- 1 -平成24年2月9日判決言渡平成23年(行ケ)第10223号審決取消請求事件(商標)口頭弁論終結日平成23年11月28日判決原告株式会社秋月事務所 訴訟代理人弁理士加藤久同田代茂夫被告特許庁長官 指定代理人大橋良成同小林由美子 同田村正明 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2010-12400号事件について平成23年5月30日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が下記商標(本願商標)につき商標登録出願したところ,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をしたが,特許庁から請求不成立の審決を受けたことから,その取消しを求めた事案である。 記・商標<標準文字>戸建マンション・指定役務- 2 -第35類「賃貸住宅・駐車場の経営の診断及び指導,賃貸住宅・駐車場事業の経営の代行」第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は 物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。)」第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,土木に関する試験又は研究」 2 争点は,本願商標が,① 商標法3条1項3号が規定する「その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するか,② 商標法4条1項16号が規定する「役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」に該当するか,である。 第3 当事者の主張 1 請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯原告は,平成20年7月2日,指定役務を第35・36・37・42類(詳細は省略)として商標登録出願(商願2008-53190号)をし,平成21年5月25日付けで指定役務を前記第2,1記載の内容に変更する手続補正をしたが,平成22年3月9日付けで拒絶査定を受けたので,これに対- 3 -する不服の審判請求をした。 特許庁は,上記請求を不服2010-12400号事件として審理した上,平成23年5月30日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年6月14日原告に送達された。 (2) 審決の内容審決の内容は,別添審決写しのとおりである。その理由の要点は,① 本願商標は,これをその指定役務中建物に関連する役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎないから商標法3条1項3号に該当する,② 前記役務以外の役務に である。その理由の要点は,① 本願商標は,これをその指定役務中建物に関連する役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎないから商標法3条1項3号に該当する,② 前記役務以外の役務に本願商標を使用するときは役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから同法4条1項16号に該当する,というものである。 (3) 審決の取消事由しかしながら,審決には,以下のような誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。 ア本願商標は商標法3条1項3号に該当しない(ア) 本願商標は原告による造語である本願商標「戸建マンション」の語は,既成語ではなく,辞典類及び各種データベースを調査しても,これを使用している例はない。 そして,本願商標中の「戸建」の語は,「戸建住宅。独立住宅。」等の意味合いを有する語であり,他方「マンション」の語は,「集合住宅。 共同住宅。」等の意味合いを有する語である。つまり,両語は,住宅について全く正反対の意味合いを有する語であることから,本願商標のように「戸建マンション」というように組み合わせた場合,特定の意味合いを有するとはいえない。 他方,原告は,マンションの「快適性」と「管理」のよさ,そして,戸建ての「独立性」と「広い敷地空間」など,「マンション」と「戸建- 4 -て」の双方のよさを複合させ,快適で新しい住宅と住環境を提供するために業務を行い,その商標として本願商標「戸建マンション」を採用したものである。 すなわち,原告は,グループ企業である有限会社羽田エンタープライズ及びラッツ・アーキテクツ株式会社と協力して,設計事務所,建設会社及び管理会社がコラボレートした企画として,マンション管理方式を戸建賃貸に応用し,居住者は内部空間のみを専有し,躯体及び外壁以降の空間は共用部分と ーキテクツ株式会社と協力して,設計事務所,建設会社及び管理会社がコラボレートした企画として,マンション管理方式を戸建賃貸に応用し,居住者は内部空間のみを専有し,躯体及び外壁以降の空間は共用部分として管理会社が管理を行うという方式で,デザイン性の高い建築物を複数棟建て,上記の管理システムにより街並の形成に寄与できる「総合的なシステム」という「戸建マンションによるまちづくり」を実施している。これは,例えば住宅地のため規制により高い建物が建てられない広い土地や,分譲地としては売却しづらい土地などの有効利用を図るという観点から,建築基準法86条1項に基づく特定行政庁の認定を受けて,まち全体で社会貢献をすることを1つのテーマとして,まちづくりを行う事業である。この事業において建築された複数の建物は,マンションでも一戸建て住宅でもなく,一戸ごとにそれぞれが独立した住宅でありながら,全ての住宅につき全体として管理を行うことにより新たな住み方を提供するものであって,その概念を取引者や需要者に分かりやすく伝えるために「戸建マンション」という商標を原告が独自に考えたものである。 なお,原告は,上記「戸建マンションによるまちづくり」を受賞対象として,2008年度グッドデザイン賞を受賞している。 以上のとおり,本願商標は,原告によって創作された造語である。 (イ) 審決において掲示された新聞記事及びインターネット情報について審決においては,戸建て感覚のマンションが多数取引されている実情にあること,及び「戸建(て)マンション」あるいは「戸建型マンショ- 5 -ン」の語が戸建住宅とマンションの特長とを併せ持ったマンションの一建築形態を表すものとして実際に使用されている事実があることを示すために,新聞記事及びインターネット情報が示されている。 5 -ン」の語が戸建住宅とマンションの特長とを併せ持ったマンションの一建築形態を表すものとして実際に使用されている事実があることを示すために,新聞記事及びインターネット情報が示されている。 しかし,それらの記事には本願商標「戸建マンション」という語は使用されていないし,各記事の中には「戸建て感覚マンション」,「マンションで戸建感覚の独立性を追求し」,「戸建て感覚」,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「『新・戸建型』マンション」,「分譲戸建てマンション」という語は使用されているが,その内容について説明のない記事もあり,また,その意味するところは明確でないか異なる意味合いで使用されているものばかりである。 以上によれば,マンションに一戸建ての特長をいろいろ工夫した住宅が建築され取引されている事実があったとしても,その「一戸建ての特長」という内容は一定かつ明確ではなく,それぞれ感覚的な表現で「戸建て」という語を使用しているにすぎないものであるから,「マンション」について「戸建て」あるいは「戸建型」の語を組み合わせて使用しても,直接的に「マンション」(集合住宅)の具体的な質(内容)を表すとはいえないものである。 (ウ) 本願商標は「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」とはいえない上記(イ)のとおり,「戸建て感覚マンション」,「戸建てマンション」あるいは「戸建型マンション」の語を使用している複数の語はそれぞれ独自の意味合いで使用されており,しかも本願商標とは異なる態様で使用されている事実に基づけば,本願商標をその指定役務について使用した場合に,その役務のある特定の質を認識させるとはいえないから,「その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」ということは到底できない ば,本願商標をその指定役務について使用した場合に,その役務のある特定の質を認識させるとはいえないから,「その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」ということは到底できないものである。 - 6 -したがって,本願商標を,その指定役務中の建物関連役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものということはできないから,商標法3条1項3号に該当するものでない。 イ本願商標は商標法4条1項16号に該当しない本願商標は,前記アのとおり,建物関連役務に使用しても,直接的にマンションの特定の質(内容)を表示しているとはいえないから,これを建物関連役務以外の役務に使用しても,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるとはいえない。 したがって,本願商標は,商標法4条1項16号にも該当するものではない。 2 請求原因に対する認否請求原因(1)及び(2)の各事実は認めるが,(3)は争う。 3 被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 (1) 本願商標は商標法3条1項3号に該当するア本願商標は,「戸建マンション」の文字を標準文字で表してなるものであり,その文字の種類の相違から「戸建」の漢字と「マンション」の片仮名文字とを結合した構成からなることは明らかである。 そして,「戸建」が「(集合住宅に対して)独立した一戸の住宅。一戸建て住宅。」を意味する語であるのに対し,「マンション」は「中高層の集合住宅」を意味する語であるから(乙1,2),一般的な解釈からすれば,両語は,住宅の種類を表す語の中でも,正反対の意味を表す語として理解されているというのは,正に原告の主張するとおりである。 しかし,そうで 味する語であるから(乙1,2),一般的な解釈からすれば,両語は,住宅の種類を表す語の中でも,正反対の意味を表す語として理解されているというのは,正に原告の主張するとおりである。 しかし,そうであるからといって,正反対の語である「戸建」と「マンション」とを用いて一連に「戸建マンション」と表記したならば,常に特- 7 -定の意味合いを生じさせない造語としてしか認識されないとはいえないのであって,指定役務における具体的な取引の実情いかんによっては,そのような「戸建」と「マンション」との組合せであっても,有機的な関連性をもって使用され,特定の意味合いを表すようになっている場合には,「戸建マンション」自体もそれに相当する表記として同様の意味合いで理解されることも十分あり得るのである。 また,原告は,2008年度に「戸建マンションによるまちづくり」でグッドデザイン賞を受賞したことや,「戸建マンション」とは,マンション管理方式を戸建賃貸に応用していることを意味しており,原告が考案した造語であるなどと主張するが,たとえ原告が本願商標「戸建マンション」を独自の意味で使用しているとしても,2008年度にグッドデザイン賞を受賞したというだけでは,本願商標が,建物関連役務との関係では,取引者,需要者に「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」程の意味合いで,その役務の質(内容)等を表すものと認識,理解されることを否定することはできないものである。 したがって,本願商標が原告による造語であるとの原告の主張は失当である。 イ建築関連役務における取引の実情本願の指定役務中には,「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,建設工事,建築工事に 引の実情本願の指定役務中には,「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,建設工事,建築工事に関する助言,建築物の設計」等の建物に関連する役務が含まれている。 上記の建物関連役務を提供する業界においては,「戸建」及び「マンション」の語自体は,前記アのとおり,住宅の種類を表す語として使用されているものであるから,当該役務との関係では自他識別力を何ら有しないものである。そして,前記アのとおり,「戸建」と「マンション」は,通- 8 -常,住宅の種類を表す語の中でも対義語として扱われ,取引されている。 しかし,その一方で,「メゾネット」という「中高層の集合住宅の1 戸で,二つの階にまたがる住宅。」(乙3)も広く知られており,マンション(中高層の集合住宅)でありながら,一戸建てのように二つの階にまたがる住戸形式もある。 また,住戸の独立性を高めたり,専用の庭や門扉を設置したりするなど,戸建てに近い居住性,建築形態を採る戸建て感覚のマンションも多数取引されている(乙7~13)。 さらに,「戸建てマンション」及び「戸建型マンション」の語が,戸建住宅とマンションの特長とを併せ持ったマンションの一建築形態を表すものとして使用されているし(乙14~19),その他にも同種の表記として「戸建て感覚マンション」,「戸建て風マンション」等のように使用されている(乙20~乙26)。 以上によれば,建物関連役務を提供する業界においては,「マンション」でありながら,「一戸建て」(戸建)と関連付けた説明がなされているほか,「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」程の意味合いで,互いに正反対の語である「戸建」と「マンション」とを用いて,「戸建て りながら,「一戸建て」(戸建)と関連付けた説明がなされているほか,「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」程の意味合いで,互いに正反対の語である「戸建」と「マンション」とを用いて,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」等のように表記しているのが実情である。 ウ前記取引の実情を踏まえるならば,本願商標「戸建マンション」に接する建物関連役務の取引者,需要者は,その表記から「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」等を連想,想起し,本願商標もまた,それらに相当する表記として「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」程の意味合いで,その役務の質(内容)等を表すものと認識,理解される蓋然性が極めて高いというべきである。 - 9 -そうすると,本願商標は,これを建物関連役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示したものと認識されるにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものというべきであるから,商標法3条1項3号に該当する。 (2) 本願商標は商標法4条1項16号に該当する前記(1)ウのとおり,本願商標は,建物関連役務との関係では,取引者,需要者に「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」程の意味合いで,その役務の質(内容)等を表すものと認識,理解される蓋然性が極めて高いというべきであるから,そのような「戸建マンション」に係る建物関連役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあることは明らかである。 したがって,本願商標は,商標法4条1項16号にも該当する。 第4 当裁判所の判断 1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(審決の内容)の各 るおそれがあることは明らかである。 したがって,本願商標は,商標法4条1項16号にも該当する。 第4 当裁判所の判断 1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(審決の内容)の各事実は,当事者間に争いがない。 2 本願商標の商標法3条1項3号及び同法4条1項16号該当性の有無(1) 事実関係証拠(甲7,8,9,10,13,乙7~26)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア戸建て感覚のマンションが取引されている実情につき,インターネット及び新聞には次の内容の記事が存在する。 (ア) 「goo住宅・不動産」のサイト内「戸建て感覚マンションはプライバシーが高い」の項に,「マンションは,多くの世帯が共同生活を送る形式なので,とかくプライバシーが問題になりやすい。いかに1つ1つの住戸の独立性を高めて,戸建て感覚を採り入れるかが重要になる。」と記載されている(甲7,乙7)。 - 10 -(http://house.goo.ne.jp/useful/knowledge/M00001.html)(イ) 「ValuePress!」のサイト内「プレスリリース要約(全角150文字以内)」の項に,「株式会社環商事は,京都市上京区に建設中のマンション『コンフォール円町』の事前案内会を9月上旬より開始します。『住まいにおける高い独立性と快適性』をコンセプトに,戸建感覚の住居配置で優れた独立性と採光・通風を確保し,68の間取りと4種類のカラーコーディネイトプランで,唯一の住まいづくりを実現します。」と記載されている(甲8,乙8)。 (http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=28214&medium_id=1143)(ウ) 2004年6月2 8,乙8)。 (http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=28214&medium_id=1143)(ウ) 2004年6月29日付け読売新聞(東京夕刊5頁)には,「[今どき消費事情]マンション “高さ”だけじゃない」の見出しのもと,「マンションの付加価値競争が過熱している。景観などを売り物に二十階建て以上の超高層物件などが急増しているほか,専用の庭に“離れ”を設けるといった戸建て感覚を強調したマンションも登場しており,好みや用途によって,様々なスタイルのマンションを選べる時代が到来している。」と記載されている(乙9)。 (エ) 2010年6月10日付け毎日新聞(東京朝刊15頁)には,「役立つ住宅情報:三菱地所『パークハウス蕨市民公園』安心で上質な暮らし」の見出しのもと,「三菱地所の分譲マンション『パークハウス蕨市民公園』(埼玉県蕨市)=外観イメージ=が好評分譲中だ。・・・全81戸が南東向きで,プライベート駐車場など戸建て感覚を楽しめる1階部分や,土手を残した小川の前に用意した子供広場なども特徴の一つ。」と記載されている(乙10)。 (オ) 「日神パレステージ籠原」のウェブサイトには,「戸建感覚の門扉付ポーチ/玄関ポーチには,戸建て感覚を演出する門扉を設置。また,- 11 -独立性を高めた玄関ポーチは,ドアが廊下に直接面していないためご家族のプライバシーも守られます。」及び「爽やかな緑がうれしい専用庭(1 階住戸のみ)/芝貼りの緑が美しい,テラスのある戸建て感覚の専用庭。」との記載がある(乙11)。 (http://www.ricordo.co.jp/kagohara/model_room.html)(カ) 「社団法人全日本不動産協会全日本不動産関東 専用庭。」との記載がある(乙11)。 (http://www.ricordo.co.jp/kagohara/model_room.html)(カ) 「社団法人全日本不動産協会全日本不動産関東流通センター」のウェブサイトには,「戸建て感覚の専用庭付ビッグヴァン京王橋本マンション」の見出しのもと,「マンションなのに奥行き3M幅8Mの広い専用庭が付いた物件!ガーデニングにも菜園にも使える戸建て感覚のマンションです」との記載がある(乙12)。 (http://www.zennichi.net/b/livinghome/index.asp?id=9425&act_lst=detail&page=1)(キ) 2000年3月7日付けの日刊工業新聞(19頁)には,「新日軽,マンション用エクステリア製品を強化。ビル建材本部でも積極営業」の見出しのもと,「戸建て感覚のマンション設計が増え,玄関前に門扉など設置する物件が増加している。同社の調べでは全国の新築物件の45%が設置しているという。」との記載がある(乙13)。 イ 「戸建マンション」及びこれに類似する語に関し,インターネット及び新聞には次の内容の記事が存在する。 (ア) 「横浜空間」のサイト内「物件紹介」の項に,「【戸建てマンション】126m2の広さを,余す事なくふんだんに使った造りは,一度室内に入ってしまうとマンションという事忘れ,ごくごく普通の一戸建て2階家のような空間で来客者を魅了します。」と記載されている(甲9,乙14)。 (http://www.yokohama-kukan.com/msys/contents/preview/detail.php?id=69)- 12 -(イ) 「セキスイハイム住宅ブログ」のサイト内「リス子のもぐもぐ日記セキスイハイム東海」(2 /msys/contents/preview/detail.php?id=69)- 12 -(イ) 「セキスイハイム住宅ブログ」のサイト内「リス子のもぐもぐ日記セキスイハイム東海」(2010年10月22日)の項に,「その4 『究極の戸建てマンション』/大きな音で映画を見たい。/庭でバイクをいじりたい。/子供たちと大声で歌いたい。/ペットと自由に暮らしたい。 /友達とガーデンパーティーをしたい。/二人で静かに暮らしたい。/・・・究極の戸建てマンションだからあなたの夢を叶えます。」と記載されている(甲10,乙15)。 (http://www.blog816t.com/2010/10/%E5%B9%B3%E5%B1%8B%E3%81%A7%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%99.html)(ウ) 「21StylebyCENTURY21」のサイト内「マンション」の項に,「戸建型マンション売買マンション物件情報」と記載されている(乙16)。 (http://bukken.century21.jp/mansion/%E6%98%A5%E6%B1%9F%E7%94%BA%20%E6%88%B8%E5%BB%BA%E5%9E%8B%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/)(エ) 「セイワハウジング株式会社」のサイト内「セイワグループ沿革003年(平成15年)1月」の項に,「相模原駅徒歩5分の恵まれた立地に誕生した『新・戸建型』マンション,ロアーブル・ビュー相模原。 ビューの名前にふさわしい地上13階の豊かな眺望が眼下に広がります。」と記載されている(乙17)。 (http://www.seiwagp.co.jp/company/index.html)(オ ビューの名前にふさわしい地上13階の豊かな眺望が眼下に広がります。」と記載されている(乙17)。 (http://www.seiwagp.co.jp/company/index.html)(オ) 「HOMEPLAZA」のサイト内「特集企画」の項に,「関連特集情報『東小金井戸建てマンション』に関連するマンション・住宅情報」と記載されている(甲13,乙18)。 (http://www.home-plaza.jp/realestate/t/%E6%9D%B1%E5%B0%8F%E9%87%91%E4%BA%95%E6%88%B8%E5%BB%BA%E3%81%A6%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82- 13 -%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/1)(カ) 2009年3月31日日刊工業新聞31頁 「第21回中小企業優秀新技術・新製品賞(1)」の見出しのもと,「《中小企業庁長官賞》・・・【オプナス】・・・入居のたびに必要だったシリンダー交換を不要にし,費用や手間を大幅に削減。分譲戸建てマンションでのキー紛失時などにもすばやく対応できる。」と記載されている(乙19)。 (キ) 1999年3月19日付けの住宅新報(2面)には,「扶桑レクセル都下中心設備含む注文方式も /「新・戸建て感覚」軸に2100戸供給」の見出しのもと,「扶桑レクセル(本社・東京・・・)は東京の多摩地区(都下)を中心に,『環境創造型の戸建て感覚マンション』を本格供給する。昨年,『レクセルガーデン志津』(千葉県佐倉市,二百四戸)を販売以来,戸建て感覚マンションを相次ぎ早期完売させてきたが,この二月には同シリーズを一歩進めた新・戸建て感覚マンション『レクセルガーデン新八柱』(同県松戸市,五十八戸)を即日完売させた」との記載がある(乙20)。 ( ションを相次ぎ早期完売させてきたが,この二月には同シリーズを一歩進めた新・戸建て感覚マンション『レクセルガーデン新八柱』(同県松戸市,五十八戸)を即日完売させた」との記載がある(乙20)。 (ク) 2003年4月27日付けの産経新聞(東京朝刊 27頁住宅特集)には,「【快適すまい】『レクセルマンション北千住』第1期受け付け」の見出しのもと,「■オール電化仕様の“戸建て感覚”/・・・東京・足立区に扶桑レクセルが建設中の『レクセルマンション北千住』が第一期の先着順受け付けを行っている。特徴は,オール電化仕様の戸建て感覚マンション。」との記載がある(乙21)。 (ケ) 「専用庭付きの戸建て感覚マンション|賃貸・売買・管理・リロケーション(川口市) - Lococom」のウェブサイトには,「専用庭付きの戸建て感覚マンション」との記載がある(乙22)。 (http://www.lococom.jp/mblist/33120/105505)(コ) 「家探しのポイント」のウェブサイトには,「戸建て感覚マンショ- 14 -ンを選ぶ」の見出しのもと,「…マンションの場合集合住宅の体裁をしているので,プライバシーの保持で問題が生じる可能性がある。そこでもしマンション購入を検討しているのであれば,戸建て感覚マンションを探すようにするといいだろう。戸建て感覚マンションとは,マンションでありながら,一戸建てのプライバシーが保持されるタイプのマンションを指す。マンションのそれぞれの部屋の独立性が高いので,よりプライバシーを守りやすいというのが特徴だ。」との記載がある(乙23)。 (http://apartments-for-rent-in-nashville.com/single_house.html)(サ) 1999年10月19日付けの住宅新報( 載がある(乙23)。 (http://apartments-for-rent-in-nashville.com/single_house.html)(サ) 1999年10月19日付けの住宅新報(2面)には,「扶桑レクセル戸建て風マンション底層のゆとり強調 /一種住専で独自企画」の見出しのもと,「…フロアごとの特性を生かした企画や全プランが異なる個性を持つものなど,低層ならではの,ゆとり・開放感の演出にこだわり,オリジナリティーに富む戸建て感覚を徹底追求しているのが特徴だ。」との記載がある(乙24)。 (シ) 「中古マンション(グラン・コート籠原)」のウェブサイトには,「○専用庭付きの戸建風マンション」との記載がある(乙25)。 (http://www.baibai-cms.com/house/dat/0064084/20100328224853.html)(ス) 「原田不動産株式会社」のウェブサイトには,「エステート小松一室が完全独立の1戸建て風マンション。」との記載がある(乙26)。 (http://harada-f.co.jp/gallery/gallery_estate.html)(2) 前記(1)認定の事実に基づき,本願商標の商標法3条1項3号及び同法4条1項16号該当性につき判断する。 本願商標は,前記第2,1のとおり,「戸建マンション」の標準文字よりなるところ,乙1及び乙2(いずれも「広辞苑第6版」)によれば,その構成中「戸建」の文字は,「独立した一戸の住宅。一戸建て住宅。」を意味し,- 15 -また,「マンション」の文字は,「中高層の集合住宅」を意味するものと認められ,いずれも建物・住宅関連の用語として広く知られた語である。 ところで,前記(1)アの新聞記事及びインターネット情報によれば,本願の ョン」の文字は,「中高層の集合住宅」を意味するものと認められ,いずれも建物・住宅関連の用語として広く知られた語である。 ところで,前記(1)アの新聞記事及びインターネット情報によれば,本願の指定役務である建物に関連する役務を提供する業界においては,プライバシーを確保する目的で住戸の独立性を高めたり,戸建のような住居配置で優れた独立性と採光・通風を確保し,また専用の庭,駐車場及び門扉を設置するなどの工夫を施すことによって,戸建てに近い居住性,建築形態を採るマンションが多数取引されている実情にあることが認められる。 また,前記(1)イの新聞記事及びインターネット情報によれば,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」の語が,建物に関連する役務を提供する業界において実際に使用されていることが認められる。 上記事実によれば,本願商標「戸建マンション」は,上記「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」と実質的に同一の語であると認められ,また,戸建てに近い居住性,建築形態を採る戸建てのようなマンションが多数取引されている実情をも併せ考慮すると,それらの語は,「戸建て住宅の機能・特長を併せ持ったマンション」という意味合いを有すると認められる。 そうすると,本願商標は,これに接する取引者・需要者をして,「戸建て住宅の機能・特長を併せ持ったマンション」という意味合いを有する合成語として容易に認識,理解させるとみるのが相当である。 したがって,本願商標は,これをその指定役務である建物に関連する役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであり,また,前記「戸建マンション」 て,本願商標は,これをその指定役務である建物に関連する役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであり,また,前記「戸建マンション」に係る建物に関連する役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。 - 16 -以上のとおり,結局,本願商標は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであって,商標法3条1項3号の「その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当し,また,本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから,同法4条1項16号の「役務の質の誤認を生じるおそれがある商標」に該当するといわざるを得ない。 (3) 原告の主張に対する判断ア原告は,本願商標「戸建マンション」の語は,既成語ではなく,辞典類及び各種データベースを調査してもこれを使用している例はないこと,「戸建」という語と「マンション」という語は,住宅について全く正反対の意味合いを有する語であることから,これらを本願商標のように「戸建マンション」というように組み合わせた場合,特定の意味合いを有するということができないと主張する。 確かに,「戸建マンション」の語は既成語とはいえず,前記のとおり,「戸建」とは「(集合住宅に対して)独立した一戸の住宅。一戸建て住宅。」を意味する語であるのに対し,「マンション」とは「中高層の集合住宅」を意味する語と認められるから,それらの一般的な意味からすれば,両者は,住宅の種類を表す語としては正反対の意味を表す語と理解される。 しかし,正反対の意味を表す語であるからといって,それらの語を結合して使用されることはあり得ないという 般的な意味からすれば,両者は,住宅の種類を表す語としては正反対の意味を表す語と理解される。 しかし,正反対の意味を表す語であるからといって,それらの語を結合して使用されることはあり得ないということはできず,結合されるそれぞれの語の意味及び両者の関連性から,正反対の意味を表す語を結合することによって特定の意味合いを持つ語として使用されることは一般的にあり得ることであって,実際,前記認定のとおり,本願の指定役務である建築に関連する役務を提供する業界において,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」等という語が使用されているのであるから,それらの語と実質的に同一の- 17 -標章であると認められる本願商標の「戸建マンション」をもって,その合成語としての構成から直ちに造語と認めることはできない。 イまた,原告は,「戸建マンション」とは,自らが展開する「戸建マンションによるまちづくり」という事業との関連において,マンションでも一戸建て住宅でもなく,一戸ごとにそれぞれが独立した住宅でありながら,全ての住宅につき全体として管理を行うことにより新たな住み方を提供する住宅であって,その概念を取引者や需要者に分かりやすく伝えるために,原告が独自に考えたものであると主張する。 しかし,仮に,原告がその事業との関連において,「戸建マンション」という合成語に,マンションでも一戸建て住宅でもない新たな住宅としての意味付けを与えたものであるとしても,それはあくまで原告の主観的な意味付けにすぎず,そのような意味付けが取引者・需要者において周知となっているような事情は窺えないし,前記の業界において使用されている「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンショ 意味付けが取引者・需要者において周知となっているような事情は窺えないし,前記の業界において使用されている「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」という語の使用の実情に照らせば,取引者・需要者が「戸建マンション」という語に接したときには,むしろ,これを「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」という意味合いで理解するものと認めるのが相当であるから,原告の主張する上記事実をもって,本願商標「戸建マンション」が原告の独自の考案による独特の意味合いを持った造語であると認めることはできない。 そして,以上の点からすれば,原告が「戸建マンションによるまちづくり」を受賞対象として2008年度グッドデザイン賞を受賞したという事実をもって,本願商標「戸建マンション」が原告の独自の考案による造語であることを裏付けられているといえないことは明らかである。 ウさらに,原告は,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」の語はそれぞれ独自の- 18 -意味合いで使用されており,しかも本願商標とは異なる態様で使用されている事実に基づけば,本願商標をその指定役務について使用した場合に,その役務のある特定の質を認識させるということはできないと主張する。 しかし,前記認定のとおり,「戸建感覚のマンション」とは,住戸の独立性を高めたり,専用の庭や門扉を設置したりするなど,戸建てに近い居住性,建築形態を採るマンションを意味し,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」及び「戸建て風マンション」の語が,それと同様の意味合いで,戸建住宅とマンションの特長とを併せ持ったマンションの一建築形態を表す語として使用されていることは明らかである。そうすると,「戸 ンション」及び「戸建て風マンション」の語が,それと同様の意味合いで,戸建住宅とマンションの特長とを併せ持ったマンションの一建築形態を表す語として使用されていることは明らかである。そうすると,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」等という語は,本願の指定役務である建築に関連する役務を提供する業界において,「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」という意味合いで一般的に使用されているものと認められるから,単に役務の質(内容)等を表示したものと認識されるにすぎないというべきである。 そうすると,本願商標「戸建マンション」は,これを建物に関連する役務に使用しても,単に「戸建て住宅の機能,特長を併せ持ったマンション」という役務の質(内容)等を表示したものと認識されるにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものというべきであるから,原告の上記主張は採用することができない。 3 結論以上のとおりであるから,本願商標につき商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に該当するとした審決に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部- 19 - 裁判長裁判官中野哲弘 裁判官東海林保 裁判官矢口俊哉
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