- 1 -令和3年4月21日判決言渡令和2年(行ケ)第10116号 審決取消請求事件口頭弁論終結日 令和3年2月8日判決 原告セイリン株式会社 訴訟代理人弁理士奥山尚一同 弁理士小川護晃同 弁理士高 橋 菜穂恵同 弁護士野末寿一同 弁護士坂野史子 被告特許庁長官指定代理人平澤芳行同榎本政実同山田啓之主文1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求特許庁が不服2018-13216号事件について令和2年8月19日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要1 特許庁における手続の経緯等 - 2 -⑴ 原告は,平成28年8月29日,別掲のとおりの構成からなる立体商標(以下「本願商標」という。)について商標登録出願(商願2016-93605号)をした。その指定商品は,審査段階における補正を経て,第10類「円皮鍼」である。 ⑵ 原告は,拒絶査定を受けたことから,不服審判を請求した(不服2018-13216号)。 ⑶ 特許庁は,令和2年8月19日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同年9月8日,原告に送達された。 ⑷ 原告は,令和2年10月7日,審決の取消しを求めて,本件訴訟を提起した。 2 審決の理由の概要本願商標は,次のとおり,商品の収納容器の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるので商標法3条1項3号に該当し,使用をされた結果需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるものではないので同条2項の適用は 通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるので商標法3条1項3号に該当し,使用をされた結果需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるものではないので同条2項の適用はないから,商標登録を受けることができない。 ⑴ 商標法3条1項3号該当性についてア 円皮鍼について本願商標の指定商品である「円皮鍼」は,テープに短い針が付いた身体に貼るタイプの鍼であり,肩こりや腰痛などの治療用の医療機器(「管理医療機器」に含まれる「滅菌済み鍼」)であるため,針が折れたりさびたりせず,衛生的かつ簡単に貼れるよう安全性や操作性を考慮して設計された製品である。 イ 本願商標の立体的形状等について(ア) 本願商標は,別掲のとおり,黄色で着色された板状の横長長方形(左上と左下の2つの角には略三角形状の孔がある。)であり,その中央に - 3 -頭を90度右に傾けただるま形状のくぼみを有するプラスチック製容器(カートリッジ)の立体的形状よりなるところ,当該容器のくぼみの中心には更に小さな円形状のくぼみがあり,また,容器の底面側から見た小さな円形状の突部のすぐ右側にスリット状の溝が縦に配されている(以下,本願商標の立体的形状を「本願容器形状」といい,黄色の彩色を含めて「本願容器形状等」といい,本願容器形状等を有する容器を「本願容器」ということがある。)。 (イ) 本願容器に収納して販売される円皮鍼のカタログ等及び広告等には,本願容器により円皮鍼を収納したことについて,「製品は一つ一つが滅菌されて個別に包装されています。」,「指が絆創膏の粘着面にふれることがないよう,独自の工夫を施しましたので衛生的にご使用できます。」,「カートリッジを山折りにし指ではさみ,テープとともに剥離紙(扇形部)をつまみあげます。」等の 」,「指が絆創膏の粘着面にふれることがないよう,独自の工夫を施しましたので衛生的にご使用できます。」,「カートリッジを山折りにし指ではさみ,テープとともに剥離紙(扇形部)をつまみあげます。」等の記載がある。 また,色彩については,「針長(鍼長)はカラーコードで容易に識別できます。」等の記載がある。 ウ 一般的な円皮鍼収納容器の立体的形状について一般的に,円皮鍼は,シート又は板状の固定材へ貼り付けたり,針を刺して固定したり,個体ごとに収納するための円形状のくぼみを有する収納容器,簡易な収納容器等に収納したりして販売されている。これらの中には,針を保護するための小さな円形状のくぼみ又は孔を有するものがあり,また,シート又は板状の固定材へ貼り付けるタイプの収納容器においても針を保護するための小さな円形状のくぼみ又は孔を有するものが見受けられる。 エ 本願容器形状と一般的な円皮鍼収納容器の立体的形状との比較本願容器形状が,同種の収納容器に見られないやや独特の形状であるとしても,個別包装は,医療機器である円皮鍼を開封まで無菌維持し,衛生 - 4 -的,安全に使用するために採用された包装形態であること,本願容器のくぼみ及びその中心の更に小さなくぼみは,針を保護しつつ個体ごとに収納する容器の基本的な形状であって,他の円皮鍼の収納容器の中にも個体ごとに収納するための円形状のくぼみを有する収納容器や針を保護するための小さな円形状のくぼみ又は孔を有している収納容器が見受けられること,底面側に設けられた薄肉に形成されたスリット状の溝(薄肉に形成されたヒンジにあたるもの)及びだるま形状(くぼみの形状)は,本願容器を山折りにし指ではさみ,針先,テープの粘着面が指先に触れることなく衛生的かつ簡便に貼るために選択された形状と理解されるこ に形成されたヒンジにあたるもの)及びだるま形状(くぼみの形状)は,本願容器を山折りにし指ではさみ,針先,テープの粘着面が指先に触れることなく衛生的かつ簡便に貼るために選択された形状と理解されることから,本願容器形状は,円皮鍼の収納容器としての機能に資することを目的として採用されたものといわざるを得ない。 また,2つの角に配置された略三角形状の孔は,商品の収納容器に通常採択し得る範囲での美観を高めるためのデザインの一種と認識されるにとどまるといえるし,黄色については,装飾としての色彩の一種として,または,針のサイズ(長さ)を識別するという機能性の観点から着色されたものといえる。 そうすると,本願容器形状等は,医療機器である円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用するという機能又は美観に資することを目的として採用されたものと認められ,また,円皮鍼の収納容器の立体的形状及び色彩(以下,あわせて「形状等」という。)として,需要者において,機能又は美観に資することを目的とする形状等と予測し得る範囲のものであって,通常採用される範囲を大きく超えるものとまではいえない。 オ 小括以上からすると,本願商標を,その指定商品「円皮鍼」に使用しても,本願商標に接する取引者及び需要者は,これを商品の収納容器の機能(安全性,操作性等)又は美観に資することを目的とする形状等を表したもの - 5 -と認識するにとどまり,自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当であるから,商品の収納容器の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。 ⑵ 商標法3条2項の適用について原告は,「PYONEX」(パイオネックス)と称される円皮鍼(以下「原告製 商標といわざるを得ない。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。 ⑵ 商標法3条2項の適用について原告は,「PYONEX」(パイオネックス)と称される円皮鍼(以下「原告製品」という。)を2004年(平成16年)から製造販売しており,その収納容器(以下「原告容器」という。)の立体的形状及び色彩は,本願容器形状等と同一性を損なわない範囲であると認められる。また,原告容器の画像は,原告の製品カタログ,販売代理店のカタログ,業界雑誌等に掲載されていることが認められるほか,原告は,識別力の立証のため,第三者による証明書及びアンケート結果等を提出する。 しかしながら,以下の各事情,すなわち,ア 実際の取引においては,必ず原告名「SEIRIN」の文字及び原告製品の商品名「Pyonex」の文字が記載されたシール紙で包装して販売されていること,イ 医療機械器具販売業者6社作成の証明書,鍼灸関係者及び関係団体作成の証明書等によっても原告製品の販売実績及び市場占有率が客観的に示されているとはいえないこと,ウ 原告の製品カタログ等の頒布時期,頒布方法,頒布地域,頒布部数等は明らかではないこと,エ 業界雑誌等において継続的な広告宣伝が行われていたとはいえないこと,オ 原告の製品カタログ,雑誌等,販売代理店のカタログ,一部の論文,学会等での配布資料など各種の広告宣伝の際には,必ず,原告名(セイリン)の文字,原告製品の商品名(パイオネックス,PYONEX)の - 6 -文字が掲載されていることに加え,原告容器の全体形状の画像は明確に表示されているものが限られていることからすると,原告容器のみが,他社製品と区別する指標として,需要者の目につきやすく強い印象を与える態様で使用されているとまで認めることができないこと 画像は明確に表示されているものが限られていることからすると,原告容器のみが,他社製品と区別する指標として,需要者の目につきやすく強い印象を与える態様で使用されているとまで認めることができないこと,カ 原告が調査会社を通じて行ったアンケート調査の結果は,需要者の認識を客観的に示すものとはいえないこと,キ 本願容器形状等が,同種の収納容器に見られないやや独特の形状等であるとしても,円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用するために採用された収納容器として,機能性又は美観上の理由による形状等と予測し得る範囲のものであること,等を総合的に判断すると,本願容器形状等が,原告の円皮鍼の収納容器の機能や美観から独立して,その商品の需要者の間で全国的に広く知られているとまでは認めることはできない。 したがって,本願商標は,その指定商品である「円皮鍼」に使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえない。 第3 原告の主張(審決取消事由)1 商標法3条1項3号該当性について⑴ 本願商標の構成ア 本願容器形状等は,多くの構成要素からなる複雑な立体的形状である一方,これらは特に機能に資する目的で採用されたものではない。 そのことは,次のような事情から明らかである。 (ア) 収納容器は,成形されたカートリッジにする必要はない。この点は,他社の収納方法をみれば明らかである。 (イ) 中央部のくぼみは,正円の円皮鍼が収納できればよいため,だるま形状である必要はない。取り出しやすさを重視するなら,三角形や四 - 7 -角形で円の外周との間に隙間があるような形状の方がむしろ適切である。 (ウ) 円皮鍼の針部を収納するにはくぼみである必要はなく,他社シート状の収納のように,針部にスポ 三角形や四 - 7 -角形で円の外周との間に隙間があるような形状の方がむしろ適切である。 (ウ) 円皮鍼の針部を収納するにはくぼみである必要はなく,他社シート状の収納のように,針部にスポンジ状の針を収める部材を設ければよい。その方が,テープ部の粘着部分のシートも兼ねることができて合理的である。 (エ) 円形状の突部のすぐ右側にあるスリット状の溝は,衛生的簡便に鍼を刺すために設けられたものと審決では認定されているが,直線である必要はなく,かつ円形状の突部のすぐ右側である必要もない。 (オ) 本願容器形状には,その底面側のだるま状のくぼみの周囲にそって上記スリット状の溝をはさんで2つに分断される形で底面側に突出する細い曲線状の凸部が設けられているが,これも円皮鍼の収納容器として通常設けられるものではないことは,他社の収納方法を見れば明らかである。 (カ) 左上と左下の2つの角の略三角形状の孔は,円皮鍼の収納との関係で,この構成を設ける必要が全くなく,何の機能も持っていない。 (キ) 収納容器を黄色に着色する必要はなく,他社のように,円皮鍼自体が見えた方が,むしろどのような商品か認識しやすく実用である一方,色彩を施すことで中身が見えないこと自体,斬新な収納である。 イ このように,本願容器形状等の構成要素は,いずれも機能とは全く無関係の構成である。 円皮鍼の収納容器(収納方法)は,円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用できるという機能を発揮する必要があるが,この点は,原告の場合に限られず,他社も同様である。しかるに,他社の円皮鍼の収納方法は,円皮鍼をシートに固定したり,ブリスターパックに似た簡易的な方法で包装したりするだけであり,本願容器形状とは全く異なる形状をもって,円皮鍼 - 8 -の収納のための目的は達成されて 納方法は,円皮鍼をシートに固定したり,ブリスターパックに似た簡易的な方法で包装したりするだけであり,本願容器形状とは全く異なる形状をもって,円皮鍼 - 8 -の収納のための目的は達成されている。 したがって,上記アの本願容器形状の構成要素は,単に商品の機能に資することを目的とする形状を表したものではないことは明らかである。また,他社の円皮鍼の収納方法には,全く美観を有さないものが乱立する中で,美観の点で何か付加するのであれば,色彩を付すだけでも十分である。 本願容器形状等のように,機能のために必須ではなく,製造にコストもかかる形状等を採用することは,「円皮鍼」の分野においては,機能又は美観に資することを目的とする形状と予測し得る範囲を遥かに凌駕しており,明らかにやりすぎである。原告は,円皮鍼の収納方法として考えられる複数ある選択肢からそれぞれの要素を選択し(容器にするのか,貼り付けるのか,色彩を付けるのか付けないのか,個別包装にするのかしないのか等々),選択された構成の組み合わせが,他社の構成とは全く異なるものとなっている。 そして,原告製品は,2004年の発売以来,原告容器に収納された状態で販売されている。 その結果,本願商標に接する者,すなわち,需要者や取引者は,この外観上の顕著な特徴により,一定の出所にかかる商品であることを十分に認識できるものであり,この外観上の特徴により,自他商品の識別が十分可能となっている。 ⑵ 他社の円皮鍼の収納方法円皮鍼を製造販売する企業は,原告以外に13社,販売される円皮鍼の種類も30種類以上ある中で,原告容器と同様の収納容器を採用しているものは,1つも存在していない。 これらのうち,簡易収納容器を使用しているものについては,プラスチック製の容器という点で,かろうじて も30種類以上ある中で,原告容器と同様の収納容器を採用しているものは,1つも存在していない。 これらのうち,簡易収納容器を使用しているものについては,プラスチック製の容器という点で,かろうじて,本願商標と類似の構成を有すると認識できなくもない。しかしながら,シートに貼り付けて収納しているものにあ - 9 -っては,本願商標のいずれの構成要素も有していない。すなわち,原告容器は,他とはその構成を全く異にし,比較のしようがない。 このように,円皮鍼の取引市場において,原告容器に類似するものが全く存在しないことは,原告容器の立体形状が,円皮鍼の収納容器の機能に資することを目的として採用されたものでなく,円皮鍼の収納容器として予測される範囲の形状ではないことの証左である。 ⑶ 本願商標の識別力についてア 商標法3条1項3号該当性の判断に当たっては,条文の文言どおり,本願商標が指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるかどうかを判断すればよく,立体商標について特許庁の審査便覧や知財高裁の裁判例において強調されている「機能」「美観」「公益」といった基準が入り込む余地は限られている。 「機能」は商標法4条1項18号に関連した要件であり,同法3条1項3号に結び付けられるものではない。「美観」は商標法の規定にはないものである。「公益」を考慮することの明文の根拠も商標法の条文にはない。 そもそも,商標が出所表示機能や品質保証機能などの本来の機能を発揮するためには,取引者や需要者の注意を引くことが重要である。したがって,立体商標ではない場合,優れた美観を有するグラフィカルな商標はあまた登録されているわけであるし,商品の機能をストレートではないにしても何らかの形で表現した文字商標も数多く登録されている。もちろん, 立体商標ではない場合,優れた美観を有するグラフィカルな商標はあまた登録されているわけであるし,商品の機能をストレートではないにしても何らかの形で表現した文字商標も数多く登録されている。もちろん,立体商標の場合に,その立法過程での議論から何らかの解釈上の枠組みが加えられることがあり得るであろうが,条文の文言から乖離した解釈がされる余地はない。 イ 原告容器は,上記⑴及び⑵のとおり,原告製品の発売後16年経過しているにもかからず,同様の形状(構成)の収納容器がないほど独特の形状である。他社の円皮鍼の収納方法は,そもそも容器ですらないものが大半 - 10 -であり,個別収納している例においても,原告容器とは,あまりにも違いすぎて比較にならない。かかる事実に照らせば,原告容器が円皮鍼の収納容器の形状として需要者において,通常採用される範囲を大きく超えるものというべきである。 また,他社の円皮鍼の収納方法を一覧すると,円皮鍼の取引業界においては,商品を,効率よく,安全かつ衛生的に取引ができる収納方法であればよいと考えられていることがわかる。そのような市場において,成形した容器を用いて個別包装し,さらにそれに色彩を施したものを収納容器として用いることは,それだけで特異なことであって,他から識別できる要素になりうる。 したがって,需要者である鍼灸師が,原告容器に収納された円皮鍼を一度使用すれば,他の商品の容器と違うことを認識しないことはあり得ない。 原告容器は,立体形状であって,文字商標ではないため称呼や観念が生ずることはないとしても,他社の収納方法とは全く異なるものであることから,「色付きのプラスチックケースに入ったもの」等と簡単にその形状を需要者が表現することが可能であり,次回の商品購入に際し,その形状によって需要者が容易に他 の収納方法とは全く異なるものであることから,「色付きのプラスチックケースに入ったもの」等と簡単にその形状を需要者が表現することが可能であり,次回の商品購入に際し,その形状によって需要者が容易に他社の商品と差別化することが可能である。 つまり,本願商標は,その出所表示機能と品質保証機能を発揮するべくデザインされていて,円皮鍼の収納容器の普通の形状を超えた特徴の特定の形状を需要者が客観的かつ視覚的に認識できる特徴を有しており,指定商品の収納容器の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものではなく,いわゆる「顕著性」を有する。すなわち,原告容器のデザインの主観的な意図とは独立して,需要者が原告製品であると客観的に識別できるような形状になっている。 また,原告が1978年にディスポーザブル(使い捨て)鍼灸鍼を開発・販売して以降,および本願商標が誕生してからこれまでの約16年に - 11 -わたって,原告容器と比類する収納容器が用いられなかったことに鑑みれば,本願商標について商標権を付与しても,自由競争の不当な制限に当たらないことは明らかである。 ⑷ 以上によれば,本願商標が商品又はその容器(以下「商品等」という。)の機能(安全性,操作性,快適性等)に資することを目的とする形状を表したものと認識するにとどまり自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当であるから商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断は明らかに誤りであって,取り消されなければならない。 なお,仮に「商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されると認められる商品等の形状」という基準を当てはめたとしても,原告容器が単に機能と美観に資することを目的として採用 ればならない。 なお,仮に「商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されると認められる商品等の形状」という基準を当てはめたとしても,原告容器が単に機能と美観に資することを目的として採用されたものではないことが明らかであるから,審決の認定判断は取り消されなければならない。 2 商標法3条2項の適用について⑴ 原告製品の販売実績と広告宣伝活動原告は,2004年以来,原告容器を使用して原告製品を販売し,地道な営業努力(広告宣伝活動)により,毎年その売り上げを伸ばし続け,2017年には,円皮鍼の取引市場において,約80%のシェアを獲得するに至った。なお,審決は,約80%のシェアを客観的に裏付ける証拠はないと説示するが,平成30年薬事工業生産動態統計調査結果(甲46の2)も踏まえて計算すれば,●●●●●●●●●●●%であり(甲47の1),客観的な裏付けがある。 新規に開発した商品を,広告宣伝なしに販売し,自然にその販売が拡大することは常識的にあり得ないから,上記のシェアを獲得するために多くの広告宣伝活動が行われたことを,容易に推認できる。実際,原告は,原告製品が医家向け医療機器に該当することに由来する制約がかかる中で,地道な広 - 12 -告宣伝活動を継続的に行い,上記の圧倒的なシェアを獲得するに至った。 審決は,原告が行っている広告宣伝活動に関する証拠は信ぴょう性がなく,証拠中において本願容器形状が明確でないなどと評価し,原告が継続的に宣伝広告活動を行っているとは認められないと認定した。このような証拠評価の誤りによって,審決は,本願商標に係る立体的形状は,単独で自他商品識別力を獲得するに至っておらず商標法3条2項の要件を具備しないと判断したのであって,誤りである。 ⑵ 審決の証拠評価の誤りア 販売実績に て,審決は,本願商標に係る立体的形状は,単独で自他商品識別力を獲得するに至っておらず商標法3条2項の要件を具備しないと判断したのであって,誤りである。 ⑵ 審決の証拠評価の誤りア 販売実績について審決は,医療機械器具販売業者6社の証明書,鍼灸関係者及び関係団体の使用による識別力の証明書等によっても原告製品の販売実績及び市場占有率が客観的に示されているとはいえないと認定判断した。この認定判断には,以下のとおり証拠の評価の誤りがある(判決注:枝番のある書証で枝番を示さないものは,すべての枝番を含む趣旨である。)。 (ア) 販売業者6社の証明書(甲11)審決は,裏付け資料がないことを理由にこれらの証明書の証拠価値を否定したが,署名捺印された文書について,何の反証もなく,裏付け証拠がないという理由のみで証拠価値を否定することはいかにも乱暴である。実際にはこれら6社が自社の記録に基づいてこれらの証明書を作成したことは,例えば,署名者が数字を2度にわたり訂正していること(甲11の4)からもうかがえる。 そして,原告の取引先は34社であるが,そのすべてから証明書を得ることは実際には困難なため,任意で選択した6社にのみ依頼した。このように調査対象を絞ることは,一般の統計でもよく行われており,そのことを理由に証拠価値が低いとすることはできない。 (イ) 鍼灸関係者及び関係団体からの証明書(甲14~17) - 13 -審決は,文言が印刷された文書に署名押印する形式であること,141通のうち指定商品の需要者である鍼灸師によるものは26通であること等を理由にこれらの証明書の証拠価値を否定した。 しかし,証明書を上記形式としたのは,効率性の点からやむを得ないものであり,回答者は原告製品の顧客であって原告に迎合しなければなら 6通であること等を理由にこれらの証明書の証拠価値を否定した。 しかし,証明書を上記形式としたのは,効率性の点からやむを得ないものであり,回答者は原告製品の顧客であって原告に迎合しなければならない理由はないから,上記形式をとったからといって証明書の信頼性に大きな影響を与えるものではない。また,26通以外の証明書の作成者のうち,鍼灸専門学校や業界団体の長は鍼灸師であることが普通であるし,販売店等は指定商品の取引者・需要者である。そして,地域的にも偏りなく全国にわたっているから,これらにより全国的な周知性が証される。 したがって,審決の証拠評価は誤りである。 (ウ) 卸売業者の注文書(甲19)審決は,卸売業者2社からの注文数量を示す注文書だけでは,円皮鍼を取り扱う卸売業者全体の販売に占める割合が不明であることを理由に,原告製品が継続的に広範囲の需要者に販売されているかどうかを判断することはできないとした。 しかしながら,これらの注文書によれば,原告製品の需要が急激に増加しており,需要者の範囲が拡大していることが明らかであるから,審決の上記証拠評価は誤りである。 (エ) 原告作成資料(甲34)における市場占有率80%との記載審決は,上記記載は原告自身の調査によるものであって客観的裏付けがないことを理由に信用性を否定したが,客観的資料をもって●●●●●●●%と裏付け得ることは上記⑴のとおりである。 そして,原告製品について,このように市場シェアが圧倒的な1位であることは,需要者に広く認識される事情としては十分である。 - 14 -イ 宣伝広告について審決は,原告製品の広告宣伝の証拠として原告が提出した資料について,カタログ等の頒布時期,頒布方法,頒布地域,頒布部数が不明であり,容器の画像が不明確である - 14 -イ 宣伝広告について審決は,原告製品の広告宣伝の証拠として原告が提出した資料について,カタログ等の頒布時期,頒布方法,頒布地域,頒布部数が不明であり,容器の画像が不明確であるか又は形状が確認できないなどとして,継続的な広告宣伝が行われたとは認められず,本願容器形状が需要者の間で広く知られているとは認められないと認定判断した。この認定判断も,証拠の評価を誤ったものであり,実際には,以下のとおり,原告の宣伝広告を通じて,本願容器形状が需要者の間で広く知られるに至っている。 (ア) 原告の広告費と広告宣伝方法原告の広告費は年間約169万円(甲8の1では約130万円としたが修正する。甲50)であり,一見少ないように見えるが,これは,一般消費者向けの宣伝広告ができないことに起因する。原告の広告宣伝活動の軸となるのは,営業担当者がカタログ・リーフレットを持参して訪問することや,専門誌へ広告を出稿することであって,それ自体に多額の費用を要するものではないが,費用対効果の高い方法であり,原告製品が高い市場占有率を獲得したことはその結果である。 (イ) 原告作成のカタログ等審判手続で提出したカタログ等(甲4の各枝番)の配布時期や部数等は明らかにし得なかったが,2015年以降に配布した製品カタログは合計4万8000冊,リーフレットは2万枚であり,これらには原告製品の特徴部分であるボタン部を容易に認識できる写真が掲載されている(甲54,55)。 (ウ) 業界雑誌・業界新聞への広告これらの広告(甲9の1~9の29,9の35,9の37,9の39~9の42,9の44,9の45)において,原告容器の形状及び色彩が明瞭に写真などで示されていないとしても,原告製品のシェアが圧倒 - 15 -的であることや,原告容器が他 9の37,9の39~9の42,9の44,9の45)において,原告容器の形状及び色彩が明瞭に写真などで示されていないとしても,原告製品のシェアが圧倒 - 15 -的であることや,原告容器が他社の収納容器とは比較できない特異な形状であることを考慮すれば,これらの写真に接する需要者・取引者は原告容器であることを想起するので,広告の機能を発揮するためには十分である。また,審判手続において提出した雑誌広告の写しは実際に出稿したものの一部であって,実際にはほぼ継続的に広告を出稿していたし(原告作成の一覧表。甲9の46・47),一時的に中断した時期があるとしてもその間も戸別訪問などによる広告宣伝活動は継続的に行われていた。 (エ) 販売代理店作成のカタログこれらのカタログ(甲10の1~29)について,審判手続で提出した写しは不鮮明であったが,実物には,原告容器の立体的形状及び色彩を容易に認識できる写真が掲載されている(甲58)。また,その発行部数も多数にのぼる。 (オ) 学会への参加原告は,鍼灸に関する学会に継続的に参加し(甲59),リーフレットやサンプルの配布を行っているほか,これらの学会で発行される学会誌には,原告製品を使用して行われた研究結果の論文等が多数掲載されている(甲7)。 なお,これらの論文などには原告容器の形状は記載されていないが,その研究をした者や研究結果を実践しようとする鍼灸師は,原告容器を購入し使用するに当たって原告容器の形状を認識していることになる。 ウ 広告における商品名及び商号の掲載について審決は,カタログや雑誌広告においては,原告の商号や原告製品の製品名(「パイオネックス」「PYONEX」)が掲載されていること,収納容器の形状の画像は明確に表示されているものが限られていることから,本 は,カタログや雑誌広告においては,原告の商号や原告製品の製品名(「パイオネックス」「PYONEX」)が掲載されていること,収納容器の形状の画像は明確に表示されているものが限られていることから,本願容器形状のみが需要者の目につきやすく強い印象を与える態様で使用 - 16 -されているとまで認めることができない旨認定判断した。 しかしながら,立体形状と文字商標が一緒に使用されている事実のみを理由に,立体形状が識別標識として認識されていないと認定判断すべきではなく,このことは,特許庁の商標審査便覧や,知財高裁の判決例に照らしても明らかである。実際の市場において,文字商標が全くない状態で広告又は販売されることはあり得ないから,文字商標とともに広告されている事実を,識別力の判断に過度に考慮することは,現実の取引を無視したものである。また,本願商標の立体的形状が,需要者に強い印象を与えること,本願商標と比較すべき同種の形状の容器を用いた商品は他に存在しないことを無視すべきでない。 したがって,審決の上記認定判断は誤りである。 エ アンケート調査結果について審決は,原告が調査会社を通じて行ったアンケート調査結果(甲20)は信ぴょう性に欠けると評価した。 しかしながら,上記評価は,専門の調査会社が公正な方法で行った調査の結果に対して,明確な根拠も示さずその信用性を否定するものであって(なお,被告は,アンケート対象者を施術経験のある鍼灸師に限ったのは相当ではないと主張するが,施術経験のない者は円皮鍼を製造する業者や形状を認識している必要もないから,このような者をアンケートの対象に含めないことは,むしろ合理的というべきであって,被告の主張は失当である。),言いがかりといわざるを得ない。上記調査結果は,本願商標の形状が円皮鍼の需要 もないから,このような者をアンケートの対象に含めないことは,むしろ合理的というべきであって,被告の主張は失当である。),言いがかりといわざるを得ない。上記調査結果は,本願商標の形状が円皮鍼の需要者の間で全国的に広く知られていることの根拠として採用されるべきである。 したがって,審決の上記評価は誤りである。 オ 鍼灸師のブログ等について審決は,鍼灸師がインターネット上に公開しているブログ(甲12)に - 17 -関する判断を欠いている。 これらのブログを作成した鍼灸師は,テレビ画面上のスポーツ選手の肌に原告製品が使用されているのを一瞬見ただけで,それが原告製品であることを認識したのであり,かかる事実は,これらの鍼灸師が,一瞬の画像で原告製品を識別できる程に,原告製品をよく使用している,すなわち,使用している回数と同じく,原告容器を見て触れる機会があったことの証左でもある。また,このことは,原告製品の形状が自他商品識別力を有することを示している。 また,これらのブログでは,原告製品を紹介する際には必ず原告容器の写真も掲載されている。円皮鍼の機能が優れていて紹介したいだけなら,特に収納容器まで一緒に撮影する必要はないにもかかわらず,原告容器を一緒に載せているのは,その容器自体にも見栄えや円皮鍼とともに原告のアイコン的な役割を見出しているからと考えるのが合理的である。つまり,これらのブログは,需要者は,原告容器は,原告の円皮鍼とともに,原告を示す標識として認識されていることの証左である。 このように,審決は,重要な証拠を無視したことにより,本願商標にかかる需要者の認識を過少に評価しており,誤りである。 カ 本願容器及び本願容器に類似した他人の収納容器等の存否について審決は,本願容器について,医療機器である円皮 視したことにより,本願商標にかかる需要者の認識を過少に評価しており,誤りである。 カ 本願容器及び本願容器に類似した他人の収納容器等の存否について審決は,本願容器について,医療機器である円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用するために採用された収納容器として,機能性又は美観上の理由による立体的形状及び色彩と予測し得る範囲のものであって,通常採用されている範囲を大きく超えるものとまではいえない旨認定判断し,このことも考慮に入れて,商標法3条2項該当性を否定した。 しかしながら,審決の上記認定判断も次のとおり誤りである。 (ア) 円形状のくぼみについて審決は,他人の円皮鍼の収納容器の中にも,個体ごとに収納するため - 18 -の円形状のくぼみを有する収納容器や鍼を保護するための小さな円形状のくぼみ又は孔を有している容器が見受けられる旨を指摘する。 しかしながら,個体ごとに収納することや,円形のくぼみを設けることというアイデアのみが共通する収納容器が他に存在することは,通常採用されている範囲と判断する理由付けとはなりえない。もし,審決の論理によって,アイデアを同じくする形状は,通常採択しうる範囲であるとするのであれば,飲料の容器など,同種の形状を取らざるを得ない場合には,立体商標として一切登録などできないことになる。 商標法の保護対象は,選択物たる出所識別標識とそこに化体した業務上の信用であって,誰にも考え付かないような新規性のある画期的な創作物ではない。一つの商品又はその容器を採用するにあたり,様々な要素をそれぞれ選択し,選択した結果として他社の形状と異なり,他社の形状を使用した商品と区別することができる形状は,商標として保護すべきである。 (イ) スリット状の溝及びだるま形の形状について審決は,スリット状 選択した結果として他社の形状と異なり,他社の形状を使用した商品と区別することができる形状は,商標として保護すべきである。 (イ) スリット状の溝及びだるま形の形状について審決は,スリット状の溝及びだるま形の形状は,本願容器を山折りにし指ではさみ,鍼先,テープの粘着面が指先に触れることなく衛生的かつ簡便に貼るために選択された形状と理解される旨を指摘する。 しかしながら,衛生面等への配慮が必要なのは,他社商品も同様であるにもかかわらず,他社は,同様の形状を採用しないばかりではなく,成形した容器すら採用していないものもある。すなわち,原告容器の形状が,衛生面等の機能を確保するために必須の形状でなく,他の形状であっても同様の機能を発揮することは可能であるから,原告容器の形状が機能面から選択されたと理解されるものではない。 (ウ) 略三角形状の孔及び黄色の色彩について審決は,略三角形状の孔は,商品の収納容器に通常採択し得る範囲で - 19 -の美観を高めるためのデザインの一種と認識されるにとどまり,黄色の色彩については,装飾としての色彩の一種として,または,鍼のサイズ(長さ)を識別するという機能性の観点から着色されたものといえる旨を指摘する。 しかしながら,これらの構成要素は,原告がその収納容器を作るにあたり,複数ある選択肢から選択した結果採用されたものである。針の長さを識別するために色彩を用いる必要はなく,シール紙に記載すれば足りるし,色彩を用いるとしても,原告容器のように,白の混じったパステルカラーを採用してわざわざコストを上げる必要はない。また,三角形状の孔も,商品(円皮鍼)との関係で全く意味のない形状である。 指定商品との関係で必要ではなく,他社の同種の包装容器と全く異なる構成の立体形状であっても,通常採 トを上げる必要はない。また,三角形状の孔も,商品(円皮鍼)との関係で全く意味のない形状である。 指定商品との関係で必要ではなく,他社の同種の包装容器と全く異なる構成の立体形状であっても,通常採択し得る範囲での美観を高めるためのデザインの一種と認識されるにとどまるとして識別力を否定することは,機能や美観と関連付けられる構成が存在する場合には,立体形状は識別標識たりえないと認定することと等しい。商標法はそのような解釈を予定していない。 (エ) まとめ上記1⑴⑵のとおり,原告容器の形状は,他社の収納容器(収納方法)とは似ても似つかないものであり,円皮鍼の需要者や取引者がこれらを容易に識別できることは明らかである。にもかかわらず,審決が,本願商標の構成を,それぞれ機能や美観と無理やりに結び付け,円皮鍼の収納容器として予測し得る範囲のものであると認定判断していることは,結論ありきの判断であると言わざるをえない。 ⑶ 以上のとおり,本願商標は,仮に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとしても,原告製品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として使用された結果,その形状について需要者が何 - 20 -人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり,自他商品識別力を獲得していると評価すべきである。したがって,本願商標が商標法3条2項の要件を具備しないとの審決の認定判断は,違法であって取り消されるべきである。 第4 被告の反論1 商標法3条1項3号該当性について⑴ 商品等の立体的形状に係る商標法3条1項3号該当性について商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されたと認められる 係る商標法3条1項3号該当性について商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されたと認められる形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法3条1項3号に該当すると解するのが相当である。 また,商品等の具体的形状は,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが,一方で,当該商品等の用途,性質等に基づく制約の下で,通常は,ある程度の選択の幅があるといえる。しかし,同種の商品等について,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が一定程度の特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として,商標法3条1項3号に該当するものというべきである。その理由は,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占使用させることは,公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 さらに,商品等に,需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても,当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには,商標法4条1項18号の趣旨を勘案すれば,同法 - 21 -3条1項3号に該当するというべきである。その理由として,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りにおいて独占権が付 特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状に商標権による保護を与えると,存続期間の更新を繰り返すことにより,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。 ⑵ 本願商標の商標法3条1項3号該当性について本願商標の立体的形状に係る特徴は,医療機器である円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用するという機能又は美感に資することを目的として採用されたものと認められ,また,円皮鍼の収納容器の形状として需要者において,機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものである。 そうすると,本願商標の指定商品「円皮鍼」の需要者が本願商標に接する場合,単に商品の包装(容器)の形状を普通に用いられる方法で表したものと認識するにすぎないものというべきである。 したがって,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとした審決の認定判断に誤りはない。 ⑶ 原告の主張に対する個別反論ア 原告は,機能の観点からは原告容器を黄色に着色する必要はない旨主張する。 しかしながら,鍼の製造業者が針長を特定するために包装箱や鍼本体に色彩を施していること,原告も,容器の色によって針長の識別ができる旨を製品カタログ等に記載していることから,本願容器の黄色は,針長を識別するという機能性の観点から着色されたものといえる。 - 22 -イ 原告は,本願容器は,原告容器のスリット状の溝,だるま形のくぼみ,底面部に突出する曲線状 ら,本願容器の黄色は,針長を識別するという機能性の観点から着色されたものといえる。 - 22 -イ 原告は,本願容器は,原告容器のスリット状の溝,だるま形のくぼみ,底面部に突出する曲線状の凸部は,他社の収納方法にみられないもので,円皮鍼の収納容器として通常設けられるものではない旨主張する。 しかしながら,そうであるとしても,これらの形状は,円皮鍼を安全に収納し,用時には容器から簡単に取り出すという機能性の観点から形成されたものといえる。 ウ 原告は,円皮鍼の取引市場において,本願容器に類似するものが全く存在しておらず,本願容器の立体形状は,円皮鍼の収納容器として,予測される範囲の形状ではない旨主張する。 しかしながら,他社製品においても,円皮鍼を安全に収納するためにくぼみを有する収納容器が見受けられることや,スリット状の溝及びだるま形のくぼみは,円皮鍼を衛生的かつ簡便に貼るために選択された形状と理解されるものであるから,そのような形状も円皮鍼の包装容器において一般的な形状の一つといえる。 エ 以上のとおり,本願商標の立体的形状及び色彩についての原告の主張を考慮しても,円皮鍼という商品の機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるといえるから,原告の主張は失当である。 2 商標法3条2項該当性について⑴ 商標法3条2項について立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標ないし商品等の形状,使用開始時期及び使用期間,使用地域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模,当該形状に類似した他の商品等の存否などの諸事情を総合考慮して判断するのが相当である。 また,商標法は全国一律に適用されるものであって,商標権が全国に効力の及ぶ更新登録可能な排他的な権利 域及び規模,当該形状に類似した他の商品等の存否などの諸事情を総合考慮して判断するのが相当である。 また,商標法は全国一律に適用されるものであって,商標権が全国に効力の及ぶ更新登録可能な排他的な権利であることからすると,出願商標について,商標法3条2項により商標登録が認められるためには,同条1項3号に該当 - 23 -する商標が,現実に使用された結果,指定商品又は指定役務の需要者の間で,特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識されるに至ったことが必要である。 ⑵ 本願商標の使用による識別力の獲得について原告製品は,一定の販売実績があり,その販売シェアも一定程度高いものといえるとしても,原告の製品カタログ,雑誌等,販売代理店のカタログ,論文の一部,学会等での配布資料など各種の広告宣伝は,原告容器の全体形状の画像が明確に表示されているものは限られていること,広告宣伝において,原告容器のみが,他社製品と区別する指標として,需要者の目につきやすく強い印象を与える態様で使用されているとまで認めることができないこと,原告の製品カタログ等の頒布時期,頒布方法,頒布地域,頒布部数等は明らかではないこと,業界雑誌等において継続的な広告宣伝が行われていたとはいえないこと,原告の製品カタログ,雑誌等,販売代理店のカタログ,論文の一部,学会等での配布資料など各種の広告宣伝の際には,必ず,原告名(セイリン)の文字,原告製品の商品名(パイオネックス,PYONEX)の文字が掲載されていること,医療機械器具販売業者6社の証明書,取引者及び需要者の使用による識別力の証明書等は,各証明者がいかなる客観的な証拠をもとに数字を記載したかは不明であること,原告製品が平成28年以降も高い販売比率を維持しているか不明であること,アンケート調査結果は,需要者 よる識別力の証明書等は,各証明者がいかなる客観的な証拠をもとに数字を記載したかは不明であること,原告製品が平成28年以降も高い販売比率を維持しているか不明であること,アンケート調査結果は,需要者の認識を客観的に示すものとはいえず,重要視できる調査結果とはいえないこと,原告容器が同種の収納容器に見られないやや独特の形状であるとしても,円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用するために採用された収納容器として,機能性又は美感上の理由による立体的形状及び色彩と予測し得る範囲のものであること等を総合すると,本願商標の立体的形状は,使用された結果,本願商標の指定商品の需要者の間で,特定の者の業務に係る商品の出所を表示するものとして全国的に認識されるに至ったものとはいえない。 - 24 -したがって,審決の同旨の認定に誤りはない。 ⑶ 原告の主張に対する個別反論ア 原告製品の市場占有率について原告は,客観的な統計に基づけば,原告製品の市場占有率は●●●●●●●●●●●%である旨主張する。 しかしながら,原告製品の売上金額については客観的な裏付けがないこと,上記統計における鍼の分類が明確でないことからすれば,原告が主張する市場シェア●●%は,正確な数値に基づき算出されたものとはいえない。 イ 原告製品を販売する6社の証明書について原告は,証明書の内容を裏付ける証拠がないことを理由に証拠としての有用性を否定することは,「署名済み証明書」の意義を根底から覆す誤った判断である旨主張する。 しかしながら,原告製品を販売する6社の証明書は,自社が取り扱う販売数と原告製品の販売数を明らかにした上での販売割合とはいえないことから,署名者が客観的な根拠に基づく数値を記載したかは不明といわざるを得ない。 ウ 鍼灸関係者及び関係団体によ ,自社が取り扱う販売数と原告製品の販売数を明らかにした上での販売割合とはいえないことから,署名者が客観的な根拠に基づく数値を記載したかは不明といわざるを得ない。 ウ 鍼灸関係者及び関係団体による証明書について原告は,これらの証明書の作成者は,原告に依頼されたとしても,その署名を容易に断れる立場にあった旨主張する。 しかしながら,これらの証明書の作成者が,原告製品を取り扱って営業等を行う顧客との関係にあることからすれば,その取引者及び需要者は原告から協力依頼があれば協力する立場にあったといえる。 また,原告は,これらの証明書は,原告容器が全国の鍼灸師に広く認識されていることを示す重要な証拠であり,審決は,証拠評価を誤った旨主張する。 - 25 -しかしながら,鍼灸師会,鍼灸マッサージ師会等からの証明書は,93団体のうちの26団体(28%)であり,鍼灸院,針灸治療院等からの証明書は,6万8620か所のうちの26か所(0.04%)であるから,これらの証明書は,原告容器の立体的形状が全国の鍼灸師に広く認識されていたことの証拠とはいえない。 エ 広告宣伝について原告は,カタログの配布や専門誌への広告出稿は継続的に行われてきており,その数量及び経費額が少なく見えるとしても,原告製品の広告宣伝は主として鍼灸院への戸別訪問の方法により行われていることを考慮すべきである旨主張する。 しかしながら,カタログの配布数や広告出稿の回数については客観的な裏付けが乏しい上,カタログや広告において原告容器の形状を示す画像が鮮明に表示されているものでもない。 オ アンケート対象者の選定について原告は,アンケート対象者を施術経験のある鍼灸師に限ったことについて,施術経験のない者は円皮鍼を製造する業者や形状を認識している必要 れているものでもない。 オ アンケート対象者の選定について原告は,アンケート対象者を施術経験のある鍼灸師に限ったことについて,施術経験のない者は円皮鍼を製造する業者や形状を認識している必要もないから,このような者をアンケートの対象を含めないことがむしろ合理的である旨主張する。 しかしながら,施術経験がない鍼灸師であっても国家試験に合格し,知識や技能は習得しており,この中には施術を予定する者も含まれ,円皮鍼の需要者ではないとはいえない。 カ 鍼灸師のブログについて原告は,鍼灸師がインターネット上に公開しているブログについて,審決が一切判断していない旨主張する。 しかしながら,これらのブログに原告容器の画像が掲載されていることは認められるが,原告容器の全体形状が鮮明に確認できるものはわずかで - 26 -あるから,これらをもって本願商標が使用により自他商品識別力を取得したとはいえない。 キ まとめ以上のとおり,本件訴訟における原告の主張立証を考慮しても,本願商標が商標法3条2項の要件を具備しないとした審決の判断に誤りはない。 第5 当裁判所の判断1 商標法3条1項3号該当性について⑴ 立体商標に対する商標法3条1項3号の適用についてア 商品等の立体的形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美観をより優れたものとしたりする等の目的で選択されるものであって,直ちに商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として用いられるものではない。このように,商品の製造者・供給者の観点からすれば,商品等の立体的形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を果たすものとして採用するものとはいえない。また,商品等 点からすれば,商品等の立体的形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を果たすものとして採用するものとはいえない。また,商品等の立体的形状を見る需要者・取引者の観点からしても,その立体的形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品等の機能や美観を際立たせるために選択されたものと認識されるのが通常であって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するために選択されたものと認識される場合は多くない。 そうすると,客観的に見て,商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されたと認められる商品等の形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法3条1項3号に該当する。 イ また,商品等の具体的形状は,当該商品等の用途,性質等に基づく制約の下で,ある程度の選択の幅があるといえるが,そのような幅の中で選択 - 27 -された形状が特徴を有していたとしても,それが,機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,商標法3条1項3号に該当すると解すべきである。なぜならば,商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として特定人に当該形状の独占使用を認めることは,公益上適当でないからである。 ウ 原告は,商標法3条1項3号該当性の有無は,その条文に即して判断すれば足りるのであり,条文に規定のない事項,すなわち,商品等の形状が商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されたと認められるかどうかや,特定人に当該形状の独占使用を認めることが公益上適当である りるのであり,条文に規定のない事項,すなわち,商品等の形状が商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されたと認められるかどうかや,特定人に当該形状の独占使用を認めることが公益上適当であるかどうかといった点を重視するのは相当ではないという趣旨の主張をする。しかし,商標法3条1項3号該当性の有無を判断するのに当たり,商品等の形状等が有する特性や,商品等の形状について商標登録を認めた場合の公益上の影響を考慮することが許されないとする理由はなく,原告の主張は失当である。 ⑵ 指定商品の需要者・取引者について平成16年7月20日付け厚生労働省告示第298号(甲67)及び同日付け薬食発第0720022号(甲21)によれば,本願商標の指定商品「円皮鍼」などの「滅菌済み鍼」は,薬事法2条6項の規定により厚生労働大臣が指定する「管理医療機器」である。そして,平成17年厚生労働省告示第112号別表(甲23)には,「滅菌済み鍼」について,「鍼治療に使用すること。」の記載があり,薬生機審発0331第5号:平成29年3月31日(甲24)には,滅菌済み鍼は「一般使用者が使用することを意図した機器ではな」く,一般使用者が使用することを意図した医療機器に対する配慮は適用されない旨の記載がある。 - 28 -また,医療機器の広告宣伝については,医薬品等適正広告基準(甲27)に基づく監視が行政当局により行われているため,原告製品については,原告自身が取引先向けに作成した文書(甲31)により「医家向けの商品となっておりますので改めて周知頂きますよう」にとの案内がされており,原告製品の包装箱(甲32)には「医家向けです。医師及びはり師以外の人は,使用しないでください。」と印刷され,原告製品の取扱業者のウェブサイト(甲33)には「一般の方への小売 との案内がされており,原告製品の包装箱(甲32)には「医家向けです。医師及びはり師以外の人は,使用しないでください。」と印刷され,原告製品の取扱業者のウェブサイト(甲33)には「一般の方への小売りは行っておりません」「医療機関のみの販売になっております」等の表示がなされている。 これらの事実によれば,円皮鍼の需要者としては鍼灸師等の有資格者を,取引者としては医療機器流通業者を想定するのが相当であり,一般消費者は需要者・取引者に含まれない。もっとも,鍼灸師等の資格を有している者は,すべて施術を行う可能性を有しており,円皮鍼の需要者となり得るのであるから,需要者の範囲を施術経験のある鍼灸師のみに限定するのは相当ではない。 ⑶ 本願容器の形状等及び他社製の円皮鍼容器の形状等についてア 本願容器形状等の特徴(上記「第2」2⑴イ)を分説すると,以下のとおりである。 ① 成形されたカートリッジである。 ② 中央部に,だるま形状の窪み(容器の底面側から見れば膨らみ)がある。 ③ ②のだるま形状の胴部の中心に,更に小さな円形状の窪み(容器の底面側から見れば凸部)がある。 ④ ③の凸部のすぐ右側にスリット状の溝が縦に配されている。 ⑤ ②の膨らみの周囲に沿って,④の溝をはさんで2つに分断され,かつ,上記の膨らみから更に突出する形で,曲線の壁状の凸部が設けられている。 - 29 -⑥ 左上と左下に2つの直角三角形状の孔が開けられている。 ⑦ 黄色に着色されている。 イ 原告製品のカタログ及び広告等には,次の記載等がある(書証の番号は各1通のみを挙示するが,同様の記載は他の書証にもみられる。)。 a「独自の包装形態により,指が粘着面に触れることなく貼付することが可能です。」(甲10の2)b「鍼先,テープの粘着面が指先に触れる 1通のみを挙示するが,同様の記載は他の書証にもみられる。)。 a「独自の包装形態により,指が粘着面に触れることなく貼付することが可能です。」(甲10の2)b「鍼先,テープの粘着面が指先に触れることなく,衛生的に貼ることができます。」(甲4の3)c「カートリッジを山折りにし指ではさみ,テープとともに剥離紙(扇形部)をつまみあげます。」(甲10の10)d「針長の異なる4タイプを用意。針長はカラーコードで容易に識別できます。」(甲4の1。本願容器の色彩である黄色(イエロー)は,針長0.6mmの製品に対応する。)ウ 本願容器は,10個が1枚のシートにまとめられ,シート10枚(カートリッジ100個)が包装箱に梱包された状態で販売されている(甲10の1など)。 エ 包装箱には,原告の社名(「セイリン」「SEIRIN」)及び原告製品の商品名(パイオネックス,PYONEX)が比較的大きな文字で印刷されている(甲10の1など)。 ⑷ 他社製の円皮鍼容器の形状等について他社製の「円皮鍼」は,シート又は板状の固定材へ貼り付けたり,針を刺して固定したり,個体ごとに収納するための円形状のくぼみを有する収納容器,簡易な収納容器等に収納して販売されている(甲2)。これらの中には,針を保護するための小さな円形状のくぼみ又は孔を有するものがあり,また,シート又は板状の固定材へ貼り付けるタイプの収納容器においても針を保護するための小さな円形状のくぼみ又は孔を有するものが見受けられるものの, - 30 -本願容器のような形状を有するものは見られない。 ⑸ 検討ア 上記⑶アの本願容器形状等の特徴①~⑦を,同イのカタログ等の記載も踏まえて検討すると,各特徴は,次のように収納容器の機能と関連すると理解され得るものといえる。 ① 成形されたカー ⑸ 検討ア 上記⑶アの本願容器形状等の特徴①~⑦を,同イのカタログ等の記載も踏まえて検討すると,各特徴は,次のように収納容器の機能と関連すると理解され得るものといえる。 ① 成形されたカートリッジであることにより,円皮鍼の変形や破損を防ぐ。 ② 窪みを円形状ではなくだるま形状とすることにより,だるまの頭頂部で円皮鍼との間に隙間が生じるので,ここに指を差し入れて円皮鍼を剥離紙ごと摘み上げるのが容易になる。 ③ 円皮鍼の針部に対応する位置に小さな円形状の窪みを設けることによって,針部を保護する。 ④ スリット状の溝は,カートリッジを山折りにする際の折り目となる。 ⑤ 曲線の壁状の凸部を設けることによって,③の小さな円形状の窪みを保護するとともに,カートリッジを机の上などに置く際や,カートリッジ同士を積み重ねる際に安定するようにする(この凸部がないと,針部に対応する小さな凸部だけになり,安定しない。)。 ⑥ 直角三角形状の孔は,例えば,シートから外したカートリッジ個々に紐を通して保管する際に便利であるし,視覚上のアクセントともなる。 ⑦ 黄色は,容器の内容物が針長0.6mmの円皮鍼であることを示す。 イ 上記アのとおり,本願容器形状等の特徴は,いずれも機能又は美観上の理由による形状の選択として理解することが可能である反面,機能又は美観上の理由を超えた,特別な形状と見るべき部分は存在しない。そして,控訴人自身が,宣伝,広告等において本願容器形状等について行った説明も,前記(3)イのとおりであって,衛生上の配慮や,使用する際の簡便さ,針の長さの識別容易性といった機能的な要因に触れているのにとどまり, - 31 -自他商品識別機能等に触れていると見られる記述はない。以上の点を総合考慮すると,本願容器形状等の特徴は,機能又は美 の長さの識別容易性といった機能的な要因に触れているのにとどまり, - 31 -自他商品識別機能等に触れていると見られる記述はない。以上の点を総合考慮すると,本願容器形状等の特徴は,機能又は美観上の理由による形状の選択として予測し得る範囲のものにとどまるものというべきである。 したがって,上記⑴に説示したところに照らして,本願商標は商標法3条1項3号に該当する。 ⑹ 原告の主張について原告は,本願容器形状等の特徴①~⑦について,⒜何の機能も持っていない,⒝上記⑸アで説示したような各機能を果たすためには他の形状(他社製品のような形状など)で足りる,⒞他社製品の容器・包装には見られない独自の形状である,といった主張をする。 しかしながら,⒜については,本願容器形状等は,客観的に見れば,機能又は美観上の形状の選択として予測し得る範囲内のものであることは既に説示したとおりである。原告の主張は,本願容器形状等を,ことさら機能や美観とは関係ないものとして位置付けようとするものであって採用し難い。 また,⒝についていえば,商品等の具体的形状が,ある程度の選択の幅の中で選択されたものであり,その意味において一定の特徴を有しているとしても,それが,機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,商標法3条1項3号に該当すると解すべきであることは既に説示したとおりである。したがって,原告指摘の点は,上記の結論を左右する事情とはならない。 さらに,⒞についていえば,本願容器形状等が他社製品には見られない独特の形状であるとしても,それが機能又は美観上の理由による形状の選択として予測し得る範囲のものである限り,商標法3条1項3号該当性を否定することはできないものといわざるを得ない(本願容器形状等の独自性は,意匠権な しても,それが機能又は美観上の理由による形状の選択として予測し得る範囲のものである限り,商標法3条1項3号該当性を否定することはできないものといわざるを得ない(本願容器形状等の独自性は,意匠権などによる保護を受け得るにとどまる。)。 したがって,原告の主張はいずれも上記⑸の判断を左右するものでなく, - 32 -採用することができない。 ⑺ 以上によれば,本願商標は商標法3条1項3号に該当する。審決の同旨の判断に誤りはない。 2 商標法3条2項の適用について⑴ 商標法3条2項は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として同条1項3号に該当する商標であっても,使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には商標登録を受けることができる旨を規定している。そして,立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,①当該商標の形状の特異性及び当該形状に類似した他の商品等の存否,②当該商標が使用された期間,商品の販売数量,広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の実情を総合考慮して判断すべきである。 ⑵ 本願商標の形状の特異性及び当該形状に類似した他の商品等の存否上記1⑶⑷の認定事実によれば,本願商標の形状は,同業他社が製造販売する円皮鍼の収納容器には見られない特徴を持つものであることは肯定し得る。 ⑶ 使用の実情ア 本願形状が使用された期間原告の2004年カタログ(甲4の1)によれば,原告は,同年(平成16年)から現在に至るまで,「PYONEX」(パイオネックス)という製品名によって,原告容器に収納した状態で原告製品を製造販売している。 イ 販売実績(ア) 原告製品を販売する6社の証明書原告製品を販売する医療機器流通業者6社(原告の説明によれば,原告と 品名によって,原告容器に収納した状態で原告製品を製造販売している。 イ 販売実績(ア) 原告製品を販売する6社の証明書原告製品を販売する医療機器流通業者6社(原告の説明によれば,原告と取引関係にある業者は約34社であり,その中から任意に6社を選 - 33 -定したものである。)が原告からの依頼により作成した証明書(甲11)には,「下記事項をご証明下さいますようお願い申し上げます。」,「セイリン株式会社と取引関係にある期間は,以下の通りである。」,「2008年1月から12月までの当社の円皮鍼の総販売数量のうち,原告の商品である円皮鍼の販売数量の割合は,以下の通りである。」といった文章(2010年,2014年に関しても同様の文章。)があらかじめ印刷され,各証明者により円皮鍼の取引開始期間,販売数量の割合(%),日付,氏名等が記載され,押印されている。 これらによると,平成20年(2008年)1月から12月までの上記各社の円皮鍼総販売数量のうち原告の商品が占める割合は,最高が100%,最低が50%,平成22年(2010年)1月から12月までのそれは,最高が100%,最低が61%であり,平成26年(2014年)1月から12月までのそれは,最高が100%,最低が66%であった。ところで,原告が取引関係のある34社のうち6社をどのような基準で選定したのかは明らかではないため,原告の商品が占める割合が高い取引先が選ばれたのではないかという疑いを払しょくすることはできない。したがって,この証明書の記載内容をそのまま一般化することはできないが,少なくとも,原告が,取引先6社に対して有力な商品供給元になっていることは事実であると認められる。 (イ) 注文書円皮鍼を取り扱う卸売企業である株式会社サンポー及び株式会社カナケンか ないが,少なくとも,原告が,取引先6社に対して有力な商品供給元になっていることは事実であると認められる。 (イ) 注文書円皮鍼を取り扱う卸売企業である株式会社サンポー及び株式会社カナケンからの「注文書」(2006年(平成18年)~2015年(平成27年)の各年の9月分)(甲19)によれば,原告製品につき継続的に一定量の注文がなされている。 ウ 広告宣伝(ア) 広告宣伝費 - 34 -原告がその経理資料に基づき作成した資料(甲50)によれば,原告は,原告製品に関するチラシ,リーフレット,ポスター等の作成代を含む広告宣伝費として,2003年(平成15年)以降,継続的に支出を行ってきており,その金額は,最低で約15万円(2006年),最高で約530万円(2015年)であった。 (イ) 製品カタログ等原告は,歴代の製品カタログ及び会社案内(甲4,54)に原告製品を掲載し,原告製品単独のリーフレットも発行している(甲55,56)。これらのカタログ等は原告の営業担当者が全国の鍼灸院を戸別訪問する際などに頒布されてきた。 これらのカタログ等(特に原告製品単独のリーフレット)においては,本願容器形状等を明瞭に判別できる写真が掲載されているが,形状の独自性に関しては,「独自設計」との表題の下に「個別包装され開封まで無菌維持された商品です。1枚のテープに鍼を樹脂で固定しています。」との記載があり,独自の工夫に関して「衛生的」との表題の下に「指がテープの粘着面に触れることがないよう,独自の工夫を施しましたので,衛生的にご使用いただけます。」との記載がある程度で,本願容器形状等が自他商品識別標識として機能することを示唆するような記載は存在しない。また,原告の社名(「セイリン」「SEIRIN」)及び原告製品の商品名(パイオ だけます。」との記載がある程度で,本願容器形状等が自他商品識別標識として機能することを示唆するような記載は存在しない。また,原告の社名(「セイリン」「SEIRIN」)及び原告製品の商品名(パイオネックス,PYONEX)も記載されている。 (ウ) 雑誌等における広告鍼灸・手技療法の専門誌,研究会の冊子,大学の卒業名簿及び専門学校同窓会の冊子等には,原告製品の広告がしばしば掲載されている(甲9の1~9の29,9の35,9の37,9の39~9の42,9の44,9の45)。これらの広告においては,原告の社名及び原告製品の商品名は必ず記載されているが,本願容器形状等を判別できる写真が掲 - 35 -載されていないものがみられる。 (エ) 販売代理店のカタログ,論文及び学会等への出展鍼灸師向けの医療機器等の販売代理店のカタログには,原告製品が掲載されている(甲10の1~10の29)。これらの広告においては,原告の社名及び原告製品の商品名は記載されているが,本願容器形状等を判別できる写真が掲載されていないものがみられる。 円皮鍼に関する論文には,原告製品を使用した施療に関するものがあり(甲7の2~7の7),これらの論文中には原告の社名及び原告製品の商品名が記載されているが,本願容器形状等を判別できる写真は1点(甲7の5)を除き掲載されていない。 また,原告が作成した「学会等参加状況一覧」と題する資料(甲59)によれば,原告は鍼灸に関係する学会等にしばしば参加しており,これらの学会等では,発表において原告製品が取り上げられたりしている。 ただし,発表資料(甲10の31,10の32)には,本願容器形状等は表示されていない。 エ 市場占有率原告が審判手続において作成提出した説明資料(甲34)には,「2017年の時点では, る。 ただし,発表資料(甲10の31,10の32)には,本願容器形状等は表示されていない。 エ 市場占有率原告が審判手続において作成提出した説明資料(甲34)には,「2017年の時点では,円皮鍼市場のシェアは8割を占めています。(下記円グラフは当社調べ)」の記載とともに「パイオネックス80%」と示された円グラフが掲載されている。 そして,平成30年薬事工業生産動態統計調査結果(甲46の2)における「毫鍼」及び「滅菌済み鍼」の国内出荷額と,原告の円皮鍼の売上高とを比較すると,上記の市場占有率と大差ない比率が得られる。 オ 需要者・取引者の認識(ア) 鍼灸師等の証明書鍼灸師等が作成した全141通(鍼灸師会,鍼灸マッサージ師会等か - 36 -ら26通,鍼灸専門学校,医療専門学校等から52通,鍼灸院,針灸治療院等から26通,販売店等から37通)の証明書(甲14~17)には,本願商標の写真の上に,「セイリン株式会社の円皮鍼の収納容器に共通している,同社製品に特有の非常に個性的な特徴を成しているものです。」「このような形状は,円皮鍼の製造・販売業者はもちろんのこと,鍼灸師においては,下記形状の円皮鍼の収納容器を見れば直ちにそれがセイリン株式会社の円皮鍼の収納容器であると認識する程によく知られた特徴的な形状であると思います。」といった文章があらかじめ印刷され,末尾に各作成者の記名又は署名並びに押印がある。 (イ) アンケート調査原告は,調査会社(株式会社インテージ)に依頼して,2018年(平成30年)にインターネットにより円皮鍼に関するアンケート調査を実施した(甲20)。 同調査の対象者182名は,はり師であって施術経験を有する者であり,回収数139名のうち,本願容器形状等の画像を示し「どこのメーカーの収納 り円皮鍼に関するアンケート調査を実施した(甲20)。 同調査の対象者182名は,はり師であって施術経験を有する者であり,回収数139名のうち,本願容器形状等の画像を示し「どこのメーカーの収納容器かおわかりになりますか。」と尋ねて8つの選択肢(原告を含むメーカー6社,「上記以外のメーカー」,「わからない」)から選ばせる質問に対して原告を選択した者の割合は約82.0%であった。 これに対し,他社製品の容器の画像を示して同様に尋ねる質問に対して当該他社と回答した者の割合は,最大でも6.50%であった。 (ウ) 鍼灸師のブログ等鍼灸師又は鍼灸院等のブログ等(甲12)には,本願容器形状等を判別できる写真を掲載して原告製品を紹介するものがある(ただし,色は黄とは限らない。)。これらのブログ等の大部分においては,写真とともに,原告製品の商品名が記載されている。 また,これらのブログ等の中には,著名なスポーツ選手が原告製品を - 37 -貼用しているのをテレビ番組で発見したことについて述べるものがある(甲12の4,12の13)。 ⑷ 検討ア 上記⑵のとおり,本願容器形状等が,同業他社製品の収納容器には見られない特徴を有することは,認めてよい。また,上記⑶ア~ウに認定したとおり,原告が継続的な広告宣伝等を行い長期にわたって原告製品を販売してきたことを通じて,原告製品は,円皮鍼の市場において同エのとおり高い占有率を有するに至っているといえるから,原告製品それ自体は,需要者・取引者の間で広く認識されている可能性が十分にあり得ることが認められる。 しかしながら,このような原告製品に対する需要者・取引者の認識は,原告自身の認知度や,商品名の認知度,原告製品の技術的特徴(優位性)に対する認知度等によって生み出されている可能性も十分に れる。 しかしながら,このような原告製品に対する需要者・取引者の認識は,原告自身の認知度や,商品名の認知度,原告製品の技術的特徴(優位性)に対する認知度等によって生み出されている可能性も十分にあるのであるから,原告製品が需要者・取引者の間で広く認識されている可能性があるからといって直ちに,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得するに至っていると断定することはできない。また,原告による宣伝,広告の内容等は,上記⑶ウ記載のとおりであって,本願容器形状等が判別できる写真が掲載されていないものも少なくない上,それが掲載されている場合であっても,本願容器の形状の特徴等に関する言及は,衛生面に対する配慮に触れるもの等にとどまり,本願容器形状等が,自他商品識別標識として認識されるような態様の記載は見られない。これらのことに,原告製品の需要者・取引者である鍼灸師や医療機器流通業者等は,専門家であるから,商品の選択に当たり商品の形状よりは,衛生面での配慮の有無やその内容,安全性,機能性等に着目する傾向にあると考えられること等を併せ考えると,本願容器形状等が,原告製品に関する宣伝,広告等を通じて,需要者・取引者の間に自他商品識別標識として広く認識されるに至っていたと - 38 -推認することも困難である。 イ そこで,原告は,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得するに至っていることを立証する証拠として,鍼灸師等の証明書((3)オ(ア)),調査会社によるアンケート調査結果(同(イ)),鍼灸師のブログ(同(ウ))を提出するので,これらの信用性について検討する。 まず,鍼灸師等の証明書であるが,これは,予め原告が文言を記載した証明書用紙を送付し,これに鍼灸師等の署名捺印を求めることによって作成されたものであって,その手法は,甚だ誘導的であるとい する。 まず,鍼灸師等の証明書であるが,これは,予め原告が文言を記載した証明書用紙を送付し,これに鍼灸師等の署名捺印を求めることによって作成されたものであって,その手法は,甚だ誘導的であるといわざるを得ず,既にこの点において,信用性が低いものといわざるを得ない。しかも,証明書用紙を鍼灸師等に送付し,署名捺印を求めるという手法は,証明書の内容に同意する者のみが証明書を返送するため,肯定的な回答のみが集積される傾向となり,偏った結果を示しやすいという点において,サンプル調査の手法としては不適切なものでもある。以上の次第で,上記証明書は,サンプル調査の結果としては意味を持たず,せいぜい,需要者である全国の鍼灸師約10万人(厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(乙9)参照)の中に,原告の依頼に応じた者が26人(鍼灸院,針灸治療院等からの回答数に対応した人数)ないしは104人(鍼灸師会等からの回答書(26通)及び鍼灸専門学校等からの回答書(52通)を,その代表者である鍼灸師個人の回答であると理解して,上記の鍼灸院,鍼灸治療院等からの回答数に足し合わせた数字)いたということを示すものにすぎず,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得していることを裏付ける証拠としては全く不十分なものであると言わざるを得ない。 次に,調査会社によるアンケート調査は,その対象を,鍼灸師全員ではなく,施術経験のある者に限定している点において,サンプルに偏りがあるものといわざるを得ない(上記1⑵で述べたとおり,円皮鍼の需要者は, - 39 -鍼灸師一般とすべきであって,これを施術経験のある者に限定するのは相当ではないのであるから,サンプルを抽出する範囲も,需要者の範囲に合致させるべきである。)。また,アンケートに対する回答者の数は1 鍼灸師一般とすべきであって,これを施術経験のある者に限定するのは相当ではないのであるから,サンプルを抽出する範囲も,需要者の範囲に合致させるべきである。)。また,アンケートに対する回答者の数は139人にすぎないところ,一般に,統計学的に有意とされる水準でサンプル調査を行おうとする場合,母集団の数が1万人であれば,必要なサンプル数は385人程度になるとされていることに照らしてみると,上記の回答者数は,約10万人の母集団について行う統計調査のサンプル数としては少なく,その分,誤差等が大きくなることが予想される。そうすると,上記アンケート調査の結果は,全く信用できないとまではいえないとしても,サンプルの偏りや誤差の大きさ等を考慮すると,それをそのまま採用するのには疑問があるものといわざるを得ず,これのみに基づいて,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得したと認定することはできないものというべきである。 最後に,鍼灸師のブログについて見ると,これらのうち,有名スポーツ選手が装着している円皮鍼が,原告製品であることに気付いたという記事は,当該ブログ作成者が,本願容器形状等から原告製品を識別することができたことの証拠であると理解したとしても,その例は僅か2例にすぎないのであるから,これによって,本願容器形状等が,自他商品識別力を獲得したことが証明されたと理解することはできない。また,他に,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得したことの裏付となるような記載も存在しない。 以上の次第で,鍼灸師等の証明書((3)オ(ア)),調査会社によるアンケート調査結果(同(イ)),鍼灸師のブログ(同(ウ))から,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得するに至っていると認定することはできない。 ⑸ 原告の主張についてア 原告の主張のうち,審決の証拠評価 調査結果(同(イ)),鍼灸師のブログ(同(ウ))から,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得するに至っていると認定することはできない。 ⑸ 原告の主張についてア 原告の主張のうち,審決の証拠評価の誤り又は欠落をいうもののうち, - 40 -市場占有率に関する主張についてはもっともなところがあるものの(上記⑶エ),これによって直ちに本願容器形状等が自他商品識別力を獲得したということはできないことは既に説示したとおりであるし,需要者・取引者の認識に関するアンケート結果等の証拠は,証明力が高いものとはいえないことも既に説示したとおりであって(上記⑷),結局,原告の主張は,結論を左右するものではない。 イ 原告は,本願容器形状等は他社製品の収納容器にはみられない特徴的なものであるにもかかわらず,審決が,医療機器である円皮鍼を衛生的,安全かつ簡単に使用するために採用された収納容器として,機能性又は美観上の理由による立体的形状及び色彩と予測し得る範囲のものであって,通常採用されている範囲を大きく超えるものとまではいえないことを,本願容器形状等の識別力を否定する事情として挙げたことは誤りである旨主張する。 しかしながら,本願容器形状等が,同業他社製品の収納容器には見られない特徴を有することは事実であるとしても,本件においては,本願容器形状等が自他商品識別力を獲得するに至っていると認めることはできないことは既に説示したとおりである。したがって,審決が,本願容器形状等が,機能性又は美観上の理由による立体的形状等と予測し得る範囲内のものであることを商標法3条2項該当性の否定の理由としたことの当否を問うまでもなく,原告の主張は失当であって,採用することはできない。 ウ よって,原告の主張は,いずれも上記⑷の判断を左右するものではないか,採 を商標法3条2項該当性の否定の理由としたことの当否を問うまでもなく,原告の主張は失当であって,採用することはできない。 ウ よって,原告の主張は,いずれも上記⑷の判断を左右するものではないか,採用することができないものである。 ⑹ 以上によれば,本願商標に商標法3条2項の適用はなく,審決の同旨の判断に誤りはない。 3 結論よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決 - 41 -する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官鶴 岡 稔 彦 裁判官上 田 卓 哉 裁判官都 野 道 紀 - 42 -(別掲)(色彩については本文を参照)
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