- 1 - 主文 原決定を破棄し,原々決定を取り消す。 本件担保取消しの申立てを却下する。 抗告の総費用は相手方の負担とする。 理由 抗告代理人池田眞一郎,同鈴木正勇,同根石英行の抗告理由について 1 【要旨】仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い強制執行の停止がされた後,債務者が破産宣告を受けた場合に,債権者は,強制執行の停止がされなかったとしても仮執行が破産宣告時までに終了していなかったという事情がない限り,強制執行の停止により損害を被る可能性があるから,債務者が破産宣告を受けたという一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできないと解するのが相当である(最高裁平成13年(許)第21号同年12月13日第一小法廷決定・民集55巻7号1546頁)。そして,債権者は,上記損害の賠償請求権に関し,強制執行の停止の担保として供託された金銭について,他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する(民訴法400条2項,77条)ことは,債務者が破産宣告を受けたことによって変わるところはない。 2 本件の経過は,東京地方裁判所が,平成11年5月12日,D株式会社を被告とする損害賠償請求訴訟において,抗告人の請求を一部認容する仮執行宣言付判決を言い渡したところ,被告は,同月19日,金銭を供託する方法で本件担保を立ててこの判決に対する控訴に伴う強制執行停止決定を得たが,その後,同年6月2日に破産宣告を受けたというのである。そして,原審において,相手方は強制執行の停止がされなかったとしても仮執行が破産宣告時までに終了していなかったとい- 2 -う事情が存在することを立証していないし,原審もこれを認定していな る。そして,原審において,相手方は強制執行の停止がされなかったとしても仮執行が破産宣告時までに終了していなかったとい- 2 -う事情が存在することを立証していないし,原審もこれを認定していない。そうすると,本件で担保の事由が消滅したものということはできない。 3 以上によれば,本件担保取消しの決定に対する抗告を棄却した原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,上記説示によれば,相手方の本件担保取消しの申立てを認容した原々決定は違法であり,取消しを免れない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官北川弘治裁判官河合伸一裁判官福田博裁判官亀山継夫裁判官梶谷玄)
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