平成14(わ)1563 各業務上過失致死傷被告事件

裁判年月日・裁判所
平成16年12月17日 神戸地方裁判所
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判決文本文114,448 文字)

主文 被告人5名をそれぞれ禁錮2年6月に処する。 被告人A1,被告人A2及び被告人A3に対し,この裁判確定の日から5年間それぞれその刑の執行を猶予する。 訴訟費用は,その5分の1ずつを各被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)1(1) 被告人A1,被告人A2及び被告人A3は,いずれもZ市職員であり,被告人A1は,商工業,観光等に関する所管事務の基本計画及び執行方針を策定するとともにそれらの執行を統括する権限を有する市民経済部長として,また,平成13年7月21日,兵庫県Z市αa丁目及びb丁目所在のβ海岸公園において,Z市が実質的に主催して開催した第32回Z市民夏まつり(以下「本件夏まつり」という。)の開催本部統括副責任者として,本件夏まつりの開催業務全般を統括し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたもの,被告人A2は,同部経済産業担当次長として,また,本件夏まつりの実施運営本部実施責任者として,被告人A1を補佐し,本件夏まつりの開催業務全般を掌理し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたもの,被告人A3は,同部商工観光課長兼Z観光協会事務局長として,また,本件夏まつりの実施運営本部実施副責任者として,被告人A1及び被告人A2を補佐し,本件夏まつりの企画及び警備計画の策定等の事務を掌理し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたものである。 (2) 被告人Bは,警備業を営む株式会社D(以下「D社」という。)の大阪支社長であり,D社と本件夏まつりの実質的主催者であるZ市との契約に基づき,本件夏まつりの会場警備に従事した警備員の統括責任者として, 被告人Bは,警備業を営む株式会社D(以下「D社」という。)の大阪支社長であり,D社と本件夏まつりの実質的主催者であるZ市との契約に基づき,本件夏まつりの会場警備に従事した警備員の統括責任者として,被告人A1らとともに参集者の安全を確保する警備体制を構築して実施すべき業務に従事していたものである。 (3) 被告人Cは,兵庫県Z警察署地域官として,本件夏まつりの雑踏警備計画の企画・立案を掌理し,また,本件夏まつりの現地警備本部指揮官として,雑踏警戒班指揮官ら配下警察官を指揮して,参集者の安全を確保すべき業務に従事していたものである。 2 本件夏まつりに関しては,本件夏まつり当日(平成13年7月21日のことをいう。以下同じ。)に至るまでに雑踏事故発生の原因となり得る以下のような諸事情があった。 (1) 本件夏まつりは,従来からの会場を変更して,β海岸公園において初めて行われたものであって,同会場での雑踏警備の実績はなかった。 (2) 本件夏まつりには10万人を超える参集者を見込んでいたが,その行事の性質上,幼児を含む年少者や高齢者なども多数参集してくることが予想された。 (3) 本件夏まつりの会場となったβ海岸公園は,γ株式会社ε駅(以下「γε駅」という。)の南方に位置し,同駅とは,兵庫県Z市αa丁目c番先に所在する通称ε歩道橋(以下「本件歩道橋」ないし単に「歩道橋」という。)によって接続されており,γε駅を利用して集まってきた参集者を始め,多くの参集者が本件歩道橋を通ってβ海岸公園に参集することが予想された。 (4) 本件歩道橋は,全長約103.65メートル,歩行有効幅員約6メートルであって,歩道橋南側は展望に適したテラス兼エレベーターホール(合計約69.9平方メートル)(以下,この部分を「展望デッキ」という。)となっており 全長約103.65メートル,歩行有効幅員約6メートルであって,歩道橋南側は展望に適したテラス兼エレベーターホール(合計約69.9平方メートル)(以下,この部分を「展望デッキ」という。)となっており,歩道橋南端部には,約80度に西向きに折れた幅約3.2メートル,長さ約18メートル,48段の階段(途中2か所に踊り場がある。)があり,これによって約7.2メートル下のβ海岸公園を東西に走る市道β町48号線の南側歩道に接しているが,本件歩道橋のこのような構造や,本件歩道橋南端部や南側階段はβ海岸東側の堤防から打ち上げられる花火の絶好の観覧場所となることから,その南端部付近や南側階段において参集者が滞留し,大混雑を生じることが容易に予想された。 (5) 本件夏まつりにおいては,180余の夜店が本件歩道橋南側階段下の市道β町48号線の南北歩道上に出店することとなっていたことから,夜店周辺に参集者が密集して人の流れが滞り,また,歩道橋南側階段南西側の芝生広場(海峡広場)は花火を観覧するのに絶好の場所であることから,そこに参集者が集まって場所取りなどをすることにより,歩道橋南側階段からの参集者の流出が妨げられ,それらによっても,歩道橋南端部付近や南側階段において参集者が滞留することなどが予想された。 (6) 本件夏まつりの花火大会は,平成13年7月21日午後7時45分に開始され,午後8時30分に終了することが予定されていたため,花火大会の開始時刻に合わせてγε駅側から多数の参集者が本件歩道橋を通ってβ海岸公園に集まってくること,また,花火大会終了前後からは,いち早く帰路に着こうとする参集者がγε駅方面に向かうために本件歩道橋に殺到すること,それによって,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることなどが は,いち早く帰路に着こうとする参集者がγε駅方面に向かうために本件歩道橋に殺到すること,それによって,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることなどが予想された。 (7) β海岸公園においては,平成12年12月31日から翌平成13年1月1日にかけて,いわゆるカウントダウン花火大会が行われたが,その際,午前零時のカウントダウン花火大会に向けて参集者が本件歩道橋に殺到して相当の混雑状態となり,警備員,警察などの協力によって,歩道橋北側出入口と歩道橋南側階段下に規制線を張るなどして,本件歩道橋に殺到する参集者の流入を規制,整理することにより,雑踏事故の発生を未然に防ぐことができたものの,雑踏事故の発生が危惧されるような状態が生じていた。 (8) 本件夏まつりに向けて,Z市,D社及びZ警察署において,雑踏警備計画策定に向けた検討が重ねられてきたが,そこでは,本件歩道橋における参集者の滞留による混雑防止のための有効な方策はとられず,また,本件歩道橋の混雑状況をどのようにして監視するのか,そして,混雑してきた場合にどのような規制方法をとるのか,どのような事態になった場合に,警察による規制を要請するのか,その場合の主催者側とZ警察署との間の連携体制をどのようにするのかなどといった詳細について,具体的な計画は策定されていなかった。 3(1) 被告人A1は,本件夏まつり当日に至る前に,少なくとも前記2の(1)ないし(6)記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,適切な雑踏警備計画が立てられているかどうかを確認した上, 夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,適切な雑踏警備計画が立てられているかどうかを確認した上,本件夏まつり当日,雑踏警備が順調に行われているかどうかを把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべきであった。 (2) 被告人A2は,本件夏まつり当日に至る前に,少なくとも前記2の(1)ないし(6)記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,適切な雑踏警備計画が立てられているかどうかを確認した上,本件夏まつり当日,雑踏警備が順調に行われているかどうかを把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,被告人A1を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべきであった。 (3) 被告人A3は,本件夏まつり当日に至る前に,前記2の(1)ないし(8)記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合 して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,被告人A1及び被告人A2を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべきであった。 (4) 被告人Bは,本件夏まつり当日に至る前に,前記2の(1)ないし(8)記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,自ら又は配下警備員をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべきであった。 (5) 被告人Cは,本件夏まつり当日に至る前に,前記2の(1)ないし(8)記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見し,それを未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,自ら又は配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべきであった。 4 そして,本件夏まつり当日には,事前に予想されたとおり,午後6時ころから,γε駅 ,自ら又は配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべきであった。 4 そして,本件夏まつり当日には,事前に予想されたとおり,午後6時ころから,γε駅側から多数の参集者が本件歩道橋に流入し始め,午後7時ころには,歩道橋に参集者が滞留し始め,次第に歩道橋の通行が困難な状況になりつつあった上,花火大会開始に向けて,ますます多くの参集者が歩道橋に流入して滞留し,混雑が進行する状況になっていた。 5 本件夏まつり当日のこのような状況の下において(1) 被告人A1は,前記のとおり,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもとより,午後6時40分ころには,本件歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険がより具体化しつつあることを予見し,同監視をさらに厳重にして的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,部下職員ないし被告人Bに指示して,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,あるいは,午後8時すぎころまでに,自ら又は部下職員ないし被告人Bらを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,雑踏事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があった。 (2) 被告人A2は,前記のとおり,被告人A1を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもと った。 (2) 被告人A2は,前記のとおり,被告人A1を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもとより,午後7時ころには,本件歩道橋に多数の参集者が参集し徐々に滞留しつつあることを認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険がより具体化しつつあることを予見し,同監視をさらに厳重にして的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,被告人A1を補佐し,部下職員ないし被告人Bに指示して,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,また,午後8時すぎころには,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘された部下職員から相談を受けたことにより,歩道橋内が何らかの規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,前記のとおり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険が現実化しつつあることを予見し,被告人A1を補佐し,直ちに,自ら又は部下職員ないし被告人Bらを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,雑踏事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があった。 (3) 被告人A3は,前記のとおり,被告人A1及び被告人A2を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもとより,午後6時50分ないし午後7時ころには,本件歩道橋南端部展望デ ,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもとより,午後6時50分ないし午後7時ころには,本件歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険がより具体化しつつあることを予見し,同監視をさらに厳重にして的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,被告人A1及び被告人A2を補佐し,部下職員ないし被告人Bに指示して,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,また,午後8時すぎころには,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘された部下職員から相談を受けたことにより,歩道橋内が何らかの規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,前記のとおり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険が現実化しつつあることを予見し,被告人A1及び被告人A2を補佐し,直ちに,自ら又は被告人Bらを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,雑踏事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があった。 (4) 被告人Bは,前記のとおり,自ら又は配下警備員をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもとより,午後7時ころまでには,本件歩道橋に多数の参集者が参集し滞留しつつあることを認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩 の実施状況を常時監視することはもとより,午後7時ころまでには,本件歩道橋に多数の参集者が参集し滞留しつつあることを認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険がより具体化しつつあることを予見し,同監視をさらに厳重にして的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,自ら又は配下警備員らをして,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,また,午後7時55分ころには,配下警備員から警察官による規制の要請を受け,更には,午後8時すぎころには,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたZ市職員から相談を受けたことにより,歩道橋内が警察官による規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,前記のとおり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険が現実化しつつあることを予見し,直ちに,被告人A1らに警察官の出動要請を進言し,あるいは自ら警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,雑踏事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があった。 (5) 被告人Cは,前記のとおり,自ら又は配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することはもとより,午後6時45分ころまでには,本件歩道橋に多数の参集者が参集し滞留しつつあることを認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくな 多数の参集者が参集し滞留しつつあることを認め,その後もますます多くの参集者が集まり,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険がより具体化しつつあることを予見し,同監視をさらに厳重にして的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,配下警察官らを動員して,参集者の分断や迂回路への誘導等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,また,午後7時26分ころには,歩道橋内が通行困難な状況になっていることを認識し,更には,午後8時ころまでには,被告人Bからの相談や配下警察官からの報告を受けたことにより,歩道橋内が警察官による規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,前記のとおり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故発生の危険が現実化しつつあることを予見し,直ちに,配下警察官を指揮するとともに,近畿管区機動隊等の出動をZ警察署長らを介しあるいは直接要請して動員指揮することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,雑踏事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があった。 6 それにもかかわらず,被告人らは,いずれも前記各業務上の注意義務を怠り,雑踏事故が発生することはないものと軽信し,雑踏事故の発生を回避するための前記のような措置をとることなく,漫然放置した過失の競合により,平成13年7月21日午後8時ころから午後8時50分ころまでの間,本件歩道橋において,多数の参集者の過密な滞留あるいはβ海岸公園へ向かう参集者と同公園からγε駅方面へ向かう参集者とのもみ合いによる強度の群集圧力を生ぜしめ,同日午後8時40分ないし50分こ の間,本件歩道橋において,多数の参集者の過密な滞留あるいはβ海岸公園へ向かう参集者と同公園からγε駅方面へ向かう参集者とのもみ合いによる強度の群集圧力を生ぜしめ,同日午後8時40分ないし50分ころ,多数の参集者を折り重なって転倒させるなどし,よって,そのころ,本件歩道橋において,別紙1記載のとおり,E1(当時21歳)ほか182名に加療約1日間ないし加療約251日間を要する頚椎捻挫,胸部圧挫傷等の傷害をそれぞれ負わせるとともに,別紙2記載のとおり,そのころから同月28日午後6時36分ころまでの間,本件歩道橋南端部付近ほか1か所において,E2(当時7歳)ほか10名を全身圧迫による呼吸窮迫症候群(圧死)等によりそれぞれ死亡するに至らしめたものである。 (証拠の標目)省略(事実認定の補足説明)第1 事案の概要本件は,平成13年7月20日及び同月21日の2日間にわたって開催された第32回Z市民夏まつり(本件夏まつり)の2日目に,β海岸公園で実施された花火大会等に参集した多数の観客が,最寄りのγε駅とβ海岸公園とを結ぶ本件歩道橋に集中し,多数人が折り重なって転倒するなどして多数の死傷者が出た事故(以下「本件事故」という。)について,Z市市民経済部長,同部経済産業担当次長,同部商工観光課長,警備員の統括責任者及び兵庫県Z警察署地域官(いずれも当時の役職)であった被告人らが,雑踏警備に過失があったとして,それぞれ業務上過失致死傷罪に問われた事案であり,被告人らは,いずれも自己の業務上過失責任を争っている。 第2 被告人らの地位,職責,本件夏まつりの主催者,自主警備の原則等 1 被告人らの地位,職責等上記の点について,関係各証拠によれば,以下の事実が間違いのないものとして認められる。 (1) 被告人A1,被告人A2 つりの主催者,自主警備の原則等 1 被告人らの地位,職責等上記の点について,関係各証拠によれば,以下の事実が間違いのないものとして認められる。 (1) 被告人A1,被告人A2及び被告人A3(以下,まとめて「市役所関係被告人」ということもある。)についてア被告人A1は,昭和40年,Z市職員となり,以後,総務部企画課企画係長,市長広報広聴課長補佐,教育委員会事務局参事,企画財政部参事,開発部次長兼海岸整備第2課長等を経て,平成11年4月1日,開発部長,平成12年4月1日,市民経済部長となり,本件夏まつり当日に至った。 イ被告人A2は,昭和36年,Z市農業共済組合に就職し,昭和45年4月,同組合がZ市経済部農水産課に吸収合併されたことに伴ってZ市職員となった後,市民生活部,経済部,土木部等を経て,平成12年4月1日,市民経済部経済産業担当次長となり,本件夏まつり当日に至った。 なお,被告人A2は,経済部商工観光課商工観光係に所属していた昭和51年から昭和54年の4年間,夏まつりの開催業務を担当した経験を持っていた。 ウ被告人A3は,昭和49年,Z市職員となり,市民生活部市民課,財政部財政課,教育委員会体育保健課社会体育係長等を経て,平成10年4月,Z海峡大橋完成記念事業推進室主幹等を経て,平成12年4月1日,市民経済部商工観光課長となり,本件夏まつり当日に至った。 エ Z市の事務分掌によれば,市民経済部は,商工業,観光等に関することを所管し,同部内に置かれた商工観光課観光係が,観光事業の企画及び調整に関することや余暇の活用に関すること等を事務分掌し,市民経済部長は,その所管事務の基本計画及び執行方針を策定し,その達成に努め,執行を統括することとされ,同 観光課観光係が,観光事業の企画及び調整に関することや余暇の活用に関すること等を事務分掌し,市民経済部長は,その所管事務の基本計画及び執行方針を策定し,その達成に努め,執行を統括することとされ,同部経済産業担当次長は,部長を補佐し,その命を受け,部内事務及び他部との調整を行うこととされ,同部商工観光課長は,部長が定める基本計画等に基づき,所管事務の実施計画を策定することとされていた。 そして,本件夏まつり当時,同部商工観光課観光係には,観光担当課長F1,係長F2,係員F3,係員F4が所属していた。 なお,前記のとおり,同部商工観光課には,被告人A3のほかに,F1が観光担当課長を務めており,形式的には,被告人A3とF1との事務分掌は分けられていたが,課全体の人事権や予算権は,被告人A3に属しており,被告人A3がF1の上位の課長として,同部商工観光課全体を統括する課長として位置づけられていた。 (2) 被告人Bについて被告人Bは,興信所等に勤めた後,昭和52年,G1を設立して警備業界に入り,昭和59年,警備業者のG2株式会社に吸収されて同社社員となり,同年1月,大阪府公安委員会から警備員指導教育責任者資格を取得し,平成2年,同社を退社し,電気材料販売会社等の勤務を経て,平成8年,G3株式会社に就職したが,平成12年10月,同社を退社し,同年11月,D社大阪支社に入社し,約1か月後,同支社長に就任し,本件夏まつり当日に至った。 なお,D社は,後述のとおり,本件夏まつりについて,Z市との間で統括管理会社として警備を行う旨の契約を締結していた。 (3) 被告人Cについてア被告人Cは,昭和43年,兵庫県巡査となり,H1警察署(以下「警察」は省略することがある。 間で統括管理会社として警備を行う旨の契約を締結していた。 (3) 被告人Cについてア被告人Cは,昭和43年,兵庫県巡査となり,H1警察署(以下「警察」は省略することがある。),H2署,H3署警ら隊小隊長等を経て,平成元年3月,警部に昇任し,H4署警備課長,H5署地域課長を経た後,平成5年3月,H6地域部地域課課長補佐(雑踏教養係担当),平成6年6月,同補佐(指導担当),平成7年11月,H7署次長兼警務課長等を務め,平成13年3月23日,警視に昇任と同時にZ警察署地域官となり,本件夏まつり当日に至った。 イ警察法2条及び警察官職務執行法4条によって,警察の雑踏警備の職責と権限が定められており,また,警備実施要則(昭和38年11月14日国家公安委員会規則第3号)においても,「警備実施は,警備犯罪,災害または雑踏事故が発生し,または発生するおそれがある場合において,部隊の運用を伴う警察活動により,個人の生命,身体及び財産を保護し,ならびに公共の安全と秩序を維持することを目的とする。」(2条)として,警察が雑踏警備をなすべきであることを明示し,「雑踏警備実施においては,実施計画に基づき,交通規制,広報,実力規制その他の所要の措置を講じて,公安を維持する。」(44条)と定めて基本方針を示し,具体的な事前の措置として,「①行事主催者その他の関係者との連絡,②実地調査,③消防機関,輸送機関その他の関係機関との協力,④交通規制,⑤広報」(45条)を定め,さらに,雑踏事故が発生した時の措置を定めている(46条)。 これらを受けて,兵庫県においては,兵庫県警察警備実施要綱(昭和39年10月1日本部訓令第22号)を定め,署長を本部長とする警備本部の設置等の警備体制に関する定めをした上,雑踏警備実施要領 これらを受けて,兵庫県においては,兵庫県警察警備実施要綱(昭和39年10月1日本部訓令第22号)を定め,署長を本部長とする警備本部の設置等の警備体制に関する定めをした上,雑踏警備実施要領について(例規)(昭和61年11月17日兵警ら例規第25号)等により,「祭礼,公営競技,花火大会,興業その他の行事等の開催により特定の場所に多数の人が一時的に集合することに起因する事件事故及び紛争事案(以下「事件事故等」)の発生を防止するための雑踏警備実施においては,①事前に行事等の主催者側と緊密な連携を保ち,行事等の内容,当該場所の地理的条件,人出の予想等を把握して情勢判断を的確に行い,合理的かつ効果的な部隊活動により事件事故等の防止を図ること,②雑踏警備実施は,主催者側の自主警備を原則とし,警察は,主催者側に対する指導,助言を積極的に行うとともに,主催者側で措置できない犯罪の予防検挙,交通規制その他事件事故等防止上の必要な措置をとること」を基本方針として定めていた。 ウそして,警察の雑踏警備に関することは,地域課が所管し(兵庫県警察の組織に関する規則30条5号),地域警察幹部は,署長を補佐し,地域警察に関する企画及び実施に当たるとともに,部下の指揮監督及び指導教養を行わなければならないとされており(地域警察運営規則10条),Z警察署においては,地域警察幹部の中の最上位は地域官とされ,その職務内容は,「地域警察全般の運営及び管理,その他署長が命ずる事項」とされていた(Z警察署地域警察運営細則7条,別表第1)。 2 本件夏まつりの主催者等上記の点について,関係各証拠によれば,以下の事実が間違いのないものとして認められる。 (1) 本件夏まつりの沿革Z市民夏まつりは,昭和22年に「復興Zまつり 催者等上記の点について,関係各証拠によれば,以下の事実が間違いのないものとして認められる。 (1) 本件夏まつりの沿革Z市民夏まつりは,昭和22年に「復興Zまつり」として始まったものが,その後,「Zまつり」,「Z納涼花火大会」,「Z納涼盆踊り大会」と名称を変更しながら受け継がれ,昭和52年の第8回(昭和45年に「Z納涼花火大会」となったときを第1回としている。)から「Z市民夏まつり」という名称となって以降,「Z市民夏まつり」の名称で毎年7月から8月ころに開催されてきた。 (2) 主催者ア Z市民夏まつりは,平成12年までは,Z市,Z観光協会,Z商工会議所,Z市商店街連合会,Z青年会議所,Z青少年連絡協議会,Z市連合女性の会,Z市文化団体連合会,I新聞Z総局の9団体で構成された主催者会を設けて,同主催者会を形式的に主催者とし,夏まつり開催要領に主催者として前記各団体の団体名を連記していたが,実際のところ,主催者会には,組織としての実体はなく,形式的な存在にすぎなかった。 イ本件夏まつりの開催に当たっては,参加団体の数が多く,各団体との間での連絡調整が煩雑であることなどもあり,平成13年4月17日,従来の主催者会を廃止して,主催者を第32回Z市民夏まつり実行委員会とすることとした。 同実行委員会は,従来の主催者会構成団体に,財団法人兵庫県園芸・公園協会,財団法人Z市緑化公園協会,Zコミセン・公民館サークル連絡協議会という3団体を加えたものであったが,同実行委員会についても,これまでと同様に,組織としての実体はなく,また,専従の職員もおらず,結局は,Z市から各団体へ夏まつり開催について協力要請をするための窓口的意味合いと市民参加型まつりであることをアピール ついても,これまでと同様に,組織としての実体はなく,また,専従の職員もおらず,結局は,Z市から各団体へ夏まつり開催について協力要請をするための窓口的意味合いと市民参加型まつりであることをアピールする役割を担うための形式的な集合体にすぎなかった。 ウ Z市民夏まつりは,このように,平成12年度までは主催者会,平成13年度はZ市民夏まつり実行委員会を形式上は主催者としていたが,実際の開催業務については,従来から,Z市市民経済部商工観光課の職員がその実務を担ってきていた。 また,前記のとおり,Z市の事務分掌上も,市民経済部が商工業,観光等に関することを所管し,同部内に置かれた商工観光課観光係が観光事業の企画及び調整に関することや余暇の活用に関すること等を事務分掌し,平成13年度所管事務報告書においても,市民経済部商工観光課の当年度に予定する主要事務事業の一つとして,Z市民夏まつりの開催が明記されており,Z市としても,本件夏まつり開催業務を市の事務事業として位置づけていた。 そして,Z市民夏まつりの開催費用は,従来からZ市の予算に計上されて市民夏まつり運営事業費として支出されており,平成13年度は,2940万円を支出し,その他の開催費用としては,Z市内の企業等から集めた協賛金500万円が開催費用に充てられているだけで,他に開催費用を負担する人も団体も存在しなかった。 エもっとも,Z市は,平成13年6月1日付けで,Z市の外郭団体であるZ観光協会(以下「観光協会」という。)との間で,本件夏まつりの開催業務の委託契約を締結していたが,観光協会の主たる財源にはZ市からの受託事業収入や補助金収入が充てられ,会長には,Z市長が,専決権を有する専務理事には,Z市役所の元幹部職員が歴代就任し,事務局 開催業務の委託契約を締結していたが,観光協会の主たる財源にはZ市からの受託事業収入や補助金収入が充てられ,会長には,Z市長が,専決権を有する専務理事には,Z市役所の元幹部職員が歴代就任し,事務局職員は,Z市市民経済部商工観光課員が慣例によって兼務しており(なお,兼務辞令が発令されることはなかった。),本件当時,観光協会の専務理事は,Z市の元職員であったJが務め,事務局長には被告人A3が,事務局員にはF1,F2,F3及びF4が名を連ねていたが,被告人A3以下の事務局員は,観光協会の事務をする場合にも,ほとんどZ市役所庁舎内で行っていた。 そして,本件当時の専務理事であったJには,Z市役所勤務時代に観光関係の職務の経験がなかったことから,本件夏まつりの決裁についても,事務局から回ってくる書類について,中身を検討したりすることなく,形式的に決裁するだけであり,また,被告人A3らも,Jに相談をすることなどもなかったため,観光協会の決裁ラインは,F3・F4,F2,F1,被告人A3,Jの順となっていたものの,専務理事であるJが本件夏まつりに関する意思決定に関与することはほとんどなかった。 また,前記の開催業務委託契約において,「観光協会は,委託業務の処理に当たっては,市の指示に従わなければならない。」と定められているほか,開催業務委託仕様書には,「詳細については,市職員の指示に従うこと」とされていて,本件夏まつり開催に関しては市職員の指示の下に行わなければならないとされていた。 それでも,本件夏まつりの開催業務を観光協会に委託する形となっていたのは,①市が直接開催業務を遂行すると,個々のまつり関連業者選定について,入札の問題や支払に関し,一々支出命令の決裁を要するなど,機動性に欠け,事務手続 の開催業務を観光協会に委託する形となっていたのは,①市が直接開催業務を遂行すると,個々のまつり関連業者選定について,入札の問題や支払に関し,一々支出命令の決裁を要するなど,機動性に欠け,事務手続が煩さであること,②協賛金を得て開催費用の一部に充てることについて,公的機関である市では,予算との関係等で不都合が生じることを考慮し,市から任意団体である観光協会に開催業務委託費として前記事業費全額を支出した形にして,以後,観光協会の会計とすることで,自由な収支のもとで機動性のある開催業務を遂行できるようにするためなどであった。 オそして,本件夏まつりにおいては,Z市市民経済部商工観光課長であり,観光協会事務局長を兼ねる被告人A3以下の商工観光課観光係職員が事務局となり,主担当をF4,副担当をF2とする体制で本件夏まつりの開催業務の企画・立案を行い,また,Z市内部においては,市民経済部長の被告人A1の名で他部課に対し応援職員の派遣依頼をし,関係各課検討会,従事者説明会,チーフ説明会等を実施して準備した上,被告人A1及び被告人A2以下市職員87人が職務命令により稼働して,本件夏まつり当日,後記運営体制マニュアル上の運営体制役割分担表に基づいて運営に携わった。 カ以上みてきたところからすれば,本件夏まつりについては,前記実行委員会は形式的な主催者にすぎないし,また,本件夏まつりの開催業務は観光協会に委託された形がとられていたものの,実質的にはZ市が主催し,その中でも,市民経済部商工観光課がその実務一切を担当して開催したものということができる(なお,被告人らも,本件夏まつりをZ市が実質的に主催したことについては,特に争っていない。)。 3 主催者による自主警備の原則等(1) 群衆が極度に密集した場合,それを無秩 とができる(なお,被告人らも,本件夏まつりをZ市が実質的に主催したことについては,特に争っていない。)。 3 主催者による自主警備の原則等(1) 群衆が極度に密集した場合,それを無秩序に放置すれば,転倒事故等が起こり,場合によっては,死傷者の出るおそれがあることは,誰しもが理解できることであって,多言を要しない。そして,多数の人が参集するような行事を催す以上,その主催者には,法令上の根拠の有無にかかわらず,参集者の安全を確保すべき義務があることは,それを条理上の義務と呼ぶか,社会通念上認められる義務と呼ぶかは別として,当然に認められるものである。例えその行事が参加無償の公共的行事であっても,その理は異ならない。また,参集者の安全を確保すべき義務は,行事等の行われる会場内に限定されるものではなく,その行事等が影響を及ぼす会場周辺にも及ぶものである。例えば,多数の参集者がそこを通って会場に来ることが予想される経路や,多数の参集者が会場への入場待ちなどのために滞留するような場所については,主催者にはその経路や場所における参集者の安全を確保すべき義務があるといえる。それは,その経路や場所が公道であったとしても同様である。この主催者による安全確保の義務は,主催者の自主的な警備によって第一次的には果たされるべきであり,そのような意味において,主催者による自主警備を原則ということは正当というべきである。 (2) 本件夏まつりは,多数の参集者を予定又は期待して企画した行事であるから,実質的な主催者であるZ市には,会場やその周辺の経路等において,自主警備を行い,参集者の安全を確保すべき義務があったことは,前記のところから明らかである。 また,D社は,本件夏まつりについて,統括管理会社として警備を行う旨の契約を締結して いて,自主警備を行い,参集者の安全を確保すべき義務があったことは,前記のところから明らかである。 また,D社は,本件夏まつりについて,統括管理会社として警備を行う旨の契約を締結していたのであるから,Z市とともに同様に自主警備を行い,参集者の安全を確保すべき義務を負っていたということができる。 (3) そして,自主警備の原則は,警察に警備を行う義務を免れしめるものではなく,警察もまた,主催者側による自主警備と平行して,前記の法令等により,主催者側に対する指導助言を積極的に行うとともに,主催者側で措置できない犯罪の予防検挙,交通規制その他事件事故等防止上の必要な措置をとるなどして,やはり本件夏まつりの参集者の安全を確保すべき義務があったことが明らかである。 第3 本件夏まつりの準備状況とその段階における問題点等 1 当裁判所の基本的スタンス検察官は,本件夏まつりにおいて,主催者,警備会社及び警察ともに,事前の警備計画が十全のものであったとは認め難いものの,本件夏まつり当日の参集者の動向等から事故発生の兆候を看取することができたのであるから,適時に参集者の分断,誘導等の流入規制を講じていれば,本件事故を防止することができたのであり,しかも,このような流入規制は,容易に履行できたのであるから,結局のところ,本件事故発生の直接の原因は,本件夏まつり当日における警備が不適切であったことによるものといわざるを得ないと主張し,そこに本件業務上過失致死傷事件の過失があったとして訴因を構成し,本件夏まつりの準備段階において認められる様々な問題点については,これを過失として訴因に含めていない。 訴因をどのように構成するかは,検察官がその職責によって決すべき事柄であるから,当裁判所としては,それをもとにして本件業務上 る様々な問題点については,これを過失として訴因に含めていない。 訴因をどのように構成するかは,検察官がその職責によって決すべき事柄であるから,当裁判所としては,それをもとにして本件業務上過失致死傷事件の過失の有無を判断すべきことになるが,本件夏まつりにおいては,後述するように,そもそもの会場選定を含め,本件夏まつりの準備段階において認められる様々な問題点が本件事故発生に大きく関わっていることを否定することはできないところ,本件業務上過失致死傷事件における被告人らの過失の有無を判断する上において,これらの点は前提となる事実であり,また,被告人らに業務上過失致死傷罪の成立が認められる場合には,これらの点は被告人らの量刑判断の上で大きな比重を占めるものであるから,まず,本件夏まつりの準備段階において認められる様々な問題点について検討することとする。 2 本件夏まつりの準備状況等上記の点について,関係各証拠によれば,以下の事実が間違いのない事実として認められる。 (1) 本件夏まつり会場の選定等についてア日程,会場等本件夏まつりは,平成13年7月20日と同月21日の2日間にわたって開催され,初日は,Z公園において模擬店と子午線どんとこい踊り等が,2日目は,β海岸公園においてスイカの無料配布,夜店市及び花火大会等の催しが行われた。 イ会場決定経緯等従来のZ市民夏まつりは,Z市役所(Z市ηd丁目所在)周辺で2日続けて開催されてきたが,同所は,市街地であって花火打上げのための保安距離の確保が困難であった上,当日の天候,特に風向きによっては花火の打上げを中止せざるを得なくなるなど,花火大会を実施する場所としては不適当な立地条件となってきていたことに加え 火打上げのための保安距離の確保が困難であった上,当日の天候,特に風向きによっては花火の打上げを中止せざるを得なくなるなど,花火大会を実施する場所としては不適当な立地条件となってきていたことに加え,夜店が出る道路周辺の住民から苦情が寄せられたことなどから,第31回Z市民夏まつり後の反省会において,付近住民からの苦情問題が再度持ち上がるとともに,夏まつりがマンネリ化している旨の地元新聞の報道がされたことなどもあって,会場を含めた行事の在り方を見直す気運が高まる一方,平成10年から,Z市がβ海岸公園の供用を開始し,また,Z海峡大橋も開通したため,同年,これを記念して,「ときめきZ・海峡まつり98」というイベントがβ海岸公園を中心に開催され,更に,平成11年11月には,γε駅とβ海岸公園とを接続する本件歩道橋の供用が開始されていたことから,被告人A1は,被告人A3らに対して,β海岸公園での夏まつりの開催を検討するように指示していた。 そして,平成12年12月31日から翌平成13年1月1日にかけて,β海岸公園ほか2か所において,兵庫県が中心となって,「Z海峡世紀越えイベント」が開催され,その中心行事であるカウントダウン花火大会がβ海岸公園で実施され,β海岸公園であれば市役所周辺とは異なり,花火打上げのための保安距離も多く取れ,大規模な花火も打ち上げられると考えられたこと,また,Z警察署地域企画係長K1からも,雑踏警備,交通規制のいずれについても,β海岸公園の方がやりやすい旨告げられていたことなどから,本件夏まつりは,初日は,Z公園において,模擬店とよさこい踊り(後に「子午線どんとこい踊り」に改称)等の催しを,2日目は,β海岸公園において,スイカの無料配布,夜店市及び花火大会等を開催するという案がまとまり,平成13年4月17日 いて,模擬店とよさこい踊り(後に「子午線どんとこい踊り」に改称)等の催しを,2日目は,β海岸公園において,スイカの無料配布,夜店市及び花火大会等を開催するという案がまとまり,平成13年4月17日,Z市は,関係団体の了承を得て前記案のとおり正式に決定した。 前記のような経緯で,本件夏まつりの2日目をβ海岸公園で行うことが決定されたが,その会場選定に際し,被告人A1,被告人A2及び被告人A3らZ市関係者の間で,予想参集者数,会場の広さ,周辺環境,経路(導線)の許容通行量,迂回路の存在及びその妥当性,交通渋滞の見込み,夜店の規模と配置などについて詳細に検討した上で,果たして,β海岸公園が,雑踏警備の観点から見て,花火大会を伴う夏まつりの会場として適切かどうかなどといった点が問題とされた様子はなく,会場とイベント内容だけが先行して決定され,結局,その後も会場選定自体が見直されることはなかった。 (2) β海岸公園及びその周辺の状況等ア β海岸公園の状況β海岸は,Z海峡大橋を望む兵庫県Z市αa丁目及びb丁目に位置し,β海岸公園は,β海岸において,Z市が当時の建設省のコースタルコミュニティーゾーン整備推進計画に基づき,市民のコミュニティー活動の場を提供するとともに,Z海峡大橋の雄大な人工美とZ海峡の自然美が調和する緑豊かな海浜レクリエーションゾーンとして総合整備する目的で,平成5年5月18日から平成9年3月20日を埋立工事期間として完成した総面積約11万6046平方メートルの海浜公園である。 β海岸公園を東西に走る市道β町48号線から南側は芝生広場(海峡広場)となっており,さらに,木製デッキやコンクリート製の階段護岸等を経て砂浜が広がり,海へと続いている。 イ β海岸公園を東西に走る市道β町48号線から南側は芝生広場(海峡広場)となっており,さらに,木製デッキやコンクリート製の階段護岸等を経て砂浜が広がり,海へと続いている。 イ歩道橋の状況本件歩道橋は,兵庫県Z市αa丁目c番先に位置し,γε駅から,γ山陽本線(γ神戸線),δ電鉄,国道2号線,国道28号線,市道β町48号線等を跨いでβ海岸公園へと続いている。 本件歩道橋は,市道β町53号線として,市道の認定を受けた道路法上の道路であり,平成11年11月から供用が開始された。 本件歩道橋の全長は,約103.65メートルで,γε駅側(北側)からβ海岸側(南側)へ下り平均勾配約3パーセント,歩行有効幅員約6メートル(東西手摺り外側に各約0.28メートルの立入可能場所あり)で,通路部分には,左右から内側に反り込んだ最上部約3.2メートルの開口した無色,透明のポリカーボネイト製の高さ約3.1メートルのシェルター(側壁)が架けられている。 歩道橋南側踊り場には,橋台の先に天蓋のあるテラス兼エレベーターホール(展望デッキ。約69.9平方メートル。)があるが,そこには,案内掲示板が設置され,Z海峡及びZ海峡大橋が見渡せ,展望に適した場所となっている。 歩道橋南端部の西側にエレベーター1基(15人乗り福祉タイプ)が設けられ,また,約80度に西向きに折れた幅約3.2メートル,長さ約18メートル,48段(途中2か所に踊り場あり)の階段により,約7.2メートル下の前記市道β町48号線の南側歩道に接続している。 歩道橋の北側は,東西幅約16.7メートル,南北幅約10.7メートルのフロアーに繋がっており,扇型に広がる7段の階段と車椅子用のスロ 前記市道β町48号線の南側歩道に接続している。 歩道橋の北側は,東西幅約16.7メートル,南北幅約10.7メートルのフロアーに繋がっており,扇型に広がる7段の階段と車椅子用のスロープにより,γε駅駅舎及び駅前ロータリーに繋がっている。 なお,本件歩道橋は,夏の海水浴客のピーク時の通行量を考えた設計であって,β海岸公園で花火大会のような大規模なイベントが開催されるというようなことは想定されていなかった。 ウ γε駅及びその周辺の状況γε駅は,γ山陽本線(γ神戸線)の普通電車の停車駅であり,プラットホームとその北側の改札口とは跨線橋で接続されている。改札口は,自動改札4か所,本件夏まつり当日の臨時を含む駅員による改札2か所であり,駅前(北側)道路は,ロータリーとなっており,タクシー乗り場のほか,路線バスの乗降車場がある。 γε駅前からβ海岸公園へは,本件歩道橋のほか,γε駅前から線路の北側沿いを西へ進行し,市道ε248号線のβε陸橋を経て南へ進行する経路(いわゆる迂回路)があるが,この経路の道路の幅員は,最も狭いところで約2.75メートルであり,βε陸橋の歩道部分の幅員は,約2.65メートルであり,この経路を通って,γε駅北側改札口前から歩道橋南側階段下に至るまでの距離は,約1377メートルであるが,当該経路については,看板を出して案内したり,警備員が誘導などしなければ,その存在を事前に知っている者以外には,その存在自体を認識しづらい状態であった。 (3) 予想参集者数と参集経路ア予想参集者数Z市は,本件夏まつり当日の予想参集者数を多目に約15万人(β海岸公園のみならず,その周辺の参集者を含む。)と見込んでいたが,そ 予想参集者数と参集経路ア予想参集者数Z市は,本件夏まつり当日の予想参集者数を多目に約15万人(β海岸公園のみならず,その周辺の参集者を含む。)と見込んでいたが,その行事の性質上,参集者には幼児等の年少者や高齢者などが多数含まれることが予想された。 イ参集経路Z市は,本件夏まつりについて,パンフレット等で広報していたが,そこには,「γε駅下車,徒歩約3分,δ電鉄ζ駅,徒歩約13分」などと記載して,会場付近の略図を掲載し,また,駐車場対策のため,「会場には駐車場がありません。」,「公共の交通機関をご利用下さい。」などと記載して公共交通機関の利用を薦め,また,前記の略図等では,γε駅から会場のβ海岸公園へは本件歩道橋がその進路であることが強調されるような記載がされているなど,多数の参集者が本件歩道橋を利用してβ海岸公園に参集することを当然の前提としていた。 (4) 夜店の配置についてア前記のとおり,本件夏まつりから会場が変更されたことから,F4及びF2は,β海岸公園会場における夜店の配置場所を検討し,平成13年4月上旬ころ,β海岸公園の管理を所管する市の関係各課に対し,β海岸東島常設駐車場(以下「東駐車場」という。)と東島民活地に夜店を出店させることができるかどうか問い合わせたところ,東駐車場については条例で禁止されており,同民活地については,将来,民間企業がレクリエーション施設を建設する計画があるので使用できないとのことであったことなどから,夜店を,本件歩道橋が跨いでいる市道β町48号線沿いの南北歩道上に,車道を挟んで向い合わせになるような形で,東側のロータリーから,歩道橋の下を通って,北側歩道部分は東駐車場付近まで,南側歩道部分はバーベキューコーナー 跨いでいる市道β町48号線沿いの南北歩道上に,車道を挟んで向い合わせになるような形で,東側のロータリーから,歩道橋の下を通って,北側歩道部分は東駐車場付近まで,南側歩道部分はバーベキューコーナー付近まで出店させることとし,Z警察署に対しても,これを前提とする交通規制の案を提出した。 しかし,この案では,夜店の数がこれまでの夏まつりより大幅に減少する見込みとなったため,夜店を取りまとめているL会が納得しなかった。 イ被告人A1らは,まつりに賑わいをもたせるには夜店は欠かせないと考えていたところ,平成13年6月に入り,前記民活地への企業進出の予定が立ち消えとなったことから,同所にも夜店を出店させることを再検討した上,被告人A3及びF2が当時のZ市都市整備部公園緑地課長Mに対し,前記民活地の貸与を受けるべく,「夜店をもう少し増やして出すのに民活地を貸してもらえるよう,β海岸の管理を受託しているZ市緑化公園協会と契約している業者に頼んで欲しい。」旨依頼したが,その際,Mから,「今度の夏まつりでは,花火は,海岸の東端の浜から打ち上げて,ましてや夜店も東端のロータリー辺りから歩道橋の下を通り西に出すのなら,絶対に歩道橋の階段や歩道橋の上には人が一杯になって,団子状態になって危ないで。夜店をもっと西に持っていくなどしないといけない。」などと忠告を受け,また,Z市緑化公園協会からβ海岸公園の管理運営を受託していた会社の社長であるNからも,前記民活地への夜店出店の内諾を得られた上,「歩道橋の周辺に夜店を置くと,人が溜まって危ないのではないか。階段下の夜店も北側1列だけなら,南へ逃げられるから,何とかなるかもしれない。」などとの忠告を受けた。 ウ平成13年6月8日,被告人A1,被告人A2,被告人A3,F1,F ではないか。階段下の夜店も北側1列だけなら,南へ逃げられるから,何とかなるかもしれない。」などとの忠告を受けた。 ウ平成13年6月8日,被告人A1,被告人A2,被告人A3,F1,F2及びF4らが集まって夜店の配置について再度協議したが,その席上,被告人A3が,Nが民活地を使用することについて内諾したこと,M及びNから,歩道橋周辺に夜店を配置すると,混雑して危険である旨忠告されたことなどを説明したことから,被告人A1らは,夜店の数を増やして夏まつりに賑わいをもたせることに加え,夜店を前記民活地に出店することによって,人の流れを西に導くことができ,それによって,歩道橋南側階段下付近に参集者が集中することを防止することができるのではないかとの観点から,前記民活地にも夜店を出店させることで意見が一致した。 エそこで,被告人A3やF1らが,同日,同月11日及び同月12日の3回にわたってZ警察署に赴き,前記民活地にも夜店を出店させたい旨申し入れたが,被告人Cは,これに対し,「民活地だと道路交通法等の規制が及ばないので,警察の指導ができない。規制の効く道路と民活地の両方を使うと統制がとれない。 民活地に暴走族が来て何かやっても,警察は何もできん。」などと言って強く反対し,警察の規制の可能な道路上だけに出店させるよう強く指導したため,被告人A1らも,前記民活地に夜店を出店させることを断念し,結局,元の案のとおり,市道β町48号線の南北歩道上に合計180店余を出店させることに決定した。 オなお,Z警察署の指導によって,南側歩道については,歩道橋階段下から西へ約20メートルが危険防止の観点から出店が禁止され,その他,南北歩道上にそれぞれ4か所開口部が設けられた。 (5) 個々のイベントの実施場所及び実施時間等 歩道については,歩道橋階段下から西へ約20メートルが危険防止の観点から出店が禁止され,その他,南北歩道上にそれぞれ4か所開口部が設けられた。 (5) 個々のイベントの実施場所及び実施時間等ア本件夏まつり当日は,β海岸公園において,午後6時から午後7時45分までは,スイカの無料配布が東駐車場大型車駐車場で実施されることとされ(ただし,予定個数がなくなり次第終了),同じく午後6時から午後9時までの予定で市道β町48号線の南北歩道上で夜店市が行われることとなった。 なお,前記の東駐車場大型車駐車場で行われるスイカの無料配布場所は,夜店市の西側と近接していた。 イまた,花火大会は,午後7時45分から午後8時30分までの予定で,β海岸東側の堤防から打ち上げられることとなっていた。 なお,本件夏まつり当時は,前記芝生広場のうち,本件歩道橋を起点として南東側は,打上げ花火のための保安距離の確保のために立入禁止区域とされていたが,芝生広場の南西側への立入りは禁止されておらず,芝生広場のその部分とそれに続く木製デッキやコンクリート製の階段護岸等において,花火を見物することが予定されていた。 ウ花火の打上げ場所は,β海岸東側の堤防上とされていたが,前記のとおり,本件歩道橋は,左右(東西)両側がポリカーボネイト製の円弧状の側壁を有した構造となっていて,上部は覆われておらず,また,側壁自体も透明な素材であって視界が利くため,歩道橋上からも,その上部や側壁を通じて,花火を観覧することができる上,歩道橋南端部展望デッキは,花火打上げ場所とほぼ正対する位置にあって視界を遮るものもないため,花火を観覧するには絶好の場所となっていたし,歩道橋南側階段も同じく,花火を観覧するには絶好の場所 きる上,歩道橋南端部展望デッキは,花火打上げ場所とほぼ正対する位置にあって視界を遮るものもないため,花火を観覧するには絶好の場所となっていたし,歩道橋南側階段も同じく,花火を観覧するには絶好の場所となっていた。また,歩道橋南西側の芝生広場は,もともとそこで花火を観覧することが予定されていたが,より歩道橋に近づくほど花火打上げ場所に近いため,歩道橋に近い場所により人気が集まり,参集者で混雑することが予想された。 なお,この花火打上げ場所は,主催者において決定したものであるが,その決定に際し,雑踏警備の観点から,当該場所を花火打上げ場所とすることが適当かどうかなどといったことについて検討された様子はなく,また,本件夏まつり当日までに,被告人Bら警備会社や被告人Cを始めとするZ警察署側からも,雑踏警備の観点から,花火打上げ場所の適否が問題とされることもなかった。 (6) カウントダウン花火大会についてア本件夏まつりの約7か月前の平成12年12月31日から翌平成13年1月1日にかけて,β海岸公園を中心として「Z海峡世紀越えイベント」が開催され,そのイベントの中心行事は,午前零時に合わせて約10分間打ち上げられたカウントダウン花火大会であり,カウントダウン花火大会の予想参集者数は,2万5000人であったところ,主催者側の最終発表は,5万5000人と予想を大幅に上回ったが,参集者の多くは若者等の成人であり,小さな子供はあまりいなかった。 イカウントダウン花火大会の際,β海岸公園に向かう参集者が本件歩道橋に集中して相当の混雑状態となり,特に,午前零時10分の花火終了直後からは,本件歩道橋内を北から南に向かう参集者とβ海岸公園からγε駅に向けて帰途を急ぐ参集者が歩道橋南端部付近や南側階段で鉢合わせを に集中して相当の混雑状態となり,特に,午前零時10分の花火終了直後からは,本件歩道橋内を北から南に向かう参集者とβ海岸公園からγε駅に向けて帰途を急ぐ参集者が歩道橋南端部付近や南側階段で鉢合わせをするようになり,相当の混雑状態となって110番通報が多数されるほどの密集状態となったため,花火大会終了後,本件歩道橋北側出入口付近において,警備員らが流入規制をするとともに,歩道橋南側階段下において,警備員約10人と警察官数人が横に並んで人垣を作るなどして参集者の流入を規制し,また,本件歩道橋を迂回させるために歩道橋南側階段から西側道路への誘導広報を徹底し,更には,本件歩道橋南側階段下において,上に登ろうとする参集者を整列させて整理して,歩道橋上及び歩道橋南側階段上にいた参集者の混雑をいったん完全に解消させてから,同階段下から退場する参集者について歩道橋を北側に通行させる方法をとるなどして,辛うじて転倒事故等の発生を防止することができた。 ウなお,カウントダウン花火大会の際の会場警備は,株式会社Oが幹事会社として主催者である兵庫県側と契約し,警備費用は,3会場全体で2040万円で,延べ473人の警備員を動員したが,Oでは,カウントダウン花火大会において,本件歩道橋に参集者が滞留しないよう,ステージ,会場入口,夜店の位置を西にするよう指導し,また,その間の通路の南側に主催者等のテントを設置して,通路からステージや花火を見えにくくし,参集者が滞留しないようにしていた。そして,β海岸の配置警備員総数166人のうち,本件歩道橋には,γε駅側3人,中央部2人,南端部2人,南側階段下に2人が固定配置された上,遊撃隊6人が投入されていた。 エこのカウントダウン花火大会の際,被告人A1及び被告人A2は,来賓として出席し,被告人A3 中央部2人,南端部2人,南側階段下に2人が固定配置された上,遊撃隊6人が投入されていた。 エこのカウントダウン花火大会の際,被告人A1及び被告人A2は,来賓として出席し,被告人A3は,Z市職員の東地区統括者として運営業務に従事していた。 一方,被告人Bは,Oの下請けに入ったD社の支社長として,会場であるβ海岸に設置されたβ警備本部の管制責任者(無線や無線交信の担当の責任者)として警備業務に従事し,本件歩道橋の混雑状況やこれに対していかなる措置をとって転倒事故等の発生を防止したかなどについて認識していた。 (7) Z市及びD社による警備計画の策定経緯及びその内容ア Z市及びD社の警備計画の策定経緯(ア) Z市は,従前のZ市民夏まつりにおいては,会場を複数の警備ポイントに分け,各警備ポイントに市職員あるいは市職員とZ市が観光協会名でZ市内の警備会社数社との間で個別に締結した警備契約に基づいて派遣された警備員とを配置して,自主警備を実施してきた。 (イ) 平成13年5月7日,被告人A1,第32回Z市民夏まつり実行委員会委員長P1及び観光協会専務理事Jの3人がZ警察署を訪れ,夏まつりの開催通知をするとともに,警備に対する協力の依頼を行ったが,その際,Z警察署長Qは,夏まつりの警備は,従前どおり,主催者側による自主警備が原則であり,警察は暴走族対策を中心に警備する旨を伝えた。 他方,被告人A3やF4らは,K1から,警備員による警備については,これまでのようなやり方ではなく,統括管理会社を置いて警備体制を一本化した方が良いのではないかとの助言を受けたのに加え,従来の警備体制が必ずしも機能的でない上,Z市職員から,市職員に警備員的な仕事をさせるこ のようなやり方ではなく,統括管理会社を置いて警備体制を一本化した方が良いのではないかとの助言を受けたのに加え,従来の警備体制が必ずしも機能的でない上,Z市職員から,市職員に警備員的な仕事をさせることについて不満が出ていたことなどから,被告人A3は,被告人A1に相談してその了承を得た上で,本件夏まつりにおいては,警備体制を一本化するため警備員の統括管理会社を置く方針とした。 (ウ) そこで,被告人A3は,従前からイベント警備等で面識のあった被告人Bに対し,被告人Bが大阪支社長を務めるD社が前記統括管理会社となり,被告人Bが警備員の統括責任者となって本件夏まつりの警備を実施してくれないかと打診し,その前提として,被告人BにZ市内に営業所を出すことを促し,これを受けて,被告人Bは,Z市内に営業所を設けることとした。 そして,被告人A3は,被告人A1及び被告人A2の了承を得た上で,平成13年6月1日,被告人Bとの間で,本件夏まつりの警備に関する契約を口頭で締結した。 ただ,被告人A3は,被告人Bとは面識はあったものの,被告人Bが大阪支社長を務めるD社の規模や警備実績を詳細に調べることもなく,もっぱら,被告人Bとの個人的な関係から,被告人Bの個人的な資質に期待して,被告人Bに依頼することにしたものであった。 この口頭による契約締結時に,警備員1人当たり1万4000円の警備委託料とD社の管理料として委託料の1割をプラスすること,D社側で警備計画書を作成すること,協力警備会社は,Z市内の業者を使うことが条件とされた。これは,これまでZ市民夏まつりにおいては,Z市内の警備業者を使ってきたからであったが,Z市内の警備業者は,いずれも大規模なイベント警備の経験が少なく,本件夏 Z市内の業者を使うことが条件とされた。これは,これまでZ市民夏まつりにおいては,Z市内の警備業者を使ってきたからであったが,Z市内の警備業者は,いずれも大規模なイベント警備の経験が少なく,本件夏まつりの警備をさせるには,その実績において不安があり,被告人Bもその点について不安を感じていたし,被告人A3ら市役所関係者もそのことは認識していた。 なお,本件事故後の平成13年7月26日,被告人A1の指示で,F2がD社を訪問し,日付を遡らせて,同月16日付けで「警備業務請負契約書」と題する書面を作成したが,それ以前には,D社との間で正式な契約書面を取り交わしていなかった。 (エ) Z市は,平成13年5月21日,同年6月6日,同月26日の計3回にわたって,本件夏まつりの警備に関する検討会をZ警察署との間で実施した。 各検討会の状況は,次のとおりであった。 ① 第1回目の検討会は,平成13年5月21日,Z市役所において開かれ,Z市からは,被告人A3,F1,F2及びF4,Z警察署からは,被告人C,K1及びZ警察署交通第1課交通規制係長K2が出席した。その席上,F2が本件夏まつりの実施計画について説明した後,F4が,「まだ警備員の配置計画は完成していないが,案として,Z公園は4警備区で50名,β海岸は7警備区で100名の警備体制を考えている。」などと説明し,その後,K1が,「カウントダウンの時,δ電鉄ζ駅前の歩道に人があふれて,車道まであふれた。何とかしてくれと警備本部から連絡を受けた。そういったやつは,自主警備で何とかして貰わんと困る。」,「γε駅周辺歩道橋の歩行者対策を万全にするように。」などと注文をつけた。 なお,この第1回目の検討会において, た。そういったやつは,自主警備で何とかして貰わんと困る。」,「γε駅周辺歩道橋の歩行者対策を万全にするように。」などと注文をつけた。 なお,この第1回目の検討会において,Z市及びZ警察署のいずれからも,β海岸公園で本件夏まつりを行うことの適否について疑問が呈されるようなことはなく,また,同じ場所で行われたカウントダウン花火大会については,前記のK1の話以上に,その際,どのような事態が起こり,その原因は何であったのか,また,その事態にどのように対処したのかなどといったことを詳細に検討するようなことはなかった。 ② 第2回目の検討会は,平成13年6月6日,Z市役所において開かれ,Z市役所からは,被告人A3ら前記4人,Z警察署からは,被告人Cら前記3人及びZ警察署地域企画係長K3が出席し,この検討会から,D社関係者も出席するようになり,D社からは,被告人B,同社社員R1及び同R2が出席した。 この席上で,F4が,カウントダウン花火大会の配置図を参考にして作成した配置図により警備員や市職員の配置予定を説明した後,警察側の指導を受けたが,K1が,ガードマンや市職員を本件歩道橋の中央に並べて相互通行の交通整理ができないだろうかなどと言ったのに対し,被告人A3らは,ロープやカラーコーンによる規制の話を持ち出すなどしてこれに強く反対し,険悪な雰囲気になったところ,被告人Bが,「歩道橋については遊撃隊で対応します。」,「カウントダウンの時のようにやります。」などと言い,被告人A3も,「歩道橋が混雑すれば,市の職員を駅の北側に配置して,迂回路に人を誘導します。」などと言ったため,結局,それ以上の具体的な話に進展することなく終わった。 なお,被告人Bの弁護人は,被 混雑すれば,市の職員を駅の北側に配置して,迂回路に人を誘導します。」などと言ったため,結局,それ以上の具体的な話に進展することなく終わった。 なお,被告人Bの弁護人は,被告人Bが,第2回目の検討会の席上,夜店の配置に問題があり,夜店を西にもっていけないかなどと関係者に指摘したところ,Z警察署側から強く拒否された旨主張し,被告人Bも捜査段階及び公判段階においてその旨供述しているが,第2回目の検討会の他の出席者はいずれもこの点についてほとんど言及していないこと,そして,第2回目の検討会に被告人Bとともに出席したD社のR1も,第2回目の検討会の席上で被告人Bがそのような発言をした旨の供述はしておらず,R1がその日の検討会の内容を記載したノートにもその点の記載はなく,逆に,第2回目の検討会の後に,被告人Bと実地踏査をして,歩道橋南側階段下が危険であることが分かった,第3回目の検討会の際に,夜店の配置が初めて分かったなどと供述していることなどからすれば,被告人Bが,第2回目の検討会において,夜店の配置について真剣な問題提起をしていたとは認められない。 なお,この検討会において,K1からの申し出により,被告人BがK1に連絡用の携帯無線機を本件夏まつり当日に貸与することに決まったが,本件夏まつり当日に両者ともそれを失念してしまっていたため,実行されなかった。 ③ 第3回目の検討会は,平成13年6月26日,Z市役所において開かれ,Z市からは,F1,F2及びF4の3人が,D社からは,被告人B及びR1が,Z警察署からは,副署長S(以下「S副署長」という。),同署交通第1課長K4,K1,K3及びK2並びに初日の開催場所であるZ公園の管理者4人が出席し,検討会の終了直前には,被告人A2及び びR1が,Z警察署からは,副署長S(以下「S副署長」という。),同署交通第1課長K4,K1,K3及びK2並びに初日の開催場所であるZ公園の管理者4人が出席し,検討会の終了直前には,被告人A2及び被告人A3も出席した。 この検討会においては,本件夏まつり初日のZ公園のことが話し合われることが多く,2日目のβ海岸公園のことについて話し合われることは少なかったが,その中で,被告人Bが,その作成にかかる同年6月9日付けの警備実施計画書を持参してその内容を説明したのに対し,K1が,「歩道橋の固定配置の警備員が3名では少ないのではないか。」と指摘したところ,被告人Bは,「警備本部直轄の遊撃隊で対応します。」などと答えたが,いかなる事態が生じた場合に遊撃隊が出動し,どのような対応をとるのか,その際,警察に対してどのような協力を求めるのかなどといった具体的なことまでは話に上がらなかった。 また,被告人Bが,前記警備実施計画書に添付された警備員の配置図から,2次導線(迂回路)に固定配置する予定であった3人分の警備員を誤って消してしまっていたため,結局,2次導線(迂回路)には固定配置の警備員は置かれないままとなった。 なお,被告人Bは,この第3回目の検討会が開催される直前,F4から夜店の最終的な配置を聞き,歩道橋南側階段下付近に人が滞留することによる事故発生の危険性を感じたため,F4に対し,「こんな所に夜店を置いたら,危ないよ。階段を下りた人が足を止めてしまうと,人の流れが止まってしまう。事故が起きても知りませんよ。もっと(夜店を)西の方へ移動させられませんか。」などと指摘はしたものの,被告人Bは,検討会の場で,正式にその問題を指摘したり,また,被告人A3やK1などのしかるべき立 事故が起きても知りませんよ。もっと(夜店を)西の方へ移動させられませんか。」などと指摘はしたものの,被告人Bは,検討会の場で,正式にその問題を指摘したり,また,被告人A3やK1などのしかるべき立場の者に申し入れたりすることはなく,結局,夜店の位置が変更されることはなかった。 (オ) 以上のように,主催者側とZ警察署との間で3回にわたって検討会が実施されたものの,その中において,そもそもの会場選定の適否にさかのぼって検討したり,花火打上げ場所の適否について検討したり,夜店の配置場所などについて真剣に検討したりすることなく,また,カウントダウン花火大会の時に本件歩道橋において大混雑が生じたことなどについて,そのときにどのような事態が生じたのか,また,その原因は何であったのか,その時どのような対処をしたのかなどの点を検討して,それらを本件夏まつりの警備の参考にするなどといったことはなく,本件歩道橋における参集者の滞留を防止する具体的方策や警備員と警察との連携協力体制も構築されず,わずかに本件夏まつり当日には実行されなかった被告人BからK1への携帯無線機の貸与が決められたにすぎなかった。 (カ)① F4は,本件夏まつりに従事する市職員の業務内容や役割分担を明確にするため,平成13年6月半ばころから,市の警備体制を含む運営体制マニュアルの作成に着手し,被告人A3ら上司に相談するなどしながら,同年7月11日ころ,同マニュアルを完成させた。 ② Z市は,同月11日及び同月12日,本件夏まつりにおいて各か所に配置される警備担当者の責任者を招集して,チーフ説明会を開催し,さらに,同月13日,本件夏まつりの警備に従事する職員を招集して,従事者説明会を開催し,運営体制マニュアル等に基づいて説明を行ったが,い 配置される警備担当者の責任者を招集して,チーフ説明会を開催し,さらに,同月13日,本件夏まつりの警備に従事する職員を招集して,従事者説明会を開催し,運営体制マニュアル等に基づいて説明を行ったが,いずれにおいても,注意場所の指摘やその場所における具体的な事故防止対策などの詳しい説明はなく,本件歩道橋についても,参集者で混雑するので,特に警戒するようになどといった説明はなかった。 そして,そのころ,被告人A3の指示を受けたF4が,被告人A1及び被告人A2に対し,後記の被告人B作成の7月9日付け警備実施計画書を手交し,また,F2が,被告人A1及び被告人A2に対し,運営体制マニュアルを手交するとともに,被告人A1が開催本部の統括副責任者であること,被告人A2が実施運営本部の実施責任者であることを報告するなどしたが,被告人A1及び被告人A2は,いずれも,前記運営体制マニュアル及び前記警備実施計画書の中身を詳細に検討することはなかった。 イ D社の警備実施計画書の作成経緯(ア) 被告人Bは,カウントダウン花火大会の際に会場警備を担当したOが作成した警備実施計画書をたたき台として,本件夏まつりの警備実施計画書案を作成し,平成13年6月26日のZ警察署との第3回目の検討会において,同月9日付け警備実施計画書をZ市に提出した。 なお,前記のとおり,被告人BがZ市側から警備の委託を受けた時点においては,既に本件夏まつりの会場やイベント内容は決定されており,被告人Bが,Z市側から,会場選定の適否,イベント内容の適否,イベント開催場所の適否,イベントの開始時間の適否,花火打上げ場所の適否,夜店の配置とその時間の適否などについて,雑踏警備の観点から見直しを含めた検討を相談されたことはな 適否,イベント内容の適否,イベント開催場所の適否,イベントの開始時間の適否,花火打上げ場所の適否,夜店の配置とその時間の適否などについて,雑踏警備の観点から見直しを含めた検討を相談されたことはなく,また,被告人Bからも,Z市側に対して,前記の夜店の配置場所に関してF4に指摘したことを除いては,それらの点について特に意見具申をすることもなかった。 (イ) Z市は,平成13年7月4日及び同月9日の2回にわたり,T株式会社(以下「T社」という。)等協力警備会社の代表者らを招集して警備業務説明会を実施した。 第1回目の警備業務説明会では,警備実施計画書等の配布はなく,出席した警備会社が実際に警備を引き受けるかどうかも分からないような状態であり,まして,どの警備会社が何人の警備員を出せるかすら明らかとなっておらず,単なる顔合わせのようなものであった。 そして,同月9日の第2回目の警備業務説明会において,警備を引き受ける業者が決定したが,まだこの時点においても,どの警備会社がどれだけの警備員を用意し,どの警備会社がどの警備区を受け持つのかさえ決まっていなかったため,被告人Bから,γε駅や本件歩道橋,歩道橋南側階段下について,かなり混雑するので,参集者を滞留させないようになどの話がされたが,歩道橋の構造や会場の状況を踏まえた具体的な方策について話し合われることはなく,詳細な打合せもされなかった。 被告人Bは,Z警察署との検討会において指摘された点を踏まえて,同年6月9日付け警備実施計画書を修正し,新たに同年7月9日付け警備実施計画書を作成して,第2回目の警備業務説明会において,Z市に提出するとともに,出席した警備会社に配布したが,この警備実施計画書は,前記のOが作成した 実施計画書を修正し,新たに同年7月9日付け警備実施計画書を作成して,第2回目の警備業務説明会において,Z市に提出するとともに,出席した警備会社に配布したが,この警備実施計画書は,前記のOが作成したカウントダウン花火大会の際の警備実施計画書をたたき台にしていたため,その内容が完全に修正されておらず,本件夏まつりに合致しない部分が散見されるなど,本件夏まつりのための警備実施計画としては十分に検討したとはいい難いものであり,また,前記のとおり,2次導線に固定配置の警備員を置かないという点についても,修正されないままであった。 そして,この7月9日付け警備実施計画書には,参集者を誘導するいわゆる導線図が付されていなかったことから,T社のUから,導線計画等についてどのように考えているのかとの指摘を受けたが,被告人Bは,「導線計画はまだ検討中で,できていません。後日,各業者にお知らせいたします。」旨回答するに止まった。 被告人Bは,第2回目の警備業務説明会が終了した後,F4から,もう1回警備業務説明会を開催すべきではないかと言われたが,多忙を極めていたこともあって,この申入れを断り,結局,以後,警備業務説明会は開催されなかった。 被告人Bは,その後,同年7月12日,各警備会社に対して担当警備区をファックスで連絡し,また,同月17日ころ,各警備会社に対して,歩行者及び車両での来場者,退場者の各導線図をそれぞれファックスで連絡し(ただし,この導線図は,本件事故前には,Z市には送付されていなかった。),その導線図によると,γε駅北側からのβ海岸公園会場への参集者の導線として,本件歩道橋を1次導線とし,同駅前から線路の北側沿いを西へ進行し,市道ε248号線のβε陸橋を経て南へ進行する経路( 。),その導線図によると,γε駅北側からのβ海岸公園会場への参集者の導線として,本件歩道橋を1次導線とし,同駅前から線路の北側沿いを西へ進行し,市道ε248号線のβε陸橋を経て南へ進行する経路(いわゆる迂回路)を2次導線としていたが,この導線図は,カウントダウン花火大会時の導線図を基にしたものであって,本件歩道橋を通過した後の会場へのアクセス方法が本件夏まつりに合致していないままであり,どのような場合にどのような方法でどの導線に参集者を誘導するとかの本件夏まつりにおける具体的な導線計画は,結局,立てられることはなかった。 被告人Bは,Uから,何度か導線計画について問い合わせを受けたが,まだ協議中であるなどとして,具体的な導線計画を送付することはなかった。 そして,この7月9日付け警備実施計画書の内容については,個々の警備員に周知徹底されていたとはいい難く,D社の中でさえ,警備実施計画についての検討会や説明会は開かれておらず,D社の警備員の中にも,本件夏まつりの当日に至って初めて自らの役割を告げられた者もいたという有様であった。 (ウ) そして,前記のとおり,被告人A1及び被告人A2は,F4及びF2から,この7月9日付け警備実施計画書及び運営体制マニュアルを手交されるなどして,警備体制等の説明を受けたが,被告人A1,被告人A2及び被告人A3ほかZ市関係者は,このD社作成の警備実施計画書について,その内容を子細に検討して問題点を指摘したりすることはなく,何ら修正などされることのないまま自主警備計画が確定することとなった。 なお,この7月9日付け警備実施計画書は,Z警察署にも送付され,被告人Cも,同月18日ころ,これに目を通したが,中身をざっと見ただけで,その内容 備計画が確定することとなった。 なお,この7月9日付け警備実施計画書は,Z警察署にも送付され,被告人Cも,同月18日ころ,これに目を通したが,中身をざっと見ただけで,その内容について詳細に検討することはなかった。 ウ自主警備計画の内容(ア) 前記運営体制マニュアルに記載された運営体制図によれば,開催本部の統括責任者に本件夏まつり実行委員会委員長P1とZ市助役P2が,統括副責任者に被告人A1と観光協会専務理事Jが,実施運営本部の実施責任者に被告人A2が,実施副責任者に被告人A3がそれぞれ就き,さらに実施運営本部の実質的には一部署となる自主警備本部を設置して,同本部の責任者にZ市市民経済部市民生活担当次長F5が,副責任者にF4がそれぞれ就き,実施運営本部内に緊急時等に対応するために遊撃隊を,実施運営本部の下に,第1警備区に対応する打上げ花火周辺対策班を,第2警備区に対応する会場案内班を,第4警備区に対応する駐停車対策班を,第6警備区に対応する駐車場対策班を設けて市職員をそれぞれ配置することとされていた。 また,前記警備実施計画書に記載されたβ海岸公園での自主警備連絡・調整体制図によれば,「Z市民夏まつり実行委員会・運営本部(商工観光課)実施責任者被告人A2次長」の下に,「自主警備本部・(株)D社Z営業所統括責任者被告人B」が配置され,その下に第1ないし第7警備隊及び第1,第2直轄遊撃隊を配置することとされていた。 なお,前記運営体制マニュアルによると,被告人A2が務める実施運営本部の実施責任者の主な業務内容は,会場全体の総指揮とされ,被告人A3が務める実施運営本部の実施副責任者の主な業務は,会場全体の総指揮補助,各班責任者との連絡調整とされていた 人A2が務める実施運営本部の実施責任者の主な業務内容は,会場全体の総指揮とされ,被告人A3が務める実施運営本部の実施副責任者の主な業務は,会場全体の総指揮補助,各班責任者との連絡調整とされていた。 (イ) ところで,前記運営体制マニュアルによると,自主警部本部責任者であるF5の主な業務内容は,自主警備状況把握,実施運営本部・警察との連絡調整とされ,副責任者であるF4の主な業務は,警備隊長(被告人B)との連絡調整とされていたが,実際には,このZ市の自主警備本部は,被告人Bから警備に関する諸々の連絡が直接実施運営本部に来ないようにワンクッション置くために設けられたものであり,また,F5が自主警備本部責任者となっているのは,Z市市民経済部次長の立場にあったF5のポスト設定のためであって,同人は,そもそも観光係を統括する立場ではなく,本件夏まつりの運営,警備計画の策定には全く関与していなかったものであって,自主警備本部に常駐することになっていたF4から,被告人A3が連絡を受けて,実質的にはその役割をも担うことが予定されていた。 (ウ) ところで,前記運営体制マニュアルに記載された運営体制図にある開催本部統括責任者のP1は,本件夏まつり実行委員会委員長,同開催本部統括責任者のP2は,Z市助役,同開催本部統括副責任者のJは,観光協会専務理事であったものであるが,前記のように,本件夏まつりは,Z市市民経済部商工観光課の所管事務であり,その事務を担当するのが同課観光係であって,P1らはいずれも本件夏まつりの運営,警備計画の策定に実質的な関与はしておらず,同人らの開催本部統括責任者等の地位は,同人らの当日のポスト設定のために形式的,名目的に設けられたものにすぎず,同人らに実際に本件夏まつりを運営するための役割が期待されて 実質的な関与はしておらず,同人らの開催本部統括責任者等の地位は,同人らの当日のポスト設定のために形式的,名目的に設けられたものにすぎず,同人らに実際に本件夏まつりを運営するための役割が期待されていたわけではなかった。 (エ) 以上のとおり,Z市及びD社による自主警備の体制は,実施運営本部の実施責任者被告人A2及び同実施副責任者被告人A3が,その上司であり,また,開催本部統括副責任者である被告人A1の指揮監督の下,警備会社の警備員を指揮統括する自主警備本部の被告人Bとともに実施するというものであった。 (オ) 各警備区の配置は,第1警備区(β海岸公園内)に,警備員の固定配置17人,Z市職員による打上げ花火周辺対策班18人,第2警備区(国道28号線周辺)に,警備員の固定配置19人,Z市職員による第2警備区会場案内班10人,第3警備区(本件歩道橋,γε駅及びβε陸橋周辺)に,警備員の固定配置16人,第4警備区(西駐車場付近及び周辺)に,警備員の固定配置18人,Z市職員による第4警備区駐停車対策班10人,第5警備区(δ電鉄ζ駅周辺)に,警備員の固定配置12人,第6警備区(Z市役所周辺)に,警備員の固定配置14人,Z市職員による第6警備区駐車場対策班8人,第7警備区(国道2号線,δ電鉄θ駅周辺)に,警備員の固定配置14人であり,実施運営本部には,Z市市民経済部参事兼農水産課課長で遊撃隊責任者のF6(以下「F6遊撃隊長」という。)の下に遊撃隊11人(なお,本件夏まつり当日1人増員)を配置することとした。 なお,この遊撃隊には,定まった任務は特になく,その時々の状況に応じて現場を応援するため,いつでも出動できるように実施運営本部の側に待機し,緊急時等に対応するものとされていた。 なお,この遊撃隊には,定まった任務は特になく,その時々の状況に応じて現場を応援するため,いつでも出動できるように実施運営本部の側に待機し,緊急時等に対応するものとされていた。 また,警備員で構成する本部直轄遊撃隊は,D社のR3以下の2人とV株式会社(以下「V社」という。)のW以下8人の10人と,T社の10人の合計20人で編成されることになっていた。 なお,本件歩道橋を含む第3警備区は,T社の担当区とされ,本件歩道橋には,γε駅側に1人,中央部に2人,南端部展望デッキに1人,南側階段下に2人の合計6人を固定配置することとしていた。 (8) Z警察署の警備計画の策定経緯及びその内容ア Z警察署の警備計画の策定経緯(ア) Z警察署では,平成13年5月ころから,被告人Cを中心に,K1及びK3を担当者として,Z警察署としての警備計画の策定にとりかかったものの,警備計画の策定に際して,暴走族への検問・封圧を徹底するとの考えを有していたQ署長やその意を受けた被告人Cの指示により,部隊編成を何度もやり直すなどしたことから,部隊編成がなかなか完成せず,本件夏まつりまで1か月足らずになっても警備計画の策定が進展しなかった上,同年6月は地域課として取り組むべき職務質問強化月間であったため,Q署長は,同月21日ころ,K1及びK3に対し,S副署長に相談をして,警備計画の策定の決裁を受けるように指示し,以後,K1及びK3は,警備計画策定に関して,S副署長の指導を受けることとなり,また,前記のとおり,同月26日のZ市との第3回目の検討会は,被告人Cではなく,S副署長が出席して行われたが,被告人Cはその検討会の内容についてはK1から報告を受けており,また,同月末ころ,Q署長が,S副署長と被 おり,同月26日のZ市との第3回目の検討会は,被告人Cではなく,S副署長が出席して行われたが,被告人Cはその検討会の内容についてはK1から報告を受けており,また,同月末ころ,Q署長が,S副署長と被告人Cを呼び,「地域官が雑踏警備の責任者や。警備計画は地域官が作らな誰が作るんや。」などと指示したことから,以後,S副署長は雑踏警備計画策定には携わらなくなり,被告人Cにおいて,兵庫県警察本部(以下「県警本部」という。)地域課に赴き,部隊編成の説明をし,また指導を受けるなどした。 (イ) 平成13年7月5日に開催されたZ警察署の幹部連絡会において検討された警備計画案では,部隊編成のうち雑踏警戒班は3個班24人とすることになっていたが,Q署長が,「雑踏警戒班って何するんや。こんなにいらん。」などと言って,雑踏警戒班を減員して検問班に回すように指示し,これに対し,雑踏警戒班の指揮官に予定されていたK5が,雑踏警戒班が減員されることを不安に思い,「雑踏を減らされては困ります。」,「雑踏警備は大変です。」などと意見具申したものの,Q署長が,「もしものことがあれば,管機を使えばいい。」などと言って聞き入れなかったことから,雑踏警戒班は,結局,2個班16人に減員されることになった。 被告人Cは,その際,雑踏警戒班を減員することに反対するような発言をしなかったし,雑踏警戒班が16人となることにやや不安は感じていたものの,それでも雑踏警備は可能であると考えていた。 なお,Q署長は,この幹部連絡会において,被告人Cらに対し,雑踏警備に用いるためのトランジスターメガホン(以下「トラメガ」ということもある。)等の資器材を用意するように指示をしていた。 (ウ) 平成13年7月12日にZ警察署の幹 Cらに対し,雑踏警備に用いるためのトランジスターメガホン(以下「トラメガ」ということもある。)等の資器材を用意するように指示をしていた。 (ウ) 平成13年7月12日にZ警察署の幹部連絡会が開かれ,S副署長が,カウントダウン花火大会のときに本件歩道橋とγε駅のホームが混雑したので,γε駅のホームが混雑したり,歩道橋南側階段で上がる人の流れと下りる人の流れがぶつかったりしないよう,花火大会終了前に雑踏警戒班をγε駅の改札口と歩道橋南側階段下に投入して流入規制することなどを指示した。 (エ) 平成13年7月13日,Z警察署において,応援部隊の責任者を含めた戦術会議が開催され,主に被告人Cが,各警備部隊に対して,編成,配置,任務等を説明した後,各部隊長などを連れて実地踏査を行った。また,同月18日,被告人Cは,暴走族対策班に予定されていた近畿管区機動隊X1大隊長(以下「X1大隊長」という。)を連れて,β海岸公園の実地踏査を行い,本件歩道橋に参集者が集中するので心配している旨話したが,いわゆる迂回路についての説明はしなかった。 (オ) K1は,平成13年7月16日,Z警察署としての雑踏警備計画書案を完成させ,被告人Cの決裁に回し,被告人Cは,これを同月18日に決裁した上,同日,S副署長及びQ署長も決裁して,Z警察署の雑踏警備計画が確定した。 また,被告人Cは,同月19日,Z市の自主警備に関する同月9日付け警備実施計画書を,S副署長及びQ署長のもとに持参して決裁を受け,その際,Q署長から,同計画書の内容を精査し,疑問等あれば,Z市側に指導助言するように指示されたが,本件夏まつりが直前に迫っており,時間もなかったこともあって,同計画書の内容について精査することはなく,Z市側に指導助 ,同計画書の内容を精査し,疑問等あれば,Z市側に指導助言するように指示されたが,本件夏まつりが直前に迫っており,時間もなかったこともあって,同計画書の内容について精査することはなく,Z市側に指導助言することもなかった。 (カ) 平成13年7月19日にZ警察署の幹部連絡会が開かれ,その席上,Q署長は,被告人Cに対し,「雑踏警備の部隊運用の初期の責任者は,地域官とする。地域官は,全部隊を使って思い切ってやれ。総括指揮は,俺やから,何か手に負えないことがあったら,俺も行って指揮する。」などと言ったが,そのことが果たして,被告人Cに対し,機動隊等に対する直接の指揮権を与えたものかどうか判然としないものであった。 イ Z警察署の警備計画の内容(ア) Z警察署の雑踏警備計画書によると,本件夏まつり当日には,Z市全域に警察官350人を配置することとし,β海岸公園及びその周辺には,近畿管区機動隊員(以下,近畿管区機動隊のことを単に「管区機動隊」又は「管機」ということもある。)72人を含めた警察官159人を配置することとしていた。 (イ) 具体的には,現地警備本部と雑踏対策の指揮官を被告人Cが兼ね,K3がその伝令を務め,その下に雑踏警戒班が配置され,現場指揮官をK5が,その伝令をK6が務めることとなっており,雑踏警戒班2班のうち,1班はK7を班長とする6人(K7班)で編成され(なお,K7班は,さらに,K7を班長とするK7,K8,K9のK7班とK10を班長とするK10,K11,K12のK10班と分けられていた。),もう1班はK13を班長とする8人(K13班。K13,K14,K15,K16,K17,K18,K19,K20)で編成されていた。 雑踏警戒班の任務は,会場内の雑踏事故 いた。),もう1班はK13を班長とする8人(K13班。K13,K14,K15,K16,K17,K18,K19,K20)で編成されていた。 雑踏警戒班の任務は,会場内の雑踏事故防止とされ,K7班は,会場東広場の担当とされ,K13班は,会場西広場の担当とされ,特記事項として,「花火終了後,K13小隊はθ前,ζ駅に転進交通整理,K7小隊はε駅改札付近およびε陸橋(本件歩道橋)付近にて雑踏事故防止にそれぞれ従事すること」とされていた。 なお,雑踏警戒班の警察官は,制服(長袖),制帽,夜光チョッキ,懐中電灯,編上靴の服装・装備を備えることとなっており,また,事前の打合せにおいては,トランジスターメガホンやパトライトが配付されることとなっていた。 現地警備本部の一部署である現場指揮班は,責任者を被告人Cが兼ね,配下のK1,K30が現地警備本部に詰め,雑踏部隊その他に対する指令の任務に当たることとなっていた。 Z警察署は,Z市が管理する本件歩道橋南端部展望デッキ下の管理人室の貸与を受け,本件夏まつり当日,そこに地域系無線(UW110)及び隊内系無線(UW205)を設置し,K1以下2人の現場指揮班を配置して,そこから,無線による管制及びZ警察署1階に設置した署警備本部(以下「署本部」ともいう。)との連絡等に当たらせることとしていて,被告人CとK5には地域系無線と隊内系無線とが割り当てられ,地域系無線は伝令が携行することとなっており,また,隊内系無線は,K13班長,K7班長も携行することとなっていた。 なお,地域系無線とは,リュックサックのように背負うタイプの無線機で出力が強く,広域の送信に適しており,地域系無線を持っている者同士や署本部や現地警備 行することとなっていた。 なお,地域系無線とは,リュックサックのように背負うタイプの無線機で出力が強く,広域の送信に適しており,地域系無線を持っている者同士や署本部や現地警備本部との連絡はもちろん,県警察本部地域部通信指令室(以下「県警本部指令室」という。)と交信でき,県警本部指令室から入ってくる110番指令を受信することができるものである。 他方,隊内系無線は,片手で掴むことができる程度の小型の無線機で出力が弱く,β海岸会場やその周辺の場合であると,各部隊相互の連絡や署本部や現地警備本部との連絡を行うことができる。なお,本件夏まつり当日は,歩道橋にアンテナを立てており,いわゆる無線の不感地帯はなくなっていた。 また,Z市から提供された携帯電話も,被告人C,現地警備本部,K5,K7班,K13班に各1個が配備され,他の部隊に配備された携帯電話の電話番号とともに一覧表が雑踏警備計画書に添付されていた。 (ウ) β海岸公園周辺における雑踏警戒班以外の警察官の具体的な配置は,γε駅前(北側)ロータリーに事件検挙採証班(K21以下8人。K21班)と管区機動隊の暴走族対策班(X2以下17人。X2小隊)の合計25人,β海岸公園西側にあるβ海岸中交差点に管区機動隊の暴走族対策班(X1大隊長以下55人)と事件検挙採証班(X3以下23人)の合計78人となっていた。 前記中交差点から本件歩道橋北側までは約800メートル,本件歩道橋南側までは約600メートルであり,いずれも通常であれば10分以内で到達可能であった。 なお,管区機動隊の隊員は,完全防護装備とされ,具体的には,防護衣,前垂れ,すね当て,編上靴,小手,ヘルメット,略帽,警笛,手錠, も通常であれば10分以内で到達可能であった。 なお,管区機動隊の隊員は,完全防護装備とされ,具体的には,防護衣,前垂れ,すね当て,編上靴,小手,ヘルメット,略帽,警笛,手錠,警棒,軍手などの完全防護に,夜光チョッキを装着することとされ,さらに,大盾,小盾,警杖,トラメガ,スターライト,強力ライト及び懐中電灯などを準備することとされていた。 管区機動隊の指揮権は,原則として,署長,副署長にあって,Z警察署作成の雑踏警備計画書によっても,Q署長及びS副署長に属していたが,それ以外の幹部警察官も,署長らを介し要請をすることによって,管区機動隊を動員することは可能であったし,X1大隊長等に対し,直接要請をして,状況に応じて部隊を動員させることも可能であった。 また,本件夏まつりに関しては,前記のとおり,平成13年7月5日の幹部連絡会において,Q署長が,K5に対し,「もしものことがあれば,管機を使えばいい。」などと述べ,また,同月19日の幹部連絡会において,Q署長から被告人Cに対し,「雑踏警備の部隊運用の初期の責任者は,地域官とする。地域官は,全部隊を使って思い切ってやれ。総括指揮は,俺やから,何か手に負えないことがあったら,俺も行って指揮する。」などと告げていたことからして,雑踏警備に関し,被告人Cが管区機動隊を直接指揮することができたかは判然としなかったものの,少なくとも,Q署長は,被告人Cの求めがあれば,被告人Cをして,管区機動隊等を動員指揮させていたものということができる。 (エ) ところで,本件夏まつりの警備本部長は,Q署長とされ,その下にS副署長が配され,Z警察署には,署本部が設置され,署警備本部長のQ署長及び同副本部長のS副署長のほか,総括指揮班の警察 (エ) ところで,本件夏まつりの警備本部長は,Q署長とされ,その下にS副署長が配され,Z警察署には,署本部が設置され,署警備本部長のQ署長及び同副本部長のS副署長のほか,総括指揮班の警察官ら5人が配置されて,無線及びβ海岸公園北側所在のホテルの屋上とγZ駅前のYZ店の屋上に設置された監視カメラのモニターにより,現地の情報を入手する体制をとっていた。 また,署本部を設置した同署1階にある通信指令台には,110番指令端末(パソコン)や無線等の操作を担当する当番指令係員らを配置し,ここで県警本部指令室に入電する110番通報の内容や県警本部指令室からの指令を受信するとともに,Z警察署の一般加入電話への110番等通報を受信することとしていた。 (オ) Z警察署の雑踏警備計画は以上のとおりであって,本件歩道橋には南側階段を含めて警察官の固定配置はなかった。 なお,この雑踏警備計画については,本件夏まつり当日,警備につく警察官に対してその内容が周知徹底されていたとは言い難く,警察官の中には,迂回路の存在自体を知らなかったり,現地警備本部の位置を知らなかったり,また,実地踏査をしていない者もおり,そもそも,雑踏警備計画書自体に部隊配置図や導線図さえ添付されていなかった。 (カ) なお,Z警察署の雑踏警備計画書は,Z市及びD社には配付されることなく,両者とも,Z警察署の警備体制を知らされることはなかった。 3 本件夏まつりの準備段階における問題点上記の事実によれば,本件夏まつりの準備段階における問題点及びこれに関する被告人らの責任について,以下の諸点を指摘することができる。 (1) 本件夏まつりの会場選定等に関して前記のとおり,本件夏まつ 件夏まつりの準備段階における問題点及びこれに関する被告人らの責任について,以下の諸点を指摘することができる。 (1) 本件夏まつりの会場選定等に関して前記のとおり,本件夏まつりの2日目をβ海岸公園で行った場合,会場への主導線が本件歩道橋となることは明らかであるところ,10万人を超える参集者が予想されることからすれば,それ自体で本件歩道橋が相当程度に混雑することが予想されていた上,本件歩道橋の前記のような構造(南側階段部分の幅員が通路部分の幅員の約半分になっていて,ほぼ直角に曲がっているなど)自体や,歩道橋南端部や南側階段はβ海岸東側の堤防から打ち上げられる花火の絶好の観覧場所となることから,その南端部付近や南側階段において参集者が滞留し,特に,花火の終了直後に大混雑を生じることは容易に予想できたこと,また,前記のとおり,カウントダウン花火大会の際にも,花火の終了直後に本件歩道橋を北から南に向かう参集者と南から北に向かう参集者とが鉢合わせし,雑踏事故発生の一歩手前までいったこと,そして,本件夏まつりの予想参集者数は,カウントダウン花火大会のときよりも格段に多く,しかもカウントダウン花火大会のときには少なかった幼児等の年少者や高齢者が多数含まれることが予想できたことなどからすると,雑踏事故発生の危険性はカウントダウン花火大会よりもずっと高くなると考えられるのであるから,花火大会を伴う本件夏まつりの会場としてβ海岸公園を選定するには,慎重な検討が必要であったというほかない。 しかし,被告人A1,被告人A2及び被告人A3らZ市関係者は,前記のとおり,本件夏まつりの2日目をβ海岸公園で行うことを決定するに際し,予想参集者数,会場の広さ,周辺環境,経路(導線)の許容通行量,迂回路の存在及びその妥当性,交通渋滞の A3らZ市関係者は,前記のとおり,本件夏まつりの2日目をβ海岸公園で行うことを決定するに際し,予想参集者数,会場の広さ,周辺環境,経路(導線)の許容通行量,迂回路の存在及びその妥当性,交通渋滞の見込み,夜店の規模と配置などについての詳細な検討をなしておらず,前記のような雑踏事故防止の観点からβ海岸公園を会場とすることの適否の検討はなされなかった。 (2) カウントダウン花火大会のときの状況の調査検討に関して本件夏まつりのように,新たな会場で初めて大規模なイベントを行う場合には,前記のような点について検討するとともに,過去に同じ場所で類似のイベントが行われていた場合には,そのときの状況はどうであったかなどを具体的かつ詳細に調査した上で,会場として適切であるかどうか,会場として使用する場合にはどのような方策をとる必要があるかなどの点について慎重に検討すべきである。 しかし,本件夏まつりをβ海岸公園で行うことを決定したのは,実質的主催者であるZ市,すなわち,市役所関係被告人らであるが,いずれもカウントダウン花火大会に出席や参加し,そのイベントの存在や概要を認識していながら,そのときの状況がいかなるものであったかについて,調査検討を行っていないだけでなく,前記のように,Z警察署との検討会において,カウントダウン花火大会の際に本件歩道橋が混雑したことが問題にされ,また,被告人Bが,混雑した場合には,「カウントダウンの時のようにやります。」などと返答していて,カウントダウン花火大会の際に本件歩道橋が混雑したことについても認識しあるいは認識し得たのにもかかわらず,カウントダウン花火大会のときにいったいどのような事態が生じ,どのように対処したのか,そのような事態を避けるためにはどのようにすべきかなどについて,調査検 認識しあるいは認識し得たのにもかかわらず,カウントダウン花火大会のときにいったいどのような事態が生じ,どのように対処したのか,そのような事態を避けるためにはどのようにすべきかなどについて,調査検討を行った形跡はない。 特に,被告人Bは,カウントダウン花火大会において会場警備に従事し,本件歩道橋が混雑し,雑踏事故発生の一歩手前までいったことを十分認識していながら,そのとき本件歩道橋が混雑した原因を調査し,本件夏まつりをβ海岸公園で行う際に雑踏事故の発生を防止するための具体的な方策について,検討をしたような様子も窺えない。 (3) 本件歩道橋の遮へい,花火の打上げ場所,夜店の配置場所,迂回路等に関してβ海岸公園で花火大会を伴う夏まつりを実施すれば,前記のとおり,本件歩道橋の構造自体から,歩道橋南端部付近や南側階段に参集者が滞留し,大混雑が生じて混乱することは容易に予想されたのであるから,そのことによる雑踏事故発生の危険性を軽減するためには,例えば,①本件歩道橋の展望デッキや南側階段に参集者が留まって花火を観覧することがないように,展望デッキや南側階段から南側が展望できないよう遮へいすること,②花火の打上げ場所をβ海岸東側堤防ではなく,西側堤防にして,参集者を本件歩道橋から遠い会場西側に誘導すること,③夜店を本件歩道橋南側階段から離れた会場西側に配置し,参集者をそちらに誘導すること,④それらによって,参集者に迂回路の利用を促進させ,本件歩道橋に参集者が集中しないようにすること,⑤また,迂回路の利用を促進させるために,γε駅前において,迂回路への誘導のための看板などを設置しておくこと,⑥参集者が一時に参集し,また,一時に帰路に着くことがないよう,イベント内容を工夫することなどの方策をとるべきであった。 に,γε駅前において,迂回路への誘導のための看板などを設置しておくこと,⑥参集者が一時に参集し,また,一時に帰路に着くことがないよう,イベント内容を工夫することなどの方策をとるべきであった。 しかし,本件夏まつりにおいては,これらの方策は何らとられることなく,また,Z市において,夜店を会場西側に配置することが検討された以外には,特段これらの方策をとることが検討された様子も認められない。 (4) 雑踏警備計画及び警備体制等に関してこのようにβ海岸公園という雑踏事故が生じやすい場所で,その危険性を軽減するための適切な方策もとらないまま,本件夏まつりを開催するというのであれば,少なくとも,それを前提とした警備計画を立て,万全の警備体制を構築しておくべきであった。 そのためには,Z市ら主催者側(D社を含む。)としては,相当の人数の警備員を適切に配置しておくことは当然として,時々刻々と変化する本件歩道橋の状況,すなわち,歩道橋への参集者の流入・滞留状況を的確に把握し,どのような状態になれば,どのような規制をすべきであるか,どのようにして迂回路を利用すべきか,どのような場合に歩道橋北側ないし歩道橋南側で規制すべきかなどについて,詳細に決めておき,その際のZ市とD社との連絡方法,規制の有無の判断は誰がするか,どのような事態に至れば警察に規制を要請するのか,そのときの警察との連携をどのようにするのかなどといった点についてまで,計画段階で具体的詳細に取り決めておくべきであったが,その警備計画の内容は,前記のとおり,本件歩道橋における雑踏事故を防止するための具体策に欠けるものであっただけでなく,その不十分な警備計画さえ現実に警備に当たる警備員に周知徹底されていなかった。 また,Z警察署として ,本件歩道橋における雑踏事故を防止するための具体策に欠けるものであっただけでなく,その不十分な警備計画さえ現実に警備に当たる警備員に周知徹底されていなかった。 また,Z警察署としても,前記のとおり,本件歩道橋における雑踏事故の発生の危険性が大きいことは容易に認識し得たのであるから,主催者による自主警備が原則であるとしても,同様に,周到な警備計画を立て,万全な警備体制を構築しておくべきであり,予想参集者数に応じた数だけの雑踏警戒に当たる警察官の数を確保しておくのはもちろん,本件歩道橋内に警察官を固定配置しておくなどすべきであったにもかかわらず,その警備計画の内容は,前記のとおり,暴走族対策を重視するあまり,雑踏警戒班の人数も予想される参集者数に比して少なく,非常な混雑となることが容易に予想できた本件歩道橋に警察官を固定配置しないなど,本件歩道橋における雑踏事故を防止するためには不十分なものであっただけでなく,その不十分な警備計画さえ現実に警備に当たる警察官に周知徹底されていなかった。 しかも,Z市ら主催者側(D社を含む。)には,Z警察署の雑踏警備体制がどのようなものかは伝えられておらず,また,Z警察署はZ市ら主催者側の警備実施計画書を事前に受け取っていたものの,その内容を精査して,指導助言するなどしておらず,両者が連携し協同して雑踏事故を防止するような体制にはなっていなかった。 (5) 本件夏まつりの準備段階における問題点に関する被告人らの責任等市役所関係被告人は,β海岸公園が花火大会を伴う夏まつりを行う場所としては,慎重な検討を要する場所であったにもかかわらず,必要な検討を加えることなく安易にこれを本件夏まつりの会場として選定しただけでなく,あえてそこで本件夏まつりを実施するのであれ つりを行う場所としては,慎重な検討を要する場所であったにもかかわらず,必要な検討を加えることなく安易にこれを本件夏まつりの会場として選定しただけでなく,あえてそこで本件夏まつりを実施するのであれば,本件歩道橋において雑踏事故が発生する危険性を軽減させるための方策をとるべきであったのに,これをとることなく,本件夏まつりを企画・立案し実行したものであって,そのこと自体が本件事故発生の一因となっていることは否めず,その点においても責任のあることを否定できない。 被告人Bは,後記のとおり,事前の雑踏警備計画策定段階における役割が限定されていた面は否めないものの,警備の専門家として,また,警備員の統括責任者として,そして,Z警察署との第2回目,第3回目の検討会に出席した者として,その専門家としての立場と責任から,花火打上げ場所が妥当かどうか,夜店の配置が妥当かどうかなど,イベントの内容に立ち入った上での指導助言等を積極的にするとともに,本件歩道橋の展望デッキや南側階段の遮へい,迂回路の利用等,雑踏事故防止のための具体策を提言すべきであったにもかかわらず,有効な指導助言や提言をすることなく,かえって,Z警察署との検討会において,カウントダウン花火大会の際の本件歩道橋における混雑に話が及んだときに,「歩道橋については遊撃隊で対処します。」,「カウントダウンの時のようにやります。」などと発言して,曖昧なまま議論を収束させてしまい,更には,雑踏事故を防止するためには不十分なものである警備実施計画しか立てられず,雑踏事故防止のための十分な警備体制を構築できなかったったものであって,その点においても責任があることを否定できない。 また,被告人Cは,主催者による自主警備が原則であるとしても,警察は,主催者側に対する指導助言を積極的 構築できなかったったものであって,その点においても責任があることを否定できない。 また,被告人Cは,主催者による自主警備が原則であるとしても,警察は,主催者側に対する指導助言を積極的に行うべきとされているのであるから,警備の専門家として,また,Z警察署の地域官として,そして,Z市との第1回目,第2回目の検討会に出席した者として,その専門家としての立場と責任から,花火打上げ場所が妥当かどうか,夜店の配置が妥当かどうかなど,イベントの内容に立ち入った上での指導助言等を積極的にするとともに,本件歩道橋の展望デッキや南側階段の遮へい,迂回路の利用等,雑踏事故防止のための具体策を提言すべきであったにもかかわらず,有効な指導助言や提言をすることなく,かえって,暴走族対策に過度に重点を置いたため,本件歩道橋の混雑を緩和する可能性があったZ市の夜店の配置場所変更案に強く反対して,その実現を妨げ,更には,雑踏事故を防止するためには不十分なものである警備計画しか立てられず,雑踏事故防止のための十分な警備体制を構築できなかったものであって,その点においても責任があることを否定できない。 以上のとおり,本件夏まつりの準備状況には様々な問題点があって,雑踏事故発生の危険性を孕んだまま,本件夏まつり当日を迎えることになったものである。 第4 本件夏まつり当日の状況関係各証拠によれば,本件夏まつり当日の状況として以下の事実が間違いのないものとして認められる。 1 本件夏まつりの開催状況及び警備状況(1) 本件夏まつり当日の開催状況本件夏まつり当日は,β海岸公園において,午後6時から午後7時45分までスイカの無料配布(ただし,配布個数がなくなり次第終了),午後6時から午後9時まで夜店市,午後7時45分から午後 本件夏まつり当日は,β海岸公園において,午後6時から午後7時45分までスイカの無料配布(ただし,配布個数がなくなり次第終了),午後6時から午後9時まで夜店市,午後7時45分から午後8時30分まで花火大会が予定されていた。 (2) Z市職員及び警備員の配置状況ア本件夏まつり当日,前記のとおり,打上げ花火のための保安距離を確保するために,β海岸公園の芝生広場の一部(本件歩道橋南側階段を起点として南東側)が立入禁止とされていたが,Z市は,そこにテント7張を横並びに設置していた。 そのうち西端2張のテントを開催本部,実施運営本部(以下,併せて「運営等本部」という。)用として,被告人A1,被告人A2,被告人A3,F1及びF2らZ市役所関係者が待機し,そこから,順に東に向けて,被告人Cらの警察官用,被告人Bら警備員による自主警備本部用,F4らを配置したZ市の自主警備本部用,消防署の待機場所用,音響機器配置場所用とし,これらのテントを中心として,花火等の行事の運営や警備を監督・指揮する体制をとっていたが,各テントの北側に幕を張って歩道橋側からテントの中が見えないようにしていた。 なお,西端のテントから本件歩道橋南東角までの距離は40メートルもなく,また,歩道橋までの間は立入禁止とされていたこともあって,テントを出て歩道橋南側階段の様子を確認しに行くには1分もかからず,極めて容易であった。 イ Z市職員らは,本件夏まつり当日の午後4時ころまでに運営等本部テント前に集合し,その後,各責任者の指示を受け,それぞれの持ち場についたが,前記運営等本部テント付近には,F6遊撃隊長の下に遊撃隊12人(当日に1人が増員)が,同日午後4時30分ころには,各自無線機を受け取るなどして配置 ,各責任者の指示を受け,それぞれの持ち場についたが,前記運営等本部テント付近には,F6遊撃隊長の下に遊撃隊12人(当日に1人が増員)が,同日午後4時30分ころには,各自無線機を受け取るなどして配置についた。 ウ被告人B以下の本件夏まつり当日の警備員数は,自主的に参加した警備員4人を含めて137人であり,被告人Bが統括責任者として,また,同日午後6時20分ないし30分ころ自主警備本部テントに到着したD社社員のR1及び同R4(以下,両名を併せて「R1・R4姉妹」という。)が本部管制員として配置され,前記警備実施計画書記載のとおり,第1警備区から第7警備区の各警備区に固定配置の警備員がそれぞれ配置につき,そして,D社の2人及びV社の8人並びにT社の10人が本部直轄の遊撃隊とされた。 本件歩道橋には,T社の警備員6人が,前記警備実施計画書記載のとおり,γε駅側に1人,中央部に2人,南端部展望デッキに1人,南側階段下に2人,それぞれ配置されたが,歩道橋南側階段下の2人のうちの1人は,実際には,歩道橋エレベーター下の配置についていた。 (3) Z警察署の警察官等の配置状況Z警察署は,前記雑踏警備計画書記載のとおり,警察官350人をZ市全域に配置し,β海岸公園及びその周辺には,近畿管区機動隊員72人を含めた警察官159人を配置することとしていた。 警備に従事する警察官は,本件夏まつり当日午後4時ころ,Z警察署に集合し,Q署長,S副署長及び被告人Cらの訓辞等を受けた上,無線機や携帯電話等の機材を受領し,各自の配置場所に向かい,前記雑踏警備計画書記載のとおり,順次配置についた。 なお,雑踏警戒班の警察官には,トランジスターメガホン(トラメガ)が配布される予定であったが,K1 を受領し,各自の配置場所に向かい,前記雑踏警備計画書記載のとおり,順次配置についた。 なお,雑踏警戒班の警察官には,トランジスターメガホン(トラメガ)が配布される予定であったが,K1がその借り出し手続を失念していたため,配布されなかった。 近畿管区機動隊については,前記雑踏警備計画書記載のとおり,X1大隊長のもとX4中隊長が4小隊を率い,β海岸に3小隊を,γε駅北側にはX2小隊を配置し,β海岸担当のX5小隊,X6小隊及びX7小隊は,歩道橋から約600メートル西のβε陸橋南のバスで待機していた。 なお,管区機動隊の隊員は,前記のとおり,完全防護装備で,さらに,大盾,小盾,警杖,トラメガ,スターライト,強力ライト及び懐中電灯などを準備していた。 2 参集者の参集状況等(1) Z市の発表によると,本件夏まつり当日の参集者の数は,午後6時現在で約3万人,午後7時現在で約5万人,午後7時30分現在で約8万人,午後8時現在で約13万人であった。 なお,Z市民夏まつり事故調査委員会の調査結果によれば,ピーク時にβ海岸会場内には約8万3000人の参集者がいたとされている。 (2) 本件夏まつり当日,事前に予測されたとおり,γε駅側からの参集者のほとんどは,本件歩道橋へ向かい,午後6時ころから,γε駅側から多数の参集者が流入して歩道橋は徐々に混雑した状況となり,午後6時30分から午後7時ころには,歩道橋南端部付近は相当な混雑状態となって,滞留も生じつつあったが,その後も何ら歩道橋への流入制限が行われなかったため,歩道橋北側からの参集者の流入は増加の一途をたどり,午後7時26分ころには,制服警察官でも,歩道橋内を北から南へ進行するに際し,「1メートル進むのに5分かかる。」などとの無線 限が行われなかったため,歩道橋北側からの参集者の流入は増加の一途をたどり,午後7時26分ころには,制服警察官でも,歩道橋内を北から南へ進行するに際し,「1メートル進むのに5分かかる。」などとの無線連絡をするほどの密集状態となっていた。そして,午後7時45分に花火の打上げ開始以後は,歩道橋上からも花火を見ることができることもあって,花火が打ち上がるたびに参集者がその足を止めて花火を見るために,ますます進行速度が低下するようになり,また,歩道橋南端部展望デッキや南側階段は,花火観覧に絶好の場所であって,多数の参集者がそれらの場所に立ち止まって花火を観覧していたため,歩道橋南端部付近は,参集者で相当の混雑になって滞留し,周囲の圧迫により足が浮く者が生ずるに至り,午後8時30分ころには南端部手前では,最大で1平方メートル当たり約13人を超える密集状態に至った。 なお,前記事故調査委員会の調査結果によれば,本件事故発生時ころには,歩道橋南側階段を含めた本件歩道橋内に,約6400人ないし6500人が滞留していたとされ,歩道橋の南半分の極度に密集したと考えられる部分では,最大1平方メートル当たり約13人から15人という密集状態にあったと報告されている。 3 本件夏まつり当日の被告人らを含む関係者の行動等(1) 被告人A1,被告人A2及び被告人A3らZ市役所職員関係ア被告人A3,F1,F2及びF4らは,午前7時ころまでに,β海岸公園に到着し,立入禁止場所にカラーコーンを並べたり,立入禁止の広報や市道β町48号線の交通規制等をし,テント設営に立ち会うなどした。 なお,Z市は,市職員が使用するための無線機,トラメガ,携帯電話,懐中電灯,トラロープ,カラーコーン,コーンバーなどの資器材を準備していた 規制等をし,テント設営に立ち会うなどした。 なお,Z市は,市職員が使用するための無線機,トラメガ,携帯電話,懐中電灯,トラロープ,カラーコーン,コーンバーなどの資器材を準備していた。 イ被告人A1は,午後4時30分ころ,β海岸公園に到着した後,午後5時40分ころ,スイカの無料配布会場である東駐車場に行き,30分ほど様子を見た後,夜店の間を通り,本件歩道橋の階段下を通って,運営等本部テントに戻ったが,その際,多数の参集者が来場してかなり混雑しているのを確認した。 ウ被告人A2は,午後4時40分ころ,運営等本部テントに到着し,午後6時ころ,参集者の人数確認などのため,同テントの北側に出て,本件歩道橋の状況を見るなどした。 エ被告人A3は,午後6時ころ,参集者の人数を確認するために本件歩道橋の状況などを見て,歩道橋南側階段下に参集者が増えてきているのを認め,午後6時時点での参集者を約3万人と見積もってK1に報告した。 オ F2は,午後6時10分ないし20分ころ,本件歩道橋を見たところ,歩道橋の南側から3分の2くらいまで参集者で詰まり,参集者の流れが悪くなってきていると感じたため,自主警備本部テントに行き,被告人Bに対し,「ぼちぼち詰まりかけているので,迂回路の方に回して下さいね。」などと依頼し,被告人Bから,「分かってます。やります。」などと返事された。 カ被告人A1は,午後6時40分ころ,運営等本部テント北側付近において,K1と一緒に本件歩道橋を見たところ,徐々に混雑し始め,展望デッキ付近に参集者が立ち止まって滞留しつつある状況を認めたことから,海の方が見えると展望デッキ付近にどうしても人が溜まるので,来年は,展望デッキに板か何かで壁を作って,参集者が立ち止ま 始め,展望デッキ付近に参集者が立ち止まって滞留しつつある状況を認めたことから,海の方が見えると展望デッキ付近にどうしても人が溜まるので,来年は,展望デッキに板か何かで壁を作って,参集者が立ち止まらないようにし,自動的に階段の方に流れるようにしないといけないなどと話し合ったものの,両名とも,そのことを直ちに実行に移そうとは考えなかった。また,被告人A1は,その時点では,歩道橋は混雑はしてきたが,参集者の流れはゆっくり流れていると考えたため,特に危険性を感じなかった。被告人A1は,その後,午後7時前ころに運営等本部テント付近から歩道橋の様子を見た後は,ほとんど運営等本部テントにいて,歩道橋の様子は確認しなかった。 キ F4は,午後6時50分ないし午後7時ころ,テントの外に出た際に,本件歩道橋を見たところ,歩道橋内の参集者がほとんど動いていないように思えたため,このままでは何らかの事故が起きるのではないかと不安に思って,被告人Bに対し,「歩道橋大丈夫ですかね。」などと尋ねたが,被告人Bからは,「流れてまあす。」などと,まだ参集者の流れがあるので,歩道橋は大丈夫である旨言われたものの,被告人Bのこの答えに納得できなかったため,被告人A3に対し,「歩道橋危ないんちゃいますか。」などと相談した。そこで,被告人A3は,様子を見るため,歩道橋南端部下付近まで歩いて行く途中,F4に対し,「Bさんはどう言っているか。」などと聞いたところ,F4が,「Bさんは流れていますと言うてますけど。」と答えたのに加え,歩道橋南側階段ではゆっくりではあるものの参集者が流れているのを認めたことから,展望デッキ付近に参集者が滞留している状況を認め,また,F4から,「奥までびっしり人が詰まってます。」などと言われ,自らも「ようけ人おんなあ。」と言いながらも,「B が流れているのを認めたことから,展望デッキ付近に参集者が滞留している状況を認め,また,F4から,「奥までびっしり人が詰まってます。」などと言われ,自らも「ようけ人おんなあ。」と言いながらも,「Bさんが流れとる言うてるし,べっちょない(大丈夫という意味)。」などと言って,歩道橋の混雑を解消するような措置は何もとらなかった。 ク被告人A2は,午後7時ころから午後8時ころにかけて,数回にわたり,参集者の人数確認などのため,本件歩道橋の様子を見て,歩道橋内が混雑していることを認識したが,ゆっくりではあるものの,側壁越しに参集者が動いているのが見えたため,事故が起こるような感じまでは持たなかった。 ケ F2は,午後7時ころ,参集者をもっと西の方に流そうと思い,F3に指示して,アナウンサーにその旨アナウンスしてもらい,また,会場西側に行くに従って混雑が緩和していたため,参集者をもっと西に誘導しようと思い,被告人A3に電話して,参集者を会場西側へ誘導するようアナウンスをしてくれるように依頼した。 コ F6遊撃隊長は,午後7時15分ころ,本件歩道橋南側階段下の立入禁止区域の規制線付近に参集者が溜まり始めたのを見て,歩道橋の混雑状態が気になり,遊撃隊員F7に指示して,歩道橋の状況の確認に行かせたところ,同人が,「歩道橋の上はかなりの人がいる。このままだったら,歩道橋の南側が人であふれるので,歩道橋の北側から通行規制した方がいいのではないか。」などと報告してきたことから,必要なら警察官の出動を要請してもらおうと思い,被告人A3に対し,「歩道橋の対応はどうしとんや。」と尋ねたところ,被告人A3が,「警備の方で対応している。」と返答したことから,F6遊撃隊長も警備会社の方で対応していると受け取り,結局,歩道橋北側へのZ 3に対し,「歩道橋の対応はどうしとんや。」と尋ねたところ,被告人A3が,「警備の方で対応している。」と返答したことから,F6遊撃隊長も警備会社の方で対応していると受け取り,結局,歩道橋北側へのZ市の遊撃隊員の出動のみならず,同所への警察官の出動の要請もされず,何らの措置も講じられなかった。 サ午後7時45分ころに花火の打上げが始まり,被告人A1は,運営等本部テント前のベンチにおいて,被告人A2,被告人A3,F2及び観光協会専務理事Jらは,運営等本部テントにおいて,それぞれ花火を見物していたが,午後8時すぎころ,被告人A3とK1が,運営等本部テントにおいて,参集者の人数を何人と発表するかについて相談していたところ,同テントの北側から,被告人Cが怒鳴り込んできて,「歩道橋が詰まって動かへん。どうするんや。」などと言い,すぐに出ていったので,F2は,被告人Cの発言を聞いて,本件歩道橋に参集者が殺到して動かない危険な状態となっているのではないかと思い,すぐ自主警備本部テントに行き,被告人Bに対し,「地域官が歩道橋が詰まって動かへん言うてますけど,どうしましょう。」などと相談したが,被告人Bは,「今更どうしようもありません。花火が終わるまで待ちましょう。」などと答え,直ちに何らかの措置を講じようとはしなかった。 そこで,F2は,運営等本部テントに戻り,被告人A2に対して,「次長。Bさんは,歩道橋,今更どうしようもないから,終わるまで待とうと言ってますけど,どうしましょう。」などと言って,被告人A2の指示を仰いだところ,被告人A2は,歩道橋の様子を見に行くこともなく,「今更どうしようもないやろ,放っとかんか。」などと答え,何らの対処方法をも指示しなかったため,F2は,今度は被告人A3に対し,「課長。歩道橋どうしまし 告人A2は,歩道橋の様子を見に行くこともなく,「今更どうしようもないやろ,放っとかんか。」などと答え,何らの対処方法をも指示しなかったため,F2は,今度は被告人A3に対し,「課長。歩道橋どうしましょう。」などと言って相談を持ちかけたが,被告人A3も,やはり歩道橋の様子を見に行くこともなく,「もうちょっとしたら終わるから,それまで待とか。」などと答えたため,F2もその指示に従うことにして,被告人A1には相談せず,また,被告人B,被告人A2及び被告人A3のいずれも,このことについて,被告人A1に相談することはなかったため,被告人A1は,被告人Cが怒鳴り込んできたことも知ることなく,結局,Z市としては何らの措置も講じないまま花火の打上げの終了を待つことになった。 シなお,Z市は,会場内10か所に設置したスピーカーを通じて,花火打上げ中を除き,「花火は西側でも見られます。花火終了後はZ駅,ζ駅方面にお帰り下さい。」などというアナウンスを繰り返しており,また,花火大会終了後も,会場内に配置されたZ市職員は,参集者を西側に誘導するように案内し,また,遊撃隊を歩道橋南側階段下付近に配置して,同様に,参集者を西側に誘導するような案内をしていた。 (2) 被告人B及び警備員関係ア被告人Bは,午前9時ころ,β海岸公園に到着し,会場内への一般車両の入場制限を行ったり,自主警備本部テントに無線機を設置するなどして自主警備本部設営の作業を行った後,午後2時30分ころ,自主警備本部テント前において,集合した警備員に対し,いわゆる朝礼を実施し,「今日の花火大会は,大変な人出となるので,事故のないようにすること。」,「客とトラブルにならないよう,笑顔で接し,言葉遣い等を丁寧にすること。」などといった一般的な指示を与えたが,それ以上 施し,「今日の花火大会は,大変な人出となるので,事故のないようにすること。」,「客とトラブルにならないよう,笑顔で接し,言葉遣い等を丁寧にすること。」などといった一般的な指示を与えたが,それ以上に具体的な警備実施についての注意点を確認したりはせず,警備員の点呼や人数確認すらしないまま朝礼を終え,各警備区隊長と遊撃隊長に携帯無線機を配付したものの,約束していたK1に携帯無線機を貸与するのを忘れてしまった。 各警備員は,午後3時ころからおおむね警備を開始し,本件歩道橋にもそのころから警備員6人がその配置に付いたが,本件歩道橋北側に配置された警備員に対して,迂回路への誘導等の具体的な指示はなされなかった。 イ被告人Bは,午後6時10分ないし20分ころ,自主警備本部テントにおいて,F2から,本件歩道橋について,「ぼちぼち詰まりかけているので,迂回路の方に回して下さいね。」などと依頼され,「分かってます。やります。」などと返答し,遊撃隊員のV社の警備員に対し,歩道橋南側階段やその付近の参集者への広報と誘導を指示し,また,同じく遊撃隊員のT社の警備員に対し,歩道橋の状況を確認してくるように指示した。 ウ本件歩道橋には,前記のとおり,6人の警備員が固定配置されていたが,午後6時30分ころからは,遊撃隊等を含むと約20人の警備員が,交代で適宜休憩を取るなどしながら歩道橋及びその周辺にいた。 しかし,これら警備員は,トラメガ及び誘導灯により,参集者に対し,「足下注意」,「立ち止まらないでゆっくりと進んで下さい。」などと呼びかけたり,β海岸公園側からγε駅方向へ向かう人のための通路の確保や先導などを行っていただけであった。 そして,γε駅前では,参集者に対して迂回路の存在を示す で下さい。」などと呼びかけたり,β海岸公園側からγε駅方向へ向かう人のための通路の確保や先導などを行っていただけであった。 そして,γε駅前では,参集者に対して迂回路の存在を示すような看板表示や放送はされておらず,また,当初は,警備員による迂回路への誘導も実施されず,逆に,参集者を歩道橋の方へ誘導していた。 エ D社社員のR1・R4姉妹は,他の場所でのイベント警備を終え,本件夏まつりの警備に従事するため,午後6時ころ,γε駅に到着し,γε駅を出て本件歩道橋を通行したが,既にγε駅側から多数の参集者が流入して歩道橋内の通行が困難な状態になりつつあったため,午後6時20分ないし30分ころになって,自主警備本部テントに到着し,被告人Bに対して,「歩道橋上は人がかなり多い。」などと報告した。 被告人Bは,その後間もなく,自主警備本部テントを出て,本件歩道橋南側階段下付近まで行き,歩道橋内や階段の状況を確認したところ,歩道橋内は南になるに従って混雑がひどく,南端部展望デッキ付近に参集者が滞留している状況を認めたことから,遊撃隊のWに対し,歩道橋南側階段と南端部展望デッキ付近に参集者を立ち止まらせないこととスイカの無料配布から帰る参集者を歩道橋東側で一列にして帰すようになどと指示した。 オ被告人Bは,午後6時43分ころ,東側から本件歩道橋を見て,歩道橋南端部に少なくとも約650人の参集者が滞留しているものと推測し,自主警備本部テントにいたR3に対し,「陸橋上約650人の滞留,1分間に10メートルの流れ。」と無線連絡したが,その滞留を解消するような措置について具体的な指示をすることはなかった。 カ被告人Bは,午後6時50分ないし午後7時ころ,F4から,「歩道橋大丈夫ですかねえ 流れ。」と無線連絡したが,その滞留を解消するような措置について具体的な指示をすることはなかった。 カ被告人Bは,午後6時50分ないし午後7時ころ,F4から,「歩道橋大丈夫ですかねえ。」などと尋ねられたが,本件歩道橋内の人の動きがこの時点では未だ止まっていないと思ったことから,雑踏事故発生の危険性はないものと判断し,「流れてまあす。」などと返答して,F4の前記危惧を打ち消し,何らの措置もとらなかった。 キ Wは,被告人Bの前記指示を受けて本件歩道橋内で警備していたが,歩道橋が参集者で混雑し,南側(β海岸公園側)から北側(γε駅側)へ向かう参集者の進路を確保することが困難になったことから,歩道橋を対面通行にした方がいいと考え,午後7時25分ころ,被告人Bに対し,「帰る人の通路確保のため,ロープかカラーコーンで規制できないか。」と無線で問い合わせた。 この無線を受けた被告人Bは,Wからの前記申し出を対面通行ではなく,本件歩道橋北側での分断規制を求められているものと受け取り,警察官用テントに行き,被告人Cに対し,歩道橋の混雑解消方策を相談したところ,被告人Cから,「このまま自然の流れでいこう。」などと言われた上,被告人B自身も,その時点では参集者もゆっくり流れていると思ったことから,Wに対し,現状のまま誘導を続けるように指示しただけであったが,無線でのこのやりとりを聞いていたR1は,なぜ規制をしないのか疑問に思い,被告人Bに対し,「規制はしないのか。」などと尋ねたところ,被告人Bは,警察官から「自然に流す。」旨言われたと答えた。 ク午後7時45分ころに花火が開始された後,R3から,「歩道橋階段の人の流れが止まっています。」との無線連絡が入り,被告人Bは,これに対し,「西への広報を続けよ 旨言われたと答えた。 ク午後7時45分ころに花火が開始された後,R3から,「歩道橋階段の人の流れが止まっています。」との無線連絡が入り,被告人Bは,これに対し,「西への広報を続けよ。」と指示したので,R3は,本件歩道橋南側階段下で,トラメガを使って西への広報を続けていたが,あまりの参集者の多さに流れはほとんど止まったままで効果がなかった。 また,被告人Bは,午後7時55分ころ,歩道橋内にいたWから,歩道橋内の参集者が動かないので,警察に歩道橋北側での流入規制を依頼して欲しい旨の要請を受けたことから,自主警備本部テントにいたR1・R4姉妹に対し,「ちょっと応援に行ってこい。客を西に流して,迂回路に迂回させろ。花火が終わったら,警察が来てくれて一方通行になるから。」などと言って,Wら遊撃隊の応援に当たるよう指示した後,警察官用テント北側にいた被告人Cに対し,歩道橋内に参集者が滞留していることを伝え,「前が詰まってもうどうにもなりません。ストップしましょうか。」などと聞いたところ,被告人Cから,「今様子を見に行かせてる。」と言われたため,警察は規制してくれないものと判断して,それ以上,歩道橋内の滞留状況を解消する方策を相談することもなく,自主警備本部テントに戻り,Wに対し,警察は今は動けない旨を無線送信したが,その後,被告人Cに対し,様子を見に行った結果を確認することもなく,また,改めて対処方法を問い直したりもしなかった。 ケ被告人Bは,午後8時すぎころ,自主警備本部テントにきたF2から,「地域官が歩道橋動かへん言うてますけど,どうしましょう。」などと相談されたが,警察は花火が終わるまで動いてくれないなどと既に判断していたことから,Wからの無線連絡などにより,本件歩道橋内が警察による規制を実施し 橋動かへん言うてますけど,どうしましょう。」などと相談されたが,警察は花火が終わるまで動いてくれないなどと既に判断していたことから,Wからの無線連絡などにより,本件歩道橋内が警察による規制を実施しなければならない程度の滞留状況に達していることを認識していたものの,F2に対し,「今更どうしようもありません。花火が終わるまで待ちましょう。」などと答えるに止まり,Z市関係者に警察の出動要請を進言したり,あるいは自ら警察の出動を要請したりするなどの対処方法を何ら講じず,結局,そのまま放置することとなった。 コなお,本件歩道橋内は,花火打上げ開始後は,相当程度に混雑し,参集者の進行も停滞していたものの,歩道橋に配置された警備員は,参集者に立ち止まらないよう呼びかけるほかには,このような混雑の中をγε駅側に進行する僅かな参集者のための通路を確保したり,その人を先導して群衆の中を逆行していったりするなどしていて,混雑解消のための具体的な措置をとることもなかった。 サ被告人Bは,前記のとおり,R1・R4姉妹らに対し,参集者を西に流すように指示したが,その時点では,本件歩道橋南側階段下には参集者が殺到しており,西側に行こうにも,道路には夜店に集まってきた参集者が多数密集し,芝生広場も花火を見ている参集者であふれかえっていた上,そもそも,この時点で参集者に花火打上げ場所から遠くなり,また,γε駅に帰るのに近い歩道橋の側から西側に迂回するように言ったとしても,効果が上がるはずがなかったにもかかわらず,被告人Bは,「参集者を西に流すように。」という効果を期待できない指示を無益に繰り返すだけであった。 そして,次々,警備員から,「駅前で人があふれています。」,「警察を呼べませんか。」,「規制できないんですか。」などとい という効果を期待できない指示を無益に繰り返すだけであった。 そして,次々,警備員から,「駅前で人があふれています。」,「警察を呼べませんか。」,「規制できないんですか。」などといったせっぱ詰まった声の無線連絡があったが,被告人Bは,それらに対し,「しばらく待て。もう少し,花火が終わるまで頑張れ。」などとの指示を繰り返すのみであった。 (3) 被告人C及びZ警察署関係ア Z警察署では,事前の計画どおり,Z警察署に警備本部(署本部)を設置し,署本部において,Q署長及びS副署長らが,全体の警備の指揮をとり,また,現地警備本部において,被告人Cが指揮をとる態勢となっていた。 イ被告人Cは,午後5時30分ころ,β海岸公園に到着し,歩道橋南端部展望デッキ下の管理人室を確認するなどして配置についた。 ところで,当初の計画では,K3が被告人Cの伝令として地域系無線及び隊内系無線を携行して被告人Cと行動をともにする予定であったが,当日,K3から,管理人室でのK1の無線取扱事務に協力したい旨の申入れがあったことから,被告人Cはこれを了承し,以後,被告人Cは,伝令のK3と離れて単独で行動するようになった。 ところで,前記のZ市との検討会において,K1は,警備会社から携帯無線機を借り受けることになっていたが,K1も被告人Bもこれを失念していたため,結局,Z警察署の誰も警備会社から携帯無線機を借り受けることはなかった。 ウ被告人Cは,午後6時すぎころ,ひとりで会場の巡回を開始し,午後6時15分ころには,本件歩道橋南端部展望デッキに上って歩道橋内の状況を見たが,まだそれほどの混雑になっているとは感じなかった。 また,被告人Cは,その後間もなく,K6から し,午後6時15分ころには,本件歩道橋南端部展望デッキに上って歩道橋内の状況を見たが,まだそれほどの混雑になっているとは感じなかった。 また,被告人Cは,その後間もなく,K6から,花火大会終了後の歩道橋の警備は,K7班だけでは少ないので,K13班も歩道橋の警備につけてはどうかなどと進言されたが,事前の計画を変更する必要はないとして,その進言を容れなかった。 なお,被告人Cは,前記のとおり,伝令のK3と離れて行動しており,地域系無線も隊内系無線も携帯していなかったが,その後,花火警戒班の隊内系無線を借りて無線交信していた。 エこの間の午後6時15分ころ,K21班から,「ε駅あふれんばかりの人だかり。」との無線発報がされたため,K5の指示を受けたK7が,γε駅へ転進するべく,本件歩道橋南側階段下付近から,歩道橋内や階段上の混雑状況を確認したところ,歩道橋の幅一杯に大量の参集者が北側から南側に向かってきていたことから,参集者の流れに逆らって,歩道橋を南側から北側に進行することは容易でないと判断し,午後6時20分ころ,無線でK5に対し,「人混みのため歩道橋を逆行できない。」旨応答したため,結局,同転進は打切りとなった。 オ一方,Z警察署内に設けられた署本部においても,午後6時30分ころ,テレビモニターにγε駅が混雑している様子が映し出されたため,Q署長は,S副署長と相談した上,K7班に対して,γε駅へ転進して様子を見るように指示したが,これに対して,被告人Cから,「自然渋滞である。」との無線発報が,また,K21班からも,「ゆっくりと前進,危険な状況なし。」との無線発報がされたため,結局,午後6時33分ころ,K7班に対し,同転進中止の指示がなされた。 カ午後6時43分こ 発報が,また,K21班からも,「ゆっくりと前進,危険な状況なし。」との無線発報がされたため,結局,午後6時33分ころ,K7班に対し,同転進中止の指示がなされた。 カ午後6時43分ころ,K7班からK5に対して,「ε陸橋(本件歩道橋のこと)全部滞留。」との無線発報がなされ,被告人Cは,K5に対し,γε駅の様子を見た上で,本件歩道橋への流入規制の必要性等について検討するよう指示し,これを受けたK5は,K6及びK7班のK10,K11及びK12の4人を伴って,歩道橋を南から北へ渡ったが,歩道橋を渡りきるのに約10分要した。 K5は,午後7時ころ,γε駅前に着き,K21班班長のK21と歩道橋への流入規制の必要性について話し合ったが,K5及びK21は,いずれも,そのときはγε駅前から線路の北側沿いを西へ進行する迂回路の存在を知らなかったり意識していなかったりしたこともあって,この時点で歩道橋への流入を規制すると,γε駅構内や同駅を出て歩道橋へ向かう人が多いことから,駅構内や駅前の車道にまで人があふれるおそれがあるため,現時点では規制をしない方がよいと判断した。 そこで,K5は,携帯電話で署本部のS副署長にその旨連絡した上,午後7時10分すぎころには,「ε駅での規制の意味はない。」旨の,午後7時14分ころには,「少しずつは前進。規制する必要なし。」などと無線発報し,被告人Cもこの無線を聞いていた。 キ K5は,午後7時10分ころ,警察官用テントに引き返そうとしたところ,K10班の3人からβ海岸公園側に帰るのに迂回路を通って帰る旨言われたことから,ようやく前記迂回路の存在を思い出し,そこでK10班の3人と別れ,K6を伴って,本件歩道橋を渡るのにかかる時間を計測しながら,本件歩道橋を北側から南 に帰るのに迂回路を通って帰る旨言われたことから,ようやく前記迂回路の存在を思い出し,そこでK10班の3人と別れ,K6を伴って,本件歩道橋を渡るのにかかる時間を計測しながら,本件歩道橋を北側から南側へ渡り始め,当初はスムーズに進行できていたため,午後7時10分すぎころと午後7時14分ころに,前記とおりの無線発報をしたが,そのうちに参集者の滞留のため,容易に進行できなくなって立ち止まるようになったため,K5は,午後7時26分ころ,「1メートル進むのに5分かかる。」旨無線発報し,被告人Cもこれを受信した。 なお,K10班の3人は,しばらく本件歩道橋北側で混雑状況を確認した後,前記迂回路を通り,午後7時45分ころ,β海岸公園に戻ったが,警察官用テントに帰って雑踏警戒に当たることなく,花火大会終了の午後8時30分近くまで,東駐車場に停めたバスの中で休憩するなどしていた。 ク被告人Cは,各部隊に本件歩道橋の状況を知らせようとしたが,その前の午後7時ころに,運営等本部テント付近から歩道橋南側階段を見たところ,少しずつではあるが流れていたこともあり,「歩道橋から階段下はスムーズ。歩道橋上は,1メートル行くのに5分かかる。」などと無線発報した。 ケなお,本件歩道橋北側では,X2小隊の隊員が3班に分かれて交代で歩道橋北側出入口付近及びγε駅前等において立番し,また,K21班の班員が2人1組となって,γε駅構内や同駅前等の警戒をして,徒歩暴走族対策や事件防止等のための監視をしていたが,K21班から,γε駅の混雑状況について,前記のような無線発報はあったものの,前記警察官らが,それ以上に雑踏状況の監視やその報告,歩道橋への流入規制や西側への迂回誘導等をしていたわけではなかった。 コ被告人Cは,午後7時5 ,前記のような無線発報はあったものの,前記警察官らが,それ以上に雑踏状況の監視やその報告,歩道橋への流入規制や西側への迂回誘導等をしていたわけではなかった。 コ被告人Cは,午後7時55分ころ,被告人Bから,本件歩道橋内に参集者が滞留していることを伝えられ,「前が詰まってどうにもなりません。ストップしましょうか。」などと言われたが,K5に様子を見に行かせていたこともあって,「今様子を見に行かせている。」と述べるに止まり,歩道橋への流入規制をするかどうかなどという,被告人Bからの問いかけには,直接答えることはなかった。 なお,この際のやりとりについて,被告人Bは,被告人Cに対し,前記のように,「前が詰まってどうにもなりません。ストップしましょうか。」などと言ったが,被告人Cからは,「今様子を見に行かせている。」と言われた旨供述しているのに対し,被告人Cは,捜査段階及び公判段階において,被告人Bから,前記のようなことを言われてはおらず,被告人Bから,「混みだしましたね。」という話であったので,私が,「混みだしたけれども,流れとるほうに近いな。」という話をして,しばらく沈黙して歩道橋の方を見ていた後,被告人Bから西側の迂回路へ回していることを聞いただけである旨供述している。しかし,被告人Bが被告人Cと話をしたのは,Wから警察への規制の要請を求められた直後であること,被告人Bのいう話の内容は歩道橋のその当時の客観的状況や,被告人Cがその当時K5に歩道橋の様子を見に行かせていて,その復命前であったこととも合致していることなどからすると,この点に関しては,被告人Bの供述の方が被告人Cの供述よりも信用することができるとみるのが相当である。 サ他方,K5は,被告人Cが被告人Bと前記のやりとりをした直後ころの どからすると,この点に関しては,被告人Bの供述の方が被告人Cの供述よりも信用することができるとみるのが相当である。 サ他方,K5は,被告人Cが被告人Bと前記のやりとりをした直後ころの午後7時55分ころ,警察官用テントに到着し,同テント北側で本件歩道橋の方を見ていた被告人Cに対し,「歩道橋の中はすごく混雑しています。駅前からこっちに渡るのに35分もかかりました。駅前でも,花火見物の客があふれていますし,これからまだ増えると思います。ε駅からの規制をするんであれば,雑踏警戒班だけでは無理だと思うので,ε駅北側に配置されている管区機動隊を使ったらどうでしょう。」などと報告したが,これに対し,被告人Cは,歩道橋の方を見て,「動かんなあ。」と言いながらも,「あれ(管区機動隊のこと)は,暴走族対策やしな。」などと言っただけで,何ら歩道橋への流入規制を実施するなどの措置を講じなかった。 シ被告人Cは,午後8時すぎころ,運営等本部テント北側から,テント内を覗いたところ,テント内にいた被告人A3やK1らが,漫然と花火を見ているように思えたことから,テント内に入り,「歩道橋が詰まって動かへん。どうするんや。」などと怒鳴り付けて,すぐにテントから出ていった。 被告人Cは,午後8時6分ころ,K5に対し,計画よりも約10分早い午後8時20分ころには本件歩道橋の配置につくように指示したところ,K5から,「たった5人ではどうにもできませんよ。部隊が必要ですよ。地域官も現場を1度自分の目で見てきたらどないですか。」などと強く進言されたものの,これを聞き入れなかったため,K5は,やむなく,午後8時15分ころ,K6及びK7班3人の4人とともに,歩道橋南側階段下の配置につき,階段を上がろうとする参集者に対して,上がれない旨呼び れたものの,これを聞き入れなかったため,K5は,やむなく,午後8時15分ころ,K6及びK7班3人の4人とともに,歩道橋南側階段下の配置につき,階段を上がろうとする参集者に対して,上がれない旨呼びかけるなどしたが,トラメガさえ準備していないこともあって,ほとんど効果はなかった。 なお,この点について,K5の供述は,前記のように,「部隊が必要ですよ。地域官も現場を1度自分の目で見てきたらどないですか。」とも言ったというのに対し,被告人Cの供述は,捜査段階及び公判段階において,K5から,「5人ではどうにもなりません。」とは言われたが,「部隊が必要ですよ。」とか「現場見たらどないですか。」などとは言われていない旨供述する。しかし,その時点での客観的な状況からすれば,本件歩道橋南側階段下において,参集者を西へ誘導したり,歩道橋への流入規制をしたりしようとしても,5人ではどうにもできないことは明らかであり,K5が,「部隊が必要ですよ。地域官も現場を1度自分の目で見てきたらどないですか。」旨強く進言したというのは,このような状況に照らして合理的であること,また,K6の供述には,先の午後7時55分ころのこととこの時のこととの区別がやや判然としないところがあるものの,K5の供述とおおむね合致しているといい得ることなどからすれば,この点に関しては,K5の供述の方が被告人Cの供述よりも信用することができるというべきである。 ス(ア) 署本部では,午後4時30分ころから,本部長であるQ署長と伝令のK22,総括指揮班の責任者であるS副署長とその伝令のK23,同班長のK24,同班員のK25が順次配置につき,本件夏まつりの警備の総括指揮に当たっていた。 本件夏まつり当日は,地域第1課が当番であったことから,通信指令 その伝令のK23,同班長のK24,同班員のK25が順次配置につき,本件夏まつりの警備の総括指揮に当たっていた。 本件夏まつり当日は,地域第1課が当番であったことから,通信指令台には同課のK26,K27,K28らが座り,K24,K25,K23らは,隊内系無線を主に担当していた。 (イ) 署本部では,県警本部指令室からの指令を受信できる地域系無線,雑踏部隊や暴走族対策の各部隊と連絡に当たる隊内系無線,Z警察署が通常の警察業務で使用するZ警察署専用の署活系無線を配備しており,また,署本部には,モニターテレビ2台が用意され,1台はZ駅周辺の状況を映し出し,もう1台はβ海岸周辺の状況を映し出していた。 なお,警察への電話は,110番通報とZ警察署の加入電話に直接かかってくる場合の2通りあるが,110番通報は,全てまず県警本部指令室に入電され,それがパソコンの画面に入力され,それぞれの警察署にその画面がパソコンで送信されることとなっていて,Z警察署管内の事件であれば,Z警察署の通信指令台の110番指令端末(パソコン)にその画面が送信されて,送信されたときには,その旨アラーム音が鳴ることになっていたほか,県警本部指令室から,電話もしくは地域系無線で事件の内容を伝える仕組みになっていた。 他方,Z警察署への加入電話への電話については,まず,Z警察署の交換台に繋がり,その後,原則として通信指令台に回すことになっていた。 (ウ) 前記のとおり,午後6時30分ころ,署本部のテレビモニターにγε駅の混雑の様子が映し出されたこともあって,署本部ではK7班に対し,γε駅に転進して様子を見るよう無線指令を出したが,この指令は,被告人CやK21からの情報により,午後6時33 テレビモニターにγε駅の混雑の様子が映し出されたこともあって,署本部ではK7班に対し,γε駅に転進して様子を見るよう無線指令を出したが,この指令は,被告人CやK21からの情報により,午後6時33分に取り消された。 S副署長は,午後6時51分ころ,被告人Cから,電話で歩道橋はスムーズに流れている,K5に駅の様子を見に行かせている旨の報告を受け,また,午後6時55分ころ,K21に報告を求めたところ,観衆は多いが流れており,大丈夫との報告を受け,午後7時7分ころ,K5からも,γε駅のホームに人は多いが,歩道橋は流れており規制の必要はない旨の電話報告を受けた。 なお,署本部のテレビモニターのうち,β海岸周辺のものは,混雑情報や何らかの指揮伺いがあるときには,判断の参考にするため,その現場を映し出すなどしていたものの,ほとんどは本件歩道橋南側階段付近を固定的に映し出していた。 (エ) Q署長とS副署長とは,午後8時24分ころ,花火大会終了後のγε駅における雑踏警戒の指揮を検問班のK29中隊長に委ねようと考え,「K7班はε駅に転進し,K29中隊長指揮下に入れ。K13班はK5の指揮に入れ。」との無線指令を出したが,前記雑踏警備計画書によれば,K13班はもともとK5の指揮下にあって,花火大会終了後は,δ電鉄ζ駅へ転進する予定であったことから,なぜこのような指令が出されたのか分からず,かえって,K5をして,花火大会終了後,K13班とともに,同駅へ雑踏警戒のために転進せよという趣旨であると解させる余地があったことから,この無線指令後,K5及びK6は,午後8時30分ころから15分ないし20分間程度,歩道橋南側階段下を離れて会場西側に向い,その後,再び歩道橋南側階段下に戻って警備に当たることになった。 ったことから,この無線指令後,K5及びK6は,午後8時30分ころから15分ないし20分間程度,歩道橋南側階段下を離れて会場西側に向い,その後,再び歩道橋南側階段下に戻って警備に当たることになった。 セ前記のとおり,午後6時ころから,γε駅側から多数の参集者が流入して本件歩道橋は徐々に混雑した状況となり,午後6時30分から午後7時ころには,歩道橋南端部付近においては相当な混雑状態となり,滞留も生じつつあり,その後も歩道橋北側からの参集者の流入は増加の一途をたどり,午後7時45分の花火開始後は,歩道橋南端部付近では,周囲の圧迫により足が浮く者が生ずるに至り,同南端部手前では最大で1平方メートル当たり約13人を超える密集状態にあった。 そのため,午後8時20分ころから,本件歩道橋内の参集者から苦情や対応要請等の110番通報が相次ぎ,午後8時22分ころには,「交通整理してほしい。ε駅からβ海岸に行く橋の数か所で喧嘩をしている。人が多すぎて動けない。子供も息ができないと言っている。何とかしてほしい。」との110番通報を受信したことから,県警本部指令室は,午後8時24分,Z警察署及び現地警備本部に対して,「β海岸とγとの連絡道の中の数か所で喧嘩。なお,現在,人が多くて全く身動きが取れない。小さな子供は息ができない。相当の悲鳴を含んだ女性からの通報が入っている。浜側及び山側等からマル策等の体制を願いたい。」との指令を出し,同様の内容がZ警察署の110番指令端末(パソコン)にも流され(以下,これを「喧嘩通報」という。),署本部では,前記喧嘩通報を受けて,歩道橋内で喧嘩が発生しているものと判断し,午後8時25分,喧嘩鎮圧のため,「地域官が現場指揮せよ。」との指令を出したが,被告人Cには伝わった形跡は存しない。 では,前記喧嘩通報を受けて,歩道橋内で喧嘩が発生しているものと判断し,午後8時25分,喧嘩鎮圧のため,「地域官が現場指揮せよ。」との指令を出したが,被告人Cには伝わった形跡は存しない。 ソ前記の午後8時24分の県警本部指令室の指令を受けて,午後8時30分ころ,β海岸中交差点に配置されていた管区機動隊のX4中隊長が,X5小隊,X6小隊を率い,本件歩道橋に向かって出動したものの,国道28号線を東進しすぎて市道β町48号線に入るために逆戻りしたことや,両側歩道上に夜店が並び車道一杯に参集者が滞留している市道β町48号線を通行しなければならなかったことなどから,15分から20分間を要して歩道橋南側階段下に到着し,直ちに歩道橋南側階段下に規制線を張ってγε駅方面に向かおうとする参集者の流入を規制し,歩道橋南側階段に滞留している参集者を下に排除するとともに,X5小隊長らをして歩道橋に上がって行かせた。 4 花火大会終了後の状況午後8時30分ころに,花火の打上げが終了したが,それ以後も,本件歩道橋内の参集者の多くは,なおも夜店のあるβ海岸公園に向かおうとする一方,歩道橋南端部展望デッキや歩道橋南側階段上で花火を見物していた参集者の一部が反転して北側へ向かい始めるとともに,β海岸公園にいた参集者の多くが歩道橋南側階段に集中して上り始めた。 そのため,本件歩道橋南端部付近において,双方向の参集者の流れが衝突するようになって身動きがとれなくなり,午後8時40分ないし50分ころには,歩道橋南端部手前において,四囲の圧力からいわゆる群集雪崩が生じ,数か所で多数人が転倒するなどして本件事故が発生し,多数の者が死傷するに至った。 なお,本件において,死傷した被害者のほとんどは,午後7時30分ころから午後8時ころの間に, 群集雪崩が生じ,数か所で多数人が転倒するなどして本件事故が発生し,多数の者が死傷するに至った。 なお,本件において,死傷した被害者のほとんどは,午後7時30分ころから午後8時ころの間に,歩道橋北側から歩道橋内に入って被害に遭ったものである。 5 救出状況等(1) 前記のとおり,県警本部からの通信指令を傍受したことなどから,管区機動隊のX2小隊,X5小隊,X6小隊等の管区機動隊が本件歩道橋南北両方向へ出動した。 そして,午後8時50分ころ,X2小隊らによって歩道橋北側からの人の流入が規制されて,γε駅側への流出一方となり,他方,午後8時45分ないし50分ころ,中交差点から駆けつけた管区機動隊X5小隊,X6小隊の隊員らにより,歩道橋南側階段下に人垣による規制線が張られて,β海岸公園から歩道橋へ流入する人が遮断されるとともに,X6小隊及びX5小隊の隊員らが,同階段及び歩道橋南端部展望デッキ付近の人を階段下に下ろしながら歩道橋に上がり,午後8時50分ないし55分ころにようやく歩道橋南端部手前の転倒事故現場に到着し,付近の人も多数協力しての転倒者等の救出活動が開始された。 また,歩道橋内の参集者の一部は,歩道橋の屋根に上って,圧迫を受けている子供を引き上げて救出したり,歩道橋内の参集者を歩道橋北側へ誘導するなどしていた。 (2) 他方,午後8時28分に,警備員が倒れたとの119番通報がなされ,これに応じて,Z市消防本部第5救急隊が午後8時32分に歩道橋北側に到着し,次いで,午後8時50分ころにZ市消防本部第1救急隊も到着した。そして,その後も次々と119番通報がなされたことにより,応援要請を受けた神戸市消防局及び加古川市消防本部も含めて,多数の救急車等が現場に出動して被害者の救助に当たっ 消防本部第1救急隊も到着した。そして,その後も次々と119番通報がなされたことにより,応援要請を受けた神戸市消防局及び加古川市消防本部も含めて,多数の救急車等が現場に出動して被害者の救助に当たった。 第5 被告人らの業務上過失致死傷罪の成否の検討 1 被告人らの業務性これまでみてきたところから,被告人らの業務性については,以下の事実が明らかである。 (1) 市役所関係被告人についてア被告人A1は,本件夏まつりの実質的主催者であるZ市において,商工業,観光等に関する所管事務の基本計画及び執行方針を策定するとともにそれらの執行を統括する権限を有する市民経済部長として,また,本件夏まつりの開催本部統括副責任者として,市民経済部商工観光課が実務を担当した本件夏まつりの開催業務全般を統括し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していた。 被告人A2は,同じく市民経済部経済産業担当次長として,また,本件夏まつりの実施運営本部実施責任者として,被告人A1を補佐し,本件夏まつりの開催業務全般を掌理し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していた。 被告人A3は,同じく市民経済部商工観光課長兼観光協会事務局長として,また,本件夏まつりの実施運営本部実施副責任者として,被告人A1及び被告人A2を補佐し,本件夏まつりの企画及び警備計画の策定等の事務を掌理し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していた。 イところで,被告人A1の弁護人は,Z市は,本件夏まつり開催業務を観光協会に委託しており,被告人A1は,本件夏まつりの準備や計画について観光協会の決裁ラインから外れていたから,本件夏まつりの開催業務全般を統括するよう A1の弁護人は,Z市は,本件夏まつり開催業務を観光協会に委託しており,被告人A1は,本件夏まつりの準備や計画について観光協会の決裁ラインから外れていたから,本件夏まつりの開催業務全般を統括するような地位にはなかった旨主張する。 しかしながら,Z市から観光協会への業務委託は,形式的なものにすぎず,本件夏まつりの実質的主催者がZ市であったことは,前示のとおりであるところ,本件夏まつりは,市民経済部に属する商工観光課の主要事務事業であって,被告人A1は,前記認定のとおり,実際にも,被告人A3らに対し,会場変更の検討を指示し,夜店の配置場所の問題について積極的に関わり,また,本件夏まつり開催業務全般について,被告人A3ら部下から相談を受け,それを指導監督するなどしていたものであるし,被告人A1と同じく観光協会の職を兼ねておらずその決裁ラインから外れている被告人A2においても,Z警察署との第3回目の検討会に出席するなど,本件夏まつりの準備や計画に関与していたのであるから,形式的に観光協会の決裁ラインから外れていたことをもって,本件夏まつりの開催業務全般を統括するような地位になかったというのは失当であり,被告人A1は,実質的主催者であるZ市において,実務を担当していた市民経済部商工観光課の事務の執行を統括する市民経済部長として,また,本件夏まつりの開催本部統括副責任者として,本件夏まつり開催業務全般を統括し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたということができる。被告人A1の弁護人の前記主張は理由がない。 (2) 被告人Bについて被告人Bは,警備業を営むD社の大阪支社長であり,D社と本件夏まつりの実質的主催者であるZ市との契約に基づき,本件夏まつりの会場警備に従事した警備員の統 (2) 被告人Bについて被告人Bは,警備業を営むD社の大阪支社長であり,D社と本件夏まつりの実質的主催者であるZ市との契約に基づき,本件夏まつりの会場警備に従事した警備員の統括責任者として,被告人A1らとともに,参集者の安全を確保する警備体制を構築して実施すべき業務に従事していた。 (3) 被告人Cについてア被告人Cは,Z警察署地域官として,本件夏まつりの雑踏警備計画の企画・立案を掌理し,また,本件夏まつりの現地警備本部指揮官として,雑踏警戒班指揮官ら配下警察官を指揮して,参集者の安全を確保すべき業務に従事していた。 イなお,被告人Cの弁護人は,被告人Cは,雑踏警備計画策定途中にその任務を外されており,雑踏警備計画の企画・立案を掌理していない旨主張し,被告人Cも公判廷においてそれに沿う供述をする。 なるほど,前記認定のとおり,部隊編成が遅れ,警備計画の策定が進展しなかったことから,Q署長が平成13年6月21日ころ,K1及びK3に対し,以後の雑踏警備計画の策定については,S副署長の決裁を受けるようにと告げてから,K1及びK3は被告人Cの決裁を受けずに,直接S副署長の決裁を受けていたこと,また,同月26日のZ市との第3回目の検討会にも被告人Cではなく,S副署長が出席したことが認められる。しかしながら,Q署長が,K1及びK3に対して,S副署長の決裁を受けるように指示したのは,地域課として取り組むべき職務質問強化月間であったため,一時的に被告人Cの職務を軽減しようとしてのものであったこと,同月末ころ,Q署長が,S副署長と被告人Cを呼び,「地域官が雑踏警備の責任者や。警備計画は地域官が作らな誰が作るんや。」などと指示したことから,S副署長は,その後,雑踏警備計画の策定に直接 ったこと,同月末ころ,Q署長が,S副署長と被告人Cを呼び,「地域官が雑踏警備の責任者や。警備計画は地域官が作らな誰が作るんや。」などと指示したことから,S副署長は,その後,雑踏警備計画の策定に直接は関与しなくなったのに対し,被告人Cは,雑踏警備計画の内容を確認し,県警本部に部隊編成の説明に赴いたり,幹部連絡会等に出席して地域官としての立場から,雑踏警備計画を説明・審議したり,Q署長から,雑踏警備計画の内容について具体的な指示を受けたりし,また,応援部隊の隊長らを率いて実地踏査をしたりしていること,そして,被告人Cは,K1及びK3の上司として,両名を指導監督する立場にあり続けたこと,更には,Z警察署の雑踏警備計画書や主催者側から提出された警備実施計画書の決裁もしており,本件夏まつり当日には現地警備本部の指揮官であったことなどからすれば,被告人Cが雑踏警備計画の策定から外されていたとはいえず,なお雑踏警備計画の企画・立案を掌理していたというべきである。被告人Cの弁護人の前記主張は理由がない。 2 本件夏まつり当日に至るまでの事情による雑踏事故発生の予見可能性と予見義務及び結果回避可能性と結果回避義務(1) 本件夏まつり当日に至るまでの事情のうち,雑踏事故発生の原因となり得るものこれまでみてきたところによれば,本件夏まつり当日に至るまでに雑踏事故発生の原因となり得る事情として,以下のものを挙げることができる。 ア本件夏まつりは,従来からの会場を変更して,β海岸公園において初めて行われたものであって,同会場での雑踏警備の実績はなかった。 イ本件夏まつりには10万人を超える参集者を見込んでいたが,その行事の性質上,幼児を含む年少者や高齢者なども多数参集してくることが予想された。 ウ 雑踏警備の実績はなかった。 イ本件夏まつりには10万人を超える参集者を見込んでいたが,その行事の性質上,幼児を含む年少者や高齢者なども多数参集してくることが予想された。 ウ本件夏まつりの会場となったβ海岸公園は,γε駅の南方に位置し,同駅とは,本件歩道橋によって接続されており,γε駅を利用して集まってきた参集者を始め,多くの参集者が本件歩道橋を通ってβ海岸公園に参集することが予想された。 エ本件歩道橋の構造(南側階段部分の幅員が通路部分の幅員の約半分となって,ほぼ直角に曲がっているなど)や,本件歩道橋南端部や南側階段はβ海岸東側の堤防から打ち上げられる花火の絶好の観覧場所となることから,その南端部付近や南側階段において参集者が滞留し,大混雑を生じることが容易に予想された。 オ本件夏まつりにおいては,180余の夜店が本件歩道橋南側階段下の市道β町48号線の南北歩道上に出店することとなっていたことから,夜店周辺に参集者が密集して人の流れが滞り,また,本件歩道橋南側階段南西側の芝生広場(海峡広場)は花火を観覧するのに絶好の場所であることから,そこに参集者が集まって場所取りなどをすることにより,歩道橋南側階段からの参集者の流出が妨げられ,それらによっても,本件歩道橋南端部付近や南側階段において参集者が滞留することなどが予想された。 カ本件夏まつりの花火大会は,午後7時45分に開始され,午後8時30分に終了することが予定されていたため,花火大会の開始時刻に合わせてγε駅側から多数の参集者が本件歩道橋を通ってβ海岸公園に集まってくること,また,花火大会終了前後からは,いち早く帰路に着こうとする参集者がγε駅方面に向かうために本件歩道橋に殺到すること,それによって,本件歩道橋内において 本件歩道橋を通ってβ海岸公園に集まってくること,また,花火大会終了前後からは,いち早く帰路に着こうとする参集者がγε駅方面に向かうために本件歩道橋に殺到すること,それによって,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることなどが予想された。 キ β海岸公園においては,平成12年12月31日から翌平成13年1月1日にかけて,いわゆるカウントダウン花火大会が行われたが,その際,午前零時のカウントダウン花火大会に向けて参集者が本件歩道橋に殺到して相当の混雑状態となり,警備員,警察などの協力によって,歩道橋北側出入口と歩道橋南側階段下に規制線を張るなどして,本件歩道橋に殺到する参集者を規制,整理することにより,雑踏事故の発生を未然に防ぐことができたものの,雑踏事故の発生が危惧されるような状態が生じていた。 ク本件夏まつりに向けて,Z市,D社及びZ警察署において,雑踏警備計画策定に向けた検討が重ねられてきたが,そこでは,前記第3の3の(3)で指摘したような本件歩道橋における参集者の滞留による混雑防止のための有効な方策はとられず,また,本件歩道橋の混雑状況をどのようにして監視するのか,そして,混雑してきた場合にどのような規制方法をとるのか,どのような事態になった場合に,警察による規制を要請するのか,その場合の主催者側とZ警察署との間の連携体制をどのようにするのかなどといった詳細について,具体的な計画は策定されていなかった。 (2) 上記事情の下における被告人らの雑踏事故発生の予見可能性と予見義務及び結果回避可能性と結果回避義務ア市役所関係被告人について(ア) 被告人A1及び被告人A2は,本件夏まつり当日に至る前に,少なくとも前記(1)アないし 性と予見義務及び結果回避可能性と結果回避義務ア市役所関係被告人について(ア) 被告人A1及び被告人A2は,本件夏まつり当日に至る前に,少なくとも前記(1)アないしカ記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見することは可能であったし,また,前記認定のその業務からして,これを予見すべき義務があったということができる。 この点,被告人A1は,捜査段階において,「β海岸への最寄り駅が,γε駅であり,又この度の花火打上会場が南北にほぼ一直線に結ばれる位置関係となり,参集者の多くがε歩道橋を通行することは,充分に分かったことです。」。「歩道橋の南端は,当初の予定で,文化館を建設するという構想がありましたので,鉄柵のままとなっておりました。」,「この鉄柵のところが今回の花火を観覧するには,絶好の場所となっていたのです。」,「普段であれば,充分すぎるほどの余裕がありますが,まつりともなれば当然混雑が予想され,γε駅とε歩道橋が警備要点になることは予想しておりました。」,「階段もありますので,混雑によっては転倒等の事故は考えられたことです。」などど供述しているところであり,また,被告人A2も,同様に,捜査段階において,「花火大会の会場となるβ海岸には,γε駅を出た所から,ε歩道橋を渡って直ぐに行けるというアクセスの良さから,花火大会の見物客の大半がε歩道橋を渡り,その結果,ε歩道橋が相当混雑することが予想でき,人が押し合いへし合いすることにより,階段から転落する等の事故が発生するのではないかということは,十分考えられました。」などと供述してい 道橋を渡り,その結果,ε歩道橋が相当混雑することが予想でき,人が押し合いへし合いすることにより,階段から転落する等の事故が発生するのではないかということは,十分考えられました。」などと供述しているところである。 被告人A1及び被告人A2は,前記認定のとおり,主催者側(D社を含む。)の雑踏警備計画の詳細についてまでは把握しておらず,前記(1)キ,ク記載の各事情も認識していなかったが,被告人A1及び被告人A2が,市民経済部長あるいは同次長という立場であることからすれば,事務レベルの詳細なことは部下である被告人A3らに任せていたとしてもやむを得なかったと考えられるから,これらの事情を全て認識し得べきであったとまではいうことができない。しかしながら,前記(1)アないしカ記載の各事情からしても,本件夏まつりにおいて,適切な警備が行われなければ,本件歩道橋で雑踏事故が発生する危険を予見することが可能であったし,また,予見すべき義務があったのであり,更には,前記各事情のうち,本件夏まつりはβ海岸公園において初めて行われたものであって,もちろんそこでの雑踏警備の実績もこれまでなかったことからすると,雑踏事故の発生を未然に防止するために,被告人A1及び被告人A2においても,適切な雑踏警備計画が立てられているかどうかを確認した上,本件夏まつり当日,雑踏警備が順調に行われているかどうかを把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,被告人A1については,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,被告人A2については,被告人A1を補佐して,同様に,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することが必要であり,それがなされていれば,後述のとおり,適切に対応して事故の 告人A2については,被告人A1を補佐して,同様に,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することが必要であり,それがなされていれば,後述のとおり,適切に対応して事故の発生を未然に防止することが可能であったということができ,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によれば,常時監視が可能であったことは明らかであるから,そうすべき義務があったということができる。 (イ) 被告人A3も,同様に,本件夏まつり当日に至る前に,前記(1)アないしク記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険を予見することが可能であったし,また,前記認定のその業務からして,これを予見すべき義務があったということができる。 この点,被告人A3は,捜査段階においては,「カウントダウンの後,県の実行委員会のメンバーの人から,階段で倒れかけた人がいて危険な状態があったということ等を聞いたことがある。」,「私も,ε歩道橋に花火大会の観客が集中することは予測していましたし,南側階段上等でも転倒による事故発生の危険性があることはわかっていました。」などと供述しているところである。 そして,被告人A3は,本件夏まつりにおいて,適切な雑踏警備が行われなければ,本件歩道橋で雑踏事故が発生する危険が小さくなかったにもかかわらず,事前の雑踏警備計画策定段階において,雑踏事故防止のための方策や本件歩道橋の状況監視,規制方法,主催者側と警察側との連携体制等の具体的な点についての詳細な計画が策定されていなかったことを認識していたのであり,そのような場合には,事態が悪化 故防止のための方策や本件歩道橋の状況監視,規制方法,主催者側と警察側との連携体制等の具体的な点についての詳細な計画が策定されていなかったことを認識していたのであり,そのような場合には,事態が悪化してからでは,その事態に適切に対応することが極めて困難になるのであるから,雑踏事故発生を未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,被告人A1及び被告人A2を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することが必要であり,それがなされていれば,後述のとおり,適切に対応して事故の発生を未然に防止することが可能であったということができ,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によれば,常時監視が可能であったことは明らかであるから,そうすべき義務があったということができる。 (ウ) 市役所関係被告人の弁護人は,著しい混雑が予測された本件歩道橋が公道であることから,第一次的に雑踏事故発生防止の責務を有する者は,警察官職務執行法等に基づく強制的規制力を持つ警察である旨主張する。 しかし,本件歩道橋についても,強制力の行使にわたらない範囲においては,主催者の自主警備の原則が当てはまるというべきことは前示のとおりであって,警察としては,主催者側に対して警備計画策定段階から,専門家として積極的に指導助言すべき責任があり,また,自主警備では対応できない強制にわたる部分については,その責務が認められるというべきであるが,本件歩道橋が公道であることの一事をもって主催者側の安全確保義務が消滅するものではなく,市役所関係被告人が前記の義務を免れる ない強制にわたる部分については,その責務が認められるというべきであるが,本件歩道橋が公道であることの一事をもって主催者側の安全確保義務が消滅するものではなく,市役所関係被告人が前記の義務を免れることにはならない。市役所関係被告人の弁護人の前記主張には理由がない。 (エ) また,市役所関係被告人の弁護人は,市役所関係被告人らZ市職員は,本件夏まつりは,警備会社に警備を委託することが自主警備の質を高めるとの考えから,警備会社に警備を委託して,警備会社を通じて雑踏警備に当たったものであり,また,Z警察署との事前の検討会において,当日の雑踏警備は警察と警備会社が連絡を取り合って行うことになっていたものであるから,結局,Z市としては,本件夏まつり当日の雑踏警備に関しては,警察及び警備会社に委ねていたのであって,第一次的な責任は警備会社にあり,Z市の責任は第二次的なものにすぎない旨主張する。 なるほど,本件夏まつりにおいては,前記認定のとおり,Z市とD社との間において,警備を委託する旨の契約が締結されていたことが認められるが,これはあくまでも実質的主催者であるZ市が行う自主警備の一手段として警備会社を利用したということにすぎないのであって,警備会社に警備を委託したことによって,主催者としての責任が当然に第二次的なものになるとは限らないというべきである。 たしかに,Z市がD社に,本件夏まつりの警備の全体をいわばトータルプロデュースさせるようなものであった場合には,D社ひいては被告人Bに,会場警備の第一次的な責任があったということもできるかもしれない。すなわち,会場選定の問題から始まり,花火打上げ場所の決定,夜店の配置,イベントのタイムテーブル等を含むイベント全体について,D社に警備の観点か 第一次的な責任があったということもできるかもしれない。すなわち,会場選定の問題から始まり,花火打上げ場所の決定,夜店の配置,イベントのタイムテーブル等を含むイベント全体について,D社に警備の観点から意見を述べてもらい,その意見に従ってこれらの点を決定し,実施していくというようなものであれば,そして,Z市がD社にそれに見合うだけの報酬を支払っているのであれば,D社に会場警備の第一次的な責任があったともいえなくもないように思われる。しかしながら,本件においては,前記認定のとおり,被告人Bが警備を依頼された時点では,既に会場は決定されており,その他の花火打上げ場所やイベント内容等についても,全てZ市側において決定し,警備の観点から被告人Bに意見を求めたりはしていないこと,また,その契約金額からしても,D社にそこまでのことを求めていたとは考え難いこと,そして,実際のところ,Z市は,D社,ひいては被告人Bに対し,そこまでのことは求めておらず,これまで市職員が行ってきていた当日の現場における警備業務を委ねることに主眼があったといい得ること,被告人Bには自由に協力警備会社(下請業者)を選定させることすらさせなかったこと,Z市は,D社から被告人Bらが出席する以前から,自ら主催してZ警察署との検討会を開くなど,雑踏警備計画策定に主体的・積極的に関与し,その検討会においても,F4が警備員の配置個所のたたき台を作成し,結局,被告人Bもそれを踏襲するなど,雑踏警備計画策定について,主体的に関与し,実質的にリードしていたこと,Z市としても,市独自の警備計画案を含む運営体制マニュアルを策定し,実際に,本件夏まつりにおいても,市としての自主警備本部を設け,また,相当数の市職員を配置して会場の警備に当たり,緊急時等に対応する遊撃隊をも組織していたこと,また,Z市の 体制マニュアルを策定し,実際に,本件夏まつりにおいても,市としての自主警備本部を設け,また,相当数の市職員を配置して会場の警備に当たり,緊急時等に対応する遊撃隊をも組織していたこと,また,Z市の自主警備本部は,被告人Bとの間で常に連絡を取り合う態勢をとっており,D社作成の警備実施計画書によれば,被告人B自身は,D社などの警備会社は主催者の指揮下にあると考えていたことが窺えること,そして,被告人A1を始めとしてZ市の関係者は,本件夏まつり会場に来場し,時々刻々と変化する本件歩道橋の状況を容易に認識し得る立場にあったこと,F2,F1及びF4らの市民経済部商工観光課の職員のみならず,F6遊撃隊長らも,自ら会場内を見て回って,本件歩道橋の混雑状況を確認するなどし,それへの対応を検討,指示するなどしており,Z市の職員等も,歩道橋の警備を完全に警備会社任せにせず,ある程度主体的に歩道橋や会場の状況を監視していたことなどが認められることからすれば,第一次的な責任は警備会社にあるなどという,市役所関係被告人の弁護人の主張は,余りにも自己に都合のよい主張というほかなく,実質的主催者であるZ市の責任と警備会社との責任は,いわば重畳的に併存していたというべきであって,市役所関係被告人が前記の義務を免れることにはならない。 さらに,付言するに,そもそも,前記認定のとおり,本件夏まつりにおいてD社を統括管理会社に選定したのは,被告人Bとの個人的な繋がりと,被告人Bの個人的な資質(なお,この資質がこれほど大規模なイベントを任せられるだけのものであるかどうかを調査した様子は窺えない。)に頼った部分が多分にあり,統括管理会社となるべきD社の業務実態や実績すら詳細には調査せず,また,大規模なイベント警備に実績の少ないZ市内の警備会社を協力警備会社 かどうかを調査した様子は窺えない。)に頼った部分が多分にあり,統括管理会社となるべきD社の業務実態や実績すら詳細には調査せず,また,大規模なイベント警備に実績の少ないZ市内の警備会社を協力警備会社として使うことを条件にしていたことなどからすれば,このような大規模イベントの雑踏警備についての業者選定方法としては,それ自体問題があったというほかなく,そのような業者選定をしておきながら,当日の警備責任を警備会社に押しつけようとする市役所関係被告人の弁護人の前記主張は到底採用し得ないところである。 イ被告人Bについて被告人Bは,本件夏まつり当日に至る前に,前記(1)アないしク記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見することが可能であったし,また,前記認定のその業務からして,これを予見すべき義務があったということができる。 この点については,被告人B及び被告人Bの弁護人も特に争っておらず,また,捜査段階においても,「私は,平成12年末にβ海岸で開催されたカウントダウンイベントにおいても,会場警備の全般を実質的に統括していた経験から,ε歩道橋には花火大会の観客が集中し,特に,花火大会の終了後は,帰り客がε歩道橋に押し寄せることが予想され,歩道橋上や,南西部の階段上に滞留が起こり,よって,将棋倒し等の雑踏事故が発生する危険性があることは分かっておりました。」などと供述しているところである。 そして,被告人Bは,本件夏まつりにおいて,適切な雑踏警備が行われなければ,本件歩道橋で雑踏事故が発生する危険が小さくなかったにもかかわら した。」などと供述しているところである。 そして,被告人Bは,本件夏まつりにおいて,適切な雑踏警備が行われなければ,本件歩道橋で雑踏事故が発生する危険が小さくなかったにもかかわらず,事前の雑踏警備計画策定段階において,雑踏事故防止のための方策や本件歩道橋の状況監視,規制方法,主催者側と警察側との連携体制等の具体的な点についての詳細な計画が策定されていなかったことを認識していたのであり,そのような場合には,事態が悪化してからでは,その事態に適切に対応することが極めて困難になるのであるから,雑踏事故発生を未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,自ら又は配下警備員をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することが必要であったと考えられ,それがなされていれば,後述のとおり,適切に対応して事故の発生を未然に防止することが可能であったということができ,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によれば,常時監視が可能であったことは明らかであるから,そうすべき義務があったということができる。 ウ被告人Cについて被告人Cは,本件夏まつり当日に至る前に,前記(1)アないしク記載の各事情を認識し又は容易に認識し得たのであるから,β海岸公園において,花火大会を伴う本件夏まつりを実施した場合には,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見することが可能であったし,また,前記認定のその業務からして,これを予見すべき義務があったということができる。 この点につき,被告人Cは,捜査段階において,「β海岸のε歩道橋につ することが可能であったし,また,前記認定のその業務からして,これを予見すべき義務があったということができる。 この点につき,被告人Cは,捜査段階において,「β海岸のε歩道橋については,今回の花火大会に関する警備計画策定の過程で何度となく実地踏査を行い,ε歩道橋が,γε駅前及びその周辺から花火大会会場であるβ海岸へ行くことのできる,実質的に唯一の経路であり,当日,参集が予定されていた十数万人の観客の多くがε歩道橋に集中すること,歩道橋南端部には階段があり,観客の混雑が起これば,階段上での転倒やそれに伴って周囲を巻き込む将棋倒し等の事故が発生する危険性があることも認識しておりました。」などと供述しているところである。 そして,被告人Cは,本件夏まつりにおいて,適切な雑踏警備が行われなければ,本件歩道橋で雑踏事故が発生する危険が小さくなかったにもかかわらず,事前の雑踏警備計画策定段階において,雑踏事故防止のための方策や本件歩道橋の状況監視,規制方法,主催者側と警察側との連携体制等の具体的な点についての詳細な計画が策定されていなかったことを認識していたのであり,そのような場合には,事態が悪化してからでは,その事態に適切に対応することが極めて困難になるのであるから,雑踏事故発生を未然に防止するために,本件夏まつり当日,雑踏警備の状況を的確に把握して,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応するため,自ら又は配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視することが必要であったと考えられ,それがなされていれば,後述のとおり,適切に対応して事故の発生を未然に防止することが可能であったということができ,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によ することが必要であったと考えられ,それがなされていれば,後述のとおり,適切に対応して事故の発生を未然に防止することが可能であったということができ,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によれば,常時監視が可能であったことは明らかであるから,そうすべき義務があったということができる。 3 本件夏まつり当日に認識した事情を含めた上での雑踏事故発生の予見可能性と予見義務及び結果回避可能性と結果回避義務前記のとおり,被告人らは,いずれも,本件夏まつり当日に至る前から,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険があることを予見することが可能であったし,また,予見すべき義務があったのであるから,本件夏まつり当日には,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に適切に対応して事故の発生を未然に防止するため,自ら又は部下職員ないし警備員,配下警備員あるいは配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視すべき義務があったということができるが,被告人らが,本件夏まつり当日において,雑踏事故発生に結びつく事情をさらに認識し又は認識し得た場合には,雑踏事故発生の予見可能性と予見義務がより具体的になるとともに,結果回避可能性と結果回避義務もより具体的に問題となるので,以下,個別に検討することとする。 (1) 被告人らが本件夏まつり当日に認識し又は認識し得た事情とより具体的な予見可能性と予見義務ア被告人A1について被告人A1は,前記認定のとおり,本件夏まつり当日の午後5時40分ころから,東駐車場内において開催予定であったスイカの無料配布場所に行くなど会場内を見て回り,本件夏まつりの開始時刻ころには,多数の参集者が来場して混雑し のとおり,本件夏まつり当日の午後5時40分ころから,東駐車場内において開催予定であったスイカの無料配布場所に行くなど会場内を見て回り,本件夏まつりの開始時刻ころには,多数の参集者が来場して混雑しているのを確認し,午後6時40分ころには,K1と本件歩道橋の方を見ながら話をした際,歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を実際に認識していたことが認められ,これらの参集者の動向は事前の予想どおりであったということができる。 そうすると,被告人A1は,本件夏まつり当日の午後6時40分ころには,本件歩道橋を見た際の状況からして,その後もますます多くの参集者が集まって,次第に混雑が進行し,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 イ被告人A2について被告人A2は,前記認定のとおり,本件夏まつり当日の午後7時ころに本件歩道橋の状況を確認し,事前の予想どおりに多数の参集者が参集し,歩道橋が徐々に滞留しつつある状態を認識したことが認められる。 そうすると,被告人A2は,本件夏まつり当日の午後7時ころに本件歩道橋を見た際の状況からして,その後もますます多くの参集者が集まって,次第に混雑が進行し,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべき 者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 そして,被告人A2は,さらに,本件夏まつり当日の午後8時すぎころには,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から,その対処方法について相談を受けたことにより,歩道橋内が何らかの規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,前記のように参集者の滞留がいっそう激しくなることも容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 ウ被告人A3について被告人A3は,前記認定のとおり,本件夏まつり当日,会場設営等の作業に従事した後,運営等本部テントで待機したり,会場内を見て回り,夏まつりの開始時刻ころには,事前の予想どおりに多数の参集者が来場して混雑しているのを確認した上,午後6時50分ないし午後7時ころには,F4からの指摘により,本件歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を認識していたことが認められる。 そうすると,被告人A3は,本件夏まつり当日の午後6時50分ないし午後7時ころには,本件歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を認識したことからして,その後もますます多くの参集者が集まって,次第に混雑が進行し,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事 の参集者が集まって,次第に混雑が進行し,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 そして,被告人A3は,さらに,本件夏まつり当日の午後8時すぎころには,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から,その対処方法について相談を受けたことにより,歩道橋内が何らかの規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,前記のように参集者の滞留がいっそう激しくなることも容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 エ被告人Bについて被告人Bは,前記認定のとおり,本件夏まつり当日の午後6時10分ないし20分ころ,自主警備本部テントにおいて,本件歩道橋の南側から3分の2くらいまでが参集者で詰まり,参集者の流れが悪くなってきていると感じたF2から,「ぼちぼち詰まりかけているので,迂回路の方に回して下さいね。」などと依頼され,午後6時20分ないし30分ころには,R1・R4姉妹から,「歩道橋上は,人がかなり多い。」旨の報告を受け,実際に,自主警備本部テントを出て,本件歩道橋南側階段下付近まで行って歩道橋内や階段の状況を見て,歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留している状況を認め,そして,午後6時43分ころには,今度は東側から本件歩道橋を見上げて,歩道橋南端部付近に少なくとも約65 って歩道橋内や階段の状況を見て,歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留している状況を認め,そして,午後6時43分ころには,今度は東側から本件歩道橋を見上げて,歩道橋南端部付近に少なくとも約650人の人がいるものと推測し,「陸橋上約650人の滞留,1分間に10メートルの流れ。」と無線連絡し,更に午後6時50分ないし午後7時ころには,本件歩道橋内の人がほとんど動いていないと感じたF4から,「歩道橋大丈夫ですかねえ。」などと聞かれ,歩道橋内に参集者が滞留しつつある状況を実際に認めたことが認められる。 そうすると,被告人Bは,本件夏まつり当日の午後7時ころまでには,本件歩道橋を見た際の状況等からして,その後もますます多くの参集者が集まり,次第に混雑が進行し,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 そして,被告人Bは,その後も,本件夏まつり当日の午後7時25分ころ,Wからロープ規制の可否の問い合わせを受け,午後7時55分ころにもWから警察官による流入規制の要請を受けるなどし,また,午後8時すぎころには,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から対処方法について相談を受けたことから,歩道橋内が警察官による規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,前記のように参集者の滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることについても ことを認識し,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,前記のように参集者の滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 オ被告人Cについて(ア) 被告人Cは,前記認定のとおり,本件夏まつり当日の午後5時30分ころには夏まつり会場に来て,会場内を巡回するなどし,夏まつり開始時刻ころには,多数の参集者が来場して混雑しているのを確認した上,午後6時15分ころからの一連の無線連絡や,また,午後6時43分ころのK7班からの「ε陸橋(本件歩道橋のこと)全部滞留。」との無線連絡などにより本件歩道橋が参集者で滞留している状況を認識していた。 そうすると,被告人Cは,本件夏まつり当日の午後6時45分ころまでには,無線連絡の内容等からして,その後もますます多くの参集者が集まり,次第に混雑が進行し,特に,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,双方向に向かう参集者の流れがぶつかり,滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 そして,被告人Cは,さらに,本件夏まつり当日の午後7時26分ころの,K5からの「1メートル進むのに5分かかる。」との無線連絡によって,本件歩道橋内の通行が困難な状況になっていることを認識し,午後7時55分ころには,被告人Bから,「前が詰まってどうにもなりません。ストップしましょうか。」などと聞かれ,その直後,K5からも,歩道橋を渡るのに35分かかった旨の報告を受け,それらの報告など 午後7時55分ころには,被告人Bから,「前が詰まってどうにもなりません。ストップしましょうか。」などと聞かれ,その直後,K5からも,歩道橋を渡るのに35分かかった旨の報告を受け,それらの報告などから,午後8時ころまでには,本件歩道橋内が警察官による規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,花火大会終了前後からは,本件歩道橋内において,前記のように参集者の滞留がいっそう激しくなることが容易に予想できたのであるから,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることについても予見することができ,また,予見すべき義務があったというべきである。 (イ) なお,被告人Cの弁護人は,この点について,①被告人Cは,歩道橋の混雑状況及び規制の必要性の有無を確認させたK5からの午後7時14分ころの「規制する必要なし。」との無線報告を信頼したことから,この時点で被告人Cは本件歩道橋が歩行困難な状況になりつつあることを認識し得なかった,②被告人Cは,午後7時26分ころ,K5から「1メートル進むのに5分かかる。」との無線連絡を受けたが,この連絡内容は客観的に誤っており,この時点でも,本件歩道橋の通行が困難になっていることを認識していないし,また,認識し得なかった,③午後7時55分ころの被告人Bとの会話は,警察による規制を求めるものではなかった,④被告人Cは,午後7時55分ころ,K5から「歩道橋を渡るのに35分かかった。南階段はスムーズである。全体に流れている。εの駅は,今は流れているが,これから増えてくるだろう。規制するんであれば,雑踏班だけでは無理なので,ε駅配置の部隊を使ったらどうですか。」との報告を受けたが,これは今すぐに配下警察官を動員して規制措置をとるべきであるとの進言内容ではなく,将来的に混雑状況がひど あれば,雑踏班だけでは無理なので,ε駅配置の部隊を使ったらどうですか。」との報告を受けたが,これは今すぐに配下警察官を動員して規制措置をとるべきであるとの進言内容ではなく,将来的に混雑状況がひどくなり規制の必要が出てきた場合には配下警察官を動員しなければならないというものにすぎず,また,K5は警察官用テントへ戻る途中に立ち寄った本件歩道橋南端部展望デッキ下の管理人室において,同所にいた警察官に対しても,「混雑はあるが人は流れている。」などとの同様な報告を行っているのであって,K5自身,本件歩道橋がこの時点で規制の必要性があるほどの混雑状況にあることを認識していなかった,⑤被告人Cは,午後8時すぎころ,運営等本部テントにいた被告人A2,被告人A3及びK1に対して,「橋が動かんのに,どうすんや。」などと怒鳴ったが,これはこれから本件歩道橋の規制が必要になることも考えられるのに,被告人A2らや部下のK1が,運営等本部テントに座って,雑談をしながら,のんびりと花火見物をしているのを見て,被告人A2らやK1が警備の重要性に対する認識を全く持っていないことに対し,我慢できずに大声で怒鳴ったもので,本件歩道橋が動かなくなったと言ったのは大袈裟に誇張して,警備に対して注意を喚起したにすぎず,この時点でも歩道橋が動かないとの認識はなかった,⑥したがって,被告人Cは,午後8時すぎころの時点でも,本件歩道橋内が混雑解消措置を必要とするほどの滞留状況に達していることを認識しておらず,規制の必要性の認識を持てなかったなどと主張して,結局,被告人Cには,いずれの時点においても,雑踏事故発生の予見可能性がなかった旨主張し,被告人Cも公判廷において,それに沿う供述をする。 しかしながら,午後7時14分ころのK5の「規制する必要なし。」との無線 おいても,雑踏事故発生の予見可能性がなかった旨主張し,被告人Cも公判廷において,それに沿う供述をする。 しかしながら,午後7時14分ころのK5の「規制する必要なし。」との無線連絡は,あくまでもその時点では規制の必要性がないというだけのことにすぎないのであって,そのことをもって,それ以降も規制の必要性がなく,事故発生の可能性がないということはいえず,それをその後の予見可能性を否定する根拠とはなし得ないこと,午後7時26分ころのK5の「1メートル進むのに5分かかる。」旨の無線連絡については,たしかにその内容がやや大袈裟であり,当時の本件歩道橋内の混雑状況を正確に表しているのか疑問の余地もあるが,歩道橋内が通行するのに相当な時間がかかるほどに混雑してきている旨を述べていることは明らかであること,また,午後7時55分ころの被告人Bとのやりとりの内容については前示のとおりであって,被告人Bが被告人Cに本件歩道橋への流入規制を要請したとまではいえないものの,流入規制を考慮するよう提案したものとはいい得ること,そして,午後7時55分ころのK5の報告内容については,被告人Cの供述するところとK5の供述するところは,その報告の文言そのものはおおむね合致しているところ,その内容は,通常では2,3分で渡れる本件歩道橋を制服の警察官が渡るのに35分もかかったというものであるし,その言い方は上司に判断を委ねるような形をとってはいるものの,管区機動隊に出動を要請するよう進言したものとみるのが相当であって,このK5の報告内容は,本件歩道橋の混雑状況をそのまま放置しても,雑踏事故が生じるようなことはないと判断できるようなものではないというべきであることなどからすれば,被告人Cには,警察官による規制を実施することなく,そのまま放置すれば,雑踏事故 のまま放置しても,雑踏事故が生じるようなことはないと判断できるようなものではないというべきであることなどからすれば,被告人Cには,警察官による規制を実施することなく,そのまま放置すれば,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることについて予見可能性があり,また,予見すべき義務があったというべきである。 被告人Cの弁護人の前記主張は理由がない。 そして,被告人Cが午後8時すぎころに運営等本部テントに怒鳴り込んだ点については,被告人C自身,その時点で本件歩道橋がそのまま放置することができない状況になりつつあることを認識していたことを窺わせ,また,午後8時6分ころに,K5から,「たった5人ではどうにもできませんよ。部隊が必要ですよ。地域官も現場を1度自分の目で見てきたらどないですか。」などと進言されていたことは,警察官による規制を実施しなければ,雑踏事故が発生する危険があることを予見できたことを示す事情というべきである。 (2) 結果回避可能性と結果回避義務について被告人らは,前記のとおり,いずれも,本件夏まつり当日に事前の予想どおりに多数の参集者が参集しつつある状況を認識し,本件歩道橋において雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることを予見することが可能であったし,また,予見すべき義務があったのであるから,雑踏事故発生の危険が現実化しそうな場合に,直ちにこれに適切に対応して事故の発生を未然に防止するため,自ら又は部下職員ないし警備員,配下警備員あるいは配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況に対する常時監視を更に厳重にし,的確に状況を把握する必要があったというべきであり,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によれば,常時監視を更に厳重にし,的確に状況 留状況や雑踏警備の実施状況に対する常時監視を更に厳重にし,的確に状況を把握する必要があったというべきであり,また,本件夏まつり当日の前記のような警備体制によれば,常時監視を更に厳重にし,的確に状況を把握するすることも可能であったことが明らかであるから,そうすべき義務があったということができる。 そこで,次に,被告人らは,そのようにして的確に状況を把握した上,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険がより具体化しつつあることを予見し得た段階で,更に,被告人A2,被告人A3,被告人B及び被告人Cについては,本件歩道橋において雑踏事故発生の危険が現実化しつつあることを予見し得た段階で,どのように対応すれば,事故の発生を未然に防止することが可能であったのか,どうすべき義務があったのかについて検討するが,本件歩道橋における雑踏事故を未然に防止するには,参集者の流入を規制し,混雑を解消する必要のあったことが明らかであるから,それがどのようにすれば可能であったのか,どうすべき義務があったのかについてみてみることとする。 ア市役所関係被告人及び被告人Bについて(ア) 自主警備による規制について前記認定のとおり,本件夏まつり当日,本件歩道橋及び歩道橋周辺には,固定配置及び遊撃隊等を合わせて警備員が約20人,歩道橋の南側には,Z市職員による遊撃隊員が約12人おり,また,無線機,トランジスターメガホン,ロープ,誘導灯などの資器材も準備されていたことなどからすれば,警察による強制力を用いないでも,警備員ないしZ市の遊撃隊員らによって,適時,本件歩道橋への流入規制を実施することは十分可能であったと認められる。 具体的には,γε駅前において2次導線である迂回路への誘導を徹底し, ないしZ市の遊撃隊員らによって,適時,本件歩道橋への流入規制を実施することは十分可能であったと認められる。 具体的には,γε駅前において2次導線である迂回路への誘導を徹底し,また,強制力の行使にわたらない限度でロープを使用したり,警備員らによって人垣を作るなどして規制線を張り,参集者を分断するなどして,本件歩道橋北側及び南側からの流入を規制する方法などが考えられる。 そして,花火の打上げが開始される前の早い時間帯であれば,参集者の協力が得られやすいと思われるから,午後7時30分ころまで(より安全を願うのであれば,事前の予想どおりに多数の参集者が来場して本件歩道橋に参集者が滞留し始めているのを認めた段階からになる。)に,本件歩道橋北側及び南側において,前記のような流入規制を実施していれば,歩道橋内に本件のような参集者の危険な滞留を生じさせることを回避し得たと考えられる。 市役所関係被告人及び被告人Bについては,まず,このような参集者の迂回路への誘導と分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施して,事故の発生を未然に防止することが可能であったし,そうすべき義務があった。 (イ) 警察官の出動要請について午後7時30分ころ以後においては,Z市職員や警備員だけで雑踏事故の発生を回避し得たか疑問の余地があるが,午後8時すぎころまで(より安全を願うのであれば,午後7時30分により近い段階からになる。)に,警察官の出動を要請していれば,後述するように,本件歩道橋北側のみならず,歩道橋南側からの流入規制を実現することが可能であったと認められるから,本件歩道橋内に本件のような参集者の危険な滞留を生じさせることを回避し得たと考えられる。 北側のみならず,歩道橋南側からの流入規制を実現することが可能であったと認められるから,本件歩道橋内に本件のような参集者の危険な滞留を生じさせることを回避し得たと考えられる。 そして,警察としても,主催者側から,自主警備では手に負えない危険な状態になりつつあることを理由にして,正式に出動の要請があれば,これに応じないことはなかったと認められる。 市役所関係被告人及び被告人Bについては,次に,警察官の出動を要請することにより,参集者の本件歩道橋への流入規制を実現して,事故の発生を未然に防止することが可能であったし,そうすべき義務があった。 イ被告人Cについて前記認定のとおり,本件夏まつり当日,雑踏警戒班の警察官16人に加え,本件歩道橋北側に管区機動隊を含む合計25人,歩道橋西方にある中交差点(歩道橋北側まで約800メートル,南側まで約600メートルの地点にある。)に管区機動隊を含む合計78人の警察官が配置されており,また,ヘルメット,懐中電灯,夜光チョッキを始めとする相当の装備も準備されていたのであるから,警察官において,適時,本件歩道橋への流入規制を実施・実現することは十分可能であったと認められる。 具体的には,警察官らによって人垣を作るなどして規制線を張り,参集者を分断して,本件歩道橋北側及び南側の流入を阻止するとともに,歩道橋北部分にいる参集者を北側へ排出して迂回路へ誘導し,他方,歩道橋南端部付近や南側階段で立ち止まっている参集者を速やかに階段下へ誘導して歩道橋から排出させるなどして,本件歩道橋への流入を規制する方法が考えられる。 そして,花火の打上げが開始される前の早い時間帯であれば,参集者の協力が得られやすいと思われるから して歩道橋から排出させるなどして,本件歩道橋への流入を規制する方法が考えられる。 そして,花火の打上げが開始される前の早い時間帯であれば,参集者の協力が得られやすいと思われるから,午後7時30分ころまで(より安全を願うのであれば,事前の予想どおりに多数の参集者が来場して本件歩道橋に参集者が滞留し始めているのを認めた段階からになる。)に,配下警察官らを動員して,本件歩道橋北側及び南側において,前記のような流入規制を実施していれば,本件歩道橋内に本件のような参集者の危険な滞留を生じさせることを回避し得たと考えられるし,また,X4中隊長以下の管区機動隊が,喧嘩通報を傍受して,午後8時30分ころ出発し,一時道を間違えながらも,歩道橋南側階段下まで15分ないし20分間で到達し,本件歩道橋への流入規制や救助等に当たっていることや,管区機動隊のX2小隊はもともとγε駅の北側に配置されていたことからすると,午後8時すぎころにおいても,管区機動隊等を出動させておれば,午後8時30分の花火大会終了前には,本件歩道橋北側及び南側において,前記のような流入規制を実現することが可能であったと認められるから,本件歩道橋内に本件のような参集者の危険な滞留を生じさせることを回避し得たと考えられる。 被告人Cについては,前記のとおり,現地警備本部指揮官として,雑踏警戒班のみならず,管区機動隊等を含む警察官を動員することが可能であったのであるから,これら警察官を動員指揮して前記規制を実施・実現して,事故の発生を未然に防止することが可能であったし,そうすべき義務があった。 ウ結果回避可能性と結果回避義務についての弁護人らの主張に対する判断(ア) 市役所関係被告人の弁護人は,午後8時すぎころに,警察官の出動を要 ,そうすべき義務があった。 ウ結果回避可能性と結果回避義務についての弁護人らの主張に対する判断(ア) 市役所関係被告人の弁護人は,午後8時すぎころに,警察官の出動を要請したとしても,警察官がそれに応じて出動したとは考えられないと主張する。 しかしながら,本件において,Q署長や被告人Cが,管区機動隊等への出動を指示しなかったのは,被告人Cらが事態を的確に把握していなかったために,管区機動隊等の投入による強制的な規制をする機会を逃したためであり,あえてそれを控えたものではないのであって,主催者側から,自主警備では手に負えない危険な状態になりつつあることを理由にして,正式に出動要請があれば,これに応じないことはなかったと認めることができ,市役所関係被告人の弁護人の前記主張は理由がない。 (イ) 被告人Bの弁護人は,本件事故発生の根本的原因は,花火大会会場への主導線とされた本件歩道橋がボトルネックになっているという構造的問題を有していたこと,すなわち,本件歩道橋はγε駅から南方のβ海岸に向けて幅約6メートルの歩道が約100メートル続き,その南端において幅約3メートルの階段が唯一の降り口であるという構造になっていたこと,及び本件歩道橋南側階段下付近に多数の夜店が配置されていたことにあり,このような状況下にあっては,被告人Bが,どのように警備業務を尽くしたとしても事故発生を回避することは不可能であって,被告人Bには事故発生の予見可能性があったとしても,結果回避可能性がなかった旨主張する。 なるほど,前記第3の3で指摘したように,本件歩道橋に参集者が滞留して大混雑が生じて混乱することの予想されるβ海岸公園で花火大会を伴う本件夏まつりを実施しながら,雑踏事故発生の なるほど,前記第3の3で指摘したように,本件歩道橋に参集者が滞留して大混雑が生じて混乱することの予想されるβ海岸公園で花火大会を伴う本件夏まつりを実施しながら,雑踏事故発生の危険性を軽減するための適切な方策をとらず,また,警備計画も不十分なまま,しかも不十分な警備計画さえ警備員に周知徹底されていなかったのであるから,本件歩道橋において雑踏事故の発生する危険は相当程度に高かったとはいえるが,前記ア(ア)(イ)記載のような方法をとれば,本件事故の発生を回避することは可能であったと認められるのであって,事故の発生が不可避であったわけではないから,被告人Bの弁護人の前記主張は理由がない。 さらに,被告人Bの弁護人は,花火の始まる15分前の午後7時30分ころには,本件歩道橋の南半分は1平方メートル当たり10人を超える過密状態となっており,歩道橋南側階段では,参集者が下に降りることができない状況となっていたのであって,このような歩道橋の南半分を中心とした混雑状況に加え,午後7時30分ころから,参集者が続々と本件歩道橋北側から入場している状況下にあっては,警備員の力だけでは流入規制をすることは困難であること,また,遠方から花火見物に来た参集者が,β海岸公園への最も近道である歩道橋への流入を規制され,β海岸公園へ30分以上もかかる迂回路に回ることに素直に従うとは考え難いことなどからすれば,本件歩道橋北側出入口で警備員の力で流入規制をすることは不可能であり,また,歩道橋北側出入口で流入規制をしたとしても歩道橋南側の混雑は緩和せず,本件事故の発生は避けられなかった旨主張する。 しかしながら,被告人Bは,そもそも,そのような過密状態になる午後7時30分ころまでに,警備員等による本件歩道橋への流 雑は緩和せず,本件事故の発生は避けられなかった旨主張する。 しかしながら,被告人Bは,そもそも,そのような過密状態になる午後7時30分ころまでに,警備員等による本件歩道橋への流入規制を実施すべきであったのであり,花火が始まるまでにまだ時間があることや迂回路からも花火が見えることからして,相当数の参集者が流入規制に従ったと思われる。また,午後7時30分ころから後は,警備員等だけによる流入規制は困難であったとしても,前記のとおり,主催者側から,自主警備では手に負えない危険な状態になりつつあることを理由にして,正式に警察官の出動を要請すべきであったのであり,また,警察官の出動を得て流入規制を実現することは可能だったのであって,本件歩道橋への流入規制がいずれの形でも実現していれば,確実に,本件事故発生時よりは参集者の本件歩道橋への流入は減少し,また,分断規制によって歩道橋内の群衆密度が平分化され,歩道橋南端部付近があれほどまでの群衆密度にはなっていなかったと認められる。しかも,本件事故に遭った参集者のほとんどは午後7時30分ころから午後8時ころにかけて本件歩道橋北側から歩道橋内に入った者であることからすれば,その時点で流入規制をしていれば,本件の被害者の多くはこのような被害に遭うことはなかったはずである。これらのことからすれば,本件事故の発生を避けることは不可能ではなかったと考えられる。被告人Bの弁護人の前記主張は理由がない。 (ウ) 被告人Cの弁護人は,本件においては,事前に,管区機動隊に対して,雑踏警備の応援命令がありうること,その場合の雑踏警備のやり方,その場合の指揮権について告知・教育がされていなかったのであるから,そのような状態で管区機動隊を投入すれば,かえって混乱事故に結びつく可能性があり,管区 令がありうること,その場合の雑踏警備のやり方,その場合の指揮権について告知・教育がされていなかったのであるから,そのような状態で管区機動隊を投入すれば,かえって混乱事故に結びつく可能性があり,管区機動隊が出動しさえすれば,本件事故は防止できたということはできない旨主張する。 しかし,前記認定のとおり,少なくとも,被告人Cが,管区機動隊に対して出動を要請すれば,管区機動隊がこれに応じたであろうことは,管区機動隊が特に指示を受けなくとも,いわゆる喧嘩通報を受信して,自らの判断で出動し,規制をしたことなどからも認められるし,出動後の具体的な流入規制等警備の方法については,それこそ,被告人Cが現場の状況を確認した上で,管区機動隊に指示し,あるいは管区機動隊と連携をとってすべきでことであるから,被告人Cの弁護人の前記主張は理由がない。 また,被告人Cの弁護人は,本件歩道橋北側出入口で分断・流入規制をすれば,γε駅のホームや駅前に人があふれたりして危険であるから,そのような分断・流入規制をするためには,関係機関との調整が必要であるし,花火を見物しようとする参集者を分断・流入規制した場合,花火を見られない参集者の暴動が起こる可能性さえあるから,分断・流入規制をするのであれば,事前の計画段階で,そのような調整はしておくべきであり,本件当日,現場で,このような事をすることは不可能であり,検察官がいうような安易な分断・流入規制は,他の事故を誘発する危険性が高く,不可能を強いるものであり,実際に,γε駅前に配置についていたK21は,午後7時ころ,K5との会話において,「今,歩道橋への入場を規制すれば,駅前や駅の中が一杯となり,駅の階段から人があふれて事故になるかもしれない。早い時期の規制はかえって事故につながる。」 K21は,午後7時ころ,K5との会話において,「今,歩道橋への入場を規制すれば,駅前や駅の中が一杯となり,駅の階段から人があふれて事故になるかもしれない。早い時期の規制はかえって事故につながる。」などと述べており,安易な分断・流入規制が他の事故に結びつくことを指摘しているなどと主張する。 しかしながら,γε駅のホームが混雑したのは,駅改札口からの出場可能人数が限られていることによって改札口がネックとなっていたためであって,駅前の混雑が直接の原因ではない。また,午後7時ころの段階で,K5やK21が前記のとおりに判断したのは,両名とも迂回路の存在を念頭に置いていなかった上,その時間帯であれば,まだまだγε駅を利用して来場する参集者が多数いることが予想されたからであろうが,その時間帯であっても,迂回路に相当数を誘導しながら,本件歩道橋北側で流入規制をすれば,K21の述べているような危惧が現実のものとなる可能性は減少するし,参集者を迂回路へ誘導しても,花火の開始までまだかなりの時間があることからして,それほど大きな苦情は出なかったと思われる。そして,花火大会開始後は時間が遅くなればなるほど,逆に,γε駅から本件夏まつり会場にやってくる参集者は減ってくるのであるから,本件歩道橋北側で流入規制することによって,γε駅のホームや駅前に人があふれる危険性は,それ以前の時間帯よりは少なくなるはずであって,午後7時ころのK5らの危惧は当てはまらない。もちろん,管区機動隊を使って大人数で流入規制をすれば,大抵の参集者はそれに従わざるを得ないし,また,迂回路自体はかなりの長距離であって,相当数の参集者を誘導しても群衆密度は高くはならず,迂回路における雑踏事故発生の危険性は低いと考えられる上,迂回路からでも花火は見えるのであるから,参集者 また,迂回路自体はかなりの長距離であって,相当数の参集者を誘導しても群衆密度は高くはならず,迂回路における雑踏事故発生の危険性は低いと考えられる上,迂回路からでも花火は見えるのであるから,参集者が花火を見られないなどとして暴動を起こすなどとは考えられない。 なお,付言するに,被告人Cは,そもそも,被告人Cの弁護人の主張するようなことを考えて流入規制をしなかったわけでもない。 これらのことからすると,被告人Cの弁護人の前記主張は理由がない。 4 被告人らの義務履行についての弁護人らの主張に対する判断(1) 被告人Bについて被告人Bの弁護人は,被告人Bは,午後7時前後ころから,本件歩道橋北側出入口に配置した警備員に対しては迂回路への広報をするよう,歩道橋南側階段下の警備員に対しては西に流すように指示していたし,また,午後7時25分ころ及び午後8時ころの2回にわたり,被告人Cに対して警察官の出動を要請をしたが,被告人Cがこれを聞き入れなかったため,本件事故発生を回避することができなかったものであって,被告人Bとしては,いずれの時点においても本件事故発生を未然に防止すべき注意義務を尽くしていた旨主張する。 しかしながら,γε駅前には,参集者に対して迂回路の存在を示すような看板表示はなく,参集者が容易に迂回路を利用するとは考え難く,実際午後7時前後から後も,本件歩道橋北側から多数の参集者の流入が続いており,単なる迂回路への広報では効果が上がらなかったことは明白であって,そのことは被告人Bにも分かっていたものと認められる。 また,警備員らをして,本件歩道橋南側階段下において,参集者を立ち止らせず,西に流すように誘導させていたものの,花火打上げ場所が本件歩 ことは被告人Bにも分かっていたものと認められる。 また,警備員らをして,本件歩道橋南側階段下において,参集者を立ち止らせず,西に流すように誘導させていたものの,花火打上げ場所が本件歩道橋のほぼ正面であるため,花火を見に来ている参集者が素直に西に移動してくれないこと,西に行こうにも夜店に来ている参集者で付近は大混雑していて,容易に西には行き難いことなどからして,単に参集者を西に流すように誘導したところで効果がなかったことは明らかであって,そのことは被告人Bにも分かっていたものと認められる。 そして,被告人Bの午後7時25分ころに被告人Cとした会話が,警察官の出動を要請したものとは認められないことは前記認定のとおりであるし,被告人Bも,公判廷において,この時点では流入規制とか分断規制とかは必要ないと判断した旨供述しているところである。 さらに,被告人Bは,前記認定のとおり,午後7時55分ころ,警察官用テント北側にいた被告人Cと会い,本件歩道橋内に参集者が滞留していることを伝え,「前が詰まってもうどうにもなりません。ストップしましょうか。」と聞いたところ,被告人Cから,「今様子を見に行かせている。」と言われると,警察は規制してくれないものと判断して,それ以上,歩道橋内の滞留状況を解消する方策を話すこともなく,Wに対し,警察は今は動けない旨無線送信するにとどまっていて,その後,被告人Cに対して,改めて対処方法を問い直したりはしていないことなどが認められるのであって,これらの事実からすれば,被告人Bが被告人Cに対して,警察官の出動を真摯に要請したとは認められない。 これらのことからすると,被告人Bが結果回避の義務を尽くしているとはいえず,被告人Bの弁護人の前記主張は理由がない。 ( して,警察官の出動を真摯に要請したとは認められない。 これらのことからすると,被告人Bが結果回避の義務を尽くしているとはいえず,被告人Bの弁護人の前記主張は理由がない。 (2) 市役所関係被告人についてなお,被告人Bが結果回避の義務を尽くしているのであれば,市役所関係被告人も,同様にその義務を尽くしていると評価し得る余地もあるが,被告人Bがその義務を尽くしたとはいえないことは前示のとおりである。 (3) 被告人Cについて被告人Cの弁護人は,被告人Cは,花火大会終了後,β海岸公園から本件歩道橋へ逆流する参集者を規制するため,午後8時5分ころ,計画上の配置人員3人よりも多い5人(K5,K6及びK7班6人のうちの3人)の警察官に歩道橋南側階段下に配置につくよう命令し,さらに,参集者の安全を図るため,午後8時15分に,β海岸公園西側に配置されていた雑踏警戒班8人(K13班)にも歩道橋南側階段下で配置につくように命令したが,午後8時22分ころ,署本部から,雑踏警戒班の指揮系統について,被告人Cの前記命令とは異なる意味不明の命令が下されたため現場が混乱し,被告人Cが命令したとおりの配置ができなかったことに加え,花火大会終了後,本件歩道橋南側階段下でβ海岸公園から歩道橋へ逆流する人を規制するよう配置命令を出していたK5が,同命令を無視して勝手に現場から離れるなど,被告人Cが全く予期しない事態が発生したため,本件事故を回避することができなかったものであって,被告人Cは結果回避の義務を尽くしていた旨主張する。 しかしながら,前記認定のとおり,被告人CがK5に対して行った指示は,「計画よりも約10分早い午後8時20分ころには本件歩道橋の配置につくように」というものにすぎず,それ以上 張する。 しかしながら,前記認定のとおり,被告人CがK5に対して行った指示は,「計画よりも約10分早い午後8時20分ころには本件歩道橋の配置につくように」というものにすぎず,それ以上に具体的な指示はしていないし,これに対し,K5からは,「たった5人ではどうにもできませんよ。」などと指摘されていたのであり,また,K13班に対して行ったという指示も,午後8時15分ないし20分ころ,K1から,K13班を本件歩道橋階段下に転進させたらどうか進言されたことに対して,被告人Cが了承,指示したので,K1がK13班にその旨無線で連絡しようとしたが,結局,連絡が取れなかったというものであって,午後8時15分ないし20分ころの本件歩道橋及びその周辺の異常な混雑状況等,更には,実際にも,完全防護装備で大盾などの装備を有する管区機動隊の隊員らでもって規制線を張ることにより,本件歩道橋南側階段下での参集者の逆流をようやく防止できたことからして,そのような装備もなく,トラメガすら持っていない5人の雑踏警戒班の警察官によって,歩道橋南側階段下での参集者の逆流を防止するなどの措置をとることは極めて困難であったと考えられることに照らすと,被告人Cの前記のような指示は,その時点での雑踏事故回避のための指示としては全く不十分であったというほかなく,被告人Cが結果回避の義務を尽くしたとは到底認められない。被告人Cの弁護人の前記主張は理由がない。 5 被告人らの本件業務上過失致死傷罪の責任についてのまとめ等(1) 市役所関係被告人についてア被告人A1について被告人A1は,前記のとおり,本件夏まつりの実質的主催者であるZ市において,商工業,観光等に関する所管事務の基本計画及び執行方針を策定するとともにそれらの執行を統 告人A1について被告人A1は,前記のとおり,本件夏まつりの実質的主催者であるZ市において,商工業,観光等に関する所管事務の基本計画及び執行方針を策定するとともにそれらの執行を統括する権限を有する市民経済部長として,また,本件夏まつりの開催本部統括副責任者として,市民経済部商工観光課が実務を担当した本件夏まつりの開催業務全般を統括する地位にあって,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたものであるが,前記のとおり,本件夏まつり当日に至る前から,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険が予見できたのであるから,本件夏まつり当日には,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視し,また,本件夏まつり当日の午後6時40分ころには,前記のとおり,本件歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を実際に認識し,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることが予見できたのであるから,同監視を更に厳重にし,的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,部下職員ないし被告人Bに指示して,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,あるいは,午後8時すぎころまでに,自ら又は部下職員ないし被告人Bを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,本件事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず,これを怠った結果,本件事故を発生させ,判示の各被害者を死傷させたものであるから,本件業務上過失致死傷罪の責任を免れない。 イ被告人A2について被告人A2は,前記のとおり,同じく市民経済部経済産業担当次長とし の各被害者を死傷させたものであるから,本件業務上過失致死傷罪の責任を免れない。 イ被告人A2について被告人A2は,前記のとおり,同じく市民経済部経済産業担当次長として,また,本件夏まつりの実施運営本部実施責任者として,被告人A1を補佐し,本件夏まつりの開催業務全般を掌理し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたものであるが,前記のとおり,本件夏まつり当日に至る前から,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険が予見できたのであるから,本件夏まつり当日には,被告人A1を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視し,また,本件夏まつり当日の午後7時ころには,前記のとおり,本件歩道橋に多数の参集者が参集する状況を実際に認識し,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることが予見できたのであるから,同監視を更に厳重にし,的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,被告人A1を補佐し,部下職員ないし被告人Bに指示して,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,更には,午後8時すぎころには,前記のとおり,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から相談を受けたことにより,歩道橋内が何らかの規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることが予見できたのであるから,被告人A1を補佐し,直ちに,自ら又は部下職員ないし被告人Bを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,本件事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったに を補佐し,直ちに,自ら又は部下職員ないし被告人Bを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,本件事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず,これを怠った結果,本件事故を発生させ,判示の各被害者を死傷させたものであるから,本件業務上過失致死傷罪の責任を免れない。 ウ被告人A3について被告人A3は,前記のとおり,同じく市民経済部商工観光課長兼Z観光協会事務局長として,また,本件夏まつりの実施運営本部実施副責任者として,被告人A1及び被告人A2を補佐し,本件夏まつりの企画及び警備計画の策定等の事務を掌理し,参集者の安全を確保する体制を構築して実施すべき業務に従事していたものであるが,前記のとおり,本件夏まつり当日に至る前から,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険が予見できたのであるから,本件夏まつり当日には,被告人A1及び被告人A2を補佐して,自ら又は部下職員ないし被告人Bら警備員を通じ,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視し,また,本件夏まつり当日の午後6時50分ないし午後7時ころには,前記のとおり,本件歩道橋南端部展望デッキ付近に参集者が滞留する状況を実際に認識し,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることが予見できたのであるから,同監視を更に厳重にし,的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,被告人A1及び被告人A2を補佐し,部下職員ないし被告人Bに指示して,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,更には,午後8時すぎころには,前記のとおり,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から相談を受けたことにより,歩 路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,更には,午後8時すぎころには,前記のとおり,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から相談を受けたことにより,歩道橋内が何らかの規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることが予見できたのであるから,被告人A1及び被告人A2を補佐して,直ちに,自ら又は被告人Bを通じ,警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,本件事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず,これを怠った結果,本件事故を発生させ,判示の各被害者を死傷させたものであるから,本件業務上過失致死傷罪の責任を免れない。 エ市役所関係被告人の弁護人は,被告人Cが本件歩道橋の危険な状態を認知して運営等本部テントに怒鳴り込んだというのであれば,被告人Cが,自ら,直ちに警察官を出動させればよいのであり,要請される側の現地警備本部指揮官(被告人C)から指摘されて,警察官の出動を要請すべき義務が生じるというのは矛盾している旨主張する。 たしかに,被告人Cが運営等本部テントに怒鳴り込んだ時点において,被告人Cを始めとするZ警察署側において,警察官が出動して強制的な規制に出ることを既に決定していたというのであれば,その時点においては,主催者側に警察官の出動を要請すべき義務は消滅しているともいえようが,前記認定のとおり,被告人Cを始めとしてZ警察署側は,その時点ではいまだ警察官が出動して強制的な規制に出ることを決定しておらず,被告人A2や被告人A3もまた,警察官が出動して強制的な規制に出ると認識していたわけではないのであるし,被告人Cを始めとするZ警察 ではいまだ警察官が出動して強制的な規制に出ることを決定しておらず,被告人A2や被告人A3もまた,警察官が出動して強制的な規制に出ると認識していたわけではないのであるし,被告人Cを始めとするZ警察署は,本件歩道橋の警備については,主催者側の自主警備が原則と考えていたことが認められるところ,被告人Cが,午後8時すぎころに運営等本部テントに怒鳴り込んだ時点においても,まず,主催者であるZ市側で対応すべきとして混雑解消措置の必要性を指摘したものといえるのであるから,主催者側は,自主警備で対処し得る事態かどうかをまず確認し,対処しきれない事態に至っていると判断したのであれば,参集者の安全確保を図る責務に基づいて,直ちに警察官の出動を要請すべきであったのである。市役所関係被告人の弁護人のこの点についての主張は理由がない。 (2) 被告人Bについて被告人Bは,前記のとおり,警備業を営むD社の大阪支社長であり,D社が本件夏まつりの実質的主催者であるZ市との契約に基づき,本件夏まつりの会場警備に従事した警備員の統括責任者として,参集者の安全を確保する警備体制を構築して実施すべき業務に従事していたものであるが,前記のとおり,本件夏まつり当日に至る前から,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険が予見できたのであるから,本件夏まつり当日には,自ら又は配下警備員をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視し,また,本件夏まつり当日の午後7時ころまでには,前記のとおり,本件歩道橋に参集者が滞留する状況を実際に認識し,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることが予見できたのであるから,同監視を更に厳重にし,的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,自ら又は配下警備員らをし 留する状況を実際に認識し,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることが予見できたのであるから,同監視を更に厳重にし,的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,自ら又は配下警備員らをして,参集者の迂回路への誘導や分断等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,更には,午後8時すぎころまでには,前記のとおり,被告人Cから本件歩道橋内の混雑解消措置の必要性を指摘されたF2から相談を受けたことなどにより,歩道橋内が警察官による規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることが予見できたのであるから,直ちに,被告人A1らに警察官の出動要請を進言し,あるいは自ら警察官の出動を要請することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,本件事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず,これを怠った結果,本件事故を発生させ,判示の各被害者を死傷させたものであるから,本件業務上過失致死傷罪の責任を免れない。 (3) 被告人Cについて被告人Cは,前記のとおり,Z警察署地域官として,本件夏まつりの雑踏警備計画の企画・立案を掌理し,また,本件夏まつりの現地警備本部指揮官として,雑踏警戒班指揮官ら配下警察官を指揮して,参集者の安全を確保すべき業務に従事していたものであるが,前記のとおり,本件夏まつり当日に至る前から,本件歩道橋に参集者が殺到して滞留が起こり,雑踏事故が発生する危険が予見できたのであるから,本件夏まつり当日には,自ら又は配下警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視し,また,本件夏まつり当日の午後6時45分ころまでには,前記のとおり,本件歩道橋に参集者が滞留する状況を実際に認識 警察官をして,本件歩道橋への参集者の流入・滞留状況や雑踏警備の実施状況を常時監視し,また,本件夏まつり当日の午後6時45分ころまでには,前記のとおり,本件歩道橋に参集者が滞留する状況を実際に認識し,雑踏事故が発生する危険がより具体化しつつあることが予見できたのであるから,同監視を更に厳重にし,的確に状況を把握した上,午後7時30分ころまでに,配下警察官らを動員して,参集者の分断や迂回路への誘導等により,本件歩道橋への流入規制を実施し,更には,午後8時ころまでには,前記のとおり,配下警察官から報告を受けるなどして,歩道橋内が警察官による規制を実施しなければならない程度の過密な滞留状況に達していることを認識し,雑踏事故が発生する危険が現実化しつつあることが予見できたのであるから,直ちに,配下警察官を指揮するとともに,管区機動隊等の出動をQ署長を介しあるいは直接要請して動員指揮することにより,同様に本件歩道橋への流入規制を実現し,もって,本件事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず,これを怠った結果,本件事故を発生させ,判示の各被害者を死傷させたものであるから,本件業務上過失致死傷罪の責任を免れない。 (4) 被告人らの過失の競合についてア被告人らは,前記のとおり,本件夏まつりの実施に当たり,それぞれ参集者の安全を確保すべき業務に従事していたのにもかかわらず,いずれもがその注意義務を果たさなかったことにより,本件事故が発生し,判示の各被害者を死傷させたものであるから,本件事故は,被告人らの前記過失が競合して発生したものと認められる。 市役所関係被告人は,被告人A1を被告人A2が補佐し,被告人A1及び被告人A2を被告人A3が補佐して,いずれも参集者の安全を確保する体制を構築し 合して発生したものと認められる。 市役所関係被告人は,被告人A1を被告人A2が補佐し,被告人A1及び被告人A2を被告人A3が補佐して,いずれも参集者の安全を確保する体制を構築して本件夏まつりを実施すべき業務に従事していたものであるが,前記のとおり,市役所関係被告人相互間においても,本件夏まつりの準備状況や本件夏まつり当日の状況についての認識は異なり,本件事故発生の予見義務を認めるべき事情は同じではないのであるから,被告人A1,被告人A2及び被告人A3についても,過失の共同正犯ではなく,過失の競合とみるのが相当である。 イなお,市役所関係被告人の弁護人は,本件事故は,警備員や警察官の不手際(過失)によって発生したものであって,市役所関係被告人に何らかの不手際や怠慢(過失)があったとしても,本件事故との因果関係があるとはいえない旨主張するが,本件事故は,市役所関係被告人らがその注意義務を果たしていれば発生しなかったと考えられるから,市役所関係被告人の弁護人の前記主張は理由がない。 (5) 本件夏まつりの準備段階における問題点と本件夏まつり当日の被告人らの業務上過失責任の関係についてア本件夏まつりの準備段階において,前記のとおりいくつかの問題点があって,被告人らはいずれもそれについても責任があるというべきであるが,先に述べたとおり,検察官は,本件夏まつり当日における警備が不適切であったことを本件業務上過失致死傷事件の過失として訴因を構成し,本件夏まつりの準備段階において認められる問題点については,これを過失として訴因に含めていないけれども,これまでみてきたとおり,本件夏まつり当日における被告人らの行為について,いずれも過失責任を肯定することができるから,本件夏まつりの準備段階における問 ,これを過失として訴因に含めていないけれども,これまでみてきたとおり,本件夏まつり当日における被告人らの行為について,いずれも過失責任を肯定することができるから,本件夏まつりの準備段階における問題点とこれに対する被告人らの責任は,被告人らの量刑判断に際して考慮するのが相当である。 イ被告人Cの弁護人は,本件事故の一番の原因は,Z市,警備会社及び警察の雑踏警備計画の不備にあって,その重大な欠陥により本件事故が発生したものであり,警察の雑踏警備計画に重大な欠陥を生じさせた責任は被告人Cではなく,Z警察署の最高責任者であるQ署長にあるなどと主張する。 なるほど,本件夏まつりにおいて,そもそもの会場選定自体に問題がある上,雑踏事故を未然に防止するのに十分な警備計画が策定されていなかったことは前示のとおりであり,雑踏警備等に関する各種文献においては,雑踏警備について,事前の計画策定がほぼ8割,その計画を警備員等に周知徹底できれば,その警備のほぼ9割は終わったといわれていることなどからすると,十分な警備計画が策定されていなかったことが,本件事故発生の重要な原因であることは否定できないし,また,警察が十分な警備体制を構築できなかった責任のかなりの部分がQ署長にあることは否定できないと思われる。 しかしながら,前記のとおり,被告人らは,いずれも,本件夏まつりの計画あるいは雑踏警備計画の策定等に関与し,本件夏まつりの準備段階において認められる問題点についても責任がある上,その状況やそこでの認識を前提として,本件夏まつり当日には,前記のとおり,雑踏事故の発生を防止すべき注意義務があったと認め得るのであるから,計画策定段階において,被告人らやQ署長らに何らかの過失が存在するとしても,被告人らの前記業務上過失責 まつり当日には,前記のとおり,雑踏事故の発生を防止すべき注意義務があったと認め得るのであるから,計画策定段階において,被告人らやQ署長らに何らかの過失が存在するとしても,被告人らの前記業務上過失責任の有無に影響を及ぼすものではない。 ウまた,被告人Cの弁護人は,事前の計画にないことは実行し得ないなどと主張する。 しかし,カウントダウン花火大会において,本件歩道橋南端部付近や南側階段において双方向の人の流れがぶつかりあい,人の流れが滞留して極度に混雑するという危険な事態が発生した際,事前に十分な対策を立てていたのを実行に移したことによって雑踏事故の発生を防止し得たというよりは,事前の計画段階では予定していなかった状況が生じたものの,その状況を的確に把握し,それに対して臨機応変に適切な対応をとることができたからこそ(それも,その場の警備員,警察官の機転による部分が多分にあった。),雑踏事故の発生を防止できたということができるのであって,雑踏警備においては,雑踏警備計画の策定等が重要であるとともに,予定外の事態に備えて常時監視をし,的確に状況を把握した上,適切な対応をとることも重要であるというべきである。そして,本件夏まつりにおいては,β海岸公園という花火大会を伴う夏まつりの警備実績がなかった場所において,極めて多数の参集者を集めて実施しようというのであり,当日,予定外の事態が起こる可能性を当然想定すべきであったのであるから,それに備えられるよう,常時監視を厳重にし,的確に状況を把握するよう努めるべきであったのであり,前記のとおり,それも不可能ではなかったのであるから,事前の計画にないことは実行し得ないなどとして,本件夏まつり当日の被告人らの責任を免責するわけにはいかない。 (6) 本件夏まつり当日の 前記のとおり,それも不可能ではなかったのであるから,事前の計画にないことは実行し得ないなどとして,本件夏まつり当日の被告人らの責任を免責するわけにはいかない。 (6) 本件夏まつり当日の他の関係者らの責任と被告人らの責任についてア被告人らの弁護人は,Z警察署の署本部の責任者であったQ署長及びS副署長にこそ本件事故の責任があるかのような主張をする。 なるほど,前記のとおり,Q署長及びS副署長は,管区機動隊等の指揮権を有していたのであるから,適切な時機に管区機動隊等に対して出動を命じて強制的な規制をしていれば,本件事故の発生を防止し得た可能性は否定し難く,また,署本部に入ってくる様々な情報やテレビモニターを通じて把握できた本件歩道橋の混雑状況から,歩道橋南端部付近や南側階段の雑踏状況を的確に把握して,それらの情報を被告人Cを始めとする現地警備本部の警察官に提供するなどして規制を促していれば,被告人Cにおいて,管区機動隊等による規制を実施するとの判断が適切にできた可能性も否定し難いところである。また,午後8時24分ころの署本部からの部隊配置の変更の指令が混乱した現場をさらに混乱させたことも否めない。 しかしながら,Q署長やS副署長に本件事故発生に何らかの責任があるとしても,それはあくまでも,被告人らの過失と競合するにすぎないのであって,被告人らの業務上過失責任を否定するには至らない。 イまた,市役所関係被告人の弁護人は,K10班がその任務を放棄してバスで待機していたことや,管理人室にテレビが存在していたことなどを非難するが,K10班がその任務を果たしていなかったことは否めないとしても,そのことがなければ本件事故が防止できていたわけではないし,管理人室にテレビが置かれてい 室にテレビが存在していたことなどを非難するが,K10班がその任務を果たしていなかったことは否めないとしても,そのことがなければ本件事故が防止できていたわけではないし,管理人室にテレビが置かれていたことが真実であったとしても,そのことがなければ本件事故が防止できていたわけでもないから,被告人らの業務上過失責任の消長に影響を及ぼすものではない。 第6 結論以上のとおりであって,被告人らには,いずれも判示のとおり,本件事故を発生させ,判示の被害者らを死傷させたことについて,業務上過失致死傷罪の責任を認めることができる。 (法令の適用)省略(量刑の理由) 1 本件は,平成13年7月21日に開催された第32回Z市民夏まつりにおいて,実質的主催者であるZ市の市民経済部長であった被告人A1,同部経済産業担当次長であった被告人A2,同部商工観光課長であった被告人A3,警備員の統括責任者であった被告人B及びZ警察署の地域官で現地警備本部指揮官であった被告人Cが,それぞれ,前記のとおり,本件歩道橋における参集者の流入・滞留状況及び雑踏警備の実施状況を常時監視し,自主警備要員あるいは警察官らによる,参集者の迂回路への誘導や分断等,歩道橋への流入規制を実施・実現するという業務上の注意義務を怠った過失の競合により,本件歩道橋において,多数の参集者が折り重なって転倒するいわゆる群衆雪崩を発生させ,その結果,11名を死亡するに至らせ,183名に傷害を負わせたという業務上過失致死傷の事案である。 2 上記のとおり,本件は,死亡した者(以下「死亡被害者」という。)が11名,傷害を負った者(以下「傷害被害者」という。)が起訴の対象とされているだけでも183名に及ぶなど,近年稀にみる重大な雑踏事故であるところ,本件事故の被害者らは,いずれも夏の夜の楽しいひと が11名,傷害を負った者(以下「傷害被害者」という。)が起訴の対象とされているだけでも183名に及ぶなど,近年稀にみる重大な雑踏事故であるところ,本件事故の被害者らは,いずれも夏の夜の楽しいひとときを求めて参集してきたものであり,楽しいはずの夏まつりにおいて,このような被害に遭うとは想像だにしていなかったものであって,死亡被害者らは,雑踏の中でもがき苦しみ,群衆雪崩の中で多数人の下敷きになって,その重みに耐え苦しみながら,絶望のまま息絶え,あるいは,重傷を負って意識を回復することもなく,息を引きとったものであり,また,傷害被害者らも,経験したことも想像したこともないような雑踏の中で,死をも意識し,ある者は気を失い,ある者は絶望の淵に立たされながら,群衆雪崩に巻き込まれるなどして,傷害を負ったものであって,本件事故発生直後の現場の状況は,まさに地獄絵図さながらであったというのも過言とは思われない。 死亡被害者11名のうち9名は当時生後わずか5か月から9歳までの子供,2名は当時71歳及び75歳の高齢者であって,いわゆる弱者ばかりが犠牲になっており,その結果はまことに悲惨というほかないが,とりわけ死亡被害者のうち9名の子供達は,本件事故に遭遇しなければ,幾多の夢や希望とともに,これから長きにわたって様々な可能性に満ちた人生を享受できたにもかかわらず,前途ある生涯を余りにも短く,このような予想だにしなかった形で突如終えざるを得なかったものであって,本人はもとよりその成長を楽しみにしていた両親等の肉親の無念の思いや悲しみの深さは,言葉でもっては到底言い表すことができないし,また,死亡被害者のうち2名の高齢者も,本件事故に遭遇しなければ,まだまだ人生を享受できたにもかかわらず,このような予想もしなかった形で突然生を終えざるを得なかったもの 底言い表すことができないし,また,死亡被害者のうち2名の高齢者も,本件事故に遭遇しなければ,まだまだ人生を享受できたにもかかわらず,このような予想もしなかった形で突然生を終えざるを得なかったものであって,本人の無念の情や愛する妻や母を失った夫や子等の悲しみは深く大きい。 死亡被害者らの遺族の中には,本件夏まつりに参集して本件事故に巻き込まれ,自らもその雑踏の中で死の恐怖を感じながら,必死で子供を守ろうとしたが,それが果たせなかったことから,そのことを悔い,また,そのような雑踏の中に幼い子供らを連れて行ったことを悔いて,深い自責の念に苛まれたり,目の前で我が子の変わり果てた姿を見せつけられたりした者もいるのであって,愛する肉親を失ったことだけには止まらない深い精神的苦痛を受けている。 遺族らの被害感情が極めて峻烈であるのも,無理からぬところである。 また,傷害被害者らの中には,長期の加療を要した者も少なくなく,事故から相当期間経過後も,その時の恐怖を思い出しながら日々の生活を送る者もいるなど,肉体的のみならず精神的にも多大な苦痛を受けている。 傷害被害者らの中にも,厳しい被害感情を有している者がいるのも頷けるところである。 以上のとおり,本件事故の結果は,極めて重大であり,また,極めて悲惨である。 3 また,本件事故に遭った被害者らは,Z市という公共団体が実質的に主催する夏まつりに,その呼びかけに応じて,夏の夜の楽しいひとときを求めて参集してきたものであって,もとより,このような被害に遭わなければならないような落ち度は認められない。 4 そして,本件夏まつりは,家族連れを始めとする多数の老若男女が参集して,花火観賞や夜店等を楽しむことを目的として行われたものであるにもかかわらず,想像を絶する悲惨な事故が発生した 認められない。 4 そして,本件夏まつりは,家族連れを始めとする多数の老若男女が参集して,花火観賞や夜店等を楽しむことを目的として行われたものであるにもかかわらず,想像を絶する悲惨な事故が発生したことが,社会に与えた衝撃も計りしれない。 5(1) ところで,本件における被告人らの過失は,前記のとおり,本件歩道橋における参集者の流入・滞留状況及び雑踏警備の実施状況を常時監視し,自主警備要員あるいは警察官らによる,参集者の迂回路への誘導や分断等,歩道橋への流入規制を実施・実現するという雑踏警備上の基本的な注意義務を怠ったというものであるが,本件においては,自主警備及び警察の警備のいずれについても,会場及びその周辺に多数の警備要員を配置していたのであるから,その指揮命令系統の中心にいた被告人らの適切な判断・指示が当日の適正な警備実施の命運を握っていたのであり,しかも,被告人らは,いずれも,本件歩道橋上において雑踏事故が発生する危険を十分予見することが可能であったし,被告人らが,その責任を十分に自覚し,雑踏警備の重要性に思いを致して,歩道橋における参集者の流入・滞留状況及び雑踏警備の実施状況に常時留意し,歩道橋が危険な状態にならないよう,参集者の迂回路への誘導や分断等,歩道橋への流入規制を速やかに行うとの意識をもって臨んでいたならば,その結果を回避することは可能であったのである。 (2) しかるに,被告人A1は,本件当時,Z市市民経済部長として,また,本件夏まつりの開催本部統括副責任者として,開催業務全般を統括し,実質的に最終的意思決定をなす地位(最高責任者)にあって,被告人Bをして適切な雑踏警備を行わせ,また,警察官の出動を要請し得る立場にあったにもかかわらず,警備会社と警察とが警備を行ってくれるものと過度に信頼し,また,被告人Bにほとんど 高責任者)にあって,被告人Bをして適切な雑踏警備を行わせ,また,警察官の出動を要請し得る立場にあったにもかかわらず,警備会社と警察とが警備を行ってくれるものと過度に信頼し,また,被告人Bにほとんど任せきりにして,自分達が自主警備の主体であることの自覚の乏しいまま,雑踏警備の重要性や本件歩道橋の危険な状況に思いを致さず,本件歩道橋における参集者の流入・滞留状況及び警備員らによる雑踏警備の実施状況に十分注意を払うことなく,花火見物を決め込むなどして,何ら適切な措置を講ずることなく,事態を漫然と放置し,本件事故を発生させるに至ったものであって,その地位・立場を考えると,被告人A1の過失の程度は相当に大きいというほかない。 (3) 次に,被告人A2は,本件当時,Z市市民経済部経済産業担当次長として,また,本件夏まつりの実施運営本部の実施責任者として,被告人A1を補佐し,開催業務全般を掌理し,実質的に会場全体の総指揮を担当する地位にあって,被告人Bをして適切な雑踏警備を行わせ,また,警察官の出動を要請し得る立場にあったにもかかわらず,警備会社と警察とが警備を行ってくれるものと過度に信頼し,また,被告人Bにほとんど任せきりにして,自分達が自主警備の主体であることの自覚の乏しいまま,雑踏警備の重要性や本件歩道橋の危険な状況に思いを致さず,本件歩道橋における参集者の流入・滞留状況及び警備員らによる雑踏警備の実施状況に十分注意を払うことなく,花火見物を決め込むなどして,また,部下職員から歩道橋の混雑解消措置の必要性を問われた際にも,その時点で適切な措置を講じていれば,本件事故を防ぐことも可能であったにもかかわらず,深く考えることなく,「今更どうしようもないやろ,放っとかんか。」などと述べて,雑踏事故防止の可能性を摘むなどして,何ら適切な措置を講ずる ていれば,本件事故を防ぐことも可能であったにもかかわらず,深く考えることなく,「今更どうしようもないやろ,放っとかんか。」などと述べて,雑踏事故防止の可能性を摘むなどして,何ら適切な措置を講ずることなく,事態を漫然と放置し,本件事故を発生させるに至ったものであって,被告人A2の過失の程度も被告人A1に劣らず大きいというほかない。 (4) また,被告人A3は,本件当時,Z市市民経済部商工観光課長等として,また,本件夏まつりの実施運営本部の実施副責任者として,被告人A1及び被告人A2を補佐し,夏まつりの企画及び警備計画の策定等の事務を掌理し,事務レベルの責任者として,部下職員を指揮しながら,夏まつりの開催業務の中心的役割を担い,会場全体の総指揮の補助及び各班責任者との連絡調整等を担当する立場にあって,被告人Bをして適切な雑踏警備を行わせ,また,警察官の出動を要請し得る立場にあったにもかかわらず,警備会社と警察とが警備を行ってくれるものと過度に信頼し,また,被告人Bにほとんど任せきりにして,自分達が自主警備の主体であることの自覚の乏しいまま,雑踏警備の重要性や本件歩道橋の危険な状況に思いを致さず,本件歩道橋における参集者の流入・滞留状況及び警備員らによる雑踏警備の実施状況に十分注意を払うことなく,また,部下職員から歩道橋の混雑解消措置の必要性を問われた際にも,その時点で適切な措置を講じていれば,本件事故を防ぐことも可能であったにもかかわらず,「もうちょっとしたら終わるから,それまで待とか。」などと述べて,雑踏事故防止の可能性を摘むなどして,何ら適切な措置を講ずることなく,事態を漫然と放置し,本件事故を発生させるに至ったものであって,Z市の事務レベルの責任者としての立場を考えると,被告人A3の過失の程度も被告人A1及び被告人A2に比して 適切な措置を講ずることなく,事態を漫然と放置し,本件事故を発生させるに至ったものであって,Z市の事務レベルの責任者としての立場を考えると,被告人A3の過失の程度も被告人A1及び被告人A2に比して小さいとはいえない。 (5) そして,被告人Bは,本件当時,本件夏まつりの会場警備に従事した警備員の統括責任者として,総勢130人を超える警備員を率い,自主警備としての雑踏警備の命運を握っていたものであり,警備の専門家として,事前に本件歩道橋における雑踏事故発生の危険を認識し,また,本件当日においても,早い段階から歩道橋が相当混雑していることを把握していたにもかかわらず,次々と寄せられる歩道橋の混雑情報に適切に対応せず,配下警備員からの規制の進言にも無益な指示を繰り返し,また,配下警備員からの警察官の出動の要請の依頼にも,早計な判断によって,警察は協力してくれないものと決めつけて,警察官の出動を真摯に要請することなく,しかも,それに代わる有効な措置を指示することもないまま,何ら適切な措置を講ずることなく,事態を漫然と放置し,本件事故を発生させたものであって,Z市から雑踏警備を委託されながら,その専門家としての役割を果たさなかったことを考えると,被告人Bの過失の程度は,前記の市役所関係被告人に比して,より大きいといわざるを得ない。 (6) さらに,被告人Cは,本件当時,Z警察署地域官として,本件夏まつりの雑踏警備計画の企画・立案を掌理し,また,現地警備本部指揮官として,現場の雑踏警備の責任を負っていたものであり,警備の専門家として,事前に本件歩道橋における雑踏事故発生の危険を認識し,また,本件当日においても,早い段階から歩道橋が相当混雑していることを把握し,規制の要否を判断するに必要な情報を得ておきながら,適切な指示をすることも,主催者側 における雑踏事故発生の危険を認識し,また,本件当日においても,早い段階から歩道橋が相当混雑していることを把握し,規制の要否を判断するに必要な情報を得ておきながら,適切な指示をすることも,主催者側に対して適切な指導助言をすることもなく,自主警備の原則を過度に重視するあまり,また,主催者側から警察官の出動や規制の要請がなかったとして,警察官を動員して規制する時機を失うなどして,何ら適切な措置を講ずることなく,事態を漫然と放置し,本件事故を発生させたものであって,雑踏警備の職責を担う専門の警察官として,参集者の安全確保の最後の砦としての役割を期待されていながら,それを果たさなかったことを考えると,被告人Cの過失の程度は,被告人Bに劣らず大きいというべきである。 6 ところで,本件事故発生には,本件夏まつり開催以前から存在した様々な問題が大きな要因となっており,被告人らにはその点でも責任があることは,前記のとおりである。 (1) 市役所関係被告人は,β海岸公園が花火大会を伴う夏まつりを行う場所としては,慎重な検討を要する場所であったにもかかわらず,必要な検討を加えることなく安易にこれを本件夏まつりの会場として選定しただけでなく,あえてそこで本件夏まつりを実施するのであれば,本件歩道橋において雑踏事故が発生する危険性を軽減させるための方策をとるべきであったのに,これをとることなく,本件夏まつりを企画・立案し実行したものであって,そのこと自体が本件事故発生の一因となっていることは否めず,それらの点も市役所関係被告人の量刑上看過することができない。 (2) 被告人Bは,前記のとおり,事前の雑踏警備計画策定段階における役割が限定されていた面は否めないものの,警備の専門家として,また,警備員の統括責任者として,そして,Z警察署との第2回目,第3 (2) 被告人Bは,前記のとおり,事前の雑踏警備計画策定段階における役割が限定されていた面は否めないものの,警備の専門家として,また,警備員の統括責任者として,そして,Z警察署との第2回目,第3回目の検討会に出席した者として,その専門家としての立場と責任から,花火打上げ場所が妥当かどうか,夜店の配置が妥当かどうかなど,イベントの内容に立ち入った上での指導助言等を積極的にするとともに,本件歩道橋の展望デッキや南側階段の遮へい,迂回路の利用等,雑踏事故防止のための具体策を提言すべきであったにもかかわらず,有効な指導助言や提言をすることなく,かえって,Z警察署との検討会において,カウントダウン花火大会の際の本件歩道橋における混雑に話が及んだときに,「歩道橋については遊撃隊で対処します。」,「カウントダウンの時のようにやります。」などと発言して,曖昧なまま議論を収束させてしまい,更には,雑踏事故を防止するためには不十分なものである警備実施計画しか立てられず,雑踏事故防止のための十分な警備体制を構築できなかったものであって,それらの点も被告人Bの量刑上看過することができない。 (3) また,被告人Cは,主催者による自主警備が原則であるとしても,警察は,主催者側に対する指導助言を積極的に行うべきとされているのであるから,警備の専門家として,また,Z警察署の地域官として,そして,Z市との第1回目,第2回目の検討会に出席した者として,その専門家としての立場と責任から,花火打上げ場所が妥当かどうか,夜店の配置が妥当かどうかなど,イベントの内容に立ち入った上での指導助言等を積極的にするとともに,本件歩道橋の展望デッキや南側階段の遮へい,迂回路の利用等,雑踏事故防止のための具体策を提言すべきであったにもかかわらず,有効な指導助言や提言をすることなく, 上での指導助言等を積極的にするとともに,本件歩道橋の展望デッキや南側階段の遮へい,迂回路の利用等,雑踏事故防止のための具体策を提言すべきであったにもかかわらず,有効な指導助言や提言をすることなく,かえって,暴走族対策に過度に重点を置いたため,本件歩道橋の混雑を緩和する可能性があったZ市の夜店の配置場所変更案に強く反対して,その実現を妨げ,更には,雑踏事故を防止するためには不十分なものである警備計画しか立てられず,雑踏事故防止のための十分な警備体制を構築できなかったものであって,それらの点も被告人Cの量刑上看過することができない。 7 以上みてきたところからすれば,被告人らの刑事責任はいずれも重大であるが,その中でも,雑踏警備の専門家といえる被告人B及び被告人Cの刑事責任は,市役所関係被告人の刑事責任に比して,より重いといわざるを得ない。 なお,被告人らは,いずれも自己の業務上過失責任を争っているところ,本件の特殊な事案の性質からして,被告人らが自己の業務上過失責任の成否を争うことをもって,被告人らの反省が十分でないなどと非難するのは,相当ではないと思われるが,互いに他人の非を声高に主張して,その責任を押しつけあい,自らの責任に真摯に向き合おうとしない姿勢がみられるのは残念である。 8(1) 他方,市役所関係被告人は,雑踏警備計画策定段階において,統括管理会社を置くなど,これまでの夏まつりの警備体制をより改善しようとして,D社に警備を依頼したものであって,その発想自体は理解できるし,また,Z警察署との間で検討会を開き,その指導助言を受け入れて,警備に当たろうとしてきたものであり,夜店の配置については,本件歩道橋南側階段下の混雑を軽減すべく,その配置を民活地に移動させる提案をしたものの,これを被告人Cから拒否されたものであって,それら ,警備に当たろうとしてきたものであり,夜店の配置については,本件歩道橋南側階段下の混雑を軽減すべく,その配置を民活地に移動させる提案をしたものの,これを被告人Cから拒否されたものであって,それらの点については,市役所関係被告人のために酌むべき事情というべきである。 また,本件夏まつり当日には,市役所関係被告人にも,雑踏事故発生の予見義務及び結果回避義務が認められ,業務上過失責任が認められることは前示のとおりであるが,本件夏まつり会場及びその周辺には,被告人Bの下に多数の警備員が配置され,被告人Cの下にも多数の警察官が配置されていたのであり,また,実際に流入規制をする時機を判断し,それを実行するだけの実力を持つのは,あくまでも警備会社と警察であることからすれば,雑踏警備に関しては素人ともいえる市役所関係被告人が,専門家である警備会社及び警察が雑踏警備を責任をもってしてくれると考え,流入規制の時機等について,被告人Bや被告人Cの判断に委ねたとしても,それほど強くは非難できないと思われるのであり,それらの点についても,市役所関係被告人のために酌むべき事情とみるべきである。 (2) また,被告人Bは,前記のとおり,雑踏警備計画策定段階における役割が限定されていて,本件夏まつりの会場選定やイベント内容の決定等には関与しておらず,雑踏事故発生の危険の低くない会場において,現場の警備をただ任されたような状態でありながら,そのための協力警備会社すら自由に選択させてもらえなかったものであって,それらの点については,被告人Bのために酌むべき事情というべきである。 (3) 被告人Cは,警備計画策定段階において,Z警察署長が過度に現場に介入し,雑踏警備を軽視する方針を示したため,雑踏警戒班の人数を減らされ,また,その計画策定からも一時除外さ べきである。 (3) 被告人Cは,警備計画策定段階において,Z警察署長が過度に現場に介入し,雑踏警備を軽視する方針を示したため,雑踏警戒班の人数を減らされ,また,その計画策定からも一時除外されるかのような立場に置かされ,管区機動隊等の指揮権の所在についても,署長からは被告人Cが直接指揮し得るかどうか疑問が残るような不明瞭な指示を受けるに止まった上,本件当日においても,署本部から適切な情報提供はなく,かえって午後8時24分ころには,署本部からの誤解を招きかねない指令によって,混乱した現場がいっそう混乱し,しかも,そのような状況下で,雑踏警戒班指揮官らが,被告人Cの指示に反して,歩道橋南側階段下の現場から離脱するなどしたものであって,それらの点については,被告人Cのために酌むべき事情というべきである。 9(1) そして,被告人らは,いずれも,もとより本件のような重大な結果が発生することを予想していたわけではないこと,そして,本件事故後の一連の報道などによって,一定の社会的制裁も受けているといえること,また,平成16年4月19日の時点で,Z市と,死亡被害者の1遺族との間で示談が成立し,傷害被害者についても,12名(死亡被害者の遺族,近親者ら6名を含む。)を除いて既に示談が成立していることなどが認められる。 (2) また,被告人A1については,本件事故の重大性を認識するとともに,主催者であるZ市の担当者としての責任を痛感して,被害者らに対して謝罪の意を表していること,そして,本件事故を忘れないために,本件歩道橋の近くに転居して,日々歩道橋を見ては本件事故を思い出し,死亡被害者らの冥福を祈るとともに,被害者らに対するお詫びの日々を送っていること,これまで道路交通法違反関係を除いて,前科,前歴もなく,永年にわたってZ市職員として職務に精励 ては本件事故を思い出し,死亡被害者らの冥福を祈るとともに,被害者らに対するお詫びの日々を送っていること,これまで道路交通法違反関係を除いて,前科,前歴もなく,永年にわたってZ市職員として職務に精励してきたことなどが認められる。 (3) 被告人A2についても,本件事故の重大性を認識して反省の意を示すとともに,被害者らに対して謝罪の意を表し,死亡被害者らの冥福を祈っていること,これまで道路交通法違反関係を除いて,前科,前歴もなく,永年にわたってZ市職員として職務に精励してきたことなどが認められる。 (4) 被告人A3についても,本件事故の重大性を認識するとともに,主催者の担当者としての責任を痛感して,被害者らやZ市民に対して謝罪の意を表し,死亡被害者らの冥福を祈っていること,これまで道路交通法違反関係を除いて,前科,前歴もなく,永年にわたってZ市職員として職務に精励してきたことなどが認められる。 (5) 被告人Bについても,本件事故の重大性を認識するとともに,警備の責任者として責任を痛感して,被害者らに対して謝罪の意を表し,死亡被害者らの冥福を祈っていること,これまで道路交通法違反関係を除いて,前科,前歴もなく,それなりに真面目な社会生活を送ってきたこと,そして,本件後,D社を退職するに至ったことなどが認められる。 (6) 被告人Cについても,本件事故の重大性を認識するとともに,警察の現場責任者としての責任を痛感して,被害者らに対して謝罪の意を表し,死亡被害者らの冥福を祈っていること,これまで前科,前歴もなく,永年にわたって兵庫県警察官として,職務に精励して,市民の安全確保に努めてきたこと,そして,本件によって,停職3か月の処分を受けたことなどが認められる。 これらの諸事情も被告人らのために斟酌すべきである。 そこ 官として,職務に精励して,市民の安全確保に努めてきたこと,そして,本件によって,停職3か月の処分を受けたことなどが認められる。 これらの諸事情も被告人らのために斟酌すべきである。 そこで,これらの諸事情を総合して考慮した結果,被告人A1,被告人A2及び被告人A3については,主文の刑に処してその刑事責任を明らかにした上,その刑の執行を猶予するのが相当であるが,被告人B及び被告人Cについては,警備の専門家でありながら,大きな過失により,本件事故を発生させ,極めて重大な結果を招いた刑事責任の重さを考えれば,主文の実刑はやむを得ないところであると判断した。 (検察官の科刑意見被告人A1,被告人B及び被告人Cについて禁錮3年6月,被告人A2について禁錮3年,被告人A3について禁錮2年6月)よって,主文のとおり判決する。 平成16年12月17日神戸地方裁判所第2刑事部 裁判長裁判官森岡安廣 裁判官川上宏 裁判官酒井孝之

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