判決平成14年10月31日神戸地方裁判所平成14年(わ)第619号強制わいせつ被告事件 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成14年5月23日午後5時36分ころから同日午後5時49分ころまでの間,兵庫県尼崎市潮江1丁目1番1号所在の西日本旅客鉄道株式会社尼崎駅から神戸市中央区布引町4丁目1番1号所在の三ノ宮駅間を走行中の近江今津駅発姫路行新快速電車の先頭車両内において,乗客のV(当時12歳)に対し,右手を同女のシャツの中に入れて乳首を弄び,さらに同女のズボンのチャックを下ろして右手をパンツ内に差し入れて陰部を弄ぶなどし,もって,強いてわいせつな行為をしたものである。 (証拠の標目)省略(事実認定の補足説明) 1 弁護人は,被告人は,被害者と同じ電車には乗っていたが,被害者に対し,判示のわいせつ行為をしたことはないから,被告人は無罪である旨主張し,被告人も,捜査段階及び当公判廷において,これに沿う供述をするので,以下,この点について補足説明する。 2 本件の被害者であるVは,公判準備期日において,電車内で判示のわいせつ行為を受けた状況等について証言しているが,この証言(以下「V証言」という。)は,具体的・詳細であって,その内容に格別不自然・不合理な点はない上,被告人と面識がなかったVが虚偽の証言までして被告人を罪に陥れなければならない理由もなく,さらに,V証言中,Vが被告人を犯人であると認識した点については,①犯人はVの身体の右側から手を 点はない上,被告人と面識がなかったVが虚偽の証言までして被告人を罪に陥れなければならない理由もなく,さらに,V証言中,Vが被告人を犯人であると認識した点については,①犯人はVの身体の右側から手をまわして右手で判示のわいせつ行為を行っているところ,Vと同方向を向いてVの後ろに立っていたのが被告人であること(なお,V及び被告人の右側はドアであるため,そこに犯人がいる可能性はない。),②Vは被害に遭っている際犯人の右手とともに水色の袖を見ているところ,被告人が当時水色の長袖Tシャツを着ていたこと,③Vの左側にいた乗客が,Vが被害に遭っていることに気付いて被告人をとがめ,被告人はこの乗客によって捕まえられたのであり,Vとこの乗客が同時に犯人の取り違えをするとは考えがたいことなどによって裏付けられていることからして十分信用することができるものであり,このV証言を含む関係証拠を総合すると,本件の事実はこれを優に認めることができる。被告人の捜査段階及び当公判廷における供述中,この認定に抵触する部分は,V証言を含む関係証拠と対比して信用することができない。 よって,弁護人の主張は採用することができない。 (法令の適用) 1 罰条刑法176条 2 執行猶予刑法25条1項 3 訴訟費用の負担刑訴法181条1項本文(量刑の理由)本件は,被告人が,走行中の電車内において,女子中学生に対し,判示のとおりのわいせつ行為をした,という強制わいせつの事案である。この犯行の罪質,動機,態様,結果及び被告人の前科関係等,殊に,被告人は,自己の性的欲求を満たすために本件犯行に及んだものと考えられるのであって,この犯行の動機・経緯に何ら酌むべき事情が認められないこと,その態様も,被害者が十分な抵抗ができないでいることをいいことに執拗にわいせつ行 を満たすために本件犯行に及んだものと考えられるのであって,この犯行の動機・経緯に何ら酌むべき事情が認められないこと,その態様も,被害者が十分な抵抗ができないでいることをいいことに執拗にわいせつ行為を続けたものであって,相当卑劣かつ悪質な犯行であること,そして,被害者は被告人と同じ電車にたまたま乗り合わせて本件被害に遭ったもので,同女には何ら落ち度がない上,同女が被った身体的・精神的苦痛には大きなものがあること,しかるに,被告人は,本件犯行を一貫して否認しており,反省の態度が全くみられないこと,以上を併せ考えると,本件の犯情は悪く,被告人を実刑に処すことも考えられなくはない。 しかしながら,他方,被告人には禁錮刑以上の刑に処せられた前科はなく,これまで被告人なりに通常の社会生活を送ってきたものとみられること,正式裁判を受けるのは今回が初めてである上,勾留期間がすでに5か月以上にわたっていること,その他記録上認められる被告人のために酌むべき諸事情を十分考慮すると,今回は被告人を直ちに服役させるのではなく,被告人に対し,最長期の猶予期間を付した上で,社会内において更生の機会を与えるのを相当と思料した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役2年6月)平成14年10月31日神戸地方裁判所第14刑事係乙裁判官浦島高広
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