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主文 被告人の本件控及び検察官の本件控訴中強盗(公訴事実第二)に関する部分はいずれもこれを棄却する。原判決中強盗(公訴事実第二)の点について無罪を言渡した部分を除くその余の部分を破棄する。 被告人を懲役五年に処する。原審における未決勾留日数中六〇日を右本刑に算入する原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。理由 本件各控訴の趣意は、記録に綴つてある被告人本人及び弁護人市原庄八作成名義の各控訴趣意書並びに高知地方検察庁検察官検事斎藤正雄作成名義の控訴趣意書に記載のとおりであり、右検察官の控訴趣意に対する被告人の答弁は、被告人本人作成名義の昭和四〇年一一月二六日付上申書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。弁護人の控訴趣意第一点及び被告人の控訴趣意について。所論は、縷々述べているが要するに、原判示第一の事実誤認を主張し、被告人は、原判示のAを強姦する意思もなく、また、同女を強姦しようとした事実もないのにかかわらず、原判決が同女に対する強姦致傷の事実を認定したのは事実誤認であるというのである。よつて、所論に鑑み、記録を精査し、原判決挙示の関係各証拠及び当審における事実取調の結果を総合すると、被告人は、原判示の昭和三九年一二月二日午後一〇時頃、高知市ab丁目附近において、いわゆる白タク営業をしているのにかかわらず、被告人から話しかけて、一面識もない年若い女性(当時二三歳)であるAを無料で自己の運転する乗用自動車の助手席に乗車させ、国道三三号線を国鉄土讃線伊野駅の方に向つて西進したのであるが、同駅前附近で同女が停車してくれというのに取り合わず、同線日下駅附近でも同女が停車するよう懇請したのにかかわらず、そのまま西進を続け、原判示のB隧道を 鉄土讃線伊野駅の方に向つて西進したのであるが、同駅前附近で同女が停車してくれというのに取り合わず、同線日下駅附近でも同女が停車するよう懇請したのにかかわらず、そのまま西進を続け、原判示のB隧道を通過直後には急に進路を変えて旧国道に入り、夜間人通りのない淋しい右隧道西入口上方の旧国道上まで自動車を運転して同女を連行したものであること、右旧国道をそのまま進行すれば再び右隧道の遥か東方で右国道三三号線に出会うのであつて、被告人らの進行していたc町方向とは全く逆の方向に向つて自動車を乗り入れていること、同所において自動車を停車した後、車内で矢庭に、左手を同女の首に巻きつけ同女の身体を引寄せるようにしたうえ、両手で同女の首を締めつけたり、同女の口を塞いだりし、同女が声を出すと、「声を出しても誰もおらん」といい、隙を見て転び落ちるようにして車外に逃れ出た同女に迫り、再び首を締めつけ、「声を出しても人は来んぞ、言うことを聞け」と申し向けて暴行脅迫を加えていること、被告人は検察官から取調を受けた際Aを強姦する意思であつた旨自白していること、がそれぞれ認められるのであつて、右各事実に徴すると、被告人は同女を強いて姦淫する目的で原判示の所為に及んだと認めるのが相当である。 出すと、「声を出しても誰もおらん」といい、隙を見て転び落ちるようにして車外に逃れ出た同女に迫り、再び首を締めつけ、「声を出しても人は来んぞ、言うことを聞け」と申し向けて暴行脅迫を加えていること、被告人は検察官から取調を受けた際Aを強姦する意思であつた旨自白していること、がそれぞれ認められるのであつて、右各事実に徴すると、被告人は同女を強いて姦淫する目的で原判示の所為に及んだと認めるのが相当である。さらに、論旨は、被告人の検察官に対する供述調書は、被告人が司法警察員から精神的圧迫を加えられ供述を強要せられた結果作成せられた供述調書に基づき作成されたものであつて、事実に反する供述が記載せられているから証拠として採用することはできないものであるというのであるが、しかし、被告人の検察官に対する昭和四〇年三月四日付供述調書によると、司法警察員の面前でなした供述を訂正して検察官に供述している部分も存することが窺われるから、被告人の検察官に対する各供述調書が、すべて被告人の司法警察員に対 る昭和四〇年三月四日付供述調書によると、司法警察員の面前でなした供述を訂正して検察官に供述している部分も存することが窺われるから、被告人の検察官に対する各供述調書が、すべて被告人の司法警察員に対する供述調書に基づいて作成されたという事実は到底これを認めることはできない。なお、被告人が任意性がないと縷々主張する被告人の司法警察員に対する供述調書は、原審において証拠調すら行なわれていないのである。これを要するに、原判決挙示の関係各証拠を綜合すると、原判示第一事実は優に肯認できるのであつて、この点に関する限り原判決には毫も事実誤認の違法はない。論旨は理由がない。検察官の控訴趣意第一点の一(起訴状第二の公訴事実)について。所論は、原判決が、起訴状記載の第二の強盗の公訴事実について、無罪の言渡をしたのは、証拠の価値判断を誤り、ひいて事実を誤認した結果であるというのである。原判決が、所論の強盗の公訴事実について、被告人が、被害者Aから同女所携の紙袋を取り上げた際、被告人には右紙袋に対する不法領得の意思がなかつたとして、無罪の言渡をしたことは所論のとおりである。まず、論旨は、被告人は、Aより紙袋を奪取したとき、これを同女に返還するつもりはなかつたというのである。よつて、記録を精査し、当審における事実取調の結果をも斟酌して検討するに、被告人が原判示第一の犯行現場で佇立していたAから同女所携の紙袋(現金二、五〇〇円位在中の墓口外約五点在中)をひつたくるようにして取上げたことが認められるのであるが、しかし、被告人は、原判決が第一事実として説示するように、同女に対して暴行脅迫を加えて強姦しようとしたが、同女の強い抵抗にあつて姦淫することを断念し、同女に対し、「送つてやる」といつたが、同女が直ちに乗車することをためらい、「車の方向を変えてく 原判示第一の犯行現場で佇立していたAから同女所携の紙袋(現金二、五〇〇円位在中の墓口外約五点在中)をひつたくるようにして取上げたことが認められるのであるが、しかし、被告人は、原判決が第一事実として説示するように、同女に対して暴行脅迫を加えて強姦しようとしたが、同女の強い抵抗にあつて姦淫することを断念し、同女に対し、「送つてやる」といつたが、同女が直ちに乗車することをためらい、「車の方向を変えてく るように、同女に対して暴行脅迫を加えて強姦しようとしたが、同女の強い抵抗にあつて姦淫することを断念し、同女に対し、「送つてやる」といつたが、同女が直ちに乗車することをためらい、「車の方向を変えてくれれば乗る」と申し出たため、被告人が自動車の方向転換をする間に同女をして被告人の傍から立去らしめないで方向転換が終れば直ちに再び乗車させるため、同女の手にしていた紙袋をひつたくるようにして取上げ、これを自動車の座席に置いたうえ、同女を路傍に佇立させたまま、被告人のみ自動車に乗り込み、その方向転換をしたことが認められるのであつて、右各事実に徴すると、被告人が同女から紙袋を取上げたのは、同女を再び自動車に乗せるためであつて、同女から紙袋を奪取してこれを自己の物として領得する意思ではなかつたと認めるのが相当である。この点について、論旨は、被告人は、たとえ同女が乗車するといつたとしても、それが真意に出たものではないことを十分察知し得た筈であり、また、察知していたものと認めるべきであるというのであるが、しかし、同女自身、再び被告人の自動車に乗車することは恐ろしいし、さりとて、深夜人里離れた山中で一人取り残されても不安であるので、乗車しようかどうしようかとためらいつつ路傍に佇んで被告人が方向転換するのを見ていたのであるし、被告人としても、再び同女が乗車する意思がないことを察知しており、乗車させる意思もなかつたとするならば、わざわざ方向転換をする必要はなく、そのまま旧道を東進すれば新道である国道三三号線に出て高知市に帰れる筈であるのにかかわらず、同女の面前で方向転換をしたのは、同女の真意はともかくとして、被告人としては、再び同女を乗車せしめる意思であり、乗車すれば前記紙袋を同女に返還する意思であつたと認めるのが相当である。さらに、論旨は、被害者Aが乗車 換をしたのは、同女の真意はともかくとして、被告人としては、再び同女を乗車せしめる意思であり、乗車すれば前記紙袋を同女に返還する意思であつたと認めるのが相当である。 る筈であるのにかかわらず、同女の面前で方向転換をしたのは、同女の真意はともかくとして、被告人としては、再び同女を乗車せしめる意思であり、乗車すれば前記紙袋を同女に返還する意思であつたと認めるのが相当である。さらに、論旨は、被害者Aが乗車 換をしたのは、同女の真意はともかくとして、被告人としては、再び同女を乗車せしめる意思であり、乗車すれば前記紙袋を同女に返還する意思であつたと認めるのが相当である。さらに、論旨は、被害者Aが乗車すれば前記紙袋を返還するつもりであつたとすれば、被告人としては、たまたまCの運転するタクシーが現場に来合せたにしろ、現場を発車するに際し、直ちに紙袋を車外に投げる等返還の措置をとる筈であるのに、これらの措置を全く講じていないし、その後右紙袋が同女に返還されていないのであるから、尠なくとも、同女の乗車しないことが判明した後発車する際には、被告人は右紙袋に対する不法領得の意思を有したと認めるのが相当であるというのである。よつて、記録を精査し、当審における事実取調の結果をも参酌して検討するに、被告人が自己の操縦する自動車の方向転換をしているとき、東方から運転手Cの運転するタクシーが現場に差しかかり、被告人が方向転換のため道を塞いでいたので停車したのであるが、被告人が方向転換を終つた頃旧国道の西側空地に立つていた被害者Aが右タクシーに駈け寄つて救助を求めたため、被告人は、前記紙袋を自己の自動車内に置いたまま現場から西方へ逃走したことが認められるのである。しかし、被告人が、同女の紙袋を取上げたのは前記のような事情によるのであり、被告人が現場から走り去つたのは、自己の自動車に再び乗車させようとしていた同女がCの運転するタクシーの傍に赴き救助を求めたので、強姦未遂の事実で逮捕されることを虞れるの余り、慌てて自動車を発進させたことが窺われるから、その際、右紙袋を現場に投げ棄てる等の措置をとる余裕がなかつたということも必ずしも首肯できないことではないし、さらに、被告人は、逃走中、警察官から職務質問を受けた際、女の持物があると不審に思われることを虞れて、高知県高 に投げ棄てる等の措置をとる余裕がなかつたということも必ずしも首肯できないことではないし、さらに、被告人は、逃走中、警察官から職務質問を受けた際、女の持物があると不審に思われることを虞れて、高知県高岡郡c町de番地のD医院前附近路上に右紙袋を投棄したと供述していることが認められるのであつて、右各事実に徴すると、被告人が現場から逃げ去るに際しては、従前とは異なり、右紙袋に対する不法領得の意思が生じていたというのは早計であるというべく、その他記録を精査し、当審における事実取調の結果に照しても、被告人が前記現場から自動車を発進する際、前記紙袋について不法領得の意思を有したとの事実を認めるに足る資料はない。 de番地のD医院前附近路上に右紙袋を投棄したと供述していることが認められるのであつて、右各事実に徴すると、被告人が現場から逃げ去るに際しては、従前とは異なり、右紙袋に対する不法領得の意思が生じていたというのは早計であるというべく、その他記録を精査し、当審における事実取調の結果に照しても、被告人が前記現場から自動車を発進する際、前記紙袋について不法領得の意思を有したとの事実を認めるに足る資料はない。また、論旨は、本件の暴行、脅迫は、その直前における被告人の強姦行為の際の暴行、脅迫が継統したものであるが、かりに、その暴行が一応終了していたとしても、これに基づき被害者Aが反抗を抑圧せられている状態を利用して前期紙袋を奪取したものである、というのである。よつて、按ずるに、およそ、窃盗及び強盗罪等の如き盗罪の成立するためには、犯人にその財物に対する不法領得の意思が存することが必要とされるところ、被告人に本件紙袋に対する不法領得の意思の認められないこと前記説示のとおりであり、また、原判決も不法領得の意思のなかつたことを理由として、本件強盗罪の成立を否定したのであるから、被告人が本件紙袋を奪い取つた行為の態様がいかなるものであろうとも、本件を強盗罪と認定することはできない筋合であるというべく、論旨は採用の限りでない。以上説示のとおりであつて、原判決が起訴状記載第二の強盗の公訴事実については、被告人に不法領得の意思を認めるに足る証拠がないとして、犯罪の証明がないと判断したのは正当であつて、原判決には証拠の価値判断を誤つた違法もなく、事実を誤認 起訴状記載第二の強盗の公訴事実については、被告人に不法領得の意思を認めるに足る証拠がないとして、犯罪の証明がないと判断したのは正当であつて、原判決には証拠の価値判断を誤つた違法もなく、事実を誤認した廉もないというべきである。論旨は理由がない。同二(起訴状第三の公訴事実)について。所論は、原判決が、被告人の本件所為は、被害者Eに対する強姦の準備行為には該当しても、未だ強姦罪の実行行為に着手したとは認められないとして、無罪であると判断したのは事実誤認であるというのである。よつて、記録を精査し、当審における事実取調の結果をも勘酌して検討するに、原審第一回公判調書中の被告人の供述記載、司法警察員作成の昭和四〇年二月二三日付及び同年同月二四日付各実況見分調書、原審証人E同F同Gの各供述記載、当審における昭和四一年四月一五日付検証調書、当審証人Eの尋問調書を綜合すると、被告人は、昭和四〇年二月八日午後九時一五分頃いわゆる白タク営業をなすため、被告人所有の普通乗用車を運転して高知市中須賀交差点附近にさしかかつたのであるが、同所において客として高知市i所在HI工場工員E(当二〇年)を後部座席に乗車させたこと、同女は行先をHI工場と指示したのであるにかかわらず、被告人は、同工揚の所在地を知つていたのに、同工場へ行くのには通常通らない道順、すなわち、勧進橋、国鉄土讃線福井踏切及びバス停留所福井を経て本件現場である同市f町j通称kまで自動車を操縦して同女を連行していること(前記検証調書添付の第一見取図参照)、被告人の操縦する自動車が前記バス停留所福井附近で右折しないで直進したとき、同女が、「私この道初めてやけど」というのに、被告人は「こつちからでも行ける」といつてそのまま進行し、本件現場の手前五〇米位の地点で同女が「道が違うから元の所へ引返して下 橋、国鉄土讃線福井踏切及びバス停留所福井を経て本件現場である同市f町j通称kまで自動車を操縦して同女を連行していること(前記検証調書添付の第一見取図参照)、被告人の操縦する自動車が前記バス停留所福井附近で右折しないで直進したとき、同女が、「私この道初めてやけど」というのに、被告人は「こつちからでも行ける」といつてそのまま進行し、本件現場の手前五〇米位の地点で同女が「道が違うから元の所へ引返して下 右折しないで直進したとき、同女が、「私この道初めてやけど」というのに、被告人は「こつちからでも行ける」といつてそのまま進行し、本件現場の手前五〇米位の地点で同女が「道が違うから元の所へ引返して下さい」というのに、道路東側にある前記kの草原の空地(J方から西南方約二八米位の地点)に自動車を乗り入れて停車したのであるが、当時雨が降つており、時間は既に午後九時半近くになつていたこと、同所は、山間の淋しい場所で、附近に人家は尠なく、同所から東北方約二八米の地点にある前記J方が最も近くにある人家で、南方にあるK方及び東南方にあるF方はいずれも約一〇〇米位距たつており、他には人家がなかつたこと、被告人が自動車を運転して来た道路は幅員約三・五米位の狭い田舎道であつたし夜間であつたため殆ど人車の往来もなかつたこと、被告人は、自動車が故障したわけでもないのに「車がエンコした」といつて下車し運転席のドアを閉め、停車した位置が前部がやや高くなるような傾斜地であつたため、各後車輪に石で歯止めをし、自動車の右前方から自動車に近寄り後部座席の右側のドアを開いてEのいる座席に乗りこもうとしたこと、その際、既に貞操に対する危険を感じていた同女は、咄磋に被告人の開いた乗車口から飛び出して、被告人の傍をくぐり抜けるようにして現場を逃れて、前記F方に救いを求めたものであることがそれぞれ認められるのみならず、前記に認定したように、被告人は、昭和三九年一二月二日夜にはAを自己の運転する自動車に乗車させて強姦しようとしたことがあり、検察事務官作成にかかる被告人の前科調書によると、被告人は、昭和二六年八月二三日及び昭和三二年一一月一日の二回に亘り、高知地方裁判所において強姦致傷、強姦、強姦未遂罪等により各懲役五年に処せられたことがあること並びに被告人の検察官に対する昭和四〇年 人は、昭和二六年八月二三日及び昭和三二年一一月一日の二回に亘り、高知地方裁判所において強姦致傷、強姦、強姦未遂罪等により各懲役五年に処せられたことがあること並びに被告人の検察官に対する昭和四〇年三月四日付供述調書によると、被告人は、Aを強姦しようとした事件について取調を受けた際ではあるが、検察官に対し、「私がどうして女の人に対して乱暴をするのか、その気持は、女の人を口説いて関係したり口説きおおせんときは暴力を振つても関係することに興味を持つています。 回に亘り、高知地方裁判所において強姦致傷、強姦、強姦未遂罪等により各懲役五年に処せられたことがあること並びに被告人の検察官に対する昭和四〇年三月四日付供述調書によると、被告人は、Aを強姦しようとした事件について取調を受けた際ではあるが、検察官に対し、「私がどうして女の人に対して乱暴をするのか、その気持は、女の人を口説いて関係したり口説きおおせんときは暴力を振つても関係することに興味を持つています。同じ様な罪で二回も刑を受けておりますので、また、このようなことがばれると相当重い罪になることは十分判つておつたのですが、それでもなおやめることができなかつたのです。乱暴することを一途に思いこみ外のことを考える余地がなかつたのです」と供述していることが認められるのである。右に認定した各事実に徴すると、前記kまでEを連行する必要等の特段の事情の認められない本件においては、被告人は、同女を乗車させてから間もなく同女を強いて姦淫する意思を生じたと認めるのが相当である。被告人は、被告人が進行した道順について、当審の検証期日において、前記認定の道順とは異なる旨供述しているのであるが(前記検証調書添付の第一見取図参照)、右供述は証人Eの供述に照してにわかに信用できなく、また、被告人は、原審第一回及び第五回各公判期日において、「女を車に乗せたととは事実であるが、福井の方へ行つたのは、私はその日の前二日間徹夜して麻雀をしたため眠くて道を間違えたのであり、引返す途中で車を落し、動かなくなり、恰度雨が降つていたのに女が傘を持つていなかつたので、私のレインコートを貸そうと思い女のところへ行つたら女が逃げたのであつて、強姦するつもりはなかつた」旨供述していることが認められるが、右供述記載は、前記認定の運転経路及び 傘を持つていなかつたので、私のレインコートを貸そうと思い女のところへ行つたら女が逃げたのであつて、強姦するつもりはなかつた」旨供述していることが認められるが、右供述記載は、前記認定の運転経路及び被告人の職業歴並びに当審証人Eの尋問調書に照して到底措信することはできない。なお、原審及び当審における証人Lの各供述記載によると、本件当夜被告人の運転していた自動車の後輪が現場附近の道路西側の竹藪に落下していた事実が認められ、被告人はEを乗車させていたときに後輪が道端に落ちた旨供述するのであるが、しかし、当審証人Eの右尋問調書によると、右のような事実は全く認められないのであつて、右は、被告人が、同女が下車して前記F方に救いを求めた後、自己の自動車の方向転換をしていた際、後輪を道路外に脱落させたことが窺われるから、右事実があるからといつて、前記認定を妨げるものではない。 場附近の道路西側の竹藪に落下していた事実が認められ、被告人はEを乗車させていたときに後輪が道端に落ちた旨供述するのであるが、しかし、当審証人Eの右尋問調書によると、右のような事実は全く認められないのであつて、右は、被告人が、同女が下車して前記F方に救いを求めた後、自己の自動車の方向転換をしていた際、後輪を道路外に脱落させたことが窺われるから、右事実があるからといつて、前記認定を妨げるものではない。元来、犯罪の実行の着手の概念については、学説上主観説及び客観説の対立があり、或は、犯意の成立がその遂行的行為によつて確定的に識別せられるときここに着手があるとか(主観説)、或は、犯罪構成要件の一部を行ない又はこれに近接する行為をなすことであるとか、或は、経験上犯罪に一般な行為を開始したときであるとか、又は、犯罪の危険が現出したときであるとか(以上客観説)、その説くところは区々に別れているところ、判例は古くから客観的立場に立つものであることは周知のとおりであるが、そのいずれの立場をとるにしても、各具体的事件に即して、着手と予備との区別が明瞭を欠く場合の存することは否定し得ないのであるが、結局、各個の具体的事件について、当該行為が、外部から観察して、結果発生の危険がある客観的状態に達したか否かによつて決すべきであると解するを相当とする。<要旨>さて、本件についてこれをみるに、 、結局、各個の具体的事件について、当該行為が、外部から観察して、結果発生の危険がある客観的状態に達したか否かによつて決すべきであると解するを相当とする。<要旨>さて、本件についてこれをみるに、前記認定の各事実、ことに、被告人が自動車を停車した地点が附近に人</要旨>家の尠ない山間であり、道路の往来は殆どなく、時間は既に午後九時半近くであり、当時小雨が降つていたのみならず、被害者Eは狭い自動車内に監禁された状態にあつたのであり、引返してくれと懇請する同女の言には耳をかさないで、被告人は、自動車の両後輪に歯止めをしたうえ、無言で自動車後部の右側ドアを開いて右座席の中央部に腰かけている同女に近づくため乗車しようとしたのであつて、この行為により同女は強度の畏怖状態に陥つていたことに徴すると、被告人の右行為は同女を強いて姦淫するための無言の威圧行為であり、ひいては、強姦の手段である暴行もしくは脅迫行為に極めて近接した行為であり、右行為によつて、同女に対する強姦の危険が外部から客観的に優に観察し得る状態に達したというべく、したがつて、被告人の前記所為は、強姦の予備行為をもつて目するのは失当であつて、強姦の着手行為であると認めるのが相当である。 女は強度の畏怖状態に陥つていたことに徴すると、被告人の右行為は同女を強いて姦淫するための無言の威圧行為であり、ひいては、強姦の手段である暴行もしくは脅迫行為に極めて近接した行為であり、右行為によつて、同女に対する強姦の危険が外部から客観的に優に観察し得る状態に達したというべく、したがつて、被告人の前記所為は、強姦の予備行為をもつて目するのは失当であつて、強姦の着手行為であると認めるのが相当である。然るに、原判決が、被告人にEに対する強姦の意思のあつたことを認定しながら、前記程度の行為では未だ強姦罪の実行の着手があつたとすることはできないとしてこれに対し無罪を言渡したのは、法令の解釈適用を誤つた違法があるものというべく、右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。よつて、被告人の本件控訴及び検察官の本件控訴中強盗(公訴事実第二)に関する部分はいずれも理由がないから、刑訴三九六条によりこれを棄却すべく、弁護人及び検察官の控訴趣意各第二点(いずれ 由がある。よつて、被告人の本件控訴及び検察官の本件控訴中強盗(公訴事実第二)に関する部分はいずれも理由がないから、刑訴三九六条によりこれを棄却すべく、弁護人及び検察官の控訴趣意各第二点(いずれも量刑不当)についての判断を省略し、本件公訴にかかる各犯罪は併合罪であるから、刑訴三九七条一項三八〇条により原判決中強盗(公訴事実第二)の点について無罪を言渡した部分を除くその余の部分を破棄し、同法四〇〇条但書に従い当裁判所において直ちに判決する。(罪となるべき事実)被告人は、第一、 原判示第一事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。第二、 原判示第二事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。第三、 昭和四〇年二月八日午後九時一五分頃、いわゆる白タクの営業をなすため普通乗用車を運転中、高知市中須賀交差点附近において、E(当二〇才)が客として乗車したことを奇貨として、同女を強いて姦淫しようと企て、同女が行先を同市i所在HI工場と指示したのにかかわらず、同女の意思に反し、右行先と異なる同市f町j通称k方面に向け、同市ah丁目を約三〇〇米東進した附近で左折し、同所より勧進橋(同市井口町六番地先)を渡り、こちらからでも前記工場に行けるなどと虚言を弄して、国鉄土讃線福井踏切(同市山手町大字石井)及びバス停留所福井を経て前記kに達し、同女の引返して欲しいとの懇請をしりぞけて、道路東側の空地(同市fg番地の二F方から西北方約一〇〇米の地点)に自動車を乗り入れて停車し、自動車が故障したと虚構の理由をつけて下車し運転席のドアを閉め、停車した位置が前部がやや高くなるような傾斜地であつたため、各後車輪に石で歯止めをし、自動車の右前方から自動車に近寄り後部座席の右側のドアを開いて後部座席にいた同女の身辺に迫ろらとしたが、既に貞操に対す 、同女の引返して欲しいとの懇請をしりぞけて、道路東側の空地(同市fg番地の二F方から西北方約一〇〇米の地点)に自動車を乗り入れて停車し、自動車が故障したと虚構の理由をつけて下車し運転席のドアを閉め、停車した位置が前部がやや高くなるような傾斜地であつたため、各後車輪に石で歯止めをし、自動車の右前方から自動車に近寄り後部座席の右側のドアを開いて後部座席にいた同女の身辺に迫ろらとしたが、既に貞操に対す した位置が前部がやや高くなるような傾斜地であつたため、各後車輪に石で歯止めをし、自動車の右前方から自動車に近寄り後部座席の右側のドアを開いて後部座席にいた同女の身辺に迫ろらとしたが、既に貞操に対する危険を感じていた同女が咄唾に被告人の開いた乗車口から被告人の傍をくぐり抜けるようにして飛び出して車外に逃れ、前記F方に救援を求めたため、強姦の目的を遂げなかつたものである。(証拠の標目)判示第一の事実につき一、 原判決の挙示する関係各証拠一、 当審における昭和四一年四月一六日付検証調書一、 当審証人A及び同Cの各尋問調書判示第二の事実につき一、 原判決の挙示する関係各証拠判示第三の事実につき一、 原審第一回公判調書中の被告人の供述記載一、 司法警察員作成にかかる昭和四〇年二月二三日付及び同年同月二四日付各実況見分調書一、 原審証人E、同F及び同Gの各供述記載一、 当審における昭和四一年四月一五日付検証調書一、 当審証人Eの尋問調書(累犯加重の原因となる前科)原判決が累犯前科の項において認定したとおりであるから、ここにこれを引用する。(法令の適用)罰条判示第一の強姦致傷の点について刑法一八一条(一七七条前段、一七九条)(所定刑中有期懲役刑を選択する)判示第二の道路運送法違反の点について道路運送法一二八条の三の二号、一〇一条一項、罰金等臨時措置法二条一項(所定刑中懲役刑を選択する)判示第三の強姦未遂の点について刑法一七七条前段一七九条再犯加重法五六条一項五七条(但し、判示第一の強姦致傷及び判示第三の強姦未遂の各罪についてはいずれも刑法一四条の制限に従う)併合罪加重刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第一の強姦致傷罪の刑に刑法一四条の制限に従 判示第一の強姦致傷及び判示第三の強姦未遂の各罪についてはいずれも刑法一四条の制限に従う)併合罪加重刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第一の強姦致傷罪の刑に刑法一四条の制限に従つて法定の加重をする)原審の未決勾留日数の算入刑法二一条原審及び当審における訴訟費用の負担刑訴一八一条一項本文よつて、主文のとおり判決する。 条本文、一〇条(最も重い判示第一の強姦致傷罪の刑に刑法一四条の制限に従 判示第一の強姦致傷及び判示第三の強姦未遂の各罪についてはいずれも刑法一四条の制限に従う)併合罪加重刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第一の強姦致傷罪の刑に刑法一四条の制限に従つて法定の加重をする)原審の未決勾留日数の算入刑法二一条原審及び当審における訴訟費用の負担刑訴一八一条一項本文よつて、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官加藤謙二裁判官木原繁季裁判官越智伝)
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