○ 主文被告が原告に対し、いずれも昭和四五年四月二七日付でした、昭和四一年三月一日より昭和四二年二月二八日迄の事業年度分の法人税更正処分のうち翌期へ繰り越す欠損金一九〇万四、二五五円を超える部分、昭和四二年三月一日より昭和四三年二月二九日迄の事業年度分の法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち所得金額七、二七七万九、七一一円を超える部分、並びに昭和四三年三月一日より昭和四四年二月二八日迄の事業年分の法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち所得金額七、五一六万二、六六〇円を超える部分を取り消す。原告のその余の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。○ 事実第一当事者の求めた判決一請求の趣旨(一) 被告が原告に対し、いずれも昭和四五年四月二七日付でした、昭和四一年四月一日より昭和四二年二月二八日迄の事業年度分の法人税更正処分のうち翌期へ繰り越す欠損金三、二六二万四、四五五円を超える部分、昭和四二年三月一日より昭和四三年二月二九日迄の事業年度分の法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち所得金額一、四六一万七、八一三円を超える部分、並びに、昭和四三年三月一日より昭和四四年二月二八日迄の事業年度分の法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち所得金額五、七二九万二、一八八円を超える部分を取り消す。(二) 訴訟費用は被告の負担とする。二請求の趣旨に対する答弁(一) 原告の請求を棄却する。(二) 訴訟費用は原告の負担とする。第二当事者の主張一請求原因(一) 原告会社は、昭和四一年三月一日より昭和四二年二月二八日迄の事業年度(以下昭和四一事業年度という)、昭和四二年三月一日より昭和四三年二月二九日迄の事業年度(以下昭和四二事業年度という)、及び昭和四三年三月一日より昭和四四年二月二 り昭和四二年二月二八日迄の事業年度(以下昭和四一事業年度という)、昭和四二年三月一日より昭和四三年二月二九日迄の事業年度(以下昭和四二事業年度という)、及び昭和四三年三月一日より昭和四四年二月二八日迄の事業年度(以下昭和四三年事業年度という)分の法人税について被告に確定申告をしたところ、被告はこれについて更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたが、これら確定申告や更正処分の日付及び内容は別紙第一表の一ないし三に記載のとおりである。 下昭和四一事業年度という)、昭和四二年三月一日より昭和四三年二月二九日迄の事業年度(以下昭和四二事業年度という)、及び昭和四三年三月一日より昭和四四年二月二八日迄の事業年度(以下昭和四三年事業年度という)分の法人税について被告に確定申告をしたところ、被告はこれについて更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたが、これら確定申告や更正処分の日付及び内容は別紙第一表の一ないし三に記載のとおりである。(二) しかし、被告の昭和四五年四月二七日付の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下本件処分という)には、請求の趣旨に記載の各部分について所得を過大に認定した違法がある。(三) 結論原告会社は本件処分のうち請求の趣旨に記載の各部分の取消しを求める。二請求原因に対する認否請求原因(一)の事実は認め、同二の主張は争う。三被告の主張(一) 確定申告又は更正処分の際の原告会社の所得又は欠損原告会社には、後記(二)、(三)の所得等を除外して計算すると、昭和四一事業年度については別紙第一表の一の更正欄に記載の欠損が、昭和四二及び昭和四三事業年度については同第一表の二、三の確定申告欄に各記載の所得があつた。(二) 雑収入 1 原告会社は、別紙第二表の一ないし三の契約年月欄記載の年月に、同表賃借人欄記載の者に対し、大阪市<地名略>所在の浪速ビルの貸室等を賃貸して引き渡し、同表の被告主張の保証金欄記載の保証金をそれぞれ受領した。2 右1の賃貸借契約では、その保証金の一割(同表番号16の賃貸借については二割)の額を、原告会社の一方的理由による解約の場合を除いて、返還しないことが約束されている。3 賃貸借契約の保証金(又は敷金)は、賃借人の賃料債務等を担保する目的で交付されるものであるから、契約終了時に賃 を、原告会社の一方的理由による解約の場合を除いて、返還しないことが約束されている。3 賃貸借契約の保証金(又は敷金)は、賃借人の賃料債務等を担保する目的で交付されるものであるから、契約終了時に賃借人の債務不履行がなければ全額返還されるべきものである。ところが、右1の賃貸借では前述したとおり保証金の一割又は二割の額を契約終了の際に返還しないことが契約締結の際に確定している。そうすると、この返還を必要としない部分は、賃借人の債務を担保していないことになるから、法律上は一種の権利金と解すべきである。 保証金(又は敷金)は、賃借人の賃料債務等を担保する目的で交付されるものであるから、契約終了時に賃借人の債務不履行がなければ全額返還されるべきものである。ところが、右1の賃貸借では前述したとおり保証金の一割又は二割の額を契約終了の際に返還しないことが契約締結の際に確定している。そうすると、この返還を必要としない部分は、賃借人の債務を担保していないことになるから、法律上は一種の権利金と解すべきである。そこで、この部分は、税法上原告会社が受領した時の収益に計上されるべきである。なお、ビルの賃貸借についても借家法の適用があるから、原告会社の都合により解約できる場合は殆んどない。4 右の収益の額は、別紙第二表の一ないし三の被告主張の雑収入欄に各記載したとおりである。(三) 寄付金の損金算入限度超過等 1 訴外準学校法大阪神学園(以下阪神学園という)は、大学進学希望者の指導を目的とするいわゆる予備校として、昭和二九年一二月二八日に設立された私立学校法六四条四項の学校法人であるが、貸ビルの用に供するため、昭和三五年初頃、大阪市<地名略>に、一二億〇、六八四万円を投じて、地上九階一部一二階、面積一、三六一・六一坪の鉄骨鉄筋コンクリート造りの建物(以下浪速ビル西館という)を、昭和三七年七月二〇日、四億四、三九〇万円を投じて、同番地に浪速ビル西館と同構造、面積二、一四〇・二一坪の建物(以下浪速ビル東館という)を建築した。なお、右両ビルは現在では一体の建物となつている(以下両ビルをあわせて浪速ビルという)。2 原告会社は、浪速ビル西館建設中の昭和三四年一一月一八日、阪神学園の不動産を管理する目的で、同学園の理事長訴外Aらによつて設立されたものであつて、 ている(以下両ビルをあわせて浪速ビルという)。2 原告会社は、浪速ビル西館建設中の昭和三四年一一月一八日、阪神学園の不動産を管理する目的で、同学園の理事長訴外Aらによつて設立されたものであつて、当時の資本金は三〇〇万円、発行済株式は六、〇〇〇株、株主は阪神学園が五、〇〇〇株、Aが五〇〇株、訴外Bが一八〇株、同Cが一〇〇株、同Dが一〇〇株、その他四名が一二〇株であつた。3 原告会社は、昭和三五年三月一日、阪神学園より、次の条件で浪速ビル西館を賃借してその引渡しを受け、保証金を支払つた。(ア) 賃料月額三五〇万円、但し、同年九月迄は月額二五〇万円。 事長訴外Aらによつて設立されたものであつて、当時の資本金は三〇〇万円、発行済株式は六、〇〇〇株、株主は阪神学園が五、〇〇〇株、Aが五〇〇株、訴外Bが一八〇株、同Cが一〇〇株、同Dが一〇〇株、その他四名が一二〇株であつた。3 原告会社は、昭和三五年三月一日、阪神学園より、次の条件で浪速ビル西館を賃借してその引渡しを受け、保証金を支払つた。(ア) 賃料月額三五〇万円、但し、同年九月迄は月額二五〇万円。(イ) 保証金八、〇〇〇万円、その支払期限同年八月末日、保証金は無利息とし、昭和三九年一月以降五年間に半額を返還する。そこで、原告会社は、浪速ビルを一般に転貸して貸ビル業を営んだ。4 原告会社は、昭和三七年八月一日、阪神学園より、次の条件で浪速ビル東館を買い受けて、即日その引渡しを受け、証拠金を約定期日に支払つた。(ア) 売買代金五億五、〇〇〇万円、その支払期限昭和五〇年三月末日。(イ) 遅延損害金原告会社は売買契約成立より右売買代金完済迄右売買代金(一部弁済のあつたときはこれを除いた額)に対し月一分二厘の割合による遅延損害金を支払う。右利率はその後昭和四二年四月以降からの分について月一分に変更された。(ウ) 売買契約の証拠金一億五、〇〇〇万円、その支払期限は、うち一億円について昭和三七年八月末日、うち五、〇〇〇万円について昭和三八年八月末日、右保証金は無利息とし、阪神学園は、うち一億円を昭和四三年以降四七年迄毎年末日に二、〇〇〇万円宛を返還する。右保証金は前記遅延損害金の計算上は売買代金より控除しない。5 原告会社は、昭和四〇年四月一日、阪神学園より次の条件で浪速ビル西館を 円を昭和四三年以降四七年迄毎年末日に二、〇〇〇万円宛を返還する。右保証金は前記遅延損害金の計算上は売買代金より控除しない。5 原告会社は、昭和四〇年四月一日、阪神学園より次の条件で浪速ビル西館を買い受けて、即日その引渡しを受けた。(ア) 売買代金三億三、〇〇〇万円、その支払期限昭和六〇年三月末日。(イ) 遅延損害金原告会社は売買契約成立より右売買代金完済迄右売買代金(一部弁済のあつたときはこれを除いた額)に対し月一分の割合による遅延損害金を支払う。(ウ) 預託金原告会社が右3の浪速ビル西館賃貸借契約締結の際差し入れた保証金は、売買契約成立後も、預託金として阪神学園が預る。右預託金は無利息とする。右預託金は前記遅延損害金の計算上は売買代金より控除しない。 万円、その支払期限昭和六〇年三月末日。(イ) 遅延損害金原告会社は売買契約成立より右売買代金完済迄右売買代金(一部弁済のあつたときはこれを除いた額)に対し月一分の割合による遅延損害金を支払う。(ウ) 預託金原告会社が右3の浪速ビル西館賃貸借契約締結の際差し入れた保証金は、売買契約成立後も、預託金として阪神学園が預る。右預託金は無利息とする。右預託金は前記遅延損害金の計算上は売買代金より控除しない。6 右4の浪速ビル東館売買証拠金のうち原告会社が返還を受けていない額は、昭和四一年三月より昭和四三年一一月迄一億五、〇〇〇万円、同年一二月より昭和四四年二月迄一億三、〇〇〇万円であり、右5の浪速ビル東館売買預託金のうち原告会社が返還を受けていない額は、昭和四一年三月より一一月迄六、四〇〇万円、同年一二月より昭和四二年一一月迄五、六〇〇万円、同年一二月より昭和四三年一一月迄四、八〇〇万円、同年一二月より昭和四五年二月迄四、〇〇〇万円であつた。右4、5の売買代金のうち右証拠金、預託金残額に対する遅延損害金の額は次の通りである。昭和四一事業年度発生分東館分二、一六〇万円西館分七四四万円計二、九〇四万円昭和四二事業年度発生分東館分一、八三〇万円西館分六四八万円計二、四七八万円昭和四三事業年度発生分東館分一、七四〇万円西館分五五二万円計二、二九二万円右遅延損害金のうち、昭和四一事業年度分中東館分二、一六〇万円は昭和四二事業年度に支払われ、その余は各 七八万円昭和四三事業年度発生分東館分一、七四〇万円西館分五五二万円計二、二九二万円右遅延損害金のうち、昭和四一事業年度分中東館分二、一六〇万円は昭和四二事業年度に支払われ、その余は各発生の事業年度内に支払われた。原告会社の昭和四一ないし昭和四三事業年度の確定申告は右の遅延損害金全額を発生時の事業年度の損害額に計上し、昭和四一事業年度についての被告の昭和四三年四月三〇日付更正処分もこれを前提としてされたものであつた。7 原告会社と阪神学園との間の浪速ビル東館の売買契約には、証拠金が授受され、浪速ビル西館については賃貸借契約の際の保証金が預託金として承継された(以下双方合せて本件預託金という)。本件預託金は法律上売買契約の手附金と解されるべきものであつて、契約の履行に着手した後においては、売買代金に充当されるべきものである。ところが、本件売買契約では、その履行(目的物の引渡、代金の一部支払等)がなされた後も、預託金は売買代金に充当されることなく、しかも、売買代金については、その支払期限前でも、未払金について月一分あるいは一分二厘の割合による遅延損害金(法律上利息である)を支払うというものである。 金は法律上売買契約の手附金と解されるべきものであつて、契約の履行に着手した後においては、売買代金に充当されるべきものである。ところが、本件売買契約では、その履行(目的物の引渡、代金の一部支払等)がなされた後も、預託金は売買代金に充当されることなく、しかも、売買代金については、その支払期限前でも、未払金について月一分あるいは一分二厘の割合による遅延損害金(法律上利息である)を支払うというものである。このように本件売買契約は、買主たる原告会社にとつて極めて不利なものであつて、合理的経済人の観点からみて極めて異常である。それにもかかわらず、営利会社である原告会社が本件売買契約を締結したのは、Aが両者の実質的代表者であることから、浪速ビルの貸ビル業によつて得た収益を、売買代金の利息の名目の下に、原告会社において損金として経理し、一方、右受取利息として納税義務のない阪神学園(法人税法四条一項、同二条六号、同別表二参照)に帰属せしめ、もつて法人税の負担の軽減を図つたことによるものというべきである。そうすると、本件売買契約に基づく未払 取利息として納税義務のない阪神学園(法人税法四条一項、同二条六号、同別表二参照)に帰属せしめ、もつて法人税の負担の軽減を図つたことによるものというべきである。そうすると、本件売買契約に基づく未払売買代金に対する利息を、全額原告会社の損金として算入することを容認することは、法人税負担の不当な軽減あるいは租税の回避を許すことになり、税法上認められないところである。したがつて、本件預託金は売買代金に充当されたものとして、右部分に対する利息の支払行為を否認し、右利息相当額の支払行為は、経済的利益の無償供与すなわち寄附金と解されるべきものである(法人税法三七条五項)。かりに、右主張が認められないとしても、預託金と右に相当する未払売買代金とは経済的価値を等しくするものであつて、預託金に対応する未払売買代金に対する利息は発生しないものというべきである。したがつて、右の利息支払行為を否認し、右利息相当額の支払行為は、前と同様、寄附金と解されるべきである。8 原告会社は昭和四三事業年度に塩見経済研究所に対し二〇〇万円の寄付金を支出した。9 原告会社が昭和四一事業年度の損金として計上した浪速ビル東館分遅延損害金二、一六〇万円は同年度には支払われず、昭和四二事業年度に支払われているので、昭和四一事業年度ではなく、昭和四二事業年度の寄付金になる。 である。したがつて、右の利息支払行為を否認し、右利息相当額の支払行為は、前と同様、寄附金と解されるべきである。8 原告会社は昭和四三事業年度に塩見経済研究所に対し二〇〇万円の寄付金を支出した。9 原告会社が昭和四一事業年度の損金として計上した浪速ビル東館分遅延損害金二、一六〇万円は同年度には支払われず、昭和四二事業年度に支払われているので、昭和四一事業年度ではなく、昭和四二事業年度の寄付金になる。したがつて、寄付金の限度計算対象額は別紙第三表の一の(5)支出した寄付金額欄に記載のとおりになり、寄付金の損金算入限度超過額は同表記載の計算により同表の(11)差引損金不算入額欄に記載のとおりになる。(四) 結論前記(一)の所得又は欠損に前記(二)の雑収入、前記(三)の寄付金の損金算入限度超過額等を加算又は減算して所得又は欠損、税額を計算すると、別紙第四表の一ないし三の被告主張額欄記載の各金額になる。したがつ (一)の所得又は欠損に前記(二)の雑収入、前記(三)の寄付金の損金算入限度超過額等を加算又は減算して所得又は欠損、税額を計算すると、別紙第四表の一ないし三の被告主張額欄記載の各金額になる。したがつて、これと一致する本件処分は正当である。四被告の主張に対する原告会社の認否(一) 被告の主張(一)の事実は認める。(二) 被告の主張(二)1別紙第二表の一番号1の賃貸借のうち一口は昭和四一年四月契約、保証金五〇〇万円であるが、他の一口は昭和四二年五月契約、保証金四八〇万円である。その余の被告の主張(二)1の事実は認める。被告の主張(二)2の事実のうち、別紙第二表の一番号1間表の三番号21の部分は否認し、その余は認める。(三) 被告の主張(二)3は争う。大型ビルの借室人は法人であるのが一般的であり、またその使用目的も全て事務所、営業所であつて、借室人の方が経済的優位にある場合が多いから、大型ビルの貸室の賃貸借については借家法の適用がないと解すべきであり、仮に借家法の適用があるとしても、正当事由の内容はゆるやかに解すべきである。そうすると、原告会社がその一方的理由により解約でき、保証金の全額を返還しなければならないことが多いのである。保証金の一割又は二割の額を現実に確定した益金として収入し得るのは、解約という停止条件の満たされた時と解すべきである。(四) 被告の主張(三)ないし6、及び8の各事実は認める。 ついては借家法の適用がないと解すべきであり、仮に借家法の適用があるとしても、正当事由の内容はゆるやかに解すべきである。そうすると、原告会社がその一方的理由により解約でき、保証金の全額を返還しなければならないことが多いのである。保証金の一割又は二割の額を現実に確定した益金として収入し得るのは、解約という停止条件の満たされた時と解すべきである。(四) 被告の主張(三)ないし6、及び8の各事実は認める。(五) 被告の主張(三)7は争う。浪速ビル東館の売買契約の証拠金一億五、〇〇〇万円は、売買成立の証拠即ち証約手付として交付されたものであつて、売買代金の内金として交付されたものではない。したがつて、この証拠金は、売買代金全額の支払いがあるまで返還されないから、これを差し引かずに売買代金全額について遅延損害金を支払うのは当然である。、売買代金の内金として交付されたものではない。したがつて、この証拠金は、売買代金全額の支払いがあるまで返還されないから、これを差し引かずに売買代金全額について遅延損害金を支払うのは当然である。原告会社が浪速ビルの利用を続けながら売買代金の支払いをせずに遅延損害金名義の金員の支払いを続けた場合、この関係は賃貸借に類似したものになる。そこで、原告会社と阪神学園とは賃貸借と同様に保証金を支払い遅延損害金を賃料よりもやや高い額に定めたものである。阪神学園は原告会社の浪速ビル借室人に対する賃貸借契約上の義務を連帯保証したので、浪速ビル東館については売買契約後に証拠金一億五、〇〇〇万円を阪神学園の保証人としての求償債権を担保するものに改め、また浪速ビル西館については売買契約に際し右の求償債権を担保する趣旨で前記預託金八、〇〇〇万円を定めた。したがつて、売買代金より右保証金、預託金を差し引かずにこれに対して遅延損害金を支払うことは不合理なものではなく、その支払つた遅延損害金は阪神学園に対する寄付金と解されるべきものではない。第三証拠(省略)○ 理由第一当事者間に争いがない事実請求原因(一)のとおり確定申告や更正処分がされたこと、被告の主張(一)のとおり原告会社に欠損又は所得があつたこと、以上のことは当事者間に争いがない。第二雑収入一原告会社が浪速ビル等の貸室等を、別紙第二表の一ないし三の契約年月、賃借人、保証金各記載のとおり賃貸してそれぞれから保証金を受領したことは、第二表の一番号1の保証金受領の年月の点を除き当事者間に争いがない。 ○ 理由第一当事者間に争いがない事実請求原因(一)のとおり確定申告や更正処分がされたこと、被告の主張(一)のとおり原告会社に欠損又は所得があつたこと、以上のことは当事者間に争いがない。第二雑収入一原告会社が浪速ビル等の貸室等を、別紙第二表の一ないし三の契約年月、賃借人、保証金各記載のとおり賃貸してそれぞれから保証金を受領したことは、第二表の一番号1の保証金受領の年月の点を除き当事者間に争いがない。二成立に争いがない甲第一五号証及び同第四七号証によると、原告会社は訴外住友生命保険相互会社に対し、昭和四一年四月に浪速ビルの貸室を保証金五〇〇万円の約束で、昭和四二年五月浪速ビルの他の一室を保証金四 成立に争いがない甲第一五号証及び同第四七号証によると、原告会社は訴外住友生命保険相互会社に対し、昭和四一年四月に浪速ビルの貸室を保証金五〇〇万円の約束で、昭和四二年五月浪速ビルの他の一室を保証金四八〇万円の約束で賃貸して各保証金を受領したことが認められ、この認定の妨げになる証拠はない。もつとも、成立に争いがない乙第五号証には被告の主張にそう契約年月と金額の記載があるが、この記載は前掲甲号各証と対比して採用することができない。そうすると、原告会社の住友生命保険相互会社との賃貸借による保証金の受領は、昭和四一年四月に五〇〇万円、昭和四二年五月に四八〇万円ということになる。三前掲甲第一五号証、同第四七号証、成立に争いがない同第四八ないし第六五号証、同第六九ないし第八〇号証、乙第七号証、並びに原告会社代表者の本人尋問の結果によると、次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる証拠はない。(一) 別紙第二表の一番号1及び同表の三番号21の賃貸借の目的物件はいずれも浪速ビルの貸室であるが、その各賃貸借契約で、授受された保証金は、契約終了の際賃料その他賃借人の契約上の債務の未払額がない限り、全額の返還が約束されている。(二) 別紙第二表の二番号16の賃貸借の目的物件は夙川グランドハイツ(地下一階地上八階建鉄筋コンクリート造住宅兼店舗約一万〇、五六〇平方メートル)の一室であつて、その賃貸借契約では保証金の返還について次の通り約束されている。第一五条本契約を賃貸人が解約を申し出たときは、敷金は全額を返済し、賃借人が解約を申し出たときは、敷金は二割を差引いた残金を返済する。(三) 別紙第二表の三番号17の契約は、訴外協同乳業株式会社が浪速ビル屋上にネオン電飾広告塔を設置掲出することを原告会社が認める内容であつて、保証金の返還等について次 、五六〇平方メートル)の一室であつて、その賃貸借契約では保証金の返還について次の通り約束されている。第一五条本契約を賃貸人が解約を申し出たときは、敷金は全額を返済し、賃借人が解約を申し出たときは、敷金は二割を差引いた残金を返済する。(三) 別紙第二表の三番号17の契約は、訴外協同乳業株式会社が浪速ビル屋上にネオン電飾広告塔を設置掲出することを原告会社が認める内容であつて、保証金の返還等について次 割を差引いた残金を返済する。(三) 別紙第二表の三番号17の契約は、訴外協同乳業株式会社が浪速ビル屋上にネオン電飾広告塔を設置掲出することを原告会社が認める内容であつて、保証金の返還等について次の通り約束されている。第二条本件広告物の掲出期間は昭和四三年三月一日より六年間とする。第四条契約期間が終了し本契約が解除にな・・・・・・ると同時に下記の割合による金額を控除して保証金を返還するものとする。(イ) 契約期間が満六ヶ年迄の場合は保証金の二割相当の金額(ロ) 契約期間を更新し契約期間が通算して満六ヶ年を超える場合は保証金の一割相当の金額第七条戦災又は天災により建造物が滅失したときは本契約は消滅したものとする。官公庁の命により本件広告物を撤去する場合及び本件広告物が焼失、毀損、使用不能となつた場合は本契約は解除する。第八条乙(原告会社)は乙の事由により契約期間満了前に契約を解除した場合及び第七条の事由により契約の消滅解除した場合保証金の全額を直ちに甲(協同乳業)に返還する。乙は乙の事由により契約を解除する場合は右の他甲の受けた損害につき賠償の責を負うものとする。(四) 別紙第二表の三番号26の賃貸借の目的物件は浪速ビルの貸室であるが、その賃貸借契約では、保証金の返還について次の通り約束されている。第一条借室契約における契約期間は二年間とする。第二条契約期間が終了し本契約が解約になつたとき、次の割合による金額を控除して保証金を返還する。一契約期間が二年以内のときは保証金の二割相当の金額二契約期間が二年をこえ四年以内のときは保証金の一割相当の金額第五条契約期間中といえども賃貸人の都合で本契約の解約の申入れをしたときは、その日から四か月後に本契約は終了する。この場合、第二条の規定にかかわらず保証金につき控除を ときは保証金の一割相当の金額第五条契約期間中といえども賃貸人の都合で本契約の解約の申入れをしたときは、その日から四か月後に本契約は終了する。 以内のときは保証金の二割相当の金額二契約期間が二年をこえ四年以内のときは保証金の一割相当の金額第五条契約期間中といえども賃貸人の都合で本契約の解約の申入れをしたときは、その日から四か月後に本契約は終了する。この場合、第二条の規定にかかわらず保証金につき控除を ときは保証金の一割相当の金額第五条契約期間中といえども賃貸人の都合で本契約の解約の申入れをしたときは、その日から四か月後に本契約は終了する。この場合、第二条の規定にかかわらず保証金につき控除を行わず返還する。(五) 右(一)ないし(四)に認定のものを除くその余の別紙第二表の一ないし三記載の賃貸借の目的物件は、いずれも浪速ビルの貸室であつて、その賃貸借契約では、保証金の返還について次の通り約束されている。第一条借室契約における契約期間は二ヶ年とする。第二条契約期間が終了し本契約が解約になつたとき、次の割合による金額を控除して保証金を返還する。(イ) 契約期間を更新し契約期間を通算して六年(別紙第二表の三26の賃借人は三年)に達する迄の契約者には保証金の二割相当の金額(ロ) 契約期間を更新し契約期間を通算して六年(番号26の賃借人については三年)を超える契約者には保証金の一割相当の金額第六条契約期間中といえども賃貸人の都合で本契約の解約の申入れをしたときは、その日から六ヶ月後に本契約は終了する。この場合、第二条の定めにかかわらず保証金につき控除を行わず返還する。(六) 右賃借人らはいずれも賃借物を事務所又は店舗として営業に用いている。四以上三に認定した事実に基づいて判断する。(一) 別紙第二表の一番号1、及び第二表の三番号21の各賃貸借の保証金は、契約終了の際に、原告会社が各賃借人にその全額を返還することが約束されているから、各保証金の一割が被告主張の営業年度の原告会社の収益として確定したものということはできない。(二) 別紙第二表の三番号17の契約は広告塔の設置掲出を認める契約であるが、この契約に借家法の適用がないことは明らかである。そうすると、原告会社にはその都合により契約の更新を拒絶し、又は契約期間中であつても約 第二表の三番号17の契約は広告塔の設置掲出を認める契約であるが、この契約に借家法の適用がないことは明らかである。そうすると、原告会社にはその都合により契約の更新を拒絶し、又は契約期間中であつても約定の条項に従い損害を賠償して契約を解除することが許されてはいるが、この場合には原告会社は保証金の全額を返還しなければ、ならないことになる。 にはその都合により契約の更新を拒絶し、又は契約期間中であつても約 第二表の三番号17の契約は広告塔の設置掲出を認める契約であるが、この契約に借家法の適用がないことは明らかである。そうすると、原告会社にはその都合により契約の更新を拒絶し、又は契約期間中であつても約定の条項に従い損害を賠償して契約を解除することが許されてはいるが、この場合には原告会社は保証金の全額を返還しなければ、ならないことになる。そこで、この点を考慮すると、右契約の保証金の一割が契約又は受領の際、原告会社の収益として確定したものということはできない。(三) 別紙第二表の三番号26の賃貸借には、次項のその余の賃貸借と異なり、契約期間が四年を超える場合原告会社が賃借人に返還すべき保証金より控除することができる割合を定めた条項がない。ところで、このようなビルの賃貸借についても借家法の適用があり正当事由のない限り賃貸人が契約更新を拒み、解約をすることを許されないと解するのが正当であるから、原告会社は、正当事由がない限り賃貸期間が四年を超えることを阻止することができない筋合である。そうすると、右契約の保証金の一部が契約又は保証金受領の際、原告会社の収益として確定したものということはできない。(四) 別紙第二表の一ないし三記載の賃貸借中、番号1、17、21、26を除くその余の賃貸借については、契約終了の場合原告会社が各賃借人に保証金の一割(番号16の賃貸借については二割)の額を控除し残余を返還することが約束されている。したがつて、この一割又は二割の額は、当初より返還を要しない権利金的な性格があることになるから、これについては、賃貸借契約締結の時期の属する各事業年度の原告会社の収益として確定したものというべきである。もつとも、右賃貸借については契約期間中でも原告会社の都合で契約の解除ができ、この場合には保証金の全額を返還することが約束されてい する各事業年度の原告会社の収益として確定したものというべきである。もつとも、右賃貸借については契約期間中でも原告会社の都合で契約の解除ができ、この場合には保証金の全額を返還することが約束されていることは前記認定のとおりである。しかし、ビルの貸室の賃貸借について借家法が適用されるから、賃貸人の一方的都合により解約ができるとする右特約は借家法六条、一条ノ二により無効であることは多言を必要としない。 い する各事業年度の原告会社の収益として確定したものというべきである。もつとも、右賃貸借については契約期間中でも原告会社の都合で契約の解除ができ、この場合には保証金の全額を返還することが約束されていることは前記認定のとおりである。しかし、ビルの貸室の賃貸借について借家法が適用されるから、賃貸人の一方的都合により解約ができるとする右特約は借家法六条、一条ノ二により無効であることは多言を必要としない。そうすると、原告会社がその都合により賃貸借を終了させることができるのは、正当事由がある場合に限られるが、正当事由があるとして解約が認められる場合が少ないことは当裁判所に顕著である。このようなわけで、原告会社の都合による解約又は更新拒絶が認められて、原告会社が保証金の全額を返還しなければならないことが起りうるとしても、それは極めて例外であるから、保証金のうち一割又は二割の額が、賃貸借契約締結の際原告会社の収益として確定したものとすることの妨げとならないとしなければならない。五原告会社の主張に対する判断(一) 原告会社は、大型ビルの借室人は法人であるのが一般的であり、またその使用目的も全て事務所、営業所であつて、借室人の方が経済的優位にある場合が多いから、大型ビルの貸室については借家法の適用がないと主張する。借家法は大型ビルの貸室契約に適用がない趣旨の規定を置いていないし、実質的に見ても、大型ビルの借室人には個人も零細企業もあるから、借室人の方が常に経済的優位にあると速断することはできない(別紙第二表の三番号28の借室人は個人である)。前掲甲第一五、一六号証、同第四七ないし第六五号証及び同第六九ないし第八〇号証によると、浪速ビルの借室人の殆んどは原告会社が作成印刷し原告会社に有利な諸条項を含む貸室規定を契約条項として賃貸借契約を結んでいるこ 、一六号証、同第四七ないし第六五号証及び同第六九ないし第八〇号証によると、浪速ビルの借室人の殆んどは原告会社が作成印刷し原告会社に有利な諸条項を含む貸室規定を契約条項として賃貸借契約を結んでいることが認められ、この認定に反する証拠はない。このことは右契約において原告会社の方が却つて優位にあつたことを推測させるものである。これらの点を考慮すると、大型ビルについて借家法の適用がないとする原告会社の主張は採用することができない。(1) 原告会社は浪速ビルのような大型ビルの貸室については正当事由の内容はゆるやかに解すべきであると主張する。 諸条項を含む貸室規定を契約条項として賃貸借契約を結んでいることが認められ、この認定に反する証拠はない。このことは右契約において原告会社の方が却つて優位にあつたことを推測させるものである。これらの点を考慮すると、大型ビルについて借家法の適用がないとする原告会社の主張は採用することができない。(1) 原告会社は浪速ビルのような大型ビルの貸室については正当事由の内容はゆるやかに解すべきであると主張する。賃借人がビルの貸室を営業に用いているとき、賃借人の営業所等がその場所にあることが顧客、取引先に記憶されるため、賃借人にとつてその場所に継続して営業所等があることが一種の利益となり、他に移転するとこれが失われて損失を受けることになること、ビルの借室人の中には個人も零細企業もありうること、原告会社は貸ビルを業とするものであつて貸室を自ら使用する必要が生ずることはまずないこと、原告会社が貸室によつて挙げる収益は賃借人が誰かによつて異なるものでないこと、以上のことなどからして、貸室の賃貸借契約を解約するについて、その正当事由の内容をゆるやかに解すべきであるとする原告会社の主張は独自の見解にすぎず、やはり原告会社が賃貸借契約に際し預つた保証金の全額を返還するのは例外的な場合に属するとしなければならない。(三) 原告会社は保証金の一部を現実に確定した益金として収入できるのは、解約という停止条件の満たされた時であると主張する。原告会社は賃貸借契約、貸室の引渡、保証金受領の段階で現実にその保証金の一部を返還しなくしてもよい地位を取得し、保証金を現に支配しているのであるから、右時点で返還しなくてもよい部分の額が収益とし 。原告会社は賃貸借契約、貸室の引渡、保証金受領の段階で現実にその保証金の一部を返還しなくしてもよい地位を取得し、保証金を現に支配しているのであるから、右時点で返還しなくてもよい部分の額が収益として確定したものと解するのが相当である。したがつて原告会社のこの主張は採用することができない。六まとめ以上の判断を整理して示すと、別紙第二表の一ないし三の本判決認定の雑収入欄に記載の各金額が原告会社の各事業年度の益金つまり雑収入になる。第三寄付金一被告の主張(三)1ないし6及び8の各事実は当事者間に争いがない。二成立に争いがない甲第九、一〇号証、同第四七ないし第六五号証、同第六九ないし第八〇号証、乙第三号証、同第九号証及び同第一一号証、並びに原告会社代表者の本人尋問の結果によると、次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 し三の本判決認定の雑収入欄に記載の各金額が原告会社の各事業年度の益金つまり雑収入になる。第三寄付金一被告の主張(三)1ないし6及び8の各事実は当事者間に争いがない。二成立に争いがない甲第九、一〇号証、同第四七ないし第六五号証、同第六九ないし第八〇号証、乙第三号証、同第九号証及び同第一一号証、並びに原告会社代表者の本人尋問の結果によると、次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる証拠はない。(一) 浪速ビル東館及び西館の各売買契約には、次の定めがある。1 浪速ビルの営繕修理費は原告会社が負担する。2 天災地変等の不可抗力によつて浪速ビルの一部が、滅失毀損しても原告会社は代金減額、契約解除の請求ができない。3 浪速ビルの引渡し以降の固定資産税、火災保険料、敷地賃借料は原告会社が支払う。4 売買代金が完済されたとき、浪速ビルの所有権は原告会社に移転し、阪神学園はその所有権移転登記手続をする。なお、右契約には、証拠金、預託金のうち、支払期限の定めがある一億円の部分以外については、返還期限の定めがない。(二) 右の売買契約に定める遅延損害金の性質は、元本である売買代金の運用利益に相応する利息の性格をもつものである。(三) 浪速ビルの敷地は阪神学園が他から賃借している。(四) 原告会社は浪速ビルの貸室を事務室、店舗等として他に賃貸し、賃借人から保証金として賃料の十数か月分に相当する 息の性格をもつものである。(三) 浪速ビルの敷地は阪神学園が他から賃借している。(四) 原告会社は浪速ビルの貸室を事務室、店舗等として他に賃貸し、賃借人から保証金として賃料の十数か月分に相当する額の金員を、一部の賃借人からはそのほかに建設協力金として賃料の一〇か月分前後に相当する額の金員を預つた。この保証金、建設協力金の総額は前記被告の主張(三)ないし(五)の賃貸借、売買契約に定められた保証金、証拠金、預託金の金額にほぼ等しいものであつた。(五) 阪神学園は原告会社が賃借人らに負担する右(四)の賃貸借契約上の債務の連帯保証をした。(六) 原告会社は設立後昭和四一年ごろまでは欠損を計上することが多かつた。(七) 信用金庫の平均貸出金利は昭和三七年ごろは年九ないし一〇パーセント、昭和四〇年は約八・八パーセントであつた。三以上認定の事実に基づいて判断する。原告会社は浪速ビル東館の売買では証拠金一億五、〇〇〇万円を阪神学園に支払い、浪速ビル西館では既に支払つていた賃貸借保証金八、〇〇〇万円を預託金として阪神学園に承継させたにも拘らず、これらを遅延損害金の計算上元本となる売買代金から差し引かず、原告会社は阪神学園に対し右証拠金、預託金に対応する部分の売買代金についても、利息の性格を有する金員を遅延損害金の名目で支払つている。 定の事実に基づいて判断する。原告会社は浪速ビル東館の売買では証拠金一億五、〇〇〇万円を阪神学園に支払い、浪速ビル西館では既に支払つていた賃貸借保証金八、〇〇〇万円を預託金として阪神学園に承継させたにも拘らず、これらを遅延損害金の計算上元本となる売買代金から差し引かず、原告会社は阪神学園に対し右証拠金、預託金に対応する部分の売買代金についても、利息の性格を有する金員を遅延損害金の名目で支払つている。ところで、運用利益に相応する利息とは、その元本となるべき金銭、利益の運用権限が相手方の負担により自己に帰せられている場合に支払われる性格のものを指称する。本件では、売買契約に基づき阪神学園より原告会社に売買目的物件が引き渡され、原告会社は代金支払義務を負うが、そのほかに同じ契約に基づき原告会社より阪神学園に対し右の通り多額の金員が支払われ又は既払の金員を承継させているのであるから、これらの金員に相応する額について され、原告会社は代金支払義務を負うが、そのほかに同じ契約に基づき原告会社より阪神学園に対し右の通り多額の金員が支払われ又は既払の金員を承継させているのであるから、これらの金員に相応する額については、その運用利益が原告会社より阪神学園に帰しているのである。そうすると、この額についてまで、原告会社が運用利益に相応する利息の性格を有する月一分二厘又は一分の割合による金員を阪神学園に支払うことは、他に相当な理由のない限り、原告会社にとつて極めて不利益であつて、合理的経済人であれば行うことのない不合理な行為であることは明らかである。四原告会社の主張に対する判断(一) 原告会社は、浪速ビル東館の売買契約では、前記一億五、〇〇〇万円を証約手付として交付したもので、売買代金の内金として交付したものではないから、これを差し引かずに売買代金全額について遅延損害金を阪神学園に支払うのは当然であると主張する。しかし、この主張は次の二点で採用することができない。第一に、右一億五、〇〇〇万円が証拠金という名目で支払うことが約束されていることは前記認定のとおりであるが、これが真に証約手付の趣旨で交付されたとするには、次のような疑問があるばかりか、本件に顕われた証拠を仔細に検討しても、これが証約手付の趣旨で交付されたことが認められる的確な証拠がない。ア証約手付は、契約成立の事実を明らかにし、当事者の契約遵守の意欲を強めて事実上の強制力を高める目的を持つている。 第一に、右一億五、〇〇〇万円が証拠金という名目で支払うことが約束されていることは前記認定のとおりであるが、これが真に証約手付の趣旨で交付されたとするには、次のような疑問があるばかりか、本件に顕われた証拠を仔細に検討しても、これが証約手付の趣旨で交付されたことが認められる的確な証拠がない。ア証約手付は、契約成立の事実を明らかにし、当事者の契約遵守の意欲を強めて事実上の強制力を高める目的を持つている。しかし、当事者間に争いがない被告の主張(三)2のとおり原告会社は阪神学園の不動産を管理する目的で設立された会社であり、その発行済株式六、〇〇〇株のうち阪神学園が五、〇〇〇株、同学園理事長Aが五〇〇株を所有し(原告会社設立後に株式の譲渡があつた証拠はない)、阪神学園が株式面で完全に原告会社を支配してい 会社であり、その発行済株式六、〇〇〇株のうち阪神学園が五、〇〇〇株、同学園理事長Aが五〇〇株を所有し(原告会社設立後に株式の譲渡があつた証拠はない)、阪神学園が株式面で完全に原告会社を支配しているのであるから、原告会社と阪神学園との間で契約成立の事実を明らかにするために売買代金の二七パーセントにも当る額の金員を証約手付として交付する必要はなかつた筈である。このことは、右金員が真に証約手付の趣旨で交付されたとの原告会社の主張を疑わせるものである。イ浪速ビル東館の売買契約では、証拠金一億五、〇〇〇万円のうち一億円は契約締結の一か月後である昭和三七年八月末日が、うち五、〇〇〇万円は契約締結の一年一か月後である昭和三八年八月末日が各支払期限になつていること、他方目的物件引渡しは契約日にされ、売買代金に対する月一分二厘の割合による遅延損害金の支払日は契約後毎月末日と約束されていること、以上のことは、当事者間に争いがない。証約手付は、前述したとおり契約成立の事実を明らかにする目的で交付されるものであるところ、当事者双方が契約の履行に着手すると契約の成立が確認されることになるから、契約上の義務の履行期の後に証約手付の履行期が来るというような約束は、通常はあり得ないばかりか無意味なことといえる。ところが、本件では目的物件の引渡し、遅延損害金名義の金員の支払の後に右証拠金のうち少なくとも五、〇〇〇万円を支払うというように約束しているのである。したがつて、このことから、却つて証拠金名義の金員が証約手付の趣旨で交付されたとする原告会社の主張を疑わせるのである。 されることになるから、契約上の義務の履行期の後に証約手付の履行期が来るというような約束は、通常はあり得ないばかりか無意味なことといえる。ところが、本件では目的物件の引渡し、遅延損害金名義の金員の支払の後に右証拠金のうち少なくとも五、〇〇〇万円を支払うというように約束しているのである。したがつて、このことから、却つて証拠金名義の金員が証約手付の趣旨で交付されたとする原告会社の主張を疑わせるのである。ウ浪速ビル東館の売買契約では、証拠金一億五、〇〇〇万円のうち一億円は阪神学園から原告会社に昭和四三年より五年間にわたり毎年末に二、〇〇〇万円宛返還されることが約束されているが、残余の五、〇 る。ウ浪速ビル東館の売買契約では、証拠金一億五、〇〇〇万円のうち一億円は阪神学園から原告会社に昭和四三年より五年間にわたり毎年末に二、〇〇〇万円宛返還されることが約束されているが、残余の五、〇〇〇万円については返還期限の約定がない。ところで、証約手付は契約成立の事実を明らかにするものであるから、契約の履行に着手した場合は全額が返還されるか、代金の一部に充当されるのが通常である。そうすると、本件ではそのような約定が認められないのであるから、このことは、右の証拠金名義の金員が証約手付の趣旨で交付されたとの原告会社の主張を疑わせるのである。エ浪速ビル東館の売買契約では、証拠金と称する金員が売買代金の二七パーセントの多額にのぼつている。しかし、この額は、代金内払いの性格のない手付金としては極めて高額であり、前記アに記載した売主と買主との密接な関係を考慮するとき極めて異常というほかはない。したがつて、この額が高額にすぎるということは、原告会社の主張を疑わせる理由の一つになる。第二に、仮に、契約当事者間で前記証拠金が証約手付であつて一部を除き売買代金完済まで返還されないものと真に合意されたものであれば、それこそ原告会社にとつて極めて不利なものであつて、合理的経済人から見て不合理な合意というほかはない。前記第一アないしウの諸点を考慮するとき、そのような不合理な合意は通常行われることのない異常なものであるし、しかも売買契約全体からみても、原告会社がこのように多額の金員の運用利益を長期間にわたり阪神学園に与えなければならない合理的理由があつたことが認められる証拠が見当らないのである。即ち、原告会社は、阪神学園が四億四、三九〇万円を投じて建築したビルをその完成の一一日後に五億五、〇〇〇万円の価格で購入し(敷地の借地権価格が一億円にも達していた ような不合理な合意は通常行われることのない異常なものであるし、しかも売買契約全体からみても、原告会社がこのように多額の金員の運用利益を長期間にわたり阪神学園に与えなければならない合理的理由があつたことが認められる証拠が見当らないのである。即ち、原告会社は、阪神学園が四億四、三九〇万円を投じて建築したビルをその完成の一一日後に五億五、〇〇〇万円の価格で購入し(敷地の借地権価格が一億円にも達していた められる証拠が見当らないのである。即ち、原告会社は、阪神学園が四億四、三九〇万円を投じて建築したビルをその完成の一一日後に五億五、〇〇〇万円の価格で購入し(敷地の借地権価格が一億円にも達していたことが認められる証拠はない)、その代金を即時に支払う必要はないものの、原告会社はこれに対しては信用金庫の平均貸出利率よりも高い利率(年一四・四パーセント)の遅延損害金名義の金員を支払わなければならないことになつており、しかも売却物件は所有権が留保されているから、阪神学園は代金の回収についても不安がなかつたのである。そうすると、この契約は保証金の運用利益を除いても阪神学園にとつて不利なものではなく、更に一億五、〇〇〇万円の保証金について年一四・四パーセント(後に一二パーセントに改定)もの金員を支払うことを約束することは、合理的経済人にとつては極めて不合理な約束であることはいうまでもない。(二) 原告会社は、原告会社が浪速ビルの利用を続けながら売買代金の支払をせずに遅延損害金名義の金員の支払いを続けた場合、この関係は賃貸借に類似したものになるので、賃貸借におけると同様に保証金を定めてその遅延損害金を賃料よりもやや高い額に定めたものであると主張する。しかし、本件に顕われた証拠を仔細に検討しても浪速ビル東館についての一億五、〇〇〇万円、浪速ビル西館についての八、〇〇〇万円が、原告会社の主張するような趣旨で交付されたことが認められる的確な証拠はない。(三) 原告会社は、阪神学園が原告会社の浪速ビル借室人に対する賃貸借契約上の義務を連帯保証したので、阪神学園の原告会社に対する求償債権を担保するため、原告会社は一億五、〇〇〇万円又は八、〇〇〇万円の金員を阪神学園に支払つたから、右金員の支払いは不合理なものではないと主張する。阪神学園は浪速ビル借室人に対 原告会社に対する求償債権を担保するため、原告会社は一億五、〇〇〇万円又は八、〇〇〇万円の金員を阪神学園に支払つたから、右金員の支払いは不合理なものではないと主張する。 上の義務を連帯保証したので、阪神学園の原告会社に対する求償債権を担保するため、原告会社は一億五、〇〇〇万円又は八、〇〇〇万円の金員を阪神学園に支払つたから、右金員の支払いは不合理なものではないと主張する。阪神学園は浪速ビル借室人に対 原告会社に対する求償債権を担保するため、原告会社は一億五、〇〇〇万円又は八、〇〇〇万円の金員を阪神学園に支払つたから、右金員の支払いは不合理なものではないと主張する。阪神学園は浪速ビル借室人に対する原告会社の賃貸借契約上の債務を保証したこと、右賃貸借契約に基づき原告会社が借室人より預つた保証金、建設協力金の総額は、ほぼ原告会社が浪速ビルの売買契約に基づき阪神学園に支払い、又は承継させた保証金額に等しいこと、原告会社は設立後昭和四一年ころまでは欠損を出していたこと、以上のことは前記認定の通りであるから、阪神学園の将来取得するであろう求償債権のために、原告会社が担保を提供したとすれば、そのこと自体は、原告会社と阪神学園との資本的なつながりの点を除けば、不合理なものということはできない。しかし、問題は、担保を提供することが不合理かどうかではなく、担保として交付された金員に対応する額についてまで遅延損害金を支払うことが不合理かどうかの点にある。担保として金員を提供する必要があるということだけでは、その金員の運用利益を相手方に帰せしめることを合理化するものではない(銀行預金担保貸付の際の預金にも利息が付されることはこのことを示している)し、担保として提供された金員について利息が付されないばかりか、反対に相手方に対し被担保債権その他の債権について利息を支払うことは不合理である。ところが、原告会社は前記証拠金、預託金が求償債権に対する担保であると主張するだけであつて、更に進んで前記証拠金、預託金に対応する額について原告会社が遅延損害金を支払う合理的な理由があることを立証しないのである。更に、本件では、原告会社が阪神学園に支払い又は承継させた証拠金、預託金の額が、原告会社が浪速ビルの賃借人から受領した保証金、建設協力金の総額にほぼ等しいことは 理由があることを立証しないのである。更に、本件では、原告会社が阪神学園に支払い又は承継させた証拠金、預託金の額が、原告会社が浪速ビルの賃借人から受領した保証金、建設協力金の総額にほぼ等しいことは、前記認定のとおりである。 立証しないのである。更に、本件では、原告会社が阪神学園に支払い又は承継させた証拠金、預託金の額が、原告会社が浪速ビルの賃借人から受領した保証金、建設協力金の総額にほぼ等しいことは 理由があることを立証しないのである。更に、本件では、原告会社が阪神学園に支払い又は承継させた証拠金、預託金の額が、原告会社が浪速ビルの賃借人から受領した保証金、建設協力金の総額にほぼ等しいことは、前記認定のとおりである。ところで、賃貸借契約で賃借人が賃貸人に預ける保証金、建設協力金の運用利益は、実質的には賃料の性格があるから、保証金、建設協力金が高ければ毎月支払われる賃料は低くなるという相関関係がある。このことは、原告会社が浪速ビルの借室人から受領した保証金、建設協力金と浪速ビルの貸室の賃料についてもあてはまる。そうすると、原告会社が保証金、建設協力金の運用利益を収受することなく、阪神学園にその運用利益を与えてその額の売買代金に対する遅延損害金(利息)まで支払うことは原告会社にとつて全く不利であることは明らかである。その上、前記証拠金、預託金は、その一部が中途で返還されることが約束されてはいるが、証拠金、預託金の総額が浪速ビルの売買代金(計八億八、〇〇〇円)の約二六パーセントに相当する二億三、〇〇〇万円であり、これに対し支払われる遅延損害金(利息)の率は信用金庫の平均貸出利率を大きく上廻る高率のものであるから、このことは原告会社にとつて著しく不利益である。また、右の遅延損害金の支払いが阪神学園の右連帯保証の対価であることが認められる的確な証拠はない。そうすると、前記証拠金、預託金に求償債権担保の目的があつたとしても、原告会社がそれの運用利益を阪神学園に与えて、前記証拠金、預託金の額に相応する部分の売買代金についてまでも高率の遅延損害金名義の金員を支払うことは、原告会社にとつて極めて不利益であつて合理的経済人の見地よりして不合理なものといわなければならない。五まとめ(一) 以上の次第で、原告会社が浪速ビル東館の売買の証拠金、及び 金員を支払うことは、原告会社にとつて極めて不利益であつて合理的経済人の見地よりして不合理なものといわなければならない。五まとめ(一) 以上の次第で、原告会社が浪速ビル東館の売買の証拠金、及び浪速ビル西館の売買の預託金の額に対応する売買代金について、運用利益に相応する性格のある月一分二厘又は一分の割合による遅延損害金(利息)を支払つた行為は、原告会社にとつて極めて不利益であつて、合理的経済人であれば行うことのない不合理なものである。 て極めて不利益であつて合理的経済人の見地よりして不合理なものといわなければならない。五まとめ(一) 以上の次第で、原告会社が浪速ビル東館の売買の証拠金、及び浪速ビル西館の売買の預託金の額に対応する売買代金について、運用利益に相応する性格のある月一分二厘又は一分の割合による遅延損害金(利息)を支払つた行為は、原告会社にとつて極めて不利益であつて、合理的経済人であれば行うことのない不合理なものである。そうして、原告会社の行つた右の支払行為は、阪神学園に対し無償で経済的な利益の供与をしたことに帰着するから、その利益の額、即ち右証拠金、預託金に対応する分の遅延損害金は、法人税法三七条五項の寄付金に該当する。(二) 前記証拠金、預託金に対応する分の遅延損害金の額、その支払時期、及び本件処分前の確定申告、更正処分でのこれらの計上時期が、被告の主張(三)6のとおりであることは当事者間に争いがなく、被告主張の別紙第三表の一(2)(8)記載の額及び別紙第四表の一の期首繰越欠損金の額について原告会社が明らかに争わないから、これらを基礎として原告会社の各事業年度の寄付金の損金不算入額を計算すると、その額は別紙第三表のとおりの額になる。なお、当事者間に争いがない原告会社の塩見経済研究所に対する金二〇〇万円の寄付金の支出は、昭和四三事業年度の寄付金として加算ずみである。また、浪速ビル東館証拠金に対応する分の遅延損害金二、一六〇万円は、昭和四二事業年度に支払われているから、昭和四一事業年度の損金ではなく昭和四二事業年度の寄付金として計上されるべきである。第四むすび以上の判断を基礎として原告会社の所得又は欠損、及び税額を算出すると、別紙第四表の一ないし三の本判決認定額欄に記載のとおりになる。そうすると、本件処分は、右 して計上されるべきである。第四むすび以上の判断を基礎として原告会社の所得又は欠損、及び税額を算出すると、別紙第四表の一ないし三の本判決認定額欄に記載のとおりになる。そうすると、本件処分は、右本判決認定額欄記載の所得又は欠損の額を超える部分は違法として取り消されるべきであるが、その余の部分は適法であつてその部分についての原告会社の請求は棄却されるべきである。そこで、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条に従い主文の通り判決する。(裁判官古崎慶長井関正裕西尾進)(別紙)
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