【DRY-RUN】主 文 被拘束者を釈放する。 本件手続費用は拘束者の負担とする。 事 実 請求者(被拘束者、以下同じ)代理人は、主文第一項と同趣旨の判決を求め、請
主文 被拘束者を釈放する。 本件手続費用は拘束者の負担とする。 事実 請求者(被拘束者、以下同じ)代理人は、主文第一項と同趣旨の判決を求め、請求の理由として、一、 請求者は長野県北安曇都a村bc番地を本籍として、明治一七年四月一四日に生れ、その後同県松本市大字d町e番地に住所を移し、同所において四〇年来医師として社会に貢献して来た者であるところ、請求者の長男Aは、請求者の多少の蓄財を請求者が費消することを心良からず思い、昭和二六年一二月請求者に睡眠剤を与え同人が覚醒した時は既に精神病者として桜ヶ丘保養院に入院させられていたのである。 二、 しかしながら、請求者は精神病院に強制収容を要する強度の精神病者でないのみならず、仮に隔離を必要とする精神病者であるとしても、かかる者を精神病院に入院させるには精神衛生法に基いてなされることを要すべきところ、右病院は請求者の同意なきにかかわらず、同人の長男Aを保護義務者と認め、同人の同意により入院させたが同法第二〇条第二項第四号によれば、保護義務者が数人あるときは、家庭裁判所によつて選任された者が保護義務者となるのであつて、請求者には配偶者は四年前に死亡して既になく、長男A次男B、三男C、四男D、五男E、長女F、次女Gの七人がありいずれも成年に達しており、しかも、Aは右数人の扶養義務者のうちから家庭裁判所によつて選任せられたものでないにかかわらず、拘束者は右Aの同意によつて請求者を入院させたのは、明らかに精神衛生法第三三条に違反しているのであつて、請求者は昭和二六年一二月以来満二箇年にも及ぶ年月を右病院の一室に入れられたまま、外部との交通を遮断され、法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束され現在に及んでいるのであるから、人身保護法第二 者は昭和二六年一二月以来満二箇年にも及ぶ年月を右病院の一室に入れられたまま、外部との交通を遮断され、法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束され現在に及んでいるのであるから、人身保護法第二条によつて請求者の釈放を求めるため本申請に及んだ。と述へ、疏明として、甲第一、二号証を提出した。 拘束者は、請求者の請求を棄却し、請求者を拘束者に引き渡す旨の判決を求め、答弁として、請求者の主張する事実中、拘束者が請求者をAの同意により昭和二六年一二月一六日午前五時三〇分請求者主張の病院に入院させたこと及び右入院は、請求者に睡眠薬を与え意識不明裡に行われたことはこれを認める。拘束者は、Aが請求者の扶養義務者であり且つ保護義務者であると称して請求者の入院を依頼してきたので、同人を保護義務者と認め診察の結果請求者を精神障害者であると診断し請求者の同意がなかつたが入院せしめたものである。請求者の病状は入院以来躁鬱病の非定型なものであつたが、昭和二十八年四月以来躁鬱状態より偏執病様の状態となつた。この状態は自分が思考していることは、すべて自分に有利に事が運ばれるものと思考し、これに反する意思を有すると思われる者に対し、怨みを抱くという性質のものであり、請求者は自己が病気だとは少しも考えていないのに、自分を入院させたのは長男Aが主謀者となつてしたものであると考え、同人に対し怨みを抱いている模様である。しかし請求者は病院内においては乱暴等は一切せず又病院を出て他人に暴力を加えるようなことはしない。拘束者としては、請求者を一応退院させ、その病状を試してみたい意図を有しているが、保護義務者たるAの同意がないため、退院させることができかねていると述べ、甲第一、二号証の成立を認めた。 理由 拘束者が請求者を昭和二六年一二月精神障害者と 有しているが、保護義務者たるAの同意がないため、退院させることができかねていると述べ、甲第一、二号証の成立を認めた。 理由 拘束者が請求者を昭和二六年一二月精神障害者として医療及び保護のため入院せしめる必要があると認め、その長男Aの同意により桜ヶ丘保養院に入院させ尓来同人の自由を拘束していること、及び右入院は請求者に睡眠剤を与えてその意識不明裡に行われたものでもとより請求者の同意かなかつたものであることは、当事者間に争のないところである。凡そ精神病院の長が精神障害者を、その私的な医療及び保護のため、入院させることができるためには、本人の同意がない場合必ずその保護義務者の同意を要することは、精神衛生法<要旨>第三三条の規定するところであつて、同条所定の同意を要する保護義務者とは同法第二〇条により定まる最先</要旨>順位者たるものというべく、右第二〇条第二項第四号に規定する第四順位の扶養義務者が数人ある場合にはその中から家庭裁判所において選任した者が第四順位の保護義務者となるものと解すべきである。しかるに本件請求者の保護義務者たるべき者としては扶養義務者たる長男A、次男B、三男C、四男D、五男清登、長女F、次女Gがあり、これらの者より先順位の後見人、配偶者及び親権を行う者がないことは、拘束者の明らかに争わないところであるにかかわらず、右数人の扶養義務者の中から長男Aが家庭裁判所において第四順位の保護義務者をして選任せられたことについては、これを認めるに足るなんらの証拠がない。しからば、精神衛生法第三三条により、Aの同意により請求者を入院させたのは、同意権限のない者の同意によつて入院させたものであつて、請求者は正当の手続によらないでその自由を拘束されているものといわなければならない。 よつて請求者の本件請求は理 により請求者を入院させたのは、同意権限のない者の同意によつて入院させたものであつて、請求者は正当の手続によらないでその自由を拘束されているものといわなければならない。 よつて請求者の本件請求は理由があるものと認め、手続費用につき人身保護法第一七条、民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判長判事角村克己判事菊池庚子三判事吉田豊)
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