昭和27(オ)643 村長選挙の効力に関す訴願裁決取消請求

裁判年月日・裁判所
昭和28年5月7日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 秋田支部
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人等の負担とする。          理    由  本件上告理由は添付の別紙記載のとおりである。  上告理由第一点及び第二点につ

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判決文本文2,040 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人等の負担とする。 理由 本件上告理由は添付の別紙記載のとおりである。 上告理由第一点及び第二点について。 論旨は、訴外Dが公平委員会の委員でありながら、退職しないままで本件村長選挙に立候補したのは、公職選挙法八九条に違背し、その立候補届は無効であり、そして、立候補届期間内に届出た候補者は他に訴外Eたゞ一人であつたから、本件の場合は同法八六条四項にいわゆる「第一項及び第二項の期間内に届出のあつた候補者が二人以上ある場合」に該当しないと主張するに帰する。 公職選挙法八六条一項又は二項の届出に際し、届出にかゝる候補者が、同法八九条に違反する場合の生ずることは、勿論予想し得るところであるが、選挙法上いかように取扱うべきものであろうか。かゝる場合において、同法は、このような違反の有無をいかなる機関によつて判断せしめることに定めているか、また、かゝる違反によつて生ずる法律上の効果をいかように定めているかについて、考えてみなければならない。同法六八条一項二号は、同法八九条の規定により候補者となることができない者の氏名を記載した投票を無効とすることとしている。そして、同法六七条はすべて投票の効力は、開票立会人の意見を聴き、開票管理者が決定することとしている。すなわち、同法八九条違反の有無は、開票の際開票管理者が判定すべきものであり、言いかえれば、選挙長は、立候補届又は推薦届受理に際しては、同条違反を実質的に審査して届出を却下する権限を有せず、またその義務もないものと言わなければならない。もし所論のように、選挙長が届出受理に際し、実質上かかる規定違反の有無を審査する義務があるものとすれば、ひとたびこの判断を誤る- 1 -ことは選挙の規定に違反することと のと言わなければならない。もし所論のように、選挙長が届出受理に際し、実質上かかる規定違反の有無を審査する義務があるものとすれば、ひとたびこの判断を誤る- 1 -ことは選挙の規定に違反することとなり、かつかかる者を候補者として選挙を行うことは選挙の結果に異動を及ぼす虞のあることも明白であるから、かかる選挙は常に全部に亘つてこれを無効としなければならないこととなる。果してしからば、同法六八条においてかかる同法八九条違反者に対する投票を無効とする旨を定めた規定は、これを適用すべき余地がなくなり、全く意味をなさないものとなつてしまう。 だからいやしくも同条を有意義に解するものとすれば、選挙長としては、このように八九条違反の届出があつても、これを受理し、その者を候補者として選挙を行い、その結果開票の際には、かかる者に対する投票を無効とし、従つてこれを当選者としないことが、法の本旨であると認めなければならない。それ故、原判決が、選挙長は立候補届受理に際し、八九条違反の有無について、実質上審査権を有しないとしたのは結局正当である。 さて、本件において、訴外Dの立候補届が同法八九条に違反しているとしても、選挙長としては一応有効な届出として受理するが当然である。そして、その他に訴外Eの立候補届がある以上同法八六条四項にいわゆる候補者が二人以上ある場合に該当するものであるから、この点に関する選挙長のとつた措置は違法とすべき何等の理由がない。また、法の趣旨が以上説明のとおりである以上右の違法が訴訟上争われたからと言つて、裁判所がDの立候補届を当初に遡つて無効と判断すべきものでないことも明白である。論旨はすべて理由がない。 同第三点及第四点について。 論旨は、訴外Dは、立候補届出期間後立候補を辞退した者であるから、同法八六条四項により補充候補者となるこ 断すべきものでないことも明白である。論旨はすべて理由がない。 同第三点及第四点について。 論旨は、訴外Dは、立候補届出期間後立候補を辞退した者であるから、同法八六条四項により補充候補者となることはできないと主張するのであるが、右のように、ひとたび候補者を辞退した者が補充候補者となることを制限ないし禁止する趣旨の規定もなく、またかゝる制限ないし禁止を必要とするほどの必要もなく、むしろ選挙においては補充立候補又は推薦は、なるべく自由ならしめるのがよいのである。 - 2 -しかのみならず、同法八六条五項では地方公共団体の長の選挙については、特に選挙の期日を延期してまで補充候補者を許しているところから見れば、法律の趣旨はなるべく同法一〇〇条による無投票当選を避ける趣旨と考えられ、本件のような補充候補者もこれを正当のものと解すべきであつて、論旨は理由がない。 以上説明のとおり論旨はすべて理由がないから、本件上告はこれを棄却することとし、民訴四〇一条、八九条、九五条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官真野毅裁判官斎藤悠輔裁判官岩松三郎裁判官入江俊郎- 3 -

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