令和5(ネ)10010 特許権侵害行為差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年2月27日 知的財産高等裁判所 3部 判決 原判決変更 大阪地方裁判所 令和3(ワ)4920
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令和6年2月27日判決言渡 令和5年(ネ)第10010号特許権侵害行為差止等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所令和3年(ワ)第4920号) 口頭弁論終結日令和5年12月20日判決 控訴人 X 同訴訟代理人弁護士速見禎祥 同溝内伸治郎 同訴訟代理人弁理士片岡泰明 同補佐人弁理士後藤幸久 同羽明由木 被控訴人 株式会社ライフピース 同訴訟代理人弁護士玉井秀樹 同訴訟復代理人弁護士角憲和 同補佐人弁理士大槻聡 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、原判決別紙被控訴人製品目録記載の製品を製造し、販売し、販売の申出をしてはならない。 3 被控訴人は、前項の製品を廃棄せよ。 4 被控訴人は、控訴人に対し、49万6000円及びこれに対する令和3年6月17日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 5 控訴人のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを5分し、その4を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。 7 この判決の第4項は、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 主文第1項ないし第3項同旨 2 被控訴人は、控訴人に対し、331万9000円及びこれに対する令和3年6月17日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用 控訴の趣旨 1 主文第1項ないし第3項同旨 2 被控訴人は、控訴人に対し、331万9000円及びこれに対する令和3年6月17日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略語につき原判決の表記に従う) 1 本件は、原審において、発明の名称を「機能水」とする特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する控訴人が、被控訴人が本件特許の特許請求の範囲請求項3記載の発明(原審における「本件発明」)の技術的範囲に属する被控訴人製品を製造し、販売することは 本件特許権の侵害に当たると主張して、被控訴人に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、被控訴人製品の製造、販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償として、①特許法102条3項に基づく実施料相当額100万円、②調査費用31万9000円、③弁護士及び弁理士費用相当額200万円の合計331万9000円及びこれに 対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である令和3年6月17日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は、被控訴人製品は、原審における本件発明の構成要件を全て充足するが、原審における本件発明は、本件特許の優先日前に公然実施された発明であ るから特許無効審判により無効とされるべきであるとして、控訴人の請求をい ずれも棄却したので、控訴人が本件控訴を提起した。 控訴人は、原審の口頭弁論終結の日の翌日に、本件特許の請求項3及び4の特許請求の範囲の記載に係る訂正審判の請求をし、当審係属中にその訂正を認める審判が確定したことから、請求原因 を提起した。 控訴人は、原審の口頭弁論終結の日の翌日に、本件特許の請求項3及び4の特許請求の範囲の記載に係る訂正審判の請求をし、当審係属中にその訂正を認める審判が確定したことから、請求原因を訂正後の請求項3の発明に基づくものに変更した。 これに対し、被控訴人は、上記訂正についての訂正要件違反(特許法123条1項8号)を、無効理由(原審における争点2)として追加して主張した(当審における争点2-3)。 また、控訴人は、不法行為に基づく損害の内訳につき、①特許法102条3項に基づき被控訴人製品の売上額1000万円に相当実施料率10%を乗じ た実施料相当額100万円、②検査費用39万6000円(当審において7万7000円増額)、③弁護士及び弁理士費用200万円の合計339万6000円のうち、331万9000円の範囲で損害賠償を請求するものへと変更をした。 2 前提事実、争点及び争点についての当事者の主張は、次のとおり補正し、後 記3のとおり当審における当事者の主な補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中、第2の1、2及び第3(原判決2頁12行目から9頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決3頁2行目の冒頭から同頁21行目の末尾までを次のとおり改める。 「⑶ 控訴人による訂正審判請求控訴人は、原審の口頭弁論の終結の日の翌日である令和4年10月25日、本件特許の特許請求の範囲の請求項3及び4につき、訂正を求める訂正審判を請求し、特許庁は、これを訂正2022-390191号として審理した(以下、その訂正を『本件訂正』という。)。特 許庁は、令和5年3月29日、結論を『特許第6708764号の特 許請求の範囲を本件審判請求書に添付 022-390191号として審理した(以下、その訂正を『本件訂正』という。)。特 許庁は、令和5年3月29日、結論を『特許第6708764号の特 許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。』とする審決(以下『本件訂正審決』という。)をし、その審決は確定した。(甲24、25、当裁判所に顕著)。 ⑷ 本件訂正後の構成要件ア本件訂正後の本件特許権に係る特許請求の範囲の請求項3の記載 は、以下のとおりである(以下、訂正後の請求項3に記載された発明を『本件発明』という。下線(1か所)は訂正部分であり、判決で付記。)。 『多価アミン及び/又はその塩を機能成分として含有し、水、多価アミン、多価アミンの塩の総含有量が95重量%以上である機能水 であって、前記多価アミンが、下記式(3')【化3】 で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマー(式 中、nは0又は1を示し、pは1又は2を示し、R⁷、R⁸、R⁹は水素原子を示す)のうち、重量平均分子量500~15000の、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体であり、前記機能成分の有する機能が、前記式(3')で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマーがポリアリルアミンであ る場合は、魚介類又は精肉の鮮度保持、魚介類又は精肉の熟成、植物の成長調整、切り花の延命、切り花の開花調整、害虫駆除、アニサキス防除、抗微生物、抗ウイルス、便臭軽減、血圧低下、体温上昇、及び口腔内環境の改善のうちの少なくとも1つであり、前記式 (3')で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマーがジアリルアミン重合体である場合は、切り花の延命である機能水。』イ同請求項 改善のうちの少なくとも1つであり、前記式 (3')で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマーがジアリルアミン重合体である場合は、切り花の延命である機能水。』イ同請求項を分説すると、以下のとおりであり、構成要件Bの下線部(1か所)以外は、全て本件訂正前の特許請求の範囲の記載と同 一である(以下、分説された構成要件の符号に従い、『構成要件A』などという。)。 A 多価アミン及び/又はその塩を機能成分として含有し、水、多価アミン、多価アミンの塩の総含有量が95重量%以上である機能水であって、 B 前記多価アミンが、下記式(3')【化3】 で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマー(式中、nは0又は1を示し、pは1又は2を示し、R⁷、R⁸、 R⁹ は水素原子を示す)のうち、重量平均分子量500~15000の、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体であり、C 前記機能成分の有する機能が、前記式(3')で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマーがポリアリルアミンである場合は、魚介類又は精肉の鮮度保持、魚介類又は精肉 の熟成、植物の成長調整、切り花の延命、切り花の開花調整、害虫駆除、アニサキス防除、抗微生物、抗ウイルス、便臭軽減、血圧低下、体温上昇、及び口腔内環境の改善のうちの少なくとも1つであり、前記式(3')で表される不飽和アミンに由来する構 造単位を有するポリマーがジアリルアミン重合体である場合は、切り花の延命であるD 機能水。」⑵ 原判決3頁22行目の「⑷」を「⑸」と改め、同頁24行目の「組成」の次に「(ただし、本件訂正後におけるポリアリルアミンの重量平均分子量の充 足性についてを除く。)」を加える。 ⑶ 水。」⑵ 原判決3頁22行目の「⑷」を「⑸」と改め、同頁24行目の「組成」の次に「(ただし、本件訂正後におけるポリアリルアミンの重量平均分子量の充 足性についてを除く。)」を加える。 ⑶ 原判決4頁2行目の「⑸」を「⑹」と改め、同頁19行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。 「エ被控訴人は、令和4年8月に、被控訴人製品の販売を終了したとする。 被控訴人は、同月10日付けで、ポリアリルアミン水溶液が食品衛生法 12条により販売が禁止された食品に該当するか否かに関する、別件訴訟における調査嘱託の回答を神戸市保健所から受け(乙41、42)、これに基づき、同月に被控訴人製品の販売を中止し、そのまま販売を終了したものとする。」⑷ 原判決4頁25行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。 「ウ本件訂正についての訂正要件違反の有無(争点2-3)」⑸ 原判決9頁5行目の「対し、」の次に「消費税込みで」を加える。 3 当審における当事者の主な補充主張⑴ 本件発明の技術的範囲への属否(争点1)〔控訴人の主張〕 被控訴人製品が構成要件A、C及びDを充足することについては、原判決が認定したとおりである。 構成要件Bについて、被控訴人製品の重量平均分子量は「5190」ないし「9470」であり(甲6、30)、その余の構成要件Bの充足性についても明らかであるから、被控訴人製品は本件訂正後の構成要件Bも充足する。 〔被控訴人の主張〕 本件訂正後の構成要件Bの被控訴人製品の重量平均分子量の充足の点について否認する。 ⑵ 公然実施発明(引用発明)に基づく新規性欠如の有無(争点2-1)〔被控訴人の主張〕ア原判決の判断は相当であり、本件訂正後の本件発明についても、同様に 充足の点について否認する。 ⑵ 公然実施発明(引用発明)に基づく新規性欠如の有無(争点2-1)〔被控訴人の主張〕ア原判決の判断は相当であり、本件訂正後の本件発明についても、同様に 無効である。 乙18分析及び乙24分析における分析対象物は、いずれも平成30年11月12日納品のリベラル社製の旧ATWを用いた被控訴人製品「無限七星FISH」であり、被控訴人が保管していたものである(乙2、33、36、37)。 イ控訴人は、乙18分析及び乙24分析における分析対象物が被控訴人製品「無限七星FISH」でないことを疑わせる具体的な事情を主張すべきであるが、これを行っていない。これは、原判決において分析対象物が被控訴人製品「無限七星FISH」と認定された事情として、被控訴人製品「無限七星FISH」がリベラル社製の旧ATWを用いて製造されたものである こと、別件訴訟におけるATW社の主張(現ATWを10倍薄めたものが旧ATWである旨)があったからであると思われる。 ウ控訴人は、ATWの製造方法を変更したことを示す証拠も提出していない。製造方法の変更があったとすれば、被控訴人製品「無限七星FISH」の成分が本件特許の要件を充足するものであることは、乙18及び乙24 によって示されることになる。 本件特許の出願直後にATWの製造方法が変更されたことが客観的な証拠をもって示されない限り、本件発明は、「特許6708764に関する分析(1HNMR)」と題する書面(甲5。以下、単に「甲5」という。)及び「特許6708764に関する分析―GPC法による分子量分布測定―」 (甲6。以下、単に「甲6」という。)によって特許出願時に新規性を有し ておらず、無効とされるべきものである。 乙26の2( 08764に関する分析―GPC法による分子量分布測定―」 (甲6。以下、単に「甲6」という。)によって特許出願時に新規性を有し ておらず、無効とされるべきものである。 乙26の2(別件訴訟におけるATW社提出の準備書面)について、旧ATWと現ATWは、濃度以外に違いはないのであるから、成分が同一であることはいうまでもないことである。 〔控訴人の主張〕 ア原判決が摘示する証拠(乙2、18、24、25、33、36、37)には、乙18分析や乙24分析に使用された無限七星FISHが「被告が平成30年11月10日にリベラル社に対して発注し同月12日に納品された旧ATWのボトル20本のうち、開封せずに保管していたもの」(原判決15頁6行目ないし7行目)であることを示すものはない。 乙33で撮影された「無限七星FISH」が過去に製造された製品そのままであること(製造されてから分析に供されるまでの間に、被控訴人による事後的な改変の可能性がされていないこと)について、客観的な証拠による裏付けはない。 本件代理店契約の規定や、別件訴訟における控訴人の準備書面の記載は、 旧ATWと現ATWの製造方法が一致し、その含有成分が同一であることを示すものではなく、これらを根拠として「本件特許に規定される組成を有する現ATWを10倍希釈したものが旧ATWである」(原判決15頁2行目ないし3行目)とした原判決の認定、判断は誤りである。 イ乙26の2は、製品中に含まれるアミノ基の濃度が現ATWの方が旧A TWの10倍であることを述べているにすぎず、現ATWと旧ATWが同一成分であるとは述べていないものである。 ⑶ 本件訂正についての訂正要件違反による無効理由の有無(争点2-3。当審における追加主張)〔被 であることを述べているにすぎず、現ATWと旧ATWが同一成分であるとは述べていないものである。 ⑶ 本件訂正についての訂正要件違反による無効理由の有無(争点2-3。当審における追加主張)〔被控訴人の主張〕 本件訂正には、以下に述べるとおり、特許法123条1項8号に定める無 効理由(特許法126条1項ただし書、同条5項及び7項違反)があるから、本件特許は特許無効審判により無効とされるべきである。 ア控訴人が本件訂正の根拠とする、本件明細書の段落【0055】には、本件訂正に係る分子量である「500~15000」という数値範囲は記載されておらず、本件明細書の段落【0065】の【表3】の記載中「15,0 00(重量平均分子量)」との記載から、上限値として「15000」が記載されているとの主張にも根拠がないから、本件訂正は特許法126条5項の要件を欠く。 イ本件訂正は、技術的思想としての発明を変更するものではなく、数値範囲を単に減縮するものにすぎないから、具体例としてたまたま記載されていた 数値「15000」を用いて数値範囲を減縮する訂正が認められたと理解すべきものである。本件訂正審決においては、訂正前の本件発明が新規性及び進歩性を有することを前提とし、公然実施発明と対比して独立特許性要件を判断した上で訂正が認められたわけではないことを念頭に置くべきである。 仮に、本件明細書に重量平均分子量の上限値としての「15000」が記 載されていたとしても、本件特許の優先日前に公然実施された被控訴人製品「無限七星FISH」の重量平均分子量4.5×104との比較において、「15000」という上限値が技術的に如何なる意義を有するのかが不明であるから、本件訂正後の本件発明が、新規性を有すると仮定したとしても 七星FISH」の重量平均分子量4.5×104との比較において、「15000」という上限値が技術的に如何なる意義を有するのかが不明であるから、本件訂正後の本件発明が、新規性を有すると仮定したとしても、それでもなお、進歩性を有しないといわざるを得ず、特許法126条7項の 要件を欠く。 ウ本件訂正による数値範囲の変更は、発明を変更することなく、その技術的範囲を減縮することを目的とする。また、本件優先日において、本件訂正後の本件発明に係る「15000」と、公然実施発明に係る「45000」は、いずれもポリアリルアミンの重量平均分子量として広く知られ、一般的に利 用されている範囲内のものである(乙13及び乙12の1)。したがって、 本件訂正後の本件発明は、公然実施発明に基づいて当業者が当然に予測することができたものであるから、進歩性を有しておらず、特許法126条7項の要件を欠く。 控訴人の主張は、公然実施発明に関し、本件優先日前に実際に知られていた事項のみに基づいて進歩性の判断を行うことを前提としており、公知発明 と公然実施発明を混同した特許法29条2項の規定に基づかない主張である。 エ本件明細書には、ポリアリルアミンの重量平均分子量につき、「500~15000」という数値範囲は記載されていないから、当該数値範囲に特別な技術的意義は認められない。また、本件明細書には、重量平均分子量と発 明の効果との間に因果関係があることも記載されていないから、公然実施品である「無限七星FISH」の成分を入手した当業者が、ポリアリルアミンの重量平均分子量を任意に変更可能であることは当然のことであり、市販品として容易に入手可能な重量平均分子量のポリアリルアミンを採用することに何の困難性もないから、本件発明は進歩性を有し アリルアミンの重量平均分子量を任意に変更可能であることは当然のことであり、市販品として容易に入手可能な重量平均分子量のポリアリルアミンを採用することに何の困難性もないから、本件発明は進歩性を有しておらず、特許法12 6条7項の要件を欠く。 オ本件優先日前に公然実施された製品である「無限七星FISH」の成分は、甲5及び甲6の分析対象物の成分と同一であり(旧ATWと現ATWの同一性から)、甲6には、分析対象物の重量平均分子量が「9470」であることが示されているから、本件発明は、本件優先日前に公然実施された発 明と同一であり、新規性を有しておらず、特許法126条7項の要件を欠く。 〔控訴人の主張〕ア特許庁は、本件訂正につき、訂正を認める本件訂正審決(甲25)をしており、訂正要件違反はない。本件明細書の段落【0055】には、重量平均分子量「500~50,000」であることが記載され、同段落【0065】 の【表3】には、重量平均分子量「15,000」のポリアリルアミン(製 品名「PAA-15C」)が挙げられている。 これは本件訂正前の本件発明の下位概念であるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、独立特許要件を満たすものである。 イ本件発明について、公然実施発明(引用発明)に基づく新規性欠如、進歩性欠如はない。 そもそも原判決のような公然実施発明を認定すること自体できないものであるが、仮にそのように認定できるとしても、乙24分析によれば、公然実施発明(引用発明) の重量平均分子量は「45000」であり、本件発明の「重量平均分子量500~15000」と相違する。 本件優先日前には「無限七星FISH」にどのような成分が含有されてい るかは一切知られていないか 分子量は「45000」であり、本件発明の「重量平均分子量500~15000」と相違する。 本件優先日前には「無限七星FISH」にどのような成分が含有されてい るかは一切知られていないから、本件特許の存在を前提とせずに、公然実施品の成分の中からポリアリルアミンに注目し、さらに、その重量平均分子量を本件発明の「500~15000」の間に変更する動機付けは全くない。 ウ甲5及び甲6で分析されている被控訴人製品には「消費期限2022-07-02」と印字(甲13)されており、消費期限の関係で製造日から2年 前の2020年(令和2年)7月2日に製造されたものと考えられる。そうすると、本件優先日(2019年(平成31年)1月28日)当時公然実施されたものではない。 また、甲5及び甲6で分析されている被控訴人製品と同一のものが本件優先日前に公然実施されていた事実は認められない。 ⑷ 損害の発生及びその額(争点5)〔控訴人の主張〕ア(ア) 被控訴人製品の1年間の売上は2000万円を下らないものと推認されるところ、被控訴人が被控訴人製品の販売を終了した旨を示す明確な証拠も提出されていない。そうすると、本件特許の登録日である令和2年 5月25日から現在までの被控訴人製品の売上は、少なくとも1000 万円あるものと認めることができる。 本件発明が属する化学の技術分野における平均ロイヤリティ料率は4. 3%であるが(甲32)、本件特許についての特許法102条3項の実施料率は10%とするのが相当である。 なお、控訴人が被控訴人製品の売上金額が1000万円と推認する理由 については、控訴人の関連会社であるリベラル社及びATW社(以下「控訴人の関連会社」という。)から被控訴人に対し平成31年2 なお、控訴人が被控訴人製品の売上金額が1000万円と推認する理由 については、控訴人の関連会社であるリベラル社及びATW社(以下「控訴人の関連会社」という。)から被控訴人に対し平成31年2月から令和2年1月まで現ATWを200リットル、ATW-2を1リットル納入したところ、現ATWの量1リットルにつき被控訴人製品10本、ATW-2の量1リットルにつき、被控訴人製品は20本製造できるから、これ らにより製造できる被控訴人製品は2020本である。そうすると、被控訴人製品は1年間に約2000本製造されたとみられ、被控訴人製品の1本当たりの販売価格は約1万0800円であるから、被控訴人製品の売上額は2000万円を下らず、少なくとも令和2年5月25日以降、現在まで1000万円は優にあると主張するものである。 (イ) 仮に、上記(ア)の売上額の推認が認められないとしても、被控訴人が被控訴人製品の売上を開示しなかった令和2年6月から8月までの間に、後記〔被控訴人の主張〕エで開示された令和2年9月や10月の分と同様、1か月当たり10万円程度の売上があったことは優に認められるというべきである。したがって、少なくとも、令和2年5月25日から現在 までの被控訴人製品の売上金額は111万円(令和2年6月ないし8月までの各月10万円の合計30万円及び被控訴人が下記〔被控訴人の主張〕エで認める81万円)であると認められる。 (ウ) さらに、上記(ア)及び(イ)の売上額の推認がいずれも認められないとしても、少なくとも、被控訴人が〔被控訴人の主張〕エで認める81万円の範 囲では、被控訴人製品の売上が認められる。 イ控訴人は、特許権侵害に係る調査等の費用として、原審で検査費用として請求した31万9000円(消費税 の主張〕エで認める81万円の範 囲では、被控訴人製品の売上が認められる。 イ控訴人は、特許権侵害に係る調査等の費用として、原審で検査費用として請求した31万9000円(消費税込み。甲7)に加え、被控訴人製品の分析に要した費用である消費税込み7万7000円(甲30、31)を追加して請求することとし、特許権侵害の不法行為と相当因果関係のある損害として、被控訴人製品の分析・調査等費用合計39万6000円(消費税込み) を請求する。 ウそうすると、控訴人は、不法行為に基づく損害の内訳につき、①被控訴人製品の売上額1000万円(上記ア(ア))に対する10%の相当実施料100万円、②検査費用39万6000円、③弁護士及び弁理士費用200万円の合計339万6000円の損害賠償請求権を有するところ、そのうち、請求 の趣旨記載と同額の331万9000円の範囲で損害賠償を請求することとし、及び、これに対する不法行為の日の後であり訴状送達の日の翌日である令和3年6月17日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める。 エ後記〔被控訴人の主張〕イは、侵害論の主張立証が終了した後にされたも のであり、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 〔被控訴人の主張〕ア控訴人の主張は否認ないし争う。被控訴人は、現ATW及びATW-2を使用して、例えばドライフラワーの品質向上を主たる使用目的とする製品である「無限七星花凛水」も製造しており、現ATW及びATW-2は被 控訴人製品専用の原料ではないから、控訴人の推論は成り立たない。また、調査費用につき、甲5及び甲6はいずれも現ATWを用いて製造した被控訴人製品であるから、本件訴訟の対象物ではなく、必要がない測定を行った結果であ 原料ではないから、控訴人の推論は成り立たない。また、調査費用につき、甲5及び甲6はいずれも現ATWを用いて製造した被控訴人製品であるから、本件訴訟の対象物ではなく、必要がない測定を行った結果であり、被控訴人が測定・調査等の費用を負担すべき理由がない。 控訴人は、化学の分野における平均ロイヤリティ率が4.3%であると しながら、本件においては10%が妥当であるとするところ、その根拠も示 しておらず、採用すべきではない。 イ被控訴人製品の販売には、消費者に直接販売する方法と、代理店に卸売りする方法の販売方法があったところ、消費者に直接販売した商品には、説明書(乙50)が同封され、この説明書には、清涼飲料水であることが記載され、飲み水以外の用途で使用した場合の効果を保証しないことなど が記載されている。そうすると、被控訴人製品のうち、消費者に直接販売されたものは魚介類及び精肉の鮮度保持を目的とするものとして販売されたものではないことが明記されているから、本件発明の構成要件C及びDを充足しない。 ウ令和2年5月25日以降に販売した被控訴人製品のうち、同年8月まで に販売したものは、控訴人が代表者であるリベラル社製の現ATWを原材料として使用しており、これについては原判決別紙無効主張等一覧表の3(争点4、被控訴人の主張)のとおり、特許権が消尽している。 エ被控訴人製品のうち本件特許の侵害が問題となるのは、令和2年9月以降に代理店に販売した製品であり、同月以降の同製品の売上合計金額は8 1万円であるところ、その内訳は以下のとおりである。 令和2年9月 10万円同年10月 10万円同年12月 14万4000円令和3年1月 ところ、その内訳は以下のとおりである。 令和2年9月 10万円同年10月 10万円同年12月 14万4000円令和3年1月 14万4000円 同年3月 4万4000円同年6月 4万4000円同年8月 9万円同年9月 2万7000円同年10月 2万7000円 同年12月 9万円 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、控訴人の請求は、主文第2項ないし第4項掲記の限度で理由があり、その範囲で認容されるべきであるが、その余は理由がないから棄却すべきであると判断する。その理由は以下のとおりである。 ⑴ 本件発明の技術的範囲への属否(争点1)については、次のとおり補正す るほかは、原判決第4の1(原判決9頁21行目から12頁7行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決9頁23行目の「B」の次に「(本件訂正後におけるポリアリルアミンの重量平均分子量の充足性については後記⑷のとおり)」を加える。 イ原判決11頁19行目の「構成要件A~D」を「構成要件A,C及びD」 と改める。 ウ原判決11頁19行目の末尾の次を改行し、以下のとおり加える。 「⑷ 構成要件B(本件訂正後におけるポリアリルアミンの重量平均分子量)についてア証拠(甲5、6)によれば、被控訴人製品のポリアリルアミンの 重量平均分子量は『9470』であり、当審において提出された『特許6708764に関する分析(追加)―GPC法による分子量分布測定―』と題する書面(甲30。以下、単に『甲3 リアリルアミンの 重量平均分子量は『9470』であり、当審において提出された『特許6708764に関する分析(追加)―GPC法による分子量分布測定―』と題する書面(甲30。以下、単に『甲30』という。)によっても、被控訴人製品のポリアリルアミンの重量平均分子量は『5190』とされているから、これら数値は、いずれも本件発明 の構成要件B(本件訂正後)に規定されたポリアリルアミンの重量平均分子量である『500~15000』の範囲内にある。 イ甲30は、消費期限2023年(令和5年)4月26日とされた被控訴人製品の分析結果であり、被控訴人製品の消費期限が2年とされている関係から(弁論の全趣旨)、甲30の分析対象物である 被控訴人製品は、2021年(令和3年)頃に販売されたものと認 められる。また、甲5及び甲6の分析対象物である被控訴人製品は、その消費期限の記載(2022年7月2日)から、令和2年7月頃に製造されたものであると認められる。 旧ATWのポリアリルアミンの重量平均分子量は、被控訴人が測定した結果である乙24分析によれば『45000』と認められる ところ、被控訴人も主張するように現ATWと旧ATWは、濃度が異なる点以外は成分において同一であるものとすると、甲5,甲6及び甲30の分析対象物は、いずれも旧ATW及び現ATWを用いたものではなく、メディカル社製の原材料を使用して製造された被控訴人製品であると認められる。 そうすると、これら被控訴人製品については、本件発明の構成要件Bに規定する重量平均分子量『500~15000』の範囲に属するから、構成要件Bを充足するものと認められる。 ウこの点に関して被控訴人は、甲5及び甲6でポリアリルアミンの重量平均分子量9470とされ 規定する重量平均分子量『500~15000』の範囲に属するから、構成要件Bを充足するものと認められる。 ウこの点に関して被控訴人は、甲5及び甲6でポリアリルアミンの重量平均分子量9470とされた被控訴人製品の分析対象物は、現 ATWを材料として製造したものであると主張する。 しかし、甲5及び6の分析対象物が現ATWを用いたものとする的確な証拠は提出されていないところ、前記のとおりの甲5,甲6及び甲30の分析結果等からすれば、甲5及び甲6の分析対象物は、メディカル社製の原材料を使用した被控訴人製品であると認め られる。 したがって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑸ 被控訴人製品の構成要件充足性について構成要件Bのその余の要件についての充足性については争いがないから、以上によれば、被控訴人がメディカル社製の原材料を使用して 製造した被控訴人製品は、構成要件AないしDに係る構成をいずれも 充足する。」エ原判決11頁20行目の「⑷」を「⑹」と、同12頁6行目の「⑸」を「⑺」とそれぞれ改める。 ⑵ 公然実施発明(引用発明)に基づく新規性欠如の有無(争点2-1)について 乙18分析及び乙24分析の結果によれば、同分析対象物のポリアリルアミンの重量平均分子量は4.5×104であるところ、これは、本件訂正前の本件発明の構成要件Bの重量平均分子量の数値範囲である「500~50000」の範囲にはあるものの、本件訂正後の数値範囲である「500~15000」の範囲には含まれず、この点において本件訂正後の本件発明と公然 実施発明(引用発明)とは異なるものである。 そうすると、本件訂正により、本件発明が、公然実施発明(引用発明)により新規 0」の範囲には含まれず、この点において本件訂正後の本件発明と公然 実施発明(引用発明)とは異なるものである。 そうすると、本件訂正により、本件発明が、公然実施発明(引用発明)により新規性を欠如するということはできない。 以上によれば、被控訴人の上記主張は採用することができない。 なお、本件訂正後の本件発明についての特許法126条7項違反の無効理 由の有無については、下記⑶で検討する。 ⑶ 本件訂正についての訂正要件違反による無効理由の有無(争点2-3)についてア本件明細書の内容は原判決別紙「特許公報」のとおりであるところ、その記載及び補正の上で引用した原判決第2の1⑷アの本件訂正後の本件 発明の特許請求の範囲の記載によれば、本件発明について、以下の事実が認められる。 (ア) 技術分野「本発明は、多様な機能を有する新規な機能水に関する。」(段落【0001】) (イ) 背景技術 「従来、殺菌、洗浄、脱臭、健康増進、防錆󠄀、植物の成長促進など多様な機能を有すると称される水が市場に紹介されている。」(段落【0002】)例えば、電解装置を用いて製造される酸性電解水及びアルカリ性電解水、金超微粒子含有飲料水、微酸性ないし微アルカリ性で、溶存水素/溶 存酸素(モル濃度比)が少なくとも1であることを特徴とする防錆󠄀機能水、プロチウム化された水素を含む栽培水等が知られているが、これらの水は、誰もが簡便に利用できる状況とは言い難く、いずれも広く一般に普及するまでには至っていない(段落【0003】ないし【0009】)。 (ウ) 課題 「そこで、本発明の目的は、簡便に調製でき、且つ優れた機能を有する機能水を提供することにある」(段落【0010】)。 (エ) 課 い(段落【0003】ないし【0009】)。 (ウ) 課題 「そこで、本発明の目的は、簡便に調製でき、且つ優れた機能を有する機能水を提供することにある」(段落【0010】)。 (エ) 課題を解決するための手段上記課題を解決するために、機能水に、【化3】(段落【0013】)に記載の式(3)で表される不飽和アミンに由来する構造単位を含むポリ マー等の多価アミン及び/又はその塩を機能成分として含有することを特徴とし、その機能成分の機能として、魚介類又は精肉の鮮度保持を含む種々の機能を有することが開示されている(段落【0012】、【0013】、【0015】及び【0026】)。 そして、本件発明は、多価アミン及び/又はその塩を機能成分として含 有し、水、多価アミン、多価アミンの塩の総含有量が95重量%以上である機能水であって、前記多価アミンが、上記式(3)に包含される式(3')(構成要件B)で表される不飽和アミンに由来する構造単位を有するポリマーのうち、重量平均分子量「500~15000」の、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体であり、その機能成分の機能として、魚 介類又は精肉の鮮度保持を含む種々の機能を有することが特定されてい るものである。 (オ) 効果本件発明の機能水は、上記の特定の多価アミン及び/又はその塩を機能成分として用いることにより、簡便に調製でき、且つ優れた機能(魚介類又は精肉の鮮度保持を含む種々の機能)を有するという効果を奏するも のであるということができる(段落【0022】、【0023】)。 なお、前記の機能としては、例えば、食品の鮮度保持、食品の熟成、防腐、消臭、洗浄、防錆󠄀、植物の成長調整、切り花の延命、切り花の開花調整、害虫駆除、害虫忌避、抗微生物、抗ウイルス、 0023】)。 なお、前記の機能としては、例えば、食品の鮮度保持、食品の熟成、防腐、消臭、洗浄、防錆󠄀、植物の成長調整、切り花の延命、切り花の開花調整、害虫駆除、害虫忌避、抗微生物、抗ウイルス、便通改善、便臭軽減、血圧低下、体温上昇、尿糖低下、血糖低下、抗がん、抗がん剤の副作用軽 減、抗うつ、抗喘息、抗リウマチ、抗パーキンソン、抗痛風、抗膠原病、抗アルツハイマー、毛髪黒化促進、抗白髪、口臭抑制、体臭抑制、鎮痛、虫刺症治癒促進、創傷治癒促進、熱傷治癒促進、末梢神経障害緩和、及び抗炎症等を挙げることができる。 (カ) 実施例(段落【0108】ないし【0237】) ポリマーBとして、本件発明のポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体に該当する【表3】(段落【0065】)に記載の市販品(ポリアリルアミン、ジアリルアミン重合体)を用い、これに精製水を配合した試験液を用いて、試験例1ないし44を行い、結果が示されている。 イ本件訂正における各訂正要件について (ア) 訂正要件の充足の有無本件訂正は、本件特許の特許請求の範囲の請求項3のうち、「重量平均分子量500~50000の、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体」と記載されている(本件訂正前)のを、「重量平均分子量500~15000の、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体」とするもの (本件訂正後)であり、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体の重 量平均分子量の範囲を「500~50000」から「500~15000」と限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものと認められるから、本件訂正は、特許法126条1項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものということができる。 また、本件訂正は、ポリアリルアミン又 求の範囲を減縮しようとするものと認められるから、本件訂正は、特許法126条1項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものということができる。 また、本件訂正は、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体の重量 平均分子量の範囲を限定するものにすぎず、その対象等を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項にも適合するものである。 そして、本件明細書には、段落【0052】ないし【0055】に、本件特許の請求項3の式(3’)を包含する式(3)で表される不飽和アミ ンに由来する構造単位を有するポリマー(前記ア(カ)のポリマーB)について記載され、段落【0055】には、「上記ポリマーBの重量平均分子量は、例えば100~200,000、好ましくは300~100,000、さらに好ましくは500~50,000である。」と記載されている。 また、段落【0065】の【表3】には、ポリマーBとして使用可能な市 販品として、重量平均分子量1600のポリアリルアミン(製品名「PAA-01」) 及び重量平均分子量「15,000」のポリアリルアミン(製品名「PAA-15C」)が挙げられている。 上記によれば、本件訂正に係る重量平均分子量「500~15000」との数値範囲は、本件明細書に記載の「重量平均分子量」の好ましい数値 範囲である「500~50000」の範囲内のものであり、その上限値である「15000」は、実施例の数値として前記のとおり具体的に開示されているものということができるから、本件明細書等において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 そうすると、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は 図面に記載した事項の範囲内の訂正であ ことができるから、本件明細書等において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 そうすると、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は 図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項に適合 するものである。 これらによれば、本件訂正は、特許法126条1項ただし書、同条5項及び6項に適合するものである。 (イ) 乙18分析及び乙24分析における分析対象物である公然実施発明(引用発明)に基づく進歩性欠如の主張について a 公然実施発明は、公然実施品の具体的な構成又は組成等に基づいて認定されるため、通常、その公然実施品自体に課題が記載されていることはなく、何らかの課題があることを認識することは困難であるから、公然実施発明に基づく容易想到性の有無を判断するにあたっては、公然実施品から出願日(優先日)当時の技術常識を前提にして技術的思想や課 題を認識できるかどうか、その構成又は組成を変更する動機付けがあるか否かを検討すべきである。 b 公然実施発明(引用発明)は、本件特許の優先日前の平成30年10月から製造販売された製品である「無限七星FISH」に係る発明であり、当該製品に含まれる成分を分析することにより、分析対象物の含有 成分はポリアリルアミンであること(乙18分析)、その重量平均分子量は、4.5×10⁴であること(乙24分析)が判明したとするものである。そうすると、本件発明と公然実施発明(引用発明)は以下の点で相違する。 「本件発明においては、ポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体 の重量平均分子量が『500~15000』であるのに対し、公然実施発明(引用発明)においては、ポリアリルアミンの重量平均分子量が『45000』である点」前記のとおり ルアミン重合体 の重量平均分子量が『500~15000』であるのに対し、公然実施発明(引用発明)においては、ポリアリルアミンの重量平均分子量が『45000』である点」前記のとおり、公然実施発明(引用発明)は、「無限七星FISH」という製品に関し、当該製品に含まれる成分を分析することにより、含 有成分がポリアリルアミンであり、その重量平均分子量が4.5×10 ⁴であることが判明したにすぎないものであるから、当該製品自体に、何らかの課題があることを認識することはできないものである。また、この公然実施発明(公然実施品)における構成又は組成について、技術的思想や課題を認識できるような、本件優先日当時の技術常識があった旨の証拠もない。そうすると、本件優先日当時の技術常識を前提として、 これらを変更する何らかの動機付けがあったともいえない。 したがって、公然実施発明(引用発明)において、その含有成分であるポリアリルアミンの組成に着目し、重量平均分子量等の物性をあえて変更することについて動機付けがあるとはいえないから、重量平均分子量が「45000」であるポリアリルアミンを、重量平均分子量が「5 00~15000」であるポリアリルアミンに置換することを、当業者が容易に想到できたとはいえない。 以上によれば、本件発明が、公然実施発明(引用発明)に基づき、容易に想到し得たとはいえず、本件訂正後の本件発明が進歩性を有しないものとは認められず、独立して特許を受けることができないものとも認 められない。 c 被控訴人の主張について(a) 被控訴人は、前記第2の3⑶〔被控訴人の主張〕イ・ウのとおり、本件特許の優先日前に公然実施された被控訴人製品「無限七星FISH」の重量平均分子量4.5×1 c 被控訴人の主張について(a) 被控訴人は、前記第2の3⑶〔被控訴人の主張〕イ・ウのとおり、本件特許の優先日前に公然実施された被控訴人製品「無限七星FISH」の重量平均分子量4.5×104との比較において、「1500 0」という上限値が技術的にいかなる意義を有するのかが不明であり、本件優先日において、ポリアリルアミンの重量平均分子量上限値の「15000」と、公然実施発明に係る同「45000」は、いずれもポリアリルアミンの重量平均分子量として広く知られ、一般的に利用されている範囲内のものであるから、本件発明は、公然実施発明 に基づいて当業者が当然に予測することができたもので、進歩性を有 しない旨を主張する。 この点につき、乙13(特開昭58-201811号公報)は、モノアリルアミンの重合体の製造方法について記載されたものであるところ、アリル化合物が通常のラジカル系開始剤によっては重合し難いという問題があったことから、ラジカル系開始剤を用いて、モノア リルアミンの高重合度の重合体を製造する方法を提供することを目的とするものであり、請求項1に記載の特定のラジカル系開始剤(分子中にアゾ基とカチオン性の窒素原子を持つ基とを含む。)を用いれば、モノアリルアミンの無機酸塩が、極性溶媒中で極めて容易に重合し、高収率で高重合度の重合体が得られることを見出したものであっ て(特許請求の範囲の記載、2頁左上欄及び3頁左下欄)、実施例には、乙13記載の製造方法によって製造された数平均分子量(Mn)が「6500~45000」のポリアリルアミンが記載されている。 しかし、乙13は、ポリアリルアミンを水に含有した際の機能について、また、数平均分子量の違いによる機能の差異について記載ないし 示唆するものではない 00」のポリアリルアミンが記載されている。 しかし、乙13は、ポリアリルアミンを水に含有した際の機能について、また、数平均分子量の違いによる機能の差異について記載ないし 示唆するものではないから、乙13の記載から、公然実施発明(引用発明)の「無限七星FISH」について、含有成分であるポリアリルアミンの重量平均分子量等の物性を変更することが動機付けられるものとはいえない。 また、乙12の1(メディカル社のウェブサイト)には、「PAA 🄬(ポリアリルアミン)」の製品紹介が記載されており、「日東紡が世界で初めて工業的製法を確立したポリアリルアミン(PAA🄬)は、一級アミンを主成分とする機能性カチオンポリマー」であり、「様々な素材のカチオン化や高機能化に最適」であることや、「お客様の使用目的・用途に応じてのご提案も可能」であることが記載され、「ア リルアミン塩酸塩重合体[1級アミン単独、水溶液]」として、重量 平均分子量(M.W.)が「1,600」(PAA-HCL-01)、「15,000」(PAA-HCL-3L)、「100,000」(PAA-HCL-10L)等の製品が、また、「アリルアミン(フリー)重合体[1級アミン単独、水溶液]」として、重量平均分子量(M. W.)が「1,600」(PAA-01)、「15,000」(PA A-15C)、「25,000」(PAA-25)等の製品が、それぞれ記載されている(1/3-2/3頁)。 また、乙12の2には、メディカル社の研究・開発の歴史について記載され、「PAA🄬」に関して、「1984(昭和59)年 PAA🄬の(ポリアリルアミン)の重合方法発明および販売開始」、「1 991年(平成3)年低分子PAA🄬を直接染料用固着剤として用途開発・販売開始」等の記載があ 、「1984(昭和59)年 PAA🄬の(ポリアリルアミン)の重合方法発明および販売開始」、「1 991年(平成3)年低分子PAA🄬を直接染料用固着剤として用途開発・販売開始」等の記載がある。 しかし、乙12の1及び乙12の2も、ポリアリルアミンを水に含有した際の機能や、重量平均分子量の違いによる機能の差異について記載ないし示唆するものではないから、乙12の1の記載から、公然 実施発明(引用発明)の「無限七星FISH」について、含有成分であるポリアリルアミンの重量平均分子量等の物性を変更することを動機付けられるものとはいえない。 そうすると、乙13、乙12の1及び乙12の2の各記載を考慮しても、前記公然実施発明(公然実施品)の構成又は組成について、技 術的思想や課題を認識できるような、本件優先日当時の技術常識があったとはいえないから、たとえ、重量平均分子量が「15000」又は「45000」であるポリアリルアミンが市販されたものであり、当業者に広く知られ、一般的に利用されているものであったとしても、そのことを根拠に、当業者が公然実施発明のポリアリルアミンの 重量平均分子量等の物性を変更することを当然に予測できるとはい えない。 したがって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 (b) 被控訴人は、前記第2の3⑶〔被控訴人の主張〕エのとおり、本件明細書にはポリアリルアミンの重量平均分子量につき本件訂正に係る数値範囲は記載されていないから、当該数値範囲に特別な技術的意 義は認められず、本件明細書には重量平均分子量と発明の効果との間に因果関係があることも記載されていないから、市販品として容易に入手可能な重量平均分子量のポリアリルアミンを採用することに困難性はなく本件発明は進歩性を有し 細書には重量平均分子量と発明の効果との間に因果関係があることも記載されていないから、市販品として容易に入手可能な重量平均分子量のポリアリルアミンを採用することに困難性はなく本件発明は進歩性を有しないと主張する。 そこで本件発明の技術的意義について検討すると、前記アのとお り、本件明細書には、簡便に調製でき、且つ優れた機能を有する機能水を提供することを課題とし(段落【0002】ないし【0010】)、当該課題を解決するために、機能水に、式(3)(式(3’)を包含する。)で表される不飽和アミンに由来する構造単位を含むポリマー等の多価アミン及び/又はその塩を機能成分として含有することを 特徴とし、当該機能成分の機能として、魚介類又は精肉の鮮度保持を含む種々の機能を有することが開示されている(段落【0012】、【0013】、【0015】及び【0026】)。 また、式(3)で表される不飽和アミンに由来する構造単位を含むポリマーとして、本件発明のポリアリルアミン又はジアリルアミン重 合体に該当するポリマーBが例示されており、その重量平均分子量が「例えば100~200,000、好ましくは300~100,000、さらに好ましくは500~50,000である」こと(段落【0052】ないし【0055】)、ポリマーBの市販品として、重量平均分子量が「1600」であるポリアリルアミン(PAA-01)、 「15,000」であるポリアリルアミン(PAA-15C)及び「5, 000」であるジアリルアミン重合体(PAS-21)が開示されている(段落【0065】)。 そして、実施例において、具体的に、重量平均分子量が「1600」若しくは「15,000」であるポリアリルアミン又は重量平均分子量が「5,000」であるジアリルアミン重 いる(段落【0065】)。 そして、実施例において、具体的に、重量平均分子量が「1600」若しくは「15,000」であるポリアリルアミン又は重量平均分子量が「5,000」であるジアリルアミン重合体及び精製水を配合し た試験液を用いて、魚介類又は精肉の鮮度保持を含む種々の機能を確認したことが開示されている(段落【0108】ないし【0237】)。 そうすると、本件明細書の記載から、「重量平均分子量500~15000」のポリアリルアミン又はジアリルアミン重合体を含有する機能水である本件発明には、前記のとおりの機能を有する点で技術的 意義があることが認められる。 そして、前記(a)のとおり、公然実施発明(引用発明)に基づいて、その含有成分であるポリアリルアミンの組成に着目し、重量平均分子量等の物性をあえて変更することについて動機付けがあるとはいえないから、前記本件発明との相違に係る重量平均分子量の数値範囲の ものに置換することが容易に想到できたものとはいえない。 したがって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 (ウ) 甲5及び甲6の分析対象物である公然実施発明に基づく新規性欠如の主張について被控訴人は、前記第2の3⑶〔被控訴人の主張〕オのとおり、本件優 先日前に公然実施された「無限七星FISH」の成分は、甲5及び甲6の分析対象物の成分と同一であり、甲6に分析対象物の重量平均分子量が「9470」であることが示されていることは控訴人が指摘するとおりであるから、本件発明は、本件優先日前に公然実施された発明と同一であり、新規性を有していない旨を主張する。 しかし、既に検討したとおり、甲5及び甲6の分析対象物である被控 訴人製品は、被控訴人がメディカル社製の原材料を用いて製造したものであ であり、新規性を有していない旨を主張する。 しかし、既に検討したとおり、甲5及び甲6の分析対象物である被控 訴人製品は、被控訴人がメディカル社製の原材料を用いて製造したものであると認められるところであり、これが旧ATW及び現ATWと同一性を有する旨の被控訴人の主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。 したがって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 (エ) 小括以上のとおり、本件発明は新規性ないし進歩性を欠如するものではないから、特許法126条7項に定める独立特許要件も満たすものであり、本件訂正が訂正要件に違反してされたものとも、本件訂正後の本件発明が、新規性ないし進歩性欠如の無効理由を有するものともいえない というべきである。 ⑷ 本件特許出願の冒認出願該当性(争点2-2)について被控訴人は、補正の上で引用した原判決第3の3のとおり、被控訴人の代表者であるA氏は、少なくとも本件特許の発明者の一人であるから本件特許出願は冒認出願の無効理由がある旨主張する。 しかし、「発明者」とは、特許発明の技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者をいい,例えば、部下の研究者に対し,具体的着想を示さず,単に研究テーマを与えたり,一般的な助言や指示を行ったにすぎない者は「発明者」ということはできないところ、被控訴人が、A氏において本件発明に関連して行ったとす る内容は、いずれも実験についての提案等にすぎず(乙20ないし22。枝番号の記載は省略する。)、本件発明に係るポリアリルアミンが、魚の鮮度保持に効果がある旨を着想して、これら実験を行っていることを示す証拠はないから、A氏が本件発明の技術的思想を当業者が実施できる程度にまで 記載は省略する。)、本件発明に係るポリアリルアミンが、魚の鮮度保持に効果がある旨を着想して、これら実験を行っていることを示す証拠はないから、A氏が本件発明の技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者ということはでき ず、同人を発明者の一人であると認めることはできない。 したがって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑸ 先使用権の成否(争点3)について被控訴人は、補正の上で引用した原判決第3の3のとおり、甲5及び甲6で分析がされた被控訴人製品は、旧ATWを用いて製造されたものであるところ、旧ATWも現ATWも濃度は異なるものの同一成分であり、被控訴人 は本件特許の優先日前から被控訴人製品を販売しており、先使用権(特許法79条)を有する旨を主張する。 特許法79条にいう発明の実施である「事業の準備」とは、特許出願に係る発明の内容を知らないでこれと同じ内容の発明をした者又はこの者から知得した者が、その発明につき、即時実施の意図を有しており、かつ、その即 時実施の意図が客観的に認識されうる態様、程度において表明されていることをいう(最高裁昭和61年(オ)第454号・同年10月3日第二小法廷判決)と解すべきであるから、「事業の準備」が認定される前提としてその発明が完成していることを要すると解される。 被控訴人は、控訴人の関連会社から旧ATW及び現ATWを購入して被控 訴人製品を販売していたのみであり、上記⑷のとおり、被控訴人ないしA氏において本件特許に係る発明の完成に寄与したものでも、その発明を完成させていたものでもないから、被控訴人の主張する先使用による通常実施権については,これを認めることができない。 したがって、 において本件特許に係る発明の完成に寄与したものでも、その発明を完成させていたものでもないから、被控訴人の主張する先使用による通常実施権については,これを認めることができない。 したがって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑹ 消尽又は黙示の実施許諾の成否(争点4)について被控訴人は、補正の上で引用した原判決第3の3のとおり、控訴人の関連会社から購入した旧ATW及び現ATWを用いて被控訴人製品を製造販売することに関しては、控訴人の特許権は消尽しており、又はその製造販売について控訴人の黙示の許諾がある旨を主張する。 しかし、補正の上で引用した原判決第4の1のとおり、本件特許権の侵害 に係る被控訴人製品は、被控訴人がメディカル社から原材料を購入して製造した製品をいうものであり、旧ATW及び現ATWを用いて製造した製品についてはその対象とはしていないから、被控訴人の主張はその前提を欠くものである。 ⑺ 損害の発生及びその額(争点5)について ア被控訴人による、メディカル社製の原材料を購入して製造した被控訴人製品の販売により、控訴人が受けた損害については、以下のとおり認められる。 イ控訴人の主張する特許法102条3項の損害について、令和2年9月から令和3年12月までの間の被控訴人製品の売上合計金額は少なくとも8 1万円であることについては当事者間に争いがない。 被控訴人は、前記のとおり、甲5及び甲6の分析に係る被控訴人製品を販売しており、これは令和2年6月以降に販売されたものとみられるところ、同年9月及び同年10月の被控訴人製品の売上金額は各月10万円であったことに鑑みると、同年6月ないし8月の間にも、各月10万円、合計3 0万円の被控訴人製品の売上 されたものとみられるところ、同年9月及び同年10月の被控訴人製品の売上金額は各月10万円であったことに鑑みると、同年6月ないし8月の間にも、各月10万円、合計3 0万円の被控訴人製品の売上があったものと推認するのが相当である。 これらによると、本件特許の登録以降の被控訴人製品の売上額は、上記81万円と30万円の合計111万円と認めるのが相当である(前記第2の3⑷〔控訴人の主張〕ア(イ))。 相当実施料率について、化学の分野における平均実施料率は4.3%で あると認められるところ(甲32)、本件特許が機能水に関する用途発明であることや、特許法102条4項の趣旨を考慮すると、同条3項の相当実施料率については、5%と認めるのが相当である。 そうすると、控訴人の特許法102条3項の損害は、上記111万円に5%を乗じた結果である、5万5000円と認めるのが相当である(100 0円未満切捨て)。 ウ控訴人の主張する調査等費用の損害について、控訴人は、被控訴人製品の調査・分析に要した費用として合計39万6000円を請求するところ、これは、被控訴人の特許権侵害の不法行為と相当因果関係のある控訴人の損害であると認められる。 エ前記イ及びウ並びに本件訴訟の経緯に鑑みると、弁護士・弁理士費用相 当額として、4万5000円を認めるのが相当である。 オ以上によれば、被控訴人は、控訴人に対し、イないしエの合計額である49万6000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和3年6月17日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金を支払うべきであるが(主文第4項)、その余の控訴人の請求については棄却す べきである(主文第5項)。また、上記支払を命じる主文第4項には、仮執行 みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金を支払うべきであるが(主文第4項)、その余の控訴人の請求については棄却す べきである(主文第5項)。また、上記支払を命じる主文第4項には、仮執行宣言を付するのが相当である(主文第7項)。 カ当審における控訴人の申立て(前記第2の3⑷〔控訴人の主張〕エ)について控訴人は、被控訴人による、被控訴人製品の販売形態のうち、消費者に直 接販売されたものは魚介類及び精肉の鮮度保持を目的とするものとして販売されたものではないことが明記されているから本件発明の構成要件C及びDを充足しない旨の被控訴人の主張(前記第2の3⑷〔被控訴人の主張〕イ)は、時機に後れた攻撃防御方法であるとして却下の申立てをする。 この点について、本訴の原審における争点整理段階においても審理され ていた構成要件C及びDの充足性に係る争点に関し、被控訴人は、被控訴人製品の販売方法には、その機能をうたって販売するのではないものが含まれる旨については、従前より同旨の主張をしていたということができる。また、被控訴人が上記主張を陳述した令和5年11月9日の第6回弁論準備手続期日において、弁論準備手続が終結され、その次の期日に当たる同年12月 25日の第1回口頭弁論期日において、控訴人は、上記主張に対する反論を 記載した準備書面を陳述しているから、被控訴人が上記主張を提出したことによって本件訴訟の終結が遅延したということはできない。 したがって、上記控訴人の主張には理由がないから、控訴人の上記申立ては却下する。 キ当審における控訴人の主張(前記第2の3⑷〔控訴人の主張〕ア(ア))に ついて控訴人は、本件特許についての特許法102条3項の実施料率は10%とすべきであり、被控訴人製品の売上額は、 キ当審における控訴人の主張(前記第2の3⑷〔控訴人の主張〕ア(ア))に ついて控訴人は、本件特許についての特許法102条3項の実施料率は10%とすべきであり、被控訴人製品の売上額は、控訴人の関連会社から購入した現ATW及びATW-2の量に照らすとその売上額について1000万円は優にあると主張する。 しかし、相当な実施料率に関し提出されている証拠は前記甲32のみであり、本件特許に関する特許法102条3項の実施料率について、これを10%とすべきとすることについての的確な証拠はなく、前記のとおりの本件特許の内容にも照らせば、同実施料率については5%とすべきである。また、被控訴人は、控訴人の関連会社から購入した現ATW及びATW-2を用い て「無限七星花凛水」(乙46)など被控訴人製品以外の製品も販売していたとするものであるから、必ずしも控訴人の関連会社から購入した旧ATW及び現ATWの量をもって、本件特許の侵害に係る被控訴人製品の売上額を推認させるものとは認め難い。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑻ 差止め及び廃棄の必要性の有無(争点6)について被控訴人はこの点を争い、被控訴人製品の販売については既に終了しているとするものであるが、本件訴訟の経緯に鑑みると、被控訴人に対し、被控訴人製品の製造等を禁止し、同製品の廃棄を命ずるのが相当である(主文第2項、第3項)。 ⑼ 当事者双方がその他縷々主張する内容は、いずれも前記認定及び判断を左 右しない。 2 結論よって、上記と異なる原判決は相当でないからこれを変更することとして(主文第1項)、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 結論 よって、上記と異なる原判決は相当でないからこれを変更することとして(主文第1項)、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則

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