平成13(ネ)39 所有権移転登記抹消登記手続等請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成13年12月21日 広島高等裁判所
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判決文本文10,425 文字)

主文 原判決主文一ないし三項を取り消す。 同取消しに係る被控訴人の控訴人らに対する各請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 控訴人広田開発有限会社(以下「控訴人広田開発」という。)原判決中,控訴人広田開発敗訴部分を取り消す。 被控訴人の控訴人広田開発に対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 控訴人平生町原判決中,控訴人平生町に関する部分を取り消す。 被控訴人の控訴人平生町に対する請求を棄却する。 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要次のとおり補正するほかは,原判決の「第二事案の概要」に記載のとおり(ただし,「広田開発」を「控訴人広田開発」と,「平生町」を「控訴人平生町」といずれも改める。)であるから,これを引用する。 1 原判決4頁3行目の「に対して、」の次に「所有権に基づき」を加え,同4行目の「及び6」を削除し,同11行目の「a番一」の次に「及びbc番」を,同5頁2行目の「a番五の土地」の次に「345平方メートル」を,同6行目の「広田開発有限会社」の前に「控訴人」をそれぞれ加え,同7行目の「同d番」を「これに隣接するA(以下「A」という。)所有の同d番1」と改め,同9行目の「乙三」の前に「控訴人広田開発代表者」を加え,同10行目の「b」から同6頁8行目の「確認した。」までを次のとおり改める。 「前記開発に係る土地の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結したが,同契約書(乙17)には,売買対象物件の表示としてbc番の土地が記載され,また,同売買契約は,同土地の実測面積による取引であり,単価を坪当 土地の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結したが,同契約書(乙17)には,売買対象物件の表示としてbc番の土地が記載され,また,同売買契約は,同土地の実測面積による取引であり,単価を坪当たり4万5000円と定め,同単価を基準に清算する旨及び売買代金は4268万円とする旨記載されている(前記代金額は,当時,同土地の実測が未了であったため,登記簿上の面積により算出したものである。)。控訴人広田開発は,同日,被控訴人に対し,手付金として213万円を交付した(乙18,41,控訴人広田開発代表者)。 5 Aと控訴人広田開発は,平成7年9月6日bd番1の土地1366平方メートルを代金826万4000円で売り渡す旨の売買契約を締結した。 このころ,控訴人広田開発は,B建築設計事務所に依頼して前記3の開発工事についての造成計画平面図を作製した(乙3の1,控訴人広田開発代表者)。 6 控訴人広田開発は,同年9月22日ころ,土地家屋調査士Cに依頼して,bc番,同d番1,a番5の各土地隣接土地所有者立会いの下に境界を確認して測量を実施した(乙23の1及び2)。」 2 同6頁10行目の「D」を削除し,同11行目の次に改行して次のとおり加える。 「同月23日,被控訴人は,控訴人広田開発に対し,bc番の土地,a番5及び同番1の各土地の一部について,開発行為に関する工事を行うことに同意する旨の書面を交付した。同書面には,宅地として開発する区域及び同宅地への進入路として町道隅田水越線から開発宅地までの取付道路が明示された設計図が添付されていた(乙24,丙1,2)。また,同月25日,山口県知事に対し,控訴人広田開発及び被控訴人は,a番5(地目畑)並びに同番9及び10(地目畑。後記7のとおり,a番1の土地から分筆された土地部分)の各土地につき,譲渡 丙1,2)。また,同月25日,山口県知事に対し,控訴人広田開発及び被控訴人は,a番5(地目畑)並びに同番9及び10(地目畑。後記7のとおり,a番1の土地から分筆された土地部分)の各土地につき,譲渡人を被控訴人,譲受人を控訴人広田開発とし,転用用途を進入路及びゴミ置場とする農地法5条1項に基づく農地転用のための所有権移転についての許可申請書を,控訴人広田開発並びに被控訴人及びAは,bc番及び同d番1の各土地(地目田)につき,譲渡人を被控訴人及びA,譲受人を控訴人広田開発とし,転用用途を分譲宅地とする前同様の許可申請書をそれぞれ提出して,農地転用許可申請をした(乙25,26)。」 3 同7頁5行目の「平生町」を「山口県知事」と改め,同8行目の「広田開発は、」の次に「前記2のとおり」を加え,同末行の「代表者、乙」を「広田開発代表者,乙32,33,」と改め,同末行の次に改行して次のとおり加える。 「平成7年11月30日,山口県知事から,前記6及び8の農地法5条による農地転用及び開発行為の各許可申請が許可されたので,控訴人広田開発は,そのころ,開発工事に着手した(乙41,48,49)。」 4 同8頁2行目の「b」から同7行目の末尾までを次のとおり改める。 「代金額清算のため改めて売買契約書(乙19)を作成した。同契約書には,売買対象物件の表示としてbc番田3164.83㎡(957.36坪)と記載され,また,同土地の実測面積による取引であり,単価を坪当たり4万5000円と定め,同単価を基準に清算する旨及び売買代金は4533万円とする旨記載されている(前記面積は,bc番土地の実測面積であり,これに前記単価を乗じて代金額を計算すると,4308万円(万円未満切り捨て)となるところ,前記9記載の控訴人広田開発が負担すべき手付金額225万円を前記本 る(前記面積は,bc番土地の実測面積であり,これに前記単価を乗じて代金額を計算すると,4308万円(万円未満切り捨て)となるところ,前記9記載の控訴人広田開発が負担すべき手付金額225万円を前記本来の代金額に加算した4533万円を代金額として記載したものである。)(乙41,控訴人広田開発代表者)。」 5 同8頁11行目の「乙三二」の次に「,41」を,同9頁3行目の「乙」の次に「16,」を,同6行目の「四月一六日、」の次に「bc番の土地のほか」を,同末行の「乙」の次に「3の2,」をそれぞれ加える。 6 同10頁1行目の「bの土地について、」を「前記8の申請に係る開発行為に関する工事が」と改め,同11頁5行目の次に改行して次のとおり加える。 「1 被控訴人の控訴人平生町に対する訴えの利益の有無控訴人平生町の主張被控訴人は,原判決添付別紙物件目録記載1ないし4の土地(以下,同目録記載の各土地を「目録記載1の土地」等という。)につき控訴人平生町に寄付すると述べていることなどからすると,控訴人平生町に対し所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの利益はないというべきである。」 7 同11頁6行目の項番号「1」を「2」と,同8行目の冒頭から同12頁3行目の末尾までを次のとおりそれぞれ改める。 「(一) 控訴人広田開発の主張控訴人広田開発は,被控訴人との間で,対象物件を宅地開発するbc番の土地及び取付道路予定地部分の土地とし,代金をbc番の土地の実測面積に坪単価4万5000円を乗じた価額とする旨の本件売買契約を締結したところ,本件土地は,取付道路予定地として本件売買契約の対象に含まれていた。同契約の契約書に同土地の記載がないのは単なる記載漏れにすぎない。現在取付道路に供用されていない部分の土地も,開発行為の たところ,本件土地は,取付道路予定地として本件売買契約の対象に含まれていた。同契約の契約書に同土地の記載がないのは単なる記載漏れにすぎない。現在取付道路に供用されていない部分の土地も,開発行為の当初から取付道路の一部として計画されていた土地であり,道路の用に供する土地として取付道路予定地に含まれていたから,本件売買契約の対象となっていた。 (二) 被控訴人の主張本件売買契約書には,物件の表示としてbc番の土地が記載されているのみであり,代金として4533万円と記載されているが,同代金額は,同土地の実測面積3164.83平方メートル(957.36坪)に坪単価4万5000円を乗じた4308万円にEアーステックに返還すべき手付金のうち控訴人広田開発の負担分225万円を加算した金額であることからして,本件土地は本件売買契約の対象となっていないことが明らかである。」 8 同12頁4行目の項番号「2」を「3」と改め,同11行目の次に改行して次のとおり加える。 「4 都市計画法40条2項による所有権の取得控訴人平生町の主張目録記載1,3及び4の各土地は,同法4条14項の「道路」に該当し,また,目録記載2の土地も当初から取付道路の一部として計画されていたものであり,同項の「道路」に該当するから,いずれの土地も同法40条2項の「開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地」に該当するところ,平成8年12月6日に開発行為に関する工事の完了公告がなされたから,その翌日の7日に前記公共施設が平生町の管理に属することとなった(同法39条)ので,同町は,同法40条2項により,同道路の用に供する前記各土地の所有権を取得した。 5 民法94条2項の類推適用控訴人平生町の主張控訴 することとなった(同法39条)ので,同町は,同法40条2項により,同道路の用に供する前記各土地の所有権を取得した。 5 民法94条2項の類推適用控訴人平生町の主張控訴人平生町は,目録記載1ないし4の土地について被控訴人から控訴人広田開発に対してなされた所有権移転登記を信頼して,善意で都市計画法40条2項により所有権移転を受けたのであるから,民法94条2項の類推適用により,被控訴人は,控訴人平生町に対し同土地の所有権を主張し得ない。 6 権利濫用控訴人平生町の主張目録記載1ないし4の土地は既に町道として通行の用に供されており,被控訴人の控訴人平生町に対する本訴請求は,具体的妥当性に反し,権利の濫用に該当する。」 9 同12頁末行の「3 別紙物件目録」を「7 目録」と,同13頁2行目の冒頭から同4行目の末尾までを「被控訴人は,平成8年6月,控訴人広田開発との間で,被控訴人所有の目録記載5の土地について,目的広告用看板の設置,賃料年額10万円とする賃貸借契約を締結した。」とそれぞれ改める。 第3 当裁判所の判断 1 被控訴人の控訴人平生町に対する訴えの利益(争点1)について控訴人平生町は,被控訴人の同控訴人に対する訴えは利益がない旨主張するが,同控訴人主張のような事由をもって被控訴人の訴えに利益がないものということは到底できず,同控訴人の主張は採用の限りでない。 2 被控訴人の控訴人らに対する抹消登記手続請求について(1) 争点2(本件売買契約の対象)についてア控訴人広田開発代表者は,原審における本人尋問において,次のとおり供述し,同人の陳述書(乙41)にも同旨の記載がある。 平成7年7月ころ,被控訴人に対して,bc番の土地を造成して宅地として分譲するこ 開発代表者は,原審における本人尋問において,次のとおり供述し,同人の陳述書(乙41)にも同旨の記載がある。 平成7年7月ころ,被控訴人に対して,bc番の土地を造成して宅地として分譲すること,そのためには同宅地への進入路として道路(ゼブラゾーン及びゴミ置場を含む。)を取り付ける必要があることを説明し,宅地造成地及び取付道路予定地として必要な土地の売渡しを申し入れ,売買の対象を宅地造成するbc番の土地及び取付道路予定地とし,代金額を坪単価4万5000円にbc番の土地の実測面積を乗じた金額とする旨約定し,本件売買契約を締結したところ,本件土地は取付道路予定地であり,同契約の対象に含まれている。 そこで,同供述等の信用性について,以下検討するに,前記前提事実,証拠(乙1,2,3の1,乙17,19,23の1及び2,乙24ないし26,28,36,41,43ないし50,55,56,丙1,2,原審証人F,原審における控訴人広田開発代表者)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① 控訴人広田開発は,平成7年6月ころbc番及び同d番1の各土地の宅地造成を計画したが,同各土地は,その西方に所在する町道隅田水越線から離れており,同各土地を開発,造成して宅地として分譲するためには,同町道から同造成宅地への進入路を取り付けることが不可欠であった。そこで,控訴人広田開発は,前記各土地を宅地造成し,a番5の土地等に同造成宅地への取付道路を設置する開発工事を行うこととし,地主の被控訴人及びAと用地買収の交渉を始めた。 ② その後の本件売買契約の締結,同契約書の内容,その改訂,控訴人広田開発とAとの間の売買契約の締結とその内容については,前記第2の一の4,5,10記載のとおりである。 ③ 前記第2の一の6記載のとおり,境 売買契約の締結,同契約書の内容,その改訂,控訴人広田開発とAとの間の売買契約の締結とその内容については,前記第2の一の4,5,10記載のとおりである。 ③ 前記第2の一の6記載のとおり,境界確認及び測量が行われたが,被控訴人は,同年9月23日,bd番1の土地の隣接土地所有者として立ち会ったほか,隣接土地所有者立会いの下にbc番及びa番5の各土地の所有者として境界を指示し,これに基づいて同各土地の境界が確認された上,測量が実施された。 ④ 控訴人広田開発は,同月ころ,B建築設計事務所に依頼して,bc番及び同d番1の各土地を宅地として造成し,a番5,同番1の各土地の一部を町道隅田水越線から同造成宅地への取付道路とする開発行為に関する工事について,造成計画平面図(乙3の1)を作製した。同図面では,取付道路は幅員6メートルとされ,また,取付道路予定地内にゼブラゾーン及びゴミ置場が設置される計画となっていた。 被控訴人は,前記第2の一の6記載のとおり,開発工事同意書を提出し,控訴人広田開発がa番5及びa番1の各土地に取付道路を設置する工事を施工することを認識しており,その後実施された同工事について異議を述べたことはなかった。 ⑤ 控訴人広田開発及び被控訴人らは,前記第2の一の6,9記載のとおり,農地法5条による農地転用許可申請をしたところ,山口県知事は,同年11月30日,申請どおり許可し,同人らにその旨通知したが,被控訴人がこれに対し異議を述べたようなことはなかった。 ⑥ 被控訴人は,同年10月4日,土地家屋調査士Cを代理人として,同人作製の分筆図を添付してa番1及び同番5の各土地の分筆登記申請をし,前記第2の一の7のとおり,分筆登記がなされた。同分筆登記は,前記取付道路予定地を登記簿上明確にする等のた 士Cを代理人として,同人作製の分筆図を添付してa番1及び同番5の各土地の分筆登記申請をし,前記第2の一の7のとおり,分筆登記がなされた。同分筆登記は,前記取付道路予定地を登記簿上明確にする等のためになされたものであり,a番5,9,10,14の各土地が同予定地に該当する。 ⑦ 被控訴人は,控訴人広田開発の従業員Gを通じて司法書士Hに登記済証及び登記申請のための委任状(乙46。以下「本件委任状」という。)を渡し,控訴人広田開発と被控訴人は,平成8年4月16日,同司法書士を代理人として,bc番,a番5,9,10及び14の各土地について,登記権利者を控訴人広田開発,登記義務者を被控訴人とする所有権移転登記手続を申請した。 以上のとおり認められる。 イこれに対して,被控訴人は,原審における本人尋問において,前記認定に抵触する供述をしている。 ① 被控訴人は,a番5の土地の境界確認には立ち会っていない旨供述するが,同土地の実測は,同土地の所有者である被控訴人が境界を指示しなければできないことであり,被控訴人が同土地の境界確認に立ち会っていないというのは不自然であり,採用できない。なお,土地家屋調査士が関係者立会の下に土地の境界確認をした際作成する立会証明書には,立会いをした隣接土地所有者の署名押印は必ず求めるが,当該土地の所有者の署名押印は必ずしも求めない取扱いとされているのであって(乙55,56),a番5の土地の立会証明書に被控訴人の署名押印がないことをもって同土地の境界確認に被控訴人が立ち会っていないということはできない。 ② 被控訴人は,進入路は自分が控訴人平生町に寄付すると控訴人広田開発に伝えていた旨供述するが,他方,道路工事が済んだ後に寄付の話しがあると思っていたとも供述しているのであって,供述内 い。 ② 被控訴人は,進入路は自分が控訴人平生町に寄付すると控訴人広田開発に伝えていた旨供述するが,他方,道路工事が済んだ後に寄付の話しがあると思っていたとも供述しているのであって,供述内容が一貫していないばかりでなく,被控訴人の供述を裏付けるに足りる的確な証拠はなく,また,原審証人Fの証言とも相違しているのであって,被控訴人の前記供述を採用することはできない。 ③ 被控訴人は,a番1及び同番5の各土地が分筆されたことについて,自宅の敷地部分のみについて分筆登記を申請するつもりであったのに,進入路部分も分筆されてしまったものであると供述するが,証拠(乙28)によると,同分筆登記申請書には,土地家屋調査士Cが作製した,被控訴人の自宅の敷地であるa番1の土地のほか,進入路部分の土地であるa番5の土地の地積測量図(分筆図面)が添付されており,そのいずれにも分筆登記申請人として被控訴人の押印がなされていることが認められるのであって,被控訴人の前記供述を採用することはできない。 ④ 被控訴人は,本件委任状について,I社長から仮登記をするのに委任状2通が必要だと言われて,bc番の土地についての仮登記のことと思ったが,既に売買契約を締結しているのでおかしいとは思いながらも委任状2通を交付したので,bc番の土地以外の土地については,もう1通の委任状を利用して移転登記がされてしまったものである旨供述する。しかしながら,前記認定のとおり,被控訴人は登記済証を渡しているところ,bc番の土地の仮登記をするためというのであれば,委任状のほかに登記済証まで交付する必要はないし,また,本件委任状には,登記する物件の表示としてbc番の土地のほかa番5,9,10,14の各土地も一緒に記載されおり,bc番の土地に限っての委任状ではないばかりでなく, 済証まで交付する必要はないし,また,本件委任状には,登記する物件の表示としてbc番の土地のほかa番5,9,10,14の各土地も一緒に記載されおり,bc番の土地に限っての委任状ではないばかりでなく,被控訴人の供述を裏付けるに足りる的確な証拠はなく,かえって,代理人として登記申請した司法書士Hの陳述書(乙39,52)とも相違している。しかも,控訴人は,原審における本人尋問において,本件委任状は見たことがないとも供述し,また,平成11年12月10日付け被控訴人の準備書面では,本件委任状に実印を押捺した時には,不動産の表示としてbc番の土地一筆が記載されていたのみであり,その余のa番5,9,10,14の各土地は控訴人広田開発側が無断で書き加えたと主張し,さらに,平成12年10月10日付け被控訴人の準備書面では,a番5,9,10,14の各土地を控訴人平生町に寄付するための委任状であると思って,本件委任状に押印したと主張するなど,本件委任状に関する被控訴人の供述ないし主張は,二転三転している。以上に照らし,被控訴人の前記供述を採用することはできない。 ウ前記アの①ないし⑦認定の事実,特に,被控訴人は,本件売買契約後,本件土地を控訴人広田開発に譲渡するための農地法5条による農地転用許可申請をした上,本件土地につき控訴人広田開発に対し所有権移転登記手続をしていることに加え,一般に公衆用道路に接することなく,これから離れた土地を開発して宅地を造成し分譲しようと計画している開発業者が,公衆用道路から同造成宅地に至る取付道路用地を取得することなく開発行為をするような危険を冒すとは考え難いこと(都市計画法40条2項の公共団体等が公共用施設の用に供する土地の所有権を取得する旨の規定は,開発業者がその用地の所有権を取得していることを前提とするものである するような危険を冒すとは考え難いこと(都市計画法40条2項の公共団体等が公共用施設の用に供する土地の所有権を取得する旨の規定は,開発業者がその用地の所有権を取得していることを前提とするものであるから,開発業者が土地所有権を取得していない場合は,公共団体が同項の規定により土地所有権を取得することはできないから,その後の公共施設の維持に支障を来すこととなる。),被控訴人自身,bc番の土地を開発して分譲宅地とするためには進入路が必要であることを認識しており(原審における被控訴人本人),Eアーステックとの売買契約においては,bc番の土地の契約とは別にa番5の土地についての売買契約を締結して別々に契約書を作成している(乙30,31)のに対して,広田開発との間では,契約書を1通しか作成していないところ,両方の売買代金額の間にはほとんど差はないのであって(Eアーステック分は,前記第2の一の2の約定に基づいて計算すると,4321万8259円(3800万円+5万円×104.365坪(345平方メートル))となる。控訴人広田開発分は,前記認定のとおり4308万円である。),本件売買契約において,目的物をbc番の土地及び本件土地とし,その代金額をbc番の実測面積に坪単価4万5000円とすることは代金額の定めとして必ずしも不合理ではないことなどを併せ考慮すれば,本件売買契約に関する控訴人広田開発代表者の前記アの供述等は信用できるものというべきである。 エ同供述等及び前記アの①ないし⑦認定の事実を併せ考えると,本件売買契約は,bc番の土地と共に取付道路(ゼブラゾーン及びゴミ置場を含む。)予定地として必要な土地であるa番5及びa番1の各土地の一部も売買の対象とし,代金額はbc番の土地の実測面積に坪単価4万5000円を乗じた金額としたものであり,本件土地 ゾーン及びゴミ置場を含む。)予定地として必要な土地であるa番5及びa番1の各土地の一部も売買の対象とし,代金額はbc番の土地の実測面積に坪単価4万5000円を乗じた金額としたものであり,本件土地(本件売買契約当時の分筆前のa番5及び同番1の各土地の一部であり,前記第2の一の10記載の売買契約書作成当時のa番5,9,10,14の各土地(前記アの⑥により分筆されたもの)で,その後,前記第2の一の16の分筆により本件土地となった。)は,取付道路予定地として売買の対象に含まれていると認めるのが相当である(本件売買契約に係る契約書には,売買物件としてbc番の土地のみが記載され,取付道路予定地は記載されていないが,これは記載漏れと認められる。)。 (2) 争点3(錯誤無効)について被控訴人は,本件売買契約は,取付道路部分が分筆されているものと思い委任状に実印を押捺したものであるから,取付道路部分を除いた部分の譲渡は錯誤により無効である旨主張する。 しかし,前記認定のとおり,本件売買契約は平成7年7月12日に締結されたものであるところ,被控訴人が本件委任状に実印を押捺したのは平成8年4月ころであって(乙46),本件売買契約締結後の事由をもって本件売買契約に錯誤があるということはできず,他に本件売買契約締結につき被控訴人に錯誤があった事情は認められないから,被控訴人の錯誤の主張は失当である。 (3) 結論以上によれば,被控訴人は,本件売買契約により本件土地を控訴人広田開発に譲渡し,これにより所有権を喪失したものというべきである(なお,本件土地のうち目録記載5,6の各土地は,現在,取付道路として利用されていないが,同土地も本件売買契約当時,取付道路予定地(ゼブラゾーン及びゴミ置場を含む。)として本件売買契約の対象とされ (なお,本件土地のうち目録記載5,6の各土地は,現在,取付道路として利用されていないが,同土地も本件売買契約当時,取付道路予定地(ゼブラゾーン及びゴミ置場を含む。)として本件売買契約の対象とされたのであるから,控訴人広田開発が所有権を取得したものと認められる。)。よって,控訴人らに対し,本件土地につき所有権に基づいて所有権移転登記の抹消登記手続を求める被控訴人の請求はいずれも理由がない。 3 控訴人広田開発に対する賃料請求(争点7)について被控訴人と控訴人広田開発との間で目録記載5の土地について賃貸借契約が締結された事実は,原審における被控訴人本人尋問の結果によっても認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。よって,被控訴人の控訴人広田開発に対する賃料請求は理由がない。 4 まとめ以上によれば,被控訴人の本訴請求は全部理由がなく棄却すべきであり,これと異なる原判決主文一ないし三項を取り消し,同取消しに係る被控訴人の請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法67条2項,61条を適用して,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第2部裁判長裁判官高升五十雄裁判官布村重成裁判官松井千鶴子

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