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昭和33(ラ)95 土地改良事業計画無効確認請求事件の移送決定に対する抗告事件

裁判所

昭和35年11月10日 大阪高等裁判所

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4,133 文字

主文 原決定を取り消す。本件移送の申立を却下する。理由 一、 抗告代理人は、第一次的に「原決定を取り消す。」との裁判、予備的に「原決定を取り消す。本件を京都地方裁判所に移送する。」との裁判を求め、その理由として主張するところは別紙(一)のとおりである。二、 相手方指定代理人は「本件抗告を棄却する。抗告費用は抗告人等の負担とする。」との裁判を求め、その理由として主張するところは、別紙(二)および(三)のとおりである。三、 右に対する当裁判所の判断は、次のとおりである。本件は、抗告人等において、相手力農林大臣が昭和三〇年一〇月二六日付で定めて公告した国営愛知川土地改良事業計画に重大明白な瑕疵があるものとして、その無効の確認を求めたものであるが、これに対して、原裁判所は、かような行政処分の無効の確認を求める訴は、その性質上、単純に公法上の権利関係の確認を求める当事者訴訟と解すべきではなく、抗告訴訟に準ずべきものとして取り扱うことが至当であると角したうえ、行政事件訴訟特例法第四条の規定の準用により、本訴は、相手方である行政庁農林大臣の所在地の裁判所である東京地方裁判所の専属管轄に属するものであるとして、同裁判所に移送する旨の決定をしたものである。そして、行政処分の無効の確認を求める訴が性質上当事者訴訟に属せず抗告訴訟に準ずるものとした原裁判所の右判断は、その限りにおいては、正当なものであるといわなければならない。けだし、この種行政処分無効確認訴訟については、わが実定法上なんらの規定がない関係上、そもそもかような訴が許されるかどうか、およびこれが許されるものと解する場合その性質いかんについて異論をまぬがれがたいところであるけれども、行政処分に一定の瑕疵の存する場合にその取消を求 ない関係上、そもそもかような訴が許されるかどうか、およびこれが許されるものと解する場合その性質いかんについて異論をまぬがれがたいところであるけれども、行政処分に一定の瑕疵の存する場合にその取消を求める訴としての抗告訴訟には、出訴期間に関する定めが存するところ、その期間の徒過その他の事情から右訴訟を提起しなかつた場合においても、当該行政処分の瑕疵が重大かつ明白なものであるかぎり、これにより権利を侵害された者に対しては、なお、右処分の違法を主張して、違法な権利侵害の危険を除去する手続を認めることは、国民の権利保護上必要なものとしなければならないのであつて、ここに行政処分無効確認訴訟という訴訟類型を認めるべき根拠が存するのであるが、かような観点からするときは、この種の訴は、公法上の権利関係に関する当事者訴訟の性質を有するものではなく、行政処分の違法性を確定してこれによる権利侵害の危険を除去することを内容とする点において、抗告訴訟に準ずる性質を有するものと解されるからである。 手続を認めることは、国民の権利保護上必要なものとしなければならないのであつて、ここに行政処分無効確認訴訟という訴訟類型を認めるべき根拠が存するのであるが、かような観点からするときは、この種の訴は、公法上の権利関係に関する当事者訴訟の性質を有するものではなく、行政処分の違法性を確定してこれによる権利侵害の危険を除去することを内容とする点において、抗告訴訟に準ずる性質を有するものと解されるからである。なお、行政処分の瑕疵が重大かつ明白である場合には、これにより権利を侵害された者は、右のような意味における無効確認訴訟を提起することができることとは別に、その無効なることを前提問題として、現在の法律関係の確認等を求める訴を提起することも詐されないわけではないと解されるのであつて、そのような訴が当事者訴訟に属することは、明らかであるが、本訴は、請求の趣旨からしても、また被告が国でなく行政庁たる農林大臣として提起されている点からも、かような趣旨の訴と解することはできない。以上に判示したとおり、本訴は、抗告訴訟に準ずる性質を有するものであるから、本件の手続には、性質に反しない限り、行政事件訴訟特例広の関係規定を準用すべきものであつて、同法第四条の規定も、その例外をなすもの 判示したとおり、本訴は、抗告訴訟に準ずる性質を有するものであるから、本件の手続には、性質に反しない限り、行政事件訴訟特例広の関係規定を準用すべきものであつて、同法第四条の規定も、その例外をなすものではない。ただ、その準用については、一の土地管轄を定めた規定というかぎりの趣旨において準用し、その管轄を専属管轄とする点については、準用すべきでないと解するを相当とする。けだし、訴訟法上、専属管轄の定めは、本来、特別の公益上の必要の存する場合に限り認められるべきものであるが、行政処分の違法性を主張してこれによる権利侵害の除去を求める訴については、その管轄を専属管轄としなければならないような公益上の必要は、認めがたいばかりでなく、たとえばこれを権利侵害の行われた地の専属管轄とするならばともかく、行政事件訴訟特例法第四条の規定のごとく、当該行政処分をした行政庁の所在地の裁判所の専属管轄とするときは、訴訟手続上、当事者の一方たる行政庁を不当に有利ならしめ、その反面、行政処分の違法性を主張してこれによる権利侵害の除去を求める当事者の立場を著しく不利なものとし、場合によつてはその出訴を事実上困難なものとし、ひいては、国民の権利保護に欠けるおそれを生じないでもないし、さらに行政庁の活動が、通常、各地に散在する下級行政庁の組織的活動を前提とし、その協力補佐のうえに行われているものであるばかりでなく、行政庁を当事者とする訴訟の追行について法律上当該行政庁と協力すべき地位にある法務大臣の所部の職員は、全国各地に配置されている点をもあわせ考察すると当事者たる行政庁じたいのがわに立つて考えても、その処分の効力を争う訴の管轄を、当該行政庁の所在地の裁判所の専属管轄とすることは、譲歩しがたいような性質を有するものということはできず、事案によつては、他の裁判所の管轄を 行われているものであるばかりでなく、行政庁を当事者とする訴訟の追行について法律上当該行政庁と協力すべき地位にある法務大臣の所部の職員は、全国各地に配置されている点をもあわせ考察すると当事者たる行政庁じたいのがわに立つて考えても、その処分の効力を争う訴の管轄を、当該行政庁の所在地の裁判所の専属管轄とすることは、譲歩しがたいような性質を有するものということはできず、事案によつては、他の裁判所の管轄を のがわに立つて考えても、その処分の効力を争う訴の管轄を、当該行政庁の所在地の裁判所の専属管轄とすることは、譲歩しがたいような性質を有するものということはできず、事案によつては、他の裁判所の管轄をも認めることが、証拠蒐集等の関係上、かえつて訴訟経済ともなり、当事者の利益にも応ずることとなる場合がないとはいえないのである。かような観点からするときは、抗告訴訟につき専属管轄を定めた行政事件訴訟特例法第四条の規定じたいの当否が問題であつて、立法論としては、これを任意管轄とすることが考慮にあたいするが(行政事件訴訟特例法改正要綱試案第十二および右試案の要点説明の四参照)、解釈上も、その適用範囲をできる限り制限して解<要旨>するのを相当とする。しかして、行政処分無効確認訴訟が認められる場合は、行政処分の瑕疵が重大かつ明白</要旨>な場合であるから、処分行政庁の利益は、一般の抗告訴訟より一そう強い意味において、侵害をうけた権利者のまえに譲歩されなければならないし、また、かような場合に、右処分の無効を前提として現在の法律関係の確認等を求める訴としての当事者訴訟も、提起することができないわけではないと解せられるところ、かような訴は、もとより、それぞれの法律関係に応じて定められた裁判所の管轄に属するのであるから、この点よりするも、行政処分無効確認訴訟の管轄を専属管轄と解すべきいわれはなく、行政事件訴訟特例法第四条の規定は、管轄の専属性の点を排除したうえ、行政処分無効確認訴訟に準用すべきである。従つて、本訴について、被告である行政庁農林大臣の所在地の東京地方裁判所の管轄は、任意管轄というべきである。ところで本訴は、訴状によると、国営愛知川土地改良事業計画の効力を争うものであり、該計画は、滋賀県神崎郡a町を貫流する愛知川の用水工事に関するものであるか 裁判所の管轄は、任意管轄というべきである。ところで本訴は、訴状によると、国営愛知川土地改良事業計画の効力を争うものであり、該計画は、滋賀県神崎郡a町を貫流する愛知川の用水工事に関するものであるから、不動産に関する訴であつて、民事訴訟法第一七条の規定により、本件不動産所在地の裁判所たる原審大津地方裁判所にも管轄権があるものというべきである。 県神崎郡a町を貫流する愛知川の用水工事に関するものであるか 裁判所の管轄は、任意管轄というべきである。ところで本訴は、訴状によると、国営愛知川土地改良事業計画の効力を争うものであり、該計画は、滋賀県神崎郡a町を貫流する愛知川の用水工事に関するものであるから、不動産に関する訴であつて、民事訴訟法第一七条の規定により、本件不動産所在地の裁判所たる原審大津地方裁判所にも管轄権があるものというべきである。以上のとおりであるから、本件訴訟が東京地方裁判所の専属管轄であるとして原審の管轄を認めず、これを東京地方裁判所に移送した原決定は、不当であつて、取消を免れず、本件移送の申立は、却下すべきである(なお、抗告人は、移送の申立が原審口頭弁論において陳述されていない旨主張するが、移送の申立は、書面でもすることができ、これに対する裁判は、口頭弁論を経なければすることができないものではないから、この点に関する抗告人の主張は、理由がない。)。そこで民事訴訟法第四一四条、三八六条を適用して、主文のとおり決定する。(裁判長裁判官沢栄三裁判官木下忠良裁判官寺田治郎)

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