令和6(ネ)2421 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年11月27日 東京高等裁判所 その他 東京地方裁判所 令和3(ワ)3374
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判決文本文22,551 文字)

主文 1 一審被告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。 2(1) 一審被告は、一審原告A1に対し、1333万4323円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 一審被告は、一審原告A2に対し、1333万4323円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 一審原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 一審原告らの控訴をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを10分し、その7を一審原告らの負担とし、その余を一審被告の負担とする。 5 この判決は、第2項(1)及び(2)に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者が求めた裁判 1 一審被告の控訴(1) 原判決中、一審被告敗訴部分を取り消す。 (2) 上記の取消し部分に係る一審原告らの請求をいずれも棄却する。 2 一審原告らの控訴(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 一審被告は、一審原告A1に対し、4672万4015円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 一審被告は、一審原告A2に対し、4672万4015円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、一審原告らが、一審原告らの子(生後9か月)が就寝中に転落防止用のベッドガード(以下「本件ベッドガード」という。)とベッドマットの間に挟まる事故(以下「本件事故」という。)により死亡したのは、本件ベッドガードに設計上及び指示・警 後9か月)が就寝中に転落防止用のベッドガード(以下「本件ベッドガード」という。)とベッドマットの間に挟まる事故(以下「本件事故」という。)により死亡したのは、本件ベッドガードに設計上及び指示・警告上の欠陥(製造物責任法2条2項)に起因する旨主張して、本件ベッドガードを輸入販売していた一審被告に対し、同法3条の損害賠償請求権に基づき、それぞれ4672万4015円及びこれらに対する本件事故の発生日である平成29年8月8日から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案である。 原審は、本件ベッドガードには指示・警告上の欠陥があり、同欠陥と死亡との間に相当因果関係が認められるとして、一審原告らの請求につき、一審被告に対してそれぞれ1788万8052円及びこれらに対する上記と同様の遅延損害金の各支払を求める限度で認容したところ、一審原告ら及び一審被告が各敗訴部分を不服としてそれぞれ控訴した。 2 前提事実、争点及びこれに関する当事者の主張前提事実、争点及びこれに関する当事者の主張は、当審における当事者双方の主張も踏まえて原判決を次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決2頁26行目から同3頁1行目までを次のとおり改める。 「ア一審原告らは、亡B(平成28年10月17日生。本件事故当時0歳9か月。以下「B」という。)の両親である。一審原告らは、本件事故当時、長女であるC(平成▲年▲月▲日生。以下「長女」という。)とBの4人で暮らしていた。」 ⑵ 原判決3頁4行目の「ベッドガード」を「本件ベッドガード」に、同頁10行目の「 事故当時、長女であるC(平成▲年▲月▲日生。以下「長女」という。)とBの4人で暮らしていた。」 ⑵ 原判決3頁4行目の「ベッドガード」を「本件ベッドガード」に、同頁10行目の「以下「本件ベッドガード」という。」を「本件ベッドガード」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決3頁12行目から23行目までを次のとおり改める。 「イ一審原告らによる本件ベッドガードの購入・設置(甲7、9、弁論の全趣旨)一審原告らは、平成29年7月末頃、インターネットオークションを利用して本件ベッドガード(新古品)を購入し、同年8月2日、一審原告らの寝室のベッドに設置した。 ウ本件事故の発生等(甲9、22、25の5、26の2)一審原告A1は、平成29年8月8日午後6時40分頃、Bが本件ベッドガードとベッドマット(以下「本件ベッドマット」という。)の間に体幹を挟むように転落しているのを発見し、すぐに抱き上げたものの、Bは呼吸をしていない状況であった。 Bは、直ちに病院に搬送されたが、同日午後8時5分頃、死亡が確認された。なお、検視の結果、Bの死因は不詳とされたが、Bの司法解剖を担当したD医師(以下「D医師」という。)は、α警察署長宛ての解剖結果報告書の中で、「本屍の死因は確定困難であるものの、マットレスとベッドガードの間に挟まっていたということが事実であれば胸郭運動制限による窒息の可能性が高いと推定される」と報告した。」⑷ 原判決4頁10行目の「本件ベッドガード」から同頁12行目末尾までを次のとおり改める。 「本件ベッドガードの形状等は、別紙1の「完成図と各部の名称」のとおりであり、本件ベッドガードをベッドに取り付けた状況は、別紙2の「使用方法」のとおりである(甲8)。」 ⑸ 原判 「本件ベッドガードの形状等は、別紙1の「完成図と各部の名称」のとおりであり、本件ベッドガードをベッドに取り付けた状況は、別紙2の「使用方法」のとおりである(甲8)。」 ⑸ 原判決4頁23行目から同5頁1行目までを次のとおり改める。 「(ア) 取扱説明書(甲8、乙6)本件ベッドガードの取扱説明書(以下、単に「取扱説明書」という。)の冒頭部分には、別紙1のとおり、「使用する前に必ず説明書をお読み下さい。読んだ後は大切に保管して下さい。」と表示されていた。 また、赤枠に警告マークが付された「使用上の注意」の見出しの下には、「取扱説明書通りに組立てや使用を行って下さい。」、「生後18ヶ月から5歳くらいまでのお子様に使用して下さい。」、「絶対に乳幼児用として使用しないで下さい。」などと表示されていた。 さらに、取扱説明書の「使用方法」の見出しの下には、別紙2のとおり、本体(ベッドガード)、マットレス(ベットマット)、ベッド及びセーフティベルトの位置関係を示すイラストがあり、同イラストの下には、「図のように本体をマットレスとベッドの間にはさみ、反対側からセーフティベルトを出して下さい。」と表示されていた。また、プレートと調節ベルトの調整方法を示すイラストの下には、「①セーフティベルトのプレートを押さえながら、調節ベルトを引っ張り、長さを調節して下さい。②セーフティベルトのプレートを押さえながら、固定ベルトを引っ張り、固定して下さい。」という説明文に加えて、赤字で、「※必ずセーフティベルトが固定されていることを確認して下さい。」と表示されていた。」⑹ 原判決5頁20行目から24行目までを次のとおり改める。 「ア BS規格(甲17、乙4、弁論の全趣旨)(ア 定されていることを確認して下さい。」と表示されていた。」⑹ 原判決5頁20行目から24行目までを次のとおり改める。 「ア BS規格(甲17、乙4、弁論の全趣旨)(ア) 制定及び改訂家庭で使用される子供用ベッドガードの安全基準を示すものとしては英国規格(以下「BS規格」という。)が広く知られている。 なお、日本における製品の安全性に関する規格としてはJIS規格があるが、JIS規格には家庭で使用する子供用ベッドガードの安全性に関するものはない。 BS規格は、平成13年9月24日に制定され、平成21年に一部改訂された。 一審被告は、試験結果報告書(乙3)を書証として提出し、本件ベッドガードがBS規格を満たしていることを確認した上で本件ベッドガードの販売を開始した旨主張している。 本件に関連するBS規格の具体的な基準等の要旨は、以下のとおりである。」⑺ 原判決6頁18行目から26行目までを次のとおり改める。 「 (エ) 表示(6.1、6.2)ベッドガードには、恒久的に、18か月未満の子供には使用できない旨の警告を表示すること。なお、「警告」の文字は、最小でも5mm、残りの文字は3mmの高さで表記すること。 また、恒久的ラベルは目につきやすく、読みやすいこと。 イ SG基準(甲10、19、弁論の全趣旨)(ア) 制定等財団法人製品安全協会(当時)は、平成23年3月30日、乳幼児用製品(幼児用ベッドガード)専門部会での審議等を経て、日本国内におけるベッドガードに関する製品安全基準とその評価方法である「幼児用ベッドガード認定基準及び基準確認方法」(甲19。 以下「SG基準」 用製品(幼児用ベッドガード)専門部会での審議等を経て、日本国内におけるベッドガードに関する製品安全基準とその評価方法である「幼児用ベッドガード認定基準及び基準確認方法」(甲19。 以下「SG基準」という。)を制定した。上記の専門部会には、一審被告の社員も委員として参加していた。なお、SG基準は、BS規格を参考に制定された。 SG基準の序文には、「このSG基準は、適合性評価手続き (SGマーク制度)の適用を受けるものであって、製造物責任法等のいかなる他法令の適用が除外されるものではない。」と記載されていた。 また、SG基準の「基準の目的」欄には、「この基準は、検討時における既存の事故やクレーム等を基礎として、意図される使用と合理的に予見される誤使用等を考慮し作成された、幼児用ベッドガードの安全性品質及び誤使用防止のための表示の規格である。ここでいう安全性品質とは、使用する幼児及び保護者が正常に使用する範囲内で、傷害の可能性を最小限にすることを目的とした当該基準に示される要件をいう。」と記載されていた。 さらに、「適用範囲」欄には、「この基準は、一般家庭の室内で使用する成人用ベッド及びマットレスと併用し、生後18月から60月の幼児がベッドから転落等することを防止するために使用する幼児用ベッドガード(中略)について適用する。」と記載されていた。 本件に関連するSG基準の具体的な基準等の要旨は、以下のとおりである(なお、本件ベッドガードはSGマークを取得していなかった。)。」⑻ 原判決7頁10行目から26行目までを次のとおり改める。 「(ウ) 表示(ベッドガード本体への表示)a 基準ベッドガードには、容易に消えない方法で、(1)申請事業者名又はその略号、(2)製造年月日若しくは輸入年月又はその略号 おり改める。 「(ウ) 表示(ベッドガード本体への表示)a 基準ベッドガードには、容易に消えない方法で、(1)申請事業者名又はその略号、(2)製造年月日若しくは輸入年月又はその略号、(3)使用年齢範囲(使用年齢範囲は、生後18か月から60か月までであること。保護者の監督下で必ず使用すること。)、(4)次に示す主旨の注意事項を表示すること。このうち、(3)の(使用年齢範囲) については、その主旨を見やすい箇所に表示すること。 (次に示す主旨の注意事項)① (略)② 生後18か月未満の乳幼児には適さない旨。 ③ (略)④ ベッドガードに固定用付属部品がある場合は、必ず取扱説明書の指示通り適切に固定する。適切に固定されないと事故につながるおそれがある旨。 ⑤~⑧ (略)b 基準確認方法(a) 表示の消えにくさ、剥がれやすさ及び必要な項目の有無を目視、触感等で確認すること。なお、「使用年齢範囲」及び「次に示す主旨の注意事項」の表示項目は、安全警告標識(△)を併記し、目立つ色彩を用いるなどしてより認知しやすいものであることを確認すること。また、4.9mm以上の大きさ(縦寸法)の「警告」及び「注意」のシグナルワードを併記し、目立つ色彩を用いるなどしてより認知しやすいものであることを確認すること。 (b) 「使用年齢範囲」、「次に示す主旨の注意事項」の②~⑧についてはカートンボックスにも表示すること。なお、カートンボックスに表示する「次に示す主旨の注意事項」の④~⑧は、ベッド及びマットレスとの位置関係が分かるよう図等で示すこと。 (エ) 取扱説明書a 基準ベッドガードには、次に トンボックスに表示する「次に示す主旨の注意事項」の④~⑧は、ベッド及びマットレスとの位置関係が分かるよう図等で示すこと。 (エ) 取扱説明書a 基準ベッドガードには、次に示す主旨の取扱い上の注意事項を明 示した説明書を添付すること。なお、(1)は取扱説明書の表紙などの見やすい箇所に表示し、(2)及び(3)は図などを併記して理解しやすいものとし、(4)及び(7)は安全警告標識(△)等を併記してより認知しやすいものとすること。 (1)~(3) (略)(4) 使用年齢範囲使用年齢範囲は、生後18か月から60か月までであること。 保護者の監督下で必ず使用すること。 (5)・(6) (略)(7) 次に示す主旨の使用上の注意事項① (略)② 生後18か月未満の乳幼児には適さない旨。 ③ 子どもが保護者の手を借りずにベッドに登り降りできるようになってから使用する旨。 ④ (略)⑤ 頸部圧迫の危険回避のため、ベッドガードをベッドに取り付けるときは、ベッドガードに固定用付属部品がある場合は、必ず取扱説明書の指示通り適切に固定する、適切に固定されないと事故につながるおそれがある旨等。 ⑥~⑩ (略)(8)~(10) (略)(オ) 改訂前記(ウ)a及び(エ)aの「生後18か月未満の乳幼児には適さない旨」の表示については、平成29年12月21日、具体的な危険性を併記し、より注意喚起を促すことを目的として、「小さな乳児の場合、隙間に挟まると自力では脱出できず窒息するおそれがあるた め、生後18か月未満の乳幼児には適さない旨。」という内容に改訂された。 (カ) SG基準の解説aSG基準 ると自力では脱出できず窒息するおそれがあるた め、生後18か月未満の乳幼児には適さない旨。」という内容に改訂された。 (カ) SG基準の解説aSG基準の解説の序文には、基準作成に際し、特に重視した点として、以下の4点が挙げられていた。 ① ベッドからの転落によるケガの防止より、隙間に顔面や胸部が挟まって窒息する等の重篤な事故が起きないようにする。 ② 適用年齢を18か月以上とし、乳児は対象としなかった。 ③ マットレスとの隙間ができないようにするため、一定以上の力を加えないとベッドガードがベッドから移動しないようにする。 ④ 他の乳幼児用品以上に使用者(保護者)の注意が必要な製品である。このため、注意喚起のための表示を多くし、更に製品の購入を検討している消費者への情報提供を目的に本体を収納するカートンボックスにも表示する。 bSG基準の解説の「表示及び取扱説明書」欄の「表示」部分には「使用年齢範囲や注意喚起の必要がある事項のうち特に重要な点である「生後18か月未満の乳幼児には適さない旨」や「当該ベッドガードに適さないベッド構造あるいはマットレス等」は製品本体の表示と併せ、当該製品の購入を検討している消費者への情報提供を目的として本体を収納するカートンボックスにも表示することを義務づけた。その際、ベッドガードとベッドあるいはマットレスとの位置関係を図で示せる事項は、図等で表示するよう求めた。」と記載されていた。」⑼ 原判決8頁6行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 なお、一審被告は、平成22年3月29日、本件ベッドガードにつき、 BS規格の製品安全基準に適合していること ⑼ 原判決8頁6行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 なお、一審被告は、平成22年3月29日、本件ベッドガードにつき、 BS規格の製品安全基準に適合していることが報告されていると主張しているが、その根拠とする乙3号証をもって適合性の裏付けとすることには疑義がある。 また、本件ベッドガードは、SG基準の安全性品質(ベッドガードの取付け性)に係る基準に適合していない上、使用上支障のあるがたつきがあり、SG基準の安全性品質(外観及び構造)にも適合していない。 仮に、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準及びSG基準の安全性品質に適合するものであるとしても、それだけで、本件ベッドガードが安全であるとはいえない。本件ベッドガードのような子供の生命を奪う危険性を潜在的に有する製品について、一審被告は、危険性を回避する代替設計の検討すらしていないことからしても、本件ベッドガードに設計上の欠陥が認められることは明らかである。」⑽ 原判決8頁9行目の「ガード部が面に対して垂直方向にがたつくこと」を「垂直に立つガード部が水平方向にがたつくこと」に改め、同頁19行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 BS規格は、本件ベッドガードの全体が試験表面上に載せられていることを安全性試験の条件とは記載していないから、そのような条件を付け加えるべきではない。一審原告らが実施した安全性試験は、取扱説明書に従って本件ベッドガードを設置し、金具を試験表面に設置してベッドマットが移動しないような措置を採るなどして実施したものであり、BS規格の安全性試験の試験条件に即している。」⑾ 原判決9頁5行目の「本件ベッドガードを固定した。」の次に次のとおり加える。 「一審原告らの設置方法にお を採るなどして実施したものであり、BS規格の安全性試験の試験条件に即している。」⑾ 原判決9頁5行目の「本件ベッドガードを固定した。」の次に次のとおり加える。 「一審原告らの設置方法においても、ベッドガードを取り付ける側のベッドマットの側面の位置が分かっているため、セーフティベルトの長さをあらかじめ適切に調整してプレートを固定しておくことは十分可能であるし、 設置後にゆるみ(隙間)の有無を確認することも可能である。また、一審原告らの設置方法では、プレートがベッドの木組みにはめ込まれるため、固定の度合いはベッドマットを介した場合よりも強固である。」⑿ 原判決9頁10行目の「原告ら」を「一審原告A1」に改め、同頁11行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 本件ベッドマットは、ダブルサイズのベッドフレームとシングルサイズのベッドフレームに跨る状態となっていたから、プレートをベッドフレームとベッドマットに跨るようにして押さえながらセーフティベルトを引っ張って長さを調節することはできなかった。日本の狭い住宅事情の下では、一審原告らのようにベッドを壁側に付けて使用することや、2台のベッドを並べ、その上にサイズの異なるマットを組み合わせて使用することは通常の使用方法である。したがって、一審原告らのような使用形態で本件ベッドガードを使用することは、本件ベッドガードを輸入販売していた一審被告において、当然に想定しておくべきものであり、一審原告らの使用方法に問題はない。 確かに、一審原告らは、取扱説明書の中で使用が禁じられていた生後9か月の乳児であるBに本件ベッドガードを使用した。しかし、一般の消費者は、乳幼児が寝返りを打つようになる生後7か月くらいの乳児を対象として転落防止のためにベッドガード 中で使用が禁じられていた生後9か月の乳児であるBに本件ベッドガードを使用した。しかし、一般の消費者は、乳幼児が寝返りを打つようになる生後7か月くらいの乳児を対象として転落防止のためにベッドガードを使用するから、生後18か月未満の乳幼児に使用されることがあり得ることも、一審被告にとって当然に予見することのできる誤使用の範囲である。したがって、一審原告らの使用方法は、製造物責任法2条2項の「通常予見される使用形態」に当たるというべきである。」⒀ 原判決15頁1行目の「形跡はない。」の次に次のとおり加える。 「そもそも、解剖結果報告書を作成したD医師は、本件事故後になってBの死体を解剖したにすぎず、そのため、D医師は、上記のとおり、解剖所 見からは胸郭運動制限による窒息を診断するのは困難であると率直に述べている。したがって、Bの死因について、解剖結果報告書から認定することができるのはその限度にとどまる。」⒁ 原判決15頁8行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 また、本件事故直後に撮影された本件事故の現場写真を見ると、タオルケットなどの乳児の窒息の原因になり得るものが散見される。したがって、Bの顔面がタオルケット等で覆われたことにより、Bが窒息に至った可能性もある。 BS規格においても、窒息死の危険は、胸郭運動制限によるものではなく、あくまで頭の部分の問題であるとされている。そして、E医師は、死後の解剖では、口や鼻が塞がれたことにより窒息した場合と、胸郭運動制限により窒息した場合との鑑別はつかないことを明確に証言している。このような専門家の証言を無視して、Bの死因を胸郭運動制限による窒息であると認定することは許されない。」⒂ 原判決15頁13行目末尾に次のとおり加える。 いことを明確に証言している。このような専門家の証言を無視して、Bの死因を胸郭運動制限による窒息であると認定することは許されない。」⒂ 原判決15頁13行目末尾に次のとおり加える。 「したがって、Bの顔面が本件ベッドマットに埋もれて窒息した場合には、それ自体に致死性の危険がある本件ベッドマットに帰責され、Bの死亡との間に相当因果関係を認めるべきである。したがって、頭部以外が隙間に挟まっただけでは死亡の危険があるとは指摘されていなかった本件ベッドガードにつき、Bの死亡との間の相当因果関係を認めることは明らかに不当である。」⒃ 原判決15頁23行目末尾に次のとおり加える。 「 以上のとおり、本件事故の原因は、一審原告らが取扱説明書に従った適正な方法で本件ベッドガードを使用しなかったことにある。したがって、本件ベッドガード本体に警告表示がなかったこととBの死亡という結果との間に相当因果関係は認められない。 エ寄与度に応じた因果関係の割合的認定仮に、本件ベッドガードに欠陥があったとしても、その危険性は、一審原告らの落ち度が有する危険性に比べればはるかに低い。したがって、その評価は、Bの死亡の結果に対する寄与度として、因果関係の認定の段階で割合的に行われるべきである。」⒄ 原判決16頁4行目から6行目までを次のとおり改める。 「ウ Bの逸失利益 5423万7543円Bの逸失利益の算定に当たっては、経済変動に柔軟であり、かつ、職種や業界の多様性を考慮することができるとされるホフマン方式を採用すべきである。 エ一審原告ら各慰謝料各250万円本件は、我が子を失った精神的苦痛を乗り越えて、一審原告らが被った損害の回復を求める できるとされるホフマン方式を採用すべきである。 エ一審原告ら各慰謝料各250万円本件は、我が子を失った精神的苦痛を乗り越えて、一審原告らが被った損害の回復を求めるものであるが、本件のような消費者と製造販売業者との間の紛争では、当事者の情報力、経済力等に大きな格差があり、その中で、消費者は主張立証活動をしなければならないという特殊性がある。こうした状況も踏まえると、一審原告らの固有の慰謝料は各250万円を認めるのが相当である。 オ一審原告ら各弁護士費用各425万円本件のような製造物責任法に基づく損害賠償請求訴訟という極めて専門的な事案においては、通常の訴訟で相当とされる認容額の1割の弁護士費用では不十分である。また、一審原告らは、控訴審についても代理人弁護士に弁護士費用を支払う義務がある。これらの事情に鑑みれば、本件において認められる弁護士費用は認容額の2割とするのが相当である。」⒅ 原判決16頁13行目末尾に次のとおり加える。 「この一審原告A1の行為は、致死性の高い非常に危険な行為であること は明らかである。」⒆ 原判決16頁15行目末尾に次のとおり加える。 「本件ベッドガードは、Bのような生後9か月の乳児が、大人用ベッドで、しかも、沈み込んで頭を持ち上げることができずに窒息する可能性の高い低反発のベッドマットの上に寝かされることを想定していない。」⒇ 原判決16頁24行目末尾に次のとおり加える。 「また、本来、過失相殺は、公平の見地から斟酌されるものである。一審被告は、製品に潜む具体的な危険性を製品の使用者である一審原告らに一切知らせず、乳児であるBの死亡という重大な事故を発生させている。したがって、本 失相殺は、公平の見地から斟酌されるものである。一審被告は、製品に潜む具体的な危険性を製品の使用者である一審原告らに一切知らせず、乳児であるBの死亡という重大な事故を発生させている。したがって、本件事故につき過失相殺をして一審原告らに損害の一部を負担させることは公平の見地から許されない。」 原判決17頁9行目末尾に次のとおり加える。 「本件ベッドガードは、ベッドからの転落防止を目的とした製品であり、乳幼児が寝返りを打つようになる生後7か月頃から利用の必要性が生じる。 したがって、生後18か月未満の乳幼児への使用を禁止したこと自体が消費者の誤認を誘うものであり誤りである。加えて、一審被告は、本件ベッドガードを使用した場合における窒息の危険性を明示していないから、一審被告の落ち度は大きい。したがって、一審原告らが取扱説明書で使用対象年齢外とされていたBに本件ベッドガードを使用したことをもって、一審原告らに落ち度があったとはいえない。」 原判決17頁12行目末尾に次のとおり加える。 「なお、取扱説明書を確認することなく設置することは、構造が簡単な製品であれば一般に行われている。したがって、一審原告らが取扱説明書を確認することなく本件ベッドガードを設置したことは、強く非難されるべき行為とはいえない。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、一審原告らの請求は、一審被告に対してそれぞれ1333万4323円及びこれらに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があると判断する。その理由は、当審における当事者双方の主張も踏まえて原判決を次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する 由があると判断する。その理由は、当審における当事者双方の主張も踏まえて原判決を次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決17頁24行目の「以下「本件ベッドマット」という。」を「本件ベッドマット」に、同18頁17行目の「一緒に寝入ってしまった。」を「一緒に寝入った。」にそれぞれ改め、同頁22行目の「。以下「長女」という。」を削る。 ⑵ 原判決19頁21行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「(1) 製造物責任法2条2項の「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」⑶ 原判決19頁22行目の「(1)」を「(2)」に、同24頁16行目の「(2)」を「(3)」にいずれも改める。 ⑷ 原判決19頁23行目から24行目にかけての「ガード部が面に対して垂直方向にがたつくこと」を「垂直に立つガード部が水平方向にがたつくこと」に改める。 ⑸ 原判決21頁2行目から12行目までを次のとおり改める。 「 しかしながら、F技術士の測定方法は、ベッドマットが試験表面から動かないようにⅬ字金具で固定する措置は採られたものの、ベッドガードの脚部の全体を試験表面上に載せず当初からその一部が試験表面からはみ出した状態で測定されているもので、この点において、BS規格上で示されている安全性試験の図(乙4の1・16丁)と異なっている。 また、F技術士の測定方法においては、ベッドガードとベッドマットとの間に当初から隙間が生じた状態で当該試験を実施し、ベッドガードと密着させるような位置 の1・16丁)と異なっている。 また、F技術士の測定方法においては、ベッドガードとベッドマットとの間に当初から隙間が生じた状態で当該試験を実施し、ベッドガードと密着させるような位置調整をしていないところ(甲20・21頁表2)、当初から隙間が生じている状態では、ベッドガードの移動によってどれだけの隙間が生じたのかを正確に測定することができなくなるから、この点においてF技術士の測定方法は適切ではない(なお、一審原告らは、本件ベッドガードのガードのヒンジ部分は、土台の外側にはみ出して設置することが通常想定されている使用方法であり、本件ベッドガードの取扱説明書(甲8)の内容に照らすと、F技術士の測定方法こそがBS規格の安全性試験の試験条件に即しているなどと主張するが、取扱説明書の「使用方法」の記載内容(前提事実(3)ア(ア))に照らすと、本件ベッドガードが、一審原告らの主張するような設置方法を前提とするものではないことは明らかであるから、一審原告らの上記主張は採用できない。)。」⑹ 原判決22頁12行目末尾に次のとおり加える。 「一審原告らは、一審被告による安全性試験においては、F技術士の測定方法と異なり、ベッドマットを金具で固定していないと主張するが、証拠(乙9)に反し、採用できない。」⑺ 原判決23頁4行目冒頭から18行目の「得ない。」までを次のとおり改める。 「ウ一審原告らの使用方法について上記ア及びイで説示したとおり、本件ベッドガードは、BS規格の隙間に関する基準及びSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合するものということができ、他に、一審原告らが主張する事情を十分に検討しても、上記認定を左右するものとはいえない。また、一審原告らの本件ベッドガードの設置方法及び使用方法に 付け性)に係る基準に適合するものということができ、他に、一審原告らが主張する事情を十分に検討しても、上記認定を左右するものとはいえない。また、一審原告らの本件ベッドガードの設置方法及び使用方法に ついては、後記(ア)のとおりの問題があったもので、その点も、本件ベッドガードに設計上の欠陥がなかったことを裏付けるというべきである。 (ア) 設置方法及び使用方法について一審原告らは、セーフティベルトをあらかじめ適当な長さに調整し、プレートを2つのベッドの土台に挟み込んで引っ掛ける方法で固定して、本件ベッドガードを設置しているが(認定事実(1)イ)、このような設置方法は、本件ベッドガードとプレートの間でベッドマットが隙間なく両サイドから締め付けられるような方法(サンドウィッチ構造)を採ることにより強く固定するという取扱説明書に記載された本件ベッドガードの本来の設置方法(前提事実(3)ア(イ))と明らかに異なる。その上、プレートをベッドフレームとベッドマットに跨るような位置に置いて押さえながらセーフティベルトの長さを調整するという動作がなく、本件ベッドマットを所定の場所に戻した後には、プレートの最終的な固定の様子を確認することができない分、固定の度合いがかなり感覚的なものとならざるを得ない。したがって、一審原告らの設置方法は、取扱説明書の設置方法と比較して強固なものといえないことは明らかであって、」⑻ 原判決23頁26行目の「ずれることはないということができる。」から同24頁5行目末尾までを次のとおり改める。 「ずれることはないということができるし、一審原告A1は、本件事故当時、Bを発見してすぐに抱き上げたというのであるから(前提事実(2)ウ)、一審原告A1の救助活動によって、セーフティベルトの設置 「ずれることはないということができるし、一審原告A1は、本件事故当時、Bを発見してすぐに抱き上げたというのであるから(前提事実(2)ウ)、一審原告A1の救助活動によって、セーフティベルトの設置状態が影響を受けたということはできない。 また、一審原告らは、生後9か月の乳児であるBに本件ベッドガードを使用しているところ、BS規格及びSG基準のいずれにおいても生後18 か月未満の幼児には適さないとされ(前提事実(4)ア(イ)及びイ(ア))、本件ベッドガードの取扱説明書やカートンボックスにおいても、使用対象年齢は生後18か月から5歳くらいまでの子供であり、絶対に生後18か月未満の乳幼児用として使用しないように警告されていたのであるから(同(3)イ)、一審原告らの本件ベッドガードの使用方法は、通常予見される使用形態であるとも、一審被告にとって予見することのできる誤使用の範疇であるともいえない。 このように、一審原告らの本件ベッドガードの設置方法及び使用方法が、取扱説明書の記載やセーフティベルトの仕組み等に照らし、適正であったということができないことは明らかである。 これに対し、一審原告らは、日本の狭い住宅事情の下では、一審原告らのように、ベッドを壁側に付けて使用することや、2台のベッドを並べ、その上にサイズの異なるマットを組み合わせて使用することは通常の使用方法であるし、一般の消費者は、乳幼児が寝返りを打つようになる7か月くらいから転落防止を目的としてベッドガードを使用するから、18か月未満の乳幼児に使用されることも製造物責任法2条2項の「通常予見される使用形態」に当たり、一審原告らの設置方法や使用方法に問題はないなどと主張する。しかし、このような主張をもって、一審原告らの本件ベッドガードの設置方法 ることも製造物責任法2条2項の「通常予見される使用形態」に当たり、一審原告らの設置方法や使用方法に問題はないなどと主張する。しかし、このような主張をもって、一審原告らの本件ベッドガードの設置方法や使用方法が適正であることの理由となり得ないことは既に説示したとおりである。」⑼ 原判決24頁22行目の「ガード部が垂直方向にがたつくこと」を「垂直に立つガード部が水平方向にがたつくなど使用上支障のあるがたつきがあること」に改める。 ⑽ 原判決25頁3行目の「(1)ア 」の次に「前記2(1)で説示したとおり、」を加え、同頁14行目から同26頁2行目までを次のとおり改める。 「イこれをベッドガードについてみれば、使用対象年齢未満の乳幼児に 使用した場合、乳幼児が隙間に挟まって窒息死する危険性がある(前提事実(4)ア(イ)、同イ(オ)及び(カ))。実際に、本件事故後のことではあるものの、使用対象年齢未満の乳幼児にベッドガードを使用したことによって、その乳幼児が隙間に挟まれて死亡する事故も発生しており、消費者庁が注意を促していた(認定事実(3)アないしウ)。また、遅くとも平成21年の時点では、BS規格において、ベッドガードは18か月未満の幼児には適さないとされ、その具体的な危険性として子供の窒息死の危険について明示されていた上(前提事実(4)ア(イ))、平成23年3月30日に日本国内における製品安全基準として制定された改正前のSG基準においても、ベッドガードの使用年齢範囲として、生後18か月から60か月までであることや、生後18か月未満の乳幼児には適さない旨が明記され(前提事実(4)イ(ア)、(ウ)及び(エ))、さらに、SG基準の解説の中では、基準作成に際し、特に重視した点として、ベッドからの転落によるケ とや、生後18か月未満の乳幼児には適さない旨が明記され(前提事実(4)イ(ア)、(ウ)及び(エ))、さらに、SG基準の解説の中では、基準作成に際し、特に重視した点として、ベッドからの転落によるケガの防止より隙間に顔面や胸部が挟まって窒息する等の重篤な事故が起きないようにすることが明示されていた(前提事実(4)イ(カ)a)。これらの本件に現れた事実によれば、本件事故当時、少なくともベッドガードの製造業者らにおいては、既に、ベッドガードの使用による乳幼児の窒息死の危険(ベッドガードとベッドマットとの隙間に顔面や胸部が挟まって窒息する等の重篤な事故が発生する危険)を、具体的に想起し得る状態にあったと認められる。」⑾ 原判決26頁6行目の「乳幼児が」の次に「顔面や胸部を挟まれて」を加え、同頁11行目の「また」を「このことは本件ベッドガードにも当てはまるものである上」に改める。 ⑿ 原判決26頁16行目から25行目までを次のとおり改める。 「 このようなベッドガードが有する危険性の内容、性質や、使用者側 の一般的なベッドガードに対する認識に加え、本件ベッドガードの上記のような仕組みに鑑みれば、本件ベッドガードの製造業者に該当する一審被告においては、使用者が容易に認識することができるような場所に使用対象年齢を表示するとともに、使用者が通常の注意を払えば視認することができるような方法で、使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合や、取扱説明書の指示どおりに設置しなかった場合の危険性につき、購入後にその危険性を認識した場合であってもその使用の中止に踏み切れる程度に、可能な限り具体的に表示して警告を行うべきであって、そのような警告を欠いた製品については、指示・警告上の欠陥があると認めるのが相当である。そして、このことは、SG の使用の中止に踏み切れる程度に、可能な限り具体的に表示して警告を行うべきであって、そのような警告を欠いた製品については、指示・警告上の欠陥があると認めるのが相当である。そして、このことは、SG基準の解説において、①基準作成に際して特に重視した点として、「他の乳幼児用品以上に使用者(保護者)の注意が必要な製品であり、このため、注意喚起のための表示を多くすること」が挙げられていること、②「生後18か月未満の乳幼児には適さない旨」については、特に注意喚起が必要であるとして、製品本体の表示と併せ本体を収納するカートンボックスにも表示することを義務付けたとして、ベッドガード本体への表示は当然に行うべきであるとしていること(前提事実(4)イ(カ)b)からも明らかである。」⒀ 原判決27頁6行目から同28頁13行目までを次のとおり改める。 「 イまず、本件ベッドガードの使用対象年齢は、本件ベッドガード本体には表示されておらず(前提事実(3)イ(エ))、取扱説明書とカートンボックスに表示されていたのみである(同(ア)、同(ウ)、弁論の全趣旨)。しかしながら、上記(1)で説示したベッドガードが有する危険性の内容、性質や、通常予見される使用形態に加え、ベッドガードが流通する過程で使用者が取扱説明書等を参照できる状況にない場合も想定されることをも踏まえた上で、BS規格が特にベ ッドガード本体に「恒久的に、18か月未満の子供には使用できない」旨等の表示を求め、「警告」の文字の大きさまで指定していることや、SG基準においても、ベッドガードの表示に関する記載の最初に、ベッドガード本体に「容易に消えない方法で表示する」等を記載して、使用者がその危険性を容易に認識できるような表示として本体の表示を重要視していると考えられることにも照ら の表示に関する記載の最初に、ベッドガード本体に「容易に消えない方法で表示する」等を記載して、使用者がその危険性を容易に認識できるような表示として本体の表示を重要視していると考えられることにも照らすと、ベッドガードの使用対象年齢は、ベッドガードの本体に使用者が容易に認識することができるような表示をする必要があったというべきである。しかるに、前提事実(3)イ(エ)のとおり、本件ベッドガードの本体には上記のような警告表示や注意書きは一切表示されていなかったのであるから、本件ベッドガードの使用対象年齢は、使用者が容易に認識することができるような場所に表示されていたとは認められない。 ウまた、SG基準においては、ベッドガード本体に、頸部圧迫の危険回避のため、ベッドガードをベッドに取り付けるときはベッドガードに固定用付属部品がある場合は、必ず取扱説明書の指示通りに適切に固定する必要があり、適切に固定されないと事故につながるおそれがある旨の表示をすることが求められていたところ(前提事実(4)イ(ウ))、本件ベッドガード本体には上記の表示はなく、取扱説明書添付の警告文書において、ベッドマットとの隙間で思わぬ事故が発生するおそれがあり、取扱説明書の使用上の注意に従って使用すべき旨の表示があるのみで(同(3)イ(イ)、弁論の全趣旨)、発生するおそれのある事故の具体的な内容が指摘されていないことに加え、警告文書自体には使用対象年齢が記載されておらず、警告文書の記載のみでは使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合を想定した内容となっていない。これらのことからすれば、使用者が使用 対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性を具体的に認識できるような方法で表示されていたとは認められない。 エ以上によれば、本件ベッドガードは、使 らすれば、使用者が使用 対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性を具体的に認識できるような方法で表示されていたとは認められない。 エ以上によれば、本件ベッドガードは、使用対象年齢未満の乳幼児に使用しないこと及び取扱説明書の指示のとおりに設置することについての十分な指示・警告がされていたとはいえず、取り分け、ベッドガード本体にはこれらの表示は全くされていなかったのであるから、本件ベッドガードは、指示・警告上の観点から、通常有すべき安全性を欠いており、製造物責任法上の「欠陥」があったと認められる。 (3) これに対し、一審被告は、使用対象年齢等に関する指示・警告は、使用のたびに注意喚起すべきような事柄ではなく、製品購入時に注意喚起することで足りるところ、本件ベッドガードには、取扱説明書やカートンボックスにおいて使用対象年齢が表示され、警告文書において具体的な注意喚起がされているから、指示・警告上の欠陥はないと主張する。 しかしながら、本件ベッドガードの取扱説明書やカートンボックス等の表示では、警告表示としての内容が不十分であるのは上記説示のとおりであるから、一審被告の主張は上記認定を左右しない。」⒁ 原判決28頁22行目の「そこで検討するに、」の次に「Bは、本件事故当時、本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間に身体を挟むように転落していたところ(前提事実(2)ウ)、」を加える。 ⒂ 原判決29頁1行目の「圧迫」から11行目末尾までを次のとおり改める。 「圧迫されていたということができ、本件事故後にBを司法解剖したD医師も、解剖結果報告書の中で「本屍の死因は確定困難であるものの、マットレスとベッドガードの間に挟まっていたということが事実であれば胸郭 運動制限による窒息の可能性が高 司法解剖したD医師も、解剖結果報告書の中で「本屍の死因は確定困難であるものの、マットレスとベッドガードの間に挟まっていたということが事実であれば胸郭 運動制限による窒息の可能性が高いと推定される」としていること(前提事実(2)ウ)も併せ考慮すると、Bの死因は胸郭運動制限による窒息であると認められる。 これを前提として、本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間の因果関係の有無についてみると、本件ベッドガードには、上記3で説示したとおり、本件ベッドガード本体に使用対象年齢や取扱説明書の指示どおりに設置しなかった場合の事故の危険を示す表示がなく、また、取扱説明書等にも、使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合や取扱説明書の指示通りに設置しなかった場合の危険性についての具体的な表示がないという指示・警告上の欠陥がある。そして、一審原告A1は、本人尋問の中で、本件ベッドガード本体に使用対象年齢の記載や、事故の具体的な危険についての記載があれば、本件ベッドガードは使用しなかったと明確に供述しているところ、本件ベッドガードの本体にまで上記のような表示がされていれば、本件ベッドガードの設置作業に携わらなかった一審原告A1としても、その表示に記載された使用対象年齢や取扱説明書に具体的な指示が記載されていること等に注意を払うことができたであろうし、取扱説明書等に使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性等が表示されていれば、これらにも十分な注意を払うことができたであろうと考えられることからすれば、一審原告A1の上記供述の信用性は高いものということができる。 そうすると、本件ベッドガード本体にこれらの表示が適切にされていれば、一審原告らが使用対象年齢未満の乳児であるBに対し本件ベッドガードの使用を回避していた高度の蓋然性があっ ものということができる。 そうすると、本件ベッドガード本体にこれらの表示が適切にされていれば、一審原告らが使用対象年齢未満の乳児であるBに対し本件ベッドガードの使用を回避していた高度の蓋然性があったといえるから、本件ベッドガードの指示・警告上の欠陥により、本件事故が発生し、その結果、Bが死亡したと認められる。したがって、本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間には因果関係の存在を認めることができる。」⒃ 原判決29頁21行目から22行目にかけての「使用しなかったことにあ ると主張する。」を次のとおり改める。 「使用しなかったことにあるから、本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間には相当因果関係はないか、相当因果関係があるとしても、一審原告らの落ち度の危険性に比べれば、本件ベッドガードの危険度ははるかに低く、その評価はBの死亡の結果に対する寄与度として因果関係の認定の段階で割合的に行われるべきであるなどと主張する。」⒄ 原判決30頁9行目から10行目にかけての「寝返りを始めていたのであるから」を「寝返りを始め、本件事故の前日には擦り這いができるようになるなど、活発に動いていたのであるから」に改める。 ⒅ 原判決30頁14行目の「前記2(1)ウ(イ)」を「前記2(2)ウ(イ)」に改める。 ⒆ 原判決31頁22行目から24行目までを次のとおり改める。 「(2) Bの死亡慰謝料 2400万円Bは、本件事故当時、生後9か月の乳児であり、未だ死の意味すら十分に分かりかねる幼少の身で、本件ベッドガードの欠陥により突然の死を余儀なくされたものであって、Bの肉体的苦痛、精神的苦痛は極めて大きいと認められる。そして、本件に現れた諸般の事情を考慮すると、Bの死亡慰謝料としては、2400万円と認めるのが 欠陥により突然の死を余儀なくされたものであって、Bの肉体的苦痛、精神的苦痛は極めて大きいと認められる。そして、本件に現れた諸般の事情を考慮すると、Bの死亡慰謝料としては、2400万円と認めるのが相当である。」⒇ 原判決32頁5行目から同34頁7行目までを次のとおり改める。 「 これに対し、一審原告らは、Bの逸失利益の算定に当たっては、 ライプニッツ方式ではなくホフマン方式を採用すべきであると主張する。 しかしながら、損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は、法的安定性及び統一的処理の観点から民事法定利率によるべきであり、この場合の中間利息控除の方法としてライプニッツ方式によることは不合理なものとは いえないところ、本件において賃金センサスの男性学歴計全年齢平均賃金を基礎とした上でライプニッツ方式によることは相当というべきである。したがって、一審原告らの上記主張は採用できない。 (4) 一審原告ら固有の慰謝料各150万円前記(2)の認定に係るBの死亡慰謝料の額に加え、生後9か月で愛する我が子を失った一審原告らの心情(一審原告A1本人、一審原告A2本人)、本件事故の内容、一審原告らが主張する事情その他本件に現れた諸般の事情を考慮すると、一審原告ら固有の慰謝料としては、各150万円と認めるのが相当である。」(5) 過失相殺前の小計(一審原告らの合計額) 4853万7292円(6) 過失相殺ア(ア) 一審原告A2は、本件ベッドガードを設置する際、取扱説明書を見ることなく本件ベッドガードを組み立てて固定しているが(認定事実(1)イ)、この設置方法は、前記2(2)ウ(ア)で説示したとおり、取扱説明書で指示され 、本件ベッドガードを設置する際、取扱説明書を見ることなく本件ベッドガードを組み立てて固定しているが(認定事実(1)イ)、この設置方法は、前記2(2)ウ(ア)で説示したとおり、取扱説明書で指示されたものとは大きく異なり、適切とは到底いい難いものであり、実際に、本件事故直後の本件ベッドガードは、本件ベッドマットとの間で最大約10cmもの隙間が生じる状態となっていたことが認められる(認定事実(2)エ)。このような一審原告らの不適切な本件ベッドガードの設置が本件事故の一因となったことは明らかであり、この点は、一審原告らの大きな落ち度であるといわざるを得ない。 これに対し、一審原告らは、本件ベッドガードの構造に照らすと、取扱説明書を確認せずに設置したことをもって一審原告らの落ち度とはいえない旨主張する。しかしながら、本件ベッドガードの構造(前提事実(3)ア)や、取扱説明書の具体的な記載内容(同イ(ア))等に照らすと、一審原告らが取扱説明書の指 示に従って本件ベッドガードを設置すべきであったことは明らかである。したがって、一審原告らの上記主張は採用できない。 (イ) また、一審原告らは、本件ベッドガードの設置後、取扱説明書を発見したものの、改めてそれを閲読することはせず、カートンボックスに表示された内容にも注意を払わなかったことが認められる(一審原告A1本人、一審原告A2本人)。しかしながら、取扱説明書の冒頭には、「使用する前に必ず説明書をお読み下さい」と表示されていたほか、取扱説明書の中には、「生後18ヶ月から5歳くらいまでのお子様に使用してください」との表示に加えて、「絶対に乳幼児用として使用しないでください」、「取扱説明書通りに組立てや使用を行ってください。」との警告文言が表示され(前提事実(3)イ(ア))、さらに 子様に使用してください」との表示に加えて、「絶対に乳幼児用として使用しないでください」、「取扱説明書通りに組立てや使用を行ってください。」との警告文言が表示され(前提事実(3)イ(ア))、さらに、取扱説明書添付の警告文書には、「ベッドガードの使用の際は、マットレスとのすき間で思わぬ事故が発生する恐れがあります」という警告の表示があったことが認められるから(同(イ))、一審原告らがこれらの取扱説明書を慎重に閲読していれば、既に説示したとおり、本件事故当時、生後9か月であったBが本件ベッドガードの使用対象年齢未満であり、本件ベッドガードを使用することにより不測の事故が発生することを危惧して、本件ベッドガードの使用を回避していた可能性は高いといえる。 したがって、一審原告らが取扱説明書を閲読しなかったことが本件事故の一因となったことは明らかであり、この点も、一審原告らの重大な落ち度というべきである。 (ウ) その他、一審被告は、一審原告らには、①生後9か月のBを2時間も寝室に一人きりにし、状況を確認せずに放置した過失や、②Bを大人用ベッドで、かつ、使用しないように警告されてい た低反発のベッドマット上に寝かせていた過失があると主張する。 しかしながら、①の点については、自宅の寝室で就寝していたBの様子を2時間ほど確認しなかったことをもって、一審原告A1を非難することができないことはいうまでもない。 また、②の点についても、本件ベッドガードは、成人用ベッド及びマットレスと併用されることを想定した製品であるから、一審原告らが大人用ベッドに本件ベッドガードを使用したことは何ら責められるべきものではないし、前記4(1)イで説示したとおり、Bの死因は胸郭運動制限による窒息であり、顔面が本件ベッドマットに埋もれて呼吸困難にな 人用ベッドに本件ベッドガードを使用したことは何ら責められるべきものではないし、前記4(1)イで説示したとおり、Bの死因は胸郭運動制限による窒息であり、顔面が本件ベッドマットに埋もれて呼吸困難になったことで死亡したとは認められないことからすれば、一審原告らがBを低反発のベッドマット上に寝かせていたことをもって、一審原告らの落ち度と評価することはできない。 したがって、一審被告の上記主張はいずれも採用できない。 (エ) 上記(ア)及び(イ)のとおり認められる一審原告らの落ち度を総合的に評価すると、上記(5)の一審原告らの損害額については、公平の見地から、5割の過失相殺をするのが相当である。 イしたがって、以下のとおり、過失相殺後の一審原告らの損害額は、1213万4323円となる。 4,8537,292×(1-0.5)×1/2=12,134,323⑺ 弁護士費用各120万円一審原告らは、本件訴訟の追行を一審原告ら訴訟代理人らに委任したところ、以上の認定に係る損害額、一審原告らが指摘する本件事案の内容、本件訴訟の推移その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、一審被告の製造物責任との間で相当因果関係のある弁護士費用は、上 記(6)イの認容額の約1割に相当する各120万円と認められる。 ⑻ 合計額各1333万4323円」 2 以上によれば、一審原告らの請求は、一審被告に対してそれぞれ1333万4323円及びこれらに対する本件事故の日である平成29年8月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり、その余の請求はいずれも理由がない。 なお、上記の認定判断は、一審原告ら及び一審被告のその余の主張によっても左右されるものではな 民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり、その余の請求はいずれも理由がない。 なお、上記の認定判断は、一審原告ら及び一審被告のその余の主張によっても左右されるものではない。 第4 結論よって、原判決は一部不当であるから、一審被告の控訴に基づき原判決を変更することとし、一審原告らの控訴はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第23民事部 裁判長裁判官舘内比佐志 裁判官間史恵 裁判官富澤賢一郎

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