平成20(行コ)103 違法公金支出返還請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成19年(行ウ)第63号)

裁判年月日・裁判所
平成21年1月23日 大阪高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文5,168 文字)

- 1 -主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1控訴人らの申立て 原判決主文第2項を取り消す。 被控訴人は,原判決添付別紙「費用弁償一覧表」のA及びBを除く「議員名」欄記載の各人に対し,同「議員名」欄記載の各人に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する各請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,地方自治法が規定する常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会以外の委員会又は会議に出席した兵庫県議会議員に対して,兵庫県が費用弁償を行ったことは,条例に基づくものであったとしても違法であるとして,兵庫県の住民である控訴人らが,兵庫県知事である被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,費用弁償を受けた各兵庫県議会議員に対する不当利得額(費用弁償を受けた額)及びこれに対する被控訴人の上記各兵庫県議会議員に対する将来の不当利得の返還請求の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求の義務付けを求める事案である。 原審は,控訴人らの請求を棄却したので(ただし,Bに関する訴えについては却下,控訴人らは上記第1に記載の裁判を求めて控訴を提起した。 ) 法令等の定め原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」欄の1(原判決2頁23行目から4頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,2頁24行目の「地方自治法」の次に「平成20年法律第69号による改正前の(- 2 -もの。以下,地方自治法というときはこれをいう」を,3頁8行目の「兵庫県。)条例(」の次に「平成20年兵庫県条例第42号による改 治法」の次に「平成20年法律第69号による改正前の(- 2 -もの。以下,地方自治法というときはこれをいう」を,3頁8行目の「兵庫県。)条例(」の次に「平成20年兵庫県条例第42号による改正前のもの。以下同条例をいうときはこれをいう」をそれぞれ加える。 。 前提となる事実(当事者間に争いがない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」欄の2(原判決4頁11行目から6頁2行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決5頁6行目から同頁9行目まで及び同頁25行目から6頁2行目までを削り,5頁10行目の「( )」を「( )」に,同頁19行目の「( )」を「( )」に各 改める。 争点 原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」欄の3(原判決6頁4行目から同頁7行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 争点に対する当事者の主張( )次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の 概要」欄の4(原判決6頁9行目から10頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 「」「」。 6頁12行目及び9頁19行目の各手続きをそれぞれ手続に改める( )控訴人らの当審における主張の概要は次のとおりである。 ア地方自治法が,委員会,会議の設置や種類,その権限・任務等の基本的事項につき,それらを議会にゆだねる条項を設けていない以上,議会が自律権の行使の一環として,地方自治法が法定する常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会以外の委員会あるいは会議を設置することはできない。 イ法定外の委員会・会議を活用する必要性があることをもって,法定外の委員会等を設置・運営することの適法性 常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会以外の委員会あるいは会議を設置することはできない。 イ法定外の委員会・会議を活用する必要性があることをもって,法定外の委員会等を設置・運営することの適法性ないし正当性を基礎づけることはできない。 - 3 -ウ近畿2府4県のうち,兵庫県,大阪府及び奈良県のみが,法定外会議等への活動に対して費用弁償しているにすぎないが,このことは法定外会議等への費用弁償が違法との認識が広がっているからにほかならない。 エ法定外会議は,せいぜい事実上の集会あるいは任意の会合として設置し,運営することまでが許容されているというべきであり,公的な組織として設置し,運営することはできない。 オ仮に少子化理事会が少子化特別委員会の内部機関であって,同委員会の一部を構成するものであっても,同理事会での活動に対する本件費用弁償は違法である。すなわち,地方自治法110条4項は「特別委員会は,会期中に限り,議会の議決により付議された事件を審査する。但し,議会の議決により付議された特定の事件については,閉会中も,なお,これを審査することを妨げない」と定めているところ,上記理事会はいずれも議会閉会中に開催。 されたものであり,また,いずれの理事会も議会の議決により付議された特定の事件について審査したものでもない。 第3当裁判所の判断 次のとおり訂正し,次項に控訴理由についての判断を補足するほかは原判決の「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」欄(10頁23行目から14頁11行目まで)の説示と同様であるから,これを引用する。 ( )10頁23行目の「2少子化理事会について」を「1少子化理事会につ いて」に改める。 「」「」( )11頁10行目の 本件各会議についてを 本件各会議について に改める。 10頁23行目の「2少子化理事会について」を「1少子化理事会につ いて」に改める。 「」「」( )11頁10行目の 本件各会議についてを 本件各会議について に改める。 ( )11頁11行目,12頁4行目及び同頁12行目の各「手続き」をそれぞれ 「手続」に改める。 控訴理由についての判断の補足( )控訴人らの当審における主張は,原審における主張と同じであるから,次の - 4 -2点についてのみ補足する。 ,,,まず法定外会議を設けることができるか否かについて検討するに憲法は地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて,法律でこれを定めるとし(92条,地方公共団体には,法律の定めるところによ)り,その議事機関として議会を設置すると定める(93条1項。憲法の規定を)受けて,地方自治法は,その第二編第六章に,議会についての詳細を定めるとともに,普通地方公共団体は,常任委員会,議会運営委員会,特別委員会の各委員会を設けることができるとし,かつ,各委員会の委員の構成,選任,委員会の所管事項,その審査・調査手続等を定め,かつ委員会に関し必要な事項を条例に委任する(109条ないし111条。憲法は,地方公共団体の組織及び)運営に関する事項については法定主義をとり,地方自治法は委員会としては上記3種類の委員会のみを認めるに過ぎないから,これらの委員会と同様の,議会の議事に関し,これらを調査し,かつ審議するような委員会や会議を,法律の根拠なく設けることはできないというべきである。しかし,一定の組織が設,,置された場合その組織の運用に必然的に付随する庶務的事項に関する権限はその設置とともに付与されたものということができる。また,地方公共団体の議会は,憲法がその設置を義務づ ,一定の組織が設,,置された場合その組織の運用に必然的に付随する庶務的事項に関する権限はその設置とともに付与されたものということができる。また,地方公共団体の議会は,憲法がその設置を義務づける議事機関であって,非常に広範な権限を持つところ,その議会が求められている役割や機能を十全に果たすためには,議会自体が,自主的,自律的に協議し,調整し,決定して行かなければならない事項は多く存在している。地方分権の重要性が強調される今にちの状況下では,議会の自主性は尊重されるべきものであり,議会には,その地方の住民の付託に基づいて,その住民のために自主的,自律的に運営されることが期待される。そして,近時の議会の運営については,会派の活動を無視し得ず,会派の意見集約的機能を活用したり,そのための会派間の連絡調整を行うことが不可欠の状況となっている。これらに鑑みれば,地方公共団体の議会が自主的,自律的な活動をする上で,そのために必要な庶務的事項を処理したり,議会の- 5 -適正,効率的な運用のために準備的,調整的な作業として,会派間の意見調整を含めた協議,調整を主とした議会運営における手続面の打合せ等を行う場を設けても,これは議会の運営に必然的に付随する事項ということができ,これを上記法定の委員会と同等の委員会であるとか,法律で定める事項であるということはできないのであって,地方自治の本旨に反するものでも,憲法や地方自治法の趣旨に反するものでもないというべきである。そして,甲1及び弁論の全趣旨によれば,各派代表者会議は,本会議や議会運営委員会での協議,決定事項以外の自律的機関として対応すべき事項であって,議長限りで処理することができないもので自律的に議会内の合意形成を図ることが必要な議会運営上の重要事項及び議会全体に関わる庶務的事項等を主な ,決定事項以外の自律的機関として対応すべき事項であって,議長限りで処理することができないもので自律的に議会内の合意形成を図ることが必要な議会運営上の重要事項及び議会全体に関わる庶務的事項等を主な協議事項としており,各会派政務調査会長会は,全会派一致で議会に提出される意見書案や決議案の調整等を目的としており,正副常任委員長会議は,正副常任委員長が新たに指名された際に,常任委員会の活動を円滑かつ効率的に実施するため,運営の基本となる常任委員会運営要領の協議,管内調査等年間行事予定の策定等を行うものであり,地方議会協議会は,県議会と県下の市町村議会が会合し,相互の交流,連携を図るとともに,政策課題の共有とその議会活動への反映等を目的に行われ,広報委員会は,県民に県議会の仕組みや活動状況を理解させ,県議会への関心を深めるための活動を目的として年間広報計画の策定や重要事項についての協議を行うものとして,それぞれ設置されていることが認められる。 これらによれば,本件各会議は,いずれも議会が議会として自主的,自律的な活動をする上で必然的なもので,運営上の協議,調整であり,庶務的な事柄であるということができるのであって,本件各会議は,地方公共団体の議会が自主的,自律的な活動をする上で,そのために必要な庶務的事項を処理したり,議会の適正,効率的な運用のために準備的,調整的な作業として,会派間の意見調整を含めた協議,調整を主とした議会運営における手続面の打合せ等を行う場として,地方自治法上の根拠を有しないものではない。 - 6 -そうであれば,本件各会議に出席することが議員の職務ないし公務であることは否定できない。そして,本件各会議が,議会が適法に設置したものである,「」以上これを法定外会議であるという一事をもって議会の運営に必要な会議にあ することが議員の職務ないし公務であることは否定できない。そして,本件各会議が,議会が適法に設置したものである,「」以上これを法定外会議であるという一事をもって議会の運営に必要な会議にあたらないといえないことは原判決の説示するとおりである。 ( )控訴人は,少子化理事会の活動が議会閉会中に開催されているから,その活 動は違法であり,これについて費用弁償することはできない旨主張するが,丙21ないし24によれば,少子化対策調査特別委員会は,平成18年3月27日,地方自治法110条及び兵庫県委員会条例4条の規定に基づき,総合的な少子化対策の調査に関する特別委員会設置要領を本会議で議決することによって設置されたものであるところ,同要項は,総合的な少子化対策に関する調査を付議事件として定めるとともに,併せて,その付議事件について,議会閉会中も継続して調査できるとしていることが認められるから,同特別委員会の内部機関である少子化理事会が議会閉会中に開催されたとしても何ら違法な点はなく,控訴人の主張は理由がない。 以上によれば,控訴人らの請求はいずれも理由がない。 第4 結論 よって,本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第9民事部裁判長裁判官松本哲泓裁判官白石研二裁判官永井尚子

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