令和6(ネ)10016 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年8月28日 知的財産高等裁判所 2部 判決 原判決一部変更 東京地方裁判所 令和4(ワ)70089
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令和6年8月28日判決言渡令和6年(ネ)第10016号損害賠償請求控訴事件(原審東京地方裁判所令和4年(ワ)第70089号債務不存在確認等請求本訴事件、令和5年(ワ)第70199号損害賠償請求反訴事件)口頭弁論終結の日令和6年5月27日 判決 控訴人(原審本訴被告・反訴原告) X 被控訴人(原審本訴原告・反訴被告)日本郵便株式会社 同訴訟代理人弁護士村西大作 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人が実施した平成31年用年賀はがきに関する「送る人にも福来たるキャンペーン」について、被控訴人の控訴人に対する原判決別紙被告実用新案権等目録各記載の実用新案権又は著作権の侵害による不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がい ずれも存在しないことを確認する。 3 控訴人は、被控訴人に対し、11万円及びこれに対する令和5年1月15日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 4 被控訴人のその余の本訴請求及び控訴人の反訴請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、第1、2審を通じて、本訴反訴ともこれを200分 し、その1を被控訴人の、その余を控訴人の負担とする。 6 この判決は、第3項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人に対し、2000万円を支払え。 3 被控訴人の本訴請求をいずれも棄却する。 4 2項につき仮執行宣言第2 事案の概要本判決の本文中において用いる略語の定義は 2 被控訴人は、控訴人に対し、2000万円を支払え。 3 被控訴人の本訴請求をいずれも棄却する。 4 2項につき仮執行宣言第2 事案の概要本判決の本文中において用いる略語の定義は、次のとおりである。 原告被控訴人(原審本訴原告・反訴被告)被告控訴人(原審本訴被告・反訴原告)本件実用新案権等原判決別紙「被告実用新案権等目録」記載の実用新案権及び著作権被告アイデア被告が原告に対し平成26年頃に提案した「送る人も受け 取る人も伴に徳をもたらす」というアイデア本件施策年賀はがきに関する販売促進施策として原告が実施した「送る人にも福来たるキャンペーン」(甲21)A 原告従業員のA本件通知書原告訴訟代理人が被告に送付した平成31年4月2日付け 「通知書」(甲9、乙9) 1 事案の要旨⑴ 原告は、郵便法の規定により郵便業務等を営む株式会社であり、被告は、本件実用新案権等を有する者である。 被告は、被告アイデアを考案し、平成26年頃から、原告に提案したこと があった。他方、原告は、平成31年用年賀はがきに関する販売促進施策と して本件施策を実施した。 ⑵ 本件本訴は、原告が、被告に対し、① 被告が、原告の本件施策について、平成30年11月頃から本件実用新案権等の侵害等を理由に継続的に金銭の支払等を原告に要求したと主張して、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害の不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がいずれも存 在しないことの確認を求めるとともに、② 被告が、平成31年4月頃、原告から前記要求に応じない旨の回答を受けたにもかかわらず、その後も3年以上にわたり執拗に要求を繰り返すなどしたことは、原告に対する不法行為 との確認を求めるとともに、② 被告が、平成31年4月頃、原告から前記要求に応じない旨の回答を受けたにもかかわらず、その後も3年以上にわたり執拗に要求を繰り返すなどしたことは、原告に対する不法行為を構成すると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として200万円及びこれに対する不法行為後の日である令和5年1月15日 (訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 本件反訴は、被告が、原告に対し、本件施策は被告アイデアと同じ意味・目的を有するものであるから、原告が被告の了解なく本件施策を実施した行為は被告アイデアの盗用であり、また、原告訴訟代理人が、被告に対し、平 成31年から令和4年12月まで、民事・刑事を問わず法的措置を執るなどと述べて脅迫したことも不法行為を構成すると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として2000万円(一部請求)の支払を求める事案である。 ⑶ 原審は、原告の本訴請求は、前記債務が存在しないことの確認を求め、ま た50万円及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の本訴請求及び被告の反訴請求は理由がないとしていずれも棄却した。これに対し、被告が敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。 2 前提事実は、次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中、第2の2(原判決3頁10行目から5頁24行目まで)に記載のとおりであるか ら、これを引用する。なお、引用文中の「別紙」は「原判決別紙」を指し、「第 3回弁論準備手続期日」とあるのは「原審第3回弁論準備手続期日」のことである(以下同じ。)。 (原判決の補正)⑴ 第2の2⑸(原判決4頁10行目から15行目まで 別紙」を指し、「第 3回弁論準備手続期日」とあるのは「原審第3回弁論準備手続期日」のことである(以下同じ。)。 (原判決の補正)⑴ 第2の2⑸(原判決4頁10行目から15行目まで)を、次のとおり改める。 「⑸ 原告による本件施策及び過去の同様の施策の実施原告は、平成30年11月1日、平成31年用年賀はがきの販売を開始する際、本件施策を実施した。本件施策は、郵便局等で対象の年賀はがき50枚以上を購入した者に抽選券1枚が交付され、当選者は賞品を受け取ることができるというものである。 なお、これに先立ち、原告は、平成19年以降、平成20年用から平成23年用まで及び平成26年用の各年賀はがきを販売する際も、所定の枚数以上の年賀はがきを予約又は購入した者に応募はがき又は抽選券を交付し、当選した者に商品やサービス利用券等を提供するという内容の施策を実施していた(甲16~20)。」 ⑵ 第2の2⑺(原判決5頁20行目)を、次のとおり改める。 「⑺ 原告は、令和4年12月5日本件本訴を提起し、被告は、令和5年4月24日本件反訴を提起した。」 3 争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、当審における当事者の主張を後記4のとおり付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中、 第2の3及び4(原判決5頁25行目から9頁12行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)⑴ 第2の4⑵「争点1-2(原告に生じた損害の有無及びその額)について」の(原告の主張)(原判決7頁13行目及び14行目)を「被告の不法行為に より、原告は、やむを得ず本件訴訟を提起するなどの対応を余儀なくされ、 有形無形の損害を被った。被告の不法行為と相当因果関 主張)(原判決7頁13行目及び14行目)を「被告の不法行為に より、原告は、やむを得ず本件訴訟を提起するなどの対応を余儀なくされ、 有形無形の損害を被った。被告の不法行為と相当因果関係のある損害は200万円を下らない。」と改める。 ⑵ 第2の4⑷「争点2-2(被告に生じた損害の有無及びその額)について」の(被告の主張)のうち原判決9頁2行目「その損害額は、」から3行目末尾までを「その損害額は、諸経費相当額320万円、慰謝料700万円の合計 1020万円である。」に、9行目及び10行目を「したがって、被告に生じた損害額は合計2億6020万円となるところ、本件では諸経費相当額及び慰謝料の各全額並びにアイデア料相当損害額の一部の合計2000万円の損害賠償を請求する。」に、それぞれ改める。 4 当審における当事者の補充主張 ⑴ 本訴争点1-1(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)について(原告の主張)被告は、既に類似の施策が実施され、本件施策が被告アイデアを採用したものでないことを理解し得た後も、原告及び原告訴訟代理人に対して執拗か つ一方的に対価の支払要求をして業務を妨害し、本件訴訟の提起等の対応を余儀なくさせており、被告の行為は不法行為を構成する。 (被告の主張)アイデア提供者に支払を命ずる原判決は一般常識として相当でない。 ⑵ 反訴争点2-1(被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の 有無)について(被告の主張)被告アイデアは、年賀はがきの授受を行う者双方が抽選により商品等を受け取れる「方法論」を提案したものであるが、原告は、同じ意味・目的を有する本件施策を独断で実施して盗用した。また、原告訴訟代理人は、執拗に、 法的措 きの授受を行う者双方が抽選により商品等を受け取れる「方法論」を提案したものであるが、原告は、同じ意味・目的を有する本件施策を独断で実施して盗用した。また、原告訴訟代理人は、執拗に、 法的措置を取るなどの脅しともとれる言動をした。 (原告の主張)被告アイデアは、ビジネス上のアイデアである上、被告が提案した時点でありふれたものであったから、法的保護に値する権利利益やその侵害はない。 原告は、既に類似の施策を実施しており、本件施策は被告アイデアと無関係に実施された。原告訴訟代理人の行為も社会的に相当な範囲のものである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、原告の本訴請求は、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害の不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がいずれも存在しないことの確認を求め、また原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求のうち11万円及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから一部認容 すべきものであり、原告のその余の本訴請求及び被告の反訴請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。 2 原告の本訴請求のうちの債務不存在確認請求について原告の本訴請求のうち、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害の不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がいずれも存在しないこと の確認を求める部分に理由があることは、原判決の「事実及び理由」中、第3の1(原判決9頁14行目から24行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 3 被告の反訴請求について反訴争点2-1(被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有 無)について⑴ 被告の反訴請求である被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求に理由が 告の反訴請求について反訴争点2-1(被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有 無)について⑴ 被告の反訴請求である被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求に理由がないことは、原判決の「事実及び理由」中、第3の2(原判決9頁25行目から12頁16行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑵ 被告は、当審における補充主張において、被告アイデアは、年賀はがきの 授受を行う者双方が抽選により商品等を受け取れる「方法論」を提案したものであり、原告はこれを盗用したなどと主張する。しかし、原告は、既に平成19年以降、所定の枚数以上の年賀はがきを予約し、又は購入した者に応募はがき又は抽選券を交付し、抽選で当選した者に商品等を提供するという内容の施策を複数回実施してきたのであるから、年賀はがきを購入した者も 抽選により商品等を受け取ることができるようにするというアイデアは、これが仮に「方法論」だとしても、原告に提案がされた平成26年時点では特に独創性のあるものではなく、ありふれたものになっていたというべきである。したがって、本件施策が被告アイデアに基づき実施されたものと認めることはできないし、本件において被告アイデアが法的に保護すべき利益とな るものと解することもできない。よって、被告の前記主張を採用することはできない。 被告は、当審における補充主張において、原告訴訟代理人は、執拗に、法的措置を取るなどの脅しともとれる言動をしたと主張する。しかしながら、原告訴訟代理人は、平成31年4月2日付け本件通知書を被告に送付した以 降も、被告との間の文書のやり取りにおいて、被告による対価の支払要求に対しては一貫してこれに応じることはできない旨を回答し、加えて、本件の公表等に言 4月2日付け本件通知書を被告に送付した以 降も、被告との間の文書のやり取りにおいて、被告による対価の支払要求に対しては一貫してこれに応じることはできない旨を回答し、加えて、本件の公表等に言及する被告に対し、今後の被告の行為が原告や原告訴訟代理人の業務妨害に当たる場合には、原告や原告訴訟代理人は被告に対し、民事・刑事を問わず法的措置を執ることがある旨(令和元年12月2日付け文書、甲 10、乙10)、被告が出版を意図する書籍において、本件に関し、客観的真実に反し、原告やその役員、従業員又は原告訴訟代理人の名誉を毀損する可能性のある内容を掲載した場合には、やむを得ず、民事・刑事の法的措置を執る可能性がある旨(令和4年3月15日付け文書、甲11、乙11)、被告から送付された原稿は前記内容を含むので掲載を容認することはできず、掲 載された場合には、法的措置を執る可能性が極めて高い旨(令和4年5月2 日付け文書、甲12、乙12)を伝えているものであり、被告による対価の支払要求に応じられないとする回答として社会的に相当な範囲にとどまるものというべきである。よって、被告の前記主張を採用することはできない。 4 原告の本訴請求のうちの損害賠償請求について⑴ 認定事実 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求に係る認定事実は、原判決の「事実及び理由」中、第3の3⑴ク(原判決16頁12行目から19行目まで)を次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中、第3の3⑴(原判決12頁18行目から16頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)「ク被告の上記対応に対し、原告訴訟代理人は、原告の代理人として、平成31年4月25日から令和4年5月25日までの間、被告に対 載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)「ク被告の上記対応に対し、原告訴訟代理人は、原告の代理人として、平成31年4月25日から令和4年5月25日までの間、被告に対し、合計5件の回答ないし通知文書(甲10から13まで、乙10から13まで)を送付して対応した。そして、このうち、令和4年5月25日付け文書(甲 13、乙13)では、原告は、被告に対し、被告の主張には理由がなく、数年にわたる被告との不毛なやりとりを終結させるべく法的措置の準備を進めている旨を伝えた。 しかし、その後、前記キのとおり、被告は、同年10月22日付け文書(甲15の1)を送付して、原告がアイデア提供者に対し法を片手に脅し をするのであれば、原告及び原告訴訟代理人に由々しき問題として発展していく旨を伝え、さらに、同年11月12日付け文書(甲15の2)を送付して、被告は、刑事告発、弁護士懲戒請求及び週刊誌等への情報提供を行う意向であり、原告がアイデア提供者である一般市民を侮り平然とそのアイデアを盗用していることに理不尽極まりなく思っているから、本件に ついては「和解」以外は全てを取り下げる考えは今のところなく、必ず近 日のうちに実行する旨などを伝えた。 そこで、原告は、同月21日付け文書(甲24の1)により、「既にお伝えしたとおり、通知人は貴殿の要求が不当であることを法的に明らかにするための法的措置の準備を進めており、年内に提訴する予定です」などと伝えた。 その後の同年12月5日、原告は、本件訴訟を提起した(前提事実⑺)。」⑵ 本訴争点1-1(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)についてア前記のとおり、本件施策は被告アイデアに基づいて実施されたものではないから、原告による 提事実⑺)。」⑵ 本訴争点1-1(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)についてア前記のとおり、本件施策は被告アイデアに基づいて実施されたものではないから、原告による本件施策の実施は、被告との関係で何ら被告の法的 に保護すべき利益を侵害するものではなく、不法行為を構成しない。そして、被告は、Aから平成31年1月18日付け文書(甲5)を受領したことにより本件施策と類似した施策が数年前から実施されていたことを知ったのであるから、本件施策が被告アイデアを採用したものではなく、被告に対する不法行為を構成するものではないことを容易に理解すること ができたというべきである。 それにもかかわらず、被告は、その後も、当初はAに対し、その後は原告社長等に対し、3年以上、合計20回以上という長期、多数回にわたり、本件施策に係る対価の支払を要求する文書を送付している。その間、被告は、原告が被告への対応を委任した原告訴訟代理人から平成31年4月2 日付け本件通知書及びその後の送付文書により、一貫して対価の支払要求に応じることはできない旨及びその理由を伝えられていた。しかし、被告は、みずからの主張の是非を顧みることなく、対価の支払要求を続けたのみならず、被告の言い分に理解を示す有力者の関与ないし介入や被告の言い分に基づく書籍の出版ないし週刊誌等のマスメディアへの情報提供等 を明示的又は暗に示唆するに至っている。すなわち、被告は、原告訴訟代 理人の令和4年5月25日付け文書(甲13、乙13)により、数年にわたる被告との不毛なやり取りを終結させるべく法的措置の準備を進めている旨伝えられた後も、同年10月22日付け文書(甲15の1)及び同年11月12日付け文書(甲15の2)を送付し、原告がアイデア提 わたる被告との不毛なやり取りを終結させるべく法的措置の準備を進めている旨伝えられた後も、同年10月22日付け文書(甲15の1)及び同年11月12日付け文書(甲15の2)を送付し、原告がアイデア提供者に対し法を片手に脅しをするのであれば、原告及び原告訴訟代理人に由々 しき問題として発展していく旨、また、原告がアイデア提供者である一般市民を侮り平然とそのアイデアを盗用していることに理不尽極まりなく思っているから、必ず近日のうちに実行するなどとして、遂には、原告社長、A及び原告訴訟代理人の刑事告発等を示唆しながら、原告に対し譲歩を迫り、結局、同年12月5日、原告により本件本訴が提起されるに至っ たものである。 もとより、対立する当事者間において、双方が相手に譲歩を求めるために主張のやりとりをすることは通常のことであり、交渉過程において、自らの従前の主張を維持したからといって、それが直ちに不法行為になるわけではない。しかし、前記認定した本件の経緯等を踏まえると、少なくと も令和4年5月に原告から原告訴訟代理人を通じて法的措置を準備している旨の通知を受けた後に至ってもなお、同年10月及び同年11月に各文書を送付し、さらに刑事告発等を示唆しながら和解での解決を求めた被告の行為は、その主張する権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものであり、かつ、そのことを知り又は容易に知り得たにもかかわらず、 新たな根拠を追加することなく、あえて従前と同じ主張を繰り返し、原告に対し一方的に対価の支払を要求し続けたものであって、その態様に照らし、社会的に相当な範囲を超えて原告の業務を妨害したものとして違法であり、原告に対する不法行為を構成するというべきである。 したがって、原告は、被告に対し、不法行為(民法709条)に基づく らし、社会的に相当な範囲を超えて原告の業務を妨害したものとして違法であり、原告に対する不法行為を構成するというべきである。 したがって、原告は、被告に対し、不法行為(民法709条)に基づく 損害賠償請求権を有する。 イこれに対し、被告は、原告に被告アイデアを盗用されたと考えていたため抗議するのは当然であり、原告に無視し続けられたことから、やむを得ず、刑事告発や懲戒請求をするほかないと決断して、これを原告に通知した旨などを主張する。 しかし、前記認定したところによれば、被告は、本件の交渉過程を通じ、 自らの主張する権利又は法律関係が法律的、事実的根拠を欠くものであり、かつ、そのことを知り又は容易に知り得たものというべきである。それにもかかわらず、被告は、何ら新たな根拠を示すことなく、従前と同様の対価の支払要求を繰り返した上、被告の言い分を受け入れなければ原告やA個人等が何らかの不利益を受けかねないかの如くほのめかすに至ったも のであるから、その行為は、交渉行為として社会的に相当な範囲を超えたものと評価せざるを得ない。よって、被告の主張を採用することはできない。 ウ被告は、当審における補充主張において、アイデア提供者に支払を命ずる原判決は一般常識として相当でないと主張するが、前記のとおり、被告 の行為には、社会的に相当な範囲を超える部分があったものと認められる以上、被告の主張に理由はなく、これを採用することはできない。 ⑶ 本訴争点1-2(原告に生じた損害の有無及びその額)について原告は、前記被告の不法行為により、その業務を妨害され、本件訴訟を提起するなど対応を余儀なくされ、有形無形の損害を被ったと認めるのが相当 である。しかるところ、前記のとおり、主張が対立する場合に当事 、前記被告の不法行為により、その業務を妨害され、本件訴訟を提起するなど対応を余儀なくされ、有形無形の損害を被ったと認めるのが相当 である。しかるところ、前記のとおり、主張が対立する場合に当事者が交渉を行うこと自体は違法ではなく、本件における被告の行為の違法性は、その主張の根拠及び態様に照らし、交渉行為として社会的に相当な範囲を超える部分について認められるべきであることその他本件に顕れた一切の事情を考慮すると、被告の不法行為に係る原告の損害額は10万円と評価するのが相 当である。また、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当損害 額としては、原告に生じた損害の1割相当額である1万円をもって相当とすべきである。 5 小括以上によれば、原告の本訴請求は、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害の不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がいずれも存在 しないことの確認を求め、また原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求のうち11万円及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、原告のその余の本訴請求及び被告の反訴請求はいずれも理由がない。 そして、当事者の主張に鑑み、本件記録を検討しても、この認定判断を左右するに足りる的確な主張立証はない。 第4 結論よって、原判決は一部相当でないから、これを変更することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 清水響 裁判官 菊池絵理 裁判官 頼晋一

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