主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 原告の請求の趣旨(1)被告が原告に対し平成14年8月5日付けでなした,住民基本台帳法に基づく住民票コード付与処分を取り消す。 (2)訴訟費用は被告の負担とする。 被告の本案前の答弁(1)本件訴えを却下する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 被告の本案の答弁(1)原告の請求を棄却する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 第2事案の概要本件は,平成11年法律第133号によって改正された住民基本台帳法(以下「住基法」あるいは単に「法」という。)に基づき設置された住民基本台帳ネットワーク(以下「住基ネット」という。)が,原告のプライバシー権,氏名権,公権力による包括的管理からの自由を侵害し,あるいは侵害する危険性を有するものであるとして,大分県別府市に居住する原告が,被告に対し,自己に対する住民票コード付与行為(以下「本件行為」という。)の取消しを求めた事案である。 前提事実(当事者間に争いがないか,括弧内記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)住基ネットの概要 ア本人確認情報の意義住民票には,法7条各号に定められた事項が記載されるが,「本人確認情報」とは,住民票の記載事項のうち,氏名,出生の年月日,男女の別,住所及び住民票コード並びにその変更情報(法30条の5第1項)をいう。 ここで,「変更情報」とは,①住民票の記載,消除若しくは記載の修正を行った旨又は住民票コードについて記載の修正を行った旨,②転入,転出,出生,死亡等住民基本台帳法施行規則(平成11年自治省令第35号。 以下「施行規則」という。)5条(平成15年5月12日総務省令第83号(同年8月25日施行 ついて記載の修正を行った旨,②転入,転出,出生,死亡等住民基本台帳法施行規則(平成11年自治省令第35号。 以下「施行規則」という。)5条(平成15年5月12日総務省令第83号(同年8月25日施行)による改正後の11条)に定める事由,③その事由が生じた年月日等をいう(住民基本台帳法施行令(昭和42年政令第292号。以下「施行令」という。)30条の5)。 イ住民票コード(ア)住民票コードの意義住民票コードとは,全国を通じて重複しない番号,記号その他の符号であって,無作為に作成された10桁の数字及び1桁の検査数字(施行規則第1条)からなり,住民票の記載事項とされているものである(法7条13号)。 (イ)住民票コードの指定都道府県知事は,その区域内の市町村長が住民票に記載することのできる住民票コードを指定し,市町村長に通知する(法30条の7第1項)。都道府県知事は,住民票コードの指定を行う場合には,あらかじめ他の都道府県知事と協議し,市町村長に対して指定する住民票コードがそれまでに指定された住民票コード又は他の都道府県知事が指定しようとする住民票コードと重複しないように調整を図るものとされている(同条2項)。 ウ本人確認情報の提供及び利用等 (ア)市町村長の都道府県知事への本人確認情報の通知・保存a通知市町村長は,住民票の記載,消除又は氏名,生年月日,性別,住所及び住民票コードの全部若しくは一部について記載の修正を行った場合には,当該住民票の記載に係る本人確認情報を都道府県知事に通知する(法30条の5第1項)。 b保存市町村長から通知を受けた都道府県知事は,施行規則で定めるところにより,当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し,これを通知の日から政令で定める期間保存しなければならない(同条3項)。 (イ) 村長から通知を受けた都道府県知事は,施行規則で定めるところにより,当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し,これを通知の日から政令で定める期間保存しなければならない(同条3項)。 (イ)他の市町村の市町村長等に対する本人確認情報の提供市町村長は,他の市町村の市町村長その他の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったときは,条例で定めるところにより,本人確認情報を提供する(法30条の6)。 (ウ)都道府県知事の行う本人確認情報の提供a国の機関又は法人に対する提供都道府県知事は,法別表第1の上欄に掲げる国の機関又は法人(以下「国の機関等」という。)から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し,住民の居住関係の確認のための求めがあったときに限り,施行令で定めるところにより,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする(法30条の7第3項)。 b当該都道府県の区域内の市町村の市町村長等に対する提供都道府県知事は,以下のいずれかに該当する場合には,施行令又は又は条例で定めるところにより,当該都道府県の区域の市町村の市町村長その他の執行機関(以下「区域内の市町村の執行機関」とい う。)に対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする(法30条の7第4項)。 (a)区域内の市町村の執行機関であって法別表第2の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき(同項1号)(b)区域内の市町村の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき(同項2号)(c)当該都道府県の区域内の市町村の市町村長から住民基本台帳に関する事務の処理に関し求めがあったとき(同項3号)c他の都道府県の都道府県知事等に対する提供都道府県知事は,以下のいず 項2号)(c)当該都道府県の区域内の市町村の市町村長から住民基本台帳に関する事務の処理に関し求めがあったとき(同項3号)c他の都道府県の都道府県知事等に対する提供都道府県知事は,以下のいずれかに該当する場合には,施行令又は又は条例で定めるところにより,他の都道府県の都道府県知事その他の執行機関(以下「他の都道府県の執行機関」という。)に対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする(法30条の7第5項)。 (a)他の都道府県の執行機関であって法別表第3の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき(同項1号)(b)他の都道府県の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき(同項2号)(c)他の都道府県の都道府県知事から法30条の7第10項に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき(同項3号)d他の都道府県の区域内の市町村の市町村長等に対する提供都道府県知事は,以下のいずれかに該当する場合には,施行令又は条例で定めるところにより,他の都道府県の区域内の市町村の市町村長その他の執行機関(以下「他の都道府県の区域内の市町村の執行機 関」という。)に対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする(法30条の7第6項)。 (a)他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の執行機関であって法別表第4の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき(同項1号)(b)他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき(同項2号)(c)他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の執行機関 の区域内の市町村の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき(同項2号)(c)他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の執行機関から住民基本台帳に関する事務の処理に関し求めがあったとき(同項3号)e都道府県における本人確認情報の利用都道府県知事は,次のいずれかの場合には,保存期間に係る本人確認情報を利用することができる(法30条の8第1項)。 (a)法別表第5に掲げる事務を遂行するとき(同条1号)(b)条例で定める事務を遂行するとき(同条2号)(c)本人確認情報の利用につき当該本人確認情報に係る本人が同意した事務を遂行するとき(同条3号)(c)統計資料の作成を行うとき(同条4号)f当該都道府県の執行機関に対する提供都道府県知事は,都道府県知事以外の当該都道府県の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったときは,条例で定めるところにより,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする(法30条の8第2項)。 g住基ネットの利用可能な事務なお,上記a,b(a),c(a),d(a)及びe(a)に係る本人確認情報 の提供については,住基ネットを利用することが可能な事務が,従来の93事務から293事務に増加している。 h国の行政機関による本人確認情報の資料提供の求め国の行政機関は,その所掌する事務について必要があるときは,都道府県知事に対し,保存期間に係る本人確認情報に関して資料の提供を求めることができる(法37条2項)。 エ本人確認情報の保護に関する措置(ア)住基ネット運営主体に課した義務とその確保手段a安全確保措置を講じる義務都道府県知事,指定情報処理機関は,通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等(電子計 本人確認情報の保護に関する措置(ア)住基ネット運営主体に課した義務とその確保手段a安全確保措置を講じる義務都道府県知事,指定情報処理機関は,通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等(電子計算機処理又はせん孔業務その他の情報の入力のための準備作業若しくは磁気ディスクの保管(法30条の17第2項))を行うに当たっては,当該本人確認情報の漏えい,滅失及びき損の防止その他の当該本人確認情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならず(法30条の29第1項),また,都道府県知事又は指定情報処理機関から通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等の委託を受けた者が受託した業務を行う場合も,これらの者に対して,同様の措置を講ずる義務を負う(同条2項)。 さらに,市町村長は,住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たっては,住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の漏えい,滅失又はき損の防止その他の住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならず(法36条の2第1項),市町村長から住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理の委託を受けた者が,受託した業務を行う場合も同様の義務を負う(同条2項)。 b本人確認情報の利用及び提供に関する義務 都道府県知事は,法30条の7第3項から第6項まで,30条の8第1項若しくは第2項又は37条2項の規定により保存期間に係る本人確認情報を利用し,又は提供する場合を除き,通知に係る本人確認情報を利用し,又は提供してはならない(法30条の30第1項)。 また,指定情報処理機関も,法30条の10第1項の規定により30条の7第3項から第6項まで又は37条2項に規定する委任都道府県知事の事務を行う場合を除き,通知に係る本人確認情報を利用し,又は提供してはならな 情報処理機関も,法30条の10第1項の規定により30条の7第3項から第6項まで又は37条2項に規定する委任都道府県知事の事務を行う場合を除き,通知に係る本人確認情報を利用し,又は提供してはならない(法30条の30第2項)。 c秘密保持義務(a)指定情報処理機関の役員若しくは職員(本人確認情報保護委員会の委員を含む。)又はこれらの職にあった者は,本人確認情報処理事務等に関して知り得た秘密を漏らしてはならない(法30条の17第1項)。指定情報処理機関から通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者も,その委託された業務に関して知り得た本人確認情報に関する秘密又は本人確認情報の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない(同条2項)。 (b)本人確認情報の電子計算機処理等に関する事務に従事する市町村の職員若しくは職員であった者又は通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等に関する事務に従事する都道府県の職員若しくは職員であった者は,その事務に関して知り得た本人確認情報に関する秘密又は本人確認情報の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない(法30条の31第1項)。市町村長又は都道府県知事から本人確認情報又は通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者も,その委託された業務に関して知り得た本人確認情報に 関する秘密又は本人確認情報の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない(同条2項)。 (c)これらの秘密保持義務に違反した者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられ(法42条),秘密を漏洩した者が公務員である場合,通常の公務員の秘密保持義務違反(国家公務員法109条12号, これらの秘密保持義務に違反した者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられ(法42条),秘密を漏洩した者が公務員である場合,通常の公務員の秘密保持義務違反(国家公務員法109条12号,100条1項,2項,地方公務員法60条2号,34条1項,2項)よりも重い罰則が科せられる。 d本人確認情報に係る住民に関する記録の保護義務都道府県知事又は指定情報処理機関の委託を受けて行う法30条の5第1項又は法30条の11第1項の規定による通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者は,その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ,又は不当な目的に使用してはならない(法30条の32)。 (イ)本人確認情報の受領者に課した義務及びその確保手段a安全確保措置を講じる義務法30条の6,30条の7第3項から第6項まで又は30条の8第2項の規定により本人確認情報の提供を受けた市町村長その他の市町村の執行機関若しくは都道府県知事その他の都道府県の執行機関又は法別表第1の上欄に掲げる国の機関若しくは法人(以下「受領者」という。)は,提供を受けた本人確認情報の電子計算機処理等を行うに当たっては,当該市町村長その他の市町村の執行機関若しくは当該都道府県知事その他の都道府県の執行機関又は当該国の機関の長若しくは法人は,受領した本人確認情報の漏えい,滅失及びき損の防止その他の当該本人確認情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない(法30条の33第1項)。受領者から受領した本人確認情報の電子計算機処理等の委託を受けた者も,受託した業務を行う場 合に同様の義務を負う(同条2項)。 b目的外利用の禁止義務本人確認情報の受領者は,処理する事務(法の定めるところにより当該事務の処理に関し本人確認 等の委託を受けた者も,受託した業務を行う場 合に同様の義務を負う(同条2項)。 b目的外利用の禁止義務本人確認情報の受領者は,処理する事務(法の定めるところにより当該事務の処理に関し本人確認情報の提供を求めることができることとされているもの)の遂行に必要な範囲内で,受領した本人確認情報を利用し,又は提供するものとし,当該事務の処理以外の目的のために,受領した本人確認情報の全部又は一部を利用し,又は提供してはならない(法30条の34)。 c秘密保持義務本人確認情報の受領者は,住基ネット運営主体の関係者と同様の秘密保持義務を負い(法30条の35),義務違反者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(法42条)。 d受領した本人確認情報に係る住民に関する記録の保護義務本人確認情報の受領者の委託を受けて行う本人確認情報の電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者は,その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ,又は不当な目的に使用してはならない(法30条の36)。 (ウ)住民票コードの利用規制等a住民票コードの告知要求制限市町村長その他の市町村の執行機関,都道府県知事その他の都道府県の執行機関,指定情報処理機関及び国の機関等は,法に規定する事務又はその処理する事務であって法の定めるところにより当該事務の処理に関し本人確認情報の提供を求めることができることとされているものの遂行のため必要がある場合を除き,何人に対しても,当該市町村の住民以外の者に係る住民票に記載された住民票コードを告知することを求めてはならない(法30条の42第1項ないし第4項)。 b住民票コードの利用制限等市町村長その他の市町村の執行機関,都道府県知事その他の都道府県の執行機関,指定情報処理機関又は国の機関等 を求めてはならない(法30条の42第1項ないし第4項)。 b住民票コードの利用制限等市町村長その他の市町村の執行機関,都道府県知事その他の都道府県の執行機関,指定情報処理機関又は国の機関等以外の者は,住民票コードの利用等に関し,以下のとおりの規制を受ける。 (a)自己と同一の世帯に属する者以外の者(以下「第三者」という。)に対し,当該第三者又は当該第三者以外の者に係る住民票コードを告知することを求めてはならない(法30条の43第1項)。 (b)その者が業として行う行為に関し,その者に契約の申込みをしようとする第三者若しくは申込みをする第三者又はその者と契約の締結をした第三者に対し,当該第三者又は当該第三者以外の者に係る住民票に記載された住民票コードを告知することを求めてはならない(法30条の43第2項)。 (c)業として,住民票コードの記録されたデータベース(第三者に係る住民票に記載された住民票コードを含む当該第三者に関する情報の集合物であって,それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの。)であって,当該住民票コードの記録されたデータベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない(法30条の43第3項)。 (d)都道府県知事は,(b)又は(c)に違反する行為が行われた場合において,当該行為をした者が更に反復してこれらに違反する行為をするおそれがあると認められるときは,当該行為をした者に対し,違反行為の中止等を勧告し,当該中止の勧告に従わないときには,都道府県の審議会の意見を聴いて,その者に対し,期限を定めて,当該勧告に従うべきことを命ずることができる(法30条の43第4項,第5項)。 (e)都道府県知事は,(d)の措置に関し必要があると認 府県の審議会の意見を聴いて,その者に対し,期限を定めて,当該勧告に従うべきことを命ずることができる(法30条の43第4項,第5項)。 (e)都道府県知事は,(d)の措置に関し必要があると認めるときは,その必要と認められる範囲内において,(b)又は(c)に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に対して,必要な事項に関し報告を求め,又は,立入検査をすることができる(法34条の2)。 (f)(d)の命令違反及び(e)の報告懈怠・立入検査拒否に対しては,それぞれ罰則((d)の違反については1年以下の懲役又は50万円以下の罰金,(e)の違反については20万円以下の罰金)を科する(法44条,47条)。 オ住民基本台帳カード住民基本台帳に記録されている者は,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し,自己に係る住民基本台帳カード(その者に係る住民票に記載された氏名及び住民票コードその他政令で定める事項が記録されたカード)の交付を求めることができる。住民基本台帳カードは,住民基本台帳事務に利用されるほか,市町村長その他の市町村の執行機関は,このカードを市町村の条例の定める目的のために利用することができる(法30条の44)。 カ住民基本台帳事務の簡素化・効率化(ア)住民票の写しの交付の特例住民基本台帳に記録されている者は,住民基本台帳カード又は総務省令で定める書類を提示して,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長以外の市町村長に対し,自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写しで,法7条5号,9号から12号まで及び14号に掲げる事項を省略したものの交付を請求することができる(法12条の2第1項)。 (イ)転出・転入手続の簡素化住民基本台帳カードの交付を受けている者等が,施 7条5号,9号から12号まで及び14号に掲げる事項を省略したものの交付を請求することができる(法12条の2第1項)。 (イ)転出・転入手続の簡素化住民基本台帳カードの交付を受けている者等が,施行令に定める一定 の事項が記載された「付記転出届」をした場合には,当該付記転出届をした日以後その者が最初に行う転入届であって,施行規則で定めるところにより,その者の住民基本台帳カードを添えて行われるものについては,転出証明書の添付を要しない(法24条の2第1項)。 (2)住基ネットの稼働と本件行為の実施住基法のうち,市町村長による住民票コードの住民票への記載,電気通信回線を通じた本人確認情報の通知,本人確認情報の提供等の制度の基本的部分に係る規定については,平成14年8月5日から施行され(以下「第1次稼働」という。),住民票の写しの広域交付(法12条の2),転出転入特例(法24条の2),住基カード(法30条の44)等に係る規定については,平成15年8月25日から施行された(以下「第2次稼働」という。)。 被告は,平成14年8月5日,第1次稼働に伴い本件行為を行い,住民基本台帳法の一部を改正する法律附則5条に基づき,同月12日付けで原告に対して住民票コードの通知を郵送し,同月13日,同通知が原告の下に到達した(甲1)。 (3)異議申立て及び審査請求原告は,同年10月3日,本件行為の取消しを求めて,被告に対して異議申立てを行ったが,同年12月16日,同異議の申立てを棄却する旨の決定を受け,さらに,同月25日,大分県知事に対して,本件行為を取り消す旨の裁決を求めて審査請求を行ったが,平成15年11月28日,同審査請求を棄却する旨の裁決を受けた(甲2~4(枝番号も含む))。 争点及びそれについての当事者の主張の要旨〔本案前の主張〕本件 旨の裁決を求めて審査請求を行ったが,平成15年11月28日,同審査請求を棄却する旨の裁決を受けた(甲2~4(枝番号も含む))。 争点及びそれについての当事者の主張の要旨〔本案前の主張〕本件行為の行政処分性について(原告の主張)住民票コードの付与は,住基法に基づき構築された住基ネットと称するコ ンピューターシステムへの登録を通じて,従来の住民基本台帳への記載とは全く異なる,法によって定められた様々な効果を発生させる行為である。その内容は,平成18年5月15日現在で,293事務について,行政機関が住基ネットを通じて本人確認情報を利用している。このように,住民票コードの付与は,憲法上の人権であるプライバシーの権利(特に,後述する自己情報コントロール権)によって保護されるべき個人識別情報について,行政機関が利用できる範囲を従来より拡大させる効果を直接もたらす行為である。 そして,紛争の実態からしても,原告は,プライバシーの権利(特に,自己情報コントロール権)の侵害を理由に,原告のみについて住基ネットからの離脱を求めているのであるから,原告に対する住民票コードの付与処分の取消しの可否を審理することが最も直截であり,取消訴訟が規定されている趣旨に適う。 よって,住民票コード付与は,処分性の要件を備え,取消訴訟の対象となるというべきである。 (被告の主張)抗告訴訟の対象となるのは,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であり,処分性が訴訟要件とされているところ,ここでいう「行政庁の処分」とは,公権力の主体たる国又は公共団体が法令の規定に基づき行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。 しかるところ,住民票コードは,住基ネット上において住民を識別するた に基づき行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。 しかるところ,住民票コードは,住基ネット上において住民を識別するための11個の数字が羅列された一種の符号にすぎないから,これが住民に対して付されたからといって,そのことで直ちにその住民の権利義務が新たに形成されたり,その住民の権利義務の範囲が確定されるような法的効果を生じるものではなく,また,そのような法的効果を認める法規も存在しない。 なお,住民票コードを付与することによって,その住民の本人確認情報に ついて,住基ネットを通じ,その住民の住所のある市町村以外の市町村の市町村長等も,その提供を受け,又はそれを利用することが可能となるが,これは,その住民に住民票コードを付与すること自体によって生じるものではなく,法の規定に従い,その住民の住所のある市町村の市町村長が住民の本人確認情報を都道府県知事に通知するなどの所定の手続が執られることに伴って生じるものであるから,市町村長が住民に対して住民票コードを付与する行為により直接生じる法的効果であるとはいえない。 また,情報漏洩の危険などは,住基ネット制度の安全性に対する措置の適否やその運用状況等のいかんに関わる問題であって,市町村長が住民に対して住民票コードを付与する行為自体により直接に生じる法的効果であるとはいえない。 したがって,被告が原告に対して住民票コードを付与した行為は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当せず,本件訴えは不適法である。 〔本案の主張〕(1)自己情報コントロール権の侵害又はその現実的危険について(原告の主張)ア自己情報コントロール権の内容憲法13条の定める幸福追求権は,包括的な権利として,新しい人権を認める場合の 主張〕(1)自己情報コントロール権の侵害又はその現実的危険について(原告の主張)ア自己情報コントロール権の内容憲法13条の定める幸福追求権は,包括的な権利として,新しい人権を認める場合の憲法上の根拠となるものであるところ,プライバシー権は,このようにして認められた新しい人権の典型例とされている。そして,プライバシー権の内容として,自己情報コントロール権が認められる。 自己情報コントロール権として保障される自己情報については,情報の性質,とくにセンシティヴ性の高低という観点から個人情報を二分し,センシティヴ性の高い情報のみが保護の対象となると考えるべきではなく,個人情報の全てが保護の対象となるものである。また,コントロールとは, 自己に関する情報を「いつ,どのように,どの程度まで,他者に伝達するかを自ら決定する」ことをいう。したがって,個人情報の収集,管理・利用,開示・提供の全てにつき,本人の意思に反してはならないことが原則とされる。 イ自己情報コントロール権の侵害本件行為は,住民各自の意思を確認することもなく,行政機関が住民に番号を付して,これに住民の情報を結合し,国や地方公共団体において管理するものであり,自己情報コントロール権を著しく侵害する処分である。 ウ自己情報コントロール権侵害の現実的危険性(ア)所要の措置の懈怠附則1条2項は,「この法律の施行に当たっては,政府は,個人情報の保護に万全を期するため,速やかに,所要の処置を講ずるものとする。」と規定している。このように住基ネットの導入に際しては,「個人情報の保護に万全を期すため」の「所要の措置」を講ずることが前提として義務付けられていた。そして,「所要の措置」とは,個人情報保護に関する法整備,住民基本台帳法におけるさらなる個人情報保護措置を講ずるための所 万全を期すため」の「所要の措置」を講ずることが前提として義務付けられていた。そして,「所要の措置」とは,個人情報保護に関する法整備,住民基本台帳法におけるさらなる個人情報保護措置を講ずるための所要の法改正を図ること等であり,より具体的には,①本来の業務処理に必要な範囲を超えた名寄せの制限,②複数の行政機関相互におけるデータマッチングの制限,③第三者機関による電子政府の監督及び監視,④罰則による担保がなされることが,国民が自己の個人情報を行政機関に委ねることができる最低限度の条件であると考えられる。政府は,少なくともこれらの施策を行うまでは住基ネットを稼働してはならないことを知悉していたにもかかわらず,この「所要の措置」を何ら講ずることなく,政令で,改正法の施行日を決め,平成14年8月5日から住基ネットの運用を開始した。また,平成15年5月には,行政機関個人情報保護法及び個人情報保護法が改正ないしは制定された ものの,これらの個人情報保護法は,最低条件として掲げた上記①ないし④の要件のうち,①ないし③については全く欠いており,④についても一定の罰則規定が導入されたものの,明白な個人的逸脱行為を対象とするに過ぎず,その規制範囲は最小限にとどまっているおり,個人情報保護法制の水準を満たしているとは到底言い難いものである。 (イ)セキュリティ対策の不十分平成15年12月16日,長野県によって発表された「市町村ネットワークの安全性」に関する調査(以下「侵入実験」という。)の結果(「市町村ネットワークの安全性調査について(速報)」)から,①長野県の特定の市町村のCSサーバが乗っ取られて踏み台となり,住基ネット網を介して別府市のCSサーバやセンターサーバ内の原告の本人確認情報が漏洩する危険,さらには住民票の広域交付の手法により原告の住 野県の特定の市町村のCSサーバが乗っ取られて踏み台となり,住基ネット網を介して別府市のCSサーバやセンターサーバ内の原告の本人確認情報が漏洩する危険,さらには住民票の広域交付の手法により原告の住民票上の情報が漏洩する危険,②長野県以外の全国3200余りの市町村にあるいずれかのCSサーバが乗っ取られることによって①同様に本人確認情報や住民票上の情報が漏洩する危険,③直接,別府市のCSサーバに不正侵入されることによって,原告の本人確認情報が閲覧,改ざん等される危険や,別府市の既存住基サーバに不正侵入されて個人情報が書き替えられて,その情報が住基ネットを通じて送信される危険などが具体的に存することが明らかとなった。 なお,侵入実験によって明らかとなった事項は概略次のとおりである。 a庁内LANへの侵入口が多数存し,侵入が容易であること。 b既存住基サーバ,庁内ウェブサーバの管理者権限奪取に成功したこと。 cCS端末及びCSサーバの管理者権限奪取に成功したこと。 dファイアウォールを突破したこと。 e地方自治情報センター(LASDEC)の住基ネット監視が不十分 であること。 (ウ)別府市における個人情報保護体制の不備別府市では,住基コード付与に伴う運用において、以下の点で,住民のプライバシーを保護する姿勢を著しく欠いているのであり、このことからも本件行為の違法性も判断されなければならない。 a職員に対して人権意識や自己情報コントロール権を含むプライバシーの権利の保障等に関する研修は行われていないこと。 b一般市民や専門家を加えた審査会を設置するなどして人権保障に万全を尽くすことをしていないこと。 c大量閲覧を禁止する要綱又は条例は制定していないこと。 d形式的な目的審査によって安易に住民の根底的プライバシーに属する事項の情報 設置するなどして人権保障に万全を尽くすことをしていないこと。 c大量閲覧を禁止する要綱又は条例は制定していないこと。 d形式的な目的審査によって安易に住民の根底的プライバシーに属する事項の情報を開示していること。 e総務省自治行政局長通知により事実上の本人確認が行われているに過ぎず、実効性に疑問があること。 f住基ネット担当職員が複数連携すれば、電算室と市民課とに分かれて無断使用が可能となること。 gサーバー及び端末について24時間ビデオ録画による警備を行うべきであるが、そのような警備はなされていないこと。 hカードの暗証番号は5桁以上とするべきであるが,そのような配慮はなされていないこと。 エ住基ネットの必要性がないこと(ア)被告の主張によると,住基ネットを「電子政府・電子自治体」の実現のための必要不可欠な制度であると位置づけたのは,平成12年ころということになるが,改正住基法の閣議決定は,それより以前の平成10年3月10日であり,国会成立は平成11年8月12日である。このように,電子政府・電子自治体構想が浮上したのは,改正住基法の成立 以後のことであり,これらの構想実現が住基法改正の目的であるかのような被告の主張は事実に反する。 (イ)多くの国民,マスコミ,与党の国会議員ですら,住基ネットの導入(住民票コード付番)に反対しており,多数の市町村もこれに反対ないし否定的であったのであるから,住基ネット導入が国民や地方公共団体の要請であるとする被告の主張は,事実に反する。 (ウ)被告は,住基ネットが公的個人認証サービスに不可欠である旨主張するが,仮にそのようなサービスが必要であったとしても,あらかじめ全国民に付番をする必要はなく,それを利用したい者だけを登録するシステムで足りる。 (エ)被告は,住基ネット導入の目 欠である旨主張するが,仮にそのようなサービスが必要であったとしても,あらかじめ全国民に付番をする必要はなく,それを利用したい者だけを登録するシステムで足りる。 (エ)被告は,住基ネット導入の目的の一つとして,行政サービスの向上を掲げ,その内容として,「住民の転入・転出事務の簡素化」「広域交付」「国の行政機関等に対する申請行為等の際の住民票の写しの添付省略」「年金受給者等の負担の軽減」「行政手続のオンライン化」などを挙げている。しかしながら,住基カードの交付を受ける意思のない国民,公的認証サービスを利用する意思のない国民,インターネットを利用した行政サービスを利用する意思のない国民,事業者ではない国民にとって,住基ネットの導入により享受する利益はほとんど考えられない。これらはいずれもその利用を望む国民のみを登録の対象とすれば足りるものである。 (オ)被告は,住基ネット導入の目的として「行政事務の効率化」も掲げているが,住基ネットは,何ら行政事務の効率化をもたらすものではなく,逆に地方公共団体に多大の経費の増大をもたらすものであり,極めて非効率的なものである。事務の効率化は,何よりもその経費の削減を目的とするものであるところ,この点に関する国の試算は,そもそも前提とする数値自体虚偽のものであるか,少なくとも恣意的なものという ほかなく,検討の資料となり得ないものである。 (カ)住基ネットは,これに参加させられることを拒否する国民に対しても一律に適用しなければならない必要性や重要性は全くないし,原告を住基ネットから離脱させたからといって,支障をきたす行政目的,損なわれる国家的利益は何もない。 (被告の主張)ア自己情報コントロール権の権利性がないことプライバシーは,憲法13条に規定された幸福追求権によって基礎付けられる法的 て,支障をきたす行政目的,損なわれる国家的利益は何もない。 (被告の主張)ア自己情報コントロール権の権利性がないことプライバシーは,憲法13条に規定された幸福追求権によって基礎付けられる法的保護に値する人格的利益ではあるが,その概念の不明確さ故にそれ自体は一個の統一的な憲法上の権利とまでは認められないというべきである。また,個人情報の開示請求権・訂正請求権といった請求権的内容を認める点には,「立法その他の国政の上で,最大限の尊重を必要とする。」という憲法13条の文言解釈を逸脱するものではないかとの疑問がある。 したがって,プライバシーの法的保護の内容は,「みだりに私生活へ侵入されたり,他人に知られたくない私生活上の事実又は情報を公開されたりしない」利益として把握されるべきであって,原告が主張するが如く,プライバシーに属する情報をコントロールすることを内容とする権利ではないというべきである。 イプライバシー権等の現実の侵害がないこと原告の主張する自己情報コントロール権説を採用している学説も,住基ネットは,原告の情報コントロール権やプライバシー権を侵害するものではないと評価している。 ウプライバシー権等の侵害の現実的危険性がないこと(ア)所要の措置が講じられていることそもそも政府は立法機関ではなく,自ら法律を制定することはできな いから,「所要の措置」は,法律案の検討,作成,国会への提出を意味することは明らかであって,政府としては,民間部門の個人情報保護制度を定めた「個人情報の保護に関する法律案」を,第151回国会において,平成13年3月27日に提出して,かかる「所要の措置」を講じている。 なお,「所要の措置」とは,民間部門における個人情報保護に関する制度についての措置を指すものであり,「行政機関の保有する電子計算機 成13年3月27日に提出して,かかる「所要の措置」を講じている。 なお,「所要の措置」とは,民間部門における個人情報保護に関する制度についての措置を指すものであり,「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」の改正を指すものではない。 すなわち,改正法成立当時,公的部門における個人情報保護制度としては「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」が存在する一方,民間部門における個人情報保護制度は存在しなかった。このような状況を受けて,政府は,住基ネットシステムの実施に当たり,「民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えること」としたのである。そして,個人情報の保護に関する法律案11条1項には「政府は,国の行政機関について,その保有する個人情報の性質,当該個人情報を保有する目的等を勘案し,その保有する個人情報の適正な取扱いが確保されるよう法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。」と定められており,この規定を受けて,公的部門の個人情報保護制度について定めた「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」等の4法案が第154回国会において,平成14年3月15日に提出されたのである。 (イ)セキュリティ対策が十分であること住基ネットは,本人確認情報の保護を最も重要な課題として,構築・運営されており,制度面からの対策,物理的な意味での外部からの侵入防止対策,電子通信回線経由による侵入への対策,内部の不正利用防止対策,外部監査等によるセキュリティの確保,住基カードのセキュリテ ィ対策など,十分な対策が講じられている。 すなわち,制度面からのセキュリティ対策としては,保有情報の制限並びに本人確認情報の利用及び提供の制限,各地方公共団体,指定情報処理機 ドのセキュリテ ィ対策など,十分な対策が講じられている。 すなわち,制度面からのセキュリティ対策としては,保有情報の制限並びに本人確認情報の利用及び提供の制限,各地方公共団体,指定情報処理機関の責任体制の確立及び第三者機関による監督,住民票コードの利用制限,緊急時における対応計画の策定等の措置が取られている。外部からの侵入防止策としては,建造物への侵入防止その他の物理的なセキュリティ対策が義務づけられ,電気通信回線経由による侵入に対する対策としては,専用回線の使用,公開鍵方式によるサーバ間の相互認証システム,通信プロトコルの制限,セキュリティホール対策,IDS(侵入検知装置)による監視とFWによる不正な通信の遮断と監視,シフトウェア統一による住基ネット全体の高度なセキュリティ確保等の措置が取られている。内部の不正利用防止対策としては,関係者に対する秘密保持義務及びその罰則による担保,指定情報処理機関に対する総務大臣による監督,照会条件の限定,操作者識別カード認証によるアクセス制御,アクセスログの定期的解析と調査,担当職員に対する教育・研修等の措置が取られている。外部監査等によるセキュリティ確保としては,指定情報処理機関と総務省の協力による各市町村におけるセキュリティ対策の自己点検の実施及び指導,外部監査法人によるシステム運用監査の実施,平成15年10月の東京都品川区におけるペネトレーションテスト(模擬攻撃)の実施による安全性の確認等の措置を講じている。 また,住基カードについても,希望者のみへの交付,記録される情報及び券面記載事項の限定,ICカードの採用による暗証番号の設定やアクセス制限の制御,カード内の記憶領域のアプリケーション毎の独立性,偽造防止策等,種々のセキュリティ対策を講じている。 (ウ)長野県侵入実験結果について 定,ICカードの採用による暗証番号の設定やアクセス制限の制御,カード内の記憶領域のアプリケーション毎の独立性,偽造防止策等,種々のセキュリティ対策を講じている。 (ウ)長野県侵入実験結果について原告は,長野県侵入実験結果を取り上げ,住基ネットシステムのセキ ュリティが脆弱である旨主張するが,同実験結果は,外部のインターネットからの庁内LANへの侵入及び庁内LANからCSセグメントへの侵入にことごとく失敗したものであり,住基ネット本体の本人確認情報に対する危険性がないことが明らかにされたものであって,わずかに,一部の市町村において,庁舎内に人間が文字どおり物理的かつ違法に侵入した上,攻撃端末が接続された場合などに,市町村の庁内LAN上にある当該市町村の住民の個人情報という限定された情報について漏洩,改ざん等の可能性があることが示されたに過ぎない。 (エ)別府市における個人情報保護体制に関する主張に対して原告は,別府市における個人情報保護体制に不備があるとして,住基ネットに係る研修の在り方や運用の仕方について論じているが,これらがなぜ住民票コードの記載の取消しの理由と位置付けることができるのか全く明らかにされていない。 なお,別府市においては,住基ネットに関わる職員等に対して,プライバシー保護の重要性等も含めて実質的な研修を行っていること,「住民基本台帳ネットワークシステムセキュリティ会議」を設置して,住基ネットに係るセキュリティ対策その他重要な事項の決定及び見直しに関する事項,同事項の遵守状況の確認に関する事項等について審議していること,住基カードを交付する際には,慎重な本人確認に努めていること,住基ネットの端末は,土日,祝日,年末,年始は起動せず,午後5時以降は速やかにシステムの停止を行っているほか,そもそも住基ネットは こと,住基カードを交付する際には,慎重な本人確認に努めていること,住基ネットの端末は,土日,祝日,年末,年始は起動せず,午後5時以降は速やかにシステムの停止を行っているほか,そもそも住基ネットは操作者識別カードの認証を経なければシステムを起動できないこと,住基ネットサーバは厳重に管理されていることが認められる。 エ住基ネットの必要性(ア)住基ネットの意義及び目的等について住民基本台帳事務については,各市町村において,早くから電子計算 機を利用した事務処理の効率化が図られ,法制度上も,昭和60年の住民基本台帳法の改正により,磁気ディスク等をもって,住民票を調整することが可能となり,平成7年4月1日現在で,全市町村の91.1パーセント,人口割合で98.7パーセントもの住民基本台帳が既に電算システムとして稼働していた。 高度に情報化された現代社会において,既に民間部門では,コンピュータ・ネットワークシステムが構築,活用されており,顧客サービスの向上や業務の効率化が積極的に進められてきている。このような中にあって,行政も,全国的な広がりをもった住民の移動や交流という実態に合わせて,行政サービスを的確かつ効率的に提供していく必要性があり,また,高齢者や被災者等の弱者に対する配慮の行き届いた社会を構築するためのセーフティネットも必要である。 そのためには,市町村や都道府県の区域を越えた本人確認システムが不可欠であり,行政部門においても,民間部門と同様に,情報通信技術を的確に活用することが必要不可欠といえる。 (イ)住民負担と行政事務の効率化・正確性の向上住基法は,住民の負担軽減,行政の効率化及び事務の正確性の向上を図るため,各市町村,各都道府県,指定情報処理機関において電子計算機を設置し,市町村長が都道府県知事に,委任都道府県知事が 正確性の向上住基法は,住民の負担軽減,行政の効率化及び事務の正確性の向上を図るため,各市町村,各都道府県,指定情報処理機関において電子計算機を設置し,市町村長が都道府県知事に,委任都道府県知事が指定情報処理機関に本人確認情報(①氏名,②出生の年月日,③男女の別,④住所,⑤住民票コード,⑥これらの変更情報)をネットワークにより通知し,それぞれ各市町村,各都道府県,委任都道府県の住民に係る本人確認情報を保存することとした。 現在,法別表に規定されている本人確認情報の提供及び利用が可能な事務は270事務であり(住民基本台帳法別表第1から別表第5までの総務省令で定める事務を定める省令),準備の整った事務から順次,住 基ネットから本人確認情報の提供が開始され(別紙1「住民基本台帳ネットワークシステムの展開」参照),既に,CS,都道府県サーバ,全国サーバから,他の市町村,他の都道府県,国の機関等に対して本人確認情報を提供する,あるいは都道府県サーバの本人確認情報を利用することにより,それぞれの事務ごとに住民に義務づけられていた申請,届出,住民票の写しの添付などの負担が解消され,行政側としても,事務効率の向上や事務の正確性の向上が実現している。 (ウ)行政手続のインターネット申請の実現a「電子政府・電子自治体」の核心は,自宅や職場から原則24時間,パソコンとインターネットを通じて行政サービスを受けることができるということである。政府では,行政情報(法律や制度・政府発表資料・統計データなど)をホームページなどで提供することを進めるほか,ほとんどすべての行政手続をインターネットを通じて行うことができるよう取り組むこととした。 b平成14年12月6日には,電子政府・電子自治体の推進のために,行政手続オンライン化関係3法(①行政手続等におけ すべての行政手続をインターネットを通じて行うことができるよう取り組むこととした。 b平成14年12月6日には,電子政府・電子自治体の推進のために,行政手続オンライン化関係3法(①行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律,②行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律,③電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律)が成立し(同年12月13日公布),行政手続について,書面によることに加え,オンラインでも可能とするための法整備が行われた。 cこれらによって,婚姻届・離婚届(年間約100万件),パスポートの交付申請(年間約500万件),戸籍謄抄本の交付請求(年間約3500万件),所得税の確定申告(年間約700万件),国民年金・厚生年金の裁定請求(年間約80万件)などがインターネットでできるようになると同時に,行政機関が住基ネットを利用して確認する ため申請・届出に際して住民票の写しの提出も不要になった(乙第9号証)。 この行政手続オンライン化関係3法の対象となるのは,国民と国や地方公共団体の行政機関との間の申請・届出等の行政手続約2万1000と行政機関の間の手続など申請・届出等以外の行政機関約3万1000の合計約5万2000の手続であって,これら法律の施行等により,平成15年度までに,これらすべての手続をオンラインにより行うことが可能となった(乙第11号証)。 これらの基盤となるのが,公的個人認証サービスであり,住基ネットはその不可欠の役割を果たすものである。 (エ)市町村のネットワーク化による住民基本台帳事務の簡素化,広域化交通や通信手段の目覚ましい発達により,住民の生活圏や行動範囲は飛躍的に増大し,市町村や都道府県の圏域を越えた住民の交流や移動が一般化している。こ ットワーク化による住民基本台帳事務の簡素化,広域化交通や通信手段の目覚ましい発達により,住民の生活圏や行動範囲は飛躍的に増大し,市町村や都道府県の圏域を越えた住民の交流や移動が一般化している。こうした状況にかんがみ,各市町村ごとに設けられている住民基本台帳の電算システムをネットワーク化し,以下のようなサービスを実施することにより,住民基本台帳事務の簡素化,広域化を実現し,もって,住民負担の軽減と行政経費の節減を図ることができる。 なお,これらのサービスは,平成15年8月25日から実施されている。 a住民の転入・転出事務の簡素化住基カードの交付を受けている者が,施行令に定める一定の事項が記載された「付記転出届」を郵送等により行った場合には,当該付記転出届をした日後その者が最初に行う転入届であって,施行規則で定めるところにより,その者の住基カードを添えて行われるものについては,転出証明書の添付を要しないこととされた(法24条の2第1項)。 また,上記の住基カードを活用した転出・転入の手続であるか否か にかかわらず,転入地の市町村長は,区域内に住所を変更した者の住民票の記載をしたときは,転出地の市町村長にその旨を通知することとされており(法9条1項),この市町村間の通信を従来の郵送に替えて電気通信回線を通じて行う(法9条3項)ことにより,事務の効率化を図ることができる。 b住民票の写しの交付の広域化住基ネットの構築により,市町村間で,ネットワークを活用した住民票情報や,転出証明書情報のやりとりが可能になり,住民は,どの市町村でも住民票を入手できるようになった。 (オ)住基カードのメリット住基カードには,前記のとおり,公的個人認証アプリケーションがプレインストールされ,電子証明書及び秘密鍵の格納媒体となるものであるが,さらに, 入手できるようになった。 (オ)住基カードのメリット住基カードには,前記のとおり,公的個人認証アプリケーションがプレインストールされ,電子証明書及び秘密鍵の格納媒体となるものであるが,さらに,①市町村が条例で定めることにより,多目的カードとして活用でき(証明書自動交付機を利用して,住民票の写し,印鑑登録証明書その他の証明書の交付を受けるサービス,申請書を自動的に作成するサービス,検診,健康診断又は健康相談の申込み,結果の照会等を行うサービス,事故,急病等で救急医療を受ける場合,予め登録した本人情報を医療機関等に提供するサービス,災害時等において,避難者情報の登録,避難場所の検索等を行うサービス,公共施設の空き照会,予約等を行うサービス,図書館の利用,図書の貸出等を行うサービス,健康保険,老人保健等の資格確認を行うサービス,介護保険の資格確認等を行うサービス,高齢者等の緊急通報を行うサービス,病院の診察券等として利用するサービス,商店街での利用に応じポイント情報を保存し,これを活用するサービス,公共交通機関の利用に係るサービス,地域通貨,電子福祉チケット等に係るサービス,公共料金等の決済に係るサービス),②カードに格納された住民票コードにより,本人確認をスピー ディーかつ確実に行うことができるなど,電子政府・電子自治体において,キーデバイスとしての役割を果たし,さらに,③公的な身分証明書としても活用できる。 (2)氏名権の侵害について(原告の主張)ア氏名権の内容憲法13条は,国民が,その有する氏名を中核として個人が個人として尊重され,他と識別され,取り扱われることを内容とする権利・利益(氏名権)をも内包するものといわなければならない。 最高裁も,氏名について「氏名は,社会的にみれば,個人を他人から識別し,特定する機能 尊重され,他と識別され,取り扱われることを内容とする権利・利益(氏名権)をも内包するものといわなければならない。 最高裁も,氏名について「氏名は,社会的にみれば,個人を他人から識別し,特定する機能を有するものであるが,同時に,その個人からみれば,人が個人として尊重される基礎であり,その個人の人格の象徴であって,人格権の一内容を構成するものというべきである。」と判示している(最高裁昭和63年2月16日第三小法廷判決)。 イ氏名権の侵害住基ネットにおいては,個人の特定は氏名によってではなく,住民票コードによって行われ,氏名は住民票コードで分類される個人情報の一つにおとしめられることになる。 このように,住基ネットは,単に氏名の不正確な呼称という問題にとどまらず,そもそも人を氏名で扱わず,番号で扱うものである上,原告の明示の意思に反するものであって,人格権の一内容である氏名権を侵害することは明らかである。 (被告の主張)住民票コードは,特定の住民の本人確認を確実かつ効率的に行うために使用される11桁の番号であって,住基ネットを稼働させる上で必要不可欠な情報(記号)であり,市町村長が都道府県知事により指定された住民票コー ドの中からその一つを選択して住民票に記載するものである。 このように,住民票コードは,住民基本台帳に記載された氏名,出生の年月日,男女の別及び住所の4情報を電子計算機及び電気通信回線を用いて効率的に送信させるために,技術上新たに設けられた符号に過ぎず,個人の人格的価値とは無関係である。 したがって,住民票コードの記載により,およそ原告の人格権も人格的利益も侵害したとはいえず,原告の主張は失当である。 (3)「公権力による包括的管理からの自由」の侵害について(原告の主張)ア公権力による包括的管理からの自由の内容立 よそ原告の人格権も人格的利益も侵害したとはいえず,原告の主張は失当である。 (3)「公権力による包括的管理からの自由」の侵害について(原告の主張)ア公権力による包括的管理からの自由の内容立憲主義憲法のもとでは,国民個人一人一人が生まれながらにして自由かつ平等であり生来の権利(自然権)を有することをその本質とし,国民個人は,主体性を持った権利者として,国家の管理の客体として扱われることを当然に拒否できるものといわねばならない。そして,「行政の全人格的な管理の客体に置かれない」権利・自由若しくは「公権力による包括的管理を拒否する」権利・自由(以下,両者を合わせて「公権力による包括的管理からの自由」という。)は,個人の人格的生存に不可欠な利益として,憲法13条によって保障される。 イ公権力による包括的管理からの自由の侵害公権力による包括的管理とは,各行政機関において,それぞれ個別に保有する国民個人に関する情報を,他の行政機関と交換するなどして有機的に統合し,いつでも利用できる状態に置くことをいう。 住基ネットシステムは,国民個人の主体性を否定し,国民個人を国家の管理の客体に置こうとするものである。すなわち,コンピュータの情報処理能力の飛躍的発達により,公的機関においても,公的関係における個人情報(住民登録,保険・年金,医療,教育,犯罪情報等)が,全て電子管 理されるようになったが,これらの情報は,国民個人がある特定の目的のために使われることに同意して提供したものであり,当該情報を有する特定の行政機関において,当該行政事務に必要最小限の範囲で管理することが許されるに過ぎない。しかし,住民票コードと各行政機関が個別に保有していた情報とが有機的に結びつくことにより,当該個人に関する情報を一元的に管理し,ひいては当該個人そのものを監 範囲で管理することが許されるに過ぎない。しかし,住民票コードと各行政機関が個別に保有していた情報とが有機的に結びつくことにより,当該個人に関する情報を一元的に管理し,ひいては当該個人そのものを監視下・支配下に置くことが可能となる。そして,住基ネットの利用が可能な事務については,今後無限定に拡大されていくことが容易に想像される。既に,当初10省庁93事務であったのが,平成14年12月には,11省庁264事務にいとも簡単に拡大されている。 このように,住民票コード付番を前提とする住基ネット稼働によって,公権力による個人の包括的管理が可能な状態となっており,住基ネットシステムを利用したくない者にまで強制的に住民票コードを付しているのであるから,公権力による包括的管理からの自由を侵害していることは明らかである。 (被告の主張)争点(2)と同様,住民票コードの記載により,およそ原告の人格権も人格的利益も侵害したとはいえず,原告の主張は失当である。 (4)住民票コード付与通知行為によるプライバシー侵害について(原告の主張)別府市は,同一世帯者全員のコード番号を,世帯主宛にまとめて「親展」と記載された圧着葉書で通知したため,原告宅には,世帯6人全員の住民票コードが記載された圧着葉書が送付されることとなり,世帯員各自の住民票コードが他の世帯員に認識される結果となった。 これは,住民票コード付与通知行為自体によってプライバシー侵害を生じさせるものである。 (被告の主張)そもそも,住民基本台帳は,住民票を世帯ごとに編成して作成されるものであるから,世帯主宛に住民票コードの通知を行ったとしても何ら問題はないというべきである。この点,法12条1項においても,「住民基本台帳に登録されている者は,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の 世帯主宛に住民票コードの通知を行ったとしても何ら問題はないというべきである。この点,法12条1項においても,「住民基本台帳に登録されている者は,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し,自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し(中略)の交付を請求することができる。」と定められ,同一世帯間では,必ずしも住民票コードは秘密とされていない。 また,住民票コードの記載と住民票コードの通知とは,法律的にも事実的にも異なるものであって,住民票コードの通知方法の在り方をもって,住民票コード付与処分自体の違法性を主張するのは論理の飛躍であり,主張自体失当である。 第3当裁判所の判断 本件行為の行政処分性について(1)行政事件訴訟法3条2項に基づく取消訴訟において対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。 (2)ところで,住基法の目的は,市町村において,住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り,あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため,住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め,もって住民の利便を増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資することであり(法1条参照),住基ネットは,この目 的の下に導入されたものである。そして,住民票コードは,無作為に作成された10桁の数字 増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資することであり(法1条参照),住基ネットは,この目 的の下に導入されたものである。そして,住民票コードは,無作為に作成された10桁の数字及び1桁の検査数字からなる11桁の符号にすぎず,市町村長が市町村の住民につきこれを選択しその住民票に記載したからといって,直接その住民についての権利義務を形成し又はその範囲を確定する効果が生じるわけではない。 以上によれば,被告による本件行為は,行政事件訴訟法3条2項に定める「行政の処分その他公権力の行使に当たる行為」には該当しないというべきである。 (3)これに対し,原告は,住民票コードの付与により,平成18年5月15日の時点で293事務について,行政機関が住基ネットを通じて個人識別情報を利用できるようになり,行政機関が利用できる範囲が従来より拡大したことなどを理由に,住民票コードの付与が,「行政の処分その他公権力の公使に当たる行為」に該当する旨主張する。 しかしながら,住基ネットの利用可能な事務が平成18年5月時点で293事務に上ることや,住民に住民票コードを付与することによって,その住民の本人確認情報について,住基ネットを通じ,その住民の住所のある市町村以外の市町村の市町村長等も,その提供を受け,又はそれを利用することが可能となることは事実であるが,これは,住民票コードを付与すること自体によって生じるものではなく,住基法の規定に従い,その住民の住所のある市町村の市町村長が住民の本人確認情報を都道府県知事に通知するなどの所定の手続が執られることに伴って生じるものである。そして,住民の住所のある市町村以外の市町村の市町村長等に対する本人確認情報の提供等については,住基法の目的に沿うものとして定められた一定の事務の処理に関してのみ認められ に伴って生じるものである。そして,住民の住所のある市町村以外の市町村の市町村長等に対する本人確認情報の提供等については,住基法の目的に沿うものとして定められた一定の事務の処理に関してのみ認められるのであるから,上記のような利用可能事務の拡大が直ちに住民のプライバシーの権利等を侵害することになるとはいえない。 したがって,住民に住民票コードを付与することが,直接その住民につい ての権利義務を形成し又はその範囲を確定するものであると評価することはできず,原告の主張は採用できない。 結論 以上のとおり,本件訴えはその余の争点について判断するまでもなく不適法であるから,これを却下することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大分地方裁判所民事第2部裁判官神野泰一裁判官矢﨑豊裁判長裁判官関美都子は,転補のため署名押印することができない。 裁判官神野泰一
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