平成29年12月20日判決言渡平成29年(行ウ)第13号自動車運転免許取消処分取消請求事件主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求大阪府公安委員会が原告に対し平成28年9月7日付けでした運転免許取消処分を取り消す。 第2 事案の概要 本件は,中型自動車運転免許を受けていた原告が,呼気1ℓにつき0.25㎎以上のアルコールを保有する状態で普通乗用自動車を運転するとともに(以下「本件違反行為1」という。),信号機の表示する信号に従わずに普通乗用自動車を運転したこと(以下「本件違反行為2」といい,本件違反行為1と併せて「本件各違反行為」という。)を理由として,大阪府公安委員会から,平成28 年9月7日付けで,運転免許(以下「免許」という。)を取り消し,免許を受けることができない期間を同日から2年間と指定する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたことについて,本件処分の理由とされた本件違反行為1は成立しないなどと主張して,本件処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め 関係法令の定めは,別紙「関係法令の定め」のとおりである(同別紙で定義した略称等は,以下の本文においても同様に用いるものとする。)。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告 原告は,平成28年1月5日,大阪府公安委員会から,免許(中型自動車 免許)の交付を受けていた者である。(甲1)(2) 原告の飲酒状況等原告は,平成28年1月20日午後7時頃から同日午後8時頃までの間,交際相手の女性(以下「交際女性」という。)宅において,ビール及びウイ を受けていた者である。(甲1)(2) 原告の飲酒状況等原告は,平成28年1月20日午後7時頃から同日午後8時頃までの間,交際相手の女性(以下「交際女性」という。)宅において,ビール及びウイスキーを飲み,同日午後8時30分頃,同人宅において就寝した。(甲4, 5,乙9,14)⑶ 原告の運転状況ア原告は,平成28年1月21日(以下「本件当日」という。)午前4時頃に起床し,交際女性宅から帰宅するため,普通乗用自動車(車名・省略)の運転を開始した。(乙1,4,6) イ原告は,本件当日午前4時16分頃,大阪市●区(住所省略)付近の交差点(以下「本件交差点」という。)で,前記普通乗用自動車を運転し(以下「本件運転行為」という。),信号無視をしたところ(本件違反行為2),自動車警ら中のA警察官及びB警察官(A警察官と併せて「本件警察官ら」という。)に,停止するよう指示され,本件交差点付近の路上に停止した。 (乙1,4,6,8)ウ本件警察官らは,原告に対し,呼気検査(以下「本件呼気検査」という。)を実施した。そうしたところ,原告は,本件警察官らから,呼気1ℓにつき0.25㎎のアルコールが検出された旨の説明を受けた。 ⑷ 本件処分等 ア原告は,本件当日(本件各違反行為の日)を除き,同日を起算日とする過去3年以内に,令別表第二に定められた違反行為があったことにより基礎点数及び付加点数を付されたことはなく,また,同日の時点において,前歴はなかった。(甲1)イ大阪府公安委員会は,原告について,違反行為に付する累積点数が25 点(酒気帯び運転(0.25以上)による基礎点数25点及び信号無視に よる基礎点数2点のうち,最も高い点数である25点(令別表第二の備考の一の1))となり,前歴がないこ る累積点数が25 点(酒気帯び運転(0.25以上)による基礎点数25点及び信号無視に よる基礎点数2点のうち,最も高い点数である25点(令別表第二の備考の一の1))となり,前歴がないことから,法103条1項5号及び令38条5項1号イに該当するとともに,法103条7項及び令38条6項2号ニに該当するとして,平成28年9月7日付けで,原告に対し,免許を取り消し,免許を受けることができない期間を同日から2年間と指定する 処分(本件処分)を行った。(甲1)⑸ 原告に対する刑事処分大阪区検察庁検察官は,平成28年11月24日,本件違反行為1について嫌疑不十分,本件違反行為2について起訴猶予との理由で,原告を不起訴処分とした。(甲2) ⑹ 本件訴訟の提起原告は,平成29年1月24日,本件訴訟を提起した。 3 争点⑴ 本件違反行為1の成否アアルコールの身体保有状態(争点1) イ令別表第二の備考の二の2所定の「酒気帯び運転(0.25以上)」の意義(争点2)⑵ 本件処分に係る裁量権の範囲の逸脱・濫用の有無(争点3) 4 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点1(アルコールの身体保有状態) (被告の主張の要旨)本件警察官らは,本件呼気検査を適正に行ったところ,原告について,呼気1ℓにつき0.25㎎のアルコールを身体に保有する状態であるとの結果が出た。そして,①原告が本件呼気検査の結果を現場で確認し,その後の取調べにおいてもその旨供述していたこと,②原告自身,現場において飲酒運 転したことを認め(乙3),警察署における取調べにおいては酒気帯びの認 識を有していた旨供述していたこと(乙4。以下,乙4の供述調書を「本件1月供述調書」という。),③原告の飲酒量や原告が本件当 転したことを認め(乙3),警察署における取調べにおいては酒気帯びの認 識を有していた旨供述していたこと(乙4。以下,乙4の供述調書を「本件1月供述調書」という。),③原告の飲酒量や原告が本件当時体調が悪かった旨述べていたことからすれば,本件呼気検査の結果は信用することができる。 よって,原告は,本件運転行為時に,呼気1ℓにつき0.25㎎のアルコ ールを身体に保有する状態であったと認められる。 (原告の主張の要旨)㋐本件呼気検査は,(a)新品ではない飲酒検知管が使用された可能性があり,(b)飲酒検知管の使用方法を説明した書面(乙11。以下「本件説明書」という。)によれば,飲酒検知管の使用は,10℃以上の気温で行われるべ きところ,当該温度を下回る気温の下で,(c)飲酒検知管の使用に先立ち,うがいを2回すべきところ,原告に1回しかさせず,(d)本件説明書によれば,検知管を呼気で膨らんだビニール風船に差し込んで放置する時間が2分間と指定されているところ,本件検知管は当該時間を超えて放置されたものであって,適正に行われていないこと,㋑原告は,本件呼気検査の結果を直 接確認していないこと,㋒本件運転行為時,原告が飲酒してから8時間以上経過していた上,原告は睡眠を十分にとっており,二日酔いの症状が全くなく,飲酒量も,ビール350㎖及びウイスキーをストレートで約100㎖飲んだだけであったことからすれば,本件呼気検査の結果は信用することができない。 以上によれば,原告が,本件運転行為時に,呼気1ℓにつき0.25㎎のアルコールを身体に保有する状態であったとは認められない。 (2) 争点2(令別表第二の備考の二の2所定の「酒気帯び運転(0.25以上)」の意義)(被告の主張の要旨) アいわゆる点数制度は ールを身体に保有する状態であったとは認められない。 (2) 争点2(令別表第二の備考の二の2所定の「酒気帯び運転(0.25以上)」の意義)(被告の主張の要旨) アいわゆる点数制度は,免許取消等の処分が相当であると認められる程度 に道路交通上の危険性が高いと評価できる運転者を類型的に規定し,その危険性の度合いに応じて自動車等を運転することができる地位を剥奪又は制限することにより,道路における危険を防止し,交通の安全と円滑を図るために定められたものであると解される。したがって,法65条1項は,過失による酒気帯び運転も禁止する趣旨であることは明らかであるところ, これに反する行為について違反点数を定める令別表第二の備考の二の2は,その文言上,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有した状態で)車両等を運転することにつき故意を要件としているわけではない。そして,酒気帯び運転行為の有する道路交通上の危険性は,それが故意によるものか過失によるものかによって特段の相違があるわけではない。 以上に照らすと,令別表第二の備考の二の2の「酒気帯び運転(0.25以上)」は,酒気を帯びて車両等を運転することにつき,故意によるものに限られず,過失によるものも含むと解するのが相当である。 イ原告が,本件1月供述調書において,起床後運転を開始するまでの間に体調の変調を自覚し,その原因が前日に飲酒したアルコールによるもので あることを認識していたという趣旨の供述をしていたことからすれば,原告には,酒気を帯びて車両等を運転することにつき故意があったと認められる。なお,本件1月供述調書は,起床してから運転開始前までの原告の心境や状態といった原告しか知り得ない内容が具体的かつ詳細に記載されているから,信用することができる。 意があったと認められる。なお,本件1月供述調書は,起床してから運転開始前までの原告の心境や状態といった原告しか知り得ない内容が具体的かつ詳細に記載されているから,信用することができる。 また,仮に,原告に酒気を帯びて車両等を運転することにつき故意があったとは認められないとしても,原告は自身の飲酒量を認識しており,運転時に酒気を帯びて車両等を運転することになる可能性を容易に予見できたにもかかわらず,過去の経験や自身の体調を過信して運転行為に及んだのであるから,少なくとも,原告に酒気を帯びて車両等を運転することに つき過失があったことは明らかである。 (原告の主張の要旨)ア運転者において酒気を帯びて(アルコールを身体に保有した状態で)車両等を運転することについての故意がなければ,酒気帯び運転として刑事責任を問われることはないところ,これは,免許取消等の行政処分においても同様である。 イ原告は,本件運転行為時,前日の飲酒から8時間以上が経過し,睡眠を十分とっており,二日酔いの症状も全くなかったことから,身体にアルコールが残っているとは全く認識していなかった。 また,原告は,過去に4回,飲酒して就寝した後に各呼気検査を受けた際に,いずれもアルコールが検出されなかったことから,本件のような状 況ではアルコールが身体から完全に抜けるものだと思っていた。そのため,原告は,本件運転行為時に身体にアルコールが残存していることを予見することすらできなかった。 なお,本件1月供述調書は,警察官から,否認するのであれば正式裁判になるという趣旨のことを言われた上,ひどい寒さの中,原告が通常就寝 する午後8時頃まで取調べが行われて眠気もある状況で,早く帰りたい一心で作成してしまった虚偽のものであり,任意性・ 正式裁判になるという趣旨のことを言われた上,ひどい寒さの中,原告が通常就寝 する午後8時頃まで取調べが行われて眠気もある状況で,早く帰りたい一心で作成してしまった虚偽のものであり,任意性・信用性がない。 以上によれば,原告には,酒気を帯びて車両等を運転することにつき故意及び過失はいずれもなかったというべきである。 ⑶ 争点3(本件処分に係る裁量権の範囲の逸脱・濫用の有無) (原告の主張の要旨)原告は,本件各違反行為に関する刑事事件においては不起訴処分となっているところ,それにもかかわらず,同じ事実を基に,行政手続において,原告に対し,免許取消処分という不利益処分を科すことは,法的安定性の見地からあってはならないことである。 したがって,本件処分は,裁量権の範囲を逸脱・濫用する違法なものとい うべきである。 (被告の主張の要旨)刑事処分と免許取消処分とは,その目的を異にするものであって,免許取消処分は,公安委員会が,道路における危険を防止し,交通の安全と円滑を図ることを目的として独自の権限により行うものであるから,刑事事件が不 起訴処分であっても免許取消処分には関係がない。 したがって,本件処分は,裁量権の範囲を逸脱・濫用する違法なものということができない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 原告の飲酒状況等原告は,平成28年1月20日午後7時頃から午後8時頃までの間,交際女性宅において,夕食をとるとともに,350㎖缶入りのビール(アルコー ル度数5.0~6.0%)1本及び高さ約10~13㎝,上部直径約10㎝,下部直径約8㎝のグラスに8分目程度まで入れたウイスキー(アルコール度数40. ともに,350㎖缶入りのビール(アルコー ル度数5.0~6.0%)1本及び高さ約10~13㎝,上部直径約10㎝,下部直径約8㎝のグラスに8分目程度まで入れたウイスキー(アルコール度数40.0~43.0%)をストレートで2杯飲み,同日午後8時30分頃,同人宅において就寝した。なお,原告は,当時,体調が悪かった。(原告本人,甲4,5,乙9,10,14) ⑵ 本件運転行為及び本件違反行為2の状況ア原告は,平成28年1月21日(本件当日)午前4時頃に起床し,交際女性宅から帰宅するため,自動車の運転を開始し,同日午前4時16分頃,同車を運転して本件交差点に差し掛かり(本件運転行為),同交差点において,信号無視をした(本件違反行為2)。(原告本人,甲4,5,乙1, 4,6,8) イ原告は,パトロールカーに乗車して警ら活動中であった本件警察官らに本件違反行為2を現認され,A警察官の指示に従い,本件交差点付近の路上に停止した。(乙5,6,8)⑶ 本件呼気検査の実施状況ア A警察官は,原告の呼気から酒臭がし,また,飲酒しているのではない かと尋ねたA警察官の顔面に原告が息を吹きかけてきたことなどから,原告の飲酒運転を疑い,原告に対して呼気検査を実施することとし,原告をパトロールカー車内に案内した。そうしたところ,B警察官も,原告から酒臭がするのを感じた。(乙6,7,8)イ A警察官は,パトロールカー車載の水筒の水を使い,原告に口をすすが せ,原告に飲酒検知管(以下「本件検知管」という。)が新品であることを確認させた上,原告の面前で本件検知管の両端を割った。(乙6,7,8)ウ A警察官は,原告にビニール風船を手渡して息を袋いっぱい入れるよう指示したが,原告が勢いよく息を吹き込まず,ビニール風船が 確認させた上,原告の面前で本件検知管の両端を割った。(乙6,7,8)ウ A警察官は,原告にビニール風船を手渡して息を袋いっぱい入れるよう指示したが,原告が勢いよく息を吹き込まず,ビニール風船が膨らまなかったので,再度,もっと勢いよく息を吹き込むよう指示した。そうしたと ころ,原告は,ビニール風船に勢いよく息を吹き込んだ。(乙6,7,8)エ A警察官は,原告から前記ウのビニール風船を受け取り,本件検知管に挿入し,当該ビニール風船内の呼気を本件検知管に吸引させ,呼気吸引を2分間保持した後,当該ビニール風船を取り外して排気し,さらに清浄な空気を2分間吸引し,本件検知管の両端にプラスチックキャップを取り付 けた。(乙6,7,8)オその後,A警察官は,本件検知管の変色した部分が0.25㎎の目盛りを超えていることを確認した。(乙6)カ A警察官は,原告に対し,本件検知管を確認するよう申し向けたところ,原告は,当初,老眼のため見えない旨述べたが,A警察官に携帯ライトで 照らされ,0.25である旨述べた。A警察官は,本件検知管の0.25 の目盛を超えた部分に測定線シールを貼付して原告に確認させた上,本件検知管をプラスチックケースに入れ,原告の面前で,飲酒検知用茶封筒に入れて封印し,原告に本件検知管の測定数値を再度確認させた。 (乙2,6,7,8)キ原告は,A警察官の指示に従い,酒酔い・酒気帯び鑑識カード(乙2。 以下「本件カード」という。)の「確認書」欄及び飲酒検知用茶封筒に日付及び検知結果(0.25)を記載し,署名,指印した。(乙2,6,7,8)ク A警察官は,本件カードの記載内容に従って原告に質問を行い,本件カードにより原告を調査見分した。そうしたところ,原告は,10mを正常に歩行することも,1 ,署名,指印した。(乙2,6,7,8)ク A警察官は,本件カードの記載内容に従って原告に質問を行い,本件カードにより原告を調査見分した。そうしたところ,原告は,10mを正常に歩行することも,10秒間直立することもでき,顔色は普通であったも のの,質問に対して大声で答え,顔面より約60㎝離れた位置でも弱い酒臭がし,目が充血している状態であった。(乙2,6,7,8)ケ本件呼気検査時のパトロールカー車内の温度は,約20℃であり,車外の気温は2.2~4.4℃であった。(甲3,乙2) 2 争点1(アルコールの身体保有状態)について ⑴ 前記認定事実(3)の各事実によれば,原告は,本件呼気検査の時点において,呼気1ℓにつき0.25㎎のアルコールを身体に保有する状態であったと認められ,そうすると,本件呼気検査の直前の本件運転行為当時も,呼気1ℓにつき0.25㎎以上のアルコールを身体に保有する状態であったと認められる。 ⑵ 原告の主張に対する判断これに対し,原告は,㋐本件呼気検査は,(a)新品ではない飲酒検知管が使用された可能性があり,(b)本件説明書によれば,10℃以上の気温で行われるべきところ,当該温度を下回る気温の下で行われ,(c)飲酒検知管の使用に先立ち,うがいを2回すべきところ,原告に1回しかさせず,(d)本件説明書 によれば,検知管を呼気で膨らんだビニール風船に差し込んで放置する時間 が2分間と指定されているところ,本件検知管は当該時間を超えて放置されたものであって,適正に行われていないこと,㋑原告が,本件呼気検査の結果を直接確認していないこと,㋒本件運転行為時,原告が飲酒してから8時間以上経過していた上,原告は睡眠を十分にとっており,二日酔いの症状が全くなく,飲酒量も,ビール350㎖及び が,本件呼気検査の結果を直接確認していないこと,㋒本件運転行為時,原告が飲酒してから8時間以上経過していた上,原告は睡眠を十分にとっており,二日酔いの症状が全くなく,飲酒量も,ビール350㎖及びウイスキーをストレートで約10 0㎖飲んだだけであったことからすれば,本件呼気検査の結果は信用できない旨主張する。 ア前記㋐の主張について(ア) 本件カード,本件呼気検査を行ったA警察官作成の報告書(乙6。 以下「本件報告書」という。),B警察官の供述調書(乙8。以下「本件 B警察官供述調書」という。)及び両名立合いでの実況見分調書(乙7。 以下「本件実況見分調書」という。)には,前記認定事実⑶のとおりの記載があるところ,これらはいずれも本件訴訟の提起前に作成されたもので(なお,本件訴訟の提起以前に,原告が本件呼気検査の信用性を争っていたことを示す証拠はない。),内容が相互に合致しており,格別信用 性を疑うべき事情はなく,信用性が高いというべきである。 (イ) これに対し,原告は,原告本人尋問において,(a)原告自らは,本件検知管が新品であったことの確認をしていない,(b)本件呼気検査が行われたパトロールカーは,同検査が行われる直前までエンジンが切られており,原告は,同検査の際にかなり寒く感じた,(c)原告は,同検査の際, 1回しかうがいをしていない,(d)本件検知管が呼気で膨らんだビニール風船に差し込まれたまま約3分間程度放置された旨供述している。 そこで検討すると,原告の前記(a)及び(d)の各供述は,いずれも客観的な証拠による裏付けを欠くものである一方,前記(ア)に説示のとおり信用性が高い本件報告書,本件B警察官供述調書及び本件実況見分調書 には,本件呼気検査時に,(a)本件検知管が新品であることを原告 証拠による裏付けを欠くものである一方,前記(ア)に説示のとおり信用性が高い本件報告書,本件B警察官供述調書及び本件実況見分調書 には,本件呼気検査時に,(a)本件検知管が新品であることを原告に確認 させ,(d)本件検知管を呼気で膨らんだビニール風船に差し込んだまま2分間放置した旨の記載がされていることに照らすと,原告の当該各供述を採用することはできない。そうすると,本件呼気検査において,(a)新品ではない飲酒検知管が使用されたこと及び(d)本件検知管が呼気で膨らんだビニール風船に差し込まれたまま2分間を超えて放置されたこと を認めることはできない。 そして,本件説明書には,「10~35℃でお使いください」との記載がある(乙11)ところ,本件呼気検査時に作成された本件カード(乙2)には,「測定時の温度」として「20℃」と記載されており,当該記載の信用性を疑わせるような事情は見当たらない。これに対し,原告は, 前記(b)のとおり供述しているが,当該供述を裏付ける客観的な証拠はなく,直ちに採用することができない。仮に,当該供述どおり本件呼気検査が行われたパトロールカーのエンジンが同検査の直前まで切られていた事実が認められるとしても,車内の気温がどの程度まで低下するかは,エンジン及びエアコンが切られる前の車内の気温,エンジン及びエアコ ンが切られてから同検査が行われるまでの時間的間隔等の諸条件により変動があり得るのであるから,同検査当時,車外の気温が2.2~4. 4℃であった(前記認定事実⑶ケ)からといって,当該パトロールカー内の気温が,10℃を下回っていたと直ちに認めることはできない。また,仮に,当該供述どおり原告が当該パトロールカー内をかなり寒く感 じた事実が認められるとしても,原告が同検査の直前まで ルカー内の気温が,10℃を下回っていたと直ちに認めることはできない。また,仮に,当該供述どおり原告が当該パトロールカー内をかなり寒く感 じた事実が認められるとしても,原告が同検査の直前まで本件運転行為を行っていた自動車内の温度が20℃よりも相当程度高温であった場合等には,当該パトロールカー内をかなり寒く感じることは十分考えられるから,このように原告が感じたこと自体をもって,当該パトロールカー内の気温が,10℃を下回っていたと直ちに認めることはできない。 さらに,原告は,飲酒検知管の使用に先立ちうがいを2回すべき旨主 張するが,本件説明書には,飲酒検知管の使用に先立つうがいの回数に関する記載はなく,他に,適正な飲酒検知のために飲酒検知管の使用に先立つうがいを2回すべきことを裏付ける客観的な証拠はない。そうすると,仮に,原告の前記(c)の供述どおり本件呼気検査の際に原告がうがいを行った回数が1回であった事実が認められるとしても,本件呼気検 査が適正でないということはできない。 (ウ) したがって,原告の前記㋐の主張は,採用することができない。 イ原告の前記㋑の主張について原告は,原告本人尋問において,本件カードの「確認書」欄の「0.25」という数字は自ら記載したものではない旨供述している。 しかしながら,①当該記載が原告以外の者によってされたことをうかがわせる事情はなく,当該供述は,客観的な証拠による裏付けを欠くものである一方,②前記ア(ア)に説示のとおり信用性が高い本件報告書,本件B警察官供述調書及び本件実況見分調書には,原告が,本件呼気検査時に,本件カードの「確認書」欄に検知結果(0.25)を記載した旨の記載が されている。このことに加えて,③原告は,平成28年2月12日(本件呼 及び本件実況見分調書には,原告が,本件呼気検査時に,本件カードの「確認書」欄に検知結果(0.25)を記載した旨の記載が されている。このことに加えて,③原告は,平成28年2月12日(本件呼気検査から約20日後),司法警察員に対し,(a)本件運転行為開始前に酒に酔っているのと同じ状態であることの認識を有していた旨の本件1月供述調書における供述は,虚偽であった旨供述している一方で,(b)本件呼気検査の現場において,原告身体に保有するアルコールの濃度が0.25 ㎎であるとの同検査の結果を確認したことについては認める旨の供述をしていること(乙5)に照らすと,前記(b)の供述の信用性は高いと認められることを併せ鑑みれば,原告本人尋問における本件カードの「確認書」欄の「0.25」という数字は自ら記載したものではない旨の原告の供述は,信用することができない。 したがって,原告の前記㋑の主張は,採用することができない。 ウ原告の前記㋒の主張について身体のアルコールの残存状況は個々人の特性やその時々の体調,状況等によっても異なるところ,①原告本人尋問における原告の供述によっても,原告は,本件運転行為の約8時間前までの約1時間の間に,ビール(アルコール度数5.0~6.0%)350㎖及び高さ約10~13㎝,上部直 径約10㎝,下部直径約8㎝のグラスに8分目程度まで入れたウイスキー(アルコール度数40.0~43.0%)をストレートで2杯飲んでおり(前記認定事実⑴),飲酒量は,ウイスキーのみについてみても,少なくとも800㎖以上((8 ㎝÷2)2×3.14×10 ㎝×80%×2 杯≒804 ㎖)と相当多量に及んでいることに加え,②飲酒時に原告の体調が悪かったこと(前 記認定事実(1)),③本件呼気検査を行った本 以上((8 ㎝÷2)2×3.14×10 ㎝×80%×2 杯≒804 ㎖)と相当多量に及んでいることに加え,②飲酒時に原告の体調が悪かったこと(前 記認定事実(1)),③本件呼気検査を行った本件警察官らが,原告の呼気から酒臭を感じたこと(前記認定事実⑶ア,ク)にも照らせば,飲酒後本件呼気検査まで約8時間が経過しており,その間原告が睡眠を取ったこと(前記認定事実⑴,⑵)を考慮しても,呼気1ℓにつき0.25㎎のアルコールを身体に保有する状態である旨の本件呼気検査の結果が不自然であるとは いえない。 したがって,原告の前記㋒の主張は,採用することができない。 ⑶ 以上によれば,原告は,本件運転行為当時,呼気1ℓにつき0.25㎎以上のアルコールを身体に保有する状態であったと認められる。 3 争点2(令別表第二の備考の二の2所定の「酒気帯び運転(0.25以上)」 の意義)について⑴ア例えば,刑法において,故意責任が原則とされ(同法38条1項本文参照),民法上の不法行為による損害賠償責任において,故意又は過失が要件とされている(民法709条参照)などしているのに対して,法令違反行為をした者に対して不利益な行政処分を行うための要件として,当該者の 当該違反行為についての故意又は過失の存在が必要である旨を一般的に 定めた法令上の規定は見当たらない。 そして,令別表第二の備考の二の2は,「酒気帯び運転(0.25以上)」とは,法65条1項の規定に違反する行為のうち身体に血液1㎖につき0. 5㎎以上又は呼気1ℓにつき0.25㎎以上のアルコールを保有する状態で運転する行為をいう旨規定し,同項は,何人も,酒気を帯びて車両等を 運転してはならない旨規定しているものの,同別表の備考の二の2及び法65条1項は,酒気を帯びて( 上のアルコールを保有する状態で運転する行為をいう旨規定し,同項は,何人も,酒気を帯びて車両等を 運転してはならない旨規定しているものの,同別表の備考の二の2及び法65条1項は,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することについての運転者の故意又は過失を要件として明文で規定しておらず,また,法,令等の関係法令をみても,同別表の備考の二の2に該当することを理由に免許の取消し及び効力の停止処分(以下,併せ て「免許取消等処分」という。)並びに欠格期間指定処分を行うための要件として,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することについての運転者の故意又は過失を要件として明文で規定しているものは見当たらない。 さらに,法及び令の趣旨,目的等についてみると,免許取消等処分及び 欠格期間指定処分は,道路交通上の危険のある運転者を一定期間道路交通の場から排除して,道路における危険を防止し,交通の安全と円滑を図ること(法1条参照)を目的として行われるものであるから,法103条を受けて規定された令38条で定める基準(いわゆる点数制度)は,免許取消等処分が相当であると認められる程度に道路交通上の危険性が高いと評 価できる運転者を類型的に定めるとともに,その危険性の度合いに応じて道路交通の場から排除する期間を定め,自動車等を運転することができる地位を剥奪又は制限することにより,道路における危険を防止し,交通の安全と円滑を図る目的のものであると解される。また,法65条1項は,身体に通常の状態で保有している以上にアルコールを保有している場合に は,肉体的・精神的機能に影響を及ぼし,このような状態で運転をすると きには,交通事故を起こす可能性が増大するため,これを防止するために 有している以上にアルコールを保有している場合に は,肉体的・精神的機能に影響を及ぼし,このような状態で運転をすると きには,交通事故を起こす可能性が増大するため,これを防止するために設けられた規定であると解される。 以上のとおりの法令の文言並びに免許取消等処分,欠格期間指定処分及び法65条1項の趣旨,目的等に加えて,酒気帯び運転の有する道路交通上の危険は,酒気を帯びて車両等を運転することについての運転者の故意 又は過失の有無によって特段の相違があるわけではなく,当該故意又は過失なく酒気帯び運転に及んだ者についても自動車等を運転することができる地位を制限又は剥奪する必要性があることは否定できないことに照らすと,令別表第二の備考の二の2所定の「酒気帯び運転(0.25以上)」とは,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転 することについて運転者の故意又は過失がある場合に限られないと解するのが相当である。 イ原告の主張に対する判断原告は,運転者において酒気を帯びて車両等を運転することについての故意がなければ,酒気帯び運転として刑事責任を問われることはないとこ ろ,これは,免許取消等処分においても同様である旨主張する。 そこで検討すると,酒気帯び運転の罪(法65条1項,117条の2の2第3号)が成立するためには,少なくとも飲酒によりアルコールを自己の身体に保有していることについての未必的な認識が必要とされているが(最高裁昭和46年(あ)第470号同年12月23日第一小法廷判決・ 刑集25巻9号1100頁,最高裁昭和52年(あ)第834号同年9月19日第一小法廷判決・刑集31巻5号1003頁参照),これは,過去の違法行為に対する制裁として刑事罰を科す際には故意又は過失を要するとい 巻9号1100頁,最高裁昭和52年(あ)第834号同年9月19日第一小法廷判決・刑集31巻5号1003頁参照),これは,過去の違法行為に対する制裁として刑事罰を科す際には故意又は過失を要するという責任主義の観点からの要請であると解される(刑法38条1項参照)。 これに対し,前記アに説示したとおり,免許取消等処分及び欠格期間指定 処分は,将来における道路交通の危険を防止するという行政目的のために 行われる行政処分であって,過去の違法行為に対する制裁として行われる刑事罰とは目的も性格も異なる別個のものであることは明らかである。 したがって,原告の前記主張は採用することができない。 ウ以上によれば,令別表第二の備考の二の2所定の「酒気帯び運転(0. 25以上)」に該当するためには,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有 する状態で)車両等を運転することについて運転者の故意又は過失がある必要はないというべきである。 ⑵アなお,本件の審理の経緯に鑑み,本件運転行為当時における原告の認識について念のため検討すると,①原告は,前記2⑵ウのとおり,本件運転行為の約8時間前までの約1時間の間に,ビール(アルコール度数5.0 ~6.0%)350㎖及びウイスキー(アルコール度数40.0~43. 0%)をストレートで800㎖以上飲むという相当多量のアルコールの摂取を行っていることに加え,②飲酒時に原告の体調が悪かったこと(前記認定事実⑴),③飲酒後に一晩睡眠を取った後でも身体にアルコールが残存していることがあり得ることが一般的に広く知られていることに鑑み れば,原告が,飲酒後,約7時間30分睡眠を取ったことを考慮しても,原告には,本件運転行為当時,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することについての未必 ことに鑑み れば,原告が,飲酒後,約7時間30分睡眠を取ったことを考慮しても,原告には,本件運転行為当時,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することについての未必的な認識(故意)があったことが優に認められるというべきである。 イ原告の主張に対する判断 これに対し,原告は,㋐本件1月供述調書は,警察官から,否認するのであれば正式裁判になるという趣旨のことを言われた上,ひどい寒さの中,原告が通常就寝する午後8時頃まで取調べが行われて眠気もある状況で,早く帰りたい一心で作成してしまった虚偽のものであり,任意性・信用性がなく,㋑本件運転行為時,前日の飲酒から8時間以上が経過し,睡眠を 十分とっており,二日酔いの症状も全くなかったことから,身体にアルコ ールが残っているとは全く認識しておらず,また,㋒原告は,過去に4回,飲酒して就寝した後に各呼気検査を受けた際に,いずれもアルコールが検出されなかったことから,本件のような状況ではアルコールが身体から完全に抜けるものだと思っていたのであり,本件運転行為時に身体にアルコールが残存していることを予見することすらできなかった旨主張する。 (ア) 前記㋐の主張について原告には,本件運転行為当時,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することについての未必的な認識(故意)があったことが優に認められることは,前記ア説示のとおりであるから,本件1月供述調書の任意性・信用性を論ずるまでもない。 したがって,原告の前記㋐の主張は,採用することができない。 (イ) 前記㋑の主張について前記アのとおり,本件運転行為の約8時間以上前ではあるものの原告の飲酒量が相当多量に及んでいることに加え,飲酒時に原告の体調が悪かっ 張は,採用することができない。 (イ) 前記㋑の主張について前記アのとおり,本件運転行為の約8時間以上前ではあるものの原告の飲酒量が相当多量に及んでいることに加え,飲酒時に原告の体調が悪かったこと,飲酒後に一晩睡眠を取った後でも身体にアルコールが残存 していることがあり得ることが一般的に広く知られていることに鑑みれば,原告には,本件運転行為当時,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することについての未必的な認識(故意)があったことが優に認められることは,前記ア説示のとおりである。 したがって,原告の前記㋑の主張は,採用することができない。 (ウ) 前記㋒の主張について原告は,原告本人尋問において,当該主張に沿う供述をするものの,身体中のアルコールの残存状況は,飲酒量,飲酒したアルコールの種類,飲酒から車両等を運転するまでの時間的間隔等の諸状況によって異なることは,広く知られているところである。そして,仮に,原告の供述ど おり,原告が,過去に飲酒して就寝した後に各呼気検査を受けた際に, いずれもアルコールが検出されなかった経験を有する事実が認められたとしても,当該各呼気検査を受けるに先立つ飲酒に関し,飲酒量,飲酒したアルコールの種類,飲酒から車両等を運転するまでの時間的間隔等を裏付ける客観的かつ的確な証拠はない(原告の主張する過去4回の各呼気検査について,各運転行為の約8時間前にウイスキーを約800㎖ 以上も飲んで就寝した後に各呼気検査を受けたところ,身体に保有するアルコールが呼気1ℓにつき0.25㎎未満であるとの結果となったことを裏付ける客観的かつ的確な証拠もない。)から,原告がそのような経験を有しているからといって,原告には,本件運転行為当時,酒気を帯びて(アルコー 気1ℓにつき0.25㎎未満であるとの結果となったことを裏付ける客観的かつ的確な証拠もない。)から,原告がそのような経験を有しているからといって,原告には,本件運転行為当時,酒気を帯びて(アルコールを身体に保有する状態で)車両等を運転することにつ いての未必的な認識(故意)がなかったということはできない。 したがって,原告の前記㋒の主張は,採用することができない。 ⑶ 以上検討したところによれば,原告には,本件違反行為1が成立すると認められる。 4 争点3(本件処分に係る裁量権の範囲の逸脱・濫用の有無)について 原告は,本件各違反行為に関する刑事事件においては不起訴処分となっているところ,それにもかかわらず,同じ事実を基に,行政手続において,原告に対し,免許取消処分という不利益処分を科すことは,法的安定性の見地からあってはならないから,本件処分は,裁量権の範囲を逸脱・濫用する違法なものというべきである旨主張する。 しかしながら,前記3⑴に説示したとおり,免許取消等処分及び欠格期間指定処分は,道路交通上の危険のある運転者を一定期間道路交通の場から排除して,道路における危険を防止し,交通の安全と円滑を図ること(法1条参照)を目的として行われる行政処分であって,過去の違法行為に対する制裁として行われる刑事罰(刑事処分)とは目的も性格も異なる別個のものであることは 明らかであるから,特定の運転行為に関して,刑事事件においては不起訴処分 となる一方,当該運転行為を理由に免許取消等処分及び欠格期間指定処分がされたからといって,当該免許取消等処分及び欠格期間指定処分が裁量権の範囲を逸脱・濫用する違法なものとなるわけではないことは,明らかである。 したがって,原告の前記主張は,採用することができない。 5 小括 といって,当該免許取消等処分及び欠格期間指定処分が裁量権の範囲を逸脱・濫用する違法なものとなるわけではないことは,明らかである。 したがって,原告の前記主張は,採用することができない。 5 小括 以上検討したところによれば,原告については,本件各違反行為が成立すると認められるから,違反行為に係る累積点数が25点(酒気帯び運転(0.25以上)による基礎点数25点及び信号無視による基礎点数2点のうち,最も高い点数である25点(令別表第二の備考の一の1))となり,かつ,前歴がない者に該当することから,法103条1項5号及び令38条5項1号イ並び に法103条7項及び令38条6項2号ニに該当する。 そうすると,これらの規定により,免許を取り消し,免許を受けることができない期間を2年間と指定した本件処分は適法である。 第4 結論以上によれば,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主 文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官三輪方大 裁判官黒田吉人 裁判官稲岡奈桜は,差し支えにつき,署名押印することができない。 裁判長裁判官三輪方大
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