平成23(行ケ)10309 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年2月15日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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判決文本文18,052 文字)

平成24年2月15日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成23年(行ケ)第10309号審決取消請求事件(被参加事件平成23年(行ケ)第10111号)口頭弁論終結日平成24年1月25日判決承継参加人フィリップモリスブランズエスエーアールエル同訴訟代理人弁護士渡辺広己野中武戸田智彦秋山朋子脱退原告フィリップモリスプロダクツエスアー被告特許庁長官同指定代理人内田直樹芦葉松美板谷玲子 主文 1 承継参加人の請求を棄却する。 2 訴訟費用は承継参加人の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2010-11165号事件について平成22年11月16日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,脱退原告が,下記1の商標登録出願に対する下記2のとおりの手続において,脱退原告の拒絶査定不服審判請求について特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求め,承継参加人が,本件訴訟係属中に,脱退原告から商標を受ける権利を譲り受けた事案である。 1 本願商標(甲35)出願日:平成21年4月2日パリ条約に基づく優先権主張日:平成21年1月13日(スイス連邦)出願番号:商願2009-28626商標の構成: 指定商品:第 標(甲35)出願日:平成21年4月2日パリ条約に基づく優先権主張日:平成21年1月13日(スイス連邦)出願番号:商願2009-28626商標の構成: 指定商品:第34類「未加工又は加工済みのメンソール風味のたばこ,メンソール風味の葉巻たばこ,メンソール風味の紙巻きたばこ,メンソール風味のシガリロ,メンソール風味の手巻きたばこ,メンソール風味のパイプ用たばこ,メンソール風味のかみたばこ,メンソール風味のかぎたばこ,たばこ用紙で巻いたフィルター付き或いはフィルターなしのメンソール風味のたばこと切断された丁子からなるメンソール風味の紙巻きたばこ,メンソール風味の代用たばこ(医療用のものを除く。),その他のメンソール風味のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレット・チューブ,フィルター,ブリキ製のたばこ入れ,その他のたばこ入れ,たばこケース及び灰皿,喫煙パイプ,たばこ紙巻き器,喫煙用ライター,その他の喫煙用具,マッチ」 2 特許庁における手続の経緯等脱退原告は,平成22年2月25日付けで拒絶査定を受けたので,同年5月25日,これに対する不服の審判を請求した。 特許庁は,これを不服2010-11165号事件として審理したが,平成22年11月16日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との本件審決をし,その謄本は,同年12月8日,脱退原告に送達された。 脱退原告は,平成23年4月7日,本件訴訟を提起し,その後,承継参加人に対して本願商標について商標登録を受ける権利を譲渡し,平成23年6月8日,その旨の出願人名義変更届がされた(丙1。以下,脱退原告及び承継参加人を併せて,「原告ら」という。)。 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,本願商標と別紙記載の引用商標(乙1,2)とが称呼上, 変更届がされた(丙1。以下,脱退原告及び承継参加人を併せて,「原告ら」という。)。 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,本願商標と別紙記載の引用商標(乙1,2)とが称呼上,相紛らわしい類似の商標であり,かつ,本願商標の指定商品が,引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるから,本願商標が商標法4条1項11号に該当するというものである。 4 取消事由商標法4条1項11号に係る判断の誤り第3 当事者の主張〔原告らの主張〕(1) 本件審決の判断について本件審決は,本願商標及び引用商標に接したたばこ及び喫煙用具の取引者及び需要者が,図案化されていない文字「BL」及び「CK」並びに「Bl」及び「ck」のみを抽出して識別するから,両商標からは「ビイエルシイケイ」との称呼が生じるとの前提に立って両者の類否を判断している。 しかしながら,本願商標及び引用商標の指定商品の取引者及び需要者が,本願商標からあえて図案化されていない文字を選択し,特定の観念も生じない「BL」 「CK」又は「Bl」「ck」(ビイエルシイケイ)と認識・把握するとの本件審決の判断は,不自然であり,取引の実情にそぐわない。 (2) 本願商標の称呼及び観念についてア本願商標は,黒色の長方形の図形中に,「BL[A]CK/MENTHOL」の文字を同一の書体及び横幅で上下段に密着して配置し,[A]の文字を原告ら及び関連会社が製造販売するたばこ「MARLBORO」ブランドを象徴する周知著名の商標「マールボロ・ルーフ・デザイン」(以下「本願図形」という。)によって図案化・表示している(甲21~23,25~27,37~46,丙9~20。以下,枝番を省略する。)。そのため,取引者及び需要者がこれをあえて分離して観察するとは考えられず,「BL[A う。)によって図案化・表示している(甲21~23,25~27,37~46,丙9~20。以下,枝番を省略する。)。そのため,取引者及び需要者がこれをあえて分離して観察するとは考えられず,「BL[A]CK/MENTHOL」の文字を一体として捉えて考えるのが自然である。 そして,本願商標の指定商品であるたばこ・喫煙用具の取引者(たばこ等取扱業者)及び需要者(成人喫煙者)は,多種多様なたばこブランド・銘柄が存在する状況において,その中から各人の嗜好に合う商品を選別して購入しており,商品識別に関して相応の注意力を有している。そのため,これらの者の通常の注意力をもってすれば,何ら意味を持たない「BL」及び「CK」の文字を看取した場合,通常,それだけを認識して把握するだけではなく,これに何らかの意味を見いだそうと注意を払うのが自然である。本願商標の取引者及び需要者は,その場合,上段について1文字分のスペースを置いた前後の文字との関係や,本願商標の背景の図形の色である黒色を表す親しまれた英単語「BLACK」に加えて,図案化した文字[A]の三角形の屋根(ルーフ)の形状が,欧文字「A」の最も特徴を有する点と一致している(欧文字の「O」の形状とは,特徴が合致しない。)ことから,これを[A]とみて,本願商標の上段は「BL[O]CK」ではなく,「BL[A]CK」の語を表したものと容易に想定することができる。 まして,本願商標は,最近,取引者及び需要者の間で成功を収めている商品である原告らの「MARLBORO」ブランドの「ブラックメンソール」シリーズに使 用されるために考案されたものである(甲25,27)。そして,原告らは,同じく「MARLBORO」ブランドで「BLACKGOLD(ブラックゴールド)」というシリーズのたばこも製造・販売している(甲34) れるために考案されたものである(甲25,27)。そして,原告らは,同じく「MARLBORO」ブランドで「BLACKGOLD(ブラックゴールド)」というシリーズのたばこも製造・販売している(甲34)から,取引者及び需要者は,これらの商品を区別・差別化するため,本願商標を上下段で併せて一連の造語である「ブラックメンソール」として認識・理解するのが商品識別の実態である。 イしたがって,本願商標からは,観念を伴わない「ビイエルシイケイ」との称呼が生ずるものではなく,その一体感ある構成により一連の造語「BL[A]CK/MENTHOL」として認識・把握され,一連で,簡潔かつ発音しやすい「ブラックメンソール」との称呼が生じ,これに応じて「黒のメンソール」又は「黒いメンソール」の観念が生じるほか,取引者及び需要者は,本願商標を使用した商品の出所が原告ら又は原告らの「MARLBORO」ブランドであることを容易に認識することができる。 なお,被告は,本願商標について,「ブラックメンソール」との称呼が生じることを,かつて認めていた(甲7)。 (3) 引用商標の称呼及び観念についてアたばこ及び喫煙用具の取引者及び需要者は,前記の本願商標の場合と同様に,引用商標に何らかの意味を見いだそうと注意を払うのが自然であるところ,引用商標が大文字の「B」から始まり,中央に配置されている図形の次の文字が小文字の「c」であり,当該図形が星の図形であることからすれば,これが5文字からなる1つの単語を表したものであろうことを容易に推察する。そして,親しまれた英単語「Black」に通じる前後の文字「Bl」及び「ck」との関係や,星の図形が欧文字「A」の形状と共通性があり(欧文字の「O」の形状とは,特徴が合致しない。),各種のレタリングに用いられていること(甲8)から,取 」に通じる前後の文字「Bl」及び「ck」との関係や,星の図形が欧文字「A」の形状と共通性があり(欧文字の「O」の形状とは,特徴が合致しない。),各種のレタリングに用いられていること(甲8)から,取引者及び需要者は,星の図形を難なく「A(a)」と置き換え,全体として「Block」ではなく「Black」の語を表していると容易に認識し得る。 まして,引用商標の登録名義人である日本たばこ産業株式会社(以下「日本たば こ」という。)が発売している「SevenStars(セブンスター)」は,極めて著名なたばこのブランドであり,セブンスターたばこのパッケージには7個の黒い星の図形が必ず配置されているから,7個の黒い星の図形は,セブンスターブランドの商品であることを表す図形として広く認識されている(甲23,29,30,丙21)。そして,日本たばこは,平成21年以降,「SevenStars/BlackImpact(セブンスター・ブラック・インパクト)」及び「セブンスター・ブラック・インパクト・ボックス」との商品を販売しており,いずれも黒を基調とした商品パッケージに「7」をかたどった星の図形又は7個の星が大きく表示されていた(甲30~33,48~50)。 イしたがって,引用商標からは,観念を伴わない「ビイエルシイケイ」との称呼が生ずるものではなく,取引者及び需要者は,7個の星の図形からこれをセブンスターブランドの商品であると認識し,かつ,「セブンスター・ブラック・インパクト」の浸透により,星の図形を「A(a)」に置き換え,「Black」の語を表したものと理解する。したがって,引用商標からは,「ブラック」との称呼が生じ,これに応じて「黒,黒色」の観念が生じるほか,7個の星の図形から,著名ブランドである「セブンスター」の観念とともに,「セブンスター と理解する。したがって,引用商標からは,「ブラック」との称呼が生じ,これに応じて「黒,黒色」の観念が生じるほか,7個の星の図形から,著名ブランドである「セブンスター」の観念とともに,「セブンスター」の称呼あるいはこれらを結合した「セブンスター・ブラック」との称呼が発生する。 なお,被告は,引用商標について,「ブラック」との称呼が生じることを,かつて認めていた(甲28)。 (4) 本願商標と引用商標との類否判断についてア以上のように,本願商標に接した取引者及び需要者は,その一体感ある外観及び構成に加えて,本願商標中の本願図形(マールボロ・ルーフ・デザイン)が[A]の文字を表すことを容易に看取し,これを一連の造語「BL[A]CK/MENTHOL(ブラックメンソール)」からなる商標として認識・把握するというのが実際の商品識別行為であり,ゆえに,本願商標からは一連の称呼「ブラックメンソール」のみが生じ,「黒のメンソール」又は「黒いメンソール」といった観念を生 じる一方,引用商標からは,「ブラック」の称呼が生じ,それに対応して「黒」の観念が生ずる。 したがって,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても非類似であり,よって,両者は,非類似商標である。 イ本願商標は,原告ら又は原告らの商品であることを表す著名な本願図形(マールボロ・ルーフ・デザイン)を使用するとともに,本願商標を使用した「マールボロ・ブラックメンソール」が人気商品となっている一方,引用商標も,日本たばこ又は日本たばこの著名な「セブンスター」商品であることを表す7個の星の図形を使用していることにより,本願商標及び引用商標を指定商品であるたばこや喫煙用具に使用した場合,取引者及び需要者がこれらの出所を混同することはあり得ない。 ウ仮に,本願商標 を表す7個の星の図形を使用していることにより,本願商標及び引用商標を指定商品であるたばこや喫煙用具に使用した場合,取引者及び需要者がこれらの出所を混同することはあり得ない。 ウ仮に,本願商標の「MENTHOL(メンソール)」の文字を識別力が低いと考え,本願商標の要部を「BL[A]CK」と認定した場合,本願商標からは「ブラック」の称呼及び「黒」の観念が生じる。 しかし,黒を意味する「BLACK/ブラック」は,指定商品との関係で,商品の品質(色彩)が黒色であることを表示するにすぎないとして,商標法3条1項3号に該当する可能性がある。 これに対して,本願商標は,欧文字[A]を著名な本願図形に図案化する一方,引用商標は,やはり著名な7つ星の図形を構成する1つの星の図形で欧文字[a]を図案化することで,いずれも図形と文字とが融合した一体の構成をとったことで,それぞれ識別力を持つ商標として認識・把握されるようになっているから,両者の欧文字[A]又は[a]の図案化の態様が非類似である以上,本願商標と引用商標とは,非類似であるというべきである。 (5) 指定商品及び取引の実情についてア承継参加人は,平成23年9月27日,本願商標の指定商品のうち,「マッチ」について(丙2~4),同年10月21日,同じく「紙巻きたばこ用紙」を除 く全ての指定商品について(丙6,7),それぞれ商標法10条1項に基づく分割出願をした上で,本願商標の指定商品から削除した(丙3~5,7,8)。ただし,承継参加人は,残された指定商品である「紙巻きたばこ用紙」についてのみ審理判断を求めているものではない。 イ本願商標及び本願図形は,前記のとおり,たばこの取引者及び需要者に広く認識されているから,本願商標の指定商品のうち,各種の「たばこ」並びにこれに関連する「 審理判断を求めているものではない。 イ本願商標及び本願図形は,前記のとおり,たばこの取引者及び需要者に広く認識されているから,本願商標の指定商品のうち,各種の「たばこ」並びにこれに関連する「紙巻きたばこ用紙」及び各種の喫煙用具(丙19.20)に使用された場合,その商品の出所として原告らが想起・認識されるという取引の実情がある。 また,本願商標の指定商品のうち,「マッチ」は,喫煙用具に含まれるライターと同様,たばこに火をつける道具として一般的かつ恒常的に使用されているから,本願商標及び本願図形をマッチに付した場合には,取引者及び需要者は,そのマッチが原告らを出所とする商品であると把握する。他方で,引用商標及び7個の黒い星の図形は,前記のとおり,たばこ及び喫煙用具の取引者及び需要者に広く知られているから,これがマッチに使用された場合,取引者及び需要者は,日本たばこを出所とする商品であると把握する。したがって,「マッチ」について本願商標や引用商標が使用された場合には,その商品の出所について誤認混同が生じるおそれはない。 (6) 結論よって,本願商標と引用商標とは,非類似であるというべきであり,本件審決は,商標法4条1項11号の判断を誤るものである。 〔被告の主張〕(1) 本願商標及び引用商標の類否判断についてア外観,称呼及び観念について本願商標の「BL」及び「CK」の文字部分と「MENTHOL」との文字部分とは,上下に分けて表され,かつ,「MENTHOL」の文字が比較的小さいばかりか,両者が一体となって特定の意味合いを生じるような観念上のつながりもない ことから,両者は,視覚上,分離して観察されるものである。さらに,本願商標中の「MENTHOL」の文字部分は,その指定商品との関係において,メンソール風味のたばこ うな観念上のつながりもない ことから,両者は,視覚上,分離して観察されるものである。さらに,本願商標中の「MENTHOL」の文字部分は,その指定商品との関係において,メンソール風味のたばこであるとの品質ないし商品の特性を表示したものと容易に認識され(甲25,50),自他商品の識別標識として機能せず,当該文字部分から出所識別標識としての称呼及び観念を生じない。 他方,本願商標の「BL」及び「CK」並びに引用商標の「Bl」及び「ck」は,図形を中心に左右両側にバランスよく同じ書体,同じ色彩等をもって表されていることから,これらの文字は一体のものとして見られ,かつ,本願商標及び引用商標の各図形部分とこれらの文字部分とに有機的な統一感を与えるようなデザインが施されているものではないから,当該図形部分と当該文字部分とは,いずれも分離して看取される。 また,本願商標及び引用商標の各図形部分は,いずれもいかなる文字の特徴とも一致しないから,取引者及び需要者は,当該図形部分が文字を図案化したものとは認識し得ず,したがって,本願商標及び引用商標の各文字部分をもって,商品の出所識別標章として看取・認識する。 さらに,本願商標及び引用商標の各文字部分は,商品の出所識別標章として強く支配的な印象を与えるから,いずれも各商標の要部であるというべきところ,これらの各文字部分は,いずれも特定の意味合いを有する語として我が国で広く親しまれたものといえる事実もないから,これらから特定の観念は生じることはなく,簡易・迅速を尊ぶ取引の実際にあっては,取引者及び需要者は,上記文字部分をもって取引に資する場合も少なくない。 したがって,本願商標及び引用商標は,いずれも上記文字部分に相応した「ビイエルシイケイ」の称呼を生じ,かつ,特定の観念は生じない。 イ本願商 上記文字部分をもって取引に資する場合も少なくない。 したがって,本願商標及び引用商標は,いずれも上記文字部分に相応した「ビイエルシイケイ」の称呼を生じ,かつ,特定の観念は生じない。 イ本願商標と引用商標との類否について本願商標及び引用商標のうち,「BLCK」及び「Blck」の各文字部分は,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであって,本願商標の要 部として認識・把握されるものである。そして,本願商標及び引用商標の各要部である「BLCK」及び「Blck」の各欧文字を対比すると,大文字・小文字の差異はあるものの,同一のつづりからなる文字であるから,出所識別標識として重要な役割を果たす当該文字部分は,その限りにおいて,外観上近似する。 そして,前記のとおり,本願商標及び引用商標は,いずれも,独立して自他商品の出所識別標識としての機能を果たす文字部分が「ビイエルシイケイ」との称呼を共通にしており,ともに特定の意味合いを直ちに看取させないものであるから,観念において比較することができない。 よって,本願商標と引用商標とは,類似の商標である。 ウ指定商品及び取引の実情について本願商標と引用商標の各指定商品は,同一又は類似の商品であり,商標間の類否判断に影響を与えるような具体的な取引状況として,指定商品全般についての一般的・恒常的な取引の実情は見当たらない。また,原告らが本願図形を用いているのは,指定商品のうちの紙巻きたばこ及びその広告に限定されており,原告らは,本願商標と引用商標の抵触する商品全般の取引の事情について明らかにしていない。 仮に,本願商標,本願図形(マールボロ・ルーフ・デザイン),引用商標及び7個の星の図形が「たばこ」について使用された結果,「たばこ」及び「たばこ関連商品」の需要者間に広く知ら 明らかにしていない。 仮に,本願商標,本願図形(マールボロ・ルーフ・デザイン),引用商標及び7個の星の図形が「たばこ」について使用された結果,「たばこ」及び「たばこ関連商品」の需要者間に広く知られているとしても,少なくとも「マッチ」については,そのような事情は存在しない。すなわち,原告ら及び日本たばこは,いずれも「マッチ」について本願商標及び引用商標を使用も製造もしていない(乙3~5)。また,「たばこ」と「マッチ」とは,日本標準商品分類においても別異の商品とされているし(乙6),「たばこ」の需要者は,喫煙者に限定されるのに対し,「マッチ」は,火を得るために汎用される用具であるから,その需要者は,喫煙者に限定されず,性別・年代を問わず広範な範囲にわたる。 エ結論したがって,本願商標をその指定商品(少なくとも「マッチ」)に使用した場合 には,その出所について誤認混同を生じるおそれがあるので,本願商標は,商標法4条1項11号に該当する。 (2) 原告らの主張に対する反論ア本願商標について「Marlboro」商標は,文字が出所識別標識としての機能を果たしているものである一方,本願図形(マールボロ・ルーフ・デザイン)は,欧文字「A」の外観上の特徴である「△」の形状と共通性のある三角形を看取させるものではないし,「マールボロ」ブランドのたばこの包装に表された図形が欧文字の「A」を表すものとの事実も,見当たらない(甲24)。さらに,本願図形は,原告らが他で使用しているものと色彩等の印象が大きく相違するばかりか,黒色中に同系列の無彩色である濃い灰色を用いて表されているものであるから,さほど目立つ態様でもなく,三角形又は三角形の屋根の形状とは認識し得ない。 また,図形と文字の結合からなる商標について,常に必ずしも,図案部分を文 色である濃い灰色を用いて表されているものであるから,さほど目立つ態様でもなく,三角形又は三角形の屋根の形状とは認識し得ない。 また,図形と文字の結合からなる商標について,常に必ずしも,図案部分を文字の図案化されたものと看取・認識するという理由はない。むしろ,本願商標の指定商品であるたばこの需要者は,成人ではあるものの,その商品自体は,特殊であるとか極めて高価であるとか,その他子細かつ慎重に注意を払われる商品ではないから,一般の成人消費者が日用品の購買に際して払う注意力を基準に判断をすべきところ,そのような取引者及び需要者の注意力を基準とすれば,取引者及び需要者は,親しみやすく,かつ,印象にとどめやすい「BLCK」の欧文字部分を本願商標の出所識別標識として看取・認識するのであって,本願商標中の「BLCK」の文字部分を捨象するのは不自然である。商標の類否に関する取引の実情とは,その争点となる商品全般についての一般的・恒常的なものであって,単にある商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的なものではないところ,原告らの主張は,本願商標の指定商品のうち,現時点における「紙巻きたばこ」及びその広告に限定されている。 さらに,「マールボロ・ブラック・メンソール」シリーズの商品パッケージ等は, 著名な「Marlboro」商標が出所識別標識としての機能を果たしているばかりか,「BLACKMENTHOL」の欧文字が明瞭に表示され,特に欧文字「A」の図案化はされていないから,当該商品を前提として,無彩色である濃い灰色の地色に同系統の色彩である濃い灰色で平板に表され,地色に埋没しているかのような本願図形が「A」と需要者に容易に認識されることにはならない。 イ引用商標について星の図形を欧文字「a」と看取する理由はないし,また, である濃い灰色で平板に表され,地色に埋没しているかのような本願図形が「A」と需要者に容易に認識されることにはならない。 イ引用商標について星の図形を欧文字「a」と看取する理由はないし,また,前記のとおり,図形と文字の結合からなる商標について,常に必ずしも,図案部分を文字の図案化されたものと看取・認識するという理由はない。 原告ら主張に係る「SevenStarsBlackImpact」は,その商標として「SevenStars」のほか,「セブンスター・ブラック・インパクト」及び「BlackImpact」の文字商標が使用されており,かつ,当該商品のパッケージ前面の構成態様と引用商標の構成態様とは,明らかに相違しているから,「SevenStarsBlackImpact」が宣伝されたとしても,需要者が引用商標を「Bl(a)ck」と容易に理解し得るとはいえない。 また,「SevenStars」及び「セブンスター」が周知著名の紙巻きたばこの商標であるとしても,それ自体がありふれている星の図形を黒色で7つ表示したものが,直ちに当該各商標を認識させるものとはいえないし,「セブンスター」シリーズの商品には,いずれも当該各商標が使用されている一方,当該各商標や当該商品のパッケージ前面の構成態様は,引用商標と明らかに相違している。 したがって,引用商標から出所識別標識として「セブンスター」又は「セブンスターブラック」の称呼及び「セブンスター」の観念が生じるということはできない。 第4 当裁判所の判断 1 商標の類否の判断基準について商標法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記 憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,かつ,その商品又 係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記 憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,かつ,その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)。 しかるところ,複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されない。他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1612頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 2 本願商標及び引用商標の構成等についてそこで,以上の見地から,まず,本願商標及び引用商標の構成等をみることとする。 (1) 本願商標について本願商標は,黒色の横長四角形内の上段に白抜きで同じ書体かつ同じ大きさの「BL」及び「CK」の欧文字を の見地から,まず,本願商標及び引用商標の構成等をみることとする。 (1) 本願商標について本願商標は,黒色の横長四角形内の上段に白抜きで同じ書体かつ同じ大きさの「BL」及び「CK」の欧文字を,高さがこれらの欧文字と等しい灰色の四角形の下部を三角形状に切り取った図形の左右両側に均等に配置し,その下段に白抜きで互いに同じ書体かつ同じ大きさだが,「BL」及び「CK」よりは若干小さい「MENTHOL」の欧文字を,その左右端が上段の「BL」及び「CK」の左右端と 同じになるように配置した構成からなるものである。 そして,上記図形は,その左右を「BL」及び「CK」との欧文字で囲まれている上に,これらの欧文字とも均等に配置されており,かつ,高さもこれらの欧文字と等しいことに加えて,その下部が三角形状に切り取られている形状であることから,欧文字の「A」を想起させるものであり,我が国でも広く用いられている「BLACK(黒,黒色)」との英単語のうちの欧文字の「A」の部分を当該図形により置き換えて図案化したものであることを容易に看取できるというべきである。そして,本願商標では,上段の欧文字と下段の欧文字がいずれも白抜きの同じ書体で構成されており,両者をよどみなく称呼し得るから,両者は,一連のものとして認識される結果,本願商標からは,上段の上記英単語「BLACK」に下段の「MENTHOL」を続けて発音した「ブラックメンソール」との称呼が生じ,併せて,「黒色のメンソール」との観念を生じることそれ自体は否定できない。 しかしながら,本願商標の指定商品(補正後のもの)が前記第2の1に記載のとおりの商品であることに鑑みると,本願商標の下段(「メンソール」との称呼及び観念を生じさせる部分)からは出所識別標章としての称呼又は観念は必ずしも生じないというべ 後のもの)が前記第2の1に記載のとおりの商品であることに鑑みると,本願商標の下段(「メンソール」との称呼及び観念を生じさせる部分)からは出所識別標章としての称呼又は観念は必ずしも生じないというべきであって,本願商標からは,以上のほか,「ブラック」との称呼を生じ,併せて,「黒,黒色」との観念を生ずることも否定できないところである。 (2) 引用商標について他方,引用商標は,黒色で同じ大きさの星形の図形を縦に7つ並べ,上から4つ目の星形の図形(以下「本件星形」という。)を中心として,本件星形の高さに等しく,黒色で同じ書体かつ大文字・小文字の大きさに対応した「Bl」及び「ck」の欧文字をその左右両側に均等に配置した構成からなるものである。 そして,本件星形は,その左右を小文字の欧文字の「l」及び「c」で挟まれており,星形図形に近似した小文字の欧文字を直ちに見いだし難いことに照らすと,引用商標からは,「ビイエルシイケイ」との称呼が生じ,特定の観念を生じないといえなくもない。 もっとも,本件星形は,上記のように左右を「Bl」及び「ck」との欧文字で囲まれている上に,これらの欧文字とも均等に配置されており,かつ,高さもこれらの欧文字と等しいことに加えて,「Bl」,「ck」及びこの両者の間の1つの欧文字からなる英単語で我が国で広く知られたものには,「Black」及び「Block」があるが,本件星形が頂点を5つ有していることから欧文字の大文字である「A」を想起させる余地がある。ゆえに,引用商標は,「Black(黒,黒色)」との英単語のうちの欧文字の「a」の部分を本件星形により置き換えて図案化しているものと見ることもできる。 したがって,引用商標からは,上記英単語「Black」を発音した「ブラック」との称呼が生じ得るほか,併せて,「黒 文字の「a」の部分を本件星形により置き換えて図案化しているものと見ることもできる。 したがって,引用商標からは,上記英単語「Black」を発音した「ブラック」との称呼が生じ得るほか,併せて,「黒,黒色」との観念を生じ得るということができる。 (3) 小括以上によれば,本願商標と引用商標とでは,外観を異にしているが,称呼としては,本願商標が少なくとも「ブラック」との称呼を生じるのに対して,引用商標も「ブラック」との称呼を生じ,観念も,本願商標が「黒,黒色」であるのに対し,引用商標も「黒,黒色」であるというように,称呼と観念とは共通するものといわなければならない。 なお,この点について,被告は,本願商標及び引用商標からはいずれも「ビイエルシイケイ」との称呼が生じ,特定の観念が生じない旨を主張する。 しかしながら,本願商標のような構成のなかに図形を配置した場合,当該図形が欧文字の「A」を想起させることは前記のとおりであって,本願商標の称呼を検討するに当たり,欧文字部分(「BL」及び「CK」)と当該図形とを分離して観察することは,それ自体不自然であるというほかない。また,引用商標のような構成の中に本件星形を配置した場合にも,本件星形が欧文字の「A」を想起させる余地があることは前記のとおりであって,引用商標が欧文字「a」の部分を本件星形により置き換えて図案化していると見る余地を否定すべき事情も見当たらない。 よって,被告の主張は,失当として,採用できない。 3 指定商品の取引の実情についてそこで,次に,取引の実情をみることとする。 (1) 指定商品について補正後の本願商標の指定商品は,第34類「未加工又は加工済みのメンソール風味のたばこ,メンソール風味の葉巻たばこ,メンソール風味の紙巻きたばこ,メンソール風味のシガリ (1) 指定商品について補正後の本願商標の指定商品は,第34類「未加工又は加工済みのメンソール風味のたばこ,メンソール風味の葉巻たばこ,メンソール風味の紙巻きたばこ,メンソール風味のシガリロ,メンソール風味の手巻きたばこ,メンソール風味のパイプ用たばこ,メンソール風味のかみたばこ,メンソール風味のかぎたばこ,たばこ用紙で巻いたフィルター付き或いはフィルターなしのメンソール風味のたばこと切断された丁子からなるメンソール風味の紙巻きたばこ,メンソール風味の代用たばこ(医療用のものを除く。),その他のメンソール風味のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレット・チューブ,フィルター,ブリキ製のたばこ入れ,その他のたばこ入れ,たばこケース及び灰皿,喫煙パイプ,たばこ紙巻き器,喫煙用ライター,その他の喫煙用具,マッチ」であり,引用商標の指定商品は,第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」であるから,両者の指定商品は,たばこ及びその関連商品(以下「たばこ等」という。)並びにマッチであって同一又は類似であることが明らかである。 (2) たばこ等の取引の実情についてそこで,これらのたばこ等の取引の実情について検討すると,証拠(甲25,32~34,41~56,丙9~21)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 すなわち,たばこ等の中核商品である紙巻きたばこは,いずれも価格の類似する20本入りの箱を1つの単位として販売されているが,一般的な生活必需品などではなく,購買力を有する成人の極めて広い層が需要者となっている典型的な嗜好品であって,その製造,卸売及び小売に関わる取引者も,たばこ事業法により制限されている。そして,原告らが製造・販売している「マールボロ」との名称を有する紙巻きたばこの銘柄には20種類以上が,引用商標の商標権者が製造・販売して 及び小売に関わる取引者も,たばこ事業法により制限されている。そして,原告らが製造・販売している「マールボロ」との名称を有する紙巻きたばこの銘柄には20種類以上が,引用商標の商標権者が製造・販売してい る「セブンスター」又は「セブン」との名称を有する紙巻きたばこの銘柄には15種類以上が,それぞれ存在することからも明らかなように,紙巻きたばこは,銘柄ごとのタール及びニコチンの含有量その他の成分の違いによって味わい等に微妙な差異ないし特色が設けられており,取引者及び需要者も,そのような各銘柄の差異ないし特色が消費(喫煙)ひいては商品の選択に当たって重要な意味を持つものとして認識している。しかも,たばこ等の製造・販売業者は,その商標,上記20本入りの箱の外観(パッケージ)及び銘柄の命名に意を凝らしてある銘柄について他の銘柄との間で差別化を図り,併せて各銘柄の有する特色又はその印象を強調した宣伝広告をするなどしている。また,たばこ等の製造・販売業者は,上記のようにたばこが典型的な嗜好品であることを反映して,このような自社のたばこの宣伝広告の一環として,たばこの消費(喫煙)に関連する各種のたばこ関連用品(例えば,喫煙用ライター。甲42,丙17,19,20)についても,自社のたばこの商標等を付するなどした上で頒布している。そのため,たばこ等の取引者及び需要者は,これらの商標等の違いによって多数の銘柄及びそれぞれの銘柄の有する特色をおおむね正確に識別しており,取引に当たって特にその商標の細部の差異についても十分な注意を払い,自己の最も嗜好する銘柄を選択しているのが実情である。 (3) たばこ等の指定商品について本願商標及び引用商標が想起させるブランドについて原告らは,「マールボロ」との称呼を生じさせる「Marlboro」との欧文字からな 択しているのが実情である。 (3) たばこ等の指定商品について本願商標及び引用商標が想起させるブランドについて原告らは,「マールボロ」との称呼を生じさせる「Marlboro」との欧文字からなる商標を使用したたばこ商品を製造・販売しているが,「マールボロ」の銘柄を冠した商品名を有するたばこ商品(いわゆる「マールボロ」ブランド)は,販売実績上位20銘柄のうち3銘柄を占め(平成21年度第4四半期においてシェア合計5.1%),輸入紙巻きたばこに限ると販売実績上位10銘柄のうち首位を含む5銘柄を占めているから,いわゆる「マールボロ」ブランドは,たばこ等の取引者及び需要者に周知著名であると認められる。しかも,いわゆる「マールボロ」ブランドのたばこ商品の多くは,いずれも,本願商標においてその左右を「BL」 及び「CK」との欧文字で囲まれている四角形の下部を三角形状に切り取った図形(本願図形)と同一又は類似のものを,その20本入りの箱の表面に大きく書き込んでおり,本願図形は,それ自体がいわゆる「マールボロ」ブランドを表象するものとしてたばこ販売店等で用いられているから(甲23,25,40~46,丙9~20),これを指定商品であるたばこ等に使用した場合,取引に当たりその商標の細部の差異についても十分な注意を払う取引者及び需要者において周知著名のいわゆる「マールボロ」ブランドに属する銘柄のたばこ等を想起させるものである。 他方,引用商標の商標権者は,「セブンスター」との称呼を生じて7つの星との観念を生じさせる「SevenStars」との商標を使用したたばこ商品を販売しており,当該銘柄が我が国における紙巻きたばこの販売実績の首位を占めている(平成21年度第4四半期においてシェア5%)ことに加えて,引用商標の商標権者が販売する「セブンスター」 たたばこ商品を販売しており,当該銘柄が我が国における紙巻きたばこの販売実績の首位を占めている(平成21年度第4四半期においてシェア5%)ことに加えて,引用商標の商標権者が販売する「セブンスター」の銘柄を冠し又はこれに関連した商品名を有するたばこ商品(いわゆる「セブンスター」ブランド)が販売実績上位20銘柄のうち11銘柄を占め(同じくシェア合計30.4%),販売実績の上位6位までを独占しているから,いわゆる「セブンスター」ブランドは,たばこ等の取引者及び需要者に周知著名であると認められる(甲23,29,30,32,33,47~50,丙21)。そして,引用商標は,星形の図形を縦に7つ並べていることから,これを指定商品であるたばこ等に使用した場合,取引に当たりその商標の細部の差異についても十分な注意を払う取引者及び需要者において周知著名のいわゆる「セブンスター」ブランドに属する銘柄のたばこ等を想起させるものである。 (4) マッチの取引の実情について他方,本願商標及び引用商標に共通の指定商品であるマッチについてみると,本件の証拠及び弁論の全趣旨によっても,マッチは,たばこの消費(喫煙)に使用されることがあるとはいえるものの,喫煙以外の様々な用途にも用いられる個別単価の安価な使い捨ての汎用品であって,その取引者及び需要者は,嗜好品であるたばこ等の取引者及び需要者に限られず,それよりもはるかに広汎である。また,マッ チについては,喫煙用ライターとは異なり,現在では喫煙に使用される頻度も圧倒的に低く,たばこの宣伝広告の一環として特定のたばこの商標等を付するなどしたものも見当たらないから,その取引者及び需要者において,各銘柄の差異ないし特色が消費ひいては商品の選択に当たって重要な意味を持つものとして認識されているなどの取引の実情も,認 商標等を付するなどしたものも見当たらないから,その取引者及び需要者において,各銘柄の差異ないし特色が消費ひいては商品の選択に当たって重要な意味を持つものとして認識されているなどの取引の実情も,認められない。 したがって,マッチの販売に当たって本願図形又は7つの星形を使用したとしても,いわゆる「マールボロ」ブランド又はいわゆる「セブンスター」ブランドに属する銘柄のたばこ等をマッチの取引者及び需要者に想起させるとは限らず,他に「マッチ」という指定商品について本願商標と引用商標との類否判断に当たって検討を要する具体的な取引状況を認めるに足りる証拠もない。 4 本願商標と引用商標との類否判断について(1) 以上によれば,本願商標及び引用商標の指定商品のうち,たばこ等についてみると,その取引者及び需要者は,取引に当たり商標の細部の差異についても十分な注意を払うものであって,本願商標と引用商標とでは,「ブラック」との称呼が生じること及び「黒,黒色」との観念を生じることで共通しているとはいえ,両者は,外観を著しく異にしている上に,本願商標及び引用商標は,いずれも,我が国において周知著名のいわゆる「マールボロ」ブランド又はいわゆる「セブンスター」ブランドに属する銘柄のたばこ等を取引者及び需要者にそれぞれ想起させるから,本願商標及び引用商標が指定商品であるたばこ等に用いられたとしても,たばこ等の取引者及び需要者において,その出所の識別に当たって誤認混同を生じるおそれはないものというべきである。 (2) しかしながら,本願商標及び引用商標の指定商品のうち,「マッチ」についてみると,本願商標と引用商標とでは,「ブラック」との称呼が生じること及び「黒,黒色」との観念を生じることで共通していることに加えて,「マッチ」の取引者及び需要者については,たばこ 「マッチ」についてみると,本願商標と引用商標とでは,「ブラック」との称呼が生じること及び「黒,黒色」との観念を生じることで共通していることに加えて,「マッチ」の取引者及び需要者については,たばこ等におけるような取引の実情が認められず,他に「マッチ」という指定商品について本願商標と引用商標との類否判断に当たって 検討を要する具体的な取引状況を認めるに足りる証拠もない。 したがって,本願商標と引用商標とは,「マッチ」という指定商品に関する限り,商標法4条1項11号に該当する類似の商標であるというほかなく,本件審決の判断も,結論において誤りとはいえない。 5 結論以上の次第であるから,承継参加人の請求は,棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官滝澤孝臣 裁判官井上泰人 裁判官荒井章光 別紙引用商標登録番号:登録第5240924号出願日:平成20年11月10日登録日:平成21年6月19日商標の構成: 指定商品:第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」

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