平成12(ネ)438

裁判年月日・裁判所
平成13年1月30日 東京高等裁判所
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判決文本文3,226 文字)

平成12年(ネ)第438号商標権侵害差止請求控訴事件平成12年12月7日口頭弁論終結。原審・東京地方裁判所平成11年(ワ)第3134号判決控訴人(被告) 株式会社ヨシダ興業代表者代表取締役  A訴訟代理人弁護士  谷村和治、浅野芳朗被控訴人(原告)  デマート・プロ・アルトベー・ヴィ代表者  B、C訴訟代理人弁護士  佐藤雅巳、古木睦美 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴人の求めた裁判「原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。」との判決。 第2 事案の概要及び争点に関する当事者の主張原判決事実及び理由中の第二に記載のとおりである。すなわち、被控訴人は、その有する本件商標権(一)、(二)に基づき、本件標章(一)が付されている本件時計並びに本件標章(一)又は本件標章(二)が付されている本件容器を輸入し、日本国内において販売していた控訴人に対し、その差止め等を請求した。 原判決は、本件標章(一)は本件商標(一)に類似すると認定し、控訴人は、本件時計及び本件容器を譲渡するなどするおそれがあると認め、先使用権を有するとの控訴人の主張は理由がなく、被控訴人の請求が権利の濫用であるとも認められないと判断して、輸入することの差止めを除く被控訴人の差止請求及び廃棄請求を認容した。 第3 控訴理由(要点)原判決は、控訴人の先使用権を認めなかった点で不当である。 控訴人は、原判決事実及び理由中の第二の二3の「被告の主張」の欄に摘示されているように、平成4年からスイスのエグゼコ社の日本販売総代理店として、「Softwatch」を日本国内の一般需要者に販売していたが、平成5年夏以降は、筆記体のDの署名(Salv 張」の欄に摘示されているように、平成4年からスイスのエグゼコ社の日本販売総代理店として、「Softwatch」を日本国内の一般需要者に販売していたが、平成5年夏以降は、筆記体のDの署名(SalvadorDali)をも付した「Softwatch」を、全国の大衆誌等の広告媒体を通じて広く日本国内で宣伝広告した。 したがって、Dの筆記体の署名を付した「Softwatch」は需要者に強い印象を与え、周知の標章として広く認識されていたものであり、控訴人は、本件時計及び本件容器に付した「SalvadorDali」の筆記体の署名について先使用権を有する。 第4 当裁判所の判断 1 類否判断及び侵害のおそれの有無争点1に対する判断(類否判断)、争点2に対する判断(侵害のおそれの判断)は、原判決の事実及び理由中の第三の一及び二において説示されているとおりであり、当裁判所も、本件標章(一)は本件商標(一)に類似するが、本件標章(一)、(二)は本件商標(二)とは類似しないものと認め、また、控訴人は本件時計及び本件容器を輸入するおそれはないが、本件時計及び本件容器を譲渡などするおそれがあるものと認める。 2 先使用権の有無(争点3)について(1) 証拠(乙11、16、19、20、21、22、25)及び弁論の全趣旨によると、控訴人は、平成4年夏ころから、スイスのエクゼコ社から輸入した本件標章の付されていない独特の形態を有する時計(いわゆるD時計)を「Softwatch」の名称で日本国内において販売していた者であるが、平成5年7月から平成7年12月までの間に、本件標章が付されている本件容器に入った本件時計をエクゼコ社から6790個輸入し、日本国内の百貨店等を通じて販売したこと、控訴人は、平成9年3月28日現在で、1283個の本件容器に入った本件時計 に、本件標章が付されている本件容器に入った本件時計をエクゼコ社から6790個輸入し、日本国内の百貨店等を通じて販売したこと、控訴人は、平成9年3月28日現在で、1283個の本件容器に入った本件時計の在庫を有していること、平成4年10月ころから平成5年3月ころにかけて、雑誌「Hanako」「CLiQUE」などの全国的に流通している情報誌あるいは輸入と計総合カタログに、「Dali」の筆記体の署名ロゴが付されていないが他の形態は本件時計とほとんど同一形状の時計が、控訴人が日本総代理店であるとし、「Softwatch」との商品名を付してではあるが、画家「D」の独特の画風に即した形状のものとして販売されている旨、1頁大で紹介されたこと、「Dali」の筆記体の署名ロゴが付された本件時計については、平成6年2月ころに情報誌「mono」において紹介されたこと、以上の事実が認められる。 (2) これらの事実によれば、「Dali」の筆記体の署名ロゴが付されていないが、他に類をみない独特の形態を有する点において本件時計と同一の時計は、平成5年までの間に、控訴人の業務に係る商品として需要者の間に広く認識されるに至っていたと認められる。そして、控訴人が本件時計を輸入していた間に、「Dali」の筆記体の署名ロゴである本件標章(一)が付された本件時計と同様の独特の形態を有する時計が、他の者によって日本に輸入された事実を認めるべき証拠はないので、「Dali」の筆記体の署名ロゴである本件標章(一)が付された本件時計についても、その販売があったときには、控訴人の業務に係る商品であるとの需要者の間に広く認識されるに至るものと推認され、平成6年2月ころに発行された情報誌「mono」に接した需要者も、本件時計が控訴人の業務に係るものであると認識するに至ったものと推認するこ であるとの需要者の間に広く認識されるに至るものと推認され、平成6年2月ころに発行された情報誌「mono」に接した需要者も、本件時計が控訴人の業務に係るものであると認識するに至ったものと推認することができ、この推認を覆すべき証拠はない。 (3) しかしながら、控訴人は、その後の平成7年12月に本件時計及び本件容器の輸入を中止し、平成8年1月以降本件時計及び本件容器の販売を中止したことは、控訴人の自認するところであり、弁論の全趣旨によれば、これらの中止は、輸入中止後にエクゼコ社が倒産したことのほか、平成8年1月に被控訴人から控訴人に対し、本件時計の輸入、販売は被控訴人が当時有していた登録第2455490号の商標権(本件商標(二)と同じ商標であるが、後に不使用を理由に取り消されたもの)を侵害するものである旨の警告書が送付されたこと、及び被控訴人が平成8年2月に本件商標(一)の、同年6月に本件商標(二)の商標登録出願をし、平成9年8月及び12月に登録されたことに配慮したものであり、この中止が一時的なものであったものと認めることはできない。 したがって、控訴人は、本件商標(一)の出願日である平成8年2月13日においては、本件標章(一)を使用していたものとは認められず、この出願日当時本件商標(一)の指定商品について商標の使用を継続して使用していたものと認めることはできない。この点において、控訴人主張に係る先使用権は、その要件を欠くものといわなければならない。 3 権利の濫用(争点4)について争点4に対する判断は、原判決の事実及び理由中の第三の四において説示されているとおりであり、本件商標権の行使が権利の濫用に当たるものとまでいうことはできない。 第5 結論以上のとおりであり、原判決中、本件控訴に係る被控訴人の請求部分を認容した原判決 おいて説示されているとおりであり、本件商標権の行使が権利の濫用に当たるものとまでいうことはできない。 第5 結論以上のとおりであり、原判決中、本件控訴に係る被控訴人の請求部分を認容した原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平裁判官橋本英史

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