令和6(わ)106 過失運転致死

裁判年月日・裁判所
令和6年10月16日 佐賀地方裁判所
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判決文本文1,807 文字)

令和6年10月16日宣告令和6年(わ)第106号過失運転致死被告事件主文 被告人を禁錮3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (以下、外字は用いない。被害者の氏名等は別紙(添付省略)のとおり)【犯罪事実】被告人は、令和5年12月7日午後4時33分頃、普通乗用自動車を運転し、佐賀市ab丁目c番d号付近道路を進行中、眠気を催し、前方注視が困難な状態に陥るおそれがあったのであるから、直ちに運転を中止すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、直ちに運転を中止せず、漫然運転を継続した過失により、同日午後4時38分頃、同市e町fg番地h先道路を同市e町i方面から同市e町j方面に向かい時速約45キロメートルで進行中、仮睡状態に陥り、その頃、同市e町fk番地l先道路において、自車を対向車線に進出させ、折から同車線を進行してきたA運転の準中型貨物自動車前部に自車前部を衝突させ、よって、自車の同乗者B(当時93歳)に多発外傷の傷害を、同乗者C(当時83歳)に胸部打撲による心破裂の傷害をそれぞれ負わせ、同日午後6時57分頃、同市mn丁目o番p号D病院において、Bを前記多発外傷の傷害により死亡させ、同日午後8時12分頃、福岡県大川市qr番地sE病院において、Cを前記胸部打撲による心破裂に基づく心タンポナーデにより死亡させた。 【法令の適用】罰条被害者ごとに自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条科刑上一罪の処理刑法54条1項前段、10条(犯情の軽重に差がないので過失運転致死一罪の刑で処断)刑種の選択禁錮刑 刑の執行猶予刑法25条1項 一罪の処理刑法54条1項前段、10条(犯情の軽重に差がないので過失運転致死一罪の刑で処断)刑種の選択禁錮刑 刑の執行猶予刑法25条1項【量刑の理由】本件は、被告人が自動車を運転中、居眠りをしたため事故を起こし、同乗していた二人を死亡させたという過失運転致死の事案である。 介護施設に勤務していた被告人は、施設利用者を社用車に同乗させて送迎している最中、眠気を催したが、そのまま運転を継続したことにより、仮睡状態に陥り、対向車線にはみ出して事故を引き起こしたものであり、運転を中止するなどの手段も選択し得たもので、事故の直接の過失自体は小さいものとはいえない。 本件事故により、二名の施設利用者が命を落とす結果となったのであり、いうまでもなく結果は重大である。被害者らは、いずれも高齢であるものの、デイサービスを利用しつつ元気に生活を送っていたところ、突如としてこのような被害に遭ったものであり、その無念さや精神的苦痛は大きいものであったと推察される。 被害結果の重大性からは厳しい処罰も視野にいれるべき事案といえるが、もっとも、本件は、過失の程度は小さいものではないものの、交通法規の軽視が要因となっているものではなく、職務の一環として行っていた運転を中断・中止することは被告人にとってそれほど容易ではなかったともいえるし、被告人は、家事育児の負担を大きく背負い、いわゆるワンオペの生活を送り、疲れが蓄積していたことも事故に至った要因として無視できないうえ、事故時のスピードや事故の衝撃等がさほど大きくなかったといった事故状況も考慮すると、このような悲惨な結果を生みだした本件について、被告人一人を強く非難するには酷な面もある。 そして、このような犯情の程度のほか、一般情状としては さほど大きくなかったといった事故状況も考慮すると、このような悲惨な結果を生みだした本件について、被告人一人を強く非難するには酷な面もある。 そして、このような犯情の程度のほか、一般情状としては、被害者遺族の一人が法廷で深い悲しみを述べ、強い処罰感情を示していることは量刑上考慮される一方、被告人には前科前歴はないこと、保険会社を通じて被害弁償が見込まれていること、被告人は事実関係を素直に認め、今後一切運転しない旨誓い、被害者遺族らに謝罪の意を示していること、被告人の夫が出廷し被告人の監督を誓約していることなど被告人にとって酌むべき事情があるため、これらを考慮し、禁錮刑を選択して刑期を3年と定め、その刑の執行を猶予す ることとする。 (求刑禁錮4年6月)令和6年10月17日佐賀地方裁判所刑事部 裁判官松村一成

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