平成14(行ウ)107 運転免許点数付加処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年12月26日 大阪地方裁判所 警察関係
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判決文本文3,374 文字)

主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が原告に対して平成13年1月19日に行った点数付加処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,被告が,原告に道路交通法違反行為があったとして,原告に対し,平成13年1月19日付けで平成14年政令第24号による改正前の道路交通法施行令(以下「施行令」という。)別表第一の一に定める基礎点数(以下単に「点数」という。)2点を付した行為(以下「本件点数付加」という。)につき,原告が,違反行為については不起訴処分となっており,本件点数付加は違法であるとして,その取消しを求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実)(1) 被告は,原告が,平成13年1月19日,大阪府高石市α4番先交差点において,普通乗用自動車を運転し,対面信号が赤色であるにもかかわらず進行したとして,原告に対し,本件点数付加をした。 (2) 原告は,(1)の後,運転免許の取消し,効力停止等の処分を受けることなく,平成14年4月5日ころ,有効期間を約3年間(従前の有効期間満了日等の後のその者の3回目の誕生日から起算して1月を経過する日が経過するまでの期間)とする運転免許証の更新を受けた。 (3) 原告は,本件点数付加に至るまで,平成10年10月16日の信号無視(赤色等)及び平成12年5月21日の放置駐車違反(駐車禁止場所等)指定により,それぞれ2点ずつ点数を付されたことがあった。 2 争点及び当事者の主張(1) 本件点数付加は,取消訴訟の対象となる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当するか(争点1)(被告の主張)交通違反に係る行政処分については,点数制度が採用されており,運転者の違反行為を点数で評価して,それが一定の点数 る行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当するか(争点1)(被告の主張)交通違反に係る行政処分については,点数制度が採用されており,運転者の違反行為を点数で評価して,それが一定の点数まで累積されたときに初めて運転免許の取消し若しくはその効力の停止の処分が行われ,又は違反があることにより運転免許証の更新等の際に優良運転者及び一般運転者とは認めずに有効期間が約3年間の運転免許証を交付する処分が行われるものであり,その点数の付加のみでは,運転免許によって運転できるという法律上の地位ないし権利関係に対し未だ直接に何の影響を及ぼすものではない。したがって,本件点数付加は,上記各処分の前提問題に過ぎないものであるから,取消訴訟の対象となる処分ではないというべきである。 (原告の主張)本件点数付加は,運転免許証の有効期間5年を3年にする著しい不利益処分の根拠となっている。仮に本件点数付加が上記各行政処分の前提問題であるとしても,点数が付加されたという記録そのものが原告に不利益を与えている現実は否定できない。また,行政手続法2条2号によると,本件点数付加は行政処分にほかならない。したがって,本件点数付加は,取消訴訟の対象となる。 (2) 本件点数付加は違法か(争点2)(原告の主張)原告は,本件点数付加の基礎となった事実について不起訴処分となっているのであるから,本件点数付加は,無罪推定の原則(憲法31条,刑事訴訟法336条),証拠裁判主義(同法317条),伝聞証拠の禁止(同法320条1項),法の下の平等(憲法14条)等に反し,違法である。 第3 争点に対する判断 1 争点1について(1) 取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項,以下「行政処分」という。)とは,公権力の主体たる国 第3 争点に対する判断 1 争点1について(1) 取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項,以下「行政処分」という。)とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を画することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。 (2) 施行令は,道路交通法(平成13年法律第51号による改正前のもの。以下「法」という。)若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく命令に違反する行為で施行令別表第一の一に掲げるものを「違反行為」とし(施行令33条の2第1項),各違反行為ごとに基礎点数(施行令別表第一の一)を定めるとともに,違反行為により交通事故を起こした場合の付加点数(同第一の二)及び交通事故の場合の措置義務違反をした場合の付加点数(同第一の三)を定めている。そして,運転者が違反行為をし,その累積点数が一定数に達した場合には,運転免許の拒否又は保留(法90条1項ただし書,施行令33条の2),運転免許の取消し又は効力の停止(法103条2項,施行令38条1項)をすることができるとしている。したがって,違反行為の存在及びこれによる点数の累積が運転免許の取消し等の処分の要件となっている。しかし,公安委員会が行う点数付加行為は,上記のようないわゆる点数制度の下において,運転免許に関する行政処分の前提となる違反行為及び当該違反行為に係る施行令所定の点数を内部的に確認し記録する行為にすぎず,それだけでは直ちに運転免許の効力等に影響を与えるものではないと解される。 また,法は,運転免許証の更新(法101条)の処分については,過去の一定期間にわたって違反行為等をしたことがない者 ぎず,それだけでは直ちに運転免許の効力等に影響を与えるものではないと解される。 また,法は,運転免許証の更新(法101条)の処分については,過去の一定期間にわたって違反行為等をしたことがない者を優良運転者とし(施行令33条の7),その他の運転者(同期間内に違反行為等をした者)との間で運転免許証の有効期間に差を設けている(法92条の2第1項)。しかし,公安委員会が運転者の違反行為を確認して点数を付加したとしても,将来の運転免許証の更新の際に当該違反行為が考慮されて運転免許証の有効期間が定められるにとどまり,直ちに運転免許の効力に影響を及ぼすものではない。 以上によれば,点数付加行為は,それ自体には直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を画することが法律上認められている行為とはいえず,取消訴訟の対象となる行政処分に該当しないと解するのが相当である。 (3) したがって,原告が取消しを求める本件点数付加は,取消訴訟の対象となる行政処分には該当しない。 なお,前記のとおり,原告は,本件点数付加の後,運転免許の取消し等の処分を受けることはなかったのであるし,平成14年4月5日ころに運転免許証の更新を受けた際には,その有効期間を約3年間とされてはいるものの,本件点数付加以前に点数を付されたことがあり,本件点数付加がなかったとしても,その有効期間に変わりはなかったと認められるのであるから,結局,その権利義務に全く影響を受けていない。また,点数が付されたとの記録が残るとしても,そのこと自体により法律上不利益を被ることはないし,将来,仮に運転免許の取消し,効力停止等の処分を受けることとなった際には,それらの処分の効力を争う上で改めて本件点数付加の当否を問題とすることができるのであるから,原告の正当な権利の保護に何ら欠けるところはない。更に,本件点 効力停止等の処分を受けることとなった際には,それらの処分の効力を争う上で改めて本件点数付加の当否を問題とすることができるのであるから,原告の正当な権利の保護に何ら欠けるところはない。更に,本件点数付加が行政手続法2条2号にいう行政処分に当たるとの原告の主張は,本件点数付加が取消訴訟の対象となるかどうかとは直接の関係がなく,失当である。 2 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官山下郁夫裁判官山田明裁判官一原友彦

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