平成28(ワ)3250

裁判年月日・裁判所
令和3年1月22日 福岡地方裁判所
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判決文本文49,327 文字)

主文 1 被告は,原告X1及び原告X2に対し,それぞれ1189万7417円及びこれに対する平成25年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告X3,原告X4及び原告X5に対し,それぞれ88 万円及びこれに対する平成25年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告らの負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告X1及び原告X2に対し,それぞれ4324万8312円及び これに対する平成25年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告X3,原告X4及び原告X5に対し,それぞれ330万円及びこれに対する平成25年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告X1及び原告X2に対して,別紙記載の謝罪文を,α高等学校アリーナ内に掲示して謝罪せよ。 第2 事案の概要本件は,被告が経営するα高等学校(以下「本高校」という。)の3年生であったZ(以下「本生徒」という。)が平成25年11月14日に自死したこ と(以下「本件自死」という。)について,⑴本生徒の同居の親族である原告 らが,本生徒の自死は本高校の生徒らの集団暴力行為等のいじめに起因するところ,本高校の教員は前記集団暴力行為等を把握し,これを阻止する義務を怠り,その結果,本件自死を未然に防ぐことができなかったなどと主張して,被告に対 高校の生徒らの集団暴力行為等のいじめに起因するところ,本高校の教員は前記集団暴力行為等を把握し,これを阻止する義務を怠り,その結果,本件自死を未然に防ぐことができなかったなどと主張して,被告に対し,債務不履行(在学契約に基づく契約違反)又は不法行為に基づき,本生徒の両親である原告X1及び原告X2についてそれぞれ損害賠償金432 4万8312円及びこれに対する本件自死の日である平成25年11月14日から支払済みまで民法(ただし,平成29年法律第44号による改正前のもの。 以下同じ。)所定の年5分の割合による金員の支払を,本生徒の祖母である原告X3,本生徒の兄である原告X4及び本生徒の姉である原告X5についてそれぞれ損害賠償金330万円及びこれに対する平成25年11月14日から支 払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めるとともに,⑵本生徒の相続人である原告X1及び原告X2が,上記集団暴力行為等及びこれを阻止しなかった被告の不作為により,本生徒の名誉が毀損されたと主張して,被告に対し,本生徒が生前有していた名誉回復請求権に基づき別紙謝罪文の掲示を求める事案である。 なお,原告らは,当初,本生徒に対する集団暴力行為等に関与した本高校の生徒ら8名(後述の生徒Aないし生徒H。以下「生徒Aら」という。)に対しても,損害賠償等を請求していたが,同生徒らとの間の損害賠償等請求事件は,いずれも和解により終了した。 1 前提事実(争いがない事実若しくは弁論の全趣旨又は後掲の証拠によって容 易に認められる事実)⑴ 当事者等ア本生徒は平成▲▲年▲▲月▲▲日生まれの男性(死亡当時18歳)である。本生徒は,本高校の総合学科3年3組(以下「本件クラス」という。)に所属していたが,平成25年11月14日,自殺 者等ア本生徒は平成▲▲年▲▲月▲▲日生まれの男性(死亡当時18歳)である。本生徒は,本高校の総合学科3年3組(以下「本件クラス」という。)に所属していたが,平成25年11月14日,自殺により死亡した(本件 自死)。 イ原告X1は本生徒の父親,原告X2は本生徒の母親であり,本生徒と同居していた。また,原告X1及び原告X2は,本生徒の相続人である。 ウ原告X3は本生徒の祖母であり,原告X4及び原告X5は本生徒のきょうだいである。同原告らはいずれも本生徒の出生時から本生徒と同居していた。 エ被告は本高校を経営する学校法人である。 本高校は,被告肩書住所地に設置された私立の高等学校であり,普通科,総合学科,コンピュータ・ビジネス学科及び工業科が設けられている。また,平成25年5月1日当時の生徒数は,第1学年677人,第2学年574人,第3学年422人であった。 (甲1) ⑵ 本生徒の本高校での状況等ア本生徒は,平成23年4月,本高校の総合学科に入学した。本生徒は,1年次は1年4組(男子15名,女子17名,合計32名)に,2年次は2年3組(男子20名,女子25名,合計45名)に,3年次は本件クラス(男子19名,女子25名,合計44名)にそれぞれ所属していたとこ ろ,本生徒の所属していたクラスの担任はいずれも甲教諭であった。 なお,本生徒が在籍していた当時の総合学科の生徒数は,1年次が4クラス146名,2年次が3クラス133名,3年次が3クラス127名であった。 (以上,乙イ2の1ないし6)イ本生徒は,遅くとも2年3組に在籍していた平成24年頃から,同級生 に,使い 33名,3年次が3クラス127名であった。 (以上,乙イ2の1ないし6)イ本生徒は,遅くとも2年3組に在籍していた平成24年頃から,同級生 に,使い走りを命じられたり,突然暴力を振るわれたりするなどのいじめを受けていた。 ⑶ 本生徒の自死に至る経緯ア本生徒は,平成25年11月11日,通常どおり自宅を出たものの,本高校を無断欠席した。 イ本生徒は,翌12日朝も,通常どおり自宅を出たが,本高校を無断欠席 し,夜になっても自宅に帰らなかった。 原告X1及び原告X2は,同日,筑紫野警察署に対して本生徒の捜索願を提出したが,本生徒を発見するには至らなかった。 ウ本生徒は,同月14日午前3時30分頃,福岡県春日市内に所在するマンションの非常階段9階と10階の間から投身し,転落即死した(本件自 死)。 エ本生徒は,同日午前4時4分頃,同マンション駐車場において,遺体で発見された。 ⑷ 現在までの経過ア被告は,原告らの申入れを受けて,平成26年3月12日,いじめ防止 対策推進法(平成25年6月28日号外法律第71号)28条1項に基づき,本高校第三者調査委員会(以下「第三者委員会」という。)を設置した。同委員会は,平成27年3月30日,調査報告書(甲1)を取りまとめ,原告ら及び被告に報告した。 第三者委員会は,本生徒が1年生の頃から本高校の生徒による集団暴力 等を受けていた事実を認定し,かかる行為が「いじめ」(同法2条1項)にあたるとしたうえで,「いじめ」と自死との因果関係が認められると判断した。(以上,甲1)イ独立行政法人日本スポーツ振興センターは,本生徒の死亡は「故意に 行為が「いじめ」(同法2条1項)にあたるとしたうえで,「いじめ」と自死との因果関係が認められると判断した。(以上,甲1)イ独立行政法人日本スポーツ振興センターは,本生徒の死亡は「故意に死亡したとき」(独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令3条7項) にはあたらないとして,本生徒の保護者である原告Ⅹ1及び原告Ⅹ2に対し,死亡見舞金2800万円を支給した(甲90)。 2 争点⑴ 本件自死についての被告の責任の有無(ア被告の安全配慮義務違反又は過失の有無イ被告の同義務違反又は過失と本件自死との因果関係の有無)(争 点1) ⑵ 本生徒及び原告らの損害並びにその額(争点2)⑶ 原告X1及び原告X2による本生徒の名誉回復請求権行使の可否(争点3) 3 争点をめぐる当事者の主張⑴ 争点1(本件自死についての被告の責任の有無)について(原告らの主張) アいじめと本件自死との因果関係本生徒は,本高校入学後,1年生の2学期頃以降,複数の生徒から,からかわれたり,暴力を振るわれたりするようになり,2年生の6月頃に自死未遂を図った直後を除き,本件自死に至るまで,執拗に集団的な暴力や侮辱等のいじめを受け続けていた。3年生の平成25年10月頃には,本 生徒の同級生の一部は本生徒が自殺するのではないかと心配するほどであったが,本高校の教員も生徒も,上記のいじめを阻止することはなかった。 本生徒は,このような長期間にわたる一方的ないじめにより,精神的・身体的苦痛を受け続け,生きる希望を失い,本件自死に追い込まれた。 イ被告教員によるいじめの認識可能性について 学校の教職員には,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活 身体的苦痛を受け続け,生きる希望を失い,本件自死に追い込まれた。 イ被告教員によるいじめの認識可能性について 学校の教職員には,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全の確保に配慮すべき義務があり,特に,生徒の生命,身体,精神,財産等に大きな悪影響ないし危害が及ぶ恐れがあるようなときには,そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため,その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があり,被告教員 がかかる義務に違反した場合,被告は在学契約に基づく安全配慮義務違反又は不法行為として,損害賠償責任を負う。 以下のとおり,被告は,平成24年9月13日,平成25年5月又は同年11月10日のいずれかの時点において,本高校の複数の生徒から本生徒に対する「いじめ」が存在することを知り得た(以下,本生徒に対して 加害行為を行っていた本高校の生徒を総称して,「加害生徒ら」という。)。 平成24年9月13日時点における認識可能性について本生徒は,平成24年5月頃から継続的に,本高校内において,学年集会時など他の複数の生徒が現認する中で,加害生徒らから集団暴力行為等を受けていた。不特定多数の生徒の面前で行われた暴行行為等について,被告教員が認識できなかった事情はない。 特に,被告教員は,同月,本生徒の椅子の上に画鋲が置かれていたり,加害生徒らが本生徒に対して,画鋲を何個も差し込んだガムテープの塊を投げつけたりする嫌がらせを行っていることを現認していたこと,甲教諭は,同年6月29日,本生徒の首に痣があることを確認し,本生徒が自死未遂をしたと推測したこと,及び,加害生徒らの一人である生徒 Aは同年9月13日に を行っていることを現認していたこと,甲教諭は,同年6月29日,本生徒の首に痣があることを確認し,本生徒が自死未遂をしたと推測したこと,及び,加害生徒らの一人である生徒 Aは同年9月13日に本生徒ではない他の生徒への暴力行為を理由に懲戒処分を受けており,生徒Aはその他の生徒への暴力も行っていたことからすると,被告教員は,同日時点で,生徒Aをはじめとする加害生徒らによる本生徒に対する暴力行為等の可能性を認識できたはずである。 平成25年5月時点における認識可能性について 本生徒は,2年生(平成24年度)の1学期及び3学期の約6か月の間に,不特定多数の生徒が認識できる状況で,加害生徒らから繰り返し暴力行為等を受けており,平成25年5月頃には,加害行為はさらにエスカレートしていた。したがって,被告教員は,平成25年5月の時点で,本生徒に対する係る暴力行為等の可能性を認識できたはずである。 平成25年11月10日時点における認識可能性について上記及びの事情に加えて,本生徒に対しては,授業中や生徒総会中に公然と暴力行為等が加えられていた。特に平成25年11月5日には,被告教員が,加害生徒らによる本生徒に対する強要行為を現認しており,かつ,被告の養護教諭も,本生徒が口の周囲を火傷するという異 常な怪我の状態を現認していたことからすると,被告教員は,遅くとも 本生徒が最後に本高校に登校した同月10日までには,本生徒に対する暴力行為等の可能性を認識できたというべきである。 ウ被告の義務内容被告は,かつて本高校で生徒の自死事件が起こった反省を踏まえて,上記イの認識可能性が生じた各時点において,以下の行動をとるべきであっ た。 【 べきである。 ウ被告の義務内容被告は,かつて本高校で生徒の自死事件が起こった反省を踏まえて,上記イの認識可能性が生じた各時点において,以下の行動をとるべきであっ た。 【本生徒に対する暴力行為等の全体像を正確に把握するための行動】① 本生徒及び加害生徒らに対する十分な事情聴取② 本生徒と同クラスまたは授業を共通にする同学年の生徒を含む全生徒からの聴き取り ③ 本生徒の受けた被害及び加害生徒らの加害行為について,本高校教職員全員からの事情聴取及び相互の情報共有④ 本高校教職員による,授業中及び休み時間における,本生徒及び加害生徒らに対する見回りの強化【本生徒に対する暴力行為等を阻止するための行動】 ⑤ 加害生徒らの十分な指導・教育を行い,それらが奏功しない場合には懲戒処分に付すること⑥ 加害生徒らの両親に対する情報提供と,加害行為中止のための家庭内教育の要請⑦ 原告らに対する情報共有と連携 ⑧ 授業時間及び休み時間を通じた本高校の全教職員による見守り⑨ いじめ暴力等の再発リスク解消までの分離措置(別教室における教育また加害生徒らの出席停止処分)【本生徒の保護のために】⑩ 本生徒が心身に受けた被害の回復のための措置,必要な医療,心理カ ウンセラー等の提供,安全,安心な学校生活と信頼の回復 エ被告による義務違反被告は,遅くとも平成25年11月10日までに,上記ウ記載の①から⑩までの義務を尽くしていれば,本生徒に対する暴力行為等の全容を把握し,以後の本生徒に対する暴力行為等を防止して,その命を保護することが可能であった。 までに,上記ウ記載の①から⑩までの義務を尽くしていれば,本生徒に対する暴力行為等の全容を把握し,以後の本生徒に対する暴力行為等を防止して,その命を保護することが可能であった。 しかし,被告教員はこれらの義務をいずれも行わなかったことから,被告には注意義務違反が認められる。 オ被告の義務違反と本件自死との関係 本生徒の自死の通常損害該当性平成23年10月に中学校生徒がいじめを理由に自ら命を絶った事件 を受け,平成25年6月21日には,いじめ防止対策推進法が成立した。 このような社会状況からすれば,平成24年から平成25年当時において,集団による圧倒的で執拗な継続的暴力が,被害者に対して,加害者集団による絶対的支配による隷従を強い,かつ孤立と絶望に陥れるものであることは,社会の共通認識になっていたといえる。 したがって,加害生徒らの暴力行為等により本生徒が自死に至ることは通常損害というべきであり,被告による上記⑵の義務違反と本生徒の自死との間には,相当因果関係が認められる。 本生徒の自死の予見可能性仮に,本生徒の自死による損害が特別損害に当たるとしても,被告教 員は,平成24年6月29日には,本生徒が自死未遂を図ったことを認識しており,同年9月に生徒Aが他の生徒に対する暴力行為等を理由に懲戒処分を受けたことや平成25年10月頃から本生徒に対する暴力行為等が激化していたことからすれば,加害生徒らによる暴力行為等によって本生徒が自死を選択せざるを得ない心理状況に追い込まれていたこ とは,被告にとって予見可能であった。 特に,被告においては,過去にも本高校の生徒がいじめを理由に命を 生徒が自死を選択せざるを得ない心理状況に追い込まれていたこ とは,被告にとって予見可能であった。 特に,被告においては,過去にも本高校の生徒がいじめを理由に命を絶つという事件が起こっていたのであるから,本件においても加害生徒らの暴力が本生徒を自死に追い込み得ることを予見し得た。 したがって,本生徒の自死が特別損害にあたるとしても,被告による上記⑵の義務違反と本生徒の自死との間には,相当因果関係が認められ る。 (被告の主張)ア被告によるいじめの認識可能性について本高校教員が本生徒に対する集団暴力行為等を認識していたという主張は,本生徒がクラスの者から「アゴ」と呼ばれていた事実に対する認識が あったことのほかは,すべて否認する。 高校教育においては小中学生と異なって自主性が尊重され,人格的にもある程度成熟した者がその対象となることから,学級担任ら教員が,生徒が集団生活を営んでいくうえで必要な人格教育を施すべき義務は,小中学生と比較して減少している。 現実的にも,一般的な高等学校の学級担任は,各クラスでの授業や庶務的な業務に追われており,朝及び帰りのホームルームの他は,担任の教室を訪れることが困難である。 これらの事情からすると,本高校教員が本生徒に対するいじめを容易に知り得たという評価はできない。 平成24年9月13日における認識可能性について加害生徒らによる本生徒に対する暴力行為等は,その度ごとに加害行為を行う生徒が変わっており,その時期及び暴力の程度等も様々なものであったから,原告が主張するように集団的暴力行為が長期間継続したと評価することはできず,教員によるいじめの把握は困難 度ごとに加害行為を行う生徒が変わっており,その時期及び暴力の程度等も様々なものであったから,原告が主張するように集団的暴力行為が長期間継続したと評価することはできず,教員によるいじめの把握は困難であった。 本生徒が「アゴ」と呼ばれていたことを認識していた教員は,本生徒 が,顎が特徴的な漫画のキャラクターを携帯電話の待受画面に設定していたことから,そのような呼ばれ方を気にしていないものと考えていた。 同年5月に,本生徒に対する画鋲を使用した嫌がらせが行われていたことは認めるが,被告教員がこれを認識していたことは否認する。 甲教諭が,同年6月29日,本生徒の首に痣があることを確認して自 死未遂であると推測したことは認めるが,原告X1同席のもと本生徒を問いただしても,本生徒は遊んでできた傷と言い張るばかりであり,その後注意深く見守ってはいたものの,本生徒は問題なく生活をしていたことから,甲教諭は本生徒の説明を受け入れたものである。また,本生徒と最も身近に接する家族ですら本生徒の説明を信じていたのであり, 甲教諭が本生徒の説明を受け入れて自死未遂ではないという結論に至ったとしてもやむを得ない。 被告教員は,本生徒から「いじめ」の相談を受けたことはなかったし,学校生活アンケートや相談箱,スクールカウンセラーからの情報などのいかなる方法からも,本生徒への「いじめ」に関する指摘や相談を受け たことはなかった。 本生徒の出欠状況も,長期間の欠席や早退が急増したとは評価できず,成績の悪化も,「いじめ」の存在を予見するには足りない程度であった。 生徒Aは,同年9月13日に懲戒処分を受けたものの,被告教員は,その時点で,生徒Aが本生徒に 急増したとは評価できず,成績の悪化も,「いじめ」の存在を予見するには足りない程度であった。 生徒Aは,同年9月13日に懲戒処分を受けたものの,被告教員は,その時点で,生徒Aが本生徒に対しても暴力行為等を行っていたとは認 識していなかった。 以上から,被告が同日時点で本生徒に対する「いじめ」の存在を認識できたとはいえない。 平成25年5月における認識可能性について前述のとおり,被告教員は加害生徒らによる本生徒への暴力行為等を 認識しておらず,これに関連する情報も入手していなかったことから, 平成25年5月の時点で,被告が本生徒に対する「いじめ」の存在を認識できたとはいえない。 平成25年11月10日における認識可能性について被告教員が,平成25年11月5日の調理実習の時間において,生徒による本生徒への暴力行為を目撃したことは否認する。 また,本生徒は,火傷の治療に当たった養護教諭に対して,麻婆豆腐を熱いままで食べたので火傷した旨説明していた。 したがって,同日の出来事から,被告が本生徒に対する「いじめ」の存在を認識できたとはいえないから,同月10日までの間に,被告が本生徒に対する「いじめ」の存在を認識できたということはできない。 イ被告には義務違反がないことについて本高校は,平成22年7月31日付けで,「いじめ問題」を所轄する部署として「再発防止委員会」(平成24年5月18日に「生徒健全育成委員会」に改称された。以下「本件委員会」という。)を設置して,「いじめ問題」に対応する態勢を整えていた。 同委員会の具体的な取組として,職員研修の実施,スクールカウンセラ 全育成委員会」に改称された。以下「本件委員会」という。)を設置して,「いじめ問題」に対応する態勢を整えていた。 同委員会の具体的な取組として,職員研修の実施,スクールカウンセラーによる職員へのコンサルテーション,生徒に対する各種講話の実施,生活アンケートの実施や相談箱の設置による学校生活の実態把握,保健室や保護者との連携,保護者アンケートの実施等を行っていた。 したがって,被告は「いじめ」を防止するための努力を尽くしていた。 ウ被告は本生徒の自死について法的責任を負わないこと 本生徒の自死の通常損害該当性について争う。 自死は様々な要因が重なったときに生じ,いじめのみを本生徒が自死した要因と捉えることは不適切であって,自死による損害は通常損害で あるとは認められない。 本生徒の自死による損害の予見可能性争う。 被告教員は,そもそも本生徒に対する「いじめ」を認識せず,これを認識する可能性もなかったから,本生徒の自死を予見することは不可能であった。 また,過去に本高校の生徒が自死した件については,原因がいじめにあったという認定はされていないし,この件と本件とでは,被害者と加害者の関係性や教員による事情の把握の有無といった点が大きく異なるため,同事件が,被告の本件における本生徒が自死することの予見可能性を基礎づけるとはいえない。 ⑵ 争点2(本生徒及び原告らの損害並びにその額)について(原告らの主張)被告の安全配慮義務違反によって本生徒及び原告らが被った損害は以下のとおりである。 ア本生徒に生じた損害 本生 並びにその額)について(原告らの主張)被告の安全配慮義務違反によって本生徒及び原告らが被った損害は以下のとおりである。 ア本生徒に生じた損害 本生徒自身の慰謝料本生徒は,安全で安心な教育を受けるべき高等学校において,加害生徒らからいわれもなき執拗な集団暴行を受け,本高校の誰からも適切な救済を受けることなく,孤立し,絶望し,わずか18歳で自らの命を絶たざるを得なかったのであり,その無念さは思うに余りある。 このような本生徒の無念を慰藉するには,少なくとも2800万円を下らない。 逸失利益本生徒は,高校卒業後は公務員養成の専門学校への進学が決まっており,入学金の納付も完了していたことから,同専門学校卒業後には公務 員になることが予定されていた。 そこで,基礎賃金は男子学歴系の賃金センサスの賃金である524万1000円とし,生活費控除を40パーセントとすべきである。 したがって,本生徒の逸失利益は5713万3294円である。 (計算式:524万1000(円)×(1-0.4)×18.1687=5713万3294円) 損益相殺 原告らは,独立行政法人日本スポーツ振興センター災害給付金から,2800万円の死亡見舞金を受けており,同見舞金は損益相殺の対象となる。 ⒝ 原告らと生徒Aらとの間の和解金は,個々の集団暴力行為等に対す る慰謝料であり,本件訴訟で請求している本生徒が死亡したことに対する慰謝料とは性質を異にする。したがって,上記和解金は損益相殺の対象とならない。 本生徒及び原告らについて過失相殺を基礎づける事情は存 謝料であり,本件訴訟で請求している本生徒が死亡したことに対する慰謝料とは性質を異にする。したがって,上記和解金は損益相殺の対象とならない。 本生徒及び原告らについて過失相殺を基礎づける事情は存在しない。 イ原告らの損害 原告ら固有の慰謝料原告らと本生徒は6人家族であり,原告らは,最愛の家族である本生徒を突然に奪われた。 原告X1は,父親として深い愛情をもって接していた最愛の息子を突如奪われ,落ち込み,悲しみ,自らを責め,何も手につかないような状 態になっており,悲しみのあまり,警察の調書や裁判関係の書類に目を通すこともできない状態にある。さらに,被告からの真摯な謝罪等もないまま本件自死から約7年が経過し,心身が疲弊し,自己の健康管理も十分にできなくなり,入退院を繰り返しており,一人での外出もままならない。このような原告X1に対しては,少なくとも1000万円の固 有の慰謝料が認められるべきである。 原告X2は,母親として深い愛情をもって接していた最愛の息子を突如奪われ,警察の記録等を通して,本生徒に対する長期間のいじめがあったことや,このことについて本高校が何ら措置を取らなかったこと,本件自死未遂や無断欠席のことについて何も知らされていなかったことを知り,深く心を痛めた。原告X2は,本生徒が亡くなった後も,本生 徒が好きだったクリスマスツリーを一年中台所に置いたり,本生徒の写真を持ち歩き,話しかけるなどして元気を得て生活しており,本生徒を失ったことを未だ受け止められておらず,悲しみは時間が経つとともに深まっている。このような原告X2については,少なくとも1000万円の固有の慰謝料が認められるべきである。 原告X3は,本生徒の祖母であり,本生徒が幼少 ておらず,悲しみは時間が経つとともに深まっている。このような原告X2については,少なくとも1000万円の固有の慰謝料が認められるべきである。 原告X3は,本生徒の祖母であり,本生徒が幼少期の頃から亡くなるまでをともに過ごし,深い愛情をもって接していた。原告X3は,家事や本生徒の養育に携わっており,本生徒は,原告X3にとって日常生活をともにするかけがえのない家族であった。本生徒を失った原告X3の悲しみは未だ癒えることなく続いている。このような原告X3について は,少なくとも300万円の固有の慰謝料が認められるべきである。 原告X4は,本生徒と6歳離れた仲の良い兄であり,本生徒が本高校に入学するまで,同居して過ごしていた。別居後も,帰省のときに会ったり,連絡を取ったりして交流しており,本生徒が高校卒業後には,本生徒を経済的に援助する予定であった。しかし,原告X4は,突如弟で ある本生徒を失い,本生徒の将来のために仕送りをするという目標を見失い,仕事を辞め,1年ほど自宅に引きこもり,自問自答するなどして過ごし,家族との関係も悪化した。今でも原告X4は本生徒の部屋を見て本生徒のことを思い出したり,本生徒の夢を見たりしており,本生徒を失ったことについて後悔の念に駆られている。このような原告X4に ついては,少なくとも300万円の固有の慰謝料が認められるべきであ る。 原告X5は,本生徒と3歳離れた仲の良い姉であり,家族の中で最も長く本生徒と時間をともにしていたが,突如本生徒を失い,深い悲しみに陥っている。原告X5は,本生徒を失った後,仕事を辞め,自宅に引きこもっており,本件訴訟において証言をする精神状態にすらない。こ のような原告X5については,少なくとも300万円の固有の慰謝料が認めら る。原告X5は,本生徒を失った後,仕事を辞め,自宅に引きこもっており,本件訴訟において証言をする精神状態にすらない。こ のような原告X5については,少なくとも300万円の固有の慰謝料が認められるべきである。 原告X1及び原告X2にはそれぞれ1000万円の,その他の原告らにはそれぞれ300万円の慰謝料が認められる。 葬儀費用 原告X1及び原告X2が負担した葬儀費用のうち,少なくとも150万円は被告の義務違反との因果関係が認められる。 弁護士費用原告X1及び原告X2については,それぞれ393万1665円の,その他の原告らについてはそれぞれ30万円の弁護士費用相当の損害が 発生した。 ウ請求額原告X1及び原告X2は,本生徒の損害については,法定相続分に従いそれぞれ2分の1ずつ相続し,葬儀費用についてそれぞれ2分の1ずつ負担した。これに原告X1及び原告X2の各固有の慰謝料と弁護士費用を加 算すると,原告X1及び原告X2の請求額は,それぞれ4324万8312円である。その他の原告らの損害額は,それぞれ330万円である。 (被告の主張)ア本生徒自身の慰謝料争う。 イ本生徒の逸失利益本生徒が公務員の専門学校に合格していたことは認めるが,本生徒の進路は未定であった。 また,基礎収入額は賃金センサス平成25年男性学歴計(高専・短大卒)の477万5400円,生活費控除率は50%,ライプニッツ係数は専門 学校卒業時である20歳から67歳までの47年間に対応する17.981とすべきである。 ウ原告ら固有の慰謝料争う。 エ葬儀費用 イプニッツ係数は専門 学校卒業時である20歳から67歳までの47年間に対応する17.981とすべきである。 ウ原告ら固有の慰謝料争う。 エ葬儀費用 金額は不知であり,因果関係は争う。 オ損益相殺・過失相殺 仮に被告に何らかの注意義務違反が認められるとしても,本生徒に対するいじめに関して被告が覚知し得た事情は乏しく,被告の帰責性は小さいというべきであるから,学校と家庭との間の公平な責任の分担の観 点から,過失相殺の規定が適用又は類推適用されるべきである。 死亡見舞金が損益相殺の対象となることは認める。 また,原告らと生徒Aらとの間ではすでに和解が成立しており,合計390万円の和解金を得ているため,本生徒及び原告らの損害は一部填補されているといえる。したがって,上記和解金相当額を損害から控除 すべきである。 カ弁護士費用不知ないし争う。 ⑶ 争点3(原告X1及び原告X2による本生徒の名誉回復請求権行使の可否)について (原告らの主張) 本生徒は生前,本高校内において,加害生徒らの長期にわたる継続的,執拗かつ過酷な集団暴力,強要行為及び侮辱行為を不特定多数の生徒の面前で受け,被告がこれを阻止しなかったことによって,その名誉を深く毀損され,自尊心を失わせられた。 このような本生徒の名誉及び尊厳を回復するためには,上述した損害賠償 に加えて,いじめを黙認してしまった本高校内の生徒が見聞できる場所である本高校アリーナに,被告の謝罪文を掲示する処分が必要不可欠である。 したがって,本生徒は生前,被告に対し,名誉回復請求権に基づいて,同処分を求める権利を有 高校内の生徒が見聞できる場所である本高校アリーナに,被告の謝罪文を掲示する処分が必要不可欠である。 したがって,本生徒は生前,被告に対し,名誉回復請求権に基づいて,同処分を求める権利を有しており,原告X1及び原告X2はこれを相続した。 (被告の主張) 争う。 原告らの主張は名誉感情の毀損にとどまり,民法723条の適用範囲外である。 また,原告らが求める謝罪文の掲示は,本件自死とは直接のかかわりがない現在および将来の本高校の生徒にいかなる心理的影響を及ぼすか不明であ り,名誉回復の手段としての相当性が認められないほか,名誉回復請求権が相続になじむのかも疑問である。 第3 当裁判所の認定 1 認定事実前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められ る。 ⑴ 本高校における授業の実施方法等について(甲1,17)ア時間割について本高校の時間割は全学年共通であり,平常授業及び短縮授業の2種類が存在するところ,いずれの時間割においても,1限目の前及び6限目の後 に,5分ないし10分間のホームルーム(以下「HR」という。)が行わ れていた。また,本生徒が第3学年のとき(平成25年度)については,同年10月31日まで,本件クラスにおいて,6限目実施後,7限目として各種検定や資格取得に向けた「課外授業」が行われており,担任である甲教諭がこれを担当していた。 イ授業の実施方法について 本校においては,1限目の前及び6限目の後のHRは,各教室の担任の教員が生徒の出欠確認や職員から生徒への連絡事項の伝達等を行い,その他の授業については,各教科を担当する教員により,授業が行われていた。 座学の は,1限目の前及び6限目の後のHRは,各教室の担任の教員が生徒の出欠確認や職員から生徒への連絡事項の伝達等を行い,その他の授業については,各教科を担当する教員により,授業が行われていた。 座学の科目は基本的に各教室で行われるが,体育は運動場又は体育館で,家庭科の調理実習は調理実習室で行われていた。また,本生徒が在籍して いた当時,本件クラスは,体育などの一部の授業については同じ総合学科の3年2組と合同で行われていた。 ⑵ 本生徒の出席状況等ア総合学科1年4組に所属していた平成23年度の本生徒の欠席日数は3日間(うち1日は欠席の届出があり,残る2日の届出の有無は不明である。) であり,成績は学年で138人中37番であった(甲1,6)。 後述する加害行為を主に行っていた生徒のうち,生徒B,生徒D,生徒E及び生徒Fも,同組の生徒であった(甲76ないし82)。 イ同学科2年3組に所属していた平成24年度の本生徒の欠席日数は7日間(うち1日は届出がなく,3日は届出があり,残る3日の届出の有無は 不明である。)であるが,このうち,同年6月28日の無断欠席の際,本生徒は,後記のとおり,自死未遂に及んでおり,翌29日も無断欠席した。 同年度の本生徒の成績は学年で130人中79番であった(甲1,甲6)。 後述する加害行為を主に行っていた生徒のうち,生徒A,生徒E,生徒F及び生徒Hも,同組の生徒であった(甲76ないし82)。 ウ本件クラスに所属していた平成25年度の本生徒の欠席日数は12日間 (本件自死当日を除く。)であり,成績は1学期中間において学年で127人中66番,クラス内で44人中20番,1学期全体において学年で127人中97人,クラス内で44人中 12日間 (本件自死当日を除く。)であり,成績は1学期中間において学年で127人中66番,クラス内で44人中20番,1学期全体において学年で127人中97人,クラス内で44人中31番,2学期中間においてクラス内で41人中32番であった(甲1,6)。 本生徒が欠席したのは,平成25年7月11日,同月12日,同年9月 18日,同月20日,同年10月18日,同月28日,同月29日,同年11月1日,同月2日,同月11日,同月12日,同月13日であり,そのうち少なくとも同年9月18日,同月20日,同年10月18日,同月29日,同年11月1日,同月11日,同月12日は,欠席の届出がなかった(甲1,弁論の全趣旨)。 後述する加害行為を主に行っていた生徒のうち,生徒B,生徒D,生徒E,生徒F及び生徒Gは,本件クラスの生徒であり,生徒A,生徒C及び生徒Hは,3年2組の生徒であった(甲76ないし82)。 ⑶ 本生徒を取り巻く状況等ア家庭環境等 本生徒と原告らとの関係は良好であり,特にトラブルはなかったが,本生徒は,本件自死に至るまで,自身が本高校において嫌がらせ等を受けていることを原告らに相談したことはなかった。 本生徒は優しく穏やかな性格であり,原告ら家族の中ではいつも明るい様子であった。また,本高校進学時,原告ら家族の主な収入は,原告X2 のパートの給料,原告X3の年金及び原告X4の仕送りであり,経済的に余裕があるとはいえなかった。 なお,本生徒は,本高校入学までに,学校から問題点を指摘されたことはなく,友人との関係も良好であった。 (以上,甲15,16)イ本高校入学前から1年生時まで(主に平成23年度) 本高校入学までに,学校から問題点を指摘されたことはなく,友人との関係も良好であった。 (以上,甲15,16)イ本高校入学前から1年生時まで(主に平成23年度) 高校入試の際の本生徒の第一希望は,学費の負担が少なく,また本生 徒が中学校の頃に仲が良かった同級生が多く希望していたβ高等学校であり,本高校は第二希望であった。 しかし,本生徒は,第一希望の高校に不合格となったため,本高校に進学することとした。なお,本生徒は,進学先について第三希望の高校とも迷っていた時期もあったが,本高校の総合学科が実施する,「系列」 という就職に有利になるカリキュラムに魅力を感じたため,本高校を選択した。 (以上,甲16) 本生徒は,本高校入学後「福祉保育」の系列を選択したが,本生徒はその理由について,原告X2に,福祉保育の系列が,系列の中でも金銭的負担が少ないと考えたためであると語っていた(甲16)。 本生徒は,本高校入学後,同級生に誘われてウェイトリフティング部に入部したが,平成23年11月頃,退部した(甲1,67)。 本生徒は,1年生の2学期頃以降,他の生徒から,「アゴ」と呼ばれたり,運動が苦手であることを笑われたりすることがあったが,この頃はまだ軽口を言う程度の雰囲気だった。 しかし,3学期頃からは,同級生である生徒Eから使い走りを命じられるようになった。 (以上,甲67,79,80,乙イ31の4)本高校の数学教諭の丙教諭は,本生徒が一部の同級生から「アゴ」と呼ばれていることを把握していたものの,特段これを注意したことはなく,丙教諭自身も本生徒を「アゴ」と呼ぶことがあった。なお,同 4)本高校の数学教諭の丙教諭は,本生徒が一部の同級生から「アゴ」と呼ばれていることを把握していたものの,特段これを注意したことはなく,丙教諭自身も本生徒を「アゴ」と呼ぶことがあった。なお,同教諭 は,本件自死後の調査で,本生徒が,顎が特徴的なキャラクターの画像を携帯の待ち受け画面に設定していたため,本生徒はかかる呼称を気にしていないと思っていた旨述べている。 (以上,甲19,23,乙イ12)ウ 2年生時(平成24年度) 本生徒は,2年生になった頃から,以下のとおり,複数の生徒から暴力 等の嫌がらせを受けるようになった。本生徒は,加害生徒らに対して仕返し等をすることはなく,暴力を振るわれても苦笑いをしながら痛がるだけであったが,加害生徒らはこのような本生徒の反応を面白がっていた。このような本生徒の様子から,少なくとも本生徒のクラスの一部では,本生徒を立場の低い人間として見る雰囲気が醸成されていった(甲21,67, 79,81)。 生徒Eは,他の生徒の前で,本生徒に対して,平成24年5月から本件自死に至るまで,「いいけん,行ってこい。」と大声で怒鳴る等してジュースを買いに行く等の使い走りを強要したり,戻ってきた本生徒に対して,同級生の面前で「遅いったい。」と馬鹿にするような発言をし たりしていた。 本生徒は,2年生になってから,生徒Eの使い走りの要求に対して,1度,「なんで。」と反抗したことがあったが,生徒Eが本生徒に対して「いいけん行ってこい。」と怒鳴ったため,生徒Eの要求に応じたことがあった。 (以上,甲19,21,37,79,80) 生徒A,生徒E,生徒F,生徒Hは,本生徒を含む他の生徒と,じゃんけんに負けた者の肩を ,生徒Eの要求に応じたことがあった。 (以上,甲19,21,37,79,80) 生徒A,生徒E,生徒F,生徒Hは,本生徒を含む他の生徒と,じゃんけんに負けた者の肩を殴る「肩パン」ゲームを行っていたが,上記生徒らは,同年5月から6月頃には,じゃんけんの結果に関わらず一方的に本生徒の肩を殴る(以下「肩パン」という。)ようになった。 そのうち,本生徒は,上記生徒らから,挨拶代わりに肩を殴られたり, 頭を叩かれたりするようになった。 このような光景は,他の生徒からも日常的に目撃されていた。 (以上,甲21,37,67,78,79,81) 生徒Aや生徒Hは,同年6月頃,本生徒を含む同級生に対して,相手が気付かないうちに画鋲を椅子の上に置いて座らせたり,画鋲を何個も 差し込んだガムテープの塊を投げつけたりしていた。 このようないたずらは,上記のガムテープの塊が教員に見つかった夏休み明け頃まで続いた。 (以上,甲21,67,81) 本生徒は,同年6月28日,原告らにも伝えず本高校を無断欠席し,紐で首をくくって自殺をしようとしたことから(以下「本件自死未遂」という。),首の周りに幅1cmほどの赤い痣ができた。原告X2は, 同日夕方に帰宅した本生徒の首に痣があるのを見て,痣の原因を尋ねたが,本生徒は,保育の実習中に子供から引っかかれてできた旨説明した。 本生徒は,翌29日も,原告らに伝えず本高校を無断欠席した。甲教諭が,原告X2に対し,本生徒が数日間無断欠席している旨連絡したことから,原告X1は,本生徒を探しに行き,自宅近くを徘徊している本 生徒を発見した。このとき,原告X1は,本生徒に対し た。甲教諭が,原告X2に対し,本生徒が数日間無断欠席している旨連絡したことから,原告X1は,本生徒を探しに行き,自宅近くを徘徊している本 生徒を発見した。このとき,原告X1は,本生徒に対し,首の痣の原因や学校を無断欠席している理由について尋ねたが,本生徒ははっきりした回答をしなかった。 原告X1は,同日,本生徒を本高校に連れて行き,甲教諭と面談をした。甲教諭は,本生徒の首の痣を確認し,本生徒が自殺をしようとした のではないかと疑い,痣の原因を強く問いただしたが,本生徒は,友人と遊んだ時にロープが引っかかって怪我をしたと説明するのみであった。 甲教諭は,本生徒が大きな悩みを抱えていると考えたものの,ひとまず注意深く見守ることとし,この出来事については副担任に報告したのみで,教頭や他の教諭への情報提供や生徒からの聞き取り等は行わなか った。 また,原告X1から上記面談の様子を聞いた原告X2は,再度本生徒に痣の原因を尋ねたが,本生徒は説明を強く拒んだ。 本生徒は,同年7月3日から,首の痣を隠すように絆創膏を貼って,本高校への登校を再開した。本生徒の首を見て,本生徒が自殺しようと したのではないかと考えた同級生もいた。 本生徒は,数日後,友人から首の傷の原因を聞かれた際,自殺しようとした旨答え,その理由について,学校がきついということや,家で祖母の面倒を見なければならず遊ぶ時間がないということなどを話した。 本件自死未遂以降,本生徒に対する嫌がらせ等は一時期沈静化したが,遅くとも3学期に入った頃には,本生徒は再び暴力等を振るわれるよう になった。(以上,甲1,15ないし17,21,67,79,81)本高校は,同 生徒に対する嫌がらせ等は一時期沈静化したが,遅くとも3学期に入った頃には,本生徒は再び暴力等を振るわれるよう になった。(以上,甲1,15ないし17,21,67,79,81)本高校は,同年9月13日,生徒A及び生徒Cに対して,本生徒ではない他の生徒に対する暴力行為を理由に,7日間停学の懲戒処分を科した(甲67,乙イ31の1,乙イ31の2)。 生徒Aは,同年12月頃,教壇での発表を終えた本生徒が自席に戻る 際,その足が誤って生徒Aのバッグに触れたことについて,自分のバッグを蹴られたものと思って立腹し,授業後の休み時間に教室で,本生徒の顔面を殴った。その後も,生徒Aは,他の生徒の前で,本生徒をいきなり殴ったり,蹴り倒したりした。(以上,甲21,23,71,76)エ 3年生時(平成25年度) 本生徒に対する嫌がらせは,以下のとおり3年生になってからも続いていたが,本生徒が加害者側に歯向かうことは無く,加害生徒らの嫌がらせは,本生徒が自死するまで続いた。 (以上,甲19,21,23) 生徒A及び生徒Bは,平成25年5月の終わり頃,休み時間に,他の生徒がいる中で,椅子に座っていた本生徒の体をセロハンテープで何重 にも巻いて,口をセロハンテープで止め,同人が嫌がっている様子を見て笑った(甲21,76,77,乙イ31の1)。 生徒A,生徒B,生徒C,生徒D,生徒F,生徒G,生徒Hなどは,同年5月頃から夏休み頃まで,休み時間などに,他の生徒がいる中で,本生徒に対し,度々肩パンをし,本生徒が痛がる様子を見て楽しんでい た(甲76ないし81.乙イ31の4)。 本生徒は,同年春頃から,時々,手足の力がカクンと抜けたり,ぴくつ 度々肩パンをし,本生徒が痛がる様子を見て楽しんでい た(甲76ないし81.乙イ31の4)。 本生徒は,同年春頃から,時々,手足の力がカクンと抜けたり,ぴくついたりすることがあったが,同年7月11日の朝,突然自宅台所で倒れ,福岡大学筑紫病院に救急搬送されたところ,済生会福岡総合病院において,「てんかん(若年性ミオクローヌスてんかんの疑い)」という診断を受けた。 本生徒は,同月17日頃,本高校の教師に対して,本生徒がてんかんと診断され,今後精密検査を受ける予定であることや,同月11日以前にも本生徒がてんかんの発作を起こしたことがあったことを伝えていた。 なお,ストレスや睡眠不足は上記発作の誘因となり得るとされている。 (以上,甲85,91,95,105の2,乙イ7) 平成25年10月頃には,生徒A,生徒B,生徒C,生徒D,生徒F,生徒G,生徒Hなどの加害生徒らが,本生徒に対して,ほぼ毎日,肩パンやビンタなどの暴力を振るうようになっており,他の生徒もかかる状況を認識していた。 また,生徒の中には,本生徒の欠席日数が増えていたことも相まって, 本生徒の自殺を懸念する生徒もいた。 (以上,甲21,34,37,47,49) 生徒D及び生徒Fは,平成25年10月頃,本生徒に対して,授業の間の休み時間に,他の生徒が見ている中で,教室の後ろで,息を繰り返し吐き続けさせて酸欠状態になった相手の胸を押す等して失神させる「失 神ゲーム」をして,本生徒を失神させた(甲37,79,80)。 同月1日,本件クラスにおいて,調理実習室で調理実習が行われた。 調理実習の授業では,本生徒,生徒B,生徒D及び生徒Gは,同じ班だった。 同実習中,生徒B, た(甲37,79,80)。 同月1日,本件クラスにおいて,調理実習室で調理実習が行われた。 調理実習の授業では,本生徒,生徒B,生徒D及び生徒Gは,同じ班だった。 同実習中,生徒B,生徒D及び生徒Gのほか,他の班であった生徒F は,本生徒に対し,こもごも,上腕部及び背部等を手拳で殴打したり, 大腿部等を足蹴りしたりするなどの暴行を加えた。 なお,調理実習は年に4回程度行われているが,本件クラスは騒がしくなることが多く,家庭科を担当していた乙教諭としても,授業がしにくいクラスであった。もっとも,同教諭が生徒に対して注意をすることは少なかった。 (以上,甲18,20,24ないし28) 本生徒は,同月13日,麻生公務員専門学校福岡校を受験して,同校に合格し,同月25日,同校に対し,入学金5万円を支払った(甲93)。 同月23日,本高校体育館2階アリーナ内で生徒会の立会演説会が行われた。その際,同アリーナの床はワックスが塗られており,非常に滑 りやすくなっていた。 生徒A及び生徒Bは,演説開始前に生徒が集合するためにざわついている中,本生徒に対し,足首等を足蹴りして同人を転倒させた。本生徒が,転倒しないように踏んばっていても,生徒A及び生徒Bは,協力して本生徒を転倒させようとした。結局,本生徒は,この日,少なくとも 4ないし5回床に転倒させられた。 また,生徒A及び生徒Bは,同日以外にも,同アリーナに集合する際には,本生徒を転倒させて楽しむことが多々あった。 (以上,甲33ないし36,39ないし41) 生徒Dは,同月の終わりころ,生徒Gから,本生徒が2年時に首つり をした旨を聞き,本生徒にこのことを尋ねたところ,本生徒は,友達 た。 (以上,甲33ないし36,39ないし41) 生徒Dは,同月の終わりころ,生徒Gから,本生徒が2年時に首つり をした旨を聞き,本生徒にこのことを尋ねたところ,本生徒は,友達を発泡スチロールの上に乗せて紐で引っ張って遊んでいたときに,首に紐が引っかかっただけであると答えた。 生徒Dは本生徒の説明を信じられなかったため,本生徒に対し,「お前,自殺すんなよ。」と言った。これに対して,本生徒は,「せんよ。」 と答えていた。 (以上,甲21,甲80) 同年11月5日に調理実習室で調理実習が行われた際,生徒B及び生徒Dは,本生徒に対して,調理実習のメニューであった麻婆豆腐を熱いまま金属製のお玉杓子やスプーンですくい,これを同人の口元に押し当て口内に入れるなどして,同人に火傷を負わせた。本生徒は,「熱っ。」などと言って熱がっていたが,生徒B及び生徒Dは,本生徒の反応を見 て笑った。また,生徒B及び生徒Dは,本生徒に食べさせるために,豆板醤を大量に練りこんだテニスボールほどの大きさの白玉団子を作成した。これらの行為は,他の生徒によっても目撃されていた。 乙教諭は,本生徒の前に置かれている白玉団子や麻婆豆腐に大量の豆板醤が入れられていることに気付き,生徒B及び生徒Dを注意指導した が,本生徒などから事情聴取をしたり,他の教師に情報提供をしたりすることはなかった。 本生徒は,調理実習が終わった後に保健室に行き,養護担当の助教諭に火傷の状態を確認してもらった。このとき,同助教諭は,保健室利用状況一覧に,「主症状名」を「火傷」,「詳細他」を「口」,「発生場 所」を「実習室」,「備考」を「調理実習の味見の際にやけどした に火傷の状態を確認してもらった。このとき,同助教諭は,保健室利用状況一覧に,「主症状名」を「火傷」,「詳細他」を「口」,「発生場 所」を「実習室」,「備考」を「調理実習の味見の際にやけどした」と記録に残している。同助教諭は本生徒に対して,後ほどまた見せに来るよう指示したが,本生徒が再び保健室を訪れることはなかった。また,同助教諭が本生徒の火傷を改めて確認したり,他の教員との間で本生徒の保健室利用について情報共有をしたりすることはなかった。 なお,原告らは,同月8日頃,本生徒の口の端が茶色に変色していることに気付いたが,本生徒は原告X5に対し,麻婆豆腐を食べて火傷した旨答えた。 (以上,甲18,47ないし51,乙イ27の3,弁論の全趣旨) 生徒A及び生徒Hは,他の生徒が見ている中で,本生徒に対して,同 月6日の昼休みに,本件クラスの教室内において,嫌がる本生徒に対し, 顔面を平手で10回以上殴打した(甲56ないし60)。 生徒A,生徒B及び生徒Cは,本生徒に対して,同日の放課後である午後4時30分頃,強く噛んでも簡単には砕けないほど非常に硬い食べ物である「堅パン」を同人の顎で割ろうと考え,他の生徒が見ている中で,総合学科3年2組の教室内において,同人の顎をめがけてそれぞれ アッパーをするように,2度堅パンで殴打した。その衝撃で「堅パン」は砕け,本生徒は,かかる暴行により,顎の先端あたりに血がにじむ擦り傷を負った。上記生徒らは,痛がっている本生徒の様子を見て,笑いあった。 2度目の殴打の際,生徒Cはその様子を携帯電話で動画撮影したが, 同月12日頃,本生徒が家出したことを知り,自分たちが本生徒に暴力をふるっていたことが発覚することを避けるため 笑いあった。 2度目の殴打の際,生徒Cはその様子を携帯電話で動画撮影したが, 同月12日頃,本生徒が家出したことを知り,自分たちが本生徒に暴力をふるっていたことが発覚することを避けるため,上記動画を削除した。 原告らは,同月8日頃,本生徒の顎付近に擦過傷ないし切創様の傷を認め,原告X5が本生徒に原因を尋ねたが,本生徒は,サッカーをしていて転んだ旨答えた。 (以上,甲67ないし75,弁論の全趣旨) 生徒Aは,同月8日の昼休み中,本件クラスの教室内において,手拳で本生徒の顎を殴った(甲83)。 ⑷ 学校生活アンケートの結果等本高校では,毎年5月頃及び9月頃に,全校生徒を対象として,記名式で自分や他の生徒の学校生活の様子について問う「学校生活アンケート」(以 下,「本件アンケート」という。)を実施していた。同アンケートは,最後の自由回答欄の他は,各質問に対して「とてもある」,「すこしある」,「あまりない」,「全くない」の4段階で回答する形式となっていた。同アンケート実施後には,各学級担任において,悩みを抱える生徒と面談をする「相談週間」が設けられていた。 なお,平成24年7月及び平成25年7月には,保護者を対象とする「保 護者アンケート」も実施されていたが,同アンケートの回答数はいずれも0件であった。 (以上,甲1,乙イ6)ア 1年生時(平成23年度)本生徒のクラスでは,平成23年5月に実施された本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」と いう質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が6名いた(乙イ2の1)。 また,同クラスでは,同年10 本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」と いう質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が6名いた(乙イ2の1)。 また,同クラスでは,同年10月に実施された本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」という質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が1名いた(乙イ2の2)。 イ 2年生時(平成24年度)本生徒のクラスでは,平成24年5月に実施された本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」という質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が1名おり,「あなたのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。」という質問に対し て,「とてもある」と回答した生徒が1名いた(乙イ2の3)。 また,同クラスでは,同年10月に実施された学校生活アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」という質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が1名おり,「あなたのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。」という質問に対し て,「すこしある」と回答した生徒が3名いた(乙イ2の4)。 ウ 3年生時(平成25年度) 本件クラスでは,同年5月20日に実施された本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」という質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が2名おり,「あな たのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。」という質問に 対して,「すこしある」と回答した生徒が2名いた(乙イ2の5)。 本生徒は,上記アンケートにおいて,下記の括弧内の各質問事項に対して,以下のと いる人はいますか。」という質問に 対して,「すこしある」と回答した生徒が2名いた(乙イ2の5)。 本生徒は,上記アンケートにおいて,下記の括弧内の各質問事項に対して,以下のとおり回答した(乙イ1の1,乙イ5)。 (クラスの人にいやなことを言われたり,からかわれたりすることがありますか。)全くない (休み時間などにグループに入れなくて,ひとりぼっちでいることがありますか。)全くない(自分の持ち物が無くなったり,壊されたりすることがありますか。)全くない(あなたはクラスの人に乱暴なことをされることがありますか。)あ まりない(自分の持ち物やお金を貸して,返してもらえないことがありますか。)あまりない(あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。)全くない (あなたのクラスに,嫌がらせをされている人はいますか。)全くない(あなたはクラスの中でほっとしたり楽しい気持ちになったりすることがありますか。)すこしある(困ったり悩んだりしたときに,相談できる先生はいますか。)すこ しある(あなたは友達のいいなりになってしまうことがありますか。)すこしある(あなたは自分自身のことが好きですか。)すこしある。 (学校に行きたくないと思うことがありますか。)すこしある (以上の質問の内容以外に気になることや相談したいことがあったら 具体的に書いてください。)ないです本件クラスでは,同年9月21日に実施された本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人 や相談したいことがあったら 具体的に書いてください。)ないです本件クラスでは,同年9月21日に実施された本件アンケートにおいて,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」という質問に対して,「すこしある」と回答した生徒が2名おり,「あなたのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。」という質問に 対して,「とてもある」と回答した生徒が1名いた(乙イ2の6)。 同アンケート後の相談週間において,甲教諭が,「あなたのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。」という質問に対して,「とてもある」と回答した生徒に事情を聴いたところ,その被害者は本生徒ではない生徒であった(乙イ6)。 本生徒は,上記アンケートにおいて,下記の括弧内の各質問事項に対して,以下のとおり回答した(乙イ1の2,乙イ5)。 (クラスの人にいやなことを言われたり,からかわれたりすることがありますか。)すこしある(休み時間などにグループに入れなくて,ひとりぼっちでいることが ありますか。)全くない(自分の持ち物が無くなったり,壊されたりすることがありますか。)あまりない(あなたはクラスの人に乱暴なことをされることがありますか。)あまりない (自分の持ち物やお金を貸して,返してもらえないことがありますか。)全くない(あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。)全くない(あなたのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。)あま りない (あなたはクラスの中でほっとしたり楽しい気持ちになったりすることがありますか。)とてもある に,いやがらせをされている人はいますか。)あま りない (あなたはクラスの中でほっとしたり楽しい気持ちになったりすることがありますか。)とてもある(困ったり悩んだりしたときに,相談できる先生はいますか。)すこしある(あなたは友達のいいなりになってしまうことがありますか。)すこ しある(あなたは自分自身のことが好きですか。)すこしある(学校に行きたくないと思うことがありますか。)あまりない(以上の質問の内容以外に気になることや相談したいことがあったら具体的に書いてください。)特にないです ⑸ 本生徒の自死についてア本生徒は,本生徒が使用していた携帯音楽プレイヤーに,同年11月11日午前3時25分には「毒草(トリカブト)球根を一つ砕いて飲めば即死。作用は劇的で数分で猛烈な痙攣,血圧上昇が起こり,苦痛を伴い死に至る。(シキミ)実を2,3粒すり潰して飲めば致命的。口当たりが悪い。」 というメモを,同日午前5時56分には,「燃料アルコール先に吐き気止めをのんでおき,燃料アルコールにヨーグルトやシロップを大量に加えると酒と区別がつかない程度になる。苦痛は比較的少なく,コップ一杯程度で致命的。」というメモを,それぞれ残した。 本生徒は,同日朝,制服を着て自宅を出たが,実際には本高校を無断欠 席していた。 (以上,甲5,16)イ本生徒は,同月12日も,本高校を無断欠席した。 原告X2は,本生徒が夕方になっても帰宅しなかったため,午後7時頃本生徒に電話をしたところ,本生徒は友人宅に泊まると告げた。しかし,原告X2が当該友人の自宅に電話 本高校を無断欠席した。 原告X2は,本生徒が夕方になっても帰宅しなかったため,午後7時頃本生徒に電話をしたところ,本生徒は友人宅に泊まると告げた。しかし,原告X2が当該友人の自宅に電話で確認したところ,本生徒が当該友人宅 に行っていないこと及び本生徒が前日から学校を欠席していたことが判明 した。 原告X2が本生徒に電話を掛けてもつながらなかったため,原告X1及び原告X2は,同日午後9時頃,筑紫野警察署に捜索願を提出した。 (以上,甲101,弁論の全趣旨)ウ本生徒は,同月13日の夜,福岡県春日市内のマンション敷地内に立ち 入り,本生徒が使用していた携帯音楽プレイヤーに,午後7時26分には「足が竦む一歩前に進めないここまできたんだ。逝こう。」,午後7時27分には「みんな,心配かけてごめん。新しい自分に生まれ変わります。」,午後8時29分には「生徒Aだけは絶対に許さない。殺したい。」というメモを残した(甲3,5)。 エ本生徒は,同月14日午前2時1分,本生徒が使用していた携帯音楽プレイヤーに,「さよなら。」とメモを残し,午前3時30分頃,同マンション非常階段9階と10階の間から投身した(甲3,5)。 ⑹ 本生徒自死後の調査等ア被告による調査等 被告は,平成25年11月14日及び同月15日,本件クラス及び隣のクラスである総合学科3年2組の生徒に対して,臨床心理士の指導のもと,「今回の事故に関して,思い当たることはありますか?」という質問事項に対し,「ある」と「ない」の2択で回答する形式のアンケートを実施した。 その結果,本件クラスで,「ある」と回答した生徒は29名,「ない」と回答した生徒は12名であった。また, に対し,「ある」と「ない」の2択で回答する形式のアンケートを実施した。 その結果,本件クラスで,「ある」と回答した生徒は29名,「ない」と回答した生徒は12名であった。また,上記3年2組では,「ある」と回答した生徒は5名,「ない」と回答した生徒は39名であった。 (以上,甲1,乙イ6) 被告は,同月18日から20日にかけて,上記の2クラスの生徒に 対して,本生徒に関する事情聴取を行った。 同事情聴取に対しては,本生徒が肩パンされている場面をよく見た旨の回答,本生徒が2年生の時に自殺しようとしたことがあるとうわさで聞いた旨の回答,本生徒がパシリに使われていた旨の回答のほか,本人も笑っていたため遊びだと感じた旨の回答,生徒Eと本生徒は仲良しだと思っていた旨の回答などがあった。 (以上,甲1,乙イ6,15) 本生徒に対する加害行為の関係者として名前が挙がっていた9名の生徒に対して,同年12月10日から同月16日にかけて,改めて詳しく事情を聴取した(乙イ6)。 の調査の結果,本生徒がいじめられていたと断定するに足りる事実関係までは認められず,本生徒に対する行為と自 死との因果関係も不明であるとして,平成25年12月から翌26年1月にかけて,原告らに対し,調査の結果,本件自死の原因を特定することはできなかった旨,及び,本生徒に対するいじめの存在を推認させるような事情があれば改めて調査を行う旨などを報告した(甲1,乙イ4)。 イ第三者委員会による調査等 第三者委員会は,いじめ防止対策推進法28条1項に基づく調査において,平成26年10月17日,2年生又は3年生時に本生徒と同じクラスであった生徒65名を対象とし 第三者委員会による調査等 第三者委員会は,いじめ防止対策推進法28条1項に基づく調査において,平成26年10月17日,2年生又は3年生時に本生徒と同じクラスであった生徒65名を対象としたアンケートを実施し,本生徒に対する暴力行為等を見たことがあるか否かやその内容等について質問した。同アンケートに対して,23名が回答し,暴力行為等を見たことがあると回答し た者と,見たことがないと回答した者がそれぞれ11名,未記入の者が1名であった。 暴力行為等の内容としては,一部の男子から叩かれていた,肩パンを一方的にされていた,ビンタをされていといったことや,使い走りを命じられていたことなどが記載されていた。 また,自由記載欄に,本生徒はとても優しい人だったために,つらい事 に対しても無理をしていたのかもしれないといった記載をしている者や,本生徒は明るい性格であり,周りがやり過ぎだと思っていても本生徒が苦しい顔をしなかったために,本生徒を「いじられキャラ」として扱う雰囲気が生まれ,クラス全体が相談などをしにくい状況を作ってしまったのではないか,また,先生が本生徒の死をクラスで報告したときに,男子生徒 の中で笑いながら責任を擦り付け合うような会話がなされていたことは理解できないといった記載をしている者,クラスでの本生徒の笑顔は本物であり,自分の考えとしては,ただ悪ふざけだけが原因で本生徒が自死を選択したとは思えなかったといった記載をする者などがいた。(以上,甲1)⑺ 被告における「いじめ」防止の取組等 ア本件自死以前 平成22年7月21日,本高校において,在籍していた生徒が首をロープで吊り自殺を図った事故が発生した。同生徒は心肺停止状態で病院に じめ」防止の取組等 ア本件自死以前 平成22年7月21日,本高校において,在籍していた生徒が首をロープで吊り自殺を図った事故が発生した。同生徒は心肺停止状態で病院に搬送されたが,3日後に死亡した。 被告は,この事故を受け,同月31日付けで,再発防止委員会(本件 委員会。なお,同委員会は平成24年5月18日付けで「生徒健全育成委員会」に名称変更された。)を設置した。また,被告において,上記生徒の自殺の原因について調査をしたが,被告は,部活動内において上級生からの行き過ぎた指導があったことは確認できたものの,いずれも当事者間及び顧問,保護者間で都度解決がされていたため,自殺の原因 は特定できないと結論付けた。 本件委員会は被告におけるいじめ問題を所管することとされており,校務分掌上は,校長直属の各種会議及び委員会として位置付けられている。 本件委員会の構成員は,本高校の教頭,教務部長,生徒指導部長等で あり,具体的な取組として,職員研修や生徒への啓発のための各種講話 の実施,生徒に対する生活アンケート(本件アンケート)による学校生活の実態調査やアンケート後の相談,保護者に対するアンケートの実施,家庭訪問,生徒,職員及び保護者を対象とするスクールカウンセリング等を行っていた。 (以上,甲109ないし111,乙イ6,8) 本件アンケートの回答結果については,学級担任が個別に事情聴取や 調査等をすることとはされておらず,基本的には,アンケート結果に応じていじめ防止や人権をテーマにした授業を行うこととされていた。 また,保護者に対するアンケートは,少なくとも平成24年7月7日実施分及び平成25年7月8日実施 には,アンケート結果に応じていじめ防止や人権をテーマにした授業を行うこととされていた。 また,保護者に対するアンケートは,少なくとも平成24年7月7日実施分及び平成25年7月8日実施分については,1件も回答がされていない。 (以上,乙イ6) イ本件自死後被告は,第三者委員会宛ての平成27年3月10日付け「ご説明書(11)(今後の取組について)」と題する書面において,本件自死を踏まえて本高校内で議論した今後の取組について,概略,以下のとおり報告した(乙イ14)。 「生活アンケート」の実施「生活アンケート」を毎月実施する。 いじめがどの程度起きているかを定時的に把握し,緊急性のある事案に対し迅速に対応すること,生徒に,学校として「いじめをなくそう」としている姿勢を表明し,教職員もいじめ問題への意識を新たにする機 会とすることを目的とする。 具体的な方法として,カウンセラー監修の2種類のアンケートを交互に実施し,無記名方式で行いつつ,回答者を特定できるよう工夫して行う。 「保護者向けアンケート」の実施 「保護者向けアンケート」を毎学期実施する。 学校が家庭と連携して取り組むこと,保護者がいじめに対する学校の取組をどのように受け止めているのか,家庭が学校に対してどのような協力や支援ができると考えているのかについて把握することを目的とする。 「人権学習」,「命の教育講話」,「心理教育講話」,「卒業生教育 講話」の実施上記の講話等を,各学期に分けて実施する。 「自殺防止」と「いじめ防止」 。 「人権学習」,「命の教育講話」,「心理教育講話」,「卒業生教育 講話」の実施上記の講話等を,各学期に分けて実施する。 「自殺防止」と「いじめ防止」のそれぞれの目的を区別して実施計画を立案し,感想文の作成や振り返りを通じて,生徒の人格形成を促す。 「カウンセリング」の実施 「生活アンケート」にていじめ等の端緒が感じられた生徒については,担任より積極的にカウンセリングを紹介するなどの対応を取る。 「二者面談」の実施毎年6月及び10月に担任・副担任と生徒との間で二者面談を行い,学校生活,学習,友人関係等について悩みや問題の早期発見に努め,い じめ問題についても何か気付くことがないか,積極的にヒアリングする。 「二者面談」後の保護者面談の実施毎年7月及び12月に,担任・副担任が,生徒及び保護者と面談を行い,進路等の問題に限らず,いじめの問題について何か気付くことがないか積極的にヒアリングを行う。 「ホームルーム」(HR)の実施生徒の成長に伴う年間の実施計画を作成し,統一テーマの下にHRを実施することで,望ましい人間関係を形成し,生徒の自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てることを目的とする。 各科における集会の実施 本高校内に設けられた4科で,それぞれ1学期に1回集会を行い,情 報の交換,共有を図り,生徒が自らの進む道や自分探しの機会を提供することを目的とする。 保健室,スクールカウンセラー,外部専門家と各科及び学年との合同会議の実施各専門家が参加する合同会議を行って情報を共有するこ 自分探しの機会を提供することを目的とする。 保健室,スクールカウンセラー,外部専門家と各科及び学年との合同会議の実施各専門家が参加する合同会議を行って情報を共有することで,身体的 及び精神的な側面から発達段階にある生徒の状況を把握する。 本高校が意識すべき課題いじめ防止対策推進法に基づき基本方針を作成するだけでなく,生徒や第三者をいじめ防止の取組に参画させていくこと,また,本件委員会が職員研修や保護者を対象とする研修を定期的に行い,基本方針を活か す取組を行うこと。 教師が,毎日の授業を通して生徒の様々な力を育て,生徒の感受性を磨けるような授業力を身に付けること,学級の雰囲気を向上させるような対人関係力を身に付けること,養護教諭との連携を強化すること。 学校全体で危機管理を学び,学校が一体となった組織的な取組ができ るように努めること。 ⑻ 本件委員会による提言本件委員会は,本件自死に関する調査結果を踏まえて,平成27年3月30日付け「調査報告書」において,被告に対し,概略,以下の提言をした(甲1)。 アいじめについての教員の認識を育て深めることヒアリングにおいて,複数の生徒が,先生の前で生徒同士が肩パンをしていても注意されたことはなかったと述べており,教員ないし被告におけるいじめに対する理解不足が多く見られた。また,教員が本生徒を「アゴ」と呼んでいた事実が判明しており,このような日常的な教師の言動が,生 徒たちに対する,人格毀損行為のモデルになり得る可能性も否定できない。 今後は,被告において,いじめに当たるかは被害者側の立場に立って判断すべきであり, が,生 徒たちに対する,人格毀損行為のモデルになり得る可能性も否定できない。 今後は,被告において,いじめに当たるかは被害者側の立場に立って判断すべきであり,できるだけ幅広く捉えるべきであるとされていることを周知する必要がある。また,教師の言動が生徒たちに対する人格毀損行為のモデルにならないようにする必要がある。 現場の教員は,「いじめ」問題の萌芽を早期に発見し,適切な対処をす るためには,常日頃から「いじめ」はいつ起こってもおかしくないという覚悟が求められていることを銘記するべきである。 また,被告においては,今後仮に「いじめ」ないし「いじめが疑われる事例」が発生した場合には,早期発見して教員間に情報共有したことを評価するなど,現場の教員の意識改革及び心理的フォローに努めてほしい。 イ生徒に対する「いじめ」教育を徹底すること本件は,加害生徒らによる「からかい」,「ちょっかい」という軽い気持ちから始まり,徐々にエスカレートしていくとともに,まわりの生徒らもその異常さに鈍感になっていったという集団心理の側面がうかがえる。 また,被告において平成23年度から開講されていた講話は,「いじめ」 はもとより,思春期特有の心理的問題や課題に直面する生徒たちにとって自己点検を促す重要な機会であったが,生徒たちは講話の内容を日常に活かすことができておらず,生徒の「いじめ」への感受性を高める学校側の日常努力が十分でなかった。 被告としては,全生徒に対する「いじめ」教育を具体的に行い,「いじ め」について学ぶ機会をさらに充実させるべきであり,「いじめ」の具体例を提示しながら,「いじり」や「遊び」であるという正当化は許されないこと 生徒に対する「いじめ」教育を具体的に行い,「いじ め」について学ぶ機会をさらに充実させるべきであり,「いじめ」の具体例を提示しながら,「いじり」や「遊び」であるという正当化は許されないことを理解できるように最大限配慮すべきである。 ウ学校生活アンケートのさらなる活用平成23年度から平成25年度における学校生活アンケートの全校集計 においては,6ないし8%の生徒が嫌がらせ等に遭っている同級生の存在 を報告していた。また,同アンケートは記名式であり,かつ,短時間で機械的に実施されており,回答は必ずしも実態を正確に反映していない可能性もある。同アンケートが日常においてどのように指導に活かされていたかは疑問が残る。 被告は,学校生活アンケートの意義について,いじめと関連付けて事前 に,繰り返し説明することが必要であり,教員にも,「高校生だから意味は分かるだろう」などと生徒を軽信することなく,アンケートを配付して意義を説明する行為自体が「いじめ」の抑止力になることを,理解させる必要がある。 また,アンケートの取り方についても,効果的に回答が寄せられるよう に方法を工夫すべきであるし,集計結果についても,担任や学年教員にも報告し,それを契機として生徒や保護者から情報を収集したり,教員間で情報を共有したりするなど,生徒の現状を再点検する方向での学校生活アンケートのさらなる活用が求められる。 エ日常の観察の重要性と生徒の性格や行動傾向の把握 教員にとって,休み時間や自由時間の姿や行動は直接にはわからないのが普通であるが,本件では,教室や全校集会時のアリーナ(体育館)において,日常的に,かつ執拗に数名の生徒たちから本生徒に対して暴行が加え にとって,休み時間や自由時間の姿や行動は直接にはわからないのが普通であるが,本件では,教室や全校集会時のアリーナ(体育館)において,日常的に,かつ執拗に数名の生徒たちから本生徒に対して暴行が加えられており,教師の目が近くにあったなら,あるいはその可能性を生徒たちに予測させるような教師の行動が日頃からあったなら,これらの暴行 は日常化することもなかったかもしれない。 自身や友人のことを保護者や教員に話しにくいと感じるのは高校生の心性として当然であるから,教員としては,各生徒の性格や行動傾向に関する情報を得るために,また,同級生の危機的な状況に積極的に関わろうとする態度を涵養するために,生徒の能動的かつ協同的な授業を積極的に行 うべきである。 さらに,教師による生徒たちに対する継続的な観察が何より必要であり,本件においても,高校2年生の自死未遂と思われる事案の後,教員が継続的に生徒を観察する意識があれば,いじめの何らかの萌芽を発見できた可能性もある。生徒Aについても,高校2年生の9月に懲戒処分を受けた後も継続的に観察を行っていれば,本生徒に対する行為の一部を発見できた か,生徒Aに対する抑止力になり得た。加えて,調理実習後本生徒が火傷を負い保健室を訪れた際,本生徒が教員の指示に従っていなかったが,対応は行われていなかった。 このように,何らかの問題の目を発見した場合には,簡単に問題ないと判断するのではなく,生徒に対する監察を継続すべきである。 オ教員間の連携の強化現代の学校教師は,特に学級担任は多忙であり,甲教諭も,本生徒のように自己表現が乏しい生徒への対応は苦慮したかもしれない。本件自死未遂などの緊急事態においては,甲教諭が一人で対応を 強化現代の学校教師は,特に学級担任は多忙であり,甲教諭も,本生徒のように自己表現が乏しい生徒への対応は苦慮したかもしれない。本件自死未遂などの緊急事態においては,甲教諭が一人で対応を抱え込むには限界があり,他の教師の積極的な応援等があれば,また違った結果になったかも しれない。また,本高校においては,副担任制度が形骸化しており,担任の負担が重くなっている実態があった。 各教員が多忙な日常業務の中で問題を抱え込んだり孤立したりすることを防ぐという点では,被告は,全教員による必要な情報共有と行動連携を可能にするシステムを構築又は改善する等,教職員間の協働・連携強化の 在り方についても改めて検証・検討する必要がある。 また,副担任がクラスの担当として実働できる業務体制を,被告が率先して構築すべきである。 カ学校法人と保護者の連携強化上述の高校生の心性を考慮すると,学校と保護者の連携を強化し,双方 が「いじめ」の早期発見に努めることが欠かせない。学校からは,欠席・ 遅刻・早退の連絡をすることはもちろん,授業中の様子などで気になることがあれば積極的に保護者に伝える必要がある。また保護者からも,家庭での様子で気になることがあるときには学校に相談することが必要である。 本件では,本生徒が無断欠席をしても,必ずしも教員から保護者に連絡がなされていたわけではなかった。また,本件自死未遂の際も,甲教諭と保 護者は一度面談をしたのみで,その後継続的な連携や協力がなされた形跡はない。 無断欠席等生徒の行動に不自然な点があった場合には,必ず保護者に連絡することを徹底し,必要があれば,速やかに個別面談を実施する等の方策を取るべきである。また,短期間で問題 形跡はない。 無断欠席等生徒の行動に不自然な点があった場合には,必ず保護者に連絡することを徹底し,必要があれば,速やかに個別面談を実施する等の方策を取るべきである。また,短期間で問題なしと即断するのではなく,継 続的に情報を共有しつつ,生徒の心情や行動に意を配る必要がある。 キ本件の教訓を決して風化させないこと被告が,上記の各提言を実行するにあたっては,本件について必ず触れることとして,決して風化させないことが何より肝要である。 ⑼ 生徒Aらとの和解(当裁判所に顕著な事実) 原告らは,平成28年10月13日,本件被告及び生徒Aらを被告として,本件訴訟を提起した。 このうち生徒Aらに対する請求は,本生徒の相続人である原告Ⅹ1及び原告Ⅹ2が,本生徒が生徒Aらの度重なる継続的かつ集団的暴力,強要行為及び侮辱行為により名誉を毀損されたとして,同生徒らに対し,不法行為に基 づく慰謝料等合計550万円(原告Ⅹ1及び原告Ⅹ2につき各275万円)の支払を求めるとともに,本高校のアリーナ内に謝罪文の掲示を求めるものであった。 原告X1,原告X2と生徒Aらとの間では,本件訴訟手続において,概略,以下の内容を含む訴訟上の和解が個別に成立し,生徒Aらは,原告らに対し て,合計390万円の和解金を支払うこととされた。 ア生徒Aらが,訴状記載の各事実のうち,自身が行ったとされている行為の存在の一部または全部を認めること。 イ生徒Aらが,原告らに対して謝罪をすること。 ウ生徒Aらは,被告が謝罪文を掲示する場合に,異議を述べないこと。 エ生徒Aらが,原告X1及び原告X2に和解金を支払うこと。 2 争点1(本件自死について 謝罪をすること。 ウ生徒Aらは,被告が謝罪文を掲示する場合に,異議を述べないこと。 エ生徒Aらが,原告X1及び原告X2に和解金を支払うこと。 2 争点1(本件自死についての被告の責任の有無〈ア被告の安全配慮義務違反又は過失の有無イ被告の同義務違反又は過失と本件自死との因果関係の有無〉)について⑴ 本件自死の原因について上記1⑶のとおり,本生徒は,本高校入学後,特に2年生時から本件自死 に至るまで,加害生徒らから,他の生徒の前で,殴られたり,蹴られたりする暴力や,セロハンテープで何重にも巻かれて椅子に縛り付けられたり,ゲームと称して失神させられたりする暴力のほか,使い走りをさせられたり,「アゴ」という身体的特徴を揶揄する呼び方をされたりするなどの多様な嫌がらせを一方的かつ継続的に受けていたことが認められる。これらの加害生 徒らによる行為が本生徒に対する心理的,物理的な攻撃に当たることは論を俟たないところ,本生徒は,加害生徒らの上記暴力や嫌がらせに対して,明確に抵抗したり不満を表明したりすることは少なかったものの,このような暴力が日常的に行われるようになった平成25年10月頃には本生徒の欠席日数が増えていることや,本生徒が本件自死直前に加害生徒らの一人に対す る憎悪を表明していること(上記1⑸ウ)からすれば,本生徒が加害生徒らの行為に対し,強い身体的・精神的苦痛を感じていたことは明らかである。 したがって,加害生徒らによる本生徒に対する上記1⑶記載の各行為は,いじめ防止対策推進法2条1項所定の「いじめ(児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児 童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって,当該行為の対象 1項所定の「いじめ(児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児 童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって,当該行為の対象 となった児童等が心身の苦痛を感じているもの)」に該当する。 そして,本生徒に対するいじめは,少なくとも1年半以上の長期間にわたっているうえ,特に,本生徒が自殺する直前の平成25年10月頃からは,複数人が,何らの理由なく,一方的に,殴ったり,足蹴りしたりする暴力を日常的に行うようになり(上記1⑶エ),その態様も,深呼吸を繰り返させ 酸欠状態に陥らせて胸を押して失神させたり,体育館で何度も足払いをして床に転倒させたり,調理実習で調理し熱せられた麻婆豆腐を無理やり本生徒の口の中に流し込んで火傷をさせたり,堅いパンが砕けるほどの力で顎を殴って,その様子を動画撮影したりする(上記1⑶エという相当に苛烈なものであり,加害生徒らの一部を含む複数の生徒が,本生徒が 自殺する可能性を考えるほどであった(上記1⑶エ)。 このようないじめ被害を受けていた本生徒は,同年秋頃から次第に欠席が多くなり,やがて,上記火傷事件や堅いパンで殴られ動画を撮影された日から1週間も経たない平成25年11月11日以降本高校を無断欠席し,同月14日未明に本件自死に至ったという経過に加え,本生徒が自死に至る前日 に自身が携帯していた音楽プレイヤーに,加害生徒らの一人の名前を挙げて絶対に許さない旨の書き込みをしていることや,本生徒について,上記いじめのほかに自死に至らしめるような事情は見当たらないことを勘案すると,本生徒は,加害生徒らのいじめにより,精神的に追い詰められ,現実から逃れる手段として自死に至ったと認めるのが相当である。そし いじめのほかに自死に至らしめるような事情は見当たらないことを勘案すると,本生徒は,加害生徒らのいじめにより,精神的に追い詰められ,現実から逃れる手段として自死に至ったと認めるのが相当である。そして,前記のとお り,本生徒に対するいじめは,執拗かつ一方的で,長期間にわたって継続しており,平成25年秋頃から次第に苛烈さを増していたことに鑑みると,加害生徒らによるいじめと本件自死との間には,相当因果関係が認められるというべきである。 ⑵ 被告の責任 ア被告及び本高校の教員の義務の概要 本高校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係によって生徒の生命,身体,健康に対する安全に影響がある場合,本高校の設置者たる被告には,在学契約に基づく付随義務として,信義則上,上記生徒の生命,身体等に対する安全に配慮すべき義務があるものと解される。そして,このような義務の内容として,本高校の教員らは,学校における教育活動 及びこれに密接に関連する生活関係によって生ずるおそれのある危険から生徒を保護し,安全の確保に配慮すべき義務を負っており,特に,生徒の生命,身体,精神,財産等に大きな悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるような場合には,そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため,その事態に応じた適切な措置を講じるべき一般的な安全配慮義務を 負っているものと解するのが相当である。 特に,遅くともいじめ防止対策推進法が成立・公布された平成25年6月28日頃において,学校内における生徒間のいじめによって,被害生徒が自殺するに至る事案が存在することは,各種報道等によって世間一般に相当程度周知されていたといえるところ(甲1・60頁以下参照),現に 学校教育に携わる専門家であ 間のいじめによって,被害生徒が自殺するに至る事案が存在することは,各種報道等によって世間一般に相当程度周知されていたといえるところ(甲1・60頁以下参照),現に 学校教育に携わる専門家である被告及び本高校教員らとしては,同法成立以前においても,生徒間におけるいじめが自殺という重大な結果に結びつき得ることを,当然に認識していたはずである。そして,被告及び本高校教員らには,生徒の生命・身体を保護するための具体的な義務として,特定の生徒に対するいじめの兆候を発見し,又はいじめの存在を予見し得た 時には,教員同士や保護者と連携しながら,関係生徒への事情聴取,観察等を行って事案の全体像を把握した上,いじめの増長を予防すべく,本生徒に対する心理的なケアや加害生徒らに対する指導等の適切な措置を取る義務があるものと解される。 なお,このような義務に違反する作為ないし不作為は,在学契約に基づ く付随的義務としての安全配慮義務違反として債務不履行を構成するのみ ならず,生徒の生命,身体に対する侵害として不法行為をも構成するというべきである。 イ被告及び本高校教員の具体的な義務違反の有無これを本件についてみると,上記1⑶ウのとおり,本生徒は平成24年6月28日に一度自死を試みているところ(本件自死未遂),甲教諭は, その際に生じた本生徒の首の痣を現認しており,この痣について,本生徒が自死を試みて生じた可能性があると考えていたのであるから,それ以降は,少なくとも本生徒が自死を決意するほどの悩みを抱えている可能性があることを前提に対処することは可能であったというべきである。自死未遂は,希死念慮の顕著な発露であり,生徒の自死の背景に生徒間のいじめ 等が存在することはままあり得るところ,こ ている可能性があることを前提に対処することは可能であったというべきである。自死未遂は,希死念慮の顕著な発露であり,生徒の自死の背景に生徒間のいじめ 等が存在することはままあり得るところ,このようないじめ被害発見の端緒を捉えた甲教諭としては,直ちに本件自死未遂について校長や教頭に報告し,組織として,自死未遂の原因となった背景事情等に関する情報を教員間及び教員と保護者との間で共有し,相互に協力して,本生徒の学校生活や他の生徒との関わり等について,注意深く観察し,他の生徒等からも 情報収集するなどして,本生徒に対するいじめやトラブルの有無等について調査し,その安全を確保すべき義務があった。しかし,甲教諭は,本生徒が不審な傷を負っていることについて副担任のみに報告し,その後しばらく本生徒の様子を注意深く見守ったというだけで,長期間にわたる継続的な観察をすることもなく,副担任以外の教員との間で情報共有も行なわ ず,また,本生徒の学校内での様子について,他の生徒から事情を聞くこともなく,本生徒やその保護者である原告らに再度事情を聞くこともなかった。 また,本生徒は,平成25年9月から本件自死直前の同年11月10日までの間に,7日欠席をしており,そのうち少なくとも4日については, 欠席の届出すらされていなかったところ(上記⑵ウ),甲教諭としては, 前年の自殺未遂が疑われる事情を把握していたのであるから,本生徒がこのように頻繁に無断欠席をすることについて,何らかの原因が存在する可能性を考慮して対応することや,無断欠席について,直ちに保護者に連絡し,本生徒の状況を確認することも可能であったといえる。 さらに,本生徒が2年3組及び本件クラスに所属していたときに実施さ れた学校生活アンケート(本件アンケ 断欠席について,直ちに保護者に連絡し,本生徒の状況を確認することも可能であったといえる。 さらに,本生徒が2年3組及び本件クラスに所属していたときに実施さ れた学校生活アンケート(本件アンケート)では,いずれの時期に実施されたものについても,「あなたのクラスに,仲間はずれにされている人がいますか。」という質問及び「あなたのクラスに,いやがらせをされている人はいますか。」という質問について,「とてもある」又は「すこしある」と回答した生徒が存在し(上記1⑷),2年3組の同級生であった生 徒Aが暴力行為を理由に懲戒を受けていた(上記1⑶ウ)のであるから,甲教諭は,少なくとも自身が担任を務めるクラスにおいて,生徒間でのトラブルが発生している可能性があることを認識できたはずである。そうすると,甲教諭としては,自身が担当するクラス内において,嫌がらせやいじめ等の被害を被っている生徒がいないかどうかを積極的に調査し,また, 本生徒の無断欠席についても,本生徒本人や保護者である原告らから事情を聴取し,その原因を探求する義務があったというべきである。しかし,甲教諭において,上記の本件アンケートの結果に基づいて広く生徒から事情を聴くなどの調査をした事実は認められず,また,本生徒の無断欠席についても,本生徒自身からの事情聴取はおろか,原告らへの連絡すら行っ た形跡がない。 したがって,甲教諭には,本生徒にかかるいじめの兆候を発見したにもかかわらず,なすべき情報共有や調査等を適切に行わなかったという点において,安全配慮義務違反が認められる。 次に,乙教諭は,平成25年11月5日に行われた調理実習の際,本生 徒の前に大量の豆板醤が入れられた白玉団子や麻婆豆腐が置かれているこ とに気付き,本生徒と る。 次に,乙教諭は,平成25年11月5日に行われた調理実習の際,本生 徒の前に大量の豆板醤が入れられた白玉団子や麻婆豆腐が置かれているこ とに気付き,本生徒と同じ班で調理実習を行っていた生徒B及び生徒Dを注意しているところ(上記1⑶エ),このような行為を現認した乙教諭としては,これが一過性のいたずら又は悪ふざけにとどまらない,生徒B及び生徒Dの本生徒に対する継続的な嫌がらせないしいじめの一環である可能性をも考慮して対応することも可能であったということができる。特 に,乙教諭は,本件クラスについて,従前から騒がしくて授業がしにくいクラスであるという認識を有していたのであるから(上記1⑶エ),本件クラス内において生徒間のトラブルが生じている可能性にも思い至るべきであった。したがって,乙教諭としては,生徒B及び生徒Dの行為の動機や経緯について自ら調査するか,少なくとも甲教諭等の他の教員と情報 を共有して,本生徒に対するいじめの有無を把握する義務があったといえる。しかし,乙教諭は,生徒B及び生徒Dに注意をしただけで,本生徒やその周囲の生徒に事情を聴くなどの調査を行わず,他の教員にかかる出来事を報告することもなかったのであるから,乙教諭にも上記義務違反があったといわざるを得ない。 上記の各教諭の対応や,いじめを防止すべき立場にあった丙教諭も本生徒を「アゴ」と呼ぶことがあったことなどを踏まえると,本高校においては,いじめ問題に対する感受性が鈍く,いじめ発見の端緒が見逃され,各教員間で情報共有が適切になされず,生徒からの情報収集等も不十分であったというべきである。この点,本高校において,本件自死以前から,生 徒に対する生活アンケートを実施し,これを利用した面談等を行うことで生徒 が適切になされず,生徒からの情報収集等も不十分であったというべきである。この点,本高校において,本件自死以前から,生 徒に対する生活アンケートを実施し,これを利用した面談等を行うことで生徒間のトラブルを発見する端緒にしようとしていたことや,教職員に対する研修を行っていたことは窺えるものの(上記1⑺ア),本件アンケートの回答結果が生徒指導等に活用されていたとは認められないし,教職員に対する研修についても,前記のとおり,教職員のいじめ問題に対する意 識が十分に養われていたとはいい難い。 そうすると,平成22年の本高校における生徒の自死を契機に行われるようになった「いじめ」防止の取組等にもかかわらず,被告においては,いじめを早期に発見,防止するために,各教員間でいじめ発見の端緒となり得る情報を共有するとともに,生徒の問題行動等を適切に把握・調査する態勢は構築されていなかったというべきであるし,いじめ発見の端緒と なり得るような事実関係を見過ごさないよう,組織的にいじめに対する感受性を高めるための研修の成果も不十分であったといわざるを得ない。 したがって,被告には,教員間で情報共有し調査態勢を構築する義務や,いじめ問題への対処につき教職員に対し十分な指導を行うべき義務の違反が認められる。 これに対し,被告は,高校教育においては生徒の自主性が尊重され,人格的にもある程度成熟した者がその対象となることや,現実的にも,高校の担任が生徒に対して十分な時間を割くことが困難であることを理由に,被告及び本高校教員の注意義務は軽減されるべきである旨主張する。しかし,上述のいじめ被害の重大性は高校教育においても変わることはなく, むしろ,心身の発達に伴って,いじめの手口が巧妙化したり,被害がより重大にな 注意義務は軽減されるべきである旨主張する。しかし,上述のいじめ被害の重大性は高校教育においても変わることはなく, むしろ,心身の発達に伴って,いじめの手口が巧妙化したり,被害がより重大になったりすることも十分考えられることや,対面自意識が強まる思春期においては,屈辱感や自尊感情から,家族等の前では,自身がいじめられているという気配をまったく示さない傾向があることからすれば,被告について,一概に,生徒の生命,身体,健康等に対する安全配慮義務を 軽減すべきとはいえず,むしろ,一旦いじめ発見の端緒を掴んだときには,より一層機を逃さず適切に対応すべき義務があるというべきである。本件においては,上記のとおり,甲教諭及び乙教諭において,本生徒に対するいじめ発見の端緒を掴んでいた以上,高校教育の場であるからといって,義務違反がないとはいえない。 また,被告は,本高校教員らが,本生徒に対するいじめと評価するに足 りる具体的な事実関係を把握しておらず,その契機もなかったから,いじめないし本件自死の予見可能性やそれを前提とする義務違反は認め得ない旨主張するが,甲教諭及び乙教諭において,いじめの端緒を認識していたと認められることは前記とおりであるから,被告の主張は採用できない。 ウ被告及び本高校教員の安全配慮義務違反と本件自死との因果関係 前記のとおり,本生徒は,本件自死未遂以前に,生徒Eによる使い走りや,生徒A,生徒E,生徒F及び生徒Hによる肩パン等の暴力行為の被害を受けており,これらの行為は他の生徒によっても認識されていた。また,上記生徒らが,本生徒に対する加害行為(いじめ)について,これを目撃生徒に対し口封じをしていたといった事情は認められないし,本生徒は, 本件自死未遂の数日後,友人に ても認識されていた。また,上記生徒らが,本生徒に対する加害行為(いじめ)について,これを目撃生徒に対し口封じをしていたといった事情は認められないし,本生徒は, 本件自死未遂の数日後,友人に首の傷の原因を聞かれた際,自殺しようとした旨答え,その理由について,学校がきついなどと話していた(上記1⑶ウ)。そうすると,甲教諭が,本生徒の自死未遂を疑った平成24年6月29日以降,本生徒の同級生等に対して,本生徒への加害行為等の有無を広く調査していれば,上記の暴力行為等の存在が判明した可能性は高 かったというべきである。さらに,このような調査結果を基に,原告らとも協力し,本生徒から事情を聞くことで,本生徒自身の口から,いじめ被害の内容を聴取することも可能であったと思われる。そして,これらの情報を集積・共有し,他の教員と連携して関係生徒らに対する継続的な指導,観察等を行っていれば,平成24年の冬以降の本生徒に対するいじめを未 然に防ぐことができたというべきである。 なお,本件自死未遂後,数か月間はいじめが沈静化していたことが認め加害生徒らが,本生徒の自死を恐れて,一定期間いじめが鎮静化することは容易に想定できるのであるから,本件自死未遂の原因が何ら除去されていない可能性がある以上,本生徒の痣へ の関心が薄れたころにいじめが再燃する危険性を十分考慮して,長期的に 本生徒を観察する必要があったといえる。本件においては,平成24年1らが継続的に本生徒の観察をしていれば,いじめを現認できた可能性が高かったというべきであるから,本件自死未遂後にいじめが沈静化した時期があることは,甲教諭の情報共有及び本生徒への観察をすべき義務違反と 本件自死との因果関係を否定すべき根拠とはならない。 また,本件 であるから,本件自死未遂後にいじめが沈静化した時期があることは,甲教諭の情報共有及び本生徒への観察をすべき義務違反と 本件自死との因果関係を否定すべき根拠とはならない。 また,本件自死未遂後の平成24年12月以降,本生徒に対するいじめは,休み時間や授業中に,教室内など他の生徒の目につく場所で公然と行われるようになり,平成25年秋頃から,次第に苛烈化していったことが認められるところ,甲教諭が,本生徒が自死未遂と疑われる行為を行った ことについて,広く他の教員と情報を共有し,本生徒の動向やその周囲の状況をより注意深く継続的に観察していれば,本高校教員において,直接,本生徒に対するいじめを認識できた可能性も高かったというべきであるし,丙教諭が認識していた本生徒が「アゴ」と呼ばれていた事実(上記1⑶イ)や,乙教諭が認識していた調理実習時のいたずら(同)について も,本生徒に対する構造的ないじめとして容易に位置付け得たということができる。他方で,乙教諭においても,本件調理実習時の出来事について広く情報共有をしていれば,甲教諭が認識していた本件自死未遂や無断欠席の状況等の情報と統合・集積することができ,それぞれの時点で適切に生徒に対する指導を行うことが可能であった。そして,かかる指導等が適 切に行われていれば,その後の暴力行為等を防ぎ,平成25年9月頃から欠席が目立つようになっていた本生徒に適切なケアを行うことで,本件自死を阻止することは十分可能であったと認められる。 エ小括以上のとおり,甲教諭又は乙教諭が,それぞれ上述の情報共有ないし調 査等の義務を尽くしていれば,平成25年秋以降のいじめの苛烈化を未然 に防ぐことができ,本生徒が本件自死に追い込まれることはなか 又は乙教諭が,それぞれ上述の情報共有ないし調 査等の義務を尽くしていれば,平成25年秋以降のいじめの苛烈化を未然 に防ぐことができ,本生徒が本件自死に追い込まれることはなかったであろうことを是認しうる程度の高度の蓋然性が認められるから,甲教諭及び乙教諭ら本高校の教員の安全配慮義務違反と本生徒の死亡との間には,事実的因果関係及び相当因果関係が存在するものというべきである。 ⑶ まとめ 以上より,本高校の設置者である被告は,本生徒の死亡との関係で,債務不履行責任又は不法行為責任を免れないというべきである。 3 争点2(本生徒及び原告らの損害並びにその額)について⑴ 原告ら固有の慰謝料請求に係る認定事実ア本生徒は,明るく優しい性格であり,自分から問題のある行動をするこ とはなく,家庭ではユーモアに満ちた言動で家族を笑わせようとすることも多かった。このような本生徒がいたおかげで,原告ら家族は仲良く,また,明るく生活していた。 (以上,原告X2本人,原告X4本人)イ原告X1は,本件自死後,本生徒を失った悲しみから,心身ともに消耗し続けており,悲しみや悔しさを抱いて過ごしている。本件訴訟において, 原告らの申出により原告X1の本人尋問が予定されていたが,同人の体調の都合から,原告らは同本人尋問の申出を撤回した。 (以上,甲101,弁論の全趣旨)ウ原告X2は,本件自死後,自身の免許証とともに本生徒の写真を持ち歩いており,本生徒が亡くなったのに自分だけが生きていることを考えて胸 が苦しくなった時には,写真に額を当てて目をつぶり,心の中で本生徒と対話して気持ちを落ち着かせているほか,本件自死後,本生徒が好きであったクリスマスツリーを台所に置いたま いることを考えて胸 が苦しくなった時には,写真に額を当てて目をつぶり,心の中で本生徒と対話して気持ちを落ち着かせているほか,本件自死後,本生徒が好きであったクリスマスツリーを台所に置いたままにしている。 (以上,甲102,原告X2本人)エ原告X3は,本生徒が出生する前である平成5年頃から,原告X1及び 原告X2と同居を開始した。本生徒は,日頃から,原告X3が作ったおや つを食べることを楽しみにしており,原告X3も,本生徒のためにおやつを作ることを楽しんでいた。 (以上,甲1,甲101,原告X2本人)オ原告X4は,本生徒より6歳年上の兄であり,本生徒が高校2年生に進級するまで,本生徒と同居して暮らしていた。原告X4は,本生徒が高校2年生に進級した頃,就職のために家を出たが,本生徒が自死したショッ クで,原告X4は仕事を辞めて家に戻り,1年間ほど自宅に引きこもっていた。 (以上,甲103,原告X4本人)カ原告X5は,本生徒より3歳年上の姉であり,本件自死まで,本生徒と同居して暮らしていた。原告X5は,本生徒とともに夕食を食べることが多く,本生徒と実際に過ごした時間は,原告らの中でも特に長かった。原 告X5は,本件自死後,仕事を辞めており,本生徒の話題を避けるようになっている。 (以上,甲1,101,原告X2本人)⑵ 本生徒の損害ア逸失利益 3849万3544円本生徒は,本件自死当時,18歳の男子であり,上記1⑶エより,本 高校卒業後,公務員専門学校への入学を予定していたと認められる。そこで,本生徒の逸失利益は,平成25年度賃金センサス産業計・企業規模計・男子労働者・高専・短大卒・全年齢平均 1⑶エより,本 高校卒業後,公務員専門学校への入学を予定していたと認められる。そこで,本生徒の逸失利益は,平成25年度賃金センサス産業計・企業規模計・男子労働者・高専・短大卒・全年齢平均収入額477万5400円を基礎とし,生活費控除率を5割,就労可能期間を同専門学校卒業後である20歳から67歳までの47年間として,その間の中間利息をライプニッツ方 式により控除して算出するのが相当であるところ,これに従って計算すると,3849万3544円となる。 (計算式)477万5400(円)×(1-0.5)×(17.9810-1.8594)=3849万3544円 イ慰謝料 1800万円 本生徒は,前記のとおり長期間に渡る加害生徒らによる執拗かつ激しいいじめの結果,精神的に追い詰められて自死に至ったものであり,いじめの態様,これに対する本高校による対応,これらにより本生徒が受けた精神的・肉体的苦痛や,本生徒が18歳という若さで自死を選択せざるを得なかった無念さその他本件に現れた一切の事情を考慮すると,本生徒自身 の慰謝料は,1800万円と認めるのが相当である。 ⑶ 原告X1及び原告X2の損害額についてア原告X1及び原告X2固有の慰謝料各200万円上記⑴イの事情に加え,両親が未だ高校生である子を自死により失った無念さ,第三者委員会への協力を含む本件自死後の被告の対応,生徒 Aらとの間では,同生徒らによる加害行為に関してすでに和解が成立しており,本件自死の原因となった加害行為に関し一定の慰謝の措置がなされていること(前記1⑼),その他本件に現れた諸般の事情を考慮すると,原告X1及び原告X2の慰謝料は,それぞれ200万円とするのが相当である。 死の原因となった加害行為に関し一定の慰謝の措置がなされていること(前記1⑼),その他本件に現れた諸般の事情を考慮すると,原告X1及び原告X2の慰謝料は,それぞれ200万円とするのが相当である。 なお,上記1⑼のとおり,本件訴訟手続において,原告X1及び原告X2と生徒Aらとの間で,それぞれ和解が成立し,原告X1及び原告X2は,同生徒らから合計390万円の和解金の支払を受けることとなっているところ,被告は,同和解金について,損害額から控除されるべきであると主張する。しかし,上記和解は,生徒Aらが本生徒に対して加 害行為を行ったことそれ自体についてなされたものであり,上記和解金の支払いは,上述した被告の安全配慮義務違反と原因を一にするものではなく,本生徒の死亡に対する慰謝料の趣旨を含むものでもないから,これをもって,被告の安全配慮義務違反に係る損害の一部が填補されたと認めることは相当でない。 もっとも,生徒Aらによる加害行為と被告の安全配慮義務違反は,そ れぞれが本生徒の自死という一つの結果に寄与したものと認められるため,生徒Aらの加害行為に関してされた原告X1及び原告X2に対する慰謝の措置は,被告の安全配慮義務違反により本生徒が死亡したことに関する精神的苦痛を減殺する事情と捉え得るから,生徒Aらとの間での 慰謝料を算定する際の一事情として考慮するのが相当である。 イ葬儀費用各75万円弁論の全趣旨によれば,本生徒の死亡に係る葬儀費用相当の損害額は,150万円と認めるのが相当であり,これを原告X1及び原告X2が平等の割合で負担したと認められるので,損害額は,原告X1及び原告X2に ついてそれぞれ75万円となる。 ウ本生徒の損害の相続 めるのが相当であり,これを原告X1及び原告X2が平等の割合で負担したと認められるので,損害額は,原告X1及び原告X2に ついてそれぞれ75万円となる。 ウ本生徒の損害の相続原告X1及び原告X2は,上記⑵ア及びイの本生徒の損害賠償請求権を,相続によりそれぞれ2824万6772円ずつ相続した(前記前提事実1⑴イ参照)。 エ過失相殺の規定の(類推)適用子供の教育は本来的には親が第一義的責任を負担しているというべきであること,本件自死未遂による本生徒の首の痣については原告X1及び原告X2も把握しており,これに対する本生徒の説明に違和感を持っていたと認められるが(甲16,上記1⑶ウ参照),改めて詳細に本生徒から 事情を聞こうとした形跡がないこと,原告らは,本件自死の直前である平成25年11月8日には,本生徒は顎の擦り傷(上記1⑶エ)や口の周りの火傷に気付いていたほか(上記1⑶エ),本生徒が明確な理由が不明な怪我を負っていたことを複数回目にしていたと認められる(甲1,16)が,これらについて本生徒から詳細な事情を聞いたとは認められない ことからすると,日々,本生徒と家庭で生活をともにし,同人に対する監 護養育義務を負っていた原告X1及び原告X2にも,本生徒がいじめの被害を受けている兆候を的確に捉えられず,同人の監護養育に係る注意監督を怠った点があると認められ,この点においては被害者側に責任があるというべきである。 確かに,本高校教員は,本高校内での出来事について原告らに報告して おらず,本生徒が無断欠席をした時にすら,原告らに直ちに連絡したり,事情を聞いたりするなどの対処もしていなかったため,原告らは,そもそも本生徒が学校内で置かれて 出来事について原告らに報告して おらず,本生徒が無断欠席をした時にすら,原告らに直ちに連絡したり,事情を聞いたりするなどの対処もしていなかったため,原告らは,そもそも本生徒が学校内で置かれている状況に関する情報を遮断されており,それ故に本生徒に対する家庭内における的確な監護等の措置をなし得なかった点があることも否定し得ないが,原告X1及び原告X2が現に把握し, 又は把握し得た上記の兆候のみによっても,上記原告らは,本生徒に対して,不審な点を問いただしたり,悩みがないか積極的に尋ねてみたりするなど,一定の措置は講じ得たものと認められる。 そこで,損害を公平に分担させるという損害賠償法の理念に照らし,過失相殺の規定の適用及び類推適用により,原告X1及び原告X2の各損害 について,2割の減額をするのが相当である。 なお,いじめの被害を受けている生徒が,自己嫌悪や羞恥心から,被害の事実を身近な人にも相談できないことは十分あり得,学校関係者としてはかかる事態も想定して対応を行うべきである以上,本生徒が積極的にいじめの被害に関する事実を他の者に伝えなかったことをもって,各別の過 失相殺の事情とすることは相当でない。 オ死亡見舞金の控除独立行政法人日本スポーツ振興センター法31条は,免責の特約が付された災害共済給付契約に基づく支給がされた場合,学校の設置者は,その価額の限度において損害賠償責任を免れる旨規定しているから,同センタ ーが本生徒の保護者である原告Ⅹ1及び原告Ⅹ2に給付した2800万円 の限度で(前記前提事実⑷),被告は損害賠償責任を免れる。 そして,同法15条1項7号に規定する死亡見舞金は,学校管理下における災害によって死亡した児童生 2800万円 の限度で(前記前提事実⑷),被告は損害賠償責任を免れる。 そして,同法15条1項7号に規定する死亡見舞金は,学校管理下における災害によって死亡した児童生徒等の得べかりし利益を補償し,もって,その損害を填補する目的を有するものと解するのが相当であるから,上記の損害賠償責任の免除は,原告X1及び原告X2が相続した本生徒の逸失 利益(上記⑴ア)についてすべきである。 カ生徒Aらによる和解金支払について生徒Aらとの間の和解に関する事情が,原告X1及び原告X2の固有のある。 キ小括(弁護士費用を含む)原告X1及び原告X2は,それぞれ,本生徒の損害賠償請求権を2824万6772円ずつ相続しており,上記ウの過失相殺の規定の適用及び類推適用により2割を減額すると,それぞれ2259万7417円となる。 このうち,逸失利益はそれぞれ1539万7417円であるところ,こ こから上記オの死亡見舞金を控除すると,結局,原告X1及び原告X2が相続した損害額は,それぞれ859万7417円となり,ここに上記過失相殺後の原告X1及び原告X2固有の慰謝料及び葬儀費用(上記イ)を加えると,それぞれ1079万7417円となる。 また,本件訴訟の難易度,認容額,審理の経過などの諸般の事情に照ら すと,弁護士費用相当の損害額は,原告X1及び原告X2について,それぞれ110万円と認めるのが相当である。 そうすると,原告X1及び原告X2の損害額の合計は,それぞれ1189万7417円となる。 ⑷ 原告X3,原告X4及び原告X5の損害額について ア文言上民法711条に該当しない者であっても,被害者との間に同条所 定のものと実質的に同 17円となる。 ⑷ 原告X3,原告X4及び原告X5の損害額について ア文言上民法711条に該当しない者であっても,被害者との間に同条所 定のものと実質的に同視し得べき身分関係が存在し,被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は,同条の類推適用により,加害者に対し直接に固有の慰謝料を請求し得るものと解するのが相当である(最高裁昭和49年(オ)第212号同年12月17日第三小法廷判決民集第28巻10号2040頁参照)。 イこれを本件についてみるに,原告X3,原告Ⅹ4及び原告Ⅹ5は,いずれも本生徒が出生した時から同人と同居しており,それぞれ,日常生活において本生徒と親密に接していたものと認められるところ,同原告らにとって,本生徒を突如失った精神的苦痛は,甚大なものであったといえる。 そこで,本件に現れた諸般の事情を考慮して,原告X3,原告Ⅹ4及び 原告Ⅹ5の固有の慰謝料は,それぞれ80万円とするのが相当である。 ウ小括(弁護士費用を含む)上記のとおり,原告X3,原告X4及び原告X5の慰謝料額はそれぞれ80万円であるところ,本件訴訟の難易度,認容額,審理の経過などの諸般の事情に照らすと,同原告らの弁護士費用相当の損害額は,それぞれ8 万円と認めるのが相当である。 そうすると,原告X3,原告X4及び原告X5の損害額の合計は,それぞれ88万円となる。 ⑸ まとめ以上のとおり,原告X1及び原告X2の損害額の合計は,それぞれ118 9万7417円となり,原告X3,原告X4及び原告X5の損害額の合計は,それぞれ88万円となる。 4 争点3(原告X1及び原告X2による本生徒の名誉回復請求権行使の可否)について 9万7417円となり,原告X3,原告X4及び原告X5の損害額の合計は,それぞれ88万円となる。 4 争点3(原告X1及び原告X2による本生徒の名誉回復請求権行使の可否)について⑴ 民法723条が,名誉を棄損された被害者の救済処分として,損害の賠償 のほかに,それに代え又はそれとともに,原状回復処分を命じ得ることを規 定している趣旨は,その処分により,加害者に対して制裁を加えたり,また,加害者に謝罪等をさせることにより被害者に主観的な満足を与えたりするためではなく,金銭による損害賠償のみでは填補され得ない,毀損された被害者の人格的価値に対する社会的,客観的な評価自体を回復することを可能ならしめるためであると解すべきである。そこで,民法723条にいう名誉と は,人がその品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価,すなわち社会的名誉を指すものであって,人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価,すなわち名誉感情は含まないものと解するのが相当である(最高裁昭和43年(オ)第1357号昭和45年12月18日第二小法廷判決民集第24巻13号2151頁参照)。 ⑵ これを本件についてみるに,原告らは,加害生徒らのいじめ及びこれが被告によって予防,阻止されなかったことにより,本生徒の名誉が踏みにじられ,尊厳を失った旨主張するが,加害生徒らのいじめは主に身体的暴力によるものが多く,本生徒の客観的な評価を低下させるような言辞があったものとは認められない(本生徒に対する「アゴ」といった発言は,その身体的特 徴を揶揄する侮辱的なものではあるが,本生徒の品性や信用等に関する客観的評価と結びついたものではなく,社会的名誉を毀損するものとまではいえない。)。ま る「アゴ」といった発言は,その身体的特 徴を揶揄する侮辱的なものではあるが,本生徒の品性や信用等に関する客観的評価と結びついたものではなく,社会的名誉を毀損するものとまではいえない。)。また,上記1⑶イないしエで認定したような行為を見聞した者が,例えば本生徒が社会的に劣った地位にある者であると認識するなど,本生徒に関する客観的な評価を低下させることが,当然に予想されるともいえない。 したがって,加害生徒らによるいじめが,本生徒の名誉感情を超えて,その社会的名誉を毀損するものとまでは認められないから,かかるいじめを阻止できなかった被告の不作為によって,本生徒の外部的名誉が毀損されたと認めることはできない。 ⑶ 以上より,被告の義務違反により,本生徒の「名誉」(民法723条)が 毀損されたとは認められず,同条に基づく原状回復請求は認められない。 第4 結論以上によれば,原告X1及び原告X2の請求は,それぞれ,被告に対し,1189万7417円及びこれに対する平成25年11月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,原告X3,原告X4及び原告X5の請求は,それぞれ,被告に対し,88万円及びこれに 対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,かかる限度でそれぞれ認容し,原告らのその余の請求は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官小野寺 優 子 裁判官山田智子 第5民事部 裁判長裁判官小野寺 優 子 裁判官山田智子 裁判官大西優太 (別紙)謝罪文2013(平成25)年11月14日,本校生徒の集団的で執拗かつ激烈な暴言,暴力の繰り返しによって,本生徒が命を絶ちました。 生徒Aら全員は,すでに,同君とその家族に対して,真摯に謝罪し,心より哀悼 の意を表するとともに,名誉の回復に努めることを約束しています。 本校もまた,本校生徒の集団的で執拗かつ激烈な暴言,暴力の繰り返しによって,同君が命を絶ったことを,真摯に反省し,心より謝罪するとともに,同君の命を尊び,今後とも命や名誉を守る教育を最優先して実践し,本校において,いじめによる自死を繰り返させることのないよう,いじめ防止の確保に最善の努力を重ねてい くことを誓います。 α高等学校理事長丁学校長戊以上

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