主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 厚生労働大臣が令和元年6月6日付けで原告に対してした遺族厚生年金支給停止処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,厚生労働大臣が,厚生年金保険の被保険者であった夫の死後,遺族厚生年金を受給していた原告に対し,同夫の死亡の当時に胎児であった同夫の 非嫡出子が出生し,その認知請求が認められたことから,厚生年金保険法66条2項に基づき,令和元年6月6日付けで,遺族厚生年金の支給を停止する旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたことについて,原告が,同非嫡出子は遺族基礎年金の受給権を有さず,又は,原告は遺族基礎年金の受給権を有するから,同項が定める場合に当たらないなどと主張して,本件処分の取消しを 求める事案である。 1 関係法令の定め別紙「関係法令の定め」のとおりである。(なお,法令の略称については,別紙のとおり,「厚生年金保険法」を「厚年法」と,「国民年金法」を「国年法」という。) 2 前提事実(争いがない事実及び後掲証拠等により容易に認定できる事実)⑴ 原告は,厚生年金保険の被保険者であったA(以下「亡A」という。)が死亡するまでその妻であった者であり,亡Aの生前,亡Aと同居し,亡Aの収入によって生計を維持していた者である。 原告と亡Aとの間に,子はない。 ⑵ 亡Aは,平成27年11月28日,死亡した。 ⑶ 厚生労働大臣は,原告の裁定請求を受けて,平成28年2月4日,原告に対し,遺族厚生年金を支給する旨の裁定をした(乙1,2)。 ⑷ Bは,亡Aの死亡の当時,亡Aとの間の子を懐胎しており,平成28年4月16日,亡Aの子であ 定請求を受けて,平成28年2月4日,原告に対し,遺族厚生年金を支給する旨の裁定をした(乙1,2)。 ⑷ Bは,亡Aの死亡の当時,亡Aとの間の子を懐胎しており,平成28年4月16日,亡Aの子であるC(以下「C」という。)を出産した。 なお,亡Aの生前,Bが亡Aにより生計を維持されたことはなかった(弁 論の全趣旨)。 ⑸ Cは,出生後,認知の訴えを提起し,平成30年11月17日,Cを亡Aの子として認知する裁判が確定した。 ⑹ Cは,平成31年1月7日,厚生労働大臣に対し,遺族厚生年金及び遺族基礎年金の裁定請求をし(乙4),厚生労働大臣は,令和元年5月9日,Cに 対し,遺族厚生年金及び遺族基礎年金を支給する旨の裁定を行った(乙5の1・2)。 ⑺ 厚生労働大臣は,令和元年6月6日,厚年法66条2項に基づき,Cが認知された平成30年11月17日の属する月の翌月である同年12月分以降の原告に対する遺族厚生年金の支給を停止する旨の処分(本件処分)をした (甲3,8,乙6の1・2)。 ⑻ 原告は,令和元年6月10日頃,本件処分の通知を受け,同月24日,北海道厚生局社会保険審査官に対し,本件処分の取消しを求める審査請求を申し立てたが,2か月を経過しても同審査請求に係る決定がされなかった。 原告は,同年9月8日,本件訴えを提起した。なお,北海道厚生局社会保 険審査官は,同年10月31日,上記審査請求を棄却する旨の決定をした。 3 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は,本件処分の適法性,具体的には,厚年法66条2項が配偶者に対する遺族厚生年金の支給停止事由として定める「配偶者(本件では原告)が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子(本件で はC)が当該遺族基 は,厚年法66条2項が配偶者に対する遺族厚生年金の支給停止事由として定める「配偶者(本件では原告)が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子(本件で はC)が当該遺族基礎年金の受給権を有するとき」に当たるかである。 (被告の主張)⑴ 厚年法66条2項に基づき,遺族厚生年金の支給が停止されるのは,国年法の被保険者又は被保険者であったもの(以下「被保険者等」という。)の死亡について,①配偶者が国年法による遺族基礎年金の受給権を有さず,かつ,②子が当該遺族基礎年金の受給権を有する場合である。 ⑵ア遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は,被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していた被保険者等の配偶者又は子であって,次の要件に該当するものである(国年法37条の2第1項。以下,被保険者等によって生計を維持していたという要件を「生計維持要件」といい,子と生計を同じくするという要件を「生計同一要件」という。)。 配偶者 と生計を同じくすること 子 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり,かつ,現に婚姻をしていないことイまた,国年法37条の2第2項は,「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは,前項の規定の適用について は,将来に向かって,その子は,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなし,配偶者は,その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。」と定めているところ(以下「胎児みなし規定」という。),胎児みなし規定の適用につき 者によって生計を維持していたものとみなし,配偶者は,その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。」と定めているところ(以下「胎児みなし規定」という。),胎児みなし規定の適用につき,子については,被保険者等の子であることのみが要件であるが,配 偶者については,配偶者が被保険者等の子と法律上の親子関係を有するこ とが要件であると解すべきである。 ⑶ 本件では,C及び原告が遺族基礎年金の受給権を有するか否かについて,Cについては生計維持要件が,原告については生計同一要件が問題となるところ,Cは,被保険者である亡Aの子であり,亡Aの死亡の当時胎児であったから,胎児みなし規定の適用により,亡Aにより生計を維持していたもの とみなされ,生計維持要件を満たし,Cは,遺族基礎年金の受給権を有する。 また,原告は,被保険者である亡Aにより生計を維持していた配偶者であるが,亡Aの子であるCと法律上の親子関係を有さず,胎児みなし規定の適用はないから,生計同一要件を満たさず,遺族基礎年金の受給権を有しない。 したがって,被保険者の死亡について,配偶者が国年法による遺族基礎年 金の受給権を有さず,かつ,子が当該遺族基礎年金の受給権を有する場合に当たり,厚年法66条2項の支給停止要件を満たすから,本件処分は適法である。 ⑷ 原告は,胎児みなし規定にいう「胎児であった子」について,配偶者との法律上の親子関係を有する子に限られる旨主張する。 しかし,遺族基礎年金や遺族厚生年金は,被保険者等の死亡により生計の途を失う者,すなわち生活保障の必要性がある者に遺族給付を支給する制度である。そして,胎児みなし規定は,被保険者等の死亡後に出生した胎児であった子については,被保険者等の死亡時点では出生し り生計の途を失う者,すなわち生活保障の必要性がある者に遺族給付を支給する制度である。そして,胎児みなし規定は,被保険者等の死亡後に出生した胎児であった子については,被保険者等の死亡時点では出生していなかった以上,被保険者等によって生計維持されていたこと自体が想定できないが,胎児で あった子についても出生後に被保険者等の扶養を受けて生計を維持され得る地位にあったのであり,その生活保障の必要があることから設けられた規定であり,その生活保障の必要性は,胎児であった子が配偶者の子であるか否かによって変わるものではなく,文言上も,そのような区別はされていない。 したがって,胎児みなし規定の適用に当たっては,被保険者等の子であれば 足りると解すべきであり,原告の主張には理由がない。 (原告の主張)⑴ 本件では,以下のとおり,Cは遺族基礎年金の受給権を有さず,又は,原告が遺族基礎年金の受給権を有するから,厚年法66条2項の支給停止要件を満たさず,本件処分は違法である。 ⑵ア被告は,Cについて,胎児みなし規定を適用し,Cに遺族基礎年金の受 給権があると主張するが,胎児みなし規定にいう「胎児であった子」とは,被保険者等の子であり,かつ,配偶者の子であるもののみを指すと解すべきである。したがって,配偶者である原告との親子関係を有さないCには,胎児みなし規定の適用はなく,生計維持要件を満たさないから,遺族基礎年金の受給権がなく,厚年法66条2項の支給停止要件を満たさず,本件 処分は違法である。 イ胎児みなし規定は,権利能力を持たない胎児が,被保険者等の死亡の当時被保険者によって生計を維持しているということはあり得ないことから,出生していれば,被保険者等によって生計を維持される立場にある胎児につい し規定は,権利能力を持たない胎児が,被保険者等の死亡の当時被保険者によって生計を維持しているということはあり得ないことから,出生していれば,被保険者等によって生計を維持される立場にある胎児についてその権利能力を補う趣旨の規定であって,出生した場合に,被 保険者によって生計を維持する可能性が乏しい胎児についてその生計維持の可能性を補う趣旨の規定ではないから,「胎児であった子」とは,被保険者等の子であり,かつ,配偶者の子であるもののみを指すと解すべきである。 上記のように解さなければ,被保険者等の死亡の当時既に出生している 子については,生計維持要件について実質的に審査され,現に被保険者等によって生計を維持しているといえなければ,遺族基礎年金の受給権を有さないのに,被保険者等の死亡の当時胎児であった子については,胎児であったというだけで,出生した場合に被保険者等によって生計を維持される現実的な可能性の有無を一切問わずに生計維持要件を満たすものとみ なされる結果,本件のような,重婚的な事案において,被保険者等の死亡 の当時胎児であったという理由のみにより,出生しても被保険者等により生計を維持する見込みの乏しい配偶者以外の子に遺族基礎年金の受給権が認められ,配偶者が遺族厚生年金の受給権を奪われるという不当な帰結を招く。したがって,「胎児であった子」とは,被保険者等の子であり,かつ,配偶者の子であるもののみを指すと解すべきである。 ⑶ 仮に,被告の主張するとおり,「胎児であった子」に当たるためには,被保険者等の子であれば足り,胎児みなし規定の前段の「その子」は被保険者等の子であれば足りると解するのであれば,被保険者等の死亡の当時配偶者と生計を同じくしていたものとみなされる後段の「その子」も前段と同一のも 子であれば足り,胎児みなし規定の前段の「その子」は被保険者等の子であれば足りると解するのであれば,被保険者等の死亡の当時配偶者と生計を同じくしていたものとみなされる後段の「その子」も前段と同一のものと解するのが文言上自然であり,被保険者等である亡Aの子であるCが「そ の子」に当たり,胎児みなし規定の適用があると解する以上,配偶者である原告は,「その子」であるCと生計を同じくしていたものとみなされると解するべきであるから,胎児みなし規定の適用により,原告は,遺族基礎年金の受給権を有する。 したがって,厚年法66条2項の支給停止要件を満たさず,本件処分は違 法である。 第3 当裁判所の判断 1 厚年法66条2項が定める配偶者に対する遺族厚生年金の支給停止要件は,被保険者等の子が遺族基礎年金の受給権を有し,かつ,配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しないことであるから,以下,Cが遺族基礎年金の受給権を有し, かつ,原告が遺族基礎年金の受給権を有しないかについて検討する。 2 Cは遺族基礎年金の受給権を有するか⑴ ここでは,亡Aの死亡の当時,胎児であったCが,胎児みなし規定の適用によって生計維持要件を満たすかが問題となる。 ⑵ 遺族基礎年金は,被保険者等であった者の死亡により生計の途を失うこと となる当該被保険者等によって生計を維持されていた者の生活を保障するた めの遺族給付であると解されるところ,被保険者等の死亡の当時には胎児であったが,その後に出生した子については,被保険者等の死亡の当時には出生していなかった以上,被保険者等によって生計維持されていたこと自体が想定し得えない。しかしながら,胎児であった子に対しても,その親である被保険者等は,死亡していなければ,その扶養を行い,生計を維持 生していなかった以上,被保険者等によって生計維持されていたこと自体が想定し得えない。しかしながら,胎児であった子に対しても,その親である被保険者等は,死亡していなければ,その扶養を行い,生計を維持する義務 を負うことになり,このことは,当該子が嫡出子であるか否かを問わない(民法784条,877条1項)。つまり,胎児であった子は,出生後には被保険者等の扶養を受けて生計を維持され得る地位にあったといえるのであって,被保険者等の死亡と子の出生の前後関係が異なることによって,子の生活保障の必要性に差異はないといってよい。そこで,国年法は,胎児みなし規定 によって,被保険者等の死亡の当時に胎児であった子がその後に出生した場合であっても,生計維持要件を満たすものとみなすこととしたものと解され,このことは,当該胎児であった子が認知によって被保険者等との親子関係が認められた場合であっても,異なるところはない。かかる胎児みなし規定の趣旨に加え,国年法37条の2第2項は,その文言上,被保険者等の子であ ること以外に,何らの限定を付していないことからすれば,胎児みなし規定の適用に当たっては,同項にいう「子」とは,被保険者等の子であることのみで足りると解するのが相当である。 ⑶ 原告は,被保険者等の死亡の当時に既に出生していた子については,生計維持要件の充足を実質的に審査されるのに,胎児であった子については,被 保険者等によって生計が維持される現実的な可能性の有無を問わずに,胎児みなし規定によって生計維持要件を充足するとみなされるのは不合理であり,胎児みなし規定の適用を配偶者と親子関係を有する子に限るべきと主張する。 しかしながら,国年法は,被保険者等に18歳未満の子がいない場合には 遺族基礎年金を支給せず,18歳未満 合理であり,胎児みなし規定の適用を配偶者と親子関係を有する子に限るべきと主張する。 しかしながら,国年法は,被保険者等に18歳未満の子がいない場合には 遺族基礎年金を支給せず,18歳未満の子と生計を同じくする配偶者がいる 場合,すなわち,配偶者に養育している子がおり,いわゆる母子状態又は父子状態にある場合には当該配偶者に遺族基礎年金を支給し,被保険者等の18歳未満の子が配偶者と生計を同じくしていない場合には,当該子に遺族基礎年金を支給することとしている(国年法37条の2,39条3項5号,40条2項,41条2項)。かかる趣旨は,遺族基礎年金は,18歳未満の子を 養育する配偶者に対する生活保障として支給されるが,配偶者と18歳未満の子が生計を同じくしていない場合には,一般的に,配偶者と18歳未満の子との間には生活の困窮度や稼得能力に大きな違いがあり,生活保障を要する必要性が配偶者よりも18歳未満の子の方が高いことから,当該子に対して支給することとした点にあると解される。そうであれば,かかる趣旨は, 当該子が被保険者等の子である限りは,配偶者の子であるか否かにかかわらず当てはまるものといえる。また,配偶者の子ではない被保険者等の認知された子であっても,被保険者等は,その扶養を行い,生計を維持する義務を負っていることは上記⑵のとおりであり,この点で,配偶者の子である場合と差異はなく,そうであれば,被保険者等が死亡していなければ,認知され た子は,当該被保険者等によってその生計が維持されることが見込まれていたといえる。加えて,被保険者等が既に死亡している以上,当該被保険者等によって,認知された子の生計が維持されていたか否かを判断することは困難であることも併せ考慮すれば,配偶者の子ではない被保険者等の認知され 。加えて,被保険者等が既に死亡している以上,当該被保険者等によって,認知された子の生計が維持されていたか否かを判断することは困難であることも併せ考慮すれば,配偶者の子ではない被保険者等の認知された子について,被保険者等によって生計を維持していたものとみなし,配偶 者に優先して遺族基礎年金を支給するものとすることが不合理とはいえない。 ⑷ そうすると,Cは,亡Aの死亡の当時は胎児であったが,その後にCを亡Aの子として認知する旨の裁判が確定したことによって,被保険者等の子に該当するに至ったことから,Cは,亡Aによって生計を維持されていたものとみなされる。したがって,国年法37条の2第1項2号により,Cは遺族 基礎年金の受給権を有していると認めることができる。 3 原告は遺族基礎年金の受給権を有しないか⑴ 原告が遺族基礎年金の受給権を有するか否かについて,被告は,配偶者については,胎児であった子と法律上の親子関係を有する配偶者のみに胎児みなし規定の適用がある旨主張するのに対し,原告は,国年法37条の2第2項前段の「子」は,被保険者等の子であれば足り,配偶者の子であることを 要しないと解釈するのであれば,同項後段の「子」も同様に解釈すべきであり,したがって,配偶者と胎児であった子との法律上の親子関係の存否を問わず,胎児みなし規定の適用があり,原告は,Cと生計を同じくしていたとみなされることから,生計同一要件を満たす旨主張する。 ⑵ 上記2⑵で説示したとおり,国年法37条の2第2項は,その文言上,「子」 について,被保険者等の子であること以外に何らの限定を付していないことから,同項の「子」とは被保険者の子であれば足りると解することができる。 もっとも,国年法は,配偶者の有する遺族基礎年 子」 について,被保険者等の子であること以外に何らの限定を付していないことから,同項の「子」とは被保険者の子であれば足りると解することができる。 もっとも,国年法は,配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は,当該配偶者が18歳未満の子と生計を同じくしなくなったときに消滅するとしている(同法40条2項,39条3項5号)ところ,これは,上記2⑶で説示した とおり,遺族基礎年金の配偶者に対する支給は,18歳未満の子を養育する配偶者の生活保障のためにあることから,配偶者が当該子と生計を同じくしなくなった場合には,生活保障の必要も失われるため,遺族基礎年金の受給権を消滅させることとしたものと解される。かかる国年法の趣旨は,被保険者等の死亡の当時に胎児であり,その後に出生した配偶者の子ではない被保 険者の子につき,当該子が,その出生の時から当該配偶者と生計を同じくしていなかった場合にも当てはまるものといえる。これを前提に,同法37条の2第1項,2項,40条2項,39条3項5号の各規定を整合的に解釈するならば,配偶者が,被保険者等の子の出生時に,当該子と生計を同じくしていなかった場合には,当該配偶者には,遺族基礎年金の受給権が生じない ものと解するのが相当である。 ⑶ 以上によれば,原告は,亡Aの死亡の当時に胎児であったCが出生した時において,Cと生計を同じくしていなかったから,原告には,遺族基礎年金の受給権が生じないと解するのが相当である。 3 小括以上によれば,本件では,配偶者である原告は遺族基礎年金の受給権を有し ておらず,子であるCは遺族基礎年金の受給権を有しているから,厚年法66条2項に基づき原告に係る遺族厚生年金の支給を停止すべき場合に当たり,本件処分は適法である。 第 基礎年金の受給権を有し ておらず,子であるCは遺族基礎年金の受給権を有しているから,厚年法66条2項に基づき原告に係る遺族厚生年金の支給を停止すべき場合に当たり,本件処分は適法である。 第4 結論よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用 の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官武部知子 裁判官松長一太 裁判官川野裕矢 (別紙)関係法令の定め 1 厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)⑴ 58条 ア 1項遺族厚生年金は,被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に,その者の遺族に支給する。〔ただし書省略〕1号被保険者〔中略〕が,死亡したとき。 2~4号〔省略〕 イ 2項〔省略〕⑵ 59条ア 1項遺族厚生年金を受けることができる遺族は,被保険者又は被保険者であ つた者の配偶者,子,父母,孫又は祖父母(以下単に「配偶者」,「子」,「父母」,「孫」又は「祖父母」という。)であって,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時〔中略〕その者によって生計を維持したものとする。 ただし,妻以外の者にあっては,次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。 1号〔省略〕2号子又は孫については,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか,又は20歳未満で障害等級の1級 に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。 1号〔省略〕2号子又は孫については,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか,又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり,かつ,現に婚姻をしていないこと。 イ 2項 前項の規定にかかわらず,父母は,配偶者又は子が,孫は,配偶者,子 又は父母が,祖父母は,配偶者,子,父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは,それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。 ウ 3項被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であつた子が出生し たときは,第1項の規定の適用については,将来に向って,その子は,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。 エ 4項〔省略〕 ⑶ 66条ア 1項子に対する遺族厚生年金は,配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間,その支給を停止する。 ただし,配偶者に対する遺族厚生年金が〔中略〕次項本文〔中略〕の規定によりその支給を停止されている間は,この限りでない。 イ 2項配偶者に対する遺族厚生年金は,当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について,配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは,その間,その支給を停止する。〔ただし書省略〕 2 国民年金法(以下「国年法」という。)⑴ 37条遺族基礎年金は,被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に,その者の配偶者又は子に支給する。〔ただし書省略〕1号被保険者が,死亡したとき。 2~4 遺族基礎年金は,被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に,その者の配偶者又は子に支給する。〔ただし書省略〕1号被保険者が,死亡したとき。 2~4号〔省略〕 ⑵ 37条の2ア 1項遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は,被保険者又は被保険者であった者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であって,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計 を維持し,かつ,次に掲げる要件に該当したものとする。 1号配偶者については,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し,かつ,次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。 2号子については,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に あるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり,かつ,現に婚姻をしていないこと。 イ 2項被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは,前項の規定の適用については,将来に向かって,その子は,被保険 者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなし,配偶者は,その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。 ウ 3項〔省略〕 ⑶ 39条ア 1項配偶者に支給する遺族基礎年金の額は,前条の規定にかかわらず,同条に定める額に配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時第37条の2第1項に規定する要件に該当し,かつ,その者と生計を同じくした子につきそれ ぞれ7万4900円に改定率〔中略〕を乗じて得た額〔中略〕を加算した額 とする 権を取得した当時第37条の2第1項に規定する要件に該当し,かつ,その者と生計を同じくした子につきそれ ぞれ7万4900円に改定率〔中略〕を乗じて得た額〔中略〕を加算した額 とする。 イ 2項〔省略〕ウ 3項配偶者に支給する遺族基礎年金については,第1項に規定する子が二人以 上ある場合であって,その子のうち一人を除いた子の一人又は二人以上が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは,その該当するに至った日の属する月の翌月から,その該当するに至った子の数に応じて,年金額を改定する。 1~4号〔省略〕 5号配偶者と生計を同じくしなくなったとき。 6~8号〔省略〕⑷ 40条ア 1項遺族基礎年金の受給権は,受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至 ったときは,消滅する。 1号死亡したとき。 2号婚姻をしたとき。 3号養子となったとき(直系血族又は直系姻族の養子となったときを除く。)。 イ 2項配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は,前項の規定によって消滅するほか,第39条第1項に規定する子が一人であるときはその子が,同項に規定する子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてその全ての子が,同条第3項各号のいずれかに該当するに至つたときは,消滅する。 ウ 3項 子の有する遺族基礎年金の受給権は,第1項の規定によって消滅するほか,子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは,消滅する。 1号離縁によって,死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき。 2号 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。 ただし, 障害等級に たときは,消滅する。 1号離縁によって,死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき。 2号 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。 ただし, 障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。 3号障害等級に該当する障害の状態にある子について,その事情がやんだとき。 ただし,その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。 4号 20歳に達したとき。 ⑸ 41条ア 1項〔省略〕イ 2項子に対する遺族基礎年金は,配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき 〔中略〕,又は生計を同じくするその子の父若しくは母があるときは,その間,その支給を停止する。 以上
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