平成13(行コ)143 登録免許税還付金等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成11年(行ウ)第140号)

裁判年月日・裁判所
平成13年10月29日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文6,030 文字)

主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決を取り消す。 (2) 被控訴人国は,控訴人に対し,3990万5800円及びこれに対する平成9年10月4日から支払済みまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 (3) 被控訴人東京法務局品川出張所登記官(以下「被控訴人登記官」という。)が控訴人に対し,平成9年12月9日付け通知書(通知第175号)をもってした,東京法務局品川出張所平成8年10月4日受付第28164号及び同日受付第28165号の各登記に係る登録免許税について還付通知をすべき理由がない旨の処分を取り消す。 (4) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 2 被控訴人ら主文と同旨第2 事案の概要 1 本件の事案の概要は,後記2記載のとおり控訴人の当審における補充主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決6頁22行目の「弁論の全趣旨」を「乙2の1,2,弁論の全趣旨」と改め,同12頁16行目の「固定資産評価基準」の次に「(以下「評価基準」という。)」を加え,同14頁3行目の「評価されており」を「評価しており」と,同4行目から5行目にかけての「補正がされた評価をされていた」を「補正をした評価がされていた」と改める。)。 2 控訴人の当審における補充主張(1) 登録価格のない不動産に係る登録免許税の課税標準を算定するに当たっては,評価基準が尊重されなければならない。 すなわち,法附則7条及び措置法84条の2は,課税の公平,納税者の便宜等を考慮して,登録免許税の課税標準を登録価格(これは評価基準によって評価される。)を基礎として算 が尊重されなければならない。 すなわち,法附則7条及び措置法84条の2は,課税の公平,納税者の便宜等を考慮して,登録免許税の課税標準を登録価格(これは評価基準によって評価される。)を基礎として算定する旨規定しているのであるから,登記官は,登録価格のない不動産についても,登録価格のある不動産に比準してその価額を認定しなければならない。 また,措置法施行令44条の2は,登録価格のある不動産とそれがない不動産との間の不均衡が生じないよう,課税の公平を図る趣旨の規定であるところ,登録価格のある不動産の価格は,評価基準をもとに評価されるのであるから,同条が規定する類似性については,評価基準をもとに判断されるべきである。 したがって,本件各土地については,評価基準が定める画地計算法にしたがって価額が認定されるべきであり,これによれば,甲土地は間口狭小・奥行長大の土地として,また,乙土地及び丙土地は無道路地の土地として評価される結果,本件各土地の課税標準額及び登録免許税額は,被控訴人登記官がした課税標準額の認定及び登録免許税額の計算より低額となる。 (2) 本件各土地は,一体として評価すべきではなく,各筆ごとに評価すべきである。 そもそも不動産の登記は各筆ごとになされるものであり,登録免許税は,その登記について課税されるのだから,その課税標準の基礎となる不動産の価額も各筆ごとに評価されなければならない。 また,法及び措置法が登録免許税の課税標準を登録価格を基礎として算定する旨規定していること,登録価格がある不動産とこれがない不動産との間の価額の公平を図る必要があることから,2筆以上の土地を一体として評価することができるかどうかについても,評価基準を考慮すべきである。 そして,評価基準及び取扱要領によれば,登記申請時において一体として利用さ を図る必要があることから,2筆以上の土地を一体として評価することができるかどうかについても,評価基準を考慮すべきである。 そして,評価基準及び取扱要領によれば,登記申請時において一体として利用されていなかった本件各土地は,一画地として認定することはできない。なお,取扱要領は,法規の一種と解される評価基準の委任に基づき所要の補正を行っているのであるから,これを単に東京都の内部的取扱いにすぎないものであるということはできない。 さらに,本件各土地の不動産取得税における価格の決定にみられるように,評価基準を適用した場合の価格の決定が実務上個別評価により行われている以上,課税の公平を図るためにも,本件各土地につき評価基準を適用した評価は,各筆ごとの個別評価によらなければならない。 (3) 平成6年度の固定資産税における資産の評価替えにおいては,平成5年1月1日を価格調査基準日としており,本件各登録免許税における不動産の価額の算定においては,その時点から本件各登記申請をした平成8年10月4日までの地価の下落を考慮すべきである。 仮にそうでなくとも,基準年度の賦課期日である平成6年1月1日現在の価格が登録価格とされるべきであるから,平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価の下落を考慮した評価がされなければならない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決21頁20行目の「甲9ないし12」を「甲11,12」と改め,同20行目から21行目にかけての「,乙4」を削除し,同22頁15行目の「高低差なく」を「ほとんど高低差なく」と,同25行目の「部分はなく」から26行目の「以上ある」までを 「甲11,12」と改め,同20行目から21行目にかけての「,乙4」を削除し,同22頁15行目の「高低差なく」を「ほとんど高低差なく」と,同25行目の「部分はなく」から26行目の「以上ある」までを「部分はない」と改め,同23頁17行目から18行目にかけての「現実に,これらの土地を一体として価値を把握して根抵当権を設定していること,」を削除し,同24頁1行目の「50メートル」を「52メートル」と,同2行目の「高低差なしに」を「ほとんど高低差なしに」と改め,同27頁5行目から6行目にかけての「実際にも,これらの土地を一体として価値を把握して根抵当権を設定していること,」を削除し,同29頁22行目から23行目にかけての「措置法施行令44条の2第1項1号」を「措置法施行令44条の2第1項」と改める。)。 2 なお,控訴人の当審における補充主張にかんがみ付言する。 (1) 控訴人は,法附則7条及び措置法84条の2並びに措置法施行令44条の2の各規定の趣旨を根拠に,本件各土地に係る登録免許税の課税標準を算定するに当たり,評価基準を尊重すべきである旨主張する。 しかしながら,登録免許税法施行令附則3項後段は,登録価格のない不動産について,その課税標準は,当該不動産の登記申請の日において当該不動産に類似する不動産で登録価格のあるものの金額を基礎として,当該登記に係る登記機関が認定した価額とする旨規定している。この規定の内容からすれば,登録価格のない不動産の課税標準の算定において,必ず評価基準によらなければならないものとは解されず,また,上記類似性の判断において評価基準をもとにしなければならないとも解されない。したがって,上記控訴人の主張は,採用することができない。 (2) 控訴人は,本件各土地を一体として評価すべきではない旨主張する。 しかしながら,登 評価基準をもとにしなければならないとも解されない。したがって,上記控訴人の主張は,採用することができない。 (2) 控訴人は,本件各土地を一体として評価すべきではない旨主張する。 しかしながら,登録免許税が登記について課される税であり,土地に関する登記が各筆ごとになされるということと,登録価格のない不動産の価額の算定に当たり,当該不動産を各筆ごとの立地条件等に基づき評価をするのか,あるいは一体の土地を全体として一画地として立地条件等をみるのかという問題とは、必ずしも同一に考えなければならないというものではない。現に,評価基準においても,2筆以上の宅地を一体の土地として一画地とし評価する場合があることを規定しているのである。以上に照らすと,登録免許税が各筆ごとになされる登記について課税されることは,2筆以上の土地を一体として評価すべきではないと解する根拠になるものではないというべきである。 また,前記のとおり,登録価格のない不動産の課税標準を算定するに当たり,必ずしも評価基準によらなければならないということはできないから,控訴人の主張は,その前提を欠く。のみならず,評価基準は,「一画地は,原則として,土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録された1筆の宅地によるものとする。ただし,2筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これらを合わせる必要がある場合においては,その一体をなしている部分の宅地ごとに一画地とする。」と定めており,前記認定・説示の諸事情(前記引用に係る原判決「事実及び理由」欄「第3 当裁判所の判断」の3(2)及び(3)ア,イ)によれば,本件各土地は上記評価基準に照らしても一体として評価すべきものと認めるのが相当である。 控訴人は,本件各土地が取扱要領において一体として評価すべきものとして列挙されている各項のい ア,イ)によれば,本件各土地は上記評価基準に照らしても一体として評価すべきものと認めるのが相当である。 控訴人は,本件各土地が取扱要領において一体として評価すべきものとして列挙されている各項のいずれにも該当しないと主張するが,取扱要領は,評価基準に基づく評価を実施するための要領を示した東京都の内部的な取り決めにすぎないのであるから,これに直接記載がないとしても,2筆以上の宅地を一体として評価することが許されないものではない(評価基準によっても,2筆以上の宅地を現実に一体として利用していない場合には,一画地と認定することができないとはしていないし,自治省固定資産税課編「固定資産評価基準解説土地篇」においても,2筆以上の土地を一画地としうる例外を具体的に摘示しているところ,これには,2筆以上の宅地が一体として利用されていない場合にも一画地と認定することができる旨の記載はないが,これらの具体例は例示とされている。以上に照らせば,評価基準は,一画地と認定するには,2筆以上の宅地が現実に一体として利用されていることを必須の要件とするものではないと解される。)。 なお,控訴人は,本件各土地の不動産取得税における価格の決定が各筆ごとに個別に評価されていることからも,評価基準を適用した評価は個別評価でなければならない旨主張する。しかしながら,登録価格のない不動産につき,不動産取得税については,評価基準によって課税標準となるべき価格を決定することとされている(地方税法73条の21第2項)のに対し,登録免許税については,登記の時において類似する不動産の登録価格を基準として認定することとされている、〈法施行令附則3項,措置法施行令44条の2第1項)のであって,両者は,法令上算定の方法を異にするから,不動産取得税における価額の評価と異なるからといって, 価格を基準として認定することとされている、〈法施行令附則3項,措置法施行令44条の2第1項)のであって,両者は,法令上算定の方法を異にするから,不動産取得税における価額の評価と異なるからといって,そのことをもって直ちに課税の公平を害するということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は,理由がない。 そして,前記引用に係る原判決説示のとおり,登録免許税額を算定するために本件各土地の価額を評価するに当たっては,本件各土地を筆ごとに捉えるのではなく,一体として捉えるのが相当であり,これに反する控訴人の主張は,採用することはできない。 (3) 控訴人は,登録免許税の課税標準は「当該登記又は登録の時における不動産等の価額」であるから,措置法84条の2が規定する「課税台帳に登録された当該不動産の価額を基礎として政令で定める価額」とは,登記申請時点までの地価の下落を考慮した価額でなければならない。したがって,登録価格の価格調査基準日である平成5年1月1日から平成8年10月4日までの地価下落率を考慮すべきであり,仮にそうでなくても,平成5年1月1日から基準年度の賦課期日である平成6年1月1日までの地価の下落を考慮したものでなければならない旨主張する。 しかしながら,措置法84条の2は,法10条1項の課税標準である不動産の価額を,当該不動産の登録価格を基礎として政令で定める価額に100分の40を乗じて計算した金額とするのであるから,登録免許税の課税標準が法10条1項にいう「当該登記又は登録の時における不動産等の価額」とは異なることを容認するものであると解すべきであり,控訴人の主張は,その前提において誤っているといわざるをえない。 なお,実質的にみても,自治事務次官(平成4年1月22日自治固第3号)及び自治省税務局資産評価室長(平成4年11月2 解すべきであり,控訴人の主張は,その前提において誤っているといわざるをえない。 なお,実質的にみても,自治事務次官(平成4年1月22日自治固第3号)及び自治省税務局資産評価室長(平成4年11月26日自治評第28号)がそれぞれ発した通知により,平成6年度の宅地の登録価格が平成5年1月1日時点における当該土地の価格の約7割として評価されているものと認められ,また,措置法84条の2及び措置法施行令44条の2第1項による特例を受けることから,平成8年4月1日から平成9年3月31日までの間に宅地の所有権移転登記等を受ける場合の登録免許税の課税標準となる土地の価額は,平成5年1月1日時点における価額の約28パーセントの価格をもって評価されているとみることができる。そうすると,仮に控訴人主張のとおりの地価の下落が認められるとしても,それだけでは,本件各登録免許税に係る課税標準がそれぞれ本件各登記申請の日である平成8年10月4日時点又は平成6年1月1日時点における本件各土地の価格を上回るものとは認められない。 したがって,控訴人の上記主張は,いずれにしても理由がない。 3 よって,原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第3民事部裁判長裁判官北山元章裁判官青柳馨裁判官竹内民生

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