- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人高野隆ほかの上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でないか,実質において事実誤認,単なる法令違反の主張であり,その余も,憲法違反をいう点を含め,実質は事実誤認,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を精査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められず,本件のうち,傷害については,被告人が単独で,その余については,被告人が共犯者らと共謀の上,各犯行に及んだものと認めた原判断は,正当として是認することができる。 付言すると,本件は,被告人が,愛人女性らと共謀の上,いわゆる保険金殺人を企て,いずれも高額の生命保険が掛けられていた,(1)当時45歳の男性を病死に見せ掛けて殺害しようと考え,食品に混入したトリカブトを長期間にわたり同人に食べさせるなどしたものの,長引くと見るや,一気に毒殺することを決意し,多量のトリカブトを食べさせて同人を殺害し,(2)当時61歳の男性を病死に見せ掛けて殺害しようと考え,総合感冒薬等や高濃度のアルコールを含有する飲料を連続的に摂取させ,化膿性胸膜炎,肺炎等により死亡させて同人を殺害し,(3)当時39歳の男性を,上記(2)と同様の方法により殺害しようとしたものの,同人に傷害を負わせただけで殺害の目的を遂げなかったという,殺人2件,殺人未遂1件等の事案である。上記(1)ないし(3)の各犯行は,いずれも計画性の高い巧妙かつ悪質な態様で敢行されており,その結果,2名の貴重な人命を奪ったばかりか,上記- 2 -(1)の被害者の死亡につき,3億円を超える巨額の保険金をだまし取っている。しかるに,被告人は,終始,上記殺人等の犯行を否認し,全く反省の態度を示し 2名の貴重な人命を奪ったばかりか,上記- 2 -(1)の被害者の死亡につき,3億円を超える巨額の保険金をだまし取っている。しかるに,被告人は,終始,上記殺人等の犯行を否認し,全く反省の態度を示していない。 以上のような諸事情に照らすと,被告人の罪責は誠に重大であるから,共犯者らに対しては,無期又は有期の懲役刑が確定していることなどを考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官總山哲公判出席(裁判長裁判官泉徳治裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官才口千晴裁判官涌井紀夫)
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