令和5年2月15日判決言渡令和4年(行ケ)第10011号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和4年12月15日判決 原告アンバチュアインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士浜田治雄 被告特許庁長官同指定代理人恩田春香同小田浩同松永稔 同井上千弥子同清川恵子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2019-2990号事件について令和3年9月29日にし た審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 原告は、平成29年5月24日、平成24年(2012年)3月30日(以下「本件原出願日」という。)を国際出願日とする特許出願(特願2014-502854号。パリ条約による優先権主張:平成23年(2011年)3 月30日(米国))の一部を分割し、発明の名称を「非常に低い抵抗材料で形成された、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または、他のデバイス」とする発明について、特許出願(特願2017-103000号。請求項の数20。以下「 に低い抵抗材料で形成された、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または、他のデバイス」とする発明について、特許出願(特願2017-103000号。請求項の数20。以下「本願」といい、本願の際に添付された明細書及び図面を併せて「本願明細書等」という。)をした。(甲1、 2、17)⑵ 原告は、平成30年10月29日付けで拒絶査定を受けたため、平成31年3月4日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2019-2990号事件)。 (甲6、7)⑶ 原告は、令和2年11月18日付け拒絶理由通知書の送付を受けたため、 令和3年5月20日付けで、特許請求の範囲を補正する旨の手続補正書を提出した(補正後の請求項の数10。以下「本件補正」という。)。(甲14ないし16)⑷ 特許庁は、令和3年9月29日、本件補正を認めた上で、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(出訴期間として90日を附加。以下「本件審 決」という。)をし、その謄本は、同年10月15日、原告に送達された。 ⑸ 原告は、令和4年2月14日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(以下、各請求項 に記載された発明を請求項に従い「本願発明1」等といい、本願発明1ないし 10を「本願各発明」と総称する。)。(甲16)⑴ 請求項1「ELR材料の第1層と、前記第1層上に結合された変更する材料の第2層とからなる第1導体と、ELR材料の第1層と、 前記第1層上に結合された変更する材料の第2層とからなる第2導体と、前記第1導体と前記第2導体との間に配置されたバリア材料とを含むジョセフソン接合であって、前記ELR 料の第1層と、 前記第1層上に結合された変更する材料の第2層とからなる第2導体と、前記第1導体と前記第2導体との間に配置されたバリア材料とを含むジョセフソン接合であって、前記ELR材料は、面と結晶構造とを有し、前記面は前記結晶構造のb面に平行であり、 前記変更する材料の第2層は、前記第1層の前記ELR材料の前記面に結合され、ここで、前記変更する材料は金属または前記金属の酸化物の実質的に純粋な結晶を含み、前記金属は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、ベリリウム、ガリウム及びセレンを含む群から選択される ことを特徴とするジョセフソン接合。」⑵ 請求項2「前記バリア材料は、絶縁材料を含む請求項1に記載のジョセフソン接合。」⑶ 請求項3「前記バリア材料は、導電性材料を含む請求項1に記載のジョセフソン接 合。」⑷ 請求項4「前記バリア材料は、半導電性材料を含む請求項1に記載のジョセフソン接合。」⑸ 請求項5 「前記バリア材料は、ELR材料を含む請求項1に記載のジョセフソン接 合。」⑹ 請求項6「前記第1導体と、前記第2導体は150Kよりも高い臨界温度を有するELR材料を含む請求項1に記載のジョセフソン接合。」⑺ 請求項7 「前記バリアは、前記第1導体のELR材料の前記第1層と、前記第2導体のELR材料の前記第1層との間に配置されている請求項1に記載のジョセフソン接合。」⑻ 請求項8「前記バリアは、前記第1導体の変更する材料の前記第2層と、前記第2 導体の変更する材料の前記第2層との間にさらに配置されている請求項7に記載のジョセフソン接合。」⑼ 請求項9「前記変更されたELR材料は、ELR材料の前記第 料の前記第2層と、前記第2 導体の変更する材料の前記第2層との間にさらに配置されている請求項7に記載のジョセフソン接合。」⑼ 請求項9「前記変更されたELR材料は、ELR材料の前記第1層に結合された基板をさらに含む請求項1に記載のジョセフソン接合。」 ⑽ 請求項10「複数のジョセフソン接合を含む回路であって、前記複数のジョセフソン接合のそれぞれが、ELR材料の第1層と、前記第1層上に結合された変更する材料の第2層とからなる第1導体と、 ELR材料の第1層と、前記第1層上に結合された変更する材料の第2層とからなる第2導体と、前記第1導体と前記第2導体との間に配置されたバリア材料とを含み、前記ELR材料は、 面と結晶構造とを有し、前記面は前記結晶構造のb面に平行であり、 前記変更する材料の第2層は、前記第1層の前記ELR材料の前記面に結合され、ここで、前記変更する材料は金属または前記金属の酸化物の実質的に純粋な結晶を含み、前記金属は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、ベリリウム、ガリウム及びセレンを含む群から選択されることを特徴とする回路。」 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は、別紙審決書(写し)記載のとおりであり、要するに、以下の⑴ないし⑶のとおり、①本願の発明の詳細な説明の記載は、本願各発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない(実施可能要件違反)、②本願 各発明は発明の詳細な説明に記載したものではないから、本願の特許請求の範囲の記載は特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない(サポート要件違反)、③本願各発明は明確でないから、本 願 各発明は発明の詳細な説明に記載したものではないから、本願の特許請求の範囲の記載は特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない(サポート要件違反)、③本願各発明は明確でないから、本願の特許請求の範囲の記載は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない(明確性要件違反)というものである。 ⑴ 上記①(実施可能要件違反)について本願各発明においては、「第1導体」及び「第2導体」が、いずれも「ELR材料の第1層と、前記第1層上に結合された変更する材料の第2層とからなる」構成(以下「本願層構造」という。)であることが特定されているところ、本願の発明の詳細な説明には、本願各発明の課題である以下の各事項の いずれについても明確かつ十分な説明がされていない。 ア本願層構造を用いてジョセフソン接合を構成することで、高温超伝導材料(以下「HTS材料」という。)を用いたジョセフソン接合よりも高い温度で動作することイ本願層構造がHTS材料の超伝導転移温度よりも高い温度で超伝導状態 となること ⑵ 上記②(サポート要件違反)について本願各発明は、任意の温度で動作するジョセフソン接合を含むものであるから、上記⑴ア及びイのとおりの本願各発明の課題を解決しない態様を含むものである。 ⑶ 上記③(明確性要件違反)について 本願明細書等の段落【0011】には、本願各発明の「ELR材料」について、「非常に低い抵抗(ELR)材料」と記載されているところ、「非常に低い抵抗」について記載した段落【0014】においては、「非常に低い抵抗」を特定する抵抗率が、いかなる温度における抵抗率であるのかが不明であるから、本願各発明の「ELR材料」にどのような材料が含まれるのかを一義 的に特 【0014】においては、「非常に低い抵抗」を特定する抵抗率が、いかなる温度における抵抗率であるのかが不明であるから、本願各発明の「ELR材料」にどのような材料が含まれるのかを一義 的に特定できない。 4 原告の主張する取消事由⑴ 取消事由1実施可能要件の適合性に関する判断の誤り⑵ 取消事由2 サポート要件の適合性に関する判断の誤り⑶ 取消事由3明確性要件の適合性に関する判断の誤り第3 当事者の主張 1 取消事由1(実施可能要件の適合性に関する判断の誤り)について 〔原告の主張〕⑴ 本願各発明が本願層構造によりHTS材料の超伝導転移温度より高い温度で超伝導状態となることは、本願明細書等の段落【0315】の記載から明らかである。また、本願明細書等の段落【0052】及び図15ないし20に記載されているとおり、本願各発明については多様な温度設定が試みられ ており、ゼロ設定の試みがないからといって、本願発明1の成立が否定され る理由はない。 ⑵ 本願明細書等の段落【0051】ないし【0069】及び図14Aないし21Bには、本願各発明の「第1導体」及び「第2導体」において、変更されたELR材料が、温度上昇時に開口を維持することにより、ELR材料に比べてより高い温度においてELR状態で動作することを示す試験結果が記 載されている。 ⑶ 本願明細書等においては、本願各発明につき、従来の様々なジョセフソン接合において用いられている超伝導材料の代わりに改良されたELR材料を用いるものであり、ELR導体を通って流れる電流が、非常に低い抵抗状態でELR導体の間の接合部を横切って流れることができることが記載されて いる(段落【0222】及び【0223】)上、「非常に低い抵抗」に関 り、ELR導体を通って流れる電流が、非常に低い抵抗状態でELR導体の間の接合部を横切って流れることができることが記載されて いる(段落【0222】及び【0223】)上、「非常に低い抵抗」に関し、ELR材料の部分が0Ω・cmないし3.36×10-8Ω-cmの範囲の抵抗率(293Kにおける純粋な銅の抵抗率の50分の1)を有することが記載されており(段落【0014】)、本願各発明が従来のジョセフソン効果の原則を超越する存在であることが示唆されている。そして、発明の構成例が 本願明細書等の段落【0010】ないし【0069】に、各実施例が段落【0070】ないし【1474】にそれぞれ開示されることにより、当業者は、電子対の生成過程や巨視的波動関数の位相特定の情報が不明であっても、本願明細書等の記載を参照して、本願各発明を容易に実施することができる。 ⑷ 本願明細書等の図7、15ないし21から明らかなとおり、本願各発明は、 従来の技術常識としてのジョセフソン接合ではなく、抵抗値をゼロにしなくとも、極めて低い抵抗値の範囲内でジョセフソン接合を実現することを目的とする発明であるから、本願明細書等に抵抗値がゼロの場合の記載がないのは当然の帰結である。また、当業者は、本願各発明につき、電流が非常に低い抵抗状態で流れる条件でジョセフソン接合を実現したものとして捉えるこ とにより、本願各発明を実施することが可能である。 したがって、ジョセフソン接合原理に従った発明の目的、要件及び効果の記載がないとして、実施可能要件に反するとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕⑴ 〔原告の主張〕⑴に対し 本願明細書等の段落【0315】は、MRI装置についての説明であるところ、本願明細書等におけるMRI装置に関する記載( の判断は誤りである。 〔被告の主張〕⑴ 〔原告の主張〕⑴に対し 本願明細書等の段落【0315】は、MRI装置についての説明であるところ、本願明細書等におけるMRI装置に関する記載(段落【0287】ないし【0368】)においては、ELR材料が超伝導状態を示すとの記載はないから、原告の主張は、発明の詳細な説明の記載に基づくものではない。また、原告が主張する多様な温度での実験結果には、超伝導状態、すなわち抵 抗値がゼロであることは示されていないから、これらの記載は、本件審決における実施可能要件の判断に誤りがあるとの理由にはならない。 ⑵ 〔原告の主張〕⑵に対し技術常識によれば、超伝導における臨界温度は、抵抗値がゼロとなる温度である。そして、本願明細書等には、原告が試験結果として示す段落【00 51】ないし【0069】及び図14Aないし21Bの記載も含めて、ELR材料の抵抗値がゼロ、すなわち超伝導状態となることは示されていない。 ⑶ 〔原告の主張〕⑶に対し「ジョセフソン接合」というためには、超伝導状態、すなわち臨界温度以下で抵抗値がゼロとなる層が存在すること、及び、動作時に電子対がトンネ ル効果により結合部を通過する現象が確認されることが必要であることは、技術常識である。 これに対し、本願明細書等の段落【0222】ないし【0224】には、電流がELR状態(非常に低い抵抗状態)で流れることができることが記載されているだけで、ELR導体の抵抗値がゼロとなること、すなわち超伝導 状態であることも、動作時に電子対がトンネル効果により流れる現象が確認 されることも示されていないから、上記各段落に記載された事項が「ジョセフソン接合」であるということはできない。 そして、本願明細書等の段落【0010 電子対がトンネル効果により流れる現象が確認 されることも示されていないから、上記各段落に記載された事項が「ジョセフソン接合」であるということはできない。 そして、本願明細書等の段落【0010】ないし【0069】や段落【0070】ないし【1474】の開示を踏まえても、実施可能要件を満たすものとはいえない。 2 取消事由2(サポート要件の適合性に関する判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 本願明細書等において、本願各発明の目的及び効果は段落【0005】に、発明の構成は段落【0029】ないし【0031】、【0034】、【0045】、【0092】ないし【0094】及び【0096】ないし【0098】に、 実施例は段落【0070】ないし【1474】に、それぞれ記載されている。 ⑵ 本願発明1は補正され、この補正は適法であると判断された。そして、この判断においては、本願各発明の要旨として、ジョセフソン接合とはELR材料が超伝導状態すなわち抵抗値がゼロであるという従来技術の常識を覆し、ELR材料が極めて低い温度で動作するジョセフソン接合であることが認定 されている。 〔被告の主張〕原告が主張の根拠とする本願明細書等の各段落には、ELR材料が超伝導状態にあること、すなわち抵抗値がゼロであることや、ELR材料を流れる電流が、電子対がトンネル効果でその接合部を通過する現象であることは示されて いない。 したがって、変更されたHTS材料、すなわちELR材料によりジョセフソン接合が行われていることが、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。 3 取消事由3(明確性要件の適合性に関する判断の誤り)について 〔原告の主張〕 ⑴ 本願明細書等において使用されている「ELR」との語は、本願 に記載されているとはいえない。 3 取消事由3(明確性要件の適合性に関する判断の誤り)について 〔原告の主張〕 ⑴ 本願明細書等において使用されている「ELR」との語は、本願明細書等の冒頭部で極めて低い抵抗と明確に定義されており、「ExtremelyLowResistance」の略称であることを直ちに理解することができる。また、ELR材料については本願明細書等の段落【0011】ないし【0014】において、HTS材料については同【0017】において、それぞれ明確に定義 されている。 ⑵ 本願各発明は、改善された非常に低い抵抗材料を含む第1導体と第2導体との間にバリア材料を配置するジョセフソン接合であり、改善された非常に低い材料は、特異な動作特性すなわち150Kより高い臨界温度を備えることを特徴とするものであるところ、このことは、本願明細書等において、多 岐にわたる実施例と共に具体的に説明されている(本願明細書等の段落【0070】ないし【1474】)。 ⑶ 本願各発明の各実施例をサポートする本願明細書等の図7、15ないし21には、抵抗率及び温度変化が明示されている。また、ELR材料が、クロム、銅、ビスコース、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、べリウム、 カリウム及びセレンを含む群から選択されることは、本願発明1に係る補正が適法であると判断した本件審決にも明示されているし、本願明細書等の段落【0017】ないし【0035】にも記載されている。 〔被告の主張〕超伝導材料の抵抗率は、温度によって変わるものであるところ、原告が主張 する抵抗率が、いかなる温度における抵抗率であるのか不明である以上、本願各発明の「ELR材料」にどのような材料が含まれるのかを一義的に特定することはできない わるものであるところ、原告が主張 する抵抗率が、いかなる温度における抵抗率であるのか不明である以上、本願各発明の「ELR材料」にどのような材料が含まれるのかを一義的に特定することはできない。また、本願明細書等において実施例として記載された態様には、抵抗値がゼロとなるものは記載されていないから、本願明細書等には、本願各発明の具体例は記載されていない。 第4 当裁判所の判断 1 本願各発明⑴ 特許請求の範囲本願各発明の特許請求の範囲の記載は、前記第2の2のとおりである。 ⑵ 本願明細書等の記載本願明細書等には、次のとおりの記載がある。(甲1、2、17。図面につ いては、別紙本願明細書等図面目録記載のとおりである。)ア本願各発明の課題や解決手段に関連する記載「従来の超伝導エレメントを使用して動作する、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または他のデバイスは、超伝導状態における超伝導エレメントを維持するために高価な冷却システ ムに依存するなどの様々な欠点に苦しんでいる。例えば、従来の超電導コンデンサは、電流を最小抵抗またはゼロ抵抗で輸送する能力を有する、さまざまな成分の高温超伝導(HTS)材料を利用している。しかしながら、HTS材料は、非常に低い動作温度(例えば、120K未満の温度)を必要とし、通常は、液体窒素ベースの冷却システムなどの高価なシステムを 使用して、そのような動作温度までコンポーネントを冷却することにより実現される。このような冷却システムは、実施コストを増大させ、広範な商用使用および民生用使用、および/または、これらの材料を用いるコンデンサへの適用を妨げる。現在のHTSベースのデバイスでは、これらの問題および他の問題が 却システムは、実施コストを増大させ、広範な商用使用および民生用使用、および/または、これらの材料を用いるコンデンサへの適用を妨げる。現在のHTSベースのデバイスでは、これらの問題および他の問題が存在する。」(段落【0003】) 「変更された、開口された、積層された、および/または、それ以外の、新しい非常に低い抵抗(ELR)材料で形成された1つまたは複数のコンポーネントを含む、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または他のデバイス、コンポーネント、システム、および/または、装置が記載される。ELR材料は、通常は現在の高温超伝導体 (HTS)に関連付けられる温度よりも高い温度での電流に対する非常に 低い抵抗を提供し、とりわけ、高温度におけるデバイスの動作特性を向上させる。」(段落【0005】)イ ELR材料及びELR状態の定義に関連する記載「本説明のために、非常に低い抵抗("ELR")材料は、HTS材料、完全に導電する材料(例えば、完全導体)、および非常に低い抵抗を有する 他の導電性材料を含む超伝導材料を含み得るが、これだけに限定されるものではない。本明細書に記載されるように、これらのELR材料は、変更されたELR材料、開口されたELR材料および/または新しいELR材料、ELR膜及び/又は他のELR成分材料(例えば、ナノワイヤ、ワイヤ、テープなど)を形成するために使用することができるものとして記載 される。これらのELR材料は、電子に対して非常に低い抵抗を示す、及び/又は、150K以上の温度などの高温で、環境圧力または標準圧力で、極めて高い電子のコンダクタンスを示す。本章では、とりわけ、本ELR材料の構造と動作特性を説明する。」(段落【0011】)「本説明のために、EL 以上の温度などの高温で、環境圧力または標準圧力で、極めて高い電子のコンダクタンスを示す。本章では、とりわけ、本ELR材料の構造と動作特性を説明する。」(段落【0011】)「本説明のために、ELR材料の動作特性、および/または、本発明の 様々な実施例は、ELR状態におけるELR材料の抵抗(例えば、超伝導体、超電導状態に関する)、ELR状態に対するELR材料の転移温度、ELR状態におけるELR材料の電荷を伝播する容量、ELRの材料の1つまたはそれ以上の磁気特性、ELR材料の一つまたはそれ以上の機械的性質、および/または、ELR材の材料、他の動作特性を含むことができる が、これらに限定されるものではない。さらに、本説明のために、改良された動作特性は、高温でのELR状態(例えば、超電導状態を含む)における動作、その同じ温度(またはより高い温度)で増加した電荷伝播容量での動作を含むことができる。」(段落【0013】)「この説明のために、"非常に低い抵抗"は、超伝導材料タイプII の超伝 導状態での磁束流抵抗の大きさと同じような抵抗であり、一般に、0Ω- cmから293Kでの実質的に純粋な銅の抵抗率の50分の1(1/50)の範囲の抵抗率で表現することができる。例えば、本明細書で使用されるような、実質的に純粋な銅は99.999%の銅である。本発明の様々な実施例では、ELR材料の部分は0Ω・cmから3.36x10-8Ω-cmの範囲の抵抗率を有する。」(段落【0014】) 「一般的に理解されるように、転移温度は、ELR材料が非常に低い抵抗で"動作する"又は、非常に低い抵抗を示す(又は示し始める)温度、および/または、ELR材料と関連する他の現象を示す温度である。非常に低い温度で動作するとき、このELR材料は、EL が非常に低い抵抗で"動作する"又は、非常に低い抵抗を示す(又は示し始める)温度、および/または、ELR材料と関連する他の現象を示す温度である。非常に低い温度で動作するとき、このELR材料は、ELR状態にあると呼ばれる。転移温度より高い温度で、ELR材料は、非常に低い抵抗を示さなく なり、ELR材料は、非ELR状態又は通常の状態にあると呼ばれる。換言すれば、転移温度は、ELR材料が非ELR状態とELR状態との間で変化する温度である。理解されるように、いくつかのELR材料に対して転移温度は、非ELR状態とELR状態との間でELR材料が変化する温度範囲とすることができる。また、理解されるように、ELR材料は、転 移温度のヒステリシスを持ち、ELR材料が温かいときの転移温度とELR材料が冷たいときの転移温度とを有する。」(段落【0015】)ウ ELR材料の結晶構造と動作に関連する記載「図2を参照すると、公知のELR材料の従来の理解では、抵抗現象を担うものとして複数の開口原子250によって、結晶構造100内に形成 された開口210を認めることができなかった。(例えば、開口が単一の単位セル400の描写において容易に明らかではない図4が参照される。)ある意味では、開口原子250は、開口210の周りの離散的な原子的"境界"または"境界"を形成すると考えることができる。本発明のいくつかの実施例では、本発明のいくつかの実施例及び図2に示すように、開口21 0は、結晶構造230の第1の部分220と第2の部分100の間に現れ るが、本発明のいくつかの実施例では、開口210は種々の他の結晶構造の他の部分に現れるかもしれない。開口210は図2において、単純な"球体"としての原子の記載に基づいて示されており、そのような開口は るが、本発明のいくつかの実施例では、開口210は種々の他の結晶構造の他の部分に現れるかもしれない。開口210は図2において、単純な"球体"としての原子の記載に基づいて示されており、そのような開口は、開口250を含む結晶構造100中の種々の原子に関連する電子密度(図示せず)とその形状に関連することが理解される。」(段落【0021】) 「本発明の種々の態様によれば、開口210は、結晶構造100を通る電荷の伝播を促進し、開口210が結晶構造100を通る電荷の伝播を促進するとき、ELR材料はELR状態で動作する。この説明のために、(それぞれの形態に沿って)"伝播する"および/または"伝播を促進する"とは、一般に、"伝導する"、および/または"伝導を促進する"、およびその各形 態、および、"輸送"、および/または"輸送を促進する、"、およびその各形態、および、"ガイドする"、および/または"ガイドを促進する"、およびその各形態、および/または、"運ぶ"、"容易に運ぶ""、およびその各形態を指す。この説明のために、電荷は、正電荷又は負電荷、および/または、そのような電荷のペアまたは他の組み合わせを含むことができ、さら に、そのような電荷は、1つまたは複数の粒子の形態で、または、1つまたは複数の波または波束の形態で結晶構造100を通って伝播する。」(段落【0022】)「本発明のいくつかの実施例では、結晶構造100を通る電荷の伝播は、導波路に類似する方法であってもよい。本発明のいくつかの実施例では、 開口210は、結晶構造100を通過する電荷を伝播する導波路であってもよい。導波路とその操作は、一般的によく理解されている。特に、導波管の内部を取り囲む壁は、開口210の周りの開口原子250の境界または外辺部と対応することが を通過する電荷を伝播する導波路であってもよい。導波路とその操作は、一般的によく理解されている。特に、導波管の内部を取り囲む壁は、開口210の周りの開口原子250の境界または外辺部と対応することができる。導波路とその操作に関連する一態様は、その断面である。原子レベルで、開口210および/またはその断面は、 ELR材料の温度変化で実質的に変更することができる。例えば、本発明 のいくつかの実施例では、ELR材料の温度変化は、開口210の変化を引き起こすことができる。その変化は、次に、ELR材料をELR状態から非ELR状態へ遷移させるかもしれない。例えば、ELR材料の温度が上昇すると、開口210は、結晶構造100を通過する電荷の伝播を制限し又は妨げ、対応するELR材料は、ELR状態から非ELR状態へ遷移 するかもしれない。同様に、例えば、ELR材料の温度が低下すると、開口210は、結晶構造100を通過する電荷の伝播を容易にし(制限又は妨害するのとは対照的に)、対応するELR材料は、非ELR状態からELR状態へ遷移するかもしれない。」(段落【0023】)「本発明の様々な実施例によれば、種々の公知のELR材料の結晶構造 は、公知のELR材料および/または変更されていないELR材料に対して、改善された動作特性で動作するように変更することができる。理解されるように、本発明のいくつかの実施例では、改善された動作特性は、例えば、結晶構造100の上に、材料の原子が第1の部分220と第2の部分230の間に一つまたは複数の結合を形成することによって、開口21 0を橋渡しするように材料を積層することによって実現することができる。結晶構造100の上に材料を積層する変更例は、種々の実験による試験結果と関連して以下でさらに詳細に記載 によって、開口21 0を橋渡しするように材料を積層することによって実現することができる。結晶構造100の上に材料を積層する変更例は、種々の実験による試験結果と関連して以下でさらに詳細に記載される。」(段落【0037】)「図10は、第2視点から見たときの本発明の様々な実施例の変更されたELR材料1060の変更された結晶構造1010を示す図である。図 11は、第1の視点から見たときの本発明の様々な実施例の変更されたELR材料1060の変更された結晶構造1010示す。ELR材料360(例えば、図3などに示される)は、変更されたELR材料1060を形成するために変更される。変更する材料1020は、図11に示すように、変更されたELR材料1060の変更された結晶構造1010を形成す るように、ELR材料360の結晶構造300の原子(図3)と結合する。 図示されるように、変更する材料1020は、第1の部分320と第2の部分330との間の隙間を橋渡し、それによって、とりわけ、特に、開口310の領域における変更された結晶構造1010の振動特性を変化させる。そうすることで、変更する材料1020は、高い温度で開口310を維持する。したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料 1020は、結晶構造300中の適切な原子と適合して結合するように選択される。」(段落【0038】)「本発明のいくつかの実施例及び図10に示されているように、変更する材料1020は、b-平面(例えば、"a-c"面)に平行である結晶構造300の表面に結合する。変更する材料1020が"a-c"面と結合す る実施例では、a軸の方向に延びる開口310とa平面に横たわる断面が維持される。そのような実施例では、電荷キャリアは、a軸の方向に開口 に結合する。変更する材料1020が"a-c"面と結合す る実施例では、a軸の方向に延びる開口310とa平面に横たわる断面が維持される。そのような実施例では、電荷キャリアは、a軸の方向に開口310を通過して流れる。」(段落【0039】)「本発明のいくつかの実施例において、変更する材料1020は、a平面(例えば、"b-c"面)に平行である結晶構造300の表面と結合する。 変更する材料1020が"b-c"面と結合するような実施例では、b軸の方向に延びる開口310とb平面に横たわる断面が維持される。そのような実施例では、電荷キャリアは、b軸の方向に開口310を通過して流れる。」(段落【0040】)「本発明の種々の実施例では、変更する材料1020を有するELR材 料360の特定の面に積層することを含む(すなわち、ELR材料360の特定の表面を変更する材料1020で変更すること)。この説明から理解されるように、ELR材料360の"表面を変更すること"への言及は、最終的に、ELR材料360の一つまたは複数の単位セル400の面(場合によっては一面以上)を変更することを含む。すなわち、変更する材料 1020は、実際にELR材料360の単位セル400内の原子に結合す る。」(段落【0041】)「たとえば、a平面に平行なELR材料360の表面を変更することは、単位セル400の"b-c"面を変更することを含む。同様に、b-平面に平行なELR材料360の表面を変更することは、単位セル400の"a-c"面を変更することを含む。本発明のいくつかの実施例では、変更する 材料1020は、c軸に平行な平面に対して実質的に平行であるELR材料360の表面に結合される。この説明のために、c軸に平行な平面は、一般にab平面と呼ば 発明のいくつかの実施例では、変更する 材料1020は、c軸に平行な平面に対して実質的に平行であるELR材料360の表面に結合される。この説明のために、c軸に平行な平面は、一般にab平面と呼ばれ、理解されるように、a面およびb面を含む。理解されるように、ab面に平行なELR材料の表面360は、単位セル400の"a-c"面と"b-c""面の混合物から形成される。変更する材料 1020がab面に平行な表面と結合するような実施例では、a軸の方向に延びる開口310とb軸方向に延びる開口310が維持される。」(段落【0042】)「本発明のいくつかの実施例において、変更する材料102は導電性材料であってもよい。本発明のいくつかの実施例では、変更する材料102 は、高い酸素親和性材料であるかもしれない。(すなわち、酸素と容易に結合する材料)("酸素結合材料")。本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020は、酸素と容易に結合する導電性材料("酸素結合導電材料")であってもよい。このような酸素結合導電材料は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタンを含むが、それだけには限定されない。 このような酸素結合導電材料は、ロジウムまたはベリリウムもまた含むことができるが、それだけには限定されない。他の変更する材料は、ガリウム又はセレンを含むことができる。他の変更する材料は、銀を含んでもよい。さらに他の変更する材料を用いることもできる。」(段落【0043】)「本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020の酸化物は、 ELR材料360を変更する材料1020で変更するときの様々な操作 の間に形成するかもしれない。したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020は、変更する材料1020の実 ELR材料360を変更する材料1020で変更するときの様々な操作 の間に形成するかもしれない。したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020は、変更する材料1020の実質的に純粋な形態および/または変更する材料1020の種々の酸化物をを含むことができる。換言すれば、本発明のいくつかの実施例では、ELR材料360は、変更する材料1020および/または変更する材料1020の種々の 酸化物を含む。一例として、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020は、クロム及び/又は酸化クロムを(CrxOy)を含んでもよいが、それに限定されるものではない。」(段落【0044】)「本発明のいくつかの実施例では、ELR材料360は、YBCOであり、変更する材料1020は、酸素結合導電材料であってもよい。本発明 のいくつかの実施例では、ELR材料360は、YBCOであり、変更する材料1020は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、またはベリリウムを含む群から選択されるが、これらに限定されない。本発明の実施例では、ELR材料360は、YBCOであり、変更する材料1020は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、 チタン、ロジウム、及びベリリウムからなる群から選択され得る。本発明のいくつかの実施例では、ELR材料360は、YBCOであり、変更する材料1020は他の変更する材料であってもよい。」(段落【0045】)エ変更されたELR材料の試験結果に関連する記載「図14A-14Gは、上記記載されたようにして得られた試験結果1 400を示す。試験試験結果1400は温度の関数(K)として変更したELR素材1060の抵抗のプロットを含んでいる。より具体的には、試験試験結果 、上記記載されたようにして得られた試験結果1 400を示す。試験試験結果1400は温度の関数(K)として変更したELR素材1060の抵抗のプロットを含んでいる。より具体的には、試験試験結果1400は、変更されたELR素材1060であり、変更する材料1020はクロムであり、ELR材料360はYBCOである。図14Aは、変更されたELR材料1060の抵抗が測定された温度の全範囲、 すなわち、84K~286Kである試験結果1400を含んでいる。より 詳細に示すために、試験結果1400は、様々な温度範囲に分割されて図示されている。図14Bは、240K~280Kまでの温度範囲内の試験結果1400を示し、図14Cは、21K~250Kまでの温度範囲内の試験結果1400を示し、図14Dは、180K~220Kまでの温度範囲内の試験結果1400を示し、図14Eは、150K~190Kまでの 温度範囲内の試験結果1400を示し、図14Fは、120K~160Kまでの温度範囲内の試験結果1400を示し、図14Gは、84.5K~124.5Kまでの温度範囲内の試験結果1400を示している。」(段落【0051】)「試験結果1400は、変更されたELR材料1060の様々な部分が ELR材料360に比べて、より高い温度においてELR状態で動作することを示している。6つの試料の分析試験が行われた。各試料分析試験では、変更されたELR材料1060はゆっくりと約286Kから83Kまで冷却された。冷却しながら、DCオフセットおよび/または熱電対効果の影響を低減するために、電流源は、デルタモードの構成で+60nAと -60nAの電流を流した。一定の時間間隔で、変更されたELR材1060の電圧を電圧計で測定した。各試料分析試験では、電圧測定の 響を低減するために、電流源は、デルタモードの構成で+60nAと -60nAの電流を流した。一定の時間間隔で、変更されたELR材1060の電圧を電圧計で測定した。各試料分析試験では、電圧測定の時系列は、512点の高速フーリエ変換("FFT")を用いてフィルタ処理された。フィルタリ処理されたデータのうちFFTの最も低い44の周波数はデータから除外され、残りのデータは時間領域に戻された。各試料分析試 験でフィルタ処理されたデータは、その後、試験結果1400を生成するために統合された。より具体的には、6つの試料の分析試験のすべての抵抗の測定は、"ビニング"と呼ばれる方法で温度範囲(例えば、80K~80.25K、80.25K~80.50K、80.5K~80.75K、等)の系列に整理された。次に、各温度範囲の平均抵抗測定を求めるために各温 度範囲で測定された抵抗測定は、平均化された。これらの平均抵抗測定に より試験結果1400が得られた。」(段落【0052】)「試験結果1400は、温度に対する抵抗のプロットである種々の離散ステップ1410を含んでおり、各離散ステップ1410は、比較的狭い温度範囲での抵抗の急激な変化を示している。各離散ステップ1410では、変更されたELR材料1060の離散部分は、各温度でそのような部 分の電荷伝播容量に電荷を伝播し始める。非常に小さなスケールで、変更されているELR材360の表面は、完全に平滑ではないので、ELR材料360の表面に露出された開口310は、通常は、変更されたELR材1060試料の全幅または全長にわたって延びていない。したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020は、ELR材料36 0の表面全体を覆い、開口310の間で電荷を運ぶ導体として作用する 試料の全幅または全長にわたって延びていない。したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020は、ELR材料36 0の表面全体を覆い、開口310の間で電荷を運ぶ導体として作用することができる。」(段落【0053】)「試験結果1400の詳細を説明する前に、ELR材料360と変更する材料1020の様々な特性を説明する。これらの材料の抵抗対温度("R-T")の個別のプロファイルは、一般によく知られている。これらの材料 の個々のR-Tプロファイルは、試験結果1400に見られる離散ステップ1410と同様の特徴を含むとは考えられない。実際、ELR材料360の変更されていない試料と変更する材料1020は、同じであり、しばしば同一の試験方法と測定装置でそれぞれ試験された。各例では、ELR材料360の変更されていない試料のR-Tプロファイルと変更する材 料のRTプロファイルは、単独では離散ステップ1410と同様の機能を含んでいなかった。従って、離散ステップ1410は、変更する材料1020と変更するELR材料360の結果であり、温度上昇時に開口310を維持し、それによって、変更する材料1060が、本発明の様々な実施例の高い温度において、ELR状態のままでいられることが可能となる。」 (段落【0054】) 「各離散ステップ1410では、変更されたELR材料1060内の開口310の様々な開口が、各開口310の電荷伝播容量に電荷の伝播を開始する。電圧計で測定した結果、各電荷伝播開口310は、変更されたELR材料1060の試料を通過する見かけの電圧が少しだけ低下する、短絡として現れる。見かけの電圧は、開口310の追加の開口が電荷の伝播 を開始すると、変更されたELR材料1060の試料温度がELR材料3 0の試料を通過する見かけの電圧が少しだけ低下する、短絡として現れる。見かけの電圧は、開口310の追加の開口が電荷の伝播 を開始すると、変更されたELR材料1060の試料温度がELR材料360の転移温度(すなわち、変更していないELR材料がYBCOの場合の転移温度は、約90Kである)に達するまで低下し続ける。」(段落【0055】)「試験結果1400は、変更されたELR材料1060内の開口310 が、約97K、100K、103K、113K、126K、140K、146K、179K、183.5K、200.5K、237.5K、および250Kで、電荷を伝播することを示している。理解されるように、変更されたELR材料1060内の開口310は、全温度範囲内の他の温度で電荷を伝播することができる。」(段落【0056】) 「試験結果1400は、離散ステップ1410として識別されていない比較的狭い温度範囲での抵抗の比較的急激な変化を含んでいる。これらの他の変化のいくつかは、試験(例えば、FFT、フィルタリング、等)中に得られる測定値に使用されるデータ処理技術からのアーティファクトであるかもしれない。これらの他の変化のいくつかは、様々な温度で開口 310に影響を与える変更された結晶構造1010中の共振周波数に起因する抵抗の変化であるかもしれない。これらの他の変化のいくつかは、追加の離散ステップ1410であるかもしれない。また、270~274Kの温度範囲における抵抗の変化は、変更されたELR材1060中に存在する水と関連付けられる可能性があり、この水の一部は変更されたEL R材料1060の試料調製中に導入された可能性がある。」(段落【005 7】)「変更する材料1020はELR材料360の転移温度以上の温度でよ があり、この水の一部は変更されたEL R材料1060の試料調製中に導入された可能性がある。」(段落【005 7】)「変更する材料1020はELR材料360の転移温度以上の温度でよく伝導するの対して、ELR材料360は通常は伝導しないという点で、試験結果1400は、離散ステップ1410に加えて、ELR材料360のR-Tプロファイルと異なっている。」(段落【0058】) 「図15は、ELR材料360と変更する材料1020の試料に対する追加の試験結果1500を示している。より具体的には、試験結果1500では、変更する材料1020は、クロムであり、ELR材料360はYBCOである。試験結果1500では、ELR材料360の試料は、a-平面又はb-平面に平行な結晶構造300の面を露出させるために、上述 した様々な技術を用いて調製された。試験結果1500は、変更されたELR材料1060にロックインアンプとK6221電流源を用いて24.0Hzで10nAの電流を流して得られた。試験結果1500は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含んでいる。図15は、変更されたELR材料1060の抵抗が温度の全範 囲、すなわち80K~275Kで測定された試験結果1500を含む。試験結果1500は、変更されたELR材料1060の様々な部分がELR材料360より高い温度でELR状態で動作することを示している。5つの試料の分析試験は、変更されたELR材料1060の試料でなされた。 各試料分析試験では、変更されたELR材料1060の試料をゆっくりと 80Kから275Kまで加熱した。加熱しながら、変更されたELR材料1060の試料の電圧が一定の時間間隔で測定され、抵抗は、電流源から算出された。各試料 ELR材料1060の試料をゆっくりと 80Kから275Kまで加熱した。加熱しながら、変更されたELR材料1060の試料の電圧が一定の時間間隔で測定され、抵抗は、電流源から算出された。各試料分析試験では、抵抗測定値の時系列は、1024ポイントのFFTを用いてフィルタ処理した。しかし、すべてのFFTから最も低い15の周波数がデータから除去され、フィルタ処理された抵抗測定 値は、時間領域に戻された。各試料分析試験でフィルタ処理された抵抗測 定値は、試験結果1500を生成するために上記説明したビニングプロセスを用いて統合された。次に、各温度範囲での抵抗測定値は、各温度範囲での平均抵抗測定値を得るために一緒に平均化された。これらの平均抵抗測定値は、試験結果1500を形成する。」(段落【0059】)「試験結果1500は、抵抗対温度プロットにおいて、種々の離散ステ ップ1510を含む。各離散ステップ1510は、図14A~図14Gで説明した離散ステップ1410と類似する、比較的狭い温度範囲で抵抗が比較的急激に変化することを示している。各離散ステップ1510では、変更されたELR材料1060の離散部分は、各温度での離散部分の電荷伝播容量に電荷を伝播する。」(段落【0060】) 「試験結果1500は、変更されたELR材料1060内の開口310が約120K、145K、175K、225K、および250Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1060内の開口310は、理解されるように、全温度範囲内の他の温度で、電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0061】) 「図16-20は、ELR材料360および各種変更する材料1020の試料に対する追加の試験結果を示す。これらの追加の試験結果では、ELR材料 伝播するかもしれない。」(段落【0061】) 「図16-20は、ELR材料360および各種変更する材料1020の試料に対する追加の試験結果を示す。これらの追加の試験結果では、ELR材料360の試料は、結晶構造300の表面をa面またはb面、またはa面またはb面のいくつかの組み合わせに対して実質的に平行となるように露出させ、これらの露出面上に変更する材料が積層されるように、 上述した様々な技術を用いて調製された。これらの変更された各試料は、ゆっくりと約300Kから80Kまで冷却された。以下に説明するように、加温しながら、電流源は、電流を変更された試料にデルタモード設定で印加した。一定時間毎に、変更された試料の電圧を測定した。各試料の分析試験では、電圧測定の時系列は、FFTを用いて周波数領域で最低の周波 数を除去するフィルタ処理し、フィルタ処理された測定値は、時間領域に 戻された。保持された周波数の数は、一般に、各データ・セットで異なる。 各試験からフィルタ処理されたデータは、その後、ビニングされ、一緒に平均化されて図16-21に示す試験結果を生成した。」(段落【0062】)「図16は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果1600を示す。試験結果1600では、 変更する材料1020はバナジウムであり、ELR材料360はYBCOである。試験結果1600は、20nA電流源を使用し、1024ポイントのFFTを行い、12個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11回の試験で得られた。試験結果1600は、変更されたELR材料1060の様々な部分がELR材料360よりもより高い温度においてE LR状態で動作することを示している。試験結果1600は、図14A- で得られた。試験結果1600は、変更されたELR材料1060の様々な部分がELR材料360よりもより高い温度においてE LR状態で動作することを示している。試験結果1600は、図14A-14Gで説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ1610を含む。試験結果1600は、変更されたELR材料1060内の開口310が約267K、257K、243K、232K、および219Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1 060内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0063】)「図17は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果1700を示す。試験結果1700では、変更する材料1020は、ビスマスでありELR材料360はYBCOで ある。試験結果1700は、400nAの電流源を使用し、1024ポイントのFFTを行い、12個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる5回の試験で得られた。試験結果1700は、変更されたELR材料1060の様々な部分がELR材料360よりも高い温度においてELR状態で動作することを示している。試験結果1700は、図14A-14 Gで説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステッ プ1710を含む。試験結果1700は、変更されたELR材料1060内の開口310が約262K、235K、200K、172K、および141Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1060内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0064】) 「図18は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果18 0内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0064】) 「図18は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果1800を示す。試験結果1800では、変更する材料1020は銅であり、ELR材料360はYBCOである。 試験結果1800は、200nAの電流源を使用し、1024ポイントFFTを行い、12個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる5回の 試験で得られた。試験結果1800は、変更されたELR材料1060の様々な部分がELR材料360よりもより高い温度においてELR状態で動作することを示している。試験結果1800は、図14A-14Gで説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ1810を含む。試験結果1800は、変更されたELR材料1060内の 開口310が約268K、256K、247K、235K、および223Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1060内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0065】)「図19は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060 の抵抗のプロットを含む試験結果1900を示す。試験結果1900では、変更する材料1020はコバルトであり、ELR材料360はYBCOである。試験結果1900は、420nA電流源を使用し、1024ポイントのFFTを行い、12個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11回の試験で得られた。試験結果1900は、変更されたELR材料1 060の様々な部分がELR材料360よりもより高い温度においてE LR状態で動作することを示している。試験結果1900は、図14A-14Gで説明したのと同 は、変更されたELR材料1 060の様々な部分がELR材料360よりもより高い温度においてE LR状態で動作することを示している。試験結果1900は、図14A-14Gで説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ1910を含む。試験結果1900は、変更されたELR材料1060内の開口310が約265K、236K、205K、174K、および143Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1 060内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0066】)「図20は、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果2000を示す。試験結果2000では、変更する材料1020はチタンであり、ELR材料360はYBCOであ る。試験結果2000は、100nA電流源を使用し、512ポイントのFFTを行い、11個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11回の試験で得られた。試験結果2000は、変更されたELR材料1060の様々な部分がELR材料360よりもより高い温度においてELR状態で動作することを示している。試験結果2000は、図14A-14 Gで説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ2010を含む。試験結果2000は、変更されたELR材料1060内の開口310が約266K、242K、および217Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1060内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0067】) 「図21A~21Bは、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果2100を示す。試験結果2100では、変更す かもしれない。」(段落【0067】) 「図21A~21Bは、温度の関数(K)として、変更されたELR材料1060の抵抗のプロットを含む試験結果2100を示す。試験結果2100では、変更する材料1020はクロムであり、ELR材料360はYBCOである。図21Aは、変更されたELR材料1060の抵抗が測定された温度の全範囲、すなわち80K~270Kにわたる試験結果21 00を含む。さらに詳しく説明するために、試験結果2100は、図21 Bに示すように、150K~250Kの温度範囲で拡大された。試験結果2100は、図16~20で説明したのと同様の方法で得られた。具体的には、試験結果2100は300nAの電流源を使用して25回の試験で得られた。これらの試験データは、64サイドポイントと4次多項式を用いて、Savitzy-Golay で平滑化された。試験結果2100は、変更された ELR材料1060の様々な部分がELR材料360(ここでは、BSSCO)よりも高い温度でELR状態として動作することを示している。試験結果2100は、図14A-14Gで説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ2110を含む。試験結果2100は、変更されたELR材料1060内の開口310が約184Kと214 Kで電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1060内の開口310は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。」(段落【0068】)「上述した種々の試験結果は、とりわけ、開口310上の変更する材料1020の影響が互いに近接する関係で変化すること示している図14 の試験結果1400は、本発明の種々の実施例を支持している。具体的には、試験結果1400中の各離散ステップ1410は、変更されたEL 0の影響が互いに近接する関係で変化すること示している図14 の試験結果1400は、本発明の種々の実施例を支持している。具体的には、試験結果1400中の各離散ステップ1410は、変更されたELR材料1060によって運ばれた電荷の変化に対応する。なぜなら、特定の層2310中の開口310(より適切には、図示のように隣接する層間で形成された開口310)は、そのような開口310の電荷伝播容量に電荷 を伝播するからである。変更する材料1020により近い層2310中の開口310は、より高い温度の離散ステップに1410に対応するが、変更する材料1020からより遠い層2310中の開口310は、より低い温度の離散ステップ1410に対応する。離散ステップ1410は、変更する材料1020に所与の相対距離の開口310(すなわち、層2310 Aと層2310B間の開口310A)が特定の温度で電荷を伝播し、すぐ に最大電荷伝播容量に達する、という意味で"離散"である。別の離散ステップ1410は、変更する材料1020からより離れた距離の開口310(すなわち、層2310Bと層2310Cの間の開口310B)がより離れた距離の結果として、より低い温度で電荷を伝播し、開口310に対する変更する材料1020の影響を軽減するときに、達成される。各離散ス テップ1410は、変更する材料1020からの距離に基づいて電荷を運び始める開口310の別の組に対応する。しかしながら変更する材料1020は、ある距離において、いくつかの開口310に高い温度で電荷を運ばせるような十分な影響を開口310に及ぼすことができないので、それ故に、そのような開口310は、ELR材料360の温度と一致する温度 で電荷を伝播する。」(段落【0073】)オ変更する材料に関 うな十分な影響を開口310に及ぼすことができないので、それ故に、そのような開口310は、ELR材料360の温度と一致する温度 で電荷を伝播する。」(段落【0073】)オ変更する材料に関連する記載「いくつかの実施例では、ELR材料に変更する成分を適用することは、ELR材料の結晶構造内の1つまたはそれ以上の酸素原子をELR材料内に移動させ、ELR材料の結晶構造を引っ張る酸素濃度勾配を形成する かもしれない。いくつかの実施例では、クロムなどの変更する成分は、ELR材内の酸素原子の"ゲッター"として作用し、それによって、酸素原子を変更する成分に向かって移動させ、次に、ELR材料の結晶構造内または、その一部の領域を引っ張るかもしれない。」(段落【0119】)「本発明のいくつかの実施例では、組成物の種々の領域または部分にあ る歪みは、ELR材料の動作特性(例えば、動作温度、電流容量など)を向上させるように、ELR材の結晶構造中の開口に影響を与える。」(段落【0121】)「結晶構造を有する材料の変更は、その材料が期待される温度よりも高い温度で材料に電流を流すように、非常に低い抵抗のような低い抵抗を示 すさせることができる。いくつかの実施例では、変更は、上述したように、 適切な表面上に変更する材料の層を付けるまたは形成する工程を含むことができる。変更する材料が付けられた、または形成された層は、歪みを発生させるか、あるいは材料の結晶構造を作る原子、および/または、結合の一部またはすべてに力をかけることができる。この力または歪みは、材料が低い抵抗又は非常に低い抵抗なのような異なる抵抗特性を示すよ うに、この材料を変更するかもしれない。すなわち、材料内で力や歪みが発生すると、材料は、材料内の特定の場所、お 力または歪みは、材料が低い抵抗又は非常に低い抵抗なのような異なる抵抗特性を示すよ うに、この材料を変更するかもしれない。すなわち、材料内で力や歪みが発生すると、材料は、材料内の特定の場所、および/または、特定の領域で、酸素拡散勾配を発生させる、および/または、維持させる、および/または、材料の結晶構造を、ねじれさせる、歪ませる、開かせる、閉じさせる、硬くする、または、1つの場所から別の場所に電子の輸送を容易に する材料内の開口の幾何学的配置を維持するまたは変更するなど、配向および/または幾何学的配置を維持するか変更するかもしれない。」(段落【0122】)「いくつかの実施例では、種々の組成物は、ELR材料の適切な表面上に付けられた、または形成された、1つまたはそれ以上の変更する材料を 含む。図1-Zは、ELR材料110(本明細書では変更されていないELR材料110と呼ぶ)とELR材料110の表面に付けられた変更する材料120を有する、変更されたELR材料の組成物100(本明細書では変更されたELR材料100と呼ぶ)を示している。」(段落【0126】)「いくつかの実施例では、変更する材料120は、例えば、クロム、銅、 ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、またはベリリウムなどの金属、または金属などの金属酸化物であってもよい。いくつかの実施例では、変更する材料120は、ELR材料110内に歪みを与えることができる、高い酸素親和性のある材料、"ゲッター"材料、ELR材料110の格子定数と異なる1つまたはそれ以上の格子定数を有する材料(別 のELR材料を含む)であるかもしれない。例えば、いくつかの実施例で は、変更する材料120は、ELR材料110内に歪みを引き起こすために、容易に酸素 れ以上の格子定数を有する材料(別 のELR材料を含む)であるかもしれない。例えば、いくつかの実施例で は、変更する材料120は、ELR材料110内に歪みを引き起こすために、容易に酸素と結合する、酸素を引きつける、または、酸素を捕まえる材料、または、酸素含有量および/またはELR材料内の酸素分布を変更する強い酸素親和性を有するかもしれない。いくつかの実施例では、変更する材料120は、ELR材110内に歪みを引き起こすために、ELR 材料110の格子定数と一致しない1つまたはそれ以上の格子定数を有するかもしれない。」(段落【0129】)「説明したように、組成物400は、同じELR材料の(例えば、REBCO)の異なる形態または変異体の複数の層を含み、これらの同じELR材料の異なる形態はELR材料の1つまたはそれ以上に歪みを引き起 こすかもしれない。例えば、層間の酸素含有量を変える(例えば、YBCO中のOsとO7との間の酸素化学量論/分率を変化させる)と、層内のELR材料の結晶構造の結合を歪ませる、層間の格子不整合を引き起こすかもしれない。また、例えば、層間のELR材料の結晶配向を変える(例えば、ELR材料の一つの層はa軸配向を有し、別の層は、b軸配向性を 有する)と、層間の格子不整合を引き起こし、それにより同じような歪みを引き起こすかもしれない。」(段落【0137】)「別のELR材料またはELR材料の異なる形態の層で形成されている組成物300、400、500を生成すると、本発明の様々な実施例を、種々のREBCO材料の間の格子不整合(例えば、YBCOとNBCO)、 または、類似の格子定数(例えば、BSCCOなど)を有する他の材料に利用して、ELR材料の層の種々の層に応力をかける/歪ませることを可能 材料の間の格子不整合(例えば、YBCOとNBCO)、 または、類似の格子定数(例えば、BSCCOなど)を有する他の材料に利用して、ELR材料の層の種々の層に応力をかける/歪ませることを可能にする。いくつかの実施例では、追加された歪みは、ELR材料の結晶構造中の開口の周りのフォノン周波数、および/または、分布及び/又は、振幅を変更し、ELR材料の抵抗の低下を可能にし、より高い温度におい てELR状態で動作するなどの改良された動作特性およびその他の利点 を可能にするが、これらに限定されるものではない。」(段落【0140】)カジョセフソン接合に関連する記載「図46A-A~図46H-Aは、本発明の1つまたはそれ以上の実施例に係る様々なジョセフソン接合4600を示す(図46A-Aではジョセフソン接合4600Aとして、図46B-Aではジョセフソン接合46 00Bとして、図46C-Aではジョセフソン接合4600Cとして、図46D-Aではジョセフソン接合4600Dとして、図46E-Aではジョセフソン接合4600Eとして、図46F-Aでジョセフソン接合4600Fとして、図46G-Aではジョセフソン接合4600Gとして、図46H-Aではジョセフソン接合4600Hとして記載される)。図46 A-Aは、バリア4610によって分離された二つのELR導体4620を含むジョセフソン接合4600Aを示す。本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620は、本発明の様々な実施例係る、改善された動作特性で動作するELR材料を含む。例えば、本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620は、改善された動作特性を持つ変更されたE LR材料1060を含み、本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620は、改善された動作特性 本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620は、改善された動作特性を持つ変更されたE LR材料1060を含み、本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620は、改善された動作特性を持つ新しいELR材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620は、本発明の様々な実施例に係るナノワイヤセグメント4110を備える。」(段落【0220】)「本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体46 20の間に配置され、ELR導体4620に電気的に結合されている絶縁材料を含む。これらの実施例では、バリア4610は、非常に薄く、通常は30オングストローム以下であることが理解される。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体4620との間に配置された導電性金属などの導電性材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、 バリア4610は、ELR導体4620との間に配置された強磁性金属な どの導電性材料を含む。これらの実施例では、バリア4610は、絶縁材料よりも厚くてよく、通常は、数ミクロンの厚さを有することが理解される。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体4620との間に配置された、導電性金属などの半導電性材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体4620の材料 と異なるELR材料などの、他の材料(すなわち、異なる化学組成、異なる結晶構造、異なる結晶構造の配向、異なる位相、異なる粒界、異なる臨界電流、異なる臨界温度を有するなどの意味で異なる)を含むが、これらに限定されるものではない。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体4620の材料と同じELR材料を含むが、1つまた はそれ以上の機械的な態様が異な 異なる)を含むが、これらに限定されるものではない。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体4620の材料と同じELR材料を含むが、1つまた はそれ以上の機械的な態様が異なっている(すなわち、ELR導体4620の厚さと異なるELR材料の厚さ、ELR導体4620の幅と異なるELR導体4620の幅、または他の機械的な相違)。いくつかの実施例では、バリア4610は、ELR導体4620との間に形成された、部分的なまたは完全な空隙を含む。これらの実施例では、バリア4610は、空気ま たは他の気体で満たされた空隙を含むことができる。ELR導体4620が変更されたELR材料1020を含む本発明のいくつかの実施例では、バリア4610は、変更されていないELR材料360を含んでもよい。」(段落【0221】)「従来のジョセフソン接合の一般的な種類は、超伝導体-絶縁体-超伝 導体("SIS")、超伝導体-通常導体-超伝導体("SNS")、超伝導体-鉄強磁性金属超伝導体("SFS")、超伝導体-絶縁体-通常導体-絶縁体-超伝導体("SINIS")、超伝導体-絶縁体-通常導体-超伝導体("SINS")、超電導体-コンストリクション-超伝導体("SCS")などを含む。図46I-Aは、トンネル接合(SIS)、点接触、Daydem ブリッ ジ(SCS)、サンドイッチ接合、種々の厚さのブリッジ、およびイオン注 入ブリッジ(左から右、上から下)を含むジョセフソン接合のさまざまな例を示すが、これらに限定されるものではない。図46J-Aは、ステップエッジSNS接合、ステップエッジ粒界接合、ランプエッジ接合部、両結晶粒界接合(左から右、上から下)を含むジョセフソン接合の他の例を示すが、これらに限定されるものではない。本発明 J-Aは、ステップエッジSNS接合、ステップエッジ粒界接合、ランプエッジ接合部、両結晶粒界接合(左から右、上から下)を含むジョセフソン接合の他の例を示すが、これらに限定されるものではない。本発明の様々な実施例によれ ば、上記の種類のジョセフソン接合のいずれかは、従来のジョセフソン接合の超伝導材料の代わりに、上述のような改良されたELR材料を用いて構成することができる。」(段落【0222】)「一般的に言えば、ジョセフソン接合4600は、いわゆるジョセフソン効果を示す。ここでは、ELR状態でELR導体4620を通って流れ る電流もまた、非常に低い抵抗状態でELR導体4620の間の接合部を横切って流れることができる。ジョセフソン接合は、例えば、バリア4610を備えてもよい。バリア4610に流れる電流は、ジョセフソン電流と呼ばれる。臨界電流に達するまで、ジョセフソン電流は、非常に低い抵抗でバリア4610を通って流れることができる。しかし、バリア461 0の臨界電流を超えると、電圧がバリア4610を横切って現れ、次に、この電圧は、さらに臨界電流を低減し、それによって、バリア4610を横切る大きな電圧を生成する。ジョセフソン効果は、理解されるように、様々な回路におけるジョセフソン接合4600で利用されてもよい。」(段落【0223】) 「図46C-Aおよび図46D-Aは、いわゆる"ワイヤ構成"のジョセフソン接合4600を示す。図46C-Aは、本発明の様々な実施例に係る改善された動作特性を示す変更されたELR材料を含むELR導体4620を含むジョセフソン接合4600Cを示す。図46C-Aに示すように、本発明のいくつかの実施例では、ジョセフソン接合4600Cの各 ELR導体4620は、ELR材料3110上に積層さ 体4620を含むジョセフソン接合4600Cを示す。図46C-Aに示すように、本発明のいくつかの実施例では、ジョセフソン接合4600Cの各 ELR導体4620は、ELR材料3110上に積層された変更する材料 2720を含む変更されたELR材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、変更されたELR材は、基板2420上に積層されてもよい(すなわち、ELR材料は、基板2420上に積層される)。ELR導体4620は、理解されるように、変更されたELR材料の他の形態を含んでもよい。 図示のように、バリア4610は、ELR導体4620の間に配置され電 気的にELR導体4620と結合されている。」(段落【0226】)⑶ 本願各発明の技術的意義上記⑴のとおりの特許請求の範囲の記載のほか、上記⑵の記載内容によれば、本願各発明の技術的意義は、次のとおりであると認められる。 ア本願各発明は、非常に低い抵抗(ELR)材料で形成された一つ又は複 数のコンポーネントを含むジョセフソン接合又はジョセフソン接合を含む回路の発明である。(段落【0005】)イ従来の超電導エレメントを使用して動作するデバイスにおいては、電流を最小抵抗又はゼロ抵抗で輸送する能力を有する様々な成分の高温超電導(HTS)材料が利用されてきたが、HTS材料は非常に低い動作温度 (例えば120K未満の温度)を必要とし、通常は、液体窒素ベースの冷却システム等の高価なシステムを使用して上記のような動作温度までコンポーネントを冷却する必要があるため、実施コストが増大するなどの問題があった。(段落【0003】)ウ本願各発明は、「第1導体」及び「第2導体」を、従来のHTS材料に関 連付けられる転移温度よりも高い温度において非常に低い抵抗を提供する「ELR どの問題があった。(段落【0003】)ウ本願各発明は、「第1導体」及び「第2導体」を、従来のHTS材料に関 連付けられる転移温度よりも高い温度において非常に低い抵抗を提供する「ELR材料」の第1層と、第1層上に結合されたクロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、ベリリウム、ガリウム及びセレンを含む群から選択される「変更する材料」の第2層とからなる構成(本願層構造)とし、これらの間に「バリア材料」を配置して、「ジョセ フソン接合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成することにより、 上記の課題を解決しようとするものである。 (段落【0005】、【0011】及び【0013】ないし【0015】) 2 取消事由1(実施可能要件の適合性に関する判断の誤り)について⑴ 判断基準特許法36条4項1号に規定する実施可能要件については、明細書の発明 の詳細な説明が、当業者において、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討すべきである。 ⑵ 本件原出願日当時の技術常識証拠(乙1、2)及び弁論の全趣旨によれば、次の各事項は、本件原出願 日当時の技術常識であったと認められる。 アある種の物質をある温度(臨界温度)以下に冷やしたときに、抵抗値がゼロとなることを「超伝導」又は「超電導」という。 イ二つの超伝導体を弱く結合したときに、電子対がトンネル効果によってその結合部を通過する現象を「ジョセフソン効果」といい、ジョセフソン 効果が生じるように二つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合することを「ジョセフソン接合」という。 ⑶ 検討ア前記1⑶ する現象を「ジョセフソン効果」といい、ジョセフソン 効果が生じるように二つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合することを「ジョセフソン接合」という。 ⑶ 検討ア前記1⑶のとおり、本願各発明は、本願層構造をとる「第1導体」及び「第2導体」の間に「バリア材料」を配置して「ジョセフソン接合」又は 「ジョセフソン接合を含む回路」を構成する発明であるから、上記⑵の技術常識を踏まえると、本願各発明においては、①「第1導体」及び「第2導体」がいずれも超伝導状態、すなわち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ、②「バリア材料」にジョセフソン効果による電流が流れていることとなる。 そうすると、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たすというために は、本願明細書等に上記①及び②の各事項が記載されている必要があると いうべきである。 イそこで、本願明細書等に上記①の事項が記載されているか否かについて検討するに、本願明細書等には、本願各発明の実施例として、本願層構造における「ELR材料」としてYBCOを、「変更する材料」としてクロム、バナジウム、ビスマス、銅、コバルト又はチタンを用いて本願層構造とし た導体が記載されており、これらの導体につき、様々な温度における抵抗値を測定した試験結果が記載されている(段落【0051】ないし【0068】、図14Aないし21B)。そして、これらの試験結果について、「変更する材料」の様々な部分が「ELR材料」より高い温度において「ELR状態」(本願明細書等において、「ELR状態」とは、ELR材料が非常 に低い温度で動作する状態をいい、超伝導状態を含むものとされている(段落【0013】及び【0015】)。)で動作することが示されている旨が記載されている(段落【0052】 、ELR材料が非常 に低い温度で動作する状態をいい、超伝導状態を含むものとされている(段落【0013】及び【0015】)。)で動作することが示されている旨が記載されている(段落【0052】、【0059】及び【0063】ないし【0068】)。 しかしながら、図14Aないし21Bは、いずれも上記の各試験結果を 抵抗-温度曲線で示したグラフであるところ、抵抗値の下限がゼロとされておらず、各実施例における導体の抵抗値がゼロとなったことを読み取ることはできない。そうすると、これらの記載において、上記の各実施例における導体の抵抗値がゼロであること、すなわち本願各発明の「第1導体」及び「第2導体」が超伝導状態にあることが示されているものとはいえな い。そして、このほか、本願明細書等において、本願各発明の「第1導体」及び「第2導体」が超伝導状態にあることを示す試験結果等は記載されていない。 以上によれば、本願明細書等に上記①の事項が記載されているものとはいえない。 ウまた、本願明細書等に上記②の事項が記載されているか否かについて検 討するに、本願明細書等には、本願各発明における「ジョセフソン接合」の構造に関する記載(段落【0220】ないし【0222】及び【0226】)があるほか、本願各発明のバリア材料に「ジョセフソン電流」が流れる旨が記載されている(段落【0223】)。 しかしながら、本願明細書等には、本願各発明の「第1導体」及び「第 2導体」の間に配置された「バリア材料」にジョセフソン電流が流れることを示す試験結果等は記載されていない。かえって、上記イで検討したとおり、本願明細書等には、「第1導体」及び「第2導体」が超伝導状態にあることが記載されているものとはいえないことからすれば、上記の段落 示す試験結果等は記載されていない。かえって、上記イで検討したとおり、本願明細書等には、「第1導体」及び「第2導体」が超伝導状態にあることが記載されているものとはいえないことからすれば、上記の段落【0223】には、超伝導状態にはない導体の間に配置されたバリア材料 にジョセフソン効果が発現するという、前記⑵の技術常識に反する現象が生じる旨が記載されていることとなる。そうすると、本願明細書等において、このような現象が生じ得ることを裏付ける試験結果等が記載されていなければ、当業者は、本願各発明を実施することができると認識するものではないというべきであるところ、本願明細書等にはそのような記載は存 しない。 以上によれば、本願明細書等に上記②の事項が記載されているものとはいえない。 エ以上のとおり、本願明細書等には、上記①及び②の各事項が記載されているものとはいえないから、本願明細書等の記載が、当業者において、そ の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本願各発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものとはいえない。 したがって、本願明細書等の記載は、実施可能要件を満たすものとは認められない。 ⑷ 原告の主張に対する判断 ア前記第3の1〔原告の主張〕⑴の主張について(ア) 原告は、本願各発明が本願層構造によりHTS材料の超伝導転移温度より高い温度で超伝導状態となることは、本願明細書等の段落【0315】の記載から明らかであり、また、本願明細書等の段落【0052】及び図15ないし20に記載されているとおり、本願各発明については 多様な温度設定が試みられており、ゼロ設定の試みがないからといって、本願発明1の成立が否定される理由はない旨主張する 0052】及び図15ないし20に記載されているとおり、本願各発明については 多様な温度設定が試みられており、ゼロ設定の試みがないからといって、本願発明1の成立が否定される理由はない旨主張する。 しかしながら、本願明細書等の段落【0315】の記載は、MRI装置及びその磁石に関する記載である上、本願明細書等におけるMRI装置に関する他の記載(段落【0287】ないし【0368】)をみても、 本願各発明が本願層構造によりHTS材料の超伝導転移温度より高い温度で超伝導状態となることを示す記載は見当たらない。 また、原告の上記主張における「ゼロ設定」とは、抵抗値がゼロとなるような温度設定をいうものと解されるところ、前記⑶で検討したとおり、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たすというためには、本願 明細書等に「第1導体」及び「第2導体」がいずれも超伝導状態、すなわち抵抗値がゼロの状態にあることが記載されている必要があるというべきであるところ、段落【0052】及び図15ないし20においてかかる記載がされているものとはいえないことからすれば、各実施例において様々な温度設定が試みられているからといって、前記の判断が左右 されるものではない。 (イ) したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ前記第3の1〔原告の主張〕⑵の主張について(ア) 原告は、本願明細書等の段落【0051】ないし【0069】及び図14Aないし21Bには、本願各発明の「第1導体」及び「第2導体」に おいて、変更されたELR材料が、温度上昇時に開口を維持し、ELR 材料に比べてより高い温度においてELR状態で動作することを示す試験結果が記載されている旨主張する。 そこで検討するに、前記⑶イのとおり、本願明細書 温度上昇時に開口を維持し、ELR 材料に比べてより高い温度においてELR状態で動作することを示す試験結果が記載されている旨主張する。 そこで検討するに、前記⑶イのとおり、本願明細書等において、「ELR状態」とは、ELR材料が非常に低い温度で動作する状態をいい、超電導状態を含むものとされており(段落【0013】及び【0015】)、 また、本願明細書等の段落【0014】には、「非常に低い抵抗」に関し、一般に0Ω-cmから293Kでの実質的に純粋な銅の抵抗率の50分の1の範囲の抵抗率で表現することができ、本願各発明の各実施例におけるELR材料の部分は0Ω・cmから3.36x10-8Ω-cmの範囲の抵抗率を有する旨が記載されている。そうすると、「ELR状態」と は、ELR材料が上記の範囲内の抵抗率において動作することを意味するものといえる。 しかしながら、本願各発明の各実施例に係る試験結果が記載されている段落【0051】ないし【0068】及び各試験結果をグラフで表した図14Aないし21Bには、いずれも導体の抵抗値が記載されている にすぎず、抵抗率は記載されていないことからすれば、各実施例における導体が段落【0014】に記載されているような範囲の抵抗率であることを示す試験結果は記載されていないというべきである。そうすると、原告が指摘する記載部分に、本願各発明の「第1導体」及び「第2導体」において、変更されたELR材料が、温度上昇時に開口を維持し、EL R材料に比べてより高い温度においてELR状態で動作することを示す試験結果が記載されているとはいえない。 (イ) したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ウ前記第3の1〔原告の主張〕⑶の主張について(ア) 原告は、本願明細書 ることを示す試験結果が記載されているとはいえない。 (イ) したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ウ前記第3の1〔原告の主張〕⑶の主張について(ア) 原告は、本願明細書等の段落【0222】及び【0223】の記載のほ か、段落【0014】の記載によれば、本願明細書等には、本願各発明 が従来のジョセフソン効果の原則を超越する存在であることが示唆されており、その他の段落において発明の構成例や各実施例も開示されているから、当業者は、電子対の生成過程や巨視的波動関数の位相特定の情報が不明であっても、本願明細書等の記載を参照して、本願各発明を容易に実施することができる旨主張する。 そこで検討するに、上記イで検討したとおりの本願明細書等の段落【0014】の記載からすれば、本願各発明においては、「第1導体」及び「第2導体」の抵抗値がゼロではない場合であっても、上記のような範囲の抵抗率であれば、ジョセフソン効果を得ることができる旨が記載されているとみることもできる。 しかしながら、前記⑵のとおり、ジョセフソン接合が超伝導体である二つの導体を用いた接合であることは、本件原出願日当時の技術常識であったと認められることからすれば、導体の抵抗値がゼロではない場合であっても、上記のような範囲の抵抗率であればジョセフソン効果が得られるというのは、技術常識に反する現象である。そうすると、本願明 細書等において、このような現象が生じ得ることを裏付ける試験結果等が記載されていなければ、当業者は、本願各発明を実施することができると認識するものではないというべきである。そして、上記イで検討したとおり、本願明細書等の段落【0051】ないし【0068】及び図14Aないし21Bには、いずれも各実施例にお 明を実施することができると認識するものではないというべきである。そして、上記イで検討したとおり、本願明細書等の段落【0051】ないし【0068】及び図14Aないし21Bには、いずれも各実施例における導体が段落【00 14】に記載されているような範囲の抵抗率であることを示す試験結果は記載されていないというべきである。そして、このほか、本願明細書等において、導体の抵抗値がゼロではない場合であっても、上記のような範囲の抵抗率であればジョセフソン効果が得られることを裏付ける試験結果等は記載されていない。 以上によれば、本願明細書等において、本願各発明が従来のジョセフ ソン効果の原則を超越する存在であることが示唆されているとはいえないし、当業者が、本願明細書等の記載を参照して、本願各発明を容易に実施することができるともいえない。 (イ) したがって、原告の上記主張は採用することができない。 エ前記第3の1〔原告の主張〕⑷の主張について (ア) 原告は、本願明細書等の図7、15ないし21から明らかなとおり、本願各発明は、従来の技術常識としてのジョセフソン接合ではなく、抵抗値をゼロにしなくとも、極めて低い抵抗値の範囲内でジョセフソン接合を実現することを目的とする発明であるから、本願明細書等に抵抗値がゼロの場合の記載がないことは当然の帰結であり、当業者は、本願各発 明につき、電流が非常に低い抵抗状態で流れる条件でジョセフソン接合を実現したものとして捉えることにより、本願各発明を実施することが可能である旨主張する。 しかしながら、上記ウで検討したところに照らせば、本願明細書等において、本願各発明が、従来の技術常識としてのジョセフソン接合では なく、抵抗値をゼロにしなくとも、極めて低い抵抗値の 張する。 しかしながら、上記ウで検討したところに照らせば、本願明細書等において、本願各発明が、従来の技術常識としてのジョセフソン接合では なく、抵抗値をゼロにしなくとも、極めて低い抵抗値の範囲内でジョセフソン接合を実現することは、何ら試験結果等により裏付けられていないというべきである。そうすると、当業者が、本願各発明につき、電流が非常に低い抵抗状態で流れる条件でジョセフソン接合を実現したものとして捉えることにより、本願各発明を実施することが可能であると認 識するものではないというべきである。 (イ) したがって、原告の上記主張は採用することができない。 オその他原告は、このほか、実施可能要件の適合性に関して縷々主張するが、いずれも採用することはできない。 3 小括 以上によれば、本願明細書等の記載は、当業者が本願各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものとは認められない。 したがって、その余の点について判断するまでもなく、本願は拒絶すべきであるとした本件審決の判断に誤りはない。 4 結論よって、原告の請求は、理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官東海林保 裁判官中平健 裁判官都野道紀 中平健 裁判官都野道紀 (別紙審決書写し省略) (別紙) 本願明細書等図面目録 【図2】 【図10】 【図11】 【図14A】 【図14B】 【図14C】 【図14D】 【図14E】 【図14F】 【図14G】 【図15】 【図16】 【図17】【図18】 【図19】 【図20】 【図21A】 【図21B】 【図46A-A】【図46B-A】 【図46C-A】【図46D-A】 【図46E-A】【図46F-A】 【図46G-A】【図46H-A】 【図46I-A】
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