平成24年11月29日判決言渡平成24年(行ケ)第10121号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年10月25日判決原告ケーエスエス株式会社訴訟代理人弁理士近島一夫訴訟復代理人弁理士大田隆史同池田仁士被告特許庁長官指定代理人常盤 務同川本眞裕同氏原康宏同田村正明 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2010-18301号事件について平成24年2月13日にした審決を取り消す。 第2 争いのない事実 1 特許庁における手続の概要被告は,発明の名称を「電動リニアアクチュエータ」とする発明について,平成15年10月9日に特許出願(以下「本願」という。)したが,拒絶査定を受け,不服審判請求(不服2010-18301号事件)をした。これに対し,特許庁は,平成24年2月13日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「審 決」という。)をし,その謄本は,同月28日,原告に送達された。 2 本願の内容本願の特許請求の範囲の請求項1の記載(以下,この発明を「本願発明」という。)は,次のとおりである 「審 決」という。)をし,その謄本は,同月28日,原告に送達された。 2 本願の内容本願の特許請求の範囲の請求項1の記載(以下,この発明を「本願発明」という。)は,次のとおりである。 「【請求項1】外周にネジ溝が形成された送りネジ軸と外周にネジ溝が形成されていない回転軸とを有する軸部材を備え,前記送りネジ軸にナット部材を螺合して送りネジ装置を構成し,前記回転軸にモータ本体及び制御装置を装着して電動モータを構成してなる,電動リニアアクチュエータにおいて,前記送りネジ軸は,HRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成され,かつその一端面に円筒状突起が一体に形成され,前記電動モータの回転軸は,オーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料により形成され,かつその一端部分に膨径部が形成されると共に該膨径部の一端に円筒状の穴が形成され,前記円筒状の穴に前記円筒状突起を嵌合して,前記回転軸と送りネジ軸とを,前記嵌合部に溶融金属媒体を介在する接合により一軸状に一体に固着してなる,ことを特徴とする電動リニアアクチュエータ。」 3 審決の理由(1) 審決の概要審決の理由は,別紙審決写しのとおりである。要するに,本願発明は,甲6ないし8に記載された発明(以下「甲6発明」等という。)及び従来周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明することができたから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。 (2) 審決の認定した甲6発明の内容審決は,甲6(特開平8-88953号公報)に記載の甲6発明の内容を,次の とおり認定した。 「外周にボールネジ溝が形成されたボールネジ107と外周にネジ溝が形成されていない出力軸103とを有する軸部材を備え, 8953号公報)に記載の甲6発明の内容を,次の とおり認定した。 「外周にボールネジ溝が形成されたボールネジ107と外周にネジ溝が形成されていない出力軸103とを有する軸部材を備え,前記ボールネジ107にボールナット109を螺合してボール送りネジ装置を構成し,前記出力軸103にACサーボモータ101及び検出手段125を装着して電動モータを構成してなる,一軸アクチュエータにおいて,前記出力軸103と前記ボールネジ107とを,カップリング105を介して連結してなる,一軸アクチュエータ。」(3) 審決の認定した本願発明と甲6発明との一致点・相違点審決は,甲6発明と本願発明の一致点及び相違点を,次のとおり認定した。 ア一致点「外周にボールネジ溝が形成された送りネジ軸と外周にネジ溝が形成されていない回転軸とを有する軸部材を備え,前記送りネジ軸にボールナット部材を螺合してボール送りネジ装置を構成し,前記回転軸にモータ本体及び制御装置を装着して電動モータを構成してなる,電動リニアアクチュエータにおいて,前記回転軸と送りネジ軸とを一体的に固定してなる電動リニアアクチュエータ。」イ相違点1本願発明は,「前記送りネジ軸は,HRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成され」,「前記電動モータの回転軸は,オーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料により形成され」ているのに対し,甲6発明はそのような構成を具備していない点。 ウ相違点2前記回転軸と送りネジ軸とを一体的に固定することに関し,本願発明は,「前記送りネジ軸は」「その一端面に円筒状突起が一体に形成され」,「前記電動モータの回転 軸は」「その一端部分に膨径部が形成されると共に該膨径部の一端に円筒状の穴が形成され し,本願発明は,「前記送りネジ軸は」「その一端面に円筒状突起が一体に形成され」,「前記電動モータの回転 軸は」「その一端部分に膨径部が形成されると共に該膨径部の一端に円筒状の穴が形成され」,「前記円筒状の穴に前記円筒状突起を嵌合して」,前記回転軸と送りネジ軸とを,「前記嵌合部に溶融金属媒体を介在する接合により一軸状に一体に固着してなる」のに対し,甲6発明は,出力軸103とボールネジ107とを,カップリング105を介して連結してなる点。 第3 取消事由に係る当事者の主張 1 原告の主張(1) 本願発明と甲6発明との一致点の認定の誤り(取消事由1)本願発明は,従来技術が「カップリングの存在及びネジ軸の両持ち支持構造等により,コンパクト化,特に軸方向の短縮化が充分にできず,また部品点数の増加によるコストアップに加えて,カップリングを介しての動力伝達のため,電動モータの回転位置決め精度に対する送りネジの直動位置精度の低下を招いている。」旨の課題を解決すべく「前記回転軸と送りネジ軸とを一軸状に一体に固着してなる」ものである。 本願発明の「固着」とは,二物体を一体不可分にすることを意味するのに対し,甲6発明の「連結」は,カップリング等により分離し得る点で,相違している。本願発明は,前記課題を解決するために,予め回転軸と送りネジ軸とを一体化したものを用いるものであって,「連結」と相違するから,この点を一致点とした審決は,誤りである。 審決は,その認定に係る一致点を,「回転軸と送りネジ軸とを『一体的に固定してなる』電動リニアアクチュエータ」と表現するが,本願発明に関しては「一軸状に一体に固着してなる」と実質的に同義のものとして用いるのに対し,甲6発明に関しては「一軸アクチュエータ」を指すものとして用いている。しかし, クチュエータ」と表現するが,本願発明に関しては「一軸状に一体に固着してなる」と実質的に同義のものとして用いるのに対し,甲6発明に関しては「一軸アクチュエータ」を指すものとして用いている。しかし,「一軸状」は,異なる2軸を同一軸線上に配置するのに対し,「一軸」は1本の軸であるから,審決は,客観的な表現を用いておらず,その認定には誤りがある。 (2) 甲6発明の認定の誤り(取消事由2) 審決は,甲6発明を,「異種材料からなる2つの軸を一体的に固定する技術分野に属するもの」と認定する。 しかし,甲6には,モータ出力軸とボールネジとが異種材料からなることは一切記載されていない。甲6における図6以外のものは,ボールネジとモータ出力軸が一体化した構造からなり,一体化した軸は,すべて同じ材料からなり,異種材料からなるものではない。甲6の図6は,カップリングにより両軸を連結しているが,これは,専ら,モータを別工程又は別工場で作って組立てるための製造上の理由によるものであって,異種材料を理由とするものではなく,かつACサーボモータを用いる場合,出力軸に非磁性材料を用いる必要もなく,むしろ甲6の図6のもののみ,ボールネジ軸と出力軸とが異種材料からなると認定することは不自然である。 (3) 相違点1,2に係る容易想到性判断の誤り(取消事由3)ア甲6には,送りネジ軸及び回転軸を別材料で形成することの示唆も,これら両軸を一軸状に一体に固着して一軸部材とすることの示唆もない。 甲6に,電動リニアアクチュエータの送りネジ軸及び回転軸を別個の材料で形成して,かつこれら両軸を一軸状に一体に固着して軸部材とする旨の統合に関する動機付けがない以上,本願発明を想到することは困難である。 ネジ軸をHRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成す で形成して,かつこれら両軸を一軸状に一体に固着して軸部材とする旨の統合に関する動機付けがない以上,本願発明を想到することは困難である。 ネジ軸をHRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成すること,電動モータの回転軸をオーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料により形成すること(相違点1),及び,異種材料をろう付けにより接合すること(相違点2),がそれぞれ別個に周知技術であったとしても,それらを甲6発明に適用するための動機付けがない以上,当業者が,それらを電動リニアアクチュエータに適用して,本願発明を想到することは困難である。甲6発明において,ボールネジ及びモータ出力軸が同じ材料からなることは,甲6発明に,甲7発明,甲8発明及び周知事項を適用することの阻害事由となる。 イ甲7発明及び甲8発明は,円筒状突起を有する一方の軸部材がセラミック(非磁性材料)からなり,円筒状の穴を有する他方の軸部材が金属(磁性材料)からな る。したがって,甲6発明に甲7発明,甲8発明を適用しても,磁性材料からなるボールネジ(送りネジ軸)が円筒状の穴を有し,非磁性材料からなるモータ回転軸(出力軸)が円筒状突起を有することになって,円筒状突起及び穴の関係が本願発明と逆になり,送りネジ軸の一端面に同筒状突起を一体に形成し,モータ回転軸の一端部分に膨径部及び該膨径部の一端に同筒状の穴を形成してなる本願発明の構成に至ることはない。 本願発明は,2つの軸の接合に際して,磁性材料からなる送りネジ軸と非磁性材料からなる回転軸を,軸一端の円筒状突起と膨出部一端の円筒状の穴により接合したものであって,甲7,甲8から示唆されることのない特有な組合せである。 (4) 本願発明の効果に関する判断の誤り(取消事由4)本願発明は,互いに密接に関連する各構成要 円筒状の穴により接合したものであって,甲7,甲8から示唆されることのない特有な組合せである。 (4) 本願発明の効果に関する判断の誤り(取消事由4)本願発明は,互いに密接に関連する各構成要件に基づき,以下の効果を奏する。 (i)モータ回転軸として適正を保持しつつ,送りネジ軸の寿命及び加工性を向上して,電動リニアアクチュエータの性能を維持しつつ,コストダウンを図ることができる。 (ii)送りネジ軸と回転軸との間に比較的大きなトルクを伝達し得るように強固に固着すると共に,送りネジ軸及び回転軸の母材に対して溶接等による熱による影響を与えることなく,電動リニアアクチュエータとしての高い精度を保持すると共に,接着剤等による経年劣化がなく,長期に亘って接合強度を保持することができる。 (iii)回転軸の一端部は膨径部(6b)を形成して該膨径部に円筒状の穴(11)を形成したので,該膨径部にベアリング支持面を形成し得ることと相俟って,径及び長さの異なる複数種類の送りネジ軸に対して,回転軸の共通化を図ることができ,かつ円筒状の穴を膨出部に形成することにより,複数種類に対応する十分なトルク容量を有する接合面積を得ることができ,シリーズ化された複数種類の電動リニアアクチュエータを,安価にかつ必要とする強度及び精度を備えて容易に提供することができる。 甲6発明には,送りネジ軸及び回転軸を別個の材料で形成して,一軸状に一体に 固着するとの統合に関する構成が示唆されることがない以上,甲7,甲8に異種材料の軸の接合に関する技術が示唆されるとしても,前記効果(i)が予測されることはない。また,甲7発明,甲8発明を甲6発明に適用することが可能であるとしても,非磁性材料からなるモータ回転軸に対して,長さ及び径の異なる多種類の硬度の高い磁性材料からなる 果(i)が予測されることはない。また,甲7発明,甲8発明を甲6発明に適用することが可能であるとしても,非磁性材料からなるモータ回転軸に対して,長さ及び径の異なる多種類の硬度の高い磁性材料からなる送りネジ軸をフレキシブルな関係でかつ必要とするトルクを確保しつつ接合し得る本願発明の関係が示唆されることはなく,甲7,甲8から,本願発明の効果(ii),(iii)が予測されることはない。 2 被告の反論(1) 本願発明と甲6発明との一致点の認定の誤り(取消事由1)に対して本願発明は,回転軸と送りネジ軸とを固着によって「一軸状に一体」に構成するものである。他方,甲6の段落【0002】,【0003】によれば,甲6発明は,出力軸103とボールネジ107とをカップリング105を介して連結することにより「一体化した状態」に構成するものと認定できる。本願発明と甲6発明とは,両者とも,回転軸(出力軸103)と送りネジ軸(ボールネジ107)を「一体的」なものとして構成するとの点(本願発明において「一軸状に一体」に構成すること,甲6発明において「一体化した状態」に構成すること)において共通する。したがって,審決が,「引用発明(甲6発明)の『連結すること』は『一体的に固定すること』である限りにおいて本願発明の『固着すること』にひとまず相当する」とした認定に誤りはない。 また,審決は,本願発明の「一軸状に一体に固着してなる」ことと,甲6発明の「カップリング105を介して連結してなる」ことに関しては,別途,相違点2として認定した上,同相違点に関する容易想到性の判断を示しているから,一致点の認定の誤りに関する原告の主張は,主張自体失当である。 (2) 甲6発明の認定の誤り(取消事由2)に対して甲6発明の「出力軸103」と「ボールネジ107」とは, 判断を示しているから,一致点の認定の誤りに関する原告の主張は,主張自体失当である。 (2) 甲6発明の認定の誤り(取消事由2)に対して甲6発明の「出力軸103」と「ボールネジ107」とは,一軸アクチュエータの性質上,その機能・構造において異なる構成材料(異なる部品)であるから,両 者は,「異種材料」からなるといえる。したがって,審決の上記の認定に誤りはない。 なお,原告は,審決の「異種材料」との表記を「材質が異なる材料」を意味するものと理解して,同理解を前提に,「材質が異なる材料」との審決の認定に誤りがある旨主張する。しかし,審決の用いた「異種材料」の表記は,文脈に照らして,「出力軸103」と「ボールネジ107」とが,「その機能・構造において異なる部品」であるとの趣旨で述べたものと理解されるべきであり,「材質が異なる材料」であるとの趣旨で述べたものと理解されるべきではない。したがって,原告の主張は,主張自体失当である。 (3) 相違点1,2に係る容易想到性判断の誤り(取消事由3)に対してア甲6発明は,出力軸103とボールネジ107とを,カップリング105を介して連結することにより「一体化した状態」に構成するものであるから,出力軸103とボールネジ107とをカップリング105により連結することに起因して,一体化した状態で剛性が低下するという課題,軸芯のずれにより精度の高い制御が損なわれるおそれがあるという課題が生じる。そして,甲6発明において,ボールネジ107と出力軸103とを「より確実に一体化」するとの解決課題が存在する。 上記の課題解決は,以下のとおり容易といえる。 すなわち,ボールネジの技術分野において,ボールネジ(送りネジ軸)を,HRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成すること,電動モータの する。 上記の課題解決は,以下のとおり容易といえる。 すなわち,ボールネジの技術分野において,ボールネジ(送りネジ軸)を,HRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成すること,電動モータの技術分野において,電動モータの回転軸をSUS303(オーステナイト系ステンレス鋼)からなる非磁性材料により形成することは周知技術である。甲6発明の「ボールネジ107」に,耐久性や耐摩耗性に優れ,硬くて負荷に耐え得るとの機能が要求されていることは明らかである。また,当業者であれば,甲6発明の「出力軸103」を,電動モータ(検出器を含む)の特性に悪影響を及ぼさない材質で構成する必要性があると理解する。したがって,甲6発明のボールネジ107を「HRC50以上の鋼材からなる磁性材料」により形成するとともに,電動モータの回転軸を「オーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料」により形成することの動機付け は十分に存在する。 また,甲7及び甲8は,2つの軸を確実に「一体化」する接合技術について開示するものであるから,甲6発明において,ボールネジ107と出力軸103とを確実に「一体化する」ために,甲7,甲8に開示された接合技術を適用することは,容易であるといえる。 イ甲7,甲8の記載に鑑みれば,「一方の軸部材」及び「他方の軸部材」のどちら側に円筒状突起を設け,どちら側に該円筒状突起が嵌合する円筒状の穴を設けるかは,材料の特性,費用対効果,接合体の用途などを総合的に考慮しつつ,それぞれの軸に最適の材質と形状・構造等を選択することにより,当業者が適宜なし得る設計変更の範囲内の事項にすぎない。本願の当初明細書(甲1)にも,「なお,突起10を回転軸6側に,穴11を送りネジ軸7側に設けてもよい。」(段落【0026】)と記載されていることからも明ら し得る設計変更の範囲内の事項にすぎない。本願の当初明細書(甲1)にも,「なお,突起10を回転軸6側に,穴11を送りネジ軸7側に設けてもよい。」(段落【0026】)と記載されていることからも明らかである。 (4) 本願発明の効果の判断の誤り(取消事由4)に対して(ⅰ)について甲6発明は,送りネジ軸及び回転軸を別個の材料で形成し,それらを一軸状に一体にする統合に関する構成が示唆されているということができ,原告の主張はその前提において,失当である。 (ⅱ)(ⅲ)について甲7及び甲8は,2つの軸を確実に「一体化」する接合技術について開示するものである。当業者であれば,甲6発明にそのような接合技術を適用することにより,原告の主張する(ⅱ)の効果を予測することができる。 (ⅲ)について原告の主張に係る効果については,本願の明細書に記載も示唆もなく,本願の特許請求の範囲の記載及び本願の明細書の記載に基づかない主張であり,主張自体失当である。仮に,本願発明が,原告の主張に係る上記(ⅲ)の「電動モータ等の規格部品の共通化を図りつつ多くのバリエーションに適用し得るシリーズ化応対に係 るもの」との効果があるとしても,ボールねじ等をシリーズ化して,部品を必要に応じて種々組合せ,予め商品群(仕様品)として用意し,又は注文(特殊仕様)に応じて組み立てることは,ボールねじ等の精密機械部品の製造において,当業者が普通に行なうことであり,格別顕著なものではない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,本願発明の相違点1,2に係る構成は,当業者において甲6発明に甲7発明,甲8発明及び周知事項を適用することにより容易に想到することができたとの審決の判断に誤りはないと判断する。その理由は次のとおりである。 1 認定事実(1) 当業者において甲6発明に甲7発明,甲8発明及び周知事項を適用することにより容易に想到することができたとの審決の判断に誤りはないと判断する。その理由は次のとおりである。 1 認定事実(1) 本願の明細書の記載本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は,前記第2,2のとおりである。また,本願の明細書には,次の記載がある(【図1】,【図2】は別紙のとおり。)。 「【0001】本発明は,ネジ部と非ネジ部とを異種材料により形成した軸部材を用いた電動リニアアクチュエータに係り,特に電動モータと送りネジ装置からなる電動リニアアクチュエータに関する。 【0002】一般に,上記電動リニアアクチュエータは,電動モータの回転軸と送りネジ軸とをカップリングにより連結すると共に,送りネジ軸の両端部分をベアリングを介してケースに支持している。 【0003】このため,カップリングの存在及びネジ軸の両持ち支持構造等により,コンパクト化,特に軸方向の短縮化が充分にできず,また部品点数の増加によるコストアップに加えて,カップリングを介しての動力伝達のため,電動モータの回転位置決め精度に対する送りネジの直動位置精度の低下を招いている。 【0004】 従来,上記欠点を解決するため,電動モータの回転軸と送りネジ軸とを,同一材料で継ぎ目なく一体に形成した電動リニアアクチュエータが,本願出願人等により提案されている」「【0005】上記一体の軸(回転軸+送りネジ軸)は,一本のむく材から切削加工により形成されるため,材料費及び加工費が高価になってしまう。特に,電動モータの回転軸は,例えばステッピングモータ等の場合,磁束回路を構成しないように非磁性材料で形成する必要があるが,非磁性材料は,一般に磁性材料より硬度が低く,上記一体 高価になってしまう。特に,電動モータの回転軸は,例えばステッピングモータ等の場合,磁束回路を構成しないように非磁性材料で形成する必要があるが,非磁性材料は,一般に磁性材料より硬度が低く,上記一体に形成した送りネジ軸部分も該非磁性材料により形成することは,常にボール又はナット部材が摺接するネジ軸の寿命を低下してしまう結果となる。例えば,非磁性材料として析出硬化系ステンレスが用いられるが,該材料は,HRC45以下であり,焼入れ硬化されて,送りネジ軸として用いられる磁性材料のHRC50以上のものより硬度が低く,寿命が短くなる。 【0006】また,非磁性材料でHRC50に近い材料があるが,それらは材料費が高価であると共に,材料自体が硬く脆いため,ネジ切り等の加工が困難で面倒であり,更なるコストアップの原因となってしまう。」「【0016】請求項1に係る本発明によると,送りネジ軸と回転軸とを異なる材料により形成するので,異なる機能を求められている送りネジ軸及び回転軸に,それぞれ上記機能にマッチした適正な材料を用いて,これを一軸状に一体に固着することにより,信頼性及び耐久性の高い軸部材を安価にて提供することができる。 【0017】前記回転軸は,非磁性材料からなるので,ステッピングモータ等の電動モータに悪影響を及ぼすことがなく,かつ前記送りネジ軸は,磁性材料からなるので,硬度が高い,耐摩耗性の高い,加工性が良い,安価等の優れた材料を選択することがで き,耐久性の高い長寿命の電動アクチュエータ用の軸部材を得ることができる。 【0018】送りネジ軸と回転軸とを,溶融金属媒体を介在して接合するので,送りネジ軸及び回転軸の母材に対して接合に際しての熱による影響を与えることが少なく,高い精度を保持すると共に,充分な接合 【0018】送りネジ軸と回転軸とを,溶融金属媒体を介在して接合するので,送りネジ軸及び回転軸の母材に対して接合に際しての熱による影響を与えることが少なく,高い精度を保持すると共に,充分な接合強度を得ることができる。 【0019】送りネジ軸は,HRC50以上の高い硬度を有する材料からなり,耐摩耗性に優れ,高い精度を長期に亘って維持できると共に,回転軸は,高い防錆性能を有するオーステナイト系ステンレス鋼からなり,電動アクチュエータ用軸部材としての耐久性を向上することができる。」「【0022】以下,図面に沿って,本発明の実施の形態について説明する。 【0023】電動リニアアクチュエータ1は,図1に示すように,電動モータ2と,ボール送りネジ装置3とを有する。…」「【0024】電動モータ2は,ケース5に収納固定されるステータと,該ステータと微小間隙存して配置されるロータとを有しており,ロータには一体に回転軸6(図2参照)が固定されていると共に,該回転軸は,ケース5にベアリングを介して回転自在に支持されている。該回転軸(6)は,外周にネジ溝が形成されていない円筒形状からなり,非ネジ部を構成する。上記ロータには永久磁石が用いられ,軸方向に磁束回路を形成しないように上記回転軸6には,非磁性体が用いられる。例えば,回転軸6は,防錆性に優れたオーステナイト系ステンレス(18-8ステンレス鋼)が用いられており,具体的にはSUS304(L,N1,N2,LN),SUS303(Se,Cu),SUS316(L,N,LN,Ti,JI,JIL,F)等が好ましい。」 (2) 甲6の記載甲6(特開平8-88953号公報)には,次のとおりの記載がある(【図6】は別紙のとおり。)。 「【0002】【従来の技術】 IL,F)等が好ましい。」 (2) 甲6の記載甲6(特開平8-88953号公報)には,次のとおりの記載がある(【図6】は別紙のとおり。)。 「【0002】【従来の技術】アクチュエータ,例えば,一軸アクチュエータは,図6に示すような構成になっている。まず,ACサーボモータ101があり,このACサーボモータ101の出力軸103には,カップリング105を介してボールネジ107が連結されている。このボールネジ107にはボールナット109が螺合していて,このボールナット109にスライダ111が取付けられている。そして,ACサーボモータ101を適宜の方向に回転させることにより,出力軸103,カップリング105,ボールネジ107が同方向に回転する。そして,回転を規制されているボールナット109が適宜の方向に移動していき,それによって,スライダ111が同方向に移動していく。又,ACサーボモータ101は,ステータ(固定子)101aと,出力軸103に固着されたロータ(回転子)101bとから構成されている。又,出力軸103は,ACサーボモータ101の両側において,軸受113,115,117によって軸支されている。又,ボールネジ107は,ボールナット109の両側において,軸受119,121,123によって軸支されている。又,軸受117の反ACサーボモータ101側には,ACサーボモータ101の回転量を検出する検出手段(例えば,光学式検出手段,磁気式検出手段等)125が取付けられている。尚,スライダ111には任意の装置,例えば,把持装置,溶接ロボット,等が搭載されることになる。 【0003】上記のような構成のアクチュエータにおいては,ACサーボモータ101の出力軸103とボールネジ107とをカップリング105を介して連結する構成で ボット,等が搭載されることになる。 【0003】上記のような構成のアクチュエータにおいては,ACサーボモータ101の出力軸103とボールネジ107とをカップリング105を介して連結する構成であるので,まず,部品点数が多くて組立作業が困難であるとともに,装置が大型化してしまうという問題があった。又,カップリング105による連結であるために,一体化した状態で剛性が低下してしまうという問題もあり,さらに,A Cサーボモータ101の出力軸103とボールネジ107との軸芯がずれることも予想され,それによって,精度の高い制御が損なわれるおそれがあった。 【0004】このような問題点に鑑みて,ACサーボモータの出力軸とボールネジとを予め一体化させて,ボールネジ一体型ACサーボモータとすることが考えられている。そのようなものとして,例えば,実開平1-86457号公報,特開平1-252339号公報,特開平6-86501号公報に示すようなものがある。 これらは,何れも,ACサーボモータの出力軸とボールネジとを予め一体化させたものであり,それによって,既に説明したようなカップリングを介しての連結構造を採用した場合の不具合を解消して,部品点数を減少させて組立作業を容易にし,且つ,装置の小形化を図るとともに,制御精度の向上を図らんとするものである。 【0005】そのようなものの一例を図7に示す。尚,図6に示したものと同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。この場合には,ACサーボモータ101の出力軸103と,ボールネジ107とが予め一体に構成されているので,図6に示した構成のもののように,カップリング105を必要とせず,よって,カップリング105を使用した場合の不具合を解消することができるものである。」(3) 甲7の記載甲 されているので,図6に示した構成のもののように,カップリング105を必要とせず,よって,カップリング105を使用した場合の不具合を解消することができるものである。」(3) 甲7の記載甲7(特開昭60-77180号公報)には,「接合体」に関して,次のとおりの記載がある(第3図は別紙のとおり。)。 「本発明は例えばセラミック部材と金属部材とを接合してなる接合体に関すする。」(1頁左下欄19~20行)「本発明はセラミック部材と金属部材とを接合してなる接合体に接合できる。すなわち,一方の部材をセラミック部材とし,一方の部材より熱膨張率が大なる他方の部材を金属部材とする。セラミック部材としては,窒化けい素,窒化アルミニウムなどの窒化物,炭化けい素などの炭化物またはホウ化物などの非酸化物系セラミックおよびアルミナなどの酸化物系があげられる。金属部材としては,銅,鉄,クロム,ニッケルなどの単体,合金あるいは混合物があげられる。 本発明の接合体における接合部の形態は,第2図および第3図で示すようにセラミック部材1の接合面1aを突状とし,金属部材2の接合面2aを接合面1aに適合する形状の凹状として,両接合面1a,2aを嵌合したものである。接合面1a,2aの形状は第2図で示すテーパ状のもの,第3図で示すストレート状のものあるいはその他の形状のものであっても良い。」(2頁左下欄2~19行)「セラミック部材と金属部材とを接合する接合方法としては,両部材の接合面間にチタン,ジルコニウムまたはそれらの合金からなる活性金属を介在して加熱することにより,(両部材間に加圧する場合もある)直接拡散接合する方法,セラミック部材の接合面をメタライズ処理してろう付けにより金属部材と接合する方法,焼きばめにより接合する方法,さらにはセラミック部材と とにより,(両部材間に加圧する場合もある)直接拡散接合する方法,セラミック部材の接合面をメタライズ処理してろう付けにより金属部材と接合する方法,焼きばめにより接合する方法,さらにはセラミック部材と金属部材とを接触して接合する方法などがある。」(3頁左上欄2~11行)(4) 甲8の記載甲8(特開平1-239070号公報)には,「金属・セラミックス接合体」に関して,次の記載がある(第1図(a)は別紙のとおり)。 「本発明はセラミック部材と金属部材とをろう材を介して一体的に接合してなる金属・セラミックス接合体に関するものである。」(2頁左上欄5~7行)「第1図(a)~(c)はそれぞれ本発明の第1発明である金属・セラミックス接合体の一例を示す部分断面図である。各実施例において,セラミック部材1の凸部2と金属部材3の凹部4とをろう5を使用してろう付けにより接合するとともに,接合端6から所定距離ℓだけろう5がセラミック部材1の凸部2と化学的接合により強固に固着しないよう構成している。以後,この所定距離ℓを化学的非接合距離と呼ぶ。 セラミック部材1の凸部2とろう5とが化学的接合による強固な固着をしないようにするためには,例えば化学的接合により強固に固着させない部分のセラミック部材1の凸部2に黒鉛等のろうと非接合物質を塗り通常のろう付け操作を実施することにより達成できる。 第1図(a)に示した実施例では,接合予定位置の金属部材3の凹部4の内表面 全面にNiメッキを施すとともに,セラミック部材1の凸部2の接合予定位置の接合端6から化学的非接合距離ℓの部分にろうと非接合物質である黒鉛を施した後,活性金属ろう5を使用して接合することにより,凹部4の内表面とセラミック部材1の凸部2の外表面との間の接合予定位置の接触面を全面ろう付けし, 非接合距離ℓの部分にろうと非接合物質である黒鉛を施した後,活性金属ろう5を使用して接合することにより,凹部4の内表面とセラミック部材1の凸部2の外表面との間の接合予定位置の接触面を全面ろう付けし,接合端6より化学的非接合距離ℓの部分における凸部4と活性金属ろう5とは化学的接合により強固に固着していない構造の金属・セラミックス接合体を示している。なお,通常の活性金属元素を含有しないAgろうを使用するときは,上述した凹部4の内表面全面へのNiメッキ後,化学的非接合距離ℓの部分を除く接合予定位置の凸部2の外表面全面にメタライズ層を設け,該メタライズ層にNiメッキを施すことにより,同様な接合を達成することができる。」(6頁右上欄19行~右下欄10行) 2 取消事由1(本願発明と甲6発明との一致点の認定の誤り)について当裁判所は,本願発明と甲6発明とは,「回転軸と送りネジ軸とを一体的に固定」する点において一致するとした審決の認定に誤りはないと判断する。 すなわち,本願発明の「前記回転軸と送りネジ軸とを,前記嵌合部に溶融金属媒体を介在する接合により一軸状に一体に固着してなる」との構成,及び甲6発明の「前記出力軸103と前記ボールネジ107とを,カップリング105を介して連結してなる」との構成は,いずれも,回転軸と送りネジ部とが一軸上に一体に固定されることで,回転軸で発生した回転駆動力が送りネジ部に伝わり,回転軸と送りネジ部は常に一体に回転する点において共通する。上記の構成は,「回転軸と送りネジ軸とを一体的に固定」すると表現することができ,この点に関する審決の認定に誤りはない。 原告は,本願発明の「一体として固着」との構成と,甲6発明の「カップリング105を介して連結」との構成の相違がある旨主張する。しかし,原告の上記主張については に関する審決の認定に誤りはない。 原告は,本願発明の「一体として固着」との構成と,甲6発明の「カップリング105を介して連結」との構成の相違がある旨主張する。しかし,原告の上記主張については,審決は,本願発明が,「前記嵌合部に溶融金属媒体を介在する接合により一軸状に一体に固着してなる」のに対し,甲6発明は,「出力軸103とボールネジ107とを,カップリング105を介して連結してなる」点を相違点2として認 定した上,同相違点についての容易想到性の判断を示しているから,この点の原告の主張は,採用の限りでない。 3 甲6発明の認定の誤り(取消事由2)及び相違点1,2に係る容易想到性判断の誤り(取消事由3)について当裁判所は,甲6に開示される一軸アクチュエータの「モータ出力軸」と「ボールネジ」は,同一材料に限定されるものではないこと,両者には,それぞれ異なった課題が存在することからすれば,両者を異なる材料で構成する動機付けが存すると認められ,また,円筒状突起と穴を両者のいずれに設けるかは,適宜選択される事項と認められるから,甲6発明に甲7発明及び甲8発明を組み合わせることに障害はないと判断する。したがって,取消事由2及び取消事由3に係る原告の主張には理由がない。その理由は次のとおりである。 アモータ出力軸とボールネジの材料について甲6の段落【0002】,【0003】及び【図6】の記載は,前記のとおりであり,これらの記載及び全体記載に照らすならば,段落【0002】,【0003】及び【図6】に記載されるアクチュエータ(甲6発明)において,出力軸とボールネジとが同一の素材に限定されると解することはできない。 すなわち,甲6の段落【0002】,【0003】及び図6に記載のアクチュエータ以外の甲6の実施例には,「出力 明)において,出力軸とボールネジとが同一の素材に限定されると解することはできない。 すなわち,甲6の段落【0002】,【0003】及び図6に記載のアクチュエータ以外の甲6の実施例には,「出力軸とボールネジとを予め一体化させ」ること(【0004】)及びボールネジ一体型の出力軸(【0011】)は記載されているが,これらが同じ材料からなることは明記されておらず,出力軸とボールネジが同じ材料に限定されると解する合理的な根拠もない。 そして,ネジ軸には加工性及び寿命を高めるとの課題がある一方(乙1ないし3),回転子に永久磁石を設けた電動モータの出力軸には磁束漏れを防止するとの課題がある(乙4ないし6)ことは周知の事項である。このように,両者の課題が異なるから,甲6発明に接した当業者において,モータの出力軸とボールネジの材料としてそれぞれ最適な材料を選択することは,常識的な事項であるといえる。 そして,ネジ軸には,HRC50以上の鋼材からなる磁性材料により形成するのが好適であること,電動モータの回転軸には,オーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料により形成するのが好適であることは,それぞれ周知の事項であるから(甲9,10,11,14),これら周知事項を甲6発明のモータの出力軸及びボールネジに適用して,本願発明の相違点1に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである。 イモータ出力軸とボールネジの接合方法について甲6発明は,出力軸とボールネジとをカップリングを介して連結するとの構成を採用しており,段落【0003】には,このような構成においては,部品点数が多くて組立作業が困難であるとともに,装置が大型化し,カップリングによる連結であるため一体化した状態で剛性が低下し,出力軸とボールネジとの軸芯がずれるこ 】には,このような構成においては,部品点数が多くて組立作業が困難であるとともに,装置が大型化し,カップリングによる連結であるため一体化した状態で剛性が低下し,出力軸とボールネジとの軸芯がずれることが予想され,それにより精度の高い制御が損なわれるおそれがあるとの課題がある旨記載されている。 また,前記1(3)及び(4)によれば,甲7には非磁性材料であるセラミックと金属製の回転軸との接合強度を高めるために「一方の軸部材は,その一端面に円筒状突起が一体に形成され,他方の軸部材は,その一端部分に円筒状の穴が形成され,円筒状の穴に円筒状突起を嵌合して,両軸部材の嵌合部をろう付けによる接合により一軸状に一体に固着する構成」が記載され,甲8には,金属と非磁性材料であるセラミックスとを強固に固着するために「一方の軸部材は,その一端面に円筒状突起が一体に形成され,他方の軸部材は,その一端部分に膨径部が形成されると共に膨径部の一端に円筒状の穴が形成され,円筒状の穴に円筒状突起を嵌合して,両軸部材の嵌合部をろう付けによる接合により一軸状に一体に固着している構成」が記載されている。 そして,甲6発明における前記課題を解決するために,甲6発明におけるカップリングによる連結よりも強固な固着手段として,甲6発明に甲7及び甲8に記載される上記構成を採用することは,当業者が容易に想到し得たことである。その際, 「一方の軸部材」及び「他方の軸部材」のどちら側に円筒状突起を設け,どちら側に該円筒状突起が嵌合する円筒状の穴を設けるかは,材料の特性,費用対効果,接合体の用途などを総合的に考慮しつつ,それぞれの軸に最適の材質と形状・構造等を選択することにより,当業者が適宜なし得る設計変更の範囲内の事項にすぎない。 以上によれば,甲6発明に,甲7発明及び甲8発明 の用途などを総合的に考慮しつつ,それぞれの軸に最適の材質と形状・構造等を選択することにより,当業者が適宜なし得る設計変更の範囲内の事項にすぎない。 以上によれば,甲6発明に,甲7発明及び甲8発明を適用して,本願発明の相違点2に係る構成とすることは当業者にとって容易であったと認められ,審決のこの点に関する判断に違法はない。 4 取消事由4(本願発明の効果の判断の誤り)について本願発明の効果は,周知技術の組み合わせから得られる効果を超えるものではないと認められ,この点に関する審決の判断に誤りはない。 すなわち,原告主張に係る「モータ回転軸として適正を保持しつつ,送りネジ軸の寿命及び加工性を向上して,電動リニアアクチュエータの性能を維持しつつ,コストダウンを図ることができる」との効果は,それぞれ周知の技術である,ネジ軸をHRC50以上の鋼材で構成し,電動モータの回転軸をオーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料を採用したことによる効果であり,格別の効果とはいえない。また,「送りネジ軸と回転軸との間に比較的大きなトルクを伝達し得るように強固に固着すると共に,送りネジ軸及び回転軸の母材に対して溶接等による熱による影響を与えることなく,電動リニアアクチュエータとしての高い精度を保持すると共に,接着剤等による経年劣化がなく,長期に亘って接合強度を保持することができる」との効果も,甲7,甲8に記載の事項から当業者が予測し得る程度のものであるといえ,格別なものとはいえない。さらに,「回転軸の一端部は膨径部(6b)を形成して該膨径部に円筒状の穴(11)を形成したので,該膨径部にベアリング支持面を形成し得ることが相俟って,径及び長さの異なる複数種類の送りネジ軸に対して,回転軸は共通化することができ,かつ円筒状の穴を膨出部に形成することによ 11)を形成したので,該膨径部にベアリング支持面を形成し得ることが相俟って,径及び長さの異なる複数種類の送りネジ軸に対して,回転軸は共通化することができ,かつ円筒状の穴を膨出部に形成することにより,複数種類に対応する十分なトルク容量を有する接合面積を得ることができ,シリーズ化された複数種類の電動リニアアクチュエータを,安価にかつ必要とする 強度及び精度を備えて容易に提供することができる。」との効果については,本願の明細書に記載がない上に,甲7,甲8に記載の事項から当業者が予測し得る程度のものであるといえ,格別なものとはいえない。 以上のとおり,本願発明の効果は,周知技術の組み合わせから得られる効果を超えるものではない。 5 結論原告はその他にも縷々主張するがいずれも採用の限りではなく,審決に違法はない。よって,原告の主張を棄却することとして主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官小田真治 別紙本願の【図1】 本願の【図2】 甲6の【図6】 甲7の第3図 甲8の第1図(a) 甲6の【図6】 甲7の第3図 甲8の第1図(a)
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