平成12(行ウ)336 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年2月21日 東京地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文26,920 文字)

主文 1 被告A及び被告Bは、東京都渋谷区に対し、連帯して金6万円及びこれに対する平成12年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告の被告Cに対する請求を棄却する。 3 訴訟費用は、原告に生じた費用の3分の1と被告Cに生じた費用を原告の負担とし、原告に生じたその余の費用、被告A及び被告Bに生じた費用及び参加人に生じた費用を被告A及び被告B並びに参加人の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは、東京都渋谷区に対し、連帯して金6万円及びこれに対する平成12年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、東京都渋谷区の住民である原告が、平成9年に渋谷区が第37回第3ブロック区議会議員野球大会(以下「本件野球大会」という。)の分担金として3万円を支出し(以下「本件分担金支出」という。)、議員野球経費として3万円を支出したこと(以下「本件経費支出」といい、本件分担金支出と併せて「本件各支出」という。)が違法な公金の支出であるとして、渋谷区長である被告A、同区の総務部総務課長事務取扱であった被告C及び同区の収入役である被告Bに対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求として、渋谷区に代位して、同支出相当額の金員及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成12年11月3日(各被告に対する本件訴状の送達日のうち最も早期のものをいうものと解される。)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(以下の事実は、括弧内に認定根拠を掲げた事実のほかは当事者間に争いのない事実である。)(1) 原告は、東京都渋谷区の住民である。 (2) 被告Aは、渋谷区長の職にあり、渋谷区長における区長交際費の支出負 の事実は、括弧内に認定根拠を掲げた事実のほかは当事者間に争いのない事実である。)(1) 原告は、東京都渋谷区の住民である。 (2) 被告Aは、渋谷区長の職にあり、渋谷区長における区長交際費の支出負担行為及び支出命令をなす法律上の権限を有する者である。 被告Cは、本件各支出の際、渋谷区の総務部総務課長事務取扱総務部参事の職にあって、渋谷区における区長交際費の資金前渡を受けるべき立場にあった者である。 被告Bは、渋谷区の収入役の職にある者である。 (3) 渋谷区における支出負担行為に関する事務は、渋谷区予算事務規則(昭和39年渋谷区規則第8号)3条の2により、区長部局にあっては区長から部長に委任され、これにより、区長交際費に係る支出負担行為は総務部長が行うこととなっていた。なお、同規則3条の2は、平成10年3月31日付けで改正され、同年4月1日以降、支出負担行為に関する事務は総務課長に委任され、区長交際費に係る支出負担行為は総務課長が行っている。 交際費は、東京都渋谷区会計事務規則(昭和39年渋谷区規則第9号。次のとおりの全部改正前のもの。以下「旧会計事務規則」という。)79条1項23号により、資金前渡の方法によることができるとされ、実際に同方法により処理されている。なお、同規則は、平成11年12月28日付けで全部改正され、支出命令権は課ごとに当該課長に委任されている。 (4) 部に属する支出命令に関する事務は、旧会計事務規則5条1項1号により、当該部の予算事務を所管する課長に委任されており、区長交際費の支出命令権者は総務課長であった。 資金前渡の方法により処理するものについては、同規則79条3項2号により、毎月必要とする経費は、毎月分の所要額を予定して、その範囲内において前渡することとされ、総務課長は、毎月当初、当該月分の所要額につ 前渡の方法により処理するものについては、同規則79条3項2号により、毎月必要とする経費は、毎月分の所要額を予定して、その範囲内において前渡することとされ、総務課長は、毎月当初、当該月分の所要額について、収入役に対して支出命令を行っていた。(5) 支出命令の審査は、東京都渋谷区収入役室の組織に関する規則(昭和39年渋谷区規則第15号)5条2号により、1件50万円以下のものについては副収入役が専決することとなっており、これにより、1件50万円以下のものについては副収入役が、1件50万円を超えるものについては収入役が、それぞれ審査をしていた。 (6) 交際費の資金前渡については、旧会計事務規則79条1項23号により、所管課長宛に資金前渡をすることとされており、収入役又は副収入役は、支出命令の審査完了後、総務課長宛に支出をしていた。 渋谷区契約事務規則(昭和39年渋谷区規則第22号、平成10年3月31日付けで改正前のもの。)3条2項本文によれば、資金前渡受者には、その受けた資金の範囲内で処理する売買、貸借、請負その他の契約に関する権限が委任されており、資金前渡受者は、前渡金の中からの支払を伴う契約の締結、すなわち債務の負担(支出負担行為)を行うこととなっている。 (7) 総務課長は、区長が交際費の支出が必要であると判断したとき、その都度保管中の現金から支払をした。前渡金から支出するときは、旧会計事務規則81条によれば、支出の相手方から領収書を徴するか、領収書を徴し難いときは支払済調書を作成する必要があり、総務課長は、領収書の徴収又は支払済調書の作成をしていた。また、あわせて、前渡金出納簿に、支払月日、支出金額、残金を記入し、摘要欄に渋谷区長交際費支出基準及び支出細目の分類に応じてその項目を記載していた。 (8) 総務課長は、区長交際費の清算に していた。また、あわせて、前渡金出納簿に、支払月日、支出金額、残金を記入し、摘要欄に渋谷区長交際費支出基準及び支出細目の分類に応じてその項目を記載していた。 (8) 総務課長は、区長交際費の清算については、旧会計事務規則82条1項3号に基づき、毎月、当該月の区長交際費の支出の清算を、清算書に分類された項目ごとに集計された「交際費支払済調書」(領収書を徴し難いときに作成する「支払済調書」とは異なるもの。)を添付して行い、個々の領収書、支払済調書は総務課長が保管していた。なお、月末において保管金に残金がある場合は、総務課長は、旧会計事務規則82条2項に基づき戻入をしていた(弁論の全趣旨)。 (9) 清算書の審査は、東京都渋谷区収入役室の組織に関する規則5条3号により、副収入役が行い、収入役は清算書の審査には関与していなかった。 (10) 渋谷区は、平成9年4月22日、本件分担金支出3万円を支出し、同年11月21日、本件経費支出3万円を支出した。 (11) 原告は、渋谷区監査委員に対し、平成12年7月21日、本件各支出が違法であるとして、地方自治法242条1項に基づく監査請求をした。 これに対し、原告に対し、同年9月18日付けで、同監査請求は理由がないものと認める旨通知した(甲4)。 3 争点及び争点に対する各当事者の主張本件において、原告は、本件各支出がいずれも区長交際費の性格から著しく逸脱していて違法であって、各被告は地方自治法242条の2第1項4号の当該職員に当たり、各被告は渋谷区に対して損害賠償債務を負う旨主張するのに対し、被告Bは同人に対する訴えの適法性を争い、また、被告らは本件各支出はいずれも適法にされたものである旨主張するので、本件の争点は、本案前の争点として、被告Bに対する訴えが適法であるか否か(争点1)、本案の争点として、本 る訴えの適法性を争い、また、被告らは本件各支出はいずれも適法にされたものである旨主張するので、本件の争点は、本案前の争点として、被告Bに対する訴えが適法であるか否か(争点1)、本案の争点として、本件各支出が適法か否か(争点2)であり、各争点に関する各当事者の主張は次のとおりである。 (1) 争点1(被告Bに対する訴えの適法性)についてア原告の主張(ア) 資金前渡の方法による公金支出の処理は、資金前渡受者による証拠書類を添付した正確な清算手続がされて初めて財務会計上の行為として成立する。 資金前渡は、資金前渡を受けた職員が、前渡を受けた資金を保管し、自己の責任において自己の名で正当債権者に支払をするものであるから、出納長又は収入役が個々の支出命令に基づいてこれを審査して支払をするという原則の例外である。よって、資金前渡を受けた職員が支払を完了したときは、その支払を証する書類を添えて当該地方公共団体の長に対して清算報告をし、残額があるときは返納しなければならない。この一連の清算手続が正確にされて初めて資金前渡に係る財務会計上の行為が成立するのであり、それゆえに、前渡金の清算手続に当たっては、地方公共団体は別途規則で規定している。 (イ) 渋谷区においては、前渡金の支払に係る証拠書類を前渡金受者が保管していて清算が十分可能であるのに、今日まで区長交際費の清算については、旧会計事務規則82条1項2号による清算手続は用いず、証拠書類が不要となる同項3号の清算手続を用いていて、区長交際費のみに特別な便宜を図っているところ、これは収入役が容認しない限りできないことである。そして、これは、前渡金清算にかかる審査権限者である副収入役に証拠書類を見せない手法であり、自ら交際費を費消する区長及び保管している区長交際費の前渡金から区長の指示を受けて債権者に きないことである。そして、これは、前渡金清算にかかる審査権限者である副収入役に証拠書類を見せない手法であり、自ら交際費を費消する区長及び保管している区長交際費の前渡金から区長の指示を受けて債権者に支払をする前渡金受者それぞれの恣意的裁量に手心を加えるためにされているものである。 つまり、被告Bは、被告A及び被告Cが区長交際費の性格から逸脱して、保管してある前渡金から違法、不当に支払、費消する行為を幇助し、渋谷区に損害を与えている。よって、被告Bは、被告A及び被告Cと連帯して渋谷区に対する損害賠償の責務を果たさなければならない。 イ被告Bの主張(ア) 前記前提事実(5)のとおり、総務課長がした収入役に対する支出命令の審査は、1件金額50万円以下のものについては、副収入役が専決、審査し、1件金額50万円を超えるものについては、収入役が審査していたが、これらの審査を経て総務課長に対して資金前渡がされた以上、同課長が保管する当該前渡金の同課長の個々の支出自体(本件に即していえば、交際費から支出された本件各支出)については、収入役及び副収入役は何ら関わりを有していない。したがって、被告Cがその保管する前渡金につき行った区長交際費の支出については、地方自治法232条の4第1項及び同2項の適用はないから、収入役及び副収入役が同支出につき責任を負わなければならない立場にはない。 そうであるとすれば、本件訴訟においては、収入役である被告Bは、同法242条の2第1項4号にいう「当該職員」には該当せず、被告適格がないといわざるを得ず、同被告に対する訴えは却下されるべきである。 (イ) 原告は被告Bの責任の理由として、区長交際費の清算方法につき、旧会計事務規則82条1項2号の方法を採用せず、同項3号の方法によることとし、資金前渡受者からの協議に応諾し 下されるべきである。 (イ) 原告は被告Bの責任の理由として、区長交際費の清算方法につき、旧会計事務規則82条1項2号の方法を採用せず、同項3号の方法によることとし、資金前渡受者からの協議に応諾したことを挙げるが、この協議に対する収入役の応諾は、これのみにより渋谷区に損害を発生させることとなるいわゆる「財務会計上の行為」に該当しないばかりか、仮に該当するとしても、具体的な損害を特定させるものではないから、この協議の応諾を理由に被告Bの責任を問うことはできない。 前渡金の清算に対する審査によって、違法ないし不当な前渡金からの支出又はこれに係る契約が発見された場合においても、収入役等が、債権者から当該資金前渡受者が既に支払った金員を回収する、あるいは、当該資金前渡受者に賠償させるというような義務ないし権限は、法的には一切定められていないのであるから、仮に本件各支出の清算に対し、旧会計事務規則82条1項2号による清算を行ったことにより違法ないし不当な前渡金からの支出又はこれに係る契約が発見されたとしても、収入役等が債権者から当該資金前渡受者が既に支払った金員を回収する、あるいは、当該資金前渡受者に賠償させるというようなことはできないのである。したがって、仮に本件各支出の清算について、旧会計事務規則82条1項2号による清算方法を用いても、同項3号による方式を用いても、結果に差異が生じるものではないのであって、原告の主張には理由がない。 (ウ) 仮に、前渡金の清算に対する審査が財務会計上の行為であるとしても、本件訴えの提起に先立ってされた地方自治法242条1項に基づく監査請求の趣旨は、区長交際費としての支出が不当であり、区に対し返還させるよう求めるものであって、収入役の上記審査が違法ないし不当である旨の監査請求は一切されていない。したがって、本 条1項に基づく監査請求の趣旨は、区長交際費としての支出が不当であり、区に対し返還させるよう求めるものであって、収入役の上記審査が違法ないし不当である旨の監査請求は一切されていない。したがって、本件訴えにおいて、被告Bによる前渡金の清算に対する審査が違法であるとして被告B個人に対してする損害賠償請求は、監査請求を経ていないものというべきであり、被告Bに対する本件訴えはいずれにしても不適法である。 (2) 争点2(本件各支出の適法性)についてア原告の主張(ア) 本件分担金支出について第3ブロック区議会議員野球大会は、第3ブロック内5区の議員相互の親睦や交流を目的に実施されているところ、参加議員の多くは区議会の同好会的議員野球部に所属している議員たちであるが、議員野球部に所属していない議員も多く存在し、そうした議員は日常的に部費なるものを支払うことなく、野球大会当日の参加(応援)も任意であって、つまるところ、私的な趣味的嗜好を共有する特定の議員たちによる行事である。 本件野球大会においては、試合終了後打上式を行い、戦績発表・表彰の後、懇親会(酒宴)が催され、三々五々流れ解散であり、このような日程では、他区の議員から野球に関する情報の収集はできても、渋谷区の行政に活かすことができる情報の収集など期待されるものではない。 本件野球大会は平日である平成9年5月7日に開催されているが、大会には身内の理事者枠として3名の管理職が選手として出場しており、スタッフとして議会事務局職員も随行していて、外部との交際を目的とする区長交際費から、身内の職員が平日勤務を離れて参加している本件野球大会に分担金を支出することは、交際費の性格から著しく逸脱している。また、議員は非常勤の特別公務員で、間接的には身内といえる立場であり、かつ、区長に対して監視の役 平日勤務を離れて参加している本件野球大会に分担金を支出することは、交際費の性格から著しく逸脱している。また、議員は非常勤の特別公務員で、間接的には身内といえる立場であり、かつ、区長に対して監視の役割を担う議会の議員の私的な趣味的嗜好を共有する特定の議員たちによる行事に区長交際費を支出する点においても、その性格から著しく逸脱しており、本件分担金支出は違法である。 (イ) 本件経費支出について本件経費支出は、区議会議員野球部総会兼納会の経費として用いられたが、同総会兼納会は、夕方6時ころから始まり、前段は野球部における当該年度の事業報告と決算報告があり、後段は懇親会(酒宴)で、カラオケ等もあり、終始盛り上がる日程であり、渋谷区の行政とは全く無縁の行事である。同会合には、第3ブロック区議会議員野球大会に選手として参加した管理職及びスタッフとして参加した議会事務局職員も同席しており、外部との交際を目的とする区長交際費から、身内の親睦会である同会合に区長等の出席経費を支出することは、区長交際費の性格を著しく逸脱しており、本件経費支出は違法である。 区長交際費は、区長が渋谷区を代表して渋谷区の行政の円滑な運営を図るために、外部との交際を行うための予算であり、あくまでも区長の立場での支出でなければならない。区長自らが出席している場合は、区長分のみを交際費から支出すべきであり、区長以外の身内の分まで交際費で賄うことが許されるなら際限がなくなるし、さらに、教育長分については、教育委員会を代表して出席するということになるのであって、教育委員会の交際費から支出すべきである。 前記のとおり、議員は非常勤の特別公務員で、間接的には身内といえる立場であり、かつ、区長に対して監視の役割を担う議会の議員の私的な趣味的嗜好を共有する特定の議員たちによる行事に区長 すべきである。 前記のとおり、議員は非常勤の特別公務員で、間接的には身内といえる立場であり、かつ、区長に対して監視の役割を担う議会の議員の私的な趣味的嗜好を共有する特定の議員たちによる行事に区長交際費を支出することは、その性格から著しく逸脱しており、本件経費支出は違法である。 (ウ) 被告Aの責任について本件各支出の項目は区長交際費であるが、区長交際費は、「当該地方公共団体を代表しその利益を図るために、公の交渉をする際特に必要とされる経費」として、被告A自らが費消するものである以上、単に行政機関の長としての渋谷区長という立場を超えて、被告A自身が自らの判断と責任においてより誠実に管理し執行しなければならない(地方自治法138条の2参照)性格のものである。 被告Aが、被告Cに本件各支出を指示した時点で、本件各支出の内容が「公の交渉をする際特に必要とされる経費」としての区長交際費の性格から逸脱していることを承知していたにもかかわらず、これを黙認し、被告Cが保管している前渡金からの支払を指示したことは、法138条の2違反であり、また、自らが規定した区長交際費支出基準・細則を蔑ろにするものである。 被告Aが被告Cに対して前渡金からの支払を指示する行為は、その性格的内容面からみると自らの交際に係る債権者に対する支払を促す行為であり、債務の負担を促す行為であるから、支出負担行為の一部と解するのが相当であるが、形式的行為の観点からみると、被告Aは支出負担行為の原権限者であるから、被告Cに対して指揮監督権限を有する者であり、同権限を適正に行使しなかったものということができ、被告Aは違法な本件各支出に基づく渋谷区の損害を賠償すべき責任がある。 (エ) 被告Cの責任について被告Cは、前渡金受者として、旧会計事務規則81条の「債主から支払の請求を受 のということができ、被告Aは違法な本件各支出に基づく渋谷区の損害を賠償すべき責任がある。 (エ) 被告Cの責任について被告Cは、前渡金受者として、旧会計事務規則81条の「債主から支払の請求を受けたときは、法令又は契約書等に基づき、その請求は正当であるか、資金前渡を受けた目的に適合するか否かを調査して、その支払をし」なければならない立場の者であるにもかかわらず、前記(ア)及び(イ)のとおり違法な支出である本件各支出をしたのであるから、被告Cは違法な本件各支出に基づく渋谷区の損害を賠償すべき責任がある。 (オ) 被告Bの責任について被告Bが、被告Cが証拠書類を保管していることを承知しながら、被告Cからの協議に同調し、旧会計事務規則82条1項2号の清算手続を採らずに、同項3号の清算手続で、前渡金支払清算書及び交際費支払済調書のみで処理したことは、本件各支出の内容が区長交際費の性格から逸脱していることを隠蔽するためのものと解すべきである。被告Bは、資金前渡の方法により支出されるもののうち交際費のみを特別扱いすべく、領収書等の証拠書類の添付を必要としない同項3号の清算手続を了解した時点で、その証拠書類を清算の審査権限者である副収入役の目に触れぬよう処置したことになり、また、被告A及び被告Cによる違法な消費・支払の隠蔽を可能ならしめるべく幇助したことになる。よって、被告Bは違法な本件各支出に基づく渋谷区の損害を賠償すべき責任がある。 イ被告らの主張(ア) 区長交際費は、渋谷区の代表として区長が、渋谷区の行政の円滑な運営や法人としての渋谷区がその社会的役割を果たすために社会通念上必要とされる支出に充てるものとして予定されている予算である。また、渋谷区においては、区長部局の他の職には交際費を予算化しておらず、それゆえ区長が必要と認める区長以外 会的役割を果たすために社会通念上必要とされる支出に充てるものとして予定されている予算である。また、渋谷区においては、区長部局の他の職には交際費を予算化しておらず、それゆえ区長が必要と認める区長以外の職に関して必要とされる支出に及ぶものであり、その使途も地域団体、住民との交流、懇談会等への出席の他、慶弔にかかる経費や区にとって必要な情報の収集のための費用等幅広く、相当な範囲の支出にわたるものである。 (イ) 渋谷区を含む東京の23特別区は、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性、統一性確保のため、都区財政調整制度、都区協議会の設置など、事務の分配、財政面などにおいて種々特例がおかれ、法制度上、一般市と比較して、相互の連携、協力が必要であるとされている。そこで、23特別区においては、相互の発展を目的として、昭和22年に、23区長による「特別区長会」や23区議会議長による「特別区議会議長会」が組織されている。同各会は、23区総体で協議検討する場合のほか、23区を地域ごとに5つのブロックに分け、ブロックごとに協議、検討を行うなど、臨機応変に機能的な運営を行い、各ブロック内の連携、協力も密に行われてきた。このうち、渋谷区は、品川区、目黒区、大田区、世田谷区とともに第3ブロックに属している。 特別区においては、我が国において最もポピュラーなスポーツの一つであり、老若問わず共に参加できる野球をきっかけとして、各区の議員が集まり、議員相互間の親睦を図るとともに、区政に関する情報の収集、交換を行うための場として、23区の全議員を対象とする「特別区議会議員野球大会」が昭和30年ころから行われている。また、渋谷区の属する第3ブロックでは、ブロック内の議員相互の親睦や区政に関わる種々の情報の収集、交換等を図ることを目的として、第3ブロック区議会 会議員野球大会」が昭和30年ころから行われている。また、渋谷区の属する第3ブロックでは、ブロック内の議員相互の親睦や区政に関わる種々の情報の収集、交換等を図ることを目的として、第3ブロック区議会議員野球大会が昭和35年ころから実施されてきており、各区が順次幹事区となって同大会を運営しており、平成9年度の大会は第37回目のもので渋谷区が幹事区であった。同大会の運営経費は各区からの分担金により賄われていた。 渋谷区議会議員らは、第3ブロック区議会議員野球大会への参加を通じ、第3ブロック内の他区の議員から種々の情報等を収集することができ、これらを渋谷区の行政に生かすことが期待されるものであることから、本件分担金支出は、同大会の分担金への一助として区長交際費から支出されたものであり、その目的、支出の額等を総合的に判断すれば相当な支出というべきである。 同支出に関しては、渋谷区と渋谷区議会との間において、本件野球大会のために渋谷区議会が負担すべき分担金の一部に充てることを目的とする3万円の贈与契約が締結され、これを支出負担行為とし、同契約の履行として、被告Cが、渋谷区議会事務局職員としての渋谷区議会議長に対し、区長交際費から支出した。 本件野球大会は、単に野球だけが行われたのではなく、試合の後に懇親会が実施されており、参加した渋谷区議会議員が他の4区の議員との間で相互に交流し、意見や情報の交換ができるような日程となっていたのであり、議員個々の趣味的嗜好であるとか、レクリエーション活動にすぎないなどと速断すべきではない。 (ウ) 本件経費支出は、平成9年11月21日に渋谷区原宿の東郷記念館において開催された渋谷区議会議員の野球チームが主催する平成9年度の納会(以下「本件納会」という。)に、渋谷区長、助役、収入役及び教育長が招待され、参加した際の 11月21日に渋谷区原宿の東郷記念館において開催された渋谷区議会議員の野球チームが主催する平成9年度の納会(以下「本件納会」という。)に、渋谷区長、助役、収入役及び教育長が招待され、参加した際の費用に用いられたものである。渋谷区長等が同納会に参加することで、渋谷区議会議員が議員野球大会等を通じて他区の議員から得た種々の情報等を収集することが期待され、これを渋谷区の行政に活かすことができるものであり、同納会に対する渋谷区長等4名分の参加費(一人当たり7500円の4人分で計3万円)を区長交際費から支出したことは、その目的、支出の額等を総合的に判断すれば相当な支出というべきである。 同支出に関しては、渋谷区と権利能力なき社団である東京都渋谷区議会野球部との間において、渋谷区長、助役、収入役及び教育長が本件納会に出席するための費用3万円を負担して同納会に出席する旨の無名契約が締結され、これを支出負担行為とし、同契約の履行として、被告Cが、被告Aに対し、区長交際費から支出した3万円を渡し、被告Aが同野球部会計に支払ったものである。 (エ) 以上のとおり、本件各支出は、いずれも地方自治法232条の3に基づいてされたものであり、適法である。 第3 争点に対する判断 1 前記前提事実に証拠(甲1、2、3の1及び2、8の1及び8、9の1及び8、10の1及び8、11、12、丙1、2、5、7、8)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。 (1)ア渋谷区においては、渋谷区の区行政を円滑に運営するに当たり、区長がその交際費に要する経費の適正かつ公平な執行を図るため、交際費の支出基準として渋谷区区長交際費支出基準(以下「支出基準」という。平成2年3月31日区長決裁により定められ、これを改正して平成9年4月1日から施行されたもの。)が定められており を図るため、交際費の支出基準として渋谷区区長交際費支出基準(以下「支出基準」という。平成2年3月31日区長決裁により定められ、これを改正して平成9年4月1日から施行されたもの。)が定められており、同支出基準では、交際費は別に定める支出細則(以下「支出細則」という。)に基づいて支出し、支出額は社会通念上認められる範囲でかつ必要最小限でなければならないとされている。 イ支出細則では、支出の種別が①儀礼的経費(社会的慣習に基づく儀礼を行うために要する経費)、②接遇経費(国、都及び区政関係機関の関係者又は区長表敬者等に対する接遇並びに区政執行上の対外折衝等に要する経費)、③賛助的経費(行事、事業、刊行物等に対する賛助を目的とする経費)及び④諸費の4つに大別され、さらに②を除く各種別の中で支出の内容がいくつかの項目に区分されており、①の中には、「区議会、行政委員会、区政関係機関、区政関係団体及びこれらの構成員の主催又は参加する行事への儀礼」との項目がある(甲3の1及び2)。 (2)ア東京の23特別区においては、相互の発展を目的として、昭和22年に、23区議会議長による特別区議会議長会が組織されたところ、同議長会は、昭和30年10月29日の決定により特別区議会議員野球大会開催要項を定め、以後、同野球大会を開催している。同要綱は、昭和58年3月17日の同議長会決定により改正されたところ、改正後の同要綱によれば、特別区議会議員は、相互の親睦と体位の向上を図るため、毎年1回、特別区議会議長会の決定により、特別区議会議員野球大会を開催するものとされ(第1条及び第2条)、同大会は同議長会が主催することとなっていた(第3条)。 イ特別区議会議長会は、23区総体で協議検討する場合のほか、23区を地域ごとに5つのブロックに分け、ブロックごとに協議、検討を行 び第2条)、同大会は同議長会が主催することとなっていた(第3条)。 イ特別区議会議長会は、23区総体で協議検討する場合のほか、23区を地域ごとに5つのブロックに分け、ブロックごとに協議、検討を行うことも行っており、渋谷区は、品川区、目黒区、大田区、世田谷区とともに第3ブロックに属しているところ、第3ブロックでは、ブロック内の議員相互の親睦や区政に関わる種々の情報の収集、交換等を図ることを目的として、第3ブロック区議会議員野球大会を昭和35年ころから実施していた。同大会の運営は、ブロック内の各区が順次幹事区となって行い、その運営経費は各区のチームがそれぞれ10万円の分担金を支払って賄っていた。 ウ渋谷区議会の野球チームである東京都渋谷区議会野球部においては、昭和56年に東京都渋谷区議会野球部規約を定めており、数次にわたってこれを改正をしているところ、現行の規約によれば、同野球部は、野球を通じて、議員相互の親睦と元気回復を図り、また、他区議会との交流を目的とし、第3ブロック区議会議員野球大会の主催及び参加、特別区議会議員野球大会への参加、親善試合の主催及び参加等を行うこととなっていて、同野球部の経費は、会員の納入する会費その他をもって支弁することとされていた。 エ平成9年度の第3ブロック区議会議員野球大会である本件野球大会は、通算第37回目に当たり、渋谷区が幹事区となって、杉並区下高井戸の東京電力総合運動場において、同年5月7日水曜日に開催された。同大会の式次第は、同日午前9時から開会式をした後、試合を行い、その後、球場管理事務所2階のクラブハウスで懇親会を兼ねた閉会式を行うというもので、閉会式では、挨拶、表彰、乾杯及び閉会の挨拶のほかには特に式次第はなかった。 (3) 本件分担金支出についてア総務課長事務取扱総務部参事であった被 ハウスで懇親会を兼ねた閉会式を行うというもので、閉会式では、挨拶、表彰、乾杯及び閉会の挨拶のほかには特に式次第はなかった。 (3) 本件分担金支出についてア総務課長事務取扱総務部参事であった被告Cは、収入役である被告Bに対し、平成9年4月1日、区長交際費の支出命令権者として、同年4月分60万円の支出命令をし、被告Bは、同支出命令に対する審査を行って、同日、同審査を完了し、4月分の区長交際費60万円を前渡金受者である被告Cに対して支出し、被告C名の領収印を徴した(甲8の1)。 イ被告Aは、平成9年4月21日、渋谷区議会議長から「第37回第3ブロック区議会議員野球大会実施要項」(丙1)を受け取って、本件野球大会開催の通知を受け、同日、被告Cに対し、同実施要項を渡した。 ウ第3ブロック区議会議員野球大会の分担金は、各区10万円であったところ、渋谷区においては、同分担金について従前からその一部を区長交際費から支出しており、平成7年度及び平成8年度においては、同分担金の一部として区長交際費から3万円を支出していた。そこで、被告Cは、これと同様に平成9年度においても3万円を支出することについて、被告Aの了承を得て、同月22日、本件分担金の支出負担行為として、渋谷区議会議長を通じ、東京都渋谷区議会野球部との間で、同野球部が負担すべき本件野球大会の分担金の一部に充てる目的で、3万円の贈与契約を締結し、同契約の履行として、渋谷区議会議長に対し、保管中の前渡金から3万円を支払い、同議長名の領収書を受け取った。 エ被告Cは、同年5月6日、同年4月30日付けの交際費支払済調書(甲10の1)を添付して、同年4月分の区長交際費にかかる前渡金支払清算書(甲9の1)を収入役室に提出し、戻入額10万7232円を返納して、同年4月分の区長交際費の清算をした。 の交際費支払済調書(甲10の1)を添付して、同年4月分の区長交際費にかかる前渡金支払清算書(甲9の1)を収入役室に提出し、戻入額10万7232円を返納して、同年4月分の区長交際費の清算をした。 同交際費支払済調書においては、支出の内容は、各支出ごとに内容及び金額が記載されるのではなく、支出細則の定める4つの各種別の下で、例えば諸費においては「臨時的行事経費」及び「その他の経費」の各項日ごとに同一項目に該当する数件の支出の金額がまとめて記載されており、したがって、本件経費支出が特定して記載はされず、同支出に係る前記領収書は添付されなかった。 渋谷区においては、10数年前に、被告C就任前の当時の総務課長と被告B就任前の当時の収入役との間で、区長交際費の清算については、旧会計事務規則82条1項3号の規定する別に定める方法として、前記前提事実(7)の方法により処理する旨を包括的に協議し、以来、同協議に基づき、区長交際費の清算については同方法により処理されていて、本件分担金支出についても、これにより平成9年4月分の他の区長交際費支出とともに包括的に清算された。 オ第3ブロック区議会議員野球大会は、平成12年度には目黒区を、平成13年度には世田谷区を、それぞれ幹事区として開催され、その経費内訳はそれぞれ別紙の「平成12年度」欄及び「平成13年度」欄記載のとおりであったところ、これらは本件野球大会と同じ会場で同じ方式により開催され、その運営方法等においても大幅な変更はなかったので、本件野球大会の経費内訳は概ね別紙の「平成9年度」欄記載のとおりと推認され、約50万円の総経費額のうち、懇親会経費が約26万円と最も多く、ついでボール等の消耗品費が約13万円となっていた。 (4) 本件経費支出についてア被告Cは、収入役である被告Bに対し、平成9年10 、約50万円の総経費額のうち、懇親会経費が約26万円と最も多く、ついでボール等の消耗品費が約13万円となっていた。 (4) 本件経費支出についてア被告Cは、収入役である被告Bに対し、平成9年10月21日、区長交際費の支出命令権者として、同年11月分の60万円の支出命令し、被告Bは、同支出命令に対する審査を行って、同月27日、同審査を完了し、同年11月4日、同年11月分の区長交際費60万円を前渡金受者である被告Cに対して支出し、被告C名の領収印を徴した(甲8の8)。 イ被告Cは、東京都渋谷区議会野球部から、平成9年11月ころ、本件納会へ区長、助役、収入役及び教育長に出席してもらいたい旨の要請を受けた。 ウ被告Cは、被告Aに対し、平成9年11月21日、上記要請を伝達したところ、被告Aから区長、助役、収入役及び教育長のいずれもが本件納会に出席する旨の回答を得た。その際、被告Cは、被告Aから、区長、助役、収入役及び教育長が本件納会に出席するための費用を区長交際費から支出することの了承を得て、本件経費支出の支出負担行為として、被告Aの分については同被告との間で、助役、収入役及び教育長の3人分については被告Aを通じ、同人らが負担すべき本件納会の出席費用に充てる目的で、一人につき7500円をそれぞれ贈与する契約を締結し、同契約の履行として、1人当たり7500円の4人分で計3万円を保管中の前渡金から支出して被告Aにこれを渡し、被告Aは、同日、東京都渋谷区議会野球部の会計を担当する議員に対し、渋谷区長、助役、収入役及び教育長が本件納会に出席する旨を伝えるとともに、被告Cから受け取った3万円を支払った。 エ被告Cは、上記支出に当たって、東京都渋谷区議会野球部会計から同支払についての領収書を徴することは相当でないと判断し、旧会計事務規則81条に基づき ともに、被告Cから受け取った3万円を支払った。 エ被告Cは、上記支出に当たって、東京都渋谷区議会野球部会計から同支払についての領収書を徴することは相当でないと判断し、旧会計事務規則81条に基づき、支払済調書(甲2)を作成した。 オ本件納会は、平成9年11月21日、渋谷区原宿の東郷記念館において開催され、渋谷区長である被告A、助役、収入役である被告B及び教育長が参加した。 カ被告Cは、同年12月4日、前記前提事実(7)の方法により、同年11月30日付けの交際費支払済調書(甲10の8)を添付して、同年11月分の区長交際費にかかる前渡金支払清算書(甲9の8)を収入役室に提出し、戻入額10万0281円を返納して、同年11月分の区長交際費の清算をした。 同交際費支払済調書においても、支出の内容は、各支出ごとに内容及び金額が記載されるのではなく、前記のとおり、同一項目に該当する数件の支出の金額がまとめて記載されており、したがって、本件経費支出が特定して記載はされず、同支出に係る領収書に代わる支払済調書も添付されなかった。本件経費支出についても、これにより同月分の他の区長交際費支出とともに包括的に清算された。 (5) 特別区議会議長会及びその下命を受けた特別区議会事務局長会は、特別区議会議員野球大会に関する新聞報道をきっかけとして、平成11年度に同野球大会の運営の見直しを始め、同年6月の同議長会において、同野球大会を一致して実施可能な案があれば今後検討することとするとともに、同年度の同野球大会は休止することとし、同年9月1日には、議長会会長名で平成12年度以降の同野球大会の運営の仕方についてのたたき台が提案された。同提案には、経費(球場借上げ費、審判謝礼、傷害保険料等)は原則として私費負担とすることや、勤務時間中の試合は避け、各区事務局職員、特別 以降の同野球大会の運営の仕方についてのたたき台が提案された。同提案には、経費(球場借上げ費、審判謝礼、傷害保険料等)は原則として私費負担とすることや、勤務時間中の試合は避け、各区事務局職員、特別区協議会職員は従事しないこと、したがって、試合はナイターや土曜日・日曜日等を利用し実施することなどが含まれていた。そして、平成11年10月18日の同議長会総会において、①議員野球大会は当面各ブロックの話合いによってブロックごとに行う、②将来全ブロックで議員野球大会が行われるようになれば、その時点で改めてブロック間でルールを定め、ブロック代表による決勝トーナメントの実施について検討する、③議長会主催による決勝トーナメントを実施する条件が整うまでの間は特別区協議会予算には野球大会の経費を計上しないとの3点が了承され、議長会主催の野球大会は休止となり、平成12年度についても同野球大会は開催されなかった(甲11)。 その後、平成13年7月18日の特別区議会議長会において、ブロック代表による野球大会の実施要項について協議され、5つのブロック代表区による大会を実施することとし、経費の負担は参加チームの自己負担とすることなどの提案が了承され、このことは、同年8月1日に開催された渋谷区議会幹事長会の席上で報告され、了承された(甲12、弁論の全趣旨)。 2 争点1(被告Bに対する訴えの適法性)について(1) 被告Bは、総務課長に対して支出された前渡金につき、支出後に同課長が保管する当該前渡金の同課長の個々の支出自体については、収入役及び副収入役は何ら関わりを有しておらず、被告Cがその保管する前渡金につき行った区長交際費の支出については、地方自治法232条の4第1項及び同2項の適用はないから、収入役及び副収入役が同支出につき責任を負わなければならない立場にはな らず、被告Cがその保管する前渡金につき行った区長交際費の支出については、地方自治法232条の4第1項及び同2項の適用はないから、収入役及び副収入役が同支出につき責任を負わなければならない立場にはなく、収入役である被告Bは、同法242条の2第1項4号にいう「当該職員」には該当しない旨主張するので、この点について検討する。 地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」とは、当該訴訟において適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者及びその者から権限の委任を受けるなどして同権限を有するに至った者をいい(最高裁判所昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁)、同権限を有する者は、自らの権限に属する財務会計上の行為をあらかじめ特定の補助職員に専決させることとしている場合であっても、同専決により処理された財務会計上の行為の適否が問題とされている代位請求住民訴訟において、同号にいう「当該職員」に該当すると解すべきである(最高裁判所平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁参照)。 本件において、本件各支出に係る資金前渡清算書の審査については、渋谷区収入役室の組織に関する規則5条3号により副収入役の専決によることとされているが、被告Bは、収入役として資金前渡清算書の審査をすべき法令上の本来的な権限を有する者であるから、同審査が財務会計上の行為に当たる場合には、同審査の適否が問題とされている本件訴訟において、地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に当たるものということができる。 (2) そこで、資金前渡清算書の審査が住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に当たるか否かを検討する。 地方自治法は、その170条1項において、「法律又はこれに基づく政令に特別の定 とができる。 (2) そこで、資金前渡清算書の審査が住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に当たるか否かを検討する。 地方自治法は、その170条1項において、「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、出納長及び収入役は、当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる。」と規定し、地方公共団体における予算執行機関と会計機関の分離を図った上、同条2項6号で前記会計事務の一つとして「支出負担行為に関する確認を行うこと」を挙げ、さらに、同法232条の4第1項において「出納長又は収入役は、普通地方公共団体の長の命令がなければ、支出することができない。」とした上で、2項において「出納長又は収入役は前項の命令を受けた場合においても、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認した上でなければ、支出をすることができない。」と定め、支出について第一義的には首長の命令によるものとしながら、予算執行機関たる首長の行った支出負担行為の法令及び予算への適合性を会計機関である出納長又は収入役に確認させることしている。そしてこの確認は、職員の賠償責任の対象行為(同法243条の2第1項2号)とされており、一般に、予算の適正な執行につき、会計機関たる出納長及び収入役に強い権限と義務を付与している。 他方、同法232条の5は、1項において「普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。」との支出の原則を定めた上で、この例外として、2項において、普通地方公共団体の支出は政令の定めるところにより資金前渡等の方法によって行うことができることを規定し、地方自治法施行令161条1項は、同項1号ないし14号に掲げる特定の経費について資金前渡の方法によって支出できることを定めて 定めるところにより資金前渡等の方法によって行うことができることを規定し、地方自治法施行令161条1項は、同項1号ないし14号に掲げる特定の経費について資金前渡の方法によって支出できることを定めている。すなわち、支出に当たっては、原則として、債務の金額が定まり、支払の期限が到来しており、支出の相手方が正当な債権者であることが必要であるが、この例外の一つとして、資金前渡が許される経費については、出納長又は収入役が、普通地方公共団体の職員に概括的に経費の金額を交付して現金支払をさせることとしたもので、資金前渡を受けた職員は、交付を受けた経費の金額、すなわち資金を単に保管出納するにとどまらず、交付を受けた経費の目的に従って債務を負担し、その債務を履行するために正当な債権者に対して現金をもって支払をするのである。 したがって、資金前渡の方法による支出は、債権者、債権額等の確定をまって支出をすべき原則の例外であるが、そうだからといって、同方法による支出に対して、会計機関による確認が全く不要となるものとまでは解されない。前記のとおり、地方自治法の定めにおいては、予算執行機関から会計機関を分離し、会計機関たる出納長又は収入役に出納その他の会計事務の執行について独立の権限を与えるとともに、予算執行機関の行った支出負担行為の適法性等を会計機関に確認させることとして、会計機関の予算執行機関に対する内部牽制により、制度的に予算の適正な執行を確保しようとしていることからして、明示的な除外規定のない限り、出納長又は収入役の支出負担行為に対する適法性等の確認の権限及び義務は排除されないと解すべきである。そして、資金前渡の方法を許す地方自治法上の根拠規定である同法232条の5第2項は、その規定の仕方からして、資金前渡を地方自治法232条の5の債権者のための支出 義務は排除されないと解すべきである。そして、資金前渡の方法を許す地方自治法上の根拠規定である同法232条の5第2項は、その規定の仕方からして、資金前渡を地方自治法232条の5の債権者のための支出の原則の例外として位置づけているものと考えられるのであって、同法232条の4第2項の支出負担行為の法令及び予算適合性等を確認する権限及び義務までをも排除するものとは解されないのである。実質的にみても、地方自治法施行令161条1項各号が資金前渡を許すものとしている経費は、支出の場所、経費の性質等から、通常の支出の方法によっては事務の円滑な取扱いに支障を及ぼすおそれが大きいものであり、いわば事務取扱いの便宜の上で資金前渡の方法による支出を認められているものであって、経費の性質上適正な支払が担保されている又は担保不要であるというものではない。 むしろ、同項7号の報償費等の支出については、恣意的な支出を懸念して情報公開訴訟や支出の適法性を争う住民訴訟が多数提起されていることは公知の事実であり、資金前渡を受けた職員が、前渡を受けた資金を保管の上、自己の責任において債権者に支払をするものである点で、これに対する収入役の審査が全く行われないとなると、資金前渡を受けた者が債権者に対して適正な支払をすべきことの担保を欠くことになるのであって、資金前渡のされる経費の金額や使途を制限したとしても、それだけで適正な支出を担保するための会計機関による確認が本来的に不要となるわけではないのである。 以上の観点から渋谷区における関係規則の定めをみるに、旧会計事務規則82条は、資金前渡を受けた者の清算につき、随時の費用に係るもの(同規則79条3項1号)についてはその用件終了後前渡金支払清算書を作成し、証拠書類を添えて5日以内に収支命令者を経由して収入役に提出することとし( 前渡を受けた者の清算につき、随時の費用に係るもの(同規則79条3項1号)についてはその用件終了後前渡金支払清算書を作成し、証拠書類を添えて5日以内に収支命令者を経由して収入役に提出することとし(同規則82条1項1号)、毎月必要とする経費については前渡金支払清算書を作成し、証拠書類を添えてその支払期間経過後5日以内に収支命令者を経由して収入役に提出することとし(同項2号)、これらの方法による清算が困難な前渡金については収入役と協議の上別に定める方法により清算をすることができる(同項3号)とし、前渡金の清算残金は、原則として、直ちに指定金融機関又は収納代理金融機関に納付し、その領収書を前渡金支払清算書に添付しなければならないものとしており(同条2項)、資金前渡を受けた者の清算について原則として証拠書類や清算残金の納付に係る領収書を添えて前渡金支払清算書を収入役に提出することにより清算することとしていることからすれば、収入役が前渡金支払清算書を証拠書類等と照らし合わせて審査することを当然の前提としているものと解され、東京都渋谷区収入役室の組織に関する規則5条3号が資金前渡清算書の審査を副収入役が専決できることを規定しているのも、本来は収入役が資金前渡清算書の審査をする法令上の権限を有することを前提としているものと解されるのであって、前記の観点からすれば、資金前渡清算書の審査は、地方自治法232条の4第2項の原則に従って、支出行為の完結のために必要な行為と解すべきであり、収入役により同審査がされて初めて、公金の支出が完了したものというべきであって、そう解してこそ、資金前渡受者の支出の適正が担保されるものといわなければならない。 よって、資金前渡清算書の審査は、「公金の支出」の一部を構成する行為として財務会計上の行為に当たるものと解するのが そう解してこそ、資金前渡受者の支出の適正が担保されるものといわなければならない。 よって、資金前渡清算書の審査は、「公金の支出」の一部を構成する行為として財務会計上の行為に当たるものと解するのが相当であり、被告Bは、収入役として資金前渡清算書の審査をすべき法令上の本来的な権限を有する者であるから、同審査の適否が問題とされている本件訴訟において地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に当たるものと認められ、被告Bに対する本件訴えは適法なものである。 (3) なお、被告Bの指摘するとおり、原告は、本件訴えに先立ってした本件支出に係る監査請求の中で、収入役のする清算書の審査の内容が不当であることを対象とする旨を明示していない。 しかし、住民訴訟につき監査請求の前置を要することを定めている地方自治法242条の2第1項には、住民が、監査請求において求めた具体的措置の相手方と同一の者を相手方として同措置と同一の請求内容による住民訴訟を提起しなければならないとする規定は存在しないし、住民は、監査請求をする際、監査の対象である財務会計上の行為又は怠る事実を特定して、必要な措置を講ずべきことを請求すれば足りるのであるから、住民訴訟においては、その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り、監査請求において求められた具体的措置の相手方とは異なる者を相手方として同措置の内容と異なる請求をすることも許されると解すべきである(最高裁判所平成10年7月3日第二小法廷判決・判例時報1652号65頁)。 すなわち、問題とする財務会計上の行為又は怠る事実が同一である限り、監査請求前置の要件を判断するに当たって、監査請求書に記載された具体的な措置の内容や相手方を吟味する必要はなく、特定の公金の支出の違法を理由にその是 する財務会計上の行為又は怠る事実が同一である限り、監査請求前置の要件を判断するに当たって、監査請求書に記載された具体的な措置の内容や相手方を吟味する必要はなく、特定の公金の支出の違法を理由にその是正を求めている限り、それに関する支出負担行為、支出命令及び支出のすべて、その支出が資金前渡の方法による場合は清算とその審査を含めて、当該財務会計行為に伴う手続の一つ一つについてもその違法を理由として住民訴訟を提起することができると解すべきである。 したがって、本件訴えは、監査請求を経た適法なものであると認められる。 3 争点2(本件各支出の適法性)について(1) 法242条にいう違法な公金の支出とは、法令の規定又は議会の議決に違反する支出をいうものであるところ、法232条1項は、地方公共団体は、当該地方公共団体の事務を処理するために必要な経費を支弁するものとされていることから、地方公共団体の経費と認められるものの支出については、支出事務担当者に裁量が認められ、その裁量権の逸脱ないし濫用があると認められる場合に当該支出が違法となるべきものである。 そして、普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が、当該普通地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において、社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の儀礼的行為、接遇、賛助等を行うことは、当該普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上、同事務に随伴するものとして、許容されるものというべきであるが、それが公的存在である普通地方公共団体により行われるべきものであることからすると、対外的折衝をする際に行われた活動であっても、それが社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には、同活動は当該地方公共団体の事務に当然伴うものとはいえず、これに要した費用を公金により支出することは許さ 衝をする際に行われた活動であっても、それが社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には、同活動は当該地方公共団体の事務に当然伴うものとはいえず、これに要した費用を公金により支出することは許されないものというべきである(接遇の場合につき最高裁判所平成元年9月5日第三小法廷判決・裁判集民事157号419頁参照)。 (2) 本件についてこれをみるに、前記1(2)に認定した事実によれば、特別区議会議員野球大会開催要項において、特別区議会議員野球大会は、特別区議会議員相互の親睦と体位の向上を図るために行われるものとされており、第3ブロック区議会議員野球大会もこれと同趣旨のものと解されるところ、ここでいう議員相互の親睦は、スポーツとしての野球を通じて親睦を図るものであることは明らかであり、ここにおいて、特別区の行政に関する情報交換や意見交換を目的として上記各野球大会の開催が予定されているものとは解されない。 本件野球大会についても、同大会の式次第は、開会式、試合とその後球場管理事務所2階のクラブハウスでの懇親会を兼ねた閉会式を行うというもので、閉会式では、挨拶、表彰、乾杯及び閉会の挨拶のほかには特に式次第はなかったのであり、試合直後に閉会式と兼ねて行われる懇親会における懇談では、当日の試合についての感想等を述べ合うことが主となることは誰の目にも明らかであり、その機会にたまたま有意義な意見交換や情報収集を行うことができた議員がいた可能性を全く否定はできないものの、特別区の行政や地方自治の発展に寄与するような重要な事項についての意見交換や情報収集を懇親会の本質的要素として当然に期待することは困難であり、本件野球大会の趣旨として、本来的にそのような意見交換や情報収集がされることは予定も期待もされておらず、野球競技を行うことによる議員相互の親睦と 会の本質的要素として当然に期待することは困難であり、本件野球大会の趣旨として、本来的にそのような意見交換や情報収集がされることは予定も期待もされておらず、野球競技を行うことによる議員相互の親睦とレクリエーションの域を出るものではないというべきである。 また、東京都渋谷区議会野球部規約によれば、同野球部は、野球を通じて、議員相互の親睦と元気回復を図り、また、他区議会との交流を目的とし、第3ブロック区議会議員野球大会の主催及び参加、特別区議会議員野球大会の参加、親善試合の主催及び参加等を行うこととなっているところ、同規約が「野球を通じて」と明示しているとおり、上記の「他区議会との交流」との目的も、スポーツとしての野球を通じての文化的交流をいうものと解されるのであって、特別区の行政に関する意見交換や情報収集を目的として同野球部が活動をしているものとは解されない。したがって、同野球部の納会において、他の特別区の行政に関して行われた意見交換や情報収集の結果の披露がされたり、渋谷区の行政に関する意見交換が行われることは、本来的に期待できる事柄とは認められず、同納会に区長その他の職員が出席したとしても、他の特別区の行政や渋谷区の行政に関する意見や情報の収集を期待することは困難である。 これらの点からすると、本件各支出を区長交際費から支出したことは、渋谷区がその事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において、社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の儀礼的行為をするために支出したものであるとはいい難く、支出細則において支出額は社会通念上認められる範囲でかつ必要最小限でなければならないとされていることにかんがみても、これを公金により行うことは許されないものというべきであり、本件各支出については、支出事務担当者の裁量権の逸脱があるものとして違法なものといわざる でなければならないとされていることにかんがみても、これを公金により行うことは許されないものというべきであり、本件各支出については、支出事務担当者の裁量権の逸脱があるものとして違法なものといわざるを得ない。 (3) したがって、被告Aは、自らが法令上本来的に有する権限に属する区長交際費の支出負担行為をすることにつき、資金前渡受者である被告Cに委任していたのであるから、被告Cを指揮監督すべき立場にあったにもかかわらず、本件各支出については、それが前記のとおり違法なものであるのに、それぞれ支出負担行為をすることを了承し、何らその指揮監督権限を発動しなかったばかりか、むしろ積極的に被告Cをして本件各支出に係る支出負担行為をさせたのであり、被告Cが財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、少なくとも過失により被告Cが違法に本件各支出の支出負担行為をすることを阻止しなかったものというべきであり、これにより渋谷区が被った損害につき賠償の責めを免れることはできず、地方自治法242条の2第1項4号の「当該職員」として、本件各支出に係る損害を賠償すべき義務があるというほかない。 (4) また、被告Cが資金前渡受者として委任された権限に基づき本件野球大会の分担金の一部とするために本件分担金支出をし、また、本件納会に区長ほか3名が出席するための費用に充てるために本件経費支出をするために、本件各支出の支出負担行為をしたことは、いずれも違法であるといわなければならない。 しかしながら、地方公共団体の長以外の職員で、単に長から権限を委任されたにすぎないような者が法242条の2第1項4号の「当該職員」として地方公共団体に対して損害賠償責任を負うのは、国家賠償法1条2項、地方自治法243条の2第1項の趣旨にかんがみ、当該職員に故意又は重過失が ぎないような者が法242条の2第1項4号の「当該職員」として地方公共団体に対して損害賠償責任を負うのは、国家賠償法1条2項、地方自治法243条の2第1項の趣旨にかんがみ、当該職員に故意又は重過失があった場合に限られるものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、前記前提事実及び前記1(2)及び(3)の事実によれば、被告Cは、上司である渋谷区長の権限の委任を受けて財務会計上の行為を行った補助職員であるところ、本件分担金支出については、渋谷区は、第3ブロック区議会議員野球大会の各区10万円の分担金の一部を従前から区長交際費より支出しており、平成7年度及び平成8年度においては、同分担金の一部として区長交際費から3万円を支出していたことから、被告Cは、これと同様に平成9年度においても3万円を支出したものと認められ、また、弁論の全趣旨によれば、本件経費支出についても、従前の支出の例にならって、東京都渋谷区議会野球部の納会に職員が参加するための費用を支出したものであることがうかがわれる上、いずれの支出も、法令上の本来的な支出負担行為の権限を有する渋谷区長たる被告Aの指示により支出負担行為をしたものであり、また、前記1(5)のとおり、特別区議会議員野球大会につき、新聞報道を契機としてその運営の見直しがされるようになったのは、本件各支出の完了後のことであって、本件各支出の当時に議員野球大会への区長交際費の支出につきこれを問題視する何らかの動きがあったことを認めるに足りる証拠はない。本件各支出は、前記のとおり社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の儀礼的行為をするための支出とはいえない違法なものではあったが、上記の事情の下では、本件各支出が渋谷区にとっての社会通念上の儀礼の範囲を逸脱した行為であることは必ずしも明白ではなかったものということがで 的行為をするための支出とはいえない違法なものではあったが、上記の事情の下では、本件各支出が渋谷区にとっての社会通念上の儀礼の範囲を逸脱した行為であることは必ずしも明白ではなかったものということができ、本件各支出が違法なものとなることを看過して本件各支出に係る支出負担行為をしたことにつき、被告Cに重過失があったとまでは認められない。 よって、被告Cに対する本件請求は理由がない。 (5) 他方、前記1(3)エ及び同(4)カの事実によれば、渋谷区においては、10数年前に、被告C就任前の当時の総務課長と被告B就任前の当時の収入役との間で、区長交際費の清算について、旧会計事務規則82条1項3号の規定する別に定める方法として、各支出に係る個々の領収書、支払済調書を用いることなく、毎月、当該月の区長交際費の支出につき清算書に分類された項目ごとに集計された交際費支払済調書を添付することにより行い、月末において保管金に残金がある場合に、総務課長が旧会計事務規則82条2項に基づき戻入をするという方法により行うことを包括的に協議し、このとおり清算を行ってきていたもので、本件各支出についても、本件分担金支出については、平成9年4月分の他の区長交際費支出とともに包括的に清算され、本件経費支出については、同年11月分の他の区長交際費支出とともに包括的に清算され、同各月の交際費支払済調書において、支出の内容は、各支出ごとに金額が記載されるのではなく、類型化された支出項目ごとに金額がまとめて記載され、したがって、本件各支出が特定して記載はされず、同支出に係る領収書等も添付されなかったことが認められる。 同事実を前提とすると、上記の清算方法による限りにおいては、個々の交際費の前渡金支出につき清算書の審査を専決している副収入役は具体的に審査を放棄しているというべきで れなかったことが認められる。 同事実を前提とすると、上記の清算方法による限りにおいては、個々の交際費の前渡金支出につき清算書の審査を専決している副収入役は具体的に審査を放棄しているというべきであり、それが本件各支出のような区長交際費として支出することができない支出を看過することにつながったといわざるを得ない。収入役である被告Bは、副収入役に清算書の審査を専決させるに当たり、上記協議に基づく包括的清算方法を見直すことなく継続することにより、不正を全く発見できないような審査方法を採り、いわば審査を放棄することを容認していたというべきであり、この点において、副収入役に対する指揮監督権限の行使を怠ったものであり、しかも、その点について重大な過失があったというべきである。 そして、収入役から前渡金支出に係る清算書の審査に係る専決権限を与えられた副収入役は、執行機関が支出負担行為・支出命令をする際の考慮とは異なり、純粋に財務会計法規適合性の観点から同審査をすべき立場にあるのであるから、たとえ執行機関が過失により違法な支出負担行為・支出命令を発した場合についても、これを審査して違法を是正すべき立場にあるのであって、本件において、被告Bが適切に指揮監督権限を行使し、副収入役に個々の交際費の前渡金支出に係る清算書の審査を行わせていれば、副収入役は、上記の立場に立って、清算書の審査により本件各支出が違法なものであることを発見してその違法を是正する措置を講ずることができたものというべきである。よって、被告Bの重過失による上記指揮監督権限の不行使と本件各支出に係る渋谷区の損害との間には因果関係があるものと認められる。したがって、同被告は被告Aとともに本件各支出に係る損害を賠償すべき義務があるというべきである。 (6) 渋谷区は、違法な本件各支出により、 係る渋谷区の損害との間には因果関係があるものと認められる。したがって、同被告は被告Aとともに本件各支出に係る損害を賠償すべき義務があるというべきである。 (6) 渋谷区は、違法な本件各支出により、本件各支出の支出合計額である6万円の損害を被ったものということができるから、被告A及び被告Bは、同額及びこれに対する平成12年11月3日(同各被告に対する本件訴状の送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を渋谷区に対して支払うべき義務があるものと認められる。 第4 結論よって、原告の被告A及び被告Bに対する請求には理由があるからこれを認容することとし、被告Cに対する請求には理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条1項本文、66条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官村田斉志裁判官廣澤諭

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