平成17(行ウ)42 行政義務付等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年3月16日 神戸地方裁判所 租税
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判決文本文27,568 文字)

- 1 -主文 原告らの,洲本市長が,別紙1記載の各土地及び別紙2記載の土地にかかる平成16年度固定資産課税台帳登録価格を,原告らの主張に係る登録価格にそれぞれ修正して登録することを求める義務付けの訴えをいずれも却下する。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 原告A株式会社の請求( )洲本市長は,原告A株式会社所有の別紙1記載の各土地にかかる平成1 6年度固定資産課税台帳の登録価格を同1・1の土地については,1億8928万9939円に同1・2の土地については,1億9018万2032円に同1・3の土地については,3億2543万7635円に同1・4の土地については,5692万1027円に同1・5の土地については,1億0581万4307円に同1・6の土地については,9074万9891円に同1・7の土地については,1110万0095円にそれぞれ修正し,それぞれ固定資産課税台帳に登録せよ。 ( )被告は,原告A株式会社に対し,1億0506万2551円並びにうち 1028万7997円に対する平成8年3月1日から,うち1021万7605円に対する平成9年3月1日から,うち1043万3122円に対する平成10年3月1日から,うち1063万1260円に対する平成11年3月1日から,うち1101万1042円に対する平成12年3月1日から各支払済みまで年5パーセントの割合による金員及びうち1109万1620- 2 -円に対する平成13年3月1日から,うち1117万4212円に対する平成14年3月1日から,うち1124万7200円に対する平成15年3月1日から,うち1024万9318円に対する平成16年3月1日から,うち871万9175円に対する平成17年3月1 2円に対する平成14年3月1日から,うち1124万7200円に対する平成15年3月1日から,うち1024万9318円に対する平成16年3月1日から,うち871万9175円に対する平成17年3月1日から各支払済みまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 原告B株式会社の請求( )洲本市長は,原告B株式会社所有の別紙2記載の土地にかかる平成16 年度固定資産課税台帳の登録価格を4億4479万3888円に修正し,固定資産課税台帳に登録せよ。 ( )被告は,原告B株式会社に対し,4145万0142円並びにうち39 7万7822円に対する平成8年3月1日から,うち393万5328円に対する平成9年3月1日から,うち403万3712円に対する平成10年3月1日から,うち413万4555円に対する平成11年3月1日から,うち423万7919円に対する平成12年3月1日から各支払済みまで年5パーセントの割合による金員及びうち427万1224円に対する平成13年3月1日から,うち430万5362円に対する平成14年3月1日から,うち434万0354円に対する平成15年3月1日から,うち445万0168円に対する平成16年3月1日から,うち376万3698円に対する平成17年3月1日から各支払済みまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 仮執行宣言第2事案の概要本件は,兵庫県洲本市内に不動産を所有する原告らが,洲本市長に対し,固定資産課税台帳(以下「課税台帳」という)の登録価格が不当に高く評価さ。 れていると主張して,原告らの主張する価格への修正及び課税台帳への登録をすることの義務付けを求めるとともに,被告に対し,原告らの主張する価格を- 3 -前提として,平成7年度から平成16年度まで納付した固定資産税の過払い らの主張する価格への修正及び課税台帳への登録をすることの義務付けを求めるとともに,被告に対し,原告らの主張する価格を- 3 -前提として,平成7年度から平成16年度まで納付した固定資産税の過払いにあたる部分について,選択的に民法703条,704条に基づき不当利得返還請求,国家賠償法1条1項に基づき国家賠償請求をし,かつ平成12年度から平成16年度分については,更に選択的に地方税法(以下「法」という)1。 7条に基づく過誤納金還付請求をするとともに,還付加算金請求をした事案である。 争いのない事実及び容易に認定することのできる事実等(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない)。 ( )当事者 ア原告ら(ア)原告A株式会社(以下「原告A」という)は,遅くとも平成6年。 より現在まで別紙1記載1ないし7の各土地(以下「原告A土地」という)を所有しており,被告に対して,固定資産税の納付義務を負う者。 である。 (イ)原告B株式会社(以下「原告B」という)は,遅くとも平成6年。 より現在まで別紙2記載の土地(以下「原告B土地」といい,これと原告A土地を併せて「本件各土地」という)を所有しており,被告に対。 して,固定資産税の納付義務を負う者である。 イ被告等(ア)洲本市長洲本市長は,固定資産の価格決定権者かつ課税台帳への価格登録権者であり(法410条1項,411条1項,課税台帳の登録価格等に重)大な錯誤があることを発見した場合には,直ちに決定された価格等を修正してこれを課税台帳に登録する義務を負う(法417条1項。 )(イ)被告被告は,固定資産税及び都市計画税の課税団体であり,洲本市内のα- 4 -に所在する本件各土地を課税客体として,固定資産税及び都市計画税を賦課し,徴収する(法342条1項,702条 (イ)被告被告は,固定資産税及び都市計画税の課税団体であり,洲本市内のα- 4 -に所在する本件各土地を課税客体として,固定資産税及び都市計画税を賦課し,徴収する(法342条1項,702条1項。 )( )固定資産税に関する法の規定 ア固定資産税の課税標準基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地の基準年度に係る賦課決定期日における価格で課税台帳等に登録されたものとされている(法349条1項。 )第2年度の課税標準は原則として基準年度の登録価格であるが,土地に関しては,①地目の変換その他これに類する特別の事情又は②市町村の廃置分合又は境界変更という事情があり,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当である等の場合においては,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格で課税台帳等に登録されたものとされている(同条2項。 )イ固定資産価格の決定法は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣の告示である固定資産評価基準(以下「評価基準」という)にゆだね。 (法388条1項,市町村長は,法389条又は743条の規定によっ)て道府県知事又は総務大臣が固定資産を評価する場合を除く外,法388条1項の評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない法,(403条1項。そして,ここにいう価格とは「適正な時価」をいう(法)341条5号。 )ウ固定資産税に関する不服申立て課税台帳に登録された価格に不服のある納税者は,固定資産価格の登録若しくは固定資産価格の修正登録の公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日までの間において又は法417条1項の通知を受けた日から60日以内に,当該固定資産所在地の市町村に設置された固定資産評価審- 5 -査委員会(以下「 公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日までの間において又は法417条1項の通知を受けた日から60日以内に,当該固定資産所在地の市町村に設置された固定資産評価審- 5 -査委員会(以下「審査委員会」という)に審査の申出をすることができ。 る(法432条1項。ただし,基準年度外の登録価格については,審査)申出できる事項は,土地に関しては,地目の変換その他これらに類する特別の事情を原因とする事項に限られている(法432条1項・349条2項1号。 )固定資産税の賦課についての不服申立てにおいては,法432条1項により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることはできない(法432条3項。 )法432条1項の規定により審査委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税の納税者は,審査委員会への審査請求及び同委員会の審査決定に対する取消しの訴えによってのみ争うことができる(法434条1項,2項。 )( )路線価方式(市街地宅地評価法)の概要(平成15年度評価基準第1章 第3節参照)ア市町村の宅地を商業地区,住宅地区,工業地区,観光地区等に区分し,当該各地区について,街路の状況,公共施設等の接近の状況,家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等からみて相当に相違する地域ごとに区分し(状況類似地区,当該地域の「主要な街路」に沿接する宅地のうち,奥)行,間口,形状等の状況が当該地域において標準的と認められる標準宅地を選定する。標準宅地の評価は,基準年度ごとに行われており,平成16年度評価に係る基準年度は平成15年度であり,平成15年度評価の期日は同年度の賦課期日である平成15年1月1日となる。 イ標準宅地について,売買実例価額から評定する適正な時価を求め, おり,平成16年度評価に係る基準年度は平成15年度であり,平成15年度評価の期日は同年度の賦課期日である平成15年1月1日となる。 イ標準宅地について,売買実例価額から評定する適正な時価を求め,これに基づいて当該標準宅地の沿接する「主要な街路」について路線価を敷設し,これに比準して「主要な街路」以外の「その他の街路」の路線価を付設するものとする。その際には「主要な街路」の路線価を基礎とし,そ,- 6 -れに沿接する標準宅地と「その他の街路」に沿接する土地との間における街路の状況や宅地利用上の便等の相違を総合的に考慮する。 ウそして,各筆の宅地の評点数は,その沿接する路線価を基礎とし,各筆につき評価の対象とすべき画地を認定し,奥行のある画地,正面と側面あるいは裏面等に路線がある画地などの状況にしたがって,所定の補正を加える方式(画地計算法)を適用して付設する。 エ画地計算法(平成15年度評価基準別表第3参照)画地計算の内容としては,奥行価格補正割合法,側方路線影響加算法,二方路線影響加算法,不整形地,無道路地,間口が狭小な宅地等評点算出法等がある。 ( )雑種地の評価方法の概要(平成15年度評価基準第1章第10節参照) ゴルフ場等の用に供する土地及び鉄軌道用地以外の雑種地の評価方法は,原則として,雑種地の売買実例価額から評定する適正な時価によってその価額を求める方法によるものとする(売買実例地比準方式。ただし,市町村)内に売買実例価額がない場合においては,土地の位置,利用状況などを考慮し,付近の土地の価額に比準してその価額を求める方法による(近傍地比準方式。 )( )本件における標準宅地及び本件各土地の地目等 本件では,標準宅地は,洲本市α××××番5の土地(以下「本件標準宅地」という)である。また,本件各土地の る方法による(近傍地比準方式。 )( )本件における標準宅地及び本件各土地の地目等 本件では,標準宅地は,洲本市α××××番5の土地(以下「本件標準宅地」という)である。また,本件各土地の全部事項証明書の地目及び課税。 明細書上の課税地目は,全て雑種地となっており,本件各土地はゴルフ場等の用に供する土地及び鉄軌道用地ではない。 ( )洲本市長が決定した固定資産価格,課税標準額及び税額並びに原告らに よる納税ア洲本市長による固定資産価格等の決定洲本市長は,原告A土地については,別紙3のとおり,原告B土地につ- 7 -いては,別紙4のとおり,平成7年度以降,評価額及び課税標準額並びに固定資産税及び都市計画税の税額を決定し,被告は同評価額を課税台帳に登録(以下「本件登録価格」という)したうえ,原告らに賦課した。 。 イ原告らによる納税原告らは,平成7年度分から平成16年度分まで,前記のとおり賦課された本件各土地にかかる固定資産税及び都市計画税を,被告に対して各納付期限までに納付した。 ( )原告らによる不服申立て 原告Aは,原告A土地の本件登録価格について,原告Bは原告B土地の本件登録価格について,平成16年6月3日,それぞれ審査委員会に対して審査の申出をしたが,同月17日付けで,いずれも却下の審査決定がなされた(甲5の1・2。 )( )本訴の提起 原告らは,平成17年7月29日,本訴を提起した。 争点 本件の争点は,以下のとおりである。なお,以下の各争点は,原告らに共通する争点である。 ( )本案前の争点 洲本市長に対する義務付け訴訟(以下「本件義務付け訴訟」という)の。 適法性(争点1)( )本案の争点 ア洲本市長に対する義務付け判決の可否(争点2)イ被告に対する民法703条,704条 洲本市長に対する義務付け訴訟(以下「本件義務付け訴訟」という)の。 適法性(争点1)( )本案の争点 ア洲本市長に対する義務付け判決の可否(争点2)イ被告に対する民法703条,704条に基づく不当利得返還請求権の存否(争点3)ウ被告に対する法17条に基づく過誤納金還付請求権の存否(争点4)エ被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権の存否(争点- 8 -5) 当事者の主張( )本案前の争点 争点1(本件義務付け訴訟の適法性)(原告らの主張)ア「他に適当な方法がない」(ア)審査委員会への不服申立制度との関係基準年度外の価格については,審査委員会への不服申立手続をとることはできない(法432条1項・349条2項1号。 )洲本市長は,原告らが審査委員会に対する申請権を有しており,上記不服申立ができるにもかかわらず不服申立をしなかったことを根拠に,本件義務付け訴訟は不適法であると主張する。しかし,平成16年度は基準年度ではなく,原則として原告らが本件各土地の本件登録価格を争うことはできないから,法律的に原告らに被告の主張する申請権はないため,被告の主張は失当である。 また,審査申出期間は,課税台帳に価格が登録された旨が公示された日から60日以内に限られ,この期間内に審査申出しなければ次の基準年度までの約34か月間,納税者は価格を争うことができなくなる。特に,審査申出期間経過後に不動産を購入した者は,次の基準年度まで,市町村長の価格等の評価について一切争えなくなる。 (イ)申告納税制度とのバランス申告納税制度課税と異なり,固定資産の価格等の評価に関する資料は行政に偏在しており,情報公開請求によっても上記資料の入手は極めて困難であるから,審査申出をすることは著しく困難である。 また,申告納税制 告納税制度課税と異なり,固定資産の価格等の評価に関する資料は行政に偏在しており,情報公開請求によっても上記資料の入手は極めて困難であるから,審査申出をすることは著しく困難である。 また,申告納税制度においては法定申告期間から1年以内に限り,税務署長に対して更正すべき旨を請求することができる(国税通則法23- 9 -条)こととのバランスも欠くといえる。 イ平成17年4月14日最高裁第1小法廷判決(以下「平成17年4月判決」という)。 平成17年4月判決は,過大に登録免許税を納付した者に,登録免許税法31条2項所定の請求の手続によらずとも登録免許税の過誤納金還付請求が認められる旨判断したものであるが,登録免許税と固定資産税は,その不服申立期間が徴収権の消滅時効期間(5年,法18条)と比較していずれも短期にすぎること及び申告納税制度と異なり納税者の自己責任として法的安定の要請を一方的に重視して処理することはできないことといった点で共通することから,同判決の射程は本件事案にも及ぶべきである。 審査委員会制度も,主として,納税者が訴訟に比して簡便に解決を期待できる制度として捉えるべきである。 ウ被告の主張に対する反論被告は,本件義務付け訴訟を認めることは,不服申立を制限した法の趣旨を没却すると主張する。しかし,法434条2項を反対解釈すれば,審査委員会に申し出ることができない事項については,審査申出及び取消訴訟により争う必要はないといえ,基準年度の登録価格を争う場合であっても審査申出を逸した場合には,審査を申し出ることができない事項に当たるといえるから,かかる場合に義務付け訴訟を認めることは法432条1項,434条2項の趣旨に反するとはいえない。 さらに,法417条1項も,市町村長が課税台帳の登録価格について重大な錯誤があることを発見し えるから,かかる場合に義務付け訴訟を認めることは法432条1項,434条2項の趣旨に反するとはいえない。 さらに,法417条1項も,市町村長が課税台帳の登録価格について重大な錯誤があることを発見した場合「直ちに」修正して登録「しなけれ,ばならない」と,市町村長に対し極めて強く価格等の修正を義務付けており,同条項に基づき本件義務付け訴訟は認められるべきである。 (被告の主張)ア本件義務付け訴訟の性質について- 10 -(ア)原告らは,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)37条の2。 に基づき,本件義務付けの訴えを提起している。しかし,同条は,行訴法3条6項1号に規定する場合のうち,同項2号に係る法令に基づく申請がなされた場合以外の場合における義務付けの訴えであり,本件のご,()とく法令により認められた申請権法434条1項による審査の申出を行使することで一定の処分を求める機会が与えられている場合は,その方法によるべきであって,行訴法3条6項1号の義務付けの訴えによる救済を求めることはできない。 (イ)固定資産の価格を早期に確定させる必要から,法は,登録価格に不服のあるときは,審査委員会への審査の申出をせずに訴訟をすることはできず,同委員会の審査決定に対する取消訴訟の方法のみによってしか争うことができないとしている(審査申出前置主義,裁決主義。法432条1項,3項,434条1項,2項。原告らは,審査決定に不服が)ある場合,同決定があったことを知った日から3か月以内であれば取消訴訟を提起できるにもかかわらず提訴をせず,同決定のときから既に1年経過している。 したがって,原告らは,本件登録価格を争うことはできず,本件各訴えは不適法である。 イ平成17年4月判決について同判決は,過誤納金の還付をすべき旨の請求に対し, のときから既に1年経過している。 したがって,原告らは,本件登録価格を争うことはできず,本件各訴えは不適法である。 イ平成17年4月判決について同判決は,過誤納金の還付をすべき旨の請求に対し,登録免許税の還付手続に関する規定の趣旨は,還付が円滑に行われるようにするため簡易な還付手続を設けたことにあると判示したものであり,本件のように独自に登録価格の係争方法を定める法の取扱いと同列に論じることはできない。 ウ原告らの主張に対する反論法417条による市長の職権修正が可能であること,審査申出期間経過後の購入者は,価格について納得して取得しているのが通常であること,- 11 -審査申出期間内にまず申出をしてから資料を集めればすむこと等から,原告らの主張はいずれも義務付け訴訟を適法化する根拠とはなり得ない。また,法432条1項の規定を反対解釈することは,固定資産価格の早期確定の必要性から審査申出期間を設けた趣旨自体を没却することになる。法417条も,重大かつ明白な誤りがある場合を前提としたものであり,本件事案とは明確に異なるので,同条を根拠に本件義務付け訴訟を認めることはできない。 ( )本案の争点 ア争点2(洲本市長に対する義務付け判決の可否)(原告らの主張)「」(「」(ア)処分の根拠となる法令の規定から明らか以下一義性の要件という)であること。 処分の根拠法令たる法417条1項は,市町村長が課税台帳に登録された価格等について重大な錯誤があることを発見した場合には,価格を修正して課税台帳に登録すべきことを規定している。そして,本件各土地についての洲本市長の評価には,後記のとおり,画地計算の欠落や雑種地補正(以下「雑補正」という)の過小等の点で重大な錯誤がある。 ことは明らかであるから,一義性の要件を満たすと 。そして,本件各土地についての洲本市長の評価には,後記のとおり,画地計算の欠落や雑種地補正(以下「雑補正」という)の過小等の点で重大な錯誤がある。 ことは明らかであるから,一義性の要件を満たすといえる。 平成15年6月26日最高裁第2小法廷判決は,適正な時価を一義的に認定した上,審査委員会の決定を取り消し,平成17年7月11日最高裁第2小法廷判決(以下「平成17年7月判決」という)は,適正。 な時価の一義的認定を前提に審査委員会の決定のうち,裁判所の認定した価格を超える部分を取り消せば足りるとの判断を示している。これらの判決は,裁判所が不動産の適正な時価を一義的に判断できるという前提に立っているといえる。 (イ)「裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となる」こと- 12 -評価基準は固定資産の評点付設について厳格に定めており,そもそも評点付設について行政庁に認められる裁量の範囲は極めて狭い。この点で,洲本市長が画地計算を全く行っていないことは洲本市長の裁量権の範囲を超え,濫用に当たることは明らかである。 (被告の主張)原告らの主張は争う。洲本市長の評価は,後記のとおり,その裁量の範囲内で適正に本件各土地を評価したものであり,適法である。 なお,平成17年7月判決は,納税者が適法に法及び行訴法の手続を履践したことを前提に審査委員会の決定についての取消の方法や範囲を判示したものであり,これらの手続きをとっていない本件とは全く事案を異にする。 イ争点3(被告に対する民法703条,704条に基づく不当利得返還請求)(原告らの主張)(ア)本件各土地の評価方法本件各土地は雑種地であり,評価基準によれば,売買実例地比準方式ないし近傍地比準方式によるべきである。洲本市長は,本件各土地について路線価方式によっているものと思われるが,路線価 件各土地の評価方法本件各土地は雑種地であり,評価基準によれば,売買実例地比準方式ないし近傍地比準方式によるべきである。洲本市長は,本件各土地について路線価方式によっているものと思われるが,路線価方式が適切に適用され,雑種地に特有の造成費用などを考慮した適切な補正がなされるのであれば,評価基準によらないとはいえ,これはこれで合理的な裁量の範囲内と言うことには異を唱えない。 (イ)路線価方式によった場合の適正な評価額a本件標準宅地の評価本件標準宅地の適正な鑑定評価額は,1平方メートルあたり8万3400円である(以下,不動産の評価額中,1平方メートルあたりの評価額については「1平方メートルあたり」を省略する。そして,。)- 13 -平成6年度以降の標準宅地の適正な時価を求める場合には,基準年度の初日の属する年の前年の1月1日の不動産鑑定士による鑑定評価等から求められた価格等の7割を目安として評定するものとされてお,,(. ),りこれによると5万8400円≒8万3400円×0 が本件標準宅地が面する「主要な街路(路線番号30502)の平成」15年度路線価となる。 なお,洲本市長の評価による本件標準宅地が面する「主要な街路」と「その他の街路」間の相対的な価格比率や,平成15年度と平成16年度との価格比については争わない。 したがって,本件各土地が関連する街路の平成16年度の適正な路線価は,別紙5の「平成16年度」欄に記載のとおりとなる。 b画地計算及び雑補正前記平成16年度の適正な路線価を前提に,画地計算を行うべきである。 また,本件各土地のような雑種地については,造成費相当額,付帯費用相当額,道路や公園の整備を原因とする潰れ地の発生による有効宅地の面積減少などを勘案した補正が必要である。そのための補正方 である。 また,本件各土地のような雑種地については,造成費相当額,付帯費用相当額,道路や公園の整備を原因とする潰れ地の発生による有効宅地の面積減少などを勘案した補正が必要である。そのための補正方法として,鑑定実務で利用される開発法によるべきである。 本件各土地は,リゾートブームが過ぎ去り,戸建て用地として分割利用することが最有効使用と想定されるところ,かかる使用を前提として開発法による算定を行うと別紙6「その他補正」欄記載のとおりの補正率が適正といえる。 c以上の方法によって,画地計算及び雑補正を行うと,本件各土地の評価額は,別紙6「固定資産税評価額」欄記載のとおりとなる。 (ウ)洲本市長の裁量権の逸脱又は濫用洲本市長の本件各土地の評価については,以下のとおり,裁量権の逸- 14 -脱又は濫用が認められる。 a本件各土地の評価方法洲本市長は,本件各土地の評価方法は近傍地比準方式であると主張するが,本件各土地の土地評価調書(以下「評価調書」という)に。 「路線価方式」と記載されている事実と矛盾する。 b本件標準宅地の評価(a)取引事例の選択,()洲本市長は本件標準宅地の鑑定評価時点平成14年1月1日の直近の取引事例である平成13年7月27日の事例(5万9649円)を採用せずに評価をしている。同事例は「土地の種別」は,「住宅地(標準」であり「類型」も「更地」で,取引「当事者),の属性」その他にも特別なものがないことから,各種補正の必要性も少なく,本来最も重視すべき事例であるにもかかわらず,同事例を特段の事情もなく採用しないことは考慮事項の不考慮として,その裁量判断に過誤があり,違法である。 C不動産鑑定士(以下「C鑑定士」という)は,公示価格や基。 準地価格が慎重に設定されているにもかかわらず,上記取引事 採用しないことは考慮事項の不考慮として,その裁量判断に過誤があり,違法である。 C不動産鑑定士(以下「C鑑定士」という)は,公示価格や基。 準地価格が慎重に設定されているにもかかわらず,上記取引事例の価格がこれらの価格と乖離していることを理由として上記事例を不採用としたと述べるが,これらの価格も取引事例を収集して評価するはずであり,その際に取引事例カード(以下「事例カード」という)も参考にされているはずである。そうすれば,事例カード自。 体に後記のとおり恣意的な補正があれば,これらの価格も適正を欠き,上記事例を排斥する基準とはなりえないものである。 (b)恣意的な事情補正i洲本市長(の依頼を受けたC鑑定士)が取引事例比較法で採用した3つの事例のうち,2つの事例で格別の理由なく,それぞれ- 15 -25パーセント,20パーセントという極めて過大な事情補正を,。 行い10万5000円という意図的に高額な評価を行っている増額補正すべき特殊な事情としては,売主が不動産に関し明らかに知識や情報が不足している状態において過少な額で取引された場合や相続,転勤などにより売り急いで取引が行われた場合である。被告作成の標準宅地調書(別紙7)記載の平成12年5月の取引事例b及び同年11月の取引事例aも「売り急ぎ」を理,由に補正がされているが,両取引の売主は法人,買主は個人であり,上記のような特殊な事情等は認められない。 被告の作成した事例カードには特段の理由無く「売り急ぎ」認定された事例が極めて多いところ,C鑑定士は,リゾート地域では景況感の影響が極めて大きいため,一般地域よりも売り急ぎが多くなるなど述べるが,不況という社会情勢やリゾート地域という土地の属性のように,取引当事者に固有の事情以外の影響による土地需要の減少や価格の下落は,まさ 極めて大きいため,一般地域よりも売り急ぎが多くなるなど述べるが,不況という社会情勢やリゾート地域という土地の属性のように,取引当事者に固有の事情以外の影響による土地需要の減少や価格の下落は,まさに客観的交換価値の下落を意味するものである。 被告は,事例カードは規範性を有すると主張するが,規範性がiiあると規定した法令はない。また,別紙7の前記取引事例b(補正率マイナス20パーセントと別紙8の同事例の事例カード補)(正率マイナス30パーセント)を比較すれば,かかる主張に理由がないことは明らかである。 このような被告の評価方法は,不可考慮事項を考慮するものとして,裁量権を逸脱,濫用したものといえる。 (c)基準地の選択等洲本市長が本件標準宅地の評価にあたって考慮した基準地は,基「()。 」(「」準地洲本県5-2洲本市β××番1以下本件基準地- 16 -という)であるところ,本件基準地は,本件各土地の属する埋立。 地から直線距離で2キロメートルも離れ,土地の性質も本件各土地。 ,,と大きく異なっているしかも本件各土地が属する埋立地内には基準地「洲本(県)5(洲本市α××××-14,以下「基準地」5」という)が存在し,性質も本件各土地と類似しているのだか。 ら,同基準地から比準すべきである。 さらに,洲本市長(の依頼を受けたC鑑定士)は,本件基準地の平成13年7月1日の基準価格について,時点修正としてマイナス3.7パーセントを見込んで平成14年7月1日時点の基準価格を鑑定しているが,その後発表された本件基準地の同日時点の基準価格は15パーセント下落していることから,基準価格の補正においても意図的に高額な鑑定評価を行っている。 したがって,本件基準地を選択した鑑定を採用して本件標準宅地を評価した 基準地の同日時点の基準価格は15パーセント下落していることから,基準価格の補正においても意図的に高額な鑑定評価を行っている。 したがって,本件基準地を選択した鑑定を採用して本件標準宅地を評価した洲本市長は,要考慮事項を考慮せず,不可考慮事項を考慮したといえ,その裁量権を逸脱又は濫用した違法がある。 c画地計算の要否,,洲本市長は近傍地比準方式では画地計算は裁量事項であるとして画地計算を一切行っていない。 固定資産評価基準解説(以下「評価基準解説」という)は,評価。 基準を具体化したものとして評価基準と同様に裁判規範となりうるものである。そして,評価基準解説によれば「比準」においては土地,の形状などの画地条件等を考慮すべきとされており,また,宅地に介(),在する雑種地荒ぶ地で宅地にする目的で埋立中の土地については結局市街化区域農地の評価方法に準じて評価すべきものとされているところ,市街化区域農地のうち主として市街地的形態を形成する地域に所在する市街化区域農地の基本価額の算定にあたっては「市街地,- 17 -宅地評価法に準ずる方法・路線価を基礎として画地計算法」をとる旨定められている。 したがって,洲本市長が画地計算を一切行わなかったことは,その裁量権を濫用又は逸脱したものである。 d雑補正の過小洲本市長は,本件各土地の評価にあたって,一律に雑補正として10パーセントの減点を行うのみである。しかし,前記のとおり,本件各土地の評価は,開発法により行うべきである。 e雑種地評価と宅地評価との逆転現象洲本市長の評価方法によれば,本件各土地は,雑種地評価の方が宅地評価よりも10パーセントから35パーセントも高額に評価されてしまうことになる。かかる結果は,雑種地のほうが宅地よりも低額であるという社会通念,経験則に反す れば,本件各土地は,雑種地評価の方が宅地評価よりも10パーセントから35パーセントも高額に評価されてしまうことになる。かかる結果は,雑種地のほうが宅地よりも低額であるという社会通念,経験則に反する。 (エ) 結論 a一般に行政処分が無効となるには,その行政処分に内在する瑕疵が重大な法規違反であり(重大性,かつ,その瑕疵の存在が客観的に)明白であること(明白性)の2つの要件を備える必要があるとされる(重大明白説。しかし,明白性の要件については,本件のような課)税処分に関する事案の場合には「課税処分が課税庁と被課税者との,間にのみ存するもので,処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと(最高裁判決昭和48年4月26日参照)からす」れば,この明白性の要件は不要と解するべきである。 b以上より,本件各土地の平成16年1月1日時点の価格は,別紙6「固定資産税評価額」欄記載のとおりであり,洲本市長は,本件各土地全体として約79パーセントも高額に評価していることになる。 かかる洲本市長の価格決定及び賦課決定は,評価基準の適用に関し- 18 -て,前記のとおり,本件標準宅地の価格評価における過剰補正等の過誤,本件各土地の評価における画地計算の無視及び雑補正の過小などにより,雑種地評価と宅地評価とで逆転現象を生じさせるなどといった重大な錯誤,瑕疵があるため,無効というべきである。 したがって,原告らは,被告に対し不当利得返還請求権を有するというべきである。 (被告の主張)(ア)本件各土地の評価方法洲本市長は,本件各土地を現況主義により雑種地と認定し,その価格を近傍地比準方式により算出している。具体的算出方法としては,本件各土地が沿接する路線価に雑補正率90パーセントを乗じた額をもって算出している。これは,近傍地比準方式 により雑種地と認定し,その価格を近傍地比準方式により算出している。具体的算出方法としては,本件各土地が沿接する路線価に雑補正率90パーセントを乗じた額をもって算出している。これは,近傍地比準方式が「土地の位置,利用状況を考慮し,付近の土地の価額に比準してその価額を求める」としているこ。 とから「路線価」による標準宅地を近傍地とすることで「位置」を,,「雑補正率」を乗じることで「利用状況」をそれぞれ比準することを意味するものであり,このような雑種地に対する評価は,課税実務上一般的手法である。 (イ)「主要な街路」の路線価付設洲本市長は,前記のとおり,本件各土地の評価に当たり,路線価方式による標準宅地が面する「主要な街路」の路線価を,近傍地比準方式にいう付近の土地の価額として用いているため,本件標準宅地を選定し不動産鑑定士による鑑定評価を実施した。その鑑定結果は別紙7のとおりであり,平成14年1月1日時点での本件標準宅地の価格は,10万5000円である。 そして,上記鑑定結果を基に,その7割を路線価として付設した。具体的には,前記10万5000円に,半年分の時点修正を行った平成1- 19 -4年7月1日時点の価格が9万7900円で,この7割である6万8500円(端数処理済。端数処理の方法は,先頭から3桁を残し,残りを切り捨てる)を「主要な街路(路線番号「30502)の路線価と。 」」した。 (ウ)「その他の街路」の路線価について前記路線価の10割価格を基礎として「主要な街路」と「その他の,街路」の要因の比較を行い,各要因ごとに格差を出し,これらを合計して「その他の街路」の路線価を付設した。具体的には,街路条件,交通・接近条件,環境条件,行政的条件の4条件ごとの補正率を乗じて上記と同様に端数処理をしたのち,7割に戻す方 格差を出し,これらを合計して「その他の街路」の路線価を付設した。具体的には,街路条件,交通・接近条件,環境条件,行政的条件の4条件ごとの補正率を乗じて上記と同様に端数処理をしたのち,7割に戻す方法によって「その他の街,路」の路線価を算出する。本件各土地については,上記の方法により,別紙9「新評価格」欄記載のとおり,各「その他の街路」の路線価を算出した。 (エ)本件各土地の評価「その他の街路」の路線価に対して雑補正率90パーセントを乗じることで,近傍地比準方式による雑種地の評価を行っている。もともと,近傍地比準方式による場合は,画地計算を行うか否かは裁量であって,その裁量の範囲内で雑種地自体の形状,街路との関係,広さ,造成の程,。 度利用用途等々を主たる補正要因として総体として1割減としている(オ)原告らの主張に対する反論a本件各土地の評価方法について原告らは,本件各土地の評価調書の評価式欄に「路線価方式」との記載があることを根拠に,洲本市長が路線価方式によって本件各土地を評価していると主張する。しかし,被告においては,土地の評価にあたって路線価を採用している土地(路線価地域内にある土地)については,すべてこのように表記し,標準地の価格を基に評価額を算出- 20 -している土地については比準方式と表記しているのであって評「」,「」。 価式欄は路線価方式で評価しているか否かを表示するものではないb本件標準宅地の評価について原告らは,洲本市長が2事例について過大な事情補正を行ったなどと主張するが,鑑定人の使用した事例カードには規範性があり,補正率を恣意的に変更することはできないから10万5000円の評価額は適正妥当なものである。 その他,原告らの主張する本件標準宅地の評価に関する裁量権の逸脱,濫用の点 た事例カードには規範性があり,補正率を恣意的に変更することはできないから10万5000円の評価額は適正妥当なものである。 その他,原告らの主張する本件標準宅地の評価に関する裁量権の逸脱,濫用の点は争う。 c画地計算について本件各土地は前記のとおり近傍地比準方式によって評価したものであるから,画地計算はそもそも問題とならない。 原告らは,評価基準解説が裁判規範になりうる,形状等の画地条件が「比準」の考慮要素である,市街化区域農地の評価方式を雑種地評価に参酌すべきであるなどと主張する。しかし,近傍地比準方式でも形状などは考慮している上,本件各土地が荒ぶ地であるかの如くいう原告らの主張自体,本件各土地が公有水面を埋め立てて整地化が完了した土地であることを無視したものである。 d雑補正について原告ら主張に係る開発法は評価基準の定めにはない。広大地補正をすべきという点については否認する。 また,原告らは,画地計算を採用しなければ宅地評価の場合よりも雑種地評価の方が評価額が高くなり,社会通念,経験則に反すると主張する。しかし,雑種地にも様々な形態があり,とりわけ本件各土地は,多額の資金を投入して公有水面を埋め立て造成されたリゾート地として開発された土地であることや,1筆あたりの面積が大規模で,- 21 -家屋の建築等も通常の状態において行いうるなどその形状も不整形による利用上の制約が少ない土地であること等から,地目は「雑種地」でも宅地以上の交換価値を具体化する土地であるといえる。現に,本件各土地のある埋立地について最初に固定資産評価がなされた昭和50年当時の資料によれば,近隣地の最も高額な宅地と比べても30パーセントあまりも高額に評価されており,しかも昭和50年以降も本件各土地の形状にはほとんど変化はない。 したがって,上記原告らの主 和50年当時の資料によれば,近隣地の最も高額な宅地と比べても30パーセントあまりも高額に評価されており,しかも昭和50年以降も本件各土地の形状にはほとんど変化はない。 したがって,上記原告らの主張は理由がない。 e以上のとおり,洲本市長による本件各土地の評価方法は近傍地比準方式に基づくものであり,その具体的評価についても,評価基準にしたがい,洲本市長の裁量の範囲内で行われた適法なものである。 (カ) 結論 原告らによる既納付税金はいずれも価格決定及び賦課決定に基づき正当に徴収されたものであるから,これらの処分が前記のとおり適法なものであり,重大かつ明白な瑕疵に基づく無効なものでないことが明らかである以上,その無効を前提とする原告らの不当利得返還請求の主張は失当である。 なお,行政処分の無効要件として明白性が不要であるとの原告らの主張は争う。 ウ争点4(被告に対する法17条に基づく過誤納金還付請求)(原告らの主張)法17条は,賦課決定に瑕疵があって違法と認められる場合は,その瑕疵が重大でなくても被課税者には地方公共団体に対する還付請求権が認められることを規定したものである。 (被告の主張)過誤納金の還付を求める給付訴訟は,公法上の当事者訴訟の一種である- 22 -と解されるところ(行訴法4条,そのためには,まずその基礎となって)いる固定資産税の賦課決定処分について取消訴訟を提起し同処分が取り消される必要があるところ,原告らはかかる手続を経ていないので,原告らの主張は失当である。 また,本件各土地についての賦課決定は前記のとおり適法であるから,同決定は無効ではなく,不当利得返還請求権が発生しないのは争点3と同様である。 エ争点5(被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求)(原告らの主張)(ア)取消訴訟と国家賠償 るから,同決定は無効ではなく,不当利得返還請求権が発生しないのは争点3と同様である。 エ争点5(被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求)(原告らの主張)(ア)取消訴訟と国家賠償請求訴訟は制度趣旨,効果を異にすること,また,国家賠償請求を認容したことによって取消訴訟制度の排他的管轄が損なわれるものではないことから,被告に対する国家賠償請求が認容されても不服申立前置の趣旨に反することにはならない。 (イ)前記のとおり,本件各土地に対する課税処分には重大な瑕疵があるため,国家賠償法上違法といえる。仮に本件各土地に対する課税処分に重大な瑕疵があるとはいえない場合であっても,本件登録価格が,その賦課期日における客観的な交換価値を上回れば,法341条5号違反として,少なくとも評価基準に基づかない違法な賦課である以上,国家賠償法上も違法となる。 国家賠償法上の違法について被告の主張する職務行為基準説は,少なくとも安易に一般の行政活動についてまで適用されるべきものではない。職務行為基準説を採用したとされる最高裁平成5年3月11日第1小法廷判決(以下「平成5年3月判決」という)は申告納税制度下の。 事案であり,市町村長によって一方的に決定及び賦課される固定資産税には,同判決の射程は及ばない。仮に職務行為基準説が妥当するとしても,本件各土地の本件登録価格が適正な時価であることは被告が主張,- 23 -立証すべきである。 (ウ)本件では,原告らは,平成3,6年の基準年度に審査委員会への審査請求を行うなどして,評価の見直しを求めている。洲本市長は原告らからの審査請求等に対し再考の機会が付与されたにもかかわらず検討を怠り,従前の画地計算を行わないままの評価を継続した。本件各土地の評価調書の内容からは画地計算が行われていない事実は明ら 市長は原告らからの審査請求等に対し再考の機会が付与されたにもかかわらず検討を怠り,従前の画地計算を行わないままの評価を継続した。本件各土地の評価調書の内容からは画地計算が行われていない事実は明らかであるから,被告には国家賠償法上の過失が認められる。 (エ)消滅時効の起算点については,被害者が損害の発生を現実に認識したときと解すべきところ(最判平成14年1月29日参照,課税明細)書によって原告らがそれを認識することは不可能であり,原告らが平成15年初めに被告から本件標準宅地及び本件各土地の評価調書を受け取ったときから起算すべきであり,未だ消滅時効は完成していない。 (被告の主張)(ア)課税処分や金銭給付処分のような金銭の徴収・給付を目的とする処分の場合は,金銭の債権債務に関わるものであるから,取消訴訟と国家賠償請求訴訟は同一の機能を有するといえ,行政上の不服申立てを経ない国家賠償請求を認容することは不服申立前置の趣旨を潜脱するものとして許されない。 (イ)取消訴訟の違法性と国家賠償法上の違法性は同一ではなく,後者の違法性は侵害行為と被侵害利益の相関関係によって決定されるもので,行政処分の根拠法令違反が直ちに国家賠償法上の違法を意味するものではない(職務行為基準説。平成5年3月判決も,この立場に立ってい)る。 (ウ)仮に違法性があるとしても,洲本市長には,本件登録価格の登録について故意も過失もなく,原告らは審査委員会への審査申出及び取消訴訟という手続さえ踏めば損害を回避できたのであるから,公権力行使と- 24 -損害の間に因果関係もない。 (エ)さらに,国家賠償法に基づく損害賠償請求権には民法724条が適用されるところ(国家賠償法4条,原告らは,平成3年5月以降,毎)年損害の発生を容易に知りえたのだから,少なくとも平 係もない。 (エ)さらに,国家賠償法に基づく損害賠償請求権には民法724条が適用されるところ(国家賠償法4条,原告らは,平成3年5月以降,毎)年損害の発生を容易に知りえたのだから,少なくとも平成7年度分から平成14年度分の損害賠償請求権は,時効消滅している。 第3当裁判所の判断 争点1について( )本件義務付け訴訟の法的性質について 原告らは,法417条1項に基づいて,洲本市長が本件登録価格を原告らの主張に係る価格に修正し,かつ修正後の価格を登録するよう求めて本件義務付け訴訟を提起していることが明らかであるところ,法には,そもそも納税者に,市町村長に対して納税者の求める価格への修正及び修正価格の登録を求める申請権を定めた規定は存在しない。したがって,本件義務付け訴訟は,いわゆる申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)ではなく,非申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項1号)にあたる。原告らは,審査委員会が本件各土地の登録価格に関して特定の裁決をなすことの義務付けを求めているものではないから,原告らが法432条1項に基づき審査委員会に審査申出することができることは,本件義務付け訴訟の法的性質を考えるうえで考慮する必要はない。これに反する被告の主張は採用しない。 ( )本件義務付け訴訟の適法性について ア法は,登録価格に不服がある場合は,審査委員会に対する審査申出(法432条1項)ができ,同委員会の決定に不服のある納税者はその取消しの訴えを提起することができる(法434条1項)としている。そうすると,固定資産の価格に対する不服については,上記審査申出及び取消訴訟という争訟方法が法律上用意されているといえる。また,上記審査申出又は取消訴訟に理由があるとされた場合は,通常市町村長によって登録価格- 25 -が修正されて については,上記審査申出及び取消訴訟という争訟方法が法律上用意されているといえる。また,上記審査申出又は取消訴訟に理由があるとされた場合は,通常市町村長によって登録価格- 25 -が修正されていることを考慮すれば,他に適切な争訟手段が存在するといえる。 したがって,固定資産の価格に不服を有する原告らは,上記審査申出及び取消訴訟を通じて市町村長に対し登録価格の修正及び修正価格の登録をさせることができるといえ「損害を避けるため他に適当な方法がない」,(補充性の要件)場合とはいえず,本件義務付け訴訟は不適法であると解すべきである。 イ(ア)原告らは,①登録価格に対する不服について争訟方法及び期間が制限されすぎていること,②審査申出期間経過後に不動産を購入した場合は,次の基準年度まで一切登録価格について争えないこと,③申告納税制度と比較した場合の行政への資料の偏在や不服申立期間が短すぎること等を主張して,本件義務付け訴訟を認めるべきであると主張する。 しかし,これらの主張は,いずれも現行の登録価格についての据置制度及び不服申立制度の不当をいう立場から,立法の欠陥を義務付けの訴,,えの解釈を通して修正補完しようとするものといえるが後記のとおり現行の前記据置制度及び不服申立制度がその立法趣旨に反する解釈を他の規定においてしなければならないほど不当であるとは到底解されない。 したがって,上記原告らの主張をもって本件義務付け訴訟が許容されるとするのは相当でない。 (イ)また,原告らは,法434条2項の反対解釈や法417条1項の存在をもって,本件義務付け訴訟を許容すべきとも主張する。 しかし,法432条1項は,審査申出期間について,課税台帳の縦覧期間の初日から納税通知書の交付を受けた日後60日以内などと規定して制限している。また,審査委員 義務付け訴訟を許容すべきとも主張する。 しかし,法432条1項は,審査申出期間について,課税台帳の縦覧期間の初日から納税通知書の交付を受けた日後60日以内などと規定して制限している。また,審査委員会に審査の申出をすることのできる事項について不服のある納税者は,法432条1項及び法434条1項の- 26 -規定によってのみ争うことができると規定して(法434条2項,審)査申出前置主義及び裁決主義を採用している。このように,法が登録価格について不服申立ての期間及び方法を制限した趣旨は,法が,審査委員会は,上記審査申出があった場合には,その申出を受けた日から30日以内に審査の決定をしなければならない(法433条1項)としていることや審理についても書面審理を原則としている(同条2項)ことなども勘案すると,膨大な数にのぼる固定資産についてその価格を早期に安定させ,もって固定資産課税の円滑な賦課執行を図る点にあるといえる。そうすると,法434条2項を原告らの主張のように審査委員会へ不服を申し出ることができない事項について別異の不服申立手続を予定したものであると解して本件義務付け訴訟を許容することは,法が登録価格に対する不服申立ての期間及び方法を制限した趣旨に反する結果を招くものといえる。 また,法417条1項は,市町村長が重大な錯誤を発見したときに修正登録を義務付ける規定にすぎないことから,上記不服申立制限の趣旨も併せて考慮すると,同条項の存在をもって本件義務付け訴訟の根拠規定と解することは無理があるといわざるを得ない。 (ウ)さらに,原告らが根拠とする平成17年4月判決は,登録免許税法には法434条2項のように不服申立てを制限した規定も見受けられず,登録免許税法31条2項は登録免許税の還付手続について簡易な方法を定めたものと解されるこ 拠とする平成17年4月判決は,登録免許税法には法434条2項のように不服申立てを制限した規定も見受けられず,登録免許税法31条2項は登録免許税の還付手続について簡易な方法を定めたものと解されることから,不服申立てを制限して固定資産課税の円滑な賦課執行を図った本件とは事案が異なるといえる。 (エ)したがって,原告らの前記主張は,いずれも本件義務付け訴訟を許容する根拠となるものではない。 ウよって,本件義務付け訴訟は,補充性の要件を欠くといえるため,争点2について判断するまでもなく不適法であるから,却下を免れない。 - 27 - 争点3,4について( )過誤納金の還付(法17条)は,公法上の不当利得の返還と解すべきで あるから,納付済みの固定資産税が賦課決定処分の無効等により法律上の原因を欠く不当利得であるとしてその返還を求める訴訟は,誤納金の還付請求訴訟にほかならない。したがって,本訴において原告らの主張する不当利得返還請求権と過誤納金還付請求権は,実質的には同一であるが,過誤納金に関する法の規定が民法の不当利得の規定の特則と解されることからすると,原告らの請求債権は,平成7年度ないし平成11年度に納付した固定資産税の返還を求める部分を含めて誤納金還付請求権であるというのが正確である(本件のような場合,過誤納金の還付請求権が法18条の3により時効消滅した後に,民法上の不当利得返還請求権に基づく返還請求をすることはできないと解すべきところ,原告らが民法上の不当利得返還請求権に基づくとして返還請求するものの一部は,被告の援用によることなく時効消滅していることが明らかであるが,ここでは措く。 。)賦課決定処分により具体的納税義務が確定し,これに基づき租税が納付された場合,当該賦課決定処分に重大かつ明白な瑕疵がありこれが無効であ く時効消滅していることが明らかであるが,ここでは措く。 。)賦課決定処分により具体的納税義務が確定し,これに基づき租税が納付された場合,当該賦課決定処分に重大かつ明白な瑕疵がありこれが無効であるか,または,当該賦課決定処分が取り消されない限り,その租税納付が法律上の原因を欠くとはいえない。賦課決定に瑕疵があって違法と認められる場合は,その瑕疵が重大ではなく,かつ,賦課決定が取り消されていなくても法17条により還付請求が認められる旨の原告らの主張は,法的根拠を欠くものであり採用できない。 ( )原告らは,洲本市長による本件登録価格の決定及び賦課決定の無効を理 由として,不当利得の返還を請求しているところ,前記のとおり,法は固定資産税の価格に対する不服申立ての方法及び期間を制限しているものの,かかる制限も,登録価格の決定及び賦課決定について重大かつ明白な瑕疵がある場合にまで,審査委員会への審査申出及び取消訴訟の提起という手続によ- 28 -らずに上記各決定の無効を主張することまで否定するものではないと解される。 ( )以下,本件登録価格の決定及び賦課決定に重大かつ明白な瑕疵があるか 否かについて検討する。 ア「適正な時価」の意義について法341条5号にいう適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち客観的な交換価値をいうと解され,課税台帳に登録された価格が賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば,当該価格の決定は違法となる。そして,前記のとおり,市町村長は,評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない(法403条1項)が,法が総務大臣の告示に委任したのは適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準を定めることであって,賦課期日における客観的な交換価値を上回る価格を算定す しなければならない(法403条1項)が,法が総務大臣の告示に委任したのは適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準を定めることであって,賦課期日における客観的な交換価値を上回る価格を算定することまでも委ねたものではない(最高裁平成15年6月26日第1小法廷判決・民集57巻6号723頁参照。ただ,評価基準に定める評価方法は,一般的な合理性があるという)ことができるから,評価基準が定める評価方法によっては適切に算定することができない等特別の事情が存しない限り,その適正な時価であると推認される(最高裁平成15年7月18日第2小法廷判決・裁判集民事210号283頁参照。 )イ本件各土地の評価方法について評価基準によれば,本件各土地のような雑種地について当該市町村内に売買実例価額がない場合には,土地の位置,利用状況などを考慮し,付近の土地の価額に比準してその価額を求める近傍地比準方式によるとされている。 証拠(乙22)によれば,洲本市長は,近傍地比準方式により本件各土地の価額を求めたことが認められる。原告らは,本件各土地の評価調書の- 29 -評価式欄に「路線価方式」との記載があることをもって洲本市長の評価方法が路線価方式であったと主張するが,前掲証拠によれば,被告においては,路線価地域内の土地で路線価を利用した土地については評価調書の評価式欄にすべて「路線価方式」と記載し,標準地の価格から評価額を比準している土地については同評価式欄に「比準方式」と記載していることが認められるから,同評価式欄に「路線価方式」と記載されていても,それだけでは前記認定は左右されない。なお,被告が主張するように「路線,価」による標準宅地を近傍地とすることで「位置」を「雑補正率」を乗,じることで「利用状況」をそれぞれ比準することによって雑種地で だけでは前記認定は左右されない。なお,被告が主張するように「路線,価」による標準宅地を近傍地とすることで「位置」を「雑補正率」を乗,じることで「利用状況」をそれぞれ比準することによって雑種地である本件各土地の価格を算定することも,評価基準に定める近傍地比準方式の一評価方法として認めうるものといえる。 ウ本件標準宅地の評価について(ア)事例カードの恣意的な事情補正の有無について原告らは,本件標準宅地の価格の鑑定をしたC鑑定士が取引事例比較,()法において採用した3事例のうち2事例別紙7の取引事例a及びbで格別の理由なく過大な事情補正を行い,意図的に高額な評価をした旨主張する。 ,(,,),しかし 証拠 甲4の1乙20 及び弁論の全趣旨によればC鑑定士が採用した取引事例は,いずれも事例カードに登載された取引事例であること,事例カードは,複数の不動産鑑定士等の評価員により公示価格及び基準値価格の検討がなされる際に収集された取引事例をカード化したものであり,その作成は分科会毎に決められた作成担当者が行い,その事情補正も,主として作成担当者が判定すること,事情補正は「売り急ぎ」及び「買い進み」の2つに区分するのが通例であるこ,と,他の評価員が当該カードの取引事例を採用する場合,事情補正についても事例カード記載のとおり採用するのが原則であることが認められ- 30 -る。前記認定の事例カードの作成方法等からすると,C鑑定士が,恣意的な事情補正をしたとは認められない。ただし,証拠(甲4の1,乙23)によれば,原告らが主張するとおり,上記取引事例bの事例カードの補正率(マイナス30パーセント)と本件標準宅地の評価にあたり採用した同事例の補正率(マイナス20パーセント)とが異なるが,C鑑定士は,事例カードの らが主張するとおり,上記取引事例bの事例カードの補正率(マイナス30パーセント)と本件標準宅地の評価にあたり採用した同事例の補正率(マイナス20パーセント)とが異なるが,C鑑定士は,事例カードの補正率(マイナス30パーセント)を採用した補正後の評価額が他の取引事例における補正後の評価額と比較して幾分高額であったこと等から,補正率をマイナス20パーセントに修正して調,,整を図ったことが認められかかる措置は一応合理的なものといえるし少なくとも,原告らに有利な方向での修正であり,評価額を高額化させるための恣意的操作でないことが明らかである。 なお,平成11年度,12年度における景況感は一般的には下火であり(公知の事実,かかる不況下において「売り急ぎ」は一般的に多く)見られること,平成14年度におけるγでの取引事例においては「売,り急ぎ」と判定された事例は「買い進み」と認定された事例よりも多かったこと(乙23)などに照らすと,C鑑定士が採用した事例カードの作成者が「売り急ぎ」と判定して事情補正したことが不合理であるとも認められない。 (イ)取引事例の選択について原告らは,前記のとおり,平成13年7月27日の取引事例を採用すべきと主張する。しかし,同取引事例の取引価格5万9649円は,同取引事例における対象地の近郊に存在する基準地5の平成13年7月1日時点の価格10万2000円の6割に満たない価格(乙21,23)であり,一般に基準地価格自体が複数の不動産鑑定士等の評価員の合議等を経て慎重に価格形成要因が分析され決定されていること(乙23)を考慮すると,C鑑定士が同基準地価格の6割に満たない価格で取引さ- 31 -れた同取引事例を採用しなかったことが不合理であるとはいえない。 原告らは,基準地価格が恣意的に事情補正された事例カード を考慮すると,C鑑定士が同基準地価格の6割に満たない価格で取引さ- 31 -れた同取引事例を採用しなかったことが不合理であるとはいえない。 原告らは,基準地価格が恣意的に事情補正された事例カードに基づいて決定されているため,基準地5の価格自体が適正でないとも主張するが,前記のとおり,事例カードに対する恣意的な事情補正があったとは認められない。 (ウ)基準地の選択等について,,。 原告らは基準地の選択について基準地5を採用すべきと主張するしかし,原告らが根拠とする不動産鑑定評価書も同基準地ではなく,本件基準地を採用して本件標準宅地の評価を行っていること(甲3,基)準地5は都市計画法上の住宅地域に属する一方で,本件標準宅地と本件基準地は共に商業地域に属すること(甲3,乙23)や臨海した観光地域に属するといえること(甲3,乙10,23)等からすれば,C鑑定士が本件基準地を選択したことに不合理はないというべきである。 なお,原告らは,本件基準地の時点修正は3.7パーセントしかなされていないが,平成13年7月1日から平成14年7月1日までの下落率は15パーセントである旨主張するが,C鑑定士は,本件基準地の平,,成15年1月1日時点での価格を評価するにあたり評価基準に基づき平成14年1月1日を価格調査基準日として,同日から平成14年7月1日までの時点修正として3.7パーセントを考慮しているである(乙10,20)から,原告らの主張はそもそも前提を欠く。また,同鑑定士の上記鑑定方法によれば,平成14年1月1日から同年7月1日までの下落率は毎月約0.6パーセントとなると認められるところ,原告らが根拠とする不動産評価鑑定書も同時期の下落率について毎月0.6パーセントと評価している(甲3)ことから,当時の下落率も適正に評価されている は毎月約0.6パーセントとなると認められるところ,原告らが根拠とする不動産評価鑑定書も同時期の下落率について毎月0.6パーセントと評価している(甲3)ことから,当時の下落率も適正に評価されているといえ,何ら瑕疵はないものというべきである。 ,,(エ)以上よりC鑑定士のした本件標準宅地の鑑定評価には誤りはなく- 32 -これを採用して行った洲本市長による本件各土地の価格決定にも重大な瑕疵は認められない。なお,乙23号証において,C鑑定士が原告B土地の課税標準額と基準地5の価格を比較している点には問題があるとしても,これが洲本市長による本件各土地の評価に関する部分と直接に関係するわけではないから,その点をもって乙23号証の信用性が否定されるとまではいえない。 エ画地計算の要否について本件各土地について,被告の主張する近傍地比準方式の下では,評価基準はもとより評価基準解説によったとしても画地計算は必要的であるとはいえず,裁量事項であると認められる。 原告らは,形状等の画地条件の考慮が近傍地比準方式における「比準」の要素であると主張する。しかし,画地条件の考慮が「比準」の一要素であったとしても,そのことが常に画地条件を現実に数値的に考慮することが必要であるということまで意味するものではない。また,原告らは,宅地にする目的で埋立中の宅地介在雑種地(荒ぶ地)の取扱を基に,本件各土地についても画地計算が必要である旨主張するが,対象地の状況が異なるから採用できない。 したがって,画地計算を行っていないことが,洲本市長の裁量権の逸脱又は濫用に当たるとまではいえない。 オ雑補正の過小について洲本市長は,本件各土地について,一律にマイナス10パーセントの補正を行うのみであるところ,かかる雑補正についても,本件各土地が,リゾート用地として海面 とまではいえない。 オ雑補正の過小について洲本市長は,本件各土地について,一律にマイナス10パーセントの補正を行うのみであるところ,かかる雑補正についても,本件各土地が,リゾート用地として海面を埋め立てて開発された土地であり,いずれも比較的隣接した場所にあること等を考慮すると,洲本市長による雑補正率の設定をもって,洲本市長の裁量権の逸脱又は濫用と認めることはできない。 原告らは,いわゆる開発法によって雑補正を行うべきであると主張する- 33 -ものの,開発法による評価は,そもそも評価基準に基づく評価方法ではなく,また,評価基準に基づかない評価方法によるべきであるとの特段の事情についての主張,立証もなされていないため,原告らの上記主張を採用することはできない。 カまた,原告らの主張する本件各土地についての宅地評価と雑種地評価との逆転現象についても,雑種地も多種多様であり,前記のとおり,本件各土地が海面を埋め立てたリゾート地であること等を考慮すれば,かかる逆転現象が生じることが社会通念や経験則に反するとまではいえない。 ( )以上より,洲本市長による本件各土地の価格決定の過程に,その裁量権 を逸脱又は濫用したと認めるに足りる事情はなく,本件登録価格は,評価基準が定める評価方法によって適切に算定されたものといえるから,適正な時価であると推認されるので,これについて重大な瑕疵は認められない。 よって,本件登録価格の決定及び賦課決定は無効とはいえず,原告らによる平成15年度分及び平成16年度分の誤納金還付請求については理由がないといえる。また,平成7年度分から平成14年度分の誤納金還付請求も,登録価格の決定及び賦課決定の重大な瑕疵に関する主張,立証がないから,理由がない。 争点5について( )課税処分に対する取消訴訟は,処分の効 平成7年度分から平成14年度分の誤納金還付請求も,登録価格の決定及び賦課決定の重大な瑕疵に関する主張,立証がないから,理由がない。 争点5について( )課税処分に対する取消訴訟は,処分の効力そのものを争うものであり, 一方,国家賠償請求訴訟は,処分の効力とは別に,違法な課税処分によって被った損害の回復を図るものであって,両者はその目的,効果を異にするといえる。また,国家賠償請求が認容されるためには違法性の他に故意又は過失等の要件の充足も必要となることからすれば,課税処分の場合であっても国家賠償請求の要件を具備する限り,請求を認めないとする理由はない。 ( )もっとも,前記のとおり,洲本市長による本件登録価格の決定及び賦課 決定は適法といえるから,国家賠償法上の違法性は認められず,過失,因果- 34 -関係,時効の起算点等について判断するまでもなく,原告らの平成15年度及び平成16年度分の損害賠償請求については理由がないといえる。また,平成7年度から平成14年度分の損害賠償請求も,登録価格の決定及び賦課,,。 決定の違法性及び故意又は過失に関する主張立証がないから理由がない第4 結論 以上より,原告らの本件義務付け訴訟は不適法であるからいずれも却下し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官佐藤明裁判官菊池章裁判官重高啓

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