昭和28(ツ)41 土地所有権移転登記手続請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年9月9日 東京高等裁判所 破棄差戻
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破毀する。      本件を長野地方裁判所に差戻す。          事    実  上告代理人は「主文第一項同旨及び訴訟費用は被上告人の負担とする。」旨の判 決を求

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判決文本文3,685 文字)

主文 原判決を破毀する。 本件を長野地方裁判所に差戻す。 事実 上告代理人は「主文第一項同旨及び訴訟費用は被上告人の負担とする。」旨の判決を求め、被上告代理人は本件上告を棄却するとの判決を求めた。 上告代理人は、上告の理由として、別紙添付記載の理由のとおり主張した。なお、山形園松上告代理人は昭和二十九年三月一目附の上告理由書を同日当裁判所に提出したが、右書面は本件についての上告理由提出期間の昭和二十八年九月二十六日を経過した後に提出されたものであるから、不適法なものとして、これについては判断をしない。 上告代理人渡辺万作、高野寛治の上告理由第一点ないし第十点に対する判断。 原判決は、本件不動産についての上告人と被上告人との間の昭和十一年六月一日の契約書である甲第一号証と乙第二号証がその標題に、「不動産買戻契約書」にあることと、その措辞用語が民法所定の買戻契約の規定によつていることを認定して特別の事情のない限り再売買の予約ではなく、買戻契約と認めるを相当とすると説明している。契約について証書を作成した場合には、その証書を重視して当事者の意思を確定すべきことは原判決の認定しているとおりであるが、その解釈にあたつては、文字のみにとらわれることなく、契約書の全部の趣旨を合理的に解釈し、なるべく有効に解釈すべきであつて、このように解釈するについて、契約当事者はもちろんその関係者の供述その他関係書類等を参酌する必要のあることはもちろんである。本作契約書は標題その他の項目が印刷されている用紙が用いられていて、当事者の氏名、金額等が書きこまれていることは、原判決の認定しているところである。一たん売渡した不動産を再び買主から売主に戻す方法は買戻契約が唯一の方法ではなく、再売買の予約という方法もある いて、当事者の氏名、金額等が書きこまれていることは、原判決の認定しているところである。一たん売渡した不動産を再び買主から売主に戻す方法は買戻契約が唯一の方法ではなく、再売買の予約という方法もある。又「買戻」という語が再売買の予約という意味に用いられることのあることも、原判決の判示しているとおりである。従つて本件契約の当事者の意思が、いずれの契約による意思であつたかについては、周到にいろいろの事情を斟酌して認定すべきであつて、原判決の判示しているように、本件契約の趣旨は、特別の事情のない限り、その文面どおり契約がなされたとして買戻契約なりと、一がいに推定することはできない。 <要旨>法律的にみれば、右二つの契約の主な相違点は買戻が不動産売買契約の解除権の留保を内容とする契約であ</要旨>るのに対し、再売買の予約が買主から売主に売買の目的物を更に売渡すことを内容とする売買一方の予約であるという点において性質上の差異が存することはいうまでもないが、そのほかに左記の四つの点である。すなわち、(一)買戻の特約は不動産の売買契約と同時になされることを要するが、再売買の予約は必ずしも同時になす必要がない。(二)買戻の特約は、特約のない限り、不動産の果実と利息とは相殺され、売買代金と契約の費用で買戻しできるのであり、再売買の予約については別にこのようなことはなく、代金は当事者が任意に定め得るが、売買契約当時になされれば、売買代金が一応の標準になることも考へられる。(三)買戻契約は期間は長期十年と限定せられ、右期間を超へた契約期間は十年に短縮されるが、再売買の予約については、このような期間についての定はない。(四)買戻契約は売買契約と同時に登記ができ、登記をすれば第三者に対抗できるが、再売買の予約については、このような登記方法は認められていない。殊 の予約については、このような期間についての定はない。(四)買戻契約は売買契約と同時に登記ができ、登記をすれば第三者に対抗できるが、再売買の予約については、このような登記方法は認められていない。殊に買戻について、売買契約と同時に買戻の登記をしたときは(売買による所有権移転登記と同時に買戻の登記をしたときは)、買戻を以て第三者にも対抗できるとしたことが、民法が不動産の売買について買戻という制度を法定した主要な点であつて、以上(一)ないし(三)の差異が存する理由もその一半はこの点に関係を有するのである。されば或る契約が買戻できるか再売買の予約であるかを判別するについては、右のような登記の存否ということが相当主要な判断の資料となることはいうまでもない。本件の契約についてみるに、契約書の標題には「不動産買戻契約書」とあり、期間は昭和十一年から十五ケ年、買戻代金は売買代金の金三百円とし、それとともに、「本件不動産の収益と代金の利息とは相殺し、いずれからも請求しないが、本件は山林につき年五分の利息を加算する。」と記載されている。又原判決の認定によれば司法書士に証書の作成を依頼するには、通常契約当事者間で取引をなしてから、双方司法書士のところに出向いて依頼するものであることを前提として、当初の売買契約書と本件の契約書を作成した司法書士の事件番号の同一なること等を以て、右両契約が同時に締結せられたと認定している。しかしながら、司法書士に依頼して証書を作成する場合は、証書作成以前に当事者間に交渉がなされて大体話がきまつた後に、当事者双方が司法書士のところに頼みにいく場合の多いことは認められるが、その場合にしても、当事者間において、契約が確定的に成立するのは、多くは司法書士のところで契約書を作成したときであると解するのが相当である。両証書の事件簿番号が同 いく場合の多いことは認められるが、その場合にしても、当事者間において、契約が確定的に成立するのは、多くは司法書士のところで契約書を作成したときであると解するのが相当である。両証書の事件簿番号が同一であることは原審認定のとおりであるが、乙第五号の二である司法書士Aの事件簿の昭和十一年六月一日欄の記載によれば、上告人主張のように、証書一通、その紙数一枚半書記料一八と記載されてあるのみで、二通の書類の作成の記載はなく、右一通は枚数を計算すれば、売買契約書(乙第三号証)であつて、本件の契約書(甲第一号証、乙第二号証)でないことを認められる。第二審証人Aの関連事件については、同時に依頼されなくても同一番号をつける旨の証言と照し合わせれば、事件番号が同一であることから直ちに両証書の作成が同時であるとの推測はできにくい。代金額の異ることについては、原審は被控訴本人(上告人)の尋問の結果によつて、本件土地は山林で、農地等とは異り収益がないから特に年五分の利息を付することにしたと認定しているが、上段説明のように、本件契約書の文言によれば、「本件不動産の収益と代金の利息とは相殺し、いずれからも請求しないが、本件は山林につき年五分の利息を加算する」と記載されているところと、山林といつても必ずしも収益が皆無ではないことを考へると、当事者の趣旨は、年五分の利息を加算することを重視しており、必ずしも買戻契約の趣旨でなかつたのかも解らない。又期間の十五年についても、原判決は上告人主張のように別段の説明はなく、民法第五八〇条第一項を適用して十年になると説明しているが、当事者が右民法の規定の存在することを知りつつ特に、必要上十五年と期間を約したのか(第一、二審の上告人の本人尋問の結果及び第二審の証人Aの証言参照)、或は十五年の期間の点には、特に重きをおかず、買戻の 者が右民法の規定の存在することを知りつつ特に、必要上十五年と期間を約したのか(第一、二審の上告人の本人尋問の結果及び第二審の証人Aの証言参照)、或は十五年の期間の点には、特に重きをおかず、買戻のみに重きをおいて契約したのかの点について、別に判示するところがない。又買戻の特約については売買による所有権移転登記と同時に容易に登記し得るものなのに、特に本件の場合に所有権移転登記をしながら買戻の登記をしなかつた点についても、原判決はなにも判示していない。しかしながら、本件契約のように、いずれの趣旨なのか必ずしも明かでない場合には、これらの点をも明にすることが、本件契約が、買戻契約であるのか或いは再売買の予約であつたかを定めるについては必要なのである。 以上説明したとおりであるから、原判決はまだ審理を十分に尽くさず、理由を十分に附したことにならないから、本件上告を理由ありと認め、民事訴訟法第四〇七条第一項によつて原判決を破毀し、本件を長野地方裁判所に差戻すべきものとす。 なお、上告人は訴訟の総費用についての裁判を求めているが、原判決を破毀する場合の訴訟費用の裁判は、同法第九六条によつて差戻された裁判所において、事件を完結する裁判でなすべきものであつて、当審の差戻判決でなすべきものではない。 よつて主文のように判決する。 (裁判長判事柳川昌勝判事村松俊夫判事中村匡三)

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