主文 被告は,原告に対し,金1260万円及びこれに対する平成15年7月24日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用はこれを10分し,その3を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 この判決は,原告勝訴の部分に限り仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,金1776万円及びこれに対する平成15年7月24日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,被告との間で締結した一般自動車総合保険契約(本件保険契約)の被保険自動車が盗難事故に遭ったとして,本件保険契約に基づき,保険金1260万円及び訴状送達の日の翌日以降の商事法定利率による遅延損害金の支払を求めるとともに,被告が保険金の支払を理由なく拒んだために本件訴訟の提起を余儀なくされ弁護士費用として216万円の損害を被り,また,被告の主張により原告の信用及び名誉を毀損され300万円の損害を被ったとして,不法行為による損害賠償請求権に基づき合計516万円及び上記と同様の遅延損害金の支払を求めた事案である。 争いのない事実等(争いのない事実のほかは,各項掲記の各証拠によって認める。)(1) 原告は,平成14年3月1日,被告との間で下記内容の保険契約(本件保険契約)を締結し,保険料を支払った(甲5号証)。 保険種類SAI一般自動車総合保険保険期間平成14年3月2日午後4時から平成15年3月2 日午後4時まで車両所有者原告被保険者A(原告代表取締役)車名メルセデスベンツ登録番号名古屋●●●●●●●●型式129064保険料8万7930円(2) 原告は,平成14年2月17日,株式会社中京リースから,代 A(原告代表取締役)車名メルセデスベンツ登録番号名古屋●●●●●●●●型式129064保険料8万7930円(2) 原告は,平成14年2月17日,株式会社中京リースから,代金等合計1400万円(車両本体価格1260万円,消費税63万円,諸費用77万円)で,並行輸入車である平成14年式メルセデスベンツSL500(登録番号名古屋●●●●●●●●,以下「本件車両」という。)を購入し,同年5月16日,本件車両が納車された(甲2号証,5号証,7号証)。 (3) 原告と被告は,平成14年5月16日,本件保険契約につき,被保険自動車の変更のため,下記のとおり契約内容の変更を合意した。 被保険自動車本件車両車名メルセデスベンツ登録番号名古屋●●●●●●●●型式230475追加保険料1万8680円車両保険金額1260万円(4) 本件保険契約に適用される一般自動車総合保険普通保険約款には,次のとおりの定めがある。 ア被告は,被保険自動車の盗難によって生じた損害について,被保険自動車の所有者に車両損害保険金を支払う。(甲10号証第4章1条1項) イ被保険自動車には,その付属品及び車室内でのみ使用することを目的として被保険自動車に固定されている自動車用電子式航法装置を含む。 (甲10号証第4章1条3項)(5) 原告代表者は,平成15年2月6日,愛知県東警察署に対し,同日本件車両が盗難に遭った旨の盗難被害届を提出した。 (6) 本件車両のキーは,イモビライザーを内蔵したメモリー付エレクトロニックキーであった。イモビライザーは,キーに埋め込まれたトランスポンダの固有のIDコードと車両側コントローラのIDコードとを電子的に照合し,IDコードが一致しなければエンジンが始動しない装置である。 (7) 被告会社は, ビライザーは,キーに埋め込まれたトランスポンダの固有のIDコードと車両側コントローラのIDコードとを電子的に照合し,IDコードが一致しなければエンジンが始動しない装置である。 (7) 被告会社は,原告に対し,平成15年5月16日付けで,本件保険契約に基づく保険金の支払を拒絶した。 争点 (1) 本件車両は盗難に遭ったか(原告の主張)ア被保険者である原告代表者Aは,平成15年2月6日夜,名古屋市B区C丁目D番E号所在の飲食店F東側路上(本件現場)に本件車両を施錠して駐車していたところ,同日午後8時ころから午後9時30分ころまでの間に,何者かに本件車両を盗まれた(本件盗難)。 なお,愛知県東警察署長の証明書(甲3号証)では,届出にかかる被害日時が,同日午後9時30分ころから午後11時30分ころまでの間となっているが,原告代表者は時計を見て時刻を確認していたわけではなく,届出当時,本件盗難によって気が動転していたのであるから,その時刻を正確に記憶していなかったとしても当然である。 イ本件盗難の状況について原告代表者は,本件盗難の日である平成15年2月6日,いつもどおり午前8時から午後5時30分ころまで,原告の事務所及び工場におい て,社長としての業務を行った。 勤務終了後,原告代表者は,原告が加入する愛知県精密機械板金工業会の会議の運営,司会を担当したGと会食の約束があったので,午後6時過ぎに会社を出て,本件車両を運転し,Gの自宅付近まで迎えに行き,相当長時間待った後,午後7時20分ころに本件車両にGを乗せて出発し,上記Fへ行った。 原告代表者は,本件車両をFの店の前東側路上に歩道に乗り上げる形で南向きに駐車して施錠し,午後8時ころ,同店に入店した。 Fの女将は,午後9時ころ,他の客を送り出す際に,店外に駐車されていた本件車両 原告代表者は,本件車両をFの店の前東側路上に歩道に乗り上げる形で南向きに駐車して施錠し,午後8時ころ,同店に入店した。 Fの女将は,午後9時ころ,他の客を送り出す際に,店外に駐車されていた本件車両を見ている。 原告代表者は,午後9時30分ころになって,帰ろうかということになり,Gを送るためのタクシーをFに呼ぶよう依頼した。その後,Fの女将がタクシーの到着を見るために外に出たところ,本件車両がないことに気付き,原告代表者にこのことを告げ,原告代表者は,すぐにこれを確認して盗難に遭ったと認識し,店内に戻って店主のH1に告げた上,店の電話を借りて警察に通報した。 その後,30分から40分後に警察官1人が本件現場に来て,翌7日の午前零時ころまで原告代表者,G及びH1から事情聴取し,本件現場の調査をした。 ウ本件車両の施錠について本件車両は,カードキーを身に付けておけば,ドアノブに触れることによって解錠したり,変速レバーに触れるとエンジンが切れ,降車した後ドアノブに触れれば施錠されるタッチスタートシステムを備えていた。 原告代表者は,本件車両購入時,キー2本,カードキー2枚を受け取っており,本件盗難の当時は,カードキー1枚を胸ポケットに入れてタッチスタートシステムの方法で施錠していたが,予備のキー1本をセカ ンドバッグに入れ,これを本件車両の助手席か運転席座席前におき,その他のキー1本及びカードキー1枚は自宅に保管していた。 エ考えられる盗難の手口(ア) 本件車両はイモビライザー装着車であるところ,イモビライザー装着車であってもコンピューターのシステムをそっくり替えてしまうとか,ボンネットを開けてIDコードを何らかの手口で盗むことにより本件車両を窃取することが可能である。 (イ) 本件車両内には,予備のキー1本を置いていたのであり,犯人が ステムをそっくり替えてしまうとか,ボンネットを開けてIDコードを何らかの手口で盗むことにより本件車両を窃取することが可能である。 (イ) 本件車両内には,予備のキー1本を置いていたのであり,犯人が窓ガラスを割ってキーを盗み,それを使用して窃取することも可能であった。 (ウ) また,エンジンを始動させる必要のない手口として,積載車に積み込んだり,けん引車でけん引してしまうなどの方法が考えられる。新聞等においても,このような手口による被害が報道されている。 その際,盗難防止警報システムやけん引防止警報システムに対しては,振動を与えることなく車両ドアの窓ガラスを割った上でドア付近にある警報装置の配線を切断しておく方法が考えられ,仮に窓ガラスを割った際に警報装置が作動したとしても,警報装置の配線を切断することによってホーンと非常点滅灯の警報を瞬時に止めることが可能である。 本件現場の状況は,この犯行手口を裏付けるように,本件車両の窓ガラスのものと思われるガラス破片が散乱し,犯行に使用されたと推測される布1枚が落ちており,路面には車を引きずった長さ1メートルくらいの跡が残っており,これらは現場に来た警察官も確認している。上記布1枚は,警察官が持ち帰った。 なお,被告は,駐車していた本件車両の直前にガードパイプがあり,それが妨げとなるから,けん引が不可能であると主張するが,ガード パイプは本件車両の前方にはあるが後方にはなく,原告代表者がガードパイプが邪魔になるほどにガードパイプに近づけて駐車するはずもないから,けん引は可能であった。 オ他の被害品とカード等の不正使用について(ア) 原告代表者は,本件盗難当時,本件車両内に上記のとおり本件車両のキー1本のほか,下記の物を置いており,これらも本件車両とともに盗難被害にあった。 a助手席の上 とカード等の不正使用について(ア) 原告代表者は,本件盗難当時,本件車両内に上記のとおり本件車両のキー1本のほか,下記の物を置いており,これらも本件車両とともに盗難被害にあった。 a助手席の上か運転席の足下に置いた黒いセカンドバッグ1個と下記在中品①黒色革製の二つ折り財布1個と在中の現金5万2000円タクシーチケット1冊カード4枚(しんきんクレジットカード,UFJカード,西武セゾンカード及びETCカード)②免許証③携帯電話④鍵の束原告事務所入口の鍵,門の鍵,原告会社内のマスターキー,1階事務所内の原告代表者の机の両サイドの2個の鍵,原告代表者宅玄関の鍵及び原告会社社長室内の金庫の鍵b後部座席のロングコート1着(30万円相当)cトランク内の新品の革靴(約5万円相当)なお,原告代表者は,Fのなじみの客であり,いつも後日請求書を送付してもらっていたので,財布を本件車両内に置いていたものである。 (イ) 原告代表者は,H1の助言もあって,本件盗難事故当夜のうちに, タクシーチケット,西武セゾンカードを除くカード3枚,携帯電話について使用停止措置をとり,翌7日,西武セゾンカードの停止措置をとり,運転免許試験場へ行き免許証の再交付を受け,盗まれた鍵の交換を業者に依頼した。 しかし,上記カード及びタクシーチケットが以下のとおり不正使用された。 a しんきんクレジットカード原告代表者が同カードの使用停止を申し出た同月6日午後11時56分の直前である同日午後11時23分に,名古屋市B区I町のメンバーズクラブダイアナにおいて7万0400円が不正使用され,翌7日午前2時54分にホテルピュアトークで不正使用の未遂が,同日午前4時21分に日石三菱石油で不正使用の未遂があり,同月11日,つばめタクシーで1件1220円の不正使用があっ 0円が不正使用され,翌7日午前2時54分にホテルピュアトークで不正使用の未遂が,同日午前4時21分に日石三菱石油で不正使用の未遂があり,同月11日,つばめタクシーで1件1220円の不正使用があった。 なお,メンバーズクラブダイアナの売上票の「A」の署名は,明らかに原告代表者本人のものではない。警察官からは,メンバーズクラブダイアナでカードを使用した人物は,20代後半,身長170センチメートル,中肉,眼鏡なし,一見ホスト風の男性であり,検挙の可能性もあると聞いている。 b UFJカード前記のとおり,原告代表者は,本件盗難当日に,同カードの使用停止を申し出たが,この連絡をする直前の同日午後11時6分に,名古屋市J区K-LゲオM店で不正使用の未遂があった。 c 西武セゾンカード原告代表者は,本件盗難の翌日7日午前8時34分に,同カードの使用停止を申し出たが,同月13日から同年3月1日まで13回,つばめ自動車で不正使用された。 d タクシーチケット原告代表者は,本件盗難事故当日に,近鉄タクシーに本件車両とともに盗難されたタクシーチケットの使用停止を申し出たが,同年2月8日,共通利用可能な名鉄タクシーで,名古屋市N区Oから岐阜市内までの料金1万5210円の区間で上記タクシーチケットが不正使用され,3月になって,当該タクシーチケットが添付されて請求がなされた。 使用停止を申し出たにもかかわらず不正使用されたのは,近鉄タクシー担当者の説明によれば,使用停止はタクシー運転手に直接呼びかける形で行われるが,名鉄タクシーへの停止措置が徹底されていなかったためであるとのことである。 なお,添付されてきたタクシーチケットについては,直ちに警察署に届け出たが,同チケットから3人分の指紋を検出したと聞いている。タクシー運転手によれば,この不正使用をし ったためであるとのことである。 なお,添付されてきたタクシーチケットについては,直ちに警察署に届け出たが,同チケットから3人分の指紋を検出したと聞いている。タクシー運転手によれば,この不正使用をした人物は,女性であったと記憶しているとのことである。 (ウ) 原告代表者は,平成15年2月17日に,警察署から名古屋市B区P丁目Q番R号住友商事名古屋ビルディング北側桜通中央分離帯に,番号部分が一部切り取られたナンバープレート1枚及びカードが捨ててあったとの連絡を受け,本件盗難の被害品であることを確認して引き取った。 カ本件盗難後の新車の購入について原告代表者は,本件盗難後,本件車両を購入した中京リースに本件盗難の話をしたところ,いたく同情をしてくれ,「支払は保険金が支払われた後で結構なので,同じベンツSL500を買って下さい。」と勧められた。 原告代表者は,保険金が支払われることを疑わなかったので,原告は, 本件盗難に遭った翌月3月初めに,ベンツSL500を代金1364万5675円で購入し,契約時に手付金20万円と諸経費として100万円を支払い,残額は保険金の支払を待った。 しかし,被告が保険金を支払わず,中京リースの言葉にいつまでも甘えるわけにはいかないので,原告は,平成15年8月22日に500万円を支払い,同年12月14日に400万円,平成16年5月26日に150万円,同年10月16日に194万5675円をそれぞれ支払い,合計1364万5675円を完済した。 このように,原告はベンツSL500に愛着を持っており,盗難への関与などはあり得ない。また,上記の支払の状況からしても,原告の経済状態が良好であったことは明らかである。 キ原告代表者の自動車保有歴と自動車保険について原告代表者は,20歳のころから自動車を使用してきた。今までの い。また,上記の支払の状況からしても,原告の経済状態が良好であったことは明らかである。 キ原告代表者の自動車保有歴と自動車保険について原告代表者は,20歳のころから自動車を使用してきた。今までの保有した乗用車は,ダットサンライトバン,日産ブルーバード,トヨタマークⅡ,日産グロリア,日産フェアレディZ,日産グロリア4ドアセダン,BMW633Mタイプクーペ,BMW635アルピナクーペ,ベンツSL320,ベンツSL500(本件車両),ベンツSL500である。ただし,これらの自動車は,主として原告が購入し,原告代表者が専用使用してきたものである。 原告代表者は,40歳になったころから外国製高級車に興味を持つようになり,BMW,ベンツと乗り換えている。このうち,BMWアルピナクーペ(当時約1700万円)には愛着があり,手放すことなく現在も保有している。 そして,いずれの自動車についても,自動車保険に加入しており,千代田海上火災,あいおい損害保険,被告と各契約してきた。本件盗難事故後に購入したベンツSL500についても,日本興亜損害保険に加入 している。なお,BMWアルピナクーペについては,自動車保険に入っているが,車両保険については,年式が古く減価償却済みのため低価格でしか加入できないので,付保していない。 このように,原告代表者は,自動車を通算45年ほど使ってきたが,自動車の盗難被害に遭ったのは本件盗難の1回のみであり,盗難による保険金請求は今回が初めてである。 また,原告代表者の妻や子供達もそれぞれ自動車を保有し,自動車保険に入っているが,車両盗難に遭ったことはなく,盗難による保険金を請求したこともない。 ク原告代表者の生活状況,経済状況について(ア) 原告代表者は,NC工作機械(旋盤,ボール盤,中ぐり盤,研削盤)等に附帯する板 車両盗難に遭ったことはなく,盗難による保険金を請求したこともない。 ク原告代表者の生活状況,経済状況について(ア) 原告代表者は,NC工作機械(旋盤,ボール盤,中ぐり盤,研削盤)等に附帯する板金加工を業とする原告の代表取締役社長である。 原告は,昭和27年7月,原告代表者の父の故S1によって創業され,昭和37年3月に合資会社になり,昭和50年,先代の老齢に伴い原告代表者が代表者となり,昭和57年に株式会社とし,平成3年3月に社名変更した。 現在,従業員は21名であり,主たる取引先はオークマ株式会社,旭精機株式会社等である。 原告代表者は,妻S2との間に,長男S3,二男S4,三男S5をもうけ,実母S6とともに6人家族である。 子供3人は学業を終え,長男は結婚し家庭を持つに至っているが,3人とも原告に入社している。 原告代表者は,原告の社長として仕事をし,家庭生活を営むほか,趣味はクレー射撃(国体出場経験あり),ゴルフ(ハンデ5)であり,また,社会奉仕団体名古屋名城ライオンズクラブにも在籍していた一般市民である。 (イ) 原告の第22期(平成13年10月から平成14年9月まで)の確定申告では赤字であったが,これは平成13年9月11日のアメリカ同時テロによって,アメリカからの受注が激減し,これが影響したものである。 その前の第21期(平成12年10月から平成13年9月まで)は,1430万3426円の営業利益を出しており,その後の第23期(平成14年10月から平成15年9月まで)には,自動車産業の二次,三次の協力工場,建設機械メーカー,精密機械メーカーが設備更新,増強に動き出し原告の業績に好影響を与え,845万7539円の営業利益を出し,第24期の10月だけでも615万9043円の営業利益を上げている。 上記のように,原告の経営は決 械メーカーが設備更新,増強に動き出し原告の業績に好影響を与え,845万7539円の営業利益を出し,第24期の10月だけでも615万9043円の営業利益を上げている。 上記のように,原告の経営は決して悪い状況ではなく,第21期から第23期は,営業損失を出した第22期を含めて,現金の残高を残しており,このことは経営状況が良好であることを物語っている。 ケまとめ本件車両の消失について,その偶然性を疑うには,本件車両がイモビライザー装着車両であること以外に何らかの事情が加わるべきであるが,被告の主張するところはいずれも偶然性を疑う合理的な理由とはなり得ない上,原告代表者は保険金請求歴がなく,被害後には警察への通報や被害にあった鍵の交換を行う等していることからすれば,原告代表者が盗難事故に関与していることはあり得ない。 (被告の主張)ア本件車両は,イモビライザー及び盗難防止警報システムが装着されており,警報音を吹鳴させずに移動させるには原告代表者の所持していた本件車両のキーが必要不可欠であって,かつ,本件盗難事故現場は人通りが少なくない都心部であるから,本件車両を窃取することは客観的に 困難な状況であり,また,原告代表者の本件盗難状況に関する供述内容自体にも不自然・不合理な点が散見されるので,本件盗難は,自招事故と考えられ,偶然の事故ではない。 イ盗難防止システムの存在(ア) イモビライザーの存在本件車両には,イモビライザーを内蔵したメモリー付エレクトロニックキーが使用されており,原告代表者の関与なくして本件車両を窃取することは極めて困難である。 (イ) 盗難防止警報システムの存在a本件車両は,ドア,トランク,ボンネットなどが通常の方法以外で開けられると,ホーンと非常点滅灯の点滅で周囲に知らせる盗難防止警報システムを備える 困難である。 (イ) 盗難防止警報システムの存在a本件車両は,ドア,トランク,ボンネットなどが通常の方法以外で開けられると,ホーンと非常点滅灯の点滅で周囲に知らせる盗難防止警報システムを備えるとともに,けん引車などで本件車両が持ち上げられ傾くと,ホーンと非常点滅灯の点滅で周囲に知らせるけん引防止警報システムを備えていた。 b原告は,本件現場付近に,窓ガラスのものと思われるガラス破片が散乱していたこと及び本件車両の助手席に置いてあったセカンドバッグの中に予備のキー1個が入っていた旨主張しており,かかる主張は,車内にあった予備のキーを使用して盗難された可能性を示唆するものであるとも理解できる。 しかし,原告は,予備のキーやセカンドバッグについて,警察への被害届の際に被害品として申告していないし,仮に,本件車両のキーが入ったセカンドバッグが車内にあったとしても,犯人はそのことを知らないはずである。 また,予備のキーを使用して本件車両を窃取するためには,窓ガラスを割って車内に侵入したはずであるが,振動を与えずに窓ガラスを割ることは著しく困難であって,その際,本件車両に内蔵した 盗難防止警報システムが作動し,異常をホーンと非常点滅灯の点滅で周囲に知らせることになるべきところ,原告代表者や,飲食店Fの従業員からは,警報システムが作動したことをうかがわせる供述は全くなされていない。 cさらに原告は,振動を与えずに本件車両の窓ガラスを割った上,その窓から盗難防止警報システムの配線を切断した可能性を指摘するが,窓ガラスを割った際に盗難防止警報システムが作動することは上記のとおりである。 仮に振動を与えず窓ガラスを割ることができたと仮定しても,犯人は本件車両のキーを所持していないのだから,当初から積載車やけん引車両による搬送を企図していた テムが作動することは上記のとおりである。 仮に振動を与えず窓ガラスを割ることができたと仮定しても,犯人は本件車両のキーを所持していないのだから,当初から積載車やけん引車両による搬送を企図していたと考えられるが,積載車等を用意した犯人が盗難防止警報システムが作動する危険を冒してまで敢えて窓ガラスを割ることは考えがたい上,積載車等による盗取を仮定した場合は,ガードパイプが障害になること,積載車がエンジンを吹かす暴音に店内の従業員が気付くはずであること,道路に積載車の荷台底部と接触したことによる痕跡がないことからして,現場の状況と整合しない。 ウけん引の痕跡があったとの主張の不自然性原告は,本件盗難事故現場付近に,車を引きずった長さ1メートルくらいの跡があったと主張するところ,かかる主張は,けん引車を利用した盗難を示唆するものと理解できる。 しかしながら,本件車両には,盗難防止警報システムの機能として,けん引防止警報機能が備わっており,盗難防止警報システムが待機状態のときに,けん引などで車が持ち上げられ車が傾くと,サイレンと非常点滅灯の点滅で周囲に知らせることになる。 仮に本件車両がけん引車を利用して窃取されたのであれば,けん引防 止機能が作動するはずであるところ,前記のとおり原告代表者や飲食店Fの経営者夫婦らから警報を聞いたとの供述はない。 本件車両のけん引防止警報システムは,車両をフェリーボートやトランスポーターに乗せて移動させただけで作動する可能性があるのであって,真実,警報音を吹鳴させることなく本件車両のけん引がされたとすれば,原告代表者が犯人にキーを交付して盗難防止警報システムを解除させたと考えざるを得ない。 また,原告が平成15年10月7日付け原告第3準備書面で主張するように別紙1記載の位置に本件車両を駐車させていたの 告代表者が犯人にキーを交付して盗難防止警報システムを解除させたと考えざるを得ない。 また,原告が平成15年10月7日付け原告第3準備書面で主張するように別紙1記載の位置に本件車両を駐車させていたのであれば,その直前に存在するガードパイプが妨げになるから,けん引自体が不可能である。 したがって,本件現場には,車を引きずった長さ1メートルくらいの跡はできないはずであり,かかる痕跡を認めたという原告の供述も不自然,不合理なものである。仮に,タイヤ痕が存在したとすれば,それは,犯人がけん引によって盗難被害に遭ったことを仮装するために残したものであると推認するのが合理的である。 エ犯行の証跡が存在することの不自然性原告代表者は,本件現場には,ガラス破片の付近に布が落ちていた旨供述するが,わずか数時間の間にイモビライザーを装備したベンツの窃取を実現できるほどの者が,わざわざ犯行手口を示唆するような証跡を残すはずがないのであって,かかる布が存在したこと自体が不自然である。 また,原告主張の本件盗難後,本件車両のナンバープレートが発見されているが,ナンバープレートを人目に付きやすい場所に置く合理的理由はなく,かかる窃盗犯人の不可解な行動は,原告代表者の関与のもとに行われた盗難の仮装行為の一環であると考えられる。 オ本件盗難発生時刻に関する主張の変遷原告は,被害当日,警察官に対し,被害日時を平成15年2月6日午後9時30分ころから同日午後11時30分ころまでの間と申告し,同年7月3日付けの本件訴状でも同様の主張をした。 しかし,原告は,同年2月18日,被告調査員に対して,被害日時を同月6日の午後7時30分ころから同日午後9時30分ころまでと説明した。また,原告は,本訴の過程において,被害時刻の主張を,午後8時ころから午後9時30分ころまで 日,被告調査員に対して,被害日時を同月6日の午後7時30分ころから同日午後9時30分ころまでと説明した。また,原告は,本訴の過程において,被害時刻の主張を,午後8時ころから午後9時30分ころまでに変更した。 このように,被害の時間帯が2時間も変転することは,それ自体が不自然であるとともに,原告の変更後の主張によれば,被害当日に警察に申告した被害時刻が2時間も誤っていたこととなるのであって,不自然であるといわざるを得ない。 カ被害品目に関する主張の不自然原告の主張によれば,本件車両の助手席に置いてあった黒いセカンドバッグ1個が被害品として挙げられているが,警察に対する被害届には申告されていない。特に,このセカンドバッグの中には,本件車両の予備のキーのみならず,会社事務所及び自宅の鍵を含む鍵束が入っていたにもかかわらず,これらの被害品についても警察官に対して申告されておらず,不自然である。 また,原告代表者は,当初,被告調査員に対し,「キーの1個だけは車の中に一つ隠してありました。」と言い,運転席の後ろのボックスに車両の使用説明書と一緒に収納していた旨を具体的かつ明確に供述していたのであるから,キーの申告漏れをわずかな記載漏れというにはあまりに不自然である。さらに,原告代表者は,予備のキーの所在について,後ろのボックスからセカンドバッグに主張を変えているが,かかる主張の変転も実に不自然である。 キタクシーチケットの停止措置と不正使用とのそご原告は,被害当日,タクシーチケットを無効にしてもらうよう手配したと主張している。 しかし,他方で,原告は,後日タクシーチケット1枚が名古屋市N区Oから岐阜市内までの区間(料金1万5210円)を不正に使用されたと主張し,タクシー会社からも請求されているのであって,上記の主張と矛盾している。 で,原告は,後日タクシーチケット1枚が名古屋市N区Oから岐阜市内までの区間(料金1万5210円)を不正に使用されたと主張し,タクシー会社からも請求されているのであって,上記の主張と矛盾している。 また,原告代表者は,被告調査員に対して,タクシーチケットの被害申告をしていないが,これも不自然である。 ククレジットカードについて原告は,カード4枚について,使用停止措置をとったとするが,他方,カードが不正使用されたと主張しているのであって,矛盾した主張をしている。 ケ原告の経済状態原告は,第21期(平成12年10月から平成13年9月まで)において,売上総利益は約9943万円,営業利益は約1430万円であったが,第22期においては,売上総利益は約4968万円と半減し,営業損失が約1259万円,当期未処理損失が約3340万円となり,極端な赤字経営に転落している。 第23期には,営業利益を845万円出したことを考慮に入れても,原告の,当期未処理損失は約3013万円であり,経営状態が直ちに好転したとは到底いえない状況である。 コ原告が本件車両以外にも車両を保有していたこと原告は,本件車両以外に,BMWアルピナ及びトヨタ・カルディナバンを使用していたのであるから,本件車両が消失することによる不利益は皆無である。 (2) 本件車両等の時価(原告の主張)本件車両は,ETC車載機及びカーナビゲーションシステムを代金33万円で国内使用に替えた上,1個10万円のAMGのホイール4個,5万円のウッド仕様のハンドル,10万円のフロントバンパーセンサーを装備していたので,平成15年2月6日当時,本件車両及びその附属品の時価合計額は,保険金額である1260万円を超えるものであった。 (被告の主張)原告の主張は争う。 (3) 信用,名誉毀損の成否( 備していたので,平成15年2月6日当時,本件車両及びその附属品の時価合計額は,保険金額である1260万円を超えるものであった。 (被告の主張)原告の主張は争う。 (3) 信用,名誉毀損の成否(原告の主張)被告は,原告の保険金請求を拒んだ上,本件訴訟において,保険約款(甲10号証)第4章3条(8)の詐欺に該当すると主張して,原告を詐欺師呼ばわりし,その信用及び名誉を毀損した。その損害は300万円を超えるものであり,被告は,この不法行為によって原告が被った損害を賠償する義務がある。 (被告の主張)被告が,本件訴訟において,原告の保険金請求が詐欺に該当すると主張していることは認めるが,その余の事実は否認する。 訴訟においては,当事者が相互に攻撃防御を尽くすことが裁判を受ける権利の本質的内容として保障されているのであり,被告の上記主張は社会的相当性の範囲を逸脱したものとは到底いえない。 (4) 被告の支払拒否が不法行為にあたるか否か(原告の主張)被告は,原告の保険金請求に対し,充分な調査を行うことなく,「イモビライザー装着車だから」,「人通りの少なくない都心部だから」,「盗 難の主張は疑わしい」というのみで,何ら合理的理由もないのにこれを拒んだ。その結果,原告は,本件訴訟の提起を余儀なくされ,弁護士費用216万円の損害を被った。 被告の上記行為は,不法行為に該当するものであり,原告に対し216万円の損害を賠償する義務がある。 (被告の主張)原告の主張は否認ないし争う。 第3当裁判所の判断 争点(1)について(1) 盗難の立証責任について車両保険契約は,当事者の一方が偶然な一定の事故によって生ずべき損害をてん補することを約し,相手方がこれに報酬を支払うことを約することによって成立する損害保険(商法629条)の一種であるところ いて車両保険契約は,当事者の一方が偶然な一定の事故によって生ずべき損害をてん補することを約し,相手方がこれに報酬を支払うことを約することによって成立する損害保険(商法629条)の一種であるところ,本件保険契約は,被保険自動車の盗難によって生じた損害について,被保険自動車の所有者に車両損害保険金を支払う(甲10号証第4章1条1項)ことを定めているのであるから,盗難その他の偶然の事故によって車両が消失したことは,本件保険契約に基づく保険金請求権の発生要件の一つであって,原告においてこれを主張立証すべきである。 そこで,以下本件車両が盗難という偶然な事故によって消失したものと認められるか否かを検討する。 (2) 本件盗難前後の事実経過等前記の争いのない事実等と証拠(甲37号証,51号証,55号証,61号証,62号証,乙11号証から16号証(枝番を含む),19号証,20号証,22号証,23号証,証人H2,同T,原告代表者本人,調査嘱託の結果)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告代表者は,平成15年2月6日夕方,原告が所属する愛知県精密機 械板金工業会の会議の運営,司会を担当したGと行きつけのふぐ料理店Fで会食をするため,本件車両を運転して名古屋市B区C丁目D番E号所在のFに向かい,途中でGを同乗させて,同日午後7時10分から20分ころ,Fに到着した。 イFには専用駐車場がなく,原告代表者は,おおむね別紙2(原告代表者が指示した駐車位置をTが記載したもの)記載のとおり,F店舗前の東側車道と歩道にまたがる位置に本件車両を南向きに駐車した。なお,本件車両を駐車した位置の南側には別紙2記載のとおりガードパイプが設置されており,付近は薄明かりの状態であった。 本件現場であるF店舗前(東側)の道路は,外堀通方面から桜通方面 向きに駐車した。なお,本件車両を駐車した位置の南側には別紙2記載のとおりガードパイプが設置されており,付近は薄明かりの状態であった。 本件現場であるF店舗前(東側)の道路は,外堀通方面から桜通方面へ向かう南方向への一方通行規制がされており,車道の幅員は約6メートル,その両端にある歩道の幅員はそれぞれ約2メートルで,当時,本件車両の周辺に路上駐車している車両はなかった。Fの付近は大通りから中に入った位置にあって,事務所や住宅等が混在する比較的静かな市街地となっている。 ウ原告代表者は,カードキーを所持した状態で本件車両のドアノブにあるボタンを押すことによって本件車両に施錠することができるタッチスタートの方法で施錠した。なお,原告代表者は,本件車両のエレクトロニックキー1本のほか,現金,タクシーチケット,クレジットカード4枚及び自動車運転免許証等在中の財布を入れたセカンドバッグを,本件車両前部座席の後方にある小物入れか運転席足下付近に置いたままで降車した。原告代表者は,Fの飲食代金を翌月にまとめて支払うことにしており,財布等を本件車両内に残していたものである。 エ原告代表者とGは,同日午後7時30分から午後8時ころ,Fに入店し,店舗入口付近のカウンター席に着いた。 原告代表者とGは,同店内において約1時間半から2時間の間歓談しな がら飲食をした。 女将のH2は,同日午後9時ころ,他の客がFから退店するのを見送った際,Fの店舗前に本件車両が駐車してあるのを認めた。 同日午後9時30分過ぎころ,原告代表者は,Gを帰宅させるため,H2にタクシーの手配をしてもらったが,タクシーがなかなか到着しないので,同日午後9時30分から午後10時ころ,H2がFの店舗前道路へ出てみたところ,前記のとおり駐車してあった本件車両がなくなっていることに気付 の手配をしてもらったが,タクシーがなかなか到着しないので,同日午後9時30分から午後10時ころ,H2がFの店舗前道路へ出てみたところ,前記のとおり駐車してあった本件車両がなくなっていることに気付いた。 H2からこれを聞いたH1は,原告代表者に対し上記の事情を伝え,原告代表者は,H1らとともに店外へ出て,駐車しておいた本件車両がなくなっていることを確認した。 オ本件車両があった本件現場付近には,布が1枚落ちていたほか,歩道寄りの車道付近に,自動車の窓ガラス様の粒状のガラス破片が散乱しており,また,車道には,歩道から南東方向に向け,タイヤ痕らしい筋が残されていた。上記ガラス片は本件車両のガラスと同様の薄緑色であった。 なお,原告代表者とGが飲食していたF店内のカウンター席は,本件車両を駐車した位置から約3メートルであり,その席や店内からは,通常,東側道路付近の車両が吹鳴するクラクションの音や,ディーゼル車両がエンジンを吹かす音は聞き取ることができるが,原告代表者及びGも,H夫婦と当夜Fで稼働していた3人の従業員も,原告代表者らがFで飲食している間,誰もこれらの音を聞いた者はいない。 カ本件車両が盗難に遭った旨の警察への通報は,間もなく原告代表者又はH1が行い,同日午後10時から午後11時ころ警察官1名がFに臨場し,翌7日午前零時ころまで事情聴取や調書作成を行った。 同日午前零時すぎころ,原告代表者は,H1から1万円を借りてタクシーで帰宅した。 キ原告代表者は,同日午前,被告の代理店に対して本件盗難被害の事実を連絡した。 ク上記のとおり,本件車両と共に,車内にあったセカンドバッグに入れておいた自動車運転免許証並びに原告事務所入口の鍵,門の鍵,原告会社内のマスターキー,1階事務所内の原告代表者の机の両サイドの2個の鍵,原告代表者 ,本件車両と共に,車内にあったセカンドバッグに入れておいた自動車運転免許証並びに原告事務所入口の鍵,門の鍵,原告会社内のマスターキー,1階事務所内の原告代表者の机の両サイドの2個の鍵,原告代表者宅玄関の鍵及び原告会社社長室内の金庫の鍵もなくなったため,原告代表者は,同月7日,自動車運転免許証の再交付を受け,同日から同月8日ころにかけて,業者に依頼して,自宅の玄関及び勝手口ドアの鍵と原告本社及び工場の各取替工事をした。 また,セカンドバッグに入れてあった財布在中のUFJカード(ミリオンカード),しんきんクレジットカード,西武セゾンカード,ETCカード及び近鉄タクシーのタクシーチケット等について,次の事態が生じた。 (ア) 平成15年2月6日午後11時6分,名古屋市J区K-L所在のゲオM店において,何者かが原告代表者名義のUFJカード(ミリオンカード)を使用してゲーム機であるプレイステーションⅡを購入しようとしたが,未遂に終わった。 (イ) 原告代表者は,2月6日午後11時6分以後に,UFJカードの利用停止を申し出たが,同日午後11時23分ころ,名古屋市B区I町U所在のVIPMember’sClubDianaにおいて,何者かが原告代表者名義のしんきんクレジットカードを使用し,合計9万2400円の被害が生じた。 (ウ) 原告代表者は,同日午後11時52分,株式会社UFJカードに対し,ETCカードの利用停止を申し出,同日午後11時56分,ビザジャパン紛失盗難デスクに対して,しんきんクレジットカードの使用停止を申し出,同月7日午前2時54分ころ,名古屋市N区OW丁目X番Y号所在のホテルピュアトークにおいて,何者かが,原告代表者名義のしんき んクレジットカードを使用して6250円の不正請求をしようとして未遂に終わり,同日午前4時21分 名古屋市N区OW丁目X番Y号所在のホテルピュアトークにおいて,何者かが,原告代表者名義のしんき んクレジットカードを使用して6250円の不正請求をしようとして未遂に終わり,同日午前4時21分,何者かが,日石三菱石油において,同カードの不正使用を試みたが未遂に終わった。 (エ) 原告代表者は,同7日午前8時34分,同人名義の西武セゾンカードの消失に気付き,その盗難の届出をした。 (オ) 同月8日午後10時45分ころ,名古屋市内の広小路Oでタクシーに乗車した25歳くらいの会社員風の女性によって,原告の近鉄タクシーチケットが不正使用され,同所から岐阜市Vまでのタクシー料金1万5210円が原告に請求され,同月11日には,何者かが,つばめタクシーにおいて,原告名義のしんきんクレジットカードを不正に使用し,1220円相当が費消された。 (カ) 同月13日から同月25日にかけて,何者かによって,原告代表者名義の西武セゾンカードが,つばめ自動車の利用代金の支払のために13回にわたって不正使用された。 (甲3号証,26号証の3,28号証から30号証,32号証の3から5,35号証の2,乙13号証の1,2,26号証,32号証の4,33号証)ケ同月17日,本件事故現場から数百メートル離れた道路の中央分離帯上の緑地に,本件車両の前部ナンバープレートが投棄されているのが通行人によって発見されたが,本件車両自体は現在に至るまで発見されていない。 (3) 以上認定の諸事実に照らしてみると,本件車両は,特段の反証がなされない限り,何者かによって窃取されたものと推認するのが相当と解されるので,次に本件車両の盗難の事実に疑問を差し挟むべき事情について,盗難を偽装すべき動機の存否,イモビライザーその他の盗難防止装置が装着された本件車両の窃取の可能性の有無,原告代表者 が相当と解されるので,次に本件車両の盗難の事実に疑問を差し挟むべき事情について,盗難を偽装すべき動機の存否,イモビライザーその他の盗難防止装置が装着された本件車両の窃取の可能性の有無,原告代表者の盗難被害等に関する説明内容の問題点等を中心として,上記の特段の反証があるか否かを検討する。 (4) 原告及び原告代表者と本件車両の盗難を偽装する動機等の存否について(以降に摘示する事実は,前記の争いのない事実等と各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨によってこれを認める。)ア原告の経済状態等原告は,昭和27年7月,原告代表者の父であるS1によって創業され,その後順次合資会社,株式会社と形態を変えて,平成3年3月,現在の社名へと変更された。現在その従業員は23名で,主要取引先は,オークマ株式会社,旭精機株式会社,MS商事株式会社である。 原告は,平成12年10月1日から平成13年9月30日までの第21期の事業年度において,1430万3426円の営業利益を計上しているのに対し,本件盗難の前の期である第22期の平成13年10月1日から平成14年9月30日までの事業年度においては,1259万6821円の営業損失を計上した。しかし,平成14年10月1日から平成15年9月30日までの第23期の事業年度においては再び845万7539円の営業利益を計上している。 イ原告代表者の属性及び経済状態等(ア) 原告代表者は,昭和50年ころ,S1の引退に伴って原告の代表取締役社長に就任し,他に春日丘高等学校のPTA会長を務めるなどしてきた。 原告代表者は,18歳で自動車免許を取得して以降,ダットサンライトバン,日産ブルーバード,トヨタマークⅡ,日産フェアレディーZ,日産グロリア,BMW633Mタイプクーペ,BMWアルピナクーペ,ベンツSL320及び本件車両を使用 許を取得して以降,ダットサンライトバン,日産ブルーバード,トヨタマークⅡ,日産フェアレディーZ,日産グロリア,BMW633Mタイプクーペ,BMWアルピナクーペ,ベンツSL320及び本件車両を使用してきた経歴があり,本件車両消失後の平成15年3月13日,再び平成15年式メルセデスベンツSL500(登録番号:名古屋●●●●●●●,以下「新車両」ともいう。)を,代金等合計1364万5675円(税込み)で購入するなど, 高級外国車やスポーツカーに高い関心を有していた。 また,本件盗難当時は,本件車両のほかにBMWアルピナクーペ及びトヨタカルディナも使用していた。 原告代表者が盗難事故による車両保険金請求を行うのは本件が初めてであり,その妻及び子にも盗難保険金の請求歴を認めることはできない。 (イ) 原告代表者は,平成15年当時,原告から年間約1000万円の役員報酬を受ける一方,本件車両の購入資金として瀬戸信用金庫から借り入れた約500万円弱の借入金債務を負担し,毎月5万4280円の返済を行っていた。 原告代表者は,上記のとおり,本件盗難後間もなく,本件車両と同じ車種のメルセデスベンツSL500を購入したが,その代金として,平成15年10月16日までに,合計1364万5675円を支払い,中京リースに対する債務を完済した。 ウ以上認定の諸事実によれば,原告は本件盗難が発生した直前の期である第22期の事業年度には営業損失を計上したが,その前後の収益状況は比較的順調であって,第22期における損失の計上は一時的なもので,その額も原告の経営が危機にさらされるほどではなかったものと推認され,また,原告代表者本人の債務もその収入と対比して過大なものとはみられず,本件車両はそれまで使用してきた車両と比較して特別に高価であるというわけでもないと解される。 るほどではなかったものと推認され,また,原告代表者本人の債務もその収入と対比して過大なものとはみられず,本件車両はそれまで使用してきた車両と比較して特別に高価であるというわけでもないと解される。そして,原告代表者は,本件事故後,本件車両と同型の新車両を購入してその代金を支払ったこと,後述するとおり,本件車両は保険価額である1260万円を超える経済的価値があって保険金の設定金額は相当であったこと,本件保険契約の締結時期と本件盗難被害の発生時期は近接しているわけではないこと,これらの諸点に加えて,原告代表者は,長らく原告の代表取締役社長として原告の経営に携わり,相当の収入を得ていたこと,その他,地域社会において築いた社会的地位や, 保険金詐欺を敢行して得られる利益とこれに伴う危険性の程度等の諸点を考慮すると,原告や原告代表者において,本件車両の盗難を偽装して保険金詐欺を働いたり,これに関与するだけの動機の存在をうかがわせるような事情は認めがたいというべきである(甲14号証,20号証,27号証の1から3,37号証,38号証,41号証から46号証,乙12号証,原告代表者本人)。 (5) 本件車両の盗難防止装置等と盗難の実行可能性についてア本件車両の盗難防止装置等の機能(ア) イモビライザー本件車両及びそのキーには,イモビライザーが内蔵されていた。 イモビライザーは,キー側のトランスポンダと車両側のコンピューターが共通の暗算式を用いてその都度計算を行い,結果が合致しなければ車両のエンジンが始動しないシステムであり,仮に具体的な数字を解読したとしても,次に使用する計算結果はそれとは異なるものとなるため,1時間半ないし2時間で両者を合致させることは,事実上不可能である。 (イ) 盗難防止警報システム盗難防止警報システムとは,車両のドア, としても,次に使用する計算結果はそれとは異なるものとなるため,1時間半ないし2時間で両者を合致させることは,事実上不可能である。 (イ) 盗難防止警報システム盗難防止警報システムとは,車両のドア,トランク,ボンネット等が閉じていることを監視し,ウィンドウを割って中からドアを開けるなど,ドア等が正規の方法以外で開けられた場合や,けん引などにより車両が傾いた場合等に,これらを感知してホーンと非常点滅灯の点滅で周囲に知らせるシステムであるところ,正規輸入されたメルセデスベンツSL500(平成14年式)には,盗難防止警報システムが装備されており,このことはドイツから並行輸入された本件車両も同様であると考えられる。 盗難防止警報システムは,本件車両を正規の方法で施錠することによって,約15秒後に待機状態となり,これが作動した場合は,正規キー のいずれかのボタンを押すか,エンジンスイッチに正規キーを差し込む方法により,警報を解除することができる。 同システムのうち,けん引防止警報機能は,車両をトランスポーターに乗せて移動させる等した場合,その揺れを感知して作動するものである。 (ウ) 本件車両のキー本件車両納車時には,正規キーとして,カードキー2枚と,エレクトロニックキー2本が交付された。原告代表者は,本件事故当時,カードキー1枚及びエレクトロニックキー1本を自宅に保管し,カードキー1枚は原告代表者が所持し,エレクトロニックキー1本は,本件車両内に残置したセカンドバッグ内に入れていた。 カードキーは,これを所持した状態で車両のドアノブにあるボタンを押すことによって,車両に施錠することができる。 エレクトロニックキーは,ダイムラークライスラー日本株式会社ないしダイムラークライスラーのドイツ本社でしか複製することができないとされている。 イ 押すことによって,車両に施錠することができる。 エレクトロニックキーは,ダイムラークライスラー日本株式会社ないしダイムラークライスラーのドイツ本社でしか複製することができないとされている。 イ本件車両を窃取する方法とその実行可能性の検討(ア) 本件車両を自走させる方法による窃取方法について本件事故以前に,本件車両の正規キーが盗難に遭ったとの事実はないし,上記のとおり正規キーの複製はメーカー以外には不可能とされている。 本件車両のエレクトロニックキー1本とカードキー1枚は原告代表者の自宅に保管されており,他のカードキー1枚は原告代表者が所持しており,他のエレクトロニックキー1本は本件車両内に置かれたセカンドバッグ内に在中していたというのであるから,犯人が正規キーを用いて本件車両のドアを解錠し,自走の方法により窃取したとは考えられない。 (イ) 本件車両を車両運搬車に積載して搬送する窃取方法についてa原告代表者が本件車両に施錠したことによって,本件事故当時,盗難防止警報システムが待機状態にあり,同システムを解除することなしに本件車両の積載ないしけん引を実行した場合には上記警報装置が作動するから,同システムの解除は窃取行為の前提となる。 本件事故現場には布とガラス片が遺留されていたことは前述したとおりであるが,熟練した犯人が,布を緩衝材として使用した上,ウィンドウの破壊によって生じる振動や破壊音を極力抑制しながら,ガラス破壊用の専用工具等を用いるなどして本件車両のウィンドウを割ることがおよそ不可能であるといえるほどの証拠はなく,本件現場の上記遺留品からは,そのような犯行方法が用いられた可能性を示すものとみる余地がある。 そして,本件車両の盗難防止警報システムの配線は,そのドア部分付近に存在するものと認められるところ,上記の方法 の上記遺留品からは,そのような犯行方法が用いられた可能性を示すものとみる余地がある。 そして,本件車両の盗難防止警報システムの配線は,そのドア部分付近に存在するものと認められるところ,上記の方法によってウィンドウを破壊した箇所から身体を車内に入れて同システムの配線を切断し,同システムを作動させないという方法も考えられないではなく,本件において提出された全証拠によっても,このような手口があり得ないとまではいえない。 b次に,本件車両を,車両運搬車やけん引車両によって搬送する方法について検討する。 被告は,本件盗難現場には,けん引車両の荷台底部と道路とが接触した痕跡がないこと,積載作業時に発生する騒音にH2らが気付くはずであること,本件車両の前方にガードパイプが設置されていたこと等を指摘して,車両運搬車によって搬送されたことはない旨主張する。 なるほど,荷台をスライドさせて道路と平行に着地させる方式の運搬車両を使用して,スライドさせた荷台を本件車両と道路の間に割り こませた場合,道路には荷台底部が道路を擦過した痕跡が残るはずであるが,本件事故現場にはそのような痕跡があったと認めることはできない。 しかし,荷台傾斜式車両運搬車を使用した場合には,運搬車のシャシーフレームを含めた車両全体を,車両後部が道路に接地する角度に傾斜させた上,ウィンチを用いて本件車両を同運搬車上に引き上げるので,道路には擦過痕が残らないと考えられるし,車両運搬車のエンジン音や排気音等,積載作業に伴う音が,Fの店内にどの程度伝わるものであるかは,必ずしも明確ではなく,同店の経営者らや原告代表者らがこれに気付かなかったとしても,これらの積載作業の余地を否定することはできない。 また,本件車両の前方1ないし2メートルの地点には,ガードパイプが設置されており,本件 同店の経営者らや原告代表者らがこれに気付かなかったとしても,これらの積載作業の余地を否定することはできない。 また,本件車両の前方1ないし2メートルの地点には,ガードパイプが設置されており,本件車両の前方にけん引車両ないし積載車両を縦列に駐車して積載作業を行うことは困難と考えられるが,前述したとおり本件現場の路面には南東方向に向かって1本ないし2本の擦過痕様のものがあったことからすると,犯人がけん引車両ないし積載車両を本件車両の南東方向に駐車して積載作業を行った可能性は残るというべきである。 (ウ) 以上に検討したように,窃盗犯人が,盗難防止警報システムを作動させない方法を講じながら,本件車両を車両運搬車両に積載する等の方法で持ち去った可能性が技術的に不可能であるとか,それが現実的にもあり得ないとまではいえず,この場合には,本件車両の正規キーを利用する必要はないから,原告代表者の関与がなくとも本件車両を窃取することが可能である。 (エ) 本件については,本件車両が窃取された際の具体的な手口や方法についてまでの認定は困難であり,上述した可能性を指摘し得るにすぎない けれども,一方,被告の,本件車両の各種盗難防止装置の具体的な機能や範囲,その限界の有無程度等に関する主張,立証も,一般的な資料に依拠してその堅固さをいう限度のものであって,本件車両の盗難防止装置等それ自体や,それらと同種の装置の盗難防止機能について,具体的な性能内容や盗難からの防護範囲等を技術的に検証した資料等による反証がなされたわけではない。そして,被告は保険業務を目的とする法人であって,いわゆるモラルリスク案件を相当数取り扱っており,それらに関する情報量や専門的な調査能力ないし資金力において原告等の一般の保険契約者などとは比較にならない主張,立証能力を有すること る法人であって,いわゆるモラルリスク案件を相当数取り扱っており,それらに関する情報量や専門的な調査能力ないし資金力において原告等の一般の保険契約者などとは比較にならない主張,立証能力を有することに鑑みれば,本件における被告の上記の程度の主張,反証内容との対比において,原告による本件車両の盗難の手口や方法に関する主張,立証内容が上記のような可能性を指摘することによって尽くされたとするのは,やむを得ないというべきである。 (乙1号証,3号証,6号証,8号証の4,21号証,27号証,証人H2,同T,原告代表者本人,調査嘱託の結果及び弁論の全趣旨)(6) 本件事故に関する供述の変遷についてア被害時刻について前述したとおり,原告代表者は,本件盗難被害の日時について,警察への被害届の際には,平成15年2月6日午後9時30分から同日午後11時30分ころまでの間と録取され,その後,本訴における平成15年8月20日付けの原告第2準備書面において,これを同日午後8時ころから9時30分ころと訂正したところ,前記のとおり,同日午後11時6分に,何者かが,原告代表者名義のUFJカード(ミリオンカード)の不正使用をした事実が認められることに照らせば,上記被害届にかかる被害時刻は誤りと認められる。しかし,被害届の際のこの程度の説明内容の誤りは,盗難被害に遭った直後の混乱した状況下での説明として,特に不審とすべ きほどのものとは解されない。 イ被害品について原告代表者は警察に対する本件盗難の被害届においては,エレクトロニックキーを被害品として申告していなかったこと,他方,原告代表者は,平成15年2月18日,被告から委託を受けて本件盗難に関する調査を行ったTに対し,本件車両のキー1本を本件車両内のリアシートのボックス内に入れていた旨の説明をし,同年3 たこと,他方,原告代表者は,平成15年2月18日,被告から委託を受けて本件盗難に関する調査を行ったTに対し,本件車両のキー1本を本件車両内のリアシートのボックス内に入れていた旨の説明をし,同年3月12日には,同人に対し,エレクトロニックキーはセカンドバッグの中に入れたあった旨,説明内容の訂正をしていることが認められる。 このような本件車両のエレクトロニックキーの所在に関する説明内容の食い違いや変遷は,原告代表者の説明の信ぴょう性に疑問を抱かせるものという余地があるが,警察に対する被害届にこれが含まれていない点は,上述した被害日時の点と同様に,被害届当時の混乱した状況の影響もあって,本件車両に積載していた被害品のすべてを正確に申告できなかったものとみる余地がある。そして,Tに対する説明内容も,原告代表者本人尋問の内容に照らしてみると,同人の記憶や説明内容には,正確さを欠いたり,あいまいで厳密さに乏しい傾向があることも否定できないこと,証人Tの証言によれば,Tの調査も,イモビライザー搭載車両の盗難事故であることから,既に相当の先入観を持って懐疑的な姿勢で行われたと認められることなど,原告代表者の性向やTの調査姿勢に照らしてみると,Tに対する上記説明内容それ自体の正確性に疑問があるものといわざるを得ない。また,原告代表者の上記説明内容に関する不審点それ自体が,直ちに,原告代表者による盗難被害の偽装とか,そのような企図への何らかの関与を推認させたり,それをうかがわせる事情であるとはいえないから,その意味においても,原告代表者の上記説明内容に関する問題点は,上記の盗難の事実に疑問を差し挟むべき特段の事情と認めることはできない。 (甲3号証,37号証,乙11号証,13号証の1,2,原告代表者本人,弁論の全趣旨)(7) 以上のとおりであ 問題点は,上記の盗難の事実に疑問を差し挟むべき特段の事情と認めることはできない。 (甲3号証,37号証,乙11号証,13号証の1,2,原告代表者本人,弁論の全趣旨)(7) 以上のとおりであって,原告代表者が本件現場に本件車両を駐車したこと,それが本件現場から消失したこと,原告及び原告代表者に盗難被害を偽装したり,それらの企図に関与することをうかがわせるほどの動機や背景事情は見当たらないこと,本件保険契約の内容や,その締結時点と本件盗難の時点との間に不自然な点は見当たらず,原告及び原告代表者の本件盗難後の行動や,盗難被害品の不正使用等が多数,相当期間にわたり発生していること,そして,本件車両の各種の盗難防止装置によって本件車両の盗難の可能性が全く排除されるものであるとの反証はないこと,これらの諸点を総合考慮すると,本件車両は原告主張のとおり盗難という偶然の事故によって消失したものと認めるのが相当である。 争点(2)について証拠(甲63号証,64号証,乙12号証,13号証の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,本件車両の走行距離は,本件事故当時,約5000キロメートルであったこと,本件車両と同一車種同年式で,走行距離が4000キロメートルの車両の市場価格は,約1200万円であること,本件事故当時,本件車両には①国内仕様のETC車載機,②国内仕様のカーナビゲーションシステム,③AMG仕様のホイール4個,④ウッドハンドル,⑤フロントバンパーセンサーの各附属品が装備されていたことが認められ,これらに照らしてみると,本件盗難の当時,本件車両の市場販売価格は1260万円を超えるものであったと推認することができる。 したがって,本件保険契約における保険価額は,1260万円であると認められるから,被告が本件保険契約に基づいて原告に支払うべき保 場販売価格は1260万円を超えるものであったと推認することができる。 したがって,本件保険契約における保険価額は,1260万円であると認められるから,被告が本件保険契約に基づいて原告に支払うべき保険金の額は,1260万円全額と認められる。 争点(3)について 本件訴訟において,原告が本件盗難の事実を主張したのに対し,被告が,本件第1回口頭弁論期日においてこれを否認した上,第2回口頭弁論期日において,その理由として,本件保険契約に適用される約款(甲10号証)第4章第3条(8)に規定する「詐欺」にあたる旨の主張をしたことは,当裁判所に顕著であるが,被告は,上記のように約款上の規定に該当する旨の主張をしたにすぎないのであって,原告の名誉を毀損すべき違法性があると認めることはできない。 したがって,この点に関する原告の請求は理由がない。 争点(4)について本件盗難を巡っては,既に判示したとおり,被告調査員に対する原告代表者の説明内容の変遷等の諸事情や,本件車両に各種盗難防止装置が設置されていること,本件現場の状況等の諸点について,これらを検討し,解明すべき事項が少なくない状況が存在したことが明らかであるから,被告が保険金の支払を拒否したことが不法行為に当たるとは認められない。 よって,この点に関する原告の請求も理由がない。 結論 以上のとおりであって,原告の本訴請求は,1260万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成15年7月24日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条,64条を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条,64条を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第7部裁判長裁判官中村直文 裁判官平山馨裁判官武村重樹
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