主文 1 被告が、原告に対してした別表記載の各軽油引取税決定処分及び不申告加算金賦課決定処分のうち、別紙「認容部分一覧表」記載の部分をいずれも取り消す。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(参加に係る費用を含む。)はこれを5分し、その4を原告の、その余を被告の各負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が、原告に対してした別表記載の各軽油引取税決定処分及び不申告加算金の各賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要本件は、被告が原告に対してした軽油引取税決定処分及び不申告加算金賦課決定処分を不服とする原告が、「上記処分は、原告が販売したガイアックスという名称の自動車用燃料が、地方税法700条の3第3項所定の炭化水素油(そのうち、「炭化水素とその他の物との混合物」)に当たることを前提とするものであるところ、ガイアックスは上記炭化水素油には当たらず、したがって、上記処分は違法である。」などと主張して、その取消しを求める事案である。 1 法令の定め地方税法700条の2第1項1号は、「軽油」とは、「温度15度において0・8017をこえ、0・8762に達するまでの比重を有する炭化水素油をいい、政令で定める規格の炭化水素油を含まないものとする。」と定め、同条の3第1項において、軽油引取税は、特約業者又は元売業者からの軽油の引取りで当該引取りに係る軽油の現実の納入を伴うものに対し、その数量を課税標準として、当該軽油の納入地所在の道府県において、その引取りを行う者に課する旨を定めている。 また、同条の3第3項は、軽油引取税は、上記の場合のほか、「特約業者又は元売業者が炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。以下同じ。)で軽油又 3項は、軽油引取税は、上記の場合のほか、「特約業者又は元売業者が炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。以下同じ。)で軽油又は揮発油(揮発油税法2条1号に規定する揮発油(同法6条において揮発油とみなされるものを含む。)をいう。以下同じ。)以外のもの(同法16条又は16条の2に規定する揮発油のうち灯油に該当するものを含む。以下本節において『燃料炭化水素油』という。)を自動車の内燃機関の燃料として販売した場合においては」、その販売量を課税標準として、当該特約業者又は元売業者の事業所所在の道府県において、当該特約業者又は元売業者に課する旨を、同条の3第4項は、軽油引取税は、以上の場合のほか、特約業者又は元売業者以外の石油製品の販売業者(以下「石油製品販売業者」という。)が、軽油に軽油以外の炭化水素油を混和し若しくは軽油以外の炭化水素油と軽油以外の炭化水素油を混和して製造された軽油を販売した場合又は燃料炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として販売した場合においては、その販売量を課税標準として、当該石油製品販売業者の事業所所在の道府県において、当該石油製品販売業者に課する旨を、同条の3第5項は、軽油引取税は、以上の場合のほか、自動車の保有者が炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合においては、当該炭化水素油の消費に対し、消費量(ただし、既に軽油引取税又は揮発油税が課され、又は課されるべき軽油、燃料炭化水素油、揮発油の量を控除した量)を課税標準として、当該自動車の主たる定置場所所在の道府県において、当該自動車の保有者に課する旨を、それぞれ定めている(なお、以下においては、地方税法700条の3第3項を「本件規定」といい、同条の3第3項ないし第5項を併せて「本件規定 置場所所在の道府県において、当該自動車の保有者に課する旨を、それぞれ定めている(なお、以下においては、地方税法700条の3第3項を「本件規定」といい、同条の3第3項ないし第5項を併せて「本件規定等」ということがある。)。 地方税法2条2項は、この法律中道府県に関する規定は都に準用すると規定し、また、同法735条1項は、都も目的税としての軽油引取税を課することができると規定している。 2 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、証拠上容易に認めることができる(証拠によって認めた事実は、認定事実の後に該当証拠をかっこ書きする。)。 1)当事者(1) 原告は、石油製品の仕入れ、販売、自動車部品、用品の販売及び管理等を目的とする会社であり、東京都あきる野市ab-c-d所在の「オートイン睦橋」、東京都青梅市ef-g-h所在の「オートイン大門」、東京都福生市ij-k-l所在の「オートイン加美平」(以下、まとめて「本件3店舗」といい、個別的に示すときは、その名称を用いて「オートイン睦橋」などという。)は、いずれも、原告が、ガイアックスという名称の自動車用燃料(以下「本件燃料」という。)の販売を主たる目的として経営する販売店である。 (2) 被告は、東京都の1機関であり、東京都都税条例4条の3に基づき、東京都知事から多摩地区における軽油引取税等に関する課税処分権限を委任されている。 2)本件燃料本件燃料は、ガイアエナジー株式会社が平成11年1月ころから販売し始めたもので、天然ガスなどが原料であって炭化水素化合物とアルコール系化合物等を成分とし、1気圧において温度15度で液状を呈するが、比重は軽油よりも軽くガソリンと同程度であって、炭化水素化合物の含有割合は50%に達しておらず、被告が平成12年2月23日に、本件3店舗から採取したものにつ 1気圧において温度15度で液状を呈するが、比重は軽油よりも軽くガソリンと同程度であって、炭化水素化合物の含有割合は50%に達しておらず、被告が平成12年2月23日に、本件3店舗から採取したものについての炭化水素化合物の含有割合は、それぞれ46・8%(オートイン睦橋分)、45・9%(オートイン大門分)、46・7%(オートイン加美平分)であり、同年6月15日に再度採取したものについての含有割合は、33・7%(オートイン睦橋、オートイン大門分)、33・8%(オートイン加美平分)であった(甲37、71、乙1、2の各1ないし3)。 3)課税処分と審査請求前置(1) 原告は、本件燃料は軽油引取税の課税対象となる軽油にも、燃料炭化水素油にも当たらないとの見解の下に、本件燃料の販売や自己使用について軽油引取税の申告を行わなかったところ、被告は、本件燃料は、本件規定所定の「炭化水素油」に含まれるべき「炭化水素とその他の物との混合物」に当たり、軽油引取税の課税対象になるとの見解の下に、地方税法700条の3第4項(本件3店舗における販売分)及び第5項(原告が保有する自動車の燃料として消費した分)に基づき、別表記載のとおり、平成12年3月及び4月の販売量(自己消費量を含む。以下同じ。)に対し平成12年6月30日、同年5月の販売量に対し同年8月4日、同年6月の販売量に対し同年9月29日、それぞれ軽油引取税決定処分及び不申告加算金賦課決定処分(以下、これらを併せて「本件各処分」という。)を行った。 (2) 原告は、被告の直近上級庁である東京都知事に対し、別表記載のとおり、審査請求を行ったが、東京都知事は、平成13年3月29日、原告の審査請求をいずれも棄却したため、同年5月28日、本訴を提起した。 4)なお、本件で問題となっている平成12年3月ないし6月(以下「本 審査請求を行ったが、東京都知事は、平成13年3月29日、原告の審査請求をいずれも棄却したため、同年5月28日、本訴を提起した。 4)なお、本件で問題となっている平成12年3月ないし6月(以下「本件期間」という。)における本件燃料の販売量の中には、軽自動車、二輪自動車、原動機付自転車用の燃料として販売されたものも含まれているところ、本件期間中における本件燃料の全販売量と、このうち、軽自動車、二輪自動車、原動機付き自転車用の販売量は、それぞれ、別紙「本件燃料の販売量一覧表」に記載のとおりであった(甲64)。 第3 争点と争点に関する当事者双方の主張本件の争点は、①本件規定等は租税法律主義(課税要件明確主義)に違反し、無効であるかどうか、②本件燃料は、本件規定所定の「炭化水素油」に当たるかどうか、具体的には、本件規定が定める「炭化水素とその他の物との混合物」には、炭化水素化合物の含有割合が50%に満たない本件燃料も含まれるのかどうか(争点②の1)、仮に「炭化水素とその他の物との混合物」に本件燃料が含まれるとしても、課税標準量の算定に当たっては、本件燃料の販売量全部ではなく、その中に含まれた炭化水素化合物の量に応じた算定をすべきかどうか(争点②の2)、③本件規定等にいう「自動車」には、軽四自動車、二輪自動車も含まれるのか、④本件各処分は信義則に違反するかどうかの5点であり、これらの点に関する当事者双方の主張は次のとおりである。 1 租税法律主義違反の有無(争点①)1)原告地方税法の軽油引取税に関する課税規定は、その対象となる「炭化水素油」について定義を置いておらず、その結果、本件規定の「炭化水素とその他の物との混合物」の概念もあいまいとなっている。更に、本件規定等は、軽油等を「自動車の内燃機関の燃料」として販売した場合や消費した場合 いて定義を置いておらず、その結果、本件規定の「炭化水素とその他の物との混合物」の概念もあいまいとなっている。更に、本件規定等は、軽油等を「自動車の内燃機関の燃料」として販売した場合や消費した場合に課税をする旨を定めているが、ここでいう「自動車」についても定義規定を置いていないため、自動車の概念もあいまいとなっている。このようなあいまいな課税要件を定めることは、憲法83条、84条が定める租税法律主義(課税要件明確主義)に違反するものであるから、本件規定等は、違憲、無効というべきである。 2)被告原告が問題としている「炭化水素油」、「炭化水素とその他の物との混合物」、「自動車」の概念は、合理的な解釈によって十分にその内容を把握することが可能であり(このことは、2、4項において主張するとおりである。)、本件規定等は租税法律主義に違反するものではない。 2 「炭化水素とその他の物との混合物」の意義について(争点②の1)1)被告及び参加人本件規定所定の「炭化水素とその他の物との混合物」は、炭化水素化合物とその他の化合物が混合されたものを広く意味するのであって、炭化水素化合物の含有割合が50%を超えるものに限られるものではなく、本件燃料のように、炭化水素化合物の含有割合が50%に満たないものもこれに含まれるものである。その理由は、次のとおりである。 (1) 本件規定は、「炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。)」で軽油又は揮発油以外のものを「燃料炭化水素油」と名付け、これを軽油引取税の課税対象とする旨を定めている。そして、この規定のうち、「炭化水素とその他の物との混合物」との文言は、炭化水素化合物の含有割合を何ら定めているわけではないのであるから、炭化水素化合物が含 油引取税の課税対象とする旨を定めている。そして、この規定のうち、「炭化水素とその他の物との混合物」との文言は、炭化水素化合物の含有割合を何ら定めているわけではないのであるから、炭化水素化合物が含まれていれば、その含有割合を問わず、これに当たることを定めたものと解すべきである。 原告は、特定の物質の含有割合を定めたいくつかの立法例を根拠として、「含有割合を定めていない規定は、当該物質を主成分とする(すなわち、その含有割合が50%を超える)ことを定めたものと解すべきである。」という趣旨の主張をしているが、このような解釈に根拠があるものとはいえず、むしろ、原告主張の立法例は、特定の物質の含有割合を限定する必要があったからこそ含有割合を定めたのにすぎないものというべきであって、原告の主張を根拠付けるものではない。 また、地方税法700条の2第1項1号は、軽油の定義として、「温度15度において0・8017をこえ、0・8762に達するまでの比重を有する炭化水素油」との規定を置いているところ、この「炭化水素油」については定義規定がないため、その文言に従った理解をすれば、炭化水素の油、すなわち、炭化水素化合物を主成分とする油を指すものと解すべきこととなる。このことを前提として考えると、仮に本件規定にいう「炭化水素とその他の物との混合物」が、炭化水素化合物を主成分とするもののみを指すのであれば、これは、上記の炭化水素油の定義を繰り返したのにすぎず、無意味な規定ということにならざるを得ないが、このような無意味な規定が設けられたと解するのは不自然であり、むしろ、炭化水素油の概念を拡張し、炭化水素化合物を主成分としない混合物をも含めるために、「炭化水素とその他の物との混合物」を含むとのかっこ書が設けられたと解するのが素直な解釈である。 (2) 以上のよう 炭化水素油の概念を拡張し、炭化水素化合物を主成分としない混合物をも含めるために、「炭化水素とその他の物との混合物」を含むとのかっこ書が設けられたと解するのが素直な解釈である。 (2) 以上のような解釈は、本件規定の立法経過からも裏付けることができる。 すなわち、「(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。)」というかっこ書の規定は、昭和45年法律第24号による地方税法の改正(以下「昭和45年改正」という。)によって新設されたものであり、この改正以前に軽油引取税の課税対象となっていたのは「炭化水素油」のみであった。そうしたところ、炭化水素油にメタノール等の炭化水素化合物以外のものを相当量混入した燃料が出回るようになったため、これに対する課税のあり方が問題とされるようになり、地方税法の所管官庁である自治省(当時。以下同じ。)は、昭和44年10月6日付け内かん(甲19)によって、「自動車の内燃機関の燃料として消費された炭化水素油に混和されている炭化水素化合物以外の物の重量の当該重量に対する割合が0・05に満たない場合には、当該燃料の全量に対して課税することとし、当該割合が0・05以上の場合には、当該混和されている炭化水素化合物以外の物の量を除き、その残量に対して課税するものとする。」との方針を一応打ち出したものの、他方で、「炭化水素化合物以外の物の混入量が多量である燃料に対する取扱いを含め総合的に課税の方針を定める必要があり、目下この点について検討中の次第であります。」(同年5月23日付け内かん。甲18)とも述べていた。昭和45年改正は、「炭化水素化合物以外の物の混入量が多量である燃料」に対しても、軽油引取税の課税を可能とすることを目的として行われたのであり、このことは、同改正に け内かん。甲18)とも述べていた。昭和45年改正は、「炭化水素化合物以外の物の混入量が多量である燃料」に対しても、軽油引取税の課税を可能とすることを目的として行われたのであり、このことは、同改正に関する国会審議の経過や、昭和45年改正について説明をした文献(財団法人地方財務協会編集兼発行「昭和45年改正地方税制詳解」、乙14)によっても裏付けることができる。 (3) なお、原告は、昭和47年5月25日自治府第60号自治省府県税課長回答(J・K生照会)を根拠として、「炭化水素とその他の物との混合物」は、行政実例上も、炭化水素を主成分とする物質を指すものと解されていたと主張するが、上記行政実例は、その内容に照らしてみても昭和45年改正前の地方税法の規定の説明をしているものであることが明らかであり、同改正後の法律解釈の参考になるものではない。 2)原告(1) 本件規定は、「炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。)」と規定しているところ、被告が主張するように、上記規定が炭化水素油の概念を拡張しているのであれば、「炭化水素油及び・・・」というような規定の仕方をしなければならない。それにもかかわらず、上記規定が、「炭化水素油」の後にかっこ書の形で説明を付加しているのは、かっこ書に含まれる内容が、炭化水素油の概念に含まれるものであることを前提としているからであり、したがって、かっこ書中の「炭化水素とその他の物との混合物」は、あくまでも炭化水素油の概念に含まれるものの具体的な内容を説明したものというべきである。そして、炭化水素油とは、炭化水素を主成分とする油であることは被告も認めるところなのであるから、「炭化水素とその他の物との混合物」も炭化水素を主成分とするものであると解する したものというべきである。そして、炭化水素油とは、炭化水素を主成分とする油であることは被告も認めるところなのであるから、「炭化水素とその他の物との混合物」も炭化水素を主成分とするものであると解するのが正しい。これに対し、本件燃料は、炭化水素化合物を主たる成分とするものではないから、そもそもこの定義規定に当たらない上、アルコール系成分を主たる成分とする点においてアルコール系燃料というべきものであり、また、その比重の点からすれば、むしろ揮発油に類するものということもでき、いずれにせよ、炭化水素油の概念や、軽油の概念に含まれるものではないことは明らかである。そして、本件燃料は、アルコール系燃料であるところから、CO2、CO、NOx、SOx等の有害物の排出を大幅に削減し、地球環境の保全にも資するものなのであるから、このような燃料に対して根拠のない課税を行うことは、環境保護という観点からも、誤った違法な措置であるといわざるを得ないのである。 また、一般に、「Aとその他の物の混合物」という文言は、Aを主たる成分とする混合物であることを意味するものと解するのが自然な解釈であり、Aを主成分とはしない混合物を含ませる場合には、その旨を明記した規定が置かれるべきものであるし、立法例等においても、そのような取扱いがされている。例えば、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年9月30日労働省令第36号)においては、「有機溶剤又は有機溶剤含有物」の定義として、「有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤を当該混合物の重量の5%を超えて含有するもの」と定義しているのである。したがって、本件規定についても、特別の定めがされていない以上、「炭化水素とその他の物との混合物」とは、炭化水素化合物を主たる成分とするものと解すべきこととなる。 (2) 以上の解釈が正当である る。したがって、本件規定についても、特別の定めがされていない以上、「炭化水素とその他の物との混合物」とは、炭化水素化合物を主たる成分とするものと解すべきこととなる。 (2) 以上の解釈が正当であることは、地方税法の立法経過からも裏付けることができる。 すなわち、地方税法が制定された昭和29年当時は、軽油に対する課税を定める規定しか存在していなかったところ、軽油に灯油を混ぜて自動車燃料として使用する事例が発生したため、昭和33年の地方税法改正により、軽油に灯油を混ぜたものをも課税対象とするために、炭化水素油に対しても課税する旨を定める規定が置かれるようになった。要するに、この昭和33年改正の時点においては、軽油に灯油を混ぜたものを炭化水素油として課税することが定められたのであり、軽油も灯油も、その成分は炭化水素であるところから、炭化水素油とは、炭化水素化合物を混合したもの(したがって、炭化水素化合物以外のものは含まず、また、単一の炭化水素化合物のみによって構成されているものも含まれない。)を意味していたのである。 ところが、その後、「安全燃料」と「コーレス燃料」と呼ばれるものが販売されるようになり、それに対して軽油引取税を課すことができるのかどうかという問題が生じた。すなわち、「安全燃料」は、灯油45%、トルエン50%、メタノール5%程度を混合させた燃料であり、炭化水素化合物以外の物質(メタノール)が含まれていたため、また、「コーレス燃料」は、トルエンを主成分とする物質で単一の炭化水素化合物によって構成されていたため、いずれも上記のような意味での炭化水素油に当たるかどうかが問題となったのである。そこで、これらの問題に対処するために行われたのが昭和45年改正であり、この改正において「炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、 での炭化水素油に当たるかどうかが問題となったのである。そこで、これらの問題に対処するために行われたのが昭和45年改正であり、この改正において「炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。」とのかっこ書が加えられたのは、「炭化水素とその他の物との混合物」によって安全燃料を含め、「単一の炭化水素」によってコーレス燃料を含めることを目的としていたのである。このことは、昭和45年改正に関する国会審議やその後公刊された同改正に関する解説書等によっても裏付けることができる。このような経緯に照らしてみれば、「炭化水素とその他の物との混合物」とは、あくまでも炭化水素化合物を主成分とするものを予定したものであったことは明らかというべきである。 ちなみに、昭和45年改正当時においては、本件燃料のようにアルコール成分の含有率が50%を超える自動車用燃料は世界のどこにも存在しなかったのであり、このことからしても、同改正が、炭化水素化合物を主成分とはしない物質をも想定し、これを課税の対象としていたとは到底考えることはできない。 (3) 以上のような解釈は、地方税法の所管官庁である自治省の見解でもあった。すなわち、昭和47年5月25日自治府第60号自治省府県税課長回答(J・K生照会)(甲10の3。以下「本件行政実例」という。)は、「地方税法において上記の炭化水素油とは、炭素と、水素のみからなる各種の炭化水素化合物を主成分とする混合物で、常温(摂氏15度)、常圧(水銀柱760ミリメートル)において油状をなしているものと解される。」として、炭化水素化合物を主成分とするもののみが軽油引取税の対象となる旨を明言している。 被告及び参加人は、「本件行政実例は、昭和45年改正前のものであって、改正後の地方税法の解釈 のと解される。」として、炭化水素化合物を主成分とするもののみが軽油引取税の対象となる旨を明言している。 被告及び参加人は、「本件行政実例は、昭和45年改正前のものであって、改正後の地方税法の解釈を示したものではない。」と主張しているが、本件行政実例の回答日は昭和47年5月であり、昭和45年改正前の法律に関する行政実例であるとは考えられない。現に、自治省は、本件行政実例が失効したという旨の通知をすることもなく長年放置したばかりか(本件燃料に関する課税問題が発生した後である平成13年10月9日になって初めて、「本件行政実例は昭和45年改正前の規定の解釈を示したものであって、昭和45年改正によって失効している。」という趣旨の事務連絡を行ったにすぎない。乙26)、自治省関係者が編纂した書物である地方税制度研究会編「地方税法規実例判例」という書籍に本件実例を登載し、これが昭和45年改正後も通用する行政実例であるという説明をしてきたのである。更に、平成10年には、京都市が、軽油とバイオディーゼル燃料(使用後回収した天ぷら油にエタノールを加えた燃料)を市バスの燃料として利用することを計画し、京都府に対し、バイオディーゼル燃料に軽油取引税が課税されるのかどうかを問い合わせたところ、京都府からは、本件行政実例を根拠として課税の対象とはならないとの回答がされているのであり、このことも、本件行政実例が、昭和45年改正後も適用されるものとして取り扱われてきたことを裏付けている。 以上のとおり、本件燃料は、「炭化水素とその他の物の混合物」には当たらず、自治省等も、このような正しい法律解釈に立脚した取扱いをしてきたにもかかわらず、本件燃料が普及し始めたことに危機感を抱いた石油業界が本件燃料に対する課税を行うよう自治省に圧力をかけ、それに負けた自治省が、各地方 このような正しい法律解釈に立脚した取扱いをしてきたにもかかわらず、本件燃料が普及し始めたことに危機感を抱いた石油業界が本件燃料に対する課税を行うよう自治省に圧力をかけ、それに負けた自治省が、各地方自治体に軽油引取税の課税を行うよう指導を行い、それに従った被告が本件各処分を行ったというのが実態なのであり、このような行為は到底許されるべきものではない。 3 割合課税の要否について(争点②の2)1)被告本件規定等は、燃料炭化水素油中の炭化水素油分のみではなく、その全量を課税対象とするものである。このことは、その文言上からも明らかであるのみならず、昭和45年改正そのものが、割合課税を否定するために行われたものであることからも裏付けられる。実際問題としても、課税対象となる燃料炭化水素油について、いちいち、炭化水素化合物の含有割合を調査し、その割合に応じた課税をするというのは極めて困難であり、現実的ではなく、このような非現実的な規定がされたとは到底考えることができない。 2)原告仮に「炭化水素とその他の物の混合物」には、炭化水素を主成分としないものが含まれるとしても、軽油引取税の本質が炭化水素に対する課税にあることを考えると、課税標準量の算定に当たっては、混合物の全量を課税対象とするのではなく、そのうち、炭化水素化合物の含有割合に応じた量を課税対象として課税標準量を算出すべきである。本件行政実例も、「炭化水素化合物以外の物が混和されている炭化水素油を自動車の内燃料機関の燃料として消費した場合における軽油引取税については、当該混和されている炭化水素化合物以外の物の量が少量であるときは当該炭化水素油の全量に対して課税することとし、それ以外であるときは当該混和されている炭化水素化合物以外の物に相当する量は課税の対象から除外するものとする。」と定 合物以外の物の量が少量であるときは当該炭化水素油の全量に対して課税することとし、それ以外であるときは当該混和されている炭化水素化合物以外の物に相当する量は課税の対象から除外するものとする。」と定めており、自治省においても、同様の見解に立っていたことが裏付けられる。 したがって、このような割合課税をすることなく、本件燃料の販売量ないし使用量全量を課税標準量とした本件各処分は違法というべきである。 4 自動車の意義について(争点③)1)被告地方税法上、本件規定等にいう「自動車」の概念について定義をした規定は存在しないが、自動車の一般的な意義は、道路運送車両法の規定に基づいて解釈するのが相当であるところ、同法2条2項は、自動車とは、「原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であって、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。」と定めており、これによれば、上記各規定における「自動車」も、上記の意味での「自動車」、すなわち、普通自動車、小型自動車、大型特殊自動車のほか、軽自動車、小型特殊自動車、二輪自動車などをすべて含むものというべきである。 原告は、「地方税法上の『自動車』とは、道路運送車両法4条所定の自動車を意味し、軽自動車、小型特殊自動車、二輪自動車は含まれないものと解すべきである。」という趣旨の主張をしているが、上記規定は、自動車登録の対象となる自動車の範囲を定めたものであるところ、道路に関する費用に充てるための目的税である軽油引取税を課するかどうかを判断するに当たって、道路運送車両法上の自動車登録を必要とする自動車であるかどうかによって区別する理由はなく、上記主張は失当である。 なお、原告は、「地方税法の施行 る軽油引取税を課するかどうかを判断するに当たって、道路運送車両法上の自動車登録を必要とする自動車であるかどうかによって区別する理由はなく、上記主張は失当である。 なお、原告は、「地方税法の施行に関する取扱について」(昭和29年5月13日自乙府発第109号。以下「取扱通知」という。乙9)には、「自動車とは、道路運送車両法第4条に規定する登録を受けた自動車をいうものであること。」と記載されており、原告の主張は立法者意思にも合致しているという趣旨の主張もしているが、取扱通知の趣旨は、地方税法700条の3第5項の自動車の保有者が炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合に、当該自動車を道路において運行の用に供するために消費した場合に限って課税していることとの均衡上、自動車であってもサーキット場内や試験研究施設など一般交通の用に供しない場所で使用するものに供する炭化水素油の販売についてまで軽油引取税を課さないことを例示的に示したのにとどまるものと解される。したがって、取扱通知の記載は、原告の主張の根拠となるものではない。 2)原告軽油は、本来、ディーゼルエンジンの燃料として利用されるものであるところ、ディーゼルエンジンを搭載している自動車は、普通自動車、小型自動車、大型自動車がほとんどであり、軽自動車、自動二輪車にはほとんど搭載されていない。このような実態を踏まえると、本件規定等にいう自動車とは、普通自動車、小型自動車、大型自動車を指すものであって、道路運送車両法4条所定の自動車を意味するものと解するのが合理的である。 そして、このような解釈は、地方税法の所管官庁である自治省の見解と合致しており、このことは、原告の主張はまさに立法者意思に合致するものであったことを示している。すなわち、地方税法施行後まもなく発せられた取扱通知に うな解釈は、地方税法の所管官庁である自治省の見解と合致しており、このことは、原告の主張はまさに立法者意思に合致するものであったことを示している。すなわち、地方税法施行後まもなく発せられた取扱通知には、「自動車とは、道路運送車両法に規定する登録を受けた自動車を言うものである。」という趣旨の記載があり、その後、昭和33年5月、同36年11月に、自動車とは道路運送車両法2条所定の自動車を意味するという趣旨の自治省担当者の見解が発表されたことはあったものの、その後は一貫して、自動車とは道路運送車両法4条所定の自動車を意味するとの見解が発表され続け(甲13、59、60参照。)、地方自治体においても、4条説に基づく運用が行われてきたのである。本件燃料の課税問題が発生した後である平成13年4月に至って、自動車とは道路運送車両法2条所定の自動車を意味するとの見解が発表されるに至り(甲61)、突然の解釈変更がされたのであるが(被告は、解釈の変更ではないという趣旨の主張をしているが、その説明内容は到底納得できるものではない。)、このような解釈変更に合理的な理由はなく、本件燃料に対する課税を正当化するために、本来の正しい解釈を歪めたものとしか考えられない。 5 信義則違反の有無について(争点④)1)原告仮に以上の主張が認められないとしても、本件各処分は信義則に違反し違法というべきである。 すなわち、本件規定等における「炭化水素とその他の物との混合物」の意義や、自動車の概念については、地方税法の所管官庁である自治省自身が、長年にわたって「炭化水素化合物を主成分とするものである。」とか「道路運送車両法4条所定の自動車を意味する。」という解釈を公にし、地方自治体においても、これに基づいた運用がされてきた。だからこそ、京都市のバイオディーゼル燃料に対しては軽 とするものである。」とか「道路運送車両法4条所定の自動車を意味する。」という解釈を公にし、地方自治体においても、これに基づいた運用がされてきた。だからこそ、京都市のバイオディーゼル燃料に対しては軽油引取税を課さないという運用が行われたのであるし、M85という名称の燃料については、炭化水素化合物が含まれている(含有率は、0・3ないし0・9%)にもかかわらず、現在に至っても課税がされていない。また、軽自動車や二輪自動車用の燃料販売等に対しても、課税がされないという運用が長年にわたって行われていた。 原告は、このような状況を踏まえ、本件燃料に対しては課税がされないものと信頼をした。しかも、原告は、本件燃料の取扱いを始める前である平成11年3月に、3回にわたって東京都軽油引取税課を訪問し、本件燃料に対して軽油引取税が課税されるのかどうかを確認していたにもかかわらず、東京都の課税担当者からは、課税がされるという回答はされなかったため、本件燃料に対する課税はないものと確信したのである。このような状況にあったにもかかわらず、石油業界の圧力に屈した自治省が、従来の態度を一変させて本件規定等の解釈を変更し、本件燃料に対して課税を行わせるという方針を打ち出し、被告においても、この方針に従って本件各処分を行ったというのが実態であり、これは、課税庁の対応に対する原告の信頼を裏切り、かつ、課税がされないとの前提で行われていた原告の販売活動の前提を覆し、重大な経済的損害を与えるものであって、信義則に違反する違法な行為であるといわなければならない。 なお、このような自治省の態度変更は、地方自治体をも混乱に陥れており、本件燃料に対する課税を行うかどうか、また、課税を行うとしても、軽自動車、二輪自動車用の販売等に対しても課税を行うのかどうかなどといった点に差異が生 治省の態度変更は、地方自治体をも混乱に陥れており、本件燃料に対する課税を行うかどうか、また、課税を行うとしても、軽自動車、二輪自動車用の販売等に対しても課税を行うのかどうかなどといった点に差異が生じ、不平等状態が生じているのであって、この点からしても、本件各処分が信義則に違反するものであることは明らかである。 2)被告原告の主張は争う。 第4 争点に対する判断 1 租税法律主義違反の主張について(争点①)原告は、本件規定における「炭化水素その他の物との混合物」の概念や、本件規定等における「自動車」の概念はあいまいであるから、租税法律主義(課税要件明確主義)に違反すると主張するところ、たしかに、これらの概念の内容を明確に定めた定義規定は置かれていないものの、2項ないし4項において説示するとおり、これらの規定の内容は、合理的な解釈によって確定することが可能であり、その内容があいまいであるとはいえない。したがって、この点に関する原告の主張は失当である。 2 「炭化水素とその他の物との混合物」の意義について(争点②の1)1)本件規定は、「炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。)」で軽油又は揮発油以外のものを軽油引取税の課税対象とする旨を定めているところ、ここでいう「炭化水素とその他の物との混合物」について、原告は、炭化水素化合物を主成分とする物質であることを要すると主張し、被告は、炭化水素化合物が含まれていれば足り、それが主成分である必要はないと主張している。 そこで検討するに、本件規定は、「炭化水素とその他の物との混合物」と規定しているのにとどまり、その混合割合については何ら限定しているわけではないのであるから、これを常識的に理解する限り、この規定から直ちに炭化 するに、本件規定は、「炭化水素とその他の物との混合物」と規定しているのにとどまり、その混合割合については何ら限定しているわけではないのであるから、これを常識的に理解する限り、この規定から直ちに炭化水素化合物が主成分になっている(その含有割合が50%を超える)ことが要求されていると解することはできない。原告は、「Aとその他の物との混合物」という文言は、当然に主成分がAであることを意味するのであって、そうではない場合には、「Aとその他の物との混合物であってAの含有割合が○○%を超えるもの」といった定めがされるべきものであるという趣旨の主張をしているが、同主張は必ずしも常識的な文言の解釈に合致していないというべきである。すなわち、「Aとその他の物との混合物」との文言は、Aとその他の物を混合した物を意味するのにとどまり、それ自体としては、Aが主成分をなすというような意味合いを含むものとはいえないのであるから、Aの含有割合が極めて小さく、「Aとその他の物」を混合したというより、Aが不純物として混入しているにすぎないと評価すべき場合は別として、Aの含有割合が一定程度に達していれば、これを「Aとその他の物との混合物」に当たると解することには何ら差し支えがないものというべきである。原告が指摘している立法例も、特定の物質の含有割合を一定範囲に限定する必要があるところから、その含有割合が特定されているものと解されるのであって、原告のような解釈を前提とした規定であるということはできない。 また、地方税法700条の2第1項1号は、軽油の定義として、「温度15度において0・8017をこえ、0・8762に達するまでの比重を有する炭化水素油」との規定を置いているところ、この「炭化水素油」については定義規定がないため、その文言どおりに解釈すれば、「炭化水素油」とは いて0・8017をこえ、0・8762に達するまでの比重を有する炭化水素油」との規定を置いているところ、この「炭化水素油」については定義規定がないため、その文言どおりに解釈すれば、「炭化水素油」とは、炭化水素の油、すなわち、炭化水素化合物を主成分とする油を指すものと解される。このことを前提とすると、仮に「炭化水素とその他の物との混合物」が炭化水素化合物を主成分とする混合物を意味するのであるとすると、かっこ書でこの文言を付加した意味が全くなくなることになり、この点からしても、原告の主張は失当であるといわざるを得ない。原告は、「炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、1気圧において温度15度で液状であるものを含む。)」との文言は、あくまでも対象が炭化水素油であることを前提とし、かっこ書の中で、その具体的な内容を説明しているものであって、かっこ書の記載が炭化水素油の概念を拡張するようなことはあり得ないという趣旨の主張もしているが、「A(Bを含む。)」という文言が、必ずしもAの概念には含まれないBをも含むことを意味する用語として用いられることはよくあることであり、上記主張は独自の解釈といわざるを得ない。 以上のように検討していくと、「炭化水素その他の物との混合物」は、炭化水素化合物を主成分とするものに限らず、炭化水素化合物とその他の物を混合した物質を広く指すものと解するのが素直な解釈というべきであり、これによれば、本件燃料も「炭化水素とその他の物との混合物」に当たるものと解される。 なお、原告は、「本件燃料は、揮発油やアルコール系燃料に属するものであって、軽油類似物には当たらない。」という趣旨の主張もしているが、上記のとおり、本件規定は、「炭化水素とその他の物との混合物」で1気圧において温度15度で液状であるものであれ 系燃料に属するものであって、軽油類似物には当たらない。」という趣旨の主張もしているが、上記のとおり、本件規定は、「炭化水素とその他の物との混合物」で1気圧において温度15度で液状であるものであれば、その比重にかかわらず、これを軽油引取税の対象とすることを定めたものと解されるのであって、このことは当該燃料がアルコール系燃料等に属するものであるかどうかによって左右されるものではないといわざるを得ないのであるから、上記主張を採用することはできない。また、原告は、「本件燃料は、CO2、CO、NOx、SOx等の有害排出物を大幅に削減させ、環境保全に資するものなのであるから、このような燃料に対して根拠のない課税をすることは違法である。」という趣旨の主張もするが、本件燃料が軽油引取税の課税対象になるものと解されることは上記のとおりであり、また、環境保全の観点から、一定の燃料に対して課税の免除又は軽減措置を採るかどうかは立法政策の問題であるといわざるを得ないのであるから、この主張も失当といわざるを得ない。 2)原告は、本件規定の立法経過に照らし、上記文言は、炭化水素化合物を主成分とするものを意味するものと解すべきであるとの主張もしている。 この点について検討するに、証拠(甲9、14、17ないし20、乙12、13、20、26、27ないし29、35、36、丙9)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。 (1) 軽油引取税制度は、昭和31年の地方税法改正(同年法律第81号)によって導入されたものであるが、この時点においては、「軽油引取税は、特約業者又は元売業者からの軽油の引取(特約業者の元売業者からの引取及び元売業者又は特約業者からの引取を除く。)に対し、容量を課税標準として、当該特約業者又は元売業者の営業所所在の道府県において、その引取を は元売業者からの軽油の引取(特約業者の元売業者からの引取及び元売業者又は特約業者からの引取を除く。)に対し、容量を課税標準として、当該特約業者又は元売業者の営業所所在の道府県において、その引取を行う者に課税する。」(同改正後の地方税法700条の3)と定められ、軽油の引取のみが課税の対象とされていた。そして、ここでいう「軽油」とは、「摂氏15度において0・8017をこえ、0・8762に達するまでの比重を有する炭化水素油をいい、政令で定める規格の炭化水素油を含まないものとする。」とされており(同改正後の地方税法700条の2第1項1号)、ここでいう「炭化水素油」について、法令上の定義はなかったものの、「地方税法及び同法施行に関する取扱についての依命通達(道府県税関係)」(昭和29年5月13日自乙府発第109号各道府県知事宛自治庁次長通達。以下、上記通達を「取扱通達」という。)においては、「炭化水素油とは、炭素と水素のみからなる各種の炭化水素化合物を主成分とする混合物で、常温(温度15度)、常圧(水銀柱760ミリメートル)において油状をなしているものをいい、単一体の炭化水素化合物(ベンゾール等)、常温、常圧において気状(プロパンを主成分とする液化ガス)、固状又は半固状(パラフイン、ワセリン等)を呈する炭化水素の混合物はこれに含まれないこと。」とされていた(乙13)。 (2) 上記改正後、軽油に軽油以外の炭化水素油(灯油等)を混和したり、軽油以外の炭化水素油(灯油等)に軽油以外の炭化水素油(スピンドル油等)を混和して自動車の燃料として販売し、使用することにより軽油引取税の負担を回避しようとする行為がみられるようになったため、昭和33年の地方税法改正(同年法律第54号)によって、自動車の保有者が軽油及び揮発油以外の炭化水素油を自動車の内燃機関 ことにより軽油引取税の負担を回避しようとする行為がみられるようになったため、昭和33年の地方税法改正(同年法律第54号)によって、自動車の保有者が軽油及び揮発油以外の炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合においては、当該炭化水素油の消費に対し、消費量を課税標準として軽油引取税を課する旨の規定が設けられ(同改正後の700条の3第2項)、更に、昭和36年の地方税法改正(同年法律第74号)によって、特約業者又は元売業者以外の石油製品の販売業者が軽油に軽油以外の炭化水素油を混和し、又は軽油以外の炭化水素油と軽油以外の炭化水素油を混和して製造された軽油を販売した場合においては、その販売量を課税標準として軽油引取税を課する旨の規定(同改正後の700条の3第2項。なお、同改正により、前述の700条の3第2項の規定は、同第3項に繰り下げられた。)が設けられた。 (3) その後、「安全燃料」と「コーレス燃料」と呼ばれるものが販売されるようになり、それに対して軽油引取税を課すことができるのかどうかという問題が生じた。すなわち、「安全燃料」は、灯油45%、トルエン50%、メタノール5%程度を混合させた燃料であり、炭化水素化合物以外の物質(メタノール)が含まれていたため、また、「コーレス燃料」は、トルエンを主成分とする物質で単一の炭化水素化合物によって構成された燃料であったため、「安全燃料」については、炭化水素化合物を主成分とするものであるかどうかが問題となり、「コーレス燃料」については、単一の炭化水素化合物からなるものであったため、取扱通達上の「単一体の炭化水素化合物・・・はこれに含まれないこと。」という定義との関係が問題とされたものである。 (4) これに対し、地方税法の所管官庁である自治省は、「安全燃料等に対する軽油引取税の取扱いについて 体の炭化水素化合物・・・はこれに含まれないこと。」という定義との関係が問題とされたものである。 (4) これに対し、地方税法の所管官庁である自治省は、「安全燃料等に対する軽油引取税の取扱いについて」(昭和44年5月23日各都道府県税務主管課長あて自治省府県税課長内かん、甲18。以下「5月23日付け内かん」という。)において、各都道府県に対し、「(略)当省においてこれらの燃料のうち市販されている数種類のものについて通商産業省工業技術院に分析試験を依頼した結果、自動車の内燃機関の用に供されているこれらの燃料の大部分は、メタノール等炭化水素化合物以外の混入量が極く少量であり、法700条の3第3項(現行第5項)に規定する炭化水素油の範囲に含まれることがおおむね明らかとなりました。しかしこの種の燃料の範囲に対する軽油引取税の取扱いについては、炭化水素化合物以外のものの混入量が多量である燃料に対する取扱いをも含め総合的に課税の方針を定める必要があり、目下この点について検討中の次第であります。従って、各都道府県においてもおってこれが最終的な取扱方針を通知するまでの間は随時分析試験等を行い諸般の準備を進められるようご連絡いたします。」と通知し、また、同名の通知(昭和44年10月6日各都道府県税務主管課長あて自治省府県税課長内かん、甲19。以下「10月6日付け内かん」という。)において、「自動車の内燃機関の燃料として消費された炭化水素油に混和されている炭化水素化合物以外のものの重量の当該燃料の重量に対する割合が0・05に満たない場合には、当該燃料の全量に対して課税することとし、当該割合が0・05以上の場合には、当該混和されている炭化水素化合物以外の物の量を除き、その残量に対して課税するものとする。」と通知した。 (5) その後、昭和45年の地方税法改正 課税することとし、当該割合が0・05以上の場合には、当該混和されている炭化水素化合物以外の物の量を除き、その残量に対して課税するものとする。」と通知した。 (5) その後、昭和45年の地方税法改正(同年法律第24号)によって、同改正前の地方税法700条の3第3項の「炭化水素油」の後に「(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、温度15度及び1気圧において液状のものを含む。以下同じ。)」というかっこ書を加える改正が行われた(なお、(2)記載のとおり、改正前の地方税法700条の3第3項の規定は、自動車の保有者に対する課税を定めたものであり、昭和45年改正も、自動車の保有者に対する課税における「炭化水素油」の規定に修正を加えたものであった。その後、平成元年法律第14号による地方税法改正によって、本件規定に相当する定めが置かれることとなったものである。)。 そして、同改正法の国会審議における政府委員説明を見ると、第63回国会衆議院地方行政委員会会議録第8号(昭和45年3月19日、乙35)には、D国務大臣の説明として、「軽油引取税につきましては、課税の公平をはかる見地から、自動車の保有者に対して軽油引取税が課される炭化水素油の範囲に炭化水素とその他の物との混合物または単一の炭化水素を含めることといたしました。」との説明があり、その趣旨を更に具体的に説明したものとしては、同会議録第9号(昭和45年3月24日、甲20)におけるE政府委員(自治省税務局長)の説明として、「今回考えましたのは、自動車の保有者におきまして、いわゆる安全燃料あるいはコーレスなるものを使って自動車を走らせる場合において、その自動車の保有者に課税しようとするわけでございます。」との説明が、第63回国会参議院地方行政委員会会議録第13号(昭和45年4月9日、乙36、 ーレスなるものを使って自動車を走らせる場合において、その自動車の保有者に課税しようとするわけでございます。」との説明が、第63回国会参議院地方行政委員会会議録第13号(昭和45年4月9日、乙36、丙9)におけるF説明員(自治省税務局府県税課長)の説明として、「2年前ばかりからこのコーレスの前身と申しますか、安全燃料というのが出回り始めたのでございます。この安全燃料というのが、これが軽油の規格にも該当しない、それから揮発油の規格にも該当しない、半分アルコールがまじっているわけでございます。・・・(中略)・・・そこで、いろいろ政府各省検討いたしまして、アルコール分は無理でございますけれども、アルコールと炭化水素油との混合体でございますと、その炭化水素油の部分だけについて、安全燃料としては軽油引取税を自動車の保有者の段階においてかけるということにいたしまして、昨年の11月からそういう措置をとったわけでございます。そういたしますと、安全燃料というものが揮発油とは、税金がかかりますと太刀打ちできないというようなこともございまして、姿を消しまして、今度はそれに変わってコーレスというトルオールだけでつくった揮発油類似品と申しますか、そういった燃料が出回り始めたということでございます。で、軽油引取税の目的からいたしまして、これは御承知のように目的税でございまして、自動車の運行に使う油であれば全部かけるということでございまして、これらのものはいろいろな形をとっておりますけれども、結局は自動車の燃料になるわけでございますので、そういう観点から、自動車の燃料になるものはすべて自動車保有者の段階においてかけるということにしたわけでございます。」という説明がある。 以上の事実によれば、昭和45年改正は、E政府委員の説明にもあるとおり、安全燃料やコーレス燃料に ものはすべて自動車保有者の段階においてかけるということにしたわけでございます。」という説明がある。 以上の事実によれば、昭和45年改正は、E政府委員の説明にもあるとおり、安全燃料やコーレス燃料に対する課税を確実に行うことを主たる目的として行われたものであるということができるものの、反面、安全燃料については、既に上記改正前から軽油引取税の課税が可能であるとの見解が確立されていたが(10月6日付け内かん)、安全燃料よりも炭化水素化合物の含有量が多量である場合についても検討が必要であるとの問題意識の下に、地方税法の改正作業が行われていたものと考えられること(5月23日付け内かん)や、改正法の国会審議の過程においても、「半分アルコールがまじっている」ものも含めて「自動車の燃料になるものはすべて」課税を行う必要があるとの見解が示されていること(F説明員の説明)などからすれば、昭和45年改正が、専ら安全燃料及びコーレス燃料に対する課税のみを定めたものであって、これらには当たらないものについては課税をしない趣旨であると解することはできないのはもとより、10月6日付け内かんの趣旨とも異なって、炭化水素化合物以外の成分が全体の5%以上を占めるものについても、炭化水素化合物部分にとどまらず、その全量に対して課税する趣旨であったと解するのが相当である。そうだとすると、昭和45年改正の立法経過も、1)で指摘した文言解釈を限定するに足りるものではないというべきである。 また、原告は、「昭和45年改正当時においては、本件燃料のように、アルコール分が50%を超えるような燃料が存在するとは考えられていなかったのであるから、本件規定等がこのような燃料を対象とするものであったとは考えることができない。」という趣旨の主張もしているが、上記のように政府の説明員がアルコール 燃料が存在するとは考えられていなかったのであるから、本件規定等がこのような燃料を対象とするものであったとは考えることができない。」という趣旨の主張もしているが、上記のように政府の説明員がアルコール分が半分を占めるものについて言及していることからすると、当該法改正時において、アルコール分が半分を超えるものが全く想定されていなかったとは考え難く、原告の主張は前提に疑問がある上、ある法律の規定の文言に含まれるかどうかの解釈において、当該規定が制定された当時には存在しないものはすべて含まれないと断定するのは相当ではなく、科学技術の発達によって新たに生じたものであっても、それが法制定時に存在したものと本質を異にせず、法制定時における想定を超えるものでない限りは、当該文言に含まれると解すべきであるから、この点に関する原告の主張も失当であるといわざるを得ない。 3)原告は、「昭和45年改正後も、本件行政実例によって、『炭化水素化合物とその他の物との混合物』とは炭化水素化合物を主成分とする物質を意味するとの行政解釈が示されていた。」という趣旨の主張をする。 しかしながら、行政実例は、あくまでも行政内部における法律解釈を示したものにすぎず、これによって、法律の内容そのものが左右されることはないのであるから、上記主張は、信義則違反の有無を検討する際の事情とはなり得ても(この点は、後に検討する。)、本件規定の解釈を決定的に左右する事情であるとは言い難い。のみならず、本件行政実例は、「昭和44年5月18日付で照会のあった標記のことについて、下記のとおり回答します。」として、昭和45年改正前の事案に関する回答であることが明記されている上に、「単一体の炭化水素化合物は、それのみではここでいう炭化水素油には含まれないものであるが・・・」として、これが、昭和45年 として、昭和45年改正前の事案に関する回答であることが明記されている上に、「単一体の炭化水素化合物は、それのみではここでいう炭化水素油には含まれないものであるが・・・」として、これが、昭和45年改正後の燃料炭化水素油をも含んだ意味での炭化水素油を説明したものであるとすれば、明らかに誤りといえる内容を含んだものであることなどの事情に照らしてみれば、昭和45年改正後における本件規定の正しい解釈を示したものであるとは到底評価することができない。したがって、本件規定の解釈に当たって、本件行政実例は何ら参考になるものではないといわざるを得ない。 4)以上によると、本件燃料は、軽油引取税の対象となる「炭化水素化合物とのその他の物との混合物」に当たると解すべきものであり、原告主張の点は、いずれもこの解釈を妨げるに足りるものであるとは言い難い。 3 割合課税の主張について(争点②の2)原告は、「仮に本件燃料が『炭化水素化合物とその他の物の混合物』に当たるとしても、本件燃料の販売量全量を課税標準として軽油引取税を課税するのではなく、本件燃料中の、炭化水素化合物の量に対してのみ課税をする割合課税方式を採用すべきある。」と主張する。 しかしながら、本件規定等が、炭化水素油(炭化水素化合物とその他の物の混合物であるもの等をも含む。)の販売量全量を課税標準として課税をすることを定めていることは、その文言上明らかである上、昭和45年の法改正時における審議経過からもその前年に発せられた割合課税の方針が改められていることが認められるのであるから、上記主張を採用することはできない。原告は、本件行政実例をその根拠の一つとして掲げているが、本件行政実例は、昭和45年改正後の規定の解釈に当たって参考になるものではないことは既に説示したとおりであるから、この点に関する原告 きない。原告は、本件行政実例をその根拠の一つとして掲げているが、本件行政実例は、昭和45年改正後の規定の解釈に当たって参考になるものではないことは既に説示したとおりであるから、この点に関する原告の主張も失当といわざるを得ない。 4 「自動車」の意義について(争点③)1)本件規定等における「自動車」の意義に関し、被告は、道路運送車両法2条所定の「自動車」概念に基づいて判断すべきであると主張するのに対し、原告は、同法4条所定の登録すべき「自動車」の概念に基づいて判断すべきであると主張する。 そこで検討するに、本件規定等における「自動車」の概念を明確に定義した規定は存在しないが、軽油引取税は、「道路に関する費用に充てるため、及び道路法第7条第3項に規定する指定市に対し道路に関する費用に充てる財源を交付するため」の目的税として課されるものであることや、本件規定等は、目的税である軽油引取税を「自動車の内燃機関の燃料」としての軽油等の販売又は消費に対して課するものであることなどに照らしてみると、「自動車の内燃機関の燃料」における「自動車」とは、道路の主たる利用者である自動車一般を指すものと解される。そして、このような自動車一般を指す概念としての「自動車」の意味は、道路運送車両法2条所定の自動車概念に基づいて解釈するのが相当である。原告は、同法2条ではなく、4条所定の自動車概念に基づいた解釈をすべきであると主張するが、同法4条所定の「自動車」とは、自動車登録ファイルに登録すべき自動車のみを指すものであるところ、自動車登録ファイルに登録すべき自動車も、その他の自動車も道路の利用者である点においては異なるところはないのであるから、原告主張のような限定解釈をすべき理由はないものといわざるを得ない。 そうすると、本件規定等における「自動車」には、道路運 他の自動車も道路の利用者である点においては異なるところはないのであるから、原告主張のような限定解釈をすべき理由はないものといわざるを得ない。 そうすると、本件規定等における「自動車」には、道路運送車両法2条所定の自動車、すなわち、原動機付自転車以外の自動車一般を含むものと解すべきこととなる。 2)原告は、「本件規定等における『自動車』が道路運送法4条所定の自動車を意味することは確定した行政解釈であった。」という趣旨の主張をするところ、確かに証拠(甲8、12、13、57ないし62)によれば、地方税法が制定された昭和29年当時の取扱通知には、「自動車とは、道路運送車両法第4条に規定する登録を受けた自動車をいうものであること。」との記載があり(甲8、12、61)、その後「月刊税」という名称の雑誌(以下単に「税」という。)昭和33年5月号(甲57)、及び税昭和36年11月号(甲58)に掲載された自治省担当者の解説文には「ここにいう自動車は、道路運送車両法第2条第2項の自動車である」という趣旨の記載があるものの、その後、再び「自動車とは道路運送車両法4条所定の自動車の意味である。」という趣旨の説明がされるようになり、税平成2年3月号(甲59)、同平成7年9月号(甲60)にも、そのような趣旨の自治省担当者による解説文が掲載されていること、同平成13年4月号(甲61)に至って、「自動車とは、道路運送車両法2条所定の自動車を意味する」という趣旨の説明がされるようになり、昭和29年当時の取扱通知が、道路運送車両法4条所定の自動車をいうとしていた趣旨については、「法第700条の3第5項の自動車の保有者が炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合に、当該自動車を道路において運行の用に供するため消費した場合に限って課税していることとの均衡上、自 、「法第700条の3第5項の自動車の保有者が炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合に、当該自動車を道路において運行の用に供するため消費した場合に限って課税していることとの均衡上、自動車であってもサーキット場内や試験研究施設等一般交通の用に供しない場所で使用するものに供する炭化水素油の販売についてまで軽油引取税を課さないことを例示的に示したものであると解される。」という説明がされ、同平成14年6月号においても、同趣旨の解説がされていること、以上の事実が認められる。 以上の事実に照らしてみると、地方税法の所管官庁である自治省担当者の見解は、必ずしも一貫したものであったとは言い難いものの、むしろ道路運送車両法4条説に立ったものが多かったことは事実であるといわざるを得ない(上記のとおり、甲60、61においては、自治省の解釈は一貫しており、道路運送車両法4条説に立ったとみられる解説は、サーキット場内での利用等特殊な場合を除外する趣旨のものであったという説明がされているが、そのような場合を除外するために道路運送車両法4条を引き合いに出す必要はない上に、税平成2年3月号の解説文においては、「自動車とは、道路運送車両法第4条に規定する登録を受けた自動車をいうものであるから、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車は、ここでいう自動車には当たらない。」と明確に記載されていることなどに照らしてみても、自治省の解釈が一貫していたということはできないことは明らかである。)。 しかしながら、本件規定等の解釈上は、本件規定等にいう自動車とは、道路運送車両法2条所定の自動車を意味するものと解するのが相当であることは1)で説示したとおりである上に、上記各証拠に照らしてみても、道路運送車両法4条説に立った説明は、その結論を示しているのみであって、そ 車両法2条所定の自動車を意味するものと解するのが相当であることは1)で説示したとおりである上に、上記各証拠に照らしてみても、道路運送車両法4条説に立った説明は、その結論を示しているのみであって、その解釈を正当とする合理的な理由は何ら説明していないことが認められ、結局、道路運送車両法4条説に立った解説は、誤った法律解釈を示したものというほかはない。そうすると、原告が引用する行政解釈は、信義則違反の主張との関係で問題となる余地はあるとしても、本件規定等の解釈についての結論を左右するに足りるものではないというべきである。 5 信義則違反の主張について(争点④)原告は、「実質的に課税庁の側と判断できる自治省の誤った通達や、自治省担当者の誤った説明のため、本件燃料には軽油引取税が課税されないものと信頼して本件燃料の販売を始めたにもかかわらず、その後になって課税を行うのは信義則に違反する。」という趣旨の主張をするが、課税処分が信義則違反によって違法とされるのは、税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその責に帰すべき事由なく上記表示を信頼し、その信頼に基づいて行動をしたところ、後に上記表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けるに至った場合等に限られるものと解される(最高裁判所第三小法廷昭和62年10月30日判決、判例時報1262号91頁参照。)。 そこで検討するに、甲34(ガイアエナジー社代理店の代表者の陳述書)によれば、ガイアエナジー社がガイアックスの販売に踏み切ったのは、①国税庁の担当者から、揮発油税は課税されないとの明確な説明があったこと、②本件燃料はアルコールを主成分とする燃料であって、従来の燃料とは全く異なるものであったこと、③M85という燃料も炭化水素化合物を含有して 者から、揮発油税は課税されないとの明確な説明があったこと、②本件燃料はアルコールを主成分とする燃料であって、従来の燃料とは全く異なるものであったこと、③M85という燃料も炭化水素化合物を含有していたにもかかわらず軽油引取税が課税されることはなかったこと、④東京都の担当者に対し、3回にわたって面談に行き、本件燃料に対して軽油引取税が課税されるかどうかを事前に確認したが、課税されるとの明確な説明はなく、「上司と相談して、ご連絡申し上げます。」、「課税される場合には連絡します。」という発言があったのみで、しかも、その後課税されるとの連絡もなかったことなどによるものであり、原告もこれらを基に本件燃料には軽油引取税が課税されないものと判断したものと推認することができる。 以上のうち、①の点は、軽油引取税の課税の有無を直接決定づけるものではない上に、本件課税庁やそれと同視し得る者による見解表明と評価できるものでもなく、②の点は、原告自身の判断によるものである。③の点は、本件燃料が炭化水素化合物を少なくとも30%以上含有するのに対し、M85は、炭化水素化合物を僅か0・9%程度含有しているのにすぎないというのであるから(甲33)、むしろ炭化水素化合物が不純物として混入しているとみるべきものであることからすると、これが「炭化水素とその他の物の混合物」という炭化水素油の定義に該当するか否かにも疑問があり、少なくともこの両者を同一視することは困難である。④の点も、東京都の担当者が明確に軽油引取税は課税されないとの見解を表明したものではなく、はっきりした回答をしなかったというのにとどまる。このように上記の諸点は、いずれも本件処分等が信義則に違反し、違法であるとするのに足りるほどの事情であるとはいい難い。 なお、証拠(丙6、7)によると、本件行政実例は、 なかったというのにとどまる。このように上記の諸点は、いずれも本件処分等が信義則に違反し、違法であるとするのに足りるほどの事情であるとはいい難い。 なお、証拠(丙6、7)によると、本件行政実例は、自治省が編集又は監修した刊行物に最近に至るまで掲載され、そこには昭和45年改正前の法に関するものとの注記もされていないことが認められるから、これが、昭和45年改正後も有効であるかのように取り扱われていたとみられてもやむを得ない点があることや、本件規定等における「自動車」の概念について、自治省担当者による誤った説明がされていた時期があったことは2項及び4項において説示したとおりであるけれども、本件においては、原告がこれらの行政実例等を信頼して本件燃料の販売を決意するに至ったと認めるに足りる証拠はない。その上、証拠(甲22、乙15、28、丙4、5)によると、平成4年に販売されたアルコールを主成分とする代替燃料エコレ128については軽油引取税を課税するとの方針が示されており、平成5年以降、炭化水素化合物を主成分としないものについても軽油引取税が課される旨の記事が雑誌等に掲載されていたことが認められる。これらのことからすると、上記の諸事情の存在は、それ自体の適否はともかくとして、本件処分等を信義則違反を理由に違法と評価する根拠にはできないものといわざるを得ない。 6 本件各処分の適否についての判断以上の検討結果によれば、本件燃料は、本件規定上の「炭化水素化合物とその他の物の混合物」として軽油引取税の課税対象となるものというべきであり、また、本件規定等における「自動車」とは、道路運送車両法2条所定の自動車を意味するものと解釈すべきこととなる。 そうすると、これらの点に関する被告の主張は、いずれも正当というべきであるが、道路運送車両法2条所定の自動車 る「自動車」とは、道路運送車両法2条所定の自動車を意味するものと解釈すべきこととなる。 そうすると、これらの点に関する被告の主張は、いずれも正当というべきであるが、道路運送車両法2条所定の自動車には、原動機付自転車は含まれないのであるから、原動機付自転車用に販売ないし消費された本件燃料については課税をすることができないところ(この点は、被告自身が認めるところである。)、被告は、原動機付自転車用に販売ないし消費された本件燃料を除外することなく、すべての販売ないし消費量について軽油引取税を課税しており、この点は、違法というほかはない。そして、原告が、本件期間における、軽自動車、二輪自動車、原動機付自転車用の販売量の合計は、それぞれ、別紙「本件燃料の販売量一覧表」の該当欄記載のとおりであることを自認していることからすれば、原動機付自転車用の販売量は、上記の各合計量を超えることはないものと認められるから、結局、本件各処分は、本件期間中の全販売量から、上記の合計量を控除した量を課税対象とする限度では適法というべきであるが、これを超える部分は違法というほかはない(軽自動車、二輪自動車、原動機付自転車用の販売量合計には、本来課税の対象となるべき軽自動車、二輪自動車に対する販売量も含まれていることが当然に予想されるが、被告においてその量を特定するための主張立証を何ら行っていない以上、原動機付自動車用の販売量がこれを下回ると認めることはできないものというべきである。)。 そこで、以上を前提として、課税標準量、軽油引取税額、不申告加算金額を計算すると、その結果は、別紙「税額計算表」の各「当裁判所の認定」欄に記載のとおりとなるから、本件各処分は、同欄の、課税標準量、税額及び不申告加算金額欄に記載の限度では適法であるが、これを上回る部分はいずれも違法とし 果は、別紙「税額計算表」の各「当裁判所の認定」欄に記載のとおりとなるから、本件各処分は、同欄の、課税標準量、税額及び不申告加算金額欄に記載の限度では適法であるが、これを上回る部分はいずれも違法として取消しを免れないものというべきである。 第5 結論以上の次第で、原告の請求は、主文第1項記載の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないものとして棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、64条、66条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官鶴岡稔彦裁判官加藤晴子認容部分一覧表 1 被告が原告に対し、平成12年6月30日付け軽油引取税決定通知書をもってした処分のうち1)オートイン睦橋に係る平成12年3月分の課税標準量159.6715キロリットル、軽油引取税額512万5455円、不申告加算金額76万8700円を超える部分2)オートイン睦橋に係る平成12年4月分の課税標準量155.84キロリットル、軽油引取税額500万2464円、不申告加算金額75万0300円を超える部分3)オートイン大門に係る平成12年3月分の課税標準量217.4717キロリットル、軽油引取税額698万0841円、不申告加算金額104万7000円を超える部分4)オートイン大門に係る平成12年4月分の課税標準量222.43879キロリットル、軽油引取税額714万0285円、不申告加算金額107万1000円を超える部分5)オートイン加美平に係る平成12年3月分の課税標準量202.57キロリットル、軽油引取税額650万2497円、不申告加算金額97万5300円を超える部分6)オートイン加美平に係る平成12年4月分の課税標準量195.67496キロリットル 標準量202.57キロリットル、軽油引取税額650万2497円、不申告加算金額97万5300円を超える部分6)オートイン加美平に係る平成12年4月分の課税標準量195.67496キロリットル、軽油引取税額628万1166円、不申告加算金額94万2100円を超える部分 2 被告が原告に対し、平成12年8月4日付け軽油引取税決定通知書をもってした処分のうち、1)オートイン睦橋に係る平成12年5月分の課税標準量146.998キロリットル、軽油引取税額471万8635円、不申告加算金額70万7700円を超える部分2)オートイン大門に係る平成12年5月分の課税標準量214.997キロリットル、軽油引取税額690万1403円、不申告加算金額103万5100円を超える部分3)オートイン加美平に係る平成12年5月分の課税標準量202.176キロリットル、軽油引取税額648万9849円、不申告加算金額97万3300円を超える部分 3 被告が原告に対し、平成12年9月29日付け軽油引取税決定通知書をもってした処分のうち、1)オートイン睦橋に係る平成12年6月分の課税標準量152.59135キロリットル、軽油引取税額489万8182円、不申告加算金額73万4700円を超える部分2)オートイン大門に係る平成12年6月分の課税標準量206.42441キロリットル、軽油引取税額662万6223円、不申告加算金額99万3900円を超える部分3)オートイン加美平に係る平成12年6月分の課税標準量203.8131キロリットル、軽油引取税額654万2400円、不申告加算金額98万1300円を超える部分(別表略) 00円、不申告加算金額98万1300円を超える部分(別表略)
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