令和6年1月31日判決言渡 令和5年(行ケ)第10049号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和5年12月5日判決 原告 国立大学法人東北大学 同訴訟代理人弁理士 岩崎孝治 郡山順 原康宏 伊藤昌哉 柴田和雄 被告 特許庁長官 同指定代理人 櫃本研太郎 石井哲 髙見重雄 小島寛史 綾郁奈子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 【略語】本判決で用いる略語は、別紙1「略語一覧」のとおりである。なお、本件審決中で使用されている略語は、本判決でもそのまま踏襲している。 第1 請求 特許庁が不服2022-10892号事件について令和5年3月22日にした審決(本件審決)を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(争 。 第1 請求特許庁が不服2022-10892号事件について令和5年3月22日にした審決(本件審決)を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(争いのない事実) (1) 原告は、発明の名称を「光学イメージング装置」とする発明について、2017年(平成29年)3月29日(優先権主張:平成28年3月31日)を国際出願日とする本件特許出願(特願2018-508134号、請求項の数6)をしたところ、令和4年4月5日付けで拒絶査定を受けた。 (2) 原告は、令和4年7月12日、拒絶査定不服審判を請求するとともに手続 補正書を提出したところ(本件補正)、特許庁は、同請求を不服2022-10892号として審理した上、令和5年3月22日、本件補正を却下するとともに、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は同年4月4日に原告に送達された。 (3) 原告は、令和5年5月8日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起し た。 2 本願発明の概要(1) 特許請求の範囲の記載ア本件補正前の請求項1の記載は、以下のとおりである(分説は本件審決による。)。 A 光を被検体に照射するための光源と、B 前記光源からの光を受け取る集光レンズと、C 前記集光レンズを介して入射した前記光源からの光を被検体に導く複数のファイバの束からなるイメージファイバを備えた内視鏡プローブと、D 前記被検体から前記イメージングファイバと前記前記(注:「前記」 の誤記と思われる。)集光レンズを介して伝達した戻り光を検出する光 検出器と、E 前記イメージファイバ、前記集光レンズ、又は光検出器に接続され、前記イメージファイバ、 」 の誤記と思われる。)集光レンズを介して伝達した戻り光を検出する光 検出器と、E 前記イメージファイバ、前記集光レンズ、又は光検出器に接続され、前記イメージファイバ、前記集光レンズ又は光検出器を振動させる振動素子と、を備え、G 前記振動素子は、前記光検出器から得られた被検体の画像における前 記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動する光学イメージング装置H (但し、被観察物体に挿入される挿入部の先端に設けた対物光学系及び/又はイメージガイドの対物側端部、及びイメージガイドの接眼側端部及び/又は結像光学系を、光軸とほぼ直交する方向に同期して 相対的に振動させるようにしたものを除く。)。 イ本件補正後の請求項1の記載は、以下のとおりである(本願補正発明。 下線部は補正箇所を示す。分説は本件審決による。)。 A 光を被検体に照射するための光源と、B 前記光源からの光を受け取る集光レンズと、 C 前記集光レンズを介して入射した前記光源からの光を被検体に導く複数のファイバの束からなるイメージファイバを備えた内視鏡プローブと、D 前記被検体から前記イメージファイバと前記前記集光レンズを介して伝達した戻り光を検出する光検出器と、E 前記イメージファイバに接続され、前記イメージファイバを振動させ る振動素子と、を備え、F 前記振動素子が、前記イメージファイバの基端に接続された保持部材に直接接続され、G 前記振動素子は、前記光検出器から得られた被検体の画像における前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動す る光学イメージング装置 H (但し、被観察物体に挿入される挿入部の先端 出器から得られた被検体の画像における前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動す る光学イメージング装置 H (但し、被観察物体に挿入される挿入部の先端に設けた対物光学系及び/又はイメージガイドの対物側端部、及びイメージガイドの接眼側端部及び/又は結像光学系を、光軸とほぼ直交する方向に同期して相対的に振動させるようにしたものを除く。)。 (2) 本願明細書の記載等 本願明細書(甲5)及び願書添付図面の抜粋を、別紙2「本願明細書の記載等(抜粋)」に掲げる。これによれば、本願発明について次のとおりの事項が開示されているものと認められる。 ア本発明は、光学イメージング装置に関する(【0001】)。 光学イメージング装置の画像伝送部である内視鏡プローブには、光フ ァイバ束からなるイメージファイバが用いられている。細胞レベルの観察が可能な細径の内視鏡では、少ない画素数のイメージファイバを用いる必要があるため、ファイバ素線の格子模様が視認性に影響を与えるという課題がある(【0002】)。 イファイバ素線の格子模様を低減させるために先行技術文献に開示された 手段は、それぞれ、①ソフトウェアによる平滑化処理では、平滑化により補正された画像をリアルタイムに得ることができない上、汎用性に乏しく、高価であるとの問題が、②内視鏡内部のレンズとイメージガイドの間の透明板に圧電振動子を固着して振動させる手段については、構造が複雑であると共に、ファイバ模様の除去効果に乏しいという問題が、③CCDのフ レームレートに合わせて圧電素子を用いたシフト機構をシフトさせ、シフトの一周期で複数回撮像し、得られた複数フレームの画像を合成して一つの合成画像を生成する手段については、リアルタイムで画像を レームレートに合わせて圧電素子を用いたシフト機構をシフトさせ、シフトの一周期で複数回撮像し、得られた複数フレームの画像を合成して一つの合成画像を生成する手段については、リアルタイムで画像を取得することができない上、シフト機構がイメージガイドの検体側の先端に位置するため、CCDで観察されるイメージガイドの格子模様の除去効果に乏しい という問題があった(【0003】~【0009】)。 ウ本発明の目的は、被検体の画像に現れるファイバ素線の格子模様をリアルタイムで補正することができる光学イメージング装置を提供することにある(【0010】)。 エ本発明は、内視鏡プローブに振動素子を取り付けてファイバを高速振動させる本発明の構成により、補正された明瞭な画像をリアルタイムに取得 することができる。また、画像の補正を低コストで行うことができる。さらには、本発明の光学イメージング装置は、公知の光学系や公知の光学イメージング装置に応用でき、汎用性も広い。(【0011】~【0014】、【0018】)。 オファイバ素線の格子模様を打ち消す振動素子50の振動の速度は、CC Dカメラ17の画像取得レートよりも速いことが好ましい。また、振動素子50の振動により移動する距離が、隣り合うファイバ素線の中心間の距離の2分の1以上になるよう振動の大きさを設定すれば、ファイバ素線の格子模様を打ち消しの効果がより顕著になると考えられる(【0034】)。 3 本件審決の理由の要旨(1) 請求項1に係る本件補正は、特許法17条の2第5項3号の誤記の訂正を目的とするもの又は同項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものではなく同条3項の要件を満たす。そこで、本件補正後の本願補正発明が独立 の2第5項3号の誤記の訂正を目的とするもの又は同項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものではなく同条3項の要件を満たす。そこで、本件補正後の本願補正発明が独立特許要件(特許法17条の2第6項、12 6条7項)を満たすかについて検討するに、本願補正発明は、本件出願の優先日前に頒布等された刊行物である特開昭64-21413号公報(引用例1、その記載等の抜粋は別紙3のとおり)に記載された発明(引用発明)並びに引用例2及び引用例3に示される周知の手法に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特 許を受けることができない。その容易想到性に係る判断内容は、別紙4「本 件審決の容易想到性の判断の要旨」記載のとおりである。 したがって、本件補正は、独立特許要件を満たさないので、特許法159条1項、53条1項により却下すべきものである。 (2) 本願補正前の請求項1に係る本願発明は、本願補正発明と同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2 項により特許を受けることができない。 4 取消事由(1) 本願補正発明の独立特許要件としての進歩性の判断の誤りア引用発明との相違点3の認定の誤り(取消事由1)イ相違点1及び相違点2についての判断の誤り(取消事由2) ウ相違点3についての判断の誤り(ア) 技術常識の認定の誤り(取消理由3-1)(イ) 引用発明の解釈の誤り(取消理由3-2)(ウ) 引用発明の作用の認定の誤り(取消理由3-3)(エ) 相違点3についての判断の不足(取消理由3-4) (2) 本件補正を却下したことによる本件特許 誤り(取消理由3-2)(ウ) 引用発明の作用の認定の誤り(取消理由3-3)(エ) 相違点3についての判断の不足(取消理由3-4) (2) 本件補正を却下したことによる本件特許出願の特許請求の範囲の認定の誤り(取消事由4)第3 当事者の主張 1 取消事由1(相違点3の認定の誤り)について(1) 原告の主張 本件審決は、本願補正発明と引用発明との相違点3として、「本願補正発明の『振動素子』は、『前記光検出器から得られた被検体の画像における前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動する』のに対し、引用発明の『バイモルフ21』(振動素子)は『イメージガイド2の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対し て、直交させることによりAおよびB方向におけるモアレ成分を消去する』 ように作動する点。」と認定し、ここでは「バイモルフ21」は「AおよびB方向におけるモアレ成分を消去する」ように作動するとされている。しかし、引用発明は「ローパスフィルタ9」がB方向におけるモアレ成分を消去するものであるのに対し、本願補正発明はローパスフィルタを必須の構成とするものではない。したがって、相違点3は「…引用発明のバイモルフ21 (振動素子)はイメージガイド2の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して、直交させることによりA方向におけるモアレ成分を消去するように作動し、ローパスフィルタ9はB方向におけるモアレを消去する点」と認定すべきである。 (2) 被告の主張 本件審決における相違点3の認定は、「引用発明のバイモルフ21(振動素子)はイメージガイド2の振動方向Aを水晶板により成るローパスフィルタ9 べきである。 (2) 被告の主張 本件審決における相違点3の認定は、「引用発明のバイモルフ21(振動素子)はイメージガイド2の振動方向Aを水晶板により成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して直交させることにより、A方向におけるモアレ成分を消去するように作動する点」であることを意図したものである。 このことは、引用例1における「上述したようにイメージガイド2の接眼 側端部を振動させるとともにこの振動方向とは異なる方向でのモアレを消去するローパスフィルタ34を設けることによりモアレを有効に除去することができる。」(3頁右上欄19行~同左下欄3行)との記載、及び振動方向に直交する方向には画像をぼかすことができないためモアレを消去できないという技術常識からみても明らかである。 仮に、相違点3の認定に原告主張の誤りがあるとしても、本件審決は「バイモルフ21」が「AおよびB方向におけるモアレ成分を消去する」ように作動するとの認定に基づく判断はしておらず、少なくとも「A方向」に関しては何の誤りもないから、相違点3についての判断に影響しない。 また、本願補正発明においてローパスフィルタの有無は特定されていない から、引用発明の「ローパスフィルタ9」の構成は、新たな相違点を生じる ものではない。 2 取消事由2(相違点1及び相違点2についての判断の誤り)について(1) 原告の主張ア本件審決は、相違点1及び相違点2について、イメージファイバを介して照明光を導く引用例2及び引用例3記載の周知の方法を引用発明に採 用することは当業者が容易に想到するものと判断したが、誤りである。 当該周知の方法は、振動させることのないイメージファイバを照明光を被観察物体に導く光伝達手段として兼 の周知の方法を引用発明に採 用することは当業者が容易に想到するものと判断したが、誤りである。 当該周知の方法は、振動させることのないイメージファイバを照明光を被観察物体に導く光伝達手段として兼用するものであるのに対し、引用発明では、イメージガイド2は接眼側の端部を振動させるようにしたものであって、前提構成が異なるものであるから、上記の周知の方法を引 用発明に採用する理由も根拠もない。 イむしろ、接眼側の端部を振動させるイメージガイド2により照明光を導く構成とすることが撮像に与える影響が不明であることを考慮すれば、上記の周知の方法を引用発明に採用することには阻害要因がある。 (2) 被告の主張 ア内視鏡の技術分野において、挿入部を細径化することは、引用例3及び特開2000-121460号公報(乙2)の記載から明らかなように周知の課題であるから、引用発明もその課題を内在しているといえる。そして、本件審決が認定した周知の手法は、上記周知の課題の解決手段となるものであるから、引用発明に適用する動機付けがあるといえる。 イ接眼側の端部を振動させるイメージガイド2により照明光を被観察物体に導くように構成したとしても、引用発明では、イメージガイド2の接眼側端部を振動させつつ固体撮像素子10に結像しているから逆方向に光を入射できないわけがなく、接眼側の振動が、振動機構のないイメージガイド2の先端から出射する照明光による被観察物体の照明に支障を来すとの 技術常識もない。そうすると、引用発明におけるイメージガイド2の接眼 側端部を振動させる構成が、上記の周知の手法を適用するための前提構成を異なるものとするとはいえない。 ウ原告は、「接眼側の端部を振動させるイメージガイド2により照明光を ド2の接眼 側端部を振動させる構成が、上記の周知の手法を適用するための前提構成を異なるものとするとはいえない。 ウ原告は、「接眼側の端部を振動させるイメージガイド2により照明光を被観察物体に導く構成とすることが被観察物体の撮像にどのような影響を与えるのかが不明」と主張するが、影響が不明であれば試してみるのが通 常の技術者の発想であって、周知の方法を採用する阻害要因とはならない。 3 相違点3についての判断の誤りについて(1) 技術常識の認定の誤り(取消理由3-1)ア原告の主張(ア) 本件審決は、相違点3に関し、「ファイバの束によりモアレが発生す る原因が、光を伝達する各ファイバの間のファイバが充填されない微小な暗部による配列の規則性と、固体撮像素子の規則性とによって固体撮像素子に結像される光学像にあること」を技術常識と認定したが、誤りであり、後記(イ)のとおり、二つの配列の規則性のみではなく、これらの規則性が所定の関係にある場合にモアレが発生するというのが 正しい技術常識である。 (イ) そもそも、本願補正発明が課題とするファイバ素線の格子模様と、引用発明が課題とするモアレとは、発生原理が異なる光学現象である。 すなわち、「モアレ」は、二つの規則正しく配列された繰り返し模様である「ファイバーバンドルの固定パターン」と「固体撮像素子の受 光領域の固定パターン」とが「干渉して」生じる縞模様であって、二つの配列の規則性が所定の関係にある場合に発生するものであるのに対し、「ファイバ素線の格子模様」は単体で生じるものである。 そして、「モアレ」は、「ファイバーバンドルの固定パターン」と「固体撮像素子の受光領域の固定パターン」が重なり合い、これら二 つの繰り返し模様 イバ素線の格子模様」は単体で生じるものである。 そして、「モアレ」は、「ファイバーバンドルの固定パターン」と「固体撮像素子の受光領域の固定パターン」が重なり合い、これら二 つの繰り返し模様のピッチが近いか同じときに生じるのに対して、 「ファイバ素線の格子模様」は、固体撮像素子の受光領域のピッチが固体撮像素子上に投影されたファイバ素線のピッチよりも相当程度小さいときに生じる(参考図1、2はピッチが同じ場合の図であり、この場合、格子模様は観察できない。)。 【参考図1】 【参考図2】 以上のことから、これら二つの繰り返し模様のピッチが、「モアレ」が生じるような関係すなわち近いか同じピッチである場合、固体撮像 素子が取得した画像中では「ファイバ素線の格子模様」は観察されず、また、「ファイバ素線の格子模様」が観察されるような「固体撮像素子の受光領域」のピッチが「ファイバ素線」のピッチよりも相当程度小さい場合、「モアレ」は生じない。 すなわち、引用発明では、固体撮像素子10が取得した画像中で「フ ァイバーバンドルの固定パターン」の格子模様は観察されないし、本願補正発明では、「光検出器」で取得した画像にモアレは生じない。 (ウ) 以上のとおり、本件審決は、技術常識の認定を誤ったため、相違点3についての判断を誤っている。 イ被告の主張 (ア) 引用発明におけるモアレとは、引用例1に「モアレ縞」(1頁右下欄9行)と記載されているように、暗部と明部のなす縞模様として視認されるものであるところ、モアレの暗部は、固体撮像素子10の受光領域が、ファイバ素線の格子模様における暗い部分に相当する場所に位置したことに起因し、モアレの明部は、固体撮像素子10の受 様として視認されるものであるところ、モアレの暗部は、固体撮像素子10の受光領域が、ファイバ素線の格子模様における暗い部分に相当する場所に位置したことに起因し、モアレの明部は、固体撮像素子10の受光 領域が、ファイバ素線の格子模様における明るい部分に相当する場所に位置したことに起因する。 (イ) 本件審決は、「引用発明において、ファイバの束によりモアレが発生する原因が、光を伝達する各ファイバの間のファイバが充填されない微小な暗部による配列の規則性と、固体撮像素子の規則性とによっ て固体撮像素子に結像される光学像にあること」を技術常識として認定しているのであって、原告の主張するように、二つの配列の規則性のみによってモアレが発生するなとどと認定するものではない。 本件審決が上記技術常識を認定する趣旨は、モアレが発生しているときには、光を伝達する各ファイバの間のファイバが充填されない微小 な暗部による配列の規則性と、固体撮像素子の規則性とによって固体 撮像素子に結像されて光出力された光学像の画像上の明暗がモアレとして視認されていることを示すことにある。 (ウ) イメージファイバの端面に現れる像を撮像する技術において、格子模様と認識できる画像とモアレの両方が画像上に渾然一体となって現れることが一般的であることは技術常識であり(乙12【0019】、 乙13〔第8欄10~31行、図11(B)〕、乙14【0003】、乙15【0002】、【0024】、【0025】)、また、固体撮像素子の解像度を高精細として画質を高めることは、当業者にとって自明なことであるから、引用発明においても、モアレとともに格子模様と認識できる画像が渾然一体となって現れていると解すべきである。 (2) 引用発明の解釈の誤 質を高めることは、当業者にとって自明なことであるから、引用発明においても、モアレとともに格子模様と認識できる画像が渾然一体となって現れていると解すべきである。 (2) 引用発明の解釈の誤り(取消理由3-2)ア原告の主張(ア) 本件審決は、上記(1)ア(ア)で取り上げた技術常識の認定に続けて、引用発明がイメージガイド2のファイバ束の格子模様を打ち消すことによりモアレを消去しているとの解釈を示しているが、これは前述のと おりの誤った技術常識に基づくものであり、根拠はない。 上記(1)ア(イ)のとおり、ファイバ素線の格子模様とモアレは発生原理が異なる光学現象であるから、消去する技術も異なるものであって、モアレは、規則正しく配列された繰り返し模様である「ファイバーバンドルの固定パターン」と「固体撮像素子の受光領域の固定パターン」 との干渉具合を変化させて、特定の干渉による特定のモアレを目立たなくさせることにより消去する。 引用発明においては、「イメージガイド2」を振動させることにより、「イメージガイド2」の端面と「固定撮像素子10」の位置関係を変化させ、干渉具合を変化させることによって、モアレが消えたり、弱 くなったり、強くなったり、生じる位置が変化しており、そのように 変化するモアレを含む画像を平均化した画像を取得することにより、特定のモアレを目立たなくさせて消去すると解釈するのが相当である。 (イ) これに対し、本願補正発明における「ファイバ素線の格子模様」は、個体撮像素子の特定の受光領域に、光が射出するファイバ素線のコア部分を対応させたり、光が射出しないクラッド部分及びファイバ素線 間の部分を対応させたりすることにより消去しており(下記参考図3、4参照)、引用発明におけ 領域に、光が射出するファイバ素線のコア部分を対応させたり、光が射出しないクラッド部分及びファイバ素線 間の部分を対応させたりすることにより消去しており(下記参考図3、4参照)、引用発明におけるモアレを消去する技術とは異なるものである。 【参考図3】 【参考図4】 (ウ) 以上のとおり、本件審決は、引用発明の解釈を誤ったため、相違点3についての判断を誤っている。 イ被告の主張引用発明では、イメージガイド2の接眼側端部を振動させることにより、ファイバーバンドルの固定パターンの像が振動し、振動前にモアレの暗部又は明部に対応していた受光領域の位置において、ファイバが充填されない微小な暗部とファイバ中心部等の明部が混ざり合うこととな るため、受光領域間で暗部と明部の差がなくなる(あるいは低減する)ことでモアレが消去されるものである。 引用例1には、「このような本発明の内視鏡装置においては、例えばイメージガイドの接眼側端部を…X方向に振動させると、第8図Bに示すようにローパスフィルタと同様のレスポンス特性が得られ、したがっ てモアレの発生を抑えることができる。」(2頁右下欄2~8行)と記載されており、これは、振動により振動方向の位置が振幅の幅だけ混ざり合ってぼけること、すなわち、振動方向の解像度が低下することにより、「ローパスフィルタと同様のレスポンス特性」が得られ、それによりモアレが抑えられることを記載したものと解されるのであって、格子 模様が画像に現れなくなることによりモアレが消去されるとの上記説明と整合するものである。 したがって、引用発明において振動によりモアレを消去することは、ファイバ素線の格子模様を消去あるいは低減することにほかならない。 (3) よりモアレが消去されるとの上記説明と整合するものである。 したがって、引用発明において振動によりモアレを消去することは、ファイバ素線の格子模様を消去あるいは低減することにほかならない。 (3) 引用発明の作用の認定の誤り(取消理由3-3) ア原告の主張(ア) 本件審決は、本願明細書の【0034】の記載を根拠に、本願補正発明にいう「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」とは、格子模様が認識できなくなるまで打ち消すことを指しているわけではなく、振動素子50を用いない場合の画像に比べて格子模様が低減されていればよいとし て、これを前提に、引用発明も本願補正発明の構成Gに相当するファイ バ素線の格子模様を打ち消す構成を有すると判断したが、以下のとおり誤りである。 (イ) 本願補正発明の構成Gの「格子模様を打ち消すように作動する」とは、格子模様が低減されていると観察者が認識できない程度にしか低減できていないことを含むものではない。 本願明細書の「観察者に視認できない程度に格子模様が低減されること」(【0034】)との記載は、「格子模様が観察者に視認できない程度に低減されること」を意味するのであり、「格子模様の低減の程度が観察者に視認できない」ことを意味するものではない。 上記記載は、本願補正発明の「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」 という記載が、格子模様を100%打ち消すことのみを意味すると解される可能性に鑑み、本願の解決しようとする課題から見れば当たり前のことではあるものの、わざわざ確認的に記載したものである。 また、引用発明のイメージガイド2の振動が格子模様を打ち消す作用を奏するとしても、格子模様が低減されていると認識できるまで消去 できるか否かは、引用例1の記載によっても不明で たものである。 また、引用発明のイメージガイド2の振動が格子模様を打ち消す作用を奏するとしても、格子模様が低減されていると認識できるまで消去 できるか否かは、引用例1の記載によっても不明である。 (ウ) 以上のとおり、本件審決は、引用発明の作用の認定を誤ったため、相違点3についての判断を誤っている。 イ被告の主張(ア) 本願明細書には、「なお、『ファイバ素線の格子模様を打ち消す』 とは、振動素子50を用いない場合の画像に比べて、格子模様が低減されていることを指し、観察者に視認できない程度に格子模様が低減されることを含む。」(【0034】)と記載されており、文章構成上「観察者に視認できない」の直後に「程度」が記載されていることや、「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」ことが格子模様自体を観 察者が視認することができない程度に低減する態様を含むことは当た り前であってわざわざ説明する意味がないことからすると、上記記載は、低減されていると観察者に認識できない程度にしか低減できていないことを含むという意味に解するのが自然である。 そして、上記(2)イのとおり、引用発明では、モアレを消去するための振動によってファイバ素線の格子模様も消去又は低減されているか ら、人の目では視認できない程度の格子模様の低減であったとしても、引用発明は本願補正発明の「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」構成を有するものといえる。 (イ) 仮に、本願補正発明における格子模様の打ち消しは、格子模様が低減されていると認識できる程度まで格子模様が低減されることであると 解したとしても、引用発明では、少なくともA方向のモアレ成分については振動で消去されていることから、その消去の程度は、モアレの暗部が消えたり低 できる程度まで格子模様が低減されることであると 解したとしても、引用発明では、少なくともA方向のモアレ成分については振動で消去されていることから、その消去の程度は、モアレの暗部が消えたり低減したりすることを認識できる程度のものであり、少なくとも画像におけるファイバ素線の格子模様が低減されていると認識できる程度まで消去できているということができる。 (4) 相違点3についての判断の不足(取消理由3-4)ア原告の主張(ア) 本件審決は、相違点3の認定誤りのため、引用発明のローパスフィルタがB方向のモアレを消去する点について判断していない誤りがある。 (イ) 引用発明の必須の構成であるローパスフィルタを、本願補正発明のよ うに必須でない構成とすることには阻害要因があり、判断を要する実質的な相違点である。 イ被告の主張本願補正発明では「ローパスフィルタ9」の有無は特定されていないから、「ローパスフィルタ9」を有しない態様、有する態様とも包含す るものである。そうすると、引用発明の「ローパスフィルタ9」の構成 は、本願補正発明との間で相違点を生じるものではなく、まして阻害要因となるものではない。 4 取消事由4(本件補正を却下したことによる本件特許出願の特許請求の範囲の認定の誤り)について(1) 原告の主張 本願補正発明は進歩性を欠くものではないから、本件補正は却下されるべきではない。したがって、本件特許出願に係る発明を本件補正前の特許請求の範囲の記載により特定し、その発明が進歩性を欠くとした判断も誤りである。 (2) 被告の主張 本願補正発明は進歩性を欠くものであるから、本件補正を却下した本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所 定し、その発明が進歩性を欠くとした判断も誤りである。 (2) 被告の主張 本願補正発明は進歩性を欠くものであるから、本件補正を却下した本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(相違点3の認定の誤り)について(1) 原告は、本願補正発明の独立特許要件としての進歩性の判断について、ま ず、引用発明はローパスフィルタ9がB方向におけるモアレ成分を消去するものであるから、相違点3の認定に誤りがある旨主張する。 (2) しかし、本件審決における引用発明の認定は、引用例1の記載(別紙3参照)に照らし誤りは認められないところ(当事者間にも争いはない。)、本件審決が相違点3について「引用発明の『バイモルフ21』(振動素子)は 『イメージガイド2の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して、直交させることによりAおよびB方向におけるモアレ成分を消去する』ように作動する点。」と認定したことは、引用発明について「g パルス発生器23から、テレビジョン信号のフィールド周波数よりも相当高い周波数の駆動信号をバイモルフ21に印加し、イメージガイド2 の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して、 直交させることによりAおよびB方向におけるモアレ成分を消去する」と認定したことと整合するものである。 また、上記相違点3の認定は、引用発明が、ローパスフィルタ9を用いることなくバイモルフ21の振動のみによってA及びB方向のモアレ成分を消去することまで認定したものではない。引用例1は、各方向のモアレを消去 できるように光学軸を設定した多数枚のローパスフィルタ9を設ける必要があるとしており、引用発明におけるローパスフィルタ9も、特定 ることまで認定したものではない。引用例1は、各方向のモアレを消去 できるように光学軸を設定した多数枚のローパスフィルタ9を設ける必要があるとしており、引用発明におけるローパスフィルタ9も、特定の方向(複屈折方向B)のモアレ成分を消去するものと解される。 そうであれば、本件審決が認定した相違点3は、複屈折方向Bのローパスフィルタ9がB方向におけるモアレを消去することを前提とした上で、A方 向に振動するバイモルフ21がA方向のモアレ成分を消去することを意味すると解するのが相当である。 原告の上記主張は、本件審決の上記趣旨を正解することなく、あたかも引用発明はバイモルフ21の振動のみによってA及びB方向のモアレ成分を消去するものであると認定したかのように曲解し、これを論難するものであっ て、失当である。 (3) また、本願補正発明では、ローパスフィルタの有無は特定されておらず、ローパスフィルタを有する構成は本願補正発明から排除されていないから、引用発明が「ローパスフィルタ9」を備えていることは、本願補正発明との対比において相違点とはならない。 さらに、仮に原告の主張するとおりに相違点3を認定したとしても、少なくとも「A方向」に関していえば、モアレ成分が振動により消去されるのであるから、そうであれば、相違点3に対する容易想到性の結論に影響を与えないことは明らかである。 (4) したがって、原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(相違点1及び相違点2についての判断の誤り)について (1) 原告は、引用例2及び引用例3に開示されたイメージファイバを介して照明光を導く周知の方法はイメージファイバを振動させないものであるのに対して、引用発明はイメージガイド2の接眼側の端部を振動させ 1) 原告は、引用例2及び引用例3に開示されたイメージファイバを介して照明光を導く周知の方法はイメージファイバを振動させないものであるのに対して、引用発明はイメージガイド2の接眼側の端部を振動させるものであるから、イメージファイバの前提構成が異なるものであって、引用発明に上記の周知の手法を適用する動機付けがあるとはいえない旨主張する。 (2) しかし、引用例2及び引用例3によれば、集光レンズを介して入射した光源からの光をイメージファイバにより伝送することは、本件審決が認定するとおり周知の手法であると認められるところ、引用例3の【0008】、及び特開2000-121460号公報(乙2)の【0018】、【0019】、【0029】の記載によれば、内視鏡の技術分野において挿入部を細 径化することは周知の課題であると認められるから、その課題は引用発明にも内在していると認められる。 そして、本件審決の認定する周知の手法は、引用発明にも内在する上記の課題の解決手段となるものであるから、引用発明にこれを適用する動機付けはあるというべきである。 (3) 原告は、さらに、照明光を被観察物体に導くイメージガイド2の接眼側の端部を振動させると、被観察物体の撮像にどのような影響を与えるのかが不明であることを考慮すれば、上記周知の方法を引用発明に採用することには阻害要因がある旨主張する。 しかし、イメージファイバを振動させる技術と、光源からの光をイメージ ファイバにより伝送する技術とを同時に採用できないとする技術的根拠は見当たらず、上記(2)のとおり周知の課題を解決する手段である周知の方法を採用することは、当業者であれば容易に着想して試みるものと認められる。 (4) したがって、引用発明に引用例2及び引用例3の周知 らず、上記(2)のとおり周知の課題を解決する手段である周知の方法を採用することは、当業者であれば容易に着想して試みるものと認められる。 (4) したがって、引用発明に引用例2及び引用例3の周知の手法を適用することによって、相違点1及び相違点2に係る構成は容易に想到し得るとした本 件審決に誤りは認められず、原告主張の取消事由2は理由がない。 3 取消事由3(相違点3についての判断の誤り)について(1) 技術常識の認定の誤り(取消理由3-1)についてア原告は、本件審決が本願補正発明と引用発明との相違点3に関し、「ファイバの束によりモアレが発生する原因が、光を伝達する各ファイバの間のファイバが充填されない微小な暗部による配列の規則性と、固体撮像素 子の規則性とによって固体撮像素子に結像される光学像にあることは技術常識である」とした認定は誤りであると主張し、その根拠として、モアレが発生するのは二つの配列の規則性のみではなく、これらの規則性が所定の関係にある場合である旨主張する。 確かに、引用発明が課題とするモアレは、別紙3「引用例1の記載等 (抜粋)」によれば、「イメージガイドを構成するファイバーバンドルの固定パターン」(第4図A)と、「固体撮像素子の受光領域の固定のパターン」(第4図B)との間の「干渉」によって生じるものと認められ、この点は原告が主張するとおりである。 しかし、本件審決の上記技術常識の認定は、上記の二つの配列に規則性 が存在することがモアレ発生の原因(いわば必要条件)となっていると認定しているにとどまり、それらのみによってモアレが発生すると認定するものではないから、誤りはない。 イ次に、原告は、本願発明が課題とするファイバ素線の格子模様と引用発 要条件)となっていると認定しているにとどまり、それらのみによってモアレが発生すると認定するものではないから、誤りはない。 イ次に、原告は、本願発明が課題とするファイバ素線の格子模様と引用発明が課題とするモアレは発生原理が異なる光学現象であり、引用発明のモ アレは、ファイバ素線のピッチと固体撮像素子の受光領域のピッチとが近いか同じときに生じるものであって、その場合には、固体撮像素子が取得した画像中でファイバ素線の格子模様は観察されないのに対して、本願補正発明のファイバ素線の格子模様は固体撮像素子の受光領域のピッチがファイバ素線のピッチよりも相当程度小さいときに生じるものであり、その 場合には、光検出器で取得した画像にモアレは生じない旨主張する(この 主張は、後記(3)の引用発明の作用にも関連するものである。)。 (ア) しかし、モアレは二つの規則正しく配列された繰り返し模様の干渉により生じるのであるから、モアレが観察される状況においては、二つの繰り返し模様の一つである「ファイバ素線の格子模様」も、程度の差はあれ観察される状況にあると解するのが相当である。 引用発明においても、引用例1がモアレ発生の原因の一つとして挙げる「イメージガイドを構成するファイバーバンドルの固定パターン」(第4図A)は、本願補正発明における「前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様」に相当するものであるから、引用発明においても、イメージガイド2のファイバ素線に対応する明部とファイバ素 線の隙間等に対応する暗部からなる格子模様を有することは明らかである。 なお、格子模様が観察されない場合の例として原告が挙げる前記第3の3(1)ア(イ)の参考図1、2の場合、(モデル化されたものではある る暗部からなる格子模様を有することは明らかである。 なお、格子模様が観察されない場合の例として原告が挙げる前記第3の3(1)ア(イ)の参考図1、2の場合、(モデル化されたものではあるが)いずれも各受光領域の明るさは均一になるため、格子模様のみな らずモアレも観察されないと考えられる。 (イ) さらに、以下の各証拠の記載によれば、原告の上記主張と異なり、イメージファイバの端面に現れる像を撮像する技術において、格子模様とモアレの両方が画像上に同時に現れることは一般的であると認められる。 a 国際公開第2015/025697号(乙12)そして、図2に示したようなイメージガイドファイババンドル13により伝送された光学像を、図3に示したような画素構成の撮像素子21により撮像すると、光学ファイバ13aの配置パターンと画素21aの配置パターンとのズレに起因して干渉縞であるモアレが発生し、 図4に示すようなモアレが発生した表示画像50bがモニタ画面50 a上において観察されることがある。ここに図4は、イメージガイドファイババンドル13を介して撮像素子21により撮像された画像の例を示す図である(【0019】)。 b 特許第2568337号公報(乙13) また、上記イメージガイド10の接眼端面10Aから出た血管内腔像Saの様子を図11(A)の模式図を用いて説明すると、次のようになる。即ち、イメージガイド10より伝送されて来た血管内腔像Saは、図11(A)に示すように、イメージガイド10を構成する各ファイバーF1、F2・・・の中心部分が最も明るく、周辺及びその 接点で囲まれる三角域が暗い網目模様の血管内腔像となる。例えば、ファイバーF1 A)に示すように、イメージガイド10を構成する各ファイバーF1、F2・・・の中心部分が最も明るく、周辺及びその 接点で囲まれる三角域が暗い網目模様の血管内腔像となる。例えば、ファイバーF1について説明すれば、その中心eが最も明るく、斜線で示すように、中心eの周辺d及び接点a、b、cで囲まれる三角域が暗くなっている。このことは、他のファイバーF2・・・についても、同様である。そのため、イメージガイド端面10Aに現れる上記 網目模様の血管内腔像Saをテレビカメラ14で撮影して出力されたビデオ信号S1を、若しモニタ900に直接入力して表示した場合は、 よく知られているように、イメージファイバーの網目模様と表示モニタの走査線や、テレビカメラの撮影素子が有する撮像画素配列に関係する干渉縞としてモアレ縞Mが発生し、図11(B)のようなモニタ表示像になることがわかる。即ち、各ファイバ中心eだけが明るく浮き上がって見えるので、網目模様となる(【0008】)。 【図11】 c 特開平5-111457号公報(乙14)上記従来例においては(図3)、血管内視用カテーテル100を構成するイメージガイド100Bが複数本のファイバによって形成され、 かつこれらファイバは、光を伝送するコアと、光を伝送しないクラッドから成る。そのため、このイメージガイド100B内を伝送して来た血管内腔像S1をテレビカメラ140により撮影した後モニタ160に表示されたモニタ表示像は、よく知られているように、イメージガイド100Bを形成するファイバの上記コアに相当する中心部分が 明るく、クラッドに相当する周辺部分や各ファイバの接点に囲まれた部分が暗くなる。この結果、上記モニタ表示像には、網目模様が生じる。 ド100Bを形成するファイバの上記コアに相当する中心部分が 明るく、クラッドに相当する周辺部分や各ファイバの接点に囲まれた部分が暗くなる。この結果、上記モニタ表示像には、網目模様が生じる。ところが、血管内腔像S1の画素配列と、テレビカメラ140の撮像素子の素子配列とは、一般には厳密には対応していない。従って、 上記モニタ表示像の網目模様には、モアレ縞をともなうことが普通である(【0003】)。 d 特開2002-328311号公報(乙15)ファイバスコープ等に用いられるイメージガイドファイバ束は多数の光学ファイバを束ねて構成されており、その端面に現れる物体像は 各ファイバのコアとクラッドの配列に応じて定まる規則的な明暗パターンを有している。これが映像上では網目模様として現れる。一方、固体撮像素子は受光画素が規則的に配列されており、物体像中の明暗パターンと干渉して映像にモアレが発生するという問題がある(【0002】)。 ウしたがって、原告の上記ア、イの主張はいずれも採用できず、原告主張の取消事由3-1は理由がない。 (2) 引用発明の解釈の誤り(取消理由3-2)についてア原告は、引用発明がイメージガイド2のファイバ束の格子模様を打ち消すことによりモアレを消去しているとの本件審決の解釈は、モアレについ ての誤った技術常識に基づくものであって誤っている旨主張する。 イしかし、上記(1)のとおり、本件審決の認定する技術常識に誤りは認められない上、引用例1の記載及びモアレに関する技術常識によれば、引用発明のイメージガイド2もファイバ素線に対応する明部とファイバ素線の隙間に対応する暗部からなる格子模様を有するところ、イメージガイド2 を振動させるとファイバ素線の格子 技術常識によれば、引用発明のイメージガイド2もファイバ素線に対応する明部とファイバ素線の隙間に対応する暗部からなる格子模様を有するところ、イメージガイド2 を振動させるとファイバ素線の格子模様も振動し、原告が本願補正発明の作用として主張するのと同様に、ファイバ素線に対応する明部がファイバ素線の隙間に対応する暗部との間を移動するように動き、これにより格子模様が低減されるものと解するのが相当である。 引用例1には、イメージガイド2の振動がモアレの発生を抑える機序に ついての具体的な説明は見当たらないが、イメージガイド2の振動により 生ずるのはファイバ素線の格子模様の振動による移動であるから、これによって原告の主張するように「固体撮像素子の受光領域の固定パターン」との位置関係と干渉具合の変化という作用があるとしても、同時に格子模様自体も上記の移動により平均化し目立たなくなると認められるから、モアレの発生原因である格子模様そのものの低減も生じていると認められる。 ウしたがって、引用発明がイメージガイド2のファイバ束の格子模様を打ち消すことによりモアレを消去しているとの本件審決の解釈に誤りがあるとはいえず、原告主張の取消事由3-2は理由がない。 (3) 引用発明の作用の認定の誤り(取消理由3-3)についてア原告は、本件審決は本願明細書【0034】の認定を誤り、その結果、 相違点3についての判断を誤った旨主張する。 イしかしながら、上記(2)で検討したとおり、引用発明は、イメージガイド2を振動させることにより、ファイバ素線に対応する明部がファイバ素線の隙間に対応する暗部に移動し、格子模様が低減されると解されるのであるから、イメージガイド2を振動させない場合に比べて格子模様が低減 せることにより、ファイバ素線に対応する明部がファイバ素線の隙間に対応する暗部に移動し、格子模様が低減されると解されるのであるから、イメージガイド2を振動させない場合に比べて格子模様が低減 されるものであることは明らかである。 一方、本願明細書の【0034】の記載によれば、「『ファイバ素線の格子模様を打ち消す』とは、振動素子50を用いない場合の画像に比べて、格子模様が低減されていることを指」すものであるから、振動によって格子模様がどの程度まで低減されるかに関係なく、振動させない 場合に比べて格子模様が低減されるものは全て本願補正発明の「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」ことに含まれると解するのが相当である。 してみると、本願補正発明の格子模様の打ち消しが、格子模様が観察者に視認できない程度に低減するものであるか、格子模様が低減されていると観察者に認識できない程度にしか低減できないものなのかに関係 なく、引用発明のモアレ消去も、振動がない場合に比べて格子模様が低 減されるものである限りにおいて、本願補正発明と同様に「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」ものであるというべきである。 本件審決もこれと異なる趣旨をいうものではなく、その判断に誤りはない。 ウまた、原告は、引用発明の作用による格子模様の低減の程度が、低減さ れていると観察者が認識できる程度であるか不明であるとも主張するが、上記イで述べたとおり、本願補正発明の「ファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動する」(構成G)とは、振動の大きさを特に限定せず、格子模様が低減される程度も限定しないものと解されるから、本件審決の判断の当否を左右するものではない。原告主張の取消事由3-3は理由がな い。 (4) 相違点3についての判断の不足(取 ず、格子模様が低減される程度も限定しないものと解されるから、本件審決の判断の当否を左右するものではない。原告主張の取消事由3-3は理由がな い。 (4) 相違点3についての判断の不足(取消理由3-4)について原告は、本件審決は相違点3の認定誤りのため引用発明のローパスフィルタがB方向のモアレを消去する点について判断していないところ、引用発明の必須の構成であるローパスフィルタを本願補正発明のように必須でない構 成とすることには阻害要因があり、判断を要する実質的な相違点である旨主張する。 しかしながら、本願補正発明はローパスフィルタを有する態様も包含すると解すべきであり、引用発明が「ローパスフィルタ9」を有する点は本願補正発明との対比において相違点とならず、本件審決に相違点3の認定誤りが ないことは上記1のとおりであり、容易想到性を検討するに際して阻害要因となることもない。 したがって、原告主張の取消事由3-4は理由がない。 (5) 以上のとおり、相違点3についての本件審決の判断に誤りはなく、この点に関する原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 4 取消事由4(本件補正を却下したことによる本件特許出願の特許請求の範囲 の認定の誤り)について原告は、本願補正発明は進歩性を欠くものではないから、本件補正は却下されるべきではなく、したがって本件特許出願に係る発明の認定も誤りである旨主張する。 しかし、上記1~3のとおり、本願補正発明は進歩性を欠くとの本件審決の 判断は相当であり、この点に関する取消理由はいずれも認められないから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく、本件補正は却下すべきものとした本件審決の判断に誤りはない。 したがって この点に関する取消理由はいずれも認められないから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく、本件補正は却下すべきものとした本件審決の判断に誤りはない。 したがって、原告主張の取消事由4は理由がない。 5 結論 以上によれば、本件審決にこれを取り消すべき違法はないこととなる。よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 宮坂昌利 裁判官本吉弘行 裁判官頼晋一 別紙1 略語一覧 (略語) (意味)・本件特許出願: 原告の出願した特許出願(特願2018-508134号)・本件補正: 原告提出の令和4年7月12日付け手続補正書(甲8)に係る補正 ・本願補正発明: 本件補正後の上記請求項1に係る発明・本願明細書: 本件特許出願に係る明細書(甲5)・引用例1: 特開昭64-21413号公報(甲1)・引用発明: 引用例1に係る発明・引用例2: 特開2005-160815号公報(乙1) ・引用例3: 特開2013-252357号公報(甲3)(なお、本件審決には引用例2、3の特定について誤記があるが、正しくは上記のとおりと認められ、原告もこれを争わない。)・A方向: 引用例1の第2図(別紙3参照)の矢印Aで示す方向(振動方向)・B方向: 同図の矢印Bで示す方向(複屈折方向) 以上 は上記のとおりと認められ、原告もこれを争わない。)・A方向: 引用例1の第2図(別紙3参照)の矢印Aで示す方向(振動方向)・B方向: 同図の矢印Bで示す方向(複屈折方向) 以上 別紙2 本願明細書の記載等(抜粋) 【発明の詳細な説明】【背景技術】【0002】光学イメージング装置の画像伝送部である内視鏡プローブには、光フ ァイバ束からなるイメージファイバが用いられている。細胞レベルの観察が可能な細径の内視鏡では、少ない画素数のイメージファイバを用いる必要があるため、ファイバ素線の格子模様が視認性に影響を与える。 【0003】ファイバ素線の格子模様を低減させるために、特許文献1では、蛍光イメージング装置において、取得した画像を、ソフトウェア的に画像処理すること により画像を平滑化し、この格子模様を見えにくくし、対象物の像を見えやすくしている。 【0004】特許文献2の内視鏡用観察・撮像装置では、内視鏡内部においてレンズとイメージガイドの間で枠体に収容された透明板に対し、透明板の上下及び左右周縁における4か所で当接する圧電振動子を該枠体に固着して設け、圧電振動子を 振動させることにより、ファイバの配設模様を除去している。 【0005】特許文献3は、イメージガイドの入射端の外周に形成された圧電素子でイメージガイドの入射端を揺動させ、対物光学系で結像された像に対して前記イメージガイドの入射端を周期的にシフト動作させるシフト機構を備えた内視鏡システムについて開示している。 【先行技術文献】【特許文献】日本国特表2005-532884号公報日本国特開昭60-53919号公報日本国特開2010-284369号公報【発明が解決しようとする課題】 【 【先行技術文献】【特許文献】日本国特表2005-532884号公報日本国特開昭60-53919号公報日本国特開2010-284369号公報【発明が解決しようとする課題】 【0007】しかしながら、特許文献1に記載のソフトウェアによる平滑化処理で は、平滑化により補正された画像をリアルタイムに得ることができない。また、ソフトウェアによる処理では、専用のソフトウェアを搭載した蛍光イメージング装置しか用いることができず、汎用性に乏しく、かつ高価である。 【0008】特許文献2に記載の装置は、圧電振動子がレンズとイメージガイドとの間で光路内に固着されているため構造が複雑であると共に、イメージガイドを形 成するファイバに入射する光が歪み、検出側のファイバ端でのファイバ模様の除去効果に乏しいという問題が存在する。 【0009】特許文献3では、CCDのフレームレートに合わせて圧電素子を用いたシフト機構をシフトさせ、シフトの一周期で複数回撮像し、得られた複数フレームの画像を合成して一つの合成画像を生成するため、リアルタイムで画像を取得す ることができない。また、シフト機構が、イメージガイドの検体側の先端に位置するため、CCDで観察されるイメージガイドの格子模様の除去効果に乏しいという問題が存在する。 【0010】本発明の目的は、被検体の画像に現れるファイバ素線の格子模様をリアルタイムで補正することができる光学イメージング装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【0011】本発明者らは、上記の目的を達成すべく、内視鏡プローブに振動素子を取り付けてファイバを高速振動させることにより、簡素な機械的構成でリアルタイムに画像を平滑化できることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0 、上記の目的を達成すべく、内視鏡プローブに振動素子を取り付けてファイバを高速振動させることにより、簡素な機械的構成でリアルタイムに画像を平滑化できることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0012】本発明の第一の態様によれば、光を被検体に照射するための光源と、 前記光源からの光を受け取る集光レンズと、前記集光レンズを介して入射した前記光源からの光を被検体に導く光ファイバを複数束ねたイメージファイバと、前記イメージファイバの先端側に配置されたレンズとを備えた内視鏡プローブと、前記被検体からの戻り光を検出する光検出器と、前記イメージファイバ、前記集光レンズ、又は光検出器に接続され、前記イメージファイバ、前記集光レンズ又は光検出器を 振動させる振動素子と、を備えた光学イメージング装置が提供される。 【0014】別の実施形態において、振動素子は、前記光検出器から得られた被検体の画像における前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動する。 【発明の効果】【0018】本発明によれば、補正された明瞭な画像をリアルタイムに取得するこ とができる。また、画像の補正を低コストで行うことができる。さらには、本発明の光学イメージング装置は、公知の光学系や公知の光学イメージング装置に応用でき、汎用性も広い。 【図1】本発明の第1実施形態の蛍光イメージング装置の略図 【発明を実施するための形態】【0021】本発明の第1実施形態の蛍光イメージング装置1は、光学系10と、光学系10に着脱可能に接続され、被検体3からの戻り光を検出する光検出器としてのCCDカメラ17と、光学系10に着脱可能に接続され、被検体3を顕微鏡観察する内視鏡プローブ20と、光学系10に着脱可能に接続され、蛍光色素励起 続され、被検体3からの戻り光を検出する光検出器としてのCCDカメラ17と、光学系10に着脱可能に接続され、被検体3を顕微鏡観察する内視鏡プローブ20と、光学系10に着脱可能に接続され、蛍光色素励起用 レーザを被検体3に照射するための光源30と、光学系10に着脱可能に接続され たパーソナルコンピュータ40とを備えている。光学系10は、光源30からの光を受け取り、被検体3に向けて伝達し、かつ内視鏡プローブ20からの光をCCDカメラ17に向けて伝達する。被検体3は動物、植物、微生物;それらの組織;及びそれらの細胞であり得る。被検体3における蛍光の発現は、被検体3に注射等により投与した細胞内イメージング用の蛍光色素等の蛍光体によって行われるか、被 検体3自身によって作られた蛍光体によって行われ、光源30からの蛍光色素励起用レーザを照射することで観察することができる。パーソナルコンピュータ40は、生成された被検体3の画像を表示する表示装置としてのモニタ42を備えている。 【0022】光源30の光ファイバ32の先端部を、光学系10のユニットに設けたコネクタ4に接続することにより、光源30が光学系10と接続される。また、 内視鏡プローブ20の光ファイバ21の基端部を、光学系10のユニットに設けた、イメージファイバ21を接続するための保持部材52に接続することにより、内視鏡プローブ20が光学系10と接続される。 【0023】光学系10は、内視鏡プローブ20に対応するよう配置された集光レンズ11、光源30からの光を反射し、集光レンズ11に向けて反射するミラー1 2、光源30からの励起光を反射し、及びその一部をミラー12に向けて反射するミラー14を有する。 【0024】内視鏡プローブ20からの戻り光はCCDカメラ17 ズ11に向けて反射するミラー1 2、光源30からの励起光を反射し、及びその一部をミラー12に向けて反射するミラー14を有する。 【0024】内視鏡プローブ20からの戻り光はCCDカメラ17で受け取られ、CCDカメラ17によりA/D変換された信号はパーソナルコンピュータ40に入力され、パーソナルコンピュータ40は2次元の画像データを生成する。 【0025】パーソナルコンピュータ40のメモリ等に格納された画像データは、D/A変換等して、例えば標準的な映像信号に変換し、パーソナルコンピュータ40のモニタ42に出力し、モニタ42は、被検体3の組織又は細胞の像を光学イメージング画像として表示する。 【0026】次に、内視鏡プローブ20についてより詳しく説明する。図1、図2 (A)、及び図2(B)を参照すると、内視鏡プローブ20は、集光レンズ11を 介して入射した光源30からの光及び光源30からの光を被検体3に導く複数のファイバの束(ファイバ素線とも言う)からなるイメージファイバ21と、イメージファイバ21の先端側に接続された光ヘッド22とを備え、光ヘッド22は、被検体3からの戻り光をイメージファイバ21の先端面に結像するレンズ23を備えている。イメージファイバ21の画素数は特に限定されないが、通常5000から1 00000、例えば10000程度である。イメージファイバ21の基端部からイメージファイバ21の全長の大部分は可撓性材料24で覆われ、光ヘッド22(レンズ23)の基端部はシース25により覆われている。シース25は、金属、樹脂、又はそれらの組み合わせ等から形成され得る。シース25の上には内視鏡プローブ20保持のための金属製等の管26(図3参照)がさらに設けられていてもよい。 【0027】この 25は、金属、樹脂、又はそれらの組み合わせ等から形成され得る。シース25の上には内視鏡プローブ20保持のための金属製等の管26(図3参照)がさらに設けられていてもよい。 【0027】このような構成により、内視鏡プローブ20は、光学系10から入射した光源30からの光をイメージファイバ21及びレンズ23を介して被検体3に導くと共に、被検体3からの戻り光をレンズ23及びイメージファイバ21を介して集光レンズ11に向かって伝達する。 【0031】本実施形態において、蛍光イメージング装置1は、イメージファイバ 21の基端21bにコネクタ5(図4(A),(B)参照)を介して接続され、電圧の引加によりイメージファイバ21を振動させる1又は複数の振動素子50を備えている。振動素子50としては、リニアアクチュエータ(リニアモータ)、圧電素子、磁歪素子、水晶振動子、超音波振動素子等が挙げられる。振動素子50は、市販の振動素子を利用可能である。 【0032】図4(A)及び(B)に振動素子50の配置を示す。イメージファイバ21の基端21bがコネクタ5に接続され、コネクタ5はコネクタ5を保持するための保持部材52に取り付けられる。保持部材52は光学系10に固定されている。この例では振動素子50がイメージファイバ21の基端21bと集光レンズ11の間に配置されている。具体的には、保持部材52におけるイメージファイバ2 1の基端21bが接続された面とは反対側の面に振動素子50が取り付けられてい る。 【図4】 【0033】図1に戻り、蛍光観察中に振動素子50に電圧を印加し、イメージファイバ21を振動させるように振動させると、CCDカメラ17から得られた信号 から得た、モニタ42に表示される被検体3の 【0033】図1に戻り、蛍光観察中に振動素子50に電圧を印加し、イメージファイバ21を振動させるように振動させると、CCDカメラ17から得られた信号 から得た、モニタ42に表示される被検体3の画像における、イメージファイバ21のファイバ素線の格子模様が打ち消される。 【0034】ファイバ素線の格子模様を打ち消す振動素子50の振動の速度は、CCDカメラ17の画像取得レートよりも速いことが好ましい。また、ファイバ素線の格子模様を打ち消す振動素子50の振動の大きさは、加える電圧の大きさを変更 し、モニタ42上で格子模様が打ち消される状態で電圧を一定に維持することで、当業者には容易に設定することができる。理論に束縛されることを望まないが、振動素子50の振動により移動する距離が、隣り合うファイバ素線の中心間の距離の2分の1以上になるよう振動の大きさを設定すれば、ファイバ素線の格子模様を打ち消しの効果がより顕著になると考えられる。振動素子50の振動は、被検体3の 画像の取得中、生成中、表示中等、被検体3の観察中の任意の時点で、リアルタイムで行うことができるため、モニタ42に表示される被検体3の画像は、振動により補正された画像が映し出され、画像の補正のためのタイムラグが生じない。本実施形態によれば、パーソナルコンピュータ40にて生成した画像をGaussian フィ ルタ等の画像平滑化フィルタでソフトウェア的に後処理する必要がなく、簡素な機械的構成でリアルタイムに画像を平滑化することができる。なお、「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」とは、振動素子50を用いない場合の画像に比べて、格子模様が低減されていることを指し、観察者に視認できない程度に格子模様が低減されることを含む。 【0041】本発明の蛍光イメージング装 消す」とは、振動素子50を用いない場合の画像に比べて、格子模様が低減されていることを指し、観察者に視認できない程度に格子模様が低減されることを含む。 【0041】本発明の蛍光イメージング装置の性能を、ファイバ素線の格子模様をソフトウェアで処理している従来技術の内視鏡蛍光イメージング装置のそれと比較した(表1)。本発明の蛍光イメージング装置は、光源の波長を選択でき、光学系の拡張ができ、低コストである点で、従来の蛍光イメージング装置よりも優れている。 【0043】実施例2 4μm蛍光ビーズを用いた蛍光観察と振動素子のファイバ素線の格子模様のキャンセラーとしての効果1%アガロース溶液に直径4μmの蛍光ビーズ(TetraSpeck, Invitrogen、図8の符号28) を混和し、室温にてゲル化させた。このアガロースゲルに内視鏡プローブを刺入し、波長473nmの励起光を照射し、実施例1の蛍光イメージング装 置を用いて蛍光を観察した(図5)。 【0044】振動素子の作動前は、図6(A)及び(C)に示すように、ビーズの周りにファイバ素線の格子模様が観察されるが、実施例1の蛍光イメージング装置を用いて振動素子に電圧を印加してイメージファイバを振動させたところ、一定電圧に達すると、ファイバ素線の格子模様の打ち消しがモニタ42にて目視観察され (図6(B)及び(D))、リアルタイムでビーズのより明瞭な画像が得られた。 【0045】直径4μmの蛍光ビーズを観察した際の蛍光強度プロファイルのFWHM は、振動素子50による振動前が5μm程度、振動後が8μm程度であった。 この差は3μm程度であるため、x-y方向の分解能は振動後でも細胞を見るのに十分な空間分解能であることが判明した。 以上 前が5μm程度、振動後が8μm程度であった。 この差は3μm程度であるため、x-y方向の分解能は振動後でも細胞を見るのに十分な空間分解能であることが判明した。 以上 別紙3 引用例1の記載等(抜粋) 〔産業上の利用分野〕本発明は、内視鏡装置、特に挿入部に沿って延在するイメージガイドにより伝播される被観察物体の像を接眼レンズ系およびモアレを消去するための複屈折フ ィルタおよび回折フィルタ等のローパスフィルタを介してCCD等の固体撮像素子によって撮像するようにした内視鏡装置に関するものである。 〔従来の技術〕上述した内視鏡装置においては、第4図Aに示すようなイメージガイドを構成するファイバーバンドルの固定パターンと、第4図Bに示すような固体撮像素子 の受光領域の固定のパターンまたは同時式の色信号を得るためのモザイク状色フィルタの固定のパターンとの間の干渉によりモアレ縞が発生し、画質が低下する欠点がある。一般に内視鏡装置においては、モアレは一つの方向だけに発生ずるものではなく、幾つもの異なる方向に発生している(1頁左下欄15行~右上欄13行)。 【第4図】 このようなモアレを消去するために、第5図に示すように、従来の内視鏡装置 では撮像素子の前方に複屈折フィルタのようなローパスフィルタを挿入することが行なわれている。第5図において、内視鏡挿入部1の内部にはファイバーハンドルより成るイメージガイド2を延在させるとともに先端の入射端と対向して対物レンズ3を配置し、イメージガイド2の出射端と対向して接眼レンズ4を配置する。したがって、目視観察する場合には、この接眼レンズ4を介して被観察物 体5の像を観察することができる(1頁右下欄14行~2頁 3を配置し、イメージガイド2の出射端と対向して接眼レンズ4を配置する。したがって、目視観察する場合には、この接眼レンズ4を介して被観察物 体5の像を観察することができる(1頁右下欄14行~2頁左上欄4行)。 【第5図】 〔発明が解決しようとする問題点〕しかしながら、第5図に示した従来の内視鏡装置においては、モアレは一つの 方向に発生するのではなく複数の方向に発生するので、それぞれの方向のモアレを消去できるように光学軸を設定した多数枚、通常4枚以上のローパスフィルタ9を設ける必要がある。したがって、テレビカメラユニット7が大形となる欠点がある。特にこのテレビカメラユニット7をアダプタとして設ける場合には、できるだけ小形軽量とする必要があり、このため内蔵できるローパスフィルタの枚 数が限られてしまい、モアレを十分良好に抑えることができない欠点がある。さらに、ローパスフィルタ9としての複屈折フィルタは高価であり、これを多数枚 設けると装置全体の価格が高くなる欠点がある。 本発明の目的は、上述した欠点を除去し、モアレを消去するためのローパスフィルタの枚数を減らして小形軽量および安価とすることができ、しかもモアレを良好に消去することができる内視鏡装置を提供しようとするものである(2頁右上欄10行~左下欄10行)。 〔実施例〕第1図は本発明による内視鏡装置の一実施例の構成を示すものであり、第5図に示した部分と同じ部分には同じ符号を付けて示した。挿入部1の内部にはイメージガイド2を延在させるが、他に照明光を導くライトガイド、鉗子チャンネル、送気・送水チャンネル等も設けてあるが、図面には示していない(2頁右下欄9 行~16行)。 【第1図】 イメージガイド2の接眼側端部に設 、他に照明光を導くライトガイド、鉗子チャンネル、送気・送水チャンネル等も設けてあるが、図面には示していない(2頁右下欄9 行~16行)。 【第1図】 イメージガイド2の接眼側端部に設けた口金20の先端にバイモルフ21の一端を連結し、このバイモルフの他端は観察部6を構成する固定部材6aに連結す る。バイモルフ21の電極は導線22a、22bを介してパルス発生器23に接続する。したがって、パルス発生器23からバイモルフ21に電圧を印加するとイメージガイド2の接眼側端部は第1図において上下方向に振動することになる。 イメージガイド2の接眼側端面から射出される光を、接眼レンズ4、アダプタとして観察部6に着脱自在に装着されるテレビカメラユニット7の撮影レンズ8お よび1枚の水晶板より成るローパスフィルタ9を経てCCDより成る固体撮像素子10で受光するように構成する。この固体撮像素子10の出力信号をカメラコントロールユニット11で処理してテレビジョン信号を作成し、これをモニタ12に供給して被観察物体5の像を表示する。 パルス発生器23から、テレビジョン信号のフィールド周波数よりも相当高い 周波数の駆動信号をバイモルフ21に印加すると、イメージガイド2の接眼側端部は第2図において矢印Aで示す方向に上下に振動することになる。このイメージガイド2の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して、例えば直交させることによりAおよびB方向におけるモアレ成分を消去することができる。なお、振動方向Aと複屈折方向Bとは必ずしも直交させる必 要はなく、モアレが最も少なくなる方向とすればよい。 【第2図】 また、本例ではテレビカメラユニット7はアタッチメントとして観察部6に装着できるよ 方向Bとは必ずしも直交させる必 要はなく、モアレが最も少なくなる方向とすればよい。 【第2図】 また、本例ではテレビカメラユニット7はアタッチメントとして観察部6に装着できるようになっているので、テレビカメラユニットを外し、第3図(注:図 面省略)に示すようなレクチヤスコープ30を装着することもできる。このレクチヤスコープ30にはリレーレンズ31、光路分割プリズム32、第1の接眼レンズ33、ローパスフィルタ34、イメージガイド35および第2の接眼レンズ36を具えており、同時に二人の人間が観察できるようになっている。この場合、イメージガイド35を通して観察すると、このイメージガイドのファイバーバン ドルも固定のパターンを有しているので上述したようにモアレが発生する恐れがあるが、上述したようにイメージガイド2の接眼側端部を振動させるとともにこの振動方向とは異なる方向でのモアレを消去するローパスフィルタ34を設けることによりモアレを有効に除去することができる(2頁右下欄19行~3頁左下欄3行)。 以上 別紙4 本件審決の容易想到性の判断の要旨 1 引用発明の認定引用例1には、下記の発明(引用発明)が記載されていると認める(カッコ内の頁数は甲1の丁数に対応する。)。 記a 挿入部1の内部に、照明光を導くライトガイドを設け(2頁右下欄9行~16行)、bc 挿入部1の内部にはファイバーバンドルより成るイメージガイド2を延在させるとともに先端の入射端と対向して対物レンズ3を配置し、イメージガイ ド2の出射端と対向して凸型形状の接眼レンズ4を配置し(1頁右下欄14行~2頁左上欄4行、第1図)、d イメージガイド2の接眼側端面から射出され 対向して対物レンズ3を配置し、イメージガイ ド2の出射端と対向して凸型形状の接眼レンズ4を配置し(1頁右下欄14行~2頁左上欄4行、第1図)、d イメージガイド2の接眼側端面から射出される光を、接眼レンズ4、アダプタとして観察部6に着脱自在に装着されるテレビカメラユニット7の撮影レンズ8および1枚の水晶板より成るローパスフィルタ9を経てCCDより成る固 体撮像素子10で受光するように構成し、この固体撮像素子10の出力信号をカメラコントロールユニット11で処理してテレビジョン信号を作成し、これをモニタ12に供給して被観察物体5の像を表示し(3頁左上欄6行~15行)、ef イメージガイド2の接眼側端部に設けた口金20の先端にバイモルフ21 の一端を連結し、このバイモルフの他端は観察部6を構成する固定部材6aに連結し、バイモルフ21の電極は導線22a、22bを介してパルス発生器23に接続し、パルス発生器23からバイモルフ21に電圧を印加しイメージガイド2の接眼側端部を振動させ(2頁右下欄19行~3頁左上欄6行)、h イメージガイド2の先端の入射端、及び同先端の入射端と対向して設けられ た対物レンズ3にバイモルフ等の振動機構を有さず(第1図)、 g パルス発生器23から、テレビジョン信号のフィールド周波数よりも相当高い周波数の駆動信号をバイモルフ21に印加し、イメージガイド2の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して、直交させることによりAおよびB方向におけるモアレ成分を消去する(3頁左上欄16行~同左下欄3行)、 内視鏡装置(2頁右下欄9行~16行)。 2 本願補正発明と引用発明の一致点と相違点の認定本願補正発明と引用発明には、以下の一致点及び する(3頁左上欄16行~同左下欄3行)、 内視鏡装置(2頁右下欄9行~16行)。 2 本願補正発明と引用発明の一致点と相違点の認定本願補正発明と引用発明には、以下の一致点及び相違点が認められる。 【一致点】A 光を被検体に照射するための光源と、 B′集光レンズと、C′複数のファイバの束からなるイメージファイバを備えた内視鏡プローブと、D 前記被検体から前記イメージファイバと前記集光レンズを介して伝達した戻り光を検出する光検出器と、E 前記イメージファイバに接続され、前記イメージファイバを振動させる振 動素子と、を備え、F 前記振動素子が、前記イメージファイバの基端に接続された保持部材に直接接続され、G′前記振動素子は作動する光学イメージング装置H (但し、被観察物体に挿入される挿入部の先端に設けた対物光学系及び/ 又はイメージガイドの対物側端部、及びイメージガイドの接眼側端部及び/又は結像光学系を、光軸とほぼ直交する方向に同期して相対的に振動させるようにしたものを除く。)。 【相違点1】(構成B)本願補正発明の「集光レンズ」は、「前記光源からの光を受け取る」もので あるのに対し、引用発明は「照明光」はライトガイド」に「導」かれ、「接眼 レンズ4」(集光レンズ)は光源からの光を受け取るものでない点。 【相違点2】(構成C)本願補正発明は「集光レンズを介して入射した前記光源からの光を被検体に導く」のが「複数のファイバの束からなるイメージファイバ」であるのに対し、引用発明では、「照明光」(光源からの光)は「ライトガイド」に「導」かれ るものであって、「接眼レンズ4」(集光レンズ)「を介して入射」するものではなく、また、引用発明の「イメージガ のに対し、引用発明では、「照明光」(光源からの光)は「ライトガイド」に「導」かれ るものであって、「接眼レンズ4」(集光レンズ)「を介して入射」するものではなく、また、引用発明の「イメージガイド2」(イメージファイバ)は、「光源からの光を被検体に導く」ものでない点。 【相違点3】(構成G)本願補正発明の「振動素子」は、「前記光検出器から得られた被検体の画像 における前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動する」のに対し、引用発明の「バイモルフ21」(振動素子)は「イメージガイド2の振動方向Aを水晶板より成るローパスフィルタ9の複屈折方向Bに対して、直交させることによりAおよびB方向におけるモアレ成分を消去する」ように作動する点。 3 相違点についての判断ア相違点1及び2について(構成B及びC)内視鏡装置において、「被検体からイメージファイバと集光レンズを介して伝達した戻り光を検出する光検出器」(構成D)を備えつつ、さらに、光源からの光を集光レンズで受け取り(構成B)、集光レンズを介して入射した光源 からの光を複数のファイバの束からなるイメージファイバで被検体に導く(構成C)ようにすることは、例えば引用例2(乙1)、引用例3(甲3)にみられるように優先日の前より周知の事項である。 そうすると、引用発明において、「照明光」が「ライトガイド」に導かれる態様に代えて、上記の周知の手法を採用することは、当業者が容易に想到する ことである。 イ相違点3について(構成G)(ア) 引用発明において、ファイバの束によりモアレが発生する原因が、光を伝達する各ファイバの間のファイバが充填されない微小な暗部による配列の規則性と、固体撮像素子の規則性とによって固体撮 成G)(ア) 引用発明において、ファイバの束によりモアレが発生する原因が、光を伝達する各ファイバの間のファイバが充填されない微小な暗部による配列の規則性と、固体撮像素子の規則性とによって固体撮像素子に結像される光学像にあることは技術常識である(甲4ほか)。 そうすると、引用発明(構成efg)が、「バイモルフ21」(振動素子)の振動が「固体撮像素子」から得られる画像におけるイメージガイド2(イメージファイバ)のファイバ束の格子模様を打ち消すことで、モアレ成分を消去することであることは明らかである。 (イ) 本願補正発明の構成Gが、いかなる程度までに格子模様を打ち消すことを指 しているのか必ずしも定かでないが、本願の発明の詳細な説明の【0034】には、「なお、「ファイバ素線の格子模様を打ち消す」とは、振動素子50を用いない場合の画像に比べて、格子模様が低減されていることを指し、観察者に視認できない程度に格子模様が低減されることを含む。」と記載されていることからすると、格子模様が認識できなくなるまで打ち消すことを指している わけではなく、格子模様が低減されてさえいればよいと解するのが相当である。 そうすると、引用発明において、「バイモルフ21」(振動素子)が、「固体撮像素子」から得られる画像におけるイメージガイド2(イメージファイバ)のファイバ束の格子模様を打ち消」すことは、それが「モアレ成分が消去」される程度の「打ち消し」であったとしても、本願補正発明の構成Gの「画像に おける前記イメージファイバのファイバ素線の格子模様を打ち消す」ことに相当するといえる。 (ウ) してみれば、引用発明は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を有し、上記相違点3は、実質的な相違点ではない。 また、本願補正発 バ素線の格子模様を打ち消す」ことに相当するといえる。 (ウ) してみれば、引用発明は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を有し、上記相違点3は、実質的な相違点ではない。 また、本願補正発明の作用効果は、引用発明、周知の技術及び技術常識から 予測できるものであって、格別のものということができない。 4 まとめ以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。 以上
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