【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人B弁護人片山通夫の上告趣意について。 原審は論旨所論の通り「被告人が、Aから同人及び原審相被告人C外一名共謀の
主文本件上告を棄却する。 理由被告人B弁護人片山通夫の上告趣意について。 原審は論旨所論の通り「被告人が、Aから同人及び原審相被告人C外一名共謀の上窃取した「しらす」漁業用袋網二張を、その賍物であることを知りながら代金一万円で買受けた」との事実を認定して、賍物故買罪に問擬処断したのであるが、この原審の事実認定は、原判決挙示の証拠に照らし首肯するに難くないのである。論旨は本件賍物が三名共謀して窃取したものであるとすれば、たとえ事実上A一人で売却行為をしたとしても、それはAが他の二名の委任を受けその代理人たる資格をも兼ねて行動したものとみるべきであるから、法律上は共犯者三名の売却行為と認定するのが実験法則の命ずるところであると主張するのである。しかし、窃盗犯人は窃盗行為により賍物の上に法律上正当にこれを処分し得る権限を取得する筈がないのであるから、その賍物を他に売却するに当つても、それは唯単に売買の形式をとるだけのことであつて、少くとも犯人自身の立場においては、むしろ事実上の処分たるにすぎない。従つて共犯者中の一人が、賍物を売却する場合においても、論旨の主張するように、他の共犯者から処分の承諾を得るとか或はその委任を受けるとかする必要は、法律上毫末も存在しないのであり、又実際において単独専断でこれが処分をなすことも往々存在する事例なのである。されば、原審が前説示の如く判示証拠にもとづいて、A単独の処分であることを認定したからというて、この事実認定を目して法理に背き実験則に反するものであると非難することはできない。 又原審が右の事実を認定し得ると思料した以上、論旨の主張するような窃盗共犯者相互間における委任の有無その他の関係は、本件賍物罪の成否並びに所断に関し何等消長を来すべき事項ではないので とはできない。 又原審が右の事実を認定し得ると思料した以上、論旨の主張するような窃盗共犯者相互間における委任の有無その他の関係は、本件賍物罪の成否並びに所断に関し何等消長を来すべき事項ではないのであるから、原審がそれらの点につき審理しなか- 1 -つたのは、むしろ当然であり審理不尽を以て論ずべき限りでない。思うに、刑法第二五七条第一項の法意は、同条項所定の関係あるものの問においては、賍物に関する犯罪につき、それらのものに対して刑を科するのは情誼上苛酷に失するとしたに過ぎないのである。従つて窃盗本犯の共犯者中に、たとえ賍物罪の犯人と同条項所定の関係に立つものがいたとしても、そのものが賍物罪に関与していない場合にあつては、同条項を適用して刑を免除すべきものではない。この事は同条第二項において、親族関係のない賍物罪の共犯者に対して、前項の例を用うべきでない旨規定していることに徴しても明白なのである。 以上説示の通り、原判決には所論のような違法はなく、論旨は結局独自の見地に立つて、正当な原判決を非難するに過ぎないものであつて採用に値しない。 よつて刑訴第四四六条に従い主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官安平政吉関与昭和二三年五月六日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩松三郎裁判官沢田竹治郎裁判官斎藤悠輔- 2 -
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