平成31(ワ)3718 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年11月25日 大阪地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-89907.txt

判決文本文18,348 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 原告らと被告との間で,原告らが被告と期間の定めのない労働契約を締結して採用された労働者(いわゆる正社員)に適用される就業規則に基づく権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告甲に対し,9万1012円及びこれに対する令和元年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告乙に対し,9万3532円及びこれに対する令和元年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等本件は,労働契約法(以下「労契法」という。)18条1項に基づき有期労働契約から期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)に転換した原告らが,転換後の労働条件について,雇用当初から無期労働契約を締結している労働者(以下「正社員」という。)に適用される就業規則(以下「正社員就業規則」という。)によるべきであると主張して,被告に対し,正社員就業規則に基づく権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,労働契約に基づく賃金請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権として,無期労働契約に転換した後の平成30年10月分の賃金について正社員との賃金差額(原告甲につき9万1012円,原告乙につき9万3532円)及びこれに対する訴状送達日の翌日である令和元年5月11日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲記した事実を除くほかは,当事者間に争いがない。) (1) 当事者等ア原告甲は,平成20年10月,原告乙は,平成2 る遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲記した事実を除くほかは,当事者間に争いがない。) (1) 当事者等ア原告甲は,平成20年10月,原告乙は,平成22年9月,それぞれ被告と有期労働契約を締結し,トラック運転手として配送業務に従事しながら,以後更新を重ねたものである。なお,上記労働契約は,後述のとおり,いずれも労契法18条1項に基づき,無期労働契約に転換した(以下「無期転換」という。)。(弁論の全趣旨)イ原告らは,全日本建設運輸連帯労働組合近畿地区トラック支部(以下「本件組合」という。)に加入している。 ウ被告は,一般貨物自動車運送事業等を目的とする株式会社である。 (2) 期間の定めのある労働契約を締結する社員(以下「有期の契約社員」という。)に適用される就業規則に無期転換に関する規定を追加したこと被告は,平成29年10月1日付けで,有期の契約社員に適用される嘱託,臨時従業員およびパートタイマー就業規則(以下「契約社員就業規則」という。)に無期転換に関する規定を追加する等の改定を行った(甲3)(3) 無期労働契約への転換原告らは,平成30年4月1日,被告に対し,労契法18条1項に基づき,原告らが締結している有期労働契約の契約期間が満了する同年9月30日の翌日である同年10月1日を始期とする無期労働契約の締結を申し込み,被告は,同条項に基づき,これを承諾したものとみなされた。 これにより,平成30年4月1日,原告らと被告の間に同年10月1日を始期とする無期労働契約が成立した。 (4) 無期パート雇用契約書原告らは,平成30年11月2日,被告との間で,無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨の記載のある無期パート雇用契約書を交わした(乙1(枝番を含む。以 た。 (4) 無期パート雇用契約書原告らは,平成30年11月2日,被告との間で,無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨の記載のある無期パート雇用契約書を交わした(乙1(枝番を含む。以下,特に断らない限り同じ。))。 (5) 労契法18条1項第2文の定め 労契法18条1項第2文には,要旨,次の定めがある。 無期労働契約に転換した後の労働条件は,現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。 (6) 就業規則の定めア平成30年10月1日時点で,被告には次の就業規則があり,各就業規則には,要旨,後記イないしウの定めがあった。 ① 正社員就業規則(就業規則,職能資格規程,給与規程)② 契約社員就業規則なお,契約社員就業規則の2条2号及び10条は,平成29年10月1日改正により追加されたものである(甲3)。 イ正社員就業規則(甲2)(ア) 就業規則第3条この規則で従業員とは,第6条で定める手続を経て採用され,被告の業務に従事する者をいう。 第4条この規則は,前条に規定する従業員に適用する。 2 有期の契約社員については,別に定める契約社員就業規則による。 第6条被告が従業員を採用するときは,新卒者および就職希望者の内から選考して,所定の手続を経た者を採用する。 (イ) 職能資格規程第2条この規定は,被告の乗務員に適用する。ただし,顧問,有期の契約社員などには適応しない。 (ウ) 給与規程第2条この規程は,就業規則第4条に規定する従業員に適用する。 ただし,有期の契約社員については,それぞれ別に定める契約社 員就業規則を適用する。 ウ 応しない。 (ウ) 給与規程第2条この規程は,就業規則第4条に規定する従業員に適用する。 ただし,有期の契約社員については,それぞれ別に定める契約社 員就業規則を適用する。 ウ契約社員就業規則(甲3)第1条この規則は,有期の契約社員の服務規律,労働条件その他の就業に関する事項を定めたものである。 第2条有期の契約社員の定義は,次のとおりとする。 (1) 有期の契約社員とは,雇用期間を定めた雇用契約を締結して雇い入れた者をいう。 (2) 有期の契約社員であって,第10条の規定により,被告と期間の定めのない労働契約を締結したものを,無期契約社員という(平成29年10月1日改正による追加)。 第10条被告における有期労働契約期間を通算した期間が5年を超える有期の契約社員であって,引き続き雇用を希望する者は,被告に対し,期間の定めのない労働契約へ転換することの申込みをすることができる。 2 前項の申込みをしたときは,申込みをした有期の契約社員は,現に締結している労働契約が満了する日の翌日から無期契約社員となる。 3 無期契約社員の労働条件は,現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件とする。ただし,無期契約社員との合意のうえ,異なる労働条件を定めることができる。 (平成29年10月1日改正による追加)第11条有期の契約社員のうち,特に勤務成績が良好な者は選考の上,正規従業員に登用することがある。 (7) 賃金の相違ア被告における賃金の計算は,毎月末日締め翌月10日払いである。 イ被告において,正社員就業規則には,無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,家族手当,賞与,定期昇給及び退職金の定めがあるのに対し,契約社員就業規 翌月10日払いである。 イ被告において,正社員就業規則には,無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,家族手当,賞与,定期昇給及び退職金の定めがあるのに対し,契約社員就業規則には,これらの定めがない(甲2,3,弁論の全趣旨)。 ウ原告甲は,本件訴訟に先立ち,被告を相手方として訴訟を提起し(以下「前訴」という。),無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,通勤手当,家族手当,賞与,定期昇給及び退職金の支給について正社員と扱いが異なることは労契法20条(平成30年号外法律第71号による改正前のもの。以下,「労契法20条」というときは同改正前のものをいう。)に違反しているなどと主張して,被告に対し,(1)労働契約に基づき,原告甲が被告に対し,上記賃金の支給に関し,正社員と同一の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,(2)主位的に労働契約に基づき,予備的に不法行為に基づき,正社員に支給された諸手当との差額の支払を求めた(当裁判所に顕著)。 エ最高裁は,前訴の上告審として,無事故手当,作業手当,給食手当及び平成25年12月以前の通勤手当の支給の相違は労契法20条に違反し不法行為を構成するとして原審の判断を是認しつつ,皆勤手当の支給の相違については,労契法20条に違反するものの,原告甲がその支給要件を満たしているか否か等について更に審理を尽くさせるため,同部分を原審に差し戻す旨の判決をし(最高裁平成30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号88頁,以下「前訴最判」という。),差戻審は,皆勤手当についての原告甲の請求を認容する旨の判決をした(大阪高裁平成30年12月21日判決・労経速報2369巻18頁,当裁判所に顕著)。 オ被告は,前訴最判を受けて,平成30年10月1日以降,無事故手当1 いての原告甲の請求を認容する旨の判決をした(大阪高裁平成30年12月21日判決・労経速報2369巻18頁,当裁判所に顕著)。 オ被告は,前訴最判を受けて,平成30年10月1日以降,無事故手当1万円,作業手当1万円及び食事手当3500円の合計2万3500円を月間所定時間169時間で除して時給換算した140円を処遇改善費として 原告らの賃金に組み入れた。 また,被告は,前訴最判の差戻審判決を受けて,平成30年12月1日以降,皆勤手当について上記同様に時給換算した60円を処遇改善費として原告らの賃金に組み入れた(弁論の全趣旨)。 2 争点(1) 本案前の答弁(本件訴えの提起は信義則に反するか) ・・・・争点1(2) 無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則による旨の合意の有無・・・・争点2(3) 無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるか・・・・争点3(4) 原告らについて正社員就業規則が適用される場合,正社員との賃金差額・・・・争点4 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本案前の答弁)について(被告の主張)既判力のある判断のほか,実質的に敗訴に終わった前訴の請求ないし主張の蒸し返しに当たるような訴えの提起は信義則に反して許されないというべきである。 しかるところ,原告甲は,前訴において,採用時に半年か1年後に正社員にする旨の約束があったことを請求原因として,本件の確認請求と同旨の請求を行い,これを棄却する判決が既に確定している。 したがって,少なくとも原告甲は,正社員にする約束があったことを理由にして本件の確認請求を行うことは許されない 原因として,本件の確認請求と同旨の請求を行い,これを棄却する判決が既に確定している。 したがって,少なくとも原告甲は,正社員にする約束があったことを理由にして本件の確認請求を行うことは許されない。 さらに,前訴最判は,被告において,正社員に適用される就業規則と有期の契約社員に適用される就業規則は別個独立のものとして截然と区分されており,たとえ有期の契約社員に適用される就業規則における労働条件の定め が無効になったとしても,それによって有期の契約社員に正社員の就業規則が適用されることにはならない旨判示しているから,被告における就業規則の解釈につき確定した判断が既になされている。 ところが,原告らは,本件訴訟において,前訴最判で退けられた主張と同旨の主張を織り交ぜた主張を行っており,前訴における紛争の実質的な蒸し返しをしていることに他ならない。 なお,原告乙は前訴の当事者ではなかったものの,その主張は原告甲と概ね変わるところがないから,両者を別異に取り扱う必要はない。 よって,原告らの訴えは不適法であり,却下されるべきである。 (原告らの主張)前訴の既判力が及ぶのは,「原告甲が,被告に対し,無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,通勤手当,家族手当,賞与,定期昇給及び退職金の支給に関し,正社員と同一の権利を有する地位にあることを確認する」との請求を棄却する部分であり,判決理由中の判断に既判力は生じない。 また,前訴は,原告甲が有期労働契約を締結していた時期の訴訟であるのに対し,本件訴訟は,無期転換後のものである。このように,前訴の既判力の基準時後に雇用形態の変化があったのであるから,本件訴訟に前訴の既判力は及ばず,紛争の蒸し返しにも当たらない。 (2) 争点2(無期転換後の労働条件に関し,正社員就 ある。このように,前訴の既判力の基準時後に雇用形態の変化があったのであるから,本件訴訟に前訴の既判力は及ばず,紛争の蒸し返しにも当たらない。 (2) 争点2(無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則による旨の合意の有無)について(原告らの主張)ア原告らは,被告に対し,無期転換後の労働条件について,正社員と同じ内容とする旨の申込みを次のとおり行った。 (ア) 本件組合は,平成23年11月12日付け分会要求書によって組合員を正社員とすることを要求した。 (イ) 本件組合は,平成30年6月12日付け団体交渉申入書において,原告らを正社員とすることを要求した。 (ウ) 本件組合は,平成30年9月21日の団体交渉において,そもそもの要求が正社員化である旨を述べ,無期転換後は正社員就業規則が適用されるべきものである旨を述べた。 (エ) 本件組合は,平成30年10月22日付け抗議申入書において,同月1日をもって,原告らについては正社員就業規則が適用となることは明らかである旨を主張した。 (オ) 本件組合は,平成30年10月26日の団体交渉において,原告らの無期転換後の労働条件には正社員就業規則が適用されると考えている旨を述べた。 イ被告は,原告らに対し,無期転換後の労働条件は無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則によるとの意思を表明しているが,無期パート雇用契約書による意思表示が無効であり,契約社員就業規則が原告らに適用されない場合には,正社員就業規則を適用するほかないとの意思であったと解釈すべきであり,ここにおいて原告らと被告の意思は合致し,無期転換後の原告らに正社員就業規則が適用される旨の合意が成立したというべきところ,被告は,遅くとも平成30年10月26日の団体交渉時までに,無期転換後の原告らに正社員就業 らと被告の意思は合致し,無期転換後の原告らに正社員就業規則が適用される旨の合意が成立したというべきところ,被告は,遅くとも平成30年10月26日の団体交渉時までに,無期転換後の原告らに正社員就業規則が適用されることを黙示的に承諾した。 ウそして,原告らと被告の無期パート雇用契約書のうち賃金に関する労働条件の部分及び契約社員就業規則によるとする部分は,次のとおり無効である。 (ア) 原告らは,従前から,組合を通じて原告らの正社員化を要求し,無期転換後は正社員就業規則が適用されると考えている旨を明らかにしていたのであり,これに反する内容の無期パート雇用契約書に署名押印 したのは,無期転換のための手続上必要な形式的なことと考えたからにすぎない。原告らは無期パート雇用契約書に表示されている内容に対応する意思を欠いているのであって,無期パート雇用契約書の契約社員就業規則が適用されるという部分についての原告らの意思表示は錯誤により無効である。 (イ) 無期パート雇用契約書は,労働協約たる組合と被告との事前協議条項(甲7①)及び事前協議の合意(甲7②)に反するものであるから,労働組合法(以下「労組法」という。)16条によっても無効である。 エまた,契約社員就業規則は,次のとおり,原告らに適用されない。 (ア) 原告らは,組合を通じて,契約社員就業規則の適用を拒否する意思を明らかにしてきたから,契約社員就業規則を原告らに適用することは合意原則(労契法1条,3条1項,6条)に反し,許されない。 (イ) 無期転換後の労働条件を無期転換前のそれと同一とすることを定めた契約社員就業規則2条2号及び10条3項(以下「無期契約社員規定」という。)は,平成29年10月1日改正により追加されたものであるところ,同規定は,原告らの無期転換時点 それと同一とすることを定めた契約社員就業規則2条2号及び10条3項(以下「無期契約社員規定」という。)は,平成29年10月1日改正により追加されたものであるところ,同規定は,原告らの無期転換時点ではすでに存在していたから労契法7条の適用が問題となる。しかるところ,無期契約社員規定は,合理性の要件を満たさないため,無効である。 すなわち,無期転換後の原告らと正社員との間で,職務の内容及び配置の変更の範囲等の就業の実態において違いはないのに,無期契約社員規定を適用して原告らに正社員より明らかに不利な労働条件を設定することは,労契法3条2項の均衡考慮の原則に反するとともに,同条4項の信義則に反する。 (ウ) 契約社員就業規則は,原告らが被告と有期労働契約を締結していた時から原告らに適用されており,無期契約社員規定の追加はすでに適用されている就業規則の変更とみることもできるところ,これは原告ら にとって実質的に労働条件の不利益変更に当たる。そして,被告において無期契約社員規定を追加する必要性は不十分であるほか,合理性の要件も満たさないから,労契法10条類推適用により無効である。 すなわち,原告らは,組合を通じて正社員への転換を要求し,無期契約社員規定の追加に反対していたほか,原告甲においては採用の際に,半年か1年後に正社員にするとの約束を被告から取り付けていたから,原告らは,無期転換後は正社員としての地位を得る合理的期待を有していた。無期契約社員規定は原告らの上記合理的期待を侵害するものであり,これによる原告の不利益は大きく,就労の実態からみて均衡考慮原則に反することは前記のとおりであり,これを合理化する事情はない。 他方,被告において,無期契約社員規定を追加する必要性は,人件費の増大の抑制にあるが,有期契約労働者 ,就労の実態からみて均衡考慮原則に反することは前記のとおりであり,これを合理化する事情はない。 他方,被告において,無期契約社員規定を追加する必要性は,人件費の増大の抑制にあるが,有期契約労働者の雇用の安定及び公正な待遇等の確保という労契法の趣旨に照らし,被告の上記必要性を過大に評価すべきでない。また,被告から組合に対して無期契約社員規定を追加する必要性について十分な説明もされていない。 (エ) 無期転換後も契約社員就業規則が適用されることを定めた正社員就業規則4条2項,職能資格規程2条,給与規程2条ただし書についても,前記(イ)及び(ウ)と同様,労契法7条又は10条の類推適用により無効である。 (被告の主張)ア原告らが被告に対して正社員にするよう要求した事実があったとしても,被告がそれを承諾した事実はない。なお,被告は,平成30年10月26日の団体交渉において,原告らを正社員にしない旨を明確に回答している。 イかえって,原告らと被告との間には,無期契約社員規定を追加した契約社員就業規則を適用することについての明示の合意がある。 (ア) すなわち,被告は,平成29年9月8日,組合に対し,契約社員 就業規則に無期契約社員規定を追加するなどの変更を行うことを通知し,その後,団体交渉の場で,労契法18条所定の無期転換の申込みがあったところで原告らが正社員になるわけではない旨の考え方を説明し,事務折衝の場でも,変更後の契約社員就業規則が適用されること,同規則の内容,労契法18条の解釈等について説明した。原告らは,上記団体交渉等を経た後,何ら異議をとどめることなく,被告に対し,被告の説明に沿った内容の無期パート雇用契約書にそれぞれ署名押印して提出し,被告との間で同契約を締結した。 したがって,原告らは,契約社員就業 渉等を経た後,何ら異議をとどめることなく,被告に対し,被告の説明に沿った内容の無期パート雇用契約書にそれぞれ署名押印して提出し,被告との間で同契約を締結した。 したがって,原告らは,契約社員就業規則を適用することに合意した。 (イ) 原告らは,無期パート雇用契約書のうち,契約社員就業規則が適用されるという部分は錯誤により無効であると主張するが,同契約書の記載は平易で,大部にわたるものではなく,無期転換前に被告と原告らとの間で用いられてきた書式と大差がないものであって,原告らは,同契約書の内容を十分に理解した上で署名押印し,被告に提出したというべきである。 仮に原告らに錯誤があったにせよ,原告らは,無期パート雇用契約書に正社員とはしないことが記載されていることを認識しながら,敢えて署名押印して提出したというのであるから,重大な過失によるものということができ,錯誤無効を主張することはできない。 (ウ) さらに,原告らが労働協約と主張する書面には,原告らの労働条件に関する具体的な定めはなく,無期パート雇用契約書が「労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約」(労組法16条)であるとも言えない。 (3) 争点3(無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるか)について(原告らの主張) 無期パート雇用契約書に基づく意思表示が無効であること,契約社員就業規則が原告らに適用されないことは,争点2(原告らの主張)のとおりであり,労契法18条1項第2文の「別段の定め」として残るのは正社員就業規則(4条2項を除く。)のみである。 (被告の主張)ア被告において,契約社員就業規則と正社員就業規則は,別個独立のものとして区分されており,原告らには, 別段の定め」として残るのは正社員就業規則(4条2項を除く。)のみである。 (被告の主張)ア被告において,契約社員就業規則と正社員就業規則は,別個独立のものとして区分されており,原告らには,無期転換する前まで,契約社員就業規則が適用されてきた。 契約社員就業規則には,無期転換後の原告らがその適用対象であること,正社員となるには被告との間で登用の合意が必要であることが明確にされており,正社員就業規則に,無期転換後の原告らを正社員として取り扱う旨の規定はない。 したがって,無期転換後の原告らの労働条件について,正社員就業規則を労契法18条1項第2文の「別段の定め」とみる余地はない。 イ原告らは,原告らに契約社員就業規則を適用することは合意原則(労契法1条,3条1項,6条)に違反する旨主張するが,原告らと被告との間で契約社員就業規則を適用する合意があることは,争点2(被告の主張)のとおりであり,契約社員就業規則を原告らに適用する方が合意原則に合致している。 ウ原告らは,原告らに契約社員就業規則を適用することは均衡考慮の原則(労契法3条2項)及び信義則(労契法4条)に違反し,労契法7条の合理性の要件を満たさない旨主張するが,かかる原告らの主張は,前訴最判で退けられた主張と実質的に同じであり,失当である。 エ原告らは,無期契約社員規定の追加について,実質的に労働条件の不利益変更に当たり,労契法10条の類推適用により無効である旨主張するが,無期契約社員規定は,労契法18条1項を確認的,注意的に定めたにすぎ ず,就業規則の不利益変更に当たらない。 仮に,無期契約社員規定の追加が就業規則の不利益変更に当たるとしても,争点2(被告の主張)のとおり,原告らは無期契約社員規定が追加された契約社員就業規則が適用されることを明示 益変更に当たらない。 仮に,無期契約社員規定の追加が就業規則の不利益変更に当たるとしても,争点2(被告の主張)のとおり,原告らは無期契約社員規定が追加された契約社員就業規則が適用されることを明示的に承諾した。 また,無期契約社員規定の追加が就業規則の不利益変更に当たり,原告らがこれに反対していたとしても,無期契約社員規定は,労働者の既得権を奪うものでも,労働条件そのものを切り下げるものでもなく,労働者の不利益はないに等しい上,かかる変更は,労契法18条に基づく無期転換を見越した必要かつ相当なものであり,組合とも交渉し,従業員に周知しているから,合理的な就業規則の変更に当たり,労契法10条により原告らにも適用される。 (4) 争点4(原告らについて正社員就業規則が適用される場合,正社員との賃金差額)について(原告らの主張)平成30年10月分の原告らと同等の正社員(以下「正社員A」という。)の基本賃金及び手当は,別紙記載のとおりであり,その合計額は32万0500円である。 正社員Aに対応する原告甲の平成30年10月分の基礎賃金及び手当は,別紙記載のとおりであり,その合計額は22万9488円である。これは正社員Aの71.60%であり,その差額は9万1012円である。 正社員Aに対応する原告乙の平成30年10月分の基礎賃金及び手当は,別紙記載のとおりであり,その合計額は22万6968円である。これは正社員Aの70.81%であり,その差額は9万3532円である。 原告らに正社員就業規則が適用される場合,基本賃金及び各手当は,別紙の正社員Aと同一であるから,平成30年10月分につき,原告らと正社員Aとの上記賃金差額が未払賃金額となる。 (被告の主張)不知又は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1( の正社員Aと同一であるから,平成30年10月分につき,原告らと正社員Aとの上記賃金差額が未払賃金額となる。 (被告の主張)不知又は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本案前の答弁)について前提事実,弁論の全趣旨及び当裁判所に顕著な事実によれば,前訴は,原告甲と被告との間で,有期の契約社員と正社員との労働条件の相違が労契法20条に違反する場合,当該有期の契約社員の労働条件が正社員の労働条件と同一のものとなるかが争われた事案であるのに対し,本件訴訟は,原告らと被告との間で,労契法18条に基づく無期転換後の無期契約社員の労働条件が正社員の労働条件と同一のものとなるかが争われた事案であることが認められる。 そうすると,本件訴訟は,前訴と争点を異にするものであるから,本件訴訟における原告らの主張に前訴における原告甲の主張と類似の趣旨のものがあったとしても,本件訴訟が前訴における紛争の実質的な蒸し返しに当たるということはできない。 したがって,原告らの訴えの却下を求める被告の主張は採用できない。 2 争点2(無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則による旨の合意の有無)について(1) 認定事実前提事実及び証拠(甲3,4,6~13,乙1,2,4)によれば,以下の事実が認められる。 ア原告らと被告の有期労働契約原告甲は,平成20年10月,原告乙は,平成22年9月,それぞれ被告と有期労働契約を締結し,以後更新を重ねた。最終の更新による契約期間の満了日は,平成30年9月30日であった(甲4)。 イ原告らの組合加入原告らは,平成23年以降,本件組合に加入し,本件組合を通じて,被 告に対し,正社員にすることを要求した(甲6)。 その過程において,本件組合と被告彦根支店長は,平成24年 の組合加入原告らは,平成23年以降,本件組合に加入し,本件組合を通じて,被 告に対し,正社員にすることを要求した(甲6)。 その過程において,本件組合と被告彦根支店長は,平成24年7月13日,原告甲について,入社時の面接の際に「原告甲は当初から社員ドライバーを希望しており,社員ドライバーでなければ入社しないこと,また,手取給与が月額約30万円以上であることをも入社の条件としていたところ,当時面接した被告彦根支店長がいずれも了解したことから,原告甲は入社することになった。ただ,その際,支店長によれば,社員ドライバーにすることは約束するが,直ぐにというわけにはいかず,約半年から1年間程度は待って欲しいとのことであった。」とのやりとりがあったことを確認した。また,被告彦根支店長は,同日,本件組合に対し,社員登用ができなかった理由について,「平成21年以降客先の業績悪化により当社支店の損益も悪化したため,パートドライバーの採用は実施したが,社員登用は行えない状況となった」旨を報告した(甲8)。 ウ被告と本件組合の協定等(ア) 被告と本件組合は,平成24年1月20日,団体交渉により合意をみた下記の内容について双方誠実に履行することを確約する旨の協定書を作成した(甲7①)。 記 1 被告は,組合員に影響を与える問題(身分・賃金・労働条件等)について,事前に本件組合と協議を行い,合意を得られるよう努める。 (2ないし4につき,略)(イ) 被告と本件組合は,平成28年2月10日,中労委平成27年(不再)第18号事件に関し,中央労働委員会からの和解勧告を受諾し,下記の和解をした(甲7②)。 記 3 被告と本件組合は,(・・・中略・・・),組合員に影響を与える問題(身分・賃金・労働条件等)について, ,中央労働委員会からの和解勧告を受諾し,下記の和解をした(甲7②)。 記 3 被告と本件組合は,(・・・中略・・・),組合員に影響を与える問題(身分・賃金・労働条件等)について,事前に協議を行い,でき得る限り合意に至るよう努める。 (1,2及び4につき,略)エ契約社員就業規則の改定(ア) 被告は,平成25年4月1日から施行された労契法18条により平成30年4月1日には無期転換申込権の行使が可能となる有期の契約社員が現れること等を踏まえ,契約社員就業規則に無期契約社員規定を追加する等の改定を行うことを予定し,平成29年9月8日,本件組合に対し,同改定について通知した(甲3,乙2)。 (イ) 被告の労働者代表は,平成29年9月26日,被告に対し,上記契約社員就業規則の変更について異議がない旨の意見を述べた(乙4)。 (ウ) 被告は,平成29年10月1日付けで,契約社員就業規則に無期契約社員規定を追加する等の改定を行った。 オ団体交渉等(ア) 被告と本件組合は,平成29年9月13日,団体交渉を行い,契約社員就業規則の変更について協議するとともに,変更内容の説明のため事務折衝の場を設けることとした。 (イ) 被告と本件組合は,平成29年9月19日以降,事務折衝を重ねたが,契約社員就業規則の変更について,本件組合の了解を得るに至らないまま,被告は前記エ(ウ)のとおり契約社員就業規則を改定した。 (ウ) 本件組合は,平成29年10月22日,被告に対し,変更後の契約社員就業規則について本件組合と真摯に協議し,合意形成ないし撤回を求める旨の抗議申入書を提出した。 (以上,甲9,弁論の全趣旨)カ無期転換のみなし合意 原告らは,平成30年4月1日,被告に対し,労契法18条1項に基づき,有期労働 いし撤回を求める旨の抗議申入書を提出した。 (以上,甲9,弁論の全趣旨)カ無期転換のみなし合意 原告らは,平成30年4月1日,被告に対し,労契法18条1項に基づき,有期労働契約の契約期間満了日の翌日である同年10月1日を始期とする無期労働契約の締結を申し込み,被告は,同条項に基づき,これを承諾したものとみなされた。 キ前訴最判最高裁判所は,平成30年6月1日,前訴について,被告における有期の契約社員と正社員との無事故手当,作業手当,給食手当及び通勤手当の支給の相違は労契法20条に違反し不法行為を構成するとして原審の判断を是認し,皆勤手当の支給の相違は同条に違反するものの支給要件の充足について審理を尽くさせるため原審に差し戻す旨の前訴最判を言い渡した。 ク団体交渉等(ア) 本件組合は,平成30年6月12日,被告に対し,前訴最判を受けて,労契法20条に基づき有期の契約社員と正社員との労働条件の格差について全従業員を対象に是正すること,原告らを正社員として今後正社員と同じ手当を支払うこと,契約社員就業規則の変更部分について不利益変更を認め直ちに改善すること等を要求事項として,団体交渉を申し入れた(甲10)。 (イ) 被告と本件組合は,平成30年9月21日,団体交渉を行った。 その際,本件組合は,前訴最判が不合理と判断した部分について手当としての支給を求めるとともに,無期転換後の無期契約社員は正社員となり,正社員就業規則が適用されるとの意見を述べ,被告は,前訴最判が不合理と判断した部分については損害賠償として支払う旨,無期転換後の無期契約社員が正社員になるとは考えておらず,正社員就業規則が適用されるとは考えていない旨を回答した。(甲11)(ウ) 本件組合は,平成30年10月22日,被告に対し,同月1 払う旨,無期転換後の無期契約社員が正社員になるとは考えておらず,正社員就業規則が適用されるとは考えていない旨を回答した。(甲11)(ウ) 本件組合は,平成30年10月22日,被告に対し,同月1日をもって無期契約社員となった原告らには正社員就業規則が適用され,こ れに反する契約社員就業規則の変更は不利益変更に当たる等と述べ,これに反する被告の姿勢を正すよう求める抗議申入書を提出した(甲12)。 (エ) 被告と本件組合は,平成30年10月26日,団体交渉を行った。 その際,本件組合は,無期転換後の無期契約社員を正社員として,正社員就業規則を適用することを求め,被告は,「やっぱり正社員っていうのは出来ない。」と述べ,無期転換後の無期契約社員を正社員にすることはできない旨回答した。(甲13)ケ無期転換原告らは,平成30年10月1日をもって無期契約社員となった。 原告らと被告は,無期パート雇用契約書を同年11月2日付けで交わした。同契約書には,雇用期間と基本給の額を除いて有期の契約社員当時と同じ労働条件が記載されており,その他の労働条件については契約社員就業規則による旨の記載がある(乙1)。 (2) 争点2に関する判断ア原告らは,遅くとも平成30年10月26日の団体交渉時までに,無期転換後の無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則のうち無期契約社員規定が無効となる場合には無期転換後の原告らに正社員就業規則が適用されることについて,被告との間で黙示の合意があった旨主張する。 しかし,前記認定事実((1)ク)のとおり,被告は,一貫して,無期転換後の無期契約社員が正社員になるとは考えておらず,正社員就業規則が適用されるものではない旨回答しているのであって,無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則の無期契約社員規定が は,一貫して,無期転換後の無期契約社員が正社員になるとは考えておらず,正社員就業規則が適用されるものではない旨回答しているのであって,無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則の無期契約社員規定が無効となる場合には正社員就業規則が適用されるといった原告らの考えを被告が了解したと認めるに足る事情は何ら存在しない。 イかえって,原告らは,被告の回答が上記のとおりであることを認識した 上で,無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨が明記された無期パート雇用契約書(乙1)に署名押印して被告に提出しており,原告らと被告との間には,無期転換後も契約社員就業規則が適用されることについて明示の合意があるというべきである。 この点,原告らは,上記雇用契約書のうち契約社員就業規則が適用されるという部分について,原告らには形式的なものと誤信した錯誤があるから無効であり,また本件組合との合意(甲7)に反するから労組法16条により無効であると主張する。 しかし,原告らは,団体交渉を通じて,被告が無期転換後の原告らに契約社員就業規則が適用されると考えていることを十分認識していたと解されるのみならず,上記雇用契約書が,無期転換後の労働条件について被告の上記考えを反映したものであることは文言上明らかであって,これを形式的なものと誤信して署名押印したとの原告らの主張は採用し難い(なお,原告らの主張を心裡留保による無効をいう趣旨と解しても,原告らの主張を採用し難いことに変わりはない。)。 また,前記認定事実によれば,被告と本件組合との合意(甲7)は,原告らの労働条件やその待遇に関する基準を定めたものではないことは明らかであるから,上記雇用契約書について労組法16条違反をいう原告らの主張も採用の限りでない。 ウ以上によれば,無期転換後の労働条 告らの労働条件やその待遇に関する基準を定めたものではないことは明らかであるから,上記雇用契約書について労組法16条違反をいう原告らの主張も採用の限りでない。 ウ以上によれば,無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則による旨の合意があったとする原告らの主張は採用できない。 3 争点3(無期転換後の労働条件に関し,正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるか)について(1) 原告は,無期転換後の無期パート雇用契約書に基づく意思表示及び無期契約社員規定を追加した契約社員就業規則は無効であるから,残る正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たる旨主張する。 アしかし,上記雇用契約書に基づく意思表示が無効でないことは,争点2で認定・説示したとおりである。 イ次に,契約社員就業規則について,原告らは,これを無期転換後の原告らに適用することは合意原則(労契法1条,3条1項,6条)に違反する旨主張する。 しかし,無期転換後に契約社員就業規則が適用されることについて合意があったと認められることは,争点2で認定・説示したとおりであり,原告らの上記主張は採用できない。 ウまた,原告らは,無期転換後の原告らに契約社員就業規則を適用することは,正社員より明らかに不利な労働条件を設定するものとして,均衡考慮の原則(労契法3条2項)及び信義則(同条4項)に違反し,合理性の要件(同法7条)を欠く旨主張する。 しかし,証拠(甲2~4)及び当裁判所に顕著な前訴最判によれば,被告において,有期の契約社員と正社員とで職務の内容に違いはないものの,職務の内容及び配置の変更の範囲に関しては,正社員は,出向を含む全国規模の広域異動の可能性があるほか,等級役職制度が設けられており,職務遂行能力に見合う等 と正社員とで職務の内容に違いはないものの,職務の内容及び配置の変更の範囲に関しては,正社員は,出向を含む全国規模の広域異動の可能性があるほか,等級役職制度が設けられており,職務遂行能力に見合う等級役職への格付けを通じて,将来,被告の中核を担う人材として登用される可能性があるのに対し,有期の契約社員は,就業場所の変更や出向は予定されておらず,将来,そのような人材として登用されることも予定されていないという違いがあることが認められる。 そして,証拠(甲4,乙1)によれば,無期転換の前と後で原告らの勤務場所や賃金の定めについて変わるところはないことが認められ,他方で本件全証拠によっても,被告が無期転換後の原告らに正社員と同様の就業場所の変更や出向及び人材登用を予定していると認めるに足りない。 したがって,無期転換後の原告らと正社員との間にも,職務の内容及び配置の変更の範囲に関し,有期の契約社員と正社員との間と同様の違いが あるということができる。 そして,無期転換後の原告らと正社員との労働条件の相違も,両者の職務の内容及び配置の変更の範囲等の就業の実態に応じた均衡が保たれている限り,労契法7条の合理性の要件を満たしているということができる。 この点,原告らは,無期転換後の原告らと正社員との間に職務内容及び配置の変更の範囲等の就業の実態に関して違いがないことを前提に,無期転換後の原告らに契約社員就業規則を適用することの違法をいうが,前提を異にするものとして採用できない。 なお,無期転換後の原告らと正社員との労働条件の相違が両者の就業実態と均衡を欠き労契法3条2項,4項,7条に違反すると解された場合であっても,契約社員就業規則の上記各条項に違反する部分が原告らに適用されないというにすぎず,原告らに正社員就業規則が適用されること 態と均衡を欠き労契法3条2項,4項,7条に違反すると解された場合であっても,契約社員就業規則の上記各条項に違反する部分が原告らに適用されないというにすぎず,原告らに正社員就業規則が適用されることになると解することはできない。すなわち,上記部分の契約解釈として正社員就業規則が参照されることがありうるとしても,上記各条項の文言及び被告において正社員就業規則と契約社員就業規則が別個独立のものとして作成されていることを踏まえると,上記各条項の効力として,原告らに正社員就業規則が適用されることになると解することはできない。 エさらに,原告らは,無期契約社員規定の追加により無期転換後の原告らに契約社員就業規則を適用することは,無期転換後は正社員としての地位を得るとの原告らの合理的期待を侵害し,労働条件の実質的な不利益変更に当たるから,労契法10条の類推適用(なお,無期契約社員規定は,原告らの無期転換前から実施されている。)により無効である旨主張する。 しかしながら,そもそも労契法18条は,期間の定めのある労働契約を締結している労働者の雇用の安定化を図るべく,無期転換により契約期間の定めをなくすことができる旨を定めたものであって,無期転換後の契約内容を正社員と同一にすることを当然に想定したものではない。 そして,無期契約社員規定は,労契法18条1項第2文と同旨のことを定めたにすぎず,無期転換後の原告らに転換前と同じく契約社員就業規則が適用されることによって,無期転換の前後を通じて期間の定めを除き原告らの労働条件に変わりはないから,無期契約社員規定の追加は何ら不利益変更に当たらない。 なお,原告らは,原告甲については採用の際に半年か1年後に正社員にするとの約束を被告から取り付けており,無期契約社員規定の追加はかかる合理的期待を 約社員規定の追加は何ら不利益変更に当たらない。 なお,原告らは,原告甲については採用の際に半年か1年後に正社員にするとの約束を被告から取り付けており,無期契約社員規定の追加はかかる合理的期待を侵害するとも主張する。 確かに,原告甲の採用時に正社員として採用されることを望む同人に対して,被告彦根支店長が社員ドライバーにすることは約束するが,直ぐにというわけにはいかず,約半年から1年間程度は待って欲しい旨の発言をしたことは前記2(1)イで認定したとおりである。 しかし,証拠(甲4①)及び弁論の全趣旨によれば,その後に取り交わされた雇用契約書には,半年ないし1年後に正社員として登用する旨の記載はなく,約10年間にわたり,有期の契約社員として契約の更新が繰り返されてきたことが認められる。 そうすると,採用時の上記やりとりは,契約社員就業規則に,有期の契約社員のうち,特に勤務成績が良好な者は選考の上,正社員に登用することがあると規定されていることを踏まえて,原告甲についても,将来正社員として登用される可能性があることを説明したにすぎないと解するのが相当であり,採用時の上記やりとりをもって原告甲に正社員となることについての合理的期待があったとまではいえない。 よって,無期契約社員規定の追加が労働条件の実質的な不利益変更に当たるとの原告らの主張は採用できない。 (2) 以上のとおり,正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるとの原告らの主張は,いずれも理由がない。 4 結論以上によれば,争点4について判断するまでもなく,原告らの本件請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中山 主文 でもなく,原告らの本件請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中山誠一 裁判官上田賀代 裁判官松本武人 別紙・・・訴状添付の労働条件比較表(省略)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る