主文 被告人を懲役4年6月に処する。 未決勾留日数中120日をその刑に算入する。 押収してある牛刀1本(平成14年押第153号の1)及びナイフ1本(同押号の3)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 A(当時52歳)から金品を強取するとともに同女を強姦しようと企て,平成14年8月19日午後零時50分ころ,神戸市a区bc丁目d番e号所在の同女方1階勝手口から同女方に侵入し,同所において,同女に対し,所携の牛刀(刃体の長さ約25センチメートル,平成14年押第153号の1)及び鉄棒(長さ約50センチメートル,同押号の2)を示しながら,「金を出せ。」と申し向けるなどして脅迫し,その反抗を抑圧した上,同女所有の現金1万5000円を強取し,次いで,同女の腕を掴んで同女方1階寝室に連れ込んだ上,「させ。エッチや。」などと申し向け,同女の両腕を掴むなどして,同女を強姦しようとしたが,同女が隙を見て逃走したため,その目的を遂げなかった第2 業務その他正当な理由による場合でないのに,前記日時場所において,前記牛刀1本を携帯した第3 業務その他正当な理由による場合でないのに,同日午後3時15分ころ,同市同区fg丁目h番d号所在の兵庫県a警察署において,刃体の長さ約17センチメートルのナイフ1本(同押号の3)を携帯したものである。 (証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―省略(法令の適用)被告人の判示第1の所為のうち,住居侵入の点は刑法130条前段に,強盗強姦未遂の点は同法243条,241条前段に,判示第2及び第3の各所為はいずれも銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,22条にそれぞれ該当するが,判示第 所為のうち,住居侵入の点は刑法130条前段に,強盗強姦未遂の点は同法243条,241条前段に,判示第2及び第3の各所為はいずれも銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,22条にそれぞれ該当するが,判示第1の住居侵入と強盗強姦未遂との間には手段結果の関係があるので,刑法54条後段,10条により1罪として重い強盗強姦未遂罪の刑で処断することとし,各所定刑中判示第1の罪について有期懲役刑を,判示第2及び第3の罪についていずれも懲役刑をそれぞれ選択し,判示第1の罪は未遂であるから同法43条本文,68条3号を適用して法律上の減軽をし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をし,その刑期の範囲内で被告人を懲役4年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入し,押収してある牛刀1本(平成14年押第153号の1)は,判示第1の強盗強姦未遂の用に供した物で被告人以外の者に属しないから同法19条1項2号,2項本文を適用して,押収してあるナイフ1本(同押号の3)は,判示第3の犯罪行為を組成した物で被告人以外の者に属しないから同条1項1号,2項本文を適用して,いずれもこれらを没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (補足説明)なお,弁護人は,判示第1の罪について,捜査官は同事件を強盗被疑事件として捜査していたもので,被告人に強姦目的があったことは被告人自身が進んで供述したため初めて発覚したものであるから,結局強盗強姦未遂罪全体について自首が成立すると主張するが,関係各証拠によれば,被告人は,強盗の被疑事実で緊急逮捕され,その後の取り調べ経過の中で,強盗強姦未遂罪のうち,強姦未遂の犯罪事実に から,結局強盗強姦未遂罪全体について自首が成立すると主張するが,関係各証拠によれば,被告人は,強盗の被疑事実で緊急逮捕され,その後の取り調べ経過の中で,強盗強姦未遂罪のうち,強姦未遂の犯罪事実についても捜査官に対し供述したものと認められるところ,その時点において強姦未遂の犯罪事実が捜査機関に発覚していたか否かの点はしばらくおくとしても,その供述をするに至った経緯に徴すると,少なくとも,被告人において,自ら進んで犯罪事実を申告したものとは認め難い事実関係にある上,そもそも,強盗強姦罪のような結合犯については,その犯罪事実の一部が捜査機関に発覚していれば,その残部について仮に自発的に捜査機関に申告がなされたとしても,自首は成立しないと解されるから,弁護人の主張は理由がない。 (量刑の理由)本件は,被告人が,強盗及び強姦の目的で被害者宅に侵入し,同女から現金を強取した上,同女を強姦しようとしたが未遂に終わった住居侵入,強盗強姦未遂の事案(判示第1),及び前記犯行の際牛刀を不法に携帯し,かつ,前記犯行により緊急逮捕された際,不法にナイフを携帯した各銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案(判示第2及び第3)である。 被告人は,長年調理師として稼働していた店を退職後再稼働先が見つからず金銭に窮し,長年女性と性交渉がなく性的な欲求不満があったとして,強盗や強姦を企図して被害者に狙いを定めて犯行に及んだものであり,このような短絡的で身勝手な動機に酌量の余地はない。 判示第1の犯行を中心にその犯情を見ると,被告人は,白昼堂々と殺傷能力の高い長さ約25センチメートルの牛刀や長さ約50センチメートルの鉄棒を携えて被害者宅に侵入し,これらを被害者に示して犯行に及んでいるところ,大胆かつ危険な犯行というべきであって,付近住民など地域社会に与えた不安感には軽視 ートルの牛刀や長さ約50センチメートルの鉄棒を携えて被害者宅に侵入し,これらを被害者に示して犯行に及んでいるところ,大胆かつ危険な犯行というべきであって,付近住民など地域社会に与えた不安感には軽視しがたいものがある。被害者は,最も安全であるべき自宅において,何らの落ち度もないのに突如侵入してきた被告人から襲われて被害にあったのであって,その被った恐怖感等精神的衝撃は甚大であり,これがため,被害者は,その後経営していた家庭料理店を閉鎖することを余儀なくされており,当然のことながら被告人の厳重処罰を望んでいる。 これらの点を考慮すると,被告人の刑事責任は重大であり,後記のような被告人のためにしん酌すべき事情をいかに考慮しても,本件は酌量減軽を行って,弁護人の主張するように,被告人に対しその刑の執行を猶予すべき事案とは到底認められない。 しかしながら,他方で,幸いにも判示のとおり強姦の点はわいせつ行為に着手することもなく未遂に終わったことに加え,本件は綿密な計画の下になされた冷酷で極めて悪質な犯行とまでは言い難いこと,強取された金額は比較的少額であり,被告人の妻が被害者に被害弁償金として2万円を支払ったこと,被告人は交通違反を除き前科前歴は全くなく,これまで家庭的にも社会的にも特段の問題を起こすことなく調理師等として真面目に働いてきたこと,判示第1及び第2の犯行直後投身自殺を図り,逮捕後は当初から本件各犯行を素直に認め,真しに反省していること,被告人の妻が被告人の更生を願いその早期の社会復帰を望んでいることなど,被告人のためにしん酌すべき事情も認められる。 これらの事情を総合考慮して,被告人を主文の刑に処することとした。 よって,主文のとおり判決する。 平成15年3月10日神戸地方裁判所第1刑事部 主文 認められる。これらの事情を総合考慮して,被告人を主文の刑に処することとした。よって,主文のとおり判決する。 平成15年3月10日 神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 裁判官橋本一 裁判官安井敦子
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