平成11(許)36 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

裁判年月日・裁判所
平成12年12月14日 最高裁判所第一小法廷 決定 却下 東京高等裁判所 平成11(ラ)87
ファイル
hanrei-pdf-52283.txt

判決文本文1,199 文字)

主文 本件抗告を却下する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 一記録によれば、本件の経緯は次のとおりである。 1 本件の本案事件(東京地方裁判所八王子支部平成八年(ワ)第二三六九号損害賠償請求事件)は、D信用金庫の会員である相手方が、同信用金庫の理事であった抗告人に対し、信用金庫法三九条において準用する商法二六七条に基づき、損害賠償を求める会員代表訴訟である。 2 本件は、相手方が、抗告人の善管注意義務違反ないし忠実義務違反を証明するためであるとして、D信用金庫が所持する文書につき文書提出命令を申し立てた事件である。 3 本件申立てにつき、原々審は、文書提出義務が認められないとして却下したが、原審は、証拠としての必要性や重要性を検討して文書提出義務の存否を判断すべきであるとして、原々決定を取り消し、原々審に差し戻した。原決定に対し、抗告人は、本件抗告をした。 二そこで、職権により本件抗告の適否について検討する。 文書提出命令は、ある事実を立証しようとする当事者が自ら証拠を提出する代わりに、裁判所の命令により文書の所持者にその提出を求めるものであり、文書提出命令が発せられた場合には、これに従わない所持者は、文書の記載に関する相手方の主張を真実と認められるなどの不利益を受け、あるいは過料の制裁を受けることがある。そこで、民訴法二二三条四項は、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、申立人とその名あて人である所持者との間で文書提出義務の存否について争う機会を付与したものと解される。また、文書提出命令は、文書の所持者に対- 1 -してその提出を命ずるとともに、当該文書の証拠申出を採用する証拠決定の性質を併せ持つものであるが、文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即 提出命令は、文書の所持者に対- 1 -してその提出を命ずるとともに、当該文書の証拠申出を採用する証拠決定の性質を併せ持つものであるが、文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることは許されない(最高裁平成一一年(許)第二〇号同一二年三月一〇日第一小法廷決定・民集五四巻三号一〇七三頁参照)。そうすると、【要旨】文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができないと解するのが相当である。 本件においては、抗告人は、文書の提出を命じられた所持者ではなく本案事件における当事者にすぎず、原決定に対する不服の利益を有しないから、本件抗告は、不適法なものとして却下を免れない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官大出峻郎裁判官町田顯裁判官深澤武久)- 2 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る