令和6年9月11日判決言渡令和5年(行ケ)第10124号特許取消決定取消請求事件口頭弁論終結日令和6年7月17日判決 原告ザイレン・ホールディング・エス.アー. 同訴訟代理人弁護士関裕治朗同訴訟代理人弁理士仲村靖 同岩田高明 被告特許庁長官同指定代理人畑中高行同高橋宣博 同宮下誠同須田亮一 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 原告のため、この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由【略語】本判決で用いる略語は、別紙1「略語一覧」のとおりである。 第1 請求 特許庁が異議2021-700336号事件について令和5年6月19日にした決定を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。)(1) 三菱電機株式会社は、平成30年2月2日、発明の名称を「動画像復号装 置及び動画像符号化装置」とする特許出願(特願2018-17247号、請求項の数2)をし、令和2年9月24日に本件特許に係る特許権の設定登録を受け、同年10月14日に特許掲載公報が発行された。この出願は、以下の特許出願を順次分割して新たな出願としたものである。 ・原々々出願平成23年7月21日 に本件特許に係る特許権の設定登録を受け、同年10月14日に特許掲載公報が発行された。この出願は、以下の特許出願を順次分割して新たな出願としたものである。 ・原々々出願平成23年7月21日を国際出願日(優先権主張:平成22年 9月30日、平成23年3月8日)とする特願2012-536149号・原々出願平成26年2月20日の出願(分割出願)に係る特願2014-30566号・原出願平成28年12月27日の出願(分割出願)に係る特願201 6-252746号(2) 本件特許(請求項1、2に係るもの)について、令和3年4月13日に特許異議の申立てがされ、特許庁は、同申立てを異議2021-700336号事件として審理を行った。 (3) 三菱電機株式会社は、令和3年5月19日、本件特許に係る特許権を原告 に譲渡した。 (4) 原告は、令和4年5月13日付けで取消理由通知(決定の予告)を受けたことから、その意見書提出期間内である同年6月24日、本件特許の特許請求の範囲(請求項1及び2、後記2(1))及び明細書(後記2(3))を別紙2のとおりに訂正(本件訂正)する旨の訂正請求をした。 (5) 原告は、令和5年3月10日付けで訂正拒絶理由通知を受けたことから、 その意見書提出期間内である同年5月2日、本件訂正に関し別紙3のとおり補正(本件補正)する旨の手続補正書を提出した。 (6) 特許庁は、令和5年6月19日、「特許第6768017号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。」との本件決定をし、その謄本は同月30日原告に送達された(付加期間90日)。 (7) 原告は、令和5年10月27日、本件決定の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件発明の内容(1) の本件決定をし、その謄本は同月30日原告に送達された(付加期間90日)。 (7) 原告は、令和5年10月27日、本件決定の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件発明の内容(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載(分説は本件決定による。)【請求項1】 A1-1 最大ブロックサイズと階層数の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データ、A1-2 符号化ブロックに係わる符号化モード及び動きベクトルを指定するための符号化ブロックに係わるインデックス情報、A1-3 および当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル 候補の数を変更するための制御情報A1 が含まれるビットストリームに多重化されている符号化データに可変長復号処理を行う可変長復号部と、B1-1 上記インデックス情報に基づいて、1以上の動きベクトル候補の中から動きベクトルを選択し、 B1 選択された動きベクトルを用いて上記符号化ブロックに対し、動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する動き補償予測手段と、を備え、B1-2 上記動き補償予測部は、上記インデックス情報に基づいて、B1-2-1 上記符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックの動きベクトル候補から得られる空間動きベクトル、 B1-2-2 または上記符号化ブロックが参照可能な復号済みピクチャ の動きベクトルから得られる時間動きベクトルB1-2 を選択し、B1-3 上記動き補償予測部は、上記制御情報に基づいて、B1-3-1 上記符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックから得られる空間動きベクトル、 B1-3-2 および上記符号化ブロックが参照可能な復号化済みピクチャの動 基づいて、B1-3-1 上記符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックから得られる空間動きベクトル、 B1-3-2 および上記符号化ブロックが参照可能な復号化済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルB1-3 の少なくともいずれかを含む上記動きベクトル候補のリストを用意し、C1-1 上記動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、 C1-2 上記動きベクトル候補の数はスライス単位で変更可能であり、A1-2-1 上記インデックス情報は、上記リスト内の動きベクトル候補の位置を示すD1 ことを特徴とする動画像復号装置。 【請求項2】 B2-1 符号化ブロックの周囲に位置する複数の符号化済みブロックから得られる空間動きベクトル、B2-2 および上記符号化ブロックが参照可能な符号化済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルから動きベクトル候補を用意し、 B2 上記動きベクトル候補の中から選択された動きベクトルを用いて上記符号化ブロックに対し、動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する動き補償予測部と、A2-1 最大ブロックサイズと階層数の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データと、 A2-2 選択された動きベクトル候補を示すインデックス情報と、 A2-3 上記動きベクトル候補の数を変更するための制御情報A2 とを含むビットストリームを生成する可変長符号化部と、を備え、B2-3 上記動き補償予測部は、上記空間動きベクトルまたは上記時間動きベクトルから上記動きベクトル候補のリストを用意し、C2-1 上記動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、 C2-2 上記動きベクトル候補の数 は、上記空間動きベクトルまたは上記時間動きベクトルから上記動きベクトル候補のリストを用意し、C2-1 上記動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、 C2-2 上記動きベクトル候補の数はスライス毎に変更可能であり、A2-2-1 上記インデックス情報は、上記リスト内の動きベクトル候補の位置を示すD2 ことを特徴とする動画像符号化装置。 (2) 本件訂正のうち、後記取消事由2において問題とされている請求項1の構 成A1-3に関する訂正(訂正事項2の前段)の内容を以下に掲げる。 訂正前訂正後当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数のうち空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも一方を変更するための制御情報(3) 上記(1)の特許請求の範囲の記載により特定される発明について、本件明細書及び図面には、次の開示があると認められる(別紙4。なお、図面は便宜上90度回転させたものがある。)。 アこの発明は、画像圧縮符号化技術や圧縮画像データ伝送技術などに用い られる動画像復号装置及び動画像符号化装置に関する(【0001】)。 イ動画像符号化装置及び動画像復号装置における動き補償処理では、前方または後方のピクチャを参照して、マクロブロック単位で動きベクトルの検出や予測画像の生成を行う(【0002】)。 符号化対象のマクロブロックには、動きベクトルの符号化データを持た ず、符号化済みの他のピクチャのマクロブロックの動きベクトルや、周囲のマクロブロックの動きベクトルを用いる所定の演算処理で、符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを生成する符号化モー ず、符号化済みの他のピクチャのマクロブロックの動きベクトルや、周囲のマクロブロックの動きベクトルを用いる所定の演算処理で、符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを生成する符号化モードを選択することができるダイレクトモードが存在し、ダイレクトモードには、符号化済みの他ピクチャの動きベクトルを参照し、符号化済みピクチャと符号化対象 のピクチャとの時間差に応じて動きベクトルのスケーリング処理を行うことで、符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを生成する「時間ダイレクトモード」と、符号化対象のマクロブロックの周囲に位置している少なくとも1つ以上の符号化済みマクロブロックの動きベクトルを参照し、それらの動きベクトルから符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを 生成する「空間ダイレクトモード」の2つがある。時間ダイレクトモードと空間ダイレクトモードは、スライスヘッダに設けられたフラグ参照すれば、スライス単位で相互に切り替えることができるが、マクロブロック単位では切り替えができず、あるスライスに属しているあるマクロブロックに対する最適なダイレクトモードが例えば空間ダイレクトモードであっても、 当該スライスに対応するダイレクトモードが時間ダイレクトモードに決められていれば、当該マクロブロックに対して時間ダイレクトモードを使用しなければならず、最適なダイレクトモードを選択することができないため、不必要な動きベクトルを符号化しなければならず、符号量が増加してしまうなどの課題があった(【0002】~【0004】、【0010】)。 ウこの発明は上記のような課題を解決するため、所定のブロック単位に最適な符号化モードを選択して、符号量を削減することができるような動画像復号装置及び動画像符号化装置を得ることを 。 ウこの発明は上記のような課題を解決するため、所定のブロック単位に最適な符号化モードを選択して、符号量を削減することができるような動画像復号装置及び動画像符号化装置を得ることを目的とする(【0011】)。 エこの発明は、請求項1に特定される「可変長復号部」と「動き補償予測手段」を備える「動画像復号装置」により、上記目的を達成した(【0012】)。 オこの発明によれば、符号化ブロック単位に最適な符号化モードを選択し て動画像の復号化処理を行うことが可能となる(【0013】)。 3 本件決定の理由の要旨本件決定は、①本件補正は訂正請求書の要旨を変更するものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法131条の2第1項に適合しないから、本件補正は認められず、②本件訂正における訂正事項2、3、5、7は、願書に添 付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正とはいえず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の要件を満たさないから、本件訂正は認められないとし、③本件発明は、本件訂正前の特許請求の範囲に記載された事項により特定される旨の発明の要旨認定をした上で、④本件発明はサポート要件(特許法36条6項1号)及び明確性要件(同項2号)に反するので、本件特 許(請求項1、2に係るもの)は取り消すべきものとした(詳細は、別紙5「本件決定の理由」を参照)。 4 取消事由(1) 本件補正の適否に関する判断の誤り(取消事由1)(2) 本件訂正の適否に関する判断の誤り(取消事由2) (3) サポート要件に関する判断の誤り(取消事由3)(4) 明確性要件に関する判断の誤り(取消事由4)第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件補正の適否に関する判断の誤り)につい (3) サポート要件に関する判断の誤り(取消事由3)(4) 明確性要件に関する判断の誤り(取消事由4)第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件補正の適否に関する判断の誤り)について【原告の主張】 訂正事項2及び補正後の訂正事項2は、ともに請求項1の「・・・数を変更するための制御情報」を訂正するものである。 訂正事項2は、「訂正の請求を行った」との形式を整えつつ、できる限り権利範囲を変えないで、特許査定を維持するという本来的意図に従って、実質的には、権利範囲を何ら減縮していない。 次に、補正後の訂正事項2に係る発明は、訂正前の請求項1に係る発明と比 較すると、「制御情報」に関し、さらに「上記制御情報は、閾値Thであり評価値が前記閾値Th以下である動きベクトルが、上記動きベクトル候補として選択され、」と特定することによって、限定的減縮をしている。本件明細書の記載に触れた当業者であれば、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」には、評価値に係る閾値Thが含 まれることが理解される。 その結果として、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に閾値等「変更フラグ」以外の可能性があることに気づくべきであったが、本件決定では、これに気づかずにサポート要件の判断を行ったという違法がある。 したがって、本件決定には、訂正事項2を補正後の訂正事項2にする補正について、誤って要旨変更に該当すると判断したものであり、この誤りは決定の結論に影響を及ぼすことが明らかである。 【被告の主張】補正後の訂正事項2は、従前の訂正事項2を削除して、「制御情報」に関し、 さら 当すると判断したものであり、この誤りは決定の結論に影響を及ぼすことが明らかである。 【被告の主張】補正後の訂正事項2は、従前の訂正事項2を削除して、「制御情報」に関し、 さらに「上記制御情報は、閾値Thであり、差分絶対値和を示す評価値SADkが前記閾値以下である動きベクトルが、上記動きベクトル候補として選択され」との減縮を行うとの訂正を行うものであるが、これは新たな訂正事項の追加を行うもの、又は従前の訂正事項2に替えて別個の訂正事項に変更することを行うものであって、追加的変更又は交換的変更による審理対象の変更を伴うもの であり、訂正請求書の要旨を変更するものである。 2 取消事由2(本件訂正の適否に関する判断の誤り)について【原告の主張】(1) 訂正事項2及び訂正事項3に係る訂正は、形式的には、権利範囲を限定的に減縮しているように見えるが、「訂正の請求を行った」との形式を整えつ つ、できる限り権利範囲を変えないで、特許査定を維持するという本来的意 図に従って、実質的には権利範囲を何ら減縮していないから、本件明細書に開示された技術事項に新たな技術事項を付加したものではないことは明らかである。 訂正事項2及び訂正事項3の後半にある「ただし、・・・場合を除く」のような訂正事項が消極的な記載に関しては、訂正事項自体が明細書等に形式的 に記載されていないからといって、直ちに新たな技術的事項が導入されることになるという性質のものではない。 したがって、本件訂正における訂正事項2、3、5、7が新規事項の追加に当たるとした本件決定の判断は誤りであり、この誤りは決定の結論に影響を及ぼすものである。 (2) 被告が問題とする「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」が 7が新規事項の追加に当たるとした本件決定の判断は誤りであり、この誤りは決定の結論に影響を及ぼすものである。 (2) 被告が問題とする「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」が本件明細書等に記載されていることは、以下のとおりである。 ア変更フラグ本件発明1を構成する「インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」が解決する課題は、インデック ス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更したいという課題である。 本件決定は、本件明細書には、パンするような映像では時間ベクトルの効果が低いため、選択候補から外すようにする一方、カメラが固定な映像では時間ベクトルの効果が大きいため候補に加えること、ブロックサイズ が小さくなると空間的な相関が弱くなるため、メディアン予測で決定されるベクトルの予測精度が悪くなると考えられ、メディアン予測で決定される動きベクトルを候補から外すこと(技術事項A)、符号化ブロックであるパーティションのブロックサイズが大きい場合、周囲のブロックとの相関が高く、逆にパーティションのブロックサイズが小さい場合、周囲のブロ ックとの相関が低いことから、パーティションのブロックサイズが小さい 程、選択可能な動きベクトルの候補数を減らすことができること(技術事項B)が記載されていることを認めており、これは上記課題を示すものである。 一方で、本件決定は、空間動きベクトル候補だけが変更される場合、必ず動きベクトル候補の数が変更されること(①)、空間動きベクトル候補と時 間動きベクトル候補の両者が変わる場合、必ず動きベクトル候補の数が変更されること(②)を認めていない。しかし、いずれも、必ず動きベクト ル候補の数が変更されること(①)、空間動きベクトル候補と時 間動きベクトル候補の両者が変わる場合、必ず動きベクトル候補の数が変更されること(②)を認めていない。しかし、いずれも、必ず動きベクトルの候補の数が変更されることを要する理由は説明されていないし、仮にこれが要件であるとしても、当業者が出願時の技術常識に照らし、①については動きベクトル候補だけが変更される場合に、必ず動きベクトル候補の 数が変更されるようにプログラムすればよいと認識し、それを容易に実現できる程度のことであるし、②については空間動きベクトル候補と時間動きベクトル候補の両者が変わる場合に、必ず動きベクトル候補の数が変更されるように候補リストを準備すればよいと認識し、それを容易に実現できる程度のことである。 イ閾値本件明細書の【0111】、【0139】には閾値について記載されているところ、閾値Thの値を大きくとれば、評価SADkが閾値Th以下である動きベクトルの数は増え、閾値Thの値を小さくとれば、評価値SADkが閾値Th以下である動きベクトルの数は減る。したがって、当業者 は、本件明細書の上記記載及び出願時の技術常識に基づき、閾値Thが「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」であると認識することができる。 ウ最大ベクトル数本件明細書の【0111】、【0139】には、「また、閾値Th以下の 候補の全てを使用するのではなく、スライスヘッダなどに、予め使用する 最大ベクトル数を定めておき、評価値の小さい候補から最大ベクトル数分用いて予測画像を生成するようにしてもよい。」との記載があり、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」という技術的思想の一例として、スライスヘッダなど 評価値の小さい候補から最大ベクトル数分用いて予測画像を生成するようにしてもよい。」との記載があり、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」という技術的思想の一例として、スライスヘッダなどに「(予め使用する)最大ベクトル数」を定めておくことが記載されている。 被告は、上記記載は、最大ベクトル数を送受信することで「インデックス情報」を不要とする実施の形態2、3に対応する技術であり、「インデックス情報」を送受信することで最大ベクトル数を不要とする、実施の形態6、7に対応する本件特許に関するものではない旨主張するが、本件特許は、実施の形態2、3にも対応可能ないわば上位互換の技術であるから、失当 である。 【被告の主張】(1) 「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」は本件明細書等に記載されていない。したがって、訂正事項2によって限定された「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」もまた本件明細書等に記載されていな いものである。そうすると、訂正事項2は、当業者にとって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではない。 同様の理由により、訂正事項3、5、7についても、願書に添付した明細書、 特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではない。 (2) 原告が、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に当たるとするものについて検討する。 ア変更フラグ本件明細書等における変更フラグは、実施の形態7にみられるように、 選択可能な1つ以上の動きベクトルを示すリストが変更された場合に限り、 るとするものについて検討する。 ア変更フラグ本件明細書等における変更フラグは、実施の形態7にみられるように、 選択可能な1つ以上の動きベクトルを示すリストが変更された場合に限り、 変更後のリストを示すリスト情報を符号化して符号化データを生成するように構成し、符号量の大幅な増加を招くことなく、リストの変更を受け付ける機能を実装することができる効果を奏するというものである(【02000】~【0207】)。 これに対し、「動きベクトル候補の数を変更する」「変更フラグ」という 形態とすると、実施の形態7の処理を変更して、選択可能な1つ以上の動きベクトルを示すリスト中の動きベクトル候補の数が変更された場合に限り、変更後のリストを示すリスト情報を符号化して符号化データを生成することになるが、このような形態は本件明細書等に記載されていない。また、リストが変更されても動きベクトル候補の「数」が変更されていなけれ ば、変更後のリストが符号化装置から復号装置に伝送されないことになる。 そうすると、復号装置において、本来、符号化時に使用された変更後のリスト中の動きベクトル候補に基づき復号するところ、当該リストが伝送されず、フラグも“オフ”であるから、前回のリスト中の動きベクトル候補を使用して復号するため、符号化時の動きベクトル候補が復号時に利用できず、 符号化した際の意図どおり正しく復号できないことになる。この結果、復号装置が満たすべき当然の前提である、動画像を正しく復号するという処理が実現できないため、発明の課題を解決しないといえる。 一方で、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」としての「変更フラグ」は、復号装置に動きベクトルの候補の数が変更されたとい う有意義な情報を与えることになり、本件明細 いといえる。 一方で、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」としての「変更フラグ」は、復号装置に動きベクトルの候補の数が変更されたとい う有意義な情報を与えることになり、本件明細書等には記載のない、新たな技術的意義を奏することになる。 イ閾値本件特許1は「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報が含まれるビットストリーム」という事項を、本件特許2は「動きベクトル候補の 数を変更するための制御情報とを含むビットストリーム」という事項を、 それぞれ発明特定事項として含む。一方、本件明細書【0111】、【0139】、【0162】~【0164】における閾値Thについての記載からみると、本件明細書等は、使用するベクトルの本数や最大数をビットストリーム中のヘッダ情報に含めることを示しているにすぎず、閾値Thをビットストリーム中に含めることは上記記載から把握することはできないし、 本件明細書等の他の記載から把握することもできない。さらに、当該「閾値」は予測画像の生成に用いる情報のうち、符号化時にだけ必要なものであり、復号時には使用しない情報であるから、ビットストリームに当該「閾値」を含めて復号装置に伝送することは、本件明細書【0011】の「符号量を削減する」という技術的意義と矛盾する。 そうすると、閾値は、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報が含まれるビットストリーム」に該当しない。 ウ最大ベクトル数最大ベクトル数は、本件明細書のうち、実施の形態2に関する【0111】(実施の形態3に関する【0139】も同様)に記載されたものである ところ、これによれば、スライスヘッダに予め使用する最大ベクトル数を定めておくことから、最大ベクトル数は符号化装置から復号 1】(実施の形態3に関する【0139】も同様)に記載されたものである ところ、これによれば、スライスヘッダに予め使用する最大ベクトル数を定めておくことから、最大ベクトル数は符号化装置から復号装置に送信されて復号されるとともに、復号装置において予測画像を生成する場合に用いられるといえる。そして、本件明細書の【0034】、【0068】、【0089】、【0100】、【0112】、図17を踏まえた当業者にとって は、動きベクトルを符号化または復号する場合には、符号化時又は復号時に動きベクトル候補をすべて得た後、それらの評価値SADを得て、評価の小さい候補から最大ベクトル数(例えば2)分用いて予測画像を作るものであることが理解できる。この場合、ブロックサイズによらず予め決められた候補ベクトルをすべて復号してから最大ベクトル数を用いて候補を 絞り、最終的に所望の動きベクトルを決定して復号を行う以上、「インデッ クス情報」を送受信することは不要である。 一方、実施の形態4(【0143】)を踏まえた実施の形態6(【0182】)や、実施の形態6を踏まえた実施の形態7(【0200】)では、最大ベクトル数を符号化装置から復号装置に送信せず、その代わりに、図31に記載されるように、どの動きベクトル候補が選択されたかを示すイン デックス情報を送信する。これにより、復号装置では、図32や図45の記載から理解されるように、所定の順番でリスト化された動きベクトルリスト又はリスト情報を元にして、この中から受信したインデックス情報に基づいて復号に必要な所望の動きベクトルを選択する。 最大ベクトル数を送受信することで「インデックス情報」を不要とする、 実施の形態2、3の一部分である【0111】、【0139】の記載事項と、「 復号に必要な所望の動きベクトルを選択する。 最大ベクトル数を送受信することで「インデックス情報」を不要とする、 実施の形態2、3の一部分である【0111】、【0139】の記載事項と、「インデックス情報」を送受信することで最大ベクトル数を不要とする、実施の形態6、7(ビットストリームに含まれるものとして、少なくとも「インデックス情報」が特定されている本件発明はこれに該当する。)とは互いに相容れないものである。 3 取消事由3(サポート要件に関する判断の誤り)について【原告の主張】前記2【原告の主張】のとおり、本件明細書等には「動きベクトル侯補の数を変更するための制御情報」が記載されているから、本件発明がサポート要件に適合しないとした本件決定の判断は誤りである。 なお、原告は、特許異議の申立てについての審理において、上記制御情報として、変更フラグのほか閾値も主張していたのに、本件決定は閾値について判断していない点で判断の遺脱があり、この誤りは決定の結論に影響を及ぼす。 また、審査基準では、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはい えないと判断した場合には、どのような特性の技術分野に属するか及びその技 術分野にどのような技術常識が存在するのかを検討した上、拡張ないし一般化できない理由を具体的に説明するとされているのに、履践されていない。 【被告の主張】前記2【被告の主張】のとおり、本件明細書等には「動きベクトル侯補の数を変更するための制御情報」が記載されているから、本件発明がサポート要件に 適合しないとした本件決定の判断には誤りがない。 なお、本件補正が要旨変更により不適法であ 「動きベクトル侯補の数を変更するための制御情報」が記載されているから、本件発明がサポート要件に 適合しないとした本件決定の判断には誤りがない。 なお、本件補正が要旨変更により不適法である以上、本件補正により加えられた閾値について判断しなくても問題はない。 4 取消事由4(明確性要件に関する判断の誤り)について【原告の主張】 本件決定は、構成要件B1-2、B1-3の「上記動き補償予測部」との記載における「上記」が何を受けているか不明であるとするが、本件明細書では、多くの構成要素が、「〇〇部(〇〇手段)」というような名称の読替えが行われているのであり(【0210】)、【0022】、【0037】の記載に照らしても、「上記動き補償予測部」は、これより前に存在する「動き補償予測手段」を 受けたものであると理解するのが自然かつ合理的な判断である。 【被告の主張】本件明細書において、「動き補償予測部」と「動き補償予測手段」は明確に区別されており(【0021】、【0037】、【0210】)、本件発明1の認定においても、「動き補償予測部」と「動き補償予測手段」は区別するべきもの であるから、原告の主張は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本件補正の適否に関する判断の誤り)について本件補正は、本件補正前の訂正事項(別紙2の訂正事項1から訂正事項7まで)を、本件補正後の訂正事項(別紙3の訂正事項1から訂正事項4まで)とす るものである。 このうち請求項1に係る訂正は、本件補正の前後を通じ訂正事項1、2であるところ、本件補正前の訂正事項1は構成要件B1-2、訂正事項2は構成要件A1-3及びA1-2-1を対象とするのに対し、本件補正後の訂正事項1、2はいずれも 、本件補正の前後を通じ訂正事項1、2であるところ、本件補正前の訂正事項1は構成要件B1-2、訂正事項2は構成要件A1-3及びA1-2-1を対象とするのに対し、本件補正後の訂正事項1、2はいずれも構成要件B1を対象としている。そうすると、補正の前後で、訂正を申し立てている事項の範囲が変更され、訂正請求としての同一性が失われて いる。 よって、本件補正は、本件訂正に係る訂正請求書の要旨を変更するものであるから、本件補正は特許法120条の5第9項、131条の2第1項に適合しない。 したがって、本件補正の適否に関する本件決定の判断に誤りはなく、取消事 由1は理由がない。 2 取消事由2(本件訂正の適否に関する判断の誤り)について(1) 訂正事項2(請求項1関係)についてア訂正の目的について訂正事項2は、本件訂正前の請求項1の「当該インデックス情報に基づ き選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」における「動きベクトル候補の数」、すなわち、制御情報によって変更される「動きベクトル候補の数」について、「空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも一方」であることを特定するともに、当該制御情報について、「空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とによ り空間動きベクトルの数と時間動きベクトルとの数とを足した合計が不変となる場合を除く」ことを特定するものである。 そうすると、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮(特許法120条の5第2項ただし書1号)を目的とするものである。 イ願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲 内の訂正であるかどうかについて (ア) 訂正前後に共通する「当該インデックス情報に基づき選 。 イ願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲 内の訂正であるかどうかについて (ア) 訂正前後に共通する「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」との事項について上記事項のうち「動きベクトル候補」が「当該インデックス情報に基づき選択される」ことは、実施の形態4に関する【0143】、【0145】記載及び図32、実施の形態6に関する【0182】の記載に記載されて いるといえる。 一方、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」の意義については、本件明細書等に特段記載はないが、その「ための」との文言に基づく理解として、当該「制御情報」の技術的意義に照らし、「動きベクトル候補の数の変更」との間に目的・手段の関係があることを要し、単に結 果的、間接的に動きベクトルの数に影響する場合があるというのでは足りないと解するのが相当である。これを前提に、本件明細書等に「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」が記載されているかについて検討する。 a 変更フラグについて 変更フラグは、動きベクトル候補を示すリストを変更するための制御情報であり(【0203】、【0205】、【0207】)、変更フラグによって動きベクトル候補が変更される場合に、結果として動きベクトル候補の数が変更される場合があること自体は認められる(図46~図48)。また、時間動きベクトル候補はtemporal1つ しか存在しないため、時間動きベクトル候補だけが変更されると、必ず動きベクトル候補の数が変更されるといえる(図46、図47)。 しかし、変更フラグをオンにすることは、変更後の動きベクトル候補を示すリストを符号化して送信するこ ベクトル候補だけが変更されると、必ず動きベクトル候補の数が変更されるといえる(図46、図47)。 しかし、変更フラグをオンにすることは、変更後の動きベクトル候補を示すリストを符号化して送信することにとどまるのであり(【0203】、【0205】)、動きベクトルの数を制御情報として送信するこ とは本件明細書等に記載されていない。また、本件明細書等においてリ スト変更の具体的態様を制限する記載はなく、空間動きベクトル候補はMV_A、MV_B、MV_C、medianの4つがある(【0183】、【0184】、【0193】)ため、各々が候補に加わる、又は候補から外れることにより、空間動きベクトル候補だけが変更される場合には、空間動きベクトル候補の数は変更される場合と変更され ない場合があるから、「変更フラグ」オンは、候補ベクトル数が変わる場合と変わらない場合を含んでいることになる。そうすると、「変更フラグ」に係る制御情報は、動きベクトル候補の数の変更を目的とするものと理解することはできず、変更フラグは、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に当たらない。 b 閾値Th及び最大ベクトル数について閾値は、本件明細書【0111】、【0139】によれば、「この場合、例えば、複数のベクトル候補のうち、閾値Th以下の評価値SADになる候補の全てを使用して予測画像を生成する方法が考えられる。」とあることから、予測画像の生成に使用する動きベクトル候補を選定 するための設定値である。予測に用いるベクトルの本数は、評価値SADが閾値Th以下となる候補ベクトルの本数となるが、評価値は符号化対象となるブロックの各候補ベクトルについて算出されるものであるから(【0068】、【0076】、【0077 トルの本数は、評価値SADが閾値Th以下となる候補ベクトルの本数となるが、評価値は符号化対象となるブロックの各候補ベクトルについて算出されるものであるから(【0068】、【0076】、【0077】、【0079】~【0081】、【0089】)、閾値を定めても、符号化対象となるブ ロックが具体的に特定されなければ、「動きベクトル候補の数」が変更されたか否かは特定できない。そうすると、「閾値Th」に係る制御情報は、ベクトル数の変更に関与する情報ではあるが、変更に結果的、間接的に寄与するものにすぎず、動きベクトル候補の数の変更を目的とするものと解することはできないから、「動きベクトル候補の数を変更 するための制御情報」に該当しない。 また、本件明細書【0111】、【0139】によれば、最大ベクトル数についても、「閾値Th以下の候補の全てを使用するのではなく、スライスヘッダなどに、予め使用する最大ベクトル数を定めておき、評価値の小さい候補から最大ベクトル数分用いて予測画像を生成するように」するというもので、予測画像の生成に使用する動きベクトル候補 を選定するための設定値という点で閾値Thと同様であるから、「最大ベクトル数」を定めても、符号化対象となるブロックが具体的に特定され評価値が計算されない限り「動きベクトル候補の数」が変更されたか否かは特定できない。そうすると、「最大ベクトル数」に係る制御情報は、ベクトル数の変更に関与する情報ではあるが、変更に結果的、間接 的に寄与するものにすぎず、動きベクトル候補の数の変更を目的とするものと解することはできないから、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に該当しない。 さらに、最大ベクトル数について言及する本件明細書【0111】、【0139】は、実施の を目的とするものと解することはできないから、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に該当しない。 さらに、最大ベクトル数について言及する本件明細書【0111】、【0139】は、実施の形態1における画像符号化及び復号処理の変形 例である実施の形態2、3について記載したものである。実施の形態1における復号処理(本件明細書【0086】~【0093】、特に【0089】)に【0111】、【0139】の「最大ベクトル数」を定めておく方法を適用した場合、予め定められた候補ベクトルを全て復号し、評価値の小さい候補から最大ベクトル数分を用いて予測画像を生 成することになる。その場合、動きベクトルの選択のために、インデックス情報を用いる(【0143】)のではなく、評価値と最大ベクトル数をもとに選択した候補ベクトルを用いることになる。他方、本件明細書中、インデックス情報を用いる実施の形態4、その変形例である実施の形態6、7に関し、最大ベクトル数に関する記載はない。そうすると、 最大ベクトル数の使用に関する本件明細書の記載は、「動きベクトル候 補」が「当該インデックス情報に基づき選択される」ことを発明特定事項とする本件発明に関わるものではないというほかない。原告は、実施の形態6、7が実施の形態2、3の上位互換の関係に当たる旨主張するが、両者は別個の技術というべきであり、採用できない。 (イ) 以上によれば、本件明細書における「変更フラグ」、「閾値Th」及び 「最大ベクトル数」は、いずれも「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に該当せず、本件明細書等において、他に上記情報に該当する情報に関する記載は見当たらない。 したがって、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更 更するための制御情報」に該当せず、本件明細書等において、他に上記情報に該当する情報に関する記載は見当たらない。 したがって、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」との事項は、本件明細書等に記 載された事項ではない。訂正事項2による訂正は、本件明細書等に記載のない事項を更に限定する訂正事項を含むものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 (2) 訂正事項3(請求項2関係)及び訂正事項5、7(明細書関係)について訂正事項3による訂正は、請求項2の「上記動きベクトル候補の数を変更 するための制御情報」との事項をさらに限定する訂正事項を含むものであるから、訂正事項2についての上記検討と同様、本件明細書等に記載のない事項を更に限定する訂正事項を含むものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 また、明細書の記載に係る訂正事項5及び7による訂正についても同様で ある。 (3) まとめ以上のとおりであって、本件訂正2、3、5及び7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法120条の5第9項、126条5項の規定に適合しないとした本件決定の判断に誤りはない。取消 事由2は理由がない。 3 取消事由3(サポート要件に関する判断の誤り)について(1) 本件訂正が認められないから、本件発明1、2は、前記第2の2(1)のとおり、本件訂正前の特許請求の範囲の記載をもって特定されることとなる。 (2) 特許法36条6項1号は、特許請求の範囲に記載された発明は発明の詳細な説明に実質的に裏付けられていなければならないというサポート要件を定 めると 記載をもって特定されることとなる。 (2) 特許法36条6項1号は、特許請求の範囲に記載された発明は発明の詳細な説明に実質的に裏付けられていなければならないというサポート要件を定 めるところ、その適合性の判断は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明 の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。 (3) ここで、本件発明1は構成A1-3「および当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」、本件発明2は構成A2-3「上記動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」 との発明特定事項を含むところ、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」が本件明細書に記載されていないことは前記2のとおりである。 そうすると、本件発明1、2は、いずれも、発明の詳細な説明に記載された発明でないというよりほかなく、サポート要件に適合しない。 (4) 原告は、特許異議の申立てについての審理において、上記制御情報として、 変更フラグのほか閾値も主張していたのに、本件決定は閾値について判断しておらず、決定の結論に影響を及ぼす判断の遺脱がある旨主張するが、閾値が同制御情報に該当しないことは上述のとおりであり、仮に判断の遺脱があったとしても決定の結論に影響を及ぼすものではない。 また、原告は、審査基準では、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係 る発明の範囲 いことは上述のとおりであり、仮に判断の遺脱があったとしても決定の結論に影響を及ぼすものではない。 また、原告は、審査基準では、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係 る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化 できるとはいえないと判断した場合には拡張ないし一般化できない理由を具体的に説明するとされているのに、履践されていない旨主張するが、本件では拡張ないし一般化が問題となっているとは認められないから、採用できない。 (5) したがって、取消事由3には理由がない。 4 結論以上のとおり、取消事由1~3はいずれも理由がなく、請求項1、2に係る本件特許はサポート要件違反を理由に取消しを免れない。そうすると、本件において、取消事由4(明確性要件に関する判断の誤り)について判断するまでもなく、本件決定に取り消されるべき違法は認められないことになるから、原告の 請求を棄却することとし、主文のとおり判断する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官宮坂昌利 裁判官本吉弘行 裁判官 岩井直幸 別紙1 略語一覧 (略語) (意味)・本件特許:原告を特許権者とする特許第6768017号・本件決定:本件特許に係る異議2021-700336号事件について特許庁が令和5年6月 19日にした特許取消決定(本件訴訟の対象)・本件訂正:原告の令和4年6月24日付け訂正請求に係る 号・本件決定:本件特許に係る異議2021-700336号事件について特許庁が令和5年6月 19日にした特許取消決定(本件訴訟の対象)・本件訂正:原告の令和4年6月24日付け訂正請求に係る本件特許の特許請求の範囲及び明細書の訂正・本件補正:原告の令和5年5月2日付け手続補正書に係る本件訂正に基づく訂正事項の補正・本件発明:本件特許の請求項1、2に係る発明の総称。なお、各請求項に係る発明は、請求項 の番号に対応して、「本件発明1」などという。 ・本件明細書:本件特許に係る明細書(特記しない限り、本件訂正前のもの)。なお、特許請求の範囲、図面を含めて「本件明細書等」ということもある。 別紙2 本件訂正による訂正事項 1 訂正事項1特許請求の範囲の請求項1に記載の「上記動き補償予測部は、上記インデックス情報に基づいて、」を、「上記動き補償予測手段を構成する動き補償予測部は、上記インデックス情報に基 づいて、」に訂正する。 2 訂正事項2特許請求の範囲の請求項1に記載の「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」を、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数のうち空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも 一方を変更するための制御情報」に訂正するとともに、請求項1に記載の「上記インデックス情報は、上記リスト内の動きベクトル候補の位置を示す」と、それに続く「ことを特徴とする動画像復号装置」との間に、「ただし、上記制御情報について、空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とにより空間動きベクトルの数と時間動きベクトルの数とを足した合計が不変となる場合を除く、」を追加するように訂正する。 だし、上記制御情報について、空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とにより空間動きベクトルの数と時間動きベクトルの数とを足した合計が不変となる場合を除く、」を追加するように訂正する。 3 訂正事項3特許請求の範囲の請求項2に記載の「上記動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」を、「上記動きベクトル候補の数のうち空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも一方を変更するための制御情報」に訂正するとともに、請求項2に記載の「上記インデックス情報は、上記リスト内の動きベクトル候補の位置を示す」と、それに続く「こと を特徴とする動画像符号化装置」との間に、「ただし、上記制御情報について、空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とにより空間動きベクトルの数と時間動きベクトルの数とを足した合計が不変となる場合を除く、」を追加するように訂正する。 4 訂正事項4本件明細書の【0012】に記載の「動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、」 を、「動き補償予測手段を構成する動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、」に訂正 する。 5 訂正事項5本件明細書の【0012】に記載の「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」を、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数のうち空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも 一方を変更するための制御情報」に訂正する。 6 訂正事項6本件明細書の【0013】に記載の「動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、」を、「動き補償予測手段を構成する動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、」に訂正する。 7 訂正事項7 細書の【0013】に記載の「動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、」を、「動き補償予測手段を構成する動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、」に訂正する。 7 訂正事項7本件明細書の【0013】に記載の「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」を、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数のうち空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも一方を変更するための制御情報」に訂正する。 別紙3 本件補正による本件訂正の訂正事項 1 訂正事項1特許請求の範囲の請求項1における「動き補償予測手段」との記載を、「動き補償予測部」に訂正する。 2 訂正事項2特許請求の範囲の請求項1において、「…動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する動き補償予測部と、を備え、」の後ろに、「上記制御情報は、閾値Thであり、差分絶対値和を示す評価値SADkが前記閾値Th以下である動きベクトルが、上記動きベクトル候補として選択され、」との構成要件を追加して、訂正する。 3 訂正事項3特許請求の範囲の請求項2において、「上記動きベクトル候補の数を変更するための制御情報とを含むビットストリームを生成する可変長符号化部と、を備え、」の後ろに、「上記制御情報は、閾値Thであり、差分絶対値和を示す評価値SADkが前記閾値Th以下である動きベクトルが、上記動きベクトル候補として選択され、」との構成要件を追加して、訂正する。 4 訂正事項4特許請求の範囲に係る訂正事項1及び訂正事項2にともない、明細書の【0012】について、以下のように訂正する。 「 この発明に係る動画像復号装置は、最大ブ 訂正する。 4 訂正事項4特許請求の範囲に係る訂正事項1及び訂正事項2にともない、明細書の【0012】について、以下のように訂正する。 「 この発明に係る動画像復号装置は、最大ブロックサイズと階層数の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データ、符号化ブロックに係わ る符号化モード及び動きベクトルを指定するための符号化ブロックに係わるインデックス情報、および当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報が含まれるビットストリームに多重化されている符号化データに可変長復号処理を行う可変長復号部と、インデックス情報に基づいて、1以上の動きベクトル候補の中から動きベクトルを選択し、選択された動きベクトルを用いて符号化ブロックに対し、動き補償予測処 理を実施して予測画像を生成する動き補償予測部と、を備え、制御情報は、閾値Thであり、 差分絶対値和を示す評価値SADkが前記閾値Th以下である動きベクトルが、動きベクトル候補として選択され、動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックの動きベクトル候補から得られる空間動きベクトル、または符号化ブロックが参照可能な復号済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルを選択し、動き補償予測部は、制御情報に基づいて、符号化ブロックの周囲に位置する 複数の復号済みブロックから得られる空間動きベクトル、および符号化ブロックが参照可能な復号化済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルの少なくともいずれかを含む動きベクトル候補のリストを用意し、動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、動きベクトル候補の数はスライス単位で変更可 ピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルの少なくともいずれかを含む動きベクトル候補のリストを用意し、動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、動きベクトル候補の数はスライス単位で変更可能であり、インデックス情報は、リスト内の動きベクトル候補の位置を示すことを特徴とするものである。」 別紙4 本件明細書の記載事項及び図面(抜粋)【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】この発明は、画像圧縮符号化技術や圧縮画像データ伝送技術などに用いられる動画像復号装置 及び動画像符号化装置に関するものである。 【背景技術】【0002】例えば、MPEG(MovingPictureExpertsGroup)や「ITU-TH.26x」などの国際標準映像符号化方式では、輝度信号16×16画素と、その輝 度信号16×16画素に対応する色差信号8×8画素とをまとめたブロックデータ(以下、「マクロブロック」と称する)を一単位として、動き補償技術や直交変換/変換係数量子化技術に基づいて圧縮する方法が採用されている。 動画像符号化装置及び動画像復号装置における動き補償処理では、前方または後方のピクチャを参照して、マクロブロック単位で動きベクトルの検出や予測画像の生成を行う。 このとき、1枚のピクチャのみを参照して、画面間予測符号化を行うものをPピクチャと称し、同時に2枚のピクチャを参照して、画面間予測符号化を行うものをBピクチャと称する。 【0003】国際標準方式であるAVC/H.264(ISO/IEC 14496-10|ITU-TH.264)では、Bピクチャを符号化する際に、ダイレクトモードと呼ばれる符号化モードを 選択することができる(例えば、非特許文献1を H.264(ISO/IEC 14496-10|ITU-TH.264)では、Bピクチャを符号化する際に、ダイレクトモードと呼ばれる符号化モードを 選択することができる(例えば、非特許文献1を参照)。 即ち、符号化対象のマクロブロックには、動きベクトルの符号化データを持たず、符号化済みの他のピクチャのマクロブロックの動きベクトルや、周囲のマクロブロックの動きベクトルを用いる所定の演算処理で、符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを生成する符号化モードを選択することができる。 【0004】 このダイレクトモードには、時間ダイレクトモードと空間ダイレクトモードの2種類が存在する。 時間ダイレクトモードでは、符号化済みの他ピクチャの動きベクトルを参照し、符号化済みピクチャと符号化対象のピクチャとの時間差に応じて動きベクトルのスケーリング処理を行うことで、符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを生成する。 空間ダイレクトモードでは、符号化対象のマクロブロックの周囲に位置している少なくとも1つ以上の符号化済みマクロブロックの動きベクトルを参照し、それらの動きベクトルから符号化対象のマクロブロックの動きベクトルを生成する。 このダイレクトモードでは、スライスヘッダに設けられたフラグである“direct_spatial_mv_pred_flag”を用いることにより、スライス単位で、時間ダイレク トモード又は空間ダイレクトモードのいずれか一方を選択することが可能である。 ただし、ダイレクトモードの中で、変換係数を符号化しないモードをスキップモードと称する。 以下、ダイレクトモードと記載するときは、スキップモードも含まれるものとする。 【発明が解決しようとする課題】【0010】 従来の画 係数を符号化しないモードをスキップモードと称する。 以下、ダイレクトモードと記載するときは、スキップモードも含まれるものとする。 【発明が解決しようとする課題】【0010】 従来の画像符号化装置は以上のように構成されているので、スライスヘッダに設けられたフラグである“direct_spatial_mv_pred_flag”を参照すれば、スライス単位で、時間ダイレクトモードと空間ダイレクトモードを切り替えることができる。しかし、マクロブロック単位では、時間ダイレクトモードと空間ダイレクトモードを切り替えることができないため、或るスライスに属している或るマクロブロックに対する最適なダイレクトモードが 例えば空間ダイレクトモードであっても、当該スライスに対応するダイレクトモードが時間ダイレクトモードに決められていれば、当該マクロブロックに対して時間ダイレクトモードを使用しなければならず、最適なダイレクトモードを選択することができない。このような場合、最適なダイレクトモードを選択することができないため、不必要な動きベクトルを符号化しなければならず、符号量が増加してしまうなどの課題があった。 【0011】 この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、所定のブロック単位に最適な符号化モードを選択して、符号量を削減することができるような動画像復号装置及び動画像符号化装置を得ることを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0012】 この発明に係る動画像復号装置は、最大ブロックサイズと階層数の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データ、符号化ブロックに係わる符号化モード及び動きベクトルを指定するための符号化ブロックに係わるインデックス情報、お の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データ、符号化ブロックに係わる符号化モード及び動きベクトルを指定するための符号化ブロックに係わるインデックス情報、および当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報が含まれるビットストリームに多重化されている符号化データに可変長復号処理を行う可変長 復号部と、インデックス情報に基づいて、1以上の動きベクトル候補の中から動きベクトルを選択し、選択された動きベクトルを用いて符号化ブロックに対し、動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する動き補償予測手段と、を備え、動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックの動きベクトル候補から得られる空間動きベクトル、または符号化ブロックが参照可能な復号済みピクチャの動きベクトルから得 られる時間動きベクトルを選択し、動き補償予測部は、制御情報に基づいて、符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックから得られる空間動きベクトル、および符号化ブロックが参照可能な復号化済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルの少なくともいずれかを含む動きベクトル候補のリストを用意し、動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、動きベクトル候補の数はスライス単位で変更可能であり、インデックス情報は、リスト内 の動きベクトル候補の位置を示すことを特徴とするものである。 【発明の効果】【0013】この発明によれば、最大ブロックサイズと階層数の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データ、符号化ブロックに係わる符号化モード及び 動きベクトルを指定するための符号化ブロック ロックサイズと階層数の上限値により入力画像を階層的に分割することで得られる符号化ブロックに係わる圧縮データ、符号化ブロックに係わる符号化モード及び 動きベクトルを指定するための符号化ブロックに係わるインデックス情報、および当該インデッ クス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報が含まれるビットストリームに多重化されている符号化データに可変長復号処理を行う可変長復号部と、インデックス情報に基づいて、1以上の動きベクトル候補の中から動きベクトルを選択し、選択された動きベクトルを用いて符号化ブロックに対し、動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する動き補償予測手段と、を備え、動き補償予測部は、インデックス情報に基づいて、符号化ブロッ クの周囲に位置する複数の復号済みブロックの動きベクトル候補から得られる空間動きベクトル、または符号化ブロックが参照可能な復号済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルを選択し、動き補償予測部は、制御情報に基づいて、符号化ブロックの周囲に位置する複数の復号済みブロックから得られる空間動きベクトル、および符号化ブロックが参照可能な復号化済みピクチャの動きベクトルから得られる時間動きベクトルの少なくともいずれかを含む 動きベクトル候補のリストを用意し、動きベクトル候補は所定の順番でリスト化され、動きベクトル候補の数はスライス単位で変更可能であり、インデックス情報は、リスト内の動きベクトル候補の位置を示すので、符号化ブロック単位に最適な符号化モードを選択して動画像の復号化処理を行うことが可能となる。 【発明を実施するための形態】 【0015】以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。 実施の形態1. この実施の形 号化処理を行うことが可能となる。 【発明を実施するための形態】 【0015】以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。 実施の形態1. この実施の形態1では、映像の各フレーム画像を入力し、近接フレーム間で動き補償予測を実施することで得られる予測差分信号に対して直交変換や量子化による圧縮処理を実施した後に 可変長符号化を行ってビットストリームを生成する動画像符号化装置と、その動画像符号化装置から出力されたビットストリームを復号する動画像復号装置について説明する。 【0022】動き補償予測部5はブロック分割部2により分割された符号化ブロックに適する符号化モードとして、符号化制御部1によりダイレクトモードのインター符号化モードが選択された場合、 当該符号化ブロックの周囲に位置している符号化済みブロックの動きベクトルから空間ダイレ クトモードの空間ダイレクトベクトルを生成するとともに、当該符号化ブロックが参照可能な符号化済みピクチャの動きベクトルから時間ダイレクトモードの時間ダイレクトベクトルを生成し、その空間ダイレクトベクトル又は時間ダイレクトベクトルの中から、参照画像間の相関が高くなる方のダイレクトベクトルを選択し、そのダイレクトベクトルを用いて、当該符号化ブロックに対する動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する処理を実施する。 また、動き補償予測部5はブロック分割部2により分割された符号化ブロックに適する符号化モードとして、符号化制御部1によりダイレクトモード以外のインター符号化モードが選択された場合、当該符号化ブロックと動き補償予測フレームメモリ12に格納されている参照画像から動きベクトルを探索し、その動きベクトルを用いて、当該符号化ブロックに対する動き補 インター符号化モードが選択された場合、当該符号化ブロックと動き補償予測フレームメモリ12に格納されている参照画像から動きベクトルを探索し、その動きベクトルを用いて、当該符号化ブロックに対する動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する処理を実施する。 なお、切替スイッチ3及び動き補償予測部5から動き補償予測手段が構成されている。 【0034】類似度算出部42は空間ダイレクトモードの評価値として、空間ダイレクトモードのリスト0予測画像(前方予測画像)とリスト1予測画像(後方予測画像)の類似度を算出するとともに、時間ダイレクトモードの評価値として、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像(前方予測画 像)とリスト1予測画像(後方予測画像)の類似度を算出する処理を実施する。 ダイレクトベクトル選択部43は類似度算出部42により算出された空間ダイレクトモードにおけるリスト0予測画像(前方予測画像)とリスト1予測画像(後方予測画像)の類似度と、時間ダイレクトモードにおけるリスト0予測画像(前方予測画像)とリスト1予測画像(後方予測画像)の類似度とを比較し、空間ダイレクトベクトル又は時間ダイレクトベクトルのうち、リ スト0予測画像(前方予測画像)とリスト1予測画像(後方予測画像)の類似度が高い方のダイレクトモードのダイレクトベクトルを選択する処理を実施する。 【0037】動き補償予測部54は可変長復号部51から出力された符号化ブロックに係る符号化モードがダイレクトモードのインター符号化モードである場合、当該符号化ブロックの周囲に位置して いる復号済みブロックの動きベクトルから空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルを 生成するとともに、当該符号化ブロックが参照可能な復号済みピクチャの動きベクトルから 囲に位置して いる復号済みブロックの動きベクトルから空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルを 生成するとともに、当該符号化ブロックが参照可能な復号済みピクチャの動きベクトルから時間ダイレクトモードの時間ダイレクトベクトルを生成し、その空間ダイレクトベクトル又は時間ダイレクトベクトルの中から、参照画像間の相関が高くなる方のダイレクトベクトルを選択し、そのダイレクトベクトルを用いて、当該符号化ブロックに対する動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する処理を実施する。 また、動き補償予測部54は可変長復号部51から出力された符号化ブロックに係る符号化モードがダイレクトモード以外のインター符号化モードである場合、可変長復号部51から出力されたインター予測パラメータに含まれている動きベクトルを用いて、当該符号化ブロックに対する動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する処理を実施する。 なお、切替スイッチ52及び動き補償予測部54から動き補償予測手段が構成されている。 【0068】動き補償予測部5のダイレクトベクトル生成部23は、符号化モードm(Bn)がダイレクトモードである場合、符号化ブロックBnのパーティションPin毎に、空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルと時間ダイレクトモードの時間ダイレクトベクトルを生成し、その空間ダイレクトベクトル又は時間ダイレクトベクトルのいずれか一方を動きベクトルとして動き補償 処理部24に出力する。 なお、符号化ブロックBnに属するパーティションPinの分割状態を示す情報は、上述したように、符号化モードm(Bn)の中に含まれているので、ダイレクトベクトル生成部23は、符号化モードm(Bn)を参照することで、符号化ブロックBnのパーティションPinを特定 態を示す情報は、上述したように、符号化モードm(Bn)の中に含まれているので、ダイレクトベクトル生成部23は、符号化モードm(Bn)を参照することで、符号化ブロックBnのパーティションPinを特定することができる。 【0076】以下、ダイレクトベクトル判定部33の処理内容を具体的に説明する。 ダイレクトベクトル判定部33の動き補償部41は、空間ダイレクトベクトル生成部31が空間ダイレクトベクトルMVL0、MVL1を生成すると、その空間ダイレクトベクトルMVL0を用いて、空間ダイレクトモードのリスト0予測画像を生成し、その空間ダイレクトベクトルM VL1を用いて、空間ダイレクトモードのリスト1予測画像を生成する。 ここで、図15は前方予測画像と後方予測画像の類似度による評価値の算出例を示す説明図であるが、図15の例では、空間ダイレクトモードのリスト0予測画像として、前方予測画像fspatialを生成し、空間ダイレクトモードのリスト1予測画像として、後方予測画像gspatialを生成している。 【0077】 また、動き補償部41は、時間ダイレクトベクトル生成部32がリスト0及びリスト1の動きベクトルMVである時間ダイレクトベクトルを生成すると、前方の動きベクトルMVである時間ダイレクトベクトルを用いて、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像を生成し、後方の動きベクトルMVである時間ダイレクトベクトルを用いて、時間ダイレクトモードの時間ダイレクトモードのリスト1予測画像を生成する。 図15の例では、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像として、時間ダイレクトモードの前方予測画像ftemporalを生成し、時間ダイレクトモードのリスト1予測画像として、後方予測画像gtemporalを生成し は、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像として、時間ダイレクトモードの前方予測画像ftemporalを生成し、時間ダイレクトモードのリスト1予測画像として、後方予測画像gtemporalを生成している。 【0078】ここでは、前方向の参照画像を示す参照画像リスト0と、後方向の参照画像を示す参照画像リ スト1を用いて、リスト0予測画像として前方予測画像を生成し、リスト1予測画像として後方予測画像を生成するものについて示したが、後方向の参照画像を示す参照画像リスト0と、前方向の参照画像を示す参照画像リスト1を用いて、リスト0予測画像として後方予測画像を生成し、リスト1予測画像として前方予測画像を生成するようにしてもよい。 また、前方向の参照画像を示す参照画像リスト0と、更に前方向の参照画像を示す参照画像リ スト1を用いて、リスト0予測画像及びリスト1予測画像として、前方予測画像を生成するようにしてもよい(詳細は後述する)。 【0079】ダイレクトベクトル判定部33の類似度算出部42は、空間ダイレクトモードのリスト0予測画像とリスト1予測画像を生成すると、下記の式(6)のように、空間ダイレクトモードの評価 値SADspatialを算出する。 式(6)では、説明の便宜上、空間ダイレクトモードのリスト0予測画像が前方予測画像fspatial、空間ダイレクトモードのリスト1予測画像が後方予測画像gspatialとしている。 SADspatial=|fspatial-gspatial| (6)【0080】また、類似度算出部42は、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像とリスト1予測画像を 生成すると、下記の式(7)のように、時間ダイレクトモードの評価値SADtemporalを算出する。 】また、類似度算出部42は、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像とリスト1予測画像を 生成すると、下記の式(7)のように、時間ダイレクトモードの評価値SADtemporalを算出する。 式(7)では、説明の便宜上、時間ダイレクトモードのリスト0予測画像が前方予測画像ftemporal、時間ダイレクトモードのリスト1予測画像が後方予測画像gtemporalとしている。 SADtemporal=|ftemporal-gtemporal|(7) 【0081】なお、前方予測画像と後方予測画像間の差分が大きい程、2つの画像間の類似度が低くなり(2つの画像の差分絶対値和を示す評価値SADが大きくなる)、時間的な相関が低くなる。逆に、前方予測画像と後方予測画像間の差分が小さい程、2つの画像間の類似度が高くなり(2つの画像の差分絶対値和を示す評価値SADが小さくなる)、時間的な相関が高くなる。 また、ダイレクトベクトルで予測する画像は、符号化対象のブロックに似ている画像を予測するはずである。2つのベクトルを用いて予測画像を生成する場合、それぞれのベクトルが予測する画像は符号化対象のブロックに似ているはずであり、これは2つの参照画像の相関が高いことを示している。 したがって、評価値SADが小さい方のダイレクトベクトルを選択することで、参照画像間の 相関が高いモードを選ぶことができ、ダイレクトモードの精度を高めることができる。 【0086】次に、図5の画像復号装置の処理内容を説明する。 可変長復号部51は、図1の画像符号化装置から出力されたビットストリームを入力すると、そのビットストリームに対する可変長復号処理を実施して、1フレーム以上のピクチャから構成 されるシーケンス単位あるいは 図1の画像符号化装置から出力されたビットストリームを入力すると、そのビットストリームに対する可変長復号処理を実施して、1フレーム以上のピクチャから構成 されるシーケンス単位あるいはピクチャ単位にフレームサイズを復号する(図8のステップST21)。 可変長復号部51は、図1の符号化制御部1と同様の手順で、動き補償予測処理(フレーム間予測処理)又はイントラ予測処理(フレーム内予測処理)が実施される際の処理単位となる符号化ブロックの最大サイズを決定するとともに、最大サイズの符号化ブロックが階層的に分割され る際の上限の階層数を決定する(ステップST22)。 例えば、画像符号化装置において、符号化ブロックの最大サイズが、入力画像の解像度に応じて決定されている場合、先に復号しているフレームサイズに基づいて符号化ブロックの最大サイズを決定する。 なお、符号化ブロックの最大サイズ及び上限の階層数を示す情報がビットストリームに多重化 されている場合には、そのビットストリームから復号した情報を参照する。 【0087】ビットストリームに多重化されている最大サイズの符号化ブロックB0の符号化モードm(B0)には、最大サイズの符号化ブロックB0の分割状態を示す情報が含まれているので、可変長復号部51は、ビットストリームに多重化されている最大サイズの符号化ブロックB0の符号化モ ードm(B0)を復号して、階層的に分割されている各々の符号化ブロックBnを特定する(ステップST23)。 可変長復号部51は、各々の符号化ブロックBnを特定すると、その符号化ブロックBnの符号化モードm(Bn)を復号し、その符号化モードm(Bn)に属しているパーティションPinの情報に基づいて、符号化ブロックBnに属しているパーティションP Bnを特定すると、その符号化ブロックBnの符号化モードm(Bn)を復号し、その符号化モードm(Bn)に属しているパーティションPinの情報に基づいて、符号化ブロックBnに属しているパーティションPinを特定する。 可変長復号部51は、符号化ブロックBnに属しているパーティションPinを特定すると、パーティションPin毎に、圧縮データ、符号化モード、予測差分符号化パラメータ、イントラ予測パラメータ/インター予測パラメータを復号する(ステップST24)。 【0088】 切替スイッチ52は、可変長復号部51から符号化ブロックBnに属しているパーティションPinの符号化モードm(Bn)がイントラ符号化モードである場合(ステップST25)、可変長復号部51から出力されたイントラ予測パラメータをイントラ予測部53に出力する。 一方、パーティションPinの符号化モードm(Bn)がインター符号化モードである場合(ステップST25)、可変長復号部51から出力されたインター予測パラメータを動き補償予測部 54に出力する。 イントラ予測部53は、切替スイッチ52からイントラ予測パラメータを受けると、そのイントラ予測パラメータを用いて、その符号化ブロックBnのパーティションPinに対するイントラ予測処理を実施して、イントラ予測画像Pinを生成する(ステップST26)。 【0089】 動き補償予測部54は、切替スイッチ52からインター予測パラメータを受けると、可変長復号部51から出力された符号化モードm(Bn)がダイレクトモードのインター符号化モードであれば、図1の動き補償予測部5と同様に、空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルと時間ダイレクトモードの時間ダイレクトベクトルを生成する。 動き補償予測部54は、空 のインター符号化モードであれば、図1の動き補償予測部5と同様に、空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルと時間ダイレクトモードの時間ダイレクトベクトルを生成する。 動き補償予測部54は、空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルと時間ダイレクトモ ードの時間ダイレクトベクトルを生成すると、図1の動き補償予測部5と同様に、その空間ダイレクトベクトル又は時間ダイレクトベクトルの中から、参照画像間の相関が高くなる方のダイレクトベクトルを選択し、そのダイレクトベクトル及びインター予測パラメータを用いて、符号化ブロックBnのパーティションPinに対する動き補償予測処理を実施して、インター予測画像Pinを生成する(ステップST27)。 【0090】一方、可変長復号部51から出力された符号化モードm(Bn)がダイレクトモード以外のインター符号化モードであれば、動き補償予測部54の動き補償処理部63が、切替スイッチ52から出力されたインター予測パラメータに含まれている動きベクトルを用いて、符号化ブロックBnのパーティションPinに対する動き補償予測処理を実施して、インター予測画像Pinを生 成する(ステップST27)。 【0091】逆量子化・逆変換部55は、可変長復号部51から出力された予測差分符号化パラメータに含まれている量子化パラメータを用いて、可変長復号部51から出力された符号化ブロックに係る圧縮データを逆量子化し、その予測差分符号化パラメータに含まれている変換ブロックサイズ単位で、逆量子化の圧縮データの逆変換処理(例えば、逆DCT(逆離散コサイン変換)や、逆K L変換等の逆変換処理)を実施することで、逆変換処理後の圧縮データを復号予測差分信号(圧縮前の差分画像を示す信号)として加算部56に出 逆変換処理(例えば、逆DCT(逆離散コサイン変換)や、逆K L変換等の逆変換処理)を実施することで、逆変換処理後の圧縮データを復号予測差分信号(圧縮前の差分画像を示す信号)として加算部56に出力する(ステップST28)。 【0092】加算部56は、逆量子化・逆変換部55から復号予測差分信号を受けると、その復号予測差分信号とイントラ予測部53又は動き補償予測部54により生成された予測画像を示す予測信号 を加算することで復号画像を生成して、その復号画像を示す復号画像信号をイントラ予測用メモリ57に格納するとともに、その復号画像信号をループフィルタ部58に出力する(ステップST29)。 【0093】ステップST23~ST29の処理は、階層的に分割された全ての符号化ブロックBnに対す る処理が完了するまで繰り返し実施される(ステップST30)。 ループフィルタ部58は、加算器56から復号画像信号を受けると、その復号画像信号に含まれている符号化歪みを補償し、符号化歪み補償後の復号画像信号が示す復号画像を参照画像として動き補償予測フレームメモリ59に格納する(ステップST31)。 ループフィルタ部58によるフィルタリング処理は、加算器56から出力される復号画像信号 の最大符号化ブロックあるいは個々の符号化ブロック単位で行ってもよいし、1画面分のマクロブロックに相当する復号画像信号が出力された後に1画面分まとめて行ってもよい。 【0096】実施の形態2. 上記実施の形態1では、動き補償予測部5,54(具体的には、類似度算出部42)が、空間 ダイレクトモードの評価値SADspatialとして、空間ダイレクトモードの前方予測画像fsp atialと後方予測画像gspatialの類似度を算出する一方 似度算出部42)が、空間 ダイレクトモードの評価値SADspatialとして、空間ダイレクトモードの前方予測画像fsp atialと後方予測画像gspatialの類似度を算出する一方、時間ダイレクトモードの評価値SADtemporalとして、時間ダイレクトモードの前方予測画像ftemporalと後方予測画像gtemporalの類似度を算出するものについて示したが、空間ダイレクトモードの評価値として、符号化ブロックBnの周囲に位置している符号化済みブロック(復号済みブロック)の動きベクトルの分散値σ(spatial)を算出する一方、時間ダイレクトモードの評価値として、符 号化ブロックBnが参照可能な符号化済みピクチャ(復号済みピクチャ)において、符号化ブロックBnと空間的に同じ位置にあるブロックの周囲に位置している符号化済みブロック(復号済みブロック)の動きベクトルの分散値σ(temporal)を算出するようにしてもよく、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。 【0100】 上記実施の形態1では、時間ダイレクトベクトルと空間ダイレクトベクトルを生成し、いずれか一方のダイレクトベクトルを選択するものについて示したが、その時間ダイレクトベクトルや空間ダイレクトベクトルの他に、他のベクトルを候補ベクトルとして加え、それらの候補ベクトルの中からダイレクトベクトルを選択するようにしてもよい。 例えば、図17のような空間ベクトルMV_A,MV_B,MV_Cや、時間ベクトルMV_ 1~MV_8を候補ベクトルに加えて、これらの空間ベクトルや時間ベクトルからダイレクトベクトルを選択するようにしてもよい。 また、図18に示すように、複数の符号化済ベクトルから1つのベクトルを生成し、そのベクトルを候補ベクトル て、これらの空間ベクトルや時間ベクトルからダイレクトベクトルを選択するようにしてもよい。 また、図18に示すように、複数の符号化済ベクトルから1つのベクトルを生成し、そのベクトルを候補ベクトルに加えるようにしてもよい。 このように、候補ベクトルを増やすことで処理量は増加するが、ダイレクトベクトルの確度が 向上して、符号化効率を向上させることができる。 【0111】上記実施の形態1のダイレクトモードでは、2本のベクトルを用いた予測を想定しているが、ベクトルの本数は3本以上であってもよい。 この場合、例えば、複数のベクトル候補のうち、閾値Th以下の評価値SADになる候補の全てを使用して予測画像を生成する方法が考えられる。また、参照画像リストもそのベクトル分保持している。 また、閾値Th以下の候補の全てを使用するのではなく、スライスヘッダなどに、予め使用する最大ベクトル数を定めておき、評価値の小さい候補から最大ベクトル数分用いて予測画像を生 成するようにしてもよい。 一般的に、予測画像に用いる参照画像が多い程、性能が向上することが知られている。そのため、処理量は増えるが、符号化効率の向上に寄与する。 【0112】上記実施の形態1では、参照画像間の評価によってベクトルを決定しているが、これは空間的 に隣接する符号化済の画像と参照画像との比較で評価してもよい。 この場合は、図20に示すようなL字型の画像を用いて行うことが考えられる。 また、空間的に隣接する画像を用いる場合、パイプライン処理の都合で符号化済みの画像が間に合わない可能性もある。この場合、代わりに予測画像を用いることが考えられる。 【0115】 実施の形態3. 上記実施の形態1では、動き補償予測部5,54のダイレクト 号化済みの画像が間に合わない可能性もある。この場合、代わりに予測画像を用いることが考えられる。 【0115】 実施の形態3. 上記実施の形態1では、動き補償予測部5,54のダイレクトベクトル生成部23,62が、空間ダイレクトベクトルと時間ダイレクトベクトルを生成するものを示したが、その空間ダイレクトベクトルと時間ダイレクトベクトルを生成する際、初期探索点を決定し、その初期探索点の周囲を探索することで、ダイレクトベクトルを決定するようにしてもよい。 【0139】この実施の形態3では、2本のベクトルを用いた予測を想定しているが、ベクトルの本数は3本以上であってもよい。 この場合、例えば、複数のベクトル候補のうち、閾値Th以下の評価値SADになる候補の全てを使用して予測画像を生成する方法が考えられる。 また、閾値Th以下の候補の全てを使用するのではなく、スライスヘッダなどに、予め使用する最大ベクトル数を定めておき、評価値の小さい候補から最大ベクトル数分用いて予測画像を生成するようにしてもよい。 【0143】実施の形態4. 上記実施の形態1では、動き補償予測部5,54が、符号化ブロックの周囲に位置している符号化済みブロック(復号済みブロック)の動きベクトルから空間ダイレクトモードの空間ダイレクトベクトルを生成するとともに、当該符号化ブロックが参照可能な符号化済みピクチャ(復号済みピクチャ)の動きベクトルから時間ダイレクトモードの時間ダイレクトベクトルを生成し、その空間ダイレクトベクトル又は時間ダイレクトベクトルの中から、参照画像間の相関が高くな る方のダイレクトベクトルを選択するものについて示したが、動画像符号化装置の動き補償予測部5では、選択可能な1以上の動きベクトルの中か 時間ダイレクトベクトルの中から、参照画像間の相関が高くな る方のダイレクトベクトルを選択するものについて示したが、動画像符号化装置の動き補償予測部5では、選択可能な1以上の動きベクトルの中から、予測画像の生成に適する動きベクトルを選択し、その動きベクトルを用いて、符号化ブロックに対する動き補償予測処理を実施して予測画像を生成するとともに、その動きベクトルを示すインデックス情報を可変長符号化部13に出力するようにしてもよい。 一方、動画像復号装置の動き補償予測部54では、ビットストリームに多重化されているインデックス情報が示す動きベクトルを用いて、符号化ブロックに対する動き補償予測処理を実施して予測画像を生成するようにしてもよい。 【0145】図32はこの発明の実施の形態4による動画像復号装置の動き補償予測部54を示す構成図 であり、図において、図6と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。 ダイレクトベクトル生成部65は選択可能な動きベクトルと、その動きベクトルを示すインデックス情報とが記述されているダイレクトベクトル候補インデックスを入力し、そのダイレクトベクトル候補インデックスから、インター予測パラメータに含まれているインデックス情報が示す動きベクトルを読み出し、その動きベクトルをダイレクトベクトルとして動き補償処理部63 に出力する処理を実施する。 【0162】この実施の形態4では、複数の動きベクトルの中で、コストRが最小の動きベクトルを選択するものを示したが、下記の式(15)に示すように、評価値SADkを算出して、その評価値SADkが閾値Th以下である動きベクトルを選択するようにしてもよい。 ただし、findexはインデックス情報を符号化している 5)に示すように、評価値SADkを算出して、その評価値SADkが閾値Th以下である動きベクトルを選択するようにしてもよい。 ただし、findexはインデックス情報を符号化しているベクトルが示す参照画像、gkはベクトルMV_kが示す参照画像を表している。 【0163】ここでは、評価値SADkを用いる例を示しているが、例えば、SSEなどの別の手法で評価するようにしてもよいことは言うまでもない。 【0164】使用するベクトルの本数を示す情報はスライス単位など上位ヘッダに多重するようにしてもよい。ベクトルの本数が増えると、符号化効率は向上するが、処理量が増えるため、トレードオフの関係にある。 また、スライス単位ではなく、符号化ブロックやパーティションなどより細かい単位で設定す るようにしてもよい。この場合、画像の局所性に応じて処理量と符号化効率のバランスを図ることができる。 【0182】実施の形態6. 上記実施の形態4では、動画像符号化装置における動き補償予測部5のダイレクトベクトル生 成部26が、図33に示すようなダイレクトベクトル候補インデックスを参照して、選択可能な1以上の動きベクトルを把握するものを示したが、符号化制御部1が、符号化ブロックのブロックサイズに応じて、選択可能な1以上の動きベクトルリストを生成し、選択可能な1以上の動きベクトルを示すダイレクトベクトル候補リストとダイレクトベクトル候補インデックスを参照することで、ダイレクトモードベクトルを決定してもよい。 具体的には、以下の通りである。 【0183】上述したように、選択可能な1以上の動きベクトルは、例えば、パーティションのブロックサイズ毎に一意に決定することができるが、図40に示すように 的には、以下の通りである。 【0183】上述したように、選択可能な1以上の動きベクトルは、例えば、パーティションのブロックサイズ毎に一意に決定することができるが、図40に示すように、符号化ブロックであるパーティションのブロックサイズが大きい場合、周囲のブロックとの相関が高く、逆にパーティションのブロックサイズが小さい場合、周囲のブロックとの相関が低い。 したがって、パーティションのブロックサイズが小さい程、選択可能な動きベクトルの候補数を減らすことができる。 【0184】そこで、符号化制御部1は、図41に示すように、予め、符号化ブロックであるパーティションのブロックサイズ毎に、選択可能な1以上の動きベクトルをリスト化している。 図41から明らかなように、パーティションのブロックサイズが小さい程、選択可能な動きベクトルの候補数を減らしており、例えば、ブロックサイズが「64」のパーティションでは、選択可能な動きベクトルの個数が「4」であるが、ブロックサイズが「8」のパーティションでは、選択可能な動きベクトルの個数が「2」である。 図42における「median」、「MV_A」、「MV_B」、「MV_C」、「temp oral」は、図33における「median」、「MV_A」、「MV_B」、「MV_C」、「temporal」と対応している。 【0193】また、この実施の形態6では、符号化ブロックであるパーティションのブロックサイズに応じて、選択可能な1以上の動きベクトルを決定するものを示したが、符号化ブロックの分割パター ンに応じて、選択可能な1以上の動きベクトルを決定するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。 図43は符号化ブロックの分割パターン毎に、選択可能な1以上の 化ブロックの分割パター ンに応じて、選択可能な1以上の動きベクトルを決定するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。 図43は符号化ブロックの分割パターン毎に、選択可能な1以上の動きベクトルを示すリストの説明図である。 例えば、符号化ブロックであるパーティションが、2partH1である場合、選択可能な1 以上の動きベクトルとして、「MV_A」、「MV_B」、「MV_C」、「temporal」 を定めているが、符号化ブロックであるパーティションが、2partH2である場合、左のブロックである2partH1とは動きが異なる可能性が高い。 そのため、2partH2が選択可能な1以上の動きベクトルの中から、左のブロックの動きベクトルである「MV_A」を削除して、「MV_B」、「MV_C」、「temporal」を定めている。 【0200】実施の形態7. 上記実施の形態6では、動画像符号化装置の符号化制御部1及び動画像復号装置の動き補償予測部54が、予め、選択可能な動きベクトルを示すリストを保持しているものを示したが、動画像符号化装置の可変長符号化部13が、そのリストを示すリスト情報を可変長符号化し、そのリ スト情報の符号化データを、例えば、スライスヘッダに多重して、動画像復号装置側に伝送するようにしてもよい。 この場合、動画像復号装置の可変長復号部51は、スライスヘッダに多重されている符号化データからリスト情報を可変長復号して、そのリスト情報が示すリストを動き補償予測部54のダイレクトベクトル生成部65に出力することになる。 【0202】動画像符号化装置の符号化制御部1は、上記実施の形態6と同様に、符号化ブロックであるパーティションのブロックサイズに応じて、選択可能な1以上 成部65に出力することになる。 【0202】動画像符号化装置の符号化制御部1は、上記実施の形態6と同様に、符号化ブロックであるパーティションのブロックサイズに応じて、選択可能な1以上の動きベクトルを決定するが、動きベクトルを決定する際に参照するリストが変更されているか否かを確認し、リストが前回と同じであれば(図44のステップST41)、前回とリストが同じである旨を動画像復号装置側に通 知するため、変更フラグを“オフ”に設定する(ステップST42)。 可変長符号化部13は、符号化制御部1が変更フラグを“オフ”に設定すると、“オフ”の変更フラグを符号化して、その符号化データを動画像復号装置側に伝送する(ステップST43)。 【0203】符号化制御部1は、前回とリストが異なる場合(ステップST41)、前回とリストが異なる 旨を動画像復号装置側に通知するため、変更フラグを“オン”に設定する(ステップST44)。 可変長符号化部13は、符号化制御部1が変更フラグを“オン”に設定すると、“オン”の変更フラグと変更後のリストを示すリスト情報を符号化して、その符号化データを動画像復号装置側に伝送する(ステップST45)。 図46はリスト内の「temporal」が選択可から選択不可に変更されているために、“オン”の変更フラグと変更後のリストを示すリスト情報を符号化している例を示している。 【0205】動画像復号装置の可変長復号部51は、変更フラグが“オン”であれば(ステップST52)、符号化データからリスト情報を復号し、“オン”の変更フラグとリスト情報を動き補償予測部54に出力する(ステップST54)。 動き補償予測部54は、可変長復号部51から“オン”の変更フラグとリスト情報を受けると、 ト情報を復号し、“オン”の変更フラグとリスト情報を動き補償予測部54に出力する(ステップST54)。 動き補償予測部54は、可変長復号部51から“オン”の変更フラグとリスト情報を受けると、 前回とリストが異なると認識し、そのリスト情報にしたがって現在保持しているリストを変更して、変更後のリストを参照対象に設定する(ステップST55)。 したがって、動き補償予測部54は、変更後のリストを参照して、今回復号を行うパーティションのブロックサイズに対応する1以上の動きベクトルを決定する。 図47は変更フラグが“オン”であるため、現在保持しているリストを変更している例を示し ている。 【符号の説明】【0210】 1 符号化制御部(符号化制御手段)、2 ブロック分割部(ブロック分割手段)、3 切替スイッチ(イントラ予測手段、動き補償予測手段)、4 イントラ予測部(イントラ予測手段)、 5 動き補償予測部(動き補償予測手段)、6 減算部(差分画像生成手段)、7 変換・量子化部(画像圧縮手段)、8 逆量子化・逆変換部、9 加算部、10 イントラ予測用メモリ、 11 ループフィルタ部、12 動き補償予測フレームメモリ、13 可変長符号化部(可変長符号化手段)、21 切替スイッチ、22 動きベクトル探索部、23 ダイレクトベクトル生成部、24 動き補償処理部、25,26,27 ダイレクトベクトル生成部、31 空間ダイ レクトベクトル生成部、32 時間ダイレクトベクトル生成部、33 ダイレクトベクトル判定 部、34,36,37 初期ベクトル生成部、35 動きベクトル探索部、41 動き補償部、 42 類似度算出部、43 ダイレクトベクトル選択部、51 可変長復号部(可変長復号手段)、 52 切替スイッチ(イントラ予測手段 37 初期ベクトル生成部、35 動きベクトル探索部、41 動き補償部、 42 類似度算出部、43 ダイレクトベクトル選択部、51 可変長復号部(可変長復号手段)、 52 切替スイッチ(イントラ予測手段、動き補償予測手段)、53 イントラ予測部(イントラ予測手段)、54 動き補償予測部(動き補償予測手段)、55 逆量子化・逆変換部(差分画像生成手段)、56 加算部(復号画像生成手段)、57 イントラ予測用メモリ、58 ル ープフィルタ部、59 動き補償予測フレームメモリ、61 切替スイッチ、62 ダイレクトベクトル生成部、63 動き補償処理部、64,65,66 ダイレクトベクトル生成部、71空間ベクトル生成部、72 時間ベクトル生成部、73 初期ベクトル判定部、81 動き補償部、82 類似度算出部、83 初期ベクトル決定部、91 切替スイッチ。 【図17】 【図31】 【図32】 【図45】 【図46】 【図47】 【図48】 別紙5 本件決定の理由 1 本件補正の適否について本件補正は、本件訂正の訂正事項を削除した上、異なる内容の訂正事項を追加するから、要旨変更であり、特許法120条の5第9項で準用する同法131条の2第1項に適合しな い。 2 本件訂正の適否について(1) 訂正事項2について変更フラグは、動きベクトル候補を示すリストを変更するための制御情報であり、変更フラグによって、動きベクトル候補が変更される場合に、動きベクトル候補の について(1) 訂正事項2について変更フラグは、動きベクトル候補を示すリストを変更するための制御情報であり、変更フラグによって、動きベクトル候補が変更される場合に、動きベクトル候補の数が変更さ れる場合はあるが、本件明細書には、空間動きベクトル候補だけが変更される場合、空間動きベクトル候補の数が必ず変更されること、空間動きベクトル候補と時間動きベクトル候補の両者が変わる場合、必ず動きベクトル候補の数が変更されることについての記載も示唆もない。 本件明細書には、変更フラグから「空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減 とにより空間動きベクトルの数と時間動きベクトルとの数とを足した合計が不変となる場合」を除くこと、あるいは、変更フラグによって動きベクトル侯補を変更する際に、「空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とにより空間動きベクトルの数と時間動きベクトルとの数とを足した合計が不変となる場合を除」くこと、あるいは、「空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とにより空間動きベクトルの数と時間動きベク トルとの数とを足した合計が不変となる場合」に、変更フラグをビットストリームに含めないことが記載されておらず、本件明細書には、「変更フラグ」が「インデックス情報に基づき選択される動きベクトル侯補の数を変更するための制御情報」であるということは、記載も示唆もされていない。 請求項1には「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更 するための制御情報が含まれるビットストリーム」、請求項2には「上記動きベクトル候 補の数を変更するための制御情報とを含むビットストリーム」と記載があり、本件明細書の【0012】、【0013】にも同様の記載がされているものの、上記制御情 、請求項2には「上記動きベクトル候 補の数を変更するための制御情報とを含むビットストリーム」と記載があり、本件明細書の【0012】、【0013】にも同様の記載がされているものの、上記制御情報が、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数のうち空間動きベクトルの数及び時間動きベクトルの数のうち少なくとも一方を変更するための」ものであることについて記載も示唆もなく、「空間動きベクトルの増減と時間動きベクトルの増減とに より空間動きベクトルの数と時間動きベクトルとの数とを足した合計が不変となる場合を除く」ことも記載も示唆もされていない。 以上のことから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるということはできず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合しない。 (2) 訂正事項3について訂正事項2と同様の訂正を請求項2について行うものであるから、(1)同様の理由により、特許法126条5項の規定に適合しない。 (3) 訂正事項5、7について(1)同様の理由により、特許法126条5項の規定に適合しない。 3 サポート要件について動きベクトル候補が変更される場合には、必ず動きベクトル候補の数が変更されるということを裏付ける記載はない。 本件明細書に記載される「変更フラグ」は、「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補」「を変更するための制御情報」であるにすぎず、同時に「当該インデッ クス情報に基づき選択される動きベクトル侯補の数を変更するための制御情報」でもあるということは読み取れない。 構成A1-3の「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更 クス情報に基づき選択される動きベクトル侯補の数を変更するための制御情報」でもあるということは読み取れない。 構成A1-3の「当該インデックス情報に基づき選択される動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」は、本件明細書中の発明の詳細な説明または図面中には実質的に記載されているとはいえず、また示唆もされていない。 4 明確性要件について構成要件B1-2、B1-3において「上記動き補償予測部」という記載があるが、これより前に「動き補償予測手段」は存在するものの、「動き補償予測部」は存在せず、「上記」が何を受けているのかが不明であって、記載が明確でない。
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