平成16年11月9日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成16年(少コ)第20号(通常移行)損害賠償請求事件(以下「第1事件」という。)平成16年(ハ)第1215号求償金請求事件(以下「第2事件」という。)口頭弁論終結日平成16年10月26日 主文 1 第1事件被告は第1事件原告に対し,9万2146円及びこれに対する平成15年9月14日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 2 第2事件被告は第2事件原告に対し,18万7951円及びこれに対する平成15年11月7日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 3 第1事件原告及び第2事件原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第1事件について生じた費用はこれを2分し,その1を第1事件原告の,その1を第1事件被告の負担とし,第2事件について生じた費用についてもこれを2分し,その1を第2事件原告の,その1を第2事件被告の負担とする。 5 この判決の第1項及び第2項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 第1事件第1事件被告(以下「A」という。)は第1事件原告(第2事件被告)(以下「B」という。)に対し,18万6784円及びこれに対する平成15年9月14日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 2 第2事件Bは第2事件原告(以下「C」という。)に対し,37万5902円及びこれに対する平成15年11月7日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因の要旨本件は,平成15年9月14日午後5時25分ころ名古屋市D区E町F丁目G番地先路上において双方の過失により発生したB運転の軽四貨物自動車(以下「B車両」という。)とA運転の普通乗用自動車(以下「A車両」 は,平成15年9月14日午後5時25分ころ名古屋市D区E町F丁目G番地先路上において双方の過失により発生したB運転の軽四貨物自動車(以下「B車両」という。)とA運転の普通乗用自動車(以下「A車両」という。)の衝突事故(以下「本件事故」という。)について,それぞれ次の支払を求めるものである。 (1) BがB車両の実質的所有者であるとしてAに対し不法行為による損害賠償として衝突による車両修理費及び修理期間中の休業による損害にAの過失割合を乗じた18万6784円と遅延損害金(第1事件)(2) Aと車両保険契約を締結していたCがBに対し,平成15年11月6日に本件事故によりAに生じたA車両の修理費41万7669円を同保険契約に基づいてAに支払ったとして,Aの不法行為による損害賠償請求権に代位して同修理費相当額にBの過失割合を乗じた37万5902円及び遅延損害金(第2事件) 2 中心的争点本件事故の発生及びその日時,場所(衝突地点については争いがある。)並びに本件事故によりAに生じたA車両の損害が41万7669円であること,Cが平成15年11月6日に同金額をAとの間で締結していた保険契約に基づいて同人に支払ったことは,当事者間に争いがなく,Bは,本件事故はB車両が左折完了後第1車線を直進走行中に第2車線を平行して走行するA車両が右後方から何らの合図もなく第1車線に車線変更して前方不注視の過失により衝突してきたものであると主張し,A及びCは,A車両が第1車線を直進走行中,B車両が交差道路から左折して同車線に進入しようとして出会い頭に衝突したものであり,Bの右方車両の有無及び安全確認を怠った過失が原因であると主張するので,争点の中心は本件事故の態様及びBとAの過失の有無及びその割合である。 第3 争点に対する判断 1 証拠によれば本件交差点の状況 の右方車両の有無及び安全確認を怠った過失が原因であると主張するので,争点の中心は本件事故の態様及びBとAの過失の有無及びその割合である。 第3 争点に対する判断 1 証拠によれば本件交差点の状況は次のとおりであることが認められる。(以下文末の括弧内の記載はその事実を認定した証拠を示す。)本件事故現場は,東西方向に向いた片側2車線で各車線の幅員約3.3メートルの直線状のアスファルト舗装道路である主要地方道H線(通称I通)(以下「I通」という。)と南北方向に向いた幅員約4.4メートルの直線状のアスファルト舗装道路(以下「本件交差道路」という。)が直角に交わる交差点(以下「本件交差点」という。)付近のI通上である。I通は,本件交差点付近では上下線が中央分離帯で区分されているため,本件交差道路は同中央分離帯で遮られ,車両が同交差点を南北方向に通過することはできない。I通は,本件交差点付近では最高速度が時速50キロメートルに指定されている。本件交差道路には同交差点手前に一時停止の標識及び停止線が設けられており,その先に横断歩道が設置されている。(甲2,乙18) 2 両車両の損傷の状況乙10号証の1から10まで,11号証,13号証の1から15まで,21号証の1並びにA及びBの供述によれば,本件事故によるB車両の損傷部位は右前部の角の部分であり,右側面のボディー部分に限れば前部にへこみが見られるが中央部分から後方にかけては傷がないこと,右前輪のホイール側面部分には明瞭なタイヤ痕が印されていること,A車両の損傷部位は左側面であり,左後輪ホイール部分に本件事故による欠損の損傷があること,ボディー左側側面にも損傷があり,その傷は運転席ドアーから後輪にかけてであって運転席ドアー部分では後方にかけて大きくなっていること,同側面の後輪フェンダー部分に 本件事故による欠損の損傷があること,ボディー左側側面にも損傷があり,その傷は運転席ドアーから後輪にかけてであって運転席ドアー部分では後方にかけて大きくなっていること,同側面の後輪フェンダー部分にはタイヤ痕があるがへこみは運転席ドアー部分と比較すると少ないことがいずれも認められる。 3 当事者の供述本件事故当時の車両運転者の事故状況に関する供述の要旨は次のとおりである。 (1) B供述本件交差道路を南進し,本件交差点手前の停止線で一時停止した後,徐行して横断歩道の位置まで前進停止し,左右の安全確認をした。その際右側からA車両がI通第2車線を走って来るのが見えた。A車両との距離は推測で50メートル位,A車両の速度は時速65キロメートル位だったと思う。A車両の少し手前の第1車線左側を原動機付自転車が走っていた。第1車線上には他に車両は走っていなかった。A車両の前方第2車線を1台の車両が走行中で,自分の前の第2車線を通り抜けた。A車両は,左折の合図をしておらず,自分は第1車線内で左折可能と思った。左折完了後,アクセルを踏み,第1車線を走行し,ギアーを2速に入れ,3速に入れるとき助手席に乗っていた妻が「あぶない。」と言った。あっと思った瞬間に自分の横にA車両のフロントガラスが見えた。A車両は自分の車両に接触するようにぶつかってきた。衝突時の自車の速度は時速約30キロメートル位だった。衝突後車両を左に寄せて停止した。その位置は本件交差点から約20ないし28メートル位東側で,A車両は,その約25ないし30メートル先で停止した。停止後,自分がAに「割り込むな。」と言ったところ,Aは「俺の進路をどうして塞いだ。」と言っていた。 (2) A供述I通第2車線を東進して本件交差点を直進通過する予定であった。自分は日常的にこの道を帰宅のため走行してお 込むな。」と言ったところ,Aは「俺の進路をどうして塞いだ。」と言っていた。 (2) A供述I通第2車線を東進して本件交差点を直進通過する予定であった。自分は日常的にこの道を帰宅のため走行しており,主として第2車線を走行するのを基本としている。本件交差点手前で,前に遅い車両が走っていたので第1車線に車線変更した。車線変更完了地点は,感覚的には本件交差点手前約五,六十メートルだったが後に実測して85.4メートルの地点であった。走行速度は時速約60キロメートルであった。その際第1車線前方左側を,原動機付自転車が走行中であった。車線変更した時点で,B車両は左折の途中で原動機付自転車の通過を道路の縁で待っている状態であった。B車両が停止していたか否かは不明である。自分は,B車両が原動機付自転車をやり過ごしたので,自車もやり過ごすものと思い,そのまま第1車線を直進したところ,B車両が頭を少し出したため,ハンドルを右に切って回避したが,衝突した。B車両は衝突時に左折を完了してはいない。 衝突地点は本件交差点の中央から東に寄った地点である。衝突後の停止位置は,自車が衝突地点から10メートル前後東よりの公衆電話ボックスの横の位置で,B車両は,その約5メートルくらい後方であった。停止後Bが「何で第2車線から第1車線に移ったのだ。」と言っていた。自分は「こっちが優先だから,止まるべきだろう。」と言った。 4 本件事故態様以上認定した車両の損傷状況及び当事者両名の供述に基づいて,本件事故の態様を検討する。 前記2の認定事実に甲4号証及び乙8号証をあわせ考えると,本件は,B車両の右側前部にA車両の左側側面がB車両の中心線に対しておよそ30度の角度で右後方から衝突した事故であることが推認される。 B車両の右側前輪のホイールにタイヤ痕が印されている 考えると,本件は,B車両の右側前部にA車両の左側側面がB車両の中心線に対しておよそ30度の角度で右後方から衝突した事故であることが推認される。 B車両の右側前輪のホイールにタイヤ痕が印されていること及びA車両左側後輪の欠損の状況から,本件事故によりB車両の右前輪とA車両の左後輪が接触したことが推認できる。さらに,B車両の損傷は,右側面前部のボディーのへこみの程度に比較してむしろその後方に位置する右前輪ホイールの損傷が甚だしく,このような損傷状況はB車両のタイヤがボディー側面と平行の位置(直進の状態)にあったのではなく,タイヤが車両と一定の角度を持っていたため,タイヤの一部がボディー側面の面からはみ出た状態すなわちハンドルを切った状態にあったために生じたものと認められる。 なお,B供述のとおりA車両がB車両と併走した位置から第1車線に進入した(いわゆる「かぶせ」)のであれば,A車両の事故当時の速度が時速約60キロメートル毎時であったことから,かなりの急激なハンドル操作によらなければ約30度の角度で衝突することは考えられず,また,両車両ボディーの損傷部位が前記認定のように限定した部分になることも考えにくい。 以上によれば,本件事故は,B車両が左折完了前の時点で,後ろから走行してきたA車両が第2車線に回避措置をとりつつこれに衝突した事故であると考えるのが相当であり,この推認はA供述のA車両の衝突に至るまでの走行状況及びB供述の衝突の瞬間の状況と無理なく一致するのである。 ところで,Bは,左折完了後しばらく直進したところA車両が第2車線からB車両にかぶせるように第1車線に車線変更して来たために本件事故が発生した旨主張する。しかし,当事者両名の供述によれば,A車両が車線変更した理由は,前を走っていた遅い車を左から追い越すためであると認められ, かぶせるように第1車線に車線変更して来たために本件事故が発生した旨主張する。しかし,当事者両名の供述によれば,A車両が車線変更した理由は,前を走っていた遅い車を左から追い越すためであると認められ,それ以外の理由を認める証拠はない。そうすると,事故当時のA車両の速度と発進直後のB車両の速度の比較からB車両が左折を完了した時点ではA車両はB車両のかなり後方を走行中であったことになり,AがB車両を見落とすことは脇見をしながら車線変更をした等の特別の事情がない限り考えられないのであるが,そのような事情を認める証拠はない。 Bは,A車両が左折中のB車両に後方から衝突したのであれば,両車両の損傷状況が生ずるためには,A車両が中央分離帯に衝突するくらいの急激な回避角度をとったのでなければ説明できない旨主張する。しかしながら,両車両の衝突角度は,衝突時の両車両の向きにより決せられるのであり,B車両が左方への回転途中であったことA車両が右方に回避途中であったことを考慮すれば,衝突時のB車両の向きとA車両の回避開始位置次第で,A車両が中央分離帯に衝突するほどの急激な回避角度をとらなくとも両車両の衝突角度が約30度となりうるのである。 また,Bは,自分が左折に際して右方確認を行ったとき,A車両が第2車線を走行中であった旨述べるが,A車両がBの右方確認後本件交差点までの間に第1車線に車線変更を行ったとすれば,このことは前記認定結果と矛盾するものではない。 5 当事者両名の過失以上の認定事実及び当事者両名の供述によれば,Aには本件交差点の手前で指定制限速度を超える速度で走行していたこと,前方に遅い車が走っていたため,これを左側から追い越そうとして第2車線から第1車線に車線変更したこと,その際前方に左折しようとしているB車両を認めたのであるから,その時点で減速 度で走行していたこと,前方に遅い車が走っていたため,これを左側から追い越そうとして第2車線から第1車線に車線変更したこと,その際前方に左折しようとしているB車両を認めたのであるから,その時点で減速又は第2車線に車線変更するなどの適切な回避措置をとることが容易であったにもかかわらず,本件事故発生の直前に至るまで適切な回避措置をとらなかった過失がいずれも認められ(A,B),他方Bには優先道路への進入に際し一旦停止後,右方確認をしたもののA車両の進行経路及び速度の認識を誤り自車が安全に左折を完了できるものと軽信し,右方確認及び安全確認が不十分なまま左折を開始した過失が認められる(B)。 そうすると,本件事故惹起の過失割合はA55パーセント,B45パーセントであると認めるのが相当である。 6 損害額等B車両の実質的所有者がBであることは,当事者間に争いがなく,本件事故によるB車両の修理代は,16万7538円であると認められる。(甲8)Bは,車両修理に伴う休業損害が発生した旨主張するが,B供述によれば,車両修理中もBが所有する他の車両で業務を行っていたことが認められるのであり,他に休業による損害の発生を認める証拠はない。そうすると,本件事故に起因するBの損害は,16万7538円と認められるのであり,BはAに対し,同額にAの過失割合55パーセントを乗じた9万2146円を請求できると解される。 本件事故によるA車両の損害額が41万7669円であること及びCが車両保険契約に基づきこれをAに支払ったことは前記のとおり当事者間に争いがない。そうすると,Cは,Bに対し同金額にBの過失割合である45パーセントを乗じた18万7951円の範囲でAの損害賠償請求権に代位してBに求償できると解される。 第3 結論以上によれば,第1事件原告の請求は9万214 は,Bに対し同金額にBの過失割合である45パーセントを乗じた18万7951円の範囲でAの損害賠償請求権に代位してBに求償できると解される。 第3 結論以上によれば,第1事件原告の請求は9万2146円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるがその余は理由がなく,第2事件原告の請求は18万7951円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるがその余は理由がない。 名古屋簡易裁判所裁判官矢倉章三
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