平成27年1月14日判決言渡平成24年(行ウ)第473号固定資産価格審査申出棄却決定取消請求事件 主文 1 東京都固定資産評価審査委員会が原告に対して平成24年1月10日付けでした別紙1物件目録記載の家屋について固定資産課税台帳に登録された平成21年度の価格についての審査の申出を棄却する決定のうち価格30億6072万9000円を超える部分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを6分し,その5を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求東京都固定資産評価審査委員会が原告に対して平成24年1月10日付けでした別紙1物件目録記載の家屋について固定資産課税台帳に登録された平成21年度の価格についての審査の申出を棄却する決定のうち価格27億1966万5600円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,別紙1物件目録記載の家屋(登記記録上の表示によるもの。以下「本件家屋」という。)の所有者である原告が,本件家屋について固定資産課税台帳に登録された平成21年度の価格(以下「本件登録価格」といい,固定資産課税台帳に登録された価格一般を「登録価格」という。)について不服があるとして,東京都固定資産評価審査委員会に対し,地方税法432条1項の規定に基づく審査の申出(以下「本件申出」という。)をしたところ,東京都固定資産評価審査委員会から,本件申出を棄却する決定(以下「本件決定」という。)を受けたため,本件決定のうち原告が相当と考える価格を超える部分は違法であると主張して,本件決定のうち上記の部分の取消しを求める事案である。 原告は,上記の不服の理由として,本件家屋の建築当初の評価に誤りがあったこと, 当と考える価格を超える部分は違法であると主張して,本件決定のうち上記の部分の取消しを求める事案である。 原告は,上記の不服の理由として,本件家屋の建築当初の評価に誤りがあったこと,具体的には,本件家屋の建築当初の再建築費評点数を求める際に誤りがあったこと等を主張しているのに対し,被告は,それらを争うとともに,上記のような建築当初の評価の誤りを平成21年度の登録価格についての不服の理由として主張することはできない旨を主張している。 2 関係法令等の定めの概要別紙2「関係法令等の定めの概要」に記載したとおりである(なお,同別紙において定める略称は,以下においても用いることとする。)。 3 前提となる事実(当裁判所に顕著な事実,当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。以下「前提事実」という。)(1) 原告は,肩書地に主たる事務所を有する一般社団法人であり,本件家屋の新築時からの所有者で,平成21年1月1日時点において本件家屋に係る登記簿に所有者として登記されていた者である。 (2)ア本件家屋は,昭和57年9月14日に新築された地下2階,地上14階建ての塔屋階付きの非木造家屋である。本件家屋の固定資産評価基準における非木造家屋経年減点補正率基準表の構造区分は,SRC造・RC造及びS造(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの)等となっており,固定資産の評価上は,本件家屋の地上2階の一部,地上3階から地上14階まで及び塔屋階についてS造(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの)の経年減点補正率が,その他についてSRC造・RC造の経年減点補正率が適用されている。そして,固定資産の評価上は,S造部分の床面積は1万7122. 14㎡であり,SRC・RC造部分の床面積は7590.65㎡であるも が,その他についてSRC造・RC造の経年減点補正率が適用されている。そして,固定資産の評価上は,S造部分の床面積は1万7122. 14㎡であり,SRC・RC造部分の床面積は7590.65㎡であるものとされている(ただし,原告は,本件訴えにおいて,これらの数値に誤りがあると主張している。)。 イ本件家屋は,その後,平成3年3月31日に増築され,平成6年に増築部分について減築された。増築部分の構造及び用途は,S造・倉庫(一般) であり,課税床面積は,減築前が44.73㎡,減築後が40.25㎡である。 ウ本件家屋の平成4年度以降の価格は,新築部分と増築部分を別個に評価してそれぞれの価額を算出し,それらを合計する方法により決定されている。 (3) 新築部分の評価についてア新築部分の建築当初の再建築費評点数は,昭和57年度評価基準により算出され,18万3400点(100点未満切捨て)とされた。 イ新築部分のその後の昭和60年度から平成18年度までの各基準年度の再建築費評点数は,前記アの再建築費評点数を基礎として固定資産評価基準を適用して算出された。 ウ東京都千代田都税事務所長は,原告に対し,平成21年1月30日付けの固定資産価格等修正通知書をもって,後記(4)の増築部分を含めた本件家屋の平成18年度から平成20年度までの価格を修正した旨を通知した。 上記の修正後の新築部分の平成20年度の再建築費評点数は,S造部分が19万3800点,SRC造・RC造部分が19万7500点となったので,平成21年度評価基準を適用して,それぞれに再建築費評点補正率1.04を乗じて再建築費評点数(S造部分20万1500点,SRC造・RC造部分20万5400点)を算出し,それらにそれぞれの経年減 ので,平成21年度評価基準を適用して,それぞれに再建築費評点補正率1.04を乗じて再建築費評点数(S造部分20万1500点,SRC造・RC造部分20万5400点)を算出し,それらにそれぞれの経年減点補正率(S造部分0.5200,SRC造・RC造部分0.6677)を乗じて評点数(S造部分10万4780点,SRC造・RC造部分13万7145点)(小数点以下切捨て)を算出し,それらにそれぞれの課税床面積(前記(2)アのとおり)を乗じて総評点数を算出した上で,それらに評点1点当たりの価額1.1円を乗じることによって,異なった構造を有する部分ごとの平成21年度の価額(S造部分19億7346万3600円,SRC造・RC造部分11億4512万1600円)(100円未満切捨 て)が算出された。 (4) 増築部分の評価についてア増築部分の平成4年度の再建築費評点数は,平成3年度の固定資産評価基準により算出され,59万6000点とされた。 イ増築部分のその後の平成6年度から平成18年度までの各基準年度の再建築費評点数は,前記アの再建築費評点数を基礎として固定資産評価基準を適用して算出された。 ウ前記(3)ウの修正がされた後の増築部分の平成20年度の再建築費評点数は57万2100点となり,これを基礎に,平成21年度評価基準を適用して,平成21年度の価額(1550万3200円)が算出された。 (5) 平成21年3月31日,前記(3)ウの19億7346万3600円及び11億4512万1600円並びに前記(4)ウの1550万3200円を合計した31億3408万8400円が,本件登録価格として固定資産課税台帳に登録された。 (6) 原告は,平成21年7月30日,東京都固定資産評価審査委員会に対し,本件登録 50万3200円を合計した31億3408万8400円が,本件登録価格として固定資産課税台帳に登録された。 (6) 原告は,平成21年7月30日,東京都固定資産評価審査委員会に対し,本件登録価格である31億3408万8400円について不服があるとして,地方税法432条1項の規定に基づき審査の申出(本件申出)をした。 (7) 東京都固定資産評価審査委員会は,平成24年1月10日,原告による前記(6)の審査の申出を棄却する決定(本件決定)をしたが,原告が本件申出においてした本件家屋の建築当初の再建築費評点数に誤りがある旨の主張については,建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後に判明したような場合等に当たるとは認められないとして,これを判断しなかった(甲11)。 (8) 原告は,平成24年7月17日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 第3 争点 1 建築当初の評価の妥当性を争うことの可否 2 本件家屋の新築部分における再建築費評点数の算出の誤り(1) 主体構造部の鉄骨の耐火被覆(2) 電気設備の電灯コンセント配線設備(3) 電気設備の照明器具設備の蛍光灯用器具(4) 電気設備の電話配線設備(5) 防災設備(6) 建築設備に係る規模補正係数(7) その他計算ミス等 3 経年減点補正率の適用の誤り 4 本件家屋の適正な時価第4 争点に関する各当事者の主張の要点 1 争点1(建築当初の評価の妥当性を争うことの可否)について(被告の主張の要点)(1)ア地方税法432条1項本文は,固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合には,固定資産課税台帳に価格を (1)ア地方税法432条1項本文は,固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合には,固定資産課税台帳に価格を登録した旨の公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日まで若しくは都道府県知事の勧告を受けて固定資産課税台帳に登録された価格を修正した場合の公示の日から同日後60日(固定資産の価格の修正による更正に基づく納税通知書の交付を受けた者にあっては,当該納税通知書の交付を受けた日後60日)までの間において,又は固定資産課税台帳に価格を登録した旨の公示の日以後における価格の決定・修正の通知を受けた日から60日以内に固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる旨を規定するとともに,同法434条は,同審査委員会の決定に不服があるときはその取消しの訴えを提起することにより争うこと ができ(同条1項),それ以外の方法で争うことはできない(同条2項)と規定している。 地方税法がこうした規定を設けた趣旨は,審査申出期間,取消訴訟の出訴期間に制限を設けることにより,固定資産税の賦課処分の前提問題である固定資産税評価額を早期に確定させることによって,法的安定性を招来しようとしたものと思われる。 ところが,原告が主張するように,新築当初の評価自体を平成21年度の登録価格に対する審査の申出においても争うことができるとすると,固定資産評価基準に定める在来分の家屋に係る再建築費評点数の算出方法(別紙2の2(4)から(7)まで等。以下「在来分家屋の評価方式」ということがある。)により評価された基準日における家屋の評価を争う際に,建築当初の評価の誤りを無制限に主張できることになるから,効力の確定した建築当初の評価額についての争い 在来分家屋の評価方式」ということがある。)により評価された基準日における家屋の評価を争う際に,建築当初の評価の誤りを無制限に主張できることになるから,効力の確定した建築当初の評価額についての争いをいつでも蒸し返すことができることになり,早期確定・法的安定性といった地方税法の趣旨に反する結果となる。また,当初の評価から時間が経過するほど,評価の対象となった建物には経年変化が生じ,補修や増改築等による変更が生じることも当然に予想され,そうなれば,当初の評価に誤りがあったかどうかを的確に判断することは困難になっていくことが相当程度予測される。これらのことから,地方税法の趣旨を損なうことにもなりかねない。 そこで,少なくとも,本件のように,当初の評価が行われてから一定期間が経過した後になって,建築当初の評価を無制限に争うことは許されず,在来分家屋の評価方式による評価(新築時に算出された再建築費評点数に基準年度ごとに再建築費評点補正率を乗じて求められるもの)が行われている家屋については,主として前の基準年度との再建築費評点補正率の妥当性を争うことができるにすぎないものとしたのである。 イそして,東京地方裁判所平成17年10月21日判決・判例秘書登載(乙 1。以下「東京地裁平成17年判決」という。)は,昭和52年に新築された非木造建物の固定資産税評価額が適正な時価といえるかが争われた事案において,既存家屋の「評価を争う際に,建築当初の評価の誤りを無制限に主張できるとすると,効力の確定した建築当初の評価額についての争いが蒸し返されることになり」,固定資産の評価に係る審査の申出制度を定めた地方税法の趣旨に反するとして,原則として,これを禁じた上,例外的に,「建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後 蒸し返されることになり」,固定資産の評価に係る審査の申出制度を定めた地方税法の趣旨に反するとして,原則として,これを禁じた上,例外的に,「建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後に判明した場合や,建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に比準評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合」を除き,「建築当初の評価を無制限に争うことを認めるのは相当でない」とする判決を下している。上記の判決の控訴審判決である東京高等裁判所平成18年6月28日判決・判例集非登載(乙2)は,原審の判断が妥当であるとする控訴棄却の判断を下し,最高裁判所は,平成19年12月4日の決定(判例集非登載。乙3)において上告を棄却しているのであるから,上記の裁判例の考え方によっても,原告の主張するように無制限な主張が許されるわけではない。 また,最高裁判所平成20年(行ツ)第149号,同年(行ヒ)第163号同年6月20日第二小法廷決定・判例集非登載(甲24の3),最高裁判所平成21年(行ツ)第292号,同年(行ヒ)第376号同年11月12日第一小法廷決定・判例集非登載(甲25の3)においても,同様の判断が示されている。 そして,こうした結論は,①地方税法が,審査申出期間の制限,審査申出の前置,出訴期間の制限など,法的安定性を重視した規定を設ける一方,価格は「適正な時価」でなければならないと規定していることについて,原告は,その主張において,納税者側に主張立証責任を負わせることで,両者のバランスを取ろうとしているものの,納税者側の主張立証は主に自 分に有利な減額部分のみについてなされるものであって,減額部分のみの一方的な納税者側の立証を基に減額するとした場合,それが「適正な時価 取ろうとしているものの,納税者側の主張立証は主に自 分に有利な減額部分のみについてなされるものであって,減額部分のみの一方的な納税者側の立証を基に減額するとした場合,それが「適正な時価」といえるか極めて疑問であること,②東京都の特別区である23区に現存する新旧全ての家屋について評価計算に使用する全ての資料を評価庁が保管していなければ上記①の納税者側の主張立証を覆すに足りる有効な証拠を提示することは不可能であるが,そのような資料は保管されていないこと,③新築時の部分別評価に係る評価額の算出作業は見積書や竣工図から各部分別の数量を地道に拾い出して行うものであり,本件家屋のような大規模な家屋の評価資料は膨大であって,評点数の算出に数か月を要するものであるが,評価庁側がその作業の全てを再現するために十分な資料を保管していない現状には合理性があり,その前提で原告の主張するような判断基準に従った場合,「適正な時価」が算出できるのか疑問であること,④地方税法417条は,登録された価格について,重大な錯誤がある場合のみ,評価庁による価格の修正を義務付けているが,このことは,重大な錯誤がない限り,いまだ適正な時価であるとの推認が働くとの前提に立っていると思われることからしても,適当というべきである。 なお,原告が依拠して主張しているものと思われる最高裁判所平成11年(行ヒ)第182号同15年7月18日第二小法廷判決・裁判集民事210号283頁は,在来分家屋の評価が問題となったものではあるものの,本件家屋のように建築当初の再建築費評点数の算出の当否が問題となった事案ではなく,その後の管理状況等から固定資産評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情の存否等が争点となったものにすぎない。それゆえ,上記の判決をもって,在 の算出の当否が問題となった事案ではなく,その後の管理状況等から固定資産評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情の存否等が争点となったものにすぎない。それゆえ,上記の判決をもって,在来分家屋について,建築当初の評価における固定資産評価基準のあてはめが適正になされていることを逐一検証しなければ,「適正な時価」であるとの推認は働かないと判示したものとみるのは失当である。 ウ上記イに述べたことを前提に本件を検討すると,東京地裁平成17年判決が建築当初の評価を争うことができると認めているものは,隠れた瑕疵など建築当初において適切に評価できなかった事情や,経過規定の適用の誤り等を想定しているのであって,部分別評価の誤りに関しては基本的にこれを認めないと判断しているということができる。 その上,本件家屋は,建築当初から原告が所有者であって,新築時において当初評価の妥当性を争うことができたはずであるから,原告のいわんとするところは,その後に判明した事情には該当せず,蒸し返しの主張にすぎない。 そうだとすれば,当初評価を基礎に在来分家屋の評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理とは認められず,本件家屋(在来分家屋)の評価は,東京地裁平成17年判決のいう建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後に判明した場合や,「建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に比準評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合」にも当たらないから,原告の主張は失当というべきである。 (2) 原告の主張に対する反論ア原告の主張の要点(1)イ(ア)について原告のいわんとするところは必ずしも明らかでないが,「前基準年度に適用した固定資産評価基準 いうべきである。 (2) 原告の主張に対する反論ア原告の主張の要点(1)イ(ア)について原告のいわんとするところは必ずしも明らかでないが,「前基準年度に適用した固定資産評価基準第2章第1節,第3節及び第4節によって求めたもの」の第3節の中に,在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法(前年度の再建築費評点数に再建築費評点補正率(乗率)を乗じて当該基準年度の再建築費評点数を求める方式)が規定されていることからすれば,「前基準年度に適用した固定資産評価基準の規定によって評価した場合に得られる再建築費評点数」を基に新基準年度の価格が算出されたことに変わりはないから,本件家屋の平成21基準年度 の価格が固定資産評価基準にのっとって算定されたことにはならないとの批判は前提において失当というべきである。 イ原告の主張の要点(1)イ(イ)について当初の評価から時間が経過するほど,評価の対象となった建物には経年変化が生じ,また,補修や増改築等による変更が生じることが当然に予想できるのであり,そうなれば,当初の評価に誤りがあったかどうかを的確に判断することは困難になっていくことが相当程度予測されるし,建築当初の建築関係書類が廃棄又は紛失されることも十分に想定でき,その意味からも,時の経過とともに建築当初の評価に誤りがあったかどうかを的確に判断することは困難になっていくといわざるを得ないから,原告の主張のとおりに解すると,法的安定性を阻害するばかりか,実質的な平等も維持できなくなるおそれが生ずる。 ウ原告の主張の要点(1)ウ(イ)について家屋の評価は複雑な手順を経てなされるものであって,納税者は,いかなる算出根拠や計算方法によって価格が決定されたかをほとんど知ることは ウ原告の主張の要点(1)ウ(イ)について家屋の評価は複雑な手順を経てなされるものであって,納税者は,いかなる算出根拠や計算方法によって価格が決定されたかをほとんど知ることはできず,登録価格が適正な時価を超えるものであるか否かも直ちには判明しない場合が多いとの原告の指摘については,地方税法が不服申立期間を60日間に制限したことに対する批判にほかならず,批判の理由たり得ないし,家屋の所有権は転々と移転することが少なくないから,家屋の新築時の再建築費評点数算出の誤りを,その後の基準年度における当該家屋の登録価格に対する不服の理由にできないのは不当な結論であるとの原告の指摘については,納税義務を負っているその時点の所有者が当該家屋の価格について最も利害関係を有していることから,その者が審査の申出をしない場合には確定することにしたのであり,そのことに何ら不合理な点は認められないから,いずれも失当である。 エ原告の主張の要点(2)ア(ア)について 同じ固定資産評価であっても土地の場合と異なり家屋の場合は個別性が高いことからして,比準評価の方法を採用している場合を除き,各別の評価が必要となる(現に,新増分の家屋については基本的にこうした方法を採用している)。 ところが,原告の主張によれば,こうした家屋について,その家屋が存在している限り,建築当初の評価について争い得るということになるのであり,可能性ということからいえば,評価した家屋全てについて,当初の評価が正しくなされていたという根拠を保存していなければならないことになる。 しかしながら,こうしたことは,実際には極めて困難を強いることになるから,原則として禁じられ,当初評価を基礎に在来分の家屋の評価方式により評価することが適正な時価の算定方法 ならないことになる。 しかしながら,こうしたことは,実際には極めて困難を強いることになるから,原則として禁じられ,当初評価を基礎に在来分の家屋の評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として合理性が認められ,本件家屋(在来分の非木造家屋)の評価は,建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後に判明した場合や,建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に比準評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合にも当たらないから,原告の主張は失当というべきである。 オ原告の主張の要点(2)ウについて本件家屋の平成21年度の価格は,平成21年度評価基準第2章第3節に従って算出したものであり,その一要素である「再建築費評点数」も「在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法」(平成21年度評価基準第2章第3節四)に従って算出したものであるので,固定資産評価基準に定める評価方法に従って決定されたものということができる。 この場合,「在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数」算出のための一要素である「基準年度の前年度における再建築費評点数」は,建築当初の再建築費評点数の影響を受けるものではあるが,「建築当初の評価にお いて適切に評価できなかった事情がその後に判明したような場合や,建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に比準評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合」に当たらない限り,その評価は評価基準に適合した評価であるというべきであるというのがこれまでの判例であるから(東京地裁平成17年判決等),そのようにして評価基準に適合した家屋の価格は,前掲の最高裁判所平成15年7月18日判決に従い,特別の事情 評価であるというべきであるというのがこれまでの判例であるから(東京地裁平成17年判決等),そのようにして評価基準に適合した家屋の価格は,前掲の最高裁判所平成15年7月18日判決に従い,特別の事情の存しない限り,適正な時価であると推認される。 確かに,平成21年度評価基準の定めた在来分の家屋に係る評価方法では,建築当初の再建築費評点数が後々の評価額にまで影響を与える仕組みとはなっているが,家屋の新築から時間が経過すればするほど,家屋の建築当初の状態について正確に知る者がいなくなり,資料が存在したとしても,それが建築当初の状態を的確に反映したのであるかのかが不明となっていくため,事後的に建築当初の評価の妥当性を検証することは次第に困難となっていく。 他方,建築当初の評価において,評価庁は建物所有者等からの協力が得られる範囲で資料収集や現地調査を行い,その中で最大限妥当な評価を行う努力をしているが,評価当時に建物所有者等から提示されなかった資料や,提示された資料と異なる内容が示された資料が別に存在した可能性もある。しかも,建築当初において評価庁が評価に用いた資料は,納税者に返却する取扱いとなっていることから,当初評価より長期間が経過した後に,審査の申出や訴訟において納税者が自らに有利な資料を提示したとしても,それが本当に建築当初の建物の状態を的確に反映したものかが不明であるし,その資料が建築当初の評価時に評価庁に提出されていなかった可能性もある。 現に,建築当初の評価において,評価庁が評価に最も適した資料を借り 受けられなかった場合には,他の資料から推察して評価することが行われており,その結果と多少異なる数量等を示す資料が提示されたことをもって,建築当初の評価が不適正な評価であったと事後的に固定資産評価審査委員会が った場合には,他の資料から推察して評価することが行われており,その結果と多少異なる数量等を示す資料が提示されたことをもって,建築当初の評価が不適正な評価であったと事後的に固定資産評価審査委員会が判断するのは妥当でない(在来分の家屋について,評価庁の各部分別の評価内容と異なる(かのように見受けられる)資料を納税者が提示したとしても,それだけをもって建築当初の評価が誤りであったというべきではないし,誤りが立証されたというべきでもない。)。 そうであるとすれば,在来分の家屋について建築当初の評価の誤りが主張された場合には「建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後に判明したような場合や,建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎にその後の評価をすることが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合に限って争うことができる」との東京地裁平成17年判決の考え方に従って判断するのが適当というべきである。 (原告の主張の要点)(1) 以下に述べるとおり,ある基準年度の家屋の登録価格を争う際に,当該基準年度よりも前の年度の再建築費評点数算出の誤りに起因する当該基準年度の再建築費評点数の誤りを主張することは許される。 ア不服事由を制限する法令の規定の不存在固定資産税の納税者が,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産の登録価格を争う場合に,固定資産評価審査委員会に対する審査の申出及びその審査決定に対する取消訴訟において主張することができる事由を明示的に制限する規定は存在しない。 それにもかかわらず,固定資産価格に対する不服申立ての手続について,条文の文言にない制限を付加することは,納税者の予測可能性を著しく害し,法的安定性を損ねるものであって,租税法律主義の一内容である手続的保障原則に反 ,固定資産価格に対する不服申立ての手続について,条文の文言にない制限を付加することは,納税者の予測可能性を著しく害し,法的安定性を損ねるものであって,租税法律主義の一内容である手続的保障原則に反して許されないというべきである。 イ平成21年度評価基準の定める在来分の家屋の再建築費評点数の算出方法(ア) 平成21年度評価基準第2章第3節四(別紙2の2(4))の定める在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法は,「基準年度の前年度における再建築費評点数」に再建築費評点補正率を乗じて当該基準年度の再建築費評点数を算出するものであるところ,同評価基準は,「基準年度の前年度における再建築費評点数」を「前基準年度に適用した固定資産評価基準第2章第1節,第3節及び第4節一によって求めたもの」,すなわち,前基準年度に適用した固定資産評価基準の規定によって評価した場合に得られる再建築費評点数と定めており,「固定資産課税台帳に登録された前基準年度の価格の基礎とされた再建築評点数」とは定めていない。そして,本件家屋の再建築費評点数を付設する際に「基準年度の前年度における再建築費評点数」として用いた平成18年度の再建築費評点数は,乗率比準(再建築費評点補正率)方式によって,本件家屋の新築時の再建築費評点数に,昭和60年度,昭和63年度,平成3年度,平成6年度,平成9年度,平成12年度及び平成15年度の乗率(再建築費評点補正率)をそれぞれ乗ずることによって求めたものであるところ,この乗率比準(再建築費評点補正率)方式も,上記の在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法と同様に,昭和60年度,昭和63年度,平成3年度,平成6年度,平成9年度,平成12年度及び平成15年度の再建築費評点数,ひいては,新築時におけ 記の在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法と同様に,昭和60年度,昭和63年度,平成3年度,平成6年度,平成9年度,平成12年度及び平成15年度の再建築費評点数,ひいては,新築時における再建築費評点数を,それぞれの時に適用した固定資産評価基準の規定によって評価した場合に得られる再建築費評点数に基づいて算定をすべきことを求めており,そのことによって,乗率比準(再建築費評点補正率)方式という簡便な方法によりながら家屋の適正な時価を算出することを担保しているというべきである。 したがって,平成21年度評価基準は,「基準年度の前年度における再建築費評点数」の算定の基礎となる新築時の再建築費評点数について,当時の固定資産評価基準の規定に適合した評価がされることを求めていると解するのが相当であり,本件家屋の新築時の再建築費評点数の付設が固定資産評価基準に適合しないものである場合には,結局,本件家屋の平成21年度の価格が固定資産評価基準にのっとって算定されたことにはならない。 (イ) 地方税法は,土地又は家屋の課税標準を基準年度の賦課期日における価格で土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとすると規定し(同法349条1項),固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣の告示である固定資産評価基準に委ね(同法388条1項),市町村長は,固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(同法403条1項)。 その趣旨は,人的,物的及び時間的な制約の下で大量に存在する固定資産の評価を行うに当たり,全国一律の統一的な評価を行うことによって,各市町村全体の評価の均衡を図るとともに,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するためであり,固定資産評価基準は 定資産の評価を行うに当たり,全国一律の統一的な評価を行うことによって,各市町村全体の評価の均衡を図るとともに,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するためであり,固定資産評価基準は,上記のような目的を達成するために定められた,固定資産の価格を算定するための技術的かつ細目的な基準にすぎない。そして,固定資産評価基準において,在来分の非木造家屋の再建築費評点数の算出方法につき,前記(ア)のような方法が採用されているのは,再建築価格方式が採用されている以上,在来分の家屋を含めた全ての家屋について,部分別評価又は比準評価の方法によって再建築費評点数を求めるのが望ましいものの,上記のような制約の下で,大量に存在する在来分家屋の評価を部分別評価又は比準評価の方法によって行うことが実際上困難であることから,家屋の評価事務の簡素化を図るためであると考えられる。 そうすると,基準年度の登録価格を争う際に当該基準年度より前の年度の再建築費評点数に関する主張を制限することは,そもそも在来分の非木造家屋の建築費評点数も部分別評価又は比準評価の方法によって求めることとなっていれば,制限されることのなかった主張が,家屋の評価事務の簡素化を図ったばかりに制限されてしまうことを意味する。このような帰結は,家屋評価の便宜のみを過度に優先させ,固定資産税の納税者による登録価格に対する不服申立ての手段を不当に制限するものであって,不相当といわざるを得ない。 ウ不服の理由が制限されるとの見解の実質的不都合性(ア) 仮に,基準年度の前年度以前の再建築費評点数算出の誤りは,在来分の非木造家屋の当該基準年度の価格に対する不服の理由にできないとすると,大部分の非木造家屋において,不服の理由として主張できるのは,再建築費評点補 度の前年度以前の再建築費評点数算出の誤りは,在来分の非木造家屋の当該基準年度の価格に対する不服の理由にできないとすると,大部分の非木造家屋において,不服の理由として主張できるのは,再建築費評点補正率の乗算の誤り,経年減点補正率の乗算の誤り,物価水準による補正率の乗算の誤り,設計管理費等による補正率の乗算の誤りといった,単純計算の誤りだけということになってしまう。 地方税法が,このような単純計算の誤りの有無を審査するためだけに,わざわざ各市町村に固定資産評価審査委員会を設置すると規定しているとは,到底考えられない。 (イ) 家屋の評価は,固定資産評価基準の定めに従って,複雑な専門技術的な計算の手順を経てなされる上,固定資産税の賦課徴収の際に納税者に交付されるのは,納税通知書及び課税明細書だけであり,それらには家屋の再建築費評点数やその算出過程は記載されていないから,納税者は,いかなる算出根拠や計算方法によって価格が決定されたかをほとんど知ることはできず,登録価格が適正な時価を超えるものであるか否かも直ちには判明しない場合が多い(最高裁判所平成21年(受)第1338号同22年6月3日第一小法廷判決・民集64巻4号1010頁の 金築誠志裁判官の補足意見,札幌高等裁判所昭和58年(行コ)第3号同60年3月27日判決・行政事件裁判例集36巻3号413頁参照)。 しかも,審査の申出は,納税通知書の交付を受けた日後60日(本件家屋の初課税年度当時は30日)という短期間の間に行わなければならないものとされている(地方税法432条1項)。 それにもかかわらず,家屋の新築時の再建築費評点数算出の誤りを,その後の基準年度における当該家屋の登録価格に対する不服の理由にすることができないとして,過大な固定資産税の負担を負わされている納税者 それにもかかわらず,家屋の新築時の再建築費評点数算出の誤りを,その後の基準年度における当該家屋の登録価格に対する不服の理由にすることができないとして,過大な固定資産税の負担を負わされている納税者の救済の途を断ってしまうのは,あまりに不当である。 また,家屋の所有権は転々と移転することが少なくないから,家屋の新築時の再建築費評点数算出の誤りを,その後の基準年度における当該家屋の登録価格に対する不服の理由にすることができないとすると,当該家屋の固定資産税が初めて賦課された当時の所有者以外の所有者は,新築時の再建築費評点数算出の誤りを主張する機会を一度も与えられないことになってしまい,不当である。 (2) 被告の主張に対する反論ア被告の主張の要点(1)アについて(ア) 被告は,「法的安定性」という抽象的原則を金科玉条のごとく振りかざしているが,以下に述べるとおり,当該基準年度よりも前の年度の再建築費評点数の算出の誤りを主張することを制限してまで守らなければならない法的安定性など存在しない。 また,一旦,取消訴訟において排斥された主張と同じ主張を持ち出して紛争を蒸し返すような納税者は,仮に存在したとしても極めてまれであろうし,そのような例外的な場合には,既判力による主張の制限はできなくても,信義則によって主張を制限することが可能である。 (イ) 被告が守らなければならないとする法的安定性というのは,固定資産 税の課税標準たる固定資産課税台帳登録価格とそれを前提とする固定資産税の賦課処分である。 固定資産課税台帳に登録する価格の決定及び固定資産税の賦課処分については,処分性が認められ,そこにいわゆる公定力が働くことを肯定することができる。これに対し,再建築費評点数の算出というのは,新 固定資産課税台帳に登録する価格の決定及び固定資産税の賦課処分については,処分性が認められ,そこにいわゆる公定力が働くことを肯定することができる。これに対し,再建築費評点数の算出というのは,新築時のものであれその後の年度のものであれ,当該家屋の固定資産価格算出の一過程にすぎないものであるから,再建築費評点数の算出それ自体に処分性を認めることができなければ,公定力が働くことを肯定することもできない。 そして,ある基準年度における固定資産評価審査委員会に対する審査の申出及びその審査決定に対する取消訴訟において,認容決定又は認容判決がされた場合,その理由が新築時の再建築費評点数の誤りであれ,それ以外の理由であれ,その決定又は判決に基づいて修正を義務付けられる登録価格は当該基準年度の登録価格だけであり,当該基準年度より前の年度の価格決定及びそれに基づく賦課処分には何ら影響を及ぼさない。 そうすると,固定資産評価審査委員会に対する審査の申出及びその審査決定に対する取消訴訟によって害される法的安定性などそもそも存在しないのであるから,法的安定性を理由にそこで主張することができる事由を制限することを正当化することもできるはずがない。 (ウ) なお,家屋新築時から長期間経過した後に,新築時の再建築費評点数の誤りを理由として登録価格が覆され,その誤りが地方税法417条1項の規定する「重大な錯誤」に該当することによって,過年度に遡って価格の修正が義務付けられ,各年度の固定資産税納税者に対して過誤納金を還付するというような事態が生ずる場合であれば,法的安定性を害する結果といえるかもしれない。 しかしながら,同法17条の5第3項は,固定資産税及び都市計画税の各賦課決定は,法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後に ,法的安定性を害する結果といえるかもしれない。 しかしながら,同法17条の5第3項は,固定資産税及び都市計画税の各賦課決定は,法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後においてはすることができないと規定し,新築時に遡って還付の問題が発生するような事態が生じないような措置を講じている。 イ被告が引用する東京地裁平成17年判決は,以下に述べるとおり,本件とは事案を異にし,引用するのは不適切である。 (ア) 東京地裁平成17年判決における原告は,固定資産評価基準第2章第3節四に定められている在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法によらず,固定資産評価基準第2章第3節二に定められている部分別評価の方法によって平成12年度の再建築費評点数を算出すべきであると主張し,その理由として,建築当初の部分別評価の誤りを主張したものである。 これに対し,本件において,原告は,平成21年度評価基準第2章第3節四に定められている在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法によって再建築費評点数を算出することそれ自体の適否について争っているのではなく,上記の算出方法を前提として,「基準年度の前年度における再建築費評点数」が誤っているため,平成21年度の再建築費評点数も誤っていると主張するものである。 (イ) 固定資産評価基準第2章第3節四は,在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数を部分別評価の方法(固定資産評価基準第2章第3節二)によって求めることができる場合を,「当該市町村に所在する在来分の非木造家屋の実態等からみてこの方法によることが適当でないと認められる場合」と「個々の在来分の非木造家屋に地方税法第349条第2項各号に掲げる事情があることによりこの方法によることが適当でないと認められ 家屋の実態等からみてこの方法によることが適当でないと認められる場合」と「個々の在来分の非木造家屋に地方税法第349条第2項各号に掲げる事情があることによりこの方法によることが適当でないと認められる場合」とに限定しており,個々の在来分の非木造家屋に建築当初の再建築費評点数算出の誤りがあるからといって,部分別評価の方法 によって再建築費評点数を求めることができると定めてはいない。 そうすると,建築当初の再建築費評点数算出の誤りを理由として部分別評価の方法によるためには,その誤りが地方税法349条2項1号に規定する「家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」に該当する必要があるところ,「家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」とは,改築,損壊,増築,大規模な附帯設備の更新又は除去等当該家屋の価値に大幅な増減をきたした場合をいうものとされているから,建築当初の再建築費評点数算出の誤りも,それが価格に大幅な増減をきたすものでなければならないと解される。 このように,裁判所が「建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に比準評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合には,建築当初の評価を争うことも認められる」という限定を加えたのは,地方税法349条2項1号の解釈を前提としたからである。 (ウ) 他方,本件において,原告は,建築当初の再建築費評点数算出の誤りを,「個々の在来分の非木造家屋に地方税法第349条第2項各号に掲げる事情があることによりこの方法によることが適当でないと認められる場合」に該当する事情として主張しているわけではないから,主張できる建築当初の再建築費評点数算出の誤りの範囲に限定を加える必要性も合理性も存在しない。 (エ) 以上のとおり,被告が引用 認められる場合」に該当する事情として主張しているわけではないから,主張できる建築当初の再建築費評点数算出の誤りの範囲に限定を加える必要性も合理性も存在しない。 (エ) 以上のとおり,被告が引用する裁判例の事案と本件とは,結論を導く前提となる重要な事実に相違があるから,被告の引用は,不適切かつ無意味である。 なお,被告が挙げる3つの最高裁判所による決定のうち,東京地裁平成17年判決の上告審である平成19年12月4日決定(乙3)は,上告人の上告理由が明らかに民事訴訟法312条1項又は2項所定の事由 に該当しないことを理由として,上告を棄却したものであり,平成20年6月20日決定(甲24の3)及び平成21年11月12日決定(甲25の3)は,上告人の上告理由が明らかに同条1項又は2項所定の事由に該当しないことを理由として,上告を棄却するとともに,各事件が同法318条1項によって受理すべきものとは認められないことを理由として,上告不受理としたものであるから,固定資産評価審査委員会の審査決定に係る取消訴訟において,基準年度の家屋の登録価格を争う際に,建築当初の再建築費評点数算出の誤りを主張することが許されるか,という問題点について判断を示したものは,1つとして存在しない。 したがって,この点に関する最高裁判所の判例はなく,建築当初の再建築費評点数算出の誤りを主張することが許されるという原告の主張が判例に違背するということもない。 ウ被告の主張の要点(2)イ及びエについて被告は,建築当初の建築関係書類が廃棄又は紛失されることがあることも十分に想定できるから,時の経過と共に建築当初の評価の誤りがあったかどうかを的確に判断することは困難になると主張し,また,家屋が存在している限り,建築当初の評価について争える されることがあることも十分に想定できるから,時の経過と共に建築当初の評価の誤りがあったかどうかを的確に判断することは困難になると主張し,また,家屋が存在している限り,建築当初の評価について争えるのであるから,評価した家屋全てについて,当初の評価が正しくなされていたという根拠を保存していなければならないことになるが,それは極めて困難を強いることになるとも主張する。 しかしながら,被告の指摘する諸点については,一定の主張立証責任を原告側に転換し,建築当初の再建築費評点数の算出の誤りについての主張立証責任を原告に負担させれば足りるから,建築当初の再建築費評点数の誤りの主張を制限することを正当化することはできない。 なお,被告は,前掲の最高裁判所平成15年7月18日判決の射程範囲について主張するが,原告は,本件登録価格がそもそも固定資産評価基準 に定める評価方法に従って決定される価格を上回っていると主張した上で,家屋の基準年度に係る賦課期日における登録価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該家屋の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録価格の決定は違法となる(最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)という判断枠組みに従って,本件登録価格の違法を主張するものであるから,前掲の最高裁判所平成15年7月18日判決の射程範囲について議論するのは,本件においては無意味である。 2 争点2(本件家屋の新築部分における再建築費評点数算出の誤り)について(1) 争点2(1)(主体構造部の鉄骨の耐火被覆)について(原告の主張の要点)ア本件家屋の新築部分における鉄骨の使用総量は3113.7 る再建築費評点数算出の誤り)について(1) 争点2(1)(主体構造部の鉄骨の耐火被覆)について(原告の主張の要点)ア本件家屋の新築部分における鉄骨の使用総量は3113.78tであるところ,その評価(甲4)においては,その全てについて,鉄骨(耐火被覆あり)の標準評点数25万7100点が使用されている。 耐火被覆というのは,熱に弱い鉄骨の耐火性を高めるため,鉄骨を耐火材料で被覆することである。SRC造に使用される鉄骨については,鉄骨を被覆する鉄筋コンクリートが耐火被覆の役割を果たすため,耐火被覆は施工されない。 ところで,非木造家屋評点基準表によると,SRC造家屋(鉄骨,鉄筋及びコンクリートの使用量が明確な建物)に係る主体構造部(軸部構造)の標準評点数は,各使用資材の単位当たりの点数として示されており,鉄骨の標準評点数は,20万2800点と規定されている。また,S造家屋(鉄骨の使用量が明確な建物)に係る主体構造部(軸部構造)の標準評点数もそれと同様に示されており,鉄骨の標準評点数は,20万2800点とし,耐火被覆がなされている場合は,25万7100点とすると規定さ れている。そして,このように,昭和57年度評価基準は,SRC造家屋の鉄骨,S造家屋の鉄骨(耐火被覆が施工されていないもの)及びS造家屋の鉄骨(耐火被覆が施工されているもの)の標準評点数をそれぞれ明確に定めているのであるから,評価庁は,それぞれの使用量を正確に認定し,定められた標準評点数を機械的に適用することが求められているのであって,この点の評価に裁量が入り込む余地はない(評価庁に一定の裁量が認められるとすれば,それは耐火被覆が施工されている鉄骨量と施工されていない鉄骨量の算出方法という事実認定の段階である。)。 イこれを の評価に裁量が入り込む余地はない(評価庁に一定の裁量が認められるとすれば,それは耐火被覆が施工されている鉄骨量と施工されていない鉄骨量の算出方法という事実認定の段階である。)。 イこれを本件家屋についてみると,本件家屋の新築部分の構造は,地下2階がRC造,地下1階並びに地上1階及び地上2階の各一部がSRC造,地上1階及び地上2階の他の各一部並びに地上3階から地上14階まで及び塔屋階がS造であるから,SRC造部分に用いられた鉄骨,S造部分に用いられた耐火被覆が施工されていない鉄骨及びS造部分に用いられた耐火被覆が施工されている鉄骨それぞれの使用量を正確に認定し,それぞれに定められた標準評点数を適用すべきである。そして,自治省固定資産税課編「固定資産評価基準解説家屋篇」(昭和56年8月1日発行に係るもの。以下「昭和57年度評価基準解説」という。甲18・244頁)によると,「耐火被覆が施工されている部分と,そうでない部分がある場合においては,計算単位の床面積において考慮して差し支えないものである」とされている。 そして,本件家屋の新築部分は,地下2階がRC造,地下1階並びに地上1階の一部及び地上2階の各一部がSRC造,地上1階及び地上2階の他の各一部並びに地上3階から地上14階まで及び塔屋階がS造であり,課税床面積2万4712.79㎡のうち,S造部分の床面積は1万7942.52㎡,SRC造部分の床面積は5028.46㎡,RC造部分の床面積は1741.81㎡であって,各階の構造別床面積は,別紙3の「各 階構造別床面積表」のとおりである。 したがって,SRC造部分に使用される鉄骨については,鉄骨(耐火被覆なし)の標準評点数20万2800点が使用されなければならない。 そして,本件家屋の新築部分のS造部分と 床面積表」のとおりである。 したがって,SRC造部分に使用される鉄骨については,鉄骨(耐火被覆なし)の標準評点数20万2800点が使用されなければならない。 そして,本件家屋の新築部分のS造部分とSRC造部分の床面積割合は,約78対22であるから,鉄骨3113.78tのうち,その22%である685.03tについては,鉄骨(耐火被覆なし)の標準評点数が使用されなければならない。 ウ被告の主張に対する反論(ア) 被告の主張の要点アについて被告は,鉄骨何t分に耐火被覆が施工されているかは判然としないから,鉄骨を全て耐火被覆ありとしたことに違法はない旨の主張をする。 しかしながら,鉄骨(耐火被覆がなされている場合)については標準評点数25万7100点を用いるという固定資産評価基準の定めを適用するためには,鉄骨に耐火被覆が施工されているという課税要件事実の認定が必要であるから,そのような事実が認定できない以上,鉄骨(耐火被覆がなされている場合)の標準評点数を用いて評価することが許されないのはいうまでもない。 耐火被覆が施工された鉄骨の量が不明であることを理由として,全ての鉄骨に耐火被覆が施工されていると認定することは,「疑わしきは課税庁の利益に」という原理に基づいて事実認定を行うものであり,租税法の基本原則に反するものである。かえって,耐火被覆が施工された鉄骨の量を正確に算出できないのであれば,「疑わしきは納税者の利益に」という課税要件事実の認定の基本原則に立ち返り,全ての鉄骨に耐火被覆が施工されていないと認定すべきである。 確かに,本件家屋のように,耐火被覆が施工されている鉄骨と施工されていない鉄骨が混在する家屋の場合,被告の主張するように,それぞ れの使用量を正確に認定することが困難なことがあるかもしれな に,本件家屋のように,耐火被覆が施工されている鉄骨と施工されていない鉄骨が混在する家屋の場合,被告の主張するように,それぞ れの使用量を正確に認定することが困難なことがあるかもしれない。 しかしながら,固定資産評価基準の定める家屋評価の方法は,適正な時価への接近方法なのであるから,固定資産評価基準に当てはめる事実の認定の場面においても,できる限り正確な事実に接近する義務があるというべきである。正確な事実(耐火被覆が施工されている鉄骨と耐火被覆が施工されていない鉄骨それぞれの使用量)を認定することが困難であるからといって,正確な事実認定に接近することを怠る(全てに耐火被覆が施工されていると認定する)というのは,家屋評価担当者の職務放棄であって,賦課課税方式の下,家屋評価を専権とする租税行政庁の態度として,到底是認できるものではない。 昭和57年度評価基準解説が,「耐火被覆が施工されている部分と,そうでない部分がある場合においては,計算単位の床面積において考慮して差し支えないものである」とする意味は,あくまでそれぞれの使用量を正確に認定すべきが原則であるが,それが困難な場合には,例外的に,床面積割合によって使用量を算定するという程度までは,事実認定の精度として許容され得るということであって,その限度を超えて不正確な事実認定の方法を許容するものではない。 (イ) また,本件家屋は,新築時に1棟全体がSRC造であると評価され,初課税年度である昭和58年度から平成21年1月30日に修正されるまで,1棟全体にSRC造の経年減点補正率が適用されて評価されてきた。このように,1棟全体をSRC造であると評価している以上,主体構造部(軸部構造)の標準評点数の付設に当たっても,1棟全体にSRC造家屋の標準評点数を用いるべきであ 補正率が適用されて評価されてきた。このように,1棟全体をSRC造であると評価している以上,主体構造部(軸部構造)の標準評点数の付設に当たっても,1棟全体にSRC造家屋の標準評点数を用いるべきである。仮に,経年減点補正率の適用における構造の判定と再建築費評点数付設における構造種別の判定とは必ずしも一致しないとしても,本件家屋のSRC造部分に用いられている鉄骨についてまで,S造家屋の鉄骨(耐火被覆が施工されているも の)の標準評点数を用いるのは,固定資産評価基準の定めに真っ向から反し,明らかに誤りである。 なお,被告は,本件家屋の地上1階については,S造の柱は外周の一部分にあるのみであり,他の柱はSRC造であること,1階の床部分に施工されている梁は,全てSRC造又は鉄筋コンクリート造であることを理由として,本件家屋が1階の床面積の全てに対し,鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造として評価することには合理性がある旨の主張をする。 しかしながら,本件家屋の地上1階の一部(竣工図(構造)(抜粋)(甲2の1)の1階床伏図の③通り,⑨通り,Ⓐ通り及びⒻ通りで囲まれる部分を除いた部分。809.91㎡。以下,この部分を「1階低層棟部分」という。)は,S造である。 このことは,本件家屋の構造計算書(甲35)の「1-2 設計方針概要」欄に1階低層棟部分がS造である旨の記載があることからも明らかである。 すなわち,建築物は,自重,積載荷重,積雪荷重,風圧,土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものであることが求められる(建築基準法20条参照)ところ,建築物の安全上の基準適合性は,構造計算によって確かめられ,構造計算書は,この構造計算の概要,計算結果等をまとめた書類である。そうすると のものであることが求められる(建築基準法20条参照)ところ,建築物の安全上の基準適合性は,構造計算によって確かめられ,構造計算書は,この構造計算の概要,計算結果等をまとめた書類である。そうすると,本件家屋の構造計算書というのは,設計者である一級建築士が作成した,いわば本件家屋の構造に係る「診断書」であるということができ,1階低層棟部分の構造の判定に当たって,設計者が構造計算書にS造であると記載した事実は,重視されて然るべきである。 そして,本件家屋の設計者は,地上1階については,S造の柱は外周の一部分にあるのみであり,他の柱はSRC造であることや,1階の床 部分に施工されている梁は,全てSRC造又は鉄筋コンクリート造であることも踏まえた上で,1階低層棟部分の構造種別をS造としているわけであるから,同部分がS造であるとの結論は揺るがない。 (ウ) 被告の主張の要点イ(イ)に係る主張についてa 被告の主張の要点イ(イ)の①の主張については,用途の判定に当たって,延べ床面積の割合の多いものを当該家屋の用途と認定するという作業は,一棟の家屋が複数の用途に供されているという事実を認定した後で,当該複合用途家屋が固定資産評価基準上のいかなる用途区分に該当するかという当てはめ段階の問題であるから,事実認定段階の問題である本争点とは次元を異にする。 b 被告の主張の要点イ(イ)の②主張については,正確な事実認定が求められていることは,上記(ア)のとおりである。 c 被告の主張の要点イ(イ)の③の主張については,本争点は,事実認定段階の問題であり,固定資産評価基準の解釈の問題とは無関係である。 なお,念のため,固定資産評価基準の解釈について付言すると,耐火被覆が施工されていない通常の「鉄骨」及び「鉄骨(耐火被覆がな 認定段階の問題であり,固定資産評価基準の解釈の問題とは無関係である。 なお,念のため,固定資産評価基準の解釈について付言すると,耐火被覆が施工されていない通常の「鉄骨」及び「鉄骨(耐火被覆がなされている場合)」の意義は,その文理に即して,それぞれ「耐火被覆工事が実施されていない鉄骨」,「耐火被覆工事が実施されている鉄骨」と解釈すべきであり,これらの意義を殊更に拡張したり縮小したりして解釈すべき理由はない。そして,耐火被覆が施工されていない通常の鉄骨と鉄骨(耐火被覆がなされている場合)は,互いに相反し,両立し得ない概念であるから,「鉄骨(耐火被覆がなされている場合)」に耐火被覆工事が実施されていない鉄骨が含まれると解釈することは,拡張解釈や類推解釈の範ちゅうを超えた明らかな誤解釈である。 (被告の主張の要点)ア主体構造部の鉄骨に耐火被覆ありのものと耐火被覆なしのものが混在している場合,これをどのように評価するかは評価基準等には明確には規定されておらず,評価庁に一定程度の裁量が認められているから,原告の主張は妥当性を欠くというべきである。 すなわち,家屋の評価は,通常,竣工後に行う実地調査と建築主等から借り受けた見積書,竣工図等の資料を基に行うところ,耐火被覆の有無・施工量については,主に見積書等の資料により把握することができるものの,このうち鉄骨何t分に耐火被覆が施されているかは判然としない場合が少なくない(一般的にS造の家屋については耐火被覆が鉄骨全てになされているとみることができるので問題とならないが,複合構造家屋については耐火被覆が施工されている部分と施工されていない部分があることにもかかわらず,見積書を見ても,耐火被覆の面積が記載されているだけであって,それが鉄骨何t分に吹き付けられて が,複合構造家屋については耐火被覆が施工されている部分と施工されていない部分があることにもかかわらず,見積書を見ても,耐火被覆の面積が記載されているだけであって,それが鉄骨何t分に吹き付けられているかが分からないため,これを仕分けることができない)。そこで,本件家屋の新築当時,耐火被覆が施工されていることが見積書から確認できた場合には,耐火被覆ありの部分,すなわちS造の部分が過半を占めていることから,これら全ての鉄骨に耐火被覆が施工されているものとして評価した。こうした評価方法が妥当性を有することは,当時,耐火被覆の数量(㎡)から鉄骨何tに耐火被覆がなされているか計算する方法がなかったことからも認められるといえる。 イ原告の主張に対する反論(ア) 原告の主張の要点ア及びイについてa 原告は,昭和57年度評価基準解説によれば,「耐火被覆が施工されている部分と,そうでない部分がある場合においては,計算単位の床面積において考慮して差し支えないものである」と記載されており, S造部分とSRC造部分の床面積の割合は算定できるのであるから,耐火被覆の有無は床面積の割合によって算定し,評価することはできたはずであると主張するようである。 確かに,一つの方法としてこうした評価も考えられないわけではないが,評価基準解説の記載はあくまで「解説」であって参考にとどまるものにすぎない上,その内容も「考慮して差し支えないものである」というものであって,それ以外の評価方法を否定したものではない。また,天井高や鉄骨の太さが部分によって異なるなど鉄骨量は床面積に比例するものではないし,柱と梁で構造が異なる場合もあることを考えると,こうした方法は唯一の方法ではなく,使用されている鉄骨の大半に耐火被覆が施されていることを踏まえて,全て るなど鉄骨量は床面積に比例するものではないし,柱と梁で構造が異なる場合もあることを考えると,こうした方法は唯一の方法ではなく,使用されている鉄骨の大半に耐火被覆が施されていることを踏まえて,全てを耐火被覆ありとした被告の評価方法にも十分な合理性が認められるというべきである。そして,こうした結論が妥当性を有することは,固定資産評価基準等が,主体構造部に評点項目「耐火被覆」を設定し,その計算単位を通常の見積書の記載に合わせ,施工面積(㎡)としていないことからも,概算で足りるとしているとみることができることからも裏付けられる。 b 原告は,鉄骨について,昭和57年度評価基準は,耐火被覆が施工されているものとされていないものに標準評点数を区別しているのであるから,評価庁は,それぞれの使用量を正確に認定し,それぞれに定められた標準評点数を適用することが求められているにもかかわらず,被告はそのようにしていないから,かかる評価は誤りであると主張する。 しかしながら,家屋の評価に当たって,建築主等から借り受ける見積書によっても,耐火被覆の面積が記載されているだけであって,耐火被覆が施工されている鉄骨及び耐火被覆が施工されていない鉄骨の 各重量を区別することができない。すなわち,それぞれの使用量を正確に認定しそれに応じた算定をしようと思ってもできないことから,こうした評価をするのである。そうであるとすれば,それぞれの使用量を正確に認定して適用すべきであったという原告の批判は,不可能を強いるものであって妥当性を欠くといわざるをえない(平成21年度評価基準に係る「単位当たり標準評点数の積算基礎」(乙8の2)においては,鉄骨1t当たりの耐火被覆の施工量の標準が規定されているため,こうした算定ができるが,本件家屋の建築時であ ない(平成21年度評価基準に係る「単位当たり標準評点数の積算基礎」(乙8の2)においては,鉄骨1t当たりの耐火被覆の施工量の標準が規定されているため,こうした算定ができるが,本件家屋の建築時である昭和57年度評価基準に係る「標準評点数の積算基礎」(乙8の1)にはこうした規定がされていなかった。)。 (イ) 原告の主張の要点ウ(ア)について原告は,耐火被覆が施工された鉄骨の量が不明であることを理由として,全ての鉄骨に耐火被覆が施工されていると認定することは「疑わしきは課税庁の利益に」という原理に基づいて事実認定を行うものであって,租税法の基本原則に反するものであり,算定することができないのであれば,全ての鉄骨に耐火被覆が施工されていないと認定すべきである旨の批判をする。 しかしながら,①家屋の固定資産評価においては,用途等の判定に当たり,延べ床面積の割合の多いものを当該家屋の用途等と認定することは何ら特別なことではないから,使用されている鉄骨の大半に耐火被覆が施されていることをもって,全てを耐火被覆ありと認定したことには十分な合理性があること,②評価基準は,耐火被覆を個別の評点項目として設定しておらず,計算単位も耐火被覆の施工面積ではなく耐火被覆の施工されている鉄骨の重量(t数)としているから,施工の有無の認定においては厳密な認定を求めているとは認め難いこと,③原告は「疑わしきは納税者の利益に」ということから全ての鉄骨に耐火被覆が施工 されていないと認定すべきであると主張するが,そもそも固定資産の評価は評価基準の合理的解釈の下に行うものであることから,原告の批判は妥当性を欠くというべきである。 (ウ) 原告の主張の要点ウ(イ)について原告は,地上1階の一部も,地上2階と同様にS造である旨の主張をす 解釈の下に行うものであることから,原告の批判は妥当性を欠くというべきである。 (ウ) 原告の主張の要点ウ(イ)について原告は,地上1階の一部も,地上2階と同様にS造である旨の主張をするようである。 しかしながら,地上1階については,A会館改築工事2階床伏図(乙12の1),A会館改築工事SRC柱リスト(乙12の2)及びA会館改築工事鉄骨柱リスト(乙12の3)のとおり,S造の柱は外周の一部分にあるのみであり,他の柱はSRC造である。また,原告がS造であると主張する部分も含め,1階の床部分に施工されている梁は,全てSRC造又はRC造である竣工図(構造)(抜粋)(甲2の1)の16及び17枚目によれば,地上1階にはSRC造の大梁が施工されていることが見て取れる一方,18枚目によれば,地上1階には鉄骨の大梁が施工されていないことが見て取れる。また,5枚目の1階床伏図及び19枚目によれば,1階の床部分に施工されている小梁は全てRC造であると見て取れる)。 そうであるとすれば,1階の床面積の全てに対し,SRC造・RC造として評価することには合理性があるので,原告の主張は失当というべきである。 なお,原告は,本件家屋の構造計算書(甲35)の「1-2 設計方針概要」欄に1階低層棟部分がS造である旨の記載があることから,本件家屋の地上1階部分の一部はS造である旨の主張をする。 しかしながら,家屋の構造計算書は,原告も認めるように,建築物としての荷重や外力に対する安全性を担保するため,建築基準法の求める技術的基準に適合していることを判断する目的で作成されるものである。 これに対して,固定資産評価基準における経年減点補正率は,通常の維持管理を行った場合に,年数の経過に応じて通常生ずると考えられる減価を勘案して固定資産税を で作成されるものである。 これに対して,固定資産評価基準における経年減点補正率は,通常の維持管理を行った場合に,年数の経過に応じて通常生ずると考えられる減価を勘案して固定資産税を課税するために設定されるものであるから,経過年数に応じた減価を評価に反映させるという観点から適用すべき構造別区分を判断する必要がある。 このように両者はそれぞれ異なった制度の要請から,特有の考え方に基づいて運用・解釈されるべきものであって,固定資産評価における経年減点補正率における構造別区分について,構造計算書の「設計方針概要」の表記と同一の判断をしなくてはならないものではない。そうであるとすれば,本件家屋の構造計算書の記載をもって,固定資産評価における経年減点補正率の構造を認定しなければならないとする原告の主張は失当というべきである。 こうした結論が妥当性を有することは,原告の論拠が構造計算書(甲35)の「設計方針概要」であって,本件家屋の構造を簡易的に表示したものでしかない上,1階低層棟部分がS造である旨の記載がされているとしても,実際の地上1階の構造が竣工図(構造)(抜粋)(甲2の1)のとおりであるとすれば,S造の柱は外周の一部にあるのみであり,他の柱や床部分に施工されている梁はSRC造又はRC造なのであるから,地上1階の床面積全てにSRC造・RC造の経年減点補正率を適用することには合理性が容易に認められることからも裏付けられる。 (2) 争点2(2)(電気設備の電灯コンセント配線設備)について(原告の主張の要点)ア本件家屋の新築部分の評価(甲4)では,部分別「建築設備」に係る評点項目の「電気設備」中の「電灯・コンセント配線設備」に係るフロアコンセントの補正項目において,「全館」として,補正係数1.15が使 本件家屋の新築部分の評価(甲4)では,部分別「建築設備」に係る評点項目の「電気設備」中の「電灯・コンセント配線設備」に係るフロアコンセントの補正項目において,「全館」として,補正係数1.15が使用されている。 非木造家屋評点基準表によると,評点項目「電灯コンセント配線設備」の補正項目「フロアコンセント」には,増点補正率1.15の適用対象として「全館にあるもの」,標準1.0の適用対象として「一部分にあるもの」が規定されている。 「全館」とは,一般的な国語辞典によれば,「その館全体」(広辞苑第六版)のことをいうとされている。また,「ある」とは,ものごとが存在することをいうとされている。 そうすると,「全館にあるもの」の意義は,その文理に即して,(フロアコンセントが)その館全体に存在するものと解釈すべきであり,これらの意義を殊更に拡張したり縮小したりして解釈すべき理由はない。この意味で,「『全館にあるもの』とは,建物の全フロアにフロアコンセントが設備されているもののこと」をいうとする,昭和57年度評価基準解説(乙4・450頁)の解釈は,正しい解釈ということができる。 また,上記の解釈に続く「全フロアコンセントが設けられていてなおかつその数も多くなければならないというものではない。極端ないい方をすれば,1床に数個であっても,全館に設備されていれば,増点補正の対象となるものである」との記載部分については,「全館」の意義を解釈するのに「全館」という語を用いている点で循環論法に陥っている上,内容的にも妥当性を欠く解釈であるため,上記の記載部分は,平成12年度の固定資産評価基準解説以降は削除されているが,上記の記載部分のいわんとするところは,1フロア当たりの個数が少なくても,全フロアに設置されていれば「全館にあるもの」に該 記の記載部分は,平成12年度の固定資産評価基準解説以降は削除されているが,上記の記載部分のいわんとするところは,1フロア当たりの個数が少なくても,全フロアに設置されていれば「全館にあるもの」に該当するが,逆に,1フロア当たりの個数がどんなに多くても,設置されていないフロアがあれば,「全館にあるもの」には該当しないということである。 これを本件家屋についてみると,フロアコンセントは,地下2階には一切配置されておらず,地下1階に配置されているのはたった1か所で,1 階及び2階の大部分にも配置されていない。 したがって,フロアコンセントが設置されていないフロアが存在する以上,「全館にあるもの」には該当しないから,補正係数は,「一部」の1.0が使用されなければならない。 イ被告の主張に対する反論被告は,建物の延べ床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合よりも多い割合で配置されている場合は,当然に標準の場合と比較して工事費用がかさんでいることが認められるから,「全館にあるもの」として増点補正するのが相当であり,そのような家屋は,「全館にあるもの」に該当する旨の主張をする。 しかしながら,昭和57年度評価基準は,フロアコンセントの補正項目について,増点補正率の適用対象を「全館にあるもの」,標準の適用対象を「一部分にあるもの」,減点補正率の適用対象を「ないもの」と規定し,フロアコンセントの配置密度(当該家屋の延べ床面積をフロアコンセントの総数で除した数値の大小)によって補正するという定め方をしていない。 フロアコンセントが配置されていないフロアの存在を捨象し,単純に一棟全体の平均配置密度によって補正をする趣旨であるのだとすれば,増点補正率の適用対象は,例えば「配置密度が高いもの」とか「3 いない。 フロアコンセントが配置されていないフロアの存在を捨象し,単純に一棟全体の平均配置密度によって補正をする趣旨であるのだとすれば,増点補正率の適用対象は,例えば「配置密度が高いもの」とか「30㎡当たり1個程度のもの」とかいう定め方がされたはずである。そして,東京都主税局発行の『家屋評価の手引』(昭和57年3月29日発行)にも,「全館にあるもの(建物の全フロアにフロアコンセントがあるもの)」と記載されている(甲22)。 そうすると,フロアコンセントの補正項目については,その平均配置密度の高低にかかわらず,全フロアにフロアコンセントが配置されている場合には増点補正をし,フロアコンセントが配置されていないフロアが1つでもあれば,増点補正をしないというのが,固定資産評価基準に従った評 価というべきである。 (被告の主張の要点)ア昭和57年度評価基準解説(乙4・450頁)によれば,「フロアコンセント」の補正は,いわゆる床下配線の有無による工事費の相違を補正しようとするものであり,標準とされる「一部分にあるもの」とは,「建物の延床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合で設置されているようなものをさしている」とされており,本件家屋のフロアコンセントの設置状況は,「一部分にあるもの」には該当しない。 一方,増点補正の対象となる「全館にあるもの」とは,「建物の全フロアにフロアコンセントが設備されているもののことで,全フロアコンセントが設けられていてなおかつその数も多くなければならないというものではない。極端ないい方をすれば,1床に数個であっても,全館に設備されていれば,増点補正の対象となるものである」とされているところ,本件家屋は地下2階地上14階建てであり,フロア数が16であるが( ではない。極端ないい方をすれば,1床に数個であっても,全館に設備されていれば,増点補正の対象となるものである」とされているところ,本件家屋は地下2階地上14階建てであり,フロア数が16であるが(これに加えて塔屋が存在する。),甲2の2(竣工図(電気設備)(抜粋))によれば,そのうち地下2階にはフロアコンセントがないものの,地下1階から地上14階までにはフロアコンセントが設置されているのであり,しかも,4階から14階までの11フロアについては事務室部分にまんべんなく多くのフロアコンセントが設置されていることがみてとれる(甲2の2・図面番号121ないし129号)。 とすると,既に述べたように,「標準」が「延床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15平方メートル当たり1箇所程度」のものであることからすれば,本件家屋のフロアコンセントの床下配線による工事費に見合うよう,「全館にあるもの」として増点補正の対象としたことは適正というべきである。 イ原告の主張に対する反論原告は,電灯コンセント配線設備の「フロアコンセント」の補正項目について,「一部分にあるもの」の補正率が1.0,「全館にあるもの」の補正率が1.15と規定されているところ,1フロア当たりの個数が少なくても,全フロアに設置されていれば「全館にあるもの」に該当するが,逆に,1フロア当たりの個数がどんなに多くても,設置されていないフロアがあれば,「全館にあるもの」には該当しないとし,これを本件家屋についてみると,フロアコンセントが設置されていないフロア(地下2階)が存在する以上,「全館にあるもの」には該当しない旨の主張をする。 確かに,昭和57年度評価基準解説(乙4・450頁)には,増点補正の対象となる「全館にあるもの」について, ア(地下2階)が存在する以上,「全館にあるもの」には該当しない旨の主張をする。 確かに,昭和57年度評価基準解説(乙4・450頁)には,増点補正の対象となる「全館にあるもの」について,「建物の全フロアにフロアコンセントが設備されているもののことで,全フロアコンセントが設けられていてなおかつその数も多くなければならないというものではない。極端ないい方をすれば,1床に数個であっても,全館に設備されていれば,増点補正の対象となるものである」と記載されており,このことからすれば,本件家屋は地下2階にフロアコンセントが配置されていない以上,全フロアにフロアコンセントは設備されていないことになり,「全館にあるもの」には妥当しないことになるようにも思える。 しかしながら,同基準解説によると,標準とされる「一部分にあるもの」には,「建物の延床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合で設置されているようなものをさしている」とも規定されていて,「建物の延床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合」よりも相当に多い割合でフロアコンセントが配置されている場合には,増点補正をするのか,増点補正をせずに標準のままでいくのか,明示的には規定されていない。 そこで,そもそも電灯コンセント配線設備の「フロアコンセント」の補 正項目が設けられた趣旨を検討すると,昭和57年度評価基準解説にも記載されているように,これは配線工事に係る費用の相違を補正することにあったから,「建物の延床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合」よりも多い割合でフロアコンセントが配置されている場合には,当然に標準の場合と比較して工事費用がかさんでいることが認められるから,「全館にあ の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合」よりも多い割合でフロアコンセントが配置されている場合には,当然に標準の場合と比較して工事費用がかさんでいることが認められるから,「全館にあるもの」として増点補正するのが相当ということができる。換言すれば,昭和57年度評価基準解説に記載してある「全館にあるもの」はその典型的な一例を示したにすぎず,上記の場合についても「全館にあるもの」に該当するというべきである。なぜなら,全フロアに設置されてはいるもののそれぞれ数個しか設置されていない家屋と,地下2階だけには設置されていないものの4階から14階までの事務室部分にまんべんなく多く設置されている本件家屋とを比較すれば,本件家屋の方が配線工事にかかる費用が大きいことは明白であり,前者について「全館にあるもの」として増点補正することが許されることから考えれば,本件家屋について増点補正することは妥当であるからである。 このような結論が妥当性を有することは,「全フロア」ということのみに着目して機械的に補正率を適用すると,当該家屋が何階建の家屋か,フロアコンセントの設置されていないフロアの床面積等によってその意味合いが異なることを捨象することになるし,通常フロアコンセントの必要のない機械室,倉庫,駐車場等には設置がないこと等を勘案することができなくなってしまう上,フロアコンセントの数が標準と比べて極めて多い場合にそれを評価に反映させることができなくなってしまうことからも裏付けられる(本件家屋のフロアコンセントの数は前記の甲2の2から拾い出すと858個であり,延べ床面積2万4753.04㎡に照らすと,約28.85㎡に1個の割合でフロアコンセントが設定されていることになる。 これに対して,「建物の延べ床面積の1割程度の部分にフロアコンセント 個であり,延べ床面積2万4753.04㎡に照らすと,約28.85㎡に1個の割合でフロアコンセントが設定されていることになる。 これに対して,「建物の延べ床面積の1割程度の部分にフロアコンセント が15㎡当たり1箇所程度の割合で設置されているようなもの」が標準とされていることからすれば,標準のフロアコンセントの数は150㎡に1個の割合ということになるから,本件家屋においては,約5倍の数のフロアコンセントが設置されていることになる。)。 そうであるとすると,本件家屋のフロアコンセントについて,「全館にあるもの」として増点補正の対象としたことは適正というべきである。 (3) 争点2(3)(電気設備の照明器具設備の蛍光灯用器具)について(原告の主張の要点)ア本件家屋の新築部分の評価(甲4)では,部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「照明器具設備」中の「蛍光灯用器具」に係る天井高の補正項目において,天井高が2.8mであるとして,補正係数1. 0が使用されている。 昭和57年度評価基準解説には,本件家屋のように,天井高が階層によって一定せず,2以上の天井高を有する家屋の天井高の決定方法は明示されていないが,主体構造部の「階高」による補正に関する記載部分(甲18・251頁)が参考になる。すなわち,同部分によると,1棟の建物の階高が,階層によって一定せず,2以上の階高を有する建物については,当該建物の代表的な階高(最も床面積の多い部分の階高)によることとするとされている。 そうすると,2以上の天井高を有する家屋の天井高は,当該家屋の代表的な階高によって決定すべきである。 これを本件家屋についてみると,本件家屋の代表的な天井高は,4階から13階部分の天井高である2.5mであるから,本件家屋の天井高は 家屋の天井高は,当該家屋の代表的な階高によって決定すべきである。 これを本件家屋についてみると,本件家屋の代表的な天井高は,4階から13階部分の天井高である2.5mであるから,本件家屋の天井高は,2.5mと認定すべきであり,補正係数は,0.77が使用されなければならない。 イ被告の主張に対する反論 被告は,昭和57年度評価基準解説(甲18・251頁)には,原告が引用する部分に続いて「代表的な階高を決定し難い建物については,当該建物における各階の平均階高によって差し支えない」との記載もあり,最も床面積の多い部分の天井高によらなければならないとする原告の主張の根拠として不適当である旨の主張をする。 しかしながら,昭和57年度評価基準解説によれば,各階の平均天井高によって天井高を決定して差し支えない建物は,代表的な天井高を決定し難い建物であるところ,本件家屋は,地下2階から地上14階までの16階層のうち,その6割を超える地上4階から13階までの10階層の天井高が2.5mなのであり,甲2の2(竣工図(電気設備)(抜粋))の2葉目左上部の「1 建物概要」欄にも,基準階天井高が「2.5m」と記載されているから,代表的な天井高を容易に決定できる建物である。 したがって,本件家屋の天井高は,2.5mと認定され,0.77の減点補正がされなければならない。 (被告の主張の要点)ア昭和57年度評価基準解説(乙4・459頁)によれば,蛍光灯用器具は埋込のものが標準とされているため,天井高の高低により同一の明るさを得るには器具の数を増やすか,蛍光灯をW数の大きいものにして器具もそれに合うものに変える必要があることから,「天井高」の補正によりその点を考慮しようとするものとされている。 本件家屋の各階の天井高を るには器具の数を増やすか,蛍光灯をW数の大きいものにして器具もそれに合うものに変える必要があることから,「天井高」の補正によりその点を考慮しようとするものとされている。 本件家屋の各階の天井高を示した図面(甲9の2)によれば,本件家屋の4階から13階までの主な天井高は2.5mであるが,他の階においてはそれを上回る2.8ないし4.5mの天井高の部分も多くなっており,標準の「2.8メートル程度のもの」としたことには合理性がある。 イ原告の主張に対する反論 原告は,昭和57年度評価基準解説には,本件家屋のように,天井高が階層によって一定せず,2以上の天井高を有する家屋の天井高の決定方法は明示されていないが,主体構造部の「階高」による補正について,当該建物の代表的な階高(最も床面積の多い部分の階高)によるとされていることを参考にすると,本件家屋の代表的な天井髙も最も床面積の多い部分の天井高によって決定すべきである旨の主張をする。 しかしながら,原告の主張は,自らも認めるように,蛍光灯器具とは無関係の主体構造部に係る「階高」の補正に係る昭和57年度評価基準解説の記載(甲18・251頁)を参考としたものであって何ら参考になるものではないし,原告の引用する部分に続いて「代表的な階高を決定し難い建物については,当該建物における各階の平均階高によって差し支えない」との記載もあり,最も床面積の多い部分の天井高によらなければならないとする原告の主張の根拠として不適当である。 そもそも,照明器具設備の蛍光灯用器具についての「天井高」の補正係数が設定されている趣旨は,蛍光灯用器具は埋込のものが標準とされているため,天井高の高低により同一の明るさを得るには器具の数を増やすか,蛍光灯をW数の大きいものにして器具もそれに合うものに変 補正係数が設定されている趣旨は,蛍光灯用器具は埋込のものが標準とされているため,天井高の高低により同一の明るさを得るには器具の数を増やすか,蛍光灯をW数の大きいものにして器具もそれに合うものに変える必要があることから,「天井高」の補正によりその点を考慮しようとするものとされているのであり,他の階の天井高が最も床面積の多い部分の天井高をはるかに超える天井高になっていることに鑑みれば,標準の「2.8メートル程度のもの」としたことには合理性がある。 そうだとすると,本件家屋の照明器具設備蛍光灯用器具の天井高について,標準の「2.8メートル程度のもの」としたことは適正というべきである。 (4) 争点2(4)(電気設備の電話配線設備)について(原告の主張の要点) ア本件家屋の新築部分の評価(甲4)では,部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電話配線設備」に係るフロアダクトの補正項目において,「全館」として,補正係数3.00が使用されている。 非木造家屋評点基準表によると,評点項目「電話配線設備」の補正項目「フロアダクト」には,増点補正率3.00の適用対象として「全館にあるもの」,標準1.0の適用対象として「一部分にあるもの」が規定されている。 そうすると,「全館にあるもの」の意義は,前記(2)の(原告の主張の要点)で述べたところと同様に,フロアダクトによる配線部分がその館全体に存在するものと解釈すべきであり,これらの意義を殊更に拡張したり縮小したりして解釈すべき理由はない。この意味で,「フロアダクトによる配線部分が全階の床にあれば,増点補正を行う」との昭和57年度評価基準解説(乙4・468頁)の解釈は,正しい解釈ということができる。 これを本件家屋についてみると,フロアダクトは,地下2階には よる配線部分が全階の床にあれば,増点補正を行う」との昭和57年度評価基準解説(乙4・468頁)の解釈は,正しい解釈ということができる。 これを本件家屋についてみると,フロアダクトは,地下2階には一切配置されておらず,地下1階から地上3階の大部分にも配置されていない。 したがって,フロアダクトが設置されていないフロアが存在する以上,「全館にあるもの」には該当せず,補正係数は,1.0が使用されなければならない。 イ被告の主張に対する反論被告は,建物の延べ床面積の1割程度の部分にフロアダクトが15㎡当たり1箇所程度の割合よりも多い割合で配置されている場合は,当然に標準の場合と比較して工事費用がかさんでいることが認められるから,「全館にあるもの」として増点補正するのが相当である旨の主張をする。 しかしながら,昭和57年度評価基準は,フロアダクトの補正項目について,増点補正率の適用対象を「全館にあるもの」,標準の適用対象を「一部分にあるもの」,減点補正率の適用対象を「ないもの」と規定し,フロ アダクトの配置密度(当該家屋の延べ床面積をフロアダクトの総数で除した数値の大小)によって補正するという定め方をしていない。フロアダクトが配置されていないフロアの存在を捨象し,単純に一棟全体の平均配置密度によって補正をする趣旨であるのだとすれば,増点補正率の適用対象は,例えば「配置密度が高いもの」とか「30㎡当たり1個程度のもの」とかいう定め方がされたはずである。そして,東京都主税局発行の『家屋評価の手引』(昭和57年3月29日発行)にも,「全館にあるもの(フロアダクトが全館(全階の床)に配線されているもの)」と記載されている(甲22)。 そうすると,フロアダクトの補正項目については,その平均配置密度の高低にかかわらず,全 にも,「全館にあるもの(フロアダクトが全館(全階の床)に配線されているもの)」と記載されている(甲22)。 そうすると,フロアダクトの補正項目については,その平均配置密度の高低にかかわらず,全フロアにフロアダクトが配置されている場合には増点補正をし,フロアダクトが配置されていないフロアが1つでもあれば,増点補正をしないというのが,昭和57年度評価基準に従った評価というべきである。 (被告の主張の要点)ア昭和57年度評価基準解説(乙4・467頁)によれば,「フロアダクト」の補正は,フロアダクトによる電話配線がどれくらいなされているかによる工事費の相違を補正しようとするものであり,補正の考え方は「フロアコンセント」の場合と同様とされている。標準とされる「一部分にあるもの」とは「全床面積の1割程度の部分にあるような場合」とされており,本件家屋のフロアダクトの設置状況は「一部分にあるもの」には該当しない。 一方,増点補正の対象となる「全館にあるもの」とは,「フロアダクトによる配線部分が全階の床にあれば,増点補正を行う」とされている。甲2の2(竣工図(電気設備)(抜粋))によれば,本件家屋は地下2階にはフロアダクトがないものの,地下1階から地上14階までにはフロアダ クトが設置されているのであり,しかも,4階から14階までの11フロアについては事務室部分にまんべんなく多くのフロアダクトが設置されている(甲2の2・図面番号401ないし408号)。 そうすると,「標準」が「全床面積の1割程度の部分にあるような場合」であるから,本件家屋のフロアダクトによる電話配線の工事費に見合うよう,「全館にあるもの」として増点補正の対象としたことは,合理性がある。 イ原告の主張に対する反論 分にあるような場合」であるから,本件家屋のフロアダクトによる電話配線の工事費に見合うよう,「全館にあるもの」として増点補正の対象としたことは,合理性がある。 イ原告の主張に対する反論原告は,電話配線設備の「フロアダクト」の補正項目について,「一部分にあるもの」の補正率が1.0,「全館にあるもの」の補正率が3.00と規定されているところ,前記のフロアコンセントで述べたのと同じ理由により,本件家屋には,フロアダクトが設置されていないフロア(地下2階)が存在する以上,「全館にあるもの」には該当しない旨の主張をする。 しかしながら,前記アに述べたように,昭和57年度評価基準解説によると,「フロアダクト」の補正の考え方は「フロアコンセント」の場合と同様であるとされているところ,標準とされる「一部分にあるもの」が,フロアコンセントと同様に,「建物の延床面積の1割程度の部分にフロアダクトが15㎡当たり1箇所程度の割合で設置されているようなものをさしている」とすれば,それよりも多い割合でフロアダクトが配置されている場合には,当然に標準の場合と比較して工事費用がかさんでおり,「全館にあるもの」として増点補正するのが相当ということができる。なぜなら,全フロアに設置されてはいるもののそれぞれ数個しか設置されていない家屋と,地下2階だけには設置されていないものの4階から14階までの事務室部分にまんべんなく多く設置されている本件家屋とを比較すれば,本件家屋の方が配線工事にかかる費用が大きいことは明白であり,前 者について「全館にあるもの」として増点補正することが許されることから考えれば,本件家屋について増点補正することは適当ということができるからである。 こうした結論が妥当性を有することは,「全フロア」ということの 館にあるもの」として増点補正することが許されることから考えれば,本件家屋について増点補正することは適当ということができるからである。 こうした結論が妥当性を有することは,「全フロア」ということのみに着目して機械的に補正率を適用すると,当該家屋が何階建の家屋か,フロアダクトの設置されていないフロアの床面積等によってその意味合いが異なることを捨象することになるし,通常フロアダクトの必要のない機械室,倉庫,駐車場等には設置がないこと等を勘案することができなくなってしまう上,フロアダクトの数が標準と較べて極めて多い場合にそれを評価に反映させることができなくなってしまうことからも裏付けられる(本件家屋のフロアダクトの数は前記の甲2の2から拾い出すと1003個であり,延べ床面積2万4753.04㎡に照らすと,約24.68㎡に1個の割合でフロアダクトが設定されていることになる。これに対して,標準とされる「一部分にあるもの」が,フロアコンセントと同様に,「建物の延べ床面積の1割程度の部分にフロアダクトが15㎡当たり1箇所程度の割合で設置されているようなもの」とすれば,標準のフロアダクトの数は150㎡に1個の割合ということになるから,本件家屋においては,約6倍の数のフロアダクトが設置されていることになる。)。 そうであるとすると,本件家屋のフロアダクトについて,「全館にあるもの」として増点補正の対象としたことは適正というべきである。 (5) 争点2(5)(防災設備)について(原告の主張の要点)ア非木造家屋評点基準表によると,部分別「建築設備」に係る評点項目「防災設備」中の「スプリンクラー設備」の計算単位は,「設置部分の延べ床面積」と規定されているところ,本件家屋の新築部分の評価(甲4)では,全体の延べ床面積が計算単位とさ 「建築設備」に係る評点項目「防災設備」中の「スプリンクラー設備」の計算単位は,「設置部分の延べ床面積」と規定されているところ,本件家屋の新築部分の評価(甲4)では,全体の延べ床面積が計算単位とされている。 「設置部分の延べ床面積」の意義は,スプリンクラーヘッドが設置されている部分の水平投影面積と解釈するのが,その文理上最も素直である。 このことは,平成24年度において適用される固定資産評価基準(平成26年総務省告示第217号による改正前の昭和38年12月25日自治省告示158号。以下「平成24年度評価基準」という。)において改定された「スプリンクラー設備」の計算単位の文言との対比によっても裏付けられる。 すなわち,従前の計算単位は,「設置部分の延床面積」であったが,平成24年度評価基準においては,「対象床面積」を計算単位とすると定められた。そして,「設置部分の延床面積」の意義は,租税法規の解釈としては,スプリンクラーヘッドが設置されている部分の水平投影面積と解釈するほかない。その理由は,以下のとおりである。 スプリンクラー設備は,建築物の初期火災又は中期火災に対して,消火又は延焼拡大の防止を目的として設置される消火設備であり,その有効範囲を画定して設置されるものであるから,「設置部分」という場合,建築物のどの部分にその効果が及んでいるかという観点から考えるべきである。そして,スプリンクラー設備は,スプリンクラーヘッドから水を放出して消火する設備であるから,その効果が及んでいる部分というのは,スプリンクラーヘッドからの放水射程範囲内の部分である。そうすると,スプリンクラー設備の設置部分を床面積で表す場合,スプリンクラーヘッドが設置されている天井部分の面積を基準として,それを床に投影した面積と考えるのが自然である 水射程範囲内の部分である。そうすると,スプリンクラー設備の設置部分を床面積で表す場合,スプリンクラーヘッドが設置されている天井部分の面積を基準として,それを床に投影した面積と考えるのが自然である。 また,固定資産税務研究会編「平成24年度固定資産評価基準解説(家屋篇)」によると,「対象床面積の考え方は,原則として,スプリンクラーヘッド又は補助散水栓が設置されていて,消火の対象として想定されている部分の床面積とする。したがって,例えば,トイレ,浴室,階段室, エレベーター室等,スプリンクラーヘッド等が設置されていない部分については「対象床面積」には算入しない」とされる。 しかしながら,以下の部分には,スプリンクラー設備は設置されていない。 (ア) 炭酸ガス消火設備の設置部分炭酸ガス消火設備の設置部分にはスプリンクラー設備は設置されておらず,消火設備の二重評価が生じている。 炭酸ガス消火設備の設置面積は,1087.00㎡である(甲2の4,9の4)。 (イ) 泡消火設備の設置部分泡消火設備の設置部分にはスプリンクラー設備は設置されておらず,消火設備の二重評価が生じている。 泡消火設備の設置面積は,2324.21㎡である(甲4)。 (ウ) 消火設備不設置部分階段室,エレベータシャフト,ダクトスペース,パイプスペース及び機械室(一般)等の部分には,スプリンクラー設備を含めて消火設備は設置されていない。 消火設備不設置部分の面積は,3049.00㎡である(甲2の4,9の5)。 したがって,スプリンクラー設備の計算単位には,全体の延べ床面積から上記(ア)ないし(ウ)の合計を減じた床面積である1万8252㎡が使用されなければならない(なお,仮 の4,9の5)。 したがって,スプリンクラー設備の計算単位には,全体の延べ床面積から上記(ア)ないし(ウ)の合計を減じた床面積である1万8252㎡が使用されなければならない(なお,仮に,「設置部分の延べ床面積」の意義を「対象床面積」の意義と同様に解したとしても,上記(ア)ないし(ウ)の部分が計算単位に含まれないという結論に変わりはない。)。 イ被告の主張に対する反論(ア) 被告は,消防関係法令の規定を根拠に,本件家屋のスプリンクラー設 備の設置部分の延べ床面積を本件家屋全体の延べ床面積とすることが妥当である旨の主張をする。 しかしながら,被告の上記の主張は,消防法施行令12条3項及び消防法施行規則13条3項等によって,スプリンクラー設備の設置が免除される部分があることを無視するものであることに加え,そもそも消防関係法令の規定は,火災の予防を目的として,「いかなる消火設備をいかように設置すべきであるか」を定めたものであって,現実に「いかなる消火設備がいかように設置されているか」とは無関係であるから,現況に基づいて評価することが求められている固定資産の評価においては何の参考にもならないことからして,失当である。 (イ) 被告は,「設置部分の延床面積」という文言の解釈作業をすることなく,竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の2枚目にスプリンクラーの設置場所が「全館」と記載されていることのみを根拠として,スプリンクラーの設置部分の延べ床面積が本件家屋の新築部分全体の延べ床面積となる旨の主張をする。 しかしながら,上記の竣工図の作成者は,スプリンクラーの設置場所について,固定資産評価における設置部分の認定の観点から「全館」と記載したものではないこと,設置「場所」と設置「部分」 の主張をする。 しかしながら,上記の竣工図の作成者は,スプリンクラーの設置場所について,固定資産評価における設置部分の認定の観点から「全館」と記載したものではないこと,設置「場所」と設置「部分」の意味するところは異なることからして,被告の上記の主張は失当である。 (ウ) 被告は,消防法施行令12条3項によってスプリンクラー設備の設置が免除されている泡消火設備の有効範囲内の部分について,スプリンクラー設備を併設することも認められていると主張し,竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の9枚目では,「スプリンクラヘッド」のシンボルがフロア全体にまんべんなく見受けられる旨の指摘をする。しかしながら,この指摘は,「スプリンクラヘッド」のシンボルと「泡ヘッド」のシンボルを混同したものであって,明らかな誤りで ある。 消防用設備等着工届出書(屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(抜粋)(甲26)の5枚目によれば,本件家屋の地下1階部分のスプリンクラーヘッド数は30個であり,その設置状況は,7枚目の図面のとおりである。また,本件家屋の地下1階部分の泡消火設備の設置状況は,消防用設備等着工届出書(泡消火設備)(甲27)の図面のとおりである。 両図面と竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の9枚目を対照すれば,被告の上記指摘が誤りであること,すなわち,本件家屋の泡消火設備の有効範囲内の部分にはスプリンクラー設備が設置されていないことは明白である。 (エ) 被告は,消防用設備等着工届出書(屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(抜粋)(甲26)は竣工前に作成されたものであって,当時はその添付図面のとおりの設備を設置する予定であったことを示すものでしかないと主張し,本件家屋の 屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(抜粋)(甲26)は竣工前に作成されたものであって,当時はその添付図面のとおりの設備を設置する予定であったことを示すものでしかないと主張し,本件家屋の泡消火設備の有効範囲内の部分にはスプリンクラー設備(スプリンクラーヘッド)が設置されていなかったという事実を争うかのようである。 この点については,同届出書は,昭和58年法律第83号による改正前の消防法17条の12の規定に基づいて消防署長に提出されたものであるから,その内容には高度の信用性が認められる上,その作成時期も竣工のわずか7か月前であることからすれば,本件家屋の竣工時には,同届出書添付の図面のとおりの設備が設置されていた事実が優に認められるというべきである(甲31,34も参照)。 また,被告は,竣工図から読み取った内容を基に評価することに違法性はないとも主張する。 しかしながら,竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の 4)からは,本件家屋の泡消火設備の有効範囲内の部分にスプリンクラーヘッドが設置されている事実を読み取ることはできないし,よしんば読み取ることができたとしても,本件家屋の客観的状況とは異なる以上,泡消火設備の有効範囲内の部分にスプリンクラーヘッドが設置されていることを前提とした評価に誤りがないということはあり得ない。 (被告の主張の要点)ア確かに,昭和57年度評価基準においては,スプリンクラー設備の計算単位を「設置部分の延べ床面積」とする記載があるが,この記載によって物理的にスプリンクラーの設置されている直下の床面のみが「設置部分」に該当するというわけではない。なぜなら,スプリンクラー設備の設置目的と効用は火災の際の初期消火と延焼拡大の防止にあるところ,階段室,エレベータシ クラーの設置されている直下の床面のみが「設置部分」に該当するというわけではない。なぜなら,スプリンクラー設備の設置目的と効用は火災の際の初期消火と延焼拡大の防止にあるところ,階段室,エレベータシャフト,ダクトスペース,パイプスペース及び機械室(一般)等,部分的にスプリンクラーヘッドが設置されていない箇所があるとしても,その効用は設置状況からすれば本件家屋全体に及んでいるのであり,「設置部分の延べ床面積」を本件家屋全体の延べ床面積とすることは適当ということができるからである。 こうした結論が妥当性を有することは,①竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の2枚目では,消火設備についてスプリンクラーの設置場所が「全館」と記載されていること,②消防法施行令12条1項は,スプリンクラー設備を設置すべき防火対象物又はその部分を規定しており,全階層でスプリンクラー設備の設置が必要となる家屋がある一方,特定の階層のみスプリンクラー設備の設置が必要となる家屋もある。 竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の2枚目によれば,本件家屋は消防法施行令別表第1(16)項イに該当する防火対象物であり,地上14階建てであることから,同令12条1項3号に該当し,全階層にスプリンクラー設備を設置すべき家屋といえることからも裏付け られる。 そうであるとすれば,本件家屋の評価に当たり,スプリンクラー設備の計算単位を本件家屋の新築部分全体の延べ床面積としたことは,評価の裁量の範囲内であって違法ではないというべきである。 イ原告の主張に対する反論(ア) 原告は,「スプリンクラー設備」の計算単位が「設置部分の延べ床面積」と規定されていることについて,「設置部分の延べ床面積」の意義はスプリンクラーヘ る。 イ原告の主張に対する反論(ア) 原告は,「スプリンクラー設備」の計算単位が「設置部分の延べ床面積」と規定されていることについて,「設置部分の延べ床面積」の意義はスプリンクラーヘッドが設置されている部分の水平投影面積と解釈するのが文理上最も素直であり,このことは,平成24年度評価基準において,「設置部分の延べ床面積」との記載が「対象床面積」に変更されていることからも明らかである旨の主張をする。 しかしながら,原告の主張するように,「設置部分の延べ床面積」と「対象床面積」の意味するところがそもそも相違するのか明らかでない上,一致するとした場合,「対象床面積」の意味が原告の主張するように「スプリンクラーヘッドが設置されている部分の水平投影面積」と一義的に明らかであるといえるか極めて疑問といえるし(対象床面積といっても,スプリンクラー設備に係る設置部分の「対象床面積」と解することも十分にできるはずである。),一致しないとした場合,本件家屋は昭和57年に新築されたものであり,昭和57年度評価基準に基づいて新築時の単位当たり再建築費評点数が算出されているのであるから,平成24年度評価基準の記載が変更されたからといって取扱いに何ら影響を受けるものでないので(トイレ,浴室,階段室等,スプリンクラーヘッド等が設置されていない部分については「対象床面積」には算入しないと記載されたのは,平成24年度評価基準解説が初めてである),原告の批判は何ら理由にはならないというべきである。 こうした結論が妥当性を有することは,竣工図(給排水衛生ガス消火 設備)(抜粋)(甲2の4)の2枚目では,消火設備についてスプリンクラーの設置場所が「全館」と記載されていることからも明らかである。 そうであるとすれば,本件家屋の評価に当たり,ス 設備)(抜粋)(甲2の4)の2枚目では,消火設備についてスプリンクラーの設置場所が「全館」と記載されていることからも明らかである。 そうであるとすれば,本件家屋の評価に当たり,スプリンクラー設備の計算単位を本件家屋の新築部分全体の延べ床面積としたことは,評価の裁量の範囲内であって違法ではないというべきである。 なお,原告は,スプリンクラー設備は,建築物の初期火災又は中期火災に対して,消火又は延焼拡大の防止を目的として設置される消火設備であるから,「設置部分」という場合,建築物のどの部分に直接水が放出されるのかという観点から考えるべきである旨の主張をする。 しかしながら,スプリンクラー設備の「設置部分の延べ床面積」が問われているのは,飽くまで固定資産税を課税するための評価においてであって,消火設備としての効用がどの範囲に直接及ぶかを論じているわけではない。そもそも固定資産の評価が必要なのは,その設備の設置に際して要した費用を算定しその額に応じた税負担をしてもらうためであるところ,「スプリンクラー設備の設置」に当たっては,スプリンクラーヘッドにとどまらず,スプリンクラー設備に係る縦配管や各階の天井又は天井裏に敷設される横配管等から成り立っているのであるから,これらを含めて「設置部分の延べ床面積」とすることは,むしろ地方税法の趣旨にのっとっているとさえいえるのである。 そうであるとすれば,本件家屋においても,スプリンクラー設備に係る縦配管は本件家屋の全館にわたって施工されており,各階の天井又は天井裏に敷設されている横配管も各階に相当量施工されていることが認められるから,設置部分の延べ床面積を本件家屋の延べ床面積そのものとしたことに,何ら問題はないというべきである。 また,原告は,本件家屋の地下1階部分に 階に相当量施工されていることが認められるから,設置部分の延べ床面積を本件家屋の延べ床面積そのものとしたことに,何ら問題はないというべきである。 また,原告は,本件家屋の地下1階部分における「スプリンクラーヘッド」(「スプリンクラー設備」の一部)の設置状況について,消防用 設備等着工届出書(屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(抜粋)(甲26)に基づき,泡消火設備の有効範囲内の部分にはスプリンクラー設備が設置されていない旨の主張をしている。 しかしながら,同届出書は,昭和57年2月に所管の消防署長に対して提出した本件家屋についての「消防用設備等着工届出書」であるところ,本件家屋の竣工が昭和57年9月14日である(甲1)ことを勘案すると,この届出書は竣工前に作成されたものであって,当時は添付図面のとおりの設備を設置する予定であったことを示すものでしかない。 家屋評価は,通常,竣工図面や見積書等の借受書類と現地調査により建物新築時の状況を把握して行われるものであり,竣工図は建物新築時の状況を反映して作成されるのが通常であることからすれば,竣工図から読み取った内容を基に評価することに違法性はないというべきである(原告は,被告が「スプリンクラーヘッド」のシンボルと「泡ヘッド」のシンボルを混同したとするが,竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の6枚目から判断する限り,「スプリンクラーヘッド」と見たことに誤りは認められない。)。 また,同竣工図の6枚目及び9枚目の図面と消防用設備等着工届出書(屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(甲26)の7枚目の図面は明らかに異なる図面であり,消防用設備等着工届出書(屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(甲26)の7枚目が新築当初の状態を 火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(甲26)の7枚目の図面は明らかに異なる図面であり,消防用設備等着工届出書(屋内消火栓・連結送水管・スプリンクラー設備)(甲26)の7枚目が新築当初の状態を正しく反映しているとはいい切ることもできない現状では,本件家屋の建築当初の評価において,どのような資料を基にスプリンクラー設備の評価が行われたのか不明であって,当初評価が誤っていることにはならないというべきである。 (イ) 原告は,本争点は,非木造家屋評点基準表のスプリンクラー設備の評点項目において,その計算単位とされている「設置部分の延べ床面積」 という文言の解釈に係る問題であるとした上で,この文言はスプリンクラーヘッドが設置されている部分の合計水平投影面積と解釈すべきである旨の主張をする。 しかしながら,評点項目が「スプリンクラーヘッド」ではなく「スプリンクラー設備」であるにもかかわらず,何故に「設置部分の延べ床面積」が「スプリンクラーヘッドが設置されている部分の水平投影面積」と解釈するのが文理上最も素直といえるのか理解し難いといわざるを得ない。なぜなら,「スプリンクラー設備」は当然のことながらスプリンクラーヘッドのみで構成されるものではなく,スプリンクラー設備にかかる縦配管や各階の天井又は天井裏に敷設される横配管等から成り立っているものであり,これらもまた「設置部分」にほかならず,その敷設に相応の費用がかかることは明らかといえるからである。 本件家屋においても,竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の6枚目から判断すれば,スプリンクラー設備に係る縦配管は本件家屋の全館にわたって施工されており,また,同竣工図の8枚目以降から判断すれば,各階の天井又は天井裏に敷設されている横配管は,各階とも相当量 枚目から判断すれば,スプリンクラー設備に係る縦配管は本件家屋の全館にわたって施工されており,また,同竣工図の8枚目以降から判断すれば,各階の天井又は天井裏に敷設されている横配管は,各階とも相当量施工されていることが認められる。そうであるとすれば,スプリンクラーヘッドから放出される水が直接的に届かない部分が一部にあったとしても,スプリンクラー設備に係る工事費が大きく変わるわけではないから,これらも含めて「設置部分の延べ床面積」とすることに何ら不合理なところはないというべきである。 こうした結論が妥当性を有することは,①昭和57年度評価基準は,スプリンクラー設備に係る計算単位を「設置部分の延べ床面積」としか定めておらず,それ以上の定義を定めていない上,昭和57年度評価基準解説(乙9)でも,当時これについては,「(5) 計算単位設置部分の延床面積を用いるものである。」としか記載しておらず(611頁), それをどう解釈すべきか明確な指針がなかったこと,②平成24年度評価基準解説において,対象床面積にスプリンクラーヘッド等が設置されていない部分等については参入しないという記載が初めてなされたのは,これまではこうした部分も算入されていたからにほかならないことからも裏付けられる。 (ウ) 原告は,被告の主張は,消防法施行令12条3項及び消防法施行規則13条3項等によって,スプリンクラー設備の設置が免除される部分があることを無視するものであり,そもそも消防関係法令の規定は,火災予防を目的として,いかなる消火設備をいかように設置すべきであるかを定めたものであって,現実にいかなる消火設備がいかように設置されているかとは無関係であるから,現況に基づいて評価することが求められている固定資産の評価においては何の参考にもならないこ べきであるかを定めたものであって,現実にいかなる消火設備がいかように設置されているかとは無関係であるから,現況に基づいて評価することが求められている固定資産の評価においては何の参考にもならないことからして失当である旨の主張をする。 しかしながら,消防法施行令12条2項は,スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術的基準を定めたものであって,同項1号は,そのうち,スプリンクラーヘッドの設置基準を定めたものである。その具体的内容は,消防法施行規則13条3項に規定されており,同項各号列挙部分は,スプリンクラーヘッドを設置すべき部分から除かれている部分である。すなわち,トイレ,エレベーターの昇降路など消防法施行規則13条3項各号列挙部分は,スプリンクラー設備の設置が免除されているのではなく,スプリンクラーヘッドを設置しないでもいいと規定しているにすぎない。スプリンクラー設備は,既に述べたように,スプリンクラーヘッドのみで構成されているわけでなく,スプリンクラーの機能を維持・発揮させるための各種設備も含めたものであるから,何ら理由たり得ないというべきである。 また,消防法施行令12条3項は,基準に従って設置されている水噴 霧消火設備,泡消火設備,不活性ガス消化設備,ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備の有効範囲内の部分についてはスプリンクラー設備を設置しないことができると規定しており,スプリンクラー設備を併設することも認められている。原告は,泡消火設備を設置している部分についてはスプリンクラー設備が設置されていない旨の主張をしているが,原告が提出した竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の6枚目では,泡消火設備の対象となっている地下1階の駐車場部分について,スプリンクラーヘッドが設置されていないとは確認で いるが,原告が提出した竣工図(給排水衛生ガス消火設備)(抜粋)(甲2の4)の6枚目では,泡消火設備の対象となっている地下1階の駐車場部分について,スプリンクラーヘッドが設置されていないとは確認できないし,同じく9枚目では,同じく2枚目の凡例表で「スプリンクラヘッド」のシンボルとされている印がフロア全体にまんべんなく見受けられる。 (6) 争点2(6)(建築設備に係る規模補正係数)について(原告の主張の要点)ア本件建物の新築部分の評価(甲4)では,部分別「建築設備」に係る評点項目中の後記イcに掲げるものについて,当該部分に記載したとおりの規模補正係数が用いられているが,このことには誤りがある。 建築設備に係る規模補正係数については,ⅰ延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合,建築設備に係る規模補正係数について,0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務があるか否か,ⅱ本件家屋の各建築設備に用いられるべき適正な補正係数はいかなる数値か,という2つの争点から構成され,これらを区別して論じる必要がある。 イ(ア) 前記アのⅰについてa 固定資産評価基準は,非木造家屋の各部分の工事の施工量等が非木造家屋評点基準表の「補正項目及び補正係数」欄の「標準」欄に定められている工事の施工量等と相違する場合においては,当該補正項目について定められている該当補正係数によって標準評点数を補正するが,この場合に,補正項目について定められている補正係数の限度 内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定しなければならない旨を規定する(固定資産評価基準第2章第3節二5(1)。別紙2の3(2)オ)。 そして,規模の補正項目は,一般に建築 補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定しなければならない旨を規定する(固定資産評価基準第2章第3節二5(1)。別紙2の3(2)オ)。 そして,規模の補正項目は,一般に建築設備部分の工事費を延べ床面積1.0㎡当たりで把握する場合に,建物の延べ床面積が大きくなれば総工事費は増加するが延べ床面積1.0㎡当たりの工事費は減少する傾向が見られ,逆に建物の延べ床面積が小さくなれば総工事費は減少するが延べ床面積1.0㎡当たりの工事費は増加する傾向が見られる点に着目して設けられたものであり(資材の中には規模の変動と関係なくほとんど固定しているものがあり,また,全体の労務費でみると工事量の大小に関係なく,固定的なものがあるとされている。昭和57年度評価基準解説(甲23・439頁)),延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合においても,直ちに延べ床面積1.0㎡当たりの建築設備部分の工事費の減少傾向が止まるとは考えられず,その傾向が継続すると考えられる。 そうすると,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,建築設備の規模補正係数について,非木造家屋再建築費評点基準表に定める減点補正率である0.93の限度内の補正では再建築費評点数を適切に付設することができないから,固定資産評価基準第2章第3節二5(1)の規定に従って,その家屋の延べ床面積に応じて,上記減点補正率0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務があるというべきである。 b これを本件家屋についてみると,本件家屋の新築部分の延べ床面積は2万4712.79㎡であり,1万㎡を大幅に超えているから,建築設備の評点項目のうち,動力配線設備,電灯コンセント配線設備, 電話配線設備,テレビジョン共同聴視設備,給水設備,排水設備,中央式給湯設備,衛生器 ,1万㎡を大幅に超えているから,建築設備の評点項目のうち,動力配線設備,電灯コンセント配線設備, 電話配線設備,テレビジョン共同聴視設備,給水設備,排水設備,中央式給湯設備,衛生器具設備,ガス設備,空調設備,火災報知設備及び消火栓設備については,もはや延べ床面積1万㎡程度の規模の補正係数0.93によったのでは適切な規模の補正を行うことができないことは明らかである。 また,本件家屋の新築部分の駐車場面積は2324.21㎡であり,1500㎡を大幅に超えていること,炭酸ガス消火設備の設置部分の延べ容積は6522.00㎥であり,4500㎥を大幅に超えていること,泡消火設備の設置部分の延べ床面積は2324.21㎡であり,1500㎡を大幅に超えていること,スプリンクラー設備の設置部分の延べ床面積は1万8252.58㎡であり,1万㎡を大幅に超えている(評価庁は,設置部分の延べ床面積を2万4712.79㎡と評価しており,これによれば,更に大きく1万㎡を超過する。)ことから,自動車管制装置,炭酸ガス消火設備,泡消火設備及びスプリンクラー設備についても,それぞれ順に0.93,0.90,0.90,0.93によったのでは適切な規模の補正を行うことができないことは明らかである。 したがって,本件家屋の上記各建築設備については,0.93ないし0.90の限度を超えて補正係数を決定する義務があるというべきである。 c 被告の主張に対する反論(a) 被告は,固定資産評価基準解説の記載を引いて,0.93の限度を超えて補正係数を決定することもできるが,しなくても構わないと主張する。 しかしながら,固定資産評価基準第2章第3節二5(1)(別紙2の3(2)オ)は,「補正項目について定められている補正係数の限 定することもできるが,しなくても構わないと主張する。 しかしながら,固定資産評価基準第2章第3節二5(1)(別紙2の3(2)オ)は,「補正項目について定められている補正係数の限 度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする」と規定している。「するものとする」という法令用語は,行政機関に対して一定の行為を義務付ける場合に用いられる表現であるから,被告の主張は,固定資産評価基準の文理に反するといわざるを得ない。 また,被告が引用する固定資産評価基準解説・264頁の記載は,基礎工事の杭打ち地業に係る補正係数については,非木造家屋評点基準表に定められた増点補正率を上回る補正係数の決定が禁止されていることを述べる趣旨であって,建築設備の規模補正係数について,0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務があるか否かについて述べたものではない。 (b) 被告は,東京都を始めとした全国の多くの自治体は,1平方メートル当たりで必ず必要な工事費が相当程度あることを勘案して,規模の補正に関して一定の下限を設けているのであり,いくつかの政令指定都市の取扱いが原告の主張に合致しているからといって,それが合理的であるとの裏付けにはならないと主張する。 しかしながら,「全国の多くの自治体」の取扱いはともかく,東京都の取扱いの問題点は,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合,建築設備に係る規模補正係数について,0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務があるか否かとの争点との関係で,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務があるにもかかわらず,その義務を怠っていることである。換言する 決定する義務があるか否かとの争点との関係で,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務があるにもかかわらず,その義務を怠っていることである。換言すると,固定資産評価基準に定められた0. 93という数値をそのまま下限値として設定していることが誤りなのである。 (c) 被告は,平成26年6月26日付け官報(号外第143号)により告示された総務省告示第217号(乙13)によって固定資産評価基準が改正され,同別表第12における建築設備に係る多くの評点項目について,注意書きで規模補正係数の下限が設けられたことを根拠として,0.93を減点補正の限度とするのが固定資産評価基準の制定者の意思であったと主張する。 同告示によって改正された固定資産評価基準は,平成25年7月の東京都(特別区)における工事原価の費用を基礎としており,平成27年度分の固定資産税から適用されるものであるところ,本件家屋の建築当初の再建築費評点数は,昭和57年度評価基準に基づいて算出されており,本件家屋の各建築設備に係る規模補正係数の適否も,同年度当時の固定資産評価基準の解釈適用の問題であるから,最新の固定資産評価基準の内容は,本件家屋の建築当初の再建築費評点数の適否を判断する際の根拠とはなり得ない。 また,この点をおくとしても,わざわざ0.93という補正係数のほかに下限値を設けるということは,0.93が下限値ではないことを意味するものであるから,むしろ,今般の固定資産評価基準の改正によって,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,0.93の限度を超えて規模補正係数を決定すべきであったことがより明白になったというべきである。 d したがって,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,建築設備 度超える場合には,0.93の限度を超えて規模補正係数を決定すべきであったことがより明白になったというべきである。 d したがって,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,建築設備に係る規模補正係数について,0.93の限度を超えて補正係数を決定する義務がある。 (イ) 前記アのⅱについてa 本件家屋の上記各建築設備に用いられるべき適正な規模補正係数の数値については,規模の補正項目は,上記(ア)aで述べたとおり,一 般に建築設備部分の工事費を延べ床面積1.0㎡当たりで把握する場合に,建物の延べ床面積が大きくなれば総工事費は増加するが延べ床面積1.0㎡当たりの工事費は減少する傾向が見られ,逆に建物の延べ床面積が小さくなれば総工事費は減少するが延べ床面積1.0㎡当たりの工事費は増加する傾向が見られる点に着目して設けられたものであるところ,固定資産評価基準において与えられている規模補正係数の数値は,計算単位が延べ床面積の建築設備(本件家屋についていうと,後記cの①ないし③及び⑤ないし⑬の建築設備)を例にとると,3000㎡程度のものが標準の1.0,1万㎡程度のものが0.93であるが,延べ床面積の増加と比例的に規模補正係数が減少すると考えると,延べ床面積が1万㎡を超えて一定以上になると,規模補正係数がゼロまたはマイナスとなってしまい,不適当である(どんなに延べ床面積が大きくなっても,建築設備部分の工事費がゼロになったりマイナスになったりすることはない。)。規模補正の趣旨を正しく踏まえると,規模補正係数は,x軸を延べ床面積,y軸を規模補正係数とした場合に,x軸(y=0)を漸近線とする曲線を描くと考えるのが適当である。 b 以上を前提として,固定資産評価基準が予定する適正な規模補正係数の算 係数は,x軸を延べ床面積,y軸を規模補正係数とした場合に,x軸(y=0)を漸近線とする曲線を描くと考えるのが適当である。 b 以上を前提として,固定資産評価基準が予定する適正な規模補正係数の算出方法を数式で表すと,別紙4の適正な規模補正係数の算出方法のとおりとなる。 c 計算単位が延べ床面積以外の建築設備(本件家屋についていうと,後記の④及び⑭ないし⑯の建築設備)についても,別紙4の計算式の3000㎡,1万㎡,1.0及び0.93という数字を当該建築設備の評点項目で定められている数字に置き換えることによって,同様に適正な規模補正係数を求めることができる。 本件家屋の新築部分の評価のうち,①電気設備中の動力配線設備, ②電気設備中の電灯コンセント配線設備,③電気設備中の電話配線設備,④電気設備中の自動車管制装置,⑤電気設備中のテレビジョン共同聴視設備,⑥衛生設備中の給水設備,⑦衛生設備中の排水設備,⑧衛生設備中の中央式給湯設備,⑨衛生設備中の衛生器具設備,⑩衛生設備中のガス設備,⑪空調設備(吸収式冷凍機を使用しているもの),⑫防災設備中の火災報知設備,⑬防災設備中の消火栓設備,⑭防災設備中の炭酸ガス消火設備,⑮防災設備中の泡消火設備及び⑯防災設備中のスプリンクラー設備につき,このようにして,本件家屋の各建築設備の規模補正係数を計算すると,これら①ないし⑯の評点項目において使用されている規模補正係数には,以下のとおりに誤りがある。 (a) ①ないし③及び⑤ないし⑬について延べ床面積1万㎡程度の家屋に使用される補正係数0.93が使用されているが,本件家屋の新築部分の延べ床面積は,2万4712.79㎡である。したがって,補正係数は0.88が使用されなければならない。 (b) ④について駐車場床面積 補正係数0.93が使用されているが,本件家屋の新築部分の延べ床面積は,2万4712.79㎡である。したがって,補正係数は0.88が使用されなければならない。 (b) ④について駐車場床面積1500㎡程度の家屋に使用される補正係数0. 93が使用されているが,本件家屋の新築部分の駐車場床面積は,2324.21㎡である。したがって,補正係数は0.85が使用されなければならない。 (c) ⑭について設置部分の延べ容積4500㎡程度の家屋に使用される補正係数0.90が使用されているが,本件家屋の新築部分の当該設備設置部分の延べ容積は,6522.00㎡である。したがって,補正係数は0.81が使用されなければならない。 (d) ⑮について 設置部分の延べ床面積1500㎡程度の家屋に使用される補正係数0.90が使用されているが,本件家屋の新築部分の当該設備設置部分の延べ床面積は,2324.21㎡である。したがって,補正係数は0.80が使用されなければならない。 (e) ⑯について設置部分の延べ床面積1万㎡程度の家屋に使用される補正係数0.93が使用されているが,本件家屋の新築部分の当該設備設置部分の延べ床面積は,1万8252.58㎡である。したがって,補正係数は0.89が使用されなければならない。 d 被告は,原告の示す計算は,面積が大きくなればなるほど1㎡当たりの工事費が限りなくゼロに近くなるというものであり,面積規模に正比例した動きを示す工事費の存在を捨象しており,相当とはいえない旨の主張をする。 しかしながら,原告の示した計算式は,固定費と変動費の双方が存在することから,補正係数がゼロになったりマイナスになったりすることがないように考慮して,30 おり,相当とはいえない旨の主張をする。 しかしながら,原告の示した計算式は,固定費と変動費の双方が存在することから,補正係数がゼロになったりマイナスになったりすることがないように考慮して,3000㎡=1.0と1万㎡=0.93という固定資産評価基準によって与えられた2つの補正係数の関係から導き出したもので,極めて合理的な計算式である。このことは,原告の示した計算式と同様の考え方によって,延べ床面積が1万㎡を超える家屋の規模補正係数を求めている政令指定都市が複数存在することからも裏付けられる(甲14の1・56頁及び57頁,30)。 かえって,被告の主張は,延べ床面積が1万㎡に達すると,突如として1㎡当たりの工事費の減少傾向が止まるというもので,不自然かつ不合理である。 また,固定資産評価基準の制定者の意思を推し量っても,減点補正の対象を「10,000㎡以上のもの」ではなく,「10,000㎡ 程度のもの」と定めつつ,1万㎡を超える場合の補正係数を具体的に定めていないということは,1万㎡を相当程度超える場合には,0. 93の限度を超えた補正係数を決定する義務があるが,その場合の具体的な補正係数は,事細かく定めておかなくても,固定資産評価基準で与えられた3000㎡=1.0及び1万㎡=0.93という条件から,反比例計算によって簡単に求めることができると考えていたとみるべきである。 (被告の主張の要点)ア本件家屋の「規模」の補正は,評価基準の非木造家屋評点基準表において各補正項目について定められている下限の係数をもって行っているから,何ら問題はないというべきである。 イ原告の主張に対する反論(ア) 原告の主張の要点イ(ア)aの主張について原告は,建築設備に係る規模補正係数について,限度を超えて いるから,何ら問題はないというべきである。 イ原告の主張に対する反論(ア) 原告の主張の要点イ(ア)aの主張について原告は,建築設備に係る規模補正係数について,限度を超えて補正係数を決定する義務があるかという問題と適正な補正係数はいくらかという問題があるとした上で,前者について義務があることを前提に,補正係数をいかにすべきかを論ずるようである。 しかしながら,「補正係数の限度内において処理することができないか」は,飽くまで昭和57年度評価基準等が規定する範囲を超えた場合は必ず限度を超えて補正係数を決定しなければならない,すなわち,限度内において処理することができないと判断するか否かによって結論が異なるのであり,同評価基準等が規定する補正係数が上限又は下限を画していると判断した場合には,限度を超えて補正係数を決定する義務はないということができるのであるから,原告の主張は失当というべきである。仮に,原告の主張するように限度を超えた場合には一律に補正係数を決定する義務があるというのであれば,むしろ係数が容易に算定で きる数式等を規定していたはずであるが,そうしていないということは同評価基準等がそのように考えていなかったことの証左にほかならない。 また,原告は,原告の主張する別紙4の数式により補正係数を設定すべき旨を主張するが,その主張の根拠は,現に同様の方式によっている政令指定都市が複数存在し,そのような手法があり得るというにとどまっている。原告の主張する算式自体が昭和57年度評価基準に定められているわけでなく,同評価基準から当然に導き出されるものでもない以上,本件家屋について被告がその方式を採用しなかったからといって違法になるわけがない。 その上,本件家屋の延べ床面積が1万㎡を超えているから けでなく,同評価基準から当然に導き出されるものでもない以上,本件家屋について被告がその方式を採用しなかったからといって違法になるわけがない。 その上,本件家屋の延べ床面積が1万㎡を超えているからといって,3000㎡程度の標準的な家屋に比較して,本件家屋に係る補正が0. 93の減点補正率はすでに十分に低い係数となっているので,「減点補正率」より低い補正係数を設定する必要はないとしたことに何ら違法性は認められない。 (イ) 原告の主張の要点イ(ア)c(c)の主張について原告は,後記(オ)で述べる平成26年の固定資産評価基準の改正によりわざわざ0.93という補正係数のほかに下限値を設けたということは,0.93が下限値ではないことを意味するものであるから,むしろ,今般の固定資産評価基準の改正によって,延べ床面積が1万㎡を相当程度超える場合には,0.93の限度を超えて規模補正係数を決定すべきであったことがより明白になったというべきである旨の主張をする。 しかしながら,上記の改正前の固定資産評価基準においても規模補正係数の減点補正率の値が皆0.93であったわけではないし,平成27基準年度の改正によって現行の評価基準の規模補正係数を超えて下限値が設定された建築設備についても,改正後の固定資産評価基準の下限値 が,原告の主張する反比例計算のように大きく下げられたわけではない(一番下限値を低くしたものでも0.90としたにすぎない。)。そうであるとすれば,固定資産評価基準で与えられた条件から反比例計算によって規模補正係数を求めるのが固定資産評価基準の制定者の意思であったとする原告の主張に,何ら根拠のないことは明らかというべきである。 (ウ) 原告の主張の要点イ(イ)a及びbの主張について原告は,規模補正係数 固定資産評価基準の制定者の意思であったとする原告の主張に,何ら根拠のないことは明らかというべきである。 (ウ) 原告の主張の要点イ(イ)a及びbの主張について原告は,規模補正係数は,x軸を延べ床面積,y軸を規模補正係数とした場合に,x軸(y=0)を漸近線とする曲線を描くと考えるのが適当であるとした上で,電気設備中の動力配線設備等を例として,評価基準において「標準」が「3,000㎡程度のもの」について補正係数が1.0,「減点補正率」が「10,000㎡程度のもの」について補正係数が0.93とされていることから「延べ床面積が3分の10倍になるごとに,補正係数0.93を1回乗じる」方式が適当であると主張する。 しかしながら,電気設備中の動力配線設備等について「延べ床面積が3分の10倍になるごとに,補正係数0.93を1回乗じる」方式が適当であるというのは,何の根拠もない原告独自の見解にすぎないし,これが他の規模補正にもそのまま妥当するというのも原告独自の見解にすぎず,失当である。 確かに,「規模」の補正は,「一般的に(中略)工事費を延床面積1. 0㎡当たりでは握していく場合に,建物の延床面積が大きくなれば総工事費は増加するが延床面積1㎡当たりに換算すると工事費は減少する傾向が見られ,逆に建物の延床面積が小さくなれば総工事費は減少することとなる」(昭和57年度評価基準解説(甲23・439頁))という傾向に着目して補正しようとするものであるが,同解説には,「資材の 中に面積規模の変化に応じて比例的に数量が動くと考えられるものと,一定規模の範囲内ではほとんど変動せず,一定規模を超えると一定の範囲内で変動し,その範囲の中では固定するもの,規模の変動と関係なくほとんど固定しているもの等がみられる。また,設備工事費中の ものと,一定規模の範囲内ではほとんど変動せず,一定規模を超えると一定の範囲内で変動し,その範囲の中では固定するもの,規模の変動と関係なくほとんど固定しているもの等がみられる。また,設備工事費中の労務費についても,段取り,後かたづけ等を含めた全体の労務費でみると工事費の大小に関係なく段取り,かたづけに要する最小限の労務は必要である。これらのうち固定的な資材費,労務費が単位当たりでみる場合に影響して,面積規模の変動と正比例しない動きを示すのである。」(同・440頁)と明記されていることがみてとれる。 そうであるとすれば,ここでいう「固定的な資材費」や「最小限の労務費」以外は面積規模の変動と正比例した動きを示すのであって,延べ床面積がいくら大きくなっても1㎡当たりで必ず必要な工事費(固定費用)が相当程度認められるというべきである。換言すれば,原告の示す計算は,面積が大きくなればなるほど1㎡当たりの工事費が限りなく0に近くなるというものであり,面積規模に正比例した動きを示す工事費の存在を捨象しており相当とはいえない。 こうした結論が妥当性を有することは,昭和57年度評価基準解説では「一般的には補正係数に矢印のある場合は,標準~増点補正率又は標準~減点補正率の間において補正係数を決定するものとし,必要に応じては増点補正率を上回り又は減点補正率を下回って該当する補正係数を決定することとして差し支えない」(同・264頁)とされ,減点補正率を下回って補正係数を決定することもできるが,しなくても構わないとしていることからも裏書きされる。 以上に述べたことを前提に本件を検討すると,本件家屋の規模は,「非木造家屋評点基準表」で「減点補正率」の適用が想定されている規模を超えてはいるものの,1㎡当たりで必ず必要な工事費(固定費用)が相 ことを前提に本件を検討すると,本件家屋の規模は,「非木造家屋評点基準表」で「減点補正率」の適用が想定されている規模を超えてはいるものの,1㎡当たりで必ず必要な工事費(固定費用)が相 当程度あることを勘案すると,定められた「減点補正率」で既に十分に低い係数となっているので「減点補正率」より低い補正係数を設定する必要はないとしたことに何ら違法性は認められないということができるから,原告の主張は失当である。 (エ) 原告の主張の要点イ(イ)c の主張について原告は,本件家屋に係る規模の補正について,それぞれ自らの主張する補正係数が使用されなければならないと主張する。 しかしながら,原告の主張する規模補正係数によると,規模が大きくなればなるほど補正係数はゼロに近づくことになるが,ゼロに近づくという考え方は妥当とはいえない。本件家屋の「規模」の補正は,評価基準の非木造家屋評点基準表において各補正項目について定められている下限の係数をもって行っているから,何ら問題はないというべきである。 (オ) 原告の主張の要点イ(イ)dの主張について原告は,建築設備に係る規模の補正について,原告が別紙4に示した計算式は,固定費と変動費の双方が存在することから,補正係数がゼロになったりマイナスになったりすることがないように考慮して導き出したもので,極めて合理的な計算式であり,このことは,原告の示した計算式と同様の考え方によって,延べ床面積が1万㎡を超える家屋の規模補正係数を求めている政令指定都市が複数存在することからも裏付けられる旨や,固定資産評価基準の制定者の意思を推し量っても,減点補正の対象を「10,000㎡以上のもの」ではなく,「10,000㎡程度のもの」と定めつつ,1万㎡を超える場合の補正係数を具体的に定めていないとい 固定資産評価基準の制定者の意思を推し量っても,減点補正の対象を「10,000㎡以上のもの」ではなく,「10,000㎡程度のもの」と定めつつ,1万㎡を超える場合の補正係数を具体的に定めていないということは,事細かに定めておかなくても,反比例計算によって簡単に求めることができると考えていたとみるべきである旨を主張する。 しかしながら,上記の主張は,原告の独自の解釈に基づくものであっ て何ら根拠となり得ないというべきである。 すなわち,原告は,複数の政令指定都市の取扱いをもって,原告の主張する取扱いが極めて合理的であることが裏付けられると主張するようであるが,東京都を始めとした全国の多くの自治体は,1㎡当たりで必ず必要な工事費が相当程度あることを勘案して,規模の補正に関して一定の下限を設けているのであり,他の自治体の取扱いが参考にすぎないことはおくとしても,いくつかの政令指定都市の取扱いが原告の主張に合致しているからといって,それが合理的であるとの裏付けにはならないことは明らかである。 また,固定資産評価基準は,建築設備の規模の補正の下限について平成24年度評価基準までは特に示していなかったものの,平成26年6月26日付け官報(号外第143号)により告示された総務省告示第217号(乙13)によって,平成27年度から適用される「評価基準別表第12 非木造家屋再建築費評点基準表」の「1 事務所,店舗,百貨店用建物」における建築設備に係る多くの評点項目について,注意書きで下限を設けることにした。 すなわち,平成27年度の改正は,平成25年7月現在の東京都(特別区の区域)における工事原価の費用を基礎としており,告示によると,ほとんどの建築設備について一定以上の規模を超えると規模のメリットのなくなることが明らかになったことか 成25年7月現在の東京都(特別区の区域)における工事原価の費用を基礎としており,告示によると,ほとんどの建築設備について一定以上の規模を超えると規模のメリットのなくなることが明らかになったことから,自治体ごとにばらつきのあった規模の補正の下限の扱いについて総務省が一定の結論を示したものということができる。 具体的には,電気設備中の動力配線設備については0.93,電気設備中のテレビジョン共同聴視設備については0.90,衛生設備中の給水設備については0.92,衛生設備中の中央式給湯設備については0. 93,空調設備中の空調設備(中央熱源方式),中央熱源冷房設備,中 央熱源直接暖房設備及び中央熱源温風暖房設備については0.90,防災設備中の火災報知設備については0.93,防災設備中の不活性ガス消火設備及び泡消火設備については0.90,防災設備中のスプリンクラー設備については0.93が補正係数の下限となっている。 また,電気設備中の電灯コンセント配線設備及び電話配線設備,衛生設備中の排水設備,衛生器具設備及びガス設備については規模の補正項目自体が削除されている。 このような改正がなされていること自体,規模の補正の適用について原告の主張に全く根拠がなく,逆に固定資産評価基準の制定者の意思はこれを限度としていたことを示しているというべきである。 そうであるとすれば,被告の建築設備に係る規模補正係数の取扱いにこそ合理性が認められるから,原告の主張が失当であることは明らかである。 (7) 争点2(7)(その他計算ミス等)について(原告の主張の要点)ア床仕上メタルラス等の単位当たり評点数が,正しくは29点とされるべきところ,293点とされている。 イ屋根仕上ワイヤーメッシュ (原告の主張の要点)ア床仕上メタルラス等の単位当たり評点数が,正しくは29点とされるべきところ,293点とされている。 イ屋根仕上ワイヤーメッシュの単位当たり評点数30点が合算されていない。 ウ建具木製建具OPの単位当たり評点数が,正しくは1点とされるべきところ,10点とされている。 エ拡声器配線設備拡声器配線設備の単位当たり評点数が,正しくは360点とされるべきところ,300点とされている (被告の主張の要点)原告が主張する床仕上,屋根仕上,建具及び拡声器配線設備についての記載ミス等については争わないが,それらは,増点及び減点の双方を含んでおり,かつ,東京地裁平成17年判決における基準である「建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に比準評価方式により評価することが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合」には該当しないから,このことをもって平成21年度の価格が違法であることにはならないというべきである。 3 争点3(経年減点補正率適用の誤り)について(原告の主張の要点)(1) 本件家屋の新築部分の評価に当たっては,前提事実(3)ウのとおり,主体構造部の構造区分に従い異なる経年減点補正率が適用されているが,複合構造家屋の評価における経年減点補正率の適用は,主たる構造により一棟単位で行うものとされており,構造の主従の判断基準は,家屋一棟の全床面積のうち最も大きな床面積を占める構造を主たる構造とするとされている(甲10)。 これを本件家屋の新築部分についてみると,前記2(1)原告の主張の要点イで述べたとおり,S造部分が課税床面積全体の約73パーセントを占めるから,S造が主たる る構造とするとされている(甲10)。 これを本件家屋の新築部分についてみると,前記2(1)原告の主張の要点イで述べたとおり,S造部分が課税床面積全体の約73パーセントを占めるから,S造が主たる構造となる。 したがって,本件家屋の新築部分の正しい評価はS造であり,その固定資産評価に当たっては,平成21年度評価基準の「非木造家屋経年減点補正率基準表(別表13)」の「1事務所,銀行用建物及び2~7以外の建物」に示された基準表のうち,構造別区分がS造の基準表を1棟全体に適用しなければならない。 (2) 被告の主張に対する反論地方税法は,固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準並びに評 価の実施の方法及び手続を総務大臣の告示に係る評価基準に委ね(388条1項),市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(403条1項)。これは,全国一律の統一的な評価基準による評価によって,各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格は評価基準によって決定されることを要するものとする趣旨であると解され,これを受けて全国一律に適用される評価基準として昭和38年自治省告示第158号(固定資産評価基準)が定められ,その後,数次の改正が行われている。これらの地方税法の規定及びその趣旨等に鑑みれば,固定資産税の課税において,このような全国一律の統一的な評価基準に従って公平な評価を受ける利益は,適正な時価との多寡の問題とは別に,それ自体が地方税法上保護されているというべきである(前掲の最高裁判所平成25年7月12日判決参照)。 そして,同じ評価方法を用いて評価をしたとしても,その当てはめが区々であったら,結果として評価に不公平が生じてし 保護されているというべきである(前掲の最高裁判所平成25年7月12日判決参照)。 そして,同じ評価方法を用いて評価をしたとしても,その当てはめが区々であったら,結果として評価に不公平が生じてしまうのであるから,「評価基準に従って公平な評価を受ける利益」というのは,形式的に評価基準を用いて評価を受ける利益だけでなく,評価基準の公平な適用(評価基準への公平な当てはめ)を受ける利益も当然に包含する。これは,租税公平主義を定める憲法14条1項の規定からも明らかである。 そうすると,非木造家屋の評価において,経年減点補正率の公平な適用を受ける利益というのも,憲法及び地方税法上,保護されているということができ,同一の自治体の中に,複合構造家屋に係る経年減点補正率の適用についての二重の基準が存在することは許されないというべきである。 したがって,同一の自治体において,構造別に分けて経年減点補正率を適用している複合構造家屋とそれ以外の方法によって経年減点補正率を適用している複合構造家屋が混在し,前者によって決定される価格が後者によって 決定される価格を上回る場合には,当該複合構造家屋の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,前者によって決定された価格は違法となる。 そして,固定資産評価審査委員会の審査決定に係る取消訴訟においては,固定資産課税台帳に登録された価格の決定が適法であることの立証責任は,同委員会を代表者とする被告の側にある。 以上から,①東京都区部において,全ての複合構造家屋について,構造別に分けて経年減点補正率が適用されていること,又は,②それ以外の方法によって経年減点補正率を適用している複合構造家屋も混在するが,当該「それ以外の方法」によって本件家屋を評価した場合の価格を本件登録価格が上回 減点補正率が適用されていること,又は,②それ以外の方法によって経年減点補正率を適用している複合構造家屋も混在するが,当該「それ以外の方法」によって本件家屋を評価した場合の価格を本件登録価格が上回らないこと,のいずれかを被告が立証しない限り,本件家屋に係る経年減点補正率の適用に誤りはないという被告の主張は認められない。 (被告の主張の要点)一棟が複数の構造により建築されている家屋(複合構造家屋)において,経年減点補正率をどのように適用するか,固定資産評価基準は特に規定していないのであり,原告の主張する方法は一つの方法にすぎない。現に,原告が依拠する文献(甲10)にも,一棟単位を原則としつつ,当該市町村内の家屋の評価,課税の均衡上問題があると市町村長が認めるときは,構造の異なる部分ごとに経年減点補正率を適用することができるとされており,かかる方法が唯一絶対の評価方法であるなどとは記載されていない。 東京都の特別区の区域内においては,東京都固定資産(家屋)評価事務取扱要領(乙11)により,原則として,各構造別に経年減点補正率を適用することと規定されており,原告の主張は,そうした意味からも前提において失当である。 なお,東京都23区において,平成18基準年度の評価替えに当たり,在来分の複合構造家屋について評価額を変更しているが,これは,登記上,複合構 造家屋であることが明確な家屋に限っていたものであり,全ての在来分の複合構造家屋が変更の対象となったのではない。本件家屋は,登記上,複合構造家屋であることが明確な家屋ではなかったから,そもそも変更の対象ではなかったが,租税行政の観点から,平成21年1月30日に変更したものであり,本件家屋に係る経年減点補正率の適用に何ら誤りはない。 4 争点4(本件家屋の適正な時価)に から,そもそも変更の対象ではなかったが,租税行政の観点から,平成21年1月30日に変更したものであり,本件家屋に係る経年減点補正率の適用に何ら誤りはない。 4 争点4(本件家屋の適正な時価)について(原告の主張の要点)(1) 前記2及び3における原告の主張の要点で指摘した誤りを是正すると,本件家屋の新築部分の建築当初の再建築費評点数は,別紙5の再建築費評点数計算書(なお,同計算書の4枚目における「FC」とはフロアコンセントを,「FD」とはフロアダクトを,それぞれ指す。)のとおり,17万4300点となる。 (2) 複合構造家屋については,主たる構造(最も大きな床面積を占める構造)に係る経年減点補正率を一棟単位で適用すべきであるから,S造部分が課税床面積全体の約73パーセントを占める本件家屋の新築部分については,一棟単位でS造に係る経年減点補正率が適用されなければならない。 (3) 以上を踏まえると,適正な時価は以下のとおりである。 ア一棟単位で経年減点補正率を適用した場合前記3における原告の主張の要点で主張したように,1棟全体にS造の経年減点補正率を適用して評価すると,本件家屋の新築部分の平成21年度の評価額は,別紙6の原告主張の評価計算表(一棟S造)のとおり,27億0698万9500円となる。 したがって,本件家屋の平成21年度の適正な時価は,上記新築部分の評価額に増築部分の評価額1550万3200円を合算した,27億2249万2700円である。 イ構造別に分けて経年減点補正率を適用した場合 本件家屋の新築部分のうち,S造部分の平成21年度の評価額は,別紙7の原告主張の評価計算表(S造部分)のとおり,19億6538万7700円となり,SRC造・RC造部分の 用した場合 本件家屋の新築部分のうち,S造部分の平成21年度の評価額は,別紙7の原告主張の評価計算表(S造部分)のとおり,19億6538万7700円となり,SRC造・RC造部分の平成21年度評価額は,別紙8の原告主張の評価計算表(SRC造・RC造部分)のとおり,9億7163万3900円となる。 したがって,本件家屋の平成21年度の適正な時価は,上記新築部分の各評価額の合計29億3702万1600円に増築部分の評価額1550万3200円を合算した,29億5252万4800円である。 (被告の主張の要点)原告の主張は争う。 第5 当裁判所の判断 1 争点1(建築当初の評価の妥当性を争うことの可否)について(1) 家屋に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準等を定めるに当たり,評価の実施に際して適用される固定資産評価基準の定める評価の方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり,かつ,当該家屋の基準年度に係る賦課期日における価格で家屋課税台帳等に登録されたもの(登録価格)がその評価の方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には,その登録価格は,その評価の方法によっては適正な時価を適切に算定することができないといった特別の事情の存しない限り,同賦課期日における当該家屋の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認するのが相当である(前掲の最高裁判所平成15年7月18日判決及び平成25年7月12日判決参照)。 そして,前提事実(3)から(5)までのとおり,本件家屋の本件登録価格は,本件家屋が在来分の非木造家屋であることから,前年度である平成20年度の再建築費評点数に平成21年度評価基準が定める再建築費評点補正率を乗じて再建築費評点数を算出し,これ 本件家屋の本件登録価格は,本件家屋が在来分の非木造家屋であることから,前年度である平成20年度の再建築費評点数に平成21年度評価基準が定める再建築費評点補正率を乗じて再建築費評点数を算出し,これに基づいて決定されたものであり,平 成21年度評価基準に従って決定されたものである。 前年度である平成20年度における本件家屋の再建築費評点数についてみると,家屋に対して課する第二年度及び第三年度の固定資産税の課税標準については原則として当該家屋に係る基準年度の登録価格とするものとされている(地方税法349条2項,3項)ところ,前提事実(3)ア及びイのとおり,昭和57年に新築された本件家屋のその後の各基準年度の再建築費評点数は,それぞれ,昭和57年度の再建築費評点数を基礎として固定資産評価基準を適用して算出されてきたものである(なお,本件家屋については,東京都千代田都税事務所長の作成に係る平成21年1月30日付けの固定資産価格等修正通知書に記載のとおり,本件家屋の平成18年度から平成20年度までの価格が平成18年度まで遡って修正されている。前提事実(3)ウ)。 (2) 地方税法432条1項本文の規定は,固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る家屋についての登録価格について不服がある場合においては,一定の期間内において,文書をもって,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる旨を定め,同法434条の規定は,同委員会の決定に不服があるときは,その取消しの訴えを提起することができ,登録価格についての不服は,上記の審査の申出又は取消しの訴えによることによってのみ争うことができるものとしている。また,既に述べたように家屋に対して課する第二年度及び第三年度の固定資産税の課税標準については原則として当 は,上記の審査の申出又は取消しの訴えによることによってのみ争うことができるものとしている。また,既に述べたように家屋に対して課する第二年度及び第三年度の固定資産税の課税標準については原則として当該家屋に係る基準年度の登録価格とするものとされているところ,同法432条1項ただし書は,第二年度及び第三年度における家屋の価格に不服がある場合には,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当である等の特段の事情を主張する場合に限り,所定の期間内に,審査の申出をすることができる旨を規定している。 このように,同法が,固定資産税の課税標準である登録価格について不服がある場合については,上記に述べたような一定の手続によらなければこれを争うことができないこととしているのは,固定資産税の賦課処分の前提問題である課税標準となる登録価格を早期に確定させることにより,固定資産税に関連する事項についての法的安定性を確保する趣旨であると解される。 (3) 以上に述べたところのほか,本件において原告は固定資産評価基準の定める評価の方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであることについて格別争っていないことに照らすと,在来分の非木造家屋である本件家屋のうち本件において争われているその新築部分については,平成21年度の前年度に至るまでの再建築費評点数の算出は,その過程における特定の事項について誤りがある旨の格別の主張及び立証がされたときを除き,各年度における固定資産評価基準に従ったものと推認され,それを基礎として決定された本件登録価格は,適正な時価を上回るものではないと推認されるものというべきである。 (4) 被告は,本件家屋の平成21年度の価格についての不服として,本件家屋の建築当初の評価を争 礎として決定された本件登録価格は,適正な時価を上回るものではないと推認されるものというべきである。 (4) 被告は,本件家屋の平成21年度の価格についての不服として,本件家屋の建築当初の評価を争うことは原則としてできず,その評価を争うことができるのは,建築当初の評価において適切に評価できなかった事情がその後に判明した場合や,建築当初の評価の誤りが重大で,それを基礎に評価をすることが適正な時価の算定方法として不合理であると認められるような場合に限られる旨の主張をする。 しかしながら,固定資産税の課税標準である「価格」は固定資産評価基準(地方税法388条1項)によって決定しなければならないが(同法403条1項),その「価格」は,飽くまでも「適正な時価」でなければならず(同法341条5号),固定資産評価基準に従って決定された価格は「適正な時価」を上回るものではないと推認されるにすぎない。そして,固定資産評価基準の適用に誤りがある場合には,上記の推認はされないところ,このこと は,その適用の誤りが,建築当初の再建築費評点数の算出の誤りである場合であっても,当該基準年度における価格の決定に影響を及ぼすものである限り,同様である。また,同法432条1項も,基準年度の登録価格について審査の申出をすることができる場合につき何らの制限を設けていないのであり,被告の主張するような制限をすることはできないというべきである。 また,建築当初の再建築費評点数の算出の誤りを主張することができると解したとしても,このことをもって,従前の登録価格及びこれに基づく課税処分の効力が直ちに左右されるものではないから,その意味において法的安定性を害することはない。 さらに,建築の当初の評価から時間が経過するほど,家屋にはいわゆる経年変化が生じる びこれに基づく課税処分の効力が直ちに左右されるものではないから,その意味において法的安定性を害することはない。 さらに,建築の当初の評価から時間が経過するほど,家屋にはいわゆる経年変化が生じることや建築当初の建築関係書類につき廃棄又は紛失といった事態が生じることが予想され,時の経過とともに建築当初の評価に誤りがあったかどうかを的確に判断することが困難になることが考えられるが,上記(3)に述べたような推認によって,建築当初の再建築費評点数の算出に誤りがあることについて実際上の主張立証責任を負担するのは,その旨を主張して登録価格の相当性を争う原告であるから,関係行政庁側に対して過重な負担を強いるものではない。 以上と異なる被告の主張は,これまで述べたところに照らし,採用することができない。 2 争点2(本件家屋の新築部分における再建築費評点数の算出の誤り)について(1) 争点(1)(主体構造部の鉄骨の耐火被覆)についてア昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「主体構造部」に係る評点項目「鉄骨造」中の「鉄骨の使用量が明確な建物」の「標準評点数」欄には,「鉄骨の使用量が明確な建物にあっては,次の算式によって求め る」として,以下の算式が記載されている。 (算式)再建築費評点数=202,800×鉄骨使用量(単位t)耐火被覆がなされている場合は,次の算式によって求める。 再建築費評点数=257,100×鉄骨使用量(単位t)イそして,「平成21基準年度単位当たり標準評点数の積算基礎」(乙8の2)において,「耐火被覆(加算点扱い)」についての単位が「㎡」とされているのに対し,昭 ,100×鉄骨使用量(単位t)イそして,「平成21基準年度単位当たり標準評点数の積算基礎」(乙8の2)において,「耐火被覆(加算点扱い)」についての単位が「㎡」とされているのに対し,昭和57年度評価基準に関するものである自治省税務局編「標準評点数の積算基礎」(乙8の1)には,「非木造家屋」の「主体構造部等」において,「鉄骨(1トン当たり)」の「合計」の「評点数」及び「標準評点数」の各欄にいずれも「202,800」との記載があり,これとは別に,「耐火被覆(加算点扱い)」については,「単位」の欄に「t」,「評点数」の欄に「54,250」,「標準評点数」の欄に「54,300」と記載されている。 また,本件家屋に係る「鉄骨筋・鉄筋コンクリート造計算書(明確分)」と題する書面(甲4)には,いずれも不動文字によって「主体構造部」の「鉄骨」欄の右側に「耐火被覆なし」及び「耐火被覆あり」と記載され,それぞれの標準評点数として「耐火被覆なし」につき「202,800」と,「耐火被覆あり」につき「257,100」と記載されており,その右側の「評点数」を算出するための計算の欄にも,「耐火被覆あり」又は「耐火被覆なし」のいずれかの標準評点数に「計算単位単位当り使用量」を乗ずることとする旨の記載がある。 ウところで,昭和57年度評価基準解説(甲18・243頁)には,「鉄骨構造が高温に弱いという欠点を補うため,最近,鉄骨造建物は耐火被覆をもって施工されるようになり,これらの建物の評価の適正を図る意味において「鉄骨造」に耐火被覆が行われている場合の評点項目が設けられて いる」との記載があり,これに照らすと,耐火被覆が施工されることによってS造に係る工事費が増加するため,「耐火被覆あり」が加算点扱いされていると解される。その の評点項目が設けられて いる」との記載があり,これに照らすと,耐火被覆が施工されることによってS造に係る工事費が増加するため,「耐火被覆あり」が加算点扱いされていると解される。その上で,上記の昭和57年度評価基準解説の244頁には,「耐火被覆が行われているかどうかは,見積書等において容易に判断できるものと思われるが,耐火被覆が施工されている部分と,そうでない部分がある場合においては,計算単位の床面積において考慮して差し支えないものである。」との記載があることに照らすと,昭和57年度評価基準によってS造の再建築費評点数を算出するに当たって,耐火被覆の有無の区別を鉄骨の重量をもって把握することができない場合にも,床面積等によって把握することが可能であるときは,これを考慮することが相当であったというべきである。 この点につき,被告は,天井高や鉄骨の太さが部分によって異なるなど鉄骨量は床面積に比例するものではないし,柱と梁で構造が異なる場合もあることを考えると,こうした方法は唯一の方法ではない旨の主張をする。 しかしながら,竣工図(構造)(抜粋)(甲2の1)によれば,本件家屋の新築部分のうち,耐火被覆が施工されていない部分は地下2階,地下1階,地上1階及び地上2階に存在することが認められ(なお,後記エ参照),耐火被覆の有無の区別を床面積によって把握することが可能であったことに照らすと,本件家屋の新築部分については,床面積において考慮することが相当であったというべきである。 また,被告は,使用されている鉄骨の大半に耐火被覆が施されていることを踏まえて全てを耐火被覆ありとした被告の評価方法による結論が妥当性を有することは,昭和57年度評価基準等が,主体構造部に評点項目「耐火被覆」を設定し,その計算単位を通常の見積 覆が施されていることを踏まえて全てを耐火被覆ありとした被告の評価方法による結論が妥当性を有することは,昭和57年度評価基準等が,主体構造部に評点項目「耐火被覆」を設定し,その計算単位を通常の見積書の記載に合わせ,施工面積(㎡)としていないことからも,概算で足りるとしているとみることができることからも裏付けられる旨の主張をする。 しかしながら,既に述べたところに照らすと,この点についての被告の主張は採用することができないというべきである。 そして,後記オのとおり,本件建物の床面積の割合として,耐火被覆が施行されていない部分の割合が約21.89パーセントに上っていることに照らすと,再建築費評点数の算出に当たり,SRC造部分に使用される鉄骨については,鉄骨(耐火被覆なし)の標準評点数20万2800点が使用されるべきものであったというべきである。 エ竣工図(構造)(抜粋)(甲2の1)によれば,①「SRC(3階~B1階)大梁リスト」には地上3階から地下1階までの記載があるのに対し,「鉄骨大梁リスト」には地上1階の記載がないことが認められ,②「1階,2階床伏図」及び「RC造小梁リスト」に照らすと,地上1階の床部分に施工されている小梁は全てRC造であると認められる一方,③竣工図(構造)(抜粋)(甲2の1)の「鉄骨柱リスト」,「2階床伏図」(乙12の1)及び「SRC柱リスト」(乙12の2)によれば,鉄骨柱は地上1階の外周の一部分にも設置されていると認められることも併せ考慮すると,地上1階の床面積については,少なくとも原告の主張する1310. 98㎡に関してはSRC造として評価するのが相当である。 オそうすると,課税床面積2万4712.79㎡のうち,SRC造部分の床面積は5028.46㎡(内訳は,地上2階が も原告の主張する1310. 98㎡に関してはSRC造として評価するのが相当である。 オそうすると,課税床面積2万4712.79㎡のうち,SRC造部分の床面積は5028.46㎡(内訳は,地上2階が1262.69㎡,地上1階が1310.98㎡,地下1階が2454.79㎡である。),RC造部分の床面積は1741.81㎡(いずれも地下2階である。)であり,残余の床面積1万7942.52㎡はいずれもS造であると認められる。 そして,「鉄骨筋・鉄筋コンクリート造計算書(明確分)」と題する書面(甲4)によれば,本件家屋の新築部分の鉄骨は3113.78tであることが認められるから,本件家屋の新築部分のうち,S造部分とSRC造部分の床面積の合計に占めるSRC造部分の床面積の割合を乗じると, 以下の計算式のとおり,鉄骨682.72tについては,鉄骨(耐火被覆なし)の標準評点数である20万2800点が使用されるべきである。 (計算式)3,118.78×5,028.46/(17,942.52+5,028.46)=3118.78×0.2189≒ 682.72(t)(2) 争点(2)(電気設備の電灯コンセント配線設備)についてア昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電灯コンセント配線設備」の補正項目「フロアコンセント」については,増点補正率の欄に「1.15←全館にあるもの」と,標準の欄に「1.0 一部分にあるもの」と,それぞれ記載されている。 そして,昭和57年度評価基準解説(乙4・450頁)には,フロアコンセントの補正につき,いわゆる床下配線の有無による工事費の相違 「1.0 一部分にあるもの」と,それぞれ記載されている。 そして,昭和57年度評価基準解説(乙4・450頁)には,フロアコンセントの補正につき,いわゆる床下配線の有無による工事費の相違を補正しようとするもので,フロアコンセントがない場合は0.97の減点補正をするものであるが,これは「標準」との関連上必要となっているものである旨が記載されるとともに,「増点補正」における「全館にあるもの」とは,建物の全フロアにフロアコンセントが設備されているもののことで,全フロアにコンセントが設けられており,かつ,その数も多くなければならないというものではなく,極端ないい方をすれば,1床に数個であっても,全館に設備されていれば,増点補正の対象となるものであり,「標準」における「一部分にあるもの」とは,建物の延べ床面積の1割程度の部分にフロアコンセントが15㎡当たり1箇所程度の割合で設置されているようなものを指している旨がそれぞれ記載されている。 また,東京都主税局資産税部資産税第二課の編集に係る「家屋評価の手引」(昭和57年3月29日発行)(甲22)の「建築設備補正項目判定 表(非木造家屋-事務所・店舗・百貨店用建物)」における評点項目「電灯コンセント配線設備」における補正項目「フロアコンセント」については,増点補正率の欄に「1.15←全館にあるもの(建物の全フロアにフロアコンセントがあるもの)」と,標準の欄に「1.0 一部分にあるもの(延面積の10%部分に1ヶ所/15㎡程度のもの)」とそれぞれ記載されている。 イ上記のとおり,昭和57年度評価基準自体には「全館にあるもの」との記載しかなく,具体的な要件に係る記載がないことに加え,上記の昭和57年度評価基準解説において,「フロアコンセント」の補正は,床下に隠れ のとおり,昭和57年度評価基準自体には「全館にあるもの」との記載しかなく,具体的な要件に係る記載がないことに加え,上記の昭和57年度評価基準解説において,「フロアコンセント」の補正は,床下に隠れている工事部分の工事費について調整することを狙いとしているとされていることからすると,「標準」と「増点補正」の区別に係る「全館にあるもの」の解釈適用に当たっては,その床下に隠れている工事部分の工事費についてしんしゃくする旨の補正の趣旨に照らして判断されるべきである。そして,上記の昭和57年度評価基準解説及び「家屋評価の手引」の記載に照らすと,仮に特定のフロアにフロアコンセントが設置されていない場合であっても,他のフロアのフロアコンセントの設置の状況に照らし,床下に隠れている工事部分の在り方を考慮すると,家屋全体として見れば,全館に設置されているのと同視し得る程度にフロアコンセントが設置されていると評価し得る場合には,上記の「全館にあるもの」に該当するというべきである。 ウ前提事実(2)アのとおり,本件家屋の新築部分は,塔屋階を除き,地下2階,地上14階建てであり,そのフロア数は16であるが,このうち地下2階を除くフロア(地下1階から地上14階まで)にフロアコンセントが設置されている上,事務室としての使用を目的としていると見られる地上4階から14階までの各フロアにはフロアのほぼ全てにわたって網羅的にフロアコンセントが設置されている(甲2の2)。 そうすると,前記イに述べたところに照らし,本件家屋の新築部分については,フロアコンセントは「全館にあるもの」に該当すると認めるのが相当であるから,本件家屋の新築部分につき部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電灯コンセント配線設備」の補正項目「フロアコ ,フロアコンセントは「全館にあるもの」に該当すると認めるのが相当であるから,本件家屋の新築部分につき部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電灯コンセント配線設備」の補正項目「フロアコンセント」について,「全館にあるもの」として補正係数「1.15」が適用されたこと(甲4)に違法はない。 したがって,これに反する原告の主張は採用することができない。 (3) 争点(3)(電気設備の照明器具設備の蛍光灯用器具)についてア昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「照明器具設備」中の「蛍光灯用器具」の補正項目「天井高」については,標準の欄に「1.0 2.8m程度のもの」と,減点項目の欄に「→0.70 2.4m程度のもの」と,それぞれ記載されている。 そして,昭和57年度評価基準解説(乙4・459頁)には,「天井高」の補正につき,蛍光灯用器具は,埋込のものが標準とされているため,天井高の高低により同一の明るさを得るには器具の数を増やすか,蛍光灯をW数の大きいものにして器具もそれに合うものに換えることが必要となることを考慮しようとしているものである旨が記載されている。 イ上記のとおり,「天井高」の補正の目的が,天井高の高低により照明器具に係る工事費について調整することにあること照らすと,天井高が階層によって一定しない家屋における「天井高」による補正の適用においては,各階層の天井高の状況を総合的に考慮し,家屋全体としてそれが「標準」である「2.8m程度のもの」であると認められるか,又は減点補正をすべき「2.4m程度のもの」であると認められるかを判断すべきこととなると解される。 慮し,家屋全体としてそれが「標準」である「2.8m程度のもの」であると認められるか,又は減点補正をすべき「2.4m程度のもの」であると認められるかを判断すべきこととなると解される。 ウ本件家屋の新築部分の各階層の天井高を示した図面(甲9の2)によれば,本件家屋の地上4階から13階までの各天井高は2.5mであるが,他の階においては,地上3階及び14階が2.8m,地上1階が3.0m,地上2階が4.5mであり,地下1階及び地下2階はいずれも2.8m以上であると認められる。 そして,仮に地階の天井高をいずれも2.8mとしても,本件家屋の天井高の平均は2.73m({(2.5×10)+2.8×4+3.0+4.5}÷16=2.73)であることも考慮すると,前記イに述べたところに照らし,本件家屋の新築部分につき部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「照明器具設備」中の「蛍光灯用器具」の補正項目「天井高」について,「2.8m程度のもの」として補正係数「1.00」が適用されたこと(甲4)に違法はない。 なお,原告は,昭和57年度評価基準解説(甲18・251頁)に,「イ階高」として,「1棟の建物の階高が,階層によって一定せず,2以上の階高を有する建物については,当該建物の代表的な階高(最も床面積の多い部分の階高)によることとし」との記載がある旨を指摘するが,上記の記載は争点(3)の補正項目に係る記載ではないから,この点に関する原告の主張を採用することはできない。 (4) 争点(4)(電気設備の電話配線設備)についてア昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電話配線設備」の補正項目「フロアダクト 昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電話配線設備」の補正項目「フロアダクト」については,増点補正率の欄に「3.00←全館にあるもの」と,標準の欄に「1.0 一部分にあるもの」と,それぞれ記載されている。 そして,昭和57年度評価基準解説(乙4・467頁及び468頁)には,フロアダクトの補正につき,フロアダクトによる電話配線がどれぐら いなされているかによる工事費の相違を補正しようとするものであり,その考え方は,「電灯コンセント配線設備」の補正項目の一つである「フロアコンセント」の場合と同様であって,フロアダクトによる配線部分が全館の床にあれば,増点補正を行うものであり,全床面積の1割程度の部分にあるような場合が「標準」である旨が記載されている。また,東京都主税局資産税部資産税第二課の編集に係る「家屋評価の手引」(昭和57年3月29日発行)(甲22)の「建築設備補正項目判定表(非木造家屋-事務所・店舗・百貨店用建物)」における評点項目「電話配線設備」における補正項目「フロアダクト」については,「増点補正率」の欄に「3. 00←全館にあるもの(フロアダクトが全館(全階の床)に配線されているもの)」と,「標準」の欄に「1.0 一部分にあるもの(延床面積の10%程度にフロアダクトがあるもの)」とそれぞれ記載されている。 イ上記のとおり,昭和57年度評価基準自体には「全館にあるもの」との記載しかなく,「全館」の具体的な要件に係る記載がないことに加え,上記の昭和57年度評価基準解説において,「フロアダクト」の補正は,フロアダクトによる電話配線がどれぐらいなされているかによる工事費の相違を調整しようとする 具体的な要件に係る記載がないことに加え,上記の昭和57年度評価基準解説において,「フロアダクト」の補正は,フロアダクトによる電話配線がどれぐらいなされているかによる工事費の相違を調整しようとすることを狙いとしており,その考え方は,前記(2)の「電灯コンセント配線設備」の補正項目の一つである「フロアコンセント」の場合と同様であるとされていることからすると,「標準」と「増点補正」の区別に係る「全館にあるもの」の解釈適用に当たっては,電話配線に係る工事費についてしんしゃくする旨の補正の趣旨に照らして判断されるべきである。そして,上記の昭和57年度評価基準解説及び「家屋評価の手引」の記載に照らすと,仮に特定のフロアにフロアダクトが設置されていない場合であっても,他のフロアのフロアダクトの設置の状況に照らし,電話配線に係る工事の在り方を考慮すると,家屋全体として見れば全館に設置されているのと同視し得る程度にフロアダクトが設置されていると評 価し得る場合には,上記の「全館にあるもの」に該当するというべきである。 ウ前提事実(2)アのとおり,本件家屋の新築部分は,塔屋階を除き,地下2階,地上14階建てであり,そのフロア数は16であるが,このうち,地下2階及び1階にはフロアダクトは設置されておらず,地上1階及び2階にも一部にしか設置されていないものの,地上3階から14階までの各階には事務室としての使用を目的としていると見られる部分を中心に密度高くフロアダクトが設置されている(甲2の2)。 そうすると,前記イに述べたところに照らし,本件家屋の新築部分については,フロアダクトは「全館にあるもの」に該当すると認めるのが相当であるから,本件家屋の新築部分につき部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電話配線設備」の補正項目「 屋の新築部分については,フロアダクトは「全館にあるもの」に該当すると認めるのが相当であるから,本件家屋の新築部分につき部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「電話配線設備」の補正項目「フロアダクト」について,「全館にあるもの」として補正係数「3.00」が適用されたこと(甲4)に違法はない。 したがって,これに反する原告の主張は採用することができない。 (5) 争点(5)(防災設備)についてア昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建築設備」に係る,評点項目「防災設備」中の「炭酸ガス消火設備」,「泡消火設備」及び「スプリンクラー設備」の計算単位については,いずれも「設置部分の延べ床面積」とされている。 そして,昭和57年度評価基準解説(乙9・606頁)には,スプリンクラー設備につき,火災が発生した場合に天井面等に取り付けてあるスプリンクラーヘッドの感熱部分が分解又は破壊して飛散し開口すると,常に加圧されている配管内の水が噴出し,その時の圧力の変動,流水等により圧力スイッチ,アラーム・スイッチ又は流水作動弁等が作動し,ポンプ等 の加圧送水装置が自動的に運転して水源の水が送られ,スプリンクラーヘッドから連続放水して消火するものであり,地下街,高層建物,無窓建物又はデパート等のように著しく延焼の拡大及び火煙の充満のおそれが大きく,消防隊の屋内進入が困難な火災危険の大きな防火対象物に設置されるものである旨が記載されている。 イ上記のとおり,「炭酸ガス消火設備」,「泡消火設備」及び「スプリンクラー設備」の計算単位は,いずれも「設置部分の延べ床面積」とされているところ,本件家屋の新築部分に係る「鉄骨筋・鉄筋コンク 。 イ上記のとおり,「炭酸ガス消火設備」,「泡消火設備」及び「スプリンクラー設備」の計算単位は,いずれも「設置部分の延べ床面積」とされているところ,本件家屋の新築部分に係る「鉄骨筋・鉄筋コンクリート造計算書(明確分)」と題する書面(甲4)には,「防災設備」の「炭酸ガス消火設備」の「計算単位単位当り使用量」の欄に「設置容積6,522. 00」と,「泡消火設備」の「計算単位単位当り使用量」の欄に「設置床面積2324.21」とそれぞれの設備が消火を対象とする面積又はこれを基礎とする数値が記載されている。そして,前記アに述べたスプリンクラー設備の設置の趣旨も併せ考慮すると,スプリンクラー設備についても,消火を対象とする面積をもって「設置部分の延べ床面積」と認めるべきである。 ウこの点について,被告は,スプリンクラー設備の設置目的と効用は火災の際の初期消火と延焼拡大の防止にあるところ,階段室,エレベータシャフト,ダクトスペース,パイプスペース及び機械室(一般)等,部分的にスプリンクラーヘッドが設置されていない箇所があるとしても,その効用は設置状況からすれば本件家屋の新築部分の全体に及んでいるから,「設置部分の延べ床面積」を本件家屋の新築部分の全体の延べ床面積とすることは適当ということができる旨の主張をする。 しかしながら,本件家屋のうち,炭酸ガス消火設備は地下2階の合計700㎡(電気室,発電機室,オイルタンク室,ボイラー冷凍機室等),地下1階の60㎡(中央管理室)及び地上1階の327㎡(主厨房)に設置 されており(甲9の4),泡消火設備は専ら地下1階の地下駐車場に設置されているものであって(甲2の4・6枚目及び9枚目),これらの消火設備の設置された位置がいずれも低層部又は地階にあり,当該部分には設置されていないスプ ,泡消火設備は専ら地下1階の地下駐車場に設置されているものであって(甲2の4・6枚目及び9枚目),これらの消火設備の設置された位置がいずれも低層部又は地階にあり,当該部分には設置されていないスプリンクラー設備の効用を直接的に受けているとは考え難いことや,これらの消火設備も設置の目的と効用が火災の際の初期消火と延焼拡大にあるにもかかわらず,それらの計算単位は「設置部分の延べ床面積」とされており,家屋全体の延べ床面積とはされていないことに照らすと,スプリンクラー設備が設置されていない炭酸ガス消火設備の設置部分及び泡消火設備の設置部分については,スプリンクラー設備の「設置部分の延べ床面積」から除外されるべきであると解するのが合理的である。 これに対し,本件家屋の階段室やエレベーター等は,同所にスプリンクラーヘッドは設置されていないものの,本件家屋におけるスプリンクラー設備の設置の状況(甲2の4)に照らすと,その効用が及んでいるものと評価することができるというべきである。 エまた,被告は,スプリンクラー設備に係る縦配管や各階の天井又は天井裏に敷設される横配管等から成り立っているものであり,これらもまた「設置部分」にほかならず,その敷設に相応の費用がかかることは明らかであるし,本件家屋においても,甲2の4(竣工図(給排水衛生ガス消火設備(抜粋)))の6枚目から判断すれば,スプリンクラー設備に係る縦配管は本件家屋の全館にわたって施工されており,また,同じく8枚目以降から判断すれば,各階の天井又は天井裏に敷設されている横配管は,各階とも相当量施工されているから,スプリンクラーヘッドから放出される水が直接的に届かない部分が一部にあったとしても,スプリンクラー設備に係る工事費が大きく変わらず,これらも含めて「設置部分の延べ床面積」とするこ 工されているから,スプリンクラーヘッドから放出される水が直接的に届かない部分が一部にあったとしても,スプリンクラー設備に係る工事費が大きく変わらず,これらも含めて「設置部分の延べ床面積」とすることに何ら不合理なところはない旨の主張をする。 しかしながら,甲2の4の6枚目には,地下1階及び地下2階に泡消火 設備(地下1階)及び圧ガススイッチ(地下2階)に係る記号が多数記載されており,それらの周辺にスプリンクラー設備は設置されておらず,甲2の4の8枚目(地下2階)及び9枚目(地下1階)の消火設備平面図からは地下2階及び地下1階の泡消火設備及び圧ガススイッチが設置された天井面に横配管が施工されている記載もうかがわれないから,被告の上記の主張は,その前提を欠くものであって,採用することができない。 オ証拠(甲2の4,4,9の4)によれば,本件家屋の延べ床面積は2万4712.79㎡であり,①炭酸ガス消火設備の設置部分及び②泡消火設備の設置部分の各設置面積は,①につき1087.00㎡,②につき2324.21㎡であることが認められる。 そうすると,スプリンクラー設備の計算単位としては,本件家屋の延べ床面積である2万4712.79㎡から上記①1087.00㎡及び②2324.21㎡の合計である3411.21㎡を減じた床面積である2万1301.58㎡を使用するのが相当というべきである。 (6) 争点(6)(建築設備に係る規模補正係数の誤り)についてア(ア) 昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建設設備」に係る次の評点項目については,補正項目「規模」の標準及び減点補正率の各欄にそれぞれ次のとおり記載されている。 a 「電気 評点基準表」の「1事務所,店舗,百貨店用建物」における部分別「建設設備」に係る次の評点項目については,補正項目「規模」の標準及び減点補正率の各欄にそれぞれ次のとおり記載されている。 a 「電気設備」中の「動力配線設備」,「電灯コンセント配線設備」,「電話配線設備」及び「テレビジョン共同聴視設備(総体的なもの)」,「衛生設備」中の「給水設備」,「排水設備」,「中央式給湯設備」,「衛生器具設備」及び「ガス設備」,「空調設備」中の「空調設備(吸収式冷凍機を使用しているもの)」並びに「防災設備」中の「火災報知設備」,「消火栓設備」及び「スプリンクラー設備」について「1.0 3,000㎡程度のもの」及び「→0.93 10,0 00㎡程度のもの」b 「電気設備」中の「自動車管制装置」について「1.0 1,000㎡程度のもの」及び「→0.93 1,500㎡程度のもの」c 「防災設備」中の「炭酸ガス消火設備」について「1.0 3,000㎡程度のもの」及び「→0.90 4,500㎡程度のもの」d 「防災設備」中の「泡消火設備」について「1.0 1,000㎡程度のもの」及び「→0.90 1,500㎡程度のもの」(イ) 昭和57年度評価基準には,「補正項目について定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする。」(第3節二の5(1)後段。別紙2の3(2)オ参照)と定めている。 また,昭和57年度評価基準解説(甲23・439頁及び440頁)には,非木造家屋の部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「動力配線設備」につ 段。別紙2の3(2)オ参照)と定めている。 また,昭和57年度評価基準解説(甲23・439頁及び440頁)には,非木造家屋の部分別「建築設備」に係る評点項目「電気設備」中の「動力配線設備」についての規模の補正に関して,①「規模」の補正は,一般的に工事費を延べ床面積1㎡当たりで把握する場合に,建物の延べ床面積が大きくなれば総工事費は増加するが延べ床面積1㎡当たりに換算すると工事費は減少する傾向が見られ,逆に建物の延べ床面積が小さくなれば総工事費は減少するという傾向に着目し,延べ床面積の大小によって補正しようとするものである旨,②面積の規模の大小によって,単位当たり工事費に変動がみられるのは,何も建築設備工事に特有のことではない旨,③動力配線設備についてみると,資材の中には,面積規模の変化に応じて比例的に数量が動くと考えられるものと,一定の 規模の範囲内ではほとんど変動せず,一定規模を超えると一定の範囲内で変動し,その範囲の中では固定するもの,規模の変動と関係なくほとんど固定しているもの等が見られ,設備工事費中の労務費についても,段取り,後片付けを含めた全体の労務費でみると,工事量の大小に関係なく段取り,片付けに要する最小限の労務は必要であるところ,これらのうち固定的な資材費,労務費が単位当たりでみる場合に影響して,面積規模の変動と正比例しない動きを示す旨及び④規模の補正については,これらを考慮して,特に限度を超えて補正率を決定する場合に,取り扱うことが必要である旨が記載されており,以上に述べられているところは,前記(ア)に掲げた他の各評点項目についても同様に妥当するものと考えられる。 (ウ) 総務省告示第127号(平成26年6月26日)(乙13)は,固定資産評価基準の一部を改正するものであるが,別表第1 掲げた他の各評点項目についても同様に妥当するものと考えられる。 (ウ) 総務省告示第127号(平成26年6月26日)(乙13)は,固定資産評価基準の一部を改正するものであるが,別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1 事務所,店舗,百貨店用建物」について,以下の内容を含んでいる。 a 以下の各評点項目については,補正項目「規模」の減点補正率に関して下限値を定めている。 (a) 「電気設備」中の「動力配線設備」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.93を下限とする。 (b) 「電気設備」中の「テレビジョン共同聴視設備(総体的なもの)」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.90を下限とする。 (c) 「衛生設備」中の「給水設備」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.92を下限とする。 (d) 「衛生設備」中の「中央式給湯設備」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.93を下限とする。 (e) 「空調設備」中の「中央熱源冷房設備(中央に冷凍機を設置)」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.90を下限とする。 (f) 「防災設備」中の「火災報知設備」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.93を下限とする。 (g) 「防災設備」中の「不活性ガス消火設備」「→0.90 4,500㎡程度のもの」(注)0.90を下限とする。 (h) 「防災設備」中の「泡消火設備」「→0.90 1,500㎡程度のもの」(注)0.90を下限とする。 (i) 「防災設備」中の「スプリンクラー設備」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.93を下限と 」「→0.90 1,500㎡程度のもの」(注)0.90を下限とする。 (i) 「防災設備」中の「スプリンクラー設備」「→0.93 10,000㎡程度のもの」(注)0.93を下限とする。 b また,以下の各評価項目については,補正項目「規模」が存在しない。 (a) 「電気設備」中の「電灯コンセント配線設備」及び「電話配線設備」(b) 「衛生設備」中の「排水設備」,「衛生器具設備」及び「ガス設備」(c) 「防災設備」中の「消火栓設備」(エ) 本件家屋の新築部分に係る「鉄骨筋・鉄筋コンクリート造計算書(明 確分)」と題する書面(甲4)には,部分別「建築設備」に係る次の各評点項目について,「補正項目」の「規模」の欄及び「係数」の各欄に,それぞれ次のとおり記載されている。 a 「電気設備」中の「動力配線設備」,「電灯・コンセント配線設備」及び「電話配線設備」,「衛生設備」中の「給水設備」,「排水設備」,「中央式給湯設備」及び「衛生器具設備」,「空調設備」中の「空調設備(吸収式冷凍機)」並びに「防災設備」中の「火災報知設備」,「消火栓設備」及び「スプリンクラー設備」についていずれも,「規模」の欄に「24,712」,「係数」の欄に「0. 93」とそれぞれ記載されている。 b 「電気設備」中の「自動車管制装置」について「規模」の欄に「2324.21」,「係数」の欄に「0.93」とそれぞれ記載されている。 c 「防災設備」中の「炭酸ガス消火設備」について「規模」の欄に「6522」,「係数」の欄に「0.90」とそれぞれ記載されている。 d 「防災設備」中の「泡消火設備」について「規模」の欄に「20 ス消火設備」について「規模」の欄に「6522」,「係数」の欄に「0.90」とそれぞれ記載されている。 d 「防災設備」中の「泡消火設備」について「規模」の欄に「2020」,「係数」の欄に「0.90」とそれぞれ記載されている。 イ前記ア(イ)のとおり,昭和57年度評価基準は,補正項目について定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定する旨を規定しているところ,昭和57年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費用評点基準表」の「規模」の補正項目における「標準」及び「減点補正率」の定め方は,「3,000㎡程度のもの」,「10,000㎡程度」等と目安となる面積を記載しているにす ぎず,「標準」における面積と「減点補正率」における面積との差異が相当に大きいことにも照らすと,「減点補正率」における面積の範囲から逸脱したからといって直ちにその限度を超えて補正係数を決定すべきものとまでは断じ難く,かえって,昭和57年度評価基準解説に記載のとおり,建築設備に係る工事費には面積規模との関連においてその変動の在り方に様々なものがあることに照らすと,特に限度を超えて規模の補正について補正係数を決定する場合には,そのような点を考慮しつつ,これをすることが必要というべきである。 そして,総務省告示第127号(平成26年6月26日)(乙13)は,別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1 事務所,店舗,百貨店用建物」において,規模の補正項目についての下限値を定めているが,前記ア(ウ)のとおり,「電気設備」中の「動力配線設備」,「衛生設備」中の「中央式給湯設備」並びに「防災設備」中 事務所,店舗,百貨店用建物」において,規模の補正項目についての下限値を定めているが,前記ア(ウ)のとおり,「電気設備」中の「動力配線設備」,「衛生設備」中の「中央式給湯設備」並びに「防災設備」中の「火災報知器」,「不活性ガス消火設備」,「泡消火設備」及び「スプリンクラー設備」については,いずれも減点補正率の数値と下限値が同一であることに照らすと,これらの補正項目については,減点補正率における面積を上回ったとしても,補正係数に影響を及ぼさないものであると解され,これらの減点補正率の数値が昭和57年度評価基準における減点補正率の数値と同一であることに照らすと,昭和57年度評価基準が施行されていた当時においても,同様の状況であったと推認され,同推認を覆すに足りる証拠はない。そうすると,これらの評点項目については,家屋の延べ床面積が減点補正率の適用の目安とされているものを超えていたとしても,その数値を超えて補正係数を決定する必要がないというべきである。 また,総務省告示第127号(平成26年6月26日)(乙13)の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「1 事務所,店舗,百貨店用建物」においては,「電気設備」中の「電灯コンセント配線設備」及 び「電話配線設備」,「衛生設備」中の「排水設備」,「衛生器具設備」及び「ガス設備」並びに「防災設備」中の「消火栓設備」については,規模の補正項目が削除され,家屋の規模を格別考慮する必要がないとされていることに照らすと,昭和57年度評価基準が施行されていた当時においても,やはり同様の状況であったと推認される(ただし,「防災設備」中の「消火栓設備」については,昭和57年度評価基準における計算単位が「延べ床面積」とされていたのに対し,上記の総務省告示第127号における計算単位は「消火 あったと推認される(ただし,「防災設備」中の「消火栓設備」については,昭和57年度評価基準における計算単位が「延べ床面積」とされていたのに対し,上記の総務省告示第127号における計算単位は「消火栓台数」とされている。)。そうすると,上記のうち計算単位の変更があった「防災設備」中の「消火栓設備」を除いては,家屋の延べ床面積が減点補正率の適用の目安とされているものを超えていたとしても,その数値を超えて補正係数を決定する必要がないというべきである。 そうすると,①「電気設備」中の「テレビジョン共同聴視設備(総体的なもの)」,②「衛生設備」中の「給水設備」,③「空調設備」中の「空調設備(吸収式冷凍機を使用しているもの)」,④「電気設備」中の「自動車管制装置」及び⑤「防災設備」中の「消火栓設備」についてのみ,減点補正率の限度を超えて規模の補正について補正係数を決定する必要があるか否かを検討する必要があるというべきものと考えられるが(なお,本件家屋の新築部分につき①に関して減点補正率の適用がされていないのは,明らかな誤りと考えられる。)が,上記①ないし③及び⑤については,「減点補正率」における面積が1万㎡とされているのに対し,本件家屋の新築部分については2万4712㎡であり,上記④についても,「減点補正率」における面積が1500㎡でとされているのに対し,本件家屋の新築部分については2324.21㎡であって,直ちに「減点補正率」における面積の範囲から相当の程度に逸脱したとはいい難い上,①ないし③については,上記の総務省告示第127号において補正係数の下限値(①及び③に つき0.90,②につき0.92。)が定められていること,⑤については,既に述べた総務省告示第127号における計算単位の定め方に照らし,家屋の延べ床面積との関連性 下限値(①及び③に つき0.90,②につき0.92。)が定められていること,⑤については,既に述べた総務省告示第127号における計算単位の定め方に照らし,家屋の延べ床面積との関連性に疑問を差し挟む余地があることを併せ考慮すると,いずれも「減点補正率」における数値を超えて補正係数を決定する必要があったとは直ちには認められない。 (7) 争点(7)(その他計算ミス等)について部分別「床仕上」につき評点項目「メタルラス」の再建築費評点数が,正しくは29点とされるべきところ,293点とされていること,部分別「屋根仕上」につき評点項目「ワイヤーメッシュ」の再建築費評点数30点が合算されていないこと,部分別「建具」に係る評点項目「木製建具OP」の再建築費評点数が,正しくは1点とされるべきところ,10点とされていること,部分別「建築設備」に係る評点項目「拡声器配線設備」につき再建築費評点数が,正しくは360点とされるべきところ,300点とされていることについては,当事者間に争いがない(なお,甲4参照)。 なお,前記1における判示と同様の理由により,被告の主張を採用することはできない。 3 争点3(経年減点補正率適用の誤り)について平成21年度評価基準には,非木造家屋のうち一棟の建物で異なった構造を有する部分のあるもの(複合構造家屋)に対する経年減点補正率の適用についての定めはない。 その上で,課税上の便宜のほか,複合構造家屋であっても,経過年数に応ずる損耗の状況は,基本的に一棟を単位として判断されるものであることを考慮すると,非木造家屋の構造区分に従うものとされる経年減点補正率の適用については,複合構造家屋に関しては,主たる構造により,一棟単位でこれをするものとし,主たる構造の判断については,原則 ることを考慮すると,非木造家屋の構造区分に従うものとされる経年減点補正率の適用については,複合構造家屋に関しては,主たる構造により,一棟単位でこれをするものとし,主たる構造の判断については,原則として構造の異なる部分の床面積の大小を比較することによるものとすることも,もとより相当であるものと 考えられる。 もっとも,家屋の態様は様々であり,複合構造家屋については,例えば異なった構造を有する部分別に明確に区分することができ,かつ,処分行政庁において,そのように区分して経年減点補正率を適用することを,家屋の実情に即しての評価や課税の均衡上相当であるとして選択する場合には,そのように区分して経年減点補正率を適用することも許されるものと解される。 そして,固定資産評価基準によって東京都の特別区及び市町村の存する区域における固定資産(家屋)の評価に当たりその取扱いの統一化を図るとともに効率的な事務運営を推進するための要領を示すことを目的として定められた平成21年度東京都固定資産(家屋)評価事務取扱要領(昭和38年8月19日38主課固発第287号・平成24年3月27日23主資評第349号による改正前のもの。)は,複合構造家屋についての経年減点補正率の適用について,複合構造家屋については,原則として,各構造別に経年減点補正率を適用する旨を定めているから,これに従ってされた本件家屋の新築部分に係る経年減点補正率の適用につき違法があるとは認められない。 したがって,この点に関する原告の主張は,採用することができない。 4 本件家屋の適正な時価について以上によれば,本件家屋の新築部分の建築当初の再建築費評点数の算出に当たり,上記2(1)のとおり「主体構造部」中の「鉄骨」の「計算単位単位当たり使用量」3118.78tのうち682. 時価について以上によれば,本件家屋の新築部分の建築当初の再建築費評点数の算出に当たり,上記2(1)のとおり「主体構造部」中の「鉄骨」の「計算単位単位当たり使用量」3118.78tのうち682.72tについては,鉄骨(耐火被覆なし)の標準評点数が使用されるべきであるにもかかわらず,鉄骨(耐火被覆あり)の標準評点数が使用されていること,上記2(5)のとおり「防災設備」中の「スプリンクラー設備」の「計算単位単位当たり使用量」は,2万1301.58㎡とされなければならないにもかかわらず,2万4712.72㎡とされていること,「電気設備」中の「テレビジョン共同聴視設備(総体的なもの)」に関して補正項目「規模」について0.93が適用されなければならな いにもかかわらず,1.0とされていること及び上記2(7)のとおりの計算ミス等をしたことはいずれも誤りであるところ,弁論の全趣旨によれば,この点の補正係数等を修正すると,本件家屋の新築部分の建築当初の再建築費評点数は,別紙9「再建築費評点数計算書」のとおり,18万0700点(100点未満切捨て)となる。 そして,弁論の全趣旨によれば,上記のとおりの建築当初の単位当たり再建築費評点数を前提として,本件家屋の新築部分の平成21年度の再建築費評点数を算出すると,S造の部分については別紙10のとおり19万8300点となり,SRC造・RC造の部分については別紙11のとおり20万2100点となる。 そして,本件家屋の新築部分のうち,S造の部分並びにSRC造・RC造の部分にそれぞれ経年減点補正率(S造の部分につき0.5200,SRC造・RC造の部分につき0.6677)を適用すると,本件家屋の新築部分の平成21年度の価額は,別紙10及び11の各評価計算表のとおり,S造の部分につき2 補正率(S造の部分につき0.5200,SRC造・RC造の部分につき0.6677)を適用すると,本件家屋の新築部分の平成21年度の価額は,別紙10及び11の各評価計算表のとおり,S造の部分につき20億3928万2200円となり,SRC造・RC造の部分につき10億0594万3600円となる(以上の合計30億4522万5800円)。 したがって,本件家屋の平成21年度の価格は,上記新築部分の価額に増築部分の価額1550万3200円を合計した30億6072万9000円とするのが相当である。 そうすると,本件決定のうち価格30億6072万9000円を超える部分は,違法であり,取消しを免れないというべきである。 第6 結論以上によれば,原告の請求は,主文第1項に掲記の限度において理由があるから,同限度においてこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判官品川英基 裁判官髙畑桂花 裁判長裁判官八木一洋は,差し支えのため,署名押印をすることができない。 裁判官品川英基 (別紙2)関係法令等の定めの概要 1 地方税法(1) 固定資産税の課税標準についてア地方税法341条(固定資産税に関する用語の意義)5号は,「価格」とは適正な時価をいう旨を,同条6号は「基準年度」とは,昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう旨をそれぞれ定めている。 イ地方税法349条(土 う旨を,同条6号は「基準年度」とは,昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう旨をそれぞれ定めている。 イ地方税法349条(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)1項は,基準年度に係る賦課期日に所在する土地又は家屋(以下「基準年度の土地又は家屋」という。)に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地又は家屋の基準年度に係る賦課期日における価格(以下「基準年度の価格」という。)で土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)又は家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳(以下「家屋課税台帳等」という。)に登録されたものとする旨を定めている。 ウ地方税法349条2項は,基準年度の土地又は家屋に対して課する第二年度の固定資産税の課税標準は,当該土地又は家屋に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格で土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとし(本文),基準年度の土地又は家屋について第二年度の固定資産税の賦課期日において同項の各号に掲げる事情があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であるか又は当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合においては,当該土地又は家屋に対して課する第二年度の固定資産税の課税標準は,当該土地又は家屋に類似する土地又は家屋の基準年度の価格に比準する価格で土地課税台帳等又は家屋課税 台帳等に登録されたものとする(ただし書)旨を定めている。 1号地目の変換,家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情2号市町村の廃置分合又は境界変更エ地方税法349条3項は,基準年度の土地又は家屋に対して課す 書)旨を定めている。 1号地目の変換,家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情2号市町村の廃置分合又は境界変更エ地方税法349条3項は,基準年度の土地又は家屋に対して課する第三年度の固定資産税の課税標準は,当該土地又は家屋に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格(第二年度において前項ただし書に掲げる事情があったため,同項ただし書の規定によって当該土地又は家屋に対して課する第二年度の固定資産税の課税標準とされた価格がある場合においては,当該価格とする。以下本項において同じ。)で土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとし(本文),基準年度の土地又は家屋について第三年度の固定資産税の賦課期日において前項各号に掲げる事情があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であるか又は当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合においては,当該土地又は家屋に対して課する第三年度の固定資産税の課税標準は,当該土地又は家屋に類似する土地又は家屋の基準年度の価格に比準する価格で土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとする(ただし書)旨を定めている。 オ地方税法388条(固定資産税に係る総務大臣の任務)1項前段は,総務大臣は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(以下「固定資産評価基準」という。)を定め,これを告示しなければならない旨を定めている。 カ地方税法403条(固定資産の評価に関する事務に従事する市町村の職員の任務) 1項は,市町村長は,一定の場合を除くほか,固定資産評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならない旨を定めている。 なお,平成26年法律第4号による改正前の地方税法734条(都 員の任務) 1項は,市町村長は,一定の場合を除くほか,固定資産評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならない旨を定めている。 なお,平成26年法律第4号による改正前の地方税法734条(都におけ る普通税の特例)1項は,東京都の特別区の存する地域においては,固定資産税を東京都が課する旨を定めているから,上記の固定資産の価格の決定は,東京都知事がすることになる。 キ地方税法417条(固定資産の価格等のすべてを登録した旨の公示の日以後における価格等の決定又は修正等)1項は,市町村長は,固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格等の全てを登録した旨の公示の日以後において固定資産の価格等の登録がなされていないこと又は登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては,直ちに固定資産課税台帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し,又は決定された価格等を修正して,これを固定資産課税台帳に登録しなければならず(前段),この場合においては,市町村長は,遅滞なく,その旨を当該固定資産に対して課する固定資産税の納税義務者に通知しなければならない(後段)旨を定めている。 (2) 固定資産の価格に係る不服審査等についてア地方税法432条(固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出)1項は,固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては,固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格等の全てを登録した旨の公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日まで若しくは都道府県知事の勧告を受けて固定資産課税台帳に登録された価格を修正して登録した場合におけるその旨の公示の日から同日後60日(固定資産の価 の公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日まで若しくは都道府県知事の勧告を受けて固定資産課税台帳に登録された価格を修正して登録した場合におけるその旨の公示の日から同日後60日(固定資産の価格等の修正による賦課額の更正に基づく納税通知書の交付を受けた者にあっては,当該納税通知書の交付を受けた日後60日)までの間において,又は前記(1)カの通知を受けた日から60日以内に,文書をもって,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができるが(本文),当該固定資産のうち地方税法411条(固定資産の価格等の登 録)3項の規定によって土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとみなされる土地又は家屋の価格については,当該土地又は家屋について地方税法349条2項1号に掲げる事情があるため同条同項ただし書(前記(1)ウ),3項ただし書(前記(1)エ)又は5項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合を除いては,審査の申出をすることができない(ただし書)旨を定めている。 イ地方税法434条(争訟の方式)1項は,固定資産税の納税者は,固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは,その取消しの訴えを提起することができる旨を定め,同条2項は,固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税の納税者は,審査の申出又は上記の取消しの訴えによることによってのみ争うことができる旨を定めている。 2 平成21年度評価基準(乙10)平成21年度において適用される固定資産評価基準(平成21年総務省告示第225号による改正前の昭和38年自治省告示第158号。以下「平成21年度評価基準」という。)第2章は,家屋の評価について,次のように定めている。 (1) 家屋の評価(第1節一) 年総務省告示第225号による改正前の昭和38年自治省告示第158号。以下「平成21年度評価基準」という。)第2章は,家屋の評価について,次のように定めている。 (1) 家屋の評価(第1節一)家屋の評価は,木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という。)の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとする。 (2) 評点数の付設(第1節二)各個の家屋の評点数は,当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに家屋の損耗の状況による減点を行って付設するものとする。この場合において,家屋の状況に応じ必要があるものについては,更に家屋の需給事情による減 点を行うものとする。 (3) 非木造家屋の評点数の算出方法(第3節一)ア非木造家屋の評点数は,当該非木造家屋の再建築費評点数を基礎として,これに損耗の状況による減点補正率を乗じて付設するものとし,次の算式によって求めるものとする。この場合において,当該非木造家屋について需給事情による減点を行う必要があると認めるときは,当該非木造家屋の評点数は,次の算式によって求めた評点数に需給事情による減点補正率を乗じて求めるものとする。 〔算式〕評点数=再建築費評点数×経過年数に応ずる減点補正率(括弧書き略)イ市町村長は,(中略)在来分の非木造家屋(当該年度において新たに課税の対象となる非木造家屋(このような家屋を,以下「新増分の家屋」という。)以外の非木造家屋をいう(第1節三2(4)参照)。以下同じ。 なお,新増分の家屋以外の家屋を,以下「在来分の家屋」という。)に係る再建築費評点数は「四在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法」により求めるものとする。 (4) 在来 )。以下同じ。 なお,新増分の家屋以外の家屋を,以下「在来分の家屋」という。)に係る再建築費評点数は「四在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法」により求めるものとする。 (4) 在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法(第3節四)在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数は,次の算式によって求めるものとする。ただし,当該市町村に所在する在来分の非木造家屋の実態等からみてこの方法によることが適当でないと認められる場合又は個々の在来分の非木造家屋に地方税法349条2項各号に掲げる事情があることによりこの方法によることが適当でないと認められる場合においては,二(部分別による再建築費評点数の算出方法)又は三(比準による再建築費評点数の算出方法)によって再建築費評点数を求めることができるものとする。 (算式) 再建築費評点数=基準年度の前年度における再建築費評点数×再建築費評点補正率ア基準年度の前年度における再建築費評点数は,前基準年度に適用した固定資産評価基準第2章第1節,第3節及び第4節一によって求めたものをいう。 イ再建築費評点補正率は,基準年度の賦課期日の属する年の2年前の1月現在の東京都(特別区の区域)における物価水準により算定した工事原価に相当する費用の前基準年度の賦課期日の属する年の2年前の1月現在の当該費用に対する割合を基礎として定めたものである。 (5) 損耗の状況による減点補正率の算出方法(第3節五)非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は,経過年数に応ずる減点補正率によるものとする。ただし,天災,火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて経過年数に応ずる減点補正率によることが適当でないと認められる場合においては,損耗の程度に応ずる減点補正率によるものとする。 とする。ただし,天災,火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて経過年数に応ずる減点補正率によることが適当でないと認められる場合においては,損耗の程度に応ずる減点補正率によるものとする。 非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は,次の「損耗の状況による減点補正率の算出要領」によって算出するものとする。 〔損耗の状況による減点補正率の算出要領〕ア経過年数に応ずる減点補正率経過年数に応ずる減点補正率(以下「経年減点補正率」という。)は,通常の維持管理を行うものとした場合において,その年数の経過に応じて通常生ずる減価を基礎として定めたものであって,非木造家屋の構造区分に従い,「非木造家屋経年減点補正率基準表」(平成21年度評価基準別表第13)に示されている当該非木造家屋の経年減点補正率によって求めるものとする。 (以下略)イなお,平成21年度評価基準別表第13においては,主たる用途が事務 所,経過年数が27年で,構造が鉄骨鉄筋コンクリート造(以下「SRC造」ということがある。)のものの経年減点補正率は0.6677,構造が鉄骨造(以下「S造」ということがある。)(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの)のものの経年減点補正率は0.5200とそれぞれ定められている。 (6) 再建築費評点補正率についての経過措置(第4節一2)固定資産税に係る平成21年度における在来分の家屋の評価に係る再建築費評点補正率は,非木造家屋については,1.04とする。 (7) 評点1点当たりの価額についての経過措置(第4節二)固定資産税に係る平成21年度から平成23年度までの各年度における家屋の評価に限り,評点1点当たりの価額は,1円に物価水準による補正率(非木造家屋については1.00)と設計管理費等によ 第4節二)固定資産税に係る平成21年度から平成23年度までの各年度における家屋の評価に限り,評点1点当たりの価額は,1円に物価水準による補正率(非木造家屋については1.00)と設計管理費等による補正率(非木造家屋については1.10)とを相乗した率を乗じて得た額(小数点以下2位未満は,切り捨てるものとする。)を基礎として市町村長が定めるものとする。 3 昭和57年度評価基準昭和57年度において適用される固定資産評価基準(昭和57年自治省告示第244号による改正前の昭和38年自治省告示158号。以下「昭和57年度評価基準」という。)第2章は,家屋の評価について,次のように定めている。 (1) 家屋の評価(第1節一)及び評点数の付設(第1節二)については,前記2(1)及び(2)までと同じであり,非木造家屋の評点数の算出方法(第3節一)については,前記2(3)と同旨である。 (2) 非木造家屋の再建築費評点数の算出方法(第3節二)非木造家屋の再建築費評点数は,当該非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき「非木造家屋再建築費評点基準表」(昭和57年度評価基準別表第12。以下「非木造家屋評点基準表」ということが ある。)によって求めるものとする。 非木造家屋評点基準表によって非木造家屋の再建築費評点数を求める場合においては,各個の非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって当該非木造家屋の各部分別に標準評点数を求め,これに補正項目について定められている補正係数を乗じて得た数値に計算単位の数値を乗じて算出した部分別再建築費評点数を合計して求めるものとする。 非木造家屋の再建築費評点数は,次の「非木造家屋再建築費評点数の算出要領」によって算出す 補正係数を乗じて得た数値に計算単位の数値を乗じて算出した部分別再建築費評点数を合計して求めるものとする。 非木造家屋の再建築費評点数は,次の「非木造家屋再建築費評点数の算出要領」によって算出するものとする。 〔非木造家屋再建築費評点数の算出要領〕ア非木造家屋評点基準表の適用(ア) 各個の非木造家屋の構造の相違に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表を定める場合においては,その使用状況のいかんにかかわらず,当該非木造家屋の本来の構造によりその適用すべき非木造家屋評点基準表を定めるものとする。 (イ) 1棟の建物で2以上の異なった構造を有する部分のある非木造家屋については,当該各部分について,それぞれに対応する非木造家屋評点基準表を適用するものとする。 イ床面積の算定(略)ウ非木造家屋評点基準表の部分別区分非木造家屋評点基準表の部分別区分の内容は,次のとおりである。 (ア) 主体構造部(鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造))骨組を鉄骨で組み,これを鉄筋で補強し,その外部に仮枠を構成し,これにコンクリートを打ち込んで硬化して構築した基礎,柱,梁,壁体,床版,小屋組,屋根版等の主体構造部分をいう。 (鉄筋コンクリート造(以下「RC造」ということがある。))骨組を鉄筋で組み,その外部に仮枠を構成し,これにコンクリートを打ち込んで硬化して構築した基礎,柱,梁,壁体,床版,小屋組,屋根版等の主体構造部分をいう。 (鉄骨造(S造))形鋼と鋼板とを組合せ,鋲接又は熔接によって構築した基礎,柱,梁,壁体,小屋組,屋根版等の主体構造部分をいう。 (イ) 建築設備電気設備,ガス設備,衛生設備,給排水設備等家屋に附属して家屋の機能を発揮するための設備をいう 接によって構築した基礎,柱,梁,壁体,小屋組,屋根版等の主体構造部分をいう。 (イ) 建築設備電気設備,ガス設備,衛生設備,給排水設備等家屋に附属して家屋の機能を発揮するための設備をいう。 (その余の部分別略)エ評点項目及び標準評点数(ア) 「評点項目」は,非木造家屋の構造に応じ,非木造家屋評点基準表の各部分ごとに一般に使用されている資材の種別及び品等,施工の態様等の区分によって標準評点数を付設するための項目として設けられているものであり,「標準評点数」は,評点項目の区分に従い,「標準量」(標準的な非木造家屋の各部分別の単位当たり施工量をいう。)に対する工事費を基礎として算出した評点数である。再建築費評点数の付設に当たっては,非木造家屋の各部分を調査し,各部分の使用資材の種別,品等,施工の態様等に応じ,該当する評点項目について定められている標準評点数を求めるものとする。 (イ) 各部分別に再建築費評点数を求める場合において,各部分の使用資材等の数量が明確なときは,該当標準評点数及び当該数量を基礎として当該部分の再建築費評点数を求めるものとする。この場合において,後記オに基づく補正係数による補正は,施工の程度に応ずる必要な補正を行うものとする。 オ補正項目及び補正係数非木造家屋の各部分の工事の施工量等が「補正項目及び補正係数」欄の「標準」欄に定められている工事の施工量等と相違する場合においては,当該補正項目について定められている該当補正係数によって標準評点数を補正するものとする。この場合において,補正項目について定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする。 カ再 補正項目について定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする。 カ再建築費評点数再建築費評点数は,各部分別の標準評点数に当該部分の補正係数を乗じて得た数値に,その計算単位の数値を乗じて求めた各部分別の再建築費評点数を合計して求めるものとする。 以上
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