主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 請求の趣旨(1) 被告は,Aに対し,574万1700円の損害賠償を請求せよ。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 本案前の答弁(1) 本件訴えを却下する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 3 請求の趣旨に対する答弁主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,原告が,高知県室戸市αに所在する佐喜浜川の河川敷において室戸市が実施した市道β線暫定道路の設置工事に関し,室戸市長であるAが574万1700円の支出負担行為をしたところ,その支出負担行為は違法であって,それにより室戸市は同額の損害を被ったなどと主張して,室戸市長である被告に対し,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第1項4号に基づき,Aに対して,574万1700円の損害賠償を請求するよう求める事案である。なお,原告は,本件訴えを提起した当初は,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項1号に基づき,室戸市長である被告に対し,市道β線暫定道路の設置工事のための支出の差止めを求めていたところ,本件訴訟の進行中にその支出が行われたため,訴えを変更したものである。 2 争いのない事実等以下の各事実は,当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事実,又は,証拠(甲1ないし5,乙1ないし5,11,13,14,17。枝番のある書証については,特に枝番を示さない限り,すべての枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によって容易に認定できる事実である。 (1) 原告は,高知県室戸市に在住する住民である。 (2) 室戸市αには,その中心部に二級河川である佐喜浜川が 含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によって容易に認定できる事実である。 (1) 原告は,高知県室戸市に在住する住民である。 (2) 室戸市αには,その中心部に二級河川である佐喜浜川が流れているところ,佐喜浜川の中流部付近には,同川に沿って市道β線(以下「本件市道」という。)が併走し,その沿線には,同川の下流からγ地区,δ地区,ε地区,ζ地区,η地区の各集落が点在しており,本件市道は同各集落に居住する約130人の住民にとって唯一の生活道路となっている。また,佐喜浜川の中流部付近には,砂利選別場,採石場,生コンクリート工場,建設副産物処理場,牧場等が立地しているところ,これらの施設に関連する大型車両等が,平成11年ころまでに,何らの許可を受けることなく佐喜浜川の河川敷を通行するようになっていた。 (3) 室戸市は,平成11年ころから,高知県との間で,幅員が約3.5ないし4メートルと狭い部分のある本件市道を大型車両が通行することによる沿線集落の住民生活への影響を回避するとともに,上記のとおり,大型車両等が何らの許可を受けることなく佐喜浜川の河川敷を通行している状況を改善する方策について協議した。その結果,高知県は,既に,道路法7条に基づき,室戸市αを起点とし室戸市θを終点とする路線を県道ι線と認定し,平成7年4月1日に告示していたところ,そのうちγ地区からη地区までの間の路線について,平成14年度から,本件市道の拡幅あるいはバイパス方式によって,道路改良事業(以下「県道改良事業」という。)を行う予定を立てた。 (4) 室戸市は,平成13年ころ,高知県による県道改良事業の完成までには一定の期間が必要なため,その完成までの暫定的な対応として,現に大型車両等が通行していた佐喜浜川の河川敷のうちγ地区からη地区までの間に,市道β線暫定 3年ころ,高知県による県道改良事業の完成までには一定の期間が必要なため,その完成までの暫定的な対応として,現に大型車両等が通行していた佐喜浜川の河川敷のうちγ地区からη地区までの間に,市道β線暫定道路(以下「本件暫定道路」という。)を設置することを計画し,室戸市長Aは,平成13年8月22日付けで,高知県知事に対し,本件暫定道路設置工事のため,佐喜浜川の河川区域内における,河川法24条による土地の占用,同法26条による工作物の新築,同法27条による河床掘削及び掘削土石の敷き均しの許可を申請した(以下「本件許可申請」という。)。そして,室戸市長Aは,平成13年度9月の室戸市議会定例議会において,本件暫定道路設置工事費用を1120万円とする補正予算案(以下「本件補正予算案」という。)を提出した。 (5) 原告は,平成13年9月25日,室戸市監査委員に対し,本件補正予算案に基づく本件暫定道路設置工事費用1120万円の支出は違法であるなどとして,その支出の差止め,あるいは,仮に支出された場合の損害賠償請求等の措置を求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行った。 (6) 室戸市議会は,平成13年10月1日,本件補正予算案を可決した。 (7) 室戸市監査委員は,平成13年10月5日付けで,本件監査請求を不適法であるとして却下する旨を原告に通知した。原告は,その通知を受けた日から30日以内である同年11月4日,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項1号に基づき,被告に対して,本件暫定道路設置工事費用の支出の差止めを求める訴え(以下「本件差止めの訴え」という。)を提起した。 (8) 室戸市長Aは,平成13年度中には本件暫定道路設置工事に着手することが見込めなくなったため,室戸市議会に対し,可決されていた本件 以下「本件差止めの訴え」という。)を提起した。 (8) 室戸市長Aは,平成13年度中には本件暫定道路設置工事に着手することが見込めなくなったため,室戸市議会に対し,可決されていた本件補正予算案に基づく本件暫定道路設置工事費用1120万円の予算全額について減額補正する予算案を提出し,同市議会はこれを可決した。また,室戸市長Aは,同市議会に対し,本件暫定道路設置工事費用を1120万円とする平成14年度予算案を提出し,同市議会はこれを可決した(以下「平成14年度予算」という。)。 (9) 室戸市長Aは,平成14年3月12日付けで,高知県知事に対し,本件許可申請について,本件暫定道路設置予定路線の一部に存在する土地の地権者から使用承諾が得られないこと等を理由として,一部路線を変更するなどの内容の変更許可を申請した(以下「本件変更許可申請」という。)。高知県知事は,同月27日付けで,本件許可申請及び本件変更許可申請について,本件暫定道路設置工事の工期を同年6月30日まで,占用期間を平成18年6月30日までと定めて,これらの申請を許可することとした(以下「本件河川法許可」という。)。 (10) 室戸市長Aは,平成14年3月27日ころから8月15日ころまでの間に,本件河川法許可を受けた本件暫定道路設置工事のうち,河床掘削及び掘削土石の敷き均し工事を請負契約の方式で,その他の道路設置等工事を,人夫賃,重機借上料,原材料のいわゆる実費を室戸市が負担することで建設業協会に依頼して希望業者の協力により施工する方法で実施することとし,同年8月15日にそれらの工事が完成したところ,室戸市長Aは,同年3月27日ころから8月15日ころまでの間に,それらの工事費用についての支出負担行為(以下「本件支出負担行為」という。)を行い,室戸市は,別紙α暫定道路支出 の工事が完成したところ,室戸市長Aは,同年3月27日ころから8月15日ころまでの間に,それらの工事費用についての支出負担行為(以下「本件支出負担行為」という。)を行い,室戸市は,別紙α暫定道路支出済み金額一覧表(乙5の写しである)に記載のとおり,工事請負費用として同年10月30日に168万円を支払い,その他の費用として,同年7月22日から10月7日までの間に合計406万1700円を支払った。 (11) 原告は,平成15年7月15日の本件第9回口頭弁論期日において,本件差止めの訴えを,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第1項4号に基づき,室戸市長を被告として,Aに対し,574万1700円の損害賠償請求を求める本件訴えに変更した。 3 争点被告は,本件訴えは平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第1項4号に基づく点においページ(1)て不適法である旨主張するのに対し,原告は,本件訴えは適法である旨主張して争っている(争点(1))。また,原告は,本件暫定道路は,これを建設する必要性がなく,河川法及び道路法の規定に反するから,本件支出負担行為は違法である旨主張するのに対し,被告は,本件支出負担行為は適法である旨主張して争っている(争点(2))。これらの争点等についての当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 争点(1)(本件訴えの適法性)について① 被告の主張原告は,平成13年11月4日,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(平成14年9月1日施行)242条の2第1項1号に基づき,本件差止めの訴えを提起したものであるところ,平成14年法律第4号附則4条は,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2,242条の3及び243条の2の規定は 2条の2第1項1号に基づき,本件差止めの訴えを提起したものであるところ,平成14年法律第4号附則4条は,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2,242条の3及び243条の2の規定は,施行日以後に提起される同法242条の2第1項の訴訟について適用し,施行日の前日までに提起された平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2の規定による同条第1項の訴訟については,なお従前の例による旨を定めているから,原告が,本件支出負担行為の違法を理由とするAに対する損害賠償を主張する場合には,平成14年法律第4号附則4条により平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項4号が適用されるべきである。しかしながら,原告は,本件支出負担行為の違法を理由とするAに対する損害賠償を主張して,訴えを変更するに当たり,適用すべき法律を誤り,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第1項4号に基づき,室戸市長を被告として,Aに対し,損害賠償を求めることを請求している。よって,原告の本件訴えは不適法であるから,被告はその却下を求める。 ② 原告の主張本件訴えは適法である。 (2) 争点(2)(本件支出負担行為の適法性)について① 原告の主張ア本件支出負担行為の違法性a 本件市道の沿線に位置するγ地区,δ地区,ε地区,ζ地区,η地区の各集落に居住する住民は,本件市道を通行して生活しているから,本件市道を整備することは必要である。しかしながら,本件暫定道路は,採石事業者等が,何らの許可を受けることなく,その工場へ通行できるようにするため,佐喜浜川の河川敷を不法に占拠し,違法に建造していた私設道路について,これを室戸市が承認して設置されたものであるから,その設置 者等が,何らの許可を受けることなく,その工場へ通行できるようにするため,佐喜浜川の河川敷を不法に占拠し,違法に建造していた私設道路について,これを室戸市が承認して設置されたものであるから,その設置が一般市民の公共の利益を図るとはいい難い。また,本件市道の沿線に位置する各集落の住民は,本件市道を通行することができるし,佐喜浜川の中流部付近の砂利選別場,採石場等の施設に関連する大型車両等も本件市道の通行許可を得ていたものである。したがって,本件暫定道路を設置する必要性はなかったというべきである。 b 次に,上記のとおり,本件暫定道路の設置は,その必要性がなかったのであるから,河川法26条に反するというべきである。また,河川法24条の許可の指針となる河川敷地占用許可準則によれば,工事等の仮設物による一時的な河川敷の占用は認められているが,長期的な道路設置のための河川敷の占用は許されないし,河川敷地占用許可準則によれば,河川敷の占用期間は必要最小限度でなければならないところ,本件河川法許可における本件暫定道路設置のための占用期間は,許可日から平成18年6月30日までとなっているものの,県道改良事業は,高知県の財政事情,用地取得の困難性等から現在も全く進捗しておらず,近い将来もはっきりした見通しもない状況であるから,本件暫定道路の設置は無期間で恒久的なものとなる可能性が高く,河川法24条に反するというべきである。 c さらに,本件暫定道路は,佐喜浜川の河道に土砂を盛り,ふちを土嚢でふさいだだけで建造されたものであるところ,平成15年5月の2度の大雨や同年11月28日の豪雨により,同川の堤防天端よりはるか下方の水量でも浸水し流失したし,普通の雨でも各所で穴が空いて崩壊しているから,本件暫定道路の設置は,道路の構造が通常の衝撃に対して安全な 大雨や同年11月28日の豪雨により,同川の堤防天端よりはるか下方の水量でも浸水し流失したし,普通の雨でも各所で穴が空いて崩壊しているから,本件暫定道路の設置は,道路の構造が通常の衝撃に対して安全なものである旨を定める道路法29条に反するというべきである。 d 以上によれば,本件暫定道路の設置のための本件支出負担行為は,違法であるというべきである。 イ室戸市の損害等a 室戸市は,本件支出負担行為の結果,本件暫定道路設置工事費用として合計574万1700円を支払い,同額の損害を被った。 b 本件支出負担行為を行った室戸市長であったAは,室戸市に対し,上記損害を賠償する責任を負う。 ウ要約よって,原告は,被告に対し,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第1項4号に基づき,Aに対して,574万1700円の損害賠償を請求するよう求める。 ② 被告の主張ア本件支出負担行為の適法性a 室戸市αを流れる佐喜浜川の中流部付近は,砂利選別場,採石場,生コンクリート工場,建設副産物処理場,牧場等が立地しており,公共事業への貢献や地域における雇用の確保等の上で,室戸市にとって重要な産業拠点となっているところ,これらの施設に関連する多数の大型車両等が本件市道を通行することになれば,本件市道の幅員は約3.5ないし4メートルと狭い部分があり,舗装厚も薄いため,道路管理に支障を来し,待避所の設置等の整備修繕に多額の費用を要することが予想され,また,本件市道の沿線に位置する各集落の住民に対して,生活道路としての本件市道の交通への影響ばかりでなく,振動,騒音,周辺環境の悪化等の影響を与え,住民と通行する大型車両等との間に紛争が生じることも予想された。他方,これらの施設に関連す 住民に対して,生活道路としての本件市道の交通への影響ばかりでなく,振動,騒音,周辺環境の悪化等の影響を与え,住民と通行する大型車両等との間に紛争が生じることも予想された。他方,これらの施設に関連する大型車両等が,平成11年ころまでに,佐喜浜川の河川敷を通行するようになっていたところ,その経緯は判然としないが,本件市道のγ地区からη地区までの区間が狭隘であったため,それら大型車両等が,過去に河川等の工事で使用された仮設道路の跡地を自己責任により任意に利用するうちに一般化していったものと推測される。そして,本件市道の沿線集落の住民からは,佐喜浜川の河川敷の通行の合法化を求めて高知県や室戸市に要望や陳情が重ねられた。そこで,室戸市が,平成11年ころから,高知県との間で,沿線集落の住民生活への影響を回避するとともに,大型車両等が何らの許可を受けることなく佐喜浜川の河川敷を通行している状況を改善する方策について協議した結果,高知県は,県道ι線のうちγ地区からη地区までの間の路線について本件市道の拡幅あるいはバイパス方式によって県道改良事業を行う予定を立てた。しかし,高知県による県道改良事業の完成までには一定の期間が必要なため,室戸市は,その完成までの暫定的な対応として,現に大型車両等が通行していた佐喜浜川の河川敷のうち比較的河川断面に余裕があるγ地区からη地区までの約2.4キロメートルについて,堤防護岸沿いに護岸基礎の補強を図りながら行う腹付盛土工法によって本件暫定道路を設置することを計画したのである。したがって,本件暫定道路を設置する必要性はあったというべきである。 b 次に,室戸市長Aは,平成13年8月22日付けで,高知県知事に対し,本件暫定道路設置工事のため,佐喜浜川の河川区域内における,河川法24条による土地の占用,同法26条による工作物 ある。 b 次に,室戸市長Aは,平成13年8月22日付けで,高知県知事に対し,本件暫定道路設置工事のため,佐喜浜川の河川区域内における,河川法24条による土地の占用,同法26条による工作物の新築,同法27条による河床掘削及び掘削土石の敷き均しについて,本件許可申請をし,平成14年3月12日付けで,高知県知事に対し,本件許可申請について,本件暫定道路設置予定路線の一部に存在する土地の地権者から使用承諾が得られないこと等を理由として,一部路線を変更するなどの内容の本件変更許可申請をしたところ,高知県知事から,同月27日付けで,本件許可申請及び本件変更許可申請についての本件河川法許可を受けたため,本件暫定道路設置工事を実施したものであるが,本件許可申請に係る腹付盛土工法は堤防を補強するものであるし,高知県知事は,河川法の許可基準を満たしていることを確認して本件河川法許可をしたのであるから,本件暫定道路の設置は河川法に反するものではない。 ページ(2)なお,本件河川法許可において,佐喜浜川河川敷の占用期間は平成18年6月30日までと定められたところ,県道ι線についての県道改良事業は,その工期は平成14年度から平成18年度までと予定されており,平成15年12月17日の時点において,大部分の用地買収が済んでおり,同年12月20日から平成16年3月10日までを工期とした一部工事が施工され,他の工事についても近日施工予定であるから,原告の主張するように,本件暫定道路の設置が無期間で恒久的なものとなることはない。 c さらに,本件暫定道路は,道路法29条の一般原則を受けた同法30条に基づく道路構造令に基づいて計画,設計がされており,盛土により道路を構築する場合の指針である社団法人日本道路協会発行の「道路土工のり面工・斜面安定工指針」の基準を満た 条の一般原則を受けた同法30条に基づく道路構造令に基づいて計画,設計がされており,盛土により道路を構築する場合の指針である社団法人日本道路協会発行の「道路土工のり面工・斜面安定工指針」の基準を満たしている。また,本件暫定道路が平成15年5月の2度の大雨により被災したことは認めるが,その被災は,20年に一度の確率で出現した異常な集中豪雨に起因するものである。したがって,本件暫定道路は道路構造上安全であり,道路法に反するものではないというべきである。 d 以上によれば,本件暫定道路の設置は適法であり,そのための本件支出負担行為も適法であるというべきである。 イ室戸市の損害等室戸市が,本件支出負担行為の結果,574万1700円の損害を被った事実は否認し,室戸市長であったAが,室戸市に対し,その損害を賠償する責任を負うとの主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件訴えの適法性)について(1) 被告は,原告が,訴えを変更するに当たり,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項4号によるべきところを適用すべき法律を誤り,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第1項4号に基づき,室戸市長を被告として,Aに対し,損害賠償を求めることを請求しているから,本件訴えは不適法である旨を主張する。 この点,平成14年法律第4号附則4条は,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2,242条の3及び243条の2の規定は,施行日以後に提起される同法242条の2第1項の訴訟について適用し,施行日の前日までに提起された平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2の規定による同条第1項の訴訟については,なお従前の例による旨を定めている。しかしながら,訴えの変更 ついて適用し,施行日の前日までに提起された平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2の規定による同条第1項の訴訟については,なお従前の例による旨を定めている。しかしながら,訴えの変更は,変更後の請求についての新訴の提起と従前の請求についての訴えの取下げを行うものと解されるから,前記第2の2に認定のとおり,原告は,訴えの変更により,平成15年7月15日に新たな訴えとして本件訴えを提起したものと同視し得るというべきである。また,実質的に検討してみても,原告は,平成14年3月27日ころから8月15日ころまでの間に被告がした本件支出負担行為の後,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条,242条の2第1項4号の施行期日である同年9月1日以後に改めて住民監査請求を行い,その結果をふまえて,本件支出負担行為の違法を理由として,被告に対し,Aに対する損害賠償を請求するよう求める新訴を提起することも可能ではあるが,前記第2の2に認定のとおり,原告は,当初は本件差止めの訴えを提起していたところ,本件訴訟の進行中に被告がその差止めの対象たる本件暫定道路設置工事費用の支出を実施してしまったため,訴えの変更に及んだ事実が認められることや,本件支出負担行為と平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条,242条の2第1項4号の施行期日とが切迫しており,その前後関係は全くの偶然によること,などの事情を勘案すれば,原告に対し,改めて住民監査請求を行う負担を負わせるのは相当でないというべきであり,そのような新訴の提起を行い得るのと同様に訴えの変更をなし得るものと解するのが相当である。よって,本件訴えは,平成14年法律第4号附則4条にいう施行日以後に提起される訴訟に該当するものである 。 (2) なお,住民監査請求前置の点について し得るものと解するのが相当である。よって,本件訴えは,平成14年法律第4号附則4条にいう施行日以後に提起される訴訟に該当するものである 。 (2) なお,住民監査請求前置の点について検討するに,前記第2の2に認定のとおり,原告は,平成13年9月25日,室戸市監査委員に対し,本件補正予算案に基づく本件暫定道路設置工事費用1120万円の支出は違法であるなどとして,その支出の差止め,あるいは,仮に支出された場合の損害賠償請求等の措置を求める本件監査請求を行ったが,室戸市監査委員から,平成13年10月5日付けで,本件監査請求を不適法であるとして却下する旨の通知を受けたため,その通知を受けた日から30日以内である同年11月4日,本件差止めの訴えを提起したこと,室戸市長Aは,平成13年度中には本件暫定道路設置工事に着手することが見込めなくなったため,室戸市議会に対し,可決されていた本件補正予算案に基づく本件暫定道路設置工事費用1120万円の予算全額について減額補正する予算案を提出し,同市議会はこれを可決し,また,室戸市長Aは,同市議会に対し,本件暫定道路設置工事費用を1120万円とする平成14年度予算案を提出し,同市議会はこれを可決したこと,室戸市長Aは,平成14年3月27日ころから8月15日ころまでの間に,本件暫定道路設置工事費用についての本件支出負担行為を行い,室戸市は,工事請負費用として同年10月30日に168万円を支払い,その他の費用として,同年7月22日から10月7日までの間に合計406万1700円を支払ったこと,などの事実が認められる。これらの事実等に照らせば,原告による本件監査請求の時点においても本件暫定道路設置工事費用の支出が行われる相当の確実性があったといえるから,本件監査請求は適法であったというべきであるし,また,地権者の れらの事実等に照らせば,原告による本件監査請求の時点においても本件暫定道路設置工事費用の支出が行われる相当の確実性があったといえるから,本件監査請求は適法であったというべきであるし,また,地権者の承諾を得られないことから本件暫定道路の路線の一部を変更しているものの,本件暫定道路を佐喜浜川の河川敷に設置するという主要部分には何ら変更はなく,本件暫定道路設置工事費用として計上している予算の金額も,平成13年度に減額補正される前の金額と平成14年度予算案に計上された金額とが,いずれも1120万円と同額であることからみれば,本件暫定道路設置工事費用1120万円の平成13年度における減額補正の予算案と,同額の本件暫定道路設置工事費用を計上した平成14年度予算案の可決とは,会計年度独立の原則(地方自治法208条2項)からそのような手続きをとったにすぎず,その実質は,同一の本件暫定道路設置工事費用についての予算であると評価すべきであり,そうすると,原告は,変更後の本件訴えにおいて,違法な財務会計上の行為として主張している本件暫定道路設置工事費用の支出の違法性を,既に,本件監査請求において主張しているというべきであって,結局,訴えの変更後の本件訴えは,実質的には適法な住民監査請求を経た上でされたものと解するのが相当である。 (3) 以上によれば,本件訴えは,適法であるというべきであって,被告の主張はこれを採用することができない。 2 争点(2)(本件支出負担行為の適法性)について(1) まず,前記第2の2に認定のとおり,本件支出負担行為は,本件暫定道路設置工事費用として合計574万1700円を支払うために行われたものであるところ,本件暫定道路設置工事費用の支出については,室戸市議会において,平成13年度9 とおり,本件支出負担行為は,本件暫定道路設置工事費用として合計574万1700円を支払うために行われたものであるところ,本件暫定道路設置工事費用の支出については,室戸市議会において,平成13年度9月の定例議会に提出された本件補正予算案が可決され,その後,本件補正予算案に基づく予算全額について減額補正する予算案が可決されるとともに,本件暫定道路設置工事費用を1120万円とする平成14年度予算案が可決されたものであって,その支出は平成14年度予算に基づいて行われたこと,本件暫定道路は,現に大型車両等が通行していた佐喜浜川の河川敷のうちγ地区からη地区までの間に設置されたものであるところ,室戸市は,佐喜浜川の河川区域内における,河川法24条による土地の占用,同法26条による工作物の新築,同法27条による河床掘削及び掘削土石の敷き均しについて,佐喜浜川の河川管理者である高知県知事から平成14年3月27日付けで,本件河川法許可を受けたこと,などの事実が認められる。これらの事実等に照らせば,本件支出負担行為は適法な手続に従って行われたものであり,手続的には何らの瑕疵もないということができる。 (2) ところで,前記第2の2の争いのない事実等に証拠(甲3ないし6,乙10,14,15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,室戸市αの中心部を流れる佐喜浜川の中流部付近には,同川に沿って本件市道が併走し,その沿線には,同川の下流からγ地区,δ地区,ε地区,ζ地区,η地区の各集落が点在しており,本件市道は同各集落に居住すページ(3)る約130人の住民にとって唯一の生活道路となっていること,佐喜浜川の中流部付近には,砂利選別場,採石場,生コンクリート工場,建設副産物処理場,牧場等が立地しているところ,これらの施設に関連する大型車両等が,平成11年ころまでに,何らの許可を受 ていること,佐喜浜川の中流部付近には,砂利選別場,採石場,生コンクリート工場,建設副産物処理場,牧場等が立地しているところ,これらの施設に関連する大型車両等が,平成11年ころまでに,何らの許可を受けることなく佐喜浜川の河川敷を通行するようになっていたこと,本件市道の沿線集落の住民からは,平成11年ころに,高知県や室戸市に対し,大型車両等による佐喜浜川の河川敷の通行を許可するよう求める要請がされたこと,そこで,室戸市が,平成11年ころから,高知県との間で,沿線集落の住民生活への影響を回避するとともに,大型車両等が何らの許可を受けることなく佐喜浜川の河川敷を通行している状況を改善する方策について協議した結果,高知県は,県道ι線のうちγ地区からη地区までの間の路線について本件市道の拡幅あるいはバイパス方式によって県道改良事業を行う予定を立てたこと,しかしながら,県道改良事業のために本件市道を通行止めにした場合には,その沿線集落の住民生活に多大な影響を及ぼすほか,上記の砂利選別場等の営業にも支障を来すと考えられること,そして,室戸市は,高知県による県道改良事業の完成までには一定の期間が必要なため,その完成までの暫定的な対応として,現に大型車両等が通行していた佐喜浜川の河川敷のうちγ地区からη地区までの約2.4キロメートルについて,堤防護岸沿いに護岸基礎の補強を図りながら行う腹付盛土工法によって本件暫定道路を設置することを計画したこと,などの事実が認められる。これらの事実等に照らせば,室戸市が,高知県による県道改良事業の完成までの暫定的な対応として,大型車両等の本件市道の通行による沿線集落の住民生活への影響を回避しつつ,県道改良事業のために本件市道を通行止めにした場合の住民生活への影響や砂利選別場等の営業上の支障を防止するため,現に大型車両等が通行してい 本件市道の通行による沿線集落の住民生活への影響を回避しつつ,県道改良事業のために本件市道を通行止めにした場合の住民生活への影響や砂利選別場等の営業上の支障を防止するため,現に大型車両等が通行している佐喜浜川の河川敷に本件暫定道路を設置することには,十分な必要性があるといえる。 これに対し,原告は,本件暫定道路は,採石事業者等が,何らの許可を受けることなく,その工場へ通行できるようにするため,佐喜浜川の河川敷を不法に占拠し,違法に建造していた私設道路について,これを室戸市が承認して設置されたものであるから,その設置が一般市民の公共の利益を図るとはいい難い旨主張するが,仮に,原告の主張するとおり,採石事業者等が,何らの許可を受けることなく,その工場へ通行できるようにするため,佐喜浜川の河川敷を不法に占拠し,違法に私設道路を建造していたとの事情があったとしても,上記の認定事実等にかんがみれば,室戸市が,その私設道路の違法性を黙認して単に事後追認したわけではなく,前記認定の本件暫定道路設置の必要性を考慮して,本件暫定道路を設置したものと推認されるし,そのような本件暫定道路設置前の私設道路が違法であるとの事情から,直ちに,上記のような,大型車両等の本件市道の通行による沿線集落の住民生活への影響を回避することや,県道改良事業のために本件市道を通行止めにした場合の影響等を防止することについて,その必要性が失われるものではないから,原告の主張は,これを採用することができない。 (3) 次に,前記第2の2の争いのない事実等に証拠(甲9,10,乙1,2,6ないし13)及び弁論の全趣旨を総合すれば,室戸市長Aは,平成13年8月22日付けで,高知県知事に対し,本件暫定道路設置工事のため,佐喜浜川の河川区域内における,河川法24条による土地の占用,同法26条による工作物 弁論の全趣旨を総合すれば,室戸市長Aは,平成13年8月22日付けで,高知県知事に対し,本件暫定道路設置工事のため,佐喜浜川の河川区域内における,河川法24条による土地の占用,同法26条による工作物の新築,同法27条による河床掘削及び掘削土石の敷き均しについて,本件許可申請をし,平成14年3月12日付けで,高知県知事に対し,本件許可申請について,本件暫定道路設置予定路線の一部に存在する土地の地権者から使用承諾が得られないこと等を理由として,一部路線を変更するなどの内容の本件変更許可申請をしたところ,同年3月27日付けで,本件許可申請及び本件変更許可申請についての本件河川法許可を受けたこと,本件許可申請は,50年確率規模の流量で佐喜浜川の水量を評価するなどして水利計算を行い,治水上の対策を検討した上でされたこと,高知県知事は,本件河川法許可に当たり,河川管理者として,洪水等による災害の発生を防止すべく,河川法の許可基準に従って,本件暫定道路の設置に伴う治水対策を検討した結果,その対策としての流下断面の確保のための河床掘削及び掘削土石の敷き均しについて,その場所,面積及び体積を定めるとともに,河床掘削部の維持管理を適切に行うことを許可条件として付加したこと,本件暫定道路は,平成15年5月の2度の大雨により被災し,その一部が流失したところ,その大雨は,室戸市αの雨量観測所における確率日雨量によると約20年に一度の確率で出現した集中豪雨であり,その際,本件暫定道路のやや下流のακ地区の堤防護岸も被災したこと,しかしながら,本件暫定道路の設置後に,その影響によって,佐喜浜川の堤防が決壊するなどして洪水等が発生するなどの事態は起きていないこと,などの事実が認められる。これらの事実等に照らせば,本件暫定道路は,佐喜浜川の河川管理者である高知県知事が,治水対策も ,佐喜浜川の堤防が決壊するなどして洪水等が発生するなどの事態は起きていないこと,などの事実が認められる。これらの事実等に照らせば,本件暫定道路は,佐喜浜川の河川管理者である高知県知事が,治水対策も検討した上で本件河川法許可を与えたものであり,その裁量を逸脱することが明らかであるか,その許可が取り消されない限り,その判断は適法であるとみるのが相当というべきであって,そのような事情が認められない本件においては,河川法24条,26条及び27条の許可基準をいずれも満たすものと推認される。 なお,原告は,本件河川法許可における本件暫定道路設置のための占用期間は許可日から平成18年6月30日までとなっているものの,県道改良事業は,高知県の財政事情,用地取得の困難性等から現在も全く進捗しておらず,近い将来もはっきりした見通しもない状況であるから本件暫定道路の設置は無期間で恒久的なものとなる可能性が高く,河川法24条に反するというべきである旨主張する。しかしながら,そもそも単に漠然と本件暫定道路の設置が無期間で恒久的なものとなる可能性が高いというだけで,河川法に反するとはいえない上,本件においては,前記第2の2の争いのない事実等に証拠(乙16ないし18)及び弁論の全趣旨を総合すると,県道ι線についての県道改良事業は,その工期は平成14年度から平成18年度までと予定されており,平成15年12月17日の時点において,大部分の用地買収が済んでおり,同年12月20日から平成16年3月10日までを工期とした一部工事が施工され,他の工事についても近日施行予定であること,などの事実が認められ,これらの事実等に照らせば,本件暫定道路の設置が無期間で恒久的なものとなる可能性が高いということもなく,原告の主張はこれを採用することができない についても近日施行予定であること,などの事実が認められ,これらの事実等に照らせば,本件暫定道路の設置が無期間で恒久的なものとなる可能性が高いということもなく,原告の主張はこれを採用することができない。 (4) さらに,前記第2の2の争いのない事実に証拠(甲9,10,乙6ないし10)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件暫定道路は,道路法29条の一般原則を受けた同法30条に基づく道路構造令に基づいて計画,設計がされたのであり,盛土により道路を構築する場合の指針である社団法人日本道路協会発行の「道路土工のり面工・斜面安定工指針」の基準を満たしていること,本件暫定道路は平成15年5月の2度の大雨により被災し,その一部が流失したところ,その大雨は,同月14日の日雨量が544㎜,同月30日から31日までの雨量が617㎜であって,室戸市αの雨量観測所における確率日雨量によると約20年に一度の確率で出現した集中豪雨であり,その際,本件暫定道路のやや下流のακ地区の堤防護岸も被災したこと,などの事実が認められる。なお,原告は,本件暫定道路が,普通の雨でも各所で穴が空いて崩壊している旨を主張するが,前記認定のとおり,確率日雨量計算値上,約20年に一度の確率で出現した集中豪雨によって,本件暫定道路の一部が流失した他は,本件全証拠によっても,そのような記録的雨量よりも少ない雨量で本件暫定道路が流失したと認めるに足りる証拠は存在しない。したがって,これらの認定事実等に照らせば,本件暫定道路は,20年に一度の確率で出現するような記録的集中豪雨の様な特段の大雨がない限り,道路としての使用に耐えうる構造を有しているものということはできる。もっとも,上記のような平成15年5月の2度の集中豪雨は,佐喜浜川周辺における過去の統計上は約20年に一度の確率で出現するとはいうも 道路としての使用に耐えうる構造を有しているものということはできる。もっとも,上記のような平成15年5月の2度の集中豪雨は,佐喜浜川周辺における過去の統計上は約20年に一度の確率で出現するとはいうものの,現に同月に2度も発生したのであるし,一般に室戸市が日本有数の豪雨地帯であることなどにかんがみれば,相当の雨量をもたらす豪雨が統計上の確率以上の頻度である可能性も否定できず,そのような豪雨があった場合には,本件暫定道路が被災し,流失するおそれもないとはいい難い以上,本件暫定道路は,その道路としての構造上,安全性に全く問題がないわけではない。しかしながら,道路法上,本件市道及び本件暫定道路の管理を行う責務を負っている室戸市がいかなる方法によってその整備を行うかについては一定の裁量が認められるというべきところ,前記(2)に説示のとおり,室戸市が,高知県による県道改良事業の完成までの暫定的な対応として,大型車両等の本件市道の通行による沿線集落の住民生活への影響を回避しつつ,県道改良事業のために本件市道を通行止めにした場合の住民生活への影響や砂利選別場等の営業上の支障を防止するため,現に大型車両等が通行している佐喜浜川の河川敷に本件暫定道路を設置することには,十分なページ(4)必要性があることに加えて,佐喜浜川の河川敷という特殊な立地条件や,本件暫定道路があくまで県道改良事業の完成するまでの間の暫定的なものであること,室戸市は,本件暫定道路を将来的に維持修繕すべき責務を負っていることなども併せ考慮した場合には,本件暫定道路の設置自体がその裁量を逸脱するとまでいうことはできない。 (5) 以上の(1)ないし(4)の認定説示にかんがみれば,本件暫定道路の設置のための本件支出負担行為には,手続的にも実体的にも,これを違法といわなければならないような瑕疵は存在 ことはできない。 (5) 以上の(1)ないし(4)の認定説示にかんがみれば,本件暫定道路の設置のための本件支出負担行為には,手続的にも実体的にも,これを違法といわなければならないような瑕疵は存在しないから,本件支出負担行為は適法に行われたものと認められる。 3 結論よって,原告の本件請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 高知地方裁判所民事部 裁判長裁判官新谷晋司裁判官徳増誠一裁判官野中高広ページ(5)
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