平成29(ワ)21880 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年2月26日 東京地方裁判所
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判決文本文47,031 文字)

令和3年2月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官損害賠償請求事件(第1事件)損害賠償請求事件(第2事件)口頭弁論終結日令和2年9月16日判決 主文 1⑴ 被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11は,別紙認容額等一覧表1「原告」欄記載の各原告に対し,連帯して各対応する同A欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,各対応する同B欄記載の各金員及びこれに対する 同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B1と,各対応する同C欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B2,被告B3及び被告B4と,各対応する同D欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合によ る金員の限度で被告B5及び被告B6とそれぞれ連帯して)を支払え。 ⑵ 被告B1は,別紙認容額等一覧表1「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,各対応する同B欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告B2,被告B3及び被告B4は,別紙認容額等一覧表1「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同C欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告B5及び被告B6は,別紙認容額等一覧表1「原告」欄記載の各原告 に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,それぞ れ 年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告B5及び被告B6は,別紙認容額等一覧表1「原告」欄記載の各原告 に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,それぞ れ各対応する同D欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ 被告B7,被告B8及び被告B11は,別紙認容額等一覧表2「原告」欄記載の各原告(ただし,原告A45を除く。)に対し,連帯して各対応する同A欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済 みまで年5分の割合による金員(ただし,各対応する同B欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B1と,各対応する同C欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B2,被告B3及び被告B4と,各対応する同D欄記載の各金員 及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B5及び被告B6とそれぞれ連帯して)を支払え。 ⑹ 被告B1は,別紙認容額等一覧表2「原告」欄記載の各原告(ただし,原告A45を除く。)に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,各対応する同B欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑺ 被告B2,被告B3及び被告B4は,別紙認容額等一覧表2「原告」欄記載の各原告(ただし,原告A45を除く。)に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同C欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合に の各原告(ただし,原告A45を除く。)に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同C欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払え。 ⑻ 被告B5及び被告B6は,別紙認容額等一覧表2「原告」欄記載の各原告(ただし,原告A45を除く。)に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同D欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑼ 被告B7,被告B8,被告B10及び被告B11は,原告A45に対し, 連帯して385万円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,192万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B1と,48万1250円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B2,被告B3及び被告B4と,24万0625円及びこれに 対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B5及び被告B6とそれぞれ連帯して)を支払え。 ⑽ 被告B1は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被告B10及び被告B11と連帯して,192万5000円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑾ 被告B2,被告B3及び被告B4は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被告B10及び被告B11と連帯して,それぞれ48万1250円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑿ 被告B5及び被告B6は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被 と連帯して,それぞれ48万1250円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑿ 被告B5及び被告B6は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被告 B10及び被告B11と連帯して,それぞれ24万0625円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2⑴ 原告A1,原告A26,原告A33及び原告A36の各請求をいずれも棄却する。 ⑵ 前記4名を除く原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,次のとおりの負担とする。 ⑴ 第1事件ア別紙認容額等一覧表1「原告」欄記載の各原告と被告ら(被告B10を除く。)との間に生じた費用は,各原告に係る同「訴訟費用負担割合」欄 記載の割合の費用を同被告らの負担とし,その余を各原告の負担とする。 イ別紙認容額等一覧表2「原告」欄記載の各原告(原告A45を除く。)と被告ら(被告B9及び被告B10を除く。)との間に生じた費用は,各原告に係る同「訴訟費用負担割合」欄記載の割合の費用を同被告らの負担とし,その余を各原告の負担とする。 ウ原告A1と被告ら(被告B10を除く。)との間に生じた費用は,同原 告の負担とする。 エ原告A26,原告A33及び原告A36と被告ら(被告B9及び被告B10を除く。)との間に生じた費用は,同原告らの負担とする。 ⑵ 第2事件原告A45と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用は,これを 2分し,その1を同被告らの負担とし,その余を原告A45の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件 ⑴ 被告B7,被告B8,被告 を同被告らの負担とし,その余を原告A45の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件 ⑴ 被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11は,別紙請求目録1「原告」欄記載の各原告に対し,連帯して各対応する同「請求金額1」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,各対応する同「請求金額2」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分 の割合による金員の限度で被告B1と,各対応する同「請求金額3」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B2,被告B3及び被告B4と,各対応する同「請求金額4」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B5 及び被告B6とそれぞれ連帯して)を支払え。 ⑵ 被告B1は,別紙請求目録1「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,各対応する同「請求金額2」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告B2,被告B3及び被告B4は,別紙請求目録1「原告」欄記載の各 原告に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同「請求金額3」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告B5及び被告B6は,別紙請求目録1「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯し 算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告B5及び被告B6は,別紙請求目録1「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8,被告B9及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応 する同「請求金額4」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ 被告B7,被告B8及び被告B11は,別紙請求目録2及び同請求目録3「原告」欄記載の各原告に対し,連帯して各対応する同「請求金額1」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年 5分の割合による金員(ただし,各対応する同「請求金額2」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B1と,各対応する同「請求金額3」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B2,被告B3及び被告B4と,各対応する同 「請求金額4」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B5及び被告B6とそれぞれ連帯して)を支払え。 ⑹ 被告B1は,別紙請求目録2及び同請求目録3「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,各対応する同「請求 金額2」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支 払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑺ 被告B2,被告B3及び被告B4は,別紙請求目録2及び同請求目録3「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同「請求金額3」欄記載の各金員及びこれに対す B2,被告B3及び被告B4は,別紙請求目録2及び同請求目録3「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同「請求金額3」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支 払え。 ⑻ 被告B5及び被告B6は,別紙請求目録2及び同請求目録3「原告」欄記載の各原告に対し,被告B7,被告B8及び被告B11と連帯して,それぞれ各対応する同「請求金額4」欄記載の各金員及びこれに対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第2事件⑴ 被告B7,被告B8,被告B10及び被告B11は,原告A45に対し,連帯して780万円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,390万円及びこれに対する前同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B1と,97万 5000円及びこれに対する前同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B2,被告B3及び被告B4と,48万7500円及びこれに対する前同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告B5及び被告B6とそれぞれ連帯して)を支払え。 ⑵ 被告B1は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被告B10及び被 告B11と連帯して,390万円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告B2,被告B3及び被告B4は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被告B10及び被告B11と連帯して,それぞれ97万5000円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合 による金員を支払え。 ⑷ 被告B5及び 7,被告B8,被告B10及び被告B11と連帯して,それぞれ97万5000円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合 による金員を支払え。 ⑷ 被告B5及び被告B6は,原告A45に対し,被告B7,被告B8,被告B10及び被告B11と連帯して,それぞれ48万7500円及びこれに対する平成26年4月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1⑴ 第1事件は,第1事件原告らが,被告B9,被告B10,被告B11及び弁論分離前被告G(以下「G」といい,被告B9,被告B10及び被告B11と併せて「被告行為者ら」という。)が関与して行われた特殊詐欺の被害に遭い,損害を被ったと主張して,同人らに対し,共同不法行為に基づき,第1事件原告らが交付した金員相当額,慰謝料及び弁護士費用並びにこれら に対する民法(平成29年法律第44号による改正のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めると共に,亡E,被告B8及び被告B7に対し,被告行為者らが第1事件原告らから金員を詐取した行為は,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)31条の2にいう「威力利用資金獲得行為」に当たり又は民法7 15条にいう「事業の執行」について行われたものであり,亡E,被告B8及び被告B7は住吉会の「代表者等」又は使用者等に当たることから,第1事件原告らに生じた損害を賠償する義務があると主張して,暴対法31条の2又は民法715条に基づき,第1事件原告らが交付した金員相当額,慰謝料及び弁護士費用並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延 損害金の連帯支払を求める事案である。 第1事件の訴訟提起後である平成29年9月 原告らが交付した金員相当額,慰謝料及び弁護士費用並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延 損害金の連帯支払を求める事案である。 第1事件の訴訟提起後である平成29年9月12日に亡Eが死亡し,妻である被告B1(法定相続分2分の1),子である被告B2(法定相続分8分の1),被告B3(法定相続分8分の1)及び亡F(法定相続分8分の1),孫であるB4(法定相続分8分の1)がそれぞれ法定相続分に従って亡Eを 相続したため,同人らが第1事件における亡Eの訴訟手続を受継した。その 後,令和元年7月19日に亡Fが死亡し,夫である被告B5(法定相続分16分の1)及び子である被告B6(法定相続分16分の1)がそれぞれ法定相続分に従って亡Fを相続したため,同人らが第1事件における亡Fの訴訟手続を受継した。 なお,G及び被告B10は,適法な呼出しを受けたにもかかわらず第1回 口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出しなかったことから,同人らについての口頭弁論は分離された。 ⑵ 第2事件は,原告A45が,被告B10,被告B11及びGが関与して行われた特殊詐欺の被害に遭い,損害を被ったと主張して,同人らに対し,共同不法行為に基づき,原告A45が交付した金員相当額,慰謝料及び弁護士 費用並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めると共に,被告B8,被告B7並びに亡Eの相続人である被告B1,被告B2,被告B3,亡F及び被告B4に対し,暴対法31条の2又は民法715条に基づき,原告A45が交付した金員相当額,慰謝料及び弁護士費用並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連 帯支払(被告B1,被告B2,被告B3,亡F及び被告B4については に基づき,原告A45が交付した金員相当額,慰謝料及び弁護士費用並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連 帯支払(被告B1,被告B2,被告B3,亡F及び被告B4については各相続分の限度での連帯支払)を求める事案である。 前記⑴のとおり,令和元年7月19日に亡Fが死亡したため,被告B5及び被告B6が第2事件における亡Fの訴訟手続を受継した。 なお,Gは,適法な呼出しを受けたにもかかわらず第1回口頭弁論期日に 出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出しなかったことから,同人についての口頭弁論は分離された。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 原告らについて 原告らは,平成25年5月頃から平成26年6月頃までの間に,被告行為 者らが関与して行われた特殊詐欺により被害を受けたと主張している者又はその相続人である。 なお,亡C及び亡Dについては,同人らが訴訟係属中に死亡し,亡Cの法定相続人である原告A3及び原告A4並びに亡Dの法定相続人である原告A11及び原告A12がそれぞれ訴訟上の地位を承継した。また,当初原告で あった亡Hについては,同人が訴訟係属中に死亡し,同人の法定相続人らが訴訟上の地位を承継したが,同法定相続人らは,本件訴えを取り下げた。 ⑵ 被告らについてア住吉会は,平成4年6月23日,東京都公安委員会から暴対法3条に基づき指定された暴力団であり(同法2条3号),それ以降,3年間の 指定の有効期限ごとに,東京都公安委員会による指定の公示(同法7条1項)を受けている。 住吉会には,住吉会本部のほか,その傘下に二次組織の音羽一家,音羽一家の傘下に三次組織のW組及びB9組,W組 の有効期限ごとに,東京都公安委員会による指定の公示(同法7条1項)を受けている。 住吉会には,住吉会本部のほか,その傘下に二次組織の音羽一家,音羽一家の傘下に三次組織のW組及びB9組,W組の傘下に四次組織のX組及びJ組が存在する(甲3,乙イ23)。 イ亡Eは,平成2年から平成10年6月まで,住吉会の会長を,平成3年2月から平成17年4月18日まで,住吉会の二次組織である住吉一家の6代目総長をそれぞれ務めていた者である。 亡Eは,平成4年の暴対法3条に基づく指定時から,住吉会を「代表する者」と公示されており,別紙請求原因目録記載の「不法行為」欄記載の 欺罔行為(以下「本件各詐欺行為」という。)前後になされた指定の公示(平成25年6月17日東京都公安委員会告示第199号,平成28年6月20日東京都公安委員会告示第219号)においても,住吉会を「代表する者」と公示されていた(甲1及び甲40)。なお,亡Eは,住吉会において「総裁」を名乗っていたことがある。 亡Eは,平成29年9月12日に死亡した。 ウ被告B7は,平成10年6月から平成26年4月17日まで住吉会の会長を務め,同月18日以降,住吉会の特別相談役の地位にある者である。 また,被告B7は,平成17年4月18日から住吉一家の7代目総長を務めている(甲2)。 エ被告B8は,平成26年4月17日まで住吉会の会長代行を務め,同月 18日以降,住吉会の会長を務めている者である(甲2)。 オ被告B9は,本件各詐欺行為当時,音羽一家の総長室長,B9組の組長を務めると共に,住吉会副会長補佐の呼称を与えられていた者である(甲3)。 カ被告B10は,本件各詐欺行為当時,音羽一家の事務長,W組の組長代 行を務めると共に 長室長,B9組の組長を務めると共に,住吉会副会長補佐の呼称を与えられていた者である(甲3)。 カ被告B10は,本件各詐欺行為当時,音羽一家の事務長,W組の組長代 行を務めると共に,住吉会副会長補佐の呼称を与えられていた者である。 なお,本件各詐欺行為当時,W組の組長はIが務めていた。(甲3)キ被告B11は,本件各詐欺行為当時,W組の本部長,X組の組長を務めると共に,住吉会副理事長の呼称を与えられていた者である(甲3,4)。 ク Gは,本件各詐欺行為当時,W組の組員,X組の組長代行を務めていた 者である(甲3,4)。 ⑶ 被告行為者らに対する刑事処分ア被告B9は,電話をかけた相手から現金を詐取しようと企て,被告B11,Gほか数名と共謀の上,実態のない会社の社債券購入のための名義貸しに応じた者に対し,名義貸しを巡る損害賠償請求を回避するという嘘の 名目下に現金を送付させるなどの態様で,被害者4名を欺き,合計7100万円を詐取したという詐欺被告事件(東京地方裁判所平成27年刑(わ)第1753号,同第2002号,同第2275号,同第3021号)において,平成28年8月18日,懲役8年の実刑判決の宣告を受けた(甲82)。その後,被告B9は,東京高等裁判所に控訴したが,平成29年1 月26日,控訴棄却の判決が宣告された(甲83)。 イ被告B10は,電話をかけた相手から現金を詐取しようと企て,被告B11,Gほか数名と共謀の上,実態のない会社の社債券購入名目下に現金を送付させるなどの態様で,被害者9名を欺き,合計1億5610万円を詐取したという詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成27年刑(わ)第172号,同第360号,同第573号,同第958号,同第1 せるなどの態様で,被害者9名を欺き,合計1億5610万円を詐取したという詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成27年刑(わ)第172号,同第360号,同第573号,同第958号,同第1 046号,同第1266号,同第1395号,同第2787号)において,平成28年3月14日,実刑判決の宣告を受け,同判決は同月29日に確定した(甲90)。 ウ被告B11は,電話をかけた相手から現金を詐取しようと企て,被告B10,被告B9,Gほか数名と共謀の上,実態のない会社の社債券購入名 目下に現金を送付させるなどの態様で,被害者13名を欺き,合計2億2760万円を詐取したという詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成26年刑(わ)第3362号,平成27年刑(わ)第172号,同第455号,同第549号,同第1046号,同第1266号,同第1753号,同第2002号,同第2275号,同第2787号,同第3021号) において,平成28年5月13日,懲役8年の実刑判決の宣告を受け,同判決は同月28日に確定した(甲84,89)。 エ Gは,電話をかけた相手から現金を詐取しようと企て,被告B9,被告B10,被告B11ほか数名と共謀の上,実態のない会社の社債券購入名目下に現金を送付させるなどの態様で,被害者12名を欺き,合計1億9 010万円を詐取したという詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成26年刑(わ)第3362号,平成27年刑(わ)第172号,同第360号,同第617号,同第1266号,同第1753号,同第2002号,同第2275号,同第2787号,同第3021号)において,平成28年8月19日,懲役7年の実刑判決の宣告を受け,同判決は同年9月 3日に確定した(甲91,乙イ18)。 号,同第2275号,同第2787号,同第3021号)において,平成28年8月19日,懲役7年の実刑判決の宣告を受け,同判決は同年9月 3日に確定した(甲91,乙イ18)。 オなお,原告らは,前記アないしエの詐欺被告事件等の被害者ではない。 ⑷ 暴対法の規定ア暴対法2条2号は,「暴力団」を「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と,同条3号は,「指定暴力団」を 「同法3条の規定により指定された暴力団」と,同条5号は,「指定暴力団等」を「指定暴力団又は指定暴力団連合」と,同条6号は,「暴力団員」を「暴力団の構成員」と定めている。 イ暴対法3条は,都道府県公安委員会は,暴力団が同条各号のいずれにも該当すると認めるときは,当該暴力団を,その暴力団員が集団的に又は常 習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団として指定するものとすると定めている。 同条1号は,名目上の目的のいかんを問わず,当該暴力団の暴力団員が当該暴力団の威力を利用して生計の維持,財産の形成又は事業の遂行のための資金を得ることができるようにするため,当該暴力団の威力をその暴 力団員に利用させ,又は当該暴力団の威力をその暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とするものと認められることと定めている。 同条3号は,当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者(以下「代表者等」という。)の統制の下に階層的に構成されている団体であることと定めている。 ウ暴対法9条は,指定暴力団等の暴力団員(以下「指定暴力団員」という。)は,その者の所属する指定暴力 者等」という。)の統制の下に階層的に構成されている団体であることと定めている。 ウ暴対法9条は,指定暴力団等の暴力団員(以下「指定暴力団員」という。)は,その者の所属する指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等(当該指定暴力団等と上方連結(指定暴力団等が他の指定暴力団等の構成団体となり,又は指定暴力団等の代表者等が他の指定暴力団等の暴力団員となっている関係をいう。)をすることにより順次関連している各指定暴 力団等をいう。)の威力を示して同条所定の行為をしてはならないと定め ている。 エ暴対法31条の2本文は,指定暴力団の代表者等は,当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為(当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持,財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。)を行うについて他人の 生命,身体又は財産を侵害したときは,これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めている。 3 争点⑴ 被告行為者らの共同不法行為責任の成否(争点1)⑵ 暴対法31条の2について ア被告行為者らの暴対法31条の2の「指定暴力団員」該当性(争点2の1)イ亡E,被告B7及び被告B8の暴対法31条の2の「代表者等」該当性(争点2の2)ウ被告行為者らの各詐欺行為の暴対法31条の2の「威力利用資金獲得行 為」該当性(争点2の3)⑶ 使用者責任についてア亡E,被告B7及び被告B8の被告行為者らの使用者又は代理監督者該当性(争点3の1)イ被告行為者らの各詐欺行為の民法715条「事業のため」該当性(争点 3の2)⑷ 損害額及び過失相殺の適否(争点4)⑸ (第2 用者又は代理監督者該当性(争点3の1)イ被告行為者らの各詐欺行為の民法715条「事業のため」該当性(争点 3の2)⑷ 損害額及び過失相殺の適否(争点4)⑸ (第2事件について)消滅時効の成否(争点5) 4 争点に対する当事者の主張の要旨⑴ 争点1(被告行為者らの共同不法行為責任の成否)について 【原告らの主張の要旨】 ア原告ら又はその被相続人らは,それぞれ,別紙請求原因目録の「行為者」欄記載の被告の「不法行為」欄記載の欺罔行為により,「送金額小計(A)」欄記載の損害を受けた。 なお,同目録「原告」欄記載の各原告のうち,原告番号1-3のCについては,同「原告」欄記載の原告を原告A3(原告番号1-3A)及び原 告A4(原告番号1-3B)に置き換えるほか,同「不法行為」欄記載の「左記原告」及び「同原告」を「亡C」と置き換えることとし,原告番号1-10のDについては,同「原告」欄記載の原告を原告A11(原告番号1-10A)及び原告A12(原告番号1-10B)に置き換えるほか,同「不法行為」欄記載の「左記原告」及び「同原告」を「亡D」と置き換 えることとする。また,同目録「原告」欄記載の各原告のうち,原告番号3-18のHについては,前記2⑴のとおり,訴訟承継人が訴えを取り下げた。 イ被告らは,平成27年4月6日付け捜査報告書(甲B4。以下「本件報告書」という。)の信用性には疑問があると主張する。しかし,本件報 告書は,被告B11ら受け子グループ(以下「本件受け子グループ」という。)が作成した帳簿や業務日報等の内容から確認された被害者の氏名,住所,現金を入れて送付した荷物の伝票番号,送付した金額等を整理し,原告らを含む特殊詐欺の被害者から提出され 件受け子グループ」という。)が作成した帳簿や業務日報等の内容から確認された被害者の氏名,住所,現金を入れて送付した荷物の伝票番号,送付した金額等を整理し,原告らを含む特殊詐欺の被害者から提出されていた被害届の内容と対照した上で作成されたものであるから,信用性が認められる。そして,本件報 告書に加え,原告らの陳述書及び預金口座からの出金状況等に照らせば,原告らが,本件各詐欺行為により,同目録記載の「送金額小計」欄記載の損害を受けたことは明らかである。 【被告らの主張の要旨】原告らに対する本件各詐欺行為の存在及び送金額は不知ないし否認する。 原告らは,本件各詐欺行為の存在及び送金額の証拠として本件報告書を提 出するが,本件報告書は,原資料の存在や内容が不明であるなど,その信用性や証明力には疑問がある。その他,原告らの主張を裏付けるに足りる証拠はない。 ⑵ 争点2の1(被告行為者らの暴対法31条の2の「指定暴力団員」該当性)について 【原告らの主張の要旨】被告行為者らは,本件各詐欺行為当時,いずれも指定暴力団である住吉会の組員であった。 【被告亡E相続人ら等の主張の要旨】住吉会は,二次組織以下の傘下団体との互助的な連合組織であり,二次組 織以下の団体の構成員が住吉会の構成員となるものではない。暴対法31条の2の「指定暴力団員」に二次組織の構成員も含まれるとすると,当該構成員が所属する二次組織の代表者等だけでなく,さらに上位の指定暴力団の代表者等にも暴対法上の責任が生じることになるところ,同条項が事実上の無過失責任を定めていることからすれば,かかる解釈は採用すべきでない。 そして,被告行為者らは,住吉会の構成員ではなく,住吉会に帰 法上の責任が生じることになるところ,同条項が事実上の無過失責任を定めていることからすれば,かかる解釈は採用すべきでない。 そして,被告行為者らは,住吉会の構成員ではなく,住吉会に帰属する二次組織等の構成員にすぎなかった者であるから,暴対法31条の2の「指定暴力団員」には当たらない。 ⑶ 争点2の2(亡E,被告B7及び被告B8の暴対法31条の2の「代表者等」該当性)について 【原告らの主張の要旨】暴対法31条の2の「代表者等」とは,暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者をいう。本件各詐欺行為当時,亡Eは,指定暴力団住吉会の総裁として,同会を代表する立場にあり,被告B7及び被告B8も,住吉会の最高幹部として執行部をつかさどり,その運営を支配する地位にあ ったことからすれば,亡E,被告B7及び被告B8は,暴対法31条の2の 「代表者等」に当たる。 暴対法3条3号は,「暴力団を代表する者」又は「その運営を支配する地位にある者」のいずれかに該当すれば「代表者等」に当たることを明らかにしたものであり,これらに該当する者の責任が非両立ないし択一的なものとする趣旨ではない。 【被告亡E相続人ら等の主張の要旨】亡Eは,平成2年から住吉会の会長を務めていたが,平成10年6月には会長職を退き,住吉一家の6代目総長を退いた平成17年4月18日以降は完全に引退しており,総裁を名乗ることもなかったのであるから,本件各詐欺行為当時,住吉会を代表する者ではなかった。また,住吉会における会長 は名目上の地位にすぎず,特別相談役ないし会長代行の地位にあっても,住吉会の重要事項を決定する権限を有しておらず,被告B7及び被告B8も,本件各詐欺行為当時,住吉会の た,住吉会における会長 は名目上の地位にすぎず,特別相談役ないし会長代行の地位にあっても,住吉会の重要事項を決定する権限を有しておらず,被告B7及び被告B8も,本件各詐欺行為当時,住吉会の運営を支配する地位にある者ではなかった。 仮に亡E,被告B8及び被告B7が「代表者等」に当たるとしても,暴対法3条3号は,責任の主体として「代表者」又は「運営支配者」としており, これらを同時に責任追及することはできない。 ⑷ 争点2の3(被告行為者らの各詐欺行為の暴対法31条の2の「威力利用資金獲得行為」該当性)について【原告らの主張の要旨】ア暴対法31条の2の「当該指定暴力団の威力を利用して」とは,当該指 定暴力団に所属していることにより資金獲得活動を効果的に行うための影響力又は便益を利用することをいい,当該指定暴力団の指定暴力団員としての地位と資金獲得活動とが結びついている一切の場合をいう。同条の文理上,威力利用の方法には何らの限定も付されておらず,また,暴対法9条の「威力を示し」とは文理上明確に区別されていることからしても,暴 対法31条の2の「威力を利用して」に当たるためには,暴力団の威力が 「資金獲得行為」に利用されれば足り,威力が不法行為の被害者に示される必要はないというべきである。暴力団の威力を背景にして行う特殊詐欺なども典型的な暴力団の資金獲得活動(しのぎ)である。 イ被告B10及び被告B9は,下位者であるJ及び被告B11に対し,本件受け子グループを組成するよう指示し,特殊詐欺事業という資金獲得行 為の基盤を作り上げ,これを統括管理していた。かかる被告B10及び被告B9による指示は,暴力団組織内における上位者によるものとして,指示命令の実効性を高め, 示し,特殊詐欺事業という資金獲得行 為の基盤を作り上げ,これを統括管理していた。かかる被告B10及び被告B9による指示は,暴力団組織内における上位者によるものとして,指示命令の実効性を高め,さらに検挙を阻止させることによって,資金獲得行為たる特殊詐欺事業の成立及び遂行に寄与していたことは明らかであるから,被告B10及び被告B9は,当該指定暴力団に所属することにより 資金獲得行為を効果的に行うための影響力ないし便益を利用したといえ,当該指定暴力団の指定暴力団員としての地位と資金獲得活動とが結びついているといえる。 また,被告B11及びGは,本件受け子グループ内において,指示役,受取役,運搬回収役,仕分け役等の役割分担を行って継続的な資金獲得行 為を可能とするほか,本件受け子グループの構成員のうち,暴力団関係者に対しては自らが上位者であることを示し,暴力団関係者以外に対しては自らが暴力団員であることを示して,その指示命令に逆らう等すれば,同構成員ら及びその家族の生命身体に組織的な報復が加えられかねない旨認識させる方法で,特殊詐欺事業を遂行する上で必要不可欠な指示命令に従 わせるとともに,住吉会関係者の関与を捜査機関に秘匿させることで,かかる体制構築,差配,その他の統括を実現可能なものとしていた。かかる被告B11及びGの指示が,暴力団員ないしは暴力団組織内における上位者によるものとして,その指示命令の実効性を高め,さらに検挙を阻止させることによって,資金獲得行為たる特殊詐欺事業の成立及び遂行に寄与 していたことは明らかであるから,被告B11及びGは,当該指定暴力団 に所属することにより資金獲得行為を効果的に行うための影響力ないし便益を利用したといえ,当該指定暴力団の指定暴力団員としての地 たことは明らかであるから,被告B11及びGは,当該指定暴力団 に所属することにより資金獲得行為を効果的に行うための影響力ないし便益を利用したといえ,当該指定暴力団の指定暴力団員としての地位と資金獲得活動とが結びついているといえる。 ウ以上のことからすると,被告行為者らによる本件各詐欺行為が,威力利用資金獲得行為に当たることは明らかである。 【被告亡E相続人ら等の主張】ア暴対法31条の2の制度趣旨や同条の文言に照らせば,「威力利用資金獲得行為」は,あくまでも,それを「行うについて」他人の生命,身体又は財産を侵害する行為であるから,当該不法行為の被害者に対して威力が用いられた場合又は相手方において暴力団の地位・威力を認識している場 合を指すと解すべきである。また,「威力利用」といえるためには,資金獲得行為の主体である暴力団員において,相手方に当該指定暴力団の影響力を客観的に「利用」しており,その相手方がその影響下にあるとの認識を主観的に有していることが必要である。本件各詐欺行為では,被告行為者らが,原告らに対して威力を用いたという事実はなく,また,原告らに おいて,被告行為者らが暴力団員であるということを認識していた事実もないから,本件各詐欺行為は同条の威力利用資金獲得行為には当たらない。 イ原告らは,本件各詐欺行為に際し,被告B10及び被告B9から暴力団組織内の下位者であるところのJや被告B11に対し威力が利用され,また,被告B11及びGから本件受け子グループの構成員に対して威力が利 用されたとして,本件各詐欺行為は威力利用資金獲得行為に当たると主張する。 しかし,被告行為者らから,これらの者に対し,威力が利用されたことはない。Jや被告B11は,自らの私的利益のた 利 用されたとして,本件各詐欺行為は威力利用資金獲得行為に当たると主張する。 しかし,被告行為者らから,これらの者に対し,威力が利用されたことはない。Jや被告B11は,自らの私的利益のために特殊詐欺に関与したものであり,被告B9や被告B10の指示命令によるものではないし,本 件受け子グループの構成員らも,自らの私的利益のために関与したもので あり,被告B11やGの威力によるものではない。被告B11は,本件受け子グループの構成員のうち非暴力団員の者に対し,自身が暴力団員であることを告げたことはないし,本件受け子グループの構成員が被告B11を畏怖していた事実もない上,被告B11において,本件受け子グループの構成員が被告B11が暴力団員であることを知っている又はその影響下 にあるという認識を有していたこともなかった。 したがって,本件各詐欺行為は,威力利用資金獲得行為には当たらない。 ⑸ 争点3の1(亡E,被告B7及び被告B8の被告行為者らの使用者又は代理監督者該当性)について【原告らの主張の要旨】 亡Eは,平成3年以降死亡するまで,住吉会における擬制的血縁関係の頂点にあり,本件各詐欺行為当時も,自ら又は住吉会執行部等を通じ,住吉会の組員を直接間接に指揮監督することができる立場にあったから,被告行為者らの「使用者」に当たる。また,本件各詐欺行為当時,被告B7は,会長又は特別相談役として,被告B8は,会長代行又は会長として,それぞれ, 亡Eの事業について,亡Eに代わって事業の執行を監督する立場にあった。 【被告亡E相続人ら等の主張の要旨】亡Eは,本件各詐欺行為当時,住吉会の役職から引退していた上,住吉会は二次組織以下の傘下団体等との互助的な連合組織であり,ピ 督する立場にあった。 【被告亡E相続人ら等の主張の要旨】亡Eは,本件各詐欺行為当時,住吉会の役職から引退していた上,住吉会は二次組織以下の傘下団体等との互助的な連合組織であり,ピラミッド型の階層組織ではないことにも照らすと,住吉会に帰属する二次組織以下の傘下 団体等の構成員である被告行為者らを直接間接に指揮監督する地位にはなかった。被告B7及び被告B8も,亡Eの代理監督者とはいえない。 ⑹ 争点3の2(被告行為者らの各詐欺行為の民法715条1項の「事業のため」該当性)について【原告らの主張の要旨】 住吉会における「事業」とは,威力を利用した資金獲得行為を指すところ, 前記⑷のとおり,本件各詐欺行為は,被告行為者らによる威力利用資金獲得行為に当たる。そして,本件各詐欺行為を含む特殊詐欺事業による詐取金が,被告行為者らや本件受け子グループの構成員の報酬のみならず,W組の活動資金や住吉会への上納金などに充てられており,被告行為者らにおいても,かかる認識を有していたこと等に照らすと,被告行為者らによる本件各詐欺 行為は,住吉会の事業の執行について行われたものといえ,民法715条1項の「事業のため」に該当する。 【被告亡E相続人ら等の主張の要旨】住吉会では,組員に対し,振り込め詐欺等を行うことを厳に禁止している上,上納金制度もなく,住吉会の名称や代紋を使用するなどして,その威力 を利用した資金獲得活動をすることも容認していない。本件各詐欺行為は,住吉会の名前や代紋を一切使用することなく,住吉会が関与していない架け子グループにより行われたものであることからしても,客観的,外形的に住吉会の事業とみなされる余地はないし,住吉会との密接関連性も認められないか 代紋を一切使用することなく,住吉会が関与していない架け子グループにより行われたものであることからしても,客観的,外形的に住吉会の事業とみなされる余地はないし,住吉会との密接関連性も認められないから,住吉会の事業ということはできず,民法715条1項の「事業のた め」に該当しない。 ⑺ 争点4(損害額及び過失相殺の適否)について【原告らの主張の要旨】原告らは,本件各詐欺行為により,別紙請求原因目録記載の「送金額小計(A)」欄記載の損害のほか,「慰謝料額(B)」欄記載の精神的損害及び 「弁護士費用相当額」欄記載の損害を受けた。 本件各詐欺行為は被告行為者らの故意によるものであり,被告らにおいて過失相殺を主張して自らの責任を軽減することは不公正であり許されない。 【被告らの主張の要旨】原告らが別紙請求原因目録記載の「送金額小計」欄記載の損害を被ったこ とは不知ないし否認する。その余は否認ないし争う。 また,冷静に考えれば通常あり得ない儲け話に応じる等して現金の送付が明示的に禁止されているレターパック等を利用して短期間のうちに多数回にわたって現金を送付するなどするという本件各詐欺行為の態様に照らせば,原告らには,いずれかの時点においてその異常性に気が付くべきであったのにこれに気が付かなかったという過失があるというべきであり,その過失割 合は5割を下らない。 ⑻ 争点5(消滅時効の成否)について【第2事件被告らの主張の要旨】本件報告書には原告A45の被害申告についても記載されているし,被告B11が逮捕された際,同人が住吉会の幹部であったことや,本件各詐欺行 為の概要は報道されていたことから,原告A45は,同報告書が作成され は原告A45の被害申告についても記載されているし,被告B11が逮捕された際,同人が住吉会の幹部であったことや,本件各詐欺行 為の概要は報道されていたことから,原告A45は,同報告書が作成された平成27年4月6日までには,自らの損害及び加害者を知っていたことは明らかである。よって,原告A45の第2事件被告らに対する損害賠償請求権は,平成30年4月5日の経過によって時効消滅しているから,これを援用する。 【原告A45の主張の要旨】原告A45は,平成26年4月下旬までの間に詐欺被害に遭ったことに気が付き,岡山県警察に被害相談をしたが,その時点では捜査機関において加害者は判明しておらず,その後,被告B11が別の被害者に対する詐欺を理由に起訴された同年11月5日の前後ないし本件報告書が作成された平成2 7年4月6日前後にも,捜査機関から原告A45に対して,加害者として被告らの氏名が教示されたことはない。本件報告書は,警察内部における捜査報告書であり,原告A45は,その作成に関与しておらず,平成29年7月26日に原告訴訟代理人の1人から事件の概要や加害者について説明を受けてはじめて加害者の氏名を知った。 よって,原告A45の第2事件被告らに対する損害賠償請求権は時効消滅 していない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ⑴ 住吉会についてア住吉会は,平成4年6月23日に東京都公安委員会から暴対法3条による初指定を受け,それ以降,平成7年,同10年,同13年,同16年,同19年,同22年,同25年及び同28年に同条の規定による指定を受けている(争いのない事実)。 ら暴対法3条による初指定を受け,それ以降,平成7年,同10年,同13年,同16年,同19年,同22年,同25年及び同28年に同条の規定による指定を受けている(争いのない事実)。 住吉会の平成26年当時の勢力範囲は1都1道1府15県に及び,平成26年末時点での構成員数は約3400人(準構成員を含めると約8500人)であって,指定暴力団六代目山口組に次ぐ日本国内第2位であり,暴力団構成員全体の15.2%を占めていた(甲7,8)。 平成26年の暴力団構成員等検挙人員は,日本国内で2万2495人で あり,そのうち住吉会は3785人(16.8%)で,指定暴力団六代目山口組の1万0854人(48.2%)に次いで多く(甲8),東京都内では4923人であり,そのうち住吉会は1920人(39.0%)で,最多であった(甲9)。 イ住吉会は,本件各詐欺行為当時,代表する者たる総裁の統制の下に,会 長,特別相談役,最高顧問,特別顧問,常任顧問,会長代行等その他の29階層で構成されており,亡Eを頂点とする擬制的血縁関係の連鎖により重層的な大規模集団が形成され,下部組織の構成員に対しても亡Eの指示命令が伝達されていた。また,住吉会では,会長代行,理事長,幹事長,総本部長,総務長,組織統括長の6役が執行部を構成している。(甲2, 43)。 ウ住吉会の下部組織は,自らを表示する場合は「住吉会」を冒頭に挙げ,次に二次組織である一家名を,その次に三次組織である組の名称を付すという形で,自らの組織が住吉会の下部組織に属する組織であることを明確にしている(乙イ8ないし10,20)。 住吉会の下部組織に加入した者は,直属の組長の許可を得て,住吉会の 代紋入りバッチを有償にて購入す 住吉会の下部組織に属する組織であることを明確にしている(乙イ8ないし10,20)。 住吉会の下部組織に加入した者は,直属の組長の許可を得て,住吉会の 代紋入りバッチを有償にて購入することができる(争いのない事実)。 エ住吉会の二次組織の長は,その構成員らに対して,副会長補佐や理事長といった呼称を定め,その呼称に応じた分担金を負担させ,これを住吉会に納めている(争いのない事実)。 ⑵ 暴力団と特殊詐欺の関係について ア近年の暴力団構成員等の罪種別検挙状況をみると,恐喝,傷害等の暴力団の威力をあからさまに示す形態の犯罪の割合が減少傾向又は横ばいで推移するなか,必ずしも暴力団の威力を示す必要のない詐欺による検挙人数は増加傾向にあり,平成26年に詐欺で検挙された暴力団構成員の数は,窃盗で検挙された暴力団構成員の数を初めて上回った(甲8,41)。 イ特殊詐欺の犯行グループは,リーダーや中核メンバーを中心として,電話を繰り返しかけて被害者をだます「架け子」,自宅等に現金等を受け取りに行く「受け子」をはじめとする各役割を複数名で分担し,組織的に犯行を敢行している(甲41)。 平成26年中に特殊詐欺で検挙された暴力団構成員は689人で,特殊 詐欺の検挙人数全体の34.6%を占めており,特殊詐欺は暴力団の資金源となっていた(甲8,41)。 ⑶ 被告行為者らによる特殊詐欺(以下「本件特殊詐欺事業」という。)への関与ア被告行為者らが本件特殊詐欺事業に関与するに至る経緯等 被告B9は,平成23年12月頃,「ホンタイ」と呼ばれる架け子グ ループ(以下「本件架け子グループホンタイ」という。)に関与していた氏名不詳者から,詐取金の受取役の手配などを 被告B9は,平成23年12月頃,「ホンタイ」と呼ばれる架け子グ ループ(以下「本件架け子グループホンタイ」という。)に関与していた氏名不詳者から,詐取金の受取役の手配などを依頼され,音羽一家における下位者であるJに対し,社債券の詐欺に係る詐取金の受取役をするよう指示した。Jは,かかる特殊詐欺が被告B9のしのぎ(資金獲得活動)であると認識したが,音羽一家の幹部であり自身の上位者である 被告B9からの指示であったことから,これを引き受け,後述のとおり,自身ないし被告B11をして,詐取金の受取に係る体制を構築した。 また,被告B9は,Jが平成25年6月7日に別件詐欺事件で逮捕された後は,被告B11に対し,Jの役割を引き継ぐよう指示した。 被告B9は,主に,本件架け子グループホンタイと本件受け子グルー プの報酬の配分を決めたり,両グループ間でトラブルが発生した際の調整役を行ったりしていた。 (甲5,11,12,33,51,80,82,83,88) 被告B10は,平成25年1月頃,「60」と呼ばれる架け子グループ(以下,「本件架け子グループ60」といい,本件架け子グループホ ンタイと併せて「本件架け子グループ」という。)に関与していた氏名不詳者から,特殊詐欺に使用するための携帯電話機や印刷物の準備,詐取金の受取役の手配などを依頼され,知人であるKに対しては,携帯電話機や社債券の準備を指示し,W組における下位者であるJに対しては,詐取金の受取役をするよう指示した。Kは,被告B10から同人が暴力 団員であることを聞かされており,家族に危害が及ぶことを怖れて,被告B10の指示を断ることができなかった。 被告B10は,主に,本件架け子グループ60に所 た。Kは,被告B10から同人が暴力 団員であることを聞かされており,家族に危害が及ぶことを怖れて,被告B10の指示を断ることができなかった。 被告B10は,主に,本件架け子グループ60に所属する人間とKや本件受け子グループとの間の連絡役を務めるほか,本件受け子グループの報酬額の決定に関与していた。 (甲5,10,11,34,71,87) Jは,平成24年1月頃から,被告B11及び自身の舎弟であったGに指示し,詐取金の送金先として,架空会社の銀行口座を開設させたほか,既存の私書箱と契約させたり,新しく私書箱を作成させたりするなどして,詐取金を受け取る仕事をさせていた。 Jは,本件架け子グループと本件受け子グループとの間の連絡役を務 めた。 (甲10,11,13ないし16,17ないし21,54,55) 被告B11は,平成24年2月頃から,Jて詐取金の受取業務に従事し,その後,同年5月頃にJの舎弟となった。 被告B11は,詐取金の受取に私書箱を利用するようになった平成24 年夏頃から,Jの指示の下で,本件受け子グループの取りまとめ役を務め,Jの逮捕後は,被告B9の指示に従ってJの前記役割を引き継ぎ,本件架け子グループとの連絡役も務めるようになった。 なお,被告B11は,本件架け子グループホンタイの詐取金受取に係る自身の報酬額がJの半額であることに不満を抱いたが,上位者である 被告B9に対して報酬の増額を依頼できる立場にはないと考え,増額を要求しなかった。 被告B11は,平成26年2月ないし3月頃,W組の下部組織としてX組を立ち上げ,同組の組長となり,Gを同組の組長代行とした。被告B11は,詐取金をX組の組員の生活の維持のために利用していた。 被告B11は,平成26年2月ないし3月頃,W組の下部組織としてX組を立ち上げ,同組の組長となり,Gを同組の組長代行とした。被告B11は,詐取金をX組の組員の生活の維持のために利用していた。 (甲13ないし21,26,29,33,51,52,80,81,84,89) Gは,平成22年夏頃,Jの勧誘を受けてW組に加入し,Jの舎弟となった。その後,Gは,平成24年1月頃,Jに指示され,被告B11と共に,詐取金の受取業務に従事するようになり,同年夏以降は,被告 B11を補佐する立場として,本件受け子グループ内の指示役を務める ほか,自ら運搬役を務めるなどしていた。 Gは,平成26年7月に被告B11が別件詐欺事件で逮捕された後も,被告B9や被告B10からの指示を受け,架け子グループとの連絡役や本件受け子グループ内の指示役などを務めた。 (甲12,27,52,72,73,86) イ架け子グループについて 本件架け子グループホンタイは,架電した相手に対し,「パワーゲート」,「ジャパンフレデリックバイオ」,「バイオエネルギー」,「友愛ホーム」,「あすかホームクリエイト」,「成寿苑」等の実態のない会社の社債券購入名目で現金を送付させたり,第三者がこれらの社債券 を購入するために名義貸しが必要であるなどと申し向け,これに応じた者に対して,名義貸しを巡る損害賠償請求を回避するなどと欺罔し,現金を送付させたりするなどの方法で,多数の被害者から多額の金銭を詐取した。 なお,本件架け子グループホンタイによる詐欺のうち,本件受け子グ ループが関与したとされる詐取金の総額は,6億6279万円(被害者総数67名)にのぼるとされている。 (甲82,甲B4) 本件架け子グループホンタイによる詐欺のうち,本件受け子グ ループが関与したとされる詐取金の総額は,6億6279万円(被害者総数67名)にのぼるとされている。 (甲82,甲B4) 本件架け子グループ60は,架電した相手に対し,「IPSテクノ」,「日本再生医療協会」,「ジャパンメディカル」,「日本総合医療セン ター」等の実態のない会社が発行する債券を購入すれば後に高く買い取るなどと欺罔し,その代金を送付させる方法で,多数の被害者から多額の金銭を詐取した。 なお,本件架け子グループ60による詐欺のうち,本件受け子グループが関与したとされる詐取金の総額は,3億8390万円(被害者総数 35名)にのぼるとされている。 (甲22,90,甲B4) 本件受け子グループは,本件架け子グループ以外の詐取金を受け取ることもあった(甲53)。 ウ被告B11による本件受け子グループの組成及び指揮等について 被告B11は,平成25年12月頃から,W組の組員であり自身の舎 弟であったLに対し,本件特殊詐欺事業に使用する目的で,休眠会社の名義変更登記の手続をさせたり,第三者名義の偽造運転免許証を用いて私書箱利用契約書を作成させたりしたほか,詐取金の仕分けなどの仕事をさせた。Lは,自身の兄貴分である被告B11からの指示であったことから,これらの指示を断ることができず,その後,被告B11に対し て本件受け子グループからの脱退を申し出た際にも,被告B11から続けるよう指示されたため,これを断ることができなかった。(甲15,33,54,55) 被告B11は,住吉会の三次組織である住吉会幸平一家大豊会の組員であるMから紹介を受けたN及びOに対し,平成25年1 たため,これを断ることができなかった。(甲15,33,54,55) 被告B11は,住吉会の三次組織である住吉会幸平一家大豊会の組員であるMから紹介を受けたN及びOに対し,平成25年12月頃から, 私設私書箱を設置するアパートの賃貸借契約を締結させたほか,私設私書箱で詐取金を受け取る仕事をさせた。 Oは,被告B11の言動等から,同人が暴力団員であると考えていたため,直ちに本件受け子グループから脱退することはできなかったが,その後,被告B11の了承を得ることなく本件受け子グループから脱退 した。また,Nは,被告B11がW組の組員であることを認識していたことから,本件受け子グループから脱退すると自身の家族等に危害が及ぶのではないかと心配になり,本件受け子グループを脱退することができなかった。 (甲13,14,16,33) 上記認定事実について,被告らは,被告B11が怖くて本件受け子 グループの仕事を続けていたわけではない旨のNの陳述書(乙イ13)を提出するが,同陳述書は,本訴提起後に作成されたものであるから,Nの検察官に対する供述調書(甲14)に比して信用性が低く,直ちに採用することはできない。 被告B11は,平成26年3月頃,X組の構成員であり自身の舎弟で あったPに対し,GGが別件で逮捕勾留されている間は一人で,Gの復帰後はGの補佐的立場として,本件受け子グループの指示役や仕分役などをさせていたが,同年4月頃,Pが詐取金を横取りした疑惑が浮上し,同人をこれらの役割から外した。 Pは,平成25年中には,被告B11やGがW組の構成員であること を認識し,平成26年3月中旬頃には,自身がW組のしのぎとして行われている詐欺に関与していることも認識していた 。 Pは,平成25年中には,被告B11やGがW組の構成員であること を認識し,平成26年3月中旬頃には,自身がW組のしのぎとして行われている詐欺に関与していることも認識していたが,被告B11の指示を断ると家族に危害が及ぶのではないかとの不安感から,被告B11から役割を外されるまでは,本件受け子グループから脱退することができなかった。 なお,Pは,事務所当番に遅刻したという理由で被告B11から殴打されたことがあるほか,私書箱内で保管していた詐取金が無くなった際に被告B11から怒鳴られたことがあった。 (甲26,30,60,78)被告B11は,平成26年5月頃,X組の組員であり自身の舎弟であ ったQに対し,私書箱に送付された詐取金を回収してその金額を数える仕事のほか,社債券の発送や見張り役などをさせた(甲19ないし21,24,28,59)。 被告B11は,平成24年10月頃から,本件受け子グループが行っていた私書箱業務の求人募集に申し込んだRに対し,私書箱において詐 取金の受領等をさせた。 Rは,平成26年1月頃,被告B11が,同人が実質的に経営する会社の従業員に対し,「カタギの前だからこれでも我慢しているんだぞ。」などと怒鳴っているところを目撃したことから,被告B11は暴力団員ではないかと考えていたが,被告B11への恐怖心から,本件受け子グループから脱退することができなかった。 (甲17,56,66ないし69) 被告B11は,平成25年7月頃から,Iから紹介されたSに対し,詐取金の搬送をさせた。 Sは,Iが暴力団員であることを認識しており,同人から紹介された被告B11も暴力団員であると考えていたことから,本件受け子グルー プの仕事を から紹介されたSに対し,詐取金の搬送をさせた。 Sは,Iが暴力団員であることを認識しており,同人から紹介された被告B11も暴力団員であると考えていたことから,本件受け子グルー プの仕事を脱退することができなかった。 (甲29,36)上記認定事実について,被告らは,被告B11が怖くて本件受け子グループの仕事を続けていたわけではない旨のSの陳述書(乙イ17)を提出するが,同陳述書は,本訴提起後に作成されたものであるから, Sの検察官に対する供述調書(甲29,36)に比して信用性が低く,直ちに採用することはできない。 被告B11は,平成25年11月頃から,Tに対し,私書箱において詐取金の受領等をさせた。 Tは,被告B11と他の男性の会話から,被告B11が暴力団員では ないかと考えていた上,私書箱に届いた詐取金を被告B11が開封しているところを目撃した際,被告B11から「裏切るなよ。」と言われたことから,被告B11に恐怖心を抱き,本件受け子グループの仕事を辞めることができなかった。 (甲18,23,58) エ報酬について 本件架け子グループホンタイによる詐取金については,被告B9及び本件受け子グループの取り分が詐取金全体の10%とされた。このうち月額350万円ないしは400万円までは本件受け子グループの取り分とされ,残りは全て被告B9の取り分とされた。被告B9は,本件当時,少なくとも,月額約500万円の報酬を得ていた。(甲31,51,乙 イ11) 本件架け子グループ60による詐取金については,被告B10及び本件受け子グループの取り分が月額100万円及び詐取金全体の15%とされた。このうち被告B10が40万円と詐取金の15%の半分を受け 本件架け子グループ60による詐取金については,被告B10及び本件受け子グループの取り分が月額100万円及び詐取金全体の15%とされた。このうち被告B10が40万円と詐取金の15%の半分を受け取り,残りの60万円と詐取金の15%の半分が本件受け子グループの 取り分とされた。(甲15,32) 本件受け子グループの取り分については,本件受け子グループの構成員らに対する報酬(合計月約300万円)や経費のほか,W組組長であるIの小遣いやW組の活動費(月約60万円)等に充てられた。 なお,被告B11及びGは,本件受け子グループの取り分のうち月額 30から35万円を報酬として得ていた。 (甲32,80,86)⑷ 本件特殊詐欺事業に対する捜査等ア被告B11は,平成26年7月に別件詐欺事件で逮捕され,その前後にかけて,他の被告行為者らや本件受け子グループの構成員らも本件特殊詐 欺事業に関与したとして逮捕された(甲5,13,15,18,20,26,28,29,36,54,58ないし60,62,66,67,69,70,73,74,79ないし81,87,弁論の全趣旨)。 イ平成26年11月17日,被告B11らが,同年4月から7月にかけて,「ジャパンメディカル」という実態のない会社のパンフレットを送り付け た上で,債券購入を持ちかけるなどして,現金8500万円を詐取したと いう詐欺の被疑事実で逮捕された旨の報道がなされた(乙イ12,21,22)。 ウ本件特殊詐欺事業の捜査を担当していた司法警察員警部補のUは,本件特殊詐欺事業の被害状況を整理し,本件受け子グループと本件架け子グループに係る被害を識別する目的で,本件受け子グループが関係する場所か 詐欺事業の捜査を担当していた司法警察員警部補のUは,本件特殊詐欺事業の被害状況を整理し,本件受け子グループと本件架け子グループに係る被害を識別する目的で,本件受け子グループが関係する場所か ら押収した資料や被告B11の供述に基づき,本件報告書を作成した。本件報告書は,全国各管轄警察署において被害届又は被害相談等を受理している被害者に係る被害状況を整理した別表1,別表1から本件受け子グループが各被害者からの詐取金受領に関与したと特定したものを整理した別表2,別表1から本件架け子グループ60が関与したと特定したものを整 理した別表3,別表1から本件架け子グループホンタイが関与したと特定したものを整理した別表4からなる。(甲B4,証人U・11,14頁)エ被告B11及びPは,捜査の初期段階において,被告B9や被告B10が本件特殊詐欺事業に関与していることを秘匿していた(甲5,35)。 また,Gは,被告B10の公判期日に証人として出廷した際,被告B10 の本件特殊詐欺事業への関与に係る証言を拒絶した(甲76)。 ⑸ 原告A45についてア原告A45は,平成26年4月,氏名不詳者から電話にて「ジャパンメディカルの債券を購入できる権利が当たった。同社の債券を購入してくれれば高い金額で買い取る。」等の虚偽の事実を申し向けられ,総額350 万円を詐取されたとして,同月頃,岡山県警察に被害届を提出した(甲B2の3の1)。 イ原告A45は,平成28年7月,岡山県警察署の警察官から,特殊詐欺の被害者救済のための弁護団に関する情報提供を受けた(甲B2の3の1)。 ウ原告ら訴訟代理人は,平成29年7月12日,原告A45から特殊詐欺 被害についての相談を受けたことから,同月26日, 弁護団に関する情報提供を受けた(甲B2の3の1)。 ウ原告ら訴訟代理人は,平成29年7月12日,原告A45から特殊詐欺 被害についての相談を受けたことから,同月26日,原告A45の元を訪れてその被害状況を確認したところ,原告A45が被告行為者らによる特殊詐欺によって被害を被ったことが判明したことから,原告A45にその旨を説明した(甲B2の3の1及び19)。 エ原告A45は,平成30年7月5日,第2事件を提訴した(顕著な事 実)。 2 争点1(被告行為者らの共同不法行為責任の成否)について⑴ 原告らは,各対応する別紙請求原因目録の「行為者」欄記載の被告行為者らから,「不法行為」欄記載の欺罔行為を受け,「送金額小計(A)」欄記載の現金を被告行為者らに詐取されたと主張し,その根拠として,原告ら各 自の陳述書のほか,被害届や預金口座からの出金状況等の証拠及び本件報告書を提出している。 本件報告書の別表2ないし4は,捜査機関において被害届又は被害相談として受理した者に係る被害(同別表1)のうち,本件受け子グループの関係先から押収した各証拠資料等によって被告行為者らの関与が特定されたもの のみを抽出し整理したものである。そして,同別表1の「詐取金受領状況等」の欄は警察が被告行為者らの関係場所から押収した資料から確認した内容を転記し,「被害関係(被害者・被害状況)・欺罔名目(社債銘柄)等」の欄は被害届等から把握できる内容を記載したものであり,「証拠関係」の欄は「詐取金受領状況等」の記載の根拠となる押収資料が記載されているところ (甲B4,証人U・36ないし39頁),本件報告書別紙において押収資料の具体的内容及び押収場所が明らかにされていることから,「詐取金受領状況等」 載の根拠となる押収資料が記載されているところ (甲B4,証人U・36ないし39頁),本件報告書別紙において押収資料の具体的内容及び押収場所が明らかにされていることから,「詐取金受領状況等」の欄の記載内容の信用性は認められる。したがって,同別表2ないし4の「詐取金受領状況等」の欄の記載に照らして,「被害関係(被害者・被害状況)・欺罔名目(社債銘柄)等」の欄の記載が合理的である原告らの各 送金については,原則として,被告行為者ら(同別表2に記載のものは被告 B11,同別表3に記載のものは被告B10及び被告B11,同別表4に記載のものは被告B9及び被告B11)の関与した特殊詐欺によるものと認められる。 また,本件報告書別表2ないし4の「総被害額(合計額)」及び「被害金額」欄記載の金額は,各原告らの被害届等から把握できる内容を記載したも のであるから,これらの金額の信用性については,原告らの金融機関の口座からの出金状況等の客観的証拠による裏付けの有無等によって判断する。 ⑵ 各原告についての検討ア原告A1(番号1-1(別紙請求原因目録記載の番号。以下同じ。))証拠(甲B1-1の1ないし3,甲B4別表4追番29)及び弁論の全 趣旨によれば,原告A1に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」及び「行為者」欄記載の各事実並びに「送金日」欄のうち平成25年10月20日の送金の事実は認められるが,同日の20万円の送金額についてこれを裏付ける客観的証拠はなく,また,「送金日」欄のうち平成26年2月25日の送金については,本件報告書別表4追番29の「詐取金受領状況 等」の「受取日」,「受取者」,「伝票番号」の各欄に記載がないから,当該事実に関する同原告の陳述書(甲B1-1の1)及び 月25日の送金については,本件報告書別表4追番29の「詐取金受領状況 等」の「受取日」,「受取者」,「伝票番号」の各欄に記載がないから,当該事実に関する同原告の陳述書(甲B1-1の1)及び被害届(甲B1-1の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 イ原告A2(番号1-2) 証拠(甲B1-2の1ないし6,甲B4別表4追番25)及び弁論の全趣旨によれば,原告A2に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ウ原告A3及び原告A4(番号1-3A及びB) 証拠(甲B1-3の1ないし11,甲B4別表4追番12)及び弁論 の全趣旨によれば,亡Cに係る別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額」欄のうち,平成25年8月16日,同月20日,同月29日及び同年9月10日の各送金額は認められるが,同年8月26日の200万円及び同年9月4日の200万円の各送金額について,これを裏付ける客観的証拠がないことか ら,当該各送金額に関する同人の陳述書(甲B1-3の1)及び被害届(甲B1-3の2)の記載を採用することはできず,当該各送金額を認めることはできない。なお,平成25年8月16日の送金については,本件報告書別表4追番12の「詐取金受領状況等」の「受取日」,「受取者」及び「伝票番号」の各欄に記載がないものの,亡Cは,同日,労 働金庫の口座から20万円を下ろし(甲B1-3の5),これを他の送金と同じ宛名及び住所に送付していること(甲B1-3の3・4・7・9)に照らせば,同送金は被告B9と被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認め から20万円を下ろし(甲B1-3の5),これを他の送金と同じ宛名及び住所に送付していること(甲B1-3の3・4・7・9)に照らせば,同送金は被告B9と被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認められる。 エ原告A5(番号1-4) 証拠(甲B1-4の1ないし3,甲B4別表4追番56)及び弁論の全趣旨によれば,原告A5に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 オ原告A6(番号1-5) 証拠(甲B1-5の1ないし5,甲B4別表4追番48)及び弁論の全趣旨によれば,原告A6に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」及び「行為者」の各欄記載の事実並びに「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実のうち平成26年3月8日の送金の事実及び送金額が認められる。 証拠(甲B1-5の1・4・5)によれば,同年4月9日(別紙請求原因 目録に「平成26年4月8日」とあるのは「平成26年4月9日」の誤記 と解する。)に300万円を送金した事実自体は認められるものの,同送金については,本件報告書別表4追番48の「詐取金受領状況等」の欄に記載がなく,本件受け子グループ以外の者が受領した可能性を排斥できず,被告B9及び被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認めることはできない。 カ原告A7(番号1-6)証拠(甲B1-6の1ないし13,甲B4別表4追番36)及び弁論の全趣旨によれば,原告A7に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,平成25年11月26日の送金については,本件報告書別 表4追番36の「詐取金受領 原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,平成25年11月26日の送金については,本件報告書別 表4追番36の「詐取金受領状況等」の「受取日」,「受取者」,「伝票番号」の各欄に記載がないものの,同原告は,同日,銀行の口座から160万円を下ろし(甲B1-6の4),これを同年12月3日及び同月11日の各送金と同じ住所に送付していること(甲B1-6の3・7・10),同原告の元には同月24日付け及び同月25日付けの友愛ホーム株式会社 の各社債券が送付されており,当該各社債券に記載された金額の合計額と本件報告書別表4追番36の「総被害額(合計額)」欄の額はいずれも860万円であること(甲B1-6の12・13)に照らせば,同年11月26日の送金についても,被告B9及び被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認められる(なお,原告A7に係る別紙請求原因目録記載の 「行為者」欄に「被告B10」とあるのは,「被告B9」の誤記と解する。)。 キ原告A8(番号1-7)証拠(甲B1-7の1ないし7,甲B4別表4追番11)及び弁論の全趣旨によれば,原告A8に係る別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為 者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額」の欄うち,平成25年 8月16日及び同月22日の各送金額は認められるが,同月12日の60万円の送金額については,これを裏付ける客観的証拠がないことから,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B1-7の1)及び被害届(甲B1-7の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ク原告A9(番号1-8)証拠(甲B1-8の1ないし11の3,甲B4別表4 び被害届(甲B1-7の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ク原告A9(番号1-8)証拠(甲B1-8の1ないし11の3,甲B4別表4追番16)及び弁論の全趣旨によれば,原告A9に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ケ原告A10(番号1-9)証拠(甲B1-9の1ないし21,甲B4別表4追番31)及び弁論の全趣旨によれば,原告A10に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 コ原告A11及び原告A12(番号1-10A及びB)証拠(甲B1-10の1ないし12,甲B4別表4追番38)及び弁論の全趣旨によれば,亡Dに係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,平成25年12月20日の送金については,本件報告書別 表4追番38の「詐取金受領状況等」の欄に記載がないものの,亡Dは,同日,銀行の口座から合計90万円を下ろし,手元にあった10万円と併せてこれを同月24日及び同月26日の各送金と同じ宛名及び住所に送付していること(甲B1-10の1・5ないし7・9・11,甲B4別表4追番38),亡Dの元には同月25日付け及び同月27日付けの友愛ホー ム株式会社の各社債券が送付されており,当該各社債券に記載された金額 の合計額と本件報告書別表4追番38の「総被害額(合計額)」欄の額はいずれも1120万円であること(甲B1-10の12)に照らせば,同月20日の100万円の送金についても, 載された金額 の合計額と本件報告書別表4追番38の「総被害額(合計額)」欄の額はいずれも1120万円であること(甲B1-10の12)に照らせば,同月20日の100万円の送金についても,被告B9及び被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認められる。 サ原告A13(番号1-11A)及び原告A14(番号1-11B) 証拠(甲B1-11の1ないし7,甲B4別表4追番60)及び弁論の全趣旨によれば,亡Vに係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 シ原告A15(番号1-12) 証拠(甲B1-12の1ないし8の6,甲B4別表4追番22)及び弁論の全趣旨によれば,原告A15に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ス原告A16(番号1-13) 証拠(甲B1-13の1ないし4,甲B4別表4追番35)及び弁論の全趣旨によれば,原告A16に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 セ原告A17(番号1-14) 証拠(甲B1-14の1ないし12,甲B4別表4追番27)及び弁論の全趣旨によれば,原告A17に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」(ただし,「平成25年11月2日」とあるのは「平成25年11月12日」の誤記と解する。)及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ソ原告A18(番号1-15) 証拠(甲B1-15の1ないし3,甲B4別表 1月12日」の誤記と解する。)及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ソ原告A18(番号1-15) 証拠(甲B1-15の1ないし3,甲B4別表4追番61)及び弁論の全趣旨によれば,原告A18に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額欄」記載の700万円のうち600万円の送金額は認められるが,その余の100万円の部分については,これを裏付ける客観的証拠がないことから,当該送金額に 関する同人の陳述書(甲B1-15の1)及び被害届(甲B1-15の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 タ原告A19(番号1-16)証拠(甲B1-16の1ないし14,甲B4別表4追番23)及び弁論の全趣旨によれば,別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為者」,「送 金日」の各欄記載の事実及び「送金額」の欄のうち,平成25年9月30日の送金額,同年10月8日の100万円のうち80万円の送金額は認められる。なお,同人名義の預金通帳(甲B1-16の9ないし12)によれば,同年10月8日に引き出した金額は20万円であるが,同年9月30日に引き出した金額は1300万円であり,同日に送金した1240万 円の残りの60万円は,同年10月8日に引き出した20万円と併せて送金されたものと認められる。同年10月8日の100万円のうち20万円の部分については,これを裏付ける客観的証拠がないことから,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B1-16の1)及び被害届(甲B1-16の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠は ない。 チ原告A20(番号1-17)証拠(甲 人の陳述書(甲B1-16の1)及び被害届(甲B1-16の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠は ない。 チ原告A20(番号1-17)証拠(甲B1-17の1ないし11,甲B4別表4追番18)及び弁論の全趣旨によれば,原告A20に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」及び「行為者」の各欄記載の事実並びに「送金日」及び「送金額」の各欄 記載の事実のうち,平成25年9月19日,同月25日,同月27日,同 年10月3日及び同月29日の各送金の事実及び送金額が認められる。証拠(甲B1-17の1・2・4・9)によれば,同年10月15日に600万円を送金した事実自体は認められるものの,同日の送金については,本件報告書別表4追番18の「詐取金受領状況等」の欄に記載がなく,その送付先の住所(甲B1-17の9)も本件受け子グループが利用してい たことが証拠上(甲75)明らかな私書箱の住所とは異なるものであることに照らすと,本件受け子グループ以外の者が受領した可能性を排斥できず,被告B9及び被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認めることはできない。 ツ原告A21(番号1-18) 証拠(甲B1-18の1ないし9,甲B4別表4追番24)及び弁論の全趣旨によれば,原告A21に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 テ原告A22(番号1-19) 証拠(甲B1-19の1ないし10,甲B4別表4追番65)及び弁論の全趣旨によれば,原告A22に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 の1ないし10,甲B4別表4追番65)及び弁論の全趣旨によれば,原告A22に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ト原告A23(番号1-20(なお,別紙請求原因目録記載の番号に「3 -20」とあるのは「1-20」の誤記と解する。)証拠(甲B1-20の1ないし11の2,甲B4別表4追番10)及び弁論の全趣旨によれば,原告A23に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ナ原告A24(番号1-21) 証拠(甲B1-21の1ないし8,甲B4別表4追番39)及び弁論の全趣旨によれば,別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額」の欄のうち,平成26年1月8日の500万円の送金額のうち400万円,同月16日の600万円,同年3月13日の100万円の送金額のうち20万円,同月19日の100万円 の送金額のうち50万円,同年4月14日の50万円の送金額のうち15万円,同月15日の20万円の送金額のうち15万円の送金額が認められるが,その余の送金額についてこれを裏付ける客観的証拠はなく,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B1-21の1)及び被害届(甲B1-21の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠 はない。 ニ原告A25(番号2-1)証拠(甲B2-1の1ないし4,甲B4別表3追番29)及び弁論の全趣旨によれば,原告A25に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認め られる。 ないし4,甲B4別表3追番29)及び弁論の全趣旨によれば,原告A25に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認め られる。 ヌ原告A26(番号2-2)証拠(甲B2-2の1・2,甲B4別表3追番6)及び弁論の全趣旨によれば,原告A26に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,及び「送金日」の各欄記載の事実はいずれも認められるが,平成2 5年5月31日及び同年6月3日の各送金額について,これを裏付けるに足りる客観的証拠はないことから,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B2-2の1)及び被害届(甲B2-2の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ネ原告A45(番号2-3) 証拠(甲B2-3の1ないし18,甲B4の3追番27)及び弁論の全 趣旨によれば,原告A45に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ノ原告A27(番号3-1)証拠(甲B3-1の1ないし5,甲B4別表2追番160)及び弁論の 全趣旨によれば,原告A27に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ハ原告A28(番号3-2)証拠(甲B3-2の1ないし16,甲B4別表2追番52)及び弁論の 全趣旨によれば,原告A28に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,平成25年8月23日及び同月26日の各送金について本 によれば,原告A28に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,平成25年8月23日及び同月26日の各送金について本件報告書別表2追番52に記載がないが,両日の送付先の住所が同月19日及び同月20日の送金の送付先と同一であること(甲B3-2の15の 1ないし4),上記送金額の合計額と同月23日付け不明金返送確約書及び社債期間内無償償還請求書(兼社債購入不受理金返還申込み)に記載された金額が一致すること(甲B3-2の6・7)に照らせば,当該各送金についても被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認められる。 ヒ原告A29(番号3-3) 証拠(甲B3-3の1ないし6,甲B4別表2追番156)及び弁論の全趣旨によれば,原告A29に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 フ原告A30(番号3-4) 証拠(甲B3-4の1ないし11,甲B4別表2追番132)及び弁論 の全趣旨によれば,原告A30に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ヘ原告A31(番号3-5)証拠(甲B3-5の1ないし10,甲B4別表2追番53)及び弁論の 全趣旨によれば,原告A31に係る別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額」の欄のうち630万円のうち519万円の送金額は認められるが,その余の111万円についてこれを裏付ける客観的証拠がないことから,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B3-5の1)及び被害届 「送金額」の欄のうち630万円のうち519万円の送金額は認められるが,その余の111万円についてこれを裏付ける客観的証拠がないことから,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B3-5の1)及び被害届(甲B3-5の2)の記載を採 用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ホ原告A32(番号3-6)証拠(甲B3-6の1ないし4,甲B4別表2追番23)及び弁論の全趣旨によれば,原告A32に係る別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の欄のうち,平成25年6月7日と同 月17日の各送金額は認められるが,同月19日及び同月26日の各50万円の送金額については,これを裏付ける客観的証拠がないことから,当該送金額に関する同人の陳述書(甲B3-6の1)及び被害届(甲B3-6の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 マ原告A33(番号3-7)証拠(甲B3-7の1ないし10,甲B4別表2追番26)及び弁論の全趣旨によれば,原告A33に係る別紙請求原因目録の「不法行為」,「行為者」及び「送金日」の各欄記載の事実が認められるが,平成25年6月14日の送金額について,これを裏付ける客観的証拠がないことから, 当該事実に関する同人の陳述書(甲B3-7の1)及び被害届(甲B3- 7の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ミ原告A34(番号3-8)証拠(甲B3-8の1ないし22,甲B4別表2追番40)及び弁論の全趣旨によれば,原告A34に係る別紙請求原因目録の「不法行為」, 「行為者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額」の欄のうち,平成 B3-8の1ないし22,甲B4別表2追番40)及び弁論の全趣旨によれば,原告A34に係る別紙請求原因目録の「不法行為」, 「行為者」,「送金日」の各欄記載の事実及び「送金額」の欄のうち,平成25年8月7日,同月9日,同月20日,同月21日,同月23日の送金額,同年7月23日の445万8739円のうち180万円,同月31日の395万8903円のうち157万9357円の送金額は認められるが,その余の送金額についてこれを裏付ける客観的証拠はなく,当該送金 額に関する同人の陳述書(甲B3-8の1)及び被害届(甲B3-8の2)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 ム原告A35(番号3-9)証拠(甲B3-9の1ないし8,甲B4別表2追番82)及び弁論の全趣旨によれば,原告A35に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」, 「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,平成25年11月8日の送金について本件報告書別表2追番82に記載がないが,同送金先の住所(甲B3-9の3)が,GがPに指示役を引き継ぐ際に作成したメモ(甲75)に記載された私書箱の住所と一致していることに照らせば,当該送金についても,被告B11が関与 した特殊詐欺によるものと認められる。 メ原告A36(番号3-10)証拠(甲B3-10の1及び甲B4別表2追番139)及び弁論の全趣旨によれば,原告A36に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」及び「送金日」の各欄記載の事実はいずれも認められるが,平 成26年4月10日の310万円の送金額について,被害届(甲B3-1 0の2)は送金日及び送金額を異にするものであり,これを裏付ける客観 」の各欄記載の事実はいずれも認められるが,平 成26年4月10日の310万円の送金額について,被害届(甲B3-1 0の2)は送金日及び送金額を異にするものであり,これを裏付ける客観的証拠はないことから,当該事実に関する同人の陳述書(甲B3-10の1)の記載を採用することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 モ原告A37(番号3-11) 証拠(甲B3-11の1ないし16,甲B4別表2追番42)及び弁論の全趣旨によれば,原告A37に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」及び「行為者」の各欄記載の事実並びに「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実のうち,平成25年7月25日,同月30日及び同年8月1日の各送金の事実及び送金額が認められる。証拠(甲B3-11の1・14 ないし16)によれば,同月5日,同月8日,同月14日及び同月19日に各200万円を送金した事実自体は認められるものの,これらの送金については,本件報告書別表2追番42の「詐取金受領状況等」の欄に記載がなく,その送付先の住所(甲B3-11の14)も本件受け子グループが利用していたことが証拠上(甲75)明らかな私書箱の住所とは異なる ものであることに照らすと,これらの送金については本件受け子グループ以外の者が受領した可能性を排斥できず,被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認めることはできない。 ヤ原告A38(番号3-12)証拠(甲B3-12の1ないし15)及び弁論の全趣旨によれば,原告 A38に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,同原告が主張する各送金はいずれも本件報告書別表2追番34の「被害関係( 8に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。なお,同原告が主張する各送金はいずれも本件報告書別表2追番34の「被害関係(被害者・被害状況)・欺罔名目(社債銘柄)等」の「送付日」及び「被害金額」の各欄に記載はなく,平成25年7月12日の送金を除く各送金 の送付先はいずれも「詐取金受領状況等」の「被害金送付先」欄に記載さ れた住所とは異なるものの,同原告が主張する各送金の事実は,いずれもゆうパック受付伝票ご依頼主控及び同お届け通知(甲B3-12の12)によって認められ,送金額についても客観的な裏付けがあり(甲B3-12の13ないし15),また,平成25年7月12日以外の送金先の住所(甲B3-12の12)はいずれもGがPに指示役を引き継ぐ際に作成し たメモ(甲75)に記載された私書箱の住所と一致していることに照らせば,いずれの送金についても,被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認められる。 ユ原告A39(番号3-13)証拠(甲B3-13の1ないし14,甲B4別表2追番80)及び弁論 の全趣旨によれば,原告A39に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」及び「行為者」の各欄記載の事実並びに「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実のうち平成25年10月24日の送金の事実及び送金額が認められる。証拠(甲B3-13の1ないし11)によれば,同年9月24日に1050円,同月27日に1万円,同年10月1日に3万円,同月7日 に5万円,同月8日に3万円,同月17日に10万円及び3万円,同月22日に10万円を2回,それぞれ送金した事実自体は認められるものの,これらの送金については,本件報告書別表2追番80の「詐取金受領状況 万円,同月8日に3万円,同月17日に10万円及び3万円,同月22日に10万円を2回,それぞれ送金した事実自体は認められるものの,これらの送金については,本件報告書別表2追番80の「詐取金受領状況等」の欄に記載がなく,送金方法が本件受け子グループが利用していた私書箱への現金の送付ではなく銀行振込であったことにも照らすと,本件受 け子グループ以外の者が受領した可能性を排斥できず,被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認めることはできない。 ヨ原告A40(番号3-14)証拠(甲B3-14の1ないし5の2,甲B4別表2追番29)及び弁論の全趣旨によれば,原告A40に係る別紙請求原因目録記載の「不法行 為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれ も認められる。 ラ原告A41(番号3-15)証拠(甲B3-15の1ないし5,甲B4別表2追番128)及び弁論の全趣旨によれば,原告A41に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれ も認められる。 リ原告A42(番号3-16)証拠(甲B3-16の1ないし16,甲B4別表2追番97)及び弁論の全趣旨によれば,原告A42に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれ も認められる。なお,同原告が主張する各送金のうち,平成25年11月27日,同年12月9日,同月11日,同月12日及び同月13日の各送金については,本件報告書別表2追番97に記載がないものの,同原告は,各送金日に,金融機関の口座から各送金額に係る金員を下ろしている上(甲B3-16の5ないし7・9・12ないし1 び同月13日の各送金については,本件報告書別表2追番97に記載がないものの,同原告は,各送金日に,金融機関の口座から各送金額に係る金員を下ろしている上(甲B3-16の5ないし7・9・12ないし16),これらの送金先の 住所(甲B3-16の10の1・3ないし6)が,GがPに指示役を引き継ぐ際に作成したメモ(甲75)に記載された私書箱の住所と一致していることに照らせば,これらの送金は,いずれも被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認められる。 ル原告A43(番号3-17) 証拠(甲B3-17の1ないし5,甲B4別表2追番38)及び弁論の全趣旨によれば,原告A43に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」及び「行為者」の各欄記載の事実並びに「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実のうち平成25年7月30日の送金の事実及び送金額が認められる。証拠(甲B3-17の1ないし5)によれば,同月19日の20万 円及び同年8月6日の100万円の各送金の事実自体は認められるものの, これらの送金については,本件報告書別表2追番38の「詐取金受領状況等」の欄に記載がなく,本件受け子グループ以外の者が受領した可能性を排斥できず,被告B11が関与した特殊詐欺によるものと認めることはできない。 レ原告A44(番号3-19) 証拠(甲B3-19の1ないし4,甲B4別表2追番105)及び弁論の全趣旨によれば,原告A44に係る別紙請求原因目録記載の「不法行為」,「行為者」,「送金日」及び「送金額」の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ⑶ まとめ 以上のことから,別紙認定不法行為目録記載の「行為者」欄記載の被告らは,これに対応する「原告」欄記載の各原告に対し,「不法 の各欄記載の事実はいずれも認められる。 ⑶ まとめ 以上のことから,別紙認定不法行為目録記載の「行為者」欄記載の被告らは,これに対応する「原告」欄記載の各原告に対し,「不法行為」欄記載のとおり共同不法行為責任を負う。 3 争点2について⑴ 争点2の1(被告行為者らの暴対法31条の2の「指定暴力団員」該当性) について暴対法31条の2本文所定の「指定暴力団員」とは,「指定暴力団等の暴力団員」を意味するところ(同法9条柱書),「指定暴力団等」とは,「指定暴力団又は指定暴力団連合」をいい(同法2条5号),そのうち「指定暴力団」とは,同法3条の規定により指定された暴力団をいう(同法2条3 号)。そして,暴対法上の「暴力団」とは,「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員も含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう」とされていること(同法2条2号)からすれば,当該指定暴力団の下部組織も当然にこの「指定暴力団」に含まれると解するのが相当である。 前記前提事実⑵のとおり,被告行為者らは,同法3条の規定による指定を 受けた住吉会の下部組織の構成員であることから,当然に暴対法31条の2の「指定暴力団員」に当たる。 ⑵ 争点2の2(亡E,被告B7及び被告B8の暴対法31条の2条の「代表者等」該当性)についてア暴対法31条の2の「代表者等」とは,「当該暴力団を代表する者又 はその運営を支配する地位にある者」(同法3条3号)を指すところ,「当該暴力団を代表する者」とは,組長,総長,会長,理事長等と称する暴力団の首領をいい,「その運営を支配する者」とは,若頭,若頭補佐,会長補佐,理事長補佐等と称するいわゆ 法3条3号)を指すところ,「当該暴力団を代表する者」とは,組長,総長,会長,理事長等と称する暴力団の首領をいい,「その運営を支配する者」とは,若頭,若頭補佐,会長補佐,理事長補佐等と称するいわゆる最高幹部会議の出席メンバー等をいう。 ところで,指定暴力団員がその所属する指定暴力団の威力を利用して行う資金獲得行為の被害者にとって,直接の加害者である末端の指定暴力団員に責任を追及しても,十分な資力がないため損害の回復がされないおそれがあり,また,民法715条の使用者責任により,より資力があることが見込まれる代表者等の損害賠償責任を追及する場合には,い わゆる事業性,使用者性及び事業執行性についての主張立証のため,当該指定暴力団内部の組織形態,意思決定過程,代表者等による内部統制の状況,上納金の徴収システムを具体的に明らかにする必要があるという困難を強いられることになる。他方,① 指定暴力団の代表者等は,配下の指定暴力団員が資金獲得のために当該指定暴力団の威力を利用す ることを容認しているところ(暴対法3条),このような威力を利用して行う資金獲得行為は,他人の権利利益を侵害する可能性が高いこと,② 指定暴力団の代表者等の統制は末端の指定暴力団員にまで及んでいることから,指定暴力団の代表者等は指定暴力団員の資金獲得行為による権利侵害を防止し得る立場にあること,③ 指定暴力団員による資金 獲得行為は,当該指定暴力団の威力の維持拡大に資するとともに,指定 暴力団の代表者等は,いわゆる上納金システムにより指定暴力団員による資金獲得行為の利益を享受する立場にある。そこで,暴対法31条の2は,指定暴力団の代表者等に配下の指定暴力団員の威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任を負わせることとし,民法7 り指定暴力団員による資金獲得行為の利益を享受する立場にある。そこで,暴対法31条の2は,指定暴力団の代表者等に配下の指定暴力団員の威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任を負わせることとし,民法715条の規定を適用して代表者等の損害賠償責任を追及する場合において生じる上記の被 害者側の主張立証の負担の軽減を図ることとしたものである。 かかる暴対法31条の2の立法趣旨に照らせば,同条は,被害者保護の観点から,指定暴力団の「代表者等」に当たる者には広く損害賠償責任を負わせる趣旨の規定と解されるから,指定暴力団を「代表する者」か「その運営を支配する地位にある者」のいずれかに当たる者について は,全て同条の損害賠償責任を負うと解するのが相当である。 イ亡Eは,本件各詐欺行為前後に東京都公安委員会によって住吉会に対して行われた暴対法3条に基づく指定において,住吉会を「代表する者」として公示されていた者であり,実質的にも,前記認定事実1⑴イのとおり,擬制的血縁関係の頂点にある総裁として,下部組織を含む住吉会全体を統 制下においていた者といえる。したがって,亡Eは,本件各詐欺行為当時において,住吉会を代表する者に当たる。 なお,平成17年4月付けの挨拶状(乙イ2)によれば,亡Eが,同月をもって,住吉一家の総長を引退したことが認められるが,かかる事実のみをもって,亡Eの住吉会における実質的な影響力が排除されたと認める ことはできず,前記認定を妨げるものではない。 ウ被告B7は,平成10年6月から平成26年4月17日までは住吉会の会長を,同月18日以降は住吉会の特別相談役を務めているところ,前記認定事実1⑴イのとおり,会長は総裁に次ぐ地位であり,特別相談役も階層構造における上位にあること 平成26年4月17日までは住吉会の会長を,同月18日以降は住吉会の特別相談役を務めているところ,前記認定事実1⑴イのとおり,会長は総裁に次ぐ地位であり,特別相談役も階層構造における上位にあることからすれば,いずれも住吉会の運営に強い 影響力を有することは明らかである。したがって,被告B7は,本件各詐 欺行為当時において,住吉会の運営を支配する地位にある者に当たる。 エ被告B8は,平成26年4月17日まで住吉会の会長代行を,同月18日以降は住吉会の会長を務めているところ,前記ウのとおり,会長は総裁に次ぐ地位にあり,前記認定事実1⑴イのとおり,会長代行も階層構造の上位にあるばかりでなく,執行部の一員であり,いずれも住吉会の運営に 強い影響力を有することは明らかである。したがって,被告B8は,本件各詐欺行為当時において,住吉会の運営を支配する地位にある者に当たる。 オ被告亡E相続人ら等は,暴対法3条3号は,責任の主体として「代表者」又は「運営支配者」としているから,これらを同時に責任追及することはできない旨主張する。しかしながら,前記アの暴対法31条の2の立法趣 旨に鑑みれば,同条が損害賠償責任の主体を「代表者」又は「運営支配者」のいずれか一方のみとしていると解することはできないから,被告亡E相続人ら等の上記主張は採用できない。 カ以上のことから,亡E,被告B8及び被告B7は,暴対法31条の2にいう指定暴力団の代表者等に当たり,いずれも同条に基づく損害賠償責任 を負うべき立場にあると認められる。 ⑶ 争点2の3(被告行為者らの各詐欺行為の暴対法31条の2の「威力利用資金獲得行為」該当性)についてア暴対法31条の2は,「威力利用資金獲得行為」について,「当該指定暴力団の威 ⑶ 争点2の3(被告行為者らの各詐欺行為の暴対法31条の2の「威力利用資金獲得行為」該当性)についてア暴対法31条の2は,「威力利用資金獲得行為」について,「当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持,財産の形成若しくは事業の遂行のた めの資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう」と定義し,暴力的要求行為の禁止に関して定める同法9条の「威力を示して」とは異なり,「威力を利用して」との文言が用いられている。前記の同条の立法趣旨やかかる暴対法31条の2の文言に照らすと,同条にいう「威力を利用」する行為とは,資金の獲得のために何らかの形で威力が利 用されるものであれば足り,被害者に対して威力が示されることは必要な いと解するのが相当である。 イ前記認定事実1⑵によれば,本件各詐欺行為のような特殊詐欺は,暴力団構成員の相当数が,種々の規制や取締りを回避して,新たな資金源とすべく,その遂行に関与する人員の確保や統制等につき暴力団の威力の利用を背景としてこれを敢行しているという実態にあると認められる。また, その構成員らに対して,呼称に応じた分担金を住吉会に納めるという上納金制度が採られており,本件各詐欺行為により騙取した金員も上納金の原資の一部になっていたものと推認するのが相当である。 そして,音羽一家の幹部であった被告B9及び被告B10は,本件架け 子グループによる一連の特殊詐欺につき,下部組織の構成員であるJや被告B11に対して受け子役をするよう指示して従わせた上,本件受け子グループの報酬額を実質的に決定し,自身はこれらの者よりも高額の報酬を得ていた。被告B11も,自身の舎弟であったLやPに対し,本件受け子グループの仕事を行うよう指示して従わせていた。これらの 受け子グループの報酬額を実質的に決定し,自身はこれらの者よりも高額の報酬を得ていた。被告B11も,自身の舎弟であったLやPに対し,本件受け子グループの仕事を行うよう指示して従わせていた。これらの事実に照らせ ば,被告B9,被告B10及び被告B11は,各自の下位者との間に階層構造における絶対的服従関係があることを認識しながら,本件各詐欺行為の遂行に関与する人員の確保や統制等のためにこれを利用したものといえ,本件各詐欺行為は,住吉会の威力を利用して実行された資金獲得行為であると解するのが相当である。 また,被告B10は,住吉会の構成員ではないKに対し,Kにおいて被告B10が暴力団員であると認識していることを了知した上で,本件各詐欺行為の遂行のために必要な他人名義の携帯電話や印刷物の準備を指示して従わせており,被告B11も,住吉会の構成員ではないRに対し,自身が暴力団関係者であると認識され得る言動をした上で,本件受け子グルー プの仕事を指示して従わせていた。これらの事実に照らせば,被告B10 及び被告B11は,同被告らが暴力団構成員であることを認識している住吉会の構成員ではない者については,暴力団の威力を背景として指揮命令の実効性が高まることを認識した上で,本件各詐欺行為の遂行に関与する人員の確保や統制等のためにこれを利用したものといえ,この点からも,本件各詐欺行為は,住吉会の威力を利用して実行された資金獲得行為であ ると認めるのが相当である。 ウ被告亡E相続人ら等は,威力利用資金獲得行為に該当するためには,資金獲得行為の主体である暴力団員において,相手方に当該指定暴力団の影響力を客観的に「利用」しており,その相手方がその影響下にあるとの認識を主観的に有していることが必要であり,本 該当するためには,資金獲得行為の主体である暴力団員において,相手方に当該指定暴力団の影響力を客観的に「利用」しており,その相手方がその影響下にあるとの認識を主観的に有していることが必要であり,本件各詐欺行為は,威力利用 資金獲得行為に該当しない旨主張する。 しかしながら,前記ア判示のとおり,威力利用資金獲得行為に該当するためには,資金の獲得のために何らかの形で威力を利用するものであれば足りるところ,前記イ判示のとおり,被告B9,被告B10及び被告B11は,住吉会の下位者に対しては,住吉会における階層構造における絶対 的服従関係を認識した上でこれを利用したものであるし,住吉会の構成員でない者に対しては,これらの者における同被告らが暴力団員であるとの認識を了知したり同認識をされ得る言動をしたりした上で,本件各詐欺行為に従事させていたものであり,本件各詐欺行為に当たり住吉会の威力を利用したものといえるから,被告亡E相続人ら等の上記主張は採用できな い。 エ以上のことからすれば,本件各詐欺行為は,暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たる。 4 争点4(損害額及び過失相殺の適否)について⑴ 損害額 ア財産的損害 別紙認定不法行為目録の「原告」欄記載の原告らは,「総送金額」欄記載の金額の財産的損害を被ったことが認められる。 イ慰謝料(精神的損害)原告らは,本件各詐欺行為により精神的損害を被ったとして,被告らに対して慰謝料300万円の支払を求めているところ,本件各詐欺行為の内 容等に照らすと,本件において,原告らが前記財産的損害の回復によってもなお慰謝されない精神的損害を被ったとまで認めることはできない。 ウ弁護士費用 ころ,本件各詐欺行為の内 容等に照らすと,本件において,原告らが前記財産的損害の回復によってもなお慰謝されない精神的損害を被ったとまで認めることはできない。 ウ弁護士費用本件各詐欺行為と相当因果関係がある弁護士費用相当額は,本件事案の内容等諸般の事情を斟酌すると,前記アで認定した財産的損害の約1割と 認めるのが相当である。 ⑵ なお,被告らは,被告らに責任が認められるとしても,原告らにも過失があるとして,過失相殺をすべきであると主張する。しかし,本件各詐欺行為はいずれも,被告行為者らによって組織的に行われた故意による不法行為であり,その違法性の高さに鑑みれば, 仮に原告らに過失があったとしても, これを考慮して損害賠償の額を定めるのは相当ではない。 よって,被告らの主張は採用できない。 5 争点5(消滅時効の成否)について⑴ 民法724条にいう「加害者を知った時」とは,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに,その可能な程度にこれを知った時を意味する (最高裁昭和45年(オ)第628号同48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁)。 ⑵ 第2事件被告らは,原告A45は,遅くとも本件報告書が作成された平成27年4月6日までには,加害者を知っていたはずであると主張する。 この点,前記認定事実1⑷イのとおり,平成26年11月17日には,被 告B11らが,ジャパンメディカル名義の社債券詐欺に関与し逮捕された旨 の報道がなされたことが認められるものの,原告A45が当該報道を認識していたと認めるに足りる証拠はなく,同時点をもって,原告A45が加害者を知ったということはできない。 また,本件報告書は捜査資料として作成されたも られるものの,原告A45が当該報道を認識していたと認めるに足りる証拠はなく,同時点をもって,原告A45が加害者を知ったということはできない。 また,本件報告書は捜査資料として作成されたものであり,被害を届け出た者に対する開示が当然に予定されているものではなく,本件においても, 捜査機関から,本件報告書において被害者として特定された者に対し,被告行為者らについての情報提供があったことをうかがわせる事情はない。 以上のことからすれば,原告A45が,遅くとも本件報告書の作成された平成27年4月6日には,加害者を知っていたと認めることはできない。 ⑶ そして,前記認定事実1⑸に照らせば,原告A45については,被告行為 者らによる本件詐欺行為の被害を受けたことを原告ら訴訟代理人の一人から説明を受けた平成29年7月26日の時点において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な程度にこれを知ったというべきであるから,消滅時効の起算日は同日となると認めるのが相当である。 第2事件は平成30年7月5日に提訴されており,原告A45が「損害及 び加害者を知った時」から3年が経過するまでの間に消滅時効は中断したというべきであるから,第2事件被告らによる消滅時効の主張は認められない。 第4 結論以上によれば,民法715条の使用者責任(争点3)については被告行為者らの不法行為責任(争点1)を前提としており,原告らの請求の可否及び認 容額は暴対法31条の2に基づく損害賠償請求(争点2)と異なるところはないから,これについて判断するまでもなく,被告亡E相続人ら等は,別紙認定不法行為目録記載の原告らに対し,暴対法31条の2に基づく損害賠償責任を負い,これらの損害賠償債務は,被告B9(第1事件のみ),被告B10(第2 て判断するまでもなく,被告亡E相続人ら等は,別紙認定不法行為目録記載の原告らに対し,暴対法31条の2に基づく損害賠償責任を負い,これらの損害賠償債務は,被告B9(第1事件のみ),被告B10(第2事件のみ)及びB11の損害賠償債務と併せて,被告亡E相続人 ら間の相互の関係(法定相続分に応じて分割債務となる。)を除き,互いに 不真正連帯債務の関係に立つ。 よって,原告らの請求は,主文第1項の限度で理由があるからその限度でこれを認容し,その余はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部 裁判長裁判官桃崎剛 裁判官稲玉祐 裁判官上原絵梨 (別紙)当事者目録は記載省略

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