処分と解するほかない。 (被告の主張)入管法においては、在留資格を有しない外国人について、在留期間更新許 可に係る申請権を認めない立法政策を採用しているから、法務大臣等には、在留資格を有しない外国人がした在留期間更新許可申請に対する応答義務はない。原告らが令和2年7月21日にした在留期間更新許可申請は、法務大臣等に対して在留期間更新許可に係る職権発動を求めるものにすぎないから、これを受け付けなかったことは行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分」 に該当するものではない。 入管当局においては、特別な事情がある場合に当該申請者を救済する見地から、入管法の規定にかかわらず、申請を受け付けた上で許可するという運用を行っているところ、同運用もコロナ禍の運用も、同法の規定によらず事実上行っている実務上の運用にすぎないから、上記「行政庁の処分」には該 当しない。 以上のとおり、本件不受理行為の取消しを求める訴えは処分性を欠く行為の取消しを求めるものであり、不適法である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の のとおり、本件不受理行為の取消しを求める訴えは処分性を欠く行為の取消しを求めるものであり、不適法である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ、こ の認定を左右するに足りる証拠はない。 エチオピアの一般情勢ア現在のエチオピア(エチオピア連邦民主共和国)は、その前身であるエチオピア人民民主共和国が1991年5月にEPRDFの軍事攻勢によって崩壊した後、EPRDFによる暫定政権の樹立と、1995年の選挙 を経て、同年8月に成立した。 イエチオピアは、10の州と2つの自治政府から成る連邦共和制の国家である。議会は人民代表議会(下院)と連邦議会(上院)の二院制であり、選挙は5年ごとに実施されている。 アムハラ族が全人口の約3割を占め、アムハラ語が公用語とされる。ア ムハラ族の政党であるANDMは、与党であるEPRDFと同盟関係を結んでいた。(乙15、16、18、22)ウエチオピアでは、2005年5月に第3回国政選挙が実施され、統一民主連合(CUD)が人民代表議会(下院)の547議席中109議席を獲得して野党第一党となり、EPRDFを軸とした政府与党が同選挙で不正 に及んだと主張し、同選挙後に発生した騒擾事件では193名の市民と3名の警察官が死亡したほか、その取締りにおいて、統一民主連合(CUD)の関係者を含む1万名以上が逮捕された。 エチオピアの外務省は、各国のエチオピア大使館に対し、「政府や民衆に課せられた責任を不当に利用して逃亡した者達を法的に責任が問われる ようにするため」に在外に逃亡した活動家等を把握して本国に報告するよ うに求めた。 エ 2010年5月に実施され 課せられた責任を不当に利用して逃亡した者達を法的に責任が問われる ようにするため」に在外に逃亡した活動家等を把握して本国に報告するよ うに求めた。 エ 2010年5月に実施された第4回国政選挙においては、EPRDFとその支持政党が人民代表議会(下院)の547議席のうち545議席を獲得し、同時に行われた地方議会の選挙においても、1904議席のうち1903議席を獲得した。 2015年5月に実施された第5回国政選挙においては、EPRDFとその支持政党が人民代表議会(下院)の全議席を獲得したが、これについては、野党党員や支持者及びジャーナリストへの嫌がらせや脅迫などがあった旨及び政治的に動機付けられた訴追や身体拘束などの疑いがあった旨の指摘がされていた。 オアムネスティ・インターナショナルほかの団体は、2016年9月8日、国際連合人権理事会に対し、同年8月にエチオピアのアムハラ州及びオロミヤ州で行われたデモに対して治安部隊が繰り返し発砲を行った事件を発端に、デモ参加者が100人以上が殺害され、多数の人が逮捕され、人権活動家、報道関係者等も迫害の対象とし、政治的な動機で起訴するなど しているとして、エチオピアの人権侵害の解決を求める共同声明を出した。 エチオピア政府は、2016年10月8日、オロミヤ州及びアムハラ州で起きているデモと暴力への対応として、ソーシャルメディアを利用すること、放送メディアを視聴すること、抗議運動に参加すること、許可なく公共の場で政治的なジェスチャーをすること等を禁止する内容の非常事 態宣言を出した。これに対し、米国国務省は、「令状なしに拘留を行う権限を与え、インターネットへのアクセス制限、集会の禁止、夜間外出禁止令の発令といった言論の自由を と等を禁止する内容の非常事 態宣言を出した。これに対し、米国国務省は、「令状なしに拘留を行う権限を与え、インターネットへのアクセス制限、集会の禁止、夜間外出禁止令の発令といった言論の自由を更に制限するこの決定の潜在的影響について懸念を抱いている」ことを表明した。 国連から派遣された人権の専門家は、2016年10月頃、エチオピア 政府に対し、デモ参加者への暴力的な弾圧の中止を要請するため、抗議運 動と非暴力的なデモ参加者に対する暴力に関する国際調査委員会の調査の実施を受け入れるように勧告した。 上記非常事態宣言は2017年8月に解除されたが、2018年2月に当時の首相が辞任を表明したことにより再度非常事態宣言が発出された。 人民代表議会は、同年4月2日、EPRDFのアビィ新議長を首相に選出 した。アビィ首相は就任演説において、政府当局による弾圧ではなく、議論を通じて反政府デモの沈静化を目指す考えを表明した。 令和2年(2020年)12月4日、本邦の外務大臣は、エチオピア情勢の悪化が長期に及んでおり、武力衝突により多数の死傷者、多くの避難民が生じていることに深刻な懸念を表明した。 (甲24~35、37、乙15~22)原告父母の難民認定申請書等の記載内容ア原告父難民認定申請書には、人種及び政治的意見を理由に国家機関(協同組合機関)から迫害を受けるおそれがある旨、2015年から定常的に迫害を受けるおそれを感じていた旨、原告父はアムハラ族の人権及び 民主主義について闘争するANDMの党員であったが、当時、原告父と他のANDMの党員たち及びEPRDFの党員たちとの間には意見の相違があり、党員のあるグループは原告らの襲撃を組織化し、原告父母を失職させようとし、原告父の跡 NDMの党員であったが、当時、原告父と他のANDMの党員たち及びEPRDFの党員たちとの間には意見の相違があり、党員のあるグループは原告らの襲撃を組織化し、原告父母を失職させようとし、原告父の跡を付けた旨、仮に原告父が本国に帰国したら、政党のグループが原告らの跡を付け、職に就けないようにし、安 定した状態で生活できないようにし、肉体的にも精神的にも攻撃するであろう旨、原告父が本国において逮捕・起訴されたことはない旨の記載がある(乙3の1)。 本件添付書面には、①原告父が農業省管下の協同組合機関において訓練コーディネーターとして働いていた2014年から2016年にかけ て、良好なガバナンスに関する問題(民族区分により加えられる差別、 規則及び規制の濫用、腐敗)についてエチオピア政府の政治的リーダーとの間の深刻な対立に直面したこと、②農業省におけるEPRDF及びANDMの会合で上記①につき問題提起したが受け入れられず、副大臣及び機関の理事長が原告父を政治的な地位から追放することに合意し、組織的に嫌がらせを始めたこと、③具体的な迫害内容は、原告父をプロ グラム・コーディネーターから解任する、原告父を他の部局へ業務転換させる書簡を作成する、原告父を職務から解任するために綱紀委員会に提訴する書簡を作成する、原告父に月額報酬を支払わない旨の書簡を作成するというものであったこと、④原告父は解職の書簡を受け取った後に離職の書簡を書いたこと、⑤原告父が保健省の管下の組織においてプ ロジェクト・チームリーダーとして勤務していたところ、協同組合機関の理事長が原告の勤務していた上記組織に書簡を書いて原告父へのヘイトスピーチを表明したこと、⑥原告父に不利な判断をした綱紀委員会の決定は、より上級の公務員裁判所において撤回され ところ、協同組合機関の理事長が原告の勤務していた上記組織に書簡を書いて原告父へのヘイトスピーチを表明したこと、⑥原告父に不利な判断をした綱紀委員会の決定は、より上級の公務員裁判所において撤回されたこと、⑦協同組合機関の理事長は裁判所の判断に失望し、原告父及びその家族に対して他 の嫌がらせを計画し、実行したため、業務環境が悪くなり、原告父及びその家族の生活に対して攻撃を行うために跡を付けたこと、⑧原告父は、上記⑦の行為がされたのは原告父の政治的な意見及びアムハラ族の一人であることが理由であると認識し、エチオピアから出ていくために日本の奨学金を取得し、大学院プログラムの教育を受けることとしたことが 記載されている(乙4)。 イ原告母難民認定申請書には、人種及び民族に基盤を置いた政治的影響を理由に国家機関から迫害を受けるおそれがある旨、2014年から2017年にかけて迫害を受けるおそれを感じていた旨、本国において、2016年(エチオピア暦2008年)に職場の責任者から、原告母が作成した 報道記事を印刷メディアに送付したことにつき訴状が送られてきたこと がある旨、原告母が自由に働けないように問題を生み出し、昇進や諸利益を失わせ、訴訟を起こして失職させようとし、性的な挑発を行い、賃借していたあらゆる家で監視を行っては住居を失わせていた旨、仮に原告母が本国に帰国したら、仕事を得ることができず、公安部隊と警察に監視され、落ち着いて暮らせないように影響が行使されるであろう旨、原告父は20 16年(エチオピア暦2008年)に上司の命令により仕事ができなくさせられ、二男に対しては、2015年(エチオピア暦2007年)に乳母と関係を結び、大きな健康障害を被らせ、最終的には死に直面させられた旨、原告母が本国において警察に 上司の命令により仕事ができなくさせられ、二男に対しては、2015年(エチオピア暦2007年)に乳母と関係を結び、大きな健康障害を被らせ、最終的には死に直面させられた旨、原告母が本国において警察に逮捕・起訴されたことはない旨の記載がある(乙3の2)。 ウ原告子ら難民認定申請に係る難民認定申請書には、迫害を受ける理由として、原告父母の抱えている問題のために、国家機関から、仕事ができないようにされたり、不要な起訴がされるおそれがある旨の記載がある(乙3の3・4)。 エ原告ら難民認定申請について原告らが提出した難民認定申請書及び本 件添付書面等については、令和元年8月27日、全頁が日本語に翻訳された(乙3の1~4、乙38)。 令和2年5月14日の東京入管におけるやり取り等ア東京入管局長は、令和2年5月14日より前に、原告父母の本件各在留資格変更許可申請については不許可とするが、原告父母が申請内容を在留 期間更新に変更した場合は同申請を許可するという方針を決定しており、また、原告子らの本件各在留期間更新許可申請については、原告父母において上記のとおり申請内容を在留期間更新に変更した場合には許可し、変更しなかった場合には不許可とする見込みとしていた。なお、東京入管は、当時の一般的な取扱いとして、入管法20条6項に定める期間内に不許可 処分を行うことにより、その時から不法残留になり退去強制手続に付され ることとなる者に対しては、申請者への配慮として、申請変更申出の案内を行うこととしていた。(証人E)イ難民調査部門に所属し、在留審査業務を行っていたEは、令和2年5月14日、本件各在留資格変更許可申請につき、申請変更申出の案内を含めた一連の告知手続を行うため、難民調査部門の調室(以下、単に「 イ難民調査部門に所属し、在留審査業務を行っていたEは、令和2年5月14日、本件各在留資格変更許可申請につき、申請変更申出の案内を含めた一連の告知手続を行うため、難民調査部門の調室(以下、単に「調室」 という。)に原告父母を呼び入れた。調室にはEのほかに入国審査官1名及びアムハラ語の通訳人1名が同席しており、原告子らは調室の外で待機していた。 Eは、原告父母に対し、申請内容を在留期間更新に変更しないのであれば、本件各在留資格変更許可申請について不許可処分の告知を受けること となり、不許可処分の告知を受けた場合、現在の在留資格が失われて不法残留になり、退去強制手続が開始される旨、申請内容を変更するためには申出書を提出する必要がある旨を説明した。原告父は、原告三男が生まれたため、原告父が働かなければ家族が生きていくことができず意味がないとして、申請内容は変更しない旨回答し、原告母は原告父を見守っていた。 Eは、原告父母に対し、上記の説明を繰り返すとともに、就労制限は国が決めた運用であるから、就労制限のない在留資格への変更は許可することができないと告げ、同日は申請変更申出をして、原告父母が現に保有している特定活動(就労不可)の在留期間更新の許可を受け、その上で、入管当局に対し、原告父母難民認定申請について早急に対応してもらうよう提 案してみたらどうかと勧めた。 Eの上記説明等に対しても、原告父が申請内容を変更しない旨述べたため、Eは、同席していた入国審査官に、Eがした説明と同じ説明を行うよう指示した上で調室を出て、別室の上司に状況を報告した。Eは、上司から、本件運用を決めたのは国であることについて原告父母が知らない可能 性があることから、平成30年1月12日付けで法務省が発表した本件運 用に関する の上司に状況を報告した。Eは、上司から、本件運用を決めたのは国であることについて原告父母が知らない可能 性があることから、平成30年1月12日付けで法務省が発表した本件運 用に関する資料を原告父に見せて、同資料に記載されている就労制限の規定を読み上げて説明するよう指示を受けた。 Eは、調室に戻り、原告父に対して上記資料を見せ、アムハラ語の通訳人を介して、同資料は国が正式に発表したものであることを説明し、同資料の就労制限の規定の部分を読み上げ、本件運用においては「在留活動を 行わなくなった後に申請した申請者(初回申請)」が就労制限の対象となっていることを説明した。これに対し、原告父は、上記資料と同じ内容の資料をバッグの中から取り出し、本件運用の就労制限については理解しているが、原告父は就労制限の対象者には該当しない旨述べた。 Eは、説明開始から約1時間経過後、原告父母に対し、アムハラ語の通 訳人を介して、申請内容を変更しないことについて最終確認を行うと告げた上で、申請内容を変更しなければ不許可処分を受け、不法残留となって退去強制手続が開始されることを理解しているのか、それでもなお申請内容を変更せず、就労可能な在留資格を希望するのかと質問した。原告父母ともに、そのことについては理解しており、それでも申請内容は変更しな い旨回答した。 Eは、同席していた入国審査官に対し、現在の状況を別室の上司に伝え、指示を仰ぐよう伝えた。別室の上司のもとに赴き、調室に戻ってきた入国審査官は、Eに対し、上司の指示として、原告父母の本件各在留資格変更許可申請に対する不許可処分が決定されたこと、原告子らは9歳と1歳で あり、原告父母の監護養育を離れて原告子らだけで本邦に在留することが不可能であるから、原告父母が不許可処分 件各在留資格変更許可申請に対する不許可処分が決定されたこと、原告子らは9歳と1歳で あり、原告父母の監護養育を離れて原告子らだけで本邦に在留することが不可能であるから、原告父母が不許可処分を受けて退去強制手続が開始されることで、原告子らについても在留期間の更新を認める相当の理由がなくなったため、原告子らの本件各在留期間更新許可申請についても不許可とすること、いずれについても令和2年5月14日当日に不許可処分の告 知を行うということを伝えた。Eは、原告父母に対し、本件各在留資格変 更許可申請が不許可となって原告父母が不法残留になることにより、原告子らの本件各在留期間更新許可申請についても不許可となり、原告子らも不法残留となる旨説明したが、原告父母は申請内容を変更しない旨回答した。なお、原告父は、上記の一連の手続の中で、Eに対し、Eの上司を調室に呼ぶよう求めたが、Eは自分が話を聞く旨回答し、これに応じなかっ た。 Eは、令和2年5月14日の正午過ぎ頃、調室において、原告父に対し、アムハラ語の通訳人を介して、原告父に係る在留資格変更不許可申請について不許可処分の告知をし、通知書につき署名をすることを求めた。原告父は、無言で立ち上がって退室し、調室の近くで叫び始め、Eの制止を受 けてもなお叫び続けた。他の難民調査部門の職員が10名ほど駆けつけて原告父に調室に戻るよう促し、原告父は調室に戻ったが、落ち着いては興奮し、何かを叫ぶという行動を繰り返した。 Eは、原告父が落ち着きを取り戻した後、原告母に対し、原告母に係る在留資格変更不許可申請について不許可処分の告知をしたが、原告母は、 通知書に対する署名を拒否した。また、Eは、原告父母に対し、原告子らの本件各在留期間更新許可申請について不許可処分の告知をした 留資格変更不許可申請について不許可処分の告知をしたが、原告母は、 通知書に対する署名を拒否した。また、Eは、原告父母に対し、原告子らの本件各在留期間更新許可申請について不許可処分の告知をしたが、原告父は通知書に対する署名を拒否した。 (乙7の1~4、乙13、29、30、41、証人E、原告父本人、原告母本人) 2 争点1(本件各在留資格変更不許可処分の適法性)について在留資格の変更に関する法務大臣等の裁量権についてア憲法は、日本国内における居住及び移転の自由を保障する(22条1項)にとどまり、外国人が本邦に入国し又は在留することについては何ら規定しておらず、国に対し外国人の入国又は在留を許容することを義務付ける 規定も存在しない。このことは、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れ る義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていることと、その考えを同じくするものと解される。したがって、憲法上、外国人は、本邦に入国する自由を保障されているものでないことはもとより、本邦に 在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもなく、入管法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ本邦に在留し得る地位を認められているものと解すべきである(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁、最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日 大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照)。 イ入管法は、上記アの理解を前提として、外国人が在留中に従事する活動又は在留中の活動の基礎となる身分若しくは地 3594号同32年6月19日 大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照)。 イ入管法は、上記アの理解を前提として、外国人が在留中に従事する活動又は在留中の活動の基礎となる身分若しくは地位に着目してこれを類型化し、各種の在留資格を定め(別表第一及び第二)、本邦に在留する外国人は、当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る 在留資格又はそれらの変更に係る在留資格をもって在留するものとし(2条の2第1項)、各在留資格に応じて定められた活動又は身分若しくは地位を有する者としての活動を認め(同条2項)、各在留資格に応じて定められた在留期間に限ってその在留を認めることとしている(同条3項)。そして、同法は、在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務 大臣に対しこれを申請しなければならないものとし(20条2項本文)、申請があった場合に、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができるものと定めている(同条3項本文)。 また、在留資格の変更の制度は、本邦に在留中の外国人が、その行お うとする活動を変更し、新たに行おうとする活動に応じた在留資格の取 得を希望する場合に、法務大臣が、当該外国人がその新たに行おうとする活動に係る在留資格に該当するか否かを審査した上で在留資格の変更の許否を判断するものであるから、在留資格の変更が認められるためには、当該外国人が新たに取得することを希望する在留資格に該当することも当然に必要となるものと解される。 入管法は、別表第一の五において、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を行うことができる在留資格として「特定活動」を定めているところ、その趣旨は、同法別表第一 のと解される。 入管法は、別表第一の五において、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を行うことができる在留資格として「特定活動」を定めているところ、その趣旨は、同法別表第一の一から四までの下欄に掲げられている活動類型のいずれにも該当しない活動を行おうとする外国人に対し、人道上の理由その他特別な事情を考慮し、その上陸、在 留を認めることが必要となる場合や、我が国の社会、経済等の情勢の変化により、これらの表の下欄に掲げられている活動類型のいずれにも該当しない活動を行う外国人の上陸、在留を認める必要が生じる場合等に臨機に対応するため、別表第一の一から四までの下欄に掲げられている活動類型のいずれにも該当しない活動を行うため上陸、在留しようとす る外国人を受け入れることができるようにする点にあると解される。そして、法務大臣は、いわゆる特定活動告示において、特定活動の在留資格に該当する活動を定めているところ、上記のとおり在留資格の要件が概括的に規定され、判断基準が特に定められていないことに加え、外国人の出入国管理については、国内の治安と善良な風俗の維持、保健及 び衛生の確保、労働市場の安定等の国益の保持の見地に立って、諸般の事情をしんしゃくして時宜に応じた的確な判断をすることが求められるから、「特定活動」への在留資格の変更の許否に係る判断は、法務大臣等の広範な裁量に委ねられているというべきである。 一方で、難民の認定等に関する法の趣旨に照らせば、法務大臣が外国 人の在留の許否を判断するための在留の必要性・相当性等を審査するに 当たっては、当該外国人の難民認定申請の有無や申請理由等をも考慮することが当然に予定されているものといえる。入管当局において、平成22年3月以降、正規滞在者 留の必要性・相当性等を審査するに 当たっては、当該外国人の難民認定申請の有無や申請理由等をも考慮することが当然に予定されているものといえる。入管当局において、平成22年3月以降、正規滞在者から難民認定申請があった場合に、難民認定手続中の生活の安定に配慮して、一定の期間、いわゆる特定活動告示に該当しない者である難民認定申請者について原則として「特定活動」 の在留資格を付与する運用が行われてきたことも、上記の法の趣旨を踏まえたものと認められる。 以上によれば、法務大臣が在留資格の変更の許否を決するに当たり、その判断の基礎とされた難民認定申請の有無や申請理由等に関する重要な事実について、事実の基礎を欠き、又は事実に対する評価が明白に合 理性を欠くこと等により、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には、その判断はその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとして違法であるとするのが相当であり、その理は、「特定活動」の在留資格を有する者が別の「特定活動」への在留資格の変更を申請する場合についても同様というべきである。そして、このこ とは、権限の委任を受けた地方出入国在留管理局長についても同じである。 判断 本件において問題となっているのは、本件運用に基づき、原告父母につき就労制限の対象になるとしてした本件各在留資格変更不許可処分が、東京入 管局長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法となるか否かである。以下、①本件運用自体に合理性があるか否か、②原告父母についての本件運用の適用につき違法性があるか否か、③令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことにつき違法性があるか否かの順で検討することとする。 ア本件運用自体に合理性があるか否か 運用の適用につき違法性があるか否か、③令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことにつき違法性があるか否かの順で検討することとする。 ア本件運用自体に合理性があるか否か 上記第2の1のとおり、本件運用は、平成27年以降難民認定申請者数が急増し、真の難民の迅速な保護に支障を生じさせる事態となっているとして、難民認定制度の適正化に向けて更なる運用の見直しをしたことにより始まったものであり、申請受理後、①難民該当可能性の高い申請者等を振り分けて速やかに就労制限のない「特定活動」の在留資格を付与し、② それ以外の申請者で初回の申請者のうち、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行った者については「特定活動」の在留資格を付与するが就労制限の対象とし、在留期間も3か月とするというものである。 証拠(乙12)によれば、難民認定申請数は、平成20年から平成23 年までは約1200人から約1900人の間を推移し、平成24年には2545人、平成25年は3260人、平成26年は5000人と急増したところ、さらに、平成27年には7586人、平成28年には1万0901人、平成29年には1万9629人となり、平成29年は平成25年と比較すると約6倍、平成28年と比較しても約2倍増加していたこと、平 成29年の不認定者の主な申立て内容は、知人、近隣住民、マフィア等とのトラブルを申し立てるものが約48%、遺産相続や夫婦喧嘩など親族間のトラブルを申し立てるものが約5%、本邦で稼働を希望するものが約3%と、その事由のみを見た場合に難民該当可能性の高い申請者等とは直ちにはいえないものが半分を超えていたことが認められる。以上によれば、 真の難民の迅速な保護のため、難民認定制度 するものが約3%と、その事由のみを見た場合に難民該当可能性の高い申請者等とは直ちにはいえないものが半分を超えていたことが認められる。以上によれば、 真の難民の迅速な保護のため、難民認定制度の適正化に向けた運用の見直しとして、難民該当可能性の高い申請者等を振り分けた上で、濫用・誤用的な申請である可能性が高い者については在留制限の措置を、就労や在留の継続を目的とした濫用・誤用的な申請の可能性が高い者については就労制限の措置を、それ以外の者については申請等から6か月以内であれば在 留期間3か月の就労制限を付した「特定活動」の在留資格を付与した上で、 申請等から6か月経過した後は就労可能な「特定活動」の在留資格を付与することとした本件運用は、目的及び手段のいずれの面からみても合理性があるものといえる。 イ原告父母についての本件運用の適用につき違法性があるか否か 本件運用の適用に当たり、原告父母が難民該当可能性の高い申請者等 に当たらないとしたことについてa 上記イで説示したとおり、「特定活動」への在留資格の変更の許否に係る判断は、法務大臣等の広範な裁量に委ねられており、法務大臣等は、同裁量の中で、外国人の在留の許否を判断するための在留の必要性・相当性等を審査するに当たり、当該外国人の難民認定申請の 有無や申請理由等をも考慮することが当然に予定されているものである。 前提事実⑶アのとおり、本件各在留資格変更許可申請に係る原告父母の各申請書において、いずれも活動内容が「難民」である旨記載されていることからすれば、東京入管局長は、本件各在留資格変更許 可申請の判断をするに当たり、原告父母難民認定申請に係る各申請書及びその添付資料等の記載内容をも基礎資料とし、原告父母の出入 載されていることからすれば、東京入管局長は、本件各在留資格変更許 可申請の判断をするに当たり、原告父母難民認定申請に係る各申請書及びその添付資料等の記載内容をも基礎資料とし、原告父母の出入国及び在留の状況や本国情勢等を併せて考慮した上で、入管法20条1項の要件、すなわち難民認定申請者であることにより「特定活動(就労可)」、在留期間「6か月」の在留資格への変更要件を満たすか否か を判断するべきものであるから、本件において難民の該当可能性の高い申請者等に当たらないとしたことについて、東京入管局長の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるといえるか否かが問題となる。 b入管法にいう「難民」とは、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受ける おそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国 の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」をいう(入管法2条3号の2、難民条約1条A、難民の地位に関する議定書1条2項)。 そして、上記の「迫害」とは、通常人において受忍し得ない苦痛 をもたらす攻撃又は圧迫、すなわち、生命若しくは身体の自由又はこれに匹敵する重大な自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当である。また、上記の「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」といえるためには、その者が主観的に「迫害」を受けるおそれがあるとの恐怖を抱いているというだ けでは足りず、通常人がその者と同一の立場に置かれた場合にも「迫害」を受けるおそれがあるとの恐怖を抱かせるに足りる客観的事情が存在することが必要であると解される。 の恐怖を抱いているというだ けでは足りず、通常人がその者と同一の立場に置かれた場合にも「迫害」を受けるおそれがあるとの恐怖を抱かせるに足りる客観的事情が存在することが必要であると解される。 ⒝ 認定事実エのとおり、原告父母難民認定申請に係る各申請書及び本件添付書面については、本件各在留資格変更許可申請がされた 令和2年3月16日よりも前の令和元年8月27日にその全頁が日本語に翻訳されていたことからすると、本件各在留資格変更許可申請の判断に際して基礎資料とされていたものと認められる。 原告父難民認定申請に係る各申請書及び本件添付書面には、認定 事実 アのとおり、農水省管下の協同組合機関に勤務していた際に エチオピア政府の政治的リーダーとの間の深刻な対立に直面したことにより職を解かれ、新しく得た職の業務においても嫌がらせを受け、原告父及びその家族の生活に対して攻撃するために跡を付けられたことから、エチオピアから出ていくためにABEイニシアティブを受けることにした旨や、原告父が本国において警察に逮捕・起 訴されたことはない旨の記載があり、また、原告母難民認定申請書 には、認定事実イのとおり、原告母が作成した報道記事を印刷メディアに送付したことにつき訴状が送られ、訴訟提起等によって失職させられそうになり、賃借していた家でも監視されていた旨、二男が大きな健康障害を被り死亡した旨や、原告母が本国において警察に逮捕・起訴されたことはない旨の記載がある。 エチオピア本国の情勢等は、認定事実のとおり、2005年に実施された第3回国政選挙以降、与党が野党の選挙活動等を妨害したとして関係が悪化しており、また、2015年に実施された第5回国政選挙においては、野党党員や支持者及びジャーナリストへ り、2005年に実施された第3回国政選挙以降、与党が野党の選挙活動等を妨害したとして関係が悪化しており、また、2015年に実施された第5回国政選挙においては、野党党員や支持者及びジャーナリストへの嫌がらせや脅迫などがあったとの指摘等がされており、2016年 以降はアムハラ州及びオロミヤ州において起きたデモに対して暴力的な弾圧が行われた等の事情が認められるところ、これは、原告父母が野党党員又はジャーナリストとして、仕事又は生活について与党からの嫌がらせを受けたとの内容を含む、原告父母難民認定申請に係る各申請書及び本件添付書面の記載内容と矛盾するものではな い。 他方、原告父母は、それぞれの難民認定申請に係る各申請書において、本国で逮捕・起訴されたことがないことを認めていることに加え、前提事実のとおり、原告父は平成28年9月に、エチオピア政府の要請を受けたABEイニシアティブのプログラムへの参加 を申し込み、選考を経て本邦に入国したこと、原告父は平成29年2月から平成30年7月にかけて3回にわたりエチオピアに帰国しており、また難民認定申請をしたのは平成28年9月に入国してから約2年9か月後の、原告父の本来の在留資格であった「留学」に該当する活動を行わなくなった後である令和元年6月17日である こと、原告母及び原告長男が難民認定申請をしたのは平成29年7 月に本邦に入国してから約2年後の令和元年7月であったこと、原告らはエチオピア当局から旅券の交付を受け、又はその申請をしていたことという事情もある。 これらを総合的に考慮し、東京入管局長が本件各在留資格変更許可申請の判断をするに当たって、原告父母が本国において逮捕・起 訴などの身体的拘束を受けていないことや、本邦入国後の出入国の状況、難民認定 らを総合的に考慮し、東京入管局長が本件各在留資格変更許可申請の判断をするに当たって、原告父母が本国において逮捕・起 訴などの身体的拘束を受けていないことや、本邦入国後の出入国の状況、難民認定申請の時期等を重視し、生命若しくは身体の自由又はこれに匹敵する重大な自由の侵害又は抑圧を受けるおそれがあるとの恐怖を抱かせるに足りる客観的事情が存在しないと評価したとしても、その評価が明白に合理性を欠くとはいえない。 c したがって、原告父母が難民該当可能性の高い申請者等には当たらないとした東京入管局長の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 原告父母が本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行った者として就労制限の対象となるとしたことについて a 前提事実ア、及び、イ及びのとおり、原告父母は、原告父の本来の在留資格「留学」に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行っていること、原告母の在留資格「家族滞在」は「留学」の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者として付与されたものであること(入管法別表第一の四)からすれば、原告父母 は、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行った者に該当し、本件運用上、就労制限の対象となることとなる。 b 原告らは、原告父母は在留資格「留学」に該当する活動を途中で止めたのではなく、満了した後に日本に残ることができる方法を検討し たが、万策尽きて難民認定申請を行うに至ったのであり、本件運用に いう就労制限の対象となるものではないと主張する。 しかし、第2の1ウのとおり、本件運用が本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行 あり、本件運用に いう就労制限の対象となるものではないと主張する。 しかし、第2の1ウのとおり、本件運用が本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民認定申請を行った者を就労制限の対象としたのは、本来の在留資格に該当する活動を続けながらでも難民認定申請ができるにもかかわらず在留する根拠を喪失した後に申 請していることをもって、就労や在留の継続を目的とした濫用・誤用的な申請の可能性が高いものとしたためなのであるから、在留資格「留学」に該当する活動を全うしたか否かは、就労制限の対象となるか否かに影響するものではない。 また、上記b⒝で説示したとおり、原告父は在留資格「留学」と する上陸許可を受けてから約2年9か月もの間、原告母は在留資格「家族滞在」とする上陸許可を受けてから約2年間もの間、いずれも難民認定申請をしていなかったのであり、特に難民認定申請を妨げる事情も見当たらないことからすれば、本件運用にいう就労制限の対象から除外されることにはならない。 原告父は、本人尋問において、平成28年に本邦に入国した後すぐに難民認定申請をしなかった理由として、ABEイニシアティブプログラムの途中で難民認定申請をするとJICAの職員によく思われないと思ったこと、及び学業を続けながら難民認定申請ができるか否かの情報を持っておらず、また周りの人から難民認定申請を勧められる ことがなかったことを挙げるが、通常人が迫害を受けるおそれがあるとの恐怖を抱くような立場に置かれた場合、少なくとも本来の在留資格を喪失する前に入管当局等に問い合わせるなどして自分や家族の身の振り方を考えるのが通常であると解されることからすれば、原告父の上記供述は難民認定申請の時期が遅れたことの合 、少なくとも本来の在留資格を喪失する前に入管当局等に問い合わせるなどして自分や家族の身の振り方を考えるのが通常であると解されることからすれば、原告父の上記供述は難民認定申請の時期が遅れたことの合理的な理由となる ものではない。 したがって、原告らの上記主張を採用することはできない。 小括以上によれば、東京入管局長が、原告父母について難民該当可能性の高い申請者等に当たらないとし、かつ、就労制限の対象としたことが違法であるとはいえず、原告父母についての本件運用の適用について違法 性があるとはいえない。 ウ令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことにつき違法性があるか否か a 上記ア、イで説示したとおり、外国人は、入管法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ本邦に在留し得る地位を認められてい るものであり、「特定活動」への在留資格の変更の許否に係る判断は、法務大臣等の広範な裁量に委ねられていることからすれば、外国人が本邦に在留する期待を有していたとしても、それが直ちに法的保護に値するものであるとはいえない。 b 本件については、前提事実⑵ア及びイ並びに⑶アのとおり、 本件各在留資格更新申請をした令和2年3月16日の時点で原告父母が有していた在留資格は、同年4月22日を在留期限とする「特定活動(就労不可)」であったところ、同年5月14日の時点では既に在留期間を満了していたことから、原告父母は、同時点において、入管法20条6項により特例的に本件各在留資格更新申請の処分時又は同年 6月22日を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間、引き続き「特定活動(就労不可)」をもって本邦に在留することができる地位にあったも 特例的に本件各在留資格更新申請の処分時又は同年 6月22日を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間、引き続き「特定活動(就労不可)」をもって本邦に在留することができる地位にあったものにすぎず、同日までの適法な在留が当然に保障されていたものではない。 一方、原告父母は難民認定申請をした者であり(前提事実ア及 びイ)、本件各在留資格変更不許可処分の時点では、難民認定申請に 係る一連の手続は終了していなかったこと(前提事実⑶イ)から、本件各在留資格変更不許可処分により不法残留となった後でも、難民認定申請に係る一連の手続が終了するまでの間は送還が停止されることが入管法上保障される地位にあったものである。 c 行政庁には、申請人からの申請に対し遅滞なく審査を行った上で処 分するべき一般的な義務があるから、本件のように、在留資格変更許可申請について不許可処分となる見込みである申請人が、行政庁からの促しを受けても申請変更申出をしない場合において、そのまま処分を告知することが直ちに違法となるとはいえない。 そして、本件においては、認定事実のとおり、E及び同席してい た入国審査官が、本件各在留資格変更不許可処分を告知するに当たり、原告父母に対し、本件各在留資格変更許可申請が不許可となる見込みであり、不許可となった場合には不法残留となり、原告子らの本件各在留期間更新許可申請も不許可となる見込みであることと、申請変更申出をした場合には許可される見込みであることを、アムハラ語の通 訳人を介して告げ、本件各在留資格変更不許可処分の告知まで2時間以上にわたり説明を繰り返したにもかかわらず、原告父母が申請変更申出をすることを一貫して拒否しているという事情があったのであり、このような事情に照らすと、原告父 留資格変更不許可処分の告知まで2時間以上にわたり説明を繰り返したにもかかわらず、原告父母が申請変更申出をすることを一貫して拒否しているという事情があったのであり、このような事情に照らすと、原告父母に申請変更申出の意思はないとして、当日中に本件各在留資格変更不許可処分の告知をすることとし た東京入管局長の判断は、原告父母が本件各在留資格変更不許可処分により、難民認定申請に係る一連の手続が終了するまで本邦に不法に残留するという立場になる(上記b)ことを踏まえても、信義則に反し、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいい難い。 原告らは、冷却期間を置くなどの措置が執られずにされた本件各在留 資格変更不許可処分は信義則に反し違法であると主張する。 a 原告らは、令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をするべきではなかった根拠として、①原告父母には正規滞在者としての地位保障を放棄するまでの意思はなかったこと、②本件各在留資格変更不許可処分当時、原告父が相当に興奮しており、高熱を出すなど体調も悪かったことを挙げる。 原告父母の地位保障の放棄意思の有無に係る主張について原告父母は、その本人尋問において、令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分を受けた後も、当時有していた在留資格の在留期限である同年6月22日までは在留資格があると考えていたため、不法残留にはなっていないという認識であったと供述する ところ、前提事実のとおり、原告父母が本件各在留資格変更不許可処分後も2回にわたり在留資格変更許可申請をしようとしていることからすれば、原告父母は、本件各在留資格変更不許可処分当時、同各不許可処分により直ちに不法残留になるということを理解していなかった可能性があるから、原告父母が 資格変更許可申請をしようとしていることからすれば、原告父母は、本件各在留資格変更不許可処分当時、同各不許可処分により直ちに不法残留になるということを理解していなかった可能性があるから、原告父母が正規滞在者としての地位 保障を放棄する意思であったとまでは認められない。 しかし、仮に原告父母が本件各在留資格変更不許可処分により直ちに不法残留になることを理解していなかったとしても、入管法上、在留資格変更不許可処分により不法残留になるという法的効果は、処分を受ける者の認識いかんによって左右されるものではないし、 また、既に説示したとおり、Eは本件各在留資格変更不許可処分により原告父母は不法残留になる旨繰り返し説明をしていたものであり、本件各在留資格変更不許可処分を受けても不法残留にならないと誤解させるような説明をしていたと認めるに足りる事情もないことからすれば、原告父母の上記供述内容を踏まえても、上記cの 結論は左右されない。 ⒝ 原告父の体調に係る主張について認定事実イのとおり、原告父が興奮し始めたのは本件各在留資格変更不許可処分の告知の後であり、それまで一貫して申請変更申出をする意思はない旨回答していたこと、同席していた原告母も、本人尋問において、就労できない3か月のビザであれば許可できる ことはEから説明を受けたが、3か月のビザでは原告らの抱えていた問題の解決にはならず、少なくとも6か月又は1年のビザを期待していたため、Eの上司を呼ぶように依頼した旨供述していることからすれば、原告父母ともに、2時間以上にわたり認定事実のとおりの説明を受けてもなお申請変更申出をしないという強固な意思 を持っていたと認めることができる。 以上からすれば、原告らの指摘する原告父の体調に係る事情を踏まえ 以上にわたり認定事実のとおりの説明を受けてもなお申請変更申出をしないという強固な意思 を持っていたと認めることができる。 以上からすれば、原告らの指摘する原告父の体調に係る事情を踏まえても、上記cの結論は左右されない。 b 原告らは、本件各在留資格変更不許可処分の及ぼす効果及びその影響の重大さに鑑みれば、東京入管局長は、本件各在留資格変更許可申 請につき、申請変更申出を経ずに在留期間更新許可をすることを検討するべきであった旨を主張する。 しかし、入管法上、在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請とは異なる手続であり(同法20条、21条、出入国管理及び難民認定法施行規則20条、21条)、東京入管局長には飽くまで申請者の希 望する申請内容を前提とした判断をする権限しかないことからすれば、原告らの上記主張には理由がなく、採用することはできない。 以上のとおり、東京入管局長が令和2年5月14日に本件各在留資格変更不許可処分をしたことにつき違法性があるとはいえない。 結論 以上によれば、本件各在留資格変更不許可処分が、東京入管局長の裁量権 の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるということはできない。 3 争点2(本件各在留期間更新不許可処分の適法性)について 在留期間の更新に関する法務大臣等の裁量権について上記2イで説示したとおり、入管法は、外国人が在留中に従事する活 動又は在留中の活動の基礎となる身分若しくは地位を類型化して各種の在留資格を定め、本邦に在留する外国人には、各在留資格に応じて定められた在留期間に限ってその在留を認めることとしている。そして、同法は、在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務大臣に対しこれを申請しなければならな に在留する外国人には、各在留資格に応じて定められた在留期間に限ってその在留を認めることとしている。そして、同法は、在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務大臣に対しこれを申請しなければならないものとし(21条2項)、申請があった場合に、法務大臣は、当 該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができるものと定めている(同条3項)。 また、在留期間の更新の制度は、本邦に在留中の外国人が、あらかじめ定められた在留期間を経過した後になお在留を希望する場合に、法務大臣が、 行おうとする活動に係る在留資格に該当するか否かを審査した上で在留期間の更新の許否を判断するものであるから、在留期間の更新が認められるためには、当該外国人が現に有する在留資格に該当することも当然に必要となるものと解される。 このように、入管法上、在留期間の更新事由が概括的に規定され、その判 断基準が具体的に定められていないのは、在留期間の更新の許否を決するに当たっては、国内の治安と善良な風俗の維持、保健及び衛生の確保、労働市場の安定等といった我が国の国益の保持の見地に立って、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲などの諸般の事情を総合的に勘案し、時宜に応じた的確な判断が求 められることから、事柄の性質上、その許否の判断を、出入国管理行政の責 任を担う法務大臣の広範な裁量に委ねる趣旨に出たものと解される。 したがって、法務大臣が在留期間の更新の許否を決するに当たり、その判断の基礎とされた重要な事実について、事実の基礎を欠き、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性 臣が在留期間の更新の許否を決するに当たり、その判断の基礎とされた重要な事実について、事実の基礎を欠き、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には、その判断はその裁量権の範 囲の逸脱又はその濫用があるとして違法であるとするのが相当である。そして、このことは、権限の委任を受けた地方出入国在留管理局長についても同じである。 手続違背の主張について原告らは、本件各在留期間更新不許可処分をする際に、東京入管の職員が 原告子らに対して直接の説明や意見の聴取をしなかったことが違法である旨を指摘するが、同各処分当時原告長男は9歳、原告三男は1歳であり、原告父母の監護養育下にあったものであるから、原告父母に対して、原告子らの親権者として本件各在留期間更新不許可処分に係る説明や意見の聴取をしていれば足りるというべきであり、原告子らに直接説明や意見の聴取をし なかったことをもって、手続違背があるとはいえない。 したがって、原告らの上記主張を採用することはできない。 在留資格該当性について前提事実イのとおり、本件各在留期間更新不許可処分は、原告子らが本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う日常的な活動 (収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)を行うものとは認められないことを理由としているものである。 しかし、前提事実ウ、イ及びイのとおり、原告子らは本件各在留期間更新不許可処分時において難民認定申請者に該当し、また、原告長男は小学校に通い、原告三男は本邦で出生して以降本邦で継続して生活してい たなど、原告子らは共に日常的な生活をしていた者に該当するから、難民認 定申請 民認定申請者に該当し、また、原告長男は小学校に通い、原告三男は本邦で出生して以降本邦で継続して生活してい たなど、原告子らは共に日常的な生活をしていた者に該当するから、難民認 定申請を行っている者が行う日常的な活動を行っている者に該当するといえる。そうすると、原告子らが難民認定申請を行っている者が行う日常的な活動を行っている者とは認められないこととした本件各在留期間更新不許可処分は、その判断につき重要な事実の基礎を欠くというべきである。 在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由について ア東京入管局長は、本件各在留資格変更不許可処分により原告父母が不法残留となることが見込まれていたことをもって、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないと判断したものであるところ、その判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるといえるか否かにつき検討する。 イ一般的に、在留資格を有していた外国人が在留資格を喪失して不法残留となった場合は、速やかに退去強制手続が開始され、本国に送還されることが想定されているから、当該外国人に監護養育を要する年齢の子がいる場合には、当該外国人の監護養育なしに本邦で生活することが困難であることを、入管法21条3項にいう「在留期間の更新を認めるに足りる相当 の理由」の消極的な事情として考慮することについて、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということは通常はできない。 ウしかし、上記2ウbで説示したとおり、原告父母は難民認定申請をした者であり、本件各在留資格変更不許可処分時点では難民認定申請に係る一連の手続は終了していなかったのであるから、本件各在留資格 変更不許可処分により不法残留となった後でも、難民認定申請に係る一連の手続 、本件各在留資格変更不許可処分時点では難民認定申請に係る一連の手続は終了していなかったのであるから、本件各在留資格 変更不許可処分により不法残留となった後でも、難民認定申請に係る一連の手続が終了するまでの間は送還が停止されることが入管法上保障される地位にあったものである。そうすると、原告父母は、本件各在留資格変更不許可処分により不法残留となった後も、当面の間、本邦において生活することが入管法上想定されていたといえるから、原告子らに ついても、本件各在留資格変更不許可処分後の当面の間は原告父母の監 護養育下において本邦で生活をすることが想定されていたということになる。そして、証拠(甲46)によれば、令和3年において、難民認定申請の一次審査の平均処理期間は約32.2か月、不服申立ての平均処理期間は約20.9か月であることが認められ、実際にも、原告ら難民認定申請については、前提事実ア及びイ並びに弁論の全趣旨の とおり、令和元年6月又は7月に申請がされたものが、本件訴訟の口頭弁論終結日である令和5年8月31日の時点でも処分がされていないこと、仮に難民認定をしない処分がされたとしても、不服申立てがされた場合にはその判断が出るまでに更に相当の時間がかかることが見込まれていたことからすれば、原告父母は、本件各在留資格変更不許可処 分により在留資格を喪失した後も、相当の期間本邦に在留して原告子らを監護養育することが見込まれていたものというべきである。 原告子ら難民認定申請に係る難民認定申請書には、認定事実ウのとおり、原告子らの難民該当性を基礎付ける事情は原告父母の抱えている問題である旨の記載はあるが、本件各在留資格変更許可申請及び本件各 在留期間変更申請においては、原告らの難民該当性そのものが判断され 、原告子らの難民該当性を基礎付ける事情は原告父母の抱えている問題である旨の記載はあるが、本件各在留資格変更許可申請及び本件各 在留期間変更申請においては、原告らの難民該当性そのものが判断されるものではない。入管法上、原告父母は、本件各在留資格変更不許可処分により不法残留となった後も、原告父母難民認定申請について難民である旨の認定がされた場合には原告父母に定住者等の在留資格の取得が許可され(入管法61条の2の2第1項柱書き)、難民の認定をしな い処分がされ、審査請求がないか審査請求を却下又は棄却する旨の裁決があった等の場合には送還の停止が解除されること(同法61条の2の6第3項)からすれば、難民認定申請に係る一連の手続が終了するまでは、原告父母は難民認定申請者としての活動を続けることが入管法上想定されており、原告父母の活動には、原告子らの難民認定申請者として の活動を続けることも当然に含まれるものである。そうすると、原告子 らの難民認定申請者としての地位は、本件各在留資格変更不許可処分により原告父母が不法残留となることによって影響を受けるものであるとはいえない。 上記及びに加え、認定事実イの事実関係を併せ考慮すれば、東京入管局長は、原告子らが原告父母の監護養育を離れて原告子らだけで 本邦に在留することが不可能であることを考慮して本件各在留期間更新不許可処分をしたことが認められるが、上記及びのとおり、原告父母は本件各在留資格変更不許可処分により不法残留となることが見込まれていたものの、入管法上、それにより原告子らが直ちに原告父母の監護養育を離れることは想定されていなかったものであり、本件各在留資 格変更不許可処分により原告父母が不法残留となることは、原告父母が難民認定申請者としての活動 より原告子らが直ちに原告父母の監護養育を離れることは想定されていなかったものであり、本件各在留資 格変更不許可処分により原告父母が不法残留となることは、原告父母が難民認定申請者としての活動を行うことの妨げになるものではない。そして、原告子らは本件各在留期間更新不許可処分によって不法残留となり、難民認定申請に係る一連の手続が終了するまでの間は送還こそされないものの、いつでも収容され得る地位に立たされるのであるから、そ の不利益は大きいというほかない。 以上によれば、本件各在留期間更新不許可処分は、考慮するべきではないものを考慮してされたものというべきであって、事実に対する評価が明白に合理性を欠き、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるといわざるを得ない。 エ被告は、難民認定申請に伴う原告子らの本邦における活動は、専ら原告父母の本邦における活動に依拠しているものであることからすれば、原告父母が難民認定手続中であることを理由とする在留上の地位保障を放棄したものであり、原告子らの地位保障についても同様に放棄したものである旨主張する。 しかし、前提事実アのとおり、原告父母は、難民認定申請者として 在留し続けることを前提として、在留資格「特定活動(就労不可)」から在留資格「特定活動(就労可)」への在留資格の変更を求めていたものであり、また、上記2ウaに説示したとおり、原告父母は本件各在留資格変更不許可処分により直ちに不法残留になるということを理解していなかった可能性があり、正規滞在者としての地位保障を放棄する意思で あったとまでは認められないから、原告父母が原告子らの地位保障についても放棄する意思があったとは認められない。また、上記ウで説示したとおり、原告父母が適法 在者としての地位保障を放棄する意思で あったとまでは認められないから、原告父母が原告子らの地位保障についても放棄する意思があったとは認められない。また、上記ウで説示したとおり、原告父母が適法な在留資格を喪失することと、原告父母が引き続き難民認定申請者としての活動を続けるということは両立するものであることからすれば、原告父母が適法な在留資格を喪失することをもって、原 告子らの適法な在留資格が喪失することの正当な根拠になると解することはできず、被告の上記主張を採用することはできない。 まとめ以上のとおり、本件各在留期間更新不許可処分は、東京入管局長の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、違法である。 4 争点3(本件不受理行為の処分性)について在留期間の更新について、入管法21条1項は、本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる旨を、同条2項は、同条1項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間の更 新を申請しなければならない旨を、同条3項は、法務大臣は、同条2項の規定による申請があった場合に当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限りこれを許可することができる旨をそれぞれ規定している。また、出入国管理及び難民認定法施行規則21条1項は、入管法21条2項の規定により在留期間の更新を申請し ようとする外国人が在留期間の満了する日までに提出すべき申請書の様式を 定めているところ、同様式の11項には、「現に有する在留資格」、「在留期間」及び「在留期間の満了日」を記入することとされている。 上記各規定によれば、在留資格 に提出すべき申請書の様式を 定めているところ、同様式の11項には、「現に有する在留資格」、「在留期間」及び「在留期間の満了日」を記入することとされている。 上記各規定によれば、在留資格の変更を受けるためには、当該申請人が現に在留資格を有しており、在留資格に伴う在留期間が満了していないことが必要であり、在留期間を満了した外国人は在留期間の更新を受けることはで きず、仮に、在留期間を満了した外国人から在留期間の更新申請がされたとしても、当該申請は入管法21条3項にいう「前項の規定による申請」には該当せず、法務大臣は、同項に基づいてこれを許可することはできないと解するのが相当である。すなわち、在留期間を満了した外国人には在留期間更新の申請権はなく、当該外国人から在留期間の更新申請がされたとしても、 法務大臣等にはこれに対する応答義務はないと解するのが相当である。 したがって、本件不受理行為は、国の行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確立することが法律上認められているものとはいえないから、行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分」には該当しない。 原告らがその主張の根拠として指摘する在留特別許可をしない処分につい ては、確かに、申請権がないにもかかわらず処分性が認められるとされているが、これは、法務大臣には、入管法49条1項所定の異議の申出に理由がないと認める場合には、当該容疑者が同法50条1項各号に該当するか否かを審査する義務があると解するのが相当であるためである。 したがって、在留特別許可をしない処分と本件不受理行為とではその性質 が異なるものであり、在留特別許可をしない処分に処分性が認められることは、上記の結論を左右するものではない。 ⑶ また、弁論の全趣旨によれば、入管当局 い処分と本件不受理行為とではその性質 が異なるものであり、在留特別許可をしない処分に処分性が認められることは、上記の結論を左右するものではない。 ⑶ また、弁論の全趣旨によれば、入管当局の実務上の運用として、在留資格を有しない外国人による在留期間更新許可申請を受け付けた上で、同申請を許可する取扱いがされることがあることが認められるが、そのような取扱い の存在が、本件不受理行為が処分性を有することの根拠になると解すること はできず、上記⑴の結論は左右されない。 ⑷ したがって、本件各訴えのうち、在留期間更新許可申請の特別受理をしなかったことの取消しを求める部分は、行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分」ではないものの取消しを求めるものであるから、不適法である(なお、原告子らの同各訴えについては、上記3のとおり本件各在留期間更新不許可 処分の違法性を認めてその取消請求を認容することとの関係で、訴えの利益がないという意味でも不適法である。)。 第4 結論以上によれば、本件各訴えのうち、在留期間更新許可申請の特別受理をしなかったことの取消しを求める部分についてはいずれも不適法であるから却下す ることとし、原告父母の在留資格変更不許可処分の取消請求はいずれも理由がないから棄却することとし、原告子らの在留期間更新不許可処分の取消請求はいずれも理由があるから認容することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官品田幸男 裁判官横井靖世 裁判官彦田まり恵 横井靖世 裁判官彦田まり恵

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