令和4年3月11日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成31年(ワ)第11108号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和3年12月17日判決 原告 X(以下「原告X」という。)原告クリスチャンルブタンエスアーエス(以下「原告会社」という。)上記両名訴訟代理人弁護士宮川美津子髙山大蔵 同訴訟復代理人弁護士関川淳子同訴訟代理人弁理士廣中健被告株式会社エイゾーコレクション同訴訟代理人弁護士名取勝也杉田就 勝田裕子青木彩山神麻子 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告商品目録記載第1の各商品を製造し、販売し又は販売のた めに展示してはならない。 2 被告は、前項記載の各商品を廃棄せよ。 3 被告は、原告Xに対し、902万円及びこれに対する令和元年5月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は、原告会社に対 2 被告は、前項記載の各商品を廃棄せよ。 3 被告は、原告Xに対し、902万円及びこれに対する令和元年5月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は、原告会社に対し、2306万円及びこれに対する令和元年5月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告は、原告ら各自に対し、1000万円及びこれに対する令和元年5月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告Xは、高級ファッションブランド「クリスチャンルブタン」(以下、同ブランドを「ルブタン」という。)のデザイナーであり、原告会社の代表者 である。そして、原告会社は、別紙原告表示目録記載の表示(女性用ハイヒールの靴底にパントン社が提供する色見本「PANTONE 18-1663TPG」(以下「原告赤色」という。)を付したもの。以下「原告表示」という。)を使用した商品(以下「原告商品」という。)などを製造販売等している。他方、被告は、別紙被告商品目録記載第1の女性用ハイヒール(以下、同目録の 番号に従って「被告商品1」ないし「被告商品7」といい、これらを併せて「被告商品」という。)を製造販売等している。 本件は、原告らが、被告商品は周知著名な原告表示と類似した商品等表示を使用した商品であり、被告商品の製造、販売及び販売のための展示は、原告商品と混同を生じさせるなど、不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条 1項1号及び2号に掲げる不正競争に該当すると主張して、不競法3条1項及び2項に基づき、被告商品の製造、販売又は販売のための展示の差止め及び廃棄を求める(請求の趣旨第1項及び第2項)とともに、次に掲げる⑴ないし⑶のとおり、不競法4条に基づき、損害賠償金及びこれに対する訴状送 に基づき、被告商品の製造、販売又は販売のための展示の差止め及び廃棄を求める(請求の趣旨第1項及び第2項)とともに、次に掲げる⑴ないし⑶のとおり、不競法4条に基づき、損害賠償金及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年5月19日から支払済みまで民法(平成29年法律第44 号による改正前のもの)所定の年5分の割合による金員の支払を求める事案で ある。 原告Xが被告に求める損害賠償金 902万円(請求の趣旨第3項) 原告会社が被告に求める損害賠償金 2306万円(請求の趣旨第4項)原告ら各自が被告に求める損害賠償金 1000万円(連帯債権。請求の趣旨第5項) 1 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実をいう。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に記載しない限り、枝番を含むものとする。)当事者ア原告Xは、高級ファッションブランドであるルブタンのデザイナーであ り、ルブタンに関する知的財産権を有している(甲13の1、甲369、弁論の全趣旨)。 イ原告会社は、婦人靴(女性用ハイヒールを含む。)等のルブタンの商品の製造販売等を業とするフランス法人の会社であり、原告Xは、原告会社の代表者である(甲498、弁論の全趣旨)。 ウ被告は、婦人靴の販売等を業とする株式会社である(甲1、2の1)。 原告表示及び原告商品原告表示は、女性用ハイヒールの靴底に原告赤色を付す構成からなる表示である。そして、別紙原告商品目録記載のとおり、ルブタンの女性用ハイヒールは全て、革素材の靴底が原告赤色でラッカー塗装されている(甲460、 499、検証の結果)。 被告商品の販売及び外観ア被告は、遅く 載のとおり、ルブタンの女性用ハイヒールは全て、革素材の靴底が原告赤色でラッカー塗装されている(甲460、 499、検証の結果)。 被告商品の販売及び外観ア被告は、遅くとも平成30年5月頃から、被告商品(なお、被告商品1ないし被告商品3は、同一の商品であり、また、被告商品4及び被告商品5は、同一の商品である。)を被告運営の通販サイト「EIZOWEB SHOP」(以下「被告通販サイト」という。)等のショッピングサイ トや百貨店にある直営店、路面店(埼玉県草加店)において販売するほか、小売店等に卸販売している(甲2、473ないし482、505、乙26、27、81)。 イ被告商品1、4及び7の外観は、別紙被告商品目録記載第2のとおりであり、その余の被告商品の外観も、ほぼ同様である(甲483)。そして、 被告商品は、赤色のゴム素材からなる靴底に金色で「EIZO」のロゴマークが付されている(甲483、499、乙23の66・68、乙25、検証の結果)。 原告表示の商標登録手続ア原告Xは、平成27年4月1日、指定商品を女性用ハイヒール靴として、 原告表示の商標登録出願(商願2015-29921)をした(乙1)。 これに対し、特許庁審査官は、令和元年7月29日付けで、原告表示は、商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法3条1項3号に該当し、また、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であると認識することができるに至っている ということはできず、同条2項の要件を具備しないなどとして、拒絶査定をした(乙2)。 イ原告Xは、令和元年10月27日、上記査定について拒絶査定不服審判(不服2019-14379)を請 ということはできず、同条2項の要件を具備しないなどとして、拒絶査定をした(乙2)。 イ原告Xは、令和元年10月27日、上記査定について拒絶査定不服審判(不服2019-14379)を請求した(乙76、弁論の全趣旨)。 2 争点 原告表示の「商品等表示」該当性(争点1)原告表示の周知著名性の有無(争点2)原告表示と被告商品の形態の類否(争点3)混同の有無(争点4)慣用表示の抗弁(不競法19条1項1号)の成否等(争点5) 先使用の抗弁(不競法19条1項3号、4号)の成否(争点6) 損害額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(原告表示の「商品等表示」該当性)について(原告らの主張) 商品の色彩の商品等表示該当性 「商品等表示」とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものであり、「標章」には色彩も含まれる(不競法2条3項、商標法2条1項)。そうすると、一次的には、当該商品自体の機能の発揮、美観の向上などの見地から選択される色彩であっても、それが、客観的にみて明らかに他の同種商品と識別し得るも のであり、取引の過程において、特定の出所を示すものとして需要者に周知され、二次的に、出所表示機能を備えるに至れば、商品の特定部分に使用される特定の色彩自体が、「標章」として商品等表示性を取得し得るものと解すべきである。 原告表示の商品等表示該当性 以下の事情を踏まえると、原告表示は、遅くとも平成12年10月までに、需要者である女性用ハイヒールを履く女性の間でルブタンの出所を示すものとして周知なものとなっており、その状況は現在に至るまで継続しているから、「 えると、原告表示は、遅くとも平成12年10月までに、需要者である女性用ハイヒールを履く女性の間でルブタンの出所を示すものとして周知なものとなっており、その状況は現在に至るまで継続しているから、「商品等表示」に該当する。 ア原告表示の新規性、特異性 原告表示は、①女性用ハイヒールの、②靴底部分に付された、③原告赤色という特徴を全て兼ね備えたものであるところ、刊行物に「クリスチャンルブタンの靴を見かけたら、必ず裏返してみてほしい。もしかしたら、ちょっと驚くかもしれない。なぜなら、すべてのソールが真っ赤だから。」(Hanako 542 号(平成11年発行)。甲80)、「靴の裏全体を大人の女 性の象徴であるルージュカラー(赤)で彩るアイディアは、それまでの靴 に対するイメージを覆すセンセーショナルな発想でした」(JJ 2007 年4月号(平成19年発行)。甲112)などと記載されていることからも明らかなように、原告商品の靴底は、それまで特に注目されることもなかった女性用ハイヒールの靴底にあえて需要者の目を引く鮮やかな赤色を使用した斬新な特徴を備え、「レッドソール」などの愛称で親しまれている。 このように、原告表示には、他の同種商品にはない新規で特異な特徴が存在し、上記の3つの特徴のみで、単なるデザインではなく、原告商品を識別する特徴ないし象徴として機能している。仮に、ルブタン以外のブランドで靴底が赤色の女性用ハイヒールが製造販売されているとしても、これらの商品は原告表示が周知著名であることに便乗する模倣商品である から、原告表示の新規性、特異性が否定されることはなく、仮に原告商品の日本での販売開始前から製造販売されていた同種商品が何点か存在するとしても同様である。 イ原告表示の使 品である から、原告表示の新規性、特異性が否定されることはなく、仮に原告商品の日本での販売開始前から製造販売されていた同種商品が何点か存在するとしても同様である。 イ原告表示の使用状況、原告商品の日本での販売実績等 原告表示の使用状況、原告商品の日本での販売実績 ルブタンの女性用ハイヒールの靴底は、平成3年のブランド創設時のごく一部の商品を除き、その形状、装飾、素材、色彩、ヒールの高さなどのデザインにかかわらず、約30年間に亘って全て原告赤色に着色されてきた(甲4)。日本でも、原告商品は、平成8年頃に輸入販売が開始されてから20年以上にわたって継続的に販売され、現在では、株式 会社クリスチャンルブタンジャパン(以下「ルブタン日本法人」という。)が運営するオンラインショップ(甲29の1)のほか、路面店(銀座店、青山店)、高級百貨店その他商業施設内の店舗、高級ブランド品を主に取り扱うセレクトショップで販売されている(甲29の2)。 原告商品の日本での売上高 ルブタン日本法人による女性用靴の売上高の合計は、平成27年度(ル ブタンの各会計年度は、9月1日から翌年8月31日までである。以下同じ。)には32億1573万3000円、平成28年度には33億0495万4000円にも上るところ(甲30)、近年、ルブタンの婦人靴の総売上げに占める原告商品の売上高が70%を下回ることはなく、上記各売上金額の大部分が原告商品の売上げで占められている。 ウ原告商品のメディア等での紹介、宣伝広告、受賞歴等 メディア等での紹介原告商品は、人気女性ファッション雑誌や書籍、インターネット上のまとめサイトやオンライン記事、ウェブマガジン等の様々なメディアにおいて の紹介、宣伝広告、受賞歴等 メディア等での紹介原告商品は、人気女性ファッション雑誌や書籍、インターネット上のまとめサイトやオンライン記事、ウェブマガジン等の様々なメディアにおいて数多く取り上げられており(甲5ないし8、16ないし28、3 1ないし352、369ないし420)、その際、原告表示を強く印象付ける構図の写真が掲載されたり、また、「真っ赤な靴底が、ルブタンのトレードマーク」(甲196)、「深紅の靴底が印象的」(甲203)、「世界中の女性たちを魅了する「クリスチャンルブタン」。その象徴であるレッドソール(赤い靴底)」(甲249)、「ブランドの最も顕 著な特色として知られる“レッドソール”(深紅の靴底)」(甲369)などのように、ルブタンの象徴として原告表示を紹介する文章が添えられたりする場合も多い。そして、原告商品が紹介されたこれらの記事等は、原告商品が掲載されたメディアのごく一部にすぎないものの、それぞれ対象とする世代が異なり、女性用ハイヒールの需要者を網羅してい るといえる。 また、原告商品は、「ドクターX~外科医・大門未知子~」、「セックス・アンド・ザ・シティ」などのテレビドラマや映画で、ファッションに関心が高く高級ブランドを愛好するといった登場人物に適した衣装として度々使用され、注目を集めている(甲353ないし368)。 さらに、原告商品は、国内外の数々の著名人や芸能人によって着用さ れ、その様子が、原告表示が強調された写真の掲載(甲122、124、130、157)や「ヴィクトリアも“レッドソール”のマジックを知り尽くしている一人。ルブタン愛用者として知られる彼女ですが、…ピリッとソールの赤を効かせるテクは、ぜひ真似したい!」(甲130)、「マド 、157)や「ヴィクトリアも“レッドソール”のマジックを知り尽くしている一人。ルブタン愛用者として知られる彼女ですが、…ピリッとソールの赤を効かせるテクは、ぜひ真似したい!」(甲130)、「マドンナは…いつもルブタン!…コンサバ服にも大胆なステージ衣装 にも、フェティッシュなハイヒールをコーディネートし、セクシーに“レッドソール”をチラ見せ!」(甲130)という記載とともに、世界中に報じられている(甲121、122、124、130、146、157、421ないし459)。 宣伝広告費用 原告会社は、自ら宣伝広告費用を支払って雑誌等に広告を掲載することはなく、「サンプルトラフィッキング」という手法で原告商品の宣伝広告を行っており、そのための貸出用の靴に多額の費用をかけている。 そして、原告会社は、ルブタン日本法人にサンプルトラフィッキング用の商品を販売しているところ、その費用(ルブタン日本法人の購入金額) は、平成22年度から平成29年度までの間で累計1億1600万円を超え、年平均1450万円にも上る(甲498)。 受賞歴ルブタンは、海外において、ザ・ラグジュアリー・インスティテュートが主催する年度別「ラグジュアリー・ブランド・ステータス・インデ ックス」で平成19年から平成21年まで3年連続して「最もプレステージのある婦人靴」と認定され、平成23年にはオンライン上で最も頻繁に検索されたブランドであると認定される(甲460)など、様々な賞を受賞している(甲461ないし463)。報道でも、ルブタンは、「輝く赤くラッカーを塗った靴底を知らない女性はいないと思う」(甲 460の1)、「ルブタンの靴の最も顕著で広く認識された特徴は、彼 らの商標であるレッドソール」(甲460の2 、「輝く赤くラッカーを塗った靴底を知らない女性はいないと思う」(甲 460の1)、「ルブタンの靴の最も顕著で広く認識された特徴は、彼 らの商標であるレッドソール」(甲460の2)、「レッドソールは誰もが認識するものになっています」(甲460の4)などと高く評価されている。 エ模倣品に対する対応状況原告会社は、これまで、原告表示の模倣商品を販売する事業者に対し、 不競法に基づき、販売中止を求めるなどの措置を講じてきており(甲464ないし471)、そのうち東京地方裁判所に訴訟提起に至った1件については、平成28年12月8日、赤い靴底のハイヒールの製造、販売等を今後一切行わないことを約する旨の条項を合意するなどして、裁判上の和解をしている(甲471)。このような原告らの努力を通じて、原告表示 の出所識別機能は極めて高いものとなっている。 オ他国における商標登録原告表示は、オーストラリア、カナダ、フランス、欧州連合、ロシア、シンガポール、英国、米国等の主要国を含む50か国において、識別力が認められた上で商標登録されている(甲472)。ファッションや流行に 国境はなく、サービス及び情報の流通が高度に発展し、国際間の商取引が日常的に行われている現代においては、商品等表示該当性を判断するに当たっても、他国における識別力の獲得状況も十分に参酌されて然るべきである。 カ需要者の認識 ツイートやブログの記事に「靴の裏が赤といえば、ルブタンでは?」(甲507)、「靴底?靴裏?赤いと言えば【ルブタン】でしょ?」(甲509)、「靴底赤=ルブタンやん!」(甲513)などの記載があることから明らかなように、需要者は、女性用ハイヒールに付された原告赤色を見ると、当該ハイヒールを原告商 えば【ルブタン】でしょ?」(甲509)、「靴底赤=ルブタンやん!」(甲513)などの記載があることから明らかなように、需要者は、女性用ハイヒールに付された原告赤色を見ると、当該ハイヒールを原告商品であると認識する。 そして、原告表示が需要者の間でルブタンを示すものとして周知となっ ていることは、令和2年10月9日から同月11日まで実施された「ファッションに関するアンケート」(以下「本件アンケート」という。甲526)による調査結果においても認められる。すなわち、本件アンケートは、ファッションアイテム又はグッズを購入する20歳から50歳までの女性用ハイヒールを履く習慣のある女性を対象として、東京都、大阪府及び 愛知県の特定のショッピングエリアで実施されたものであり、その結果によれば、商願2015-29921における図表1(別紙原告表示目録記載の図と同様のものであり、以下「本願商標」という。)を見てルブタンの出所を示すものと認識した人の割合は、64.77%~67.76%、靴底が赤いハイヒールを一切見たことがない人を対象に含めても51.6 0%~53.99%と高い割合となっている。 (被告の主張)商品の形態の商品等表示該当性商標等とは異なり、本来的には商品の出所を表示する目的を有しない商品の色彩が、例外的に特定の出所を表示するものとして「商品等表示」に該当 するためには、商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要するものと解される。 に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要するものと解される。 原告表示の商品等表示該当性以下の事情を踏まえると、原告表示は、新規性、特異性がないため特別顕著性が認められず、また、周知性も認められないから、「商品等表示」に該当しない。 ア原告表示に特別顕著性はないこと 原告表示は、①女性用ハイヒールの、②靴底部分に付された、③原告 赤色という特徴を兼ね備えているところ、①女性用ハイヒールは、世の中にありふれたものであり、②靴底についても、靴底部分は靴として一体として当然に備わる機能・特徴を有する部位にすぎない。 また、③原告赤色も、パントン社が色見本として販売する赤色の一つとして市場に一般的に流通している色であって、原告らが創りだした特 別の色彩というわけでも、原告らのみが独占して使用できる色でもなく、格別特殊な色というわけではない。パントン社の色見本の中で比較してみても、原告赤色は、一般の需要者からすると、広くありふれた普通の赤色と認識される色彩である。また、色彩の中でも赤色は、人の注意を惹く色で市場での訴求力が高く、多くの者が選択を欲する色であり、フ ァッション商品(特に女性向け商品)においては、その種類や部位を問わず、商品を印象付けその魅力を高めるために一般的に使用される色彩である。実際、日本では、原告らが原告表示を使用する前から、伝統的な漆塗りの下駄底から女性用ハイヒールの靴底に至るまで、靴底部分に赤色を配色することが多数の事業者において慣習上一般的になされてき ており(乙6ないし16、33、50、53、56、57、61の2、乙73、 底から女性用ハイヒールの靴底に至るまで、靴底部分に赤色を配色することが多数の事業者において慣習上一般的になされてき ており(乙6ないし16、33、50、53、56、57、61の2、乙73、74、85等)、国外ブランドでも、原告Xが昭和50年頃に修行を積んだシャルルジョルダンでは、原告らが女性用ハイヒールを製造販売するよりも70年も前から、女性用ハイヒールの靴底に赤色が使用されており(乙3ないし5)、現在では、イタリアの有名ファッショ ンブランドであるサルヴァトーレフェラガモでも、女性用ハイヒールの靴底に赤色が使用されている(乙71)。 他方、原告商品には、上記①ないし③の特徴のほかに、④革製の靴底で、⑤その表面がエナメル塗装のようにツルツルとした質感で、⑥マニキュアのようにテラテラとした光沢のある赤色が、⑦靴底の全体に付さ れているという特徴があるほか、⑧ヒールや靴の形状等を含む靴全体の デザインにも特徴があるところ、このような④ないし⑧の特徴が、「高級感」、「高級で高品質な商品」というイメージや、「靴底に赤いマニキュアを「塗る」というルブタンの着想」、「オブジェのように美しい靴」(甲217)、「美しいシルエット」(甲151、201等)、「高いデザイン性」(甲112等)、「上質な素材」(甲112、209等) などと評される原告商品の特徴を基礎付けている。また、原告商品には、中敷や靴底部分に大きくルブタンのロゴ表示が付されており(中敷につき甲17、84等、靴底につき甲86、460の2等)、このような表示が原告商品を識別、選択する上で大きな働きをしていることは否定できない。 それにもかかわらず、原告表示は、抽象的かつ広範であって、しかもありふれた要素にすぎない①ないし③の特徴のみを取 示が原告商品を識別、選択する上で大きな働きをしていることは否定できない。 それにもかかわらず、原告表示は、抽象的かつ広範であって、しかもありふれた要素にすぎない①ないし③の特徴のみを取り出し組み合わせたものにすぎないから、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているとはいえない。かえって、①ないし③といった極めてありふれた要素のみで原告表示に商品等表示性を認めることは、本来誰もが自 由に使用できる赤色について、色彩の組合せや使用される形状等において何ら特別な限定もないまま、原告らがその使用を不当に独占しようとするものであり、公正な競争を阻害するものであるから許されない。 イ原告表示に周知性はないこと上記アのとおり、日本では、原告商品の販売等がされるようになる前か ら、数多くのブランドによって靴底が赤色の女性用ハイヒールの販売等が行われているのであって、原告らが原告表示を長期間独占的に使用した事実はない。そのため、原告表示が、需要者の間でルブタンの出所を表示するものとして周知になっているとはいえない。 ウ本件アンケートの調査結果は、原告表示の特別顕著性や周知性を裏付け るものでないこと 原告らは、本件アンケートの調査結果によって、原告表示の出所識別機能や周知性が裏付けられていると主張する。 しかしながら、「クリスチャンルブタンの色彩商標(商標2015-29921)の認識度調査報告書」と題する本件アンケートの調査報告書(甲526)において、「価格の日用品と異なり、需要者の範囲が限定される ことの多い、高級ブランドによる嗜好性の高い商品に用いられる色彩商標の認識度」(ⅴ頁)という記載があるように、本件アンケートによる調査は、被告商品のような「手頃な価格帯の 者の範囲が限定される ことの多い、高級ブランドによる嗜好性の高い商品に用いられる色彩商標の認識度」(ⅴ頁)という記載があるように、本件アンケートによる調査は、被告商品のような「手頃な価格帯のブランド品」の需要者ではなく、高級ブランド品の需要者又はこれになり得る者に関する原告表示の認識度を測ることを主眼としたものである。そして、本件アンケートは、その対 象者を高級ブランド品の需要者となり得る者が偏在する東京都、大阪府及び愛知県の居住者であって、かつ、普段都心部でファッションアイテムを購入する者に絞った上で、その中から「靴底が赤いハイヒールを見たことがない人」を除外し、「赤い靴底のハイヒール靴を知っている」又は「見たことがある」需要者に更に限定した上で、最終的に認知度を算出してい る。また、その質問の内容も、①原告表示が出所表示として機能することや特定のファッションブランドが靴底の赤いハイヒールを販売していることを前提にしていること(Q5「靴底が赤いハイヒール靴を販売しているファッションブランドがあることを知っていましたか。」、Q6「靴底部分が赤いハイヒール靴を見て、どちらのブランドが思い浮かびますか。思 い浮かぶブランド名を回答欄にご自由にお書きください。」)、②「複数回答可」の注記がないこと(Q5、Q6、Q7「このように靴底部分が赤いハイヒールを見て、どちらのブランドが思い浮かびますか。」)、③選択式質問で実際に靴底の赤いハイヒールを販売する国内ブランドや「その他」の選択肢がないこと(Q7)などを踏まえると、本件アンケートは、 恣意的なものといえる。 これらの事情を踏まえると、本件アンケートは、原告表示の特別顕著性や周知性を裏付けるものとはいえず、また、調査対象者の選定及び質問の設定 ケートは、 恣意的なものといえる。 これらの事情を踏まえると、本件アンケートは、原告表示の特別顕著性や周知性を裏付けるものとはいえず、また、調査対象者の選定及び質問の設定に恣意的な操作がされているから、その結果を採用することは許されない。仮に本件アンケートの調査結果を踏まえるとしても、本願商標を見てルブタンの出所を示すものと認識した人の全サンプルでの割合は、自由 回答で43.35%と半数を下回っており、選択式回答結果による補正を行っても51.60%と約半数しかいないのであるから、原告表示を商品等表示として認めるには不十分である。かえって、「靴底が赤いハイヒールを一切見たことがない人」が相当数(20.32%)もいることが、原告表示に特別顕著性も周知性もないことを示している。 2 争点2(原告表示の周知著名性の有無)について(原告らの主張)争点1(原告らの主張)で主張した事情を踏まえると、原告表示は、遅くとも平成12年10月までに、需要者の間において、原告らの商品等表示として周知著名であり、その状況は、現在に至るまで継続している。 (被告の主張)争点1(被告の主張)で主張した事情を踏まえると、原告表示は、需要者の間において、原告らの商品等表示として周知著名であるということはできない。 3 争点3(原告表示と被告商品の形態の類否)について(原告らの主張) 被告商品は、原告表示の3つの特徴のうち、①女性用ハイヒール、②靴底部分に付されたという特徴を備えるとともに、その色は③原告赤色に酷似する。 他方、原告商品と被告商品を同時に並べて注意深く比較しても、被告の主張する靴底の光沢の有無や質感などの違いは認識することができず、時と場所を異にして観察するときは、なお 色は③原告赤色に酷似する。 他方、原告商品と被告商品を同時に並べて注意深く比較しても、被告の主張する靴底の光沢の有無や質感などの違いは認識することができず、時と場所を異にして観察するときは、なおさら需要者に意識されることはないから、原告 表示と被告商品の全体的な印象に顕著な差はない。 現に、中古品転売のウェブサイトでは、被告商品やその同種商品と思われる商品について、「ルブタンのような底が赤いのが気に入って購入しました!」(甲500)、「裏がルブタンの赤と似ていて、高級感のある黒のヒールです。」(甲501)、「ルブタンのようなレッドソールに引かれ購入しました」(甲502)などと転売者によって紹介されている。 したがって、原告表示と被告商品の形態は類似する。 (被告の主張)原告商品の靴底には、原告らの主張する①ないし③の特徴のほかに、④革製で、⑤表面がエナメル塗装のようにツルツルとした質感で、⑥マニキュアのようにテラテラとした光沢のある赤色であるといった特徴もあるところ、被告商 品の靴底は、原告商品の靴底とは異なり、③原告赤色ではなく、④ゴム素材で、⑤表面が細かい模様のような凹凸のある滑りにくい質感で、⑥光沢のないマットな赤色となっているため、原告商品の靴底とは全体的な印象が明らかに異なる。 したがって、原告表示と被告商品の形態は類似しない。 4 争点4(混同の有無)について(原告らの主張)被告商品の形態が周知著名な原告表示と酷似していることからすると、仮に、被告が主張するとおり、被告通販サイトや被告商品の販売店舗に被告のブランド名の表示があったとしても、被告商品は、その購入者並びに雑誌及び街角に いる着用者を通じて被告商品を見た者に対し、原告商品あるいは原告 とおり、被告通販サイトや被告商品の販売店舗に被告のブランド名の表示があったとしても、被告商品は、その購入者並びに雑誌及び街角に いる着用者を通じて被告商品を見た者に対し、原告商品あるいは原告らと資本関係又は提携関係を有する者の商品と混同を生じさせるものである。 (被告の主張)被告通販サイトや被告商品の販売店舗では、被告のブランド名である「EIZO」、「エイゾー」などを表示する措置が講じられており(甲2の2、乙2 6、27)、被告商品の中敷や靴底にも被告のブランド名のロゴである「EI ZO」が、大きく表記されている(甲483、499、乙28ないし31)。 また、被告商品は、多数のカラーバリエーションの一つとして販売されており(乙86)、全ての靴底が赤色で統一された原告商品とは販売形態も異なる。 加えて、需要者は、靴全体のデザインや、品質、履き心地、ブランドのロゴ等を精査して商品を購入するのであり、靴底の色のみをもって商品を識別、選択 することはない。さらに、争点3(被告の主張)で主張したとおり、原告商品の靴底は、革素材の靴底に原告赤色を着色した光沢のあるものであるのに対し、被告商品の靴底は、原告商品の靴底とは異なり、赤色のゴム素材を使用した光沢のないマットな色合いのものであり、価格帯も、原告商品と被告商品とでは異なる。 これらの事情を踏まえると、需要者が、被告商品を原告商品あるいは原告らと資本関係等のある者の商品と混同することはない。 5 争点5(慣用表示の抗弁(不競法19条1項1号)の成否等)について(被告の主張)JLIA(一般社団法人日本皮革産業連合会)作成の刊行物提出書(乙61 の2)及び報告書(乙74)並びに特許庁審査官作成の拒絶理由通知書(乙62)及び 等)について(被告の主張)JLIA(一般社団法人日本皮革産業連合会)作成の刊行物提出書(乙61 の2)及び報告書(乙74)並びに特許庁審査官作成の拒絶理由通知書(乙62)及び拒絶査定(乙2)からも明らかなように、靴底が赤色の女性用ハイヒールは、原告商品が日本国内で販売される前から現在に至るまで、一般的なデザイン手法を用いた女性用ハイヒールとして、多くの事業者により製造販売されてきた(乙3ないし16、23、24、65、67、70ないし74、77 ないし78等)。そうすると、原告らが原告表示と類似すると主張する被告商品の形態は、「慣用されている商品等表示」(不競法19条1項1号)に該当する。 また、被告は、商品の魅力を増す一つの方法として、赤色を含むカラーソールを採用した女性用ハイヒールを販売してきており(乙23、65)、被告商 品はその一つであるところ、被告が販売する女性用ハイヒールのカラーソール のデザインや使用されている色、態様等は、他の同種商品と同様のものであり特徴的なものではない。そうすると、被告商品の上記形態は、被告商品において、慣用されている商品等表示として「普通に用いられる方法で使用」(同号)されたものといえ、自他商品識別機能又は出所識別機能を果たす態様で使用されたものではない。 したがって、慣用表示使用の抗弁が成立する。また、同様の理由により、被告による被告商品における上記形態の使用は、不競法2条1項1号及び2号にいう「使用」に該当しない。 (原告らの主張)原告商品が日本国内で販売される前から現在に至るまで、靴底全体が赤色の 女性用ハイヒールが、日本国内で製造販売されていたという事実を示す証拠はない。また、ルブタン以外のブランドで、靴底が赤 原告商品が日本国内で販売される前から現在に至るまで、靴底全体が赤色の 女性用ハイヒールが、日本国内で製造販売されていたという事実を示す証拠はない。また、ルブタン以外のブランドで、靴底が赤色の女性用ハイヒールが製造販売されていたとしても、これらの商品は、原告表示が周知著名であることに便乗する模倣商品にすぎない。そうすると、原告表示は、今もなおルブタンの出所を示す機能を備えており、慣用表示化されていないから、原告表示に類 似する被告商品の形態は、不競法19条1項1号にいう「慣用されている商品等表示」に該当しない。 また、被告商品の上記形態は、周知著名である原告表示の特徴を全て備えているため、需要者に原告商品を容易に想起させるから、被告商品において自他識別機能又は出所識別機能を果たす態様で使用されたものといえ、不競法19 条1項1号にいう「普通に用いられる方法で使用」されたものとはいえない。 したがって、慣用表示使用の抗弁は成立しない。また、同様の理由により、被告商品における上記形態の使用は、不競法2条1項1号及び2号にいう「使用」に該当する。 6 争点6(先使用の抗弁(不競法19条1項3号、4号)の成否)について (被告の主張) 仮に、原告表示が商品等表示に該当し、周知著名に至っているとしても、被告の親会社である株式会社エイゾーが作成したデザイン帳や雑誌の記載(乙23、24、65、68、77、78)から明らかなように、被告は、遅くとも原告表示が周知著名になる前の平成12年10月から、株式会社エイゾー製造に係る靴底が赤色の女性用ハイヒールの販売等を不正の目的を有することなく 継続して行ってきたから、被告による被告商品の販売等について先使用の抗弁が成立する。 (原告らの主張) 社エイゾー製造に係る靴底が赤色の女性用ハイヒールの販売等を不正の目的を有することなく 継続して行ってきたから、被告による被告商品の販売等について先使用の抗弁が成立する。 (原告らの主張)被告が提出する証拠のみでは、被告が平成12年10月から靴底が原告表示と類似の赤色である女性用ハイヒールの販売等を、不正の目的なく継続して行 ってきた事実は立証されておらず、また、仮に当該事実が存在するとしても、原告表示は遅くとも同月までには商品等表示として周知著名に至っていたから(甲21、80、81、193ないし220等)、被告による被告商品の販売等について先使用の抗弁が成立する余地はない。 7 争点7(損害額)について (原告らの主張)原告らは、被告の不正競争により営業上の利益が侵害され、次に掲げる損害を被った。 原告Xに生じた使用料相当額の損害 585万円原告Xは、被告による被告商品の販売により、原告表示の使用料相当額の 損害を被った。 そして、被告商品1及び2の単価は、1万6000円、被告商品3ないし7の単価は、1万7000円であるところ、被告商品の商品毎の売上個数は、それぞれ、少なくとも500足は下回らないから、被告商品の売上げは、5850万円(1万6000円×500足×2+1万7000円×500足× 5)を下回らない。また、原告表示は、世界有数のファッションブランドの ルブタンを代表する原告商品を識別する機能を有し、強い顧客吸引力が認められるため、その使用料率は売上高の10%を下回らないとするのが相当である。 したがって、被告の不正競争に対し原告Xが受けるべき金銭の額に相当する額(不競法5条3項)は、585万円(5850万円×10% の使用料率は売上高の10%を下回らないとするのが相当である。 したがって、被告の不正競争に対し原告Xが受けるべき金銭の額に相当する額(不競法5条3項)は、585万円(5850万円×10%)を下回ら ない。 原告会社に生じた逸失利益 1755万円原告会社は、被告による被告商品の販売により、原告商品を販売することにより得られたはずの利益を得ることができず、損害を被った。 そして、被告商品の売上高は5850万円を下回らないことは、上記の とおりであり、利益率を40%とすると、被告商品の粗利益は2340万円(5850万円×40%)となるから、原告会社に生じた逸失利益の額は、上記粗利益の額から原告Xに支払われるべき使用料相当額585万円を控除した1755万円(2340万円-585万円)と推定するのが相当である(不競法5条2項)。 原告らに生じた無形損害 1000万円原告らは、最低でも価格が8万円を超える原告商品に比べ著しく低価格の被告商品が被告によって宣伝広告、販売等されたことにより、世界有数の高級ブランドであるルブタンのブランド価値を毀損され、1000万円を下回らない無形の損害を被った。この損害に係る債権は、原告らの連帯債権と解 すべきである。 弁護士費用原告らは、被告の不正競争により、原告訴訟代理人弁護士に委任して本訴を提起せざるを得なくなった。そして、原告らが外国人又は外国法人であることや、本件請求が不競法という専門性の高い法律に基づくものであること を考慮すると、被告の不正競争と相当因果関係にある弁護士費用の額は、原 告Xにあっては、上記及びの各損害の合計額の20%である317万円((585万円+1000万 あること を考慮すると、被告の不正競争と相当因果関係にある弁護士費用の額は、原 告Xにあっては、上記及びの各損害の合計額の20%である317万円((585万円+1000万円)×20%)、原告会社にあっては、上記及びの各損害の合計額の20%である551万円((1755万円+1000万円)×20%)を下回らない。 (被告の主張) 争う。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前記認定事実、証拠(後掲証拠のほか、検証の結果)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。 原告表示の使用状況等ア原告Xは、平成3年から平成4年までの間、原告会社を設立してルブタンのブランドを立ち上げ、遅くとも平成9年以降、女性用ハイヒールの靴底にラッカー塗装した原告赤色を継続的に使用し、これが原告商品の特徴の一つとされてきた(甲196ないし198、369、460の1)。現 在、原告会社は、原告赤色を、原告商品のみならず、男性用靴のほか、財布やバックなどにも使用している(甲5ないし12、13の2・3)。 イ原告商品の中敷には、ルブタンのブランドロゴが付されている(甲499、検証の結果)。また、原告商品は、原告表示のほかにも、靴のアッパー部分にスタッズ(飾り鋲)やリボン、ラインストーン等の装飾のあるも のや、「ピンヒール」(甲19)などと呼ばれるヒールの形状に特徴があるものなど、デザインに複数の特徴のあるものが多数存在する(甲29の1)。 ⑵ 原告商品の日本での販売実績、売上高等ア原告会社は、遅くとも平成10年までに、原告商品の輸入販売を日本で 開始した(甲208)。 イ原告Xは、平成21年9月、ルブタン日本法人を設立し、平成22年2月に松屋銀座 原告会社は、遅くとも平成10年までに、原告商品の輸入販売を日本で 開始した(甲208)。 イ原告Xは、平成21年9月、ルブタン日本法人を設立し、平成22年2月に松屋銀座店を、同年10月に日本初の路面店を銀座にオープンした(甲14、140、294、398、404、乙76)。 ウルブタン日本法人は、平成21年の設立後、原告商品を、ルブタン日本法人運営のオンラインショップのほか、路面店(銀座店、青山店)、高級 百貨店内の店舗等で販売している(甲29)。 エルブタン日本法人の婦人靴の販売金額(消費税抜)の合計は、平成27年度は32億1573万3000円、平成28年度は33億0495万4000円である(甲30)。 ⑶ 原告商品のメディアでの紹介、宣伝広告、受賞歴等 アメディア等での紹介原告商品は、平成4年から平成29年までの間に、各種雑誌や書籍において、紹介等されている(甲5、6、8、10、16ないし28、31ないし41、43ないし79、81、83、126、128ないし134、136ないし143、145ないし157、159ないし168、 170、171、173、177、179ないし192、194ないし203、205、207ないし221、223ないし244、246ないし248、250ないし283、285ないし293、303、304、308、309、312、313、316、320ないし322、345、349ないし351)。 原告商品やその靴底の色彩に言及する記事が、少なくとも平成21年11月から平成30年3月までの間、フリー百科事典「Wikipedia」、海外通販サイト、まとめサイト、ファッション関連のニュースサイトなどの各種ウェブサイトに掲載された(甲369ないし 平成21年11月から平成30年3月までの間、フリー百科事典「Wikipedia」、海外通販サイト、まとめサイト、ファッション関連のニュースサイトなどの各種ウェブサイトに掲載された(甲369ないし420)。 原告商品は、「セックス・アンド・ザ・シティ」、「あなたは私の婿 になる」(平成21年日本公開)、「抱擁のかけら」(平成22年日本 公開)、「TIME/タイム」(平成24年日本公開)、「バッド・ティーチャー」(同年日本公開)、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(同年放送開始)などのテレビドラマや映画で、登場人物の衣装として使用された(甲353ないし368、乙17ないし20)。 イ宣伝広告 原告会社は、原告商品について、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌その他のマスメディアに広告を掲載することはなく、サンプルトラフィッキング(雑誌編集者、スタイリスト、著名人等からの要望又は依頼に応じて、これらの者が雑誌の記事、メディアでの撮影等で使用するため原告商品を貸し出すという広告宣伝方法をいう。)という手法で宣伝広告をしている。 そのため、原告会社は、ルブタン日本法人に対し、サンプルトラフィッキング用に原告商品を販売しているところ、平成22年度から平成29年度までの販売金額(ルブタン日本法人の購入金額)の累計は、1億1651万7000円(年平均約1450万円)である(甲498、乙76)。 ウ海外での受賞歴 ルブタンは、ザ・ラグジュアリー・インスティテュートが毎年主催する「ラグジュアリー・ブランド・ステータス・インデックス」において平成19年から平成21年まで3年連続で1位となり、最もプレステージのある婦人靴ブランドであると認定された(甲460)。 原告Xは、平成20年、インターナ ンド・ステータス・インデックス」において平成19年から平成21年まで3年連続で1位となり、最もプレステージのある婦人靴ブランドであると認定された(甲460)。 原告Xは、平成20年、インターナショナル・ファッション・グルー プからFFANY賞を受賞した(甲461)。 原告Xは、市場に大きな影響を与えたシューズデザイナーなどを表彰する「フットウェア・ニュース・アチーブメント・アワード」において、平成17年に「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に、平成22年に「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に、それぞれ選ばれた(甲463)。 ⑷ 原告商品以外の靴底が赤色の女性用ハイヒール等 ア原告赤色と似た赤色は、ファッション関係においては国内外を問わず古くからあらゆる商品に採用されている(乙40、42、43、45、56ないし60、70、85等)。 イ写真家ギィ・ブルタンの写真集「GUYBOURDIN」(平成18年第1刷発行。 甲519、520、乙66)には、昭和54年春のシャルルジョルダンの 広告写真として、靴底が原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載されている(甲520)。 ウシューズデザイナー高田喜佐の著書「Shoe, ShoePARADISE」(平成3年2月20日第1刷発行。乙7)には、「1985クリスマス商品」として靴底が原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載されている (乙7)。 エダイアナが展開するブランド「TELLUS」のカタログ「Telluscollection “AutumnWinter 88 89”」(乙8)、「AUTUMNWINTERCOLLECTION/92 TELLUS」(乙9)には、靴底が原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載 utumnWinter 88 89”」(乙8)、「AUTUMNWINTERCOLLECTION/92 TELLUS」(乙9)には、靴底が原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載されている。 オ雑誌「GLAMOROUS」平成20年10月号及び平成21年5月号には、モーダ・クレアの靴底が赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載されている(乙61の2〔提出刊行物等の乙3ないし5〕)。 カ靴底が原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールが、令和元年8月14日時点において、ZOZOTOWN、ロコンド、Amazon、楽天及びY ahoo!ショッピングのウェブサイトで、少なくとも70程度のブランド又は販売店から販売されていた(乙11ないし15)。 ⑸ 原告商品と被告商品の形態等ア原告商品の靴底は、革製であり、これに赤色のラッカー塗装をしているため、靴底の色は、いわばマニュキュアのような光沢がある赤色である。 これに対し、被告商品の靴底はゴム製であり、これに特段塗装はされてい ないため、靴底の色は光沢がない赤色である(甲483、499、検証の結果)。 イ原告商品の価格は、最低でも8万円を超える高価格帯のハイヒールであって、10万円を超えるものも珍しくないのに対し(甲17、20、35、37等)、被告商品の価格は、被告商品1及び2が1万6000円(税抜)、 被告商品3ないし7が1万7000円(税抜)であり(甲473ないし479)、原告商品と比較すると廉価で手頃な価格帯の商品である。 ウ原告商品の中敷には、ルブタンのロゴが付されているのに対し、被告商品の中敷及び靴底には、金色で「EIZO」のロゴが付されている(甲499、乙28ないし31)。 エ被告による被告商品 原告商品の中敷には、ルブタンのロゴが付されているのに対し、被告商品の中敷及び靴底には、金色で「EIZO」のロゴが付されている(甲499、乙28ないし31)。 エ被告による被告商品の小売販売は、頁の上部に「EIZO」と記載された被告通販サイト(甲2の2)や、「EIZO」のブランドプレートやロゴパネル等により明確に区別されたエイゾーブランド専用の区画やブースにおいて行われている(乙27、28)。 ⑹ 本件アンケート(甲526)の調査結果 ア本件アンケート(「ファッションに関するアンケート」)は、原告Xが、NERAエコノミックコンサルティングに依頼して、原告Xが商標登録出願している本願商標(商願2015-29921)が、何人かの業務に係る商品又は役務であると需要者に認識されているかどうか、又は使用により需要者に広く認識されているかどうかを検証するために実施されたもの である。 イ本件アンケートの報告書によれば、女性用ハイヒール靴の市場は大別すると、①高級ブランド品、②手頃な価格帯のブランド品、③安価な無名品の3つのセグメントに分けられるとし、本願商標は、高級ブランド品のセグメントで用いられており、このセグメントは、高品質だがブランドごと に特色のある商品が販売されており、商品が高価格なため、消費者は自ら の好みに合った商品を厳選して購入しているとしている。 ウ本件アンケートは、令和2年10月9日から同月11日までの間、ファッションアイテム又はグッズを購入する20歳から50歳までの女性用ハイヒールを履く習慣のある女性を対象として、東京都、大阪府及び愛知県の特定のショッピングエリアで実施されたものである。そして、上記の条 件で回答者(東京都1055人、大阪府1041人及び愛知県 イヒールを履く習慣のある女性を対象として、東京都、大阪府及び愛知県の特定のショッピングエリアで実施されたものである。そして、上記の条 件で回答者(東京都1055人、大阪府1041人及び愛知県1053人)を抽出し、インターネットを用いてアンケート調査を実施した。 エ本件アンケートの結果によれば、本願商標を見てルブタンの出所を示すものと認識した人の割合は、靴底が赤いハイヒールを一切見たことがない人を対象に含めた場合には、64.77%~67.76%であり、これら の人を対象に含めない場合には、51.60%~53.99%である。 他方、靴底が赤色の女性用ハイヒールを販売しているファッションブランドを知らなかった者及び分からなかった者の割合は、全サンプルの30. 13%(うち、靴底が赤色の女性用ハイヒールを見たことがない者は67. 44%)であり(Q5「靴底が赤いハイヒール靴を販売しているファッシ ョンブランドがあることを知っていましたか。」、Q5-1「あなたは、この画像のように靴底部分が赤いハイヒール靴を見たことがありますか。」)、選択式でルブタン以外のブランド名を選択した者の割合は、回答者数の34.78%であった(Q7「このように靴底部分が赤いハイヒールを見て、どちらのブランドが思い浮かびますか。」)。 2 不競法2条1項1号該当性について⑴ 不競法2条1項1号は、他人の周知な商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)と同一又は類似の商品等表示を使用等することをもって、不正競争に該当する旨規定している。この規定は、周知な商品等 表示の有する出所表示機能を保護するという観点から、周知な商品等表示に 化 類似の商品等表示を使用等することをもって、不正競争に該当する旨規定している。この規定は、周知な商品等 表示の有する出所表示機能を保護するという観点から、周知な商品等表示に 化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止し、事業者間の公正な競争等を確保するものと解される。そして、商品の形態(色彩を含むものをいう。以下同じ。)は、特定の出所を表示する二次的意味を有する場合があるものの、商標等とは異なり、本来的には商品の出所表示機能を有するものではないから、上記規定の趣旨に鑑みる と、その形態が商標等と同程度に不競法による保護に値する出所表示機能を発揮するような特段の事情がない限り、商品等表示には該当しないというべきである。そうすると、商品の形態は、①客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴(以下「特別顕著性」という。)を有しており、かつ、②特定の事業者によって長期間にわたり独占的に利用され、又は短期間であっても極 めて強力な宣伝広告がされるなど、その形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知(以下、「周知性」といい、特別顕著性と併せて「出所表示要件」という。)であると認められる特段の事情がない限り、不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないと解するのが相当である。 そして、商品に関する表示が複数の商品形態を含む場合において、その一 部の商品形態が商品等表示に該当しないときであっても、上記商品に関する表示が全体として商品等表示に該当するとして、その一部の商品を販売等する行為まで不正競争に該当するとすれば、出所表示機能を発揮しない商品の形態までをも保護することになるから、上記規定の趣旨に照らし、かえって事業者間の公正な競争を阻害するというべきである 品を販売等する行為まで不正競争に該当するとすれば、出所表示機能を発揮しない商品の形態までをも保護することになるから、上記規定の趣旨に照らし、かえって事業者間の公正な競争を阻害するというべきである。のみならず、不競法2 条1項1号により使用等が禁止される商品等表示は、登録商標とは異なり、公報等によって公開されるものではないから、その要件の該当性が不明確なものとなれば、表現、創作活動等の自由を大きく萎縮させるなど、社会経済の健全な発展を損なうおそれがあるというべきである。そうすると、商品に関する表示が複数の商品形態を含む場合において、その一部の商品形態が商 品等表示に該当しないときは、上記商品に関する表示は、全体として不競法 2条1項1号にいう商品等表示に該当しないと解するのが相当である。 これを本件についてみると、原告表示は、別紙原告表示目録記載のとおり、原告赤色を靴底部分に付した女性用ハイヒールと特定されるにとどまり、女性用ハイヒールの形状(靴底を含む。)、その形状に結合した模様、光沢、質感及び靴底以外の色彩その他の特徴については何ら限定がなく、靴底に付 された唯一の色彩である原告赤色も、それ自体特別な色彩であるとはいえないため、被告商品を含め、広範かつ多数の商品形態を含むものである。 そして、前記認定事実及び第2回口頭弁論期日における検証の結果(第2回口頭弁論調書及び検証調書各参照)によれば、原告商品の靴底は革製であり、これに赤色のラッカー塗装をしているため、靴底の色は、いわばマニュ キュアのような光沢がある赤色(以下「ラッカーレッド」という。)であって、原告商品の形態は、この点において特徴があるのに対し、被告商品の靴底はゴム製であり、これに特段塗装はされていないため、靴底の色は光沢がない 光沢がある赤色(以下「ラッカーレッド」という。)であって、原告商品の形態は、この点において特徴があるのに対し、被告商品の靴底はゴム製であり、これに特段塗装はされていないため、靴底の色は光沢がない赤色であることが認められる。そうすると、原告商品の形態と被告商品の形態とは、材質等から生ずる靴底の光沢及び質感において明らかに印象を 異にするものであるから、少なくとも被告商品の形態は、原告商品が提供する高級ブランド品としての価値に鑑みると、原告らの出所を表示するものとして周知であると認めることはできない。そして、靴底の光沢及び質感における上記の顕著な相違に鑑みると、この理は、赤色ゴム底のハイヒール一般についても異なるところはないというべきである。 したがって、原告表示に含まれる赤色ゴム底のハイヒールは明らかに商品等表示に該当しないことからすると、原告表示は、全体として不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないものと認めるのが相当である。 のみならず、前記認定事実によれば、そもそも靴という商品において使用される赤色は、伝統的にも、商品の美感等の観点から採用される典型的な色 彩の一つであり、靴底に赤色を付すことも通常の創作能力の発揮において行 い得るものであって、このことはハイヒールの靴底であっても異なるところはない。そして、原告赤色と似た赤色は、ファッション関係においては国内外を問わず古くから採用されている色であり、現に、前記認定事実によれば、女性用ハイヒールにおいても、原告商品が日本で販売される前から靴底の色彩として継続して使用され、現在、一般的なデザインとなっているものとい える。そうすると、原告表示は、それ自体、特別顕著性を有するものとはいえない。また、前記認定事実によれば、日本における原告商 彩として継続して使用され、現在、一般的なデザインとなっているものとい える。そうすると、原告表示は、それ自体、特別顕著性を有するものとはいえない。また、前記認定事実によれば、日本における原告商品の販売期間は、約20年にとどまり、それほど長期間にわたり販売したものとはいえず、原告会社は、いわゆるサンプルトラフィッキング(雑誌編集者、スタイリスト、著名人等からの要望又は依頼に応じて、これらの者が雑誌の記事、メディア での撮影等で使用するため原告商品を貸し出すという広告宣伝方法をいう。)を行うにとどまり、自ら広告宣伝費用を払ってテレビ、雑誌、ネット等による広告宣伝を行っていない事情等を踏まえても、極めて強力な宣伝広告が行われているとまではいえず、原告表示は、周知性の要件を充足しないというべきである。したがって、原告表示は、そもそも出所表示要件を充足するも のとはいえず、不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当するものとはいえない。 ⑶ また、前記認定事実によれば、原告商品は、最低でも8万円を超える高価格帯のハイヒールであって、靴底のラッカーレッド及びその曲線的な形状に加え、靴の形状、ヒールの高さその他の形態上の顕著なデザイン性を有する 商品であるのに対し、被告商品は、手頃な価格帯の赤色ゴム底のハイヒールであることからすると、ハイヒールの需要者は、両商品の出所の違いをそれ自体で十分に識別し得るものと認めるのが相当である。さらに、いわゆる高級ブランドである原告商品のような靴を購入しようとする需要者は、その価格帯を踏まえても、商品の形態自体ではなく、商標等によってもその商品の 出所を確認するのが通常であって、原告商品、被告商品とも、中敷や靴底に ブランド名のロゴが付されているのであるから、需要者は当該 品の形態自体ではなく、商標等によってもその商品の 出所を確認するのが通常であって、原告商品、被告商品とも、中敷や靴底に ブランド名のロゴが付されているのであるから、需要者は当該ロゴにより出所の違いを十分に確認することができる。しかも、原告商品のような高級ブランド品を購入しようとする需要者は、自らの好みに合った商品を厳選して購入しているといえるから、旧知の靴であれば格別、現物の印象や履き心地などを確認した上で購入するのが通常であるといえ、上記の事情を踏まえて も、このような場合に誤認混同が生じないことは明らかである。 このような取引の実情に加え、原告商品と被告商品の各形態における靴底の光沢及び質感における顕著な相違に鑑みると、原告商品と被告商品とは、需要者において出所の混同を生じさせるものと認めることはできない。 そうすると、被告商品の販売は、不競法2条1項1号にいう不正競争に明 らかに該当しないものと認められる。 ⑷ 原告らの主張に対する判断についてア原告らは、原告商品と被告商品とを同時に並べて対比的観察を行っても、原告赤色と被告商品の靴底に付せられた赤色の色合いは何ら違わず同一であり、光沢の程度や質感の相違等に僅かな差異が存在するとしても、これ らは一見して分からない程度の差異にすぎない旨主張する。しかしながら、第2回口頭弁論期日における検証の結果によれば、原告商品と被告商品の両靴底の光沢及び質感の差異は一見して分からない程度のものではなく、ラッカーレッドで革製の原告商品の形態と赤色ゴム底の被告商品の形態とは、材質等から生ずる靴底の光沢及び質感において明らかに大きく印象を 異にすることは、上記において説示したとおりである。そうすると、原告らの主張は、写真ではなく現物の印象の差異につ 品の形態とは、材質等から生ずる靴底の光沢及び質感において明らかに大きく印象を 異にすることは、上記において説示したとおりである。そうすると、原告らの主張は、写真ではなく現物の印象の差異につき、裁判所の上記認定とは異なる前提に立つものである。 したがって、原告らの主張は、採用することができない。 イ原告らは、ウェブサイトを紙面に印刷した場合や、パソコンのモニター 上で確認した場合には、原告商品と被告商品の材質の差異や光沢の有無等 を確認することができない旨主張する。しかしながら、前記において説示したとおり、高級ブランド品を購入しようとする需要者は、旧知の靴であれば格別、自らの好みに合った商品を厳選して購入するために、現物の印象や履き心地などを確認した上で購入するのが通常であるといえるから、原告らの主張は、取引の実情につき、上記とは異なる前提に立つものであ る。 したがって、原告らの主張は、採用することができない。 ウ原告らは、本件アンケート結果によれば、原告表示には商品等表示が認められる旨主張する。しかしながら、本件アンケートは、女性用ハイヒールの市場につき、①高級ブランド品、②手頃な価格帯のブランド品、③安 価な無名品の3つのセグメントに分けられるとした上、高級ブランド品の需要者を主として対象とするものであるから、手頃な価格帯のブランド品のセグメントに属するといえる被告商品を含めたものとしては、必ずしも適切なものといえない。しかも、本件アンケートは、本願商標(商願2015-29921)の認識度調査であって、その形態として示された本願 商標は、いわゆるピンヒールで比較的デザイン性のあるものであり、被告商品の形態とは、大きく異なるものである。のみならず、本願商標における靴底の赤色につ 査であって、その形態として示された本願 商標は、いわゆるピンヒールで比較的デザイン性のあるものであり、被告商品の形態とは、大きく異なるものである。のみならず、本願商標における靴底の赤色についても、光沢の有無等を一切捨象したものであるから、本件アンケート結果は、被告商品の現物を確認させた上で認識度を調査するものであれば格別、手頃な価格帯の赤色ゴム底のハイヒールが原告らの 出所を示すことを明らかにするものではなく、上記に説示したところに照らすと、本件に適切ではない。そうすると、本件アンケートの結果は、上記認定を左右するに至らない。 したがって、原告らの主張は、採用することができない。 エその他に、原告らの主張を改めて検討しても、ラッカーレッドで革製の 靴底の原告商品と赤色ゴム底の被告商品とは、材質等から生ずる靴底の光 沢及び質感において明らかに印象を異にするものであって、原告らの主張は、実質的には、写真ではなく現物の印象につき、前記認定とは異なる前提に立つものに帰するといえる。そうすると、原告らの主張は、上記判断を左右するに至らない。そもそも原告表示は、広範かつ多数の商品形態を含み得るものであって、上記の形態の相違にかかわらず、手頃な価格帯の 赤色ゴム底のハイヒールについてまで原告らの商品等表示に該当するとすれば、かえって公正な競争を阻害し、社会経済の健全な発展を損なうおそれがあることは、上記において説示したとおりである。 したがって、原告らの主張は、いずれも採用することができない。 3 不競法2条1項2号該当性について 原告表示が不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないことは、上記において説示したとおりである。そうすると、原告表示は、同項2号にいう著名な商品等表示にも該当し 2号該当性について 原告表示が不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないことは、上記において説示したとおりである。そうすると、原告表示は、同項2号にいう著名な商品等表示にも該当しないことは明らかである。したがって、原告らの主張はいずれも採用することができない。 4 その他 原告表示がそもそも商品等表示に該当しないことは、前記において説示したとおりである。したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がない。 第5 結論 よって、原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官 𠮷野俊太郎 裁判官 齊藤敦 (別紙)原告表示目録 1 表示 2 表示の詳細な説明表示は、女性用ハイヒールの靴底部分に付した赤色(「PANTONE-1663TPG」)で構成される。なお、破線は、表示がどのように使用されるかの一例を示したものであり、表示を構成する要素ではない。 (別紙)原告商品目録 (別紙)被告商品目録 第1 商品 1 商品名:EIZOポインテッドプレーンパンプス 型番 (別紙)原告商品目録 (別紙)被告商品目録 第1 商品 1 商品名:EIZOポインテッドプレーンパンプス 型番:EZ19009 色:ブラックエナメル 素材:エナメル 単価:1万6000円(税抜) 2 商品名:EIZOポインテッドプレーンパンプス 型番:EA19009 色:ブラックエナメル 素材:エナメル 単価:1万6000円(税抜) 3 商品名:EIZOポインテッドプレーンパンプス 型番:EB19009 色:ブラックエナメル 素材:エナメル 単価:1万7000円(税抜) 4 商品名:EIZO素材コンビポインテッドパンプス 型番:EA19084 色:ブラック 素材:スエード、サテン生地及び牛革ガラス加工 単価:1万7000円(税抜) 5 商品名:EIZO素材コンビポインテッドパンプス 型番:EB19084 色:ブラック 素材:スエード、サテン生地及び牛革ガラス加工 単価:1万7000円(税抜) 6 商品名:EIZOVカットパンプス 型番:EB17156 色:ブラックエナメル 素材:エナメル 単価:1万7000円(税抜) 7 商品名:EIZOVカットパンプス 型番:EB17156 色:ブラック 素材:牛革 単価:1万7000円(税抜) 第2 外観 1 第1の1の商品 2 第1の4の商品の外観 3 第1の7の商品の外観 以上 第1の4の商品の外観 第1の7の商品の外観 以上
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