令和2(ネ)1215 損害賠償等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年2月24日 東京高等裁判所 その他 東京地方裁判所 平成28(ワ)965
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判決文本文19,517 文字)

1 主 文 1 一審被告らの控訴をいずれも棄却する。 2 一審原告らの控訴に基づき、原判決主文第1項ないし第5項を次のとおり 変更する。 ⑴ 一審被告らは、一審原告Aに対し、連帯して2640万円及びこれに対す 5 る一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の一審被告らに ついては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 一審被告らは、一審原告Bに対し、連帯して1650万円及びこれに対す る一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の一審被告らに ついては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 10 ⑶ 一審被告らは、一審原告Cに対し、連帯して2420万円及びこれに対す る一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の一審被告らに ついては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 一審被告らは、一審原告会社に対し、連帯して3300万円及びこれに対 する一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の一審被告ら 15 については同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ 一審原告らの一審被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを5分し、その4を一審原告らの負 担とし、その余を一審被告らの負担とする。 4 この判決は、第2項⑴ないし⑷に限り、仮に執行することができる。 20 事 実 及 び 理 由 第1 控訴の趣旨 1 一審被告ら ⑴ 原判決中一審被告らの敗訴部分を取り消す。 ⑵ 上記部分につき、一審原告らの請求をいずれも棄却する。 25 2 一審原告ら 2 ⑴ 原判決中一審原告らと一審被告らに 1 一審被告ら ⑴ 原判決中一審被告らの敗訴部分を取り消す。 ⑵ 上記部分につき、一審原告らの請求をいずれも棄却する。 25 2 一審原告ら 2 ⑴ 原判決中一審原告らと一審被告らに関する部分を次のとおり変更する。 ⑵ 一審被告らは、一審原告Aに対し、連帯して1億1615万8904円及 びこれに対する一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の 一審被告らについては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金 員を支払え。 5 ⑶ 一審被告らは、一審原告Bに対し、連帯して8055万8904円及びこ れに対する一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の一審 被告らについては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を 支払え。 ⑷ 一審被告らは、一審原告Cに対し、連帯して1億1900万円及びこれに 10 対する一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余の一審被告 らについては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払 え。 ⑸ 一審被告らは、一審原告会社に対し、連帯して3億4834万7404円 及びこれに対する一審被告Dについては平成28年1月31日から、その余 15 の一審被告らについては同月30日から各支払済みまで年5分の割合による 金員を支払え。 第2 事案の概要等(以下、理由説示部分も含め、原則として、原判決の略称をそ のまま用いる。) 1 本件は、元プロボクサーである一審原告A、一審原告B、現役プロボクサ 20 ーである一審原告C(一審原告3選手)及び一審原告3選手によるプロボク シングの試合を興行する一審原告会社が、一審被告JBCにより一審原告3 選手の所属していたプロボクシングジムであるGジムの会長のクラブオーナ ーライセンス及びプロモーターライセンス並びに同ジムのマ ボク シングの試合を興行する一審原告会社が、一審被告JBCにより一審原告3 選手の所属していたプロボクシングジムであるGジムの会長のクラブオーナ ーライセンス及びプロモーターライセンス並びに同ジムのマネージャーのマ ネージャーライセンスについての更新を不許可とする違法な処分が行われた 25 ことにより、一審原告3選手が日本国内でプロボクシングの試合を行うこと 3 ができなくなり、一審原告3選手のファイトマネーや原告会社の興行収入が 得られなくなるなどの損害を被ったと主張して、一審被告JBC及びその関 係者であるその余の一審被告らに対し、一審被告JBC及び一審被告E(本 件委員会の委員で、一審被告JBCの当時の事務局長代行)については、不 法行為(共同不法行為)による損害賠償請求権に基づき、一審被告D(一審 5 被告JBCの理事長で、本件委員会の委員長)については、一般法人法19 8条が準用する同法117条1項の規定する理事の第三者責任に係る損害賠 償請求権又は不法行為(共同不法行為)による損害賠償請求権に基づき、一 審被告F(一審被告JBCの理事で、事務局長)については、理事の第三者 責任に係る損害賠償請求権又は不法行為(共同不法行為)による損害賠償請 10 求権に基づき、一審原告Aについては賠償金1億1615万8904円、一 審原告Bについては賠償金8055万8904円、一審原告Cについては賠 償金1億1900万円、一審原告会社については賠償金3億4834万74 04円及びこれらに対する各一審被告らに対する訴状送達の日の翌日(一審 被告Dについては平成28年1月31日、その余の一審被告らについては同 15 月30日)から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法 所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。なお、 原審では、一 1日、その余の一審被告らについては同 15 月30日)から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法 所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。なお、 原審では、一審被告ら以外の一審被告JBCの関係者も被告とされていた。 原審は、一審原告らの各請求につき、一審被告らに対し、一審原告Aにつ いては賠償金1200万円、一審原告Bについては賠償金750万円、一審 20 原告Cについては賠償金1100万円、一審原告会社については賠償金15 00万円及びこれらに対する一審被告Dについては平成28年1月31日か ら、その余の一審被告らについては同月30日から各支払済みまで年5分の 割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し、その余の請求をい ずれも棄却した。 25 そこで、一審原告ら及び一審被告らが、各自の敗訴部分を不服としてそれ 4 ぞれ控訴した。なお、一審原告らは、当審において、損害の主張を拡張し、 上記各請求はいずれも一部請求であるとした。 2 本件における前提事実並びに争点及びこれに関する当事者の主張は、次の とおり原判決を補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案 の概要」の1ないし3に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、 5 原審相被告H、同I、同J、同K及び同Lに関する部分を除く。)。 原判決17頁14行目及び21行目から22行目にかけての各「更新を 不許可とする旨の決定」をいずれも「平成26年度への更新を不許可とす る旨の決定」と改める。 ⑵ 原判決18頁7行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 10 「オ Mらは、平成26年12月26日、一審被告JBCを被告として、東京 地方裁判所に対し、平成26年度におけるライセンス保持者たる地位の確 認及び慰謝料の支払を求める て、次のとおり加える。 10 「オ Mらは、平成26年12月26日、一審被告JBCを被告として、東京 地方裁判所に対し、平成26年度におけるライセンス保持者たる地位の確 認及び慰謝料の支払を求める訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起し た(乙49、弁論の全趣旨)。 Mらと一審被告JBCは、平成29年7月19日、別件訴訟において、 15 被告JBCがMらに対し平成29年度のGジムのクラブオーナーライセン ス及びプロモーターライセンス(Mについて)並びにマネージャーライセ ンス(Nについて)を付与し、Mらがその余の請求を放棄する内容の訴訟 上の和解をした(乙49。以下、「別件和解」という。)。」 原判決26頁7行目及び13行目の各「期日調査書」をいずれも「調査期 20 日の通知書」と改める。 ⑷ 原判決37頁21行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 「 一審被告JBCの理事長である一審被告Dは、一審原告3選手がボクサ ーライセンスを取得するために、Mらが本件処分を受け入れることを条件 としていた。そうすると、本件処分を争っていたMが、一審被告JBCに 25 対し、平成27年以降にクラブオーナーライセンスを新規申請したとして 5 も、これが交付される可能性はない。したがって、本件処分と相当因果関 係のある損害は、平成26年中に生じたものに限られず、同年からMと一 審被告JBCの紛争が解決した別件和解時(平成29年7月19日)まで の間に生じたものがこれに当たると解すべきである。」 ⑸ 原判決37頁24行目及び38頁5行目の各「合計2億5571万780 5 8円」をいずれも「合計4億0958万1200円」と改める。 ⑹ 原判決38頁6行目の「9615万8904円」を「1億5568万26 50円」と、14行目から15行目にかけての「現役引 万780 5 8円」をいずれも「合計4億0958万1200円」と改める。 ⑹ 原判決38頁6行目の「9615万8904円」を「1億5568万26 50円」と、14行目から15行目にかけての「現役引退(平成27年10 月16日)までの間に」を「別件和解時(平成29年7月19日)までの間 に」と、16行目の「ファイトマネー」から18行目の末尾までを「ファイ 10 トマネーから平成25年11月9日の韓国戦に係るファイトマネーを控除し た金額(計1億4900万円。原判決別紙1参照)と同等のファイトマネー を得ることができたが、本件処分により、それが得られなくなった。そうす ると、本件処分による損害額は、上記ファイトマネーの1年分に相当する金 額に、平成26年1月1日から平成29年7月19日までの期間(約3年6 15 か月)に対応するライプニッツ係数(3.13455)を乗じた金額である 1億5568万2650円(=1億4900万円÷3年×3.13455) となる。」とそれぞれ改める。 ⑺ 原判決38頁19行目の「6055万8904円」を「1億1284万3 800円」と、25行目の「現役引退(平成27年9月6日)までの間に」 20 を「別件和解時(平成29年7月19日)までの間に」とそれぞれ改め、3 9頁1行目の「6055万8904円」を削り、2行目の末尾に「そうする と、本件処分による損害額は、上記ファイトマネーの1年分に相当する金額 に、前同様のライプニッツ係数(3.13455)を乗じた金額である1億 1284万3800円(=1億0800万円÷3年×3.13455)とな 25 る。」を加える。 6 ⑻ 原判決39頁3行目の「9900万円」を「1億4105万4750円」 と、9行目の「少なくとも」から13行目の末尾までを「平成26年2月7 日から別件和解時(平成 5 る。」を加える。 6 ⑻ 原判決39頁3行目の「9900万円」を「1億4105万4750円」 と、9行目の「少なくとも」から13行目の末尾までを「平成26年2月7 日から別件和解時(平成29年7月19日)まで、年3回の頻度で国内にお いて試合を行うことができ、1試合当たり1500万円のファイトマネー (平成25年8月1日のセブ島での試合及び同年12月3日の大阪での試合 5 のファイトマネー。原判決別紙1参照)を得ることができたと考えられる。 そうすると、本件処分による損害額は、上記ファイトマネーの1年分に相当 する金額4500万円に、前同様のライプニッツ係数(3.13455)を 乗じた金額である1億4105万4750円(=4500万円×3.134 55)となる。」とそれぞれ改める。 10 ⑼ 原判決39頁21行目の「3億4834万7404円」を「4億8771 万7091円」と、40頁3行目の「原告Aが」から同行の「10月16日 までの間に」を「平成26年1月1日から別件和解時(平成29年7月19 日)までの間に」とそれぞれ改め、5行目から6行目にかけての「2億78 79万0298円」を削る。 15 ⑽ 原判決40頁7行目から23行目までを次のとおり改める。 「 そうすると、一審原告会社の逸失利益は、逸失利益算定における基礎金 額である平成23年ないし平成25年の興行損益の1年当たりの平均額1 億5559万3974円に、前同様のライプニッツ係数3.13455を 乗じた金額である4億8771万7091円(=1億5559万3974 20 円×3.13455)となる。 小計 以上をまとめると、本件処分により一審原告らが被った損害額は、次 のとおりとなる。 a 一審原告A 1億7568万2650円 25 b 一審原告B 1億3284万3800 5)となる。 小計 以上をまとめると、本件処分により一審原告らが被った損害額は、次 のとおりとなる。 a 一審原告A 1億7568万2650円 25 b 一審原告B 1億3284万3800円 7 c 一審原告C 1億6105万4750円 d 一審原告会社 4億8771万7091円 弁護士費用 a 一審原告A 1756万8265円 b 一審原告B 1328万4380円 5 c 一審原告C 1610万5475円 d 一審原告会社 4877万1709円 まとめ 以上によれば、一審被告らは、一審原告Aに対して賠償金1億932 5万0915円、一審原告Bに対して賠償金1億4612万8180円、 10 一審原告Cに対して賠償金1億7716万0225円、一審原告会社に 対して賠償金5億3648万8800円及びこれらに対する各一審被告 らに対する訴状送達の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による 遅延損害金の連帯支払債務を負うものであるが、一審原告らは、一部請 求として、一審被告らに対し、控訴審判決の「事実及び理由」欄の第1 15 の2⑵ないし⑸のとおり請求する。」 ⑾ 原判決43頁1行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 「 すなわち、ファイトマネーの額は、タイトルマッチであるか否かあるいは チャンピオンか挑戦者かにより大きく異なる。チャンピオンでなく世界タイ トルマッチでもない場合、一審原告3選手のそれぞれのファイトマネーは3 20 00万円であるところ、一審原告Aは平成25年12月6日に、一審原告B は平成26年3月19日にそれぞれ世界タイトルを返上しているから、同原 告らのファイトマネーは各300万円である。また、一審原告Cは、平成2 6年は海外での試合を中心に活躍しており、同年中に日本で試合を行う可能 性はなく、損害 それぞれ世界タイトルを返上しているから、同原 告らのファイトマネーは各300万円である。また、一審原告Cは、平成2 6年は海外での試合を中心に活躍しており、同年中に日本で試合を行う可能 性はなく、損害は発生していない。」 25 ⑿ 原判決44頁14行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 8 「 一審原告会社の逸失利益について 本件試合による混乱の影響で、TBSが平成26年に一審原告3選手の 試合をテレビ放映しない可能性は極めて高く、一審原告会社はテレビ中継 による収入を期待できなかった。そして、平成25年におけるテレビ中継 のないノンタイトル戦2興行の平均興行収支から選手へのファイトマネー 5 を差し引いた一審原告会社の興行収支は、2試合合計で11万1577円 の赤字であるから、一審原告会社に損害は発生していない。」 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、①一審原告Aの請求は、一審被告らに対し賠償金2640万 円及びこれに対する一審被告Dについては平成28年1月31日から、その 10 余の一審被告らについては同月30日から各支払済みまで年5分の割合によ る遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるが、その余は理由がなく、 ②一審原告Bの請求は、一審被告らに対し賠償金1650万円及びこれに対 する前同様の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるが、その余は 理由がなく、③一審原告Cの請求は、一審被告らに対し賠償金2420万円 15 及びこれに対する前同様の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある が、その余は理由がなく、④一審原告会社の請求は、賠償金3300万円及 びこれに対する前同様の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるが、 その余は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり原判決を補正 するほかは、原判決「事実及び 請求は、賠償金3300万円及 びこれに対する前同様の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるが、 その余は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり原判決を補正 するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載 20 のとおりであるから、これを引用する(ただし、原審相被告H、同I、同J、 同K及び同Lに関する部分を除く。)。 原判決44頁25行目の「証拠」の次に「(枝番のあるものは、それを含 む。)」を加える。 ⑵ 原判決46頁4行目の「行われた」を「行われたが、一審被告F及び同O 25 は、通訳を同行していなかった」と改め、同行の「22」の次に「、38」 9 を加える。 ⑶ 原判決46頁7行目の「、甲22の1、甲22の3」を削り、8行目の 「配布したところ」の次に「(甲21)」を加える。 ⑷ 原判決46頁16行目の「甲105」を「105」と改め、同行の「11 8」の次に「、205、控訴審(以下「当審」という。)における証人N・ 5 5~6頁」を加える。 ⑸ 原判決46頁20行目の「118」の次に「、205、当審における証人 N・6~7頁」を加える。 ⑹ 原判決46頁25行目の「務めていた」を「務めており、当時、IBFル ールでは保持説を採用していることを知っていた」と改め、末行の「Pの回 10 答を」の次に「聞いて、一審原告BがIBF王座を保持すると思っていたこ とから驚いたものの、その内容を」を、47頁3行目の「甲6」の次に「、 当審における証人Q・7頁、14~15頁」をそれぞれ加える。 ⑺ 原判決47頁11行目の「41」の次に「、当審における証人Q・5頁」 を加える。 15 ⑻ 原判決48頁24行目の「発表した。(甲9)。」を「発表した(甲9)。 と改める。 ⑼ 原判決51頁24行目の「甲16~20」を 「41」の次に「、当審における証人Q・5頁」 を加える。 15 ⑻ 原判決48頁24行目の「発表した。(甲9)。」を「発表した(甲9)。 と改める。 ⑼ 原判決51頁24行目の「甲16~20」を「甲20」と改める。 ⑽ 原判決52頁9行目の「103の2」を「103」と改め、18行目の 「原告A」の次に「6頁」を加える。 20 ⑾ 原判決53頁5行目の「(以下「別件訴訟」という。)」を「(別件訴 訟)」と、12行目の「訴訟上の和解をした(乙49)。」を「訴訟上の和 解(別件和解)をした。」とそれぞれ改める。 原判決54頁22行目から23行目にかけての「Mがクラブオーナー及び プロモーターとしての」を「Nがマネージャーとしての」と、55頁2行目 25 の「Nがマネージャーとしての」を「Mがクラブオーナー及びプロモーター 10 としての」とそれぞれ改める。 原判決55頁5行目の冒頭から57頁2行目の末尾までを次のとおり改め る。 「 本件試合に適用されるIBF王座の得喪に関するルールについては、前 記1⑴イないしオのとおり、本件ルールミーティングにおいて、Pが、保 5 持説が明記されたIBFルールブックを一審原告B及びR両陣営に配布し た上、本件試合にはIBFルールが適用されることを説明し、Sの質問に 対し、一審原告Bが本件試合に負けた場合でも、一審原告BがIBF王座 を保持する旨答えたこと、その後、Pは、自身が持っていたIBFルール ブック(冊子)の署名欄を開いて出席者に回覧し、そこに署名するよう求 10 めたところ、一審被告Fを含む出席者はこれに署名したことが認められる。 これらの事実によれば、本件試合におけるIBF王座の得喪に関しては、 保持説が採用されたものと認められる。 上記の事実は、主に、当審における証人Nの供述、N作成の陳述書 に署名したことが認められる。 これらの事実によれば、本件試合におけるIBF王座の得喪に関しては、 保持説が採用されたものと認められる。 上記の事実は、主に、当審における証人Nの供述、N作成の陳述書の 記載及び別件訴訟における供述(甲105、118、205。以下、こ 15 れらを併せて「N供述等」という。)によって認められるが、これに対 し、一審被告らは、本件ルールミーティングにおいて、Oが通訳人であ るQを介し、T及びPに対して質問したところ、一審原告Bが本件試合 に負けた場合について、TはWBA王座は空位となると答え、PもIB F王座は空位になると答えた旨主張し、当審における証人O及び一審被 20 告F本人の各供述や、O、一審被告F及び一審被告JBC職員であるU 作成の陳述書ないし報告書(甲36、38、39、乙108、110) には、上記主張に沿う供述ないし記載のほか、本件ルールミーティング でIBFルールブックは配布されなかった旨や、IBFルールブックに 署名した際回覧されたものは、署名欄が印刷された書類1枚のみであっ 25 た旨の記載ないし供述がある(以下、Oの上記供述及び陳述書の記載を 11 「O供述等」といい、一審被告Fの上記供述及び陳述書を「F供述等」 といい、これら(U作成の報告書を含む。)を併せて「Oら供述等」と いう。)。そして、一審被告らは、一審被告Fが本件ルールミーティン グにおいて手書き部分を書き加えて作成したとするメモ(甲37。以下 「本件メモ」という。)の記載には高い信用性が認められるから、これ 5 に沿う内容のOら供述等にも信用性が認められると主張する。 そこで、以下、N供述等及びOら供述等の信用性について補足して説 明する。 a まず、N供述等についてみると、その内容は、IBFルールブックが 保持説を採用していることと が認められると主張する。 そこで、以下、N供述等及びOら供述等の信用性について補足して説 明する。 a まず、N供述等についてみると、その内容は、IBFルールブックが 保持説を採用していることと整合する上、たまたま本件ルールミーティ 10 ングの場にいた外国メディアの記者であるVが、本件ルールミーティン グの直後に保持説を前提とする記事(甲7)を掲載していることや、一 審原告会社からの問い合わせに対し、本件ルールミーティングにおいて、 Pは、IBFルールに従って、一審原告Bは本件試合に勝っても負けて も、IBFタイトルを保持すると述べていた旨メールで回答しているこ 15 と(甲28、29)とも符合している。 また、IBFは、一審被告JBCからの問い合わせに対し、本件試合 では保持説が採用されたものであり、Pの本件ルールミーティング後の 記者会見での発言は誤りであった旨及び本件ルールミーティングで、I BFルールブックをR及び一審原告Bの各代理人に配布した旨を回答し 20 ている(前記1⑶ウ、甲21)。そして、IBFは、実際に、本件試合 後も引き続き一審原告Bを王座保持者として扱っていた(甲31、3 2)。N供述等は、これらの事実にも符合している。なお、Qは、平成 25年12月18日、一審被告JBCの職員からの電話での問い合わせ に対し、本件ルールミーティング中にIBFルールブックは配布されて 25 いないと思うと回答していたが(乙111)、証人Q(23頁)は、I 12 BFルールブックが配布されていたかどうかをしっかり見ていたわけで はないとも供述していることや、上記のIBFの回答に照らすと、Qの 上記電話での問い合わせに対する回答の内容を採用することはできない から、この回答によって、N供述等の信用性が左右されるものではない。 なお、一審被告ら ることや、上記のIBFの回答に照らすと、Qの 上記電話での問い合わせに対する回答の内容を採用することはできない から、この回答によって、N供述等の信用性が左右されるものではない。 なお、一審被告らは、N供述等で本件ルールミーティングで配布され 5 たとされるIBFルールブック(甲5の1)と、N供述等で、出席者が 署名するためにその全体(冊子)が回覧されたとされるIBFルールブ ック(甲22の1)とを比べると、1枚目の手書きで記載されている内 容が異なっているが、署名用のルールブック(甲22の1)が用意され ているのであれば、これを配布すれば足りるはずであるから、甲5の1 10 のルールブックが配布されたとするN供述等は虚偽であると主張する。 しかしながら、上記2つのルールブックのフォーマット(ルールが記載 された不動文字部分)は同一であるから、Pが本件ルールミーティング の出席者に署名を求めたルールブック(甲22の1。これはIBF本部 に提出される文書であると認められる。)と、本件ルールミーティング 15 において、ルールを確認するために一審原告B陣営らに配布されたルー ルブックの各1枚目の手書きで記載する部分の内容が異なっているとし ても、不自然であるとはいえず、このことはN供述等の信用性を左右す るものではない。 b 次に、Oら供述等の信用性について検討するに、当審における証 20 人Q(5頁)は、本件ルールミーティング中にルールに関する発言は 一切通訳していないと供述している。そして、Qは、TBSの依頼に より本件ルールミーティングに立ち会ったものであり、これまで一審 原告ら及び一審被告らと利害関係はなく(当審における証人Q・1 頁)、かつ、平成25年12月18日の一審被告JBCの職員からの 25 問い合わせに対する回答(乙111)及び同月24日の一 これまで一審 原告ら及び一審被告らと利害関係はなく(当審における証人Q・1 頁)、かつ、平成25年12月18日の一審被告JBCの職員からの 25 問い合わせに対する回答(乙111)及び同月24日の一審原告ら訴訟 13 代理人弁護士からの問い合わせに対する回答(甲41)においても、 同様の説明をしていたものであり、これらの事情に照らすと、証人Q の上記供述には十分な信用性が認められるというべきである。しかる に、Qを介してPらに一審原告Bが本件試合に負けた場合の王座の帰 趨について確認した旨のOら供述等は、証人Qの上記供述と全く異な 5 っている。 また、本件メモについてみると、同メモ内の2本の横線で囲まれた 部分には、「負けた場合空位になる」との記載があり、一審被告Fは、 同記載は本件ルールミーティング中に聞いた内容をその場でメモをし たものであると供述している(当審における一審被告F本人・1~2 10 頁、4頁、21頁)。 しかし、同部分には、上記記載以外にも、「ドロー防衛」、「ペナ ルティ 話し合いできめる。(チャンピオンでない、大きい)」、 「(統一)トウイツチャンピオン」など、本件ルールミーティング直 後に行われた会見において、記者とやりとりされた内容に沿う記載が 15 多く見られ(甲6、48)、他方で、これらの記載に係る内容が本件 ルールミーティング中に話し合われたことを認めるに足りる証拠はな い。 また、上記会見において、Pは、一審原告Bが負けた場合にIBF 王座が空位になるのかとの記者からの質問に対し、空位になる旨発言 20 しているが(前記1⑴カ)、そうすると、本件メモの「負けた場合空 位になる」との記載が仮にIBF王座に関するものであったとしても、 本件ルールミーティング直後の会見での内容を記載した可能性は否定 できない。 (前記1⑴カ)、そうすると、本件メモの「負けた場合空 位になる」との記載が仮にIBF王座に関するものであったとしても、 本件ルールミーティング直後の会見での内容を記載した可能性は否定 できない。 これらの事情に照らすと、本件メモの「負けた場合は空位になる」 25 との記載は、本件ルールミーティング中に聞いた内容をメモしたもの 14 である旨の一審被告Fの上記供述を直ちに採用することはできないと いうべきである。そうすると、Oら供述等の内容が本件メモの上記記 載に沿うものであったとしても、Oら供述等の信用性が認められるこ とにはならない。 ⒞ 次に、Oら供述等は、本件ルールブックに署名した際に回覧された 5 のは、署名欄が記載された書類1枚だけであったとするが、署名され たIBFルールブック自体は8頁からなるものであって(甲22の 1)、署名の際にあえて署名部分のみを切り離して回覧するというの は、不自然といわざるを得ない。 ⒟ 次に、一審被告Fは、本件ルールミーティング直後の記者会見の冒 10 頭で、「Bが勝った場合はWBAのチャンピオンとして認定する。万 が一負けた場合は、空位といたします。」と発言している(甲6、4 8)ところ、一審原告Bが負けた場合に空位となるのは、その直前の 発言に照らせば、WBA王座を指しているとみるのが素直であり、現 に、一審被告F作成の平成26年1月31日付け陳述書(甲38)で 15 は、IBF王座がどうなるかについて述べ忘れた旨記載していた。と ころが、同人作成の令和2年9月28日付け陳述書(乙110)では、 上記発言はWBAとIBFの双方の王座が空位になることを説明した ものであるとされ、また、一審被告Fは、当審における本人尋問で、 上記記者会見では、IBF王座の帰趨について、発表するのを忘れた 20 のではなく、発 AとIBFの双方の王座が空位になることを説明した ものであるとされ、また、一審被告Fは、当審における本人尋問で、 上記記者会見では、IBF王座の帰趨について、発表するのを忘れた 20 のではなく、発表しなかっただけである旨供述している(一審被告F 本人・13頁)。このように、F供述等は、記者会見における自らの 発言の趣旨について、その内容が大きく変遷しており、不自然である。 ⒠ さらに、O供述等についてみると、Qを通じてPらに本件試合の勝 敗による王座の帰趨を尋ねた経緯について、O作成の平成26年1月 25 20日付け陳述書(甲36)では、TがABCルールを読み終わるの 15 を見計らって、Qに通訳を依頼してPらに尋ねた旨記載されており、 これによると、Oは、Tの説明が終わるのを待って、自ら進んで王座 の帰趨について尋ねたことになる。ところが、O作成の令和2年9月 28日付け陳述書(乙108)では、Tの説明が終わると、会場全体 が一段落ついたかのような雰囲気になり、一審原告BとRの勝ち負け 5 の各場合においてIBF及びWBAの王座がどうなるのかについての 協議がなかなか始まらないので、このまま本件ルールミーティングが 終わってしまうのではないかと少々焦りを感じ、Qに対し、Pらに王 座の帰趨について尋ねるよう求めたと記載されており、証人Oは、当 審の尋問でも同趣旨の供述をしている(3~4頁)ところ、これらに 10 よれば、Oは、Tの説明が終わり、王座の帰趨に関する協議が始まる ものと思って待っていたが、なかなか始まらないので、焦りを感じて Qを介してPらに質問したことになる。このように、O供述等には、 Pらに対して本件試合の勝敗による王座の帰趨を尋ねた経緯に関して 変遷があるが、これも不自然である。 15 c 以上の検討によれば、N供述等には信用性は認め たことになる。このように、O供述等には、 Pらに対して本件試合の勝敗による王座の帰趨を尋ねた経緯に関して 変遷があるが、これも不自然である。 15 c 以上の検討によれば、N供述等には信用性は認められるが、Oら供 述等を信用することはできないというべきである。 a 以上のとおり、本件試合では、IBF王座の得喪に関して保持説が採 用された。 そして、本件ルールミーティングは、Rがマネージャーと言い争いを 20 して途中退場するなど、相当混乱した状況にあり、一審被告F及びOは、 通訳を同行していなかったから、SとPとのIBF王座の帰趨に関する 英語のやり取り(前記1⑴エ)を認識していなかったと考えられる。こ のことに加え、一審被告FがPとの間でIBF王座の帰趨に関するやり 取りを行ったとは認められないことからすると、一審被告Fは、本件ル 25 ールミーティングの際には、IBF王座の帰趨について、保持説と空位 16 説のいずれが適用されるのかについて、確たる認識を有していなかった ものといわざるを得ない。その後、本件ルールミーティング後の記者会 見において、Pが空位説を前提とする発言をし、マスコミもこれを前提 とする報道をしていたことから、一審被告F及び一審被告JBCは、本 件訂正記者会見が行われるまで、本件試合がIBF王座の帰趨について 5 空位説により行われたとの認識を有していたものと考えられる。 b なお、一審被告らは、本件試合にいかなるルールを適用するかは、 一審被告JBCが内部規範によって自律的に決定すべき事項であるか ら、司法審査の対象にはならない旨主張する。 しかしながら、少なくとも、本件試合におけるIBF王座の帰趨に 10 ついては、後記⒝のとおり、IBFが独自に決定するものであるから、 一審被告らの主張は前提を欠くものである。この い旨主張する。 しかしながら、少なくとも、本件試合におけるIBF王座の帰趨に 10 ついては、後記⒝のとおり、IBFが独自に決定するものであるから、 一審被告らの主張は前提を欠くものである。この点を措くとしても、 一審原告らの請求権の存否の判断に当たり、その審理の対象となるの は、本件試合で採用されたルールの当否ではなく、本件試合において 採用されたルールが何かであり、このことは、一審被告JBCの自律 15 的判断の当否に踏み込むまでもなく、裁判所が判断し得る事項である から、この点からみても、一審被告らの主張は失当である。 ⒝ また、一審被告らは、本件試合におけるIBF王座の帰趨について は、一審被告JBC、IBF及びWBAの3団体により決せられるこ とは、当事者間に争いがないから、これに反して、IBFが単独でI 20 BF王座の帰趨を決めると認定することは許されない旨主張する。 この主張と上記 の主張との関係は明らかではないが、一審被告ら は、原審の第3回口頭弁論期日において、IBFの王座の帰趨につい てはIBFが独自に決定するものであり、WBAが容かいすることは できないし、上記3団体が決議して決定するものでもない旨記載した 25 準備書面(一審被告らの平成28年9月5日付け準備書面⑵・5頁) 17 を陳述しており、一審原告らもこの主張を認めているから(原審の第 4回口頭弁論期日に陳述された一審原告らの同年11月2日付け準備 書面3・2頁)、一審被告らの主張はその前提を欠くものであって、 採用することができない。そして、これらの準備書面の主張からすれ ば、本件試合におけるIBF王座の帰趨はIBFが決定するものであ 5 ると認められるところ、本件ルールミーティングでは、上記王座の帰 趨についてIBFにより保持説によると決せられたことが、一審原告 れ ば、本件試合におけるIBF王座の帰趨はIBFが決定するものであ 5 ると認められるところ、本件ルールミーティングでは、上記王座の帰 趨についてIBFにより保持説によると決せられたことが、一審原告 B及びRの両陣営や一審被告JBC関係の出席者らに周知されたこと になる(仮に、上記王座の帰趨が上記の3団体により決せられるべき ものであるとしても、本件ルールミーティングの状況(前記1⑴イな 10 いしオ)に照らせば、上記の3団体によって上記王座の帰趨について 保持説によることが決せられたとみることができる。)。」 原判決58頁2行目の「被告らは、」の次に「Nが本件試合終了直後の一 審被告JBCにおける公式リングアナウンサーのアナウンスにより、同被告 が空位説との認識を有していることを知ったにもかかわらず、」を加える。 15 ⒂ 原判決59頁3行目から4行目にかけての「報道を監視すべき義務」を 「Nによる報道への対応を監督すべき義務」と改める。 ⒃ 原判決65頁2行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 「ア 本件処分は、平成26年におけるMらのライセンスの更新を許可しない 旨の処分であって、ライセンスを永久にはく奪することを内容とするもの 20 ではない。そして、本件処分がなかったならば、Mらのライセンスは更新 され、その効力は、有効期間である平成26年12月31日までの1年間 は失われることはなかったといえるから(試合ルール11条1項、3項)、 本件処分と相当因果関係のある損害は、平成26年中に生じたものに限ら れるというべきである。 25 これに対し、一審原告らは、Mらが平成27年以降にクラブオーナーラ 18 イセンスを新規申請したとしても、これが交付される可能性はないから、 本件処分と相当因果関係のある損害は、別件和解時までに生じたもの し、一審原告らは、Mらが平成27年以降にクラブオーナーラ 18 イセンスを新規申請したとしても、これが交付される可能性はないから、 本件処分と相当因果関係のある損害は、別件和解時までに生じたものがこ れに当たると主張する。 しかしながら、仮に平成27年以降、Mらのライセンスの新規申請が許 可される可能性がない(不許可処分となる。)としても、この不許可処分 5 は、本件処分とは別個の処分であるから、この不許可処分を前提とする損 害が当然に本件処分と相当因果関係のある損害になるということはできな い。また、ライセンスの更新に関する処分には、一審被告JBCに一定の 裁量が認められるから(前記2⑴)、本件処分がなければ、平成27年以 降もライセンスが当然に更新されたということもできない。したがって、 10 一審原告らの主張は採用することができない。」 ⒄ 原判決65頁3行目の「ア」を「イ」に、66頁8行目の「イ」を「ウ」 にそれぞれ改める。 ⒅ 原判決67頁7行目の「ウ」を「エ」と、10行目の「本件処分前に」を 「本件処分後に」とそれぞれ改める。 15 ⒆ 原判決67頁23行目の冒頭に1文字空けて「ア 」を加える。 ⒇ 原判決68頁6行目の冒頭から10行目の「認められるから、」までを 「そして、」と、11行目の「限られるというべきである。」を「限られる ことは、前記⑴アで説示したとおりである。」とそれぞれ改める。 原判決68頁22行目の冒頭に1文字空けて「 」を加え、24行目の 20 「各1試合」を「各2試合」と、69頁1行目の「これらをもって」を「一 審原告Aについては2400万円、一審原告Bについては1500万円、一 審原告Cについては2200万円をもって、」とそれぞれ改める。 原判決69頁3行目の冒頭に1文字空けて「 」を加え、11行目の「1 原告Aについては2400万円、一審原告Bについては1500万円、一 審原告Cについては2200万円をもって、」とそれぞれ改める。 原判決69頁3行目の冒頭に1文字空けて「 」を加え、11行目の「1 500万円」を「3000万円(=500万円×3人×2試合)」と改める。 25 原判決69頁16行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 19 「 弁護士費用 本件事案の内容、審理の経過等の諸事情を考慮すると、本件処分と相 当因果関係のある損害としての弁護士費用は、一審原告Aについて24 0万円、一審原告Bについて150万円、一審原告Cについて220万 円、一審原告会社について300万円と認めるのが相当である。 5 以上によれば、一審原告らの損害額は、一審原告Aについて2640 万円、一審原告Bについて1650万円、一審原告Cについて2420 万円、一審原告会社について3300万円となる。 イ これに対し、一審被告らは、①一審原告A及び一審原告Bは世界タイト ルを返上しているから、同原告らのファイトマネーは各300万円にす 10 ぎず、また、一審原告Cは平成26年中に日本で試合を行う可能性はな かったから損害は発生していない、②一審原告会社について、平成26 年にテレビ中継による収入は期待できず、一審原告会社に損害は発生し ていないと主張する。 しかし、上記①について、一審原告Aについてみると、同原告がそれ 15 まで8回の防衛に成功していたWBA世界バンタム級王座(甲56)を 平成25年12月6日に返上した理由は、4階級制覇を目指して階級変 更をするためであると認められる(甲148・1頁、乙84)。そうで あるならば、一審原告Aについては、むしろ大きな興行が予定されてい たと認められるから、同原告が世界タイトルを返上したからといっ 階級変 更をするためであると認められる(甲148・1頁、乙84)。そうで あるならば、一審原告Aについては、むしろ大きな興行が予定されてい たと認められるから、同原告が世界タイトルを返上したからといって、 20 同原告の1試合当たりのファイトマネーが300万円にとどまるとみる のは相当ではない。また、一審原告Bは平成26年3月19日にIBF 世界スーパーフライ級王座を返上しているが(乙85)、これは本件処 分により日本で試合ができなくなったことが大きく影響しているものと 認められるから(原審における一審原告A本人・40ないし41頁)、 25 同原告についても、1試合当たりのファイトマネーを300万円とみる 20 のは相当ではない。次に、一審原告Cについて、本件処分がなかった場 合、平成26年中に日本で試合を行う可能性がなかったとは認められな い。 さらに、上記②についてみると、本件処分がなかった場合に、平成2 6年において、一審原告3選手の試合がテレビ放映されない可能性が高 5 かったとは認められない。また、本件試合による混乱を招いた主たる責 任は一審被告らにあり(前記1ないし5)、それにもかかわらず、一審 被告らは本件処分をしたのであるから、仮に、本件試合の混乱の影響で、 一審原告3選手の試合がテレビ放映されなくなり、これにより一審原告 会社の収入が減収したとすれば、それ自体が本件処分による損害という 10 ことができる。 したがって、一審被告らの主張を採用することはできない。」 原判決69頁23行目の末尾の次に改行して、次のとおり加える。 「10 結論 したがって、一審被告JBC及び一審被告Eは、いずれも不法行為責 15 任に基づき(前記2及び4)、一審原告Aに対しては賠償金2640万 円、一審原告Bに対しては賠償金1650万円、一審原 結論 したがって、一審被告JBC及び一審被告Eは、いずれも不法行為責 15 任に基づき(前記2及び4)、一審原告Aに対しては賠償金2640万 円、一審原告Bに対しては賠償金1650万円、一審原告Cに対しては 賠償金2420万円及び一審原告会社に対しては賠償金3300万円 (前記8⑵ア )並びにこれらに対する遅延損害金を支払う債務を負う。 また、一審被告D及び一審被告Fは、いずれも不法行為責任及び理事 20 の第三者責任に基づき(同3及び5)、一審原告らに対して前同様の賠 償金等を支払う債務を負うが、一審原告らの不法行為による損害賠償請 求を認容することとする。 そして、一審被告らの負う債務は不真正連帯債務の関係にある。」 2 以上のとおりであるから、①一審原告Aの請求は、一審被告らに対し賠償 25 金2640万円及びこれに対する一審被告Dについては平成28年1月31 21 日から、その余の一審被告らについては同月30日から各支払済みまで年5 分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから認容し、 その余は理由がないから棄却し、②一審原告Bの請求は、一審被告らに対し 賠償金1650万円及びこれに対する前同様の遅延損害金の連帯支払を求め る限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、③一審原 5 告Cの請求は、一審被告らに対し賠償金2420万円及びこれに対する前同 様の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は 理由がないから棄却し、④一審原告会社の請求は、賠償金3300万円及び これに対する前同様の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから 認容し、その余は理由がないから棄却すべきところ、これと一部異なる原判 10 決は失当である。 よって、一審被告らの控訴はいずれも理由がないからこ 遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから 認容し、その余は理由がないから棄却すべきところ、これと一部異なる原判 10 決は失当である。 よって、一審被告らの控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却し、一 審原告らの控訴に基づき、原判決を上記のとおり変更することとして、主文 のとおり判決する。 東京高等裁判所第14民事部 15 裁判長裁判官 石 井 浩 裁判官 塚 原 聡 20 裁判官 篠 原 康 治

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