- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求本件は,原告が,被告に対し,原告の経営するホテルのある土地が都市計画道路である津島飛行場線の区域内に存し,都市計画決定以来30年以上の長期にわたりホテルの増改築につき都市計画法に基づく建築規制を受けていることによる損失が一般的に受忍すべき所有権の内在的制約の範囲を超え,土地所有者である原告に対して年額300万0000円という特別の犠牲を課するに至っているとして,憲法29条3項等を根拠に,当該都市計画事業の施行予定者である被告に対し,平成10年1月1日から平成13年12月31日までの間における損失補償金1200万0000円及び平成14年1月1日から平成23年12月31日まで毎年3月末日限り(ただし,平成23年12月31日までに事業化決定がされたときは当該日までとする。)年額300万0000円の割合による損失補償金の支払いを求める請求である。 第2事案の概要 争いのない事実等(証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実を含む。)(1)当事者等原告は,ホテル経営等を目的として昭和40年9月30日に設立された株式会社であり,別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)及び建物(以下「本件建物」という。)を所有し,「岡山グランドホテル」の名称でホテル経営をしている。 なお,原告は,社団法人日本ホテル協会の正会員である。 (2)津島飛行場線の指定及びその後の変更等- 2 -(ア)都市計画事業の主務大臣である旧建設大臣は,昭和31年3月15日,旧都市計画法(大正8年法律第36号(以下「旧法」という。)3条により二日市町船着町線を計画決定した。その都市計画道路の起点はa町(地番省略),終点はb町(地番省略)であり,延長 31年3月15日,旧都市計画法(大正8年法律第36号(以下「旧法」という。)3条により二日市町船着町線を計画決定した。その都市計画道路の起点はa町(地番省略),終点はb町(地番省略)であり,延長1046m・標準幅員15mの道路として計画されている。二日市町船着町線は,船着町相生橋線の起点に接続する道路であって,現在の県道福島線本線に沿うものであり,ホテル敷地のうち東側道路沿い部分(岡山市c町(地番省略),(地番省略),(地番省略)の各一部)が都市計画道路区域に含まれるものである。 (乙第5号証,第6号証)。 (イ)旧建設大臣は,昭和40年1月29日,将来の交通需要に対処するため,都市計画道路の全面的な再検討を行い,岡山市域内の場合,都市計画道路60路線のうち40路線を25路線に統合するとともに,20路線を廃止し,かつ,10路線を新設する都市計画道路を決定した。そして,当時将来の発展が予想された岡山市南部一帯及び国道2号線と市内中心部とを結ぶ幹線道路を計画し,従来の5路線(津島出石線・内山下線・二日市町船着町線・二日市町豊成線・豊成飛行場線)を統合し,津島飛行場線につき都市計画決定(以下「本件都市計画決定」という。)をした。その起点は,岡山市d(地番省略)であり,主な経過地は,岡山市e町(地番省略),岡山市f(地番省略)であり,終点は岡山市g町(地番省略)である。津島飛行場線は,延長1万4350m,標準幅員16mの都市計画道路である。 (ウ)そして,原告経営のホテル所在地付近における津島飛行場線の位置は,別紙図面のとおりであり,天瀬の交差点(f(地番省略))から南下して桜橋(h町(地番省略))に抜けるように計画決定され,その区間の幅員は36mとされたことにより,本件土地の一部である(1)岡山市c- 3 -町(地番省略),(2 差点(f(地番省略))から南下して桜橋(h町(地番省略))に抜けるように計画決定され,その区間の幅員は36mとされたことにより,本件土地の一部である(1)岡山市c- 3 -町(地番省略),(2)同(地番省略),(4)同(地番省略),(5)同(地番省略),(6)同(地番省略),(8)同(地番省略)の土地の全部又は一部が都市計画区域内に含まれることとなった。 (甲第10号証の1及び2,乙第7号証)(エ)現行の都市計画法(昭和43年法律第100号)(以下「新法」という。)が昭和44年6月14日施行されたのに伴い,同時に施行された都市計画法施行法(昭和43年法律第101号)2条の規定によって新法施行の際,現に旧法の規定により決定されている都市計画は新法の規定による相当の都市計画とみなされ,新法15条に従い,それぞれ都道府県知事又は市町村が定めたものとして取り扱うこととされ(昭和44年9月10日付け旧建設省都市局長通達「都市計画法の施行について」の中の新法の施行に伴う経過措置参照),これにより,津島飛行場線は,岡山市都市計画道路として岡山県知事が決定したものとして取り扱われることになった。 (乙第8号証)(オ)岡山県知事は,昭和45年10月16日付で従前指定されていた岡山市・倉敷市等の都市計画区域を1つの都市計画区域とし,その名称を「岡山県南広域都市計画区域」とし,これに瀬戸町内等の区域を含めることにより,津島飛行場線は,岡山県南広域都市計画道路3・4岡410津島飛行場線となったが(その計画内容に変更はなかった。),その後,平成9年8月5日付け岡山県告示第489号により,延長距離は1万4350mから1万3980mに変更された。 (乙第5号証)(3)津島飛行場線の整備状況都市計画事業の認可は,計画路線全体でなく,その一部である事業 付け岡山県告示第489号により,延長距離は1万4350mから1万3980mに変更された。 (乙第5号証)(3)津島飛行場線の整備状況都市計画事業の認可は,計画路線全体でなく,その一部である事業区間ごとになされ,都市計画事業で実施する場合に限って事業認可の申請が行わ- 4 -れるところ,従来,津島飛行場線は,主に岡山市が事業施行者として事業化してきたが,岡山県が事業施行者として事業化した区間もある。本件土地のあるfからh町まで区間については,現時点で,岡山市が施行するのか(市町村施行事業),岡山県が施行するのか(都道府県施行事業)についていまだ確定されておらず,事業認可手続がなされていない。その整備状況は,以下のとおりである。すなわち,(ア)岡山市i(地番省略)から岡山市j(地番省略)までの区間2180mについて岡山市が昭和50年代から60年代にかけて整備した。 (イ)中井町2丁目から新鶴見橋交差点付近の一般県道原尾島番町線と津島飛行場線との交差点から北350mの地点(岡山市k町(地番省略))までの1180mの区間について,岡山市が街路事業として施行し,昭和33年ころ完成した。 (ウ)浦安総合文化公園付近から終点までの区間約1800mについて,岡山県が街路事業として施行し,昭和39年ころ完成した。 (エ)城下筋と後楽園通りが交差する弓之町東交差点から城下筋南端の新京橋西交差点(l町)までの区間1480mについて,岡山市が戦災復興土地区画整理事業として施行し,昭和40年ころ完成した。 (オ)国道2号線と津島飛行場線とが交差するバイパス豊成交差点の南北160mの区間(m(地番省略)からn(地番省略)まで)について,岡山市が国道周辺土地区画整理事業として施行し,昭和49年ころ完成した。 (カ)城下筋北端の就実学園東交差点(岡 ス豊成交差点の南北160mの区間(m(地番省略)からn(地番省略)まで)について,岡山市が国道周辺土地区画整理事業として施行し,昭和49年ころ完成した。 (カ)城下筋北端の就実学園東交差点(岡山市o町(地番省略))から前記弓之町東交差点までの区間220mについて,岡山市が街路事業として施行し,昭和58年に完成した。 (キ)浦安小学校東付近から浦安総合文化公園付近まで約420mの区間について,岡山県が道路事業として施行し,昭和59年ころ完成した。 - 5 -(ク)市道浦安本町築港緑町線と津島飛行場線とが交差する四番用水交差点北側区間約250m及び南側区間約90m合計340mの区間について,岡山県が道路事業として施行し,平成元年ころ完成した。 以上の経緯により,津島飛行場線の延長区間1万3980mのうち7410mが完成しており,その整備率(都市計画道路に対する完成部分の割合)は53%である。 なお,平成10年3月31日時点での岡山県下の都市計画道路の整備率は46・5%,岡山県南広域都市計画道路の整備率は50・3%,岡山市内の都市計画道路の整備率は55・5%である。 (乙第9号証)(4)原告が訴訟を提起するに至った経緯等(ア)原告代表者は,ホテル経営を始める前は商工組合中央金庫に勤務していた者であるが,ホテル旅館業界の調査の仕事に関わっていたことから,本件土地の元所有者と共同してホテル経営を始めることを計画し,昭和39年,池永建築設計事務所にホテル建設の設計(鉄筋コンクリート造り5階建て,客室53室,)を依頼したが(この段階では敷地の約10%が都市計画道路区域に含まれていた。),その後の都市計画決定により敷地の約50%が都市計画道路区域になっていることが判明したことから,設計変更を余儀なくされ,改めて本件土地のうち計画道路区域 %が都市計画道路区域に含まれていた。),その後の都市計画決定により敷地の約50%が都市計画道路区域になっていることが判明したことから,設計変更を余儀なくされ,改めて本件土地のうち計画道路区域外の土地に客室31室からなる建物を建築することとした。原告設立後(昭和40年9月30日),昭和42年8月18日に建物が完成し,ホテル営業を開始し,昭和46年4月17日及び昭和52年9月30日にはさらに本件土地のうち計画道路区域内の土地に2階建て附属建物を建築した。そして,原告は,昭和60年3月27日,従来借地であった本件土地(合計1356・15㎡)を3500万0000円で購入した。 (イ)そして,原告は,計画道路区域内では,都市計画法による建築制限が- 6 -あり,ホテルの増改築ができないため,平成5年9月6日,本件都市計画道路を直ちに事業化することなどを求める旨の調停を岡山簡易裁判所に申立てたのを始めとして(調停は不調に終わった。),平成6年2月28日,被告を相手方として,都市計画決定から30年以上の長期間を経過しながらいまだに事業認可すら受けていない行政不作為の違法性を主張して損害賠償請求を求める訴えを岡山地方裁判所に提起したが,平成8年2月23日請求が棄却され,その後控訴棄却,上告棄却により判決が確定した。 (ウ)原告は,平成9年9月29日付けで都市計画道路区域内にある本件土地に,客室31室からなる鉄筋コンクリート造5階建旅館,建築面積延べ1526・550㎡の建築許可申請を行ったが(なお,原告は,都市計画道路が将来事業化する時点では自費で撤去する条件を付することの申し出をした。),平成10年2月13日,岡山市長は,上記建築物が容易に移転し又は除却することができるものに当たらないとして不許可処分を行った。これに対し,原告は,岡山 で撤去する条件を付することの申し出をした。),平成10年2月13日,岡山市長は,上記建築物が容易に移転し又は除却することができるものに当たらないとして不許可処分を行った。これに対し,原告は,岡山県知事に審査請求をしたが(主位的請求として,不許可処分の取消し,予備的請求として,不許可処分の違法又は不当であることの確認を求めるとともに,本件土地につき憲法29条3項に定める正当な補償として金2600万0000円及び平成10年3月1日より建築制限の消滅するときまで年200万0000円の割合による損失補償金を支払う義務があることを確認するとの裁決を求めた。),岡山県知事は,平成11年7月14日,原告の主位的請求を棄却し,予備的請求を却下する旨の裁決を行った。 (甲第13号証,乙第2号証ないし第4号証,第10号証) 争点 (1)損失補償請求の可否ア道路法に基づくもの- 7 -(a原告の主張)被告は,道路法91条3項により原告に対して損失を補償しなければならない。 (b被告の主張)道路法91条3項による損失補償は,同法18条1項の規定により道路の区域が決定された後,道路の供用が開始されるまでの間の制限について規定しているものであるところ,同法18条1項では道路管理者が道路区域が決定して建設省令で定めるところによりこれを公示,縦覧に供しなければならない旨規定しているが,本件道路は未だ県道となるか市道となるか決定されておらず,道路管理者が確定されていないのであるから,そもそも道路法の適用外である。 イ公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づくもの(a原告の主張)公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱は,第1条で土地収用法その他の法律により土地等を収用し又は使用することができる事業に必要な土地等の取得又は土地等の使用に伴う損失 基づくもの(a原告の主張)公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱は,第1条で土地収用法その他の法律により土地等を収用し又は使用することができる事業に必要な土地等の取得又は土地等の使用に伴う損失の補償の基準の大綱を定めている。また,2条2項は,この要綱において土地等の使用とは,土地その他の第1項に掲げる物件などの使用並びに同項に掲げる権利の制限をいうと定めている。都市計画法53条,54条に基づく建築制限は上記の権利の制限に含まれるから,同要綱43条で土地等の取得又は土地等の使用によって,土地等の権利者について通常生ずる損失は,これを補償するものとすると定められているので,原告は被告に対し損失補償請求できる。 (b被告の主張)前記要綱は,1条に「土地収用法その他の法律により土地等を使用し,又は使用することができる事業に必要な土地等の取得又は土地等の使用- 8 -に伴う損失の補償基準の大綱を定め」とあることから明らかなように,土地収用法その他の法律により土地を収用し,及び使用した場合に生ずる損失の補償について具体的な算定基準を定めたものにすぎず,損失補償がなされるためには法律の規定が必要であるから,同要綱を根拠に損失補償請求することはできない。また,同要綱にいう「土地の使用」とは,電気供給施設の事業地(地役権等を設定する高圧線下の土地)や都高速鉄道の事業地(地上権等を設定する地下鉄用地)などがこれに該当し,都市計画法に定める建築制限は「土地の使用」に当たらない。 ウ憲法29条3項に基づく損失補償請求の要否(a原告の主張及び反論)(ア)原告は,都市計画決定から約35年間にわたり建築制限を受け,以下のような営業上の不利益を受けており,すでに一般的に当然受忍すべきとされる制限の範囲を大きく超え,特別の犠牲を課されているもので ア)原告は,都市計画決定から約35年間にわたり建築制限を受け,以下のような営業上の不利益を受けており,すでに一般的に当然受忍すべきとされる制限の範囲を大きく超え,特別の犠牲を課されているものであるから,憲法29条3項に基づく損失補償がなされるべきである。すなわち,①本件土地は,都市計画法による建築制限があるため,一般の土地の価格の3分の1まで下落しており,これに応じ,担保価格も下落しており,金融的にも打撃を受けている。すなわち,計画道路外は坪当たり70万円から100万円であるのに対し,都市計画道路内では坪当たり20万から30万円まで下落しており(合計約6600万円の下落),他に売却したくても買い手がいない状態にある。 ②また,原告は,建築規制のため,建物の増改築の許可が得られず,効率的なホテル経営ができない状態にある。仮に,ホテルの増改築可能であれば客室を31室から62室に増加することができ,これによって年間売上5940万0000円,年間粗利益4752万0000円を得ることが可能であるところ,この利益を得ることができない。 - 9 -なお,社団法人日本ホテル協会は,平成5年2月17日付で会員資格として客室が50室以上であることを決定している。 (甲第5号証)(イ)損失補償の要否についての判断基準は,公共の安全,秩序維持の保持とか,社会的共同生活の安全の確保というような消極目的の規制については原則として損失補償は要しないのに対し,産業,交通その他公益事業の発展とか国土の総合利用といった積極目的の規制については,損失補償を要するものと解すべきであるところ,本件津島飛行場線についての都市計画決定に基づく建築制限は,都市計画法1条の定める都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉に寄与することを と解すべきであるところ,本件津島飛行場線についての都市計画決定に基づく建築制限は,都市計画法1条の定める都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉に寄与することを目的とする積極目的の規制であるから損失補償が必要である。 (ウ)被告は津島飛行場線の改良率は53%で特に遅延しているものではない旨主張しているが,これは,路線の合併,統合によるもので,少なくとも原告ホテル付近の新京橋から桜橋間の約580mは未着工である。 なお,原告は被告に早期に事業化決定することを求めているのであり,工事完了までの期間を問題にしているのではないから,整備率は基準とはならない。 (エ)津島飛行場線が計画されたのは,昭和37年10月に岡山市dの岡山総合グランドを主会場として岡山国体が開催され,当時同市pにあった旧岡山空港(現岡南飛行場)と岡山総合グランドを結ぶ道路の整備が急務と判断されたことによるものである。ところが,その後,空路の国際化に対応すべく岡山空港を同市日応寺に新設することとなり,昭和63年2月には現在の岡山空港が開港されたので,津島飛行場線は事業化する必要がなくなった。 - 10 -(b被告の主張)(ア)都市計画法に基づく建築規制は,将来の都市計画事業の円滑な施行を確保するためのものであり,都市計画施設区域内の土地の権利者が公共の福祉のために当然受忍すべき内在的制約であって,特別の犠牲を課したものではない。そもそも,都市計画は,事業の施行に当たっては,予算,人員等において制約を受けるほかに,土地の収用及び既存の建築物の移転・除却並びにそれに伴う権利関係の整理等,事業の施行についての制約が多く,その完了までに長期間を要するものである。このため,都市計画事業の完了までに長期間を要したからといって,そのため 建築物の移転・除却並びにそれに伴う権利関係の整理等,事業の施行についての制約が多く,その完了までに長期間を要するものである。このため,都市計画事業の完了までに長期間を要したからといって,そのために都市計画法に基づく建築規制をもって土地所有者等に特別の犠牲を課するものということはできない。 (イ)都市計画道路の整備は,都市計画事業すなわち街路事業(都市計画法59条による認可又は承認を受けて行う都市計画道路の整備事業)だけでなく,土地区画整理事業又は道路に基づく道路事業によっても実施されるところ,岡山市では,おおむね,都市部では都市局が所管し街路事業や土地区画整理事業として都市計画道路の整備を行っているが,都市計画区域であるが都市部とはいえない地区では,都市計画事業で行うか道路事業で行うかは,都市局と道路局が協議の上決定しているところである。事業主体の決定についても,都市計画法59条では,原則として市町村が施行するものとされているが,市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合には都道府県が施行することができる旨規定しているところ,本件土地のある区間にあっては,県と市のいずれが施行するかにつき決定されるに至っていないし,その実施方法についても街路事業等で行うのか道路事業で行うのかにつき決定されるに至っていない。その決定は,道路交通の緊急性,重要性,整備効果- 11 -の大小等から十分な検討が必要であり,担当行政庁の広範な裁量に委ねられているものである。 (エ)本件土地を含む都市計画道路の区間は,岡山県南広域都市計画道路網の1つである津島飛行場線のうちの更に一部分に過ぎず,他の都市計画道路を含む多くの都市計画事業のうち,どの道路から事業化するか,その実施に関する時期及び方法等の決定に当たっては,予算等を 画道路網の1つである津島飛行場線のうちの更に一部分に過ぎず,他の都市計画道路を含む多くの都市計画事業のうち,どの道路から事業化するか,その実施に関する時期及び方法等の決定に当たっては,予算等を勘案しながら,道路交通の緊急性,重要性,整備効果等によって決せられるものであり,所管行政庁の幅広い裁量が予定されているものであるところ,前記のとおり岡山県下の都市計画道路の整備率が46・5%,岡山県南広域都市計画道路の整備率が50・3%,岡山市内の都市計画道路の整備率は55・5%であるのに対し,津島飛行場線の整備率は53・0%であり,津島飛行場線における本件土地付近の事業認可手続が現時点でなされていないとしても,他の都市計画道路に比べて著しく遅れているということはできない。 (オ)津島飛行場線は,昭和40年当時将来の発展が予想される広大な岡南地域及び国道2号線(バイパス)と岡山市の中心市街地とを結ぶ幹線道路を計画する必要から決定されたものであり,現在もその必要性は消滅していない。すなわち,津島飛行場線は,岡山市の都市計画道路網の中においても,内環状線,中環状線及び外環状線を南北に貫く重要な幹線道路であり,本件土地のある区間も内環状線と中環状線を連絡するための道路として重要である。 なお,本件道路と岡山国体の開催,岡山空港の日応寺への新設移転とは何ら関係がない。 (カ)原告は,本件土地の一部が都市計画施設の区域内にあることを認識しながら,本件土地のうち都市計画道路の区域外に建物を建築し- 12 -てホテル営業を開始し,その後本件土地のうち都市計画施設の区域内にも建物を建築し,現在に至っているものであり,その間従来は借地であった本件土地の所有権を取得したものである。原告は,その経緯からして,都市計画事業の施行まで相当長期間を要すること 画施設の区域内にも建物を建築し,現在に至っているものであり,その間従来は借地であった本件土地の所有権を取得したものである。原告は,その経緯からして,都市計画事業の施行まで相当長期間を要することは当然予想し得たものであり,これまでホテル経営を継続してきたものであり,本件土地の利用が全面的に不可能になったことはない。 (キ)都市計画決定された都市施設の区域では,将来事業を実施する際に支障となる大規模建築物の建築が制限されることにより,土地の価格が下落することが予想されるが,他方で事業化の決定がなされ,土地が収用される時点で時価評価による損失補償が受けられるほか,税制面での優遇措置が受けられることからすると,都市計画法による建築制限は,所有者にとって一般的に受忍すべき内在的制約の域を出ておらず,本件都市計画道路において都市計画決定以来30年以上経過しているからといって原告に対し特別の犠牲を強いるものではない。 (2)損失補償額本件都市計画道路につき将来事業化決定がなされ,本件土地が収用されるに当たり損失補償がなされたとしても,下記のとおり填補されることはない損失が発生しているか否か。 (ア)地価下落による損失本件土地は,建築制限を受けるため,周辺土地が坪当たり70万0000円から100万0000円であるのに対し,坪当たり20万0000円ないし30万0000円まで値下がりしており,時価が坪当たり30万0000円であるとするならば,この地価の下落によって220坪分として6600万0000円(30万0000円×220坪)の損失が発生していることとなる。 - 13 -(イ)金融利益上の損失本件土地を担保に借入れをするとすれば,その担保価値は,地価の約7割に当たる1億0780万0000円(220坪×70万0000円×0・7)である こととなる。 - 13 -(イ)金融利益上の損失本件土地を担保に借入れをするとすれば,その担保価値は,地価の約7割に当たる1億0780万0000円(220坪×70万0000円×0・7)であるため,約1億円の融資が可能であったところ,前記のとおり地価が下落したことにより,3080万0000円(220坪×20万0000円×0・7)しか担保価格がなくなり,その結果約3000万円の融資しか受けることができず,約7000万円相当の金融が圧縮される結果となっている。この損失を算定することは困難であるが,年3分の金利相当額が損失であるとみるならば,推定年間210万0000円(7000万0000円×0・03)の損失が発生していることとなる。 (ウ)営業利益上の損失原告が経営するホテルにおいて客室31室分を増改築することが可能であるならば,収容人員55名,室利用率60%,室利用料1日平均5000円として5940万0000円(55名×0・6×5000円×30日×12か月)の年間売り上げが見込まれるところ,これに伴う年間経費として売上高の20%に当たる1188万0000円(5940万0000円×0・2)が見込まれるので,差し引き年間4752万0000円の増収益となるところ(増改築によってルームメイド2名が増加し,水道光熱費が増えるけれども,フロント,食堂及び厨房要員については現状のままでよいため,極めて経済効率のよいホテル経営が可能となる。),建築制限を受けるため,増改築することができない結果,同額の損失が発生していることなる。 (エ)計以上のとおり,本件土地に対する建築制限によって平成10年から平成13年までの4年間に少なくとも年間300万0000円合計1200万- 14 -0000円の損失が発生しているだけでなく,この損失は,平成24 り,本件土地に対する建築制限によって平成10年から平成13年までの4年間に少なくとも年間300万0000円合計1200万- 14 -0000円の損失が発生しているだけでなく,この損失は,平成24年までの10年間継続して発生することとなる(本件都市計画道路については岡山市が今後10年間に整備する予定の路線に含まれていない。)。 第3当裁判所の判断当裁判所は,争点(1)(損失補償請求の可否)について,ア道路法に基づくもの,イ公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づくもの,ウ憲法29条3項に基づくもののいずれについても,原告の主張は,以下のとおり,理由がないものと判断する。 争点(1)(ア道路法に基づくもの)について道路法91条3項による損失補償は,同条1項が,同法18条1項の規定により道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間は,何人も,道路管理者が当該区域内にある土地について権原を取得する前においても,道路管理者の許可を受けなければ,当該土地の形質を変更し,工作物を新築し,改築し,増築し,若しくは大修繕し,又は物件を付加増置してはならない旨規定しているのを受け,この制限により損失を受ける者がある場合に,その者に対する損失補償を規定したものであるところ,本件土地の一部を対象区域内に含む都市計画道路については,いまだ路線の指定がなされ,又は路線の認定がなされておらず,このため,道路管理者による道路の区域が決定されていないのであるから,道路法91条3項を根拠とする損失補償請求は,主張自体失当であって,原告の請求は理由がない。 争点(1)(イ公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づくもの)について原告は,「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」に基づく損失補償を主張するが,同要綱は,県又は市町村が,土地収用法 争点(1)(イ公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づくもの)について原告は,「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」に基づく損失補償を主張するが,同要綱は,県又は市町村が,土地収用法その他の法律により土地等を使用し,又は使用することができる事業に必要な土地等の取得又は土地等の使用に伴う当該損失の補償に関し,具体的な基準を定めることによっ- 15 -て適正な損失の補償の実現を図るものであって,それ自体,地方公共団体内部における損失補償に関する事務取扱要領を定めたものに過ぎず,損失補償請求の法的根拠となりえないことが明らかであるから(なお,原告主張のように,本件土地の一部が都市計画道路予定区域内にあることによって都市計画法による建築制限を受ける結果損失を被ることがあるとしても,当該損失は,同要綱にいう土地の取得又は土地の使用による損失に当たらない。),同要綱を根拠とする損失補償請求は,主張自体失当であって,原告の請求は理由がない。 争点(1)(ウ憲法29条3項に基づくもの)について(1) 私有財産権の行使が公共の福祉のために制限された場合において,私人の被る財産上の犠牲が単に一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超え,特別の犠牲を課するものである場合には,憲法29条1項が財産権はこれを侵してはならない旨規定し,及び同条3項が正当な補償の下に私有財産を公共のために用いることができる旨規定し,当該土地所有者が国民であると否とを問わず,私有財産権を保障している趣旨に照らし,当該特別の損失に対する補償に関し,法令上の規定がなくても,直接憲法29条の規定を根拠にして損失補償を請求することも許されるものと解されるところ(最高裁判所昭和43年11月27日大法廷判決・刑集22巻12号1402頁参照),原告は,本件都市計 がなくても,直接憲法29条の規定を根拠にして損失補償を請求することも許されるものと解されるところ(最高裁判所昭和43年11月27日大法廷判決・刑集22巻12号1402頁参照),原告は,本件都市計画道路決定によって当該決定以来30年以上の長期間にわたり本件土地が都市計画法53条に定める建物の建築規制を受け,その結果,その間に本件土地の市場価格が下落し,担保金融上の損失が発生しているだけでなく,建物の建替え及び増改築による土地の有効利用を制限されることにより営業上の損失が発生しており,これらの損失については,私人に対し単に一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲超えて特別の犠牲を課するものであると主張するので,以下検討する。 - 16 -(2) 乙第11号証ないし第13号証及び証人Aの証言によれば,①岡山市内の幹線道路は,市内中心部より周辺に向かい放射状に伸びており,交通が集中する時間帯にあっては,周辺部で慢性的な渋滞が見られることから,この渋滞を解消するため,岡山市では,集中する交通を市内各所に適切に分散するとともに,市内中心部の通過車両を周辺部で迂回させる機能をもつ内環状線,中環状線及び外環状線の整備が重要な課題となっていること,②本件土地の一部を対象区域に含む津島飛行場線は,内環状線と中環状線とを連絡する幹線道路であるが,中環状線の一部である旭川の東西を結ぶ旭川工区(県道岡山港線~旭川~県道岡山玉野線)が完成しておらず,津島飛行場線よりも旭川工区の整備が優先される関係にあるところ,旭川工区の整備自体,次期整備計画の対象になっているものの,事業化決定の見通しが立っておらず,このため,津島飛行場線も,都市計画決定がなされて以来30年以上が経過した現時点でも事業化の見通しが立っていないこと(旭川工区が完成することによって中環 るものの,事業化決定の見通しが立っておらず,このため,津島飛行場線も,都市計画決定がなされて以来30年以上が経過した現時点でも事業化の見通しが立っていないこと(旭川工区が完成することによって中環状線に結合する津島飛行場線を整備する必要が生じる。),③都市計画道路の事業化に当たっては多額の財政負担を伴うところ,道路整備を巡る予算環境には厳しいものがあり,平成13年度予算でみると,岡山県全体で約160億円,このうち岡山市域内での県施行分約48億円,市施行分約48億円であるところ,国道2号線から下中野平井線までの津島飛行場線の総事業費は概算で約190億円であり,岡山市の街路事業の年間予算の約4倍に相当するため,本件土地のある都市計画道路区間を整備することが難しい状況にあること,が認められる。 (3) ところで,道路その他の都市施設が都市計画において定められると,当該都市計画施設の区域において建築物を建築しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならないものとされ(都市計画法53条),都道府県知事は,許可申請があった場合,当該建築が一定の要件,すなわち,- 17 -①階数が2以下で,かつ,地階を有しないこと,②主要構造部が木造,鉄骨造,コンクリートブロック造その他これに類する構造であることに該当し,かつ,容易に移転し,若しくは除去することができるものであると認めるときは,許可しなければならないものとされている(同法54条)が,その反面,上記条件に該当しない場合にあっては,当該建築物の建築を許可しないことも許されるとされているところ,原告は,前記のとおり,都市計画道路の区域内である本件土地における鉄筋コンクリート造5階建旅館,建築面積延べ1526・550㎡の建築許可申請を行ったことから,許可を受けることができなかったものであるが は,前記のとおり,都市計画道路の区域内である本件土地における鉄筋コンクリート造5階建旅館,建築面積延べ1526・550㎡の建築許可申請を行ったことから,許可を受けることができなかったものであるが,都市計画法は,この建築制限によって土地所有者等が不利益を受けることがあるとしても,これに対する損失の補償については,何ら規定するところがない。これは,都市計画法が,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与するとの見地から,都市計画の内容及びその決定手続,都市計画制限,都市計画事業その他の都市計画に関し必要な事項を規定するものであるところ(同法1条),都市計画決定により道路その他の公共の施設に供されるものとして公共的性質を有するに至った土地にあっては,都市計画の円滑な遂行に対する障害を防止することが極めて重要な要請であるといってよく,併せて,かかる土地に新たに建物を建築しても,将来都市計画事業の実施に伴い除却を要することとなる結果,社会的・経済的損失を生じることになりかねないことから,都市計画区域内の土地の所有者等にかかる負担を課したものであるといってよく,かかる負担は,都市計画自体が極めて高い公共性を有することに照らすならば,当該土地の所有者等にとって当該土地が有する公共的性質にかんがみ,土地という私有財産に内在する制約として受忍すべき性質のものと解されることにあるということができる。そして,もともと,都市計画事業の遂行に当たって,現実には,予算・人員等を中心に社会的経済的に多大の制約- 18 -が存在し,都市計画決定から事業の完成に至るまでには10年あるいは20年といった長期間を要することも少なくないことからすると,前記社会的経済的諸条件の下で都市計画事業の進捗を図ることができない結果建 が存在し,都市計画決定から事業の完成に至るまでには10年あるいは20年といった長期間を要することも少なくないことからすると,前記社会的経済的諸条件の下で都市計画事業の進捗を図ることができない結果建築制限が前記期間をはるかに超える長期間に及んだとしても,それ自体,都市計画法が全く予定しないところであるとまでいうことはできず,当該土地の所有者等において受忍すべき範囲の負担であるといわなければならない(道路は,一般の人々の利用に供される共同の施設であるため,道路網として一般の通行に支障がないように体系的かつ総合的に整備される必要があり,当該土地の所有者は,自らも利用する共同施設が適切に整備されるように一定の協力及び負担をすべき社会的な責任がある。)。そして,本件土地にみられるように,当該土地に係る都市計画事業の進行が大きく遅れ,既に土地計画決定以来30年以上が経過しているとしても,それが都市計画区域内における都市計画事業全体の進捗状況に照らし,やむをえないものである場合には,その後の社会的経済的諸条件の変化等に照らし当該都市計画事業の必要性自体が消滅するに至っているにもかかわらず,その変更決定がなされないまま極めて長期にわたり放置され,その結果当該土地の所有者等に対し甘受し難い負担を課しているといえるような特段の事情が存在する場合を除き,憲法29条が保障する私有財産制度の本質に照らし,当該土地の所有者等に公共の福祉の実現に伴う内在的制約を超える特別の犠牲を課するものということはできないと解するのが相当である。これを本件につきみるに,本件土地の一部を都市計画道路区域内に含む津島飛行場線にあっては,原告指摘のように,都市計画決定以来30年以上経過しており,その間において原告に課された負担は後に事業化決定がなされ,土地収用がなされた段階で土 部を都市計画道路区域内に含む津島飛行場線にあっては,原告指摘のように,都市計画決定以来30年以上経過しており,その間において原告に課された負担は後に事業化決定がなされ,土地収用がなされた段階で土地の適正な時価に基づく損失補償がなされたとしてもなお補填されえない損失が発生しているということができなくはないけれども,先に認定したとおり,津島飛行場線の必要性自- 19 -体が消滅しているわけではなく,かつ,その事業の進捗率が他の都市計画事業の進捗率との比較においても遜色がないことなどの事情からすると,本件土地のある区間にあっては30年以上にわたり事業化されておらず,今後も当面事業化の見込みが立っていないとしても,憲法29条3項を根拠として直接事業施行予定者による損失補償がなされるのでなければ,憲法の規定する私有財産制の保障の趣旨に明らかに反する事態にまで立ち至っているということはできない。 そして,原告は,事業化決定の遅れによる損失の内容として,建築制限の存在による土地価格の下落及びこれに伴う担保価値の低下のほか,土地を有効活用しえないことによる営業利益上の損失を主張するけれども,土地価格の下落自体による損失にあっては,土地収用の時点で補填されるべき筋合いのものであり,また,金融上の損失及び営業上の損失にあっては,原告が主張する損失が現に発生していると認めるに足りる明確な証明がなされているわけでないことからすると,前記損失が現時点で補償されるのでなければ,憲法の規定する私有財産制の保障に明らかに反する事態に至っているということはできない。 (4) もっとも,前記のように本件土地が建築制限を受けている期間は,現時点でも建築制限を受ける堅固な建物の法定耐用年数の半分を超える長期に及んでおり,かつ,今後も10年近くにわたり事業化の見通しが立 4) もっとも,前記のように本件土地が建築制限を受けている期間は,現時点でも建築制限を受ける堅固な建物の法定耐用年数の半分を超える長期に及んでおり,かつ,今後も10年近くにわたり事業化の見通しが立っていないことからすれば,何らかの救済措置を講じるのが相当であるといえるけれども(この点で,都市計画法54条の許可基準に該当しない場合であっても,事業の施行に対する支障が著しく増加せず,しかも当該建築が社会経済的にやむをえないものである反面,事業の施行が近い将来に見込まれていないような場合には,例えば,事業施行の際必要となれば無償で移転除却する旨の条件を付すなどして,当該建築物の建築を許可するなどの弾力的な運用も検討されてしかるべきである。),都市計画決定された都- 20 -市施設のある地域では将来事業を実施する際に支障となるような大規模建築物の建築が制限される反面,①都市計画施設予定地については,固定資産税の減免を行っており,計画決定している地域か,事業認可している地域か,また総面積に占める予定地積の割合によって異なるが,0・70から0・95の補正率を乗じていること,②公共事業の用に供するために資産を収用等されたものに対しては,資産の譲渡が公益の要請により,所有者の意思に関係なく行われることに着目して,その資産の譲渡による所得についての税の負担を軽減することを内容とする課税上の特例が設けられており,支払いを受けた譲渡所得金額から5000万0000円を控除し,あるいは,譲渡した資産に代えて代替え資産を取得した場合には,代替え資産の価格を譲渡所得の金額から控除するかいずれか一方の特例が適用できるとの措置が講じられていること,③事業化された場合の補償については,岡山県及び岡山市では公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱が定められ,土地等の取 の金額から控除するかいずれか一方の特例が適用できるとの措置が講じられていること,③事業化された場合の補償については,岡山県及び岡山市では公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱が定められ,土地等の取得に係る補償については,正常な取引価格をもって補償することとされており,事業化決定がなされ,土地収用される時点で,公示価格,最近の取引価格をもとに評価鑑定した価格で買収することとし,建物の補償については,通常妥当と思われる移転工法で移転することによりかかる費用及び付随する工作物の移転に伴う補償を行い,その他通常営業の継続が不能になると認められる場合の営業に関する損失補償を行うこととされている事情も併せ考慮するならば,現時点で原告の主張する損失が一部発生しているとしても,その損失が土地の公共的性質に由来する内在的負担の範囲を逸脱するものとまでいうことはできない。 (5) なお,原告は,規制目的の消極・積極によって損失補償の要否を区別する見解を前提に,津島飛行場線についての都市計画決定に基づく建築制限は,都市計画法1条の定める都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉に寄与することを目的とする積極目- 21 -的の規制であることから,損失補償が必要である旨主張するが,両者の区別は相対的,流動的であり,明確に区別することはできないものであるから(例えば,用途地域における建築規制についていえば,従来は警察目的のための消極的規制と解されてきたが,現在ではむしろ公用制限に近い性質を有するものと理解されている。),かかる不明確な基準をもとに,一律に損失補償の要否を判断する上記見解は相当でないといわなければならない。 第4 結論 よって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないから,行政事件訴訟法7条, 準をもとに,一律に損失補償の要否を判断する上記見解は相当でないといわなければならない。 第4 結論 よって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないから,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判長裁判官渡邉温裁判官金光秀明裁判官潮海二郎別紙物件目録土地(1)所在岡山市c町地番(地番省略)- 22 -地目宅地地積87・47㎡(2)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積86・74㎡(3)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積171・70㎡(4)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積216・76㎡(5)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積339・40㎡(6)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積96・16㎡(7)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積255・23㎡- 23 -(8)所在岡山市c町地番(地番省略)地目宅地地積132・69㎡建物所在岡山市c町(地番省略),(地番省略),(地番省略),(地番省略),(地番省略),(地番省略),(地番省略),(地番省略)家屋番号(省略)種類旅館構造鉄骨・鉄筋コンクリート造亜鉛メッキ鋼板葺陸屋根、5階建床面積1階753・39㎡2階753・39㎡3階307・65㎡4階307・65㎡5階307・65㎡附属建物符号1種類旅館構造鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺2階建床面積1階195・75㎡2階195・75㎡- 24 - 骨造亜鉛メッキ鋼板葺2階建床面積1階195・75㎡2階195・75㎡- 24 -
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