主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人谷直樹の上告趣意のうち,銃砲刀剣類所持等取締法22条,32条4号の各規定が違憲であることをいう点は,原審で何ら主張,判断を経ていない事項に関する主張であり,判例違反をいう点は,所論引用の判例が事案を異にして本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論は,本件刃物携帯は正当防衛等として違法性が阻却されると主張するので,職権で判断する。 原判決の認定及び記録によれば,被告人は,かねて激しい反目状態にあった男性とのけんか抗争等に備える目的で,本件刃物(刃体の長さ約11㎝のはさみの片刃を加工して作製した刃物)をその運転する自動車のダッシュボード内に入れておき,その男性運転の四輪駆動車に意図的に衝突されて自車が転覆した際,護身用に本件刃物をダッシュボードから取り出してズボンのポケットに入れて自車からはい出し,ゴルフクラブを所持したその男性と怒鳴り合う状態になったところ,その場にいた警察官や通行人らにより引き離され,通行人が本件刃物を被告人のズボンのポケットから取り出して警察官に渡したことから,警察官によりその場で本件刃物の不法携帯の容疑で現行犯人逮捕されたものであり,検察官は警察官が本件刃物を現認した時点における本件刃物の携帯を訴因としている。 【要旨】以上の事実関係によれば,被告人が自動車のダッシュボード内に本件刃物を入れておいたことは不法な刃物の携帯というべきであり,その後本件刃物を護身用にポケットに移し替えて携帯したとしても,それは不法な刃物の携帯の一部と評価するのが相当であるから,本件訴因記載時点における被告人の携帯行為につい- 1 -て,違法性が阻却され 後本件刃物を護身用にポケットに移し替えて携帯したとしても,それは不法な刃物の携帯の一部と評価するのが相当であるから,本件訴因記載時点における被告人の携帯行為につい- 1 -て,違法性が阻却される余地はないと解すべきであり,原審の判断は結論において正当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男)- 2 -
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