- 1 -平成18年6月28日判決言渡平成14年(ワ)第2906号,第2907号,第2908号,第2909号,第2912号,第2913号共有物分割請求事件判決主文 別紙物件目録記載の各土地を次のとおり分割する。 (1)別紙物件目録記載の各土地を原告の単独所有とする。 (2)原告は,別紙賠償額一覧表の「共有者氏名」欄記載の被告らに対し「賠償額」欄記載の金員をそれぞれ支払え。 , 被告らは,それぞれ,原告に対し,別紙物件目録記載の各土地に関する別紙賠償額一覧表の「共有持分」欄記載の共有持分につき,共有物分割を原因とする持分移転登記手続をせよ。 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 原告(1)別紙物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」という)を次のと。 おり分割する。 ア本件各土地を原告の所有とする。 イ原告は別紙賠償額一覧表の「共有者氏名」欄記載の被告らに対し「賠,償額」欄記載の金員をそれぞれ支払う。 ウ被告らは,それぞれ,原告に対し,本件各土地に関する別紙賠償額一覧表の「共有持分」欄記載の共有持分につき,本判決確定の日の共有物分割を原因とする持分移転登記手続をせよ。 (2)訴訟費用は,被告らの負担とする。 - 2 - 被告ら(ただし,被告a10,同a11及び同a12を除く)。 (1)本案前の答弁ア原告の訴えを却下する。 イ訴訟費用は,原告の負担とする。 (2)本案の答弁ア原告の請求を棄却する。 イ訴訟費用は,原告の負担とする。 第2事案の概要本件は,本件各土地の共有者である承継前原告新東京国際空港公団が,他の共有者である被告らに対し,それぞれの土地について,全面的価格賠償の方式による共有物分 用は,原告の負担とする。 第2事案の概要本件は,本件各土地の共有者である承継前原告新東京国際空港公団が,他の共有者である被告らに対し,それぞれの土地について,全面的価格賠償の方式による共有物分割及びこれを原因とする持分移転登記手続を求めた事案である。 承継前原告が成田国際空港株式会社法制定の結果解散したことから,その権利義務の一切を原告が承継し,本件訴訟手続を承継した。 ,,,,なお被告a10同a11及び同a12は本件口頭弁論期日に出頭せず答弁書その他の準備書面も提出していない。 前提事実(1)当事者等ア承継前原告新東京国際空港公団(以下「空港公団」という)は,新東。 京国際空港公団法に基づき昭和41年7月30日に設立され,新東京国際空港(当時の名称。現在は成田国際空港。以下「成田空港」という)の。 設置及び管理を行うこと等をその業務としていた特殊法人である。 イ原告は,成田国際空港株式会社法制定の結果解散した空港公団の権利義務の一切を承継した資本金1000億円の株式会社である。 ウ(ア)被告a1は,不動産登記簿上,別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地1」という)の28分の1の持分を有している者であり,。 - 3 -別紙物件目録記載5の土地(以下「本件土地5」という)の72分の。 1の持分を有している者である。 (イ)被告a2は,不動産登記簿上,別紙物件目録記載2の土地(以下「本件土地2」という)の35分の1の持分を有している者である。 。 (ウ)被告a3は,不動産登記簿上,別紙物件目録記載3の土地(以下「本件土地3」という)の33分の1の共有持分を有している者であ。 る。 (エ)被告a4は,不動産登記簿上,別紙物件目録記載4の土地(以下「本件土地4」という)の21分の1の持分を有している者である 本件土地3」という)の33分の1の共有持分を有している者であ。 る。 (エ)被告a4は,不動産登記簿上,別紙物件目録記載4の土地(以下「本件土地4」という)の21分の1の持分を有している者である。 。 (オ)被告a5,被告a6は,不動産登記簿上,本件土地5につき,それぞれ144分の1,576分の3の持分を有している者である。 (カ)被告a7,被告a8,被告a9,被告a10,被告a11,被告,,(「」a12は不動産登記簿上別紙物件目録6の土地以下本件土地6。),,,,というにつきそれぞれ50分の1100分の1100分の1100分の1,200分の1,200分の1の持分を有している者である。 エ原告は,不動産登記簿上,本件各土地について,上記ウの被告らの各持分を除いた持分をそれぞれ有している。 (2)成田空港設立の経緯及びその後の状況についてア内閣は,昭和41年7月4日,閣議により成田市三里塚地区を新空港の建設予定地に定めた。 同年12月に運輸大臣の定めた工事実施計画(基本計画)においては,約4000mの平行滑走路A滑走路及び約2500mの平行滑走路B()(滑走路)並びに約3200mの横風用滑走路(C滑走路)を完成させることが定められた。すなわち,A滑走路とこれに対する誘導路,航空保安施設,旅客・貨物ターミナルなどの諸施設を整備する第1期計画(以下,こ- 4 -れに関する工事を「1期工事」ともいう)を昭和46年4月までに,B。 滑走路及びC滑走路を整備する第2期計画以下これに関する工事を2(,「期工事」ともいう)を昭和49年4月までにそれぞれ完了させることが。 決定された。 成田空港建設に反対する地元住民らは,成田空港の建設地決定の動きと前後して,三里塚・芝山連合空港反対同盟を結成 「期工事」ともいう)を昭和49年4月までにそれぞれ完了させることが。 決定された。 成田空港建設に反対する地元住民らは,成田空港の建設地決定の動きと前後して,三里塚・芝山連合空港反対同盟を結成し,昭和41年7月10日には建設反対集会を開催した。反対同盟は,同年12月には団結小屋を建設するなどした。 空港公団は,昭和43年には民有地の89%を取得し,昭和44年9月に空港建設に着手した。同年12月に土地収用法に基づく事業認定が告示されたため,昭和45年から本格的な敷地造成工事が開始された。空港公団は,成田空港建設に反対する者からの用地取得が困難であったことなどから土地収用法に基づく代執行を申請するなどした。このような中で,全長4000m,幅60mのA滑走路が完成され,予定の開港時期よりも遅い昭和53年5月20日に成田空港が開港された。 イ平成2年1月,当時の運輸大臣が反対同盟(被告らの属さないいわゆる熱田派。以下,この項において同じ)の構成員と対話したことを契機と。 して,成田空港問題を話合いで解決しようという機運が高まった。国が2期工事の土地問題を解決するためにいかなる状況のもとにおいても強制的手段をとらないことを反対同盟に対して確約したことから,平成3年11月から15回にわたり,隅谷三喜男東京大学名誉教授(当時)ほか4名の学識経験者(隅谷調査団)主宰のもと,運輸省,空港公団,千葉県及び反対同盟の構成員が参加する成田空港問題シンポジウムが開催された。 空港公団及び運輸省は,上記シンポジウムにおいて,次の内容を骨子とする隅谷調査団の所見を受け入れた。 ⅰ成田空港問題の長期にわたる力による対決に終止符を打つため,国側- 5 -は土地収用裁決申請を取り下げることとされたい。 ⅱ過去における成田空港建設の経緯の反省の上に立って,国は2 け入れた。 ⅰ成田空港問題の長期にわたる力による対決に終止符を打つため,国側- 5 -は土地収用裁決申請を取り下げることとされたい。 ⅱ過去における成田空港建設の経緯の反省の上に立って,国は2期工事B・C滑走路の建設計画について白紙の状態に戻し,地域の人々と話合いをすることにより解決の道を探ることとされたい。 ⅲ上記ⅰⅱの提案の実現により,広く地域住民が初めて国と対等の立場,。 で地域における空港の在り方などについて話合いができることとなる今後は,国,千葉県,関係自治体及び広く住民の参加する「新しい場」が設けられ,話合いが進められることを期待する。 ウ空港公団,国,千葉県,反対同盟(被告らの属さないいわゆる熱田派。 以下,この項において同じ)等は,上記イの成田空港問題シンポジウム。 での合意に基づき,平成5年9月20日から12回にわたり,隅谷調査団の主宰のもと成田空港問題円卓会議を開催した。 空港公団,国,千葉県,反対同盟それぞれが,空港と地域とが共生するための方策を提案しこれを検討した結果,平成6年10月,次の内容を骨子とする隅谷調査団の所見を関係者全員が受け入れた。 ⅰB・C滑走路予定地に「地球的課題の実験村」を建設するという反対同盟の構想について国は速やかに具体化のための検討を開始すること。 ⅱ空港の建設・運営における公正を担保するための第三者機関を設置すること。 ⅲB滑走路の整備のための用地取得は話合いにより行うこと,C滑走路。 ,の整備についてはB滑走路が完成する時点で改めて提案することなおC滑走路計画用地をA滑走路とB滑走路の航空機の地上通路として整備するという運輸省の方針についてはC滑走路の整備とは別の問題として理解できる。 ⅳ騒音対策の一層の充実や成田空港周辺地域振興策の推進などについては円卓会議の結論 滑走路の航空機の地上通路として整備するという運輸省の方針についてはC滑走路の整備とは別の問題として理解できる。 ⅳ騒音対策の一層の充実や成田空港周辺地域振興策の推進などについては円卓会議の結論に従ってその実現のために努力すること。 - 6 -ⅴ円卓会議を構成するすべての構成員及び関係するすべての地域社会の住民によって所見が受け入れられ,合意された事柄がすべての関係者によって尊重され実現をみることによって四半世紀を超える対立構造と不,。 信感とが解消し地域の将来の発展が図られていくことを強く期待するエ運輸省は,平成11年,基本計画に基づくB滑走路の早期着工・供用を目指して地権者と話合いを行い早急な解決を図るが,それが困難な場合は暫定的措置として約2200mの暫定平行滑走路を整備するという方針を打ち出し,平行滑走路の建設済み施設の一部と空港公団が取得済みである用地を活用して滑走路の北端の位置を北側に約800m移動させることにより約2200mの暫定平行滑走路を建設し供用することとした。 空港公団はこれを受け,平成13年10月に全長2180m,幅60mの暫定滑走路(B’滑走路)を完成させ,平成14年4月18日,供用を開始した。 オ原告代表取締役甲は「東峰区の皆様へ」と題する書面において,B’,滑走路の建設・供用について,上記ウの円卓会議が暫定滑走路を想定していない中で,地元住民との合意形成を図ることなく原告の取得済み所有地を使った一方的計画を策定したこと,地元住民の生活環境に配慮することなく供用を前倒ししたこと,供用によって地元住民に騒音被害などが生じていること等について謝罪し,B滑走路の問題については飽くまで地元住民との話合いによってしか円満解決の途はないと考えている旨述べた。 カなお,国土交通省は,基本計画どおりに滑走路を 音被害などが生じていること等について謝罪し,B滑走路の問題については飽くまで地元住民との話合いによってしか円満解決の途はないと考えている旨述べた。 カなお,国土交通省は,基本計画どおりに滑走路を設置することは困難であるとして,平成17年1月,B’滑走路を北方向に延伸する方針について検討し,同年7月,上記方針を正式決定した。 (3)いわゆる一坪共有運動について成田空港建設に反対する者らは,建設予定地内の土地を一筆ごとに多数の者が共有者として共有登記をすることによって,政府・空港公団による土地- 7 -取得を困難にするという運動(以下,この運動を「一坪共有運動」といい,上記運動に提供された土地を「一坪共有地」ということもある)を行い,。 「三里塚地区周辺に土地をもつ会(以下「土地をもつ会」という)の」。 『』会員となった。 (4)本件各土地について,,。 ア本件土地1は別紙図面1のとおりC滑走路の着陸帯に位置しているイ本件土地2は,別紙図面2のとおり,C滑走路の着陸帯に位置し,同滑走路からの高速脱出誘導路上に位置している。 ウ本件土地3は,別紙図面3のとおり,C滑走路上に位置している。 エ本件土地4は,別紙図面4のとおり,C滑走路に平行して整備する誘導路上に位置している。 オ本件土地5は,別紙図面5のとおり,B滑走路の着陸帯の外側に位置している。 カ本件土地6は,別紙図面6のとおり,B滑走路の着陸帯の外側に位置している。 キ本件各土地について,別紙物件目録記載の持分がそれぞれ被告らに移転した旨の登記が経由されている。 主要な争点本件の主要な争点は,ⅰ本件訴訟提起が権利の濫用にあたるか,ⅱ「土地をもつ会」は組合か,ⅲ前所有者と原告との間の各共有持分の売買契約は弁護士法72条違反により無効となるか,ⅳ 主要な争点本件の主要な争点は,ⅰ本件訴訟提起が権利の濫用にあたるか,ⅱ「土地をもつ会」は組合か,ⅲ前所有者と原告との間の各共有持分の売買契約は弁護士法72条違反により無効となるか,ⅳ原告に裁判上の共有物分割請求権があるか,ⅴ全面的価格賠償の方式は共有物の分割方法として是認されるか,ⅵ本件請求は全面的価格賠償方式による共有物分割請求の要件を具備しているかであり,主要な争点に関する原告及び被告ら(ただし,被告a10,同a11及び同a12を除く)の主張は,以下のとおりである。 。 (1)争点ⅰ(本件訴訟提起が権利の濫用にあたるか)について- 8 -ア被告らの主張(ア)訴えが,専ら相手方当事者を被告の立場に置き,審理に対応することを余儀なくさせることにより訴訟上又は訴訟外において相手方当事者を困惑させることを目的とし,あるいは訴訟が係属,審理されていること自体を社会的に誇示することにより,相手方当事者に対して有形・無形の不利益・負担又は打撃を与えることを目的として提起されたものであり,当該訴訟を維持することが民事訴訟制度の趣旨・目的に照らして著しく相当性を欠き,信義に反すると認められる場合には,当該訴えの提起は,訴権を濫用する不適法なものとして却下されるべきところ,本件においては,以下の各事情から,原告の本件訴訟提起は信義則に違反し,権利の濫用にあたるというべきである。 (イ)工事実施計画認可処分の違法性空港公団は,昭和42年1月30日運輸省告示第30号をもって1期工事,2期工事を含む成田空港建設工事にかかる工事実施計画の認可処分を受けたが,上記認可処分は違法なものであった。なぜなら,上記認可処分は,軍事空港性をますます明確にしている成田空港に関し,位置決定に際し地元住民の同意を得るという手続を一切とることな 画の認可処分を受けたが,上記認可処分は違法なものであった。なぜなら,上記認可処分は,軍事空港性をますます明確にしている成田空港に関し,位置決定に際し地元住民の同意を得るという手続を一切とることなく,それまで推進してきたシルクコンビナート計画を一方的に破棄し,政治的クーデター的に決定されたという手続上の重大な違法性を看過し,また,飛行場の位置等の基準適合性,他人の利益を著しく害しないこと及び用地の確実な取得の各要件(航空法39条1項1・2・5号,同法55条の3第2項)を欠如していることを看過してされたからである。 (ウ)事業認定処分の違法性と失効空港公団は昭和44年12月16日建設省告示3865号をもって成田空港建設事業につき土地収用法に基づく事業認定を得たが,上記事業認定は,上記(イ)の工事実施計画認可処分の違法性を承継しているの- 9 -,,みならず空港公団が成田空港を建設する意思及び能力を欠如しており成田空港の建設が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものではなく,また,北総台地の肥沃な用地を収用する公益上の必要性が全く認められないことから,土地収用法20条2号ないし4号に違反する処分であった。 空港公団は,平成5年6月16日付けをもって本件各土地を含む2期工事区域における成田空港建設反対派の所有・使用する土地につき収用裁決申立てを取り下げたため,事業認定処分は失効した。 (エ)成田空港問題シンポジウムにおける2期工事B,C滑走路建設計画を白紙に戻す提案の受諾空港公団は,平成5年5月24日に行われた成田空港問題シンポジウ,’,ムにおいて当時想定外であったB滑走路及び誘導路建設はもちろんB,C滑走路建設計画について白紙の状態に戻して,改めて地元住民とのコンセンサスを丁寧に得るという方針を確認し,公言したにもかか ’,ムにおいて当時想定外であったB滑走路及び誘導路建設はもちろんB,C滑走路建設計画について白紙の状態に戻して,改めて地元住民とのコンセンサスを丁寧に得るという方針を確認し,公言したにもかかわらず,地元住民に対して訴訟を提起して,裁判所という公権力を利用してB,C滑走路やB’滑走路建設を遂行しようとしているが,これは上記公言に反するものである。そして,共有物分割訴訟において全面的価格賠償方式による分割方法が当事者の意思に反して行われるとすれば,実質的には持分権の私的収用がされることにほかならないから,本件訴訟の提起自体が著しい信義則違反であることは明らかである。 (オ)成田空港の建設自体の違法性a成田空港の位置決定手続内閣は,新空港の建設について,予め新空港の位置を成田市とする旨を公表した場合には富里・八街地区と同様の反対運動が起こることを懸念して,当初から地元住民の意向をあえて無視し,地元住民に反対運動を組織するいとまを与えることなくクーデター的に新空港の位- 10 -置を成田市とする旨急遽閣議決定し,この既成事実をもって反対運動の気勢をそぎ,空港建設を強行しようとした。 b憲法31条,29条違背成田空港建設の過程においては,地元住民を無視,敵視し,空港公団と結託した警察機動隊による暴力的制圧が強行された。新空港建設,,,,は憲法31条29条に違背する地元住民農民に対する農地強奪団結小屋の破壊,封鎖などの強行の結果であって,建設自体が違法の集積である。 c憲法9条違背成田空港については,昭和41年から,日米安全保障条約により米軍から使用を要請された場合には,これを断ることができない旨の国会答弁がされており,さらにはPKO協力法,周辺事態法,有事3法の下に米軍の補給兵站基地としての軍事的重要性を増 米安全保障条約により米軍から使用を要請された場合には,これを断ることができない旨の国会答弁がされており,さらにはPKO協力法,周辺事態法,有事3法の下に米軍の補給兵站基地としての軍事的重要性を増大させており,憲法9条に違反する軍事空港としての性格を顕著にしている。 d航空機騒音公害空港公団は,環境アセスメントを全く行わず,予測される騒音の状態を推定する等の調査を一切行わなかった。 成田空港は内陸空港であることから,九十九里浜沿岸付近から利根川の茨城県側に至る広大な地域につき,いかに対策を講じても航空機騒音公害をもたらし続けており,これを根絶するためには廃港以外ない状況にある。 (カ)B’滑走路建設・運行供用の違法性B’滑走路は以下のとおり航空法規(航空法,国際民間航空条約,標準勧告方式等)に反しており,供用すること自体が安全性を無視する違,。 法行為であって乗客のみならず地元住民に対しても極めて危険である原告はこのようなB’滑走路において事故が発生し乗員乗客のみならず- 11 -地元住民にも直接その被害が及ぶ可能性をあえて認容し,かつ,危険,騒音及びジェットブラストが耐え難いのであれば土地を手放して立ち退けばよいというような態度であって,国際空港を建設する立場にある者としては不適格である。 a着陸帯の幅が150mしかなく,300mあるべきとする国際民間航空機関のシカゴ条約の国際標準に違背し,また,着陸帯の整地部分は上記条約の勧告方式に違反している。 b用地取得ができないままに建設を強行した結果,誘導路が3か所においてへの字形に曲がっているため,湾曲した箇所では滑走路と誘導路との最小離間距離は約105mしかなく,176mあるべきとする勧告方式に違反している。 また,誘導路と出発待機用の誘導路との距離も不十分であり,見通 曲がっているため,湾曲した箇所では滑走路と誘導路との最小離間距離は約105mしかなく,176mあるべきとする勧告方式に違反している。 また,誘導路と出発待機用の誘導路との距離も不十分であり,見通しの悪い誘導路が一本しかないという構造上の欠陥がある。 その上,滑走路の距離が2180mしかなく,短い。 c駐車場から直近の誘導路のカーブ部分の両側にフェンスがあるため,仮に2500mに滑走路を延伸させたとしても,ジャンボジェット機に供用させることができず,航空法施行規則79条1項3号別表に違反している。 dB’滑走路34R側からは民家の上空40mの低空をジェット機に離発着させ,悪質な地上げ屋的手法をもって地元住民に立ち退きを迫っている。 eB’滑走路34R側(南側)には,5本以上の立木が進入表面を侵害している。 (),,キ本件訴訟提起は原告代表者自身がその建設の計画から建設工事運行供用後の実態及びその不法行為性について自認し,深く反省して謝罪している当のB’滑走路建設の一環としてされたものである。 - 12 -(ク)本件訴訟のうちにはC滑走路に関連するものがあるが,C滑走路は現在建設が凍結ないし保留されているのであるから,原告が早急に取得する理由がない。また,C滑走路用地上には原告が訴訟提起をしていない一坪共有地が多数あるから,本件各共有地についてだけ共有物分割訴訟を提起することはC滑走路建設のためには意味をなさない。 (ケ)原告の提訴の主たる動機は,成田空港建設に対して絶対反対の態度でその廃港を主張する反対同盟の同盟員たる被告らに対して本件訴えを提起することによって,被告らを本件訴訟に対して対応せざるを得ない状況に追い込み,困惑,動揺させ,重圧を加え,無用の出費と労力を強制することにある。 イ原告の主張(ア)原告 に対して本件訴えを提起することによって,被告らを本件訴訟に対して対応せざるを得ない状況に追い込み,困惑,動揺させ,重圧を加え,無用の出費と労力を強制することにある。 イ原告の主張(ア)原告は,本件訴訟において公用収用を求めるものではなく,民法に基づいて本件訴訟の提起を行ったものであり,また,成田空港は航空法に基づき適法に建設され,B’滑走路もまた航空法に基づき適法に設置されている。原告は,成田空港の建設事業を進めるに当たり,被告らが本件各土地の分割協議に応ずる見込みがないため,やむなく本件訴訟を提起したものであって,専ら被告らを訴訟上又は訴訟外において困惑させることを目的とし,あるいは訴訟が係属,審理されていることを社会的に誇示することにより,相手方当事者に対して有形・無形の不利益・負担又は打撃を与えることを目的として提起したものではない。 (),イ新空港は長期にわたって民間航空機輸送需要に対処するとともに将来における主要な国際航空路線の用に供することを目的に設置された公共用飛行場であって,軍事利用を目的とするものではない。 (ウ)新空港は,年間約2500万人の国際線旅客が利用し,36か国2地域94都市(平成15年11月現在)と結ばれ,全国の国際線乗り入れ空港の中に占めるシェアは輸送実績で最大であり,重要な役割を担- 13 -っていることから,その公共性は明らかである。 国際標準及び勧告方式は,国際民間航空条約の付属書において採択されたものであるところ,付属書は条約自体ではなく,条約として公布されていないから,国内法としての効力を有しない。したがって,国際標準及び勧告方式は国内法的効力を有しないから,仮にB’滑走路設置の認可がこれらの内容に従わないところがあるとしても,同条約違反の事態は生じない。 B’滑走路の着陸 効力を有しない。したがって,国際標準及び勧告方式は国内法的効力を有しないから,仮にB’滑走路設置の認可がこれらの内容に従わないところがあるとしても,同条約違反の事態は生じない。 B’滑走路の着陸帯の幅については航空法施行規則79条1項3号の「特別の理由があると認められる場合」に該当する。また,その滑走路と誘導路とは航空法施行規則79条1項5号の定める十分な距離を有しており,同規定の要件に適合している。 (エ)共有物分割訴訟は形成訴訟であって,裁判所が諸事情を総合考慮して分割方法を決めるものであるから,原告のように共有持分を有する者が共有物分割の方法につき裁判所の判断を求めて訴えを提起することが訴権の濫用に該当することはあり得ない。 (2)争点ⅱ(土地をもつ会」は組合か)について「ア被告らの主張(ア)「土地をもつ会」は民法667条以下が規定する民法上の組合であり,一坪共有地は組合財産であるところ,原告はこれを認識しながら買収したのであるから,原告の持分取得は無効である。 民法上の組合として認められるためにはⅰ一定の目的とⅱそれを当事者全員の共同事業として営むことについての合意の成立が必要であるところ「土地をもつ会」の会員は,ⅰ成田空港建設の予定を完全,に撤廃させるため,空港建設予定地内の土地を取得し,その土地を多数人で共有登記することによって,空港用地取得のための土地収用を困難にし,短期間には収用手続が完了できないようにするという目的を有し- 14 -ており,ⅱこの目的を達成するために本件各土地を所有し,管理・使用することを共同事業として営む旨合意している。 組合の要件である出資については,何らかの経済的価値があれば出資として広く認められるところ「土地をもつ会」会則所定の300円の,金員出捐や一坪共有地の土地 ことを共同事業として営む旨合意している。 組合の要件である出資については,何らかの経済的価値があれば出資として広く認められるところ「土地をもつ会」会則所定の300円の,金員出捐や一坪共有地の土地の提供,労務提供がされている。 (イ)以下の一坪共有地が成立するに至る客観的事実関係に照らせば,「土地をもつ会」が,人的にも物的にも確実な基盤を有し,成田空港の建設に反対するという究極の目標のために空港建設に対抗してきた実績をもち,現在までその活動を継続している組織体であることが明らかである。 a三里塚地区周辺の住民は,政府が昭和41年6月22日に新空港の建設を富里地区から三里塚地区へ変更することを発表したのを受けて,その直後から一坪共有運動を行うことを話し合い,準備を開始した。 すなわち,三里塚地区周辺の住民は反対同盟が結成されたのと平行して,既に富里地区の住民が進めていた一坪共有運動を採用することとし,昭和41年7月10日の反対同盟結成の大集会において,一坪共有運動を推進する「土地をもつ会」の構想に賛同した。 「土地をもつ会」の創設発案者,賛同者らが関係書類等の準備を進め,土地の提供者の出現を待つなどして「土地をもつ会」の設立の,基礎を固めたところ,昭和41年8月27日及び同月29日に中心メンバーが行った3筆の土地の共有登記をもって,母体となる「土地をもつ会」が民法上の組合として成立した。 ,「」b昭和41年9月からは既に成立した組合としての土地をもつ会に共有名義人となる多数の人々が加入し,同年12月20日までに合計48か所の一坪共有地について登記が経由された。 - 15 -土地共有者らは,同年11月4日,土地提供者との間の即決和解を申請し,一坪共有運動が組合契約によっていることが佐倉簡易裁判所により確認された。 c「土 有地について登記が経由された。 - 15 -土地共有者らは,同年11月4日,土地提供者との間の即決和解を申請し,一坪共有運動が組合契約によっていることが佐倉簡易裁判所により確認された。 c「土地をもつ会」は,昭和42年1月から一坪共有地に看板等を設置して空港公団による収用手続に対抗し,また,土地提供のさらなる申出を受けて,3か所の一坪共有地について登記が経由され,昭和44年12月までに約1500名の登記が経由されることになった。 d空港公団は,昭和45年,成田空港建設予定地について,土地収用法による収用裁決を申請し,立入測量,収用委員会での審理を経て,昭和46年2月から3月にかけて第1次行政代執行,同年9月に第2次行政代執行が行われ,昭和53年までに9か所の一坪共有地が収用された。 「土地をもつ会」は,上記収用委員会での意見や立入測量に抗議行動を起こし,また,行政代執行に対しては一坪共有地の建物や塹壕に籠城して抵抗した「土地をもつ会」は,収用されていない各一坪共。 有地に看板等を立てて管理した。 e「土地をもつ会」は,昭和53年に暫定開港した空港公団が一坪共有地の買収を開始し,共有名義人の中から空港公団に土地を売ろうとして脱退したり空港建設に賛成する相続人が出現したことから,昭和54年10月21日,反対運動を辞める際には一坪共有地の共有持分を元の土地提供者に放棄する旨定めた会則の規定を,共有持分を理事会に戻し空港建設に反対する組合員の共有名義に変更するとの規定に改め,また,新たな組合員名義の共有登記を行った。 f昭和58年から平成11年8月までの間に,808名の共有登記が経由され,一坪共有地はその後も2期工事阻止,空港廃絶のための活動拠点として使用されている。 - 16 -「土地をもつ会」は,平成11年9月のB’滑走路変更 1年8月までの間に,808名の共有登記が経由され,一坪共有地はその後も2期工事阻止,空港廃絶のための活動拠点として使用されている。 - 16 -「土地をもつ会」は,平成11年9月のB’滑走路変更申請の事態に対処するため,現在まで毎年定期的に一坪共有地の現状確認行動を複数回実施している。 g現在の組合員数は,約800名を超える。なお,組合員は,主には一坪共有地の共有名義人であるが,名義人にならなくとも300円の金員を出費したり労務を提供したりしており,組合活動に中心的に参加している人は当然入会が認められている。 ()「」,,ウ一坪共有運動に携わった土地をもつ会の設立者土地提供者共有名義人の認識や会則の内容,即決和解で裁判所に確認された契約関係に照らすと,上記各当事者は「土地をもつ会」を成田空港撤廃のた,めに土地を管理使用する民法上の組合として位置づけ,一坪共有地を同会の組合財産として認識していたことは明らかである。 a「土地をもつ会」の会則の作成に当たっては,絶対に空港公団に土地を渡さないために強制収用が当然行われるという前提のもとに作成された「富里地区に土地をもつ会」の会則をそのまま踏襲し「土地,をもつ会」の目的を,空港公団に土地を絶対に渡さないこと,富里空港に引き続いて成田空港に対してはどこまでも反対することとした。 b「土地をもつ会」の入会当事者らは,同会が成田空港建設の予定が完全に撤廃されるまで存続する旨や,会員は清算前に一坪共有地に対する持分を処分したり,分割を求めてはならない旨規定する会則によ,,。 り一坪共有地を組合財産であると認識しこれを承諾して入会した土地提供者及び共有名義人たちは,一坪共有地が「土地をもつ会」に提供された土地であって,共有持分が登記名義人の個人財産に属するものでは 。 り一坪共有地を組合財産であると認識しこれを承諾して入会した土地提供者及び共有名義人たちは,一坪共有地が「土地をもつ会」に提供された土地であって,共有持分が登記名義人の個人財産に属するものではないと認識していた。 c佐倉簡易裁判所は,即決和解において「土地をもつ会」が民法上,の組合であり,土地提供者は組合財産である一坪共有地を処分しない- 17 -義務を負い,共有名義人は成田空港撤廃後に土地提供者に返還する義務を負うことを認定した。 (エ)「土地をもつ会」は「富里地区に土地をもつ会」を踏襲したも,のであるところ,以下の経緯から明らかなように,当事者は「富里地,区に土地をもつ会」を,富里空港を撤廃させるために土地を管理使用する民法上の組合として位置づけたものであり,富里地区の一坪共有地を組合財産と認識して行動していた。 a「富里地区に土地をもつ会」の設立者であるS1は,法律上の問題点を検討し,富里空港設置反対という目的のために同会に提供された土地を会員が使用するという民法上の組合として設立することとした。組合としての規約である会則を整備するに当たり,規約作成に当たったS2は,一般の共有とは異なり一坪共有地を組合財産として,第三者に売買することができないように会則の文言を確定した。 b一坪共有地の登記を共有名義にすることにしたのは,共有権者が組合員であることを示すことができるためである。 c昭和41年6月8日及び同年11月16日にされた即決和解において,組合契約の成立及び一坪共有地が組合財産であることが確認された。 d一坪共有地について,富里新空港計画が完全に撤廃された昭和45年に持分放棄を原因として共有者全員持分全部移転登記手続がされ,昭和47年には昭和42年7月5日組合解散を原因として共有者全員持分全部移転登記 有地について,富里新空港計画が完全に撤廃された昭和45年に持分放棄を原因として共有者全員持分全部移転登記手続がされ,昭和47年には昭和42年7月5日組合解散を原因として共有者全員持分全部移転登記手続がされ,土地提供者に返還された。 e土地提供者は,一坪共有地を個人個人に売ったという認識はなく,「土地をもつ会」という団体に提供し,組合解散後に返還を受けたと認識している。 (オ)aまず「土地をもつ会」の原始組合が成立し,その後,成田空港- 18 -建設に反対する意思を有しているという特別の要件を充たした者の加入が反復されることによって,昭和44年10月までに54筆の土地について,会員約1500名の組合となるに至った。 組合契約は「土地をもつ会」会則と入会申込みによったものであ,って,登記実務の便宜のために作成された所有権一部売買共有契約書中の,共有持分権者は共有物について利用その他いかなる占有をも行わない旨の規定は参考にならない。 「土地をもつ会」の会則は,民法の組合の規定の主要な事項をほぼ取り込んでいるので,その内容が組合契約として有効であることは明らかである。 b被告らは,成田空港建設に反対するため,本件各土地を一坪共有地として所有すること自体に価値を見いだしているのであるから,被告らにとっては本件各土地の使用価値は十分にあり,それが違法でない以上所有権の権能の実現として他からこれを侵害されるいわれはない。 マンション管理組合など土地・建物等の維持管理を目的とする事業及び団体は広く普及しているのであるから,土地の広狭にかかわらず成田空港予定地内の共有地を管理使用することという目的だけをもってしても,組合契約の共同事業の要件としては十分である。 (カ)「土地をもつ会」の会員が即決和解を行ったのは,不動産の登記手続上組合の登 田空港予定地内の共有地を管理使用することという目的だけをもってしても,組合契約の共同事業の要件としては十分である。 (カ)「土地をもつ会」の会員が即決和解を行ったのは,不動産の登記手続上組合の登記ができず通常の共有と同じ外観になることから,当事者間において民法上の組合の合有財産であることを確認するためであった。これは,土地提供者及び共有者双方に対し,譲渡禁止を求めたものであって,土地提供者の一坪共有運動への参加を促進するためなどの目的でされたものではない。 (キ)反対運動をやめる際の持分の処理を定める会則の規定について,- 19 -共有地の持分を元の土地提供者に対し放棄する旨の規定から「土地を,もつ会」の理事会が空港反対の意志を持つ者を指定して取得させるとの,「」。 ,規定に変更されたがこれは組合の再編を意味しているすなわち「土地をもつ会」の会員たるべき地位を有しなくなった者に対する取扱いをより明確にするとともに,会員たるべき地位を有する人々の集団,すなわち組合による組合財産の維持を改めて鮮明にしたものである。 (ク)「土地をもつ会」の組合財産である一坪共有地について空港公団により共有持分が取得されるなど切り崩しにあったのは数年間にすぎないのに対し,組合財産を維持するために被告a1が空港公団による買収に対抗する趣旨で持分の贈与を受けて移転登記を経由するなどの対応策を講じてからの期間は20年にわたるものであって,組合員による様々な活動が日常的・継続的に行われている。 (ケ)本件各共有地には持分の譲渡や相続が認められていたが,これは上記土地が組合財産であることと矛盾しない。なぜなら,組合の人的物的編成を崩さない限度において,持分の譲渡や相続が認められる場合であるからである。持分の相続が行われる場合には,死亡組合 たが,これは上記土地が組合財産であることと矛盾しない。なぜなら,組合の人的物的編成を崩さない限度において,持分の譲渡や相続が認められる場合であるからである。持分の相続が行われる場合には,死亡組合員の脱退と相続人の加入がされたものである。 イ原告の主張(ア)「土地をもつ会」は民法上の組合とはいえず,本件各土地は組合財産ではない。 「土地をもつ会」は単に成田空港予定地内の土地を共有することによって原告の用地取得を困難ならしめ,もって成田空港の建設を阻止することを目的としており,初めから本件各土地を本来の経済的用法に従っ。 ,て使用収益することを目的としたものではなかった土地所有権は本来土地の使用収益がその本質であるといえるから,新空港の建設を阻止するために単に多人数が共有者として持分を有するに過ぎず,現在何らの- 20 -使用収益もしていない状態は,組合の要件である「共同の事業を営むこと」にあたるものということはできない。 (イ)客観的事実関係についてa「土地をもつ会」は反対同盟そのものであって,独立した組合組織としての実体を有するものではない。 「土地をもつ会」において理事及び会長が選任された事実,会員に対して会の業務及び財産の状況の報告がなされていた事実は明らかではないから,同会が現実に組合としての実体をもって機能していたとは考えられない。 b「土地をもつ会」会則においては会員が脱退した際に共有地の持分を元の土地提供者に対して放棄する旨定められているにもかかわらずこれに従った処理がされていない。理事会が新たに空港建設に反対する意志をもつ者に対して持分を譲ることとするように会則を改正したとの事実はない。 c「土地をもつ会」会則は,土地の共有者である会員が構成員である旨定めているところ,被告a8は土地の共有者となる前 る意志をもつ者に対して持分を譲ることとするように会則を改正したとの事実はない。 c「土地をもつ会」会則は,土地の共有者である会員が構成員である旨定めているところ,被告a8は土地の共有者となる前に同会に入会している。したがって,会員となる資格のない者が会員となっていたことになり,これは同会が会則に従って運営されていなかったことを表している。 ウ原告に本件各土地の持分を譲渡した前所有者は本件各土地が土(),「地をもつ会」の組合財産であるなどと異議を述べることはなく,被告らもこの間27年間にわたり持分を譲渡した共有者や原告に対し何らの異議を述べることはなかったのであるから,各持分権者は本件各土地が組合財産ではないことを自認していた。 (エ)「富里地区に土地をもつ会」において共有者は一坪共有地を一切利用しないとされているが,このように組合員たる共有者が全く土地の- 21 -利用を行うことなく組合の事業が成り立つとは考えられないから「富,里地区に土地をもつ会」は民法上の組合ではあり得ない。 したがって,被告らの主張するように「土地をもつ会」が「富里地,区に土地をもつ会」を踏襲したものであるとしても,上記のとおり「富里地区に土地をもつ会」は民法上の組合たり得ないのであるから「土,地をもつ会」もまた組合ではあり得ない。 (),オ土地を共有する契約としての所有権一部売買土地共有契約書には共有者は一坪共有地を一切利用しないことが明記されているが,このような規定からみれば,組合員たる共有者が全く土地の利用を行わずに組合の事業が成り立つとは到底考えられず,この点からしても「土地をもつ会」は民法上の組合ではないといえる。 (カ)土地提供者と共有名義人との間の即決和解は,土地提供者に対して譲渡等の一切の処分を禁ずるとともに 成り立つとは到底考えられず,この点からしても「土地をもつ会」は民法上の組合ではないといえる。 (カ)土地提供者と共有名義人との間の即決和解は,土地提供者に対して譲渡等の一切の処分を禁ずるとともに「土地をもつ会」が解散した,ときには,共有名義人が土地提供者に対して持分の移転登記手続をすべきことを定めたものである。これは「土地をもつ会」が民法上の組合であることを確認するためではなく「土地をもつ会」が解散した場合に,提供した土地が土地提供者に確実に戻ることを担保することによって,空港敷地内地権者の一坪共有運動への参加を促進するためのものである。したがって,上記即決和解がされたことは「土地をもつ会」が組,合であることを基礎づけるものではない。 (キ)本件各土地において農耕作業は行われておらず,また,本件土地3を除いて本件各土地上に団結小屋が建設された事実はない。本件土地3についても,団結小屋は平成2年3月に成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法に基づく除去処分がされ,それ以降は更地のまま現在に至っており,共有者による現実の使用収益は行われていない。 (ク)「土地をもつ会」において共有持分の譲渡や相続が認められてい- 22 -たとすれば,組合員が死亡した場合には脱退の効果が生じるとしている民法679条に照らして,同会は民法上の組合ではないことになる。 (3)争点ⅲ(前所有者と原告の間の各共有持分の売買契約は弁護士法72条違反により無効となるか)についてア被告らの主張(ア)弁護士法72条は,非弁護士の法律事務の取扱等を禁止するものであり,これに違反した法律行為は無効となる。各共有持分の売渡代理人となったS3,S4,S5らは弁護士ではなく,また,同条ただし書きに定める除外事由にも該当しないところ,上記各売渡代理人への委任事 であり,これに違反した法律行為は無効となる。各共有持分の売渡代理人となったS3,S4,S5らは弁護士ではなく,また,同条ただし書きに定める除外事由にも該当しないところ,上記各売渡代理人への委任事項は「新東京国際空港公団が取得する下記記載の土地売買に伴う契,約並びに土地代金,補償金等の請求及び領収に関する一切の権限」であり,上記各売渡代理人はこれらの委任事項に基づいて空港公団と土地共有持分売買契約を締結しているが,これらの行為は同条に定める「その他一般の法律事件」に関する「代理」あるいは「その他の法律事務」に該当する。上記各売渡代理人は,上記の委任契約の締結及び土地共有持分売買契約を,業務として多数回にわたり反復的に報酬目的をもって行っていたことは容易に看取しうる。 したがって,上記各売渡代理人が各共有持分権者と締結した委任契約及び空港公団との土地共有持分売買契約は無効であり,空港公団の本件土地共有持分の取得は無効である。 (イ)各共有者がそれぞれの持分を処分するに当たり,その代金を土地提供者に直接取得させることを了解したとの事実はない。原告から本件各土地についての売買代金を取得していたのは売渡人本人ではなく,売渡代理人であるが,この売買代金の取得こそがまさに報酬である。なぜなら,土地提供者は各共有者に対して各持分を無償で譲渡したのであるから,各共有持分の原告への売却時には,元土地提供者は,各共有持分- 23 -について何らの権利も有していないところ,代理人として売買代金を受領する権限はあっても,それは飽くまで代理受領であって自分が取得する根拠とはならない。それにもかかわらず土地提供者が各共有持分の売買代金を原告から取得したということは,契約上の根拠を欠くものであり,経済的な利得を得たことにほかならない。 (ウ)弁護士法72 する根拠とはならない。それにもかかわらず土地提供者が各共有持分の売買代金を原告から取得したということは,契約上の根拠を欠くものであり,経済的な利得を得たことにほかならない。 (ウ)弁護士法72条は高度に公益的な性格を有する規定であるから,これに違反する法律行為は,対世的・絶対的無効であり,だれでもその無効を主張することができるものである。 イ原告の主張(ア)各売渡代理人は土地提供者又はその相続人であるが,各共有者が土地提供者から無償で各持分を譲り受けていたため,各共有者は,各持分を処分するに当たり,その代金を土地提供者が直接取得することを了解した。そこで,各共有者がいったん土地提供者に各持分を返還し,その後原告がこれを取得することの煩を避けるため,原告,土地提供者及び各共有者の三者間において,土地提供者が各共有者の代理人となって契約することが合意され,各持分の売買契約が締結された。これは,土地提供者が共有持分の登記名義人である各共有者と原告との土地共有持分売買契約及び代金受領に関する代理人となることにより,土地提供者は上記各共有持分の売却代金を,原告は各共有持分をそれぞれ取得し,実質的に各共有者が土地提供者に土地を返還することについて,三者の意思が合致したからである。 上記経緯からすれば,各売渡代理人は,各共有者から各契約により報酬を得ることを目的としていたものではなく,現に共有者から報酬を受領した事実もない。 (イ)土地提供者らは売買契約に関し複数回の委任を受けてはいるが,それぞれ土地提供者自らが提供した土地に限り共有者から委任を受けて- 24 -いるにすぎず,代理行為は自らが提供した土地にかかる取引についての極めて限定的なものであって,業務性を帯びているものではない。 (ウ)各共有持分の売買契約については,契約当事 を受けて- 24 -いるにすぎず,代理行為は自らが提供した土地にかかる取引についての極めて限定的なものであって,業務性を帯びているものではない。 (ウ)各共有持分の売買契約については,契約当事者間には何ら争いはなく,契約に無関係な第三者である被告らは無効を主張し得る立場にはない。 (4)争点ⅳ(原告に裁判上の共有物分割請求権があるか)についてア被告らの主張裁判上の共有物分割請求をするためには,共有者間での協議により自由に共有物を分割する権利・利益を一方的に奪われることのないよう,共有物分割を希望する共有者から他の共有者に対して,共有物分割に関する協議の申入れが最低限必要であると解されるところ,本件においてはこのような協議申入れはされなかったのであるから,原告は裁判上の共有物分割を請求することができない。 イ原告の主張被告らは成田空港建設に反対する立場にあり,原告の譲渡申入れにも応じないため,被告らの持分を取得することはもちろん,分割協議もできない状況にある。そのため,原告はやむを得ず分割協議の申入れをすることなく裁判上の分割請求をしたものである。 ()() 争点ⅴ全面的価格賠償方式は共有物分割の方法として是認されるかについてア被告らの主張(ア)民法258条2項によれば,共有物分割訴訟においては現物分割が原則とされ,それができないとき又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときに限り,共有物の競売代金の代価分割が許されているにすぎないところ,新たに第3の方法として全面的価格賠償の方式による分割方法を創設した最高裁平成8年10月31日判決(以- 25 -下「平成8年判決」という)は憲法29条に違反する。 。 なぜなら,個々人が有する財産権は,憲法29条2項に基づき法令によって合憲的に内容を を創設した最高裁平成8年10月31日判決(以- 25 -下「平成8年判決」という)は憲法29条に違反する。 。 なぜなら,個々人が有する財産権は,憲法29条2項に基づき法令によって合憲的に内容を規制されることはあるとしても,刑法や民法等によって他人がこれを不当に侵害することから保護されているのみならず,公用収用等の手段を用いて公権力によってこれを制限したり奪ったりする場合も「正当な補償」を伴う適法な措置がされるのでなければ基本的には侵害されないものであるところ,財産権の共有は,所有者が複数のためやむなく拘束された状態にあるだけで各共有者は常に所有権を具体化する権能を留保しているものであるのに,上記権能を行使する手段として認められた共有物分割において,全面的価格賠償方式による共有物分割を認めると,財産権の中で最も重要な所有権を一方的に剥奪することになるからである。 財産権は「公共のために用いる」場合にのみ公権力によって奪うことができるにすぎず,原告のような一民間企業が本件のような私人間の共有物分割訴訟において,価格賠償という形で共有物分割請求の趣旨を超えて所有権の剥奪を正当化しうる根拠は全くない。このようなことが当事者の意思に反して行われるとすれば,それは実質的には持分権の私的収用ないし持分権の強制的買上げを容認するものに他ならず,近代市民法の理念及び憲法29条に反し認められないというべきである。 (イ)平成8年判決は,法に規定のない新しい分割方法を制定したものであるが,これは本来立法権の範囲に属する権力を行使するものであって,もともと裁判所の裁量権の行使に基づいて定められるべき性質のものではないことを行ったものであるから,実質的意味の立法について専ら国会が法律という形式で定めなければならない旨定めた憲法41条に反することは明白 判所の裁量権の行使に基づいて定められるべき性質のものではないことを行ったものであるから,実質的意味の立法について専ら国会が法律という形式で定めなければならない旨定めた憲法41条に反することは明白である。 (ウ)民法258条2項は,明確に規定されていない別個の共有物分割- 26 -の方法が存在することを予定しておらず,また新たな分割方法を許容しているとは読みとれない。民法258条2項によって保護されているはずの「現物分割」という利益を明文のないまま一方的に共有者から奪う平成8年判決は同条項に違反する。 また,持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過部分の対価を支払わせて過不足の調整をすることを認めた最高裁昭和62年4月22日大法廷判決(以下「昭和62年判決」という)が,飽くまで現物。 分割方式の範囲内での金銭調整を認めるものにすぎず,現物分割の範囲外までの裁量権の行使を許容しているものではないと解されるところ,平成8年判決は裁量権の広さを強調し,現物分割方式の範囲を超えた分割方法である全面的価格賠償の方式を創設しており,昭和62年判決にも違反するものである。 イ原告の主張(ア)被告らの上記ア(ア)及び(イ)の主張は争う。 (イ)裁判所による共有物の分割は実質非訟事件であって,法は裁判所の適切な裁量権の行使により共有者間の公平を保ちつつ,当該共有物の性質や共有状態の実情にあった妥当な分割が実現されることを期している。したがって,民法258条2項は共有物分割の方法を現物分割又は競売による分割のみに限定したものではなく,他の分割方法を肯定したものであるとしても,同条項に違反するものではない。 その他の被告の上記(ウ)の主張は争う。 (6)争点ⅵ(本件請求は,全面的価格賠償方式による共有物分割請求の要件を具備しているか)につ を肯定したものであるとしても,同条項に違反するものではない。 その他の被告の上記(ウ)の主張は争う。 (6)争点ⅵ(本件請求は,全面的価格賠償方式による共有物分割請求の要件を具備しているか)についてア原告の主張(ア)a全面的価格賠償の方式による共有物分割をするためには,現物分割が可能であることは必要ではなく,また,本件各土地において現- 27 -物分割をすることは困難である。 b共有者の希望及びその合理性の有無は,裁判所の考慮要素の一つであり,本件各土地において被告らが価格による賠償を望んでいないことをもって直ちに全面的価格賠償の方式による分割が妨げられるものではない。 c平成8年判決は,当該共有物が遺産によって構成される場合に限り全面的価格賠償の方式による共有物分割が認められることとしたものとは解されない。 d土地所有権は本来,土地の使用収益がその本質であり,その固有の社会的使命は土地の使用収益にあるのであって,持分権を所有することのみによって利用価値を有するものとはいえない。 (イ)特段の事情があることについてa共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値本件各土地はいずれも原告が隣接地を買い進めた結果,原告所有地に囲まれたかたちになっており,その管理は原告が空港敷地の一部として行っているところ,被告らは何ら経済的な利用をしていない。 そして,本件各土地はいずれも,原告が大部分の持分を所有しているのに対し,被告らの持分はわずかなものにすぎず,仮に現物分割をしたとしても,空港敷地内に僅少な面積の孤立した利用不可能な土地を現出させるだけであり,かえって本件各土地の経済的,合理的利用価値を害することになる。 b分割方法についての共有者の希望及びその合理性(a)原告が被告らの持分を全面的価格賠償の方式によって取 を現出させるだけであり,かえって本件各土地の経済的,合理的利用価値を害することになる。 b分割方法についての共有者の希望及びその合理性(a)原告が被告らの持分を全面的価格賠償の方式によって取得することは,成田空港の建設を進める上で必要不可欠なものであり,以下の事情から原告の上記希望には十分合理性がある。 (),,b原告はC滑走路の約半分を既に誘導路として整備しており- 28 -本件土地1ないし3を含む部分の誘導路を延長することにより航空,,機の走行動線を確保し空港の効率的運用を図ることとしているが現状ではC滑走路や高速脱出誘導路の設置が不可能であり,また,当該誘導路と旅客ターミナルビル地区を結ぶ誘導路の一部の設置が不可能である。 また,原告は,仮に本件土地2を取得することができないとなると本件土地2から少なくとも航空法施行規則の定める誘導路縁と固定障害物との距離である39m以上の距離をおいて誘導路を設置することを余儀なくされることになるが,これは空港建設上,極めて重大な支障を来すことになる。 (c)出発機用及び到着機用として2本の誘導路が必要であるところ,現在,本件土地4における工事ができないため誘導路の一部が整備できず,各ターミナルビル地区へ出入りする航空機と,滑走路へ向かう出発機,滑走路からの到着機を1本の誘導路とエプロン内にある走行路で処理している状況にあり,そのため滑走路へ向かう出発機の走行がターミナル地区へ出入りする航空機により阻止され,出発時刻の著しい遅延を招く要因となっている。それゆえ,空港の効率的な運用を確保するために,本件土地4付近の早急な誘導路の整備が必要である。また,仮に本件土地4を避けて誘導路を整備することになると,大きく迂回させた曲線形の誘導路とならざるを得ず,このような誘導路 な運用を確保するために,本件土地4付近の早急な誘導路の整備が必要である。また,仮に本件土地4を避けて誘導路を整備することになると,大きく迂回させた曲線形の誘導路とならざるを得ず,このような誘導路では航空機の走行性が著しく低下し,航空機の円滑な走行を確保することはできなくなる。 (d)本件土地5により,基本計画どおりの直線形の誘導路が整備,,,できずやむを得ず本件土地5を迂回した線形の誘導路を整備し供用せざるを得なかったが,これにより航空機の走行性が著しく低下し,地上での航空機の円滑な走行が確保できず,ひいてはB’滑- 29 -走路の効率的な運用に支障となっている。 (e)原告は,滑走路を離着陸する航空機のより一層の安全を確保するため,また,空港用地を適切に管理していくため,現在窪地である本件土地6を平坦に整地する必要がある。仮に被告らによって構築物が設置されると,空港管理上極めて重大な支障を来すことになる。 c共有物の価格の評価(a)本件土地1の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書及び回答書から,909万8460円(1円未満に端数がある場合は切上げ。以下同じ)が相当とみられるので,被告a1の持分の。 価格は32万4945円が相当である。 (b)本件土地2の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書及び回答書から,823万9770円が相当とみられるので,被告a2の持分の価格は,23万5422円が相当である。 (c)本件土地3の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書及び回答書から,916万1970円が相当とみられるので,被告a3の持分の価格は,27万7636円が相当である。 (d)本件土地4の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書及び回答書から,2318万2523円が相当とみられるので,被告a4の持 ので,被告a3の持分の価格は,27万7636円が相当である。 (d)本件土地4の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書及び回答書から,2318万2523円が相当とみられるので,被告a4の持分の価格は,110万3930円が相当である。 (e)本件土地5の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書及び回答書から,857万5560円が相当とみられるので,被告a1の持分の価格は11万9105円,被告a5の持分の価格は5万9553円,被告a6の持分の価格は4万4665円が相当である。 (f)本件土地6の価格は,平成14年12月の不動産鑑定評価書- 30 -及び回答書から,739万5923円が相当とみられるので,被告a7の持分の価格は14万7919円,被告a8の持分の価格は7万3960円,被告a9の持分の価格は7万3960円,被告a10の持分の価格は7万3960円,被告a11の持分の価格は3万6980円,被告a12の持分の価格は3万6980円が相当である。 d原告の支払能力原告は,上記cの各価格に相当する金員を支払う能力がある。 イ被告らの主張(ア)a民法258条2項の文言や共有者の分割された共有物の現物を,,取得する利益や期待の保護の観点から共有物を分割するに際しては現物分割の方式が第1次的な手段とされるべきであり,現物分割方式が不可能な場合に初めて全面的価格賠償の方式の適用が可能となると解すべきである。 本件においては,本件各土地は更地の土地であり,現物分割を行おうと思えば十分に可能な状態にある。たとえその範囲が僅少なものであったとしても,どのように本件各土地を利用するかは被告らの専権に属する事項である。 b仮に全面的価格賠償の方式が適用されうる場合であっても,上記方式は民法上の根拠をもたないものであり,私的自治 あったとしても,どのように本件各土地を利用するかは被告らの専権に属する事項である。 b仮に全面的価格賠償の方式が適用されうる場合であっても,上記方式は民法上の根拠をもたないものであり,私的自治に基づく協議分割において行われてきた方式であることから,共有者が共有関係を解消するに当たってその有する持分をどのような形で分割するのか,共有者の意思に委ねられるべきであるので,共有者が全面的価格賠償の方式に反対であるならばその適用を控えるべきである。 本件においては,被告らは,自己の持分についての共有関係を維持することを望み,価格での賠償を全く希望していない。 - 31 -c共有物分割方法の弾力化・柔軟化は,共有物が遺産を構成していることが多く,これらを遺産分割手続に類似した柔軟な処理により解決することが要請されていることや,現物分割の方法を厳格に解すると競売が行われにくくなり,また競売によった場合もその価格が市場価格に比べて著しく低廉なものとなりがちであるために現物分割の方法を柔軟にすることが要請されていることを背景としているところ,各共有名義人らが共有持分をもつこと自体に価値を見いだしている本件のような事案に全面的価格賠償の方式を適用すべきではない。 (イ)仮に本件において全面的価格賠償の方式を適用すべきであるとしても,本件においては上記方式を適用すべき特段の事情はない。 a平成8年判決が示した基準は,裁判所の裁量を無限定的に広げる結果となりかねず,特段の事情を判断するに当たっては,共有者の意思を軽視してはならない一方,共有者間の持分比を機械的に重視すべきではない。また,平成8年判決が挙げる諸要素以外の事情も積極的に考慮されるべきであり,背景事情など当該事案に即した諸事情を考慮して初めて全面的価格賠償方式による分割が可能となると考 械的に重視すべきではない。また,平成8年判決が挙げる諸要素以外の事情も積極的に考慮されるべきであり,背景事情など当該事案に即した諸事情を考慮して初めて全面的価格賠償方式による分割が可能となると考えるべきである。 b本件における当事者の意思被告らは,成田空港建設に絶対反対の立場であり,そのためにはそもそも本件各一坪共有地の共有関係の解消を望んでおらず,全面的価格賠償の方式についても絶対反対である。 c本件の背景事情地元住民は,その意向も聞かれることなく決定された成田空港建設に反対するため,空港建設予定地内に土地を取得してその土地を多数人で共有することによって空港用地取得のための土地収用を困難にし,短期間では収用手続を完了することができなくなることを目的と- 32 -した活動をしていたが,政府・空港公団はこれに対して警察機動隊員を用いた暴力的制圧に乗り出すなどして地元住民から土地を奪い,空港建設を強行してきた。本件における原告と被告らとの共有関係は,とりわけ被告らをはじめとする成田空港建設絶対反対派に対する熾烈な弾圧が加えられたという背景事情から発生したのであり,本件訴訟も被告ら空港建設絶対反対派つぶしの一環である。 このような背景事情は,共有物分割訴訟における分割方式の弾力化・柔軟化が論じられてきた背景事情とは質的に全く異なるものであるから,本件は分割方式の弾力化などが要請される事案ではない。 d本件各土地の性質及び形状について本件各土地は更地の土地であり,物理的に現物分割をすることは十分可能な状態にある。 e共有関係の発生原因について「」,本件各土地は土地をもつ会の会員により共有されていたところ空港公団による切り崩し等により原告と被告らとの間の共有状態が発生した。 f共有者の数及び持分割合について被告らは本 について「」,本件各土地は土地をもつ会の会員により共有されていたところ空港公団による切り崩し等により原告と被告らとの間の共有状態が発生した。 f共有者の数及び持分割合について被告らは本件土地を一坪共有地として所有すること自体に価値を見いだしているのであるから,共有者間の持分比は考慮されるべきではない。 g共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値について被告らは,本件各土地を成田空港建設反対のために所有し,利用しているが,原告が事実上管理している現在の状況は絶対に容認しないところである。被告らが経済的な利用を行っていないのは,原告が成,。 田空港建設を強行し本件各土地から被告らを閉め出したからである原告は,本件訴訟を提起するに当たって,成田空港予定地内のすべ- 33 -ての一坪共有地を対象にしているわけではないから,本件訴訟によっ,。 ては他の一坪共有地は取得することはできず成田空港は完成しないしたがって,分割された場合の経済的価値は低い。 h分割方法についての共有者の希望及びその合理性について被告らは,そもそも共有関係の解消を望んでおらず,全面的価格賠償の方式に絶対反対である。被告らは,先祖伝来の土地や心血を注いで開拓した土地を死守するために上記希望を有しているから,これは合理性かつ正当性を有しているものである。 i実質的公平性について共有物の価格が適正に評価され,当該共有物を取得する者に支払能力があることにより,共有者間の実質的公平を保障するという判断枠組は,当該共有物の持分が金銭的に評価されうるものであり,共有者の一方が共有物を取得する代わりにその代価として他方の共有者に対して金銭を交付することによって全体的にみれば実質的公平を図ることのできる状況であることが前提にあるが,本件においては,農民で 共有者の一方が共有物を取得する代わりにその代価として他方の共有者に対して金銭を交付することによって全体的にみれば実質的公平を図ることのできる状況であることが前提にあるが,本件においては,農民である被告らにとって何物にも代え難い農地を所有するという生存権的な権利をその対象としており,金銭で交換することのできるものでは全くないから,実質的公平の存立する基盤がそもそも存在しない。 第3争点に対する判断 争点ⅰ(本件訴訟提起が権利の濫用にあたるか)について(1)証拠によれば,被告らは成田空港建設に絶対反対の立場を鮮明にしていること,原告は,被告らの上記態度から,本件各土地について被告らから任意に取得する見込みは全くなく,全面的価格賠償の方式による共有物分割を行って単独の所有権を取得する以外に本件各土地における必要な工事等を進める方法はないと考えていることが認められる。 (2)被告らは,成田空港の工事実施計画の認可処分及び事業認定処分が違- 34 -法であること,上記事業認定処分は失効したこと,空港公団が基本計画を白紙に戻す提案を受諾したのに上記計画を実施すべく本件訴訟を提起したことが信義則に反すること,成田空港建設自体が違法であること,B’滑走路の建設・運行供用が違法であること,原告代表者自身がB’滑走路の建設について謝罪をしたにもかかわらずそのB’滑走路を建設するために本件訴訟を提起していること,本件訴訟を提起してもC滑走路の建設には無意味である,,,こと等から原告の本件訴訟提起が反対同盟の構成員である被告らを困惑動揺させ,重圧を加えることなどを目的としており,権利の濫用にあたる旨主張する。 空港公団が,運輸省,千葉県及び反対同盟(熱田派)とともに参加した成田空港問題シンポジウム及び成田空港問題円卓会議において,2期工事 を加えることなどを目的としており,権利の濫用にあたる旨主張する。 空港公団が,運輸省,千葉県及び反対同盟(熱田派)とともに参加した成田空港問題シンポジウム及び成田空港問題円卓会議において,2期工事については白紙に戻す旨の提案を受諾し,また,地元住民との話合いにより整備のための用地取得を進めていく旨の提案を受諾していることは前記第2の1(2)イ及びウのとおりである。しかし,前記第2の1(2)ウの円卓会議における合意から10年以上経過する中で,航空旅客数は飛躍的に増加し,成田空港の整備は喫緊の課題となっていることも明らかであり,これに対して被告らは上記シンポジウム及び円卓会議に参加することもなく,被告らが原告に任意に本件各土地の持分を譲渡する可能性は全く認められない。そこで原告は,土地提供者から共有持分権の譲渡を受けていた共有持分権者の大半から持分を取得した本件各土地について,民法所定の共有物分割訴訟を提起したのであり,共有物分割訴訟は,裁判所が共有者である両当事者の状況,,を非訟的に検討し裁量によって公平な分割の方法を定めるものであるから原告が本件各土地について共有物分割請求をすることが強制的な私的収用であるということはできない。 成田空港の建設に関しては,建設大臣(当時)がした土地収用法に基づく事業認定処分及び特定公共事業認定について適法性が争われた事案について- 35 -最高裁判所平成15年12月4日判決において,また,運輸大臣がした工事実施計画認可処分等について適法性が争われた事案について最高裁判所同月18日判決において,それぞれ適法である旨判断がされ,これらの判決は確定している。その他被告らは成田空港建設自体又はB’滑走路の建設・運行供用の違法性を主張するが,成田空港の建設自体又はB’滑走路の建設・運行供用の実態に本件 適法である旨判断がされ,これらの判決は確定している。その他被告らは成田空港建設自体又はB’滑走路の建設・運行供用の違法性を主張するが,成田空港の建設自体又はB’滑走路の建設・運行供用の実態に本件共有物分割請求を妨げる事由があるとは認められない。 また,本件において共有物分割後の土地利用の実効性いかんによって,原告の民法所定の共有物分割請求権の行使自体が否定されるものではないから,原告が本件共有物分割訴訟により本件各土地を取得することが,成田空港・B’滑走路の建設を可能とするものではない旨,C滑走路の建設には無意味である旨の被告ら主張は当を得ないものである。 そして,原告は新空港建設に必要不可欠な土地であるとして本件訴訟を提起しているところ,原告が被告らを困惑,動揺させ,重圧を加えることその他の不当な目的で提訴したことをうかがわせる事情を認めることもできない。 (3)したがって,原告の本件訴訟の提起が権利の濫用にあたる旨の被告らの主張は,採用することができない。 争点ⅱ(土地をもつ会」は組合か)について「(1)証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア昭和40年11月18日,新東京国際空港関係閣僚協議会が新空港の候補地を富里地区とする旨内定したことを受け,以前から新空港反対の運動を展開していた富里地区及び八街地区住民による反対運動は一層激化した。 イ富里地区及び八街地区住民により結成された富里空港反対期成同盟は,昭和41年4月9日,その役員会において,上記アの富里空港反対運動の一環として,弁護士S1,同S6ら及び日本社会党参議院議員S2らの提- 36 -唱により,一坪共有運動を展開することを決定し,大要下記の内容の「富里地区に土地をもつ会」会則を設けた。 記(ア)富里空港予定地内の共有地を管理し使用する 社会党参議院議員S2らの提- 36 -唱により,一坪共有運動を展開することを決定し,大要下記の内容の「富里地区に土地をもつ会」会則を設けた。 記(ア)富里空港予定地内の共有地を管理し使用することを目的とする。 (),()。 イ本会は上記アの土地の共有者である会員をもって組織する(ウ)会員は,上記(ア)の目的達成に必要な経費として一人300円を負担する。 (),。 エ会員は共有地の維持管理を損なう一切の行為をしてはならない(オ)会員は,会の共有地に対する持分を処分したり,清算前に会の共有地の分割を求めてはならない。 (カ)会員は,会の運営について意見を述べることができる。 (キ)会員は,会の業務及び財産の状況を検査することができる。 (ク)本会は,業務の執行のために,理事若干名による理事会をおく。 理事会の互選により会長を選ぶ。会長は会を代表する。 (ケ)理事会は,会員に対し,原則として毎年1回,会の業務及び財産の状態を報告しなければならない。 (コ)本会は,富里空港建設の予定が,完全に撤廃されるまで存続し,会員は存続期間内には任意に脱退することはできない。 (サ)会員は,死亡又は3分の2以上の理事による脱退の許可及び除名決議により脱退する。 (シ)会員が脱退したときは,共有地の持分は,元の土地提供者に対し放棄するものとする。 (ス)本会は,富里空港建設の予定が,完全に撤廃されたときは解散するものとする。 (セ)本会が解散したときには,会員はその共有地の持分を元の土地提供者に対し放棄するものとし,直ちにその旨所有権移転の登記手続をす- 37 -るものとする。 ウ上記イの会則を起草したS2は,共有者が第三者に土地を売ることができないようにし,また,空港を建設させないという目的を達成して「富里 にその旨所有権移転の登記手続をす- 37 -るものとする。 ウ上記イの会則を起草したS2は,共有者が第三者に土地を売ることができないようにし,また,空港を建設させないという目的を達成して「富里地区に土地をもつ会」が解散した場合に土地提供者に土地を返すことができるようにするために,会則の規定を工夫する必要性を感じ,即決和解の制度を利用することによってそれを可能にすることができると考えた。 S1は,S2から上記会則の原案を見せられ,空港公団へ用地を譲渡することを予防する法的措置として「富里地区周辺に土地をもつ会」を民,法上の組合と構成することとした。 エ富里地区における一坪共有運動を進めるために作成された案内書には,一坪共有運動が「富里地区に土地をもつ会会則」に従って「富里地区に土地をもつ会」の会員になることを意味すること,これによって富里空港予定地に共有地を確保して政府の「強行突破(閣議決定,公団発足,土地」収用)を防ぐことができ,仮に政府が「強行突破」したとしても政府・空港公団は全国に散らばる共有者一人一人を土地収用のための交渉の相手方としなければならずその事務的法的手続が極めて複雑となることから土地取得を事実上不可能とすることができる効果がある旨記され,そのための手続としては,住民票の交付を受け,訴訟委任状及び登記委任状へ必要事項を記載し,また上記登記委任状に貼付されている収入印紙に割印等をすること,300円の負担金(土地購入代金及び登記,訴訟その他の費用)を支払うことが必要である旨記載されている。 オ富里空港建設予定地内の2筆の土地が一坪共有地として提供されたが,,,,これらについて土地提供者と共有名義人らは佐倉簡易裁判所において土地提供者に対しその提供した土地について一切の処分を禁じまた富,,「里地区 の土地が一坪共有地として提供されたが,,,,これらについて土地提供者と共有名義人らは佐倉簡易裁判所において土地提供者に対しその提供した土地について一切の処分を禁じまた富,,「里地区に土地をもつ会」が解散したときは共有名義人の共有地に対する持分権がすべて土地提供者に帰属し,共有名義人は土地提供者に対し所有権- 38 -移転登記手続をしなければならないことを内容とする即決和解を成立させた。 共有名義人らの代理人を務めたS1は,上記即決和解の申立書中請求の原因において,土地提供者及び共有名義人が「土地委員会会則「富里」,」「」,地区に土地をもつ会会則及び土地所有権一部移転売買契約書により土地提供者が同会(組合)のため土地を出資し,共有名義人及び土地提供者は共有者となった旨,富里地区の土地を共同所有することは新空港の富里地区への設置反対の実をあげることを目的としている旨記載した。 上記「土地所有権一部売買土地共有契約書」第3条には,共有持分権者は一坪共有地について利用その他いかなる占有をも行わない旨の規定がされた。 カ昭和41年6月22日佐藤栄作首相当時と友納武人千葉県知事当,()(時)との間で成田市三里塚を中心とする地に新空港を建設することが合意され,同年7月4日,新東京国際空港関係閣僚協議会で新空港を成田市三里塚町を中心とする位置に建設することが内定され,閣議決定がされた。 上記決定を受け,これに反対する三里塚国際空港反対同盟と芝山町反対期成同盟とが合同して三里塚・芝山連合空港反対同盟が結成され,その結成集会の際,富里と同じく一坪共有運動を行うことが決定された。反対同盟顧問弁護士S1,同S6らは「富里地区に土地をもつ会」の会則と同内容である「三里塚地区周辺に土地をもつ会」会則を設け,また その結成集会の際,富里と同じく一坪共有運動を行うことが決定された。反対同盟顧問弁護士S1,同S6らは「富里地区に土地をもつ会」の会則と同内容である「三里塚地区周辺に土地をもつ会」会則を設け,また「富里地区に土地をもつ会」と同様の書式を備えた。 キ一坪共有運動に提供された成田空港建設予定地内の土地について,土地提供者と共有名義人との間で,上記オと同様の内容(ただし,富里に関する部分は,三里塚に置き換えられる)の即決和解がされた。 。 クなお「富里地区に土地をもつ会」については,富里地区における空港,問題が終了したことから,主な会員らによる解散式が行われた。 - 39 -富里空港予定地内の2筆の一坪共有地の登記は,一方は昭和45年3月6日受付で共有名義人の持分放棄を原因とする持分全部移転登記が,他方は昭和48年2月14日受付で昭和42年7月5日組合解散を原因とする共有者全員持分移転登記がされた。 ケ一坪共有運動は次のような手続により進められた。すなわち,まず,被告a1や部落の責任者が,土地を一坪共有運動に提供する者が現れたという情報を反対同盟の構成員に知らせ,同構成員が当該提供予定者のもとに,,赴きその意思を確認して土地の登記済証の内容及び現地の状況を確認し登記簿謄本の交付を受け,その了解を得て登記済証のコピーを得た。そして,それらを共有名義人になる候補者のもとへ持参し,共有名義人になるよう勧誘した。新しく共有名義人になる者は,住民票及び300円の会費を構成員に交付し,入会申込書に貼ってある収入印紙に実印を押すなどの手続をした。構成員は,このような書類が集約できると,上記書類を持参して再び土地提供予定者のもとを訪れ,登記をするために登記済証と実印を借り,また,これらを借りることができない場合は司法書士方への同行を依頼し,登 員は,このような書類が集約できると,上記書類を持参して再び土地提供予定者のもとを訪れ,登記をするために登記済証と実印を借り,また,これらを借りることができない場合は司法書士方への同行を依頼し,登記手続を終えると登記済証と実印を土地提供者に返した。 コ「土地をもつ会」の理事会は,反対同盟の本部役員が兼務していた。 サ被告a8は平成10年6月29日に土地の共有者となる前の昭和41年に入会し,昭和58年ころからは会の役員をしている。また,S7は,共有登記名義人ではないが会員として扱われている。 (2)上記(1)及び前記第2の1の事実に基づき,検討する。 ア民法の規定する組合であるというためには,複数の当事者がそれぞれ出資をして,共同の事業を営むことについて意思を合致させて規約を定めることが必要である。 被告らは「土地をもつ会」が成田空港建設に反対し,その用地を取得,させないようにすることを目的として設立された民法の規定する組合であ- 40 -り,その会則は民法上の組合の規定を踏まえて制定された組合としての規約である旨主張するところ「土地をもつ会」の会則には,目的条項や,,会員の出資,業務財産状況の検査,共有地の維持管理を損なう一切の行為や分割請求の禁止などの条項,解散条項などの民法上の組合の規定に関する条項があること(上記(1)イ,カ,会員となる者が300円の金員)出捐や土地の提供などをしていること(上記(1)ケ,また,申立書の)請求の原因中に「土地をもつ会」について「右会(組合」との記載があ),((),)る即決和解が申し立てられ即決和解が成立したこと上記 オキなどの上記主張に沿うような事情がある。また「土地をもつ会」が内容,を踏襲した「富里地区に土地をもつ会」においては,実際に富里空港建設の予定が し立てられ即決和解が成立したこと上記 オキなどの上記主張に沿うような事情がある。また「土地をもつ会」が内容,を踏襲した「富里地区に土地をもつ会」においては,実際に富里空港建設の予定が撤廃されたことを受けて同会が解散され,一坪共有地に提供され,,た土地2筆については1筆は組合解散を原因とする持分移転登記がされ他の1筆は持分放棄を原因とする持分移転登記がされているなどの事情(上記(1)ク)もある。 イ(ア)しかし「土地をもつ会」を設立した者が,成田空港建設に反対,し,その用地を取得させないようにするために民法上の組合を設立することを企図し,民法上の組合の規定を踏まえて会則を制定したものであるから「土地をもつ会」の実態が直ちに民法上の組合であること,ひ,いては本件各土地が民法上の組合の財産であるということはできない。 「土地をもつ会」が民法上の組合であるかを判断するためには「土地,をもつ会」の実態,会員等の実際の意識がいかなるものであったかを探究しなければならない。 (イ)「土地をもつ会」の会則には,会員は必要経費300円を負担すると定められ(上記(1)イ(ウ「土地をもつ会」の会員である土)),(()()),地共有者が300円を出捐することになっており上記 イイ300円の出資だけにより会員となるとは規定されていない「土地を。 - 41 -もつ会」が踏襲した「富里地区に土地をもつ会」の一坪共有運動についての案内(上記(1)エ)によれば,300円の金員出捐は土地共有持分取得に必要な費用の交付にすぎないから,組合として共同事業を営むための出資といえるか疑問がある。 (ウ)会則には会員は清算前に会の共有地の分割を求めてはならないとの条項がある(1)イ(オ)が,民法では単なる共有地についても() ,組合として共同事業を営むための出資といえるか疑問がある。 (ウ)会則には会員は清算前に会の共有地の分割を求めてはならないとの条項がある(1)イ(オ)が,民法では単なる共有地についても()不分割の合意がされることのあることを当然の前提としている(民法256条)から,上記条項は組合契約独自の規定ということはできない。 (エ)上記(1)イ(イ)及び(ウ)のとおり「土地をもつ会」の会,則には「土地をもつ会」は土地の共有者である会員をもって組織し,,会員は必要経費300円を負担すると定められているところ,被告a8は平成10年6月29日に土地の共有者となる前の昭和41年に入会し,昭和58年ころからは会の役員をしており,また,S7は,共有登記名義人ではないが会員として扱われている(上記(1)サ。したが)って,会則によれば会員となる資格のない者も会員とする運営がされていたことになる。 この点につき,被告らは,昭和41年8月の3筆の土地の共有登記をもって母体となる「土地をもつ会」が原始組合として成立し,その後共有名義人となる多数の人々が加入していったが,土地を提供しない者も会費300円の提供や労務提供により組合に加入した旨主張する。しかし「土地をもつ会」の会員になる手続が土地の共有持分権者となるこ,とを予定するものであり(上記(1)エ,実体的にも土地提供予定者)が現れると共有名義人となる者を勧誘してこれらの者との間で当該土地の持分移転登記手続をしていたことにそぐわないし,会の解散時に会員(()())は元の所有者への持分移転登記手続をするとの会則上記1イセにも反する(300円の出捐が組合への出資といえるか疑問であること- 42 -は上記のとおりである。また,被告らの主張するとおりに原始組合。)が成立していたのであれば をするとの会則上記1イセにも反する(300円の出捐が組合への出資といえるか疑問であること- 42 -は上記のとおりである。また,被告らの主張するとおりに原始組合。)が成立していたのであれば,その後に共有名義人が加入して提供された土地は組合の財産となるのであるから,会員が脱退したときには当該共有地の持分は元の土地提供者に対し放棄するとの条項(上記(1)イ(シ)はこの前提と矛盾するものとなる。原始組合の成立及びその後)の加入という被告らの上記主張は,一坪共有地を提供した土地提供者及び当該土地の共有名義人となった者の実際の意思に合致しないものである。 (オ)さらに,各共有持分については,空港に反対する者であれば譲受け又は相続により承継することが認められていた(第2の2(2)ア(ケ)ものであるが,これは民法の組合では原則として認められない)扱い(民法676条,679条)であるし,死亡を脱退事由とする会則の規定(上記(1)イ(サ)にも反する実態であったことを示すもの)である。この点につき,被告らは,死亡組合員の脱退と相続人の加入がされたものと主張するが,会員の相続人が新たに組合加入契約を締結したことは明らかではないし,上記主張内容は,実際の会員の意識とは異なるものである(被告a1本人は「会員が)死亡した場合は,当然,(子供に引き継がれる,その子が相続する」と供述している。 。)(カ)民法の規定する組合であれば,組合員が脱退すれば,組合は脱退組合員との間で財産関係の清算をしなければならず(民法681条,)また,脱退組合員に属していた合有持分は残存組合員に配分されることになるはずである。しかし,会則にはこれに関する条項は存しないし,実際の会員の意識であったとも認められない(被告a8本人は,会員が脱退するときは「いわゆる ていた合有持分は残存組合員に配分されることになるはずである。しかし,会則にはこれに関する条項は存しないし,実際の会員の意識であったとも認められない(被告a8本人は,会員が脱退するときは「いわゆる反対同盟に返すんだ,反対同盟がまた継続,する者にやるんだ」ということが周知されていた旨供述している。 。)(キ)即決和解において組合契約の成立が主張され,これに基づいて即- 43 -決和解が成立していることについては,即決和解の手続においては,両当事者間に和解が調えばその請求原因事実を証拠上認定することなくそのまま和解を成立させることになるから,即決和解の申立てにおいて請求原因として主張されている事実を裁判所が判断したことにはならないことはいうまでもない。 また「土地をもつ会」が踏襲した「富里地区に土地をもつ会」会則,の作成の際,起草者であるS2は,空港問題が解決したときに土地提供者に持分を確実に返還できるように即決和解の制度を利用することとして会則の内容を確定したと認められるところ,即決和解を利用した目的は,土地提供者の持分を共有名義人が勝手に処分しないような制度的保障を設け,農家が大部分を占める土地提供予定者に,家産として重要な土地を安心して提供させ,他方土地提供者においても空港設置反対目的を達するために土地を処分しない義務を負うこととし,これらの義務が共有登記事項でないことからこれを明確にしておくことにあったと認め。 ,「」られるしたがって即決和解の申立書の請求原因中に土地をもつ会について「右会(組合」との記載があるからといって,即決和解を申)し立てられた簡易裁判所が,提供された土地が組合の合有財産であることを確認したということにはならない。 (ク)また「富里地区に土地をもつ会」に一坪共有地として提供され, といって,即決和解を申)し立てられた簡易裁判所が,提供された土地が組合の合有財産であることを確認したということにはならない。 (ク)また「富里地区に土地をもつ会」に一坪共有地として提供され,た土地2筆のうち1筆については組合解散を原因とする持分移転登記がされているが,他の1筆は会則に従って土地提供者に対する持分放棄を原因とする持分移転登記がされているところ,これらの土地提供者に対する持分移転登記は,富里空港建設計画が撤廃されたことから,土地提供者と即決和解で定めた持分移転の約束を履行したにすぎないのであっ,「」,て上記1筆について登記原因が組合の解散とされていたとしても登記原因は登記申請人の申請における記載事項の一つにすぎないのであ- 44 -るから,そのことにより直ちに「土地をもつ会」が民法上の組合であることにはならない。 ウそもそも,組合は目的団体の一種であり,各組合員が何らかの事業を共同の目的とすることが必要であるところ,以下に述べるとおり「土地を,もつ会」においては単に土地を共有することを目的として,これに関する協定がされたにすぎないから,共同事業の存在という民法所定の組合成立に必要な要件が満たされているとは認められない。 すなわち「土地をもつ会」が踏襲した「富里地区に土地をもつ会」は,一坪共有運動をする者(共有者となる者)をその会員とし,富里地区を空港予定地とする案を撤廃させるために富里空港予定地に共有地を確保して政府の強行突破(閣議決定,公団発足,土地収用)を防ぐこと,仮に政府が強行突破しても事務的法的手続を複雑にすることにより土地取得が事実上不可能となることをねらいとした。 反対同盟においても,一坪共有運動を推進することがその結成集会で決議され,成田空港建設に反対する上記反対同盟の活動の一つ 的手続を複雑にすることにより土地取得が事実上不可能となることをねらいとした。 反対同盟においても,一坪共有運動を推進することがその結成集会で決議され,成田空港建設に反対する上記反対同盟の活動の一つとして,成田空港建設を困難にするためにこれを行うこととされた。そして「土地を,もつ会」はその会則上,成田空港予定地内の共有地を管理し使用することを目的とし,土地の共有者である会員をもって組織するとされ,反対同盟,,,の活動をしていた者が土地提供者になる者を探して土地の提供を受け共有名義人になる者を勧誘し,書類をとりまとめるというような手続で行われており,このように反対同盟の活動の一環として行われた結果形成された組織が共有地を管理し使用することを目的とする「土地をもつ会」であった。 以上によれば,被告らがいう空港建設に反対する活動が反対同盟としての活動とは別個の団体によるものということは困難であり「土地をもつ,会」の目的は一坪共有地を作出すること,すなわち一坪共有地を共有し管- 45 -理するという共有物の使用方法を協定したものにすぎない「土地をもつ。 会」の構成員には空港建設反対という共通の目標があったとしても,会則では飽くまでも「共有地を管理し使用することを目的とする」と規定されている。 本件土地共有者による共有は,空港公団による空港用地取得を困難にする手段として,空港建設反対運動に共感した者から所有土地の提供を受けた多数の共有者が共有しているにすぎず,上記の共通の目標があるものが共有持分権者となっていたとしても,土地を所有することを超えた何らかの事業目的があるとは認められない。マンション(区分所有建物)の管理組合がその構成員である区分所有者による住居,店舗又は事務所等の専有部分の利用の便のために共有部分の管理などをすること 超えた何らかの事業目的があるとは認められない。マンション(区分所有建物)の管理組合がその構成員である区分所有者による住居,店舗又は事務所等の専有部分の利用の便のために共有部分の管理などをすることに関して存在しているのとは異なるものである。上記のとおり「土地をもつ会」は空港反,対という究極の目標を共通にする者が構成員となり,空港公団に空港用地を渡さないためにその構成員が一坪共有地を共有するものであるから,本件各土地の一部に一時期建造物が建てられ又は農作業をされたことは土,「地をもつ会」の土地利用の目的の実現ということはできない「土地をも。 つ会」が平成11年から毎年定期的に複数の一坪共有地の現状確認行動をしているということも本件土地に関する事業というものではない。 エ被告らは「土地をもつ会会則」のうち,共有名義人が反対運動をやめ,る際に持分を土地提供者に放棄するとの規定を,理事会が指定した者に取得させるとの規定に変更したことから,組合員の地位を有しなくなった者に対する取扱いを明確にするとともに,組合財産の維持を鮮明にしたものである旨主張し,また「土地をもつ会」には活動の実態があるから確実,な基盤を有する組織体である旨主張する。 しかし,昭和53年5月の暫定開港のころから空港公団が一坪共有地の共有持分の取得を始め,持分を処分する共有登記名義人が次々に現れたこ- 46 -とに対し「土地をもつ会」が上記持分は組合の財産であるとか,共有名,義人の持分処分は組合である「土地をもつ会」に対して無効である旨の異議等を述べたことは認められない。そして,上記会則の変更があったことについては,証人S8の供述中にはこれに沿う部分があるが,改正の日時や経緯等について明確なものではなく,具体的な書面がされたとも認められない上,仮に被告らの主張 。そして,上記会則の変更があったことについては,証人S8の供述中にはこれに沿う部分があるが,改正の日時や経緯等について明確なものではなく,具体的な書面がされたとも認められない上,仮に被告らの主張するような会則の変更や活動の実態があった,,としても上記のとおり組合としての共同事業の存在が認められない以上「土地をもつ会」は民法の規定する組合であるとはいえないとの判断を左右するものではない。 オ民法専門学者の意見書及びその法廷供述中には被告らの上記主張に沿う見解が示されている。 しかし,上記民法専門学者は実際に現地に赴き,反対同盟の構成員から事情聴取をした上で上記意見書を作成し,法廷で供述をしているものであるが,本件訴訟において認定することのできない被告らの主張事実を前提にしているものであるから,その意見書及び供述に示された見解をそのまま採用することはできない。 カ以上のとおり「土地をもつ会」の実態,土地提供者及び本件各共有名,義人らの実際の意識には,民法の組合の規定を踏まえて制定された会則の条項にそぐわないものがあり,また,その会則自体も単に共有地の使用管理を事業目的とする旨規定しており,結局「土地をもつ会」は民法の規,定する組合であるということはできない。したがって,原告の本件各土地の持分取得は組合財産の取得であるから無効である旨の被告らの主張は,採用することができない。 争点ⅲ(前所有者と原告の間の各共有持分の売買契約は弁護士法72条違反により無効となるか)について(1)証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 - 47 -ア前所有者と原告との間の売買契約(ア)本件土地1関係本件土地1の土地提供者であるS3は,昭和53年5月24日,S9外14名の代理人として28分の15の共有持分を空港公団に売 。 - 47 -ア前所有者と原告との間の売買契約(ア)本件土地1関係本件土地1の土地提供者であるS3は,昭和53年5月24日,S9外14名の代理人として28分の15の共有持分を空港公団に売却した。 S3死亡後,その妻であるS4は,昭和55年11月5日,S10外28名の代理人として210分の89の共有持分を,また,昭和57年7月30日,S11の代理人として210分の1の共有持分を空港公団に売却した。 (イ)本件土地2関係本件土地2の土地提供者であるS12は,昭和56年3月25日,S,,13外29名の代理人として35分の30の共有持分を同年5月1日,,S14の代理人として315分の1の共有持分を昭和58年4月8日S15の代理人として70分の1の共有持分を,同年8月24日,S16外5名の代理人として315分の8の共有持分を,昭和62年6月19日,S17の代理人として35分の1の共有持分を空港公団に売却した。 (ウ)本件土地3関係本件土地3の土地提供者であるS5は,昭和56年3月10日,S18外20名の代理人として33分の8の共有持分を,同年4月3日,S19外6名の代理人として33分の7の共有持分を,昭和58年4月8,。 日S20の代理人として33分の1の共有持分を空港公団に売却した(エ)本件土地4関係本件土地4の土地提供者であるS21は,昭和62年3月13日,S22の代理人として21分の1の共有持分を,同年11月30日,S23の代理人として21分の1の共有持分を,昭和63年8月29日,S- 48 -24外8名の代理人として21分の9の共有持分を,同年9月7日,S25の代理人として21分の1の共有持分を,同年11月9日,S26の代理人として21分の1の共有持分を,同年12月8日,S27の代理人として21分の 人として21分の9の共有持分を,同年9月7日,S25の代理人として21分の1の共有持分を,同年11月9日,S26の代理人として21分の1の共有持分を,同年12月8日,S27の代理人として21分の1の共有持分を空港公団に売却した。 (オ)本件土地5関係本件土地5の土地提供者であるS28は,昭和61年12月19日,S29外2名の代理人として12分の1の共有持分を,昭和62年10月30日,S30の代理人として36分の1の共有持分を空港公団に売却した。 (カ)本件土地6関係本件土地6の土地提供者であるS31は,昭和55年2月14日,S32外27名の代理人として50分の27の共有持分を,昭和55年12月24日,S33外27名の代理人として3150分の467の共有持分を,同年5月1日,S34外2名の代理人として共有持分50分の3の共有持分を,同年6月22日,S35外1名の代理人として25分の1の共有持分を,同年8月1日,S36の代理人として50分の1の共有持分を空港公団に売却した。 S37は,昭和62年6月29日,S38外2名の代理人として3150分の37の共有持分を,昭和63年2月16日,S39外2名の代理人として50分の3の共有持分を空港公団に売却した。 イ上記アの各売買契約においては,共有者と空港公団との間の土地共有持分売買契約書と,共有者の土地提供者に対する上記売買契約並びに土地代金,補償金及び領収に関する一切の権限を委任する旨の委任状が作成された。これらの書類は空港公団が用意した。 ウ上記アの各売買契約において代理人となった土地提供者は自らが提供した土地以外については売買契約の代理をしてはいない。 - 49 -,,エ上記アの各売買契約による売買代金は共有者に支払われることはなく代理人となった土地提供者に支払われた。 オ は自らが提供した土地以外については売買契約の代理をしてはいない。 - 49 -,,エ上記アの各売買契約による売買代金は共有者に支払われることはなく代理人となった土地提供者に支払われた。 オ共有者であった者が当初共有者になる際の出費は300円の経費負担のみであって,それ以上の出費をした事実はない。 カ上記アの各売買契約の当事者となった共有者の意識としては,時期が来れば土地提供者に土地を返すというものであった。すなわち,証人S40の供述中には「人のもの売れないでしょう」との部分があるが,これ,。 は一坪共有者の一員であったS40は共有持分の取得に対価を払っていない,すなわち実質的には贈与により取得したことから,共有持分を処分してもS39自身はその対価を取得するつもりがなかったことを述べているのであり「時期がくれば」土地提供者に持分を戻すことはできることを,前提としているものである。 。 ,,キ土地提供者の大部分は農家であったまた土地提供者S3の妻S4は提供した土地が後に確実に返還されるかに関心があり,空港ができて航空機の飛行が始まれば返されると聞いていた。 (2)上記(1)及び前記第2の1の事実に基づき,検討する。 ア被告らは,上記(1)アの各売買契約の代理人となった土地提供者の行,「」「」為は弁護士法72条に定めるその他一般の法律事件に関する代理あるいは「その他の法律事務」に該当する行為であり,これを多数回にわたり反復的に行っており,このような行為を報酬目的をもって行っていたことから,上記各売買契約は無効である旨主張する。 イしかし,弁護士法72条により禁止されている行為については,法律事件に関する法律事務を取り扱い又はその取扱いを周旋することを業とすることすなわち反復的に又は反復継続の意思をも である旨主張する。 イしかし,弁護士法72条により禁止されている行為については,法律事件に関する法律事務を取り扱い又はその取扱いを周旋することを業とすることすなわち反復的に又は反復継続の意思をもってすること(最高裁昭和46年7月14日大法廷判決・刑集25巻5号690頁,また,報酬を)得ることを目的とすることが要件とされているところ,上記(1)アの各- 50 -売買契約の代理人となった土地提供者は,自らが所有していた土地について上記売買契約を代理したのみであって,それ以外の土地について代理をした事実は認められない(上記(1)ウ)から,自らが所有していた土地について数回にわたる共有持分の売買契約を代理していたとしても,このような売買契約の代理行為を反復的に又は反復継続の意思をもってしたものということはできない。 また,上記各代理人は確かに売買代金を受領していた(上記(1)エ)が,上記(1)アの各売買契約に至る経緯をみると,譲渡人となった共有者は,共有持分を取得する際に300円の経費負担をしたのみで売買代金自体を支払ったわけではなかったことから実質的には共有持分を贈与により取得したものというべきであり,上記共有者が一坪共有運動から脱退する際に土地提供者に対して共有持分を放棄することによって返還し,土地提供者は返還された共有持分を空港公団に売却したものであるということができる。共有者となった者の意識としては,農家にとって重要な財産である土地の提供を受けたことについて土地提供者に感謝するとともに,そのような重要な財産を土地提供者に無断で売ることはできないと考えていたことから,空港公団に一坪共有地の持分を渡す際には土地提供者に返還するというものであったと認められる。 このような実体を一回的に完結させるため,空港公団の用意した書類において はできないと考えていたことから,空港公団に一坪共有地の持分を渡す際には土地提供者に返還するというものであったと認められる。 このような実体を一回的に完結させるため,空港公団の用意した書類においては土地提供者が共有者の代理人となって共有者から空港公団に直接土地を売買したという形式とされているにすぎない。したがって,このような実質にかんがみれば,売買契約の代理人となった土地提供者が受領した売買代金は,もともと自らが取得すべきものであって,委任者からの報酬と解すべきものではない。 したがって,上記(1)アの各売買契約の代理人となった土地提供者の,,行為は業務性及び報酬目的の要件を充たしているとは認められないから- 51 -弁護士法72条に違反するものではない。 ウ以上から,上記(1)アの各売買契約の代理人となった土地提供者の行為が弁護士法72条に違反し,上記各売買契約が無効となる旨の被告らの主張は,採用することができない。 争点ⅳ(原告に裁判上の共有物分割請求権があるか)について(1)被告らは,裁判上の共有物分割請求をする要件として共有物分割に関する協議の申入れが最低限必要であるとし,これを満たしていない本件においては原告に裁判上の分割請求権がない旨主張する。 (2)しかし,共有物分割の協議ができないことが明らかな場合には分割協議を申し入れることは無意味であるから,このような申入れをしたことは裁判上の分割請求の絶対的要件ではないと解すべきところ,証拠によれば,被告らは成田空港建設に反対し,原告に空港用地を取得させないとの立場を鮮明にしているから,本件において原告が被告らとの間で本件各土地について分割協議をすることは不可能なことが明らかであると認められる。 したがって,本件において原告が被告らに対して本件各土地についての分割協 しているから,本件において原告が被告らとの間で本件各土地について分割協議をすることは不可能なことが明らかであると認められる。 したがって,本件において原告が被告らに対して本件各土地についての分割協議の申入れをすることは裁判上の分割請求をする際の絶対的な要件でなく,このような申入れをしなかったとしても,これにより裁判上の分割請求をすることが妨げられるものではない。 以上から,共有物分割についての事前の協議申入れを欠くため,原告に裁判上の分割請求権がない旨の被告らの主張は,採用することができない。 争点ⅴ(全面的価格賠償方式は共有物分割の方法として是認されるか)について(1)被告らは,全面的価格賠償の方式による共有物分割の方法が民法258条2項に定められていない新たな第3の分割方法であるとの見解を前提として,このような方法は共有者の財産権を侵害するものであるから憲法29条に違反する,裁判所の判決により民法258条2項に規定していない方法- 52 -を創設することは国会が唯一の立法機関である旨定める憲法41条に違反する,民法258条2項に規定されていない分割方法により一方的に現物分割を受ける利益を奪うものとなるから同条項に違反する,また,全面的価格賠償の方式による共有物分割を認めた平成8年判決は飽くまで現物分割方式の範囲内での金銭調整をしているにすぎない従前の最高裁判例に違背する旨主張する。 (2)しかし,民法258条2項について,すべての場合に共有物の分割方法を現物分割又は競売による分割のみに限定し,他の分割方法を一切否定した趣旨の規定であると解することはできないし,また,文理上,裁判所が競売による分割による要件を特に定めたものと読むこともできるのであるから,被告らが前提とした,全面的価格賠償の方式が同条項の予定していない全く であると解することはできないし,また,文理上,裁判所が競売による分割による要件を特に定めたものと読むこともできるのであるから,被告らが前提とした,全面的価格賠償の方式が同条項の予定していない全く新たな分割方法であるとの見解はとることはできない。 被告らは,公権力による公用収用等においても正当な補償がされることが,,必要である旨主張するが全面的価格賠償方式による共有物分割においても分割により持分を失う共有者に代償金を得させることによって,持分を全面的に取得する他の共有者との経済的均衡を図っているのであり,一方的に所有権を剥奪するというようなものではない。全面的価格賠償方式という柔軟な分割方法によって,共有状態を実効的に解消することができ,かえってその財産権を保障することができるとさえいえるのである。 このように全面的価格賠償の方式による共有物分割を認めることは,民法258条2項に違反するものではないし,民法の条項の解釈である以上,憲法41条に違反するものでもない。 また,最高裁判所には従前の判例を変更する権限があるから,平成8年判決が従前の最高裁判例に違背することを問題視する被告らの主張は失当である。なお,共有物分割において現物分割か競売かの方法に限定すると,土地については,現物分割が可能である場合には現物分割により土地の細分化が- 53 -進むことになり,建物については,区分所有が成立する場合以外には常に現物分割が不可能となって競売に付するしかなくなってしまうところ,競売における売却価格がほとんどの場合において市場価格に比べて著しく低廉であるという実情を踏まえ,柔軟な共有物分割方法として全面的価格賠償方式を認めた平成8年判決は,共有物分割の方法を柔軟化するという意味において昭和62年判例の系譜に連なるものであるといえる。 以上か あるという実情を踏まえ,柔軟な共有物分割方法として全面的価格賠償方式を認めた平成8年判決は,共有物分割の方法を柔軟化するという意味において昭和62年判例の系譜に連なるものであるといえる。 以上から,平成8年判決が違憲,違法である旨の被告らの主張は,採用することができない。 争点ⅵ(本件請求は,全面的価格賠償方式による共有物分割請求の要件を具備しているか)について(1)共有物分割の申立てを受けた裁判所としては,当該共有物の性質及び形状,共有関係の発生原因,共有者の数及び持分の割合,共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値,分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し,当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ,かつ,その価格が適正に評価され,当該共有物を取得する者に支払能力があって,他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは,共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし,これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法,すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許される(最高裁平成8年10年31日第一小法廷判決・民集50巻9号2563頁[平成8年判決]参照。 )(2)被告らは,共有物を分割するに際しては現物分割の方式が原則とされるべきであり,現物分割の方式が不可能な場合にのみ全面的価格賠償の方式による分割がされるべきである,共有者が全面的価格賠償の方式に反対である場合にはその適用を控えるべきである,また,被告らは共有持分をもつこ- 54 -と自体に価値を見いだしているのであるから,共有物分割の方法を柔軟化することが相当とされる事案とは全く異なる旨主張する。 合にはその適用を控えるべきである,また,被告らは共有持分をもつこ- 54 -と自体に価値を見いだしているのであるから,共有物分割の方法を柔軟化することが相当とされる事案とは全く異なる旨主張する。 (),,, アしかし裁判所による共有物分割の本質は非訟事件であって法は裁判所の適切な裁量権の行使により共有者間の公平を保ちつつ当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられ,このような理念をふまえて柔軟な分割方法として全面的価格賠償の方式による共有物分割が認められた経緯からすれば,現物分割が不可能であることは必ずしも必要ではなく,もろもろの要素を総合的に考慮して現物分割の方式と全面的価格賠償の方式とのいずれが相当か,どのような内容で分割するのが妥当かを裁量的に判断することができるというべきである。 イまた,共有の場合には,持分権が共有の性質上互いに制約し合う関係に立つため,単独所有の場合に比し,物の利用又は改善等において十分配慮されない状態におかれることがあり,また,共有者間に共有物の管理,変更等をめぐって意見の対立,紛争が生じやすく,いったんかかる意見の対立,紛争が生じたときは,共有物の管理,変更等に障害を来し,物の経済的価値が十分に実現されなくなる事態となるため,民法256条はかかる弊害を除去し,共有者に目的物を自由に支配させ,その経済的効用を十分に発揮させるため,各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるものとし,しかも共有者の締結する不分割契約について期間の制限を設け,不分割契約はその制限を超えては効力を有しないとして,共有者に共有物の分割請求権を保障している。このように,共有物分割請求権は,各共有者に近代市民社会における原則的形態である単独所有への移行を可 ,不分割契約はその制限を超えては効力を有しないとして,共有者に共有物の分割請求権を保障している。このように,共有物分割請求権は,各共有者に近代市民社会における原則的形態である単独所有への移行を可能ならしめ,上記のような公益的目的をも果たすものとして発展した権利であり,共有の本質的属性として,持分権の処分の自由とともに,民法において認められるに至ったものであると解される(最高裁昭和62年4月- 55 -22日大法廷判決・民集41巻3号408頁[昭和62年判決]参照。 )このような共有物分割請求権の法的性質,公益的目的に照らすと,当該共有物がその性質上分割することのできないものでない限り,共有者による共有物分割請求権を否定することはできず,また,上記アのとおり共有物分割において当事者の実質的な公平を図るための柔軟な解決方法として全面的価格賠償の方式が認められる以上,諸要素を総合考慮した結果,全面的価格賠償の方式による共有物分割が相当であると判断されれば,他の共有者がこれに必ずしも賛成していなくとも同方式による共有物分割をすることも許されるというべきである。 ウ本件において被告らが本件各土地の共有持分をもつこと自体に価値を見いだしている(原告は争うことを明らかにしない)としても,上記イの。 とおり,永遠に共有物を分割しないことは不可能である。そして,共有物分割の対象となっているのは土地であって性質上分割できないものではないから,経済的効用を十分に発揮させるよう柔軟な分割方法による分割を考えるべきである。 エ以上から,現物分割の方式が不可能な場合にのみ全面的価格賠償の方式による分割が許されるべきである,共有者が全面的価格賠償の方式に反対である場合にはその適用を控えるべきである,共有物分割の方法を柔軟化することが相当とされる事案とは全 場合にのみ全面的価格賠償の方式による分割が許されるべきである,共有者が全面的価格賠償の方式に反対である場合にはその適用を控えるべきである,共有物分割の方法を柔軟化することが相当とされる事案とは全く異なるから全面的価格賠償方式による共有物分割は許されるべきではない旨の被告らの主張は,採用することができない。 (4)特段の事情の有無についてア証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア)本件各土地の性質及び形状a本件土地1の実測面積は104.58㎡で,もともと宅地の一部を分筆した帯状の細長い傾斜地であったが,現在,窪地となっている。 - 56 -b本件土地2の実測面積は94.71㎡,本件土地3の実測面積は105.31㎡で,それぞれもともと宅地の一部を分筆した帯状の細長い斜面の土地であった。現在,原告所有の周辺地と同一レベルまで整地がされている。 c本件土地4の実測面積は372.41㎡で,もともと谷地田沿いの傾斜地で耕作にも他の用途にも適しない原野であったが,現在,原告所有の周辺地と同一レベルまで整地がされている。 d本件土地5の実測面積は137.76㎡で,もともと旧土地所有者が山林を開拓した土地であった。現在,原告所有の周辺地と同一レベルである。 e本件土地6の実測面積は118.81㎡で,もともと谷地田沿いの傾斜地で耕作にも他の用途にも適しない原野であったが,現在,原告所有地に取り囲まれた窪地となっている。 (イ)被告らは,別紙賠償額一覧表の各被告の「共有持分」欄記載のとおり,本件各土地にわずかの共有持分を有するにすぎず,共有者間の持分比率に極端な差がある。 (ウ)本件各土地は,原告が成田空港の敷地として現在管理しており,被告らが年に数回現地を見に行くほかは利用されていない。 本件各土地は,原告所有地 るにすぎず,共有者間の持分比率に極端な差がある。 (ウ)本件各土地は,原告が成田空港の敷地として現在管理しており,被告らが年に数回現地を見に行くほかは利用されていない。 本件各土地は,原告所有地に囲まれており,仮に現物分割をすることになれば,空港敷地内に被告らの所有する狭小な土地を現出させることになる。すなわち,実測面積において,本件土地1について被告a1は3.735㎡,本件土地2について被告a2は2.706㎡,本件土地3について被告a3は3.191㎡(小数点第4位を四捨五入。以下同じ,本件土地4について被告a4は17.734㎡,本件土地5に。)ついて被告は1.913㎡,被告a5は0.957㎡,被告a6は0. 718㎡,本件土地6について被告a7は2.376㎡,被告a8,被- 57 -告a9及び被告a10はそれぞれ1.188㎡,被告a11及び被告a12はそれぞれ0.594㎡を取得するにすぎない。 (エ)原告は成田空港の滑走路等の整備のため本件各土地を取得することを希望している。 イ上記ア及び前記第2の1の事実に基づき,検討する。 (ア)被告らは,全面的価格賠償方式の適用を検討するとしても,被告らは成田空港建設絶対反対の立場であり本件各土地(一坪共有地)の共有関係解消は望まない,空港建設に至った背景事情なども考慮すれば,原告の分割請求は成田空港建設反対派つぶしの一環であるから弾力的柔軟な分割を考える必要はない,持分割合等は意味を持たないなどと主張し,全面的価格賠償方式を適用するべきではないとするが,上記(3)において述べたとおり,共有物について共有関係を解消して単独所有とすることを妨げることは困難であり,解消する際には合理的な効用を重視せざるを得ないのであって,柔軟な分割方法としての全面的価格賠償方式が適用できるかを慎重な 有物について共有関係を解消して単独所有とすることを妨げることは困難であり,解消する際には合理的な効用を重視せざるを得ないのであって,柔軟な分割方法としての全面的価格賠償方式が適用できるかを慎重な裁量権の行使によって判断すべきことになる。 (イ)本件各土地についての被告らの持分は原告らと比べてわずかなもの(全体を1とすると,本件土地1においては約0.0357,本件土. ,. ,地2においては約00286本件土地3においては約00303. ,. 本件土地4においては約00476本件土地5においては合計約00260,本件土地6においては合計0.06に相当する)であり,いずれも原告所有の空港用地に囲まれた土地であるから,被告らが現物分割を受けたとしても経済的,合理的な利用価値は乏しい。これに対し,原告は増加する旅客数に対応するため空港を整備する高度の必要性があり,滑走路等の建設のために本件各土地を必要としているから,原告の希望は上記ア(ア)ないし(ウ)に照らして合理的なものといえる。 - 58 -したがって,上記アの諸事情及び上記に述べたことを総合考慮した結果,本件各土地を共有者のうちの原告に取得させるのが相当であると認められる。 (ウ)次に,不動産鑑定士S41及び同S42は,平成14年11月1日時点における本件各土地の価格につき,取引事例比較法を用いて近隣,,,地域の状況本件各土地の個別的要因を検討し1㎡当たり本件土地1,,本件土地2及び本件土地3については8万7000円相当本件土地4本件土地5及び本件土地6については6万2250円と評価したことが認められる。 上記不動産鑑定士が採用した手法及び判断の過程に不合理な点は認められないから,適正な評価といえ,別紙賠償額一覧表の「賠償額」欄記載の金額は,本件各土地の 6万2250円と評価したことが認められる。 上記不動産鑑定士が採用した手法及び判断の過程に不合理な点は認められないから,適正な評価といえ,別紙賠償額一覧表の「賠償額」欄記載の金額は,本件各土地の鑑定評価額に実測面積を掛けた額に各人の共有持分を掛ける方法により算出したもの(1円未満に端数がある場合は切上げ)であり,その価格は相当と認められる。 そして,資本金1000億円の株式会社であるという原告の規模(記録から明らかである)を考慮すると,原告には,別紙賠償額一覧表記。 載の各賠償額の支払能力があると認められる。 したがって,別紙賠償額一覧表の賠償額は適正な評価に基づき算出されたものと認められ,かつ,原告には賠償金の支払能力があると認められることから,全面的価格賠償の方式によった場合でも,当事者間の公平を害することはない。 (エ)以上から,本件においては,全面的価格賠償の方式による共有物分割が許される特段の事情があると認められ,本件各土地について全面的価格賠償の方式により,原告に本件各土地を取得させ,被告らには共有持分に応じた価格を取得させるのが相当である。 結論 - 59 -よって,共有物である本件各土地を分割して,原告の単独所有とし,原告に対して別紙賠償額一覧表の「共有者氏名」欄記載の被告らに対する「賠償額」欄記載の価格賠償を命じ,被告らに対して本件各土地に関する別紙賠償額一覧表の「共有持分」欄記載の共有持分につき,共有物分割を原因とする持分移転登記手続を命じることとして,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第1部裁判長裁判官長谷川誠裁判官泉寿恵裁判官佐久間政和は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官長谷川誠- 60 -物件目録 所在千葉県成田市p字q地番n 長谷川誠裁判官泉寿恵裁判官佐久間政和は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官長谷川誠- 60 -物件目録 所在千葉県成田市p字q地番n番n地目宅地地積99.17㎡原告持分28分の27被告a1持分28分の1 所在千葉県成田市p字r地番n番n地目宅地地積99.18㎡原告持分35分の34被告a2持分35分の1 所在千葉県成田市p字r地番n番n地目宅地地積99.33㎡原告持分33分の32被告a3持分33分の1 所在千葉県山武郡s町t字u地番n番n地目原野- 61 -地積99㎡原告持分21分の20被告a4持分21分の1 所在千葉県成田市v字w地番n番n地目山林地積85㎡原告持分576分の561被告a1持分72分の1被告a5持分144分の1被告a6持分576分の3 所在千葉県成田市x字y地番n番n地目原野地積115㎡原告持分3150分の2961被告a7持分50分の1被告a8持分100分の1被告a9持分100分の1被告a10持分100分の1被告a11持分200分の1被告a12持分200分の1- 62 -賠償額一覧表別紙物件目録の土地共有者氏名共有持分賠償額 被告a128分の132万4945円 被告a235分の123万5422円 被告a333分の127万7636円 被告a421分の1110万3930円 被告a172分の111万9105円(不動産登記簿上の表示被告a1)’被告a5144分の15万9553円被告a6576分の 636円 被告a421分の1110万3930円 被告a172分の111万9105円(不動産登記簿上の表示被告a1)’被告a5144分の15万9553円被告a6576分の34万4665円 被告a750分の114万7919円被告a8100分の17万3960円被告a9100分の17万3960円被告a10100分の17万3960円被告a11200分の13万6980円被告a12200分の13万6980円
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